JP4639332B2 - デンドリック高分子、放射線硬化性デンドリック高分子、硬化物、及び、それらの製造方法 - Google Patents
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Description
一方、デンドリック高分子(デンドリティック高分子とも言う。)はデンドリマーとハイパーブランチポリマーに大別され、多くの枝分かれ構造を有し、線状高分子とは異なる性質や機能を有している。これらの高分子は、線状高分子と比較して溶液粘度が低く、その構造は線状高分子よりコンパクトな構造をとり、さまざまな有機溶媒に対する溶解性に優れ、多くは非晶性であることが知られている。さらに、末端に多くの官能基を有することから、多くの機能性基の導入が可能となり、有用な機能性高分子材料としての展開が期待されている。また、一般的にハイパーブランチポリマーの合成は、デンドリマーと比較して容易に合成できることが知られている。しかしながら、ハイパーブランチポリマーの応用研究はデンドリマーと比べ、あまり報告されていない。
四員環エーテル化合物であるオキセタン類は、三員環エーテル化合物のエポキシ類と比較して保存安定性がよく、現在のところ変異原性が認められていない。そのため、変異原性の指摘され始めているエポキシ類に代わる材料として期待される。
最近、本発明者らは、2個のオキセタニル基と1個のカルボキシル基とを有する化合物を自己重付加反応させることによりハイパーブランチ高分子が得られることを報告している(特許文献1参照)。
<1> 同一分子内に2つのオキセタニル基を有し下記式(1)で表される化合物、並びに、1つのオキセタニル基及び少なくとも1つのヒドロキシル基を有し下記式(2)で表される化合物を自己開環重合し得られるハイパーブランチポリエーテル、又は、前記ハイパーブランチポリエーテル中のヒドロキシル基に保護基を導入した保護ハイパーブランチポリエーテルを開環共重合して得られることを特徴とするデンドリック高分子、
<2> 前記1つのオキセタニル基及び少なくとも1つのヒドロキシル基を有する化合物が、下記式(3)、(4)又は(5)で表される化合物である上記<1>に記載のデンドリック高分子、
<4> 上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のデンドリック高分子のヒドロキシル基の少なくとも一部に重合性基を導入した放射線硬化性デンドリック高分子、
<5> 前記重合性基が、(メタ)アクリロイル基を含む基である上記<4>に記載の放射線硬化性デンドリック高分子、
<6> 上記<4>又は<5>に記載の放射線硬化性デンドリック高分子を含む組成物を、放射線照射により硬化した硬化物、
<7> 同一分子内に2つのオキセタニル基を有し上記式(1)で表される化合物と、
1つのオキセタニル基及び少なくとも1つのヒドロキシル基を有し上記式(2)で表される化合物を自己開環重合し得られるハイパーブランチポリエーテル、又は、前記ハイパーブランチポリエーテル中のヒドロキシル基に保護基を導入した保護ハイパーブランチポリエーテルとを用い、酸触媒存在下開環共重合する工程を含むデンドリック高分子の製造方法、
<8> 前記酸触媒が、ルイス酸である上記<7>に記載のデンドリック高分子の製造方法、
<9> 前記酸触媒が、三フッ化ホウ素エーテル錯塩(BF3・OEt2)である上記<7>又は<8>に記載のデンドリック高分子の製造方法、
<10> 同一分子内に2つのオキセタニル基を有し上記式(1)で表される化合物と、1つのオキセタニル基及び少なくとも1つのヒドロキシル基を有し上記式(2)で表される化合物を自己開環重合し得られるハイパーブランチポリエーテル、又は、前記ハイパーブランチポリエーテル中のヒドロキシル基に保護基を導入した保護ハイパーブランチポリエーテルとを用い、酸触媒存在下開環共重合を行いデンドリック高分子を得る工程、並びに、前記デンドリック高分子のヒドロキシル基の少なくとも一部に重合性基を導入する工程を含むことを特徴とする放射線硬化性デンドリック高分子の製造方法、
<11> 同一分子内に2つのオキセタニル基を有し上記式(1)で表される化合物と、1つのオキセタニル基及び少なくとも1つのヒドロキシル基を有し上記式(2)で表される化合物を自己開環重合し得られるハイパーブランチポリエーテル、又は、前記ハイパーブランチポリエーテル中のヒドロキシル基に保護基を導入した保護ハイパーブランチポリエーテルとを用い、酸触媒存在下開環共重合を行いデンドリック高分子を得る工程、前記デンドリック高分子のヒドロキシル基の少なくとも一部に重合性基を導入し放射線硬化性デンドリック高分子を得る工程、並びに、前記放射線硬化性デンドリック高分子を含む組成物に放射線を照射し硬化させる工程を含むことを特徴とする硬化物の製造方法。
また、本発明によれば、優れた放射線硬化特性を有する放射線硬化性デンドリック高分子、及び、その放射線硬化性デンドリック高分子を放射線により硬化して得られる特異な構造を有する硬化物を得ることができる。
本発明に用いることのできる同一分子内に2つのオキセタニル基を有する化合物は、上記式(1)で表される化合物である。
上記式(1)のAは、水素原子、又は、炭素数1〜6の分岐を有してもよいアルキル基であり、その中でも水素原子、メチル基、又は、エチル基が好ましい。
上記式(1)の二価の連結基Qは、−O−、−S−、−CO−、−NR−(Rは、炭素数が1〜7の分岐を有してもよいアルキル基)、−SO−、−SO2−、炭素数1〜20の二価の鎖状基、炭素数3〜20の二価の環状基、及び、それらの組み合わせから選ばれることが好ましい。ただし、二価の連結基Qとオキセタニル基を有する側鎖の酸素原子との結合部位は、−CO−、−SO−、−SO2−、二価の鎖状基、又は、二価の環状基と側鎖の酸素原子が結合しているものとする。
二価の連結基Qとして、例えば、−A1−、−A1−O−A2−、−A1−CO−A2−、−A1−S−A2−、−A1−NR−A2−、−A1−SO−A2−、−A1−SO2−A2−、−A1−O−A2−O−A3−、−A1−O−CO−O−A2−、−A1−NR−CO−NR−A2−、−A1−O−A2−CO−A3−O−A4−、−A1−O−A2−SO2−A3−O−A4−、−CO−A1−CO−、及び、−SO2−A1−SO2−等の構造が挙げられる。ただし、A1〜A4は炭素数1〜20の二価の鎖状基、炭素数3〜20の二価の環状基、及び、それらの組み合わせから選ばれる構造である。
鎖状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、炭素数が1〜5のアルキル基、炭素数が1〜5のハロゲン置換アルキル基、炭素数が4〜12のアリール基、炭素数が4〜12のハロゲン置換アリール基、炭素数が1〜5のアルコキシ基、炭素数が1〜5のアルキルチオ基、炭素数が1〜5のアシル基、炭素数が2〜6のアシルオキシ基、炭素数が2〜6のアルコキシカルボニル基、及び、炭素数が2〜6のアミド基が含まれる。
アルケニレン基の炭素数は、2〜12であることが好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることが最も好ましい。
アルキニレン基の炭素数は、2〜12であることが好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることが最も好ましい。
二価の鎖状基の例には、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、1−メチルテトラメチレン、1−メチルトリメチレン、2−メチルトリメチレンなどが含まれる。
環状基が有する環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環の方が好ましい。芳香族環の例には、ベンゼン環及びナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、1,3−ジオキサン環、ピリジン環及びピリミジン環が含まれる。
二価の連結基Qとしては、以下のQ−1〜Q−10に示す構造であるのが好ましい。ただし、Q−2の置換基R’は芳香環上の任意の位置の置換基であり、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基及びメトキシ基よりなる群から選ばれる置換基である。
Xはハロゲン原子であり、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
上記式(8)に示すハライドは、上記(7)に示すジヒドロキシ化合物1モルに対し、2〜5モル用いるのが好ましく、2〜3モルがより好ましい。
上記Scheme1では、前記塩基の使用量が、上記式(7)に示すジヒドロキシ化合物1モルに対して2〜4モル用いることが好ましく、2〜2.5モルであるのがより好ましい。
上記Scheme1に用いられる溶媒としては、原料および反応生成物に対して不活性な化合物を用いることができる。好適な反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロルベンゼン、アニソール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、クロロベンゼン及びジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
また、反応速度を促進するため、相間移動触媒を用いてもよい。相間移動触媒としては、公知のものを用いることができるが、第4アンモニウム塩類や第4ホスホニウム塩類が好ましく、その中でもテトラブチルアンモニウムブロマイドがより好ましい。
本発明に用いることのできる1つのオキセタニル基及び少なくとも1つのヒドロキシル基を有する化合物は、下記式(2)で表される化合物である。
上記式(2)の二価の連結基Zは、−O−、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルケニレン基、炭素数2〜20のアルキニレン基、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数4〜20のアリーレン基、及び、それらの組み合わせから選ばれることが好ましい。
アルケニレン基の炭素数は、2〜12であることが好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることが最も好ましい。
アルキニレン基の炭素数は、2〜12であることが好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることが最も好ましい。
シクロアルキレン基の炭素数は、3〜12であることが好ましく、3〜10であることがさらに好ましく、3〜8であることが最も好ましい。
アリーレン基の有する環としては、芳香族環、又は、複素環である。
アリーレン基の炭素数は、4〜12であることが好ましく、4〜10であることがさらに好ましく、4〜8であることが最も好ましい。
二価の連結基Zの例には、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、1−メチルテトラメチレン、1−メチルトリメチレン、2−メチルトリメチレン、−CH2OCH2−、−CH2CH2OCH2CH2−、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,5−ナフチレン、2,6−ナフチレン、1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、2,5−ピリジンジイル、2,5−ピリミジンジイルなどが含まれる。その中でも、メチレン基が特に好ましい。
本発明に用いることのできるハイパーブランチポリエーテルは、前記1つのオキセタニル基及び少なくとも1つのヒドロキシル基を有する化合物を自己開環重合し得られる化合物である。
ハイパーブランチポリエーテルとは、樹状構造をもつ多分岐のポリエーテルである。例えば「デンドリマーの科学と機能」(2000.7.20、(株)アイシーピー発行)などの文献に記載されている。1分子中に2種類の置換基を合わせて3個以上もつ化合物の自己縮合によって合成され、重合中に枝分かれを繰り返しながら成長する。
本発明に用いることのできるハイパーブランチポリエーテルの場合は、置換基がオキセタニル基とヒドロキシル基の組み合わせである。
例えば、前記式(2)の化合物をそれぞれ4分子又は6分子自己開環重合したハイパーブランチポリエーテルの一例は、それぞれ下記式(9)又は(10)に示す化合物である。
デンドリック単位は、他のデンドリック単位、リニア単位及びターミナル単位と任意に結合しているものとする。リニア単位も同様に、他のリニア単位、デンドリック単位及びターミナル単位と任意に結合しているものとする。
m=1+ma+mb+mc+md (12)
本発明に用いることのできるハイパーブランチポリエーテルの好ましい分子量は、数平均分子量で300〜20,000が好ましく、更に好ましくは300〜10,000である。
また、本発明に用いることのできるハイパーブランチポリエーテルの好ましい分子量分布は、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で1.01〜3.00が好ましく、1.01〜2.00がより好ましい。
本発明で用いることのできるハイパーブランチポリエーテルは、該ポリエーテル中のヒドロキシル基を保護基により保護したもの(以下、保護ハイパーブランチポリエーテルとも言う。)であってもよい。
保護基としては、特に制限はなく公知の保護基を用いることができる。公知の保護基としては、例えば、「Protective groups in organic synthesis 3rd ed.」(Wiley発行、1999年刊)に記載されたヒドロキシル基の保護基が挙げられる。また、保護基の導入法についても、特に制限はなく、上記文献に記載されているような公知の方法を用いることができる。
保護基は、酸性条件に強い保護基が好ましく、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ベンジル基がより好ましく、コストや保護及び脱保護の容易さの点からアセチル基がさらに好ましい。
保護ハイパーブランチポリエーテルは、ハイパーブランチポリエーテル中のヒドロキシル基の一部が保護されていればよく、ハイパーブランチポリエーテル中のヒドロキシル基のうちの9割以上が保護されているのが好ましく、全てのヒドロキシル基が保護されているのがさらに好ましい。
本発明のデンドリック高分子は、前記同一分子内に2つのオキセタニル基を有する化合物、及び、前記ハイパーブランチポリエーテル又は前記保護ハイパーブランチポリエーテルを開環共重合して得られる高分子である。
また、本発明のデンドリック高分子は、前記同一分子内に2つのオキセタニル基を有する化合物、並びに、前記ハイパーブランチポリエーテル又は前記保護ハイパーブランチポリエーテルを酸触媒存在下開環共重合する工程を含む製造方法により製造することができる。
デンドリック単位は、他のデンドリック単位、コア単位、リニア単位及びターミナル単位と任意に結合しているものとする。リニア単位は、他のリニア単位、デンドリック単位及びターミナル単位と任意に結合しているものとする。コア単位は、他のコア単位及びデンドリック単位(ただし、デンドリック単位のZ−O−結合では結合しないものとする。)と任意に結合しているものとする。
本発明のデンドリック高分子の好ましい分子量は、数平均分子量で500〜200,000が好ましく、更に好ましくは5,000〜50,000である。
また、本発明のデンドリック高分子の好ましい分子量分布は、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で1.01〜10.00が好ましく、1.01〜7.00がより好ましい。
本発明で行う開環共重合反応には、ブレンステッド酸やルイス酸などを酸触媒として用い、これらの存在下に共重合反応させることが好ましい。これらの酸触媒の中でも、ルイス酸の使用が好ましい。
ブレンステッド酸としては、例えば、塩酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸等が挙げられる。
前記開環共重合反応での基質量は、前記ハイパーブランチポリエーテル又は前記保護ハイパーブランチポリエーテル1当量に対し、前記式(1)で表される化合物は、0.01〜0.7当量が好ましく、0.1〜0.5当量がより好ましく、0.3当量が特に好ましい。
前記酸触媒の使用量は、前記ハイパーブランチポリエーテル、又は、前記保護ハイパーブランチポリエーテルに対して、0.1〜50mol%であることが好ましく、より好ましくは1〜20mol%であり、さらに好ましくは5〜15mol%であり、特に好ましくは10mol%である。上記範囲であると、反応速度が速く、コストの面でも好適である。
前記開環共重合反応における反応温度は、−40〜25℃の範囲で行うことが好ましく、−20〜0℃がより好ましい。一方、反応時間については特に限定はないが、反応温度との兼ね合いで、6〜96時間の反応時間が好ましく、24〜48時間がより好ましい。
前記開環共重合反応は、無溶媒で行っても、反応溶媒を用いて行ってもよい。反応溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のデンドリック高分子の製造に、保護ハイパーブランチポリエーテルを用いた場合は、デンドリック高分子を得た後、保護基の脱保護を行ってもよい。
脱保護の方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば前述した「Protective groups in organic synthesis 3rd ed.」(Wiley発行、1999年刊)に記載された脱保護の方法を用いることができる。具体例としては、保護基としてアセチル基を用いた場合、メタノール/テトラヒドロフラン混合溶媒に該デンドリック高分子を溶解させ、水酸化カリウムを添加することにより、好適にアセチル基の脱保護が可能である。
この場合、本発明のデンドリック高分子の効果を損なわない範囲内であれば他の樹脂と配合して用いても良い。また、公知の各種添加剤、例えば、無機充填剤、強化材、着色剤、安定剤(熱安定剤または耐候性改良剤など)、増量剤、粘度調節剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色防止剤、抗菌剤、防黴剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、発泡剤、及び/又は離型剤などを添加・混合することができる。上記着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、及び金属錯塩染料などの染料、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、及びマイカなどの無機顔料、並びにカップリングアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、チオインジゴ系、ジオキサゾン系、及びフタロシアニン系などの有機顔料などが挙げられる。また、上記安定剤としては、ヒンダードフェノール系、ヒドラジン系、リン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、及びオキザリックアシッドアニリド系などの化合物が挙げられる。さらに、上記無機充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化珪素繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊維、ホウ素繊維、及びステンレス鋼繊維などの無機質及び金属繊維、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、鉛、ステンレス鋼、アルミニウム、金、及び銀などの金属粉末、木粉、マグネシア、カルシアなどの酸化物、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、石英粉末、タルク、クレイ、各種金属の水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ホウ珪酸塩、アルミノ珪酸塩、チタン酸塩、塩基性硫酸塩、塩基性炭酸塩及びその他の塩基性塩、ガラス中空球、ガラスフレークなどのガラス材料、炭化珪素、窒化アルミ、ムライト、コージェライトなどのセラミック、フライアッシュ、及びミクロシリカなどが挙げられる。
本発明の放射線硬化性デンドリック高分子は、前記デンドリック高分子のヒドロキシル基の少なくとも一部に重合性基を導入した化合物である。
また、本発明の放射線硬化性デンドリック高分子の製造方法は、前記デンドリック高分子を得る工程、及び、前記デンドリック高分子のヒドロキシル基の少なくとも一部に重合性基を導入する工程を含むことを特徴とする。
前記デンドリック高分子のヒドロキシル基とは、オキセタニル基の開環により生じたヒドロキシル基、並びに、同一分子内に2つのオキセタニル基を有し下記式(1)で表される化合物及びハイパーブランチポリエーテル由来のヒドロキシル基である。
重合性基は、前記デンドリック高分子のヒドロキシル基のうち少なくとも一部に導入されていればよく、10〜90%に導入されるのが好ましい。重合性基の導入率は、必要に応じコントロールすることが可能である。
ラジカル重合性基としては、ラジカル重合性の二重結合を含む基が好ましく、例えば、アリロキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を含む基が好ましく、(メタ)アクリロイル基を含む基がより好ましく、メタクリロイル基を含む基が特に好ましい。
ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基の両方の構造をとり得ることを表す省略的表記である。
また、メタクリロイル基を含む基とは、その基の一部にメタクリロイル基を有していればよく、メタクリロイル基以外の部分は本発明の趣旨に反しない限り、特に限定されない。
カチオン重合性基としては、ヘテロ環状基含有硬化性基を含む基が好ましい。ヘテロ環状基含有硬化性基としては、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、オキサゾリニル基などの環状エーテル類、ビニルエーテル類などが好ましく挙げられ、特にエポキシ基及びオキセタニル基、ビニルエーテル類が好ましい。
前記デンドリック高分子のヒドロキシル基に重合性基を導入する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
本発明の硬化物は、前記放射線硬化性デンドリック高分子を含む組成物を、放射線照射により硬化した硬化物である。
また、本発明の硬化物の製造方法は、前記放射線硬化性デンドリック高分子を得る工程、及び、前記放射線硬化性デンドリック高分子を含む組成物に放射線を照射し硬化させる工程を含むことを特徴とする。
本発明で用いる放射線硬化性デンドリック高分子を含む組成物には、重合開始剤や前述した公知の各種添加剤を含んでいてもよく、また、他の樹脂と配合して用いても良い。
放射線の作用によりラジカルを発生させる重合開始剤の例としては、アセトフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンジル系化合、及び、アシルフォスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。
また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤としては、公知のものであればよく、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、2−エチルアントラキノン及びチオキサントン誘導体等が挙げられる。
<3−エチル−(3−ヒドロキシメチル)オキセタン(EHMO)のアニオン重合によるpoly(EHMO)の合成>
IR (neat, cm-1) 3323 (νOH ), 1106, 1049 (νC-O-C ether), 993 (νC-O-C oxetane ring).
<poly(EHMO)のアセチル化によるpoly(EHMO)−Acの合成>
IR (neat, cm-1) 1743 (νC=O), 1238 (νC-O-C ester), 1110, 1037 (νC-O-C ether), 983 (νC-O-C oxetane ring).
<poly(EHMO)−Acと1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ベンゼン(BEOMB)とのカチオン開環共重合によるデンドリック高分子P−1の合成>
IR (neat, cm-1) 1743 (νC=O ester), 1508 (νC=C aromatic), 1238 (νC-O-C ester)、1108, 1037 (νC-O-C ether).
BEOMBを0.0617 g (0.20 mmol)用いた以外は実施例1と同様に反応を行い、褐色粘性液体poly[poly(EHMO)−Ac−co−BEOMB](P−2)(収率:59%、Mn=26,700、Mw/Mn=6.76)を得た。また、得られたP−2中の共重合モノマーpoly(EHMO)−AcとBEOMBとの比は、poly(EHMO)−Ac:BEOMB=1:0.6であった。
BEOMBを0.0122 g (0.04 mmol)用いた以外は実施例1と同様に反応を行い、褐色粘性液体poly[poly(EHMO)−Ac−co−BEOMB](P−3)(収率:59%、Mn=6,400、Mw/Mn=1.66)を得た。また、得られたP−3中の共重合モノマーpoly(EHMO)−AcとBEOMBとの比は、poly(EHMO)−Ac:BEOMB=1:0.3であった。
<デンドリック高分子poly[poly(EHMO)−Ac−co−BEOMB](P−1)の脱保護>
IR (neat, cm-1) 3322 (νOH), 1105, 1045 (νC-O-C ether).
<poly[poly(EHMO)−co−BEOMB](P−4)へのメタクリロイル基の導入>
<[poly(poly(EHMO)−co−BEOMB)−Meth](P−5)の放射線硬化反応>
放射線硬化性デンドリック高分子[poly(poly(EHMO)−co−BEOMB)−Meth](P−5)に、重合開始剤としてIrgacure 907(Ciba Specialty Chemicals製)、増感剤として2−エチルアントラキノンを加えて、臭化カリウム(KBr)板に塗布し、250−W高圧水銀灯(6mW/cm2、254nm)を用いて光照射を行った。その結果、IRスペクトルにより、メタクリロイル基(νC=C)に由来する1637cm-1の吸収の減衰が確認され、硬化反応は容易に進行し、光照射5分後でメタクリロイル基のνC=Cの転化率は44%に達することが判明し、硬化物が定量的に得られた。
Claims (11)
- 同一分子内に2つのオキセタニル基を有し下記式(1)で表される化合物、並びに、
1つのオキセタニル基及び少なくとも1つのヒドロキシル基を有し下記式(2)で表される化合物を自己開環重合し得られるハイパーブランチポリエーテル、又は、前記ハイパーブランチポリエーテル中のヒドロキシル基に保護基を導入した保護ハイパーブランチポリエーテルを
開環共重合して得られることを特徴とする
デンドリック高分子。
- 前記保護基がアセチル基である請求項1又は2に記載のデンドリック高分子。
- 請求項1〜3のいずれか1つに記載のデンドリック高分子のヒドロキシル基の少なくとも一部に重合性基を導入した放射線硬化性デンドリック高分子。
- 前記重合性基が、(メタ)アクリロイル基を含む基である請求項4に記載の放射線硬化性デンドリック高分子。
- 請求項4又は5に記載の放射線硬化性デンドリック高分子を含む組成物を、放射線照射により硬化した硬化物。
- 同一分子内に2つのオキセタニル基を有し下記式(1)で表される化合物と、
1つのオキセタニル基及び少なくとも1つのヒドロキシル基を有し下記式(2)で表される化合物を自己開環重合し得られるハイパーブランチポリエーテル、又は、前記ハイパーブランチポリエーテル中のヒドロキシル基に保護基を導入した保護ハイパーブランチポリエーテルとを用い、
酸触媒存在下開環共重合する工程
を含むデンドリック高分子の製造方法。
- 前記酸触媒が、ルイス酸である請求項7に記載のデンドリック高分子の製造方法。
- 前記酸触媒が、三フッ化ホウ素エーテル錯塩(BF3・OEt2)である請求項7又は8に記載のデンドリック高分子の製造方法。
- 同一分子内に2つのオキセタニル基を有し下記式(1)で表される化合物と、1つのオキセタニル基及び少なくとも1つのヒドロキシル基を有し下記式(2)で表される化合物を自己開環重合し得られるハイパーブランチポリエーテル、又は、前記ハイパーブランチポリエーテル中のヒドロキシル基に保護基を導入した保護ハイパーブランチポリエーテルとを用い、酸触媒存在下開環共重合を行いデンドリック高分子を得る工程、並びに、
前記デンドリック高分子のヒドロキシル基の少なくとも一部に重合性基を導入する工程
を含むことを特徴とする放射線硬化性デンドリック高分子の製造方法。
- 同一分子内に2つのオキセタニル基を有し下記式(1)で表される化合物と、1つのオキセタニル基及び少なくとも1つのヒドロキシル基を有し下記式(2)で表される化合物を自己開環重合し得られるハイパーブランチポリエーテル、又は、前記ハイパーブランチポリエーテル中のヒドロキシル基に保護基を導入した保護ハイパーブランチポリエーテルとを用い、酸触媒存在下開環共重合を行いデンドリック高分子を得る工程、
前記デンドリック高分子のヒドロキシル基の少なくとも一部に重合性基を導入し放射線硬化性デンドリック高分子を得る工程、並びに、
前記放射線硬化性デンドリック高分子を含む組成物に放射線を照射し硬化させる工程
を含むことを特徴とする硬化物の製造方法。
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