JP2002161134A - 硬化性オキセタン組成物の硬化方法 - Google Patents

硬化性オキセタン組成物の硬化方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】水酸基含有オキセタン化合物を原料とし、迅速
に、かつ効率良く硬化させる硬化方法を提供する。 【解決手段】オキセタニル基及び水酸基をもつオキセタ
ン化合物(A)と、硬化剤(B)とを含んでなる硬化性
オキセタン組成物を、活性光線の照射ののちに加熱し、
硬化させる。ここで、活性光線の照射のあとそのまま所
定の時間を保持し、その後に加熱してもよい。照射温度
は、概ね40℃以下、その照射時間は概ね0.01秒〜
1時間、加熱の温度は概ね40〜200℃、その時間は
概ね0.1秒〜50時間とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化性オキセタン
組成物の硬化方法に関する。更に詳しくは、エポキシ樹
脂組成物の代替品として期待される硬化性オキセタン組
成物の硬化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】4員環の環状エーテル化合物であるオキ
セタンは、炭素−酸素間の結合が分極していることから
高い反応性を示し、ルイス酸等を触媒とするオキセタン
の開環重合(S.Inoue and T.Aida,
“Ring OpeningPolymerizati
on,” K.J.Ivin and T.Saegu
sa,Eds.,Elsevier,London,1
984,Vol.1,pp.185〜298等参照)
や、トリアルキルアルミニウム−水反応生成物を触媒と
するオキセタニルメチル トリメチルシリル エーテル
の開環重合(特開平2−29429号公報参照)等は知
られている。
【0003】また、最近では、カチオン重合におけるオ
キセタンの高い反応性を利用した、光酸発生剤存在下の
光カチオン重合も幾つか知られている。例えば、特開平
6−16804号公報、特開平7−17958号公報、
特開平7−173279号公報、特開平8−24578
3号公報等には、式(1)
【0004】
【化1】
【0005】(式中、R1は水素原子、フッ素原子、1
価の炭化水素基等であり、R2は水素原子、アルキル
基、アリール基等、nは1〜4の整数)で示される分子
中に1〜4個のオキセタン環をもつ3−置換オキセタン
モノマーと、トリアリールスルホニウム塩、ジアリール
ヨードニウム塩等の光酸発生剤とからなる硬化性オキセ
タン組成物に、紫外線、X線又は電子線等の活性エネル
ギー線を照射するオキセタンモノマーの硬化方法が示さ
れている。
【0006】更に、熱潜在性カチオン重合開始剤を用い
たオキセタンの熱カチオン重合についても知られている
(特開平11−269370号公報)。
【0007】また、特開平11−130766号公報に
は、分子中にオキセタニル基及び水酸基をもつ式(2)
の化合物が示されるとともに、これを含む活性エネルギ
ー線硬化型組成物は、短時間の光照射によって重合度が
高くかつ密着性に優れる硬化物を与えると記載されてい
る。
【0008】
【化2】
【0009】(式中、R3はメチル基又はエチル基を示
し、R4、R5は水素原子、ハロゲン原子、メチル基、フ
ェニル基又はトリハロゲノメチル基を示す。)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】先に、本発明者等は、
種々のオキセタン化合物を検討する過程で、新規なオキ
セタン化合物、すなわち、分子中に2個以上のオキセタ
ニル基及び1個以上の水酸基をもつ脂肪族系又は脂環系
化合物を合成した。本発明は、この水酸基含有オキセタ
ン化合物を原料とし、迅速に、かつ効率良く硬化させる
硬化方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明者らは種々検討する中で、水酸基含有オキセタン
化合物を硬化剤の存在下に、活性光線の照射と加熱とを
組み合わせれば、水酸基含有オキセタン化合物を、迅速
に、しかも効率良く硬化させうること、及び得られる硬
化物は密着性が良好であることを見出し、本発明を完成
した。
【0012】すなわち、本発明は、オキセタニル基及び
水酸基をもつオキセタン化合物(A)と、硬化剤(B)
とを含んでなる硬化性オキセタン組成物を、活性光線の
照射と加熱とを組み合わせて硬化させることを特徴とす
る硬化性オキセタン組成物の硬化方法である。 また、
上記硬化方法における活性光線の照射と加熱とは、同時
に行うこともできるが、好ましくは、活性光線の照射の
のちに加熱する。また、上記硬化方法において、活性光
線の照射のあとそのまま所定の時間を保持し、その後に
加熱してもよい。
【0013】また、上記硬化方法において活性光線の照
射条件は、酸を発生させ、重合・架橋反応を促進しない
条件とする。そのような条件は、活性光線の照射量によ
っても変動するが、照射温度は、概ね40℃以下、その
照射時間は概ね0.01秒〜1時間である。照射温度を
40℃以下とするのは、重合・架橋反応を抑制するため
である。また、上記硬化方法において、加熱の温度は好
ましくは40〜200℃、その時間は好ましくは、0.
1秒〜50時間とする。重合・架橋反応を促進させるた
めである。
【0014】また、上記硬化方法におけるオキセタン化
合物(A)としては、好ましくは、2個以上のオキセタ
ニル基及び1個以上の水酸基をもつ化合物を用いる。こ
れにより、硬化密度の高い硬化物を得ることができる。
【0015】また、上記硬化方法における硬化剤(B)
としては、好ましくは、カチオン重合開始剤を用いる。
硬化前の硬化性オキセタン組成物の保存安定性が高いか
らである。
【0016】
【作用】活性光線の照射と加熱とにより、硬化性オキセ
タン組成物が硬化する機作は、次のように考えられる。
すなわち、活性光線の照射によって、硬化剤(B)に由
来する酸(プロトン)がはじめに発生する。発生した酸
は、40℃程度の低い温度では、オキセタン化合物
(A)中の水酸基と相互作用(水素結合)するにとどま
り、オキセタン化合物(A)の開環・重合反応へは進ま
ない。その後、この状態で加熱されると、水酸基に相互
作用(水素結合)していた酸(プロトン)が遊離して、
オキセタン化合物(A)のオキセタン環の開環・重合反
応(又は重付加反応)を起こし、不溶不融の三次元網目
構造の硬化物を形成する、というものである。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明における実施の形態を説明
する。先ず、本発明で用いられる硬化性オキセタン組成
物について述べる。用いられる硬化性オキセタン組成物
中の主たる成分は、分子中にオキセタニル基及び水酸基
を有しているオキセタン化合物(A)で、活性光線の照
射や加熱によって硬化するものであればよい。中でも、
オキセタニル基を2個以上、水酸基を1個以上有する化
合物は、硬化させた際の架橋密度が高くなるので更に好
ましい。更に、分子中にオキセタニル基を2〜6個有
し、水酸基を1〜6個有する脂肪族系又は脂環系化合物
は、硬化性に優れており特に好ましい。これらは、硬化
剤(B)の存在下、適当な条件下に開環重合して硬化す
る。
【0018】上記オキセタン化合物(A)の具体例とし
て以下の化合物が挙げられる。
【化3】 (式中、Rは水素又はメチル基を示し、R26は水素又は
アルキル基を示し、R4は−(CH2)x−(但し、xは1
〜20の整数)、−O−{(CH22−O}y−、(但
し、yは2〜20の整数)、
【0019】
【化4】 等である。
【0020】これらのオキセタン化合物(A)は、多価
アルコールに反応後水酸基が残るように等量を調整した
(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル トシラー
ト又は(3−メチルオキセタン−3−イル)メチル ト
シラート又は(オキセタン−3−イル)メチル トシラ
ートを塩基の存在中で作用させることにより製造するこ
とができる。
【0021】多価アルコールの水酸基の一部を保護し、
残りの水酸基と(3−エチルオキセタン−3−イル)メ
チル トシラート又は(3−メチルオキセタン−3−イ
ル)メチル トシラート又は(オキセタン−3−イル)
メチル トシラートを塩基の存在中で反応させた後、脱
保護することによっても製造できる。さらに、これらの
オキセタン化合物(A)は、塩基存在下、ヒドロキシル
基とオキセタニル基を有する化合物にエポキシを反応さ
せて合成することもできる。また、分子中にエポキシ基
及びオキセタニル基を同時にもつ化合物とアルコール又
はフェノールとを反応させて合成することもできる。
【0022】なお、オキセタン化合物(A)は単一の分
子量を持つ化合物だけでなく、分子量分布を持つオリゴ
マー(A’)を用いてもよい。このようなオリゴマー
(A’)を用いた組成物では結晶性が低下し、保存安定
性が優れるものとなる。上記オリゴマー(A’)として
具体的には以下に示す化合物が挙げられる。
【0023】
【化5】 また、オキセタン化合物(A)又はオリゴマー(A’)
の分子量は、好ましくは74〜20,000(更に好ま
しくは、74〜10,000)である。分子量が74以
下では、分子中にオキセタニル基及び水酸基を形成する
ことができず、また、20,000を超えると硬化速度
が低下する。これらオキセタン化合物(A)及びオリゴ
マー(A’)は、単独でも、2種類以上を組み合わせて
も使用できる。
【0024】硬化性オキセタン組成物には、前記オキセ
タン化合物(A)のほかに、通常、硬化剤(B)が含ま
れる。硬化剤(B)としては、オキセタン化合物(A)
を開環重合させる硬化剤やオキセタン化合物に付加反応
する硬化剤であればよい。オキセタン化合物(A)を開
環重合させる硬化剤としては、カチオン重合開始剤、ア
ニオン重合開始剤、潜在性カチオン重合開始剤、潜在性
アニオン重合開始剤が挙げられる。また、後者のオキセ
タン化合物に付加反応する硬化剤としては、2官能以上
のカルボン酸、2官能以上のポリチオール、2官能以上
のカルボン酸無水物、2官能以上のフェノール等が好適
に用いられる。これらは単独で、又は2種類以上を組み
合わせて用いることができる。
【0025】硬化剤(B)として、カチオン重合開始剤
を用いると、硬化性オキセタン組成物が短時間で硬化
し、更に高い架橋密度の硬化物が得られる。このような
カチオン重合開始剤として、硫酸、リン酸、過塩素酸、
トリフルオロメタンスルホン酸のようなプロトン酸、あ
るいは三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化チタ
ン、四塩化スズのようなルイス酸が好適に用いられる。
これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いる
ことができる。
【0026】また、カチオン重合開始剤の中で、活性光
線の照射又は加熱によってカチオン重合開始剤を形成す
るいわゆる「光カチオン重合開始剤」は、オキセタニル
基及び水酸基をもつオキセタン化合物(A)に配合して
室温に保存する限りにおいては長期間にわたって安定
で、活性光線の作用で直ちにカチオン重合開始剤を形成
し、その後加熱すると硬化反応を開始・促進するので好
ましく用いられる。
【0027】 このような光カチオン重合開始剤には、
式(8)、式(9)又は式(10)で表されるスルホニ
ウム塩、式(12)で表されるヨードニウム塩のほか、
第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム
塩等がある。
【0028】
【化6】 (式(8)〜(12)中、R9〜R12は、それぞれ、そ
れぞれ、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数
3〜12のアルケニル基、アリール基、アルカリール
基、炭素原子数1〜20のアルカノール基もしくは炭素
原子数5〜10のシクロアルキル基であり、互いに同一
でも異なっていてもよく、また置換基を有しても有さな
くてもよく、また、Xは、BF4、PF6、AsF6、S
bF6、SbCl6、(C654B、SbF5(OH)、
HSO4、p−CH364SO3、HCO3、H2PO4
CH3COOおよびハロゲン原子からなる群より選ばれ
る1価の陰イオンであり、R9〜R12のうち2個は互い
に結合して、N、P、OまたはSをヘテロ原子とする複
素環を形成してもよく、Ar1は、置換基を有しても有
さなくてもよい1価のアリール基を表わし、Ar2は、
置換基を有しても有さなくてもよい2価のアリーレン基
を表わし、Ar3およびAr4は、互いに同一でも異なっ
ていてもよく、また置換基を有しても有さなくてもよい
1価のアリール基である。)なお、上記光カチオン重合
開始剤は単独で、または2種類以上を組み合わせて使用
される。
【0029】そして、前記式(8)、(9)または(1
0)で示されるスルホニウム塩としては、例えば、トリ
フェニルスルホニウム四フッ化ホウ素、トリフェニルス
ルホニウム六フッ化アンチモン、トリフェニルスルホニ
ウム六フッ化砒素、トリ(4−メトキシフェニル)スル
ホニウム六フッ化砒素、ジフェニル(4−フェニルチオ
フェニル)スルホニウム六フッ化砒素、アデカオプトマ
ーSP−150(旭電化工業社製、対イオン:P
6)、アデカオプトマーSP−170(旭電化工業社
製、対イオン:SbF6)、アデカオプトマーCP−6
6(旭電化工業社製、対イオン:SbF6)、アデカオ
プトマーCP−77(旭電化工業社製、対イオン:Sb
6)、サンエイドSI−60L(三新化学工業社製、
対イオン:SbF6)、サンエイドSI−80L(三新
化学工業社製、対イオン:SbF6)、サンエイドSI
−100L(三新化学工業社製、対イオン:Sb
6)、サンエイドSI−150(三新化学工業社製、
対イオン:SbF6)、CYRACUREUVI−69
74(ユニオン・カーバイド社製、対イオン:Sb
6)、CYRACURE UVI−6990(ユニオ
ン・カーバイド社製、対イオン:PF 6)、UVI−5
08(ゼネラル・エレクトリック社製)、UVI−50
9(ゼネラル・エレクトリック社製)、FC−508
(ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリ
ング社製)、FC−509(ミネソタ・マイニング・ア
ンド・マニファクチュアリング社製)、CD−1010
(サートマー社製)、CD−1011(サートマー社
製)およびCIシリーズ(日本曹達社製、対イオン:P
6、SbF6)などを挙げることができる。
【0030】また、前記式(12)で示されるヨードニ
ウム塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウム 六
フッ化砒素、ジ4−クロロフェニルヨードニウム 六フ
ッ化砒素、ジ(4−ブロムフェニル)ヨードニウム 六
フッ化砒素、フェニル(4−メトキシフェニル)ヨード
ニウム 六フッ化砒素、ゼネラル・エレクトリック社製
のUVEシリーズ、ミネソタ・マイニング・アンド・マ
ニファクチュアリング社製のFCシリーズ、東芝シリコ
ーン社製のUV−9310C(対イオン:SbF6)お
よびローヌプーラン社製のPhotoinitiato
r2074(対イオン:(C654B)などを挙げる
ことができる。
【0031】以上の光カチオン重合開始剤は、単独で、
または2種類以上を組み合わせて使用される。
【0032】オキセタン化合物(A)に付加反応する硬
化剤としては、以下の化合物が挙げられる。2官能以上
のカルボン酸及び無水物として、コハク酸、マレイン
酸、イタコン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタル
酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ナ
ジック酸、メチルナジック酸、ドデセニルコハク酸、ピ
ロメリット酸、トリメリット酸、シクロペンタジエンテ
トラカルボン酸、四角酸、これらの無水物、等である。
また、2官能以上のフェノール系硬化剤としては、例え
ば、カテコール、カテコール誘導体、レゾルシノール、
レゾルシノール誘導体、ヒドロキノン、ヒドロキノン誘
導体、ピロガノール、ピロガノール誘導体、テトラヒド
ロキシベンゼン類、テトラヒドロキシベンゼン誘導体
類、等である。 2官能以上のチオール類としては、
1,2−エタンジチオール、1,4−ブタンジチオー
ル、1,6−ヘキサンジチオール、1,1−シクロヘキ
サンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,4
−ナフタレンジチオール、等である。これらの硬化剤
は、単独で、または2種類以上を組み合わせて使用され
る。
【0033】カチオン重合開始剤、アニオン重合開始
剤、潜在性カチオン重合開始剤、潜在性アニオン重合開
始剤等の、オキセタン化合物(A)を開環重合させる硬
化剤の使用量はオキセタン化合物(A)100重量部に
対して好ましくは0.01〜20重量部(更に好ましく
は、0.1〜10重量部)である。0.01重量部未満
では硬化性が不充分となりやすく、20重量部を越える
と接着フィルムの使用前の保存安定性が低下しやすい。
また、2官能以上のカルボン酸、2官能以上のポリチオ
ール、2官能以上のカルボン酸無水物、2官能以上のフ
ェノール等の、オキセタン化合物(A)と付加反応する
硬化剤の使用量は、オキセタン化合物(A)100重量
部に対して好ましくは2〜500重量部(更に好ましく
は50〜300重量部)である。2重量部未満では硬化
性が不充分となりやすく、500重量部を越えると接着
フィルムの使用前の保存安定性が低下しやすい。
【0034】以上は、用いる硬化性オキセタン組成物に
ついて説明した、次に、硬化の処理条件(活性光線によ
る照射処理と加熱処理)について説明する。本発明の硬
化方法においては、硬化性オキセタン組成物に対し、活
性光線による照射処理と、加熱処理とを組み合わせ、開
環重合させ、硬化させる。ここで、活性光線を照射する
目的は、これによって、硬化剤(B)から酸(プロト
ン)を発生させるためである。使用する活性光線として
は、紫外線、可視光、赤外光等が挙げられる。これらの
活性光線の中でも、重合硬化速度の点から紫外線、可視
光が好ましく、紫外線が特に好ましい。紫外線の主たる
波長が300nm以上であることが好ましく、350n
m以上であることが特に好ましい。また、活性光線の他
に、電子線、エックス線、γ線又はマイクロ波等のエネ
ルギー線を用いることもできる。紫外線を照射する場合
には、様々な光源を使用することができ、例えば水銀ア
ークランプ、キセノンアークランプ、螢光ランプ、炭素
アークランプ、タングステン−ハロゲン複写ランプ及び
周囲の日光からの照射光により硬化させることができ
る。活性光線の照射量は、硬化剤(B)から酸(プロト
ン)を発生させ、その後の加熱で充分な硬化反応が進行
する程度に照射すればよい。概ね、1mJ/平方cm〜
500,000mJ/平方cmである。更に、活性光線
の照射は1回又は2回以上行うことができ、それぞれの
活性光線の照射条件は同一でもよく、異なっていてもよ
い。更に、異なる光源を組み合わせて用いても良い。活
性光線照射時の温度は40℃以下好ましく、35℃以下
が更に好ましく、30℃以下が特に好ましい。温度が4
0℃を越えると、活性光線照射時に重合反応も進行しや
すいからであり、活性光線を照射した後に基材同士を張
り合わせるような場合は作業時間の裕度がなくなる傾向
がある。
【0035】加熱の処理は、活性光線による照射処理と
ともに行ってもよいが、好ましくは、活性光線の照射後
に行なう。これにより、重合・架橋反応を進行させる。
加熱の温度は、好ましくは40℃〜200℃、更に好ま
しくは50℃〜150℃であり、加熱の時間は、好まし
くは0.1秒〜50時間、更に好ましくは1秒〜30時
間である。加熱温度が40℃未満であると硬化反応が進
みにくく、200℃を超えると望まない副反応が進行し
やすい。加熱時間が0.1秒未満では硬化反応が終わら
ず、50時間を超えると硬化物の生産性が低下し、更に
望まない副反応も進みやすい。前記活性光線の照射及び
加熱は、繰り返し行うこともできるが、好ましくは、1
回にて完結させる。
【0036】上記硬化方法において、活性光線による照
射処理と加熱による処理とのあいだに、所定の保持時間
を挟んでもよい。その保持の時間は、0秒〜24時間が
好ましく、0.05秒〜12時間がより好ましく、0.
1秒〜6時間が更に好ましく、0.2秒〜1時間が最も
好ましい。この保持時間が24時間を超えると硬化物の
生産性が低下する。
【0037】上記方法において、活性光線を40℃以下
で照射し、次いで、0.01秒〜24時間保持し、その
後、40〜200℃で0.1秒〜50時間加熱すると、
活性光線を照射している間及びそのあとの保持している
間は実質的な硬化反応はほとんど進行せず、その後の加
熱により速やかに重合・架橋反応が進行する。このため
に、活性光線を透過させない基材同士を接着するような
場合、基材の片面又は両面に硬化性オキセタン組成物を
塗布し、活性光線を照射した後に張り合わせて加熱を行
なうと、張り合わせてから加熱するまでの間(すなわ
ち、保持時間)の暫くの間は硬化反応が進行しないの
で、その間に精度の高い位置合わせを容易に行なうこと
ができる。
【0038】上記方法における反応の圧力は特に制限さ
れるものではなく、減圧、常圧及び加圧のいずれでもよ
いが、装置の簡略化の点では常圧は好ましい。また、反
応の際、撹拌する必要はないが、必要に応じて撹拌して
もよい。
【0039】硬化反応は、酸素の影響による好ましくな
い反応を防止するために、不活性ガス雰囲気下で行なっ
てもよい。不活性ガスとしては、窒素ガスのほか、アル
ゴンガスやヘリウムガス等の希ガスを使用できる。
【0040】今まで述べたように、オキセタニル基及び
水酸基をもつオキセタン化合物(A)と硬化剤(B)と
を必須成分として含む硬化性オキセタン組成物(後述す
るように、必要に応じて、反応性モノマー(E)、その
他の成分(F)、及び溶媒(G)も含む場合もある。)
を上記の硬化方法で処理すれば、三次元網目構造をもつ
不溶不融の硬化物が得られる。金属、ゴム、プラスチッ
ク、形成部品、フィルム、紙、木、ガラス、コンクリー
ト又はセラミック等の基材に、前記硬化性オキセタン組
成物を塗布した後、本発明の硬化方法に従い硬化させれ
ば、その硬化物を皮膜とする基材を得ることができる。
なお、硬化反応を溶媒中で行う場合は、硬化反応の終了
後、得られた反応混合物から溶媒を蒸発せしめ、次いで
常温まで冷却して上記硬化物を得てもよいし、硬化反応
の終了後、得られた反応混合物を常温まで冷却し、溶媒
を含んだままの柔軟性のある硬化物として使用してもか
まわない。
【0041】 次に、硬化性オキセタン組成物に添加
(又は含有)させる任意的成分について付言する。 反応性モノマー(E):本発明で用いられる硬化性オキ
セタン組成物には、前記オキセタン化合物(A)のほか
に反応性モノマー(E)を加えることもできる。このよ
うな反応性モノマー(E)としては、オキセタニル基を
もつ化合物(E1)、オキシラニル基をもつ化合物(E
2)、又はエチレン性不飽和基をもつ化合物(E3)等
がある。これは、単独に又は2種類以上を組み合わせて
併用してもよい。そのとき、オキセタン化合物(A)を
開環重合させる硬化剤の使用量は、オキセタン化合物
(A)と反応性モノマー(E)の合計100重量部に対
し、好ましくは0.01〜20重量部(更に好ましく
は、0.1〜10重量部)とする。また、硬化剤がオキ
セタン化合物(A)に付加反応させる硬化剤である場
合、その使用量は、オキセタン化合物(A)と反応性モ
ノマー(E)の合計100重量部に対し、好ましくは2
〜500重量(更に好ましくは、50〜300重量部)
とする。
【0042】オキセタニル基をもつ化合物(E1)とし
ては、その分子中に1〜6個のオキセタン環をもつ化合
物を用いることができる。
【0043】 オキシラニル基を有する化合物(E2)
としては、その分子中にオキシラン環を有して化合物を
用いることができる。
【0044】エチレン性不飽和基をもつ化合物(E3)
としては、分子中に二重結合を1個有する化合物、例え
ば、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル系モノマ
や、スチレン系モノマ、ビニルエーテル系モノマ等があ
る。エチレン性不飽和基を有する化合物(E3)とし
て、分子中に二重結合を2個有する化合物、例えば、エ
チレングリコールジアクリレート、エチレングリコール
ジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジエチレングリ
コールジビニルエーテル等もある。これら、エチレン性
不飽和基をもつ化合物(E3)は、単独でも、2種類以
上を組み合わせもよい。
【0045】本発明で用いる硬化性オキセタン組成物の
構成成分として、上記反応性モノマー(E)を加えた場
合、オキセタン化合物(A)の水酸基が連鎖移動を起こ
し、反応性モノマー(E)の反応性が向上する。反応性
モノマー(E)を加える場合のその使用量は、オキセタ
ン化合物(A)100重量部に対し、好ましくは0〜
1,000,000重量部(更に好ましくは1〜10
0,000重量部)である。1,000,000重量部
を越えると、オキセタン化合物(A)中の水酸基の連鎖
移動の効果は認めにくい。
【0046】その他の成分(F):本発明における硬化
性オキセタン組成物には、使用に際し、発明の効果を損
なわない範囲内であれば、公知の各種添加剤、例えば、
無機充填剤、強化材、着色剤、安定剤(熱安定剤、耐候
性改良剤等)、増量剤、粘度調節剤、難燃剤、紫外線吸
収剤、酸化防止剤、変色防止剤、抗菌剤、防黴剤、老化
防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、発泡剤、離型剤等
を添加・混合することができる。上記着色剤としては、
直接染料、酸性染料、塩基性染料、金属錯塩染料等の染
料、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化
鉄、マイカ等の無機顔料及びカップリングアゾ系、縮合
アゾ系、アンスラキノン系、チオインジゴ系、ジオキサ
ゾン系、フタロシアニン系等の有機顔料等が挙げられ
る。また、上記安定剤としては、ヒンダードフェノール
系、ヒドラジン系、リン系、ベンゾフェノン系、ベンゾ
トリアゾール系、オキザリックアシッドアニリド系等の
化合物が挙げられる。更にまた、上記無機充填剤として
は、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、シリカ繊
維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア
繊維、窒化ホウ素繊維、窒化珪素繊維、塩基性硫酸マグ
ネシウム繊維、ホウ素繊維、ステンレス鋼繊維、アルミ
ニウム、チタン、銅、真鍮、マグネシウム等の無機質及
び金属繊維、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、鉛、ステン
レス鋼、アルミニウム、金及び銀等の金属粉末、木粉、
マグネシア、カルシア等の酸化物、珪酸アルミニウム、
ケイソウ土、石英粉末、タルク、クレイ、各種金属の水
酸化物、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ホウ珪
酸塩、アルミノ珪酸塩、チタン酸塩、塩基性硫酸塩、塩
基性炭酸塩及びその他の塩基性塩、ガラス中空球、ガラ
スフレーク等のガラス材料、炭化珪素、窒化アルミ、ム
ライト、コージェライト等のセラミック、及びフライア
ッシュやミクロシリカ等の廃棄物等が挙げられる。
【0047】溶媒(G):本発明で用いるオキセタン化
合物(A)と硬化剤(B)とは相溶性に優れている。そ
のため、本発明においては、必ずしも溶媒を必要としな
い。しかし、硬化剤(B)等の各成分の性状に合わし
て、必要に応じて溶媒を使用することもできる。その
際、使用する溶媒(G)としては、各成分を混合、分散
させることができるものを好適に選択できる。具体例と
してはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチ
レングリコールジメチルエーテル、トルエン、ベンゼ
ン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラ
ヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブア
セテート、ブチルセロソルブ、ジオキサン等が挙げられ
る。単独で又は2種類以上を混合して用いることができ
る。その沸点は50℃〜300℃が好ましく、70〜2
50℃が更に好ましい。沸点が50℃未満では後記する
硬化物の製造時に溶媒が飛散しやすく、また300℃を
越えると硬化物製造時の溶媒の揮散が困難となる。溶媒
の使用量は、均一な原料液(硬化性オキセタン組成物)
を製造でき、また所定の流動性を実現できれる範囲内で
あれば特に制限はない。オキセタン化合物(A)100
重量部に対し、好ましくは0〜10,000重量部(更
に好ましくは1〜5,000重量部)である。溶媒の使
用量が10,000重量部を越えると、硬化物の製造後
の溶媒の除去に時間を要するだけでなく、硬化物の強度
が低下する。
【0048】
【実施例】 以下、実施例によって本発明を更に具体的
に説明する。 (合成例1)特開平11−130766号公報に記載さ
れた方法に準じて、次式(I)で示される(分子中にオ
キセタニル基及び水酸基をもつ)化合物(I)を合成し
た。
【0049】
【化7】
【0050】(合成例2)[3,3,18,18−ビス
(3−オキサシクロブチリデン)−7,14−ジヒドロ
キシ−5,9,12,16−テトラオキサイコサン(I
I)の合成]
【化8】
【0051】500ml反応容器を乾燥窒素で置換し、
水素化ナトリウム(60%油性)0.9g(22mmo
l)、N,N−ジメチルホルムアミド100mlを加
え、この懸濁液を0℃に冷却した。そこへ、3−エチル
−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン2.6g(22
mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド50ml溶
液をゆっくりと加えた後、反応混合物を0℃で30分間
撹拌した。その後、エチレングリコールジグリシジルエ
ーテル1.7g(10mmol)のN,N−ジメチルホ
ルムアミド50ml溶液を滴下し、反応液を40℃に昇
温しながら乾燥窒素気流下6時間撹拌した。反応液を水
中に投じ、クロロホルムで抽出した。抽出液は無水硫酸
ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーによって精製し、3,3,1
8,18−ビス(3−オキサシクロブチリデン)−7,
14−ジヒドロキシ−5,9,12,16−テトラオキ
サイコサン(II)2.8gを得た(収率70%)。
【0052】(合成例3)[3,3,16,16−ビス
(3−オキサシクロブチリデン)−7,12−ジヒドロ
キシ−5,14−ジオキサオクタデカン(III)の合
成]
【0053】
【化9】
【0054】500ml反応容器を乾燥窒素で置換し、
水素化ナトリウム(60%油性)0.9g(22mmo
l)、N,N−ジメチルホルムアミド100mlを加
え、この懸濁液を0℃に冷却した。そこへ、3−エチル
−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン2.6g(22
mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド50ml溶
液をゆっくりと加えた後、反応混合物を0℃で30分間
撹拌した。その後、1,2,7,8−ジエポキシオクタ
ン1.4g(10mmol)のN,N−ジメチルホルム
アミド50ml溶液を滴下し、反応液を80℃に昇温し
ながら乾燥窒素気流下6時間撹拌した。反応液を水中に
投じ、クロロホルムで抽出した。抽出液は無水硫酸ナト
リウム上で乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラム
クロマトグラフィーによって精製し、3,3,16,1
6−ビス(3−オキサシクロブチリデン)−7,12−
ジヒドロキシ−5,14−ジオキサオクタデカン(II
I)3.0gを得た(収率80%)。
【0055】[硬化性オキセタン組成物の調製(その
1)] オキセタン化合物(A)として式(I)のもの
1.0g、硬化剤(B)として次式(IV)で表される潜
在性カチオン重合開始剤アデカオプトマーSP−170
(旭電化工業(株)製)0.02gを混合し、硬化性オ
キセタン組成物(a−1)を得た。
【0056】
【化10】
【0057】[硬化性オキセタン組成物の調製(その
2)]オキセタン化合物(A)として式(I)のもの
1.0g、硬化剤(B)として式(IV)の潜在性カチオ
ン重合開始剤アデカオプトマーSP−170(旭電化工
業(株)製)0.005gを混合し、硬化性オキセタン
組成物(a−2)を得た。
【0058】[硬化性オキセタン組成物の調製(その
3)]オキセタン化合物(A)として式(II)のもの
1.0g、硬化剤(B)として式(IV)の潜在性カチオ
ン重合開始剤アデカオプトマーSP−170(旭電化工
業(株)製)0.02gを混合し、硬化性オキセタン組
成物(a−3)を得た。
【0059】[硬化性オキセタン組成物の調製(その
4)]オキセタン化合物(A)として式(II)のもの
1.0g、硬化剤(B)として式(IV)の潜在性カチオ
ン重合開始剤アデカオプトマーSP−170(旭電化工
業(株)製)0.005gを混合し、硬化性オキセタン
組成物(a−4)を得た。
【0060】[硬化性オキセタン組成物の調製(その
5)] オキセタン化合物(A)として式(III)のも
の1.0g、硬化剤(B)として式(IV)の潜在性カチ
オン重合開始剤アデカオプトマーSP−170(旭電化
工業(株)製)0.02gを混合し、硬化性オキセタン
組成物(a−5)を得た。
【0061】[硬化性オキセタン組成物の調製(その
6)]オキセタン化合物(A)として式(III)のもの
1.0g、硬化剤(B)として式(IV)の潜在性カチオ
ン重合開始剤アデカオプトマーSP−170(旭電化工
業(株)製)0.005gを混合し、硬化性オキセタン
組成物(a−6)を得た。
【0062】以上、(その1)から(その6)までにお
いて、オキセタン化合物(A)と硬化剤(B)との相溶
性は優れており、これらは溶媒を用いることなく混合で
き、均一な硬化性オキセタン組成物とすることができ
た。
【0063】(実施例1) [硬化性オキセタン組成物の硬化反応]銅箔(厚さ35
μm)を両面に積層したガラスエポキシ材である銅張り
積層板(日立化成工業(株)製 MCL−E−61)の
銅表面を#600相当のブラシをもつ研磨機(三啓
(株)製)を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥し
た。上で得られた硬化性オキセタン組成物(a−1)を
この銅張り積層板に約20μmになるように塗布した。
その後、高圧水銀灯を備えた紫外線照射装置を用いて、
25℃、照度10mW/平方cmの紫外線を2分間照射
した.その後、硬化性オキセタン組成物(a−1)の上
に厚み25μmのテフロン(登録商標)フィルムを重ね
て5分間放置した。硬化性オキセタン組成物(a−1)
が120℃に加熱されるように、あらかじめ加熱してあ
る金属圧子をテフロンフィルム側から押し当てて、20
秒加熱した。室温まで冷却した後、テフロンフィルムを
剥離してオキセタン硬化物(b−1)を得た。
【0064】(実施例2) [硬化性オキセタン組成物の硬化反応] 硬化性オキセ
タン組成物(a−2)を前記銅張り積層板に約20μm
になるように塗布した。その後、高圧水銀灯を備えた紫
外線照射装置を用いて、25℃、照度10mW/平方c
mの紫外線を1分間照射した.その後、5分間放置し
て、80℃で2時間加熱してオキセタン硬化物(b−
2)を得た。
【0065】(実施例3) [硬化性オキセタン組成物の硬化反応]硬化性オキセタ
ン組成物(a−3)を前記銅張り積層板に約20μmに
なるように塗布した。その後、高圧水銀灯を備えた紫外
線照射装置を用いて、25℃、照度10mW/平方cm
の紫外線を2分間照射した.その後、硬化性オキセタン
組成物(a−3)の上に厚み25μmのテフロンフィル
ムを重ねて30秒間放置した。硬化性オキセタン組成物
(a−3)が120℃に加熱されるように、あらかじめ
加熱してある金属圧子をテフロンフィルム側から押し当
てて、20秒加熱した。室温まで冷却した後、テフロン
フィルムを剥離してオキセタン硬化物(b−3)を得
た。
【0066】(実施例4) [硬化性オキセタン組成物の硬化反応] 硬化性オキセ
タン組成物(a−4)を前記銅張り積層板に約20μm
になるように塗布した。その後、高圧水銀灯を備えた紫
外線照射装置を用いて、25℃、照度10mW/平方c
mの紫外線を1分間照射した.その後、1時間放置し
て、80℃で2時間加熱してオキセタン硬化物(b−
4)を得た。
【0067】(実施例5) [硬化性オキセタン組成物の硬化反応]硬化性オキセタ
ン組成物(a−5)を前記銅張り積層板に約20μmに
なるように塗布した。その後、高圧水銀灯を備えた紫外
線照射装置を用いて、25℃、照度10mW/平方cm
の紫外線を2分間照射した.その後、硬化性オキセタン
組成物(a−5)の上に厚み25μmのテフロンフィル
ムを重ねて5分間放置した。硬化性オキセタン組成物
(a−5)が120℃に加熱されるように、あらかじめ
加熱してある金属圧子をテフロンフィルム側から押し当
てて、20秒加熱した。室温まで冷却した後、テフロン
フィルムを剥離してオキセタン硬化物(b−5)を得
た。
【0068】(実施例6)[硬化性オキセタン組成物の
硬化反応] 硬化性オキセタン組成物(a−6)を前記銅張り積層板
に約20μmになるように塗布した。その後、高圧水銀
灯を備えた紫外線照射装置を用いて、25℃、照度10
mW/平方cmの紫外線を2分間照射した。その後、高
圧水銀灯を備えた紫外線照射装置を用いて、25℃、照
度10mW/平方cmの紫外線を1分間照射した.その
後、5分間放置して、120℃で2時間加熱してオキセ
タン硬化物(b−6)を得た。
【0069】(比較例1) [硬化性オキセタン組成物の硬化反応]硬化性オキセタ
ン組成物(a−1)を前記銅張り積層板に約20μmに
なるように塗布した。高圧水銀灯を備えた紫外線照射装
置を用いて、25℃、照度10mW/平方cmの紫外線
を2分間照射し、5分間放置して(b’−1)を得た。
(b’−1)は液状のままで十分に硬化していなかっ
た。
【0070】(比較例2) [硬化性オキセタン組成物の硬化反応]硬化性オキセタ
ン組成物(a−2)を前記銅張り積層板に約20μmに
なるように塗布した。その後、高圧水銀灯を備えた紫外
線照射装置を用いて、25℃、照度10mW/平方cm
の紫外線を1分間照射し、5分間放置して(b’−2)
を得た.(b’−2)は液状のままで十分に硬化してい
なかった.
【0071】[オキセタン硬化物の特性評価] (硬化物のIRスペクトル)実施例1〜6で得られた硬
化物(b−1)〜(b−6)の赤外吸収スペクトルをK
Br錠剤法によって測定すると、いずれも、オキセタン
環由来の980(1/cm)付近のピークが消失してい
ることを確認した。したがって、硬化性オキセタン組成
物(a−1)から(a−6)の硬化反応は充分に進行し
ていることがわかった。
【0072】(密着性の評価)実施例1〜6及び比較例
1,2で得られた銅張り積層板上の硬化塗膜について、
JIS K5400記載の碁盤目テープ法を参考にして
密着性を評価した。具体的には、硬化塗膜に1mm×1
mmの面積になるようにカッターナイフで切込みを入
れ、塗膜表面にセロテープ(登録商標)を貼り付けて剥
離し、銅張り積層板上に残ったオキセタン硬化物の個数
を測定し、残膜率が95〜100%のときに良(○)、
残膜率が95%未満のとき不良(×)と判定した。
【0073】
【表1】 実施例又は比較例 硬化物 密着性 実施例1 b−1 ○ 実施例2 b−2 ○ 実施例3 b−3 ○ 実施例4 b−4 ○ 実施例5 b−5 ○ 実施例6 b−6 ○ 比較例1 b’−1 × 比較例2 b’−2 ×
【0074】以上の結果から、オキセタン化合物(A)
と硬化剤(B)とを含む硬化性オキセタン組成物に活性
光線を照射し、次いで加熱した場合、(実施例1〜6の
いずれも)密着性の高い硬化物が得られることが分かか
る。更に、活性光線照射後の加熱は、120℃程度の比
較的低温で、20秒間程度の短時間においても硬化し
た。これらと比較して、活性光線照射のみで加熱を行な
わなかった比較例1,2は硬化反応が進行せず、密着性
も悪かった。
【0075】
【発明の効果】本発明の硬化方法によれば、高い硬化密
度をもつ硬化物が、迅速に、かつ効率良く得られる。本
発明の硬化方法により得られる硬化物は、不溶不融の三
次元網目構造の硬化物で、優れた機械的性質(引張強
さ、硬さ等)、電気的性質(電気絶縁性、低誘電率
等)、接着性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性等を示すもの
であり、エポキシ樹脂の代替品として、塗料やコーティ
ング剤、つや出しワニス、インキ、塗料、接着剤、電気
絶縁材料、ICや超LSI封止材料、積層板、及びその
他の電気・電子部品、コンクリート構造物の補修、新旧
コンクリートの打継、補強鋼板の接着、各種ライニング
等の土木建築用途、成形材料、複合材料用途、更に導電
粒子を分散させて回路接続用材料用途等の分野への使用
が期待できる。また、40℃未満で活性光線を照射した
段階では硬化反応がほとんど進行しないので、たとえば
活性光線を透過しない材料同士を低温で接着する分野に
特に好適である。更に、張合せ時に精度の高い位置合わ
せを要する場合、本方法によれば張り合わせるまでの猶
予時間をとることができて好都合である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松谷 寛 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社総合研究所内 (72)発明者 西山 信乃 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社総合研究所内 (72)発明者 加藤木 茂樹 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社総合研究所内 Fターム(参考) 4J005 AA07 BB01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オキセタニル基及び水酸基をもつオキセタ
    ン化合物と、硬化剤とを含んでなる硬化性オキセタン組
    成物を、活性光線の照射と加熱とを組み合わせて硬化さ
    せる、硬化性オキセタン組成物の硬化方法。
  2. 【請求項2】活性光線の照射ののち加熱を行う、請求項
    1の硬化方法。
  3. 【請求項3】活性光線を照射する温度は40℃以下、そ
    の照射時間は0.01秒〜1時間である、請求項1又は
    2の硬化方法。
  4. 【請求項4】加熱の温度は40〜200℃、その時間は
    0.1秒〜50時間である、請求項1〜3のいずれかの
    硬化方法。
  5. 【請求項5】オキセタニル基及び水酸基をもつオキセタ
    ン化合物は、2個以上のオキセタニル基及び1個以上の
    水酸基をもつ化合物である、請求項1〜4のいずれかの
    硬化方法。
  6. 【請求項6】硬化剤は、カチオン重合開始剤である、請
    求項1〜5のいずれかの硬化方法。
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