JP2002161312A - 高靭性高クロム鋼板の製造方法 - Google Patents

高靭性高クロム鋼板の製造方法

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JP2002161312A
JP2002161312A JP2000354702A JP2000354702A JP2002161312A JP 2002161312 A JP2002161312 A JP 2002161312A JP 2000354702 A JP2000354702 A JP 2000354702A JP 2000354702 A JP2000354702 A JP 2000354702A JP 2002161312 A JP2002161312 A JP 2002161312A
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high chromium
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Ryuji Muraoka
隆二 村岡
Shigeru Endo
茂 遠藤
Yukio Shinpo
幸雄 真保
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JFE Engineering Corp
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた低温靭性を示すことが可能な高靭性高
クロム鋼板の製造方法を提供する。 【解決手段】 mass%で、C:0.03%以下、Si:0.3%以下、
Mn:5.0%以下、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Cr:10〜14
%、Ni:0.5〜8.0%、N:200ppm以下、Al:0.1%以下を含有
し、残部が実質的に鉄からなるとともに、M=%Cr-%Niで
表されるMの値が14.0以下である鋼を、1100〜1250℃の
温度範囲内に再加熱後、圧延終了温度が900℃以上で圧
延を行い、放冷後620〜680℃の温度範囲内で焼き戻しを
行うことを特徴とする高靭性高クロム鋼板の製造方法。
さらにmass%で、Mo:4.0%以下を含有するとともに、M=%
Cr+1.3x%Mo-%Niで表されるMの値を14.0以下とすること
もできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高靭性高クロム
鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭酸ガスや硫化水素を含んだガスあるい
は石油の輸送用に用いられるパイプラインにおいては、
硫化物による耐応力腐食割れ性ならびに溶接性、さらに
低温靭性が要求される。そこで、通常の炭素鋼管を使用
する場合には腐食抑制剤(インヒビター)の併用、ある
いは、耐腐食性の高い2相ステンレス鋼管やクラッド鋼
管が用いられている。
【0003】しかし、腐食抑制剤の使用は価格面ばかり
か環境汚染の問題がある。また、2相ステンレス鋼管や
クラッド鋼管は材料費が高いという問題がある。このよ
うな背景のもとに、比較的安価な材料として、AISI(米
国鉄鋼協会)410鋼などがあるが、この鋼は溶接性等に難
点があり、さらに、硫化水素環境における応力腐食割れ
の問題も残っている。
【0004】そこで、溶接性ならびに硫化水素環境にお
ける耐応力腐食割れ性を備え、しかも低温靭性にも優れ
たマルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法
が、いくつか提案されている。例えば、特開昭55-21566
号公報には、Mnを1.0〜3.5%、Crを10〜13.5%含む鋼が提
案されている。同様に、特開平4-99128号公報にはCuを
1.2〜4.5%、Crを11〜14%含む鋼、特開平4-268019号公報
にはCoを1.1〜4.0%、Crを11〜14%含む鋼が提案されてい
る。また、特開平9-227934号公報にはCrを7.0〜15%含む
鋼からなる鋼管で1回の焼き戻し処理により低温靭性の
向上を図る技術が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述の従来技術は、特
開昭55-21566号公報記載の技術は、主にマルテンサイト
系ステンレス鋼板の溶接性、溶接部靭性および耐硫化物
腐食割れ性の向上を図る技術であるが、鋼板の製造方法
ならびに母材靭性については記載されていない。特開平
4-99128号公報および特開平4-268019号公報記載の技術
は、ラインパイプに関する技術であるが、鋼板段階での
製造方法ならびに母材靭性に関する記載がない。さらに
これらの技術では、Cu、Coを多量に添加および造管後の
焼入れ−焼戻し処理が必要であり、溶接性、低温靭性の
低下および生産性の低下という問題がある。
【0006】特開平9-227934号公報記載の技術は、主に
継目無鋼管に関する技術であり、溶接鋼管(UOE鋼
管、プレスベンド鋼管)用の鋼板の製造方法および材質
については記載されていない。
【0007】このように従来技術においては、シーム溶
接部を有する溶接鋼管を対象とした高クロム鋼板の製造
方法については、検討されていない。そこで、本発明
は、これらの従来技術の問題点を解決し、優れた低温靭
性を示すことが可能な高靭性高クロム鋼板の製造方法を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題は次の発明に
より解決される。その発明は、mass%で、C:0.03%以
下、Si:0.3%以下、Mn:5.0%以下、P:0.03%以下、S:0.005
%以下、Cr:10〜14%、Ni:0.5〜8.0%、N:200ppm以下、Al:
0.1%以下を含有し、残部が実質的に鉄からなるととも
に、M=%Cr-%Niで表されるMの値が14.0以下である鋼を、
1100〜1250℃の温度範囲内に再加熱後、圧延終了温度が
900℃以上で圧延を行い、放冷後620〜680℃の温度範囲
内で焼き戻しを行うことを特徴とする高靭性高クロム鋼
板の製造方法である。
【0009】この発明において、さらにmass%で、Mo:
4.0%以下を含有するとともに、M=%Cr+1.3x%Mo-%Niで表
されるMの値を14.0以下としたことを特徴とする高靭性
高クロム鋼板の製造方法とすることもできる。
【0010】また、これらの発明の化学成分に加えて、
mass%で、Cu:2.0%以下、Co:1.0%以下、W:1.0%以下、N
b:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、Zr:0.1%以下、
B:50ppm以下、Ca:50ppm以下のうち1種以上を含有するこ
とを特徴とする高靭性高クロム鋼板の製造方法とするこ
ともできる。
【0011】さらに、上記の発明において、Alを0.05〜
0.1%、降伏強さを620Mpa以下としたことを特徴とする高
靭性高クロム鋼板の製造方法とすることもできる。
【0012】これらの発明は、高クロム溶接鋼管の母材
低温靭性に注目して鋭意検討することにより成された。
その過程で、母材化学成分、圧延条件、および熱処理条
件を変化させて、靭性、炭酸ガス環境下での耐食性、硫
化水素環境下での耐硫化物応力腐食割れ性、溶接性を調
査した。その結果、本発明の化学成分、圧延条件、およ
び熱処理条件の範囲に制御することにより、低温靭性に
優れた高クロム鋼板を得ることができた。
【0013】まず、化学成分の限定理由について説明す
る。
【0014】C: 0.03%以下 Cが0.03%を超えると、多量の炭化物の析出により、母材
ならびに溶接熱影響部の靭性、耐食性、耐硫化物応力腐
食割れ性、ならびに溶接性が劣化する。従って、C量を
0.03%以下に規定する。
【0015】Si: 0.3%以下 Siは脱酸剤として使用されるが、0.3%を超えてSiを添加
すると、母材ならびに溶接熱影響部の靭性が劣化し、溶
接性が劣化する。従って、Si量を0.3%以下に規定する。
【0016】Mn: 5.0%以下 Mnは強度確保と脱酸を目的として使用されるが、5.0%を
超えてMnを添加すると、母材および溶接熱影響部の靱性
と耐硫化物応力腐食割れ性が劣化する。従って、Mn量を
5.0%以下に規定する。
【0017】P: 0.03%以下 Pは不純物元素であり、0.03%を超えると、母材ならびに
溶接熱影響部の靱性、耐硫化物応力腐食割れ性、および
溶接性の劣化をまねく。従って、P量を0.03%以下に規定
する。
【0018】S: 0.005%以下 Sは不純物元素であり、0.005%を超えると、母材ならび
に溶接熱影響部の靱性、耐食性、耐硫化物応力腐食割れ
性、および溶接性が劣化する。従って、S量を0.005%以
下に規定する。
【0019】Cr: 10〜14% Crは母材の良好な耐食性を得るために添加され、そのた
めには10%以上の添加が必要である。しかし、14%を超え
てCrを添加すると、母材ならびに溶接熱影響部の靱性、
および溶接性が劣化する。従って、Cr量は10〜14%の範
囲に規定する。
【0020】Ni: 0.5〜8.0% Niは良好な母材ならびに溶接熱影響部の靱性を得るため
に添加され、そのためには、0.5%以上の添加することが
必要である。しかし、Niを8.0%を超えて添加すると溶接
性が劣化し、コスト面でも不利となる。従って、Ni量を
0.5〜8.0%の範囲に規定する。
【0021】N: 200ppm以下 N は不純物元素であり、200ppmを超えると、母材ならび
に溶接熱影響部の靱性、および耐硫化物応力腐食割れ性
が劣化する。従って、N量を200ppm以下に規定する。
【0022】Al: 0.1%以下 Alは脱酸剤として使用されるが、0.1%を超えてAlを添加
すると、母材ならびに溶接熱影響部の靭性が劣化し、溶
接性も劣化する。従って、Al 量を0.1%以下に規定す
る。また、焼戻し後の降伏強さを620Mpa以下にするため
には、0.05%以上の添加が必要であり、その場合はAl 量
を0.05〜0.1%に規定する。
【0023】M値: 14.0以下 M値は、式M=%Cr-%Ni(後述のMo添加材ではM=%Cr+1.3x%M
o-%Ni)で表され、この値が14.0を超えると、溶接熱影
響部の耐食性および耐硫化物応力腐食割れ性が劣化し、
母材ならびに溶接熱影響部の靱性が劣化する。従って、
良好な耐食性、耐硫化物応力腐食割れ性を得るため、M
値を14.0以下に規定する。
【0024】Mo: 4.0%以下 Moは強度および硫化水素環境下での耐硫化物応力腐食割
れ性を向上させる。しかし、Moを4.0%を超えて添加する
と、母材ならびに溶接熱影響部の靱性、および溶接性が
劣化する。従って、Moを添加する場合はその添加量を4.
0%以下に規定する。この場合、M値の式はM=%Cr+1.3x%Mo
-%Niで表し、このM値が14.0以下となるよう各元素の添
加量を調整する。
【0025】この発明では、上記の化学成分にさらに次
の化学成分を加えて、強度、靭性の向上を図ることがで
きる。それらの化学成分について、限定理由を説明す
る。
【0026】Cu,Co,W: Cu2.0%以下、Co,W 1.0%以下 Cu,Co,Wは、目標の強度に応じて、これらの元素を1種以
上添加してもよい。しかし、Cuは2.0%、Co,Wはそれぞれ
1.0%を超えて添加すると、母材ならびに溶接熱影響部の
靱性、および溶接性が劣化する。従って、これらの元素
を添加する場合は、Cu量は2.0%以下、Co量およびW量は
1.0%以下にそれぞれ規定する。
【0027】Nb,V,Ti,Zr: それぞれ0.10%以下 Nb,V,Ti,Zrは、これらの元素の微量添加により、母材な
らびに溶接熱影響部の靱性と耐硫化物応力腐食割れ性が
向上する。しかし、いずれも0.10%を超えて添加する
と、かえって溶接熱影響部の靱性が低下し、耐硫化物応
力腐食割れ性が劣化する。従って、Nb,V,Ti,Zrを添加す
る場合は、その添加量をそれぞれ0.10%以下に規定す
る。
【0028】B: 50ppm以下 Bは靭性を向上させるが、50ppmを超えて添加すると、か
えって溶接熱影響部の靱性の低下、および溶接性の劣化
を招く。従って、Bを添加する場合は、その添加量を50p
pm以下に規定する。
【0029】Ca: 50ppm以下 Caは硫化物の形態を制御し、耐硫化物応力腐食割れ性を
向上させる。しかし、50ppmを超えて添加すると、かえ
って耐硫化物応力腐食割れ性、および溶接性の劣化を招
く。従って、Caを添加する場合は、その添加量を50ppm
以下に規定する。
【0030】なお、残部は実質的に鉄であるが、以上に
述べた以外の元素であれば、発明の目的を損なわない限
り不純物として含まれていてもよい。不純物には、スク
ラップから混入するもの、製鋼作業で混入するもの等が
あるが、通常作業で混入する限り不純物として含まれて
いても差し支えない。
【0031】次に、製造条件について説明する。
【0032】再加熱温度: 1100〜1250℃ 圧延前の再加熱については、1100℃以上に再加熱するこ
とにより、十分な熱間加工性を得ることができ、また十
分にオーステナイト化させて炭化物を固溶させることが
できる。しかし、1250℃を超えて加熱すると、オーステ
ナイト粒が粗大化し、母材の靭性が劣化する。従って、
再加熱温度を1100〜1250℃の範囲内に規定する。
【0033】圧延終了温度: 900℃以上 圧延終了温度は、低温であるほど組織の微細化により母
材の靭性が向上する。しかし、本発明範囲の化学成分を
有する鋼においては、圧延終了温度が900℃以下になる
と、圧延後のマルテンサイト組織中に伸張した組織が見
られるようになり、母材の靭性が劣化する。従って、圧
延終了温度を900℃以上に規定する。
【0034】焼戻し温度: 620〜680℃ この発明の対象とする組織がマルテンサイト主体の鋼
は、圧延ままでは硬く低靭性であり、焼戻しによる母材
の軟化および靭性向上を図る必要がある。焼戻し温度
は、620℃未満では軟化および靭性向上の効果が小さ
く、680℃を超えると、α→γ変態が進行し、母材の硬
化および靭性の劣化が起こる。従って、焼戻し温度を62
0〜680℃の範囲内に規定する。
【0035】
【発明の実施の形態】この発明の鋼の溶製は、転炉、電
気炉、その他、化学成分を発明の範囲内に制御できる製
造方法であれば、いずれの方法を用いてもよい。溶製さ
れた鋼は、ラインパイプ用鋼として用いるため、スラブ
等の形状に鋳造する。その後、熱間圧延により鋼板を製
造すれば、ラインパイプ用の鋼板が得られる。熱間圧延
は、厚板ミルで製造すればよいが、幅狭でもよい場合
(小径パイプ用)はホットストリップミルで製造しても
よい。
【0036】
【実施例】種々の化学成分の鋼を溶製し、熱間圧延によ
り鋼板(板厚20mm)を製造した。鋼板の化学成分を、表
1と表2にM値とともに示す。表1の鋼A〜Iは発明鋼、
鋼J〜Oは比較鋼をそれぞれ示し、表2の鋼a〜iは発明鋼
で特にsol.Alを0.05〜0.1%の範囲内とした鋼、鋼j〜o
は比較鋼を示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】これらの鋼板に熱処理を施し、母材強度、
母材ならびに溶接熱影響部の低温靱性、耐食性、耐硫化
物応力腐食割れ性、および溶接性を調べた。母材強度
は、熱処理後の鋼板より圧延方向に垂直な方向にAPI引
張試験片を採取して、常温にて引張試験を行った。母材
ならびに溶接熱影響部の低温靱性については、母材なら
びにシーム溶接部の溶接部熱影響部からVノッチシャル
ピー試験片を切り出して衝撃試験を行った。
【0040】耐食性の調査は、炭酸ガス飽和の人工海水
中(10%NaCl+飽和CO2溶液:pH=5.0)にて80℃×96hr
の腐食試験により行った。耐硫化物応力腐食割れ性の調
査は、炭酸ガスと硫化水素の混合ガスを飽和させた人工
海水中(5%NaCl+0.5%CH3COOH+飽和CO2溶液+飽和H2S
溶液:pH=3.0)にて25℃×0.75SMYS(Specified Minimu
m Yield Strength)×720hrの応力腐食割れ試験により
行った。
【0041】溶接性の試験は、内外面1パスの2電極SAW
(入熱約50kJ/cm)にてシーム溶接を行い、溶接欠陥、
溶接割れの有無で評価した。
【0042】これらの試験結果を、化学成分および製造
条件とともに表3と表4に示す。ここで、化学成分およ
びM値については、発明の範囲外の元素のみ×印で示し
てある。試験結果については、良好なもの、即ち目標特
性を達成したものを、○印で示してある。
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】母材および溶接熱影響部の低温靱性は、-2
0℃での吸収エネルギがそれぞれ150J以上および50J以上
のものをそれぞれ良好(○印)とした。耐食性は、腐食
速度が0.1mm/year以下、耐硫化物応力腐食割れ性(表で
は、耐SSC性)は、720時間の浸漬試験で割れが生じなか
ったものをそれぞれ良好(○印)とした。溶接性は、鋼
管のシーム溶接を行った場合に、溶接欠陥、溶接割れが
起こらなかったものを良好(○印)とした。また、表4
では、母材の降伏強さを示した。
【0046】表3に示すように、化学成分、製造条件と
も発明範囲を満たす発明鋼板A1〜I1(末尾1)は、十分
な低温靱性、耐食性、耐硫化物応力腐食割れ性、および
溶接性を示している。
【0047】化学成分は発明範囲内であるが、製造条件
が発明範囲を外れている比較鋼板A2〜A4,D2,D3,H2, お
よびH3は、いずれも母材の低温靱性が目標特性に到達し
ていない。製造条件は発明範囲内であるが、化学成分が
発明範囲を外れている比較鋼板J1およびK1〜O1は、いず
れも低温靱性および耐硫化物応力腐食割れ性が目標特性
に到達しておらず、溶接性もO1を除き目標特性に到達し
ていない。化学成分および製造条件が、ともに発明範囲
を外れている比較鋼板J2〜J4は、低温靱性、耐食性、耐
硫化物応力腐食割れ性、および溶接性のいずれも目標特
性に到達していない。
【0048】表4に示すように、化学成分、製造条件と
も発明範囲を満たす発明鋼板a1〜i1(末尾1)は、十分
な低温靱性、耐食性、耐硫化物応力腐食割れ性、および
溶接性を示している。また、これらの発明鋼板の母材の
降伏強さは、目標の620Mpa以下を達成している。
【0049】化学成分は発明範囲内であるが、製造条件
が発明範囲を外れている比較鋼板a2〜a4,d2,d3,h2, お
よびh3は、いずれも母材の低温靱性が目標特性に到達し
ていない。製造条件は発明範囲内であるが、化学成分が
発明範囲を外れている比較鋼板j1およびk1〜o1は、いず
れも低温靱性、耐硫化物応力腐食割れ性、および溶接性
が目標特性に到達しておらず、耐食性もk1,l1を除き目
標特性に到達していない。化学成分および製造条件が、
ともに発明範囲を外れている比較鋼板j2〜j4は、低温靱
性、耐食性、耐硫化物応力腐食割れ性、および溶接性の
いずれも目標特性に到達していない。
【0050】
【発明の効果】この発明では、化学成分および鋼板の圧
延条件ならびに熱処理条件を規定することにより、母材
の材料特性を向上させることができる。その結果、低温
靭性に優れ、炭酸ガス環境下での耐食性と硫化水素環境
下での耐硫化物応力腐食割れ性にも優れた高クロム鋼板
を安価に提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 真保 幸雄 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K032 AA01 AA02 AA04 AA08 AA09 AA13 AA14 AA15 AA16 AA17 AA19 AA20 AA21 AA22 AA23 AA24 AA27 AA29 AA31 AA35 AA36 AA37 AA39 BA01 CA02 CA03 CC04 CF02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 mass%で、C:0.03%以下、Si:0.3%以下、
    Mn:5.0%以下、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Cr:10〜14
    %、Ni:0.5〜8.0%、N: 200ppm以下、Al:0.1%以下を含有
    し、残部が実質的に鉄からなるとともに、M=%Cr-%Niで
    表されるMの値が14.0以下である鋼を、1100〜1250℃の
    温度範囲内に再加熱後、圧延終了温度が900℃以上で圧
    延を行い、放冷後620〜680℃の温度範囲内で焼き戻しを
    行うことを特徴とする高靭性高クロム鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 mass%で、C:0.03%以下、Si:0.3%以下、
    Mn:5.0%以下、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Cr:10〜14
    %、Ni:0.5〜8.0%、N:200ppm以下、Al:0.1%以下、Mo:4.0
    %以下を含有し、残部が実質的に鉄からなるとともに、M
    =%Cr+1.3x%Mo-%Niで表されるMの値が14.0以下である鋼
    を、1100〜1250℃の温度範囲内に再加熱後、圧延終了温
    度が900℃以上で圧延を行い、放冷後620〜680℃の温度
    範囲内で焼き戻しを行うことを特徴とする高靭性高クロ
    ム鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の高靭性高
    クロム鋼板の製造方法において、記載された化学成分に
    加えて、mass%で、Cu:2.0%以下、Co:1.0%以下、W:1.0%
    以下、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、Zr:0.1
    %以下、B:50ppm以下、Ca:50ppm以下のうち1種以上を含
    有することを特徴とする高靭性高クロム鋼板の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 Alを0.05〜0.1%、降伏強さを620Mpa以下
    とすることを特徴とする請求項1ないし請求項3記載の
    高靭性高クロム鋼板の製造方法。
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