JP2005256008A - Uv硬化樹脂を用いた繊維強化複合材料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、カチオン重合性樹脂組成物をマトリクス樹脂とし、この樹脂を強化繊維に含浸させた後、UVなどのエネルギー線にて硬化させ製造してなる繊維強化複合材料およびその製造方法に関する。この樹脂硬化方法は、クロス材や連続繊維に限らず短繊維や充填材を使用した複合材にも有効である。
繊維強化複合材は種々の加工方法・製造方法が用いられているが、マトリクス樹脂としては熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂が大部分を占める。これら樹脂をマトリクス樹脂として繊維複合材を成形する場合、問題点として、温度制御が複雑で硬化に長時間を要するため加工コストが高いこと、温度制御不要で短時間硬化可能な常温硬化樹脂の場合は成形に長時間を要する大型の繊維強化複合材に使用できないこと、樹脂粘度の温度変化により樹脂含浸状態が変化し含浸状態の保持が難しく成形が困難であること、残留溶剤により樹脂硬化時にボイドが発生し成形品の品質が低下すること等がある。
一方、前述の問題点を考慮して最近マトリクス樹脂の様々な硬化方法が検討されている。その代表的な例としては、特にロックタイト社のUV硬化と加熱硬化を併用したフィラメントワインディング成形法(特許文献1)を例示することができる。しかしこの組成物を用いた繊維強化複合材料の成形法は、樹脂を含浸した未硬化の繊維強化材料に対してUVを照射して表面を硬化並びに内部を極度に増粘(ゲル化)させ、形状並びに含浸状態の保持をある程度可能とさせた後、加熱により完全に硬化させるものである。従って従来の熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂による製造方法と比較して樹脂粘度の温度変化が極めて微小で且つ含浸後のハンドリングが容易であるが、完全硬化には加熱硬化過程が必要であるため、加熱硬化に要する光熱費や作業時間等による加工コストの問題や硬化完了に長時間を要する問題は未解決であり、また加熱により熱残留歪みの問題も発生する。
特表平7−507836号公報
本発明者らはかかる従来技術の欠点に鑑み、繊維強化複合材料の製造方法として硬化が短時間で加工コストが低く、成形に長時間を要する大型の繊維強化複合材料にも使用でき、含浸状態の保持が容易で、ボイドの発生による成形品の品質が低下することがなく、硬化の際に加熱工程を必要としない繊維強化複合材料の製造方法について鋭意研究した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、カチオン性重合物質と下記一般式(I)で示されるルイス酸のスルホニウム塩の有効量とからなる熱硬化性及びエネルギー線硬化性を兼備したカチオン重合性樹脂組成物をマトリクス樹脂とし、この樹脂を強化繊維に含浸させた後、UVなどのエネルギー線にて硬化させてなる繊維強化複合材料及びその製造方法に関する。
[上式中、Xは、一般式
(式中、R1 は、炭素数1〜18の脂肪族基、R2 は、炭素数1〜18の脂肪族基または炭素数6〜18の置換または非置換芳香族基であり、R1 とR2 は互いに結合して環を形成してもよい。)で示されるスルホニオ基である。
上式中、Yは、一般式
(式中、R3 は、炭素数1〜18の脂肪族基、R4 は、炭素数1〜18の脂肪族基または炭素数6〜18の置換または非置換芳香族基であり、R3 とR4 は互いに結合して環を形成してもよい。)で示されるスルホニオ基であるか、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、炭素数1〜18の脂肪族基、または炭素数6〜18の置換または非置換フェニル基、フェノキシ基またはチオフェノキシ基である。
上式中、nおよびmは、それぞれ独立に1または2である。
上式中、Zは、一般式
(式中、Mは、B、P、AsまたはSbであり、Qは、ハロゲン原子であり、iは、4または6である。)で示される陰イオンである。]
上式中、Yは、一般式
上式中、nおよびmは、それぞれ独立に1または2である。
上式中、Zは、一般式
本発明の繊維強化複合材料及びその製造方法は以下の長所を有する。
1)短時間に硬化できるため加工コストを削減できる。
2)硬化時間を任意にコントロールできるため成形に長時間を要する大型の繊維強化複合材料にも使用できる。
3)樹脂の硬化に加熱が不要であるため樹脂粘度の変化が発生せず、含浸状態の保持が容易となり成形が容易となる。
4)溶媒を必要としないため残留溶媒に起因するボイドの発生による成形品の品質が低下という問題を生じない。
5)熱硬化に必要な加熱を必要としないため、残留熱歪の心配がない(特に大型部品では熱歪レスは重要である。)
6)部品の解体や広範囲の温度コントロールを必要としないため、補修が容易である。
1)短時間に硬化できるため加工コストを削減できる。
2)硬化時間を任意にコントロールできるため成形に長時間を要する大型の繊維強化複合材料にも使用できる。
3)樹脂の硬化に加熱が不要であるため樹脂粘度の変化が発生せず、含浸状態の保持が容易となり成形が容易となる。
4)溶媒を必要としないため残留溶媒に起因するボイドの発生による成形品の品質が低下という問題を生じない。
5)熱硬化に必要な加熱を必要としないため、残留熱歪の心配がない(特に大型部品では熱歪レスは重要である。)
6)部品の解体や広範囲の温度コントロールを必要としないため、補修が容易である。
本発明者らは、繊維強化複合材料を製造する際、加工コストが高いのは樹脂の硬化に加熱工程を要すること、短時間に硬化可能な樹脂を成形に長時間を要する大型の繊維強化複合材に使用できないのは硬化開始時間を任意にコントロールできないためであること、含浸状態の保持が難しく成形が困難であるのは製造過程で加熱を必要とするため樹脂温度により樹脂粘度が変化するためであること、樹脂硬化時にボイドが発生し成形品の品質を低下させるのは残留溶剤に起因することに着目した。そして樹脂の硬化に加熱工程が不要で、短時間で硬化し、樹脂硬化開始時間を任意にコントロールでき、溶媒を必要としない繊維強化複合材料の製造方法について鋭意研究した結果、マトリクス樹脂を強化繊維に含浸させた後、UVなどのエネルギー線にて硬化させる方法が繊維強化複合材料の簡便な製造方法として理に適っていると考えた。この製造方法を可能とするために強化繊維に含浸させた状態にて厚膜硬化を可能とする樹脂材料についてさらに鋭意研究した結果、カチオン性重合物質とルイス酸のスルホニウム塩の有効量とからなる熱硬化性及びエネルギー線硬化性を兼備したカチオン重合性樹脂組成物がこの製造方法に用いるマトリクス樹脂として優れていることを見出した。そしてこのマトリクス樹脂を強化繊維に含浸後、UVなどのエネルギー線にて硬化させ簡便に繊維強化複合材料を製造した。
本発明に用いるカチオン性重合物質としては、エポキシ配合物、ビニルエーテル類、環状のエーテル類とケトン類、ラクトン類、オキセタン類、スチレン類、アクロレイン、4−ビニルビフェニルのようなビニルアレーン類、ビニルシクロヘキセンのような脂環式ビニル化合物、スピロオルソエステル類、スピロオルソカーボネイト類、ビシクロオルソエステル類、イソブチレン、ブタジエンやイソプレンなどのジエン類、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂などのカチオン重合性モノマーまたはプレポリマー等が挙げられるが、なかでもエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
本発明に用いるエポキシ樹脂としては、従来公知の芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。
芳香族エポキシ樹脂として特に好ましいものは、少なくとも一つの芳香族核を有する多価フェノール又はそのアルキレンオキサイド付加体のポリグリシジルエーテルである。例えば、ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂が挙げられる。
脂環式エポキシ樹脂として特に好ましいものは、少なくとも一つの脂環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル又はシクロヘキセン又はシクロペンテン環含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物がある。ポリグリシジルエーテルの代表例としては、水素添加ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテルが挙げられる。
脂肪族エポキシ樹脂として特に好ましいものは、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルがある。その代表例は、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルが挙げられる。さらに脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルやフェノール、クレゾール又はこれらにアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル等も希釈剤として配合する事ができる。
本発明の硬化性組成物は、これらの芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂または脂肪族エポキシ樹脂を単独でも使用することができるが、所望の性能に応じて適当に配合することが望ましい。
本発明に用いるもう一つの必須成分であるルイス酸のスルホニウム塩は、下記一般式(I)で示される。
式中、Xは、下記一般式(II)で表わされるスルホニオ基である。
式(II)中、R1 は、炭素数1〜18の脂肪族基であり、CH3 −,C2 H5−,(CH3 )2 CH−,CH2 =CH−CH2 −,シクロヘキシル、シクロペンチルなどの置換または非置換の直鎖又は環状炭化水素基、
などのヘテロ原子を主鎖または置換基として有する脂肪族基を含む。
式(II)中、R2 は、上記で定義される脂肪族基かまたは炭素数6〜18の置換または非置換の芳香族基から選択することができる。ここでいう置換基は、幅広い範囲から選択することができるがアミノ基などのように塩基性の高い基は重合を阻害することがあるので好ましくない。好ましい置換基には、ニトロ基、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I)、アルコキシ基、脂肪族基、フェノキシ基、チオフェノキシ基などの基から選択することができる。R1 とR2 は、たとえば
のように互いに結合して硫黄原子を含む環を形成していてもよい。
式(I)中、Yは下記の一般式(III)で表われるスルホニル基であるか、または水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、炭素数1〜18の脂肪族基、炭素数6〜18の置換または非置換のフェニル基、フェノキシ基、またはチオフェノキシ基である。
式(III)中、R3 、R4 は、炭素数1〜18の脂肪族基、または炭素数6〜18の置換または非置換の芳香族基であり、R3 、R4 は、互いに結合して環を形成してもよい。nは、1または2である。mは、1または2であり、Yがスルホニオ基である場合は2である。Zは、式(IV)または(V)で示され、
Mは、B、P、As 、またはSbであり、Qはハロゲン原子であり、好ましくはCl 、Fから選択される。iは4または6である。Zの具体例としては、BF4、PF6 、As F6 、Sb F6 、Sb F5 OHなどが挙げられる。
本発明に用いるスルホニウム塩は、たとえばジフェニルスルフィドとジアルキルスルホキシドを硫酸中で混合後、所望のアニオン構造を有する無機化合物(代表的にはKPF6 、KAs F6 、Na Sb F6 など)と水中で混合することによって容易に得ることができる。
式(II)中、R2 は、上記で定義される脂肪族基かまたは炭素数6〜18の置換または非置換の芳香族基から選択することができる。ここでいう置換基は、幅広い範囲から選択することができるがアミノ基などのように塩基性の高い基は重合を阻害することがあるので好ましくない。好ましい置換基には、ニトロ基、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I)、アルコキシ基、脂肪族基、フェノキシ基、チオフェノキシ基などの基から選択することができる。R1 とR2 は、たとえば
式(I)中、Yは下記の一般式(III)で表われるスルホニル基であるか、または水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、炭素数1〜18の脂肪族基、炭素数6〜18の置換または非置換のフェニル基、フェノキシ基、またはチオフェノキシ基である。
本発明に用いるスルホニウム塩は、たとえばジフェニルスルフィドとジアルキルスルホキシドを硫酸中で混合後、所望のアニオン構造を有する無機化合物(代表的にはKPF6 、KAs F6 、Na Sb F6 など)と水中で混合することによって容易に得ることができる。
本発明に用いる強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、有機繊維など通常の繊維強化複合材料の強化繊維として使用されているものはいずれの繊維も使用することができる。また、繊維の形態も、一方向に揃えたもの及び織物及び編み物などいかなる形態のものであっても差し支えない。さらに炭素繊維とガラス繊維あるいは炭素繊維とこれらのハイブリッドでも良く、特に制限されるものではない。
本発明を主に強化繊維について述べるが、本発明は通常の複合材料の充填材を用いる場合にも有効である。充填材の例としては、アルミニウム、銅等の金属フィラー、カーボン、カルシウム塩等の無機フィラー、テフロン(登録商標)、ゴム等の有機フィラー、顔料、およびこれらの混合物が挙げられる。すなわち、本発明は、強化繊維に限定されず、一般的に樹脂に使用されるフィラーは使用でき、また、その作用も同様である。
本発明の組成物には、さらにカチオン重合を損なわない範囲で希釈のための溶剤や、改質のための非反応性の樹脂やプレポリマーを配合することができる。また例えば電気特性を改良する目的などのため有機カルボン酸や酸無水物を使用したり、あるいはゴム弾性をもたせるなどの目的でポリオールやその他の可撓性プレポリマーを混合するのもよい。
本発明の組成物は、エネルギー線の照射または80〜200℃程度の加熱のどちらにも敏感に反応し、短時間に物性に優れた硬化物を与えることができる。適当なエネルギー線としては、一般式(I)で示されるスルホニウム塩の分解を誘発するエネルギーを有する限りいかなるものであってもよい。好ましくは、高・低圧水銀ランプ、キセノンランプ、殺菌灯、レーザー光などから得られる200nm〜700nmの波長を有する電磁波エネルギーや電子線、X線放射線等の高エネルギー線を使用する。
エネルギー線への暴露は、エネルギー線の強度によるが、通常は1/2から10秒程度で十分である。しかし比較的厚い塗装物についてはそれ以上の時間をかけるのが好ましいことがある。エネルギー線照射後0.1秒〜数分後にはほとんどの組成物はカチオン重合により指触乾燥するが、カチオン重合性反応を促進するために40℃〜100℃の加熱を並用することも場合によっては好ましい。
本発明の組成物の硬化に際し、加熱のみで硬化を行うことも可能であり、エネルギー線のあたらない部分も硬化することができることからその応用範囲は広い。加熱を単独に行う場合は50〜200℃の温度範囲で数秒から数分の間に硬化することができる。
本発明の組成物の硬化に際し、加熱のみで硬化を行うことも可能であり、エネルギー線のあたらない部分も硬化することができることからその応用範囲は広い。加熱を単独に行う場合は50〜200℃の温度範囲で数秒から数分の間に硬化することができる。
本発明の組成物は、100重量部のカチオン性重合物質に対して0.1〜15重量部、より好ましくは0.2〜8重量部の一般式(I)で示されるスルホニウム塩を必須の成分とするが、適当な割合はカチオン性重合物質の種類、エネルギー線の種類、照射量、加熱の温度、所望の硬化時間、塗膜の厚みなどさまざまな要因を考慮することによって決定される。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法、加工方法は、不連続な繊維を含む繊維/樹脂マトリクスを形成するのに用いる方法を含み、幅広い種類の繊維/樹脂複合材料形成方法のいずれかにより製造しうる。例えば、レイアップ技術、シート成形、樹脂トランスファー成形等、並びにフィラメント巻き、編組、及び引出成形のような連続フィラメントの使用に適合しうる方法を使用しうる。更に、繊維/樹脂複合材料製品は、固体棒材を引出成形により形成し、次いでフィラメント巻きのコア物体として使用するようなこれらの方法の組み合わせによっても形成しうる。
本発明の樹脂組成物を強化繊維に含浸させてプリプレグを製造することができる。含浸させる方法としては、一般的なFRPの製造の際に用いられる方法であるなら特に問題なく使用できる。
具体的には、樹脂槽にクロス材を浸漬させて含浸させる方法、スプレー等でふきつける方法等があるが、これに限定されるものではない。
つまり、本発明の樹脂組成物は、数時間程度では太陽光レベルでは硬化しないため、含浸の方法については特に限定されない。
具体的には、樹脂槽にクロス材を浸漬させて含浸させる方法、スプレー等でふきつける方法等があるが、これに限定されるものではない。
つまり、本発明の樹脂組成物は、数時間程度では太陽光レベルでは硬化しないため、含浸の方法については特に限定されない。
本発明のプリプレグは、積層してUVなどのエネルギー線にて硬化させ繊維複合材料を生じることができる。
UVを使用する場合、積層したプリプレグにUVを数分(1分以上)照射することで簡単にFRPを得ることができる。さらに、積層済みプリプレグをバクフィルム等で包み、内部を真空にしたり加圧したりすることで繊維密度が高く密着性のよいFRPを得ることができる。また、フィラメントワインディングの様な巻き製法の場合、UVを照射しながら巻くことで巻き終わりと硬化終了が同時であり、さらに経済的である。
これらは、EB等の他のエネルギー線を使用する場合にも同様である。つまり、現在のFRPの様々の製法に応用可能である。
UVを使用する場合、積層したプリプレグにUVを数分(1分以上)照射することで簡単にFRPを得ることができる。さらに、積層済みプリプレグをバクフィルム等で包み、内部を真空にしたり加圧したりすることで繊維密度が高く密着性のよいFRPを得ることができる。また、フィラメントワインディングの様な巻き製法の場合、UVを照射しながら巻くことで巻き終わりと硬化終了が同時であり、さらに経済的である。
これらは、EB等の他のエネルギー線を使用する場合にも同様である。つまり、現在のFRPの様々の製法に応用可能である。
本発明の樹脂組成物を三次元織物に含浸後、UVなどのエネルギー線にて硬化させて繊維強化複合材料を生ずることができる。三次元織物の場合も従来の熱硬化樹脂と同様に射出等によって樹脂を含浸させる。ここで熱硬化樹脂との相違は、熱硬化樹脂は含浸後熱にて硬化させるため、樹脂粘度が低下し、樹脂量が少ない不良なFRPができたり、熱伝導により射出管内の樹脂まで硬化し機械に不具合があるが、UVを用いれば目的の箇所だけ一瞬で硬化させるためこれらの問題が発生しない点である。UV等のエネルギー線による硬化方法は特に前記と変わるものではない。
次に、本発明の樹脂組成物は、UVなどのエネルギー線にて硬化できるため、本発明の繊維強化複合材料に限らず、複合材料一般または樹脂加工品の補修に用いることができる。
例えば、航空機の主翼や船体対して補修を行うことがてきる。
従来の熱硬化樹脂のかわりに本発明である樹脂を用いる他は、熱硬化樹脂のときと同様にして補修箇所を処理する。具体的には、補修箇所にプリプレグをはり合わせたり、樹脂を注入したり、または、繊維材含有樹脂を注入したりして処理する。
次に樹脂の硬化についてであるが、熱硬化樹脂の場合、機体を解体してパーツごとオーブンで加熱したり、熱風ドライヤーまたはウォームマット等で広範囲を加熱する必要がある。これは残留熱歪の局所分布を極力さけるためであるが、本開発樹脂の場合このような熱歪を生まないため、懐中電灯のような小型のUV照射装置でも簡単に硬化させることができ、ハンドリング、熱歪レスの観点から非常に優れている。さらに、大型の配線、建造物の接合部等、一般に移動困難な二つの物体の合わせ面の密着接合に好適である。
例えば、航空機の主翼や船体対して補修を行うことがてきる。
従来の熱硬化樹脂のかわりに本発明である樹脂を用いる他は、熱硬化樹脂のときと同様にして補修箇所を処理する。具体的には、補修箇所にプリプレグをはり合わせたり、樹脂を注入したり、または、繊維材含有樹脂を注入したりして処理する。
次に樹脂の硬化についてであるが、熱硬化樹脂の場合、機体を解体してパーツごとオーブンで加熱したり、熱風ドライヤーまたはウォームマット等で広範囲を加熱する必要がある。これは残留熱歪の局所分布を極力さけるためであるが、本開発樹脂の場合このような熱歪を生まないため、懐中電灯のような小型のUV照射装置でも簡単に硬化させることができ、ハンドリング、熱歪レスの観点から非常に優れている。さらに、大型の配線、建造物の接合部等、一般に移動困難な二つの物体の合わせ面の密着接合に好適である。
以下、本発明を実施例1〜3、比較例1〜3により説明するが、本発明はこれに限定するものではない。
実施例1
ビス〔4−(ジメチルスルホニオ)フェニル〕スルフィドビス−ヘキサフルオロホスフェート2.0gを100gのERL−4221(ユニオンカーバイド社製:脂環式エポキシ樹脂)に溶解したものをマトリクス樹脂とし、これをガラスクロスに含浸させてプリプレグとしたものを10枚積層(板厚3mm)したのち120W/cmのハロゲンランプを60秒照射して繊維強化複合材料を得た。
実施例1
ビス〔4−(ジメチルスルホニオ)フェニル〕スルフィドビス−ヘキサフルオロホスフェート2.0gを100gのERL−4221(ユニオンカーバイド社製:脂環式エポキシ樹脂)に溶解したものをマトリクス樹脂とし、これをガラスクロスに含浸させてプリプレグとしたものを10枚積層(板厚3mm)したのち120W/cmのハロゲンランプを60秒照射して繊維強化複合材料を得た。
実施例2
ビス〔4−(ジメチルスルホニオ)フェニル〕スルフィドビス−ヘキサフルオロホスフェート2.0gを100gのERL−4221(ユニオンカーバイド社製:脂環式エポキシ樹脂)に溶解したものをマトリクス樹脂とし、巻き付け速度30cm/秒にてフィラメントワインディング法により成形(板厚3mm)し、120W/cmのハロゲンランプを60秒照射して繊維強化複合材料を得た。
ビス〔4−(ジメチルスルホニオ)フェニル〕スルフィドビス−ヘキサフルオロホスフェート2.0gを100gのERL−4221(ユニオンカーバイド社製:脂環式エポキシ樹脂)に溶解したものをマトリクス樹脂とし、巻き付け速度30cm/秒にてフィラメントワインディング法により成形(板厚3mm)し、120W/cmのハロゲンランプを60秒照射して繊維強化複合材料を得た。
実施例3
ビス〔4−(ジメチルスルホニオ)フェニル〕スルフィドビス−ヘキサフルオロホスフェート2.0gを100gのERL−4221(ユニオンカーバイド社製:脂環式エポキシ樹脂)に溶解したものをマトリクス樹脂とし、これをカーボンクロスに含浸させてプリプレグとしたものを8枚積層(板厚2mm)したのちエキシマ光を60秒照射して繊維強化複合材料を得た。
ビス〔4−(ジメチルスルホニオ)フェニル〕スルフィドビス−ヘキサフルオロホスフェート2.0gを100gのERL−4221(ユニオンカーバイド社製:脂環式エポキシ樹脂)に溶解したものをマトリクス樹脂とし、これをカーボンクロスに含浸させてプリプレグとしたものを8枚積層(板厚2mm)したのちエキシマ光を60秒照射して繊維強化複合材料を得た。
比較例1
公知のラジカル性重合物質(エポキシアクリレート)をマトリクス樹脂として使用すること以外は、実施例1と同様にして繊維強化複合材料を得た。
公知のラジカル性重合物質(エポキシアクリレート)をマトリクス樹脂として使用すること以外は、実施例1と同様にして繊維強化複合材料を得た。
比較例2
アミン硬化組成物(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル75wt%、ネオペンチルグリコールジアクリレート15wt%、ヒドロキシメチルフェニルプロパン3wt%、ラクロイルペルオキシド(10時間分解半減期64℃)0.8wt%、脱泡剤0.5wt%、湿潤剤0.1wt%、エチルメチルイミダゾール5.8wt%、ロックタイト社製のフィラメントワインディング用マトリクス組成物)をマトリクス樹脂に用いること以外は実施例2と同様にして繊維強化複合材料を得た。
アミン硬化組成物(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル75wt%、ネオペンチルグリコールジアクリレート15wt%、ヒドロキシメチルフェニルプロパン3wt%、ラクロイルペルオキシド(10時間分解半減期64℃)0.8wt%、脱泡剤0.5wt%、湿潤剤0.1wt%、エチルメチルイミダゾール5.8wt%、ロックタイト社製のフィラメントワインディング用マトリクス組成物)をマトリクス樹脂に用いること以外は実施例2と同様にして繊維強化複合材料を得た。
比較例3
公知のラジカル性重合物質(エポキシアクリレート)をマトリクス樹脂として使用すること以外は、比較例3と同様にして繊維強化複合材料を得た。
公知のラジカル性重合物質(エポキシアクリレート)をマトリクス樹脂として使用すること以外は、比較例3と同様にして繊維強化複合材料を得た。
Claims (4)
- カチオン性重合物質と下記一般式(I)で示されるルイス酸のスルホニウム塩の有効量とからなる熱硬化性及びエネルギー線硬化性を兼備したカチオン重合性樹脂組成物をマトリクス樹脂とし、これをガラス繊維に含浸させてなるプリプレグを積層して得られる、厚さが2〜3mmのプリプレグ積層体。
上式中、Yは、一般式
上式中、nおよびmは、それぞれ独立に1または2である。
上式中、Zは、一般式
- 請求項1に記載のプリプレグの積層体をエネルギー線にて硬化させてなる繊維強化複合材料。
- カチオン性重合物質と下記一般式(I)で示されるルイス酸のスルホニウム塩の有効量とからなる熱硬化性及びエネルギー線硬化性を兼備したカチオン重合性樹脂組成物をマトリクス樹脂とし、これをガラス繊維に含浸させてなるプリプレグを積層して得られる、厚さが2〜3mmのプリプレグ積層体の製造方法。
上式中、Yは、一般式
上式中、nおよびmは、それぞれ独立に1または2である。
上式中、Zは、一般式
- 請求項1に記載のプリプレグの積層体をエネルギー線にて硬化させる繊維強化複合材料の製造方法。
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JP (1) | JP2005256008A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103360713A (zh) * | 2012-04-06 | 2013-10-23 | 比亚迪股份有限公司 | 一种纤维预浸布及其制备方法 |
US11370704B2 (en) | 2017-10-27 | 2022-06-28 | Owens Corning Intellectual Capital, Llc | Sizing compositions including weakly-coordinating anion salts and uses thereof |
-
2005
- 2005-05-24 JP JP2005151171A patent/JP2005256008A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103360713A (zh) * | 2012-04-06 | 2013-10-23 | 比亚迪股份有限公司 | 一种纤维预浸布及其制备方法 |
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