JP2022100295A - 被膜形成方法 - Google Patents
被膜形成方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2022100295A JP2022100295A JP2021208508A JP2021208508A JP2022100295A JP 2022100295 A JP2022100295 A JP 2022100295A JP 2021208508 A JP2021208508 A JP 2021208508A JP 2021208508 A JP2021208508 A JP 2021208508A JP 2022100295 A JP2022100295 A JP 2022100295A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- weight
- parts
- water
- coated surface
- coating
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
Abstract
【課題】自然な質感を備えた美観性の高い被膜面を容易に形成できる方法を提供する。【解決手段】本発明の被膜形成方法は、被塗面に対し、(1)水性上塗材を塗付して塗面を形成する工程、(2)当該塗面に水及び/又は親水性溶剤を供給し、押圧具を用いて当該塗面を均す工程、(3)当該塗面を乾燥させる工程、を行うものであり、上記水性上塗材は、骨材100重量部に対し、水性樹脂3~30重量部、及び疎水性溶剤0.1~50重量部を含むものであることを特徴とする。【選択図】なし
Description
本発明は、建築物内外壁や土木構築物等の表面化粧に適用可能な被膜面の形成方法に関するものである。
従来、建築物、土木構造物等の壁面に対し、種々の意匠性を有する被膜を形成することが行われている。特許文献1には、着色エマルション塗料を順次塗り重ねた後、その被膜が流動状態の内に、被膜を押圧して模様被膜を形成する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1では、樹脂エマルションと着色顔料を主成分とする着色エマルション塗料を用いている。そのため、形成被膜の色彩は、ペンキ調の発色に基づくものとなり、質感の点では改善の余地がある。また、特許文献1の方法では、被膜を押圧する際、被膜に糸引き等が生じ、美観性が損なわれるおそれがある。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、自然な質感を備えた美観性の高い被膜面を容易に形成できる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討の結果、被塗面に対し、特定の水性上塗材を塗付して塗面を形成する工程、当該塗面に水及び/又は親水性溶剤を供給し、押圧具を用いて当該塗面を均す工程等を行う被膜形成方法に想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.水性上塗材を用いた被膜形成方法であって、
被塗面に対し、
(1)水性上塗材を塗付して塗面を形成する工程、
(2)当該塗面に水及び/又は親水性溶剤を供給し、押圧具を用いて当該塗面を均す工程、
(3)当該塗面を乾燥させる工程、
を行うものであり、
上記水性上塗材は、骨材100重量部に対し、水性樹脂3~30重量部、及び疎水性溶剤0.1~50重量部を含むものであることを特徴とする被膜形成方法。
2.上記疎水性溶剤は、20℃における水への溶解度が10g/100gH2O以下であることを特徴とする1.記載の被膜形成方法。
3.上記(1)工程において、コテを用いて塗面を形成することを特徴とする1.または2.に記載の被膜形成方法。
4.上記(2)工程において、コテを用いて塗面を均すことを特徴とする1.~3.のいずれかに記載の被膜形成方法。
1.水性上塗材を用いた被膜形成方法であって、
被塗面に対し、
(1)水性上塗材を塗付して塗面を形成する工程、
(2)当該塗面に水及び/又は親水性溶剤を供給し、押圧具を用いて当該塗面を均す工程、
(3)当該塗面を乾燥させる工程、
を行うものであり、
上記水性上塗材は、骨材100重量部に対し、水性樹脂3~30重量部、及び疎水性溶剤0.1~50重量部を含むものであることを特徴とする被膜形成方法。
2.上記疎水性溶剤は、20℃における水への溶解度が10g/100gH2O以下であることを特徴とする1.記載の被膜形成方法。
3.上記(1)工程において、コテを用いて塗面を形成することを特徴とする1.または2.に記載の被膜形成方法。
4.上記(2)工程において、コテを用いて塗面を均すことを特徴とする1.~3.のいずれかに記載の被膜形成方法。
本発明によれば、自然な質感を備えた美観性の高い被膜面を容易に形成できる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明では、被塗面に対し、特定の水性上塗材を用いて被膜面を形成する。
[被塗面]
被塗面としては、例えば、建築物内外壁や土木構造物等を構成するものが挙げられる。被塗面を構成する基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、磁器タイル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、セメント板、ALC板、サイディング板、石膏ボード、合板、押出成形板、鋼板、プラスチック板等が挙げられる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、パテ、シーラー、サーフェーサー、フィラー等による処理)が施されたものでもよく、既に塗膜が形成されたものや、壁紙等が貼着されたもの等であってもよい。
被塗面としては、例えば、建築物内外壁や土木構造物等を構成するものが挙げられる。被塗面を構成する基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、磁器タイル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、セメント板、ALC板、サイディング板、石膏ボード、合板、押出成形板、鋼板、プラスチック板等が挙げられる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、パテ、シーラー、サーフェーサー、フィラー等による処理)が施されたものでもよく、既に塗膜が形成されたものや、壁紙等が貼着されたもの等であってもよい。
[水性上塗材]
本発明における水性上塗材は、骨材、水性樹脂、及び疎水性溶剤を含む。本発明では、このような水性上塗材を使用することにより、自然な質感を備えた美観性の高い被膜面を容易に形成することができる。
本発明における水性上塗材は、骨材、水性樹脂、及び疎水性溶剤を含む。本発明では、このような水性上塗材を使用することにより、自然な質感を備えた美観性の高い被膜面を容易に形成することができる。
本発明における水性上塗材は、主成分として骨材を含む。このような骨材は、自然な質感の付与、単色化の抑制等に寄与する成分である。骨材としては、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、蛍石、寒水石、長石、珪石、珪砂等の粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ、樹脂粉砕物、樹脂ビーズ、金属粒等、あるいは、これらの表面を着色コーティングしたもの等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。
水性上塗材は、骨材として着色骨材を含むことができる。着色骨材としては、何らかの色が視認できる骨材が使用できる。着色骨材の色は、例えば、天然由来のものであってもよいし、人工的に付与されたものであってもよい。本発明では、このような着色骨材の使用により発色性が付与され、質感、自然感、きめ細やかさ等を高めることもできる。
骨材の平均粒子径は、好ましくは0.05~3mm、より好ましくは0.06~1mm、さらに好ましくは0.07~0.5mm、特に好ましくは0.075~0.2mmである。骨材がこのような平均粒子径を有することにより、比較的少ない塗付け量で美観性の高い被膜面を形成することができ、被膜の薄膜化、軽量化等を図ることもできる。なお、骨材の平均粒子径は、JIS Z8801-1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行い、その重量分布の平均値を算出することによって得られる値である。なお、本発明において、「α~β」は「α以上β以下」と同義である。
水性上塗材における水性樹脂は、骨材等を固定化する役割等を担う成分である。水性樹脂としては、水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂(樹脂エマルション)が使用でき、とりわけ水分散性樹脂を含む態様が好適である。水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂の使用により、水性上塗材を得ることができる。樹脂の種類としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。これらは1種または2種以上で使用することができる。また、これら水性樹脂は、架橋反応性を有するもの、架橋反応性を有さないもののいずれであってもよい。水性樹脂のガラス転移温度は、好ましくは-30~70℃、より好ましくは-20~50℃である。ガラス転移温度は、Foxの計算式により求めることができる。
水性樹脂として、架橋反応性を有する結合材を使用した場合は、被膜の耐久性、耐候性等を高めることができ、割れ、剥れ、膨れ等の不具合発生を防止し、長期にわたり初期の美観性を保つことが可能となる。このような水性樹脂としては、例えば、反応性官能基含有水性樹脂とその架橋剤とで架橋反応するもの、あるいは、反応性官能基含有水性樹脂どうしで架橋反応するもの等が挙げられる。
このような反応性官能基の組み合わせとしては、例えば、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、ヒドロキシル基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジド基、エポキシ基とヒドラジド基、エポキシ基とアミノ基、アルド基とセミカルバジド基、ケト基とセミカルバジド基、アルコキシシリル基どうし、カルボキシル基と金属化合物等の組み合わせが挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。
水性樹脂の混合比率は、骨材100重量部に対し、固形分換算で3~30重量部であり、好ましくは4~25重量部、より好ましくは5~20重量部、さらに好ましくは6~19重量部である。水性樹脂の混合比率が、上記下限以上であることにより、塗装作業性向上化、被膜割れ抑制等の点で好適である。水性樹脂の混合比率が、上記上限以下であることにより、塗装作業性向上化、自然な質感の付与等の点で好適である。
水性上塗材における疎水性溶剤は、塗装作業性向上化、被膜割れ抑制等、ひいては被膜の美観性向上化に寄与する成分である。
疎水性溶剤としては、20℃における水への溶解度が10g/100gH2O以下(より好ましくは8g/100gH2O以下、さらに好ましくは6g/100gH2O以下、特に好ましくは5g/100gH2O以下)の疎水性溶剤を含むことが好ましい。なお、20℃における水への溶解度は、対象溶剤が水100gに溶解し得る最大質量(g)のことである。
疎水性溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、オクチレングリコール、2-エチルヘキシレングリコール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート、ベンジルアルコール等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。本発明では特に、疎水性溶剤として、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレートを含むことが好ましい。
疎水性溶剤の混合比率は、骨材100重量部に対し0.1~50重量部であり、好ましくは0.5~40重量部、より好ましくは0.8~30重量部、さらに好ましくは1~20重量部である。疎水性溶剤の混合比率が、上記下限以上であることにより、塗装作業性向上化、被膜割れ抑制等の点で好適である。疎水性溶剤の混合比率が、上記上限以下であることにより、水性上塗材の安定性確保等の点で好適であり、塗装作業性向上化、被膜割れ抑制等の効果を十分に得ることができる。
水性上塗材は、体質顔料を含むことができる。体質顔料は、自然な質感の付与、塗装作業性向上化等に寄与する成分である。体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、含水微粉珪酸、タルク、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ粉、水酸化アルミニウム等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。体質顔料の平均粒子径は、骨材の平均粒子径よりも小であることが望ましい。体質顔料の平均粒子径は、好ましくは50μm未満、より好ましくは0.5~45μm、さらに好ましくは1~40μmである。体質顔料の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定される値である。
体質顔料の混合比率は、骨材100重量部に対し20~500重量部とすることができ、好ましくは70~350重量部、より好ましくは90~300重量部、さらに好ましくは100~250重量部である。体質顔料の混合比率が、上記下限以上であることにより、自然な質感の付与、塗装作業性向上化等の点で好適である。体質顔料の混合比率が、上記上限以下であることにより、自然な質感の付与、塗装作業性向上化、被膜割れ抑制等の点で好適である。
水性上塗材は、着色顔料を含むことができる。着色顔料は、被膜面の発色に寄与する成分であり、着色顔料の混合によって被膜面に所望の色調を付与することができる。着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、鉄‐マンガン複合酸化物、鉄‐銅‐マンガン複合酸化物、鉄‐クロム複合酸化物、鉄‐クロム‐コバルト複合酸化物、銅‐クロム複合酸化物、銅‐マンガン‐クロム複合酸化物、銅-マグネシウム複合酸化物、ビスマス-マンガン複合酸化物、弁柄、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、アルミニウム顔料、パール顔料等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。着色顔料の平均粒子径は、骨材の平均粒子径よりも小であることが望ましい。着色顔料の平均粒子径は、好ましくは2μm以下、より好ましくは0.01~1μmである。着色顔料の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定される値である。
水性上塗材が着色顔料を含む場合、着色顔料の混合比率は、骨材100重量部に対し、固形分換算で1~100重量部とすることができ、好ましくは2~80重量部、より好ましくは3~60重量部、さらに好ましくは4~40重量部である。着色顔料の混合比率が、上記下限以上であることにより、発色性、隠蔽性等の点で好適である。着色顔料の混合比率が、上記上限以下であることにより、自然な質感の付与、被膜割れ抑制等の点で好適である。
水性上塗材は、それぞれ、本発明の効果を著しく損なわない限り、上記以外の成分を含むこともできる。このような成分としては、例えば、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、吸着剤、繊維、撥水剤、親水化剤、架橋剤、カップリング剤、親水性溶剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。
本発明の水性上塗材は、上述の骨材、水性樹脂、疎水性溶剤、及び必要に応じ上記各成分等を常法により均一に混合することで製造できる。
水性上塗材の粘度は、それぞれ、好ましくは5~150Pa・s、より好ましくは15~100Pa・s、さらに好ましくは25~75Pa・sである。水性上塗材がこのような粘度であることにより、水性上塗材の塗装作業性を確保しつつ、形成被膜の美観性向上化等の効果を高めることができる。なお、ここに言う粘度は、温度23℃において、BH型粘度計で測定した20rpmにおける粘度(4回転目の指針値)である。
[被膜形成方法]
本発明では、被塗面に対し、
(1)水性上塗材を塗付して塗面を形成する工程、
(2)当該塗面に水及び/又は親水性溶剤を供給し、押圧具を用いて当該塗面を均す工程、
(3)当該塗面を乾燥させる工程、
を行う。
本発明では、被塗面に対し、
(1)水性上塗材を塗付して塗面を形成する工程、
(2)当該塗面に水及び/又は親水性溶剤を供給し、押圧具を用いて当該塗面を均す工程、
(3)当該塗面を乾燥させる工程、
を行う。
本発明では、(1)工程の前に、下塗材を塗付して下塗被膜を形成することができる。
下塗材としては、例えば、結合材、及び顔料成分を含むものが使用できる。顔料成分としては、着色顔料、体質顔料、骨材等が挙げられる。
結合材としては、各種樹脂が使用できる。樹脂の種類としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。これらは1種または2種以上で使用することができる。結合材の形態としては、例えば、水溶性樹脂、水分散性樹脂(樹脂エマルション)、溶剤可溶形樹脂、無溶剤形樹脂、非水分散形樹脂、粉末樹脂等が挙げられ、この中でも水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂が好ましく、とりわけ水分散性樹脂を含む態様が好適である。水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂の使用により、水性下塗材を得ることができる。また、これら結合材は、架橋反応性を有するもの、架橋反応性を有さないもののいずれであってもよい。結合材として、架橋反応性を有する結合材を使用した場合は、被膜の密着性、耐久性等を高めることができ、割れ、剥れ、膨れ等の不具合発生を防止し、長期にわたり初期の美観性を保つことが可能となる。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、鉄‐マンガン複合酸化物、鉄‐銅‐マンガン複合酸化物、鉄‐クロム複合酸化物、鉄‐クロム‐コバルト複合酸化物、銅‐クロム複合酸化物、銅‐マンガン‐クロム複合酸化物、銅-マグネシウム複合酸化物、ビスマス-マンガン複合酸化物、弁柄、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、アルミニウム顔料、パール顔料等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。着色顔料の平均粒子径は、好ましくは2μm以下、より好ましくは0.01~1μmである。着色顔料の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定される値である。
体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、含水微粉珪酸、タルク、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ粉、水酸化アルミニウム等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。体質顔料の平均粒子径は、好ましくは50μm未満、より好ましくは0.5~45μm、さらに好ましくは1~40μmである。体質顔料の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定される値である。
骨材としては、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、蛍石、寒水石、長石、珪石、珪砂等の粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ、樹脂粉砕物、樹脂ビーズ、金属粒等、あるいは、これらの表面を着色コーティングしたもの等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。骨材の平均粒子径は、好ましくは0.05~3mm、より好ましくは0.06~1mmである。なお、骨材の平均粒子径は、JIS Z8801-1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行い、その重量分布の平均値を算出することによって得られる値である。
下塗材は、顔料成分として、少なくとも体質顔料及び/または骨材を含むものが好ましい。下塗材が体質顔料及び/または骨材を含むことにより、下塗被膜の表面に微細な凹凸構造が付与されやすくなり、本発明の効果発現の点で好適である。また、下塗材が着色顔料を含むことにより、下塗被膜を所望の色調に設定することができ、上塗材の近似色に設定することもできる。
下塗材としては、例えば、顔料体積濃度20%以上の下塗材が使用できる。このような下塗材を用いて下塗被膜を形成することにより、(1)工程での上塗材の塗装作業(塗着ないし塗り広げ)を安定的に効率良く行うことができ、美観性向上化等の点で好適である。このような効果は、下塗被膜の表面に微細な凹凸構造が付与されること等によって奏されるものと考えられる。
下塗材の顔料体積濃度は20%以上とすることができ、好ましくは30~90%、より好ましくは40~80%である。下塗材の顔料体積濃度は、下塗材の乾燥被膜中に含まれる顔料成分の体積百分率であり、下塗材を構成する結合材及び顔料成分の配合量から計算により求められる値である。結合材の比重は1とする。
下塗材は、本発明の効果を著しく損なわない限り、上記以外の成分を含むこともできる。このような成分としては、例えば、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、吸着剤、繊維、撥水剤、親水化剤、架橋剤、カップリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。
下塗材は、上述の結合材、顔料成分、及び必要に応じ上記各成分等を常法により均一に混合することで製造できる。
下塗材の塗装方法としては、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、こて塗り、刷毛塗り等を採用することができる。下塗材の塗付け量は、好ましくは0.05~1kg/m2、より好ましくは0.1~0.5kg/m2である。このような塗付け量の範囲内で、複数回に分けて塗装することも可能である。下塗材の塗装ないし乾燥は、好ましくは常温(0~40℃)で行えばよい。
下塗材の顔料体積濃度が20%以上である場合、その下塗材によって形成される下塗被膜は、艶消し被膜とすることができる。その場合、下塗被膜の鏡面光沢度(測定角度60度)は、好ましくは40以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは6以下である。このような下塗材は、本発明の効果向上化の点で好適である。なお、下塗被膜の鏡面光沢度は、ガラス板の片面に、すき間150μmのフィルムアプリケータを用いて下塗材を塗り、塗面を水平に置いて標準状態下(気温23℃、相対湿度50%)で48時間乾燥後、鏡面光沢度計を用いて幾何角度60度の鏡面光沢度を測定することにより得られる値である。
本発明では、被塗面に対し、必要に応じ上記下塗材の塗装等を行った後、(1)工程として水性上塗材を塗装する。下塗材を用いる場合、水性上塗材の塗装は、下塗材の被膜が乾燥した後に行うことが望ましい。
(1)工程では、上述の水性上塗材を塗付して塗面を形成する。すなわち、(1)工程では、水性上塗材を被塗面に塗着させ、これらを塗り広げることによって塗面を形成する。水性上塗材を被塗面に塗着させる際には、例えば、スプレー、ローラー、コテ、ヘラ等の器具を用いることができる。水性上塗材の塗付け量は、好ましくは0.1~3kg/m2、より好ましくは0.2~2kg/m2、さらに好ましくは0.3~1kg/m2、特に好ましくは0.4~0.9kg/m2である。本発明では、比較的少ない塗付け量で美観性の高い被膜面を形成することができ、被膜の薄膜化、軽量化等を図ることもできる。
水性上塗材を塗り広げる際には、例えば、コテ、ヘラ、ローラー等の器具を用いることができる。このうち、水性上塗材を塗り広げる際に、コテ、ヘラ等を使用した場合は、塗面を均すことで平坦な塗面が得られやすくなる。
本発明では、(1)工程において、コテを用いて塗面を形成することが望ましい。具体的には、少なくとも水性上塗材を塗り広げる際に、コテを用いることが望ましく、水性上塗材を被塗面に塗着させる際及び水性上塗材を塗り広げる際に、コテを用いることがより望ましい。
本発明では、(2)工程において、水性上塗材の塗面に、水及び/又は親水性溶剤(以下単に「水等」ともいう)を供給し、押圧具を用いて当該塗面を均す。この(2)工程は、(1)工程で得られた塗面の一部ないし全体を対象に行うことができ、水等の供給は、少なくとも、押圧具によって均す領域を対象に行えばよい。
塗面に水等を供給するには、例えば、霧吹き等の手段を用いる方法、あるいは、押圧具(例えば、コテ、ヘラ、ローラー等)に水等を付ける方法、等を採用することができる。後者の場合は、塗面に水等を供給する作業と、塗面を均す作業を同時に行うことができる。
塗面に供給する水及び/又は親水性溶剤の種類は、使用する水性上塗材に応じて適宜選定すればよい。親水性溶剤としては、例えば、20℃における水への溶解度が10g/100gH2O超(好ましくは20g/100gH2O以上、より好ましくは∞)である、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等から選ばれる1種以上が使用できる。(2)工程では、水、または、水と親水性溶剤の混合液を好ましく使用することができる。塗面に供給する水等の量は、塗面の乾燥性、美観性等を考慮して適宜設定すればよい。
塗面に水等を供給するタイミングは、(1)工程の後、塗面が乾燥する前までの間であればよい。具体的には、(1)工程の終了後(水性上塗材を塗り広げた後)、30分以内(より好ましくは15分以内)に、塗面に水等を供給することが望ましい。
押圧具としては、例えば、コテ、ヘラ、ローラー等から選ばれる1種以上を使用することができる。押圧具を用いて塗面を均す際には、押圧具で塗面を軽く押える方法等を採用することができる。押圧具を用いて塗面を均す作業は、塗面の一部ないし全体を対象に行うことができる。塗面に残った水等は、適宜除去すればよい。
(3)工程では、上述の方法で得られた塗面を乾燥させる。乾燥温度は、好ましくは0℃以上40℃以下(常温)であり、必要に応じ加温することもできる。乾燥時間は、好ましくは2時間以上である。
以上の方法により、本発明では、自然な質感を備えた美観性に優れた被膜面を容易に得ることができる。また本発明では、形成される被膜面を平坦化することができ、例えば、形成される被膜面の全体を平坦化することができ、被膜面が種々の凹凸模様を有する場合は、その一部を平坦化することもできる。このような水性上塗材被膜の乾燥膜厚は、好ましくは0.03~2mm、より好ましくは0.05~1mm、さらに好ましくは0.1~0.5mmである。
本発明において、上述の効果が奏される理由は、以下に限定されるものではないが、水性上塗材を塗り付けて塗面を形成する際、疎水性溶剤等を含む水性上塗材の特性に基づいて、塗面に供給した水等の被膜内へのしみ込みが抑えられ、これにより、塗面上の水等を活用して、押圧具による均しを効率良く行うことができ、しかも、水等に起因する被膜割れを抑制することができるものと考えられる。本発明では、骨材等の作用によって自然な質感を有する外観が表出されつつ、被膜の平坦化効果や割れ抑制効果等も相俟って、美観性が高められるものと考えられる。
本発明では、上記工程の後、研磨工程、及び/または、クリヤー塗装工程等を行うことができる。
研磨処理は、被膜面の平滑性向上等の目的で行うことができる。研磨処理は、研磨布紙等を用いて公知の方法により行えばよい。研磨布紙の粒度は、所望の平滑度合に応じて適宜選択することができる。2種以上の研磨布紙を使用して処理を行うこともできる。また、研磨処理においては、必要に応じ水等で被膜表面を湿潤させながら研磨を行うこともできる。研磨によって発生した粉は、エアブローやウエス等で除去すればよい。
クリヤー塗装工程は、例えば表面保護、耐候性向上、耐汚染性向上、仕上り性向上等の目的で行うことができる。クリヤー塗装に供する仕上材としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等を結合材とするクリヤー仕上材が挙げられる。クリヤー仕上材は、水系、溶剤系のいずれであってもよく、無色透明、着色透明のいずれであってもよく、また艶有り、艶消し(7分艶、5分艶、3分艶等を含む)のいずれであってもよい。
クリヤー仕上材の塗装方法としては、例えば、刷毛塗り、スプレー塗装、ローラー塗装等種々の方法を採用することができる。塗付け量は、好ましくは0.01~0.5kg/m2、より好ましくは0.03~0.4kg/m2である。このような塗付け量の範囲内で、複数回に分けて塗装することも可能である。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にするが、本発明はこの実施例に限定されない。
上塗材の製造には、以下の原料を用いた。
・骨材A:白色珪砂(平均粒子径150μm)
・骨材B:灰色珪砂(平均粒子径100μm)
・体質顔料A:重質炭酸カルシウム(平均粒子径15μm)
・体質顔料B:重質炭酸カルシウム(平均粒子径28μm)
・体質顔料C:タルク(平均粒子径8μm)
・水性樹脂A:アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、ガラス転移温度30℃)
・水性樹脂B:アルコキシシリル基含有アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、ガラス転移温度22℃)
・疎水性溶剤A:2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート(20℃における水への溶解度0.04g/100gH2O)
・疎水性溶剤B:ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(20℃における水への溶解度5g/100gH2O)
・親水性溶剤A:エチレングリコールモノブチルエーテル(20℃における水への溶解度∞)
・親水性溶剤B:ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(20℃における水への溶解度19g/100gH2O)
・着色顔料A:黒色顔料分散液(カーボンブラック(平均粒子径0.05μm)の20重量%分散液)
・着色顔料B:黄色顔料分散液(黄色酸化鉄(平均粒子径0.5μm)の50重量%分散液)
・着色顔料C:赤色顔料分散液(弁柄(平均粒子径0.2μm)の50重量%分散液)
・着色顔料D:白色顔料分散液(酸化チタン(平均粒子径0.3μm)の60重量%分散液)
・繊維:無機系繊維(平均繊維長0.1mm)
・凍結防止剤:エチレングリコール
・分散剤:ポリカルボン酸系分散剤
・増粘剤:ヒドロキシエチルセルロース3重量%水溶液
・消泡剤:シリコーン系消泡剤
・骨材A:白色珪砂(平均粒子径150μm)
・骨材B:灰色珪砂(平均粒子径100μm)
・体質顔料A:重質炭酸カルシウム(平均粒子径15μm)
・体質顔料B:重質炭酸カルシウム(平均粒子径28μm)
・体質顔料C:タルク(平均粒子径8μm)
・水性樹脂A:アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、ガラス転移温度30℃)
・水性樹脂B:アルコキシシリル基含有アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、ガラス転移温度22℃)
・疎水性溶剤A:2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート(20℃における水への溶解度0.04g/100gH2O)
・疎水性溶剤B:ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(20℃における水への溶解度5g/100gH2O)
・親水性溶剤A:エチレングリコールモノブチルエーテル(20℃における水への溶解度∞)
・親水性溶剤B:ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(20℃における水への溶解度19g/100gH2O)
・着色顔料A:黒色顔料分散液(カーボンブラック(平均粒子径0.05μm)の20重量%分散液)
・着色顔料B:黄色顔料分散液(黄色酸化鉄(平均粒子径0.5μm)の50重量%分散液)
・着色顔料C:赤色顔料分散液(弁柄(平均粒子径0.2μm)の50重量%分散液)
・着色顔料D:白色顔料分散液(酸化チタン(平均粒子径0.3μm)の60重量%分散液)
・繊維:無機系繊維(平均繊維長0.1mm)
・凍結防止剤:エチレングリコール
・分散剤:ポリカルボン酸系分散剤
・増粘剤:ヒドロキシエチルセルロース3重量%水溶液
・消泡剤:シリコーン系消泡剤
(実施例1)
骨材A100重量部に対し、体質顔料A150重量部、水性樹脂A32重量部(固形分換算16重量部)、疎水性溶剤A3重量部、着色顔料A0.03重量部、着色顔料B0.03重量部、着色顔料C0.01重量部、着色顔料D11重量部、繊維3重量部、分散剤1重量部、増粘剤30重量部、水10重量部、消泡剤1重量部、を常法により混合・攪拌することによって上塗材1(淡灰色、粘度48Pa・s)を製造した。
骨材A100重量部に対し、体質顔料A150重量部、水性樹脂A32重量部(固形分換算16重量部)、疎水性溶剤A3重量部、着色顔料A0.03重量部、着色顔料B0.03重量部、着色顔料C0.01重量部、着色顔料D11重量部、繊維3重量部、分散剤1重量部、増粘剤30重量部、水10重量部、消泡剤1重量部、を常法により混合・攪拌することによって上塗材1(淡灰色、粘度48Pa・s)を製造した。
被塗面として、予めシーラー塗装を施したスレート板を用意した。この被塗面上に、淡灰色の下塗材1{アクリル樹脂エマルション(樹脂比重1.0)、酸化チタン(平均粒子径0.3μm、比重4.2)、カーボンブラック(平均粒子径0.05μm、比重1.8)、タルク(平均粒子径8μm、比重2.7)、及び重質炭酸カルシウム(平均粒子径5μm、比重2.6)を主成分とする水性下塗材。顔料体積濃度50%、鏡面光沢度2(測定角度60度)}を塗付け量0.2kg/m2にてウールローラーで塗装し、3時間乾燥させ、下塗被膜を形成した。次いで、この下塗被膜上に、上塗材1をコテで塗着させ、直ちにこれらをコテで塗り広げて均すことにより塗面を形成した(上塗材1の塗付け量0.6kg/m2)。次いで、塗面の表面に、霧吹きで水を吹き付け、再度コテで塗面を均し、その後24時間乾燥させた。以上の方法により、淡灰色の平坦な被膜面(乾燥膜厚0.3mm)が形成された。被膜面に割れ発生は認めらなかった。
(実施例2)
骨材A100重量部に対し、体質顔料A120重量部、水性樹脂A28重量部(固形分換算14重量部)、疎水性溶剤A3重量部、着色顔料A0.2重量部、着色顔料B6重量部、着色顔料C10重量部、着色顔料D6重量部、繊維3重量部、分散剤1重量部、増粘剤30重量部、水10重量部、消泡剤1重量部、を常法により混合・攪拌することによって上塗材2(濃橙色、粘度46Pa・s)を製造した。
骨材A100重量部に対し、体質顔料A120重量部、水性樹脂A28重量部(固形分換算14重量部)、疎水性溶剤A3重量部、着色顔料A0.2重量部、着色顔料B6重量部、着色顔料C10重量部、着色顔料D6重量部、繊維3重量部、分散剤1重量部、増粘剤30重量部、水10重量部、消泡剤1重量部、を常法により混合・攪拌することによって上塗材2(濃橙色、粘度46Pa・s)を製造した。
被塗面として、予めシーラー塗装を施したスレート板を用意した。この被塗面上に、濃橙色の下塗材2{アクリル樹脂エマルション(樹脂比重1.0)、カーボンブラック(平均粒子径0.05μm、比重1.8)、黄色酸化鉄(平均粒子径0.5μm、比重4.0)、弁柄(平均粒子径0.2μm、比重5.0)、酸化チタン(平均粒子径0.3μm、比重4.2)、タルク(平均粒子径8μm、比重2.7)、及びクレー(平均粒子径4μm、比重2.6)を主成分とする水性下塗材。顔料体積濃度58%、鏡面光沢度1.5(測定角度60度)}を塗付け量0.2kg/m2にてウールローラーで塗装し、3時間乾燥させ、下塗被膜を形成した。次いで、この下塗被膜上に、上塗材2をコテで塗着させ、直ちにこれらをコテで塗り広げて均すことにより塗面を形成した(上塗材2の塗付け量0.6kg/m2)。次いで、塗面の表面に、霧吹きで水を吹き付け、再度コテで塗面を均し、その後24時間乾燥させた。以上の方法により、濃橙色の平坦な被膜面(乾燥膜厚0.3mm)が形成された。被膜面に割れ発生は認められなかった。
(実施例3)
骨材A100重量部に対し、体質顔料A210重量部、水性樹脂A35重量部(固形分換算17.5重量部)、疎水性溶剤A3重量部、着色顔料A0.03重量部、着色顔料B0.03重量部、着色顔料C0.01重量部、着色顔料D11重量部、繊維3重量部、分散剤1重量部、増粘剤26重量部、水14重量部、消泡剤1重量部、を常法により混合・攪拌することによって上塗材3(淡灰色、粘度52Pa・s)を製造した。
骨材A100重量部に対し、体質顔料A210重量部、水性樹脂A35重量部(固形分換算17.5重量部)、疎水性溶剤A3重量部、着色顔料A0.03重量部、着色顔料B0.03重量部、着色顔料C0.01重量部、着色顔料D11重量部、繊維3重量部、分散剤1重量部、増粘剤26重量部、水14重量部、消泡剤1重量部、を常法により混合・攪拌することによって上塗材3(淡灰色、粘度52Pa・s)を製造した。
上塗材1に替えて上塗材3を用い、実施例1と同様の方法で被膜面を形成したところ、淡灰色の平坦な被膜面(乾燥膜厚0.3mm)が得られた。被膜面に割れ発生は認められなかった。
(実施例4)
骨材A100重量部に対し、体質顔料A100重量部、水性樹脂A20重量部(固形分換算10重量部)、疎水性溶剤A3重量部、着色顔料A0.03重量部、着色顔料B0.03重量部、着色顔料C0.01重量部、着色顔料D11重量部、繊維3重量部、分散剤1重量部、増粘剤30重量部、水6重量部、消泡剤1重量部、を常法により混合・攪拌することによって上塗材4(淡灰色、粘度46Pa・s)を製造した。
骨材A100重量部に対し、体質顔料A100重量部、水性樹脂A20重量部(固形分換算10重量部)、疎水性溶剤A3重量部、着色顔料A0.03重量部、着色顔料B0.03重量部、着色顔料C0.01重量部、着色顔料D11重量部、繊維3重量部、分散剤1重量部、増粘剤30重量部、水6重量部、消泡剤1重量部、を常法により混合・攪拌することによって上塗材4(淡灰色、粘度46Pa・s)を製造した。
上塗材1に替えて上塗材4を用い、実施例1と同様の方法で被膜面を形成したところ、淡灰色の平坦な被膜面(乾燥膜厚0.3mm)が得られた。被膜面に割れ発生は認められなかった。
(実施例5)
骨材A100重量部に対し、体質顔料A100重量部、体質顔料B70重量部、水性樹脂B38重量部(固形分換算19重量部)、疎水性溶剤B4重量部、着色顔料A0.03重量部、着色顔料B0.03重量部、着色顔料C0.01重量部、着色顔料D11重量部、繊維3重量部、分散剤1重量部、増粘剤30重量部、水6重量部、消泡剤1重量部、を常法により混合・攪拌することによって上塗材5(淡灰色、粘度53Pa・s)を製造した。
骨材A100重量部に対し、体質顔料A100重量部、体質顔料B70重量部、水性樹脂B38重量部(固形分換算19重量部)、疎水性溶剤B4重量部、着色顔料A0.03重量部、着色顔料B0.03重量部、着色顔料C0.01重量部、着色顔料D11重量部、繊維3重量部、分散剤1重量部、増粘剤30重量部、水6重量部、消泡剤1重量部、を常法により混合・攪拌することによって上塗材5(淡灰色、粘度53Pa・s)を製造した。
上塗材1に替えて上塗材5を用い、実施例1と同様の方法で被膜面を形成したところ、淡灰色の平坦な被膜面(乾燥膜厚0.3mm)が得られた。被膜面に割れ発生は認められなかった。
(実施例6)
骨材B100重量部に対し、体質顔料B110重量部、体質顔料C20重量部、水性樹脂A16重量部(固形分換算8重量部)、疎水性溶剤B2重量部、着色顔料B0.1重量部、着色顔料C0.03重量部、着色顔料D38重量部、繊維3重量部、凍結防止剤0.5重量部、分散剤1重量部、増粘剤38重量部、消泡剤1重量部、を常法により混合・攪拌することによって上塗材6(淡灰色、粘度52Pa・s)を製造した。
骨材B100重量部に対し、体質顔料B110重量部、体質顔料C20重量部、水性樹脂A16重量部(固形分換算8重量部)、疎水性溶剤B2重量部、着色顔料B0.1重量部、着色顔料C0.03重量部、着色顔料D38重量部、繊維3重量部、凍結防止剤0.5重量部、分散剤1重量部、増粘剤38重量部、消泡剤1重量部、を常法により混合・攪拌することによって上塗材6(淡灰色、粘度52Pa・s)を製造した。
上塗材1に替えて上塗材6を用い、実施例1と同様の方法で被膜面を形成したところ、淡灰色の平坦な被膜面(乾燥膜厚0.3mm)が得られた。被膜面に割れ発生は認められなかった。
(比較例1)
骨材A100重量部に対し、体質顔料A210重量部、水性樹脂A35重量部(固形分換算17.5重量部)、親水性溶剤A3重量部、着色顔料A0.03重量部、着色顔料B0.03重量部、着色顔料C0.01重量部、着色顔料D11重量部、繊維3重量部、分散剤1重量部、増粘剤26重量部、水14重量部、消泡剤1重量部、を常法により混合・攪拌することによって上塗材7(淡灰色、粘度50Pa・s)を製造した。
骨材A100重量部に対し、体質顔料A210重量部、水性樹脂A35重量部(固形分換算17.5重量部)、親水性溶剤A3重量部、着色顔料A0.03重量部、着色顔料B0.03重量部、着色顔料C0.01重量部、着色顔料D11重量部、繊維3重量部、分散剤1重量部、増粘剤26重量部、水14重量部、消泡剤1重量部、を常法により混合・攪拌することによって上塗材7(淡灰色、粘度50Pa・s)を製造した。
上塗材1に替えて上塗材7を用い、実施例1と同様の方法で被膜面を形成したところ、被膜面に割れ発生が認められた。
(比較例2)
骨材A100重量部に対し、体質顔料A210重量部、水性樹脂A35重量部(固形分換算17.5重量部)、親水性溶剤B3重量部、着色顔料A0.03重量部、着色顔料B0.03重量部、着色顔料C0.01重量部、着色顔料D11重量部、繊維3重量部、分散剤1重量部、増粘剤26重量部、水14重量部、消泡剤1重量部、を常法により混合・攪拌することによって上塗材8(淡灰色、粘度51Pa・s)を製造した。
骨材A100重量部に対し、体質顔料A210重量部、水性樹脂A35重量部(固形分換算17.5重量部)、親水性溶剤B3重量部、着色顔料A0.03重量部、着色顔料B0.03重量部、着色顔料C0.01重量部、着色顔料D11重量部、繊維3重量部、分散剤1重量部、増粘剤26重量部、水14重量部、消泡剤1重量部、を常法により混合・攪拌することによって上塗材8(淡灰色、粘度51Pa・s)を製造した。
上塗材1に替えて上塗材8を用い、実施例1と同様の方法で被膜面を形成したところ、被膜面に割れ発生が認められた。
Claims (4)
- 水性上塗材を用いた被膜形成方法であって、
被塗面に対し、
(1)水性上塗材を塗付して塗面を形成する工程、
(2)当該塗面に水及び/又は親水性溶剤を供給し、押圧具を用いて当該塗面を均す工程、
(3)当該塗面を乾燥させる工程、
を行うものであり、
上記水性上塗材は、骨材100重量部に対し、水性樹脂3~30重量部、及び疎水性溶剤0.1~50重量部を含むものであることを特徴とする被膜形成方法。 - 上記疎水性溶剤は、20℃における水への溶解度が10g/100gH2O以下であることを特徴とする請求項1記載の被膜形成方法。
- 上記(1)工程において、コテを用いて塗面を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の被膜形成方法。
- 上記(2)工程において、コテを用いて塗面を均すことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の被膜形成方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020213541 | 2020-12-23 | ||
JP2020213541 | 2020-12-23 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022100295A true JP2022100295A (ja) | 2022-07-05 |
Family
ID=82269406
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021208508A Pending JP2022100295A (ja) | 2020-12-23 | 2021-12-22 | 被膜形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022100295A (ja) |
-
2021
- 2021-12-22 JP JP2021208508A patent/JP2022100295A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7091144B2 (ja) | 装飾被膜面の形成方法 | |
JP5325735B2 (ja) | 塗膜形成方法 | |
JP4877708B2 (ja) | 模様形成方法 | |
JP5166336B2 (ja) | 塗膜形成方法 | |
JP3285510B2 (ja) | マルチ塗装形漆喰調仕上塗材 | |
JP2022100295A (ja) | 被膜形成方法 | |
JP2022100294A (ja) | 被膜形成方法 | |
JP5215021B2 (ja) | 塗装方法 | |
JP4731824B2 (ja) | 下地調整塗材 | |
JP3285551B2 (ja) | 石材調ローラー塗材組成物 | |
JP4877719B2 (ja) | 模様形成方法 | |
JP2022096648A (ja) | 被膜形成方法、被覆材セット | |
JP2022097160A (ja) | 被膜形成方法 | |
JP2000107679A (ja) | 積層ローラー塗装方法 | |
JP2022131722A (ja) | 被膜積層体及びその形成方法 | |
JP2022131723A (ja) | 被覆材 | |
JP4895494B2 (ja) | 模様面の形成方法 | |
JP4928327B2 (ja) | 外装材 | |
JP6839590B2 (ja) | 被膜形成方法 | |
JP7128325B2 (ja) | 被膜形成方法 | |
JPH0665531A (ja) | 石材調着色仕上げ塗装法 | |
JP7299376B2 (ja) | 装飾被膜面の形成方法 | |
JP7091145B2 (ja) | 装飾被膜面の形成方法 | |
JP4389108B2 (ja) | 塗膜形成方法 | |
JP2004107604A (ja) | 装飾性塗材 |