JP2002171044A - 配線基板 - Google Patents

配線基板

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JP2002171044A JP2000363776A JP2000363776A JP2002171044A JP 2002171044 A JP2002171044 A JP 2002171044A JP 2000363776 A JP2000363776 A JP 2000363776A JP 2000363776 A JP2000363776 A JP 2000363776A JP 2002171044 A JP2002171044 A JP 2002171044A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】表面配線層と絶縁基体との間に形成される隙間
から水分が入り込み表面配線層と内部配線層の接続界面
に腐食が発生する。 【解決手段】絶縁基体1の表面および内部に、タングス
テンおよび/またはモリブデンと銅とから成る表面配線
層2および内部配線層3を形成するとともに表面配線層
2と内部配線層3とを接続させて成る配線基板5であっ
て、前記表面配線層2と内部配線層3の接続界面にタン
グステンおよび/またはモリブデンと鉄族金属とから成
る中間層6を配した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低抵抗導体から成
る表面配線層および内部配線層を具備する配線基板に関
するものである。
【0002】
【従来技術】従来、半導体素子等が搭載される配線基板
は、一般にアルミナセラミックスを絶縁基体とし、その
少なくとも表面にタングステンやモリブデンなどの高融
点金属からなる配線層を被着形成したセラミック配線基
板が多用されている。ところが、従来から多用されてい
るセラミック配線基板は配線層がタングステン等の高融
点金属で形成されており、該高融点金属は電気抵抗率が
高い(電気抵抗率(20℃)で、タングステン:5.5
×10-6Ω・cm、モリブデン:5.7×10 -6Ω・c
m)ことから配線層を、半導体素子等の演算速度の高速
化等に対応して十分に低抵抗とすることができないとい
う欠点があった。
【0003】そこで、この従来の欠点を解決する方法と
して、本出願人は先に酸化アルミニウムを主成分とする
相対密度が95%以上のセラミックスから成る絶縁基体
と、該絶縁基体の表面および/または内部に銅を10〜
70体積%、タングステンおよび/またはモリブデンを
30〜90体積%の割合で含有したメタライズ層(配線
層)を具備する配線基板およびその製造方法を提案した
(特開2000−188453号参照)。
【0004】この配線基板によれば、メタライズ層(配
線層)が低抵抗の銅を含有するため配線層を形成する導
体の電気抵抗を低く(電気抵抗率(20℃)で約3〜5
×10−6Ω・cm)することができ、また絶縁基体が
酸化アルミニウム質焼結体等から成り、かつ相対密度が
高く緻密であるため熱伝導性を高くすることもできる。
【0005】このような配線基板は、例えば、酸化アル
ミニウムを主成分とし、酸化マンガン(MnO2)を
2.0〜6.0重量%の割合で含有するセラミック成分
をシート状に成形して得た複数枚のセラミックグリーン
シートの表面に、銅粉末を10〜70体積%、平均粒径
が1〜10μmのタングステンおよび/またはモリブデ
ンを30〜90体積%の割合で含有してなる導体ペース
トを印刷塗布し、このセラミックグリーンシートを上下
に積層するとともに、非酸化性雰囲気中で1200〜1
500℃の温度で焼成することによって製作される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記配
線基板は、配線層を低抵抗とすることができるものの配
線層の主成分である銅の融点以上の温度で焼成されるこ
とから銅粉末同士が融着し、銅粉末の絶縁基体に対する
焼結一体化が不十分なものとなり、配線層の絶縁基体に
対する接着強度が低いものであった。そのためこの配線
基板では配線層に外力等が印加されると該外力等によっ
て絶縁基体表面の配線層と絶縁基体との間に隙間が生
じ、この隙間に大気中に含まれる水分が入り込むととも
に該入り込んだ水分等によって絶縁基体内部の配線層と
表面の配線層との接続界面から配線層内部にかけて酸
化、腐食が発生してしまい、表面配線層と内部配線層と
の接続が不良となったり、腐食溶出した金属成分により
隣接する配線層間が電気的短絡したりするという欠点を
有していた。
【0007】本発明は、上記欠点に鑑み案出されたもの
で、その目的は絶縁基体に形成した配線層を低抵抗と
し、かつ内部配線層と表面配線層との電気的接続および
各配線層間の電気的な絶縁を長期にわたって維持するこ
とが可能な長期信頼性に優れた配線基板を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の配線基板は、絶
縁基体の表面および内部に、タングステンおよび/また
はモリブデンと銅とから成る表面配線層および内部配線
層を形成するとともに表面配線層と内部配線層とを接続
させて成る配線基板であって、前記表面配線層と内部配
線層の接続界面にタングステンおよび/またはモリブデ
ンと鉄族金属とから成る中間層を配したことを特徴とす
るものである。
【0009】また本発明の配線基板は、前記中間層の厚
みが10μm乃至25μmであることを特徴とするもの
である。
【0010】本発明の配線基板によれば、表面配線層お
よび内部配線層がタングステンおよび/またはモリブデ
ンと銅とから成り、低抵抗の銅(電気抵抗率(20℃)
で1.7×10-6Ω・c)を含有することから、半導体
素子の演算速度の高速化に対応して各配線層を低抵抗と
することができ、配線層を伝播する信号の損失を低減
し、半導体素子を正常に作動させることができる。
【0011】また本発明の配線基板によれば、タングス
テンおよび/またはモリブデンと銅とから成る表面配線
層と内部配線層との接続界面に絶縁基体に対し強固に接
合しているタングステンおよび/またはモリブデンと鉄
族金属とから成る中間層を配したことから表面配線層と
絶縁基体との間に隙間が生じ、この隙間から水分が入り
込んだとしても表面配線層と内部配線層との接続界面お
よび内部配線層内に水分が接触作用することはなく、そ
の結果、表面配線層と内部配線層との接続界面からの腐
食を効果的に防止できて表面配線層と内部配線層との接
続信頼性を良好とし、かつ隣接する配線層間の電気的絶
縁を確実として長期信頼性に優れたものとなすことがで
きる。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の配線基板の一実施
例について、添付の図面を基に説明する。図1は、本発
明の配線基板を半導体素子搭載用の配線基板に用いた場
合の一実施例を示し、1は絶縁基体、2は表面配線層、
3は内部配線層であり、これらの絶縁基体1、表面配線
層2及び内部配線層3により半導体素子4を搭載する配
線基板5が形成される。
【0013】本発明によれば、図2に拡大図で示す如
く、表面配線層2と内部配線層3を、タングステンおよ
び/またはモリブデンと銅との複合材料を主成分とする
導体によって形成するとともに、この表面配線層2と内
部配線層3との接続界面にタングステンおよび/または
モリブデンと鉄族金属とを主成分とする中間層6を配し
たものである。この実施例において、表面配線層2、内
部配線層3および中間層6は絶縁基体1と同時焼成によ
り形成されたものである。 (絶縁基体)本発明において、絶縁基体1は半導体素子
4を搭載、支持する基体として作用し、酸化アルミニウ
ム質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、炭化珪素質焼
結体等のセラミック焼結体により形成され上面に半導体
素子4が搭載される。
【0014】また前記絶縁基体1は、その熱伝導性およ
び機械的強度を良好とする上では、相対密度95%以上
の高緻密体から構成されるものであることが望ましい。
【0015】更に本発明では、前記絶縁基体1は、表面
配線層2および内部配線層3との同時焼成による保形性
を達成する上では、1200℃乃至1500℃の低温で
焼成することが必要となるが、本発明によれば、このよ
うな低温での焼成においても相対密度95%以上に緻密
化することが望ましい。
【0016】かかる観点から、本発明における絶縁基体
1は、例えば、酸化アルミニウムを主成分とするもの、
具体的には酸化アルミニウムを90重量%以上の割合で
含有するものが好適に使用され、第2の成分として、M
n化合物をMnO2換算で2.0乃至6.0重量%の割
合で含有するものが望ましい。即ち、マンガン化合物が
2.0重量%よりも少ないと、1200℃乃至1500
℃での緻密化が達成されにくく、また6.0重量%より
も多いと絶縁基体1の絶縁性が低下する。マンガン化合
物の最適な範囲はMnO2換算で3乃至7重量%であ
る。
【0017】また、この絶縁基体1中には、第3の成分
として、SiO2およびMgO、CaO、SrO等のア
ルカリ土類元素酸化物を低温焼結性を高めるために合計
で0.4乃至8重量%の割合で含有せしめることが望ま
しい。
【0018】さらに、この絶縁基体1中には、着色成分
や誘電率などの誘電特性の向上のためにW、Mo、Cr
などの金属を着色成分とし2重量%以下の割合で含んで
もよい。
【0019】上記酸化アルミニウム以外の成分は、酸化
アルミニウム主結晶相の粒界に非晶質相あるいは結晶相
として存在するが、熱伝導性を高める上で粒界中に助剤
成分を含有する結晶相が形成されていることが望まし
い。
【0020】また前記絶縁基体1を酸化アルミニウムを
主成分として形成した場合、酸化アルミニウム主結晶相
は、粒状または柱状の結晶として存在するが、これら主
結晶相の平均結晶粒径は、1.5乃至5.0μmである
ことが望ましい。
【0021】なお、主結晶相が柱状結晶からなる場合、
上記平均結晶粒径は、短軸径に基づくものである。この
主結晶相の平均結晶粒径が1.5μmよりも小さいと、
高熱伝導化が難しく、平均粒径が5.0μmよりも大き
いと基板材料として用いる場合に要求される十分な強度
が得られにくくなるためである。
【0022】このような絶縁基体1は、例えば、酸化ア
ルミニウムを主成分とする原料粉末に有機バインダーや
溶媒を添加してスラリー(泥漿状物)となすとともに、
これをドクターブレード法等でシート状に成形して得た
セラミックグリーンシートを非酸化性雰囲気中、120
0℃〜1500℃の温度で焼成することにより形成され
る。 (配線層)表面配線層2は、絶縁基体1表面に所定のパ
ターンに形成されており、配線基板5に搭載された半導
体素子4の電極を接続させる電極パッドとして作用する
とともに、この半導体素子4の電極を内部配線層3に接
続する導電路として作用する。また内部配線層3は絶縁
基体1の内部から表面にかけて形成された貫通導体3a
や絶縁基体1内部に所定の回路状パターンに形成された
内層導体3b等から成るとともに、貫通導体3aの端面
部で表面配線層2と電気的に接続しており、半導体素子
4の電極を外部に導出する導電路として作用する。
【0023】前記表面配線層2および内部配線層3は、
予め絶縁基体1となるセラミックグリーンシートに内部
導体層3の一部となる貫通孔を、レーザー加工法やパン
チング加工法等で形成しておくとともに、タングステン
および/またはモリブデン粉末と、銅粉末とを所定の割
合で有機溶剤、バインダーとともに混練してなる導電ペ
ーストを前記セラミックグリーンシートの表面および貫
通孔内にスクリーン印刷法等により印刷充填することに
より形成することができる。
【0024】前記表面配線層2および内部配線層3は、
銅を10乃至70体積%、タングステン及び/またはモ
リブデンを30乃至90体積%の割合で含有することが
望ましい。これは、表面配線層2および内部配線層3の
低抵抗化と、上記絶縁基体1との同時焼結性を達成する
とともに、特に表面配線層2の同時焼成時の保形成を維
持するためであり、上記銅量が10体積%よりも少な
く、タングステンやモリブデン量が90体積%よりも多
いと、表面配線層2および内部配線層3を形成する導体
の抵抗が高く(電気抵抗率で約5.5×10-6Ω・cm
以上)なる。また銅量が70体積%よりも多く、タング
ステンやモリブデン量が30体積%よりも少ないと、特
に表面配線層2の同時焼成時の保形成が低下し、表面配
線層2においてにじみが発生したり、溶融した銅によっ
て表面配線層2が凝集して断線が生じるとともに、絶縁
基体1と表面配線層2および内部配線層3との熱膨張系
数差により表面配線層2および内部配線層3の剥離が発
生するためである。最適な組成範囲は、銅を40乃至6
0体積%、タングステンおよび/またはモリブデンを6
0乃至40体積%である。
【0025】また、本発明においては、表面配線層2お
よび内部配線層3中におけるタングステンおよび/また
はモリブデンは、平均粒径1乃至10μmの球状あるい
は数個の粒子による焼結粒子として銅からなるマトリッ
クス中に分散含有していることが望ましい。これは、上
記平均粒径が、1μmよりも小さい場合、表面配線層2
の保形性が悪くなるとともに組織が多孔質化し、表面配
線層2および内部配線層3の抵抗も高くなり、10μm
を越えると銅のマトリックスがタングステンやモリブデ
ンの粒子によって分断されてしまい表面配線層2および
内部配線層3の抵抗が高くなったり、銅成分が分離して
にじみなどが発生するためである。タングステンおよび
/またはモリブデンは平均粒径1.3乃至5μm、特に
1.3乃至3μmの大きさで分散されていることが最も
望ましい。
【0026】また、上記表面配線層2および内部配線層
3中には、絶縁基体1との密着性を改善するために、ア
ルミナ、または絶縁基体1と同じ成分のセラミックスを
0.05乃至2体積%の割合で含有させることも可能で
ある。
【0027】さらに、本発明の配線基板5においては、
銅を含有する表面配線層2および内部配線層3を銅の融
点を越える温度で絶縁基体1と同時焼成することによ
り、表面配線層2および内部配線層3中の銅成分が絶縁
基体1中に拡散する場合があるが、本発明によれば、上
記少なくとも銅を含む表面配線層2および内部配線層3
の周囲のセラミックスへの銅の拡散距離が20μm以
下、特に10μm以下であることが望ましい。これは、
銅のセラミックス中への拡散距離が20μmを越える
と、電気回路形成時に表面配線層2間や内部配線層3間
の絶縁性が低下し電気回路の信頼性が低下するためであ
る。
【0028】この銅の拡散距離を20μm以下とするこ
とにより、表面配線層2および内部配線層3のうち、同
一平面内に形成された各配線層間の最小線間距離を10
0μm以下、特に90μm以下の高密度化を図ることが
できる。
【0029】なお、前記表面配線層2は、その露出表面
をニッケル、銅、金等のめっき金属層で被覆するように
しておくと、表面配線層2の酸化腐食を防止することが
できるとともに、表面配線層2に対するボンディングワ
イヤのボンディング性やハンダ濡れ性等を良好とするこ
とができ、また同時に表面配線層2のより一層の低抵抗
化を図ることができる。従って、前記表面配線層2は、
その露出表面をニッケル、銅、金等のめっき金属層(非
図示)で被覆しておくことが好ましく、例えば、ニッケ
ルまたは銅めっき層を1〜10μm、金めっき層を0.
3〜3μmの厚みで、順次被着させるようにしておくこ
とが好ましい。 (中間層)本発明の配線基板によれば、表面配線層2と
内部配線層3との接続界面に、タングステンおよび/ま
たはモリブデンと鉄族金属から成る中間層6を配するこ
とが重要である。
【0030】これは、絶縁基体1に対する接着強度の低
い表面配線層2と絶縁基体1との間に生じる隙間から大
気中に含まれる水分が入り込み、該入り込んだ水分が表
面配線層2と内部配線層3との接続界面および内部配線
層3内に接触作用するのを阻止するためである。
【0031】前記タングステンおよび/またはモリブデ
ンと鉄族金属から成る中間層6は絶縁基体1に対する接
着強度に優れることからこの中間層6と絶縁基体1との
間に水分が侵入するような隙間を生じることはほとんど
なく、表面配線層2と絶縁基体1との間に形成された隙
間に水分が入り込み、該入り込んだ水分が表面配線層2
と内部配線層3との接続界面および内部配線層3内に接
触作用しようとしてもその接触作用は前記中間層6によ
って効果的に阻止され、これによって表面配線層2と内
部配線層3との接続信頼性が極めて良好となるとともに
隣接する内部配線層3間の電気的絶縁が確実となり、配
線基板5の長期信頼性を優れたものとなすことができ
る。
【0032】なお、前記中間層6は、その厚みが10μ
m未満では効果的に水分の侵入を阻止することが困難と
なり、25μmを越えるとこの中間層6が介在すること
に伴う表面配線層2の突出高さが大きくなり、半導体素
子4の電極を後述するボンディングワイヤ等で接続する
ときの接続性等、配線基板としての特性が劣化するおそ
れがある。従って、前記中間層6は、その厚みを10μ
m乃至25μmの範囲としておくことが好ましい。
【0033】また前記中間層6は、配線基板5を上面視
したときに、その外周縁が、内部配線層3の貫通導体3
aの外周縁から少なくとも25μm以上の範囲を被覆す
るようにして形成しておくと、水分の内部配線層3内へ
の入り込みをより一層良好に阻止することができ、配線
基板の信頼性をより一層優れたものとすることができ
る。従って、前記中間層6は、配線基板5を上面視した
ときに、その外周縁が、内部配線層3の貫通導体3aの
外周縁から25μm以上の範囲を被覆するようにして形
成しておくことが好ましく、中間層6が表面配線層2と
内部配線層3との間に介在することにともなう電気抵抗
の増加を極力低くすることを考慮すれば、25μm〜1
00μmの範囲とすることがより一層好ましい。
【0034】なお、前記中間層6を表面配線層2および
内部配線層3と同時焼成によって形成する場合、その焼
成温度が1200〜1500℃の低温で焼成する必要が
ある。そのため本発明ではこれを達成するため中間層6
を、タングステンおよび/またはモリブデンに、鉄族金
属を含有せしめている。
【0035】前記中間層6を、タングステンおよび/ま
たはモリブデンに、鉄族金属を含有せしめて形成すると
低温での焼成性を高めて絶縁基体1と同時焼成によっ
て、また絶縁基体1に対し密着強度を強固として形成す
ることができる。
【0036】前記中間層6は鉄族金属の量が酸化物換算
で0.1体積%未満の場合には中間層6の緻密化が進行
せず焼結不良になって絶縁基体1との接着強度が低下す
る。逆に、5体積%を越える場合には、タングステン、
モリブデンの粒子が異常粒成長し絶縁基体1との接着強
度が低下する。従って、上記鉄族金属の量は、酸化物換
算で0.1乃至5体積%、好適には0.5乃至2体積%
としておくことが望ましい。
【0037】なお、上記中間層6中の鉄族金属として
は、鉄、ニッケル、コバルトが挙げられるがこれらの中
でもニッケルが最も望ましい。 また酸化物換算量は、
鉄(Fe)はFe23、ニッケル(Ni)はNiO、コ
バルト(Co)はCo34の形態で換算した量である。
【0038】更に、この中間層6中には、酸化アルミニ
ウム等を主成分とする絶縁基体1との接着強度を高める
ために、酸化アルミニウム等の絶縁基体1と同種のセラ
ミック粉末を添加することも有効である。しかし、その
含有量が45体積%よりも多いと焼結不良を招くおそれ
がある。従って、中間層6に酸化アルミニウムを添加す
る場合、その含有量は特に2乃至35体積%が望まし
い。 (製造方法)次に、上記配線基板5の製造方法の一例
を、絶縁基体1が酸化アルミニウム質焼結体から成る場
合について具体的に説明する。
【0039】まず、絶縁基体1を形成するために、セラ
ミックス焼結体の主成分となる酸化アルミニウム原料粉
末として、平均粒径が0.5μm乃至2.5μm、特に
0.5μm乃至2.0μmの粉末を用いる。これは、平
均粒径は0.5μmよりも小さいと、粉末の取扱いが難
しく、また粉末のコストが高くなり、2.5μmよりも
大きいと、1500℃以下の温度で焼成することが難し
くなるためである。
【0040】そして、上記酸化アルミニウム粉末に対し
て、第2の成分として、MnO2を2.0乃至8.0重
量%、特に3.0乃至7.0重量%の割合で添加する。
また適宜、第3の成分として、SiO2.MgO、Ca
O、SrO2粉末等を0.4乃至8重量%、第4の成分
として、W、Mo、Crなどの遷移金属の金属粉末や酸
化物粉末を着色成分として金属換算で2重量%以下の割
合で添加する。
【0041】なお、上記酸化物の添加にあたっては、酸
化物粉末以外に、焼成によって酸化物を形成し得る炭酸
塩、硝酸塩、酢酸塩などとして添加してもよい。
【0042】そして次に、この混合粉末を用いて絶縁基
体1を形成するためのセラミックグリーンシートを複数
枚作製する。セラミックグリーンシートは、周知の成形
方法によって作製することができる。例えば、上記混合
粉末に有機バインダーや溶媒を添加してスラリーを調整
した後、ドクターブレード法によって形成したり、混合
粉末に有機バインダーを加え、プレス成形、圧延成形等
により所定の厚みのセラミックグリーンシートを作製で
きる。
【0043】また、前記セラミックグリーンシートに
は、後の工程で導体ペーストが充填され内部配線層3の
一部となる貫通孔を、レーザー加工法や機械的打抜き加
工法等により形成しておく。
【0044】このようにして作製したセラミックグリー
ンシートに対して、まず、内部配線層3となる導体成分
として、平均粒径が1乃至10μmの銅粉末を10乃至
70体積%、特に40乃至60体積%、平均粒径が1乃
至10μmのタングステンおよび/またはモリブデン粉
末を30乃至90体積%、特に40乃至60体積%の割
合で添加してなる固形成分に対して有機バインダーや溶
剤を添加混合することにより作製した導体ペーストを調
整し、このペーストを前記セラミックグリーンシートの
内層となる表面および貫通孔内にスクリーン印刷、グラ
ビア印刷等の手法によって印刷塗布する。
【0045】なお、前記導体ペースト中には、絶縁基体
1との密着性を高めるために、酸化アルミニウム粉末
や、絶縁層を形成する酸化物セラミックス成分と同一の
組成物粉末を0.05〜2体積%の割合で添加すること
も可能である。
【0046】次に、中間層6となる導体ペーストを、積
層したときに最表層となるセラミックグリーンシートの
表面に、上記導体ペーストが充填された貫通孔の上端面
を完全に覆うようにして印刷塗布する。
【0047】なお、前記中間層6となる導体ペースト
は、例えば、平均粒径が0.5〜5μmのタングステン
および/またはモリブデンに、酸化ニッケル等の鉄族金
属の酸化物粉末を0.1〜5体積%、アルミナ粉末を0
〜45体積%の割合で含有する固形成分に対して、有機
バインダーや溶剤を添加混合することにより作製され
る。
【0048】その後、積層したときに最表層となるセラ
ミックグリーンシートの表面に、表面配線層2となる導
体ペーストをスクリーン印刷法、グラビア印刷法等によ
り印刷塗布する。この表面配線層2となる導体ペースト
は、上記内部配線層3となる導体ペーストと同様の導体
ペーストを用いることができる。
【0049】そして最後に、表面配線層2、内部配線層
3、中間層6となる導体ペーストを印刷塗布したセラミ
ックグリーンシートを位置合わせして積層圧着した後、
この積層体を、非酸化性雰囲気中、焼成最高温度が12
00〜1500℃の温度となる条件で焼成する。
【0050】このときの焼成温度が1200℃より低い
と、通常の原料を用いた場合において、酸化アルミニウ
ム質焼結体から成る絶縁基体が相対密度95%以上まで
緻密化できず、熱伝導性や強度が低下し、1500℃よ
りも高いと、表面配線層2および内部配線層3におい
て、タングステンあるいはモリブデン自体の焼結が進
み、銅との均一組織を維持できなく、ひいては低抵抗を
維持することが困難となりシート抵抗が高くなってしま
う。また、酸化物セラミックスの主結晶相の粒径が大き
くなり異常粒成長が発生したり、銅がセラミックス中へ
拡散するときのパスである粒界の長さが短くなるととも
に拡散速度も速くなる結果、拡散距離を30μm以下に
制御することが困難となるためである。好適には135
0〜1450℃の範囲がよい。
【0051】また、この焼成時の非酸化性雰囲気として
は、窒素、あるいは窒素と水素との混合雰囲気であるこ
とが望ましいが、特に、配線層中の銅の拡散を抑制する
上では、水素および窒素を含み露点+10℃以下、特に
−10℃以下の非酸化性雰囲気であることが望ましい。
なお、この雰囲気には所望により、アルゴンガス等の不
活性ガスを混入してもよい。焼成時の露点が+10℃よ
り高いと、焼成中に酸化物セラミックスと雰囲気中の水
分とが反応し酸化膜を形成し、この酸化膜と銅含有導体
の銅が反応してしまい、導体の低抵抗化の妨げとなるの
みでなく、銅の拡散を助長してしまうためである。
【0052】さらにまた、上記のように焼成温度および
雰囲気を制御して焼成することによって、絶縁基体1の
表面の算術平均粗さRaを1μm以下、特に0.7μm
以下の平滑性に優れた表面を形成できる。
【0053】かくして本発明の配線基板によれば、絶縁
基体1の上面に半導体素子4を搭載するとともに半導体
素子4の各電極を表面配線層2にボンディングワイヤ7
を介して電気的に接続し、しかる後、必要に応じて前記
半導体素子4を金属やセラミックスから成る椀状の蓋体
や封止樹脂(不図示)等を用いて気密封止することによ
って製品としての半導体装置が完成する。
【0054】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種
々の変更は可能であり、例えば、上記実施例では、本発
明の配線基板を半導体素子搭載用の配線基板に適用した
場合について説明したが、これを混成集積回路基板等に
適用してもよい。
【0055】
【発明の効果】本発明の配線基板によれば、表面配線層
および内部配線層がタングステンおよび/またはモリブ
デンと銅とから成り、低抵抗の銅(電気抵抗率(20
℃)で1.7×10-6Ω・c)を含有することから、半
導体素子の演算速度の高速化に対応して各配線層を低抵
抗とすることができ、配線層を伝播する信号の損失を低
減し、半導体素子を正常に作動させることができる。
【0056】また本発明の配線基板によれば、タングス
テンおよび/またはモリブデンと銅とから成る表面配線
層と内部配線層との接続界面に絶縁基体に対し強固に接
合しているタングステンおよび/またはモリブデンと鉄
族金属とから成る中間層を配したことから表面配線層と
絶縁基体との間に隙間が生じ、この隙間から水分が入り
込んだとしても表面配線層と内部配線層との接続界面お
よび内部配線層内に水分が接触作用することはなく、そ
の結果、表面配線層と内部配線層との接続界面からの腐
食を効果的に防止できて表面配線層と内部配線層との接
続信頼性を良好とし、かつ隣接する配線層間の電気的絶
縁を確実として長期信頼性に優れたものとなすことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の一実施例を示す断面図であ
る。
【図2】図1に示す配線基板の要部拡大図である。
【符号の説明】
1・・・・絶縁基体 2・・・・表面配線層 3・・・・内部配線層 3a・・・貫通導体 3b・・・内層導体 4・・・・半導体素子 5・・・・配線基板 6・・・・中間層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁基体の表面および内部に、タングステ
    ンおよび/またはモリブデンと銅とから成る表面配線層
    および内部配線層を形成するとともに表面配線層と内部
    配線層とを接続させて成る配線基板であって、 前記表面配線層と内部配線層の接続界面にタングステン
    および/またはモリブデンと鉄族金属とから成る中間層
    を配したことを特徴とする配線基板。
  2. 【請求項2】前記中間層の厚みが10μm乃至25μm
    であることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
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