JP5493414B2 - ペンタフルオロスルファニル基を有する重合性化合物およびその重合体 - Google Patents

ペンタフルオロスルファニル基を有する重合性化合物およびその重合体 Download PDF

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Description

本発明は、ペンタフルオロスルファニル基を有する重合性化合物、その製造方法およびその重合体に関する。
金属やプラスチックなどの基材の表面をフッ素含有ポリマーで被覆し、例えば撥水性など機能性を付与することが行われている。また、基材に対してアクリレートと重合開始剤とを含有する光硬化性組成物を適用し、露光し、加熱硬化させることにより、被覆されたポリマーの剥離を防止する技術が提案されている。
特許文献1には、フッ素置換アルキル基を含有するモノマーおよびそのモノマーを重合させたポリマーが記載されており、基材表面に防汚性および耐久性を有する基材表面を与えることが記載されている。この文献では、撥水性は、フッ素置換アルキル基によって達成されているが、ペンタフルオロスルファニルフェニル基の導入によりプラスチックに撥水性や耐熱性その他の機能を付与する報告はわずかに行われていたのみであった(特許文献2)。
特開2006−335818号公報 US5302692
本願発明は、上記問題を解決するために、低屈折率、撥水・撥油性、潤滑性、耐候性、低誘電率、耐熱性および耐薬品性など優れた機能を有する重合体を与える重合性化合物、その製造方法、およびその重合体を得ることを目的とする。
本発明者らは、上述の問題を解決するために、新規なペンタフルオロスルファニル基を含有する重合性化合物を見出した。
すなわち、本発明は、一般式(1):

〔式中
Rは、重合性官能基であり、
およびZは、連結基であり、
Aは、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−又は単結合であり、
nおよびqは、独立して0又は1であり、
ベンゼン環上の任意の水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基で置換されていてもよい〕
で示される、ペンタフルオロスルファニル基を有する重合性化合物に関する。
また、本発明は、一般式(2):

〔式中、
Xは、水酸基、カルボキシル基又は脱離性基であり、
、Rおよびnは、一般式(1)において定義されたとおりである〕
で示される化合物と、一般式(3):

〔式中、Pは、水酸基、カルボキシル基又は脱離性基であり、
およびqは、一般式(1)において定義されたとおりであり、
ベンゼン環上の任意の水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基で置換されていてもよい〕
で示される、水酸基、カルボキシル基又は脱離性基含有ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物とを反応させる、一般式(1)で示されるペンタフルオロスルファニル基を有する重合性化合物の製造方法に関する。
また、本発明は、一般式(2)で示される重合性官能基含有化合物の量が、一般式(3)で示されるペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物1モルに対して、0.5〜5モルである、前記に記載の製造方法に関する。
また、本発明は、一般式(1)で示される化合物を重合することにより得られる一般式(4):

〔式中、
mは、繰り返し数であり、
R’は、Rから誘導される重合単位であり、
R、Z、Z、A、nおよびqは、一般式(1)において定義されたとおりであり、
ベンゼン環上の任意の水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基で置換されていてもよい〕
で示される重合体に関する。
また、本発明は、一般式(4a):

〔式中、
mは、繰り返し数であり、
、Z、A、nおよびqは、一般式(1)において定義されたとおりであり、
ベンゼン環上の任意の水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基で置換されていてもよい〕
で示される構造を繰り返し単位とする、前記に記載の重合体に関する。
本発明は、一般式(4b):

〔式中、
mは、繰り返し数であり、
は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、
、Z、A、nおよびqは、一般式(1)において定義されたとおりであり、
ベンゼン環上の任意の水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基で置換されていてもよい〕
で示される構造を繰り返し単位とする、前記に記載の重合体に関する。
本発明は、(a)一般式(1)で示される重合性化合物1重量%〜100重量%、(b)さらなる重合性官能基を含む重合性化合物0重量%〜99重量%、ならびに(c)(a)および(b)の総重量に対して、重合開始剤0.1〜50重量%を含む重合性組成物を、0〜200℃の温度で反応させる工程を含む、重合体の製造方法に関する。
本発明によって、新規な重合性化合物が得られる。本発明の化合物は、ペンタフルオロスルファニル基(SF)を含有するため、その重合体においては、低屈折率、撥水・撥油性、潤滑性、耐候性、低誘電率、耐熱性および耐薬品性等といった機能を付与できる化合物として工業的に広範囲に用いることができる。
本発明の重合体で表面処理したマイクロカバーグラス上の水滴を示す図である。 表面処理を行っていないマイクロカバーグラス上の水滴を示す図である。
本発明において、一般式(1)におけるRは、重合性官能性基である。
Rとしては、重合に関与する基であれば特に限定はなく、ビニル基又はエチニル基などの炭素−炭素不飽和結合基;エポキシ基、オキセタン基、ジオキソラン基又はオキソジオキソラン基などの環状エーテル基;イソシアナート基、環状アルコキシ基などが挙げられる。Rとして好ましいのは、ビニル基、エチニル基、エポキシ基、オキセタン基である。
本発明において、−Z−、−A−、−Z−は、ペンタフルオロスルファニルフェニル基と重合性官能基とを結合する連結部であり、連結基ZおよびZならびにAからなる。連結基ZおよびZとしては、炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐状のアルキレンオキシ基、炭素数6〜20のアリーレン基又は炭素数2〜20の2価のヘテロ環基、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−、−CH=CH−又は−C≡C−が挙げられる。
およびZにおける、炭素数1〜12の直鎖又は分岐状のアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、2−メチル−へキシレンなどが挙げられる。
およびZにおける、炭素数1〜12の直鎖又は分岐状のアルキレンオキシ基としては、例えば、メチレンオキシ、エチレンオキシ、ブチレンオキシ、2−メチル−へキシレンオキシなどが挙げられる。
およびZにおける、炭素数6〜20アリーレン基は、単環若しくは多環の基であり、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレンなどが挙げられる。
およびZにおける、炭素数2〜20の2価のヘテロ環基は、O、NおよびSからなる群より選択されるヘテロ原子を1〜3個含む、単環若しくは多環の基であり、ピリジレン、フリレン、チオフェン、1,3,5−トリアゾレン、2,2’−ビチオフェン−5,5’−ジイルなどが挙げられる。
およびZとして、好ましくは、メチレン、2,2’−ビチオフェン−5,5’−ジイルである。また、ZおよびZが存在しないのも好ましい。
Aは、一般式(2)で示される重合性官能基含有化合物におけるXと、一般式(3)で示されるペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物におけるPとの反応によって形成される。Aとしては、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−又は単結合が挙げられる。XとPの組合せがカルボキシル基と水酸基の場合、Aは−C(=O)−O−又は−O−C(=O)−であり、XとPの組合せが水酸基と水酸基又は脱離性基の場合、Aは−O−であり、XとPの組合せが脱離性基と脱離性基の場合、Aは単結合である。よって、連結部−Z−A−Z−として、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CHO−、−OCH−、−O−、2,2’−ビチオフェン−5,5’−ジイル、単結合(すなわち、フェニル基と重合性官能基が直接結合している)が好ましい。
本発明において、ペンタフルオロスルファニル基が結合するベンゼン環上の任意の水素は重合を阻害しないハロゲン基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基により置換されていてもよい。これらの基としては、フルオロ、クロロ、ブロモ等のハロゲン基;メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の炭素数3〜6のシクロアルキル基;ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル等の炭素数7〜12のアラルキル基;0〜6個の炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたフェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル等の置換されていてもよいアリール基が挙げられる。
本発明において、一般式(1)で示される化合物は、重合反応が容易であり、優れた安定性のために、Rは、ビニル基、エポキシ基、オキセタン基であり、Aは、−O−又は単結合であり、nおよびqが、0である化合物が好ましい。
本発明の一般式(1)で示される化合物は、一般式(2):

〔式中、
Xは、水酸基、カルボキシル基又は脱離性基であり、
R、Zおよびnは、一般式(1)において定義されたとおりである〕
で示される、重合性官能基含有化合物と、一般式(3):

〔式中、Pは、水酸基、カルボキシル基又は脱離性基であり、
およびqは、一般式(1)において定義されたとおりであり、
ベンゼン環上の任意の水素原子は、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基により置換されていてもよい〕
で示される、ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物とを反応させることにより得ることができる。
一般式(2)におけるXは、水酸基、カルボキシル基又は脱離性基であり、一般式(3)のPと反応してAを形成し、フェニル基と重合性官能基とを連結基ZおよびZを介して結合する。Xとしては、水酸基およびカルボキシル基のほかに、脱離性基として、クロロ、ブロモ又はヨード等のハロゲン基;ジヒドロキシボロン、ジアルコキシボロン、トリフルオロボロンカリウム塩などのホウ素基;メタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基;ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、p−ブロモベンゼンスルホニルオキシ基、p−メトキシベンゼンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基が挙げられる。
一般式(2)で示される重合性官能基含有化合物としては、アクリル酸、アリルブロミド、プロパルギルブロミド、エピブロモヒドリン、カリウムビニルトリフルオロボレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)メタノールが好ましい。
本発明の一般式(3)において、Pは、水酸基、カルボキシル基又は脱離性基であり、一般式(2)で示される重合性官能性基含有化合物の基Xと反応してAを形成し、フェニル基と重合性官能基とを連結基ZおよびZを介して結合する。Pの脱離性基としては、Xにおいて定義された脱離性基が挙げられる。
一般式(3)において、ペンタフルオロスルファニル基が結合するベンゼン環上の任意の水素は場合によりハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基により置換されていてもよい。これらの基は、一般式(1)において定義されたとおりである。
好ましいXとPの組み合わせは、水酸基と水酸基、カルボキシル基と水酸基、水酸基とカルボキシル基、ハロゲン基と水酸基、水酸基とハロゲン基、ホウ素基とハロゲン基、ハロゲン基とホウ素基が挙げられる。
好ましい一般式(3)の化合物は、2−ヒドロキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン、3−ヒドロキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン、4−ヒドロキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン、2−フルオロ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン、3−フルオロ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン、4−フルオロ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン、3−ブロモ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン、4−ブロモ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン、3−ヨード−ペンタフルオロスルファニルベンゼン、4−ヨード−ペンタフルオロスルファニルベンゼン、3−カルボキシル−ペンタフルオロスルファニルベンゼン、4−カルボキシル−ペンタフルオロスルファニルベンゼンである。
本発明において、一般式(2)で示される重合性官能基含有化合物の量は、一般式(3)で示されるペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物1モルに対して、0.5〜5モルで使用することができ、さらに好ましくは1.1〜3モルである。
一般式(2)で示される重合性官能基含有化合物と、一般式(3)で示されるペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物との反応は、溶媒の存在下において行うことができる。本反応において使用される溶媒としては、反応を阻害するものでなければ、特に限定されず、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用してもよい。
前記溶媒の使用量は、反応の均一性や攪拌性により適宜調節することができ、一般式(3)で示される化合物1gに対して、好ましくは1〜100ml、更に好ましくは2〜50mlである。また、反応温度は、特に制限されないが好ましくは0〜200℃、更に好ましくは10〜180℃である。
本発明の一般式(2)で示される重合性官能基含有化合物と一般式(3)で示されるペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物との反応において塩基を使用することができる。使用する塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;燐酸カリウム等のアルカリ金属燐酸塩;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類;ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等のピリジン類が挙げられるが、炭酸カルシウム等のアルカリ金属炭酸塩が好ましい。なお、これらの塩基は、単独又は二種以上を混合して使用してもよい。
前記塩基の使用量は、一般式(2)で示される化合物1モルに対して、好ましくは0.1〜10モル、更に好ましくは0.5〜5モルである。
本発明において、反応を促進させるために、塩化パラジウムなどのパラジウム系触媒を添加することができる。
連結基Zを有する一般式(3)で示されるペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物は、例えば一般式(5):
P−Z−P’ (5)
〔式中、
P’は、脱離性基であり、
PおよびZは、一般式(1)で定義されたとおりである〕
で示される化合物を、一般式(6):

〔式中、P”は、脱離性基である〕
で示されるペンタフルオロスルファニル基含有化合物と反応させることにより得られる。
一般式(5)における、PおよびP’の脱離性基としては、Xにおいて定義された脱離性基が挙げられる。また、一般式(6)におけるP”の脱離性基としては、Xにおいて定義された脱離性基が挙げられる。
本発明において、一般式(5)で示される化合物と一般式(6)で示されるペンタフルオロスルファニル基含有化合物との反応においても、上記した一般式(2)および一般式(3)で示される化合物の反応と同様の条件下で行うことができる。
一般式(1)で示される重合性化合物を重合させることにより、一般式(4):

〔式中、
mは、繰り返し数であり、
R’は、Rから誘導される重合単位であり、
R、Z、Z、A、nおよびqは、一般式(1)において定義されたとおりであり、
ベンゼン環上の任意の水素原子は、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基により置換されていてもよい〕
で示される重合体が得られる。
一般式(4)において、R’は、Rから誘導される重合単位であり、Rが重合することにより得られ、重合体における主鎖を構成する。具体的には、Rがビニル基であれば、R’は−CHB−CH−であり、Rがエポキシ基であれば、R’は−O−CH−CHB−であり、Rがオキセタン基であれば、R’は−O−CH−CR1B−CH−(ここで、Bは、ペンタフルオロスルファニルフェニル基を含有する基である)である。
一般式(4)で示される重合体として、例えば一般式(4a):

〔式中、
mは、繰り返し数であり、
、Z、A、nおよびqは、一般式(1)において定義されたとおりであり、
ベンゼン環上の任意の水素原子は、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基により置換されていてもよい〕
で示される構造を繰返し単位とする重合体、一般式(4b):

〔式中、
mは、繰り返し数であり、
は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、
、Z、A、nおよびqは、一般式(1)において定義された連結基であり、
ベンゼン環上の任意の水素原子は、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基により置換されていてもよい〕
で示される構造を繰り返し単位とする重合体、一般式(4c):

〔式中、
mは、繰り返し数であり、
、Z、A、nおよびqは、一般式(1)において定義されたとおりであり、
ベンゼン環上の任意の水素原子は、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基により置換されていてもよい〕
で示される構造を繰り返し単位とする重合体が挙げられる。好ましくは、一般式(4a):

で示される構造を繰返し単位とする、重合体である。
一般式(4b)のRにおける、炭素数1〜6のアルキルは、直鎖又は分岐状のアルキル基であり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられ、好ましくはエチルである。
一般式(4)で示される構造を繰返し単位とする重合体の数平均分子量は、所望の性質を得るために特に制限はないが、良好な機能性を発現させるためには500〜500,000、好ましくは、1,000〜50,000とすることができる。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定を行い、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算したものである。
一般式(1)で示される化合物の重合は、適切な溶媒の存在下で、重合開始剤を用いて行うことができる。反応温度は、所望の重合度が得られる反応温度であれば制限はなく、通常0℃〜200℃とすることができる。
本発明において、重合反応に用いられる溶媒は、一般式(2)で示される重合性官能基含有化合物と、一般式(3)で示されるペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物との反応において挙げられた溶媒を用いることができる。
重合性官能基が炭素−炭素不飽和結合含有基である場合、熱重合開始剤として、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、クメンハイドロパーオキサイドなどのパーオキサイド類、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾビス化合物、過硫酸アンモニウムなどの無機系開始剤、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、スルホニウム系熱カチオン重合開始剤(サンエイドSI−100L;三新化学社製)などが挙げられる。また、重合性官能基がエポキシ基などの環状エーテル基である場合、硬化剤としてアミン類や酸無水物、カルボン酸、反応触媒としてアルキルイミダゾール誘導体が挙げられる。
重合開始剤は、通常、一般式(1)で示される重合性化合物(重合性単量体)の総重量に対して0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%で用いることができる。
本発明において得られる重合体は、撥水性などの機能を阻害しない範囲又は所望の特性を付与するために、金属塩、酸、塩基などを任意の量添加することができる。
一般式(4)で示される構造を繰返し単位とする重合体は、公知の方法、例えば、ろ過、抽出、蒸留、晶析、カラムクロマトグラフィなどによって、単離および精製することができる。
本発明の一般式(4)で示される構造を繰返し単位とする重合体(ポリマー)は、側鎖にペンタフルオロスルファニル基(SF)を有する構造であり、傾向としてアセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン又はN,N−ジメチルホルムアミドなどには溶解性が高く、クロロホルムには溶けにくい性質を示し、水には難溶性である。したがって、本発明の一般式(4)で示される構造を繰返し単位とする重合体は低屈折率、撥水・撥油性、潤滑性、耐候性、低誘電率、耐熱性および耐薬品性等といった機能を付与できる化合物として用いることができる。
本発明のペンタフルオロスルファニル基を有する重合性化合物と併用することができる更なる重合性化合物としては、一般式(1)において定義された重合性官能基Rを少なくとも一つ有する重合性化合物であれば特に限定されず、例えばエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物、トリメチロールプロパントリアクリレートなどの脂肪族多価アルコールと不飽和カルボン酸とのエステルのモノマー、不飽和カルボン酸およびその塩などが挙げられる。本発明において、一般式(1)で示される重合性化合物1重量%〜100重量%と更なる重合性化合物0重量%〜99重量%を含む重合性組成物を重合させることにより、低屈折率、撥水・撥油性、潤滑性、耐候性、低誘電率、耐熱性および耐薬品性等といった機能が付与された重合体が得られる。重合開始剤は、一般式(1)で示される重合性化合物の重合における重合開始剤が挙げられる。また、重合開始剤は、一般式(1)で示される重合性化合物と更なる重合性化合物の総重量に対して、0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%で用いることができる。
本発明の一般式(1)で示される重合性化合物を重合させて得られる一般式(4)で示される重合体は、優れた機械的特性を示し、鉛筆硬度がF〜Hであるコーティングであった。また、本発明の一般式(1)で示される重合性化合物を重合させて得られる重合体は、クロスカット試験が良好であり、優れた密着性を示した。さらに、本発明の一般式(1)で示される重合性化合物を重合させて得られる重合体は、ヘイズ値が0.77〜0.96であり、透明性が高い。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
得られた膜を次に示す項目について評価を行った。
(a)引っかき硬度:JISK5600−5−4に基づいて、塗布膜厚さ10μmの膜について鉛筆硬度を測定した。
(b)付着性:JISK5600−5−6に基づいて、塗布膜厚さ10μmの膜についてクロスカット試験を行った。
(c)透明性:JISK7136に基づいて、塗布膜厚さ10μmの膜についてヘイズ試験を行った。
実施例1:
(4−アリルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼンの合成)

攪拌装置を備えた内容積100mlのガラス製容器に、4−ヒドロキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン5.0g(22.7mmol)、炭酸カリウム6.27g(45.4mmol)、アリルブロミド5.49g(45.4mmol)およびアセトニトリル50mlを加えた後、攪拌させながら3.5時間還流させた。反応終了後、固体をろ過し、ろ液を濃縮した後、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=90/10(容量比))し、薄黄色液体として、4−アリルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン4.67gを得た(単離収率79%)。
4−アリルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼンは、以下の物性を示す新規化合物である。
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));4.57-4.60(2H,m), 5.30-5.46(2H,m), 5.97-6.10(1H,m), 6.89-7.26(2H,m), 7.64-7.70(2H,m)
CI-MS;260(M)
実施例2:
(4−プロパルギルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼンの合成)

実施例1において、アリルブロミドの代わりにプロパルギルブロミド5.4g(45.4mmol)、アセトニトリルの代わりにN,N−ジメチルホルムアミド50mlを使用し、70℃で6時間加熱した以外は実施例1と同様に反応を行った。反応終了後、固体をろ過し、ろ液を濃縮した後、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=90/10(容量比))し、薄黄色液体として、4−プロパルギルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン4.69gを得た(単離収率80%)。
4−プロパルギルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼンは以下の物性を示す新規化合物である。
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));2.55-2.57(1H,m), 4.73-4.74(2H,m), 6.99-7.02(2H,m), 7.68-7.73(2H,m)
CI-MS;258(M)
実施例3:
〔4−(オキシラン−2−イルメトキシ)ペンタフルオロスルファニルベンゼンおよび4−{(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ}ペンタフルオロスルファニルベンゼンの合成〕

実施例1において、アリルブロミドの代わりにエピブロモヒドリン6.22g(45.4mmol)、アセトニトリルの代わりにN,N−ジメチルホルムアミド50mlを使用し、100℃で3時間加熱した以外は実施例1と同様に反応を行った。反応終了後、固体をろ過し、ろ液を濃縮した後、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=90/10〜0/100(容量比))し、薄黄色液体として、4−(オキシラン−2−イルメトキシ)ペンタフルオロスルファニルベンゼン0.90g(単離収率14%)、および4−{(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ}ペンタフルオロスルファニルベンゼン3.64g(単離収率50%)を得た。
4−(オキシラン−2−イルメトキシ)ペンタフルオロスルファニルベンゼンは、以下の物性を示す新規化合物である。
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));2.75-2.78(1H,m), 2.91-2.94(1H,m), 3.34-3.39(1H,m), 3.94-4.00(1H,m), 4.29-4.33(1H,m), 6.92-6.97(2H,m), 7.66-7.71(2H,m)
CI-MS;276(M)
また、4−{(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ}ペンタフルオロスルファニルベンゼンは、以下の物性を示す新規化合物である。
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));4.17-4.21(1H,m), 4.29-4.34(1H,m), 4.50-4.55(1H,m), 4.62-4.67(1H,m), 5.03-5.10(1H,m), 6.93-6.96(2H,m), 7.69-7.74(2H,m)
CI-MS;320(M)
13C-NMR(CDCl3,δ(ppm));66.0, 67.3, 73.9, 114.3, 127.9(quint), 147.6(t), 154.5, 159.5
IR(KBr,cm-1);1789-1801(C=O)
実施例4−1:
(4−アクリロイルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼンの合成)

攪拌装置を備えた内容積100mlのガラス製容器に、4−ヒドロキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン5.0g(22.7mmol)、4−ジメチルアミノピリジン0.5g(4.1mmol)、アクリル酸2.45g(34.0mmol)および1−エチル−2−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩6.53g(34.1mmol)、および塩化メチレン50mlを加えた後、攪拌させながら、室温で一晩反応させた。反応終了後、反応液を濃縮した後、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=90/10(容量比))し、黄色液体として、4−アクリロイルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン3.48gを得た(単離収率56%)。
4−アクリロイルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼンは、以下の物性を示す新規化合物である。
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));6.05-6.09(1H,m), 6.27-6.33(1H,m), 6.37-6.67(1H,m), 7.23-7.27(2H,m), 7.78-7.81(2H,m)
CI-MS;275(M+1)
実施例4−2:
(4−アクリロイルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼンの熱ラジカル重合)

攪拌装置を備えた内容積30mlのガラス製容器に、4−アクリロイルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン2.0g(7.3mmol)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.2g(1.22mmol)およびトルエン5mlを加え、80℃で3時間攪拌したところ、薄黄色粘性液体に変化した。メタノール100mlを加え均一溶液とした後、室温で攪拌しながら水50mlを加えて固体を析出させた。固体をろ過しメタノール50mlと水25mlの混合液で洗浄した後、100℃で減圧乾燥を行い、1.61gの薄黄色粉末として、ポリ(4−アクリロイルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン)を得た(単離収率81%)。
ポリ(4−アクリロイルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン)は以下の物性を示す新規化合物である。
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));2.19(2H,brs), 3.03(1H,brs), 7.17(2H,brs), 7.64(2H,brs)
13C-NMR(CDCl3,δ(ppm));35.5, 42.6, 123.3, 128.5, 151.7, 153.5, 173.8
19F-NMR(δ(ppm));64.6(t), 85.9(q)
GPC(NMP);Mn=1.2x104,Mw=2.2x104,Mw/Mn=1.8
実施例4−3:
(ポリ(4−アクリロイルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン)膜の撥水性)
ポリ(4−アクリロイルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン)0.1gを塩化メチレン約1mlに溶解した液に、マイクロカバーグラス(18mm×18mm:トロフィー社製)を浸し、室温で穏やかに乾燥してガラス面をコーティングした。その上に、マイクロシリンジで直径3mmを超えないように水滴を乗せて撥水性を確認した(図1)。その結果、何も処理を行わないマイクロカバーグラス上の水滴(図2)と比較して、ポリ(4−アクリロイルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン)でコーティングしたマイクロカバーガラス上の水滴は接触角が明らかに大きく、ポリ(4−アクリロイルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン)が有意な撥水性を示すことが示された。
実施例4−4:
(4−アクリロイルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼンおよびトリメチロールプロパントリアクリレートの光ラジカル共重合)

4−アクリロイルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン390mg(1.42mmol)、トリメチロールプロパントリアクリレート118mg(0.35mmol)、および2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン13mg(0.08mmol)を混合した液を、ポリカーボネート製透明板に厚さ10マイクロメーターで塗布し、石英セル中で窒素ガス置換した後、紫外線照射装置(コンベアタイプ:120W/1.5KW−1灯式:セン特殊光源株式会社製)を使用し照射エネルギー9600mJ/cmの紫外線を照射したところ、ポリカーボネート板上で硬化し膜が形成された。
JIS規格K5600-5-4に基づき鉛筆硬度試験を測定したところ、硬度はFであった。JIS規格K7136に基づきヘイズ試験を行ったところ、0.96%であり透明性は良好であった。
実施例5−1:
(2−フルオロ−5−ビニル−ペンタフルオロスルファニルベンゼンの合成)

攪拌装置を備えた内容積100mlのガラス製容器に、2−フルオロ−5−ヨード−ペンタフルオロスルファニルベンゼン5.0g(14.3mmol)、カリウムビニルトリフルオロボレート3.04g(21.5mmol)、炭酸カリウム5.96g(42.9mmol)、塩化パラジウム51mg(0.29mmol)、トリフェニルホスフィン226mg(0.86mmol)に、テトラヒドロフラン45mlおよび水5mlを加え、26時間85℃で加熱した。反応液にカリウムビニルトリフルオロボレート0.57g(4.1mmol)、塩化パラジウム51mg(0.29mmol)、トリフェニルホスフィン226mg(0.86mmol)を加え、さらに21時間85℃で反応させて反応を完結させた。クロロホルム250mlならびに水50mlを加えて分液し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後反応液を濃縮し、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(展開溶媒;ヘキサン)して、無色液体として、2−フルオロ−5−ビニル−ペンタフルオロスルファニルベンゼン2.6gを得た(単離収率73%)。
2−フルオロ−5−ビニル−ペンタフルオロスルファニルベンゼンは、以下の物性を示す新規化合物である。
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));5.35-5.38(1H,m), 5.71-5.77(1H,m), 6.62-6.72(1H,m), 7.12-7.19(1H,m), 7.52-7.57(1H,m), 7.71-7.74(1H,m)
CI-MS;248(M)
実施例5−2:
(2−フルオロ−5−ビニル−ペンタフルオロスルファニルベンゼンの光重合)

2−フルオロ−5−ビニル−ペンタフルオロスルファニルベンゼン300mg(1.2mmol)および2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン14mg(0.09mmol)を混合した液を、ポリカーボネート製透明板にバーコーターを用い厚さ10マイクロメーターで塗布し、石英セル中で窒素ガス置換した後、紫外線照射装置(コンベアタイプ:120W/1.5KW−1灯式:セン特殊光源株式会社製)を使用し照射エネルギー9600mJ/cmの紫外線を照射したところ、ポリカーボネート板上で硬化し膜が形成された。
JIS規格K5600-5-4に基づき鉛筆硬度試験を行ったところ、硬度はHであった。JIS規格K5600-5-6に基づきクロスカット試験を行ったところ、100/100であり密着性は良好であった。JIS規格K7136に基づきヘイズ試験を行ったところ、77%であった。
実施例6−1:
(4−((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)−ペンタフルオロスルファニルベンゼンの合成)

攪拌装置を備えた内容積100mlのガラス製容器に、60%水素化ナトリウム0.36g(9.0mmol)および無水1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン50mlを加え、室温で攪拌しながら4−フルオロ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン1.33g(6.0mmol)、(3−エチルオキセタン−3−イル)メタノール1.05g(9.0mmol)を滴下し一時間攪拌した。反応液を200mlの氷水でクエンチした後、トルエン300mlを加え分液し、有機層を飽和食塩水200ml、ついで水200mlで洗浄した。溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧留去した後、シリカゲルカラムで(酢酸エチル/ヘキサン=0.1→0.2)精製して、薄黄色透明液体として4−((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)−ペンタフルオロスルファニルベンゼン1.65gを得た(単離収率86%)。
4−((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)−ペンタフルオロスルファニルベンゼンは、以下の物性を示す新規化合物である。
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));0.91-0.98(3H,m), 1.85-1.92(2H,m), 4.13(2H,s), 4.49-4.57(4H,m), 6.94-6.97(2H,m), 7.68-7.71(2H,m)
CI-MS;319(M+1)
実施例6−2:
(4−((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)−ペンタフルオロスルファニルベンゼンの熱カチオン重合)

アルゴン雰囲気下、ガラス容器に4−((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)−ペンタフルオロスルファニルベンゼン1.31g(4.12mmol)およびスルホニウム系熱カチオン重合開始剤(サンエイドSI−100L;三新化学社製)65mgを混合し、150℃で3時間加熱した。その後100℃で真空乾燥して、1.18gの茶色固体を得た。GPCによる分析をしたところ、Mp=10930, Mw=8610, Mn=4070, Mw/Mn=2.1の物性値を示した。
実施例7−1:
(2−((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)−ペンタフルオロスルファニルベンゼンの合成)

実施例6において、4−フルオロ−ペンタフルオロスルファニルベンゼンの代わりに2−フルオロ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン1.33g(6.0mmol)を使用した以外は同様に反応を行い、薄黄色透明液体として2−((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)−ペンタフルオロスルファニルベンゼン0.69gを得た(単離収率36%)。
2−((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)−ペンタフルオロスルファニルベンゼンは、以下の物性を示す新規化合物である。
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));0.90-0.95(3H,m), 1.90-1.97(2H,m), 4.22(2H,m), 4.52(4H,s), 7.00-7.10(2H,m), 7.45-7.51(1H,m), 7.74-7.77(1H,m)
CI-MS;318(M)
実施例7−2:
(2−((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)−ペンタフルオロスルファニルベンゼンの熱カチオン重合)

アルゴン雰囲気下、ガラス容器に2−((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)−ペンタフルオロスルファニルベンゼン0.63g(1.98mmol)およびスルホニウム系熱カチオン重合開始剤(サンエイドSI−100L;三新化学社製)63mgを混合し、150℃で3時間加熱した。その後100℃で真空乾燥して、0.6gの茶色固体を得た。この固体についてGPC分析をしたところ、Mp=3890, Mw=4450, Mn=2400, Mw/Mn=1.9
という物性値を示した。
実施例8−1:
(4−(5’−ビニル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−ペンタフルオロスルファニルベンゼンの合成)

攪拌装置を備えた内容積100mlのガラス製容器に、4−ヨードぺンタフルオロスルファニルベンゼン3.3g(10mmol)、5−ブロモ−5’−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,2’−ビチオフェン3.7g(10mmol)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン578mg(0.5mmol)、燐酸カリウム8.5g(40mmol)および無水N,Nジメチルホルムアミド50mlを加え、凍結脱気をして80℃で1時間加熱した。セライトろ過した後、酢酸エチル200mlおよび飽和食塩水200mlを加えて分液し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製して、黄色固体として4−(5’−ブロモ−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−ペンタフルオロスルファニルベンゼン3.72gを得た(単離収率83%)。
4−(5’−ブロモ−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−ペンタフルオロスルファニルベンゼンは、以下の物性を示す新規化合物である。
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));6.97-7.01(2H,m), 7.11-7.12(1H,m), 7.29-7.30(1H,m), 7.62-7.65(2H,m), 7.74-7.77(2H,m)
CI-MS;448(M+1)
実施例8−2:
(4−(5’−ビニル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−ペンタフルオロスルファニルベンゼンの合成)

攪拌装置を備えた内容積100mlのガラス製容器に、上記で得られた4−(5’−ビニル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−ペンタフルオロスルファニルベンゼン3.13g(7mmol)、カリウムビニルトリフルオロホウ素1.41g(10.5mmol)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン404mg(0.35mmol)、燐酸カリウム5.94g(28mmol)および無水N,Nジメチルホルムアミド50mlを加え、凍結脱気をして100℃で7.5時間加熱した。トルエン1500mlおよび飽和食塩水200mlを加えて分液し、溶媒を水200mlで2回洗浄した後溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)で精製後、トルエン−ヘキサンで再沈殿を行い、黄色固体として4−(5’−ビニル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−ペンタフルオロスルファニルベンゼン1.82gを得た(単離収率66%)。
4−(5’−ビニル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−ペンタフルオロスルファニルベンゼンは、以下の物性を示す新規化合物である。
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));5.19-5.23(1H,m), 5.58-5.63(1H,m), 6.85-6.94(1H,m), 7.06-7.08(1H,m), 7.27-7.28(1H,m), 7.35-7.37(1H,m), 7.63-7.64(1H,m), 7.92(4H,s)
CI-MS;394(M)
本発明により、新規な重合性のペンタフルオロルオロスルファニルフェニル化合物およびその化合物を重合させた重合体が得られる。本発明の重合体は、撥水性に優れた各種機能性コーティング材料に使用することができる。

Claims (8)

  1. 一般式(1):

    〔式中、
    Rは、ビニル基、エチニル基、エポキシ基、オキセタニル基、3−エチルオキセタン−3−イル基又はオキソジオキソラン基である重合性官能基であり、
    およびZは、炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐状のアルキレン基、炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐状のアルキレンオキシ基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数2〜20のヘテロ環基、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−、−CH=CH−又は−C≡C−である連結基であり、
    Aは、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−又は−O−であり、
    nおよびqは、独立して0又は1であり、
    およびZ における、炭素数2〜20のヘテロ環基は、O、NおよびSからなる群より選択されるヘテロ原子を1〜3個含む、単環若しくは多環の2価の連結基であり、
    ベンゼン環上の任意の水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基で置換されていてもよい〕
    で示される、ペンタフルオロスルファニル基を有する重合性化合物。
  2. およびZが、炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素数2〜20のヘテロ環基である請求項1記載の重合性化合物。
  3. 一般式(2):

    〔式中、
    Xは、水酸基、カルボキシル基又は脱離性基であり、
    、Rおよびnは、請求項1において定義されたとおりである〕
    で示される重合性官能基含有化合物と、
    一般式(3)

    〔式中、Pは、水酸基、カルボキシル基又は脱離性基であり、
    およびqは、請求項1において定義されたとおりであり、
    ベンゼン環上の任意の水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基で置換されていてもよい〕
    で示される、ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物とを反応させる工程を含む、請求項1記載のペンタフルオロスルファニル基を有する重合性化合物の製造方法。
  4. 一般式(2)で示される重合性官能基含有化合物の量が、一般式(3)で示されるペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物1モルに対して、0.5〜5モルである、請求項記載の製造方法。
  5. 一般式(4):

    〔式中、
    mは、繰り返し数であり、
    R’は、Rが重合することにより得られ、重合体における主鎖を構成する重合単位であり、
    R、Z、Z、A、nおよびqは、請求項1で定義されたとおりであり、
    ベンゼン環上の任意の水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基で置換されていてもよい〕
    で示される、請求項1記載の重合性化合物を重合することにより得られる重合体。
  6. 一般式(4a):

    〔式中、
    mは、繰り返し数であり、
    、Z、A、nおよびqは請求項1で定義されたとおりであり、
    ベンゼン環上の任意の水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基で置換されていてもよい〕
    で示される構造を繰り返し単位とする、請求項記載の重合体。
  7. 一般式(4b):

    〔式中、
    mは、繰り返し数であり、
    は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、
    、Z、A、nおよびqは、請求項1で定義されたとおりであり、
    ベンゼン環上の任意の水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基で置換されていてもよい〕
    で示される構造を繰り返し単位とする、請求項記載の重合体。
  8. (a)請求項1記載の一般式(1)で示される重合性化合物1重量%〜100重量%、
    (b)さらなる重合性官能基を含む重合性化合物0重量%〜99重量%、ならびに
    (c)(a)および(b)の総重量に対して、重合開始剤0.1〜50重量%
    を含む重合性組成物を、0〜200℃の温度で反応させる工程を含む、重合体の製造方法。
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