JP2002128888A - 硬化性組成物およびその硬化方法ならびにその方法により得られる硬化物 - Google Patents

硬化性組成物およびその硬化方法ならびにその方法により得られる硬化物

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JP2002128888A
JP2002128888A JP2000330724A JP2000330724A JP2002128888A JP 2002128888 A JP2002128888 A JP 2002128888A JP 2000330724 A JP2000330724 A JP 2000330724A JP 2000330724 A JP2000330724 A JP 2000330724A JP 2002128888 A JP2002128888 A JP 2002128888A
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cationically polymerizable
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English (en)
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Hiroshi Matsutani
寛 松谷
Yutaka Honda
裕 本田
Kazuya Sato
和也 佐藤
Shigeki Katogi
茂樹 加藤木
Shinno Nishiyama
信乃 西山
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Resonac Corp
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環状エーテル化合物とカチオン重合性のエチ
レン性不飽和結合を有する化合物との共重合を行なう
と、重合物や硬化物中に未反応のカチオン重合性のエチ
レン性不飽和結合を有する化合物が残存し、硬化物物性
の低下、残存モノマーのしみ出しや飛散の問題点があ
り、これを解決する硬化性組成物、その硬化方法、その
方法により得られる硬化物を提供する。 【解決手段】 カチオン重合性のエチレン性不飽和結合
を有する化合物(A)と、環状エーテル構造を有する化
合物(B)と、分子中に水酸基を有する化合物(C)、
および、カチオン重合性触媒(D)を含有してなる硬化
性組成物。この硬化性組成物を50〜200℃の温度で
0.1秒〜50時間加熱または活性光線を照射する硬化
物の製造方法。その製造方法により得られる硬化物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な硬化物製造
用の硬化性組成物、該組成物の硬化方法、およびその方
法によって得られる新規な硬化物に関する。
【0002】本発明の硬化性組成物は、加熱されるこ
と、または活性光線を照射するにより硬化剤の作用を受
けて速硬化反応を起こし、新規な硬化物を形成すること
によって、優れた機械的性質(引張強さ、硬さなど)、
電気的性質(電気絶縁性、低誘電率など)、接着性、耐
熱性、耐湿性、耐薬品性などを示すものであり、塗料や
コーティング剤、つや出しワニス、インキ、塗料、接着
剤、電気絶縁材料、ICや超LSI封止材料、積層板、
およびその他の電気・電子部品、コンクリート構造物の
補修、新旧コンクリートの打継、補強鋼板の接着、各種
ライニングなどの土木建築用途、成形材料、複合材料用
途、さらに導電粒子を分散させた回路接続用材料用途な
どの分野へ使用できる。
【0003】
【従来の技術】オキシラン、オキセタンをはじめとする
環状エーテルはカチオン性硬化剤の作用によって開環重
合を起こし、ポリ(アルキレンオキシ)構造を有する硬
化物を形成する。これらの硬化物は、耐熱性と機械特性
とのバランスや、電気特性、接着特性、耐食性に優れて
おり、塗料、電子・電気、土木建築、接着剤、複合材料
などの分野に幅広く用いられている。ここで用いられる
環状エーテルのうち、特に4員環の環状エーテル化合物
であるオキセタンは、炭素−酸素間の結合が分極してい
ることから高い反応性を示し、ルイス酸などを触媒に用
いたオキセタンの開環重合(S.Inoue and
T.Aida,“Ring Opening Poly
merization,” K.J.Ivin and
T.Saegusa,Eds.,Elsevier,
London,1984,Vol.1,pp.185〜
298など参照)や、トリアルキルアルミニウム−水反
応生成物を触媒として用いたオキセタニルメチル トリ
メチルシリル エーテルの開環重合(特開平2−294
29号公報参照)などが報告されている。
【0004】また最近では、カチオン重合におけるオキ
セタンの高い反応性を利用し、光酸発生剤の存在下での
光カチオン重合が幾つか報告されている。例えば、特開
平6−16804号公報、特開平7−17958号公
報、特開平7−173279号公報および特開平8−2
45783号公報などには、下記一般式(1)
【0005】
【化1】
【0006】(式中、R1は、水素原子、フッ素原子、
1価の炭化水素基、1価のフッ素置換炭化水素基などで
あり、R2は、水素原子、あるいは場合により置換され
たアルキル基、場合により置換されたアリール基、アル
カノイル基、アロイル基、場合により置換された線状ま
たは分岐状アルキレン基、場合により置換された線状ま
たは分岐状ポリ(アルキレンオキシ)基、2〜4価のケ
イ素含有基、2〜4価の芳香族環含有炭化水素基など1
〜4価の置換基であり、nは、1〜4の整数である)で
示される分子中に1〜4個のオキセタン環を有する3−
置換オキセタンモノマーと、トリアリールスルホニウム
塩、ジアリールヨードニウム塩などの光酸発生剤とから
なる硬化性オキセタン組成物、該組成物に紫外線、X線
または電子線などの活性エネルギー線を照射することか
らなる前記オキセタンモノマーの硬化方法、および該硬
化方法によって得られる架橋重合体が開示されている。
さらに、熱潜在性カチオン重合性触媒を用いたオキセタ
ンの熱カチオン重合については、特開平11−2693
70号公報に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】近年、硬化物に要求さ
れる特性は多岐にわたっており、この要求を満たすため
には、共重合が有効な手段となる。環状エーテル化合物
のカチオン重合において、共重合モノマーとしてカチオ
ン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物がその
候補として挙げられる。
【0008】環状エーテル化合物とカチオン重合性のエ
チレン性不飽和結合を有する化合物との共重合が達成さ
れるには以下に示す2つの条件を満たす必要がある。第
一に、カチオン重合性触媒と環状エーテル化合物の反応
によって生成するカチオン活性種が環状エーテル化合物
とカチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合
物の両方と反応する。次に、カチオン重合性触媒とカチ
オン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物の反
応によって生成するカチオン活性種が環状エーテル化合
物とカチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化
合物の両方と反応しなければならない。
【0009】しかし、カチオン重合性触媒と環状エーテ
ル化合物の反応によって生成するカチオン活性種はオキ
ソニウムイオンであると考えられているため、カチオン
重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物とこの活
性種とは反応しない(大津隆行、改訂高分子合成の化
学、化学同人、p173参照)。したがって、環状エー
テル化合物とカチオン重合性のエチレン性不飽和結合を
有する化合物との共重合を行なうと、重合物や硬化物中
に未反応のカチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有
する化合物が残ってしまう。その結果、硬化物の物性を
低下させたり、残存モノマーが後から徐々にしみ出した
り、飛散するという問題点があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】最近、光酸発生剤存在下
でのオキシラン化合物の光カチオン単独重合において、
アルコール類を添加すると、光硬化反応がより高速に進
行する結果が相次いで報告されている(例えば、J.
V.Crivello他,J.Radiat.Curi
ng,13,3(1986)、特開平11−22861
0号公報参照)。アルコール類の水酸基が連鎖移動反応
に関与しているため、このような現象が起こると説明さ
れている(Chemistry&Technology
of UV&EB Formulation for
Coatings,Inks&Pigments,E
d.by K.Dietliker,SITA Tec
hnology Ltd,London,1991,p
p.352−358参照)。
【0011】したがって、アルコール類の連鎖移動反応
を利用し、オキソニウムイオンから未反応のカチオン重
合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物の反応を進
行させることにより、環状エーテル化合物とカチオン重
合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物との共重合
における反応率の向上が期待できる。本発明者らはカチ
オン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物と環
状エーテル化合物の共重合体について鋭意検討した結
果、カチオン重合性触媒の存在下、カチオン重合性のエ
チレン性不飽和結合を有する化合物と環状エーテル化合
物にアルコール類を添加した硬化性組成物は、高収率で
共重合反応が進行することを見出し、未反応モノマー量
の低減に成功し、該組成物から得られる共重合体の重合
比は、組成物のモノマー比を忠実に示すことを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明は、(請求項1)カチオ
ン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物(A)
と、環状エーテル構造を有する化合物(B)と、分子中
に水酸基を有する化合物(C)、および、カチオン重合
性触媒(D)を必須成分とする硬化性組成物である。こ
の請求項1に記載の発明は、高反応性でかつ高収率で種
々の共重合体を与える硬化性組成物を提供するものであ
る。また、本発明は、(請求項2)環状エーテル構造を
有する化合物(B)として、オキセタニル基を有する化
合物(B1)を用いることを特徴とする請求項1に記載
の硬化性組成物である。請求項2に記載の発明は、請求
項1記載の発明に加えて、優れたカチオン重合能を有す
る硬化性組成物を提供するものである。
【0013】また、本発明は、(請求項3)分子中に水
酸基を有する化合物(C)として、分子中に水酸基とオ
キセタニル基を有する化合物(C1)を用いることを特
徴とする請求項1または請求項2に記載の硬化性組成物
である。請求項3に記載の発明は、請求項1、2記載の
発明に加えて、さらに高い架橋密度を持つ硬化物を与え
る、硬化性組成物を提供するものである。
【0014】また、本発明は、(請求項4)カチオン重
合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物(A)と、
分子中に水酸基とオキセタニル基を有する化合物(C
1)、およびカチオン重合性触媒(D)を含有してなる
硬化性組成物である。請求項4に記載の発明は、優れた
カチオン重合能を有し、高反応性でかつ高収率で、高い
架橋密度を持つ共重合体を与える硬化性組成物を提供す
るものである。
【0015】また、本発明は、(請求項5)カチオン重
合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物(A)とし
て、ビニルエーテルを有する化合物(A1)を用いるこ
とを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記
載の硬化性組成物である。請求項5に記載の発明は、上
記の効果に加え高反応性でかつ高収率で種々の共重合体
を与える硬化性組成物を提供するものである。
【0016】また、本発明は、(請求項6)カチオン重
合性触媒(D)が、潜在性カチオン重合性触媒(D1)
である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の硬化
性組成物である。請求項6に記載の発明は、請求項1〜
5に記載の発明に加えて、保存安定性の高い硬化性組成
物を提供するものである。また、本発明は、(請求項
7)請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の硬化性
組成物を50〜200℃の温度で0.1秒〜50時間加
熱することを特徴とする硬化物の製造方法である。ま
た、本発明は、(請求項8)請求項1ないし請求項6の
いずれかに記載の硬化性組成物に活性光線を照射するこ
とを特徴とする硬化物の製造方法である。また、本発明
は、(請求項9)請求項1ないし請求項6のいずれかに
記載の硬化性組成物に活性光線を照射し、かつ50〜2
00℃の温度で0.1秒〜50時間加熱することを特徴
とする硬化物の製造方法である。請求項7〜9に記載の
発明は、請求項1〜6記載の発明に加えて、種々の共重
合体を短時間にかつ高収率で製造する方法を提供するも
のである。
【0017】また、本発明は、(請求項10)請求項7
ないし請求項9のいずれかに記載の硬化物の製造方法に
より得られる硬化物である。請求項10に記載の発明
は、請求項1〜9記載の発明に加えて、種々の共重合硬
化物を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳しく説明す
る。 (カチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合
物(A))カチオン重合性のエチレン性不飽和基を有す
る化合物(A)としては、メチルビニルエーテル、エチ
ルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソ
プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、
イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエ
ーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−デシ
ルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、n−
ヘキサデシルビニルエーテル、n−オクタデシルビニル
エーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ジビニルエ
ーテル、アリルビニルエーテル、エチニルビニルエーテ
ル、ベンジルビニルエーテル、フェニルビニルエーテ
ル、p−クロロフェニルビニルエーテル、2−クロロエ
チルビニルエーテル、2−メトキシエチルビニルエーテ
ル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、エチル
(α−メチルビニル)エーテル、ブチル(1−プロペニ
ル)エーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、
ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレン
グリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコー
ルジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエ
ーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプ
ロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレン
グリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコール
ジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエ
ーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、
1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンジビニルエーテ
ル、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサンジビニ
ルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、エチレ
ンオキサイド変性ハイドキノンジビニルエーテル、エチ
レンオキサイド変性レゾルシンジビニルエーテル、エチ
レンオキサイド変性ビスフェノールAジビニルエーテ
ル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールSジビニル
エーテル、グリセリントリビニルエーテル、トリメチロ
ールプロパントリビニルエーテルなどのビニルエーテル
(A1)が挙げられる。
【0019】また、カチオン重合性のエチレン性不飽和
基を有する化合物(A)として、スチレン系モノマ(ス
チレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン
等)、ポリオレフィン系モノマ(ブタジエン、イソプレ
ン、クロロプレン等)、ビニル系モノマ(塩化ビニル、
酢酸ビニル等)、ニトリル系モノマ(アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等)、1−(メタクリロイロキ
シエトキシカルボニル)−2−(3′−クロロ−2′−
ヒドロキシプロポキシカルボニル)ベンゼンなどが挙げ
られる。
【0020】また、カチオン重合性のエチレン性不飽和
基を有する化合物(A)として、この他に、分子中に二
重結合を1個有する、アクリル酸又はメタクリル酸のエ
ステル系モノマ(アクリル酸メチル、メタクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル
酸n−プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル
酸iso−プロピル、メタクリル酸iso−プロピル、
アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アク
リル酸iso−ブチル、メタクリル酸iso−ブチル、
アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチ
ル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸ter
t−ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチ
ル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アク
リル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2
−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、
アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル
酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メ
タクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸
ドデシル、アクリル酸テトラデシル、メタクリル酸テト
ラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキ
サデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オク
タデシル、アクリル酸エイコシル、メタクリル酸エイコ
シル、アクリル酸ドコシル、メタクリル酸ドコシル、ア
クリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチ
ル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘ
キシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シク
ロヘプチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジ
ル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アク
リル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、
アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、
メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸2−
クロロエチル、メタクリル酸2−クロロエチル、アクリ
ル酸2−フルオロエチル、メタクリル酸2−フルオロエ
チル、アクリル酸2−シアノエチル、メタクリル酸2−
シアノエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコー
ル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、アク
リル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸
メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸メトキシ
トリエチレングリコール、メタクリル酸メトキシトリエ
チレングリコール等)なども挙げられる。
【0021】また、カチオン重合性のエチレン性不飽和
基を有する化合物(A)として、分子中に二重結合を2
個有する、エチレングリコールジアクリレート、エチレ
ングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコール
ジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレー
ト、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチ
レングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリ
コールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメ
タクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレー
ト、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ヘキサ
プロピレングリコールジアクリレート、ヘキサプロピレ
ングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコ
ールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタ
クリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ブチ
レングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコ
ールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタク
リレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、
1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブ
タンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオール
ジメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリ
レート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘ
キサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトー
ルジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレ
ート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメ
チロールプロパンジメタクリレート、ビスフェノールA
ジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、
2,2−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジ
エトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタ
クリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン
2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニ
ル)プロパン、ビスフェノールAジグリシジルエーテル
ジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテ
ルジメタクリレート、m−ジビニルベンゼン、p−ジビ
ニルベンゼン、ウレタンジアクリレート化合物等も挙げ
られる。
【0022】さらに、カチオン重合性のエチレン性不飽
和基を有する化合物(A)として、上記の化合物の他
に、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメ
チロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメ
タクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプ
ロパントリアクリレート、エチレンオキシド変性トリメ
チロールプロパントリメタクリレート、トリメチロール
プロパントリグリシジルエーテルトリアクリレート、ト
リメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリメタ
クリレート、トリビニルベンゼン、テトラメチロールプ
ロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパン
テトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラア
クリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレー
ト等も挙げられる。
【0023】上記化合物以外にも、カチオン重合性のエ
チレン性不飽和基を有する化合物(A)として、ビニル
ピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニルカルバゾー
ル、ビニル−1−イミダゾール、ジビニルエチレン尿
素、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルホルマリン、
アリルグリシジルエーテル、テトラエチレングリコール
モノアリルエーテル、置換または未置換のアセチレン、
置換または未置換のイミンなどが使用できる。
【0024】これらのカチオン重合性のエチレン性不飽
和基を有する化合物(A)は、単独で、または2種類以
上を組み合わせて使用できる。
【0025】(環状エーテル構造を有する化合物
(B))環状エーテル構造を有する化合物(B)として
はエーテル酸素を有する脂環式化合物であれは特に制限
はないが、カチオンの作用によって開環重合反応を起こ
す化合物である必要がある。そのような環状エーテル構
造を有する化合物(B)として具体的には、オキシラン
化合物が挙げられる。
【0026】本発明で使用されるオキシラン化合物は、
その分子中にオキシラン環を有していれば特に制限はな
く使用しうる。このようなオキシラン化合物のうち、1
分子中に1つのオキシラン環を有する化合物としては、
以下に示す化合物が挙げられる。
【化2】
【0027】また、本発明で使用されるオキシラン化合
物のうち、1分子中に2つのオキシラン環を有する化合
物としては、以下に示す化合物が挙げられる。
【化3】
【化4】
【0028】また、本発明で使用されるオキシラン化合
物のうち、1分子中に三つのオキシラン環を有する化合
物としては、以下に示す化合物が挙げられる。
【化5】
【0029】さらに、本発明で使用されるオキシラン化
合物のうち、1分子中に四つのオキシラン環を有する化
合物としては、以下に示す化合物が挙げられる
【化6】
【0030】本発明で用いられるオキシラン化合物とし
て、一般式(3)で表される化合物も用いることができ
る。
【化7】 一般式(3)中、R8〜R11は各々独立に水素原子の
他、フッ素、塩素、臭素、沃素等のハロゲン原子、また
は一価の基が挙げられる。一価の基として、例えば、ア
ミノ基、カルボメトキシ基等のエステル基、カルボアミ
ノメチル基等のアミド基、アミノカルボキシメチル基等
のカルバミノ基、置換もしくは未置換のメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基
などのアルキル基もしくは置換または未置換のフェニル
基、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基など
のアルケニル基、シリル基などが挙げられる。
【0031】本発明で用いられるオキシラン化合物のな
かで、分子内にオキシラン環を1〜4個含むものが、重
合物が適度な架橋密度を持つため好ましい。オキシラン
環が5個を超えた場合、重合物の架橋密度が高すぎるた
め取り扱いにくく、また分子内反応も併発する傾向があ
る。
【0032】また、本発明におけるオキシラン化合物と
して、エポキシ当量43から10000程度のオキシラ
ン化合物を用いてもよい。エポキシ当量が43以下では
オキシラン化合物を形成できず、また10000より大
きい場合は反応速度が低下する傾向がある。また、この
際単一分子だけでなく、以下に示すような、繰り返し単
位数(z)に分布を持つオリゴマーを用いると、組成物
の結晶性が低下し、保存安定性に優れる。したがって、
0<zが好ましく、0.5≦zがさらに好ましく、1≦
zが最も好ましい。
【化8】
【0033】環状エーテル構造を有する化合物(B)と
して、オキシラン化合物の他にオキセタニル基を有する
化合物(B1)が挙げられる。4員環の環状エーテル化
合物であるオキセタンは、炭素−酸素間の結合が分極し
ていることから高い反応性を示し、カチオン重合性触媒
を用いた開環重合が高速に進行する点から特に好まし
い。
【0034】本発明で用いられるオキセタニル基を有す
る化合物(B1)としては、その分子中にオキセタン環
を有していれば特に制限はなく、いかなる化合物も用い
ることができる。これらのうち、その分子中に1〜4個
のオキセタン環を有する化合物は、硬化物の物性に優れ
ている点から好ましい。
【0035】例えば、1個のオキセタニル基を有する化
合物(B1)として、下記一般式(4)で示される化合
物等が挙げられる。
【0036】
【化9】
【0037】一般式(4)において、R12は、水素原
子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等
の炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のフル
オロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又は
チエニル基である。R13は、水素原子、メチル基、エチ
ル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜6個の
アルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2
−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペ
ニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基或いは3−ブ
テニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル
基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジ
ル基或いはフェノキシエチル基等の芳香環を有する基、
エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基或いはブチ
ルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニ
ル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基
或いはブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアル
コキシカルボニル基、又はエチルカルバモイル基、プロ
ピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基或いはペン
チルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキル
カルバモイル基等である。
【0038】つぎに、2個のオキセタニル基を有する化
合物(B1)としては、下記一般式(5)で示される化
合物等が挙げられる。
【0039】
【化10】
【0040】一般式(5)において、R12は、前記一般
式(4)におけるものと同様の基である。R14は、例え
ば、エチレン基、プロピレン基或いはブチレン基等の線
状或いは分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)
基或いはポリ(プロピレンオキシ)基等の線状或いは分
枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メ
チルプロペニレン基或いはブテニレン基等の線状或いは
分枝状不飽和炭化水素基、カルボニル基、カルボニル基
を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン
基又はカルバモイル基を含むアルキレン基等である。
【0041】また、R14は、下記一般式(6)〜(1
7)で示される基から選択される多価基でもある。
【0042】
【化11】
【0043】一般式(6)において、R15は、水素原
子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等
の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ
基、プロポキシ基或いはブトキシ基等の炭素数1〜4個
のアルコキシ基、塩素原子或いは臭素原子等のハロゲン
原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキ
ルカルボキシル基、カルボキシル基、又はカルバモイル
基である。
【0044】
【化12】
【0045】一般式(7)において、R16は、酸素原
子、硫黄原子、メチレン基、
【化13】 である。
【0046】
【化14】
【0047】一般式(8)において、R17は、水素原
子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等
の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ
基、プロポキシ基或いはブトキシ基等の炭素数1〜4個
のアルコキシ基、塩素原子或いは臭素原子等のハロゲン
原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキ
ルカルボキシル基、カルボキシル基、又はカルバモイル
基である。
【0048】
【化15】
【0049】一般式(9)において、R18は、酸素原
子、硫黄原子、メチレン基、
【化16】 である。
【0050】
【化17】
【0051】一般式(10)及び一般式(11)におい
て、R19は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル
基或いはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メ
トキシ基、エトキシ基、プロポキシ基或いはブトキシ基
等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子或いは臭
素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカ
プト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基
又はカルバモイル基である。さらにR19は、ナフタレン
環に2〜4ヶ置換していてもよい。
【0052】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】 ただし、aaは0〜10であり、異なる数値の化合物の
混合物でも良い。
【0053】2個のオキセタニル基を有する化合物(B
1)において、上記した化合物以外の好ましい例として
は、下記一般式(18)で示される化合物がある。な
お、一般式(18)において、R12は、前記一般式
(4)におけるものと同様の基である。
【0054】
【化22】
【0055】3〜4個のオキセタニル基を有する化合物
(B1)としては、下記一般式(19)で示される化合
物等が挙げられる。
【0056】
【化23】
【0057】一般式(19)において、R12は、前記一
般式(4)におけるものと同様の基であり、bbは3又
は4である。R20は、例えば、下記一般式(20)、式
(21)及び式(22)で示される基等の炭素数1〜1
2の分枝状アルキレン基、下記一般式(23)で示され
る基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基が挙げられ
る。
【0058】
【化24】 (一般式(20)において、R21はメチル基、エチル基
又はプロピル基等の低級アルキル基である)
【0059】
【化25】
【0060】
【化26】
【0061】
【化27】 (一般式(23)において、ccは1〜10の整数であ
る)
【0062】本発明で使用するオキセタニル基を有する
化合物(B1)の好ましい具体例としては、以下に示す
化合物がある。
【0063】
【化28】
【0064】また、これら以外にも、分子量1,000
〜5,000程度の比較的高分子量の1〜4個のオキセ
タニル基を有する化合物も挙げられる。さらにオキセタ
ンを含むポリマーとして、側鎖にオキセタン環を有する
ポリマー(例えば、K.Sato,A.Kameyam
a,and T.Nishikubo,Macromo
lecules,25,1198(1992)を参照)
等も同様に用いることが出来る。なお、本発明で用いら
れるオキセタニル基を有する化合物(B1)は単独でま
たは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0065】本発明で用いられる、環状エーテル構造を
有する化合物(B)として、オキシラン化合物およびオ
キセタン化合物の他に、テトラヒドロフラン、7−オキ
サビシクロ[2.2.1]ヘプタン、endo−2−メ
チル−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、e
xo−2−メチル−7−オキサビシクロ[2.2.1]
ヘプタン、endo−2−tert−ブチル−7−オキ
サビシクロ[2.2.1]ヘプタン、exo−2−te
rt−ブチル−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプ
タン、trans−8−オキサビシクロ[4.3.0]
ノナン、2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、
オキセパン、オキソカン、オキソナン、オキセカン、ト
リオキサン、1,3−ジオキソラン、2−ビニル−1,
3−ジオキソラン、2−メチレン−1,3−ジオキソラ
ン、4−メチレン−1,3−ジオキソラン、2−メチル
−4−メチレン−1,3−ジオキソラン、2,2−ジメ
チル−4−メチレン−1,3−ジオキソラン、1,3,
5−トリオキサン、2−メチレン−1,3−ジオキサ
ン、2−ビニル−1,3−ジオキサン、1,3−ジオキ
セパン、2−メチレン−1,3−ジオキセパン、5,6
−ベンゾ−2−メチレン−1,3−ジオキセパン、4,
7−ジメチル−2−メチレン−1,3−ジオキセパン、
1,3,6−トリオキソカン、1,3,5,7−テトラ
オキソカン、2,6−ジオキサビシクロ[2.2.1]
ヘプタン、2,7−ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘ
プタン、2,6−ジオキサビシクロ[2.2.2]オク
タン、7,9−ジオキサビシクロ[4.3.0]ノナ
ン、6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタ
ン、3,6,8−シリオキサビシクロ[3.2.1]オ
クタン、6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オク
ト−3−エン、1,4,6−トリオキサスピロ[4.
4]ノナン、1,4−アンヒドロ−2,3−O−ベンジ
リデン−α−D−リボピラノーズ、1,4−アンヒドロ
−2,3−O−イソプロピリデン−α−D−リボピラノ
ーズ、1,6−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−ベ
ンジル−β−D−グルコピラノーズ、1,6−アンヒド
ロ−2,3,4−トリ−O−メチル−β−D−グルコピ
ラノーズ、1,6−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O
−エチル−β−D−グルコピラノーズ、1,6−アンヒ
ドロ−2−トシルアミノ−2−デオキシ−3,4−ジ−
O−ベンジル−β−D−グルコピラノーズ、1,6−ア
ンヒドロ−2,3,4−トリ−O−メチル−β−D−マ
ンノピラノーズ、1,6−アンヒドロ−2,3,4−ト
リ−O−エチル−β−D−マンノピラノーズなどが挙げ
られる。
【0066】本発明で使用される環状エーテルを有する
化合物(B)は単独で、または2種類以上を組み合わせ
て使用できる。
【0067】本発明の硬化性組成物を製造する際に使用
する環状エーテル構造を有する化合物(B)の使用量
は、カチオン重合性のエチレン性不飽和基を有する化合
物(A)100重量部に対して環状エーテル構造を有す
る化合物(B)を0.1〜100000重量部使用する
ことが好ましく、1〜10000重量部使用することが
より好ましく、10〜1000重量部使用することが最
も好ましい。環状エーテル構造を有する化合物(B)の
使用量が0.1以下であると環状エーテル構造を有する
化合物の添加効果が発現しない傾向がある。また、10
0000重量部以上ではカチオン重合性のエチレン性不
飽和基を有する化合物の添加効果が発現しない傾向があ
る。
【0068】(分子中に水酸基を有する化合物(C))
本発明で使用される分子中に水酸基を有する化合物
(C)は、分子中にアルコール性水酸基またはフェノー
ル性水酸基を1つ以上有する化合物であれば、特に制限
はない。分子中に水酸基を有する化合物(C)の水酸基
の連鎖移動反応を利用し、カチオン重合性のエチレン性
不飽和結合を有する化合物(A)と環状エーテル化合物
(B)との共重合において、オキソニウムイオンから未
反応のカチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する
化合物(A)の反応を進行させることによって、反応率
の向上を図る事ができる。
【0069】分子中に水酸基を有する化合物(C)とし
ては具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパ
ノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタ
ノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアル
コール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペ
ンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチ
ルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メ
チル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−
ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メ
チル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノー
ル、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタ
ノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エ
チル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、3,5,5
−トリメチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、1
−ウンデカノール、1−ドデカノール、アリルアルコー
ル、プロパルギルアルコール、ベンジルアルコール、シ
クロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2
−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサ
ノール、4−メチルシクロヘキサノールなどが挙げられ
る。
【0070】また、分子中に水酸基を有する化合物
(C)として、この他に以下に示す化合物が挙げられ
る。
【0071】
【化29】
【化30】
【0072】また、分子中に水酸基を有する化合物
(C)として、以下に示すフェノール性水酸基を有する
化合物も挙げられる。
【0073】
【化31】
【0074】分子中に水酸基を有する化合物(C)とし
て、この他に以下に示す化合物も挙げられる。
【0075】
【化32】
【0076】さらに、本発明で使用される、分子中に水
酸基を有する化合物(C)として、分子中にオキセタニ
ル基と水酸基を有する化合物(C1)が挙げられる。こ
の分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C
1)中の水酸基の連鎖移動反応を利用し、未反応のカチ
オン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物の反
応を進行させることにより、環状エーテル化合物とカチ
オン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物との
共重合における反応率の向上が期待できる。それと共
に、本発明で使用される分子中にオキセタニル基と水酸
基を有する化合物(C1)中にはオキセタニル基が含ま
れており、このオキセタニル基が架橋反応に参加できる
ため、高い架橋密度を持つ硬化物を与えるという特徴を
もつ。
【0077】本発明で用いられる分子中にオキセタニル
基と水酸基を有する化合物(C1)は、分子中にオキセ
タニル基と水酸基を有しているならば、いかなる化合物
でもかまわない。そのなかで、1分子中にオキセタニル
基を1〜6個有し、かつ水酸基を1〜6個有する脂肪族
系または脂環系化合物は、硬化性に優れており好まし
い。1分子中のオキセタニル基が6個を超えると重合物
の架橋密度が高すぎるため取り扱いにくく、また分子内
反応も併発する傾向がある。また、1分子中の水酸基が
6個を超えると、硬化物の親水性が強くなり、吸湿性が
高くなる傾向がある。本発明の分子中にオキセタニル基
と水酸基を有する化合物(C1)として以下の化合物が
好ましい例として挙げられる。
【0078】
【化33】
【0079】また、本発明で使用される分子中にオキセ
タニル基と水酸基を有する化合物(C1)のうち、下記
一般式(24)で表される化合物は、合成が容易である
ため好ましい。
【化34】
【0080】一般式(24)中Qは酸素または硫黄原子
を示すが、合成の容易さから酸素原子が好ましい。ま
た、式中pは0〜6までの整数を示すが、入手の容易さ
からp=1が好ましい。一般式(24)中R24としては
水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチ
ル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個
のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル
基又はチエニル基である。これらの中で、R24として水
素原子、メチル基、エチル基のものはオキセタン含有率
が高く、好ましい。
【0081】一般式(24)中R25は1〜6の整数nの
値に対応する1〜6価の基であれば、特に制限はない。
具体的には、n=1の場合、分子中にオキセタニル基と
水酸基を有する化合物(C1)の好ましい例として、以
下に示す化合物が挙げられる。
【化35】
【0082】n=2の場合、分子中にオキセタニル基と
水酸基を有する化合物(C1)として、例えば以下の化
合物などが挙げられる。
【化36】
【化37】
【0083】n=3の場合、分子中にオキセタニル基と
水酸基を有する化合物(C1)として、例えば以下の化
合物などが挙げられる。
【化38】
【0084】n=4の場合、分子中にオキセタニル基と
水酸基を有する化合物(C1)として、例えば以下の化
合物などが挙げられる。
【化39】
【0085】また、本発明で用いられる分子中にオキセ
タニル基と水酸基を有する化合物(C1)として、下記
一般式(25)で表される脂環系化合物も挙げられる。
【化40】
【0086】式(25)中Qは酸素または硫黄原子を示
すが、合成の容易さから酸素原子が好ましい。また、式
中pは0〜6までの整数を示すが、入手の容易さからp
=1が好ましい。
【0087】また、一般式(25)中R27としては水素
原子、未置換または脂肪族系または脂環系有機基で置換
されたメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、se
c−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、
ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘ
キシル基などの炭素数1から6までのアルキル基、トリ
フルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフル
オロプロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフ
ルオロブチル基、2−(パーフルオロブチル)エチル
基、パーフルオロヘキシル基などの炭素数1から6まで
のパーフルオロアルキル基などが挙げられる。これらの
中で、R27として水素原子、メチル基、エチル基のもの
はオキセタン含有率が高く、好ましい。R28は環を形成
可能な二価の脂肪族系有機基であれば、特に制限はな
い。
【0088】一般式(25)の分子中にオキセタニル基
と水酸基を有する脂環系化合物は、あらかじめ分子内架
橋構造を持っているため、強靭な硬化物を与える点で好
ましい。具体的な例として以下の化合物が挙げられる。
【化41】 ここで、W,Xは水酸基と(オキセタン−3−イル)メ
トキシ基(I)の組み合わせを示し、Y,Zは水酸基と
(オキセタン−3−イル)メトキシ基(I)の組み合わ
せを示す。
【0089】本発明で使用される、分子中にオキセタニ
ル基と水酸基を有する化合物(C1)としては、単一の
分子量を持つ化合物だけでなく、分子量分布を持つオリ
ゴマー(C1’)を用いてもよい。このようなオリゴマ
ー(C1’)を用いた組成物は結晶性が低下し、保存安
定性に優れる。本発明で使用されるオリゴマー(C
1’)として具体的には以下に示す化合物が挙げられ
る。
【化42】
【0090】本発明で使用される、分子中にオキセタニ
ル基と水酸基を有する化合物(C1)またはオリゴマー
(C1’)の分子量としては74〜20000の範囲が
好ましく、74〜10000の範囲がより好ましい。分
子量が74以下では、分子中にオキセタニル基と水酸基
を形成することができず、また、20000を超えると
硬化速度が低下する傾向がある。
【0091】本発明で使用される、分子中に水酸基を有
する化合物(C)、分子中にオキセタニル基と水酸基を
有する化合物(C1)、およびオリゴマー(C1’)は
単独で、または2種類以上を組み合わせて使用する。
【0092】本発明の硬化性組成物を製造する際に、使
用する分子中に水酸基を有する化合物(C)の使用量は
カチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物
(A)、環状エーテル構造を有する化合物(B)あわせ
て100重量部に対して、分子中に水酸基を有する化合
物(C)を0.001〜1000重量部使用することが
好ましく、0.01〜100重量部使用することがより
好ましく、0.1〜10重量部使用することが最も好ま
しい。分子中に水酸基を有する化合物(C)の使用量が
0.001重量部以下では水酸基の連鎖移動効果が認め
られない傾向があり、1000重量部を超えると硬化物
の強度が低下する傾向がある。
【0093】本発明の硬化性組成物を製造する際に、分
子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C1)
を使用する場合、化合物(C1)中のオキセタニル基が
架橋反応に参加できるため、硬化物の強度の低下を防ぐ
ことができる。したがって、分子中にオキセタニル基と
水酸基を有する化合物(C1)の使用量は、カチオン重
合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物(A)、環
状エーテル構造を有する化合物(B)あわせて100重
量部に対して、分子中にオキセタニル基と水酸基を有す
る化合物(C1)を0.001〜100000重量部使
用することが好ましく、0.01〜10000重量部使
用することがより好ましく、0.1〜1000重量部使
用することが最も好ましい。分子中にオキセタニル基と
水酸基を有する化合物(C1)の使用量が0.001重
量部以下では水酸基の連鎖移動効果が認められない傾向
があり、100000重量部を超えるとカチオン重合性
のエチレン性不飽和基を有する化合物(A)の添加効果
が発現しない傾向がある。
【0094】また、本発明で使用される分子中にオキセ
タニル基と水酸基を有する化合物(C1)は、分子内に
環状エーテルであるオキセタニル基を有している。した
がって、本発明の硬化性組成物を製造する際に、分子中
にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C1)を用
いた場合、環状エーテル構造を有する化合物(B)を加
えなくてもよいという特徴がある。この場合、分子中に
オキセタニル基と水酸基を有する化合物(C1)の使用
量は、カチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する
化合物(A)を100重量部に対して、分子中にオキセ
タニル基と水酸基を有する化合物(C1)を0.001
〜100000重量部使用することが好ましく、0.0
1〜10000重量部使用することがより好ましく、
0.1〜1000重量部使用することが最も好ましい。
分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C
1)の使用量が0.001重量部以下では水酸基の連鎖
移動効果が認められない傾向があり、100000重量
部を超えるとカチオン重合性のエチレン性不飽和基を有
する化合物(A)の添加効果が発現しない傾向がある。
【0095】(カチオン重合性触媒(D))本発明の構
成成分であるカチオン重合性触媒(D)としては、カチ
オン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物
(A)、環状エーテル構造を有する化合物(B)、およ
び分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C
1)をカチオン重合せしめるものであればいかなる化合
物も用いることが可能である。このようなカチオン重合
性触媒(D)として、硫酸、リン酸、過塩素酸、トリフ
ルオロメタンスルホン酸のようなプロトン酸、あるいは
三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四
塩化スズのようなルイス酸が好適に用いられる。これら
は単独で、または2種類以上を組み合わせて用いること
ができる。
【0096】また、カチオン重合性触媒(D)の中で、
活性光線の照射または加熱することによってカチオン重
合性触媒を形成する、いわゆる潜在性カチオン重合性触
媒(D1)は、カチオン重合性のエチレン性不飽和結合
を有する化合物(A)、環状エーテル構造を有する化合
物(B)、および分子中にオキセタニル基と水酸基を有
する化合物(C1)に配合して室温に放置する限りにお
いては長期間にわたって安定であるが、活性光線または
熱の作用で、直ちにカチオン重合性触媒を形成し、前記
硬化反応を開始、促進せしめることができる。
【0097】このような潜在性カチオン重合性触媒(D
1)として具体的には、下記一般式(26)で示される
第四級アンモニウム塩、下記一般式(27)で示される
ホスホニウム塩、下記一般式(28)、(29)または
(30)で示されるスルホニウム塩、下記一般式(3
1)で示されるジアゾニウム塩および下記一般式(3
2)で示されるヨードニウム塩からなる群より選ばれる
少なくとも1種のオニウム塩である。
【化43】 (一般式(26)中、R29〜R32は、それぞれ、炭素原
子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜12のアル
ケニル基、アリール基、アルカリール基、炭素原子数1
〜20のアルカノール基もしくは炭素原子数5〜10の
シクロアルキル基であり、互いに同一でも異なっていて
もよく、また置換基を有しても有さなくてもよい。ま
た、R29〜R32のうち2個は互いに結合して、N、P、
OまたはSをヘテロ原子とする複素環を形成してもよ
い。さらに、Xは、BF4、PF6、AsF6、SbF6
SbCl6、(C654B、SbF5(OH)、HS
4、p−CH364SO3、HCO3 、H2PO4、C
3COOおよびハロゲン原子からなる群より選ばれる
1価の陰イオンを表わす。)
【化44】 (一般式(27)中、R29〜R32およびXは、それぞ
れ、上記一般式(26)におけるR29〜R32およびXと
同じである。)
【化45】 (一般式(28)中、R29〜R31およびXは、それぞ
れ、上記一般式(26)におけるR29〜R31およびXと
同じであり、R29〜R31のうち2個は互いに結合して、
N、P、OまたはSをヘテロ原子とする複素環を形成し
てもよい。)
【化46】 (一般式(29)中、R29、R30およびXは、それぞ
れ、上記一般式(26)におけるR29、R30およびXと
同じであり、R29およびR30は互いに結合して、N、
P、OまたはSをヘテロ原子とする複素環を形成しても
よい。また、Ar1は、置換基を有しても有さなくても
よい1価のアリール基を表わし、Ar2は、置換基を有
しても有さなくてもよい2価のアリーレン基を表わ
す。)
【化47】 (一般式(30)中、R29〜R32およびXは、それぞ
れ、上記一般式(26)におけるR29〜R32およびXと
同じである。また、Ar1は、上記一般式(29)にお
けるAr1と同じであり、Ar2は、上記一般式(29)
におけるAr2と同じである。)
【化48】 (一般式(31)中、Ar1およびXは、それぞれ、上
記一般式(29)におけるAr1および上記一般式(2
6)におけるXと同じである。)
【化49】 (一般式(32)中、Xは、上記一般式(26)におけ
るXと同じであり、Ar 3およびAr4は、互いに同一で
も異なっていてもよく、また置換基を有しても有さなく
てもよい1価のアリール基である。)
【0098】ここで、前記一般式(26)〜(30)に
おいて、R29、R30、R31またはR32としての前記炭素
原子数1〜20のアルキル基としては、置換基を有して
も、有さなくてもよい直鎖または分岐を有するアルキル
基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチ
ル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペン
チル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシ
ル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ノニル基、デ
シル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テ
トラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オク
タデシル基、ノナデシル基およびエイコシル基などが挙
げられる。また、前記R29、R30、R31またはR32とし
ての炭素原子数3〜12のアルケニル基としては、置換
基を有しても、有さなくてもよい直鎖または分岐を有す
るアルケニル基が含まれ、例えば、n−プロペニル基、
n−ブテニル基、sec−ブテニル基、tert−ブテ
ニル基、n−ペンテニル基、sec−ペンテニル基、ヘ
キセニル基、n−ヘプテニル基、sec−ヘプテニル
基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基およびウン
セニル基などが挙げられる。
【0099】前記R29、R30、R31またはR32としての
アリール基としては、例えば、置換または非置換のフェ
ニル基、ナフチル基またはアントラセン基が含まれ、特
に、フェニル基が好ましい。前記R29、R30、R31また
はR32としてアルカリール基としては、前述の炭素原子
数1〜20のアルキル基およびアリール基で構成される
ものが挙げられる。また、前記R29、R30、R31または
32としての炭素原子数1〜20のアルカノール基とし
ては、置換基を有しても、有さなくてもよい直鎖または
分岐を有するアルカノール基が含まれ、例えば、エタノ
ール基、n−プロパノール基、イソプロパノール基、n
−ブタノール基、sec−ブタノール基、tert−ブ
タノール基、n−ペンタノール基、sec−ペンタノー
ル基、1−ヘキサノール基、1−ヘプタノール基、1−
オクタノール基、1−ノナノール基、1−デカノール
基、1−ウンデカノール基、1−ドデカノール基、1−
トリデカノール基、1−テトラデカノール基、1−ペン
タデカノール基、1−ヘキサデカノール基、1−ヘプタ
デカノール基、1−オクタデカノール基、1−ノナデカ
ノール基および1−エイコサノール基などが挙げられ
る。さらにまた、前記R29、R30、R31またはR32とし
ての炭素原子数5〜10のシクロアルキル基としては、
置換基を有しても、有さなくてもよい分岐を有すること
のあるシクロアルキル基が含まれ、例えば、シクロペン
チル基、2−メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル
基およびシクロヘプチル基などが挙げられる。
【0100】一方、前記一般式(29)および(31)
において、Ar1としての置換基を有しても有さなくて
もよい1価のアリール基としては、置換または非置換の
フェニル基またはナフチル基が挙げられる。また、前記
一般式(29)および(30)において、Ar2として
の置換基を有しても有さなくてもよい2価のアリーレン
基としては、置換または非置換のフェニレン基またはナ
フチレン基が挙げられる。
【0101】なお、前記一般式(26)〜(31)にお
いて、前記置換基としては、例えば、フッ素原子などの
ハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t
ert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、
ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n
−ヘプチル基およびn−オクチル基などの炭素原子数1
〜8のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル
基およびシクロヘプチル基などの炭素原子数5〜7のシ
クロアルキル基、またはメトキシ基、エトキシ基、プロ
ポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキ
シ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペ
ンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペン
チルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ
基、ヘプチルオキシ基およびオクチルオキシ基などの炭
素原子数1〜8のアルコキシル基が挙げられる。
【0102】前記一般式(32)において、Ar3およ
びAr4としての互いに同一でも異なっていてもよく、
また置換基を有しても有さなくてもよい1価のアリール
基としては、例えば、置換または非置換のフェニル基、
ナフチル基またはアントラセン基が挙げられ、特に、フ
ェニル基が好ましい。置換基としては、例えば、フッ素
原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン
原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロ
ピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−
ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペン
チル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチ
ル基およびn−オクチル基などの炭素原子数1〜8のア
ルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基および
シクロヘプチル基などの炭素原子数5〜7のシクロアル
キル基、またはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、
sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチル
オキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオ
キシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、ヘ
プチルオキシ基およびオクチルオキシ基などの炭素原子
数1〜8のアルコキシル基が挙げられる。
【0103】前記一般式(26)で示される第四級アン
モニウム塩としては、例えば、テトラブチルアンモニウ
ムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウム
ヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウ
ムハイドロゲンサルフェート、テトラエチルアンモニウ
ムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウム
p−トルエンスルホネート、N−ベンジル−N,N−ジ
メチルアニリニウム六フッ化アンチモン、N−ベンジル
−N,N−ジメチルアニリニウム四フッ化ホウ素、N−
(4−メトキシベンジル)−N,N−ジメチルアニリニ
ウム六フッ化アンチモン、N−ベンジル−N,N−ジメ
チルトルイジニウム六フッ化アンチモン、N−ベンジル
ピリジニウム六フッ化アンチモン、N−ベンジル−4−
シアノピリジニウム六フッ化アンチモン、4−シアノ−
N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウム六フッ化ア
ンチモンなどを挙げることができる。
【0104】前記一般式(27)で示されるホスホニウ
ム塩の具体例としては、例えば、エチルトリフェニルホ
スホニウム 六フッ化アンチモン、テトラブチルホスホ
ニウム六フッ化アンチモンなどを挙げることができる。
【0105】そして、前記一般式(28)、(29)ま
たは(30)で示されるスルホニウム塩としては、例え
ば、トリフェニルスルホニウム四フッ化ホウ素、トリフ
ェニルスルホニウム六フッ化アンチモン、トリフェニル
スルホニウム六フッ化砒素、トリ(4−メトキシフェニ
ル)スルホニウム六フッ化砒素、ジフェニル(4−フェ
ニルチオフェニル)スルホニウム六フッ化砒素、アデカ
オプトンSP−150(旭電化工業株式会社製商品名、
対イオン:PF6)、アデカオプトンSP−170(旭
電化工業株式会社製商品名、対イオン:SbF6)、ア
デカオプトンCP−66(旭電化工業株式会社製商品
名、対イオン:SbF6)、アデカオプトンCP−77
(旭電化工業株式会社製商品名、対イオン:Sb
6)、サンエイドSI−60L(三新化学工業株式会
社製商品名、対イオン:SbF6)、サンエイドSI−
80L(三新化学工業株式会社製商品名、対イオン:S
bF6)、サンエイドSI−100L(三新化学工業株
式会社製商品名、対イオン:SbF6)、サンエイドS
I−150(三新化学工業株式会社製商品名、対イオ
ン:SbF6)、CYRACURE UVI−6974
(ユニオン・カーバイド社製商品名、対イオン:SbF
6)、CYRACURE UVI−6990(ユニオン
・カーバイド社製商品名、対イオン:PF6)、UVI
−508(ゼネラル・エレクトリック社製商品名)、U
VI−509(ゼネラル・エレクトリック社製商品
名)、FC−508(ミネソタ・マイニング・アンド・
マニファクチュアリング社製商品名)、FC−509
(ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリ
ング社製商品名)、CD−1010(サートマー社製商
品名)、CD−1011(サートマー社製商品名)およ
びCIシリーズ(日本曹達株式会社製商品名、対イオ
ン:PF6、SbF6)などを挙げることができる。
【0106】前記一般式(31)で示されるジアゾニウ
ム塩の具体例としては、アメリカン・キャン社製のAM
ERICURE(対イオン:BF4)および旭電化工業
株式会社製のULTRASET(対イオン:BF4、P
6)などを挙げることができる。
【0107】また、前記一般式(32)で示されるヨー
ドニウム塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウム
六フッ化砒素、ジ(4−クロロフェニル)ヨードニウ
ム 六フッ化砒素、ジ(4−ブロムフェニル)ヨードニ
ウム 六フッ化砒素、フェニル(4−メトキシフェニ
ル)ヨードニウム 六フッ化砒素、ゼネラル・エレクト
リック社製のUVEシリーズ、ミネソタ・マイニング・
アンド・マニファクチュアリング社製のFCシリーズ、
東芝シリコーン株式会社製のUV−9310C(対イオ
ン:SbF6)およびローヌプーラン社製のPhoto
initiator2074(対イオン:(C654
B)などを挙げることができる。
【0108】上式(26)から(32)で示される潜在
性カチオン重合性触媒(D1)は単独で、または2種類
以上を組み合わせて使用される。
【0109】本発明の硬化性組成物を製造する際に使用
するカチオン重合性触媒(D)または潜在性カチオン重
合性触媒(D1)の使用量は、カチオン重合性のエチレ
ン性不飽和結合を有する化合物(A)、環状エーテル構
造を有する化合物(B)、および分子中にオキセタニル
基と水酸基を有する化合物(C1)あわせて100重量
部に対して0.01〜20重量部が好ましく、0.1〜
10重量部がより好ましい。カチオン重合性触媒(D)
および潜在性カチオン重合性触媒(D1)の使用量が
0.01重量部未満では硬化性が不充分な傾向があり、
20重量部を超えると接着フィルムの使用前の保存安定
性が低下する傾向がある。
【0110】(その他の成分(E))本発明の硬化性組
成物は、使用に際し、本発明の効果を損なわない範囲内
であれば、公知の各種添加剤、例えば、無機充填剤、有
機充填材、強化材、着色剤、安定剤(熱安定剤、耐候性
改良剤など)、増量剤、粘度調節剤、難燃剤、紫外線吸
収剤、酸化防止剤、変色防止剤、抗菌剤、防黴剤、老化
防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、発泡剤、離型剤、
誘電率調整剤などを添加・混合することができる。上記
着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、金
属錯塩染料などの染料、カーボンブラック、酸化チタ
ン、酸化亜鉛、酸化鉄、マイカなどの無機顔料およびカ
ップリングアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、チ
オインジゴ系、ジオキサゾン系、フタロシアニン系など
の有機顔料などが挙げられる。また、上記安定剤として
は、ヒンダードフェノール系、ヒドラジン系、リン系、
ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、オキザリッ
クアシッドアニリド系などの化合物が挙げられる。さら
にまた、上記無機充填剤としては、ガラス繊維、アスベ
スト繊維、炭素繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリ
カ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、
窒化珪素繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊維、ホウ素繊
維、ステンレス鋼繊維、アルミニウム、チタン、銅、真
鍮、マグネシウムなどの無機質および金属繊維、銅、
鉄、ニッケル、亜鉛、錫、鉛、ステンレス鋼、アルミニ
ウム、金および銀などの金属粉末、木粉、マグネシア、
カルシアなどの酸化物、珪酸アルミニウム、ケイソウ
土、石英粉末、タルク、クレイ、各種金属の水酸化物、
炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ホウ珪酸塩、ア
ルミノ珪酸塩、チタン酸塩、塩基性硫酸塩、塩基性炭酸
塩およびその他の塩基性塩、ガラス中空球、ガラスフレ
ークなどのガラス材料、炭化珪素、窒化アルミ、ムライ
ト、コージェライトなどのセラミック、およびフライア
ッシュやミクロシリカなどの廃棄物などが挙げられる。
また、上記誘電率調整剤としては、アルミナ、チタン酸
バリウムなどが挙げられる。
【0111】(溶媒(F))本発明の硬化性組成物を製
造する際に、本発明で使用されるカチオン重合性のエチ
レン性不飽和結合を有する化合物(A)、環状エーテル
構造を有する化合物(B)、分子中に水酸基を有する化
合物(C)、およびカチオン重合性触媒(D)等の各成
分の性状に合わして、必要に応じて溶媒を使用すること
もできる。本発明の硬化性組成物を製造する際に使用す
る溶媒(F)としては、各成分を混合、分散させること
ができるものを好適に選択できる。溶媒(F)の具体例
としてはペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロ
ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、
キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホ
ルム、四塩化炭素、ジクロロベンゼン、アセトン、メチ
ルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロ
ソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソル
ブ、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロ
リドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン等が
挙げられる。溶媒(F)は単独でまたは2種類以上を混
合して用いることができる。溶媒(F)の沸点は50〜
300℃が好ましく、70〜250℃がより好ましい。
溶媒(F)の沸点が50℃未満では後記する硬化物の製
造時に溶媒が飛散しやすく、また300℃を超える場合
には硬化物製造時に溶媒が飛散しにくくなる傾向があ
る。本発明の硬化性組成物を製造する際に使用する溶媒
(F)の使用量は、均一な硬化性組成物が製造でき、ま
た所定の流動性を実現できる範囲内であれば特に制限は
ないが、本発明で使用されるカチオン重合性のエチレン
性不飽和結合を有する化合物(A)、環状エーテル構造
を有する化合物(B)、分子中に水酸基を有する化合物
(C)、およびカチオン重合性触媒(D)あわせて10
0重量部に対して、溶媒(F)を0.1〜100000
重量部使用することが好ましく、1〜10000重量部
使用することがより好ましく、1〜5000重量部使用
することが最も好ましい。溶媒の使用量が0.1重量部
以下であると実質上の添加効果は見られない傾向があ
り、100000重量部以上であると、本発明の硬化物
を製造する際に溶媒の留去に時間を要するだけでなく、
本発明の硬化物の強度が低下する傾向がある。
【0112】(硬化性組成物)本発明の硬化性組成物
は、前述したように、カチオン重合性のエチレン性不飽
和結合を有する化合物(A)の少なくとも1種、環状エ
ーテル構造を有する化合物(B)の少なくとも1種、分
子中に水酸基を有する化合物(C)の少なくとも1種、
およびカチオン重合性触媒(D)の少なくとも1種、さ
らに必要に応じて、その他の成分(E)、および溶媒
(F)を、たとえば、上述したような割合で、常法に従
って混合してなる混合物である。ここで、溶媒(F)を
用いた場合、カチオン重合性のエチレン性不飽和結合を
有する化合物(A)、環状エーテル構造を有する化合物
(B)、分子中に水酸基を有する化合物(C)、カチオ
ン重合性触媒(D)、および溶媒(F)、さらに必要に
応じてその他の成分(E)を混合後、溶媒(F)を留去
して本発明の硬化性組成物としてもよい。
【0113】(硬化物の製造方法)本発明の硬化物の製
造方法は、上記硬化性組成物中のカチオン重合性のエチ
レン性不飽和結合を有する化合物(A)と環状エーテル
構造を有する化合物(B)または分子中にオキセタニル
基と水酸基を有する化合物(C1)をカチオン重合性触
媒(D)を重合開始剤として、分子中に水酸基を有する
化合物(C)の水酸基の連鎖移動反応を利用しながら共
重合させることにより硬化せしめることを特徴とするも
のであり、詳細は以下に述べるとおりである。
【0114】カチオン重合性触媒(D)として、硫酸、
リン酸、過塩素酸、トリフルオロメタンスルホン酸のよ
うなプロトン酸、あるいは三フッ化ホウ素、塩化アルミ
ニウム、四塩化チタン、四塩化スズのようなルイス酸を
含む硬化性組成物の場合、本発明の硬化物の製造方法と
しては、該組成物を室温付近の温度付近で放置するか、
必要に応じてかく拌することによって硬化物が得られ
る。カチオン重合性触媒(D)の活性が高く、反応性が
よい場合は必要に応じて冷却を、また、カチオン重合性
触媒(D)の活性が低く、反応性が悪い場合は必要に応
じて、加熱することにより硬化物が得られる。その際の
反応温度は−100℃から200℃の範囲が好ましく、
0℃から200℃の範囲がより好ましく、50℃から1
50℃が最も好ましい。反応温度が、−100℃未満で
あると実質上硬化反応が進行しない傾向がある。また、
反応温度が200℃を超えると、硬化物の望まない副反
応が進行する傾向がある。また、本発明の硬化物の製造
の際、加熱または冷却と活性光線の照射を併用してもよ
く、さらには加熱または冷却をせずに活性光線の照射の
みを単独で用いてもよい。活性光線としては、紫外線、
可視光、赤外光などが好適に使用される。
【0115】本発明の硬化物を製造する際、潜在性カチ
オン重合性触媒(D1)を含む硬化性組成物を用いた場
合、加熱によって潜在性カチオン重合性触媒から発生す
るカチオン種あるいはルイス酸が、カチオン重合性のエ
チレン性不飽和結合を有する化合物(A)と反応し、新
たなカチオン種が生成する。または、環状エーテル構造
を有する化合物(B)または分子中にオキセタニル基と
水酸基を有する化合物(C1)と反応し、環状エーテル
が開環する。次いで、分子中に水酸基を有する化合物
(C)の水酸基の連鎖移動反応を伴いながら、これらの
反応が連続的に進行することによって一気に共重合し、
三次元網目構造の本発明の硬化物を形成していくものと
推定される。その際の反応温度は20℃から200℃の
範囲が好ましく、50℃から200℃の範囲がより好ま
しく、60℃から150℃が最も好ましい。反応温度
が、20℃以下であると実質上硬化反応が進行しない傾
向がある。また、反応温度が200℃を超えると、硬化
物の望まない副反応が進行する傾向がある。
【0116】また、潜在性カチオン重合性触媒(D1)
を含む硬化性組成物を用いた場合、本発明の硬化物を製
造する際、活性光線を照射してもよい。活性光線の照射
によって潜在性カチオン重合性触媒から発生するカチオ
ン種あるいはルイス酸が、カチオン重合性のエチレン性
不飽和結合を有する化合物(A)と反応し、新たなカチ
オン種が生成する。または、環状エーテル構造を有する
化合物(B)と反応し、環状エーテルが開環する。次い
で、分子中に水酸基を有する化合物(C)の水酸基の連
鎖移動反応を伴いながら、これらの反応が連続的に進行
することによって一気に共重合し、三次元網目構造の本
発明の硬化物を形成していくものと推定される。本発明
の製造方法で使用する活性光線としては、紫外線、可視
光、赤外光が挙げられる。これらの活性光線の中でも、
重合硬化速度の点から紫外線、可視光が好ましく、紫外
線が特に好ましい。紫外線の主たる波長が300nm以
上であることが好ましく、350nm以上であることが
特に好ましい。また、活性光線の他に、電子線、エック
ス線、γ線またはマイクロ波等のエネルギー線を用いる
こともできる。紫外線を照射する場合には、様々な光源
を使用することができ、例えば水銀アークランプ、キセ
ノンアークランプ、螢光ランプ、炭素アークランプ、タ
ングステン−ハロゲン複写ランプおよび周囲の日光から
の照射光により硬化させることができる。活性光線の照
射量は結果として充分な硬化反応が進行すればその照射
量に特に制限はないが、おおむね1mJ/cm2〜50
0000mJ/cm2である。さらに、活性光線の照射
は1回または2回以上行うことができ、それぞれの活性
光線の照射条件は同一でもよく、異なっていてもよい。
光重合時の温度は特に制約されないが、70℃程度まで
の範囲では、温度は高い方ほど硬化性が優れる傾向があ
るので好ましい。作業条件をも考慮すると、0℃〜50
℃程度の範囲が好ましい。
【0117】さらに、潜在性カチオン重合性触媒(D
1)を含む硬化性組成物を用いた、本発明の硬化物の製
造方法では活性光線と加熱を併用してもよい。この際、
活性光線の照射と加熱を同時に行ってもよく、活性光線
を照射した後に加熱を行ってもよく、加熱を行った後に
活性光線を照射してもよい。活性光線と加熱を併用する
場合、活性光線の照射量、加熱温度、加熱時間に特に制
限はなく、充分な硬化反応が進行するように勘案して適
宜決定することができる。さらに活性光線の照射と加熱
はそれぞれ1回または2回以上行うことができ、それぞ
れの活性光線の照射条件、加熱条件は同一でもよく、異
なっていてもよい。
【0118】本発明の硬化物を製造するにあたり、本発
明の硬化性組成物をそのまま使用してよいが、溶媒で希
釈してから使用してもかまわない。本発明の硬化物の製
造において、反応圧力は特に制限されるものではなく、
減圧、常圧および加圧のいずれの状態下においても実施
可能である。このうち、常圧下で硬化物の製造を行え
ば、装置の簡略化が可能であり好ましい。
【0119】本発明の硬化物の製造において、加熱時
間、活性光線を照射する時間すなわち硬化時間は、カチ
オン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物
(A)、環状エーテル構造を有する化合物(B)、分子
中に水酸基を有する化合物(C)、およびカチオン重合
性触媒(D)の種類および仕込み量、反応温度および活
性光線の強度などの硬化条件によって異なるが、通常、
0.1秒〜50時間であり、好ましくは0.1分〜10
時間、より好ましくは1分〜5時間であることが望まし
い。硬化時間が0.1秒より短いと重合反応が進行しな
いため、得られる硬化物の硬化性は低下する傾向があ
る。また、硬化時間が、50時間をこえると硬化性の向
上が見られないばかりか、劣化による品質の低下を招く
傾向がある。
【0120】本発明の硬化物の製造は、酸素の影響によ
る望ましくない反応を防止するために、不活性ガス雰囲
気下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素
ガスのほか、アルゴンガスやヘリウムガスなどの希ガス
を使用してもよい。
【0121】(硬化物)硬化物の製造方法に従い、三次
元網目構造を有する不溶不融の本発明の新規な硬化物が
得られる。硬化物の形状は特に制限はなく、塊状、フィ
ルム状など様々な形状の硬化物が製造できる。また、前
記硬化性組成物を、金属、ゴム、プラスチック、形成部
品、フィルム、紙、木、ガラス、コンクリートまたはセ
ラミックなどの基材に塗布した後、該製造方法に従い硬
化させることによって、上記硬化物を皮膜とする基材を
得ることもできる。なお、上記硬化反応を前記溶媒中で
行う場合は、該硬化反応の終了後、得られた反応混合物
から前記溶媒を蒸発せしめ、次いで常温まで冷却して上
記硬化物を得てもよいし、前記硬化反応の終了後、得ら
れた反応混合物を常温まで冷却し、前記反応溶媒を含ん
だままの柔軟性のある硬化物として使用してもかまわな
い。
【0122】本発明の硬化性組成物は、硬化剤の作用を
受けて速硬化反応を起こし、不溶不融の三次元網目構造
の新規な硬化物を形成する。したがって、この新規な硬
化物は優れた機械的性質(引張強さ、硬さなど)、電気
的性質(電気絶縁性、低誘電率など)、接着性、耐熱
性、耐湿性、耐薬品性等を示すものであり、塗料やコー
ティング剤、つや出しワニス、インキ、塗料、接着剤、
電気絶縁材料、ICやLSI封止材料、積層板およびそ
の他の電気・電子部品、光学材料、光ファイバー、光導
波路、単層および多層配線板材料、レジスト、ドライフ
ィルムレジスト、また、コンクリート構造物の補修、新
旧コンクリートの打継、補強鋼板の接着、各種ライニン
グなどの土木建築用途、成形材料、複合材料用途、さら
に導電粒子を分散させて回路接続材料用途などの分野へ
好適に使用できる。
【0123】さらに、本発明の硬化性組成物は、環状エ
ーテル構造を有する化合物とカチオン重合性のエチレン
性不飽和結合を有する化合物の種類と組成を種々変化さ
せることができる。したがって、本発明の硬化物を上記
分野へ使用する際、様々な要求特性に対応できる特徴が
ある。
【0124】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明する。
【0125】(合成例) [3,3,16,16−ビス(3−オキサシクロブチリ
デン)−7,12−ジヒドロキシ−5,14−ジオキサ
オクタデカンの合成]
【0126】
【化50】
【0127】2L反応容器を乾燥窒素で置換し、水素化
ナトリウム(60%油性)18g(0.45mol)を
加え、ヘキサン(50ml)で洗浄した。そこへN,N
−ジメチルホルムアミド(0.5L)をかく拌しながら
加えた。その懸濁液中に3−エチル−3−(ヒドロキシ
メチル)オキセタン70g(0.60mol)のN,N
−ジメチルホルムアミド(50ml)溶液を室温でゆっ
くりと加えた後、反応混合物を室温で30分間かく拌し
た。その後、1,2,7,8−ジエポキシオクタン28
g(0.20mol)のN,N−ジメチルホルムアミド
(50ml)溶液をゆっくりと滴下し、反応液を80℃
に昇温しながら乾燥窒素気流下4時間撹拌した。反応終
了後、反応液を0.5M酢酸水溶液に投じ、得られた混
合液をクロロホルムで抽出した。抽出液は飽和食塩水で
洗浄後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残
渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製
し、3,3,16,16−ビス(3−オキサシクロブチ
リデン)−7,12−ジヒドロキシ−5,14−ジオキ
サオクタデカン60gを得た(収率80%)。
【0128】(実施例1) [硬化性組成物の調製]以下に示す配合表に従って、カ
チオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物
(A)としてブチルビニルエーテル(和光純薬製、配合
表中Aで示す)を、環状エーテル構造を有する化合物
(B)として、長瀬化成工業株式会社製デナコールEX
−810(オキシラン化合物、配合表中Bで示す)また
は宇部興産株式会社製アロンオキセタンOXT−121
(オキセタン化合物、配合表中B1で示す)を、分子中
に水酸基を有する化合物(C)として、エチレングリコ
ール(和光純薬製、配合表中Cで示す)または3,3,
18,18−ビス(3−オキサシクロブチリデン)−
7,14−ジヒドロキシ−5,9,12,16−テトラ
オキサイコサン(配合表中C1で示す)を、カチオン重
合性触媒(D)として、三新化学工業株式会社製潜在性
カチオン重合性触媒サンエイドSI−100L(50%
酢酸エチル溶液、配合表中D1−tで示す)または旭電
化工業株式会社製潜在性カチオン重合性触媒アデカオプ
トンSP−170(50%炭酸プロピレン溶液、配合表
中D1−pで示す)を混合した後、必要に応じて、溶媒
を室温、減圧下で留去して、硬化性組成物を得た。
【0129】
【表1】
【0130】(実施例2) [硬化性組成物の熱硬化反応]銅箔(厚さ35μm)を
両面に積層したガラスエポキシ材である銅張り積層板
(日立化成工業株式会社製 MCL−E−61)の銅表
面を#600相当のブラシをもつ研磨機(三啓株式会社
製)を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥した。硬化
性組成物(T−1〜T−3’)をそれぞれこの銅張り積
層板に約20μmになるように塗布した後、80℃で2
時間加熱して硬化物を得た。
【0131】(実施例3) [硬化性組成物の光硬化反応]硬化性組成物(P−1お
よびP−1’)を前記銅張り積層板に約20μmになる
ように塗布した後、高圧水銀灯を備えた紫外線照射装置
を用いて、25℃で、照度50mW/cm2の紫外線を
2分間照射して硬化物を得た。
【0132】(実施例4) [硬化性組成物の光照射−熱硬化反応]硬化性組成物
(H−1およびH−1’)を前記銅張り積層板に約20
μmになるように塗布した後、高圧水銀灯を備えた紫外
線照射装置を用いて、25℃で、照度10mW/cm2
の紫外線を3分間照射し、引き続いて、80℃で1時間
加熱して硬化物を得た。
【0133】(実施例5) [硬化性組成物の光−熱併用硬化反応]硬化性組成物
(H−2およびH−2’)を前記銅張り積層板に約20
μmになるように塗布した後、80℃に加熱し、高圧水
銀灯を備えた紫外線照射装置を用いて、80℃で、照度
10mW/cm2の紫外線を3分間照射し、引き続い
て、57分間加熱して硬化物を得た。
【0134】[硬化物の特性評価] (未反応ビニルエーテルの定量)実施例2〜5で作製し
た硬化物を銅張り積層板から剥がし取り、メノウ製乳鉢
で十分粉砕した。この硬化物粉末(0.1g)中の未反
応モノマーをジエチルエーテル溶媒(100ml)中ソ
ックスレー抽出器を用いて抽出し(6時間)、抽出液中
の未反応ブチルビニルエーテルをガスクロマトグラフィ
ーにて検出した。その結果を表1の反応性の項に示す。
抽出液中の残存ブチルビニルエーテルが1ppm未満の
場合を◎で、1〜10ppmを○で、10ppm以上を
×で示した。
【0135】(密着性の評価)実施例2〜5で得られた
銅張り積層板上の硬化塗膜について、JIS K540
0記載の碁盤目テープ法を参考にして密着性を評価し
た。具体的には、硬化塗膜に1mm×1mmの面積にな
るようにカッターナイフで切込みを入れ、塗膜表面にセ
ロテープ(登録商標)を貼り付けて剥離し、銅張り積層
板上に残ったオキセタン硬化物の個数を測定した。その
結果を表1の密着性の項に示す。ここで、残膜率95〜
100%を○、残膜率95%未満を×で示した。
【0136】
【表2】 表1から、分子中に水酸基を有する化合物を含む硬化性
組成物は、熱硬化、光硬化いずれの場合も共重合反応が
進行し、カチオン性のエチレン性不飽和結合を有する化
合物が硬化物中に残存することはなかった。また、硬化
物の密着性にも優れていた。ただし、分子中に水酸基を
有する化合物を過剰に含む場合は硬化物の密着性が低下
した(硬化性組成物T−2”)。また、分子中に水酸基
とオキセタニル基を有する化合物を含む硬化性組成物
は、環状エーテル構造を有する化合物を含まない場合で
も、その反応性および硬化物の密着性に優れていた(硬
化性組成物T−3’、H−1’、H−2’)。分子中に
水酸基を有する化合物(C)を含有しない、硬化性組成
物T−1’、T−2’、P−1’は、反応性、密着性と
もに劣る。
【0137】
【発明の効果】請求項1記載の硬化性組成物は、高反応
性でかつ高収率で種々の共重合体が得られるものであ
る。請求項2記載の硬化性組成物は、請求項1記載の硬
化性組成物に加えて、優れたカチオン重合能を有するも
のである。請求項3記載の硬化性組成物は、請求項1〜
2記載の硬化性組成物に加えて、さらに高い架橋密度を
持つ硬化物が得られるものである。請求項4記載の硬化
性組成物は、優れたカチオン重合能を有し、高反応性で
かつ高収率で、高い架橋密度を持つ共重合体が得られる
ものである。請求項5記載の硬化性組成物は、優れたカ
チオン重合能を有した共重合体が得られるものである。
請求項6記載の硬化性組成物は、請求項1〜5記載の硬
化性組成物に加えて、保存安定性の高い硬化性組成物が
得られるものである。請求項7〜9記載の硬化物の製造
方法により、種々の共重合体が短時間にかつ高収率で製
造できる。請求項記載の硬化物は、高い密着性と高い経
時安定性を示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤木 茂樹 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社総合研究所内 (72)発明者 西山 信乃 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社総合研究所内 Fターム(参考) 4J005 AA11 AA12 BB02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カチオン重合性のエチレン性不飽和結合
    を有する化合物(A)と、環状エーテル構造を有する化
    合物(B)と、分子中に水酸基を有する化合物(C)、
    および、カチオン重合性触媒(D)を含有してなる硬化
    性組成物。
  2. 【請求項2】 環状エーテル構造を有する化合物(B)
    として、オキセタニル基を有する化合物(B1)を用い
    ることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 【請求項3】 分子中に水酸基を有する化合物(C)と
    して、分子中に水酸基とオキセタニル基を有する化合物
    (C1)を用いることを特徴とする請求項1または請求
    項2に記載の硬化性組成物。
  4. 【請求項4】 カチオン重合性のエチレン性不飽和結合
    を有する化合物(A)と、分子中に水酸基とオキセタニ
    ル基を有する化合物(C1)、およびカチオン重合性触
    媒(D)を含有してなる硬化性組成物。
  5. 【請求項5】 カチオン重合性のエチレン性不飽和結合
    を有する化合物(A)として、ビニルエーテルを有する
    化合物(A1)を用いることを特徴とする請求項1ない
    し請求項4のいずれかに記載の硬化性組成物。
  6. 【請求項6】 カチオン重合性触媒(D)が、潜在性カ
    チオン重合性触媒(D1)である請求項1ないし請求項
    5のいずれかに記載の硬化性組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれかに記
    載の硬化性組成物を50〜200℃の温度で0.1秒〜
    50時間加熱することを特徴とする硬化物の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項6のいずれかに記
    載の硬化性組成物に活性光線を照射することを特徴とす
    る硬化物の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし請求項6のいずれかに記
    載の硬化性組成物に活性光線を照射し、かつ50〜20
    0℃の温度で0.1秒〜50時間加熱することを特徴と
    する硬化物の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項7ないし請求項9のいずれかに
    記載の硬化物の製造方法により得られる硬化物。
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