JP4805007B2 - ヤーンプリプレグ、繊維強化複合材料、自動積層成形方法及び繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents

ヤーンプリプレグ、繊維強化複合材料、自動積層成形方法及び繊維強化複合材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、航空機部材、衛星、ロケット、宇宙往還機などの宇宙機部材及び自動車部材などに用いられるヤーンプリプレグ、繊維強化複合材料、自動積層成形方法及び繊維強化複合材料の製造方法に係り、特に、活性エネルギー線の照射により硬化可能なヤーンプリプレグ、繊維強化複合材料、自動積層成形方法及び繊維強化複合材料の製造方法に関する。
従来、強化繊維と樹脂組成物からなるプリプレグを用いた繊維強化複合材料は、軽量でありながら強度、剛性、耐衝撃性などの機械物性に優れるため、航空機部材、宇宙機部材、人工衛星部材、自動車部材、鉄道車両部材、船舶部材およびスポーツ用具部材などの数多くの分野に応用されている。使用される強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維およびアラミド繊維などが挙げられ、樹脂組成物としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂およびビスマレイミド樹脂などが挙げられる。
繊維強化複合材料の用いられる分野のうち、航空機部材と宇宙機部材では、特に優れた機械物性や耐熱性が要求される。そのため、強化繊維としては炭素繊維が一般的に用いられる。また、樹脂組成物としては熱硬化性樹脂が好ましく、中でも、耐熱性、弾性率、耐薬品性および硬化収縮の観点から、エポキシ樹脂とポリアミンとの組み合わせがより好ましい。
また、プリプレグとしては、離型紙または離型フィルムを用いず、炭素繊維束に直接樹脂を含浸させ、そのまま巻き取ることにより準備されるいわゆるヤーンプリプレグが好ましい。ヤーンプリプレグとしては、一般的に、熱硬化および熱可塑性樹脂を用いたものが知られており、巻き取り長が長く、経済性に優れているという利点がある。
このようなヤーンプリプレグを用いた繊維強化複合材料の製造方法としては、オートクレーブなどによる加熱・加圧成形が主流であるが、高コスト化、成形設備の大型化、成形サイズの制限、複雑形状成形の困難性、成形物中の残留熱応力による強度低下やクラックの発生などの問題があった(例えば、特許文献1参照)。
そこで、近年、加熱工程を必要としない自動積層成形方法を用いた繊維強化複合材料の製造方法の確立が重要視されており、紫外線又は可視光などの活性エネルギー線によって硬化するヤーンプリプレグを利用した方法が開発されている。
活性エネルギー線にて硬化するヤーンプリプレグとしては、30℃での粘度が数Pa・sといった樹脂組成物を用いた、常時粘着性(タック性)のあるウェットタイプのものが知られている(例えば、特許文献2〜4参照)。
特開2004−050574号公報 特開平8−57971号公報 特開2001−2760号公報 特開平11−193322号公報
しかしながら、使用する樹脂組成物の粘度が、数Pa・sでありヤーンプリプレグに常時粘着性がある場合、成形治具上に押圧する際の粘着性には優れるものの、自動積層装置中のガイド等に粘着してしまいガイド通過性が低く、ボビンから巻き出す際に単糸切れが生じてしまい解舒できないという問題があった。
本発明の目的はこのような点に鑑みてなされたものであり、巻き出す際には粘着性が小さくガイド通過性や解舒性に優れ、成形治具上に押圧する際には粘着性が大きく、しかも、活性エネルギー線の照射により硬化させることができるヤーンプリプレグ並びにそれを用いた繊維強化複合材料、自動積層成形方法及び繊維強化複合材料の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
強化繊維束及びカチオン重合性樹脂組成物を含むヤーンプリプレグにおいて、
前記カチオン重合性樹脂組成物は、カチオン重合性化合物、カチオン重合開始剤及び熱可塑性樹脂を含んでおり、30℃における粘度が1×10〜1×10Pa・s、80℃における粘度が1〜300Pa・sであることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のヤーンプリプレグにおいて、
波長200〜600nm、照度0.1〜20W/cm、露光量0.1〜50J/cmの活性エネルギー線を照射することにより硬化することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のヤーンプリプレグにおいて、
前記カチオン重合性樹脂組成物は、ガラス転移温度が−30〜30℃であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のヤーンプリプレグにおいて、
前記カチオン重合性樹脂組成物は、30℃における粘度が3×10〜3×10Pa・s、80℃における粘度が10〜200Pa・sであることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のヤーンプリプレグにおいて、
前記熱可塑性樹脂は、前記カチオン重合性化合物100重量部に対して0.5〜50重量部配合されてなることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のヤーンプリプレグにおいて、
前記熱可塑性樹脂は、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン及びポリウレタンのうちの少なくとも1つであることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のヤーンプリプレグにおいて、
前記カチオン重合開始剤は、ルイス酸のヨードニウム塩及び/又はルイス酸のスルホニウム塩であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のヤーンプリプレグにおいて、
前記カチオン重合性樹脂組成物は、光増感剤を含むことを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、繊維強化複合材料において、
請求項1〜8のいずれか一項に記載のヤーンプリプレグを硬化してなることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、自動積層成形方法において
請求項1〜8のいずれか一項に記載のヤーンプリプレグを、加熱し粘着性を持たせて積層することを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、繊維強化複合材料の製造方法において、
請求項1〜8のいずれか一項に記載のヤーンプリプレグを、ボビンから解舒し、加熱し軟化させて粘着性を持たせ、成形治具上に押圧して積層し、一層積層するごとに活性エネルギー線を照射させて硬化させることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の繊維強化複合材料の製造方法において、
40〜150℃に加熱したコンパクションローラを用いて、前記ヤーンプリプレグを加熱させるとともに押圧することを特徴とする。
本発明によれば、ボビンから巻きだす際には粘着性が小さくガイド通過性や解舒性に優れ、成形治具上に押圧する際には粘着性が大きく、かつ、活性エネルギー線の照射により硬化させることができるヤーンプリプレグを提供することができる。また、本発明に係るヤーンプリプレグを用いた繊維強化複合材料の提供することができる。さらに、本発明に係るヤーンプリプレグを用い、自動積層成形方法及び繊維強化複合材料の製造方法の生産性を向上させることが可能である。
本発明に係るヤーンプリプレグは、少なくとも強化繊維束及びカチオン重合性樹脂組成物を含むものであって、カチオン重合性樹脂組成物はカチオン重合性化合物、カチオン重合開始剤及び熱可塑性樹脂を含むものである。以下、各成分について説明する。
本発明に用いられる強化繊維束とは、強化繊維を合糸又は分繊して得られるものである。強化繊維として特に制限は無く、繊維強化複合材料の使用される分野に応じたものが適用可能である。具体例としては、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、タングステンカーバイド繊維、ガラス繊維などが挙げられ、これらを複数種類組合せて使用することとしても良い。中でも、軽量化と高強度化が求められる分野(例えば、航空機や宇宙機部材など)においては、優れた比強度と比弾性率を有する炭素繊維が好ましく使用される。
炭素繊維は、用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維を用いることが可能であるが、繊維本来の引張強度や繊維強化複合材料としたときの耐衝撃性が高いという面から、いわゆる高強度炭素繊維が好ましい。本発明における高強度炭素繊維とは、ストランド引張強度が4GPa以上、好ましくは4.6GPa以上、の炭素繊維である。ストランド引張強度は高いほど好ましいが、6.0GPa程度以上であれば得られる繊維強化複合材料は様々な分野に適用可能である。一方、ストランド引張強度が7.0GPa以上の場合、得られる繊維強化複合材料の加工性が悪くなってしまうおそれもある。ここで、ストランド引張強度とは、JIS R7601(1986)に基づいて行うストランド引張試験で測定される強度をいう。
また、炭素繊維の引張り破断伸度は1.7%以上であることが好ましく、より好ましくは1.8%以上である。引張破断伸度は高いほど好ましいが2.0%程度もあれば本発明に適用可能である。
強化繊維束を構成する単繊維の本数は、1000〜500000フィラメント、好ましくは3000〜50000フィラメントである。太物の強化繊維束を得るためには、複数の繊維束を合糸しても良く、細物の強化繊維束を得るためには1つの繊維束を分繊しても良い。
強化繊維の太さは、単繊維直径が1〜20μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは3〜10μmの範囲である。強化繊維の太さが20μmを超えると、引張強度や引張弾性率が低下する傾向がある。また、強化繊維の太さが1μm未満になると、強化繊維束の生産性が低下してコスト高になる。
本発明に用いられるカチオン重合性樹脂組成物は、カチオン重合性化合物、カチオン重合開始剤及び熱可塑性樹脂を少なくとも含むものである。
カチオン重合性化合物としては、一般に知られているカチオン重合性基を有するモノマー、オリゴマー又はポリマーを特に制限無く用いることができる。一例として、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ビシクロオルソエステル樹脂、スピロオルソカーボネート樹脂、チイラン樹脂、オキセタン樹脂などを挙げることができる。中でも、耐熱性及び活性エネルギー線硬化性を好適に有する点から、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂又はこれらの混合物が好ましい。
エポキシ樹脂としては、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−ドデシレンオキサイド、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、リモネンオキサイド、α−ピネンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイドなどの単官能のモノマー、1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルペンチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、o−,m−,p−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、オキサゾリドン環を含有するイソシアネート変性エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルキシレンジアミン、グリシジルアニリン、グリシジルo−トルイジンなどのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、多価アルコールのポリグリシジルエーテル、K−62−722(信越シリコーン社製)やUV9300(東芝シリコーン社製)などのエポキシシリコーンのような多官能エポキシ樹脂、及び脂環式型エポキシ樹脂などを挙げることができる。
オキセタン樹脂としては、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、2−ヒドロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−メトキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕メチル}ベンゼン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、レゾルシノールビス(3−メチル−3−オキセタニルエチル)エーテル、m−キシリレンビス(3−エチル−3−オキセタニルエチルエーテル)、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラック型オキセタンなどを挙げることができる。これらエポキシ樹脂及びオキセタン樹脂は、単独もしくは2種以上を併用してもよい。
カチオン重合開始剤としては、光、電子線、X線等の活性エネルギー線又は熱の作用によって、ルイス酸またはプロトン酸を発生しうるものである。一例として、ルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨ−ドニウム塩、ルイス酸のスルホニウム塩、ルイス酸のセレノニウム塩、スルホン酸エステル、鉄−アレーン化合物、シラノール−アルミニウム錯体等の各種化合物が挙げられる。中でも、活性エネルギー線硬化性や熱安定性の観点から、ルイス酸のヨードニウム塩化合物および/またはルイス酸のスルホニウム塩化合物が好ましい。
カチオン重合開始剤は、100℃未満では潜在性を有するものが好ましい。具体的には、ルイス酸のヨードニウム塩化合物および/またはルイス酸のスルホニウム塩化合物が挙げられる。100℃未満での潜在性を有していないと、強化繊維束にカチオン重合性樹脂組成物を含浸させる際、熱による硬化反応が進行し樹脂暴走反応が起こってしまうおそれがある。
ルイス酸のヨードニウム塩化合物および/またはルイス酸のスルホニウム塩化合物としては、例えば、米国特許第4231951号明細書に記載されたようなアリールスルホニウム錯塩、米国特許第4256828号明細書に記載されたような芳香族ヨードニウム錯塩及び芳香族スルホニウム錯塩、特開平10−24496号公報に記載されたような芳香族スルホニウム錯塩、特開平11−263804号公報に記載されたような芳香族ヨードニウム錯塩などが挙げられ、これらを単独または複数種併用して使用することが出来る。
カチオン重合開始剤としては、中でも、一般式(1)で表されるルイス酸のヨードニウム塩化合物が好ましい。
Figure 0004805007
(式中、R、Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基のいずれかを示し、それぞれのR、Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。また、R、R、R、Rは水素原子、アルキル基のいずれかを示し、R、R、R、Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。さらに、XはB(C、SbF、AsF、PF、BF、CFSO、FSO、ClO、FPOのいずれかを示す。)
一般式(1)で表されるルイス酸のヨードニウム塩化合物の具体例としては、下記の化合物などが挙げられ、本発明ではこれらを単独または複数種併用して使用することができる。
Figure 0004805007
Figure 0004805007
Figure 0004805007
Figure 0004805007
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Figure 0004805007
Figure 0004805007
カチオン重合開始剤の配合量は、カチオン重合性化合物100重量部に対して0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。カチオン重合開始剤の配合量が前記範囲より少ないと得られるカチオン重合性樹脂組成物の硬化性が低下する場合があり、前記範囲より多いと得られるカチオン重合性樹脂組成物の硬化後の機械特性が低下する場合がある。
本発明においては、カチオン重合開始反応を促進する目的で、カチオン重合性樹脂組成物に光増感剤を配合することとしても良い。光増感剤としては、例えば、アクリジンオレンジ、アクリジンイエロー、ベンゾフラビン、セトフラビンT、フォスフィンRなどの色素、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、チオキサントンの誘導体、アントラキノン、アントラキノンの誘導体、アントラセン、1,2−ベンズアントラセン、ジブトキシアントラセン、ジプロポキシアントラセン、アントラセンの誘導体、ペリレン、ペリレンの誘導体、ベンゾフェノン、ベンゾフェノンの誘導体、ピレン、ピレンの誘導体、フェノチアジン、2−クロロフェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、フェノチアジンの誘導体、コロネン、コロネンの誘導体、ベンゾフェノン、ベンゾフェノンの誘導体、カンファーキノン、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、9,10−アントラキノン、アントラキノンの誘導体、フルオレノン、9−フルオレノン、フルオレノンの誘導体、テトラセン、テトラセンの誘導体などをあげることができ、これらを単独または複数種併用して使用することもできる。中でも、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、フェノチアジン、2−クロロフェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、カンファーキノン、ジブトキシアントラセン、ジプロポキシアントラセンは、可視域に特段の光吸収を持ち、カチオン重合開始剤と混合して可視光開始剤となるので好ましい。
カチオン重合開始剤と光増感剤とのモル比は、(カチオン重合開始剤)/(光増感剤)=5/1〜0.2/1であり、好ましくは2/1〜0.5/1である。カチオン重合開始剤と光増感剤とのモル比が前記範囲外の場合、得られるカチオン重合性樹脂組成物の光硬化性が低下し、硬化後の機械特性が低下するおそれがある。
ここで、カチオン重合性化合物及びカチオン重合開始剤のみからなるカチオン重合性樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いた場合、マトリックス樹脂の粘度制御が困難であり、得られるヤーンプリプレグの粘着性を制御することが難しく、ヤーンプリプレグをボビンから巻き出す際のガイド通過性や解舒性の低下が生じてしまうという問題があった。また、マトリックス樹脂のドレープ性が不足するため、ヤーンプリプレグをボビンから解舒させる際に樹脂粉が生じてしまうという問題があった。
そこで、本発明においては、カチオン重合性樹脂組成物に熱可塑性樹脂を配合することにより、マトリックス樹脂の粘度制御や、ヤーンプリプレグのドレープ性の調整を可能とし、ヤーンプリプレグの取扱性向上が可能である。また、熱可塑性樹脂を配合することにより、ヤーンプリプレグを巻きだす際の粘着性を小さくしてガイド通過性や解舒性を向上させることが可能である。また、ヤーンプリプレグにドレープ性を付与することにより、ボビンから巻き出す際に、樹脂粉の発生を防ぐことが可能である。さらに、マトリックス樹脂と強化繊維との接着性向上、マトリックス樹脂の靭性向上、マトリックス樹脂の耐衝撃性向上等の効果を得ることも可能である。
熱可塑性樹脂がこのような効果を発現する機構は、カチオン重合性化合物と溶解した熱可塑性樹脂との分子鎖の絡み合いによるものと考えられる。したがって、熱可塑性樹脂はカチオン重合性化合物に可溶であることが好ましい。また、カチオン重合成化合物と熱可塑性樹脂の分子鎖が十分に絡み合うためには、両者の相溶性が高いほうが好ましい。
これらの溶解性および相溶性の指標としては、分子構造から計算できる溶解性パラメーターであるSP値を用いることができる。十分な溶解性および相溶性を得るためには、熱可塑性樹脂とカチオン重合性化合物のSP値の差の絶対値が、5を超えないこと、好ましくは3を超えないこと、より好ましくは1.5を超えないことを要する。SP値の差の絶対値が5を超えてしまうと、カチオン重合性化合物に熱可塑性樹脂が十分に溶解しなくなってしまう。SP値の差の絶対値を小さくするには、カチオン重合性化合物の原料の選択と配合比の最適化、熱可塑性樹脂の構造の選択等が必要である。なお、カチオン重合性化合物として複数種類が混合されている場合、各原料のSP値に重量分率を掛け合わせた値の総和として計算された平均値が用いられる。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂の具体的としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリウレタンなどを挙げることが出来る。また、市販品としては、例えば、ポリビニルブチラールおよびポリビニルホルマールとして、“デンカブチラール”(登録商標)および“デンカホルマール”(登録商標)(電気化学工業(株)製)、“ビニレック”(登録商標)(チッソ(株)製)、ポリアミドとして“マクロメルト”(登録商標)(ヘンケル白水(株)製)、“アミラン”(登録商標)CM4000(東レ(株)製)、ポリイミドおよびポリエーテルイミドとして“メルディン”(登録商標)(三井化学(株))および“ウルテム”(登録商標)(ジェネラル・エレクトリック社製)、“Matrimid”5218(チバ社製)、ポリスルホンおよびポリエーテルスルホンとして、“UDEL”(登録商標)(帝人アモコ(株)製)および“スミカエクセル”(登録商標)(住友化学(株)製)、“RADEL”(登録商標)(帝人アモコ(株)製)、ポリウレタンとして“レザミン”(登録商標)(大日精化工業(株))などが挙げられる。本発明では、これらを単独で用いても良いし、複数種類併用しても良い。
熱可塑性樹脂の末端官能基としては、第1級アミン、第2級アミン、水酸基、カルボキシル基、チオール基、酸無水物などが、カチオン重合性化合物と反応することができ好ましい。末端官能基が水酸基のものとしては、ポリエーテルスルホンの市販品である“スミカエクセル”(登録商標)5003P(住友化学(株)製)が挙げられる、末端官能基がアミンのものとしては、特許文献3に記載されるようなポリエーテルスルホンとポリエーテルエーテルスルホンの共重合体オリゴマーが挙げられる。末端官能基がアミンと酸無水物の両方を含むものとしては、ポリエーテルイミドの市販品である“ウルテム”1000、“ウルテム”1010、“ウルテム”1040(以上ジェネラル・エレクトリック社製)などが挙げられる。
熱可塑性樹脂のガラス転移点(Tg)は、良好な耐熱性を得るためには150℃以上、好ましくは170℃以上必要である。ガラス転移温度が150℃未満であると、成形体として用いた時に熱による変形を起こしやすくなる場合がある。
なお、ガラス転移温度は、熱可塑性樹脂を約10mg精秤し、JIS−K7121に従い、温度範囲25℃〜350℃、昇温速度20℃/分の条件下で示差走査熱量分析装置にて測定した。具体的には、得られた曲線の階段状変化を示す部分において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度をガラス転移温度とし、得られたガラス転移温度を耐熱性の指標とする。
熱可塑性樹脂の配合量は、カチオン重合性化合物100重量部に対して、0.5〜50重量部、好ましくは1〜30重量部である。熱可塑性樹脂の配合量が0.5重量部未満の場合、得られるカチオン重合性樹脂組成物の粘度が低く、ヤーンプリプレグの室温における粘着性が大きくなってしまうおそれがある。一方、配合量が50重量部を超える場合、カチオン重合性樹脂組成物の粘度が過剰に上昇してしまい、作業性の低下、硬化物中での粗大分離による強度の低下などのおそれがある。
本発明に用いられるカチオン重合性樹脂組成物の粘度は、作業環境下、即ち、30℃以下において、1×10〜1×10Pa・s、好ましくは3×10〜3×10Pa・s、より好ましくは5×10〜2×10Pa・sの範囲とされている。カチオン重合性樹脂組成物の30℃における粘度を前記範囲にすることにより、得られるヤーンプリプレグの粘着性を低減させ、ガイド通過性を向上させることが可能である。また、カチオン重合性化合物の粘度が1×10Pa・sよりも高い場合、強化繊維束へのカチオン重合性樹脂組成物の含浸に時間を要してしまい、生産性が低下したり、得られるヤーンプリプレグにカチオン重合性樹脂組成物の未含浸部が生じてしまうおそれがある。
また、カチオン重合性樹脂組成物の80℃における粘度は、自動積層の際には加熱により粘着性を大きくし、成形治具上に押圧して積層することから、1〜300Pa・sの範囲とされている。粘度が前記範囲より小さい場合、自動積層の際に加熱しても十分な粘着性を付与できず、成形治具上の積層面に密着させることができないおそれがある。一方、粘度が前記範囲より大きい場合、強化繊維束へのカチオン重合性樹脂組成物の含浸が困難となり、得られるヤーンプリプレグにカチオン重合性樹脂組成物の未含浸部が生じてしまうおそれがある。また、カチオン重合性樹脂組成物の80℃における粘度は、10〜200Pa・sの範囲が好ましく、50〜150Pa・sの範囲がより好ましい。
ここで、粘度とは、粘弾性測定装置(ARES、レオメトリックス(株)製)を使用し、平行平板の半径20mm、平行間距離1.0±0.1mm、測定温度30℃または80℃、測定周波数0.5Hzの条件下での複素粘性率ηの値から求めた。
カチオン重合性樹脂組成物のガラス転移温度は、−30〜30℃、好ましくは−20〜25℃、より好ましくは−10〜20℃の範囲である。ガラス転移温度が−30℃未満であると、得られるヤーンプリプレグの巻き出しの際の粘着性が大きく、ガイド通過性や解舒性が低下してしまうおそれがある。一方、ガラス転移温度が30℃よりも高いと、ヤーンプリプレグのドレープ性が不足し、ボビンに巻き付けられる形状が悪化したり、ボビンから巻き出す際に樹脂粉が生じ解舒することが困難になるおそれがある。
なお、ガラス転移温度は、得られたヤーンプリプレグを約15mg精秤し、JIS K7121(2002)に従い、温度範囲−50℃〜100℃、昇温速度10℃/分の条件下で示差走査熱量分析装置を用いて測定した。
本発明で用いられるカチオン重合性樹脂組成物は、さらに任意の成分として、重合促進剤、有機粒子、無機粒子などの他成分を配合することとしても良い。
重合促進剤としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、ベンジルアルコール、ピペロニルアルコール、ε−カプロラクトンポリオールなどのアルコール類が好ましく用いられる。このような重合促進剤を配合することにより、活性エネルギー線硬化性を向上させることが可能である。
有機粒子としては、ゴム粒子、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂の粒子が好ましく用いられ、単独で使用してもよいし、複数種類を併用してもよい。このような有機粒子を配合することにより、カチオン重合性樹脂組成物の靭性向上、繊維強化複合材料の耐衝撃性向上などの効果を有する。
ゴム粒子としては、架橋ゴム粒子、架橋ゴム粒子の表面に異種ポリマーをグラフト重合したコアシェルゴム粒子が好ましく用いられる。市販の架橋ゴム粒子としては、カルボキシル変性のブタジエン−アクリロニトリル共重合体の架橋物からなるFX−501、FX−602(日本合成ゴム(株)製)、アクリルゴム微粒子からなるCX−MNシリーズ(日本触媒(株)製)、YR−500シリーズ(東都化成(株)製)などを使用することができる。また、市販のコアシェルゴム粒子としては、例えば、ブタジエン・メタクリル酸アルキル・スチレン共重合物からなる“パラロイド”(登録商標)EXL−2655(呉羽化学工業(株)製)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体からなる“スタフィロイド”(登録商標)AC−3355、TR−2122(武田薬品工業(株)製)、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合物からなる“PARALOID”(登録商標)EXL−2611、EXL−3387(Rohm&Haas社製)などを使用することができる。
熱可塑性樹脂粒子としては、ポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリスチロールに代表されるビニル系樹脂、ポリアミド、グリルアミド、ポリアラミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトンのようなエンジニアリングプラスチックに属する熱可塑性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表される炭化水素系樹脂、酢酸セルロース、及び絡酸セルロースに代表されるセルロース誘導体、メタクリル酸メチル−ブチルアクリレート−メタクリル酸メチルからなる共重合体であるNanostrength(登録商標)M22(アルケマ(株)製)、スチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチルからなる共重合体であるNanostrength123、Nanostrength123、Nanostrength250、Nanostrength012,NanostrengthE20,NanostrengthE40(以上、アルケマ(株)製)が挙げられる。中でも、ポリアミド又はポリイミドの粒子が好ましく用いられる。市販のポリアミド粒子としては、SP−500(東レ(株)製)、“オルガソール”(登録商標)(ATOCHEM社製)などを使用することができる。
熱硬化性樹脂粒子とは、熱、光、電子線などの外部からのエネルギーにより硬化し、少なくとも部分的に三次元架橋体を形成する又は形成した樹脂であり、特に制限無く適用可能である。好ましい熱硬化性樹脂粒子としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、アリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、アセチレン末端を有する樹脂、アリル末端を有する樹脂、ナジック酸末端を有する樹脂、及びシアン酸エステル末端を有する樹脂粒子が挙げられる。市販の熱硬化性樹脂粒子としては、エポキシ樹脂の架橋物からなる“トレパール”(登録商標)EP−B、“トレパール”(登録商標)EP−D、“トレパール”(登録商標)EP−C、“トレパール”(登録商標)EP−R、“トレパール”(登録商標)EP−M(以上、東レ(株)製)などを使用することができる。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、スメクタイト、合成マイカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、ガラス粉、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化バリウムなどが好ましい。これらの無機粒子は、主として得られるカチオン重合性樹脂組成物の増粘などのレオロジー制御、揺変性付与の効果を有する。また、無機粒子としては、界面活性剤、内部離型剤、染料および顔料などの添加剤として作用するものを添加しても良い。
本発明に係るヤーンプリプレグは、活性エネルギー線の照射により瞬時に硬化させることが可能である。活性エネルギー線としての光の波長は200〜600nm、好ましくは300〜500nm、より好ましくは380〜450nmの範囲である。波長が200nm未満であると光源の選定が困難であり、600nmを超えるとカチオン重合性樹脂組成物の光感度が不十分となってしまい光硬化性が低下するおそれがある。光の照度は0.1〜10W/cmの範囲である。照度が0.1W/cm未満であるとヤーンプリプレグの光硬化性が不十分であり、10W/cmを超えるとヤーンプリプレグ硬化時、樹脂の暴走反応が生じる場合がある。露光量は、0.1〜50J/cmの範囲である。露光量が0.1J/cm未満であると繊維強化複合材料の硬化度が低く機械特性が低下する場合があり、50J/cmを超えると硬化に要する時間が長くなり、生産効率が低下する。
本発明に係るヤーンプリプレグは、硬化反応が完全に進行した場合、示差走査熱量分析装置により測定される硬化度が100となる。本発明の場合、ヤーンプリプレグに活性エネルギー線を照射後、ヤーンプリプレグ表面のみ硬化させ、ヤーンプリプレグ内部、ならびに裏面は未硬化の状態でも良い。ヤーンプリプレグの硬化度は、好ましくは50以上であり、より好ましくは70以上である。硬化度が50未満であると繊維強化複合材料としての形態保持が困難になり、その後の加工における作業性が低下するおそれがある。
本発明に係るヤーンプリプレグは、離型紙または離型フィルムを用いず、強化繊維束に直接カチオン重合性樹脂組成物を含浸させ、そのままボビンに巻き取ることにより作製される。
本発明に係るヤーンプリプレグを用いた繊維強化複合材料の強度と弾性率は、強化繊維量に大きく依存する。つまり一定量の強化繊維を含有する場合、カチオン重合性樹脂組成物の量を少なくするほど、繊維強化複合材料や最終製品の性能をほぼ一定に維持したままで、製品重量を軽量化することができる。このような目的等のため、本発明におけるヤーンプリプレグ全重量に対する強化繊維の含有量は、好ましくは40〜90重量%、より好ましくは50〜80重量%、さらに好ましくは50〜70重量%である。強化繊維の含有量が40重量%未満の場合は、カチオン重合性樹脂組成物の量が多く軽量化が十分でないおそれがある。一方、強化繊維の含有量が90重量%を超える場合、カチオン重合性樹脂組成物の量が少ないため繊維強化複合材料中にボイドが残存し、機械特性が低下する場合がある。
ヤーンプリプレグの厚みは、適用用途に求められる力学特性や積層作業のし易さ等を考慮して決定されるので特に限定されるものではないが、好ましくは10μm〜300μmである。ヤーンプリプレグの厚みが10μm未満であると、ヤーンプリプレグに割れが発生しやすく取扱性が著しく悪化し、300μmを超えるとカチオン重合性樹脂組成物が厚み方向の中央部まで含浸しないおそれがある。
本発明に係る繊維強化複合材料は、前記したヤーンプリプレグを活性エネルギー線照射および/または熱により硬化させることで製造されるものである。例えば、ヤーンプリプレグを1プライづつ加圧しながら積層し活性エネルギー線照射および/または熱によりカチオン重合性樹脂組成物を硬化させる方法や、積層済みのヤーンプリプレグを加圧、又はバッグフィルムなどで包んで内部を真空あるいは減圧状態にしてから活性エネルギー線照射および/または熱によりカチオン重合性樹脂組成物を硬化させる方法などが挙げられる。このように、加圧状態の下でカチオン重合性樹脂組成物を硬化させて積層することにより、繊維密度が高く密着性の良い繊維強化複合材料を得ることが出来る。積層法の具体例として、ハンドレイアップ法、ATL(Automatic Tape Laying)、ATP(Automatic Tape Placement)、AFP(Automatic Fiber Placement)などがある。ATL、ATPおよびAFPの積層法は、人手を使って行っていたハンドレイアップを自動的に行う方法であり、航空機などの大型な繊維強化複合材料を製造することが可能であり好ましく、中でもATPがより好ましい。また、フィラメントワインディングのようにボビンにヤーンプリプレグを巻き付けながら製造する方法は、巻き終わりと硬化終了が同時となり好ましい。さらに、必要に応じて活性エネルギー線を照射した後に、40℃〜180℃で30分〜20時間程度の加熱処理を行って後硬化を行ってもよい。
次に、本発明のヤーンプリプレグを用いた繊維強化複合材料の製造方法について説明する。以下は、本発明の一実施形態であり、発明の範囲を限定するものではない。
図1は、本実施形態の繊維強化複合材料の製造方法を示すフローチャートである。図2は、本実施形態の製造方法に適用する自動積層装置9を正面方向から見た一部破断図である。自動積層装置9の下方には、その上面にヤーンプリプレグ3が積層される成形治具13が備えられている。成形治具13は、上面に積層されたヤーンプリプレグ3を、自動積層装置9に対して相対移動させ、図2において右方向に搬送させるようになっている。
自動積層装置9には、ヤーンプリプレグ3を順次繰り出させて供給する供給部10が備えられている。供給部10には、ヤーンプリプレグ3をボビン(図示省略)に巻き付けた状態に製造されたカートリッジ1が装填されている。供給部10は遮光ボックス2により覆われており、内部のヤーンプリプレグ3に外部から光が照射されないようになっている。
供給部10の側方には、供給されたヤーンプリプレグ3を成形治具13の上面に積層する積層成形部11が備えられている。積層成形部11には、成形治具13の上面にヤーンプリプレグ3を押圧するコンパクションローラ4が備えられている。コンパクションローラ4には、図示しない加熱機構が設けられている。コンパクションローラ4の上方には、ヤーンプリプレグ3を供給部10からコンパクションローラ4に案内するベルト状のガイド部7が備えられている。ガイド部7とコンパクションローラ4の間には、案内されたヤーンプリプレグ3を遮光しつつコンパクションローラ4に巻き込ませる巻き込みガイド5が備えられている。また、ガイド部7の上方には、ガイド部7をコンパクションローラ4及び巻き込みガイド5とともに上下動させるエアシリンダ6が備えられている。
積層成形部11の側方であってヤーンプリプレグ3が相対移動される方向には、積層されたヤーンプリプレグに活性エネルギー線としての光を照射させる照光部12が備えられている。照光部12には、成形治具13の上面に向けて光を照射させるランプ8が備えられている。
自動積層装置9を用いて行われる繊維強化複合材料の製造方法は、図1に示すように、まず、通常の作業環境温度(30℃以下)において、ヤーンプリプレグ3を暗室で遮光性のボックス(暗箱)からなるカートリッジ1に巻き付けて充填する(工程P1)。そして、カートリッジ1を自動積層装置9の供給部10にセットする(工程P2)。
続いて、積層成形部11が、自動積層成形方法により成形治具13の上面にヤーンプリプレグ3を積層する。この際、コンパクションローラ4の温度は、40℃〜150℃、好ましくは60℃〜80℃となるように加熱機構により加熱されている。
そして、供給部10が、カートリッジ1からヤーンプリプレグ3を積層成形部11に供給(Feed)する(工程S1)。供給されたヤーンプリプレグ3は、ガイド部7により積層成形部11の内部を案内され、巻き込みガイド5によりコンパクションローラ4に巻き込まれる。
次に、コンパクションローラ4に巻き込まれたヤーンプリプレグ3は、コンパクションローラ4から熱を伝導されて加熱されることによりタック性を付与され、粘着性が大きくなる(工程S2)。
そして、コンパクションローラ4の回転によりヤーンプリプレグ3は成形治具13の上面との間に挟まれる。この際、エアシリンダ6は、コンパクションローラ4をガイド部7及び巻き込みガイド5とともに下方に移動させる。すると、コンパクションローラ4と成形治具13の間に挟まれたヤーンプリプレグ3は、コンパクションローラ4により成形治具13の上面に押圧され、圧力を負荷される(工程S3)。
その後、成形治具13の上面のヤーンプリプレグ3は自動積層装置9と相対移動し、照光部11の下方に搬送される。すると、ランプ8が点灯することにより、ヤーンプリプレグ3に光が照射される(工程S4)。ヤーンプリプレグ3に光が照射されることにより、カチオン重合性樹脂組成物のカチオン重合反応が開始し、ヤーンプリプレグ3が硬化する。ここで、活性エネルギー線としての光の照射は、ヤーンプレプリグ3がコンパクションローラ4により成形治具13の上面に押圧される直前に照射することとしてもよい。このようにして、成形治具13の積層面上にヤーンプリプレグが積層成形される。
以降、工程S1から工程S4を繰り返すことにより、積層面上にヤーンプリプレグが積層され、必要な層数に達したら自動積層成形工程を終了し、繊維強化複合材料の製造方法が終了する。
以上のように、本発明に係る自動積層成形方法によれば、加熱したコンパクションローラ4にヤーンプリプレグ3を巻き込むことによってタック性付与ができるので、オートクレーブなどによる加熱が不要であり、積層成形部11の内部を一定の温度及び湿度に保つ必要も無く、装置の簡略化、小型化が可能である。また、コンパクションローラ4を用いることにより、ヤーンプリプレグ3の加熱及び圧力負荷を1つの機構で行わせることが可能である。
また、本発明に係る繊維強化複合材料の製造方法よれば、自動積層成形方法により一層積層するごとにヤーンプリプレグ3を硬化させるので、所望の厚さの繊維強化複合材料を製造することが可能である。また、一層積層するごとに硬化させるので、ヤーンプリプレグ3の内側まで活性エネルギー線を透過させる必要が無く、光を通さない強化繊維束を使用することもできる。また、遮光ボックス2等を用いることにより、ヤーンプリプレグ3をコンパクションローラ4に巻き込むまで遮光することができるので、不必要に活性エネルギー線を照射されることも無い。
また、本発明に係るヤーンプリプレグ3によれば、作業環境温度(約30℃以下)で粘着性が小さいまま取り扱うことが可能である。よって、ヤーンプリプレグ3のガイド通過性及び解舒性を向上させることができ、取り扱いが容易である。
また、本発明に係るヤーンプリプレグ3によれば、加熱により粘着性を大きくすることができ、加熱後に成形治具13の上面に押圧することにより容易に積層することが可能である。そして、積層した後に活性エネルギー線を照射することにより、ヤーンプリプレグ3を容易に硬化させることも可能である。
また、本発明に係るヤーンプリプレグ3は、離型紙または離型フィルムが不要であるため、自動積層成形の際に、離型紙または離型フィルムを除去する必要がない。
さらに、本発明に係る繊維強化複合材料によれば、所望の厚さや硬化度とすることができ、機械物性や耐熱性が優れており、航空機部材、宇宙機部材又は自動車部材などに好適に用いることが可能である。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。実施例で用いた樹脂原料、ヤーンプリプレグの作製方法、30℃ならびに80℃の粘度、硬化度、粘着性、ガラス転移温度、自動積層装置通過性の評価方法を以下に示す。各実施例で用いた樹脂組成物の組成、30℃ならびに80℃の粘度、硬化度、粘着性、ガラス転移温度、ならびに自動積層装置通過性の結果を表1に示す。
Figure 0004805007
<樹脂原料>
カチオン重合性樹脂組成物の調製には次の市販品及び試薬から選択したものを用いた。
(1)カチオン重合性化合物
・“エポトート” (登録商標)YD128(東都化成(株)製):ビスフェノールA型エポキシ樹脂
・“セロキサイド”(登録商標)2021P(ダイセル化学工業(株)製):脂環式型エポキシ樹脂
・“エピクロン”(登録商標)EXA−1514(大日本インキ(株)製):ビスフェノールS型エポキシ樹脂
・NC−3000(日本化薬(株)製):ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂
(2)熱可塑性樹脂
・“スミカエクセル”(登録商標)5003P(住友化学(株)製):ポリエーテルスルホン
・“ウルテム”(登録商標)1010(ジェネラル・エレクトリック(株)製):ポリエーテルイミド
(3)カチオン重合開始剤
・“ロードシル”(登録商標)2074(ローディアジャパン(株)製):一般式(2)で表されるヨードニウム塩化合物。
・3,3’−DAS(三井化学ファイン(株)製):3,3’−ジアミノジフェニルスルホン
(4)光増感剤
・“KAYACURE”(登録商標)CTX(日本化薬(株)製):2−クロロチオキサントン
<カチオン重合性樹脂組成物の作製>
[実施例1〜3、比較例3]
表1に示す所定の比率で混合したカチオン重合性化合物の原料を、100℃に加熱しつつ均一になるまで攪拌し、カチオン重合性化合物の混合物を得た。次に、カチオン重合性化合物の混合物を150℃まで加温し、熱可塑性樹脂を加え均一に溶解するまで攪拌した。続いて、得られた混合物を80℃まで降温させ、カチオン重合開始剤を加え均一に溶解するまで攪拌し、カチオン重合性樹脂組成物を得た。
[実施例4]
表1に示す所定の比率で混合したカチオン重合性化合物の原料を、100℃に加熱しつつ均一になるまで攪拌し、カチオン重合性化合物の混合物を得た。次に、カチオン重合性化合物の混合物を150℃まで加温し、熱可塑性樹脂を加え均一に溶解するまで攪拌した。続いて、得られた混合物を80℃まで降温させ、カチオン重合開始剤及び光増感剤を加え均一に溶解するまで攪拌し、カチオン重合性樹脂組成物を得た。
[比較例1,2]
表1に示す所定の比率で混合したカチオン重合性化合物の原料を、100℃に加熱しつつ均一になるまで攪拌し、カチオン重合性化合物の混合物を得た。次に、80℃まで降温させ、カチオン重合開始剤を加え均一に溶解するまで攪拌し、カチオン重合性樹脂組成物を得た。
[比較例4]
表1に示す所定の比率で混合したカチオン重合性化合物の原料を、100℃に加熱しつつ均一になるまで攪拌し、カチオン重合性化合物の混合物を得た。次に、カチオン重合性化合物の混合物を150℃まで加温し、熱可塑性樹脂を加え均一に溶解するまで攪拌した。続いて、得られた混合物を80℃まで降温させ、本発明の範囲外のカチオン重合開始剤を加え均一に溶解するまで攪拌し、カチオン重合性樹脂組成物を得た。
<ヤーンプリプレグの作製>
80℃に加熱された回転自在の溝付きロールとブレードとの間のクリアランスで樹脂付着量を制御するキスロールを用いて、得られたカチオン重合性樹脂組成物を溝付きロールの溝部に供給し、回転方向下流側で溝付きロールの溝部に強化繊維“トレカ”(登録商標)T700G(東レ(株)製、引張弾性率:240GPa、引張強度:4.9GPa、フィラメント数:24000)の束を接触させ、炭素繊維目付1.6g/m、樹脂含有率40重量%のヤーンプリプレグをボビンに巻き付け作製した。
<30℃または80℃の粘度>
ヤーンプリプレグの30℃または80℃の粘度は、カチオン重合性樹脂組成物の粘度を測定することで代用可能であり、粘弾性測定装置を用い測定した。測定は半径20mmの平行平板を用い、平行間距離1.0±0.1mm、測定温度30℃又は80℃、測定周波数0.5Hzの条件下で、複素粘性率ηの値から求めることとした。なお、本実施例では、粘弾性測定装置としてARES(レオメトリックス(株)製)を用いた。
<硬化度>
カチオン重合性樹脂組成物を約4〜10mg精秤し、JIS K7121に従い、温度範囲25℃〜350℃、昇温速度20℃/分の条件下で、示差走査熱量分析装置にて、カチオン重合に伴う全発熱量(Ha)を測定する。具体的には、発熱曲線とベースラインの延長線に囲まれた面積から発熱量(Ha)が求められる。続いて、作製したヤーンプリプレグを一定温度(25℃)下で、メタルハライドランプを光源とするコンベア型紫外線硬化装置を用いて、波長404nm、照度800mW/cm、露光量10J/cmの条件で光を照射して硬化させる。この硬化物を約10mg精秤し、JIS K7121に従い、温度範囲25℃〜350℃、昇温速度20℃/分の条件下で示差走査熱量分析装置にて残存発熱量(Hb)(加熱による発熱量)を測定する。残存発熱量(Hb)は、発熱曲線とベースラインの延長線に囲まれた面積から求められる。この時、硬化度=100×(Ha−Hb)/Haとなる。従って、硬化反応が完全に進行した場合、硬化度は100となる。また、本実施例では、硬化度が10以上で硬化したものとする。なお、本実施例では、示差走査熱量分析装置として、DSC3100SA(ブルカー・エイエックスエス(株)製)を用い、コンベア型紫外線硬化装置として、ECS−151S(アイグラフィックス(株)製)を用いた。
<粘着性>
ヤーンプリプレグの粘着性として、ヤーンプリプレグ同士を圧着させた後の引き剥しに要する力を測定する。この測定方法には、負荷応力、速度、時間等多くのパラメーターが存在する。これらは、ヤーンプリプレグの使用する状態等を考慮して以下のように適宜決定した。本実施例における粘着性の評価に関しては、測定装置として“インストロン”4201型万能材料試験機(インストロン・ジャパン(株)製)を使用した。
・ サンプル:50×50mm
・ 温度 :25℃
・ 負荷速度:1mm/分
・ 接着負荷:0.12MPa
・ 負荷時間:5±2秒
・ 剥離速度:10mm/分
<ガラス転移温度>
ガラス転移温度の測定は、ヤーンプリプレグを約15mg精秤し、JIS K7121(2002)に従い、温度範囲−50〜100℃、昇温速度20℃/分の条件で示差走査熱量分析装置にてガラス転移温度を測定した。具体的には、得られた曲線の階段状変化を示す部分において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度をガラス転移温度とした。なお、本実施例では、示差走査熱量分析装置として、DSC3100SA(ブルカー・エイエックスエス(株)製)を用いた。
<自動積層装置通過性>
ボビンから50mのヤーンプリプレグを3m/分で引き出した際の状態を測定した。ヤーンプリプレグの単糸切れや樹脂粉の脱落がなくスムーズに解舒できれば○、解舒時にヤーンプリプレグの切断、単糸切れ、樹脂粉の脱落等が生じ、ヤーンプリプレグをスムーズに解舒できなければ×とした。
<評価>
表1に示すとおり、実施例1〜4のヤーンプリプレグはいずれも自動積層通過性が優れ、80℃に加熱し軟化させて粘着性を持たせ、コンパクションローラによりスチール製の成形治具上に押圧して積層でき、その後活性エネルギー線にて硬化できることが分かった。
比較例1のヤーンプリプレグは、いずれもボビンから巻き出す際、ヤーンプリプレグの切断、単糸切れが生じてしまい、スムーズに解舒することができなかった。また、ヤーンプリプレグを80℃に加熱し軟化させて粘着性を持たせ、コンパクションローラによりスチール製の成形治具上に押圧して積層したが、加熱しても十分な粘着性が発現せず成形治具上に積層することができなかった。
比較例2のヤーンプリプレグは、カチオン重合性樹脂組成物のドレープ性が低いため、ボビンから引き出したとき、樹脂粉が発生してしまい、スムーズに解舒することができなかった。
比較例3のヤーンプリプレグは、80度にヤーンプリプレグを過熱し粘着性を持たせ、コンパクションローラによりスチール製の成形治具上に押圧して積層できた。しかし、ボビンから引き出す際、ヤーンプリプレグの切断、単糸切れが生じてしまい、スムーズに解舒することができなかった。
比較例4のヤーンプリプレグは、80℃に加熱し粘着性を持たせ、コンパクションローラによりスチール製の成形治具上に押圧して積層できた。しかし、エネルギー線の照射によるヤーンプリプレグの硬化を試みたが、硬化しなかった。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の繊維強化複合材料の製造方法に適用する自動積層装置の正面視一部破断図である。
符号の説明
1 カートリッジ
2 遮光ボックス
3 ヤーンプリプレグ
4 コンパクションローラ
5 巻き込みガイド
6 エアシリンダ
7 ガイド部
8 ランプ
9 自動積層装置
10 供給部
11 積層成形部
12 照光部

Claims (12)

  1. 強化繊維束及びカチオン重合性樹脂組成物を含むヤーンプリプレグにおいて、
    前記カチオン重合性樹脂組成物は、カチオン重合性化合物、カチオン重合開始剤及び熱可塑性樹脂を含んでおり、30℃における粘度が1×10〜1×10Pa・s、80℃における粘度が1〜300Pa・sであることを特徴とするヤーンプリプレグ。
  2. 波長200〜600nm、照度0.1〜20W/cm、露光量0.1〜50J/cmの活性エネルギー線を照射することにより硬化することを特徴とする請求項1に記載のヤーンプリプレグ。
  3. 前記カチオン重合性樹脂組成物は、ガラス転移温度が−30〜30℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載のヤーンプリプレグ。
  4. 前記カチオン重合性樹脂組成物は、30℃における粘度が3×10〜3×10Pa・s、80℃における粘度が10〜200Pa・sであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のヤーンプリプレグ。
  5. 前記熱可塑性樹脂は、前記カチオン重合性化合物100重量部に対して0.5〜50重量部配合されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のヤーンプリプレグ。
  6. 前記熱可塑性樹脂は、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン及びポリウレタンのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のヤーンプリプレグ。
  7. 前記カチオン重合開始剤は、ルイス酸のヨードニウム塩及び/又はルイス酸のスルホニウム塩であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のヤーンプリプレグ。
  8. 前記カチオン重合性樹脂組成物は、光増感剤を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のヤーンプリプレグ。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のヤーンプリプレグを硬化してなることを特徴とする繊維強化複合材料。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のヤーンプリプレグを、加熱し粘着性を持たせて積層することを特徴とする自動積層成形方法。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のヤーンプリプレグを、ボビンから解舒し、加熱し軟化させて粘着性を持たせ、成形治具上に押圧して積層し、一層積層するごとに活性エネルギー線を照射させて硬化させることを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法。
  12. 40〜150℃に加熱したコンパクションローラを用いて、前記ヤーンプリプレグを加熱させるとともに押圧することを特徴とする請求項11に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
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