JP2003335854A - 新規(メタ)アクリレート及びこれを含む硬化性組成物 - Google Patents

新規(メタ)アクリレート及びこれを含む硬化性組成物

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JP2003335854A
JP2003335854A JP2002143719A JP2002143719A JP2003335854A JP 2003335854 A JP2003335854 A JP 2003335854A JP 2002143719 A JP2002143719 A JP 2002143719A JP 2002143719 A JP2002143719 A JP 2002143719A JP 2003335854 A JP2003335854 A JP 2003335854A
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acrylate
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polyfunctional
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JP2002143719A
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English (en)
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Yasuyuki Sanai
康之 佐内
Yutaka Sasaki
裕 佐々木
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】活性エネルギー線の照射又は加熱により容易に
硬化し、得られる硬化物が、硬度及び耐熱性に優れ、吸
水率が低くなる新規多官能(メタ)アクリレート及びこれ
を含む組成物の提供。 【解決手段】下記式(1)で表されるオキセタン化合物を
熱カチオン重合させることにより得られるポリオールと
(メタ)アクリル酸とのエステル化反応物である(メ
タ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレ
ート。 【化1】 〔式(1)において、R1は水素原子、アルキル基、アリー
ル基又はアリールアルキル基を表す。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規(メタ)アク
リレート及びこれを含有する硬化性組成物に関するもの
であり、本発明の(メタ)アクリレート及び硬化性組成
物は、塗料等のコーティング剤、成形材、インキ及びレ
ジスト等の種々の用途に使用可能であり、これら技術分
野で賞用され得るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電化製品及び電子機器等において
は、電子部品を実装したプリント基板が多く使用されて
いるが、使用する場所及び時期等によって、プリント基
板表面が結露することがあり、防水処理が必要とされて
いる。防水処理の手段の1つとして、溶剤にポリマーを
溶解させた防水塗料が使用されているが、従来の防水塗
料は、溶剤を使用しているため、塗膜の乾燥には時間が
必要であり、又、作業環境の問題があり、無溶剤で硬化
性の速い防水塗料が要望されている。
【0003】当該無溶剤型の防水塗料として使用される
ハードコート用コーティング剤(以下ハードコート剤と
いう)としては、アクリル系ハードコート剤、シラン系
ハードコート剤及びアクリル―シリコン系ハードコート
剤等が知られている。これらの中でも、アクリル系ハー
ドコート剤は、(メタ)アクリレートを含有するもの
で、紫外線等の活性エネルギー線照射により硬化が可能
であるために、硬化時間が短く優れた生産性を有し、原
料樹脂コストがシラン系ハードコート剤の1/4〜1/
8と安価である等の多くの利点があり、当該分野で広く
使用されている。
【0004】一方、(メタ)アクリレートを含有する組
成物を硬化した透明硬化物は、一般にアクリル板と呼ば
れている様に、成型材料として種々の用途に使用されて
おり、電子材料への応用も、種々試みられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
アクリル系ハードコート剤を種々の電子材料に使用した
場合、及び透明アクリル板を、種々の電子材料の成型材
料として使用した場合、耐熱性が不充分であり、この問
題の解決が求められている。又、近年急速に発達してき
たディスプレイ用材料においては、特に硬化物の寸法変
化が小さく、吸水率の低いものが求められるようになっ
てきている。耐熱性が高く、低吸水率である樹脂を得る
目的でかさたかい骨格をもつ(メタ)アクリレートを用
いることもできるが、これらは一般的に常温で完全な固
体であったり、液体であっても極めて粘度が高く作業上
の制約をうける場合が多い。粘度を低減させる目的で、
たとえば2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アク
リレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、N-ビニ
ル−2−ピロリドン等の単官能ビニル化合物や、ポリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピ
レングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能ビニ
ル化合物といった、低粘度の反応性希釈剤を併用するこ
ともできるが、反応性希釈剤の使用量が少ない場合には
粘度の低減効果が小さく、作業性は向上しない。逆に反
応性希釈剤の使用量が多いと所望の性能が得られなくな
ってしまう。
【0006】本発明者らは、活性エネルギー線の照射又
は加熱により容易に硬化し、得られる硬化物が、硬度及
び耐熱性に優れ、吸水率が低くなる新規多官能(メタ)ア
クリレート及びこれを含む組成物を見出すため鋭意検討
を行なったのである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決するために種々の検討を行なった結果、特定の
ポリオールから製造された(メタ)アクリレートが、得
られる硬化物が、耐熱性に優れ、吸水率が低く、硬度が
高いうえに、反応性希釈剤と混合したときには粘度が低
く作業性が良好であるばかりでなく、所望の物性低下が
著しく小さいことを見出し本発明を完成するに至った。
以下、本発明を詳細に説明する。尚、本明細書において
は、アクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリ
レートと表し、アクリル酸又はメタクリル酸を(メタ)
アクリル酸と表し、アクリロイル基又はメタクリロイル
基を(メタ)アクリロイル基と表す。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の新規(メタ)アクリレート
は、下記式(1)で表されるオキセタン化合物(以下単に
オキセタン化合物という)を熱カチオン重合させること
により得られるポリオールと(メタ)アクリル酸とのエ
ステル化反応物であるポリ(メタ)アクリレート〔以下
新規多官能(メタ)アクリレートという〕に関するもので
ある。
【0009】
【化2】
【0010】〔式(1)において、R1は水素原子、アルキ
ル基、アリール基又はアリールアルキル基を表す。〕以
下、それぞれの成分について説明する。
【0011】1.ポリオール 1-1.オキセタン化合物 ポリオールの製造原料であるオキセタン化合物として
は、前記式(1)で表される化合物であれば、種々のもの
が使用できる。前記式(1)のR1において、アルキル基の
例としては、メチル基、エチル基及びプロピル基等の炭
素数1〜6のアルキル基が好ましい。アリール基の例と
しては、フェニル基等が挙げられる。アリールアルキル
基の例としては、ベンジル基等が挙げられる。オキセタ
ン化合物としては、R1がアルキル基のものが好まし
い。当該オキセタン化合物の好ましい具体例としては、
入手が容易である点で、3−メチル−3−(ヒドロキシ
メチル)オキセタン及び3−エチル−3−(ヒドロキシ
メチル)オキセタン等が挙げられる。
【0012】1-2.ポリオールの製造方法 本発明の新規多官能(メタ)アクリレートの製造原料であ
るポリオールは、オキセタン化合物を熱カチオン重合さ
せることにより得られるものである。ポリオールの製造
方法は、たとえばPolymeric Materials:Science&Eng
ineering 2001,84,295に記載されている方法が挙げ
られる。この文献では、バッチ方式での製造方法しか記
載されていないが、セミバッチ方式で製造することも可
能である。
【0013】ポリオールの製造方法としては、具体的に
は、反応器にオキセタン化合物と熱カチオン開始剤の混
合物を仕込み、加熱して反応させる方法、並びに反応器
にオキセタン化合物と熱カチオン開始剤の混合物を仕込
み、加熱して反応が開始した後に、連続的又は逐次的に
オキセタン化合物と熱カチオン開始剤との混合物を滴下
する方法等が挙げられる。これにより、連続的にカチオ
ン重合が進行し、ポリオールが製造される。得られたポ
リオールを精製する場合は、反応液をメタノール、エタ
ノール及びプロパノール等の水溶性溶剤に注いだ後に、
多量の水を加えポリオールを析出させる方法が、簡便で
あり好ましい。
【0014】1-2-1.熱カチオン重合開始剤 本発明で使用される熱カチオン重合開始剤としては、加
熱することによりオキセタン環の開環及びカチオン重合
を開始できるような化合物であれば種々のものが使用で
きる。このような化合物としては、以下に示すような各
種オニウム塩、例えば第四級アンモニウム塩、ホスホニ
ウム塩及びスルホニウム塩等を挙げることができる。
【0015】第四級アンモニウム塩としては、下記一般
式(2)で表される化合物等が挙げられる。
【0016】
【化3】
【0017】式(2)において、R2〜R5は、炭素数1〜
20のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル
基、炭素数3〜12のアルケニル基、炭素数6〜12の
アリール基、炭素数7から12のアラルキル基、又は炭
素数1〜20のアルコキシ基であり、それらは互いに同
一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよ
い。又、R2〜R5としては、これらのいずれか2個が互
いに結合して、N、P、O又はS原子を含む複素環を形
成した基でも良い。X-は対イオンを表し、BF4 -、A
sF6 -、SbF6 -、SbCl6 -、(C654-、Sb
5(OH)-、HSO4 -、p−CH364SO3 -、H
CO3 -,H2PO4 -,CH3COO-、Cl-、Br-及び
-等が挙げられる。
【0018】第四級アンモニウム塩の具体例としては、
例えば、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレ
ート、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフ
ェート、テトラブチルアンモニウムハイドロジェンサル
フェート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボ
レート、テトラエチルアンモニウムp−トルエンスルホ
ネート、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウム
ヘキサフルオロアンチモネート、N,N−ジメチル−N
−ベンジルアニリニウムテトラフルオロボレート、N,
N−ジメチル−N−ベンジルピリジニウムヘキサフルオ
ロアンチモネート、N,N−ジエチル−N−ベンジルト
リフルオロメタンスルホネート、N,N−ジメチル−N
−(4−メトキシベンジル)ピリジニウムヘキサフルオ
ロアンチモネート及びN,N−ジエチル−N−(4−メ
トキシベンジル)トルイジニウムヘキサフルオロアンチ
モネート等が挙げられる。
【0019】○ホスホニウム塩 ホスホニウム塩としては、下記一般式(3)で表される化
合物等が挙げられる。
【0020】
【化4】
【0021】(式(3)において、R2〜R5及びX-は、そ
れぞれ前記と同様の基を意味する。)
【0022】○スルホニウム塩 スルホニウム塩としては、下記一般式(4)〜(6)で表され
る化合物等が挙げられる。
【0023】
【化5】
【0024】(式(4)において、R2〜R4及びX-は、そ
れぞれ前記と同様の基を意味する。)
【0025】
【化6】
【0026】(式(5)において、R2及びR3、X-は、そ
れぞれ前記と同様の基を意味する。Arは置換基を有し
ていてもよいアリール基を表す。)
【0027】
【化7】
【0028】(式(6)において、R2〜R5、X-及びAr
は、それぞれ前記と同様の基を意味する。)
【0029】スルホニウム塩としては、具体的には、例
えばトリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレー
ト、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモ
ネート及びトリス(4−メトキシフェニル)スルホニウ
ムヘキサフルオロアルシネート等が挙げられ、市販品と
しては、アデカオプトンSP−150、アデカオプトン
SP−170、アデカオプトンCP−66及びアデカオ
プトンCP−77〔以上、旭電化(株)製〕、サンエイド
SI−60L、サンエイドSI−80L及びサンエイド
SI−100L〔以上、三新化学(株)製〕、CYRAC
URE UVI−6974及びCYRACURE UV
I−6990〔以上、ユニオン・カーバイド(株)製〕、
UVI−508及びUVI−509〔以上、ゼネラル・
エレクトリック(株)製〕、FC−508及びFC−50
9(以上、ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファ
クチュアリング社製)、CD−1010及びCD−10
11〔以上、サーストマー(株)製〕、並びにCIシリー
ズの製品〔日本曹達(株)製〕等が挙げられる。
【0030】この他にも、下記一般式(7)で表されるジ
アゾニウム塩や、下記一般式(8)で表されるで示される
ヨードニウム塩も熱カチオン重合開始剤として使用でき
る。
【0031】
【化8】
【0032】(式(7)においてAr、Xはそれぞれ前記
と同様の基を意味する。) ジアゾニウム塩としては、ULTRASET〔旭電化
(株)製〕等が挙げられる。
【0033】
【化9】
【0034】(式(8)において、R2〜R3及びX-は、そ
れぞれ前記と同様の基を意味する。) ヨードニウム塩としては、ジフェニルヨードニウムヘキ
サフルオロアルシネート、ビス(4−クロロフェニル)
ヨードニウムヘキサフルオロアルシネート、ビス(4−
ブロモフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルシネ
ート及びフェニル(4−メトキシフェニル)ヨードニウ
ムヘキサフルオロアルシネート等が挙げられ、市販品と
しては、UV−9310C〔東芝シリコーン(株)製〕、
Photoinitiator2074(ローヌ・プー
ラン社製)、UVEシリーズの製品(ゼネラル・エレク
トリック社製)お酔いBFCシリーズの製品(ミネソタ
・マイニング・アンド・マニュファクチュアリング社
製)等が挙げられる。
【0035】熱カチオン開始剤の使用割合としては、オ
キセタン化合物100質量部に対して0.001〜10
質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好まし
い。
【0036】1-2-2.製造方法 本発明の原料ポリオールは、前記オキセタン化合物及び
熱カチオン開始剤の混合物を加熱し、熱硬化させること
により得ることができる。加熱温度としては、100〜
300℃が好ましく、120〜240℃がより好まし
い。加熱温度が100に満たないと、重合時間が長くな
るばかりでなく、分岐が進まず所望の構造のポリオール
が得られない可能性があり、逆に温度が300℃を超え
ると、原料混合物の構成成分が激しく還流してしまい、
仕込み組成での反応ができなかったり、反応熱の除去が
困難となることがある。反応時間としては10分〜10
時間が好ましく、1〜8時間がより好ましい。反応時間
が10分に満たないと、反応率が低かったり、所望の構
造のものが得られない場合があり、一方10時間を超え
ると、反応物が着色してしまうおそれがあり、又経済的
ではない。
【0037】ポリオールの分子量としては、重量平均分
子量で2,000〜10,000,000が好ましく、
より好ましくは5,000〜5,000,000であ
る。重量平均分子量が2,000に満たないと、最終的
に得られる(メタ)アクリレートのブランチ構造が不十分
で、目的の物性が得られないことがあり、他方10,0
00,000を超えると、最終的に得られる(メタ)アク
リレートの塗工性等の作業性が悪くなることがある。
尚、本発明において、重量平均分子量とは、溶媒として
テトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミュエーション
クロマトグラフィ(以下GPCという)により測定した
分子量をポリスチレンの分子量を基準にして換算した値
である。
【0038】この様にして得られるポリオールは、オキ
セタン化合物として3−エチル−3−(ヒドロキシメチ
ル)オキセタンを使用した場合を例に挙げ示すと、例え
ば、下記式(9)で表される化合物等が挙げられる。尚、
下記式(9)の構造式は、ポリオールの分子構造の1例を
模式的に表しているものであり、分岐の度合いや分子サ
イズは合成条件により異なるものとなる。
【0039】
【化10】
【0040】2.新規多官能(メタ)アクリレート 本発明の新規多官能(メタ)アクリレートは、前記の方法
で得られたポリオールと(メタ)アクリル酸とのエステ
ル化反応により得ることができる。エステル化反応は、
常法に従えば良い。具体的には、有機溶媒中、酸触媒及
びラジカル重合禁止剤の存在下に、ポリオールと(メ
タ)アクリル酸を反応させる方法が好ましい。
【0041】ポりオールに対する(メタ)アクリル酸の
使用量は、目的に応じて適宜設定すれば良いが、エステ
ル化反応の効率や反応生成物の精製の容易性を考慮し
て、ポりオール中の全水酸基1モルに対して、通常0.
15〜4モル、好ましくは0.25〜4モル、より好ま
しくは1〜4モル、特に好ましくは1.1〜2.5モル
である。
【0042】酸触媒としては、原料として用いる(メ
タ)アクリル酸よりも酸性度が大きいものであれば特に
制限されないが、好ましいものとしては、塩酸、臭化水
素酸、硫酸及びリン酸等の無機酸、ベンゼンスルホン
酸、p−トルエンスルホン酸、トリクロロ酢酸、シュウ
酸及びギ酸等の有機酸又はそれらの塩、陽イオン交換樹
脂等の固体酸、塩化亜鉛、塩化スズ、塩化第二鉄、塩化
第二銅及び硫酸第二銅等のルイス酸、並びに活性白土等
を挙げることができる。これらの中でも、硫酸、リン
酸、p−トルエンスルホン酸及びp−トルエンスルホン
酸ソーダが好ましい。酸触媒の使用量は、一般的なエス
テル化反応における使用量と同じで良く、本発明で使用
されるポリオール1モルに対して、0.0001〜0.
1モルが好ましく、0.001〜0.05モルがより好
ましい。
【0043】ラジカル重合禁止剤としては、ラジカルを
捕捉しうる化合物であれば特に制限されないが、好まし
いものとして、ハイドロキノン、メトキシハイドロキノ
ン、エトキシハイドロキノン、メチルハイドロキノン、
フェノチアジン、t−ブチルカテコール及び次亜リン酸
等、従来より知られている通常のラジカル重合禁止剤が
使用可能である。これらのラジカル重合禁止剤は単独で
用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。ラジカ
ル重合禁止剤の割合としては、通常使用する(メタ)ア
クリル酸に対して10〜10000ppmの範囲で使用
する事が好ましく、100〜5000ppmがより好ま
しい。
【0044】有機溶媒としては、原料(メタ)アクリル
酸と反応するアルコールやアミン等以外のものであれ
ば、特に限定されるものではないが、本発明においては
反応の進行に伴って生成する水を反応系外に留去するこ
とによって反応が促進されることから、系内で生成した
水を系外に容易に留去できる溶媒、すなわち、水に不溶
であり、なおかつ水と共沸するような有機溶媒が好まし
い。このようなものの例としては、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、キュメン、ジクロロエタン及びトリクロ
ロエタン等を挙げることができる。これらの中でも、水
と近い沸点を有し、水との共沸性が良く、しかも安価で
比較的環境への負荷が少ないトルエンが特に好ましく使
用される。有機溶媒の使用量は、特に限定されるもので
はないが、通常は(メタ)アクリル酸とポリオールの合
計重量に対して、5質量倍以下であり、好ましくは0.
8〜2質量倍以下である。
【0045】エステル化反応は、通常70〜150℃、
好ましくは100〜135℃の範囲で行われる。反応は
通常、常圧下で行われるが、用いる有機溶媒の沸点によ
っては、反応温度が前記温度範囲内になるように、加圧
又は減圧下で行っても良い。本発明において反応時間は
特に限定されるものではないが、通常、1〜20時間の
範囲で行われる。
【0046】エステル化反応終了後、得られた反応混合
物に水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を加え
て反応系を中和した後に、有機層と水層とを分離し、得
られた有機層から有機溶媒を減圧留去するか、又は得ら
れた有機層をそのまま、若しくは得られた有機層を濃縮
した後に、得られた新規多官能(メタ)アクリレートに対
する貧溶媒を加えて晶析する方法によって新規多官能
(メタ)アクリレートを回収することができる。
【0047】晶析に用いる貧溶媒としては、メタノー
ル、エタノール及びイソプロパノール等の脂肪族低級ア
ルコール等が挙げられ、これら以外にもn−ヘキサン等
のような非極性溶媒も使用できる。これらは単独で用い
ても良いし、2種類以上を混合した、混合溶媒系にして
も良い。
【0048】エステル化反応においては、用いる(メ
タ)アクリル酸の使用量が少ない場合、又はエステル化
反応が完結していない場合に、目的とする新規多官能
(メタ)アクリレートには、未反応の水酸基を有する。し
かしながら、これらの成分もラジカル重合活性を有する
ため、通常は反応物から除去することなく、混合物のま
ま使用することができる。
【0049】得られる新規多官能(メタ)アクリレートの
分子量としては、重量平均分子量で2,000〜10,
000,000が好ましく、より好ましくは5,000
〜5,000,000である。重量平均分子量が2,0
00に満たないと、ブランチ構造が不十分で、目的の物
性が得られないことがあり、他方10,000,000
を超えると、塗工性等の作業性が悪くなることがある。
又、得られる新規多官能(メタ)アクリレートとしては、
原料ポリオールのほとど全ての水酸基が(メタ)アクリ
ル酸によりエステル化された化合物が最も好ましいが、
必要に応じて未反応の水酸基を有するものであっても良
い。具体的には、原料ポリオールの全水酸基中の15モ
ル%以上が(メタ)アクリル酸によりエステル化された化
合物が好ましく、より好ましくは25モル%以上が(メ
タ)アクリル酸によりエステル化された化合物である。
【0050】得られる新規多官能(メタ)アクリレートの
例としては、オキセタン化合物として3−エチル−3−
(ヒドロキシメチル)オキセタンを使用した場合を例に
挙げ示すと、例えば、下記式(10)で表される化合物等が
挙げられる。本発明の新規多官能(メタ)アクリレートの
特徴は、分子中に下記式(10)において矢印の〜で示
される4級炭素を有していることである。尚、式(10)に
おいて矢印のは分岐している部分を、矢印のは線状
に伸びている部分を、矢印は分子末端をそれぞれ示し
ている。矢印〜で示される構造が得られていること
13C−NMRにより確認することができる。尚、式(1
0)の構造式は、新規多官能(メタ)アクリレートの分子構
造を模式的に表しているものであり、前記原料ポリオー
ルの分岐の度合いや分子サイズは合成条件により異な
る。
【0051】
【化11】
【0052】3.ラジカル重合性モノマー 本発明の新規多官能(メタ)アクリレートは、単独で使用
することも可能であるが、種々の成分と配合して組成物
として使用することも可能である。この場合、組成物の
粘度を低減し、作業性を向上させるという点で、新規多
官能(メタ)アクリレート以外のラジカル重合性モノマ
ーを併用して使用することもできる。ラジカル重合性モ
ノマーとしては、(メタ)アクリレート並びにスチレン
及びジビニルベンゼン等のスチレン誘導体等が挙げら
れ、これらの中から使用目的や所望物性に合わせて、任
意のものを任意の割合で使用することができる。ラジカ
ル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレートが好
ましい。(メタ)アクリレートとしては、1個の(メタ)
アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート〔以下単
官能(メタ)アクリレートという〕、2個以上の(メタ)
アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート〔以下多
官能(メタ)アクリレートという〕等が挙げられる。
【0053】単官能(メタ)アクリレートとしては、フ
ェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレー
ト、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メ
タ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイ
ド変性(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカル
ビトール(メタ)アクリレート及びイソボルニルアクリ
レート等の高沸点(メタ)アクリレート等を挙げること
ができる。又、これら以外にも、メチル(メタ)アクリ
レート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メ
タ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレート等の
低分子量で沸点の低い(メタ)アクリレートを使用する
こともできる。
【0054】多官能(メタ)アクリレートとしては、ビ
スフェノールFエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アク
リレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ
(メタ)アクリレート、ビスフェノールZエチレンオキ
サイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エ
チレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリプ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びポ
リプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2
個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレー
ト、並びにペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性
トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオ
キサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロー
ルプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アク
リレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド
変性トリ(メタ)アクリレート等の3個の(メタ)アクリ
ロイル基を有する(メタ)アクリレート等を挙げること
ができる。これら以外にも、4個以上の(メタ)アクリロ
イル基を有する(メタ)アクリレートも使用可能であ
る。又、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン
(メタ)アクリレートやエポキシ(メタ)アクリレート
等のオリゴマーも使用することができる。エポキシ(メ
タ)アクリレートとしては、グリセリンジグリシジルエ
ーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテ
ル及びトリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジル
エーテルの(メタ)アクリレート並びにビスフェノール
A型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹
脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキ
シ樹脂の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0055】ラジカル重合性モノマーを配合する場合の
ラジカル重合性モノマーの割合としては、新規多官能
(メタ)アクリレートとラジカル重合性モノマーの合計
量100質量部を基準として、97質量部以下が好まし
い。本願発明の組成物をハードコート形成剤として使用
する場合には、ラジカル重合性モノマーの割合として
は、新規多官能(メタ)アクリレートとラジカル重合性
モノマーの合計量100質量部を基準として、70質量
部以下が好ましく、より好ましくは50質量部以下であ
る。
【0056】4.光重合開始剤 本発明の新規多官能(メタ)アクリレート及び組成物
は、活性エネルギー線の照射により硬化させ使用するこ
とができる。活性エネルギー線としては、電子線、可視
光線及び紫外線等が挙げられ、特別な装置を必要とせ
ず、簡便であるため、可視光線又は紫外線が好ましい。
可視光線又は紫外線硬化性組成物とする場合、組成物に
光重合開始剤を配合する。尚、電子線硬化性組成物とす
る場合は、光重合開始剤を必ずしも配合する必要はな
い。
【0057】光重合開始剤の具体例としては、ベンゾイ
ン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインプロピル
エーテル等のベンゾイン;アセトフェノン、2,2−ジ
メトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエ
トキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロ
ロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェ
ニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フ
ェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン及び
N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェ
ノン;2−メチルアントラキノン、1−クロロアントラ
キノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノ
ン;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチ
ルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,
4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサント
ン;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメ
チルケタール等のケタール;ベンゾフェノン、メチルベ
ンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、
4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラ
ーズケトン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニ
ルサルファイド等のベンゾフェノン;並びに2,4,6
−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイ
ド等が挙げられる。光重合開始剤は、単独で使用して
も、2種以上を併用しても良い。光重合開始剤には、必
要に応じて光増感剤を併用することができる。光増感剤
としては、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエス
テル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエス
テル、トリエチルアミン及びトリエタノールアミン等が
挙げられる。光重合開始剤を配合する場合は、新規多官
能(メタ)アクリレート100質量部、又は新規多官能
(メタ)アクリレート及びラジカル重合性モノマーの合計
量100質量部に対して、0.05〜12質量部が好ま
しく、より好ましくは0.1〜2質量部である。
【0058】5.熱重合開始剤 本発明の新規多官能(メタ)アクリレート及び硬化性組
成物は、熱重合開始剤を配合し、加熱硬化させることも
できる。熱重合開始剤としては、種々の化合物を使用す
ることができ、有機過酸化物及びアゾ系開始剤が好まし
い。有機過酸化物の具体例としては、1,1−ビス(t
−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,
1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシル
パーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキ
サン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシ
クロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイ
ソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマ
レイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメ
チルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレー
ト、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパ
ーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピ
ルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチル
ヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベ
ンゾエート、2,5−ジーメチル−2,5−ジ(ベンゾ
イルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセ
テート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタ
ン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−
4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ
−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α、α‘−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、
ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−
ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミ
ルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p
−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、
ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−
ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,
3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメ
ンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパー
オキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙
げられる。アゾ系化合物の具体例としては、1,1’−
アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2
−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェ
ニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニト
リル、アゾジ−t−オクタン、アゾジ−t−ブタン等が
挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上
を併用しても良い。又、有機過酸化物は還元剤と組み合
わせることによりレドックス反応とすることも可能であ
る。これら熱重合開始剤の使用量としては、新規多官能
(メタ)アクリレート100質量部、又は新規多官能(メ
タ)アクリレート及びラジカル重合性モノマーの合計量
100質量部に対して、10質量部を超えないことが好
ましい。熱重合開始剤を単独で用いる場合は、通常のラ
ジカル熱重合の常套手段にしたがって行えばよく、場合
によっては光重合開始剤と併用し、光硬化させた後にさ
らに反応率を向上させる目的で熱硬化を行うこともでき
る。
【0059】6.使用方法 本発明の新規多官能(メタ)アクリレートは、光ラジカル
重合性モノマー又は熱ラジカル重合性モノマーとして、
単独で使用することもでき、又はラジカル重合性モノマ
ー若しくはその他成分と併用して使用することもでき
る。前記成分以外にも、必要に応じて、顔料、染料、消
泡剤、レベリング剤、無機フィラー、有機フィラー及び
光安定剤等を配合することもできる。
【0060】本発明の新規多官能(メタ)アクリレート及
び硬化性組成物の使用方法としては、塗料及び接着剤等
として使用する場合は、基材に新規多官能(メタ)アクリ
レート又は硬化性組成物を塗布した後、活性エネルギー
線硬化性組成物の場合は、活性エネルギー線を照射し、
熱硬化性組成物の場合は、加熱する。又、成型材として
使用する場合は、新規多官能(メタ)アクリレート又は硬
化性組成物を空間部を有する型に流し込み、その後、前
記と同様にして硬化させる方法等が挙げられる。成型材
及びハードコート剤の用途に使用する場合は、組成物と
して光重合開始剤及び熱重合開始剤を併用したものを使
用し、これを活性エネルギー線照射した後、加熱硬化さ
せることにより、硬化物の性能を向上させるか、又は基
材との密着性を向上させる方法も採用することができ
る。基材としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタ
クリレート及びポリ塩化ビニル等の成形樹脂加工品(プ
ラスチック)、金属、ガラス、コンクリート、自然の木
材及び合成木材等の木材、石材並びに紙等が挙げられ
る。
【0061】本発明の新規多官能(メタ)アクリレート及
び硬化性組成物は種々の用途に使用可能であり、塗料等
のコーティング剤、成形材、インキ及びレジスト等が挙
げられる。特に、本発明の新規多官能(メタ)アクリレー
ト及び硬化性組成物は、その硬化物物性から、特にハー
ドコート剤及び成型材として好適に使用することができ
る。ハードコート剤の具体的な使用形態としては、CD
の裏面のコーティング、携帯電話本体のコーティング及
び自動車用ヘッドライトのコーティング等が挙げられ
る。又、塗料及び成形材料としても有用であり、電子回
路を構成するプリント基板の防水塗料、透明アクリル板
及び液晶用材料等が挙げられる。成型材としては、電子
部品として、特にディスプレイ用途に好適に使用でき
る。
【0062】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を
より具体的に説明する。尚、以下において「部」とは質
量部を意味する。
【0063】○実施例1(新規多官能アクリレートの製
造) 冷却管、温度計及び攪拌棒を備えた1L容量3つ口フラ
スコをあらかじめ140℃に加温しておいたオイルバス
につけておき、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)
オキセタン:80g、トリアルキルスルホニウム塩〔旭
電化(株)製アデカオプトンCP−66。以下CP−66
と略す。〕:2.64gの混合物をフラスコに加えた。
重合による発熱が速やかに観察され、5時間反応させ
た。反応終了後、200mLのエタノールに溶解させ、
ついであらかじめ氷浴で冷却しておいた水1Lにエタノ
ール混合液を注ぎ、重合により得られたポリオールを析
出させ、78gのポリオールが得られた。得られたポリ
オールは、数平均分子量(以下Mnと略す):200
0、重量平均分子量(以下Mwと略す):45000、
水酸基価:425.88mgKOH/gであった。1L
容量3つ口フラスコに、トルエン250mL、p−トル
エンスルホン酸ソーダ13.25g、メトキシハイドロ
キノン0.20g、得られたポリオール50.0g及び
アクリル酸32.85gを仕込み、攪拌しながら、13
0℃まで昇温し、5時間反応させた。このとき脱水量か
ら計算されたエステル化率は95%であった。反応終了
後、反応液を室温に冷却し、酸価の1.1倍量の10%
水酸化ナトリウム水溶液で中和した後に、5%硫安水溶
液100質量部で2回洗浄した。次いで減圧下、80℃
でトルエンを留去し、42gのアクリレートを得た。得
られたアクリレートは、Mn:3,000、Mw:6
1,400であった。
【0064】○実施例2(新規多官能アクリレートの製
造) 実施例1と同様のフラスコをあらかじめ140℃に加温
しておいたオイルバスにつけておき、3−エチル−3−
(ヒドロキシメチル)オキセタン:50g、CP−6
6:0.327gの混合物をフラスコに加えた。重合に
よる発熱が速やかに観察された。発熱が始まった時点か
ら3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタンの
滴下を開始し、30分かけて200g滴下した。このと
き、反応液温度が150℃以下にならないよう適宜開始
剤を追加した(合計2.594g)。滴下終了後、さら
に3時間反応させた。反応後、実施例1と同様の操作に
より、ポリオールを析出させポリオールの242gを得
た。得られたポリオールは、Mn:3,800、Mw:
58,800、水酸基価:489.89mgKOH/g
であった。実施例1において、トルエン140mL、p
−トルエンスルホン酸ソーダ7.02g、メトキシハイ
ドロキノン0.09g、得られたポリオール20.0
g、アクリル酸15.12gを使用したこと以外は実施
例1と同様の方法でエステル化反応を行った。このとき
脱水量から計算されたエステル化率は96%であった。
反応終了後、実施例1と同様の方法で中和・水洗し、2
4gのアクリレートを得た。得られたアクリレートは、
Mn:3,300、Mw:135,300であった。
【0065】○実施例3(新規多官能アクリレートの製
造) 実施例1と同様のフラスコをあらかじめ200℃に加温
しておいたオイルバスにつけておき、3−エチル−3−
(ヒドロキシメチル)オキセタン:50g、CP−6
6:0.327gの混合物をフラスコに加えた。重合に
よる発熱が速やかに観察された。発熱が始まった時点か
ら3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタンの
滴下を開始し、15分かけて300g滴下した。このと
き、反応液温度が200℃以下にならないよう適宜開始
剤を追加した(合計0.593g)。滴下終了後、さら
に3時間反応させた。反応後、実施例1と同様の操作に
より、ポリオールを析出させポリオールの340gを得
た。得られたポリオールは、Mn:10,600、M
w:16,200、水酸基価:636.88mgKOH
/gであった。実施例1において、トルエン200m
L、p−トルエンスルホン酸ソーダ15.86g、メト
キシハイドロキノン0.20g、得られたポリオール1
00.0g、アクリル酸98.26gを使用し、3時間
反応した以外は実施例1と同様の方法でエステル化反応
を行った。このとき脱水量から計算されたエステル化率
は97%であった。反応終了後、実施例1と同様の方法
で中和・水洗し、76gのアクリレートを得た。得られ
たアクリレートのMn:17,100、Mw:28,2
00であった。
【0066】○得られたアクリレートの分析 実施例1〜3で得られた新規多官能アクリレートについ
て、13C−NMR及び 1H−NMRの測定を行い、構造
を解析した。前記式(10)に示されるように、本発明で得
られる新規多官能(メタ)アクリレートは、分岐して
いる部分、線状に伸びている部分、分子末端という
ように、環境の異なる3種類の4級炭素を有しており、
それぞれの割合は、13C−NMRから求めることにより
構造を知ることができる。これら3種類の4級炭素は4
0〜45ppm付近にそれぞれ独立したケミカルシフト
を持っている。分岐割合は、〜の積分値を用い、下
記の計算式により算出した。その結果を表1に示す。
【0067】
【式1】分岐割合=(+)/(++)
【0068】
【表1】
【0069】又、13C−NMRより、アクリロイル基の
炭素−炭素二重結合に基づくケミカルシフトが128〜
129ppm及び130〜131ppmに、カルボニル
炭素に基づくケミカルシフトが165〜166ppmに
検出された。一例として、実施例1で得られたアクリレ
ートの13C−NMRを図1に示す。又、同様に実施例1
で得られたアクリレートの1H−NMRを図2に示す。
【0070】
【化12】
【0071】式(11)で示される模式中におけるプロトン
a)〜q)は図2において表2のように帰属される。
【0072】
【表2】
【0073】○実施例4〜6(紫外線硬化型組成物の製
造) 表3に示す各成分を常法に従い攪拌・混合し、あらかじ
め80℃に保った乾燥機中に組成物を15分間放置する
ことにより、固体状の光重合開始剤を溶解させ、紫外線
硬化型組成物を製造した。バーコーターを用いて、ガラ
ス平板上に厚さ50μmで、得られた組成物を塗布し、
コンベアスピード5m/分、出力160W/cmの高圧
水銀ランプで0.8J/cm2の条件で紫外線照射を、
10回行なった。得られた硬化物を以下の方法に従い評
価した。それらの結果を表3に示す。
【0074】・評価 1)鉛筆硬度 JIS K−5400による鉛筆引っかき試験をおこな
い、硬化物の破れにより評価を行った。ハードコート剤
としての必要性能の目安としては鉛筆硬度4H以上とし
た。
【0075】2)耐熱性 得られた硬化物を幅6mm、長さ4cmに切り出し粘弾
性スペクトル測定を行い、貯蔵弾性率(E’)を求め
た。特にハードコート剤として使用する場合には室温付
近でのE’が高いことが必要であり、耐熱性が要求され
る場合には高温付近においても十分なE’を保持する必
要がある。本発明では210℃でのE’が0.5×10
9以上であることを耐熱性の指標とした。
【0076】3)吸水率 得られた硬化物を5cm×5cmに切り出し、これを試
験片とした。この試験片を窒素中、210℃で1時間加
熱し、硬化物を完全に乾燥させた後に、デシケーター中
で放冷し、試験片を秤量した(W1)。ついで試験片を
80℃の蒸留水に20時間浸漬し、取り出した後に試験
片表面の水を軽く拭き取り秤量し(W2)、次式より吸
水率を算出した。低吸水率の目安としては1.6%以下
のものを良好とした。
【0077】
【式2】 吸水率(%)=100×(W2−W1)/W1
【0078】○実施例7及び8(熱硬化型組成物の製
造) 表3に示す各成分を常法に従い攪拌・混合し、あらかじ
め80℃に保った乾燥機中に組成物を15分間放置する
ことにより、熱開始剤と本発明の多官能(メタ)アクリ
レートとを均一混合し、熱硬化型組成物を製造した。得
られた組成物をバーコーターを用いて、ガラス平板上に
厚さ50μmで塗布し、次いで150℃の乾燥機中で3
時間熱硬化を行った。得られた硬化物を、実施例4〜6
と同様の方法で評価した。
【0079】
【表3】
【0080】尚、表3における略号は、以下の意味を示
す。 1)HBOXMA1:実施例1で製造した多官能(メ
タ)アクリレート 2)HCPK:光重合開始剤、1−ヒドロキシシクロヘ
キシルフェニルケトン 3)HBOXMA2:実施例2で製造した多官能(メ
タ)アクリレート 4)BDMK:光重合開始剤、ベンジルジメチルケター
ル 5)HBOXMA3:実施例3で製造した多官能(メ
タ)アクリレート 6)M−110:東亞合成株式会社製パラクミルフェノ
ールEO変性(n=1)アクリレート 7)VAm−110:熱重合開始剤、2,2‘−アゾビ
ス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド、和光純
薬工業(株)製VAm−110 8)M−120:2−エチルヘキシルカルビトールアク
リレート 9)PBD:熱重合開始剤、ジターシャリブチルパーオ
キサイド、日本油脂(株)製パーブチルD 10)M−408:東亞合成株式会社製ジトリメチロー
ルプロパンテトラアクリレート 11)TO−2064:ビスフェノールZエチレンキサ
イド2モル変性ジアクリレート
【0081】○比較例1及び2(紫外線硬化型成物の製
造) 表3に示す各成分を使用した以外は、実施例4〜6と同
様の方法で紫外線硬化型組成物を製造した。得られた組
成物を実施例4〜6と同様の方法で硬化させ、得られた
硬化物を、実施例4〜6と同様の方法で評価した。それ
らの結果を表3に示す。
【0082】本発明の新規多官能(メタ)アクリレート
からなる硬化性組成物は、いずれの場合も、耐熱性、硬
度が高く、さらに吸水率が低いというものであった。一
方、比較例1のテトラアクリレートを用いた組成物の場
合は、高温領域での貯蔵弾性率は高く、十分な硬度が得
られるが、吸水率が高くなってしまうため特に電子材料
分野での使用は好ましくない。又、比較例2のジアクリ
レートを用いた組成物の場合には、吸水率は低くなるも
のの、嵩高い構造であっても高温領域での貯蔵弾性率は
著しく低下してしまい、耐熱性を要求される分野でのハ
ードコート剤としては好ましくない。
【0083】
【発明の効果】本発明の新規多官能(メタ)アクリレー
トは、光ラジカル重合性モノマー又は熱ラジカル重合性
モノマーとして使用でき、特に得られる硬化物の耐熱性
に優れ、硬度が高く、耐水性に優れるため、単独で又は
組成物として、産業上非常に有用なものであり、電子部
品用のハードコート剤及び成型材として特に好適に使用
できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた新規多官能アクリレートの
13C−NMRチャートである。
【図2】実施例1で得られた新規多官能アクリレートの
1H−NMRチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J005 AA07 BD02 4J027 AC06 BA05 BA07 BA18 BA19 CB10 CC05 CD08 4J038 FA012 FA042 FA112 FA152 FA271 JB01 JC17 JC29 KA03 NA07 NA11 PA17 PB08 PB09 PC08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(1)で表されるオキセタン化合物を
    熱カチオン重合させることにより得られるポリオールと
    (メタ)アクリル酸とのエステル化反応物である(メ
    タ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレ
    ート。 【化1】 〔式(1)において、R1は水素原子、アルキル基、アリー
    ル基又はアリールアルキル基を表す。〕
  2. 【請求項2】請求項1記載の(メタ)アクリレート及び
    必要に応じてこれ以外のラジカル重合性モノマーを含有
    してなる硬化性組成物。
  3. 【請求項3】さらに光重合開始剤又は/及び熱重合開始
    剤を含有してなる請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. 【請求項4】請求項1〜請求項3のいずれかの記載の組
    成物からなるハードコート形成剤。
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