JP2006249357A - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】均一な硬化物となりうる硬化性樹脂組成物の提供。
【解決手段】ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物を含むカチオン重合性化合物と、光カチオン重合開始剤と、熱・光カチオン重合開始剤および/または熱カチオン重合開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物に関する。
情報記録分野、情報関連分野等に用いられる光硬化性樹脂について、樹脂組成物を、紫外線、可視光線、紫外線レーザー光のような光エネルギーにより光重合反応させる方法が検討されている。
例えば、特許文献1には、炭素繊維強化複合材(CFRP)のようなエネルギー線の遮蔽性が高い樹脂組成物系に特定の2元系以上からなる光重合開始剤系(反応触媒系)を存在させることによりUVを照射するだけで樹脂組成物を完全に硬化させることを目的とした技術が記載されている。具体的には、UVに代表されるエネルギー線を樹脂組成物に照射した際、エネルギー線源からのエネルギーとは別のエネルギーを樹脂内部に自己発生させ、更に発生したエネルギーにより連続的にかかるエネルギーを発生させ、かかるエネルギーもしくはかかるエネルギーとエネルギー線源からのエネルギーにより樹脂組成物を硬化させることを特徴とする樹脂硬化方法が記載されている。
また、特許文献2には、可視光または紫外線レーザー光を光源とすることにより連鎖硬化を可能とする高感度の感光性樹脂組成物および硬化方法を提供することを目的とした技術が記載されている。具体的には、可視光線または紫外線レーザー光を照射した際、樹脂内部にカチオンを発生させて樹脂の硬化を行い、その硬化反応熱により熱・光分解型硬化促進剤を分解させてカチオンを発生させる連鎖反応を伴い、樹脂組成中の反応熱エネルギーおよびカチオンのエネルギーにより樹脂内にエネルギー線遮蔽物の存在の有無に関わらず連鎖硬化するようにした感光性樹脂組成物において、特定量の(a)光カチオン重合開始剤(b)熱・光分解型硬化促進剤(c)カチオン重合または架橋反応により高分子量化する化合物1種以上を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物が記載されている。
特開平11−193322号公報 特開2001−2760号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、特許文献1に記載されている組成物や特許文献2に記載されている樹脂組成物に対し、部分的に光を照射して硬化物を得ようとする場合、これらの組成物は光が照射された部分から離れるほど硬化しにくく、得られる硬化物が均一ではないという問題があることを見出した。
そこで、本発明は、均一な硬化物となりうる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記問題について鋭意検討した結果、特定のオキセタン系化合物と、光カチオン重合開始剤と、熱・光カチオン重合開始剤および/または熱カチオン重合開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物が、部分的な光エネルギーの照射によって、均一な硬化物となりうることを知見した。本発明者はこれらの知見に基づき、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(3)を提供する。
(1)ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物を含むカチオン重合性化合物と、光カチオン重合開始剤と、熱・光カチオン重合開始剤および/または熱カチオン重合開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物。
(2)上記(1)に記載の硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸させることにより得られうるプリプレグ。
(3)上記(2)に記載のプリプレグを硬化させることにより得られうる繊維強化複合材料。
本発明の硬化性樹脂組成物は、均一な硬化物となりうる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう。)は、ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物を含むカチオン重合性化合物と、光カチオン重合開始剤と、熱・光カチオン重合開始剤および/または熱カチオン重合開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物である。
カチオン重合性化合物について説明する。
カチオン重合性化合物としては、ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物が含まれる。
ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物について以下に説明する。
ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物は、少なくとも1個のヒドロキシ基と少なくとも1個のオキセタン基とを有する化合物であれば特に制限されない。
オキセタン基は、下記式(I)で表される基である。
Figure 2006249357
式中、Raは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、1価の芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基を含有する1価の炭化水素基のいずれかを表し、炭素数1〜5のアルキル基、1価の芳香族炭化水素基および芳香族炭化水素基を含有する1価の炭化水素基は、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基のような官能基を有することができる。
炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基が挙げられる。1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ヒドロキシフェニル基、ナフチル基が挙げられる。芳香族炭化水素基を含有する1価の炭化水素基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基が挙げられる。
ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物としては、例えば、下記式(II)で表されるオキセタン系化合物が挙げられる。
Figure 2006249357
式中、Raは式(I)と同様であり、Rbは炭素数1〜5のアルキレン基または2価の芳香族炭化水素基を表し、ヒドロキシ基はRbのアルキレン基中のいずれの炭素原子にも結合することができる。
炭素数1〜5のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、t−ブチレン基、n−ペンチル基が挙げられる。2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ヒドロキシフェニレン基が挙げられる。
具体的なオキセタン系化合物としては、例えば、下記式(III)で表される3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンが挙げられる。
Figure 2006249357
中でも、式(III)で表されるオキセタン3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンが、架橋時の架橋点間の分子量が小さくなることにより硬化物の耐熱性に優れるという観点から好ましい。
ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物は、耐熱性の観点から、1分子内に、芳香族炭化水素基を有するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物は、その製造方法について、特に制限されない。例えば、従来公知の方法に従って製造することができる。具体的には、例えば、特開平10−158255号公報に記載されている製造方法が挙げられる。
ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物の量は、カチオン重合性化合物中、1〜100質量%であるのが好ましい。このような範囲の場合、重合性に優れる。また、ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物の量は、カチオン重合性化合物中、1〜40質量%であるのがより好ましい。このような範囲の場合、重合発熱を利用した連鎖反応性に優れる。
カチオン重合性化合物は、ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物以外のカチオン重合性化合物を含むことができる。
ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物以外のカチオン重合性化合物としては、例えば、カチオン重合性基を分子内に少なくとも1つ有するものが挙げられる。
カチオン重合性基は、特に限定されず、例えば、エポキシ基(例えば、脂環式エポキシ基、2−メチルエポキシ基)、オキセタンの炭素原子から少なくとも1つの水素原子を除去して得られるオキセタン残基、ビニルオキシ基、イソブチレンの炭素原子から少なくとも1つの水素原子を除去して得られるイソブチレン残基、シクロペンタジエンの炭素原子から少なくとも1つの水素原子を除去して得られるシクロペンタジエン残基が挙げられる。
ビニルオキシ基としては、例えば、無置換のビニルオキシ基、ビニル基上の水素原子をアルキル基で置換されたビニルオキシ基が挙げられる。具体的には例えば、ビニルオキシ基、2−メチル−ビニルオキシ基が挙げられる。
カチオン重合性化合物は、熱により架橋しうる基(以下、「架橋性基」ともいう。)を有するのが好ましい。
架橋性基としては、例えば、エポキシ基、イソシアネート基、アクリロイル基、オキセタン残基、ビニルオキシ基が挙げられる。カチオン重合性化合物が架橋性基を有する場合、例えば、外部からの熱やカチオン重合反応の反応熱により架橋されて硬化が進行するため硬化性に優れた組成物が得られる。
カチオン重合性化合物としては、例えば、エポキシ化合物、ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物以外のオキセタン化合物、ビニルオキシ基含有化合物、イソブチレン化合物、シクロペンタジエン化合物、環状エーテル類、環状ケトン類、ラクトン類、ビニルアレーン類、脂環式ビニル化合物、スピロオルソエステル類、スピロオルソカーボネート類、架橋性基含有芳香族化合物が挙げられる。
ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物以外のカチオン重合性化合物としては、耐熱性が高く、カチオンとの反応性が高い点から、エポキシ化合物が好ましい態様の1つとして挙げられる。また、耐熱性の観点から、架橋性基含有芳香族化合物が好ましい態様の1つとして挙げられる。
エポキシ化合物としては、具体的には、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等の1官能性エポキシ化合物;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネート、ヒダントインエポキシ等の含複素環エポキシ樹脂;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトール−ポリグリシジルエーテル等の脂肪族系エポキシ樹脂;芳香族、脂肪族または脂環式のカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂;スピロ環含有エポキシ樹脂;o−アリル−フェノールノボラック化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ビスフェノールAのそれぞれの水酸基のオルト位にアリル基を有するジアリルビスフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;シッフ系化合物、スチルベン化合物およびアゾベンゼン化合物のジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシイソプロピル)シクロヘキサンとエピクロルヒドリンとの反応生成物等の含フッ素脂環式、芳香炭化水素基含有エポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ化合物の中でも、脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル樹脂が好ましい。更に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルペンチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、グリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルが好ましい。
架橋性基含有芳香族化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロペニルスチレン、1−プロペニルスチレン、フェニルイソシアネート、芳香族炭化水素基含有エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ビスマレイミド類をDiels−Alder付加反応させることにより得られる化合物が挙げられる。
ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物以外のカチオン重合性化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物以外のカチオン重合性化合物の量は、カチオン重合性化合物中、1〜100質量%であるのが好ましく、1〜40質量%であるのがより好ましい。このような範囲の場合、重合発熱を利用した連鎖反応性に優れる。
光カチオン重合開始剤について以下に説明する。
光カチオン重合開始剤は、光エネルギー(例えば、紫外線、紫外線レーザー光、可視光線、赤外線)を与えられることにより、カチオン重合を開始させることが可能な化合物である。
光カチオン重合開始剤は、特に限定されない。具体的には、例えば、ジアゾニウム塩タイプ、ヨードニウム塩タイプ、ホスホニウム塩タイプ、スルホニウム塩タイプ等のオニウム塩タイプ;ピリニジウム塩タイプ;鉄−アレーン化合物タイプ;スルホン酸エステルタイプ、ホウ素化合物が挙げられる。
これらのうち、鉄−アレーン化合物タイプが好ましい態様の1つとして挙げられる。具体的には例えば、下記式(1)〜式(3)で表される鉄−アレーン錯体系化合物が挙げられる。下記式(1)〜式(3)で表される鉄−アレーン錯体系化合物は、可視光領域(400〜500nm)に吸収を有し配位子交換を経て重合しうる。
Figure 2006249357
式(1)〜式(3)中、X-は、BF4 -、PF6 -、AsF6 -またはSbF6 -を表し、R1はアルキル基を表す。
光カチオン重合開始剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
光カチオン重合開始剤の量は、カチオン重合性化合物100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。この範囲であると、反応性が良好であり、また、硬化物の硬度が低下してゲル状となることがない。
熱・光カチオン重合開始剤について以下に説明する。
熱・光カチオン重合開始剤は、光エネルギーおよび/または熱エネルギーを受けることによりカチオン重合を開始させることができる化合物である。
熱・光カチオン重合開始剤は、特に限定されない。具体的な熱・光カチオン重合開始剤としては、例えば、下記式(4)または式(5)で表されるスルホニウム塩の少なくとも1種を含む化合物、下記式(6)または式(7)で表されるオニウム塩の少なくとも1種を含む化合物、下記式(8)〜式(10)のいずれかで表される化合物が挙げられる。
Figure 2006249357
式(4)〜式(7)中、X-は式(1)〜式(3)と同様であり、R2は、H、CH3、ハロゲンまたはNO2を表し、R3は、H、CH3C(=O)またはCH3OC(=O)を表す。
式(8)中、X-は式(1)〜式(3)と同様であり、R4は、H、CH3、アセチル基またはメトキシカルボニル基であり、R5は、それぞれ独立に、H、ハロゲンまたは炭素数1〜4のアルキル基であり、R6は、H、ハロゲンまたはメトキシ基であり、R7は、炭素数1〜4のアルキル基である。
式(9)中、R8は、炭素数1〜18の脂肪族基、R9は、炭素数1〜18の脂肪族基または炭素数6〜18の置換もしくは非置換の芳香族基であり、R8とR9は互いに結合して環を形成することができる。Yは、下記式(11)で表されるスルホニオ基、H、ハロゲン、ニトロ基、アルコキシ基、炭素数1〜18の脂肪族基、炭素数6〜18の置換もしくは非置換のフェニル基、フェノキシ基またはチオフェノキシ基である。Z-は、MQまたはMQp-1OHで表される陰イオンであり、MはB、P、AsまたはSbであり、Qはハロゲン原子であり、pは4または6の整数である。n、mは、それぞれ独立に、1〜2の整数である。
Figure 2006249357
式(11)中、R8、R9は、上記式(9)と同様である。
式(10)中、X-は式(1)〜(3)と同様であり、R10は、それぞれ独立に、Hまたは炭素数1〜4のアルキル基である。
熱・光カチオン重合開始剤としては、式(4)〜(10)の化合物の他に、例えば、ベンジルスルホニウム塩やホスホニウム塩等任意のオニウム塩が挙げられる。中でも、ピレニルホスホニウム塩は、ピレニルメチルカチオン生成効率がよい。
熱・光カチオン重合開始剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱・光カチオン重合開始剤の量は、カチオン重合性化合物100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。この範囲であると、反応性が良好であり、また、硬化物の硬度が低下してゲル状となることがない。
熱カチオン重合開始剤について以下に説明する。
熱カチオン重合開始剤は、熱エネルギーを受けることにより、カチオン重合を開始させることが可能な化合物である。熱カチオン重合開始剤としては、具体的には、例えば、下記式(12)〜式(15)のいずれかで表される化合物が挙げられる。
Figure 2006249357
熱カチオン重合開始剤の量は、カチオン重合性化合物100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。この範囲であると、反応性が良好であり、また、硬化物の硬度が低下してゲル状となることがない。
本発明の硬化性樹脂組成物は、ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物および光カチオン重合開始剤のほかに、熱・光カチオン重合開始剤と熱カチオン重合開始剤とのいずれか、または、熱・光カチオン重合開始剤および熱カチオン重合開始剤を含有する。
本発明の硬化性樹脂組成物が熱・光カチオン重合開始剤および熱カチオン重合開始剤を含有する場合、熱・光カチオン重合開始剤および熱カチオン重合開始剤の合計量は、カチオン重合性化合物100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。この範囲であると、反応性が良好であり、また、硬化物の硬度が低下してゲル状となることがない。
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損わない範囲で、例えば、熱可塑性樹脂、プロトン酸(ブレンステッド酸)開始剤、ルイス酸化合物、充填剤、反応遅延剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、接着付与剤、帯電防止剤等の各種添加剤を含有することができる。これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ナイロン、ポリイミドが挙げられる。
プロトン酸(ブレンステッド酸)開始剤としては、無機酸および有機酸が挙げられる。無機酸としては、具体的には、例えば、硫酸、塩酸、硝酸;CF3SO3H、ClSO3H、FSO3H、HClO4等の超強酸が挙げられる。有機酸としては、具体的には、例えば、CF3COOH、CCl3COOHが挙げられる。
プロトン酸(ブレンステッド酸)開始剤は、カチオン重合性化合物100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。この範囲であると、反応性が良好であり、また、硬化物の硬度が低下してゲル状となることがない。
ルイス酸化合物としては、例えば、ZnCl2、ZnI2、ZnBr2等の亜鉛化合物;SnCl2等のスズ化合物;TiCl4、Ti(OC254、Ti(OCH(CH324、Ti(OC494等のチタン化合物;BCl3、BF3等のホウ素化合物;C25AlCl2等のアルミニウム化合物;ZrCl4、Zr(OC494等のジルコニウム化合物が挙げられる。中でも、カチオンを安定化する能力が高く、少量で反応速度を制御できる点から、亜鉛化合物が好ましい態様の1つである。また、液状で混合しやすいという点からチタン化合物が好ましい態様の1つである。
ルイス酸化合物の量は、カチオン重合性化合物100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。この範囲であると、反応速度を適切に制御でき、均一で透明な硬化物が得られる。均一で透明な硬化物が得られ、かつ、ある程度の反応速度を維持できる点から、ルイス酸化合物の量は、カチオン重合性化合物100質量部に対して0.1〜3質量部がより好ましく、0.1〜1質量部が更に好ましい。
充填剤としては、各種形状の有機または無機の充填剤が挙げられる。具体的には、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ;ケイソウ土;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;カーボンブラック;これらの脂肪酸処理物、樹脂酸処理物、ウレタン化合物処理物、脂肪酸エステル処理物が挙げられる。
反応遅延剤としては、具体的には、例えば、アルコール系等の化合物が挙げられる。
老化防止剤としては、具体的には、例えば、ヒンダードフェノール系等の化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)が挙げられる。
顔料としては、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノナフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料、カーボンブラック等の有機顔料が挙げられる。
可塑剤としては、具体的には、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP);アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステルが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
揺変性付与剤としては、具体的には、例えば、エアロジル(日本エアロジル(株)製)、ディスパロン(楠本化成(株)製)が挙げられる。
接着付与剤としては、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂が挙げられる。
難燃剤としては、具体的には、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、臭素原子および/またはリン原子含有化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテルが挙げられる。
帯電防止剤としては、具体的には、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物が挙げられる。
本発明の組成物の製造方法は、特に限定されない。例えば、反応容器に各必須成分と任意成分とを入れ、減圧下で混合ミキサー等のかくはん機を用いて十分に混練する方法が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物が、例えば、光エネルギーおよび/または熱エネルギーを受けて、光カチオン重合開始剤、熱カチオン重合開始剤、熱・光カチオン重合開始剤のうちの少なくとも1種が活性化され、カチオン重合が開始されると(開始反応)、成長反応において、ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物が、カチオン重合体の活性点に次々と反応し、カチオン重合の成長反応を促進することができる。本発明の硬化性樹脂組成物におけるカチオン重合の成長反応の促進は、ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物がエポキシ基より塩基性の高いオキセタン基を有することによって、成長反応が速くなるためと本発明者は推測する。
また、本発明者は、ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物が、カチオン重合の活性点と連鎖移動反応を起こし、カチオン重合の新たな活性点となりうることを見出して本発明を完成させたのである。ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物は、エポキシ樹脂よりも連鎖移動反応性が高く、カチオン重合の連鎖移動反応を促進することができる。このような連鎖移動反応の促進は、オキセタン系化合物中のヒドロキシ基によるものと本発明者は推測する。
本発明の硬化性樹脂組成物における連鎖移動反応は活発なため、得られる重合体は低分子量のものを多く含む。そのため連鎖反応の進行に効果的である。
さらに、連鎖移動反応性を高めるため、本発明者は、硬化性樹脂組成物に、熱・光カチオン重合開始剤および/または熱カチオン重合開始剤を添加することを見出した。例えば、カチオン重合で発生しうる反応熱により、熱・光カチオン重合開始剤および/または熱カチオン重合開始剤は活性化され、新たなカチオンを発生させうる。これにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、光エネルギーが及ばない部分でもカチオン重合の開始反応、成長反応および連鎖移動反応が起こることが可能なのである。
このように、本発明の硬化性樹脂組成物が部分的に光エネルギーおよび/または熱エネルギーを受けて連鎖反応を起こす場合、ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物が、カチオン重合の成長反応および連鎖移動反応を促進して、本発明の硬化性樹脂組成物を均一に硬化させうるのである。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、一旦重合が開始されると、例えば、反応熱により熱・光カチオン重合開始剤および/または熱カチオン重合開始剤が活性化され、カチオン重合の開始反応、成長反応および連鎖移動反応を起こし、本発明の硬化性樹脂組成物を均一に硬化させうるのである。
上述のように、本発明の硬化性樹脂組成物は、均一な硬化物となりうる。
本発明の組成物は、本発明の組成物が有する特性を活かして広範な用途に用いることができる。具体的には例えば、接着剤、封止剤、塗料、コーティング剤、インキ、トナー、シーラント、プリプレグのマトリクス樹脂、光造形用樹脂が挙げられる。
次に、本発明のプリプレグについて説明する。
本発明のプリプレグは、本発明の硬化性樹脂組成物を、強化繊維に含浸させることにより得られうるプリプレグである。
使用される硬化性樹脂組成物は、本発明の硬化性樹脂組成物であれば特に制限されない。
強化繊維は、特に制限されない。例えば、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、高強度ポリエチレン繊維、タングステンカーバイド繊維、PBO繊維、ガラス繊維、金属繊維が挙げられる。中でも、軽量化の観点から、炭素繊維が好ましい。
強化繊維は、その形態について特に制限されない。例えば、強化繊維を一方向に引き揃えた一方向材、製織した織物、短く裁断した強化繊維からなる不織布が挙げられる。
織物の場合は、平織、綾織、朱子織、ノンクリンプトファブリックに代表される、繊維束を一方向に引き揃えたシート、角度を変えて積層したようなシートをほぐれないようにステッチしたステッチングシートが挙げられる。
プリプレグの製造は、硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸させるものであれば、特に制限されない。例えば、従来公知の方法に従って製造することができる。
プリプレグに含まれる硬化性樹脂組成物の量は、特に制限されない。実用性の観点から、プリプレグ中、40〜60体積%であるのが好ましい。
次に、本発明の繊維強化複合材料について説明する。
本発明の繊維強化複合材料は、本発明のプリプレグを硬化させることにより得られうる繊維強化複合材料である。
使用されるプリプレグは、本発明のプリプレグであれば特に制限されない。
繊維強化複合材料は、その成形方法について、特に制限されない。例えば、従来公知の成形方法を用いることができる。具体的には例えば、ハンドレイアップ成形、スプレイアップ成形のようなオープンモールド成形;オートクレーブ成形、真空バック成形、内圧成形、圧縮成形のようなプレス成形;レジントランスファーモールディング(RTM)、フィラメントワインディング(FW)、テープワインディング、ロールワインディング、引き抜き成形、ロールプレス連続成形、インジェクションモービル、反応射出成形(RIM)が挙げられる。
繊維強化複合材料の成形は、エネルギー線を照射する工程を具備するのが好ましい。
エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、X線、赤外線、太陽光線、可視光線、レーザー(例えば、エキシマレーザー、O2レーザー)、熱線(例えば、放射、輻射)、熱が挙げられる。
本発明の繊維強化複合材料は、その用途について特に制限されない。例えば、オートバイフレーム、カウル、フェンダー等の二輪車部品;ドア、ボンネット、テールゲート、サイドフェンダー、側面パネル、フェンダー、エネルギー吸収部材、トランクリッド、ハードップ、サイドミラーカバー、スポイラー、ディフューザー、スキーキャリアー、エンジンシリンダーカバー、エンジンフード、シャシー、エアースポイラー、プロペラシャフト等の自動車部品;先頭車両ノーズ、ルーフ、サイドパネル、ドア、台車カバー、側スカートなどの車輌用外板;荷物棚、座席等の鉄道車輌部品;インテリア、ウイングトラックにおけるウイングのインナーパネル、アウターパネル、ルーフ、フロアー等、自動車や単車に装着するやサイドスカートなどのエアロパーツ;窓枠、荷物棚、座席、フロアパネル、翼、プロペラ、胴体等の航空機部品;ノートパソコン、携帯電話等の筐体用途;X線カセッテ、天板等のメディカル用途;フラットスピーカーパネル、スピーカーコーン等の音響製品用途;ゴルフヘッド、フェースプレート、スノーボード、サーフィンボード、プロテクター等のスポーツ用品用途;板バネ、風車ブレード、エレベーター(籠パネル、ドア)のような一般産業用途が挙げられる。
本発明のプリプレグにおいて、使用される硬化性樹脂組成物は、ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物を含有する。ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物は、上述のとおり、カチオン重合の成長反応および連鎖移動反応を促進しうる。このようなヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物の作用によって、本発明のプリプレグの一部分に対して光が照射される場合、本発明のプリプレグは、照射を受けた部分から離れた部分でもカチオン重合が十分起こり、その結果全体が均一に硬化した繊維強化複合材料となりうる。
また、硬化性樹脂組成物中の熱・光カチオン重合開始剤および/または熱カチオン重合開始剤は、光が照射されない部分において、例えば、カチオン重合による反応熱によって活性化され、カチオン重合を開始させることができる。このことにより、本発明のプリプレグは、照射を受けない部分でもカチオン重合が十分起こり、全体が均一に硬化した繊維強化複合材料となりうる。
また、本発明のプリプレグは、エネルギー線を遮蔽する性質を有する物質(例えば、炭素;短繊維、長繊維、連続繊維、カーボンクロスのような炭素繊維;無機フィラー;金属粉)を含有する場合も、上述のとおり、カチオン重合が促進され、全体が均一に硬化した繊維強化複合材料となりうる。
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.硬化性樹脂組成物の調製
下記第1表の各成分を、第1表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第1表に示される各組成物を得た。
2.硬化性樹脂組成物の評価
得られた各組成物について、下記の方法により、光示差走査熱量測定(光DSC)、示差走査熱量測定(DSC)、硬化物の動的粘弾性測定(DMA)および反応開始温度の評価を行った。
(1)光DSC
光化学反応熱熱量計(PDC121、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて、測定温度25℃、Hg−Xeランプ(200W)により照度10mW/cm2で紫外線(365nm)を照射して光示差走査熱量測定を行った。各硬化性樹脂組成物について、照射後0〜10分の熱流(W/g)の積分値(J/g)を算出した。光DSCにおける熱流の積分値は、紫外線に対する硬化性樹脂組成物の発熱量を示し、熱流の積分値が大きいほど紫外線に対する反応性が高いことを示す。熱流の積分値の結果を第1表に光DSCとして示す。また、実施例1〜3および比較例1について得られた光DSCのチャートを図1に示す。
(2)DSC
DSC(2920 Modulated DSC、ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて、昇温速度10℃/分で室温から350℃の範囲で示差走査熱量測定を行った。各硬化性樹脂組成物について、室温から350℃の範囲の熱流(W/g)の積分値(J/g)を算出した。DSCにおける熱流の積分値の結果をDSCとして第1表に示す。また、実施例1〜3および比較例1について得られたDSCのチャートを図2に示す。
(3)反応開始温度
DSCで得られたチャートにおいて、最も急激に熱流が上昇しはじめたときの温度を反応開始温度とした。結果を第1表に示す。
Figure 2006249357
Figure 2006249357
上記第1表中の各成分は、下記のとおりである。
カチオン重合性化合物(下記式(16)に示す化合物):CY−179、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製
オキセタン系化合物(下記式(17)に示す化合物):OXT−101、東亜合成社製
光カチオン重合開始剤(スルホニウム塩):SP−170、旭電化工業社製
熱・光カチオン重合開始剤(スルホニウム塩):SI−60L、三新化学工業社製
Figure 2006249357
図1および第1表に示す結果から明らかなように、実施例1〜7の硬化性樹脂組成物は、比較例1の硬化性樹脂組成物に比べて、紫外線に対する発熱量が増大していることから、紫外線に対する反応性が高いことがわかる。
また、図2および第1表に示す結果から明らかなように、実施例1〜7の硬化性樹脂組成物は、比較例1の硬化性樹脂組成物に比べて、反応開始時間が低温側にシフトしており、熱に対する反応性が高いことがわかる。
3.繊維強化複合材料の調製
(1)硬化性樹脂組成物の調製
下記第2表の各成分を、第2表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第2表に示される各硬化性樹脂組成物を得た。なお、第2表に示す各成分は、第1表の成分と同様である。
(2)プリプレグの作製
得られた各硬化性樹脂組成物を炭素繊維(T300−6K、東レ社製)に含浸させて、7plyで、縦5cm、横12.7cm、厚さ3mmのプリプレグを作製した。
(3)プリプレグの硬化試験
得られたプリプレグを用いて、硬化試験を行った。硬化試験は、添付の図3に示すような硬化試験装置を用いた。図3は、プリプレグの硬化試験装置およびこれに設置されたプリプレグを模式的に示した断面図である。プリプレグの硬化試験において、まず、硬化試験装の下層部に当たる遮蔽板4、ガラス板5、バグフィルム8を重ね、プリプレグ1を当該バグフィルム8の上に設置する。次に、封止体9aをプリプレグ1の一方の端部に密着させて設置し、封止体9bをプリプレグ1のもう一方の端部から1.6cm離して設置する。封止体9bとプリプレグ1の端部とのすき間(樹脂溜り、図示せず)に、プリプレグ1からはみ出た硬化性樹脂組成物が溜まる。次に、プリプレグ1の上に、硬化試験装の上層部に当たるバグフィルム8、ガラス板5、遮蔽板4を配置する。プリプレグ1の上に配置された遮蔽板4の一部は、紫外線7をプリプレグ1に照射するため、一部が開口されている。プリプレグ中には熱電対6が5箇所設置されている。紫外線が照射される部分から最も離れた位置の熱電対6aは、封止体9aと接するように設置されている。図3において、封止体9aと封止体9bとの間の距離は14.3cmであり、プリプレグの幅は12.7cmである。
次に、遮蔽板4の開口部(縦5.0cm、横1.6cm)から、ピーク照度1.0W/cm2〔日本電池社製のUVチェッカーにより測定(300〜390nm)〕の紫外線7を60秒間樹脂溜りに照射し、プリプレグ1を硬化させた。
このとき、熱電対6aが150℃以上の温度による電位差を感知した場合(連鎖反応が端部まで起こったことを示す)、連鎖反応性が良好であるとして、第2表中の連鎖反応性を○とした。一方、熱電対が150℃未満の温度による電位差を感知した場合(連鎖反応が端部まで起こらなかったことを示す)、連鎖反応性が不良であるとして、第2表中の連鎖反応性を×とした。
Figure 2006249357
実施例8のプリプレグは、紫外線照射部より発熱が徐々に進行し、均一に硬化した繊維強化複合材料〔Vf(繊維体積含有率):40vol%〕が得られた。
これに対して、比較例2のプリプレグは端部まで硬化せず、硬化物は得られなかった。
第2表に示す結果から明らかなように、実施例8のプリプレグは良好な連鎖反応性を示し、均一に硬化した繊維強化複合材料が得られた。これに対して比較例2のプリプレグは連鎖反応性が不良で、硬化物が得られなかった。このことから、本発明のプリプレグに光エネルギーが部分的に与えられる場合、光エネルギーをきっかけとした重合反応が起こり、例えば、重合反応によって発生した発熱を利用して連鎖反応が促進され、端部まで重合が進み、均一に硬化した繊維強化複合材料を得ることができると本発明者は推察する。
図1は、実施例1〜3および比較例1の硬化性樹脂組成物の硬化物の光DSCチャートである。 図2は、実施例1〜3および比較例1の硬化性樹脂組成物の硬化物のDSCチャートである。 図3は、プリプレグの硬化試験装置およびこれに設置されたプリプレグを模式的に示した断面図である。
符号の説明
1 プリプレグ
2 強化繊維
3 硬化性樹脂組成物
4 遮蔽版
5 ガラス板
6、6a 熱電対
7 紫外線
8 バグフィルム
9a、9b 封止体

Claims (3)

  1. ヒドロキシ基を有するオキセタン系化合物を含むカチオン重合性化合物と、
    光カチオン重合開始剤と、
    熱・光カチオン重合開始剤および/または熱カチオン重合開始剤と
    を含有する硬化性樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸させることにより得られうるプリプレグ。
  3. 請求項2に記載のプリプレグを硬化させることにより得られうる繊維強化複合材料。
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