JP2002174287A - 油圧緩衝器 - Google Patents

油圧緩衝器

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 減衰力特性の設定に融通性があり、減衰力が
急激に大きくならず、構造が簡単でコストダウンを図
れ、圧縮ストローク位置に依存する減衰力が得られる油
圧緩衝器を提供すること。 【解決手段】 シリンダ3内にピストン4を介してピス
トンロッド5を移動自在に挿入し、ピストン4はシリン
ダ3内にロッド側油室6と反ロッド側油室7とを区画
し、二つの油室はピストン4に設けた伸側減衰バルブ9
と圧側チェック弁10を介して連通し、反ロッド側油室
7は圧側減衰バルブ11と伸側チェック弁12とからな
るベースバルブ13を介してリザーバ8に連通し、ピス
トンロッド5が懸架スプリング14を介して常時伸び方
向に付勢されている油圧緩衝器に於て、ピストンロッド
5はピストン近傍の任意の長さの小径部と小径部に連続
する大径部とに成形したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動二輪車,自転
車等の前輪側車軸と車体との間に介装されるフロントフ
ォーク又は後輪車軸と車体との間に介装されるリヤクッ
ションユニット等の使用に適し、特に圧縮作動時のスト
ローク位置に依存して減衰力を変化できる油圧緩衝器に
関する。
【0002】
【従来の技術】自動二輪車のフロントフォークとして使
用される油圧緩衝器としては例えば、実開昭60−20
493号公報、実開昭60−184791号公報、実開
昭52−146461号公報、特開平1−190595
号公報に開示されたものが開発されている。
【0003】実開昭60−20493号公報に示す油圧
緩衝器はダンパー内の圧力変化を利用して減衰力を変化
させるものであり、この油圧緩衝器の懸架ばね特性はコ
イルスプリングと内部の体積変化を補償するエアー室の
気体ばねとの合成特性としている。
【0004】実開昭60−184791号公報に開示さ
れている油圧緩衝器は懸架ばね荷重の変化を利用して減
衰力を変化させるものである。
【0005】実開昭52−146461号公報に開示さ
れている油圧緩衝器は、ストローク位置により減衰力発
生用の絞り流路面積を順次変化させて減衰力を変化させ
るものであり、ストローク位置に対応して確実に減衰力
を変化させることが可能であり、かつ伸圧両方向で位置
依存による減衰力特性が得られる。
【0006】更に特開平1−190595号公報に示す
油圧緩衝器もストローク位置に対応して電気的に減衰力
を変化させるものであり、その為に電気制御システムを
備えている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に示す油圧緩衝器にはそれぞれ次のような不具合があ
り、その改善が望まれている。
【0008】第1に、実開昭60−20493号公報の
油圧緩衝器はダンパー内の圧力変化を利用して減衰力を
変化させ、気体ばねとの合成の特性を得るものであるた
めに圧縮作動に基づくダンパー内の圧力を上昇させる圧
側減衰力発生用の圧側バルブのバルブ特性が気体ばね特
性を変えると変化してしまう。即ち、気体ばね特性とバ
ルブ特性の設定上の融通性がない。伸側減衰力も内圧に
依存して変化させようとすれば圧側バルブのように伸側
バルブも構成しなければならず構造的に複雑となってし
まう不具合がある。
【0009】第2に、実開昭60−184791号に示
す油圧緩衝器では圧縮作動に基づく懸架ばね荷重の上昇
を利用して圧側バルブの減衰力を変化させるようにして
いるため、懸架ばね特性が変わると圧側バルブの減衰力
特性も変わってしまうことになり、懸架ばね特性とバル
ブ特性の設定上の融通性がない。更に伸側減衰力も懸架
ばね荷重に依存して変化させようとすれば伸側バルブも
圧側バルブのように構成しなければならず構造的に複雑
となってしまう。
【0010】第3に、実開昭57−146461号公報
に示す油圧緩衝器はストローク位置に対応して確実に減
衰力を変化させることができ且つ伸圧両方向でストロー
ク位置に応じて減衰力特性を得ることができるが、高速
作動による流量増加で二乗特性の減衰力が急激に大きく
なって車両の乗り心地が悪くなる不具合がある。
【0011】第4に、特開平1−190595号公報に
示す油圧緩衝器も電気制御システムを利用してストロー
ク位置に対応する減衰力を得ることができるが電気制御
システムがどうしても必要となり、コストアップとなっ
てしまう不具合がある。
【0012】そこで、本発明の目的は、減衰力特性の設
定に融通性があり、減衰力が急激に大きくならず、構造
が簡単でコストダウンを図れ、圧縮ストローク位置に依
存する減衰力が得られる油圧緩衝器を提供することであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の手段は、シリンダ内にピストンを介してピ
ストンロッドを移動自在に挿入し、ピストンはシリンダ
内にロッド側油室と反ロッド側油室とを区画し、二つの
油室はピストンに設けた伸側減衰バルブと圧側チェック
弁を介して連通し、反ロッド側油室は圧側減衰バルブと
伸側チェック弁とからなるベースバルブを介してリザー
バに連通し、ピストンロッドが懸架スプリングを介して
常時伸び方向に付勢されている油圧緩衝器に於て、ピス
トンロッドはピストン近傍の任意の長さの小径部と小径
部に連続する大径部とに成形したことを特徴とするもの
である。
【0014】同じく、他の手段は、車体側アウターチュ
ーブ内に車軸側インナーチューブが摺動自在に挿入さ
れ、インナーチューブの底部中央にシリンダを起立し、
シリンダ内にピストンを介してアウターチューブと連動
するピストンロッドを移動自在に挿入し、ピストンはシ
リンダ内にロッド側油室と反ロッド側油室とを区画し、
二つの油室はピストンに設けた伸側減衰バルブと圧側チ
ェック弁を介して連通し、反ロッド側油室は圧側減衰バ
ルブと伸側チェック弁とからなるベースバルブを介して
リザーバに連通し、ピストンロッドとアウターチューブ
とが懸架スプリングを介して常時伸び方向に付勢されて
いる油圧緩衝器に於て、ピストンロッドはピストン近傍
の任意の長さの小径部と小径部に連続する大径部とに成
形したことを特徴とするものである。
【0015】この場合、小径部と大径部とが上方に向け
て拡径する任意の長さの円錐部で連設されているのが好
ましい。
【0016】更に、上記の各手段において、ピストンロ
ッドがピストンとシリンダの端部に設けたシールを介し
て案内され、上記シールが拡径又は縮径可能なバンド又
はリングからなるのが好ましい。
【0017】同じく、ピストンロッドがピストンとシリ
ンダの端部に設けたシールを介して案内され、上記シー
ルが伸縮自在なリップを備えたゴム材からなるものであ
っても良い。
【0018】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図にも
とづいて説明する。
【0019】本実施の形態ではアウターチューブとイン
ナーチューブを備えたフロントフォークについて説明す
るが、このようなアウターチューブとインナーチューブ
を備えないリヤクッションユニットやその他の一般的な
油圧緩衝器にも本発明が適用されることはいうまでもな
い。
【0020】図1は自動二輪車のフロントフオークとし
て適用される油圧緩衝器の一実施の形態を示す。
【0021】この油圧緩衝器は倒立型フロントフォーク
として使用されるものであり、その基本構造は、車体側
アウターチューブ1内に車軸側インナーチューブ2が摺
動自在に挿入され、インナーチューブ2の底部中央にダ
ンパーとしてのシリンダ3を起立し、シリンダ3内にピ
ストン4とシール17とを介してアウターチューブ1と
連動するピストンロッド5を移動自在に挿入し、ピスト
ン4はシリンダ3内にロッド側油室6と反ロッド側油室
7とを区画し、二つの油室6,7はピストン4に設けた
伸側減衰バルブ9と圧側チェック弁10を介して連通
し、反ロッド側油室7は圧側減衰バルブ11と伸側チェ
ック弁12とからなるベースバルブ13を介してリザー
バ8に連通し、ピストンロッド5とアウターチューブ1
とが懸架スプリング14を介して常時伸び方向に付勢さ
れているものである。
【0022】本発明では、更にピストンロッド5はピス
トン4近傍の任意の長さの小径部5aとこの小径部5a
の上方に連続する大径部5bとに成形されている。この
場合、小径部5aと大径部5bとは本実施の形態では勾
配が外側上方に向けて拡径する任意の長さの円錐部5c
を介して滑らかに連続して一体成形されたものである。
但し、小径部5aの上部に大径部5bを直接連設し、大
径部の下端段部外周をテーパにしたり弯曲させたもので
も良い。
【0023】リザーバ8はアウターチューブ1とインナ
ーチューブ2内の上方気体室8aと下方の油室8bとで
構成され、このリザーバ8はシリンダ3の下方に形成し
たポート18を介してベースバルブ13下方の油室19
に接続している。この場合、一般的な油圧緩衝器では油
室19がシリンダ3の外部に配設したリザーバとしての
タンクに接続される。懸架スプリング14はシリンダ3
の上端とアウターチューブ1の上端キャップ20との間
に介装されている。一般的な油圧緩衝器では懸架スプリ
ングはシリンダ3側のシートとピストンロッド15側の
シートとの間に介装される。
【0024】ピストンロッド5はピストン4とシリンダ
3の端部に設けたシール17を介して案内されている
が、シール17は拡径又は縮径可能な金属,ゴム又は合
成樹脂からなるバンド又はリングから構成されている。
このシール17はリップを備えたものでも良く、例え
ば、ピストンロッド5がピストン4とシリンダ3の端部
に設けたシール17を介して案内され、このシール17
を撓み自在なリップを備えたゴム材から成形し、ピスト
ンロッド5の表面に追従して拡径又は縮径するようにす
ればリップも追従して作動油の洩れを防止できる。
【0025】上記の油圧緩衝器が自動二輪車の倒立型の
フロントフォークとして使用される場合には、アウター
チューブ1が車体側に結合され、インナーチューブ2が
前輪側車軸に結合される。
【0026】他方、アウターチューブ1とインナーチュ
ーブ2を備えない一般的な油圧緩衝器として使用される
場合は、ピストンロッド5が車体側に結合され、シリン
ダ3が車軸側に結合される。
【0027】次に作動について述べる。
【0028】伸長作動時にはピストンロッド5とアウタ
ーチューブ1が上昇し、この時高圧となるロッド側油室
6の油が伸側減衰バルブ9を介して反ロッド側油室7に
流出し、伸側減衰バルブ9による伸側減衰力を発生す
る。ピストンロッド5の退出体積分の油はリザーバ8よ
りポート18−油室19−伸側チェック弁12を介して
反ロッド側油室7に導入される。他方圧縮作動時には懸
架スプリング14に抗してピストンロッド5とアウター
チューブ1が下降し、高圧となる反ロッド側油室7の油
が圧側チェック弁10を介してロッド側油室6に流出
し、ピストンロッド5の侵入量体積分の油が圧側減衰バ
ルブ11より油室19、ポート18を介してリザーバ8
に流出し、圧側減衰バルブ11による圧側減衰力が発生
する。ピストンロッド5の圧縮作動が途中まで進むと円
錐部5cがシリンダ3内に侵入し、更に大径部5bがシ
ール17を拡径しながらシリンダ3内に侵入する。この
為ロッド径が円錐部5cと大径部5bに対応して大きく
変化した分だけロッド侵入体積分が増加するから圧側減
衰バルブ11を通過する流量が増えて減衰力が大きくな
る。
【0029】この場合、図示のような円錐部5cを介し
て連設することによりピストンロッド5が滑らかにシー
ル17を通過し減衰力の変化も滑らかで不快感を与えな
い。更に円錐部5cを長く設定すればピストンロッド5
の侵入ストロークに応じて圧側減衰力が徐々に大きくな
り、ストローク位置に依存して減衰力を大きくできる。
従って圧縮作動のストローク後半で、いいかえれば最圧
縮時近傍で圧側減衰力を大きくできるので底突き現象を
抑制できる。更に最圧縮状態から伸長作動に切換った時
はピストンロッド5の外径が小さくなるので伸側減衰力
は小さく復帰が速く、繰り返し入力作用があっても吸収
能力が高い。
【0030】図2は、本発明の他の実施の形態を示し、
これは自動二輪車のリャクッションユニットとして使用
するものである。
【0031】リヤクッションユニットは緩衝器本体A
と、これに連通するリザーバたるタンクBとからなって
いる。
【0032】緩衝器本体Aは、図1の場合と同じく、シ
リンダ23内にピストン24を介してピストンロッド2
5を移動自在に挿入し、ピストン24はシリンダ23内
にロッド側油室26と反ロッド側油室27とを区画し、
二つの油室26,27はピストン24に設けた第1の伸
側バルブ28と第1の圧側バルブ29を介して連通し、
反ロッド側油室27は隔壁30に設けた第2の伸側バル
ブ31と第2の圧側バルブ32を介して気体室33と油
室34からなるタンクBに連通し、ピストンロッド25
がスプリングシート37間に介装された懸架スプリング
35を介して常時伸び方向に付勢されているものであ
る。
【0033】図1の実施の形態と同じく、ピストンロッ
ド25はピストン24近傍の小径部25aと円錐部25
cと大径部25bとに成形され、ピストン24とシール
38を介してシリンダ23内に移動自在に挿入されてい
る。
【0034】ピストンロッド25の伸縮作動とその作用
効果は、図1の実施の形態の場合と同じであるので詳細
は省略する。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、次の効果がある。
【0036】(1) 各請求項1,2の発明によれば、ピス
トンロッドをピストン近傍の任意の長さの小径部と小径
部に連続する大径部とに成形したので圧縮作動の途中か
ら大径部がシリンダ内に侵入した時ロッド径が大きく変
化した分だけ圧側減衰バルブの通過流量が増えて圧側減
衰力を大きくできる。いいかえればピストンロッドの圧
縮ストロークの位置に依存して減衰力を高くできる。
【0037】(2) 請求項3の発明によれば、円錐部を介
してピストンロッドのロッド径が円錐状外周面に沿って
徐々に大きくなるように変化するから圧側減衰力が滑ら
かに変化し、圧縮作動途中で圧側減衰力が変化してもラ
イダーに違和感や不快感を与えない。
【0038】(3) 請求項1,2,3の発明によれば、ピ
ストンロッドの外径を変化しているだけであり、バルブ
機構に特別な構造を付加していないので全体の構造が簡
単であり、部品点数が少なく、安価で、加工性,組付性
の向上も図れる。
【0039】(4) 同じく、気体ばね特性や懸架ばね特性
に関係なく位置に依存する減衰力が得られるからバルブ
特性に融通性がある。
【0040】(5) 請求項4,5の発明によれば、シール
はピストンロッドの侵入,退出時のロッド径変化に対応
して拡径,縮径するので常にピストンロッドの外周面に
摺接でき、シリンダ内の作動油が外部に漏れるのが防止
できる。
【0041】(6) 請求項5の発明によれば、シールのリ
ップがピストンロッドの外径変化に対応して同心状に拡
径又は縮径するので作動油の外部への漏れをより確実に
行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る油圧緩衝器の略示
縦断正面図である。
【図2】他の実施の形態に係る油圧緩衝器の略示縦断面
図である。
【符号の説明】
1 車体側アウターチューブ 2 車軸側インナーチューブ 3,23 シリンダ 4,24 ピストン 5,25 ピストンロッド 5a,25a 小径部 5b,25b 大径部 5c,25c 円錐部 6,26 ロッド側油室 7,27 反ロッド側油室 8 リザーバ 9,28 伸側減衰バルブ 10,29 圧側チェック弁 11,31 圧側減衰バルブ 12,32 伸側チェック弁 13 ベースバルブ 14,35 懸架スプリング 17 シール

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ内にピストンを介してピストン
    ロッドを移動自在に挿入し、ピストンはシリンダ内にロ
    ッド側油室と反ロッド側油室とを区画し、二つの油室は
    ピストンに設けた伸側減衰バルブと圧側チェック弁を介
    して連通し、反ロッド側油室は圧側減衰バルブと伸側チ
    ェック弁とからなるベースバルブを介してリザーバに連
    通し、ピストンロッドが懸架スプリングを介して常時伸
    び方向に付勢されている油圧緩衝器に於て、ピストンロ
    ッドはピストン近傍の任意の長さの小径部と小径部に連
    続する大径部とに成形したことを特徴とする油圧緩衝
    器。
  2. 【請求項2】 車体側アウターチューブ内に車軸側イン
    ナーチューブが摺動自在に挿入され、インナーチューブ
    の底部中央にシリンダを起立し、シリンダ内にピストン
    を介してアウターチューブと連動するピストンロッドを
    移動自在に挿入し、ピストンはシリンダ内にロッド側油
    室と反ロッド側油室とを区画し、二つの油室はピストン
    に設けた伸側減衰バルブと圧側チェック弁を介して連通
    し、反ロッド側油室は圧側減衰バルブと伸側チェック弁
    とからなるベースバルブを介してリザーバに連通し、ピ
    ストンロッドとアウターチューブとが懸架スプリングを
    介して常時伸び方向に付勢されている油圧緩衝器に於
    て、ピストンロッドはピストン近傍の任意の長さの小径
    部と小径部に連続する大径部とに成形したことを特徴と
    する油圧緩衝器。
  3. 【請求項3】 小径部と大径部とが上方に向けて拡径す
    る任意の長さの円錐部で連設されている請求項1又は2
    の油圧緩衝器。
  4. 【請求項4】 ピストンロッドがピストンとシリンダの
    端部に設けたシールを介して案内され、上記シールが拡
    径又は縮径可能なバンド又はリングからなる請求項1,
    2又は3の油圧緩衝器。
  5. 【請求項5】 ピストンロッドがピストンとシリンダの
    端部に設けたシールを介して案内され、上記シールが伸
    縮自在なリップを備えたゴム材からなる請求項1,2又
    は3の油圧緩衝器。
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