JP4643295B2 - 1つのオキセタニル基及び2つのカルボキシル基を有する化合物、重合物、放射線硬化性化合物、並びに、硬化物 - Google Patents
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Description
また、UV硬化材料は光硬化の用途の広がりとともに、様々な改善がなされてきている。その中で、アクリレートをベースとするラジカル重合系UV硬化材料は体積収縮のような反応機構に起因するような問題点を抱えている。これからの、新しい産業の発展を考慮すると、様々な用途に応用可能であるUV硬化技術の発展も必要不可欠であり、新しい概念に基づくUV硬化系の開発が求められている。
一方、三員環環状エーテル化合物であるエポキシド類は、大きな歪みエネルギーにより他の環状エーテル類にはない多様な反応性を示すことから、有機合成や高分子合成に大変有用な物質である。さらに、エポキシ化合物を用いた高分子材料は、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などに優れている。しかし、その反応性の高さから保存安定性が悪く、さらに変異原性があることが知られている。
また、四員環環状エーテル類であるオキセタン類は、エポキシ類と比較して環の歪みエネルギーは同程度であるにも関わらず、その反応性はエポキシ類に比べると非常に劣っていることが知られ、保存安定性がよく、現在のところ変異原性は認められていない。近年、オキセタン類の反応も、反応条件と触媒を選択することで、エポキシド類と同様な反応性があることを見出されている。このことは、エポキシ類の代替としてオキセタン類を用いることが可能であり、環境の面でも有用であると考えられる。
オキセタン類を用いた重合物の合成としては、反復構造単位の側鎖に1個のオキセタン環を有する重合体と分子中に2個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸との付加反応について報告されている(例えば、特許文献1参照。)。また、オキセタン化合物と多官能性カルボン酸化合物との重付加反応による方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
本発明の他の目的は、前記新規化合物とビスエポキシ化合物との重付加反応による新規な重合物、及び、その製造方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、前記重合物より得られる新規な放射線硬化性化合物、その化合物を硬化した新規な硬化物、及び、それらの製造方法を提供することである。
<1> 同一分子内に1つのオキセタニル基及び2つのカルボキシル基を有し、下記式(1)で表されることを特徴とする化合物、
<2> 下記式(2)で表される上記<1>に記載の化合物、
<5> 上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の重合物のヒドロキシル基の少なくとも一部に重合性基を導入した放射線硬化性化合物、
<6> 前記重合性基が、(メタ)アクリロイル基を含む基である上記<5>に記載の放射線硬化性化合物、
<7> 上記<5>又は<6>に記載の放射線硬化性化合物を含む組成物を、放射線照射により硬化した硬化物、
<8> 同一分子内に1つのオキセタニル基及び2つのカルボキシル基を有し上記式(1)で表される化合物とビスエポキシ化合物とを用い、塩基性触媒存在下重付加反応を行う工程を含むことを特徴とする重合物の製造方法、
<9> 前記塩基性触媒が、第4オニウム塩、クラウンエーテル錯体類、又は、第3アミンである上記<8>に記載の重合物の製造方法、
<10> 前記塩基性触媒がテトラブチルアンモニウムブロミドである上記<8>又は<9>に記載の重合物の製造方法、
<11> 同一分子内に1つのオキセタニル基及び2つのカルボキシル基を有し上記式(1)で表される化合物とビスエポキシ化合物とを用い、塩基性触媒存在下重付加反応を行い重合物を得る工程、並びに、前記重合物のヒドロキシル基の少なくとも一部に重合性基を導入する工程を含むことを特徴とする放射線硬化性化合物の製造方法、
<12> 同一分子内に1つのオキセタニル基及び2つのカルボキシル基を有し上記式(1)で表される化合物とビスエポキシ化合物とを用い、塩基性触媒存在下重付加反応を行い重合物を得る工程、前記重合物のヒドロキシル基の少なくとも一部に重合性基を導入し放射線硬化性化合物を得る工程、並びに、前記放射線硬化性化合物を含む組成物に放射線を照射し硬化させる工程を含むことを特徴とする硬化物の製造方法。
また、本発明によれば、優れた放射線硬化特性を有する放射線硬化性化合物、及び、その化合物を架橋反応により硬化して得られる熱的特性に優れた硬化物を得ることができる。
以下に、本発明の化合物、この化合物とビスエポキシ化合物より得られる重合物、及び、重合物の製造方法について詳述する。
本発明の化合物は、同一分子内に1つのオキセタニル基及び2つのカルボキシル基を有し、上記式(1)で表される化合物である。
上記式(1)のBは、芳香環上の任意の位置における一価の置換基を表し、Bの置換基数nは0〜4を表す。
Bは、炭素数1〜6の分岐を有してもよいアルキル基、炭素数1〜6の分岐を有してもよいアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、又は、ニトロ基であり、その中でもメチル基、エチル基、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、又は、ヨウ素原子が好ましい。
nが0の場合は、芳香環上にBがないことを表し、nが1〜4の場合は、芳香環上にBがそれぞれ1〜4つ結合していることを表す。また、nが2以上の場合、芳香環上のそれぞれのBは互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(1)の2つのカルボキシル基(−COOH)は、芳香環上の任意の位置に結合したカルボキシル基であり、芳香環上でのオキセタニル基を含むアルコキシ基の置換位置に対し、パラ位、又は、メタ位にあるのが好ましい。
上記式(1)で表される化合物としては、下記式(2)で表される化合物であるのがより好ましい。
塩基としては、アルカリ金属、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属水素化物、および有機アンモニウムなどが例示できる。この用いられる塩基化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、金属ナトリウム、金属カリウム、トリエチルアミン、またはジイソプロピルエチルアミン等である。これらの中でも、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムが好ましい。
Xはハロゲン原子であり、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
上記式(5)に示すジハライドは、上記(4)に示すフェノールに対し、1〜5当量用いるのが好ましく、1〜2当量がより好ましい。
上記Scheme1では、前記塩基の使用量が、上記式(4)に示すフェノール1モルに対して、0.5〜2モル用いることが好ましく、0.5〜1モルであるのがより好ましい。
上記Scheme1に用いられる溶媒としては、原料および反応生成物に対して不活性な化合物を用いることができる。好適な反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロルベンゼン、アニソール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、クロロベンゼン及びジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
また、反応速度を促進するため、相間移動触媒を用いてもよい。相間移動触媒としては、公知のものを用いることができるが、第4アンモニウム塩類や第4ホスホニウム塩類が好ましく、その中でもテトラブチルアンモニウムブロマイドがより好ましい。
上記Scheme2に用いられる溶媒としては、原料および反応生成物に対して不活性な化合物を用いることができる。反応溶媒としては、水と上記Scheme1で用いることのできる溶媒とを併用するのが好ましく、中でも水とテトラヒドロフランとの混合溶媒がより好ましい。
本発明の重合物は、本発明の同一分子内に1つのオキセタニル基及び2つのカルボキシル基を有する化合物とビスエポキシ化合物から得られる重合物である。
本発明の重合物は、塩基性触媒存在下、本発明の同一分子内に1つのオキセタニル基及び2つのカルボキシル基を有する化合物(以下、ジカルボン酸化合物とも言う。)とビスエポキシ化合物との重付加反応を行う工程を含む製造方法により製造することができる。
本発明に用いることのできるビスエポキシ化合物は、下記の式(7)に示す同一分子内に2つのエポキシ基を有する化合物である。
二価の連結基A’として、例えば、−A1−、−A1−O−A2−、−A1−CO−A2−、−A1−S−A2−、−A1−NR−A2−、−A1−SO−A2−、−A1−SO2−A2−、−O−A1−O−、−A1−O−A2−O−A3−、−A1−O−CO−O−A2−、−O−CO−A1−CO−O−、−CO−O−A1−O−CO−、−S−A1−S−、−A1−NR−CO−NR−A2−、−A1−O−A2−CO−A3−O−A4−、及び、−A1−O−A2−SO2−A3−O−A4−等の構造が挙げられる。ただし、A1〜A4は炭素数1〜20の二価の鎖状基、炭素数3〜20の二価の環状基、及び、それらの組み合わせから選ばれる構造である。
鎖状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、炭素数が1〜5のアルキル基、炭素数が1〜5のハロゲン置換アルキル基、炭素数が4〜12のアリール基、炭素数が4〜12のハロゲン置換アリール基、炭素数が1〜5のアルコキシ基、炭素数が1〜5のアルキルチオ基、炭素数が1〜5のアシル基、炭素数が2〜6のアシルオキシ基、炭素数が2〜6のアルコキシカルボニル基、及び、炭素数が2〜6のアミド基が含まれる。
アルケニレン基の炭素数は、2〜12であることが好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることが最も好ましい。
アルキニレン基の炭素数は、2〜12であることが好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることが最も好ましい。
二価の鎖状基の例には、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、1−メチルテトラメチレン、1−メチルトリメチレン、及び、2−メチルトリメチレンなどが含まれる。
環状基が有する環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環の方が好ましい。芳香族環の例には、ベンゼン環及びナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、1,3−ジオキサン環、1,3,2−ジオキサボラン環、ピリジン環及びピリミジン環が含まれる。
式(3)の二価の鎖状基及び二価の環状基は、上記式(7)の二価の鎖状基及び二価の環状基と同義である。
上記式(3)に示す化合物の具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル等が挙げられ、ビスフェノールAジグリシジルエーテルが特に好ましい。
本発明の製造方法によりポリマー中の繰り返し構造が、下記式(7)で代表される重合物が得られる。また、得られた重合物を再度重合させて高分子量化する工程を行うこともできる。
本発明で行う重付加反応には、第4オニウム塩、クラウンエーテル錯体または第3アミンなどを塩基性触媒として用い、これらの存在下に共重合反応させることが好ましい。これらの塩基性触媒の中でも、エポキシ基とカルボキシル基との反応性の面から、第4オニウム塩またはクラウンエーテル錯体の使用が好ましい。
前記塩基性触媒の使用量は、同一分子内に1つのオキセタニル基及び2つのカルボキシル基を有する化合物に対して、0.1〜20mol%であることが好ましく、より好ましくは3〜15mol%であり、特に好ましくは5mol%である。上記範囲であると、反応速度が速く、コストの面でも好適である。
前記重付加反応における反応温度は、50〜120℃の範囲で行うことが好ましく、60〜90℃がより好ましい。一方、反応時間については特に限定はないが、反応温度との兼ね合いで、6〜72時間の反応時間が好ましく、48時間が特に好ましい。
前記重付加反応は、無溶媒で行っても、反応溶媒を用いて行ってもよい。反応溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、クロロベンゼン及びジメチルスルホキシドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
この場合、本発明の重合物の効果を損なわない範囲内であれば他の樹脂と配合して用いても良い。また、公知の各種添加剤、例えば、無機充填剤、強化材、着色剤、安定剤(熱安定剤または耐候性改良剤など)、増量剤、粘度調節剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色防止剤、抗菌剤、防黴剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、発泡剤、及び/又は離型剤などを添加・混合することができる。上記着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、及び金属錯塩染料などの染料、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、及びマイカなどの無機顔料、並びにカップリングアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、チオインジゴ系、ジオキサゾン系、及びフタロシアニン系などの有機顔料などが挙げられる。また、上記安定剤としては、ヒンダードフェノール系、ヒドラジン系、リン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、及びオキザリックアシッドアニリド系などの化合物が挙げられる。さらに、上記無機充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化珪素繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊維、ホウ素繊維、及びステンレス鋼繊維などの無機質及び金属繊維、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、鉛、ステンレス鋼、アルミニウム、金、及び銀などの金属粉末、木粉、マグネシア、カルシアなどの酸化物、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、石英粉末、タルク、クレイ、各種金属の水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ホウ珪酸塩、アルミノ珪酸塩、チタン酸塩、塩基性硫酸塩、塩基性炭酸塩及びその他の塩基性塩、ガラス中空球、ガラスフレークなどのガラス材料、炭化珪素、窒化アルミ、ムライト、コージェライトなどのセラミック、フライアッシュ、及びミクロシリカなどが挙げられる。
本発明の放射線硬化性化合物は、前記重合物のヒドロキシル基の少なくとも一部に重合性基を導入した化合物である。
また、本発明の放射線硬化性化合物の製造方法は、前記重合物を得る工程、及び、前記重合物のヒドロキシル基の少なくとも一部に重合性基を導入する工程を含むことを特徴とする。
前記重合物のヒドロキシル基とは、オキセタニル基の開環により生じたヒドロキシル基、並びに、同一分子内に1つのオキセタニル基及び2つのカルボキシル基を有し下記式(1)で表される化合物及びビスエポキシ化合物由来のヒドロキシル基である。
重合性基は、前記重合物のヒドロキシル基のうち少なくとも一部に導入されていればよく、10〜90%に導入されるのが好ましい。重合性基の導入率は、必要に応じコントロールすることが可能である。
ラジカル重合性基としては、ラジカル重合性の二重結合を含む基が好ましく、例えば、アリロキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を含む基が好ましく、(メタ)アクリロイル基を含む基がより好ましく、メタクリロイル基を含む基が特に好ましい。
ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基の両方の構造をとり得ることを表す省略的表記である。
また、メタクリロイル基を含む基とは、その基の一部にメタクリロイル基を有していればよく、メタクリロイル基以外の部分は本発明の趣旨に反しない限り、特に限定されない。
カチオン重合性基としては、ヘテロ環状基含有硬化性基を含む基が好ましい。ヘテロ環状基含有硬化性基としては、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、オキサゾリニル基などの環状エーテル類、ビニルエーテル類などが好ましく挙げられ、特にエポキシ基及びオキセタニル基、ビニルエーテル類が好ましい。
前記重合物のヒドロキシル基に重合性基を導入する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
本発明の硬化物は、前記放射線硬化性化合物を含む組成物を、放射線照射により硬化した硬化物である。
また、本発明の硬化物の製造方法は、前記放射線硬化性化合物を得る工程、及び、前記放射線硬化性化合物を含む組成物に放射線を照射し硬化させる工程を含むことを特徴とする。
本発明で用いる放射線硬化性化合物を含む組成物には、重合開始剤や前述した公知の各種添加剤を含んでいてもよく、また、他の樹脂と配合して用いても良い。
放射線の作用によりラジカルを発生させる重合開始剤の例としては、アセトフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンジル系化合、及び、アシルフォスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。
また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、及びチオキサントン誘導体等が含まれる。
<3,3−ビス((4−エチルベンゾエート)オキシメチル)オキセタン(BEO)の合成>
反応終了後、酢酸エチルを用いて抽出操作を5回行った。続いて水洗を3回行い、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ別し、溶媒を減圧留去した。得られた粘性液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:3)を用いて単離し、減圧乾燥を行い、BEO(収量:4.05g、収率56.6%、)を得た。
IR(KRS, cm-1) 2979,2938(νC-H), 1710(νC=O ester), 1604,1511(νC=C), 1122(νC-O-C ether), 975(νC-O-C cyclic ether).
元素分析 C23H26O7 計算値(%) C:66.65 H:6.32、実測値(%) C:66.87 H:6.70。
<3,3−ビス(4−ベンゾイロキシメチル)オキセタン(BZO)の合成>
IR(KBr disk, cm-1) 3600〜2800(νCOOH), 1710(νC=O ester), 1604,1511(νC=C aromatic), 1122(νC-O-C ether), 975(νC-O-C cyclic ether).
元素分析 C19H18O7 計算値(%) C:63.68 H:5.06、実測値(%) C:63.15 H:5.35。
<3,3−ビス(4−ベンゾイロキシメチル)オキセタン−ビスフェノールAジグリシジルエーテル共重合体 (Poly(BZO−co−BPGE)、P−1)の合成>
合成したPoly(BZO−co−BPGE)の溶解性試験を行った。Poly(BZO−co−BPGE)を2mgサンプル瓶に秤取り、種々の溶媒を2mL加えてそれぞれ溶解性試験を行い、以下の基準で溶解性を評価した。結果を表1に示す。
[溶解性評価基準]
○:室温で全て溶解した、
△:室温で一部溶解、又は、膨潤した、
×:室温で溶解しなかった。
<Poly(BZO−co−BPGE) P−1へのメタクリロイル基の導入>
<放射線硬化性化合物P−2の光ラジカル重合反応>
P−2の光ラジカル重合反応は、重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(Irgacure 907(Ciba Specialty Chemicals製))を3重量%添加したP−2のフィルム(厚さ:約10μm)を作製し、光源として250−W超高圧水銀灯(照度:8.0mW/cm2、波長:254nm)を用いて光照射を行った。その結果、FT−IRスペクトルにおけるメタクリロイル基のνC=Cに起因する1637cm-1転化率は約60%に達した。なお、硬化物は定量的に得られた。
また、光照射後のフィルムは、一般の有機溶媒に不溶となった。さらに、光照射後の熱的特性(熱分解温度、ガラス転移温度)は大きく向上していることが判明した。
<放射線硬化性化合物P−2の光カチオン重合反応>
P−2の光カチオン重合反応は、光酸発生剤としてビス[(4−(2−ヒドロキシ)エトキシ)ジフェニルスルフォフェニル]スルフィド(SP−150、旭電化工業(株)製)を10重量%転化したP−2のフィルム(厚さ:約10μm)を作製し、同様に光照射を行った。その結果、オキセタニル基に起因する983cm-1の吸収が減少し、光照射20分後には転化率が15%に達した。なお、硬化物は定量的に得られた。
また、光照射後のフィルムは、一般の有機溶媒に不溶となった。さらに、光照射後の熱的特性(熱分解温度、ガラス転移温度)は大きく向上していることが判明した。
Claims (12)
- 請求項1又は2に記載の化合物とビスエポキシ化合物から得られる重合物。
- 請求項3又は4に記載の重合物のヒドロキシル基の少なくとも一部に重合性基を導入した放射線硬化性化合物。
- 前記重合性基が、(メタ)アクリロイル基を含む基である請求項5に記載の放射線硬化性化合物。
- 請求項5又は6に記載の放射線硬化性化合物を含む組成物を、放射線照射により硬化した硬化物。
- 前記塩基性触媒が、第4オニウム塩、クラウンエーテル錯体類、又は、第3アミンである請求項8に記載の重合物の製造方法。
- 前記塩基性触媒がテトラブチルアンモニウムブロミドである請求項8又は9に記載の重合物の製造方法。
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