JP3014251B2 - 活性エネルギー線硬化型組成物 - Google Patents
活性エネルギー線硬化型組成物Info
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Description
活性エネルギー線の照射により速やかに硬化し、かつ基
材との密着性に優れた硬化物を与える活性エネルギー線
硬化型組成物に関する。
硬化速度、一般に無溶剤であることによる良好な作業
性、極めて低いエネルギー必要量等の種々の特性から、
木材のコーティング、金属塗装及び印刷等の種々の産業
において、極めて重要になっている。この分野における
初期の開発においては、多官能性アクリレート及び不飽
和ポリエステルの活性エネルギー線開始ラジカル重合に
研究が集中しており、今日でも、これらの材料は依然と
して大量に使用されている。現在においても、これらの
研究の大部分は活性エネルギー線開始ラジカル重合に向
けられているが、光開始イオン重合も多くの応用分野で
かなり有望であることも十分に認められている。特に光
開始カチオン重合は、多種多様なモノマーの重合によっ
て様々な化学的および物理的特性を実現させる可能性に
富むため、魅力あるものである。更に、光開始カチオン
重合は、酸素によって重合が阻害されないので、不活性
雰囲気下で実施する必要がなく、空気中で速やか且つ完
全な重合を行うことができるという利点を有する。今日
まで、光開始カチオン重合技術は、3員環環状エーテル
であるオキシラン環を有するエポキシ樹脂及びビニルエ
ーテル化合物という2種類のモノマーの光重合の開発に
集中していた。特に、エポキシ樹脂の光重合では、耐熱
性が高く、接着性に優れ、耐薬品性が良好なコーティン
グが得られることが知られている。しかしながら、従来
の光硬化性エポキシ樹脂には、光硬化速度が十分なもの
ではなく、さらに粘度の高いものが多い。反応性希釈剤
として、単官能エポキシ化合物を配合することにより粘
度低下させる方法も試みられているが、粘度を実用的な
粘度、即ち5000cps以下にしようとすると、硬化
速度がより一層低下するという問題を有するものであっ
た。このため、従来の光硬化型エポキシ樹脂は、速やか
な光硬化が必要な紙及びプラスチックコーティングのよ
うな用途には使用することが出来なかった。従って、エ
ポキシ樹脂の特性を生かしながら、実用的な粘度を有
し、且つ硬化速度を維持する活性エネルギー線硬化型組
成物が熱望されてきていた。近年、重合性官能基に、4
員環環状エーテルであるオキセタン環を有する多官能オ
キセタンモノマーは、対応する多官能エポキシドと同
等、あるいは、それ以上の光硬化性を有することが報告
されており(ジャーナル オブ マクロモレキュラー
サイエンス.A29巻,10号,915頁,1992
年、同A30巻,2&3号,173頁,1993年、同
A30巻,2&3号,189頁,1993年)、多官能
オキセタンモノマーを主成分とする光硬化型組成物が速
硬化性を有するものとして提案されている(特開平6−
16804号公報)。
問題点を解決する、良好な耐熱性、接着性および耐薬品
性を有し、かつ短時間の光照射により重合する、低粘度
でも速硬化性を有する活性エネルギー線硬化型組成物を
提供することである。
現状に鑑み鋭意検討した結果、分子中に1個のオキセタ
ン環を有する化合物、分子中に1個以上のオキシラン環
を有する化合物からなる活性エネルギー線硬化型組成物
が、良好な諸特性を維持する上、速い硬化性を有するこ
とを見い出し本発明を完成した。即ち、本発明は、 1)分子中に1個のオキセタン環を有する化合物、 2)分子中に1個以上のオキシラン環を有する化合物、
および 3)活性エネルギー線の照射によりカチオン重合を開始
させる化合物で第四級ア ンモニウム塩を含まない化合物
からなる活性エネルギー線硬化型組成物に関するもので
ある。本発明の組成物は、従来のエポキシ樹脂を用いた
活性エネルギー線硬化型組成物が有していた、耐熱性が
高く、接着性に優れ、耐薬品性が良好なコーティングが
得られるという特性を維持しつつ、低粘度においても速
硬化を有していることを特長とするものである。以下に
本発明を詳細に説明する。
合物 本発明において、分子中に1個のオキセタン環を有する
化合物(以下化合物Aという)としては、分子中に1個
のオキセタン環を有する化合物であれば種々のものが使
用でき、好ましい化合物としては、下記式(1)で表わ
される化合物を挙げることができる。
又は硫黄原子である。R1 は水素原子、フッ素原子、メ
チル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素
数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のフルオロア
ルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又はチエニ
ル基である。R2 は、メチル基、エチル基、プロピル基
或いはブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−
プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プ
ロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテ
ニル基、2−ブテニル基或いは3−ブテニル基等の炭素
数1〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、
フルオロベンジル基、メトキシベンジル基或いはフェノ
キシエチル基等のアリール基、プロピルカルボニル基、
ブチルカルボニル基或いはペンチルカルボニル基等の炭
素数1〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボ
ニル基、プロピルカルボニル基或いはブチルカルボニル
基等の炭素数1〜6個のアルコキシカルボニル基、エト
キシカルバモイル基、プロピルカルバモイル基或いはブ
チルペンチルカルバモイル基等の炭素数1〜6個のアル
コキシカルバモイル基が挙げられる。
が低級アルキル基のものが好ましく、エチル基のものが
より好ましい。又、R2 は、好ましくはブチル基、ベン
ジル基である。Zは好ましくは酸素である。
併用することができる。
る化合物 本発明で用いる分子中に1個以上のオキシラン環を有す
る化合物(以下化合物Bという)は、分子中に1個以上
のオキシラン環
脂として用いられているものであれば、モノマー、オリ
ゴマー又はポリマーいずれも使用可能である。化合物B
の具体例としては、従来公知の芳香族エポキシ樹脂、脂
環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。
尚、以下エポキシ樹脂とは、モノマー、オリゴマー又は
ポリマーを意味する。芳香族エポキシ樹脂として好まし
いものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェ
ノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体とエピク
ロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグ
リシジルエーテルであり、例えばビスフエノールA或い
はそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシ
ジルエーテル、水素添加ビスフェノールA或いはそのア
ルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエー
テル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられ
る。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオ
キサイド又はプロピレンオキサイド等が挙げられる。脂
環族エポキシ樹脂としては、少なくとも1個のシクロへ
キセン又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有
する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエ
ポキシ化することによつて得られる、シクロヘキセンオ
キサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が好
ましく、具体例としては、3,4−エポキシシクロヘキ
シルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキ
シレート等が挙げられる。脂肪族エポキシ樹脂の好まし
いものとしては、脂肪族多価アルコール或いはそのアル
キレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテ
ル等があり、その代表例としては、エチレングリコール
のジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグ
リシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールのジグ
リシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシ
ジルエーテル、グリセリン或いはそのアルキレンオキサ
イド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価ア
ルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリ
コール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリ
シジルエーテル、ポリプロピレングリコール或いはその
アルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等
のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等
が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、
エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド等が挙げ
られる。さらに、これらの化合物の他に、分子内に1個
のオキシラン環を有するモノマーである脂肪族高級アル
コールのモノグリシジルエーテルやフェノール、クレゾ
ール又はこれらのアルキレンオキサイド付加体のモノグ
リシジルエーテル等も用いることができる。本発明で
は、上記化合物Bの2種類以上を併用することができ
る。
重合を開始させる化合物で第四級アンモニウム塩を含ま
ない化合物 活性エネルギー線の照射によりカチオン重合を開始させ
る化合物で第四級アンモニウム塩を含まない化合物(以
下化合物Cという)としては、従来公知の多種多様なカ
チオン性光重合開始剤を用いることができる。これらの
開始剤のうちで好ましいものとしては、ジアリールヨー
ドニウム塩、トリアリールスルホニウム塩が挙げられ
る。典型的な光重合開始剤を下に示す。
々な長さのアルキル基又は炭素数1〜18のアルコキシ
基であり、Mは金属好ましくはアンチモンであり、Xは
ハロゲン好ましくはフッ素であり、nは金属の価数であ
り、例えばアンチモンの場合は6である)
染料、顔料、粘度調節剤、処理剤および紫外線遮断剤の
ような不活性成分を配合することができる。
せる場合、或いは紫外線により硬化させる場合に硬化性
をより一層改良する目的で、化合物Cに加えて、光増感
剤を配合することもできる。本発明において用いること
ができる典型的な増感剤は、クリベロがアドバンスド
イン ポリマーサイエンス(Adv. in Plymer Sci.,62,1
(1984)) で開示している化合物を用いることが可能であ
る。例としては、ピレン、ペリレン、アクリジンオレン
ジ、チオキサントン、2−クロロチオキサントン及びペ
ンゾフラビン等がある。
ては、上記化合物A,B及びCを常法に従い混合すれば
よい。ここで、化合物Aは、組成物中の化合物Aと化合
物Bの合計量100重量部に対して5〜50重量部配合
することが好ましく、より好ましくは10〜40重量部
である。化合物Aの配合量が5重量部に満たない場合
は、組成物を十分に低粘度化することができず、又50
重量部を越える場合には速硬化性を維持できなくなる場
合がある。又、化合物Cは、化合物Aと化合物Bの合計
量100重量部に対して、0.01〜20部配合するこ
とが好ましく、より好ましくは0.1〜10重量部であ
る。化合物Cの配合量が0.01重量部に満たない場合
は、組成物を十分に硬化させることができず、又20部
を越える場合には、光透過性が不良になり、均一な硬化
ができなくなる場合がある。化合物Aと化合物Bの配合
比は、実際上は上記範囲内において、要求される組成物
の粘度、硬化物の硬度等を配慮して決定すればよい。
等の活性エネルギー線を照射することにより、容易に硬
化する。紫外線を照射する場合には、様々な光源を使用
することができ、例えば水銀アークランプ、キセノンア
ークランプ、螢光ランプ、炭素アークランプ、タングス
テン−ハロゲン複写ランプおよび周囲の日光からの照射
光により硬化させることができる。紫外線を照射する場
合には、基材に対する照射強度は、少なくとも0.01
ワット平方センチであって、1〜20秒以内に組成物の
硬化を行い、硬化を例えば紙または金属コーティングラ
インで連続的に行うことができるようにすることが好ま
しい。電子線により硬化させる場合には、通常300e
Vの以下のエネルギーの電子線で硬化させるが、1Mr
ad〜5Mradの照射量で瞬時に硬化させることも可
能である。
ック、成形部品、フィルム、紙、木、ガラス布、コンク
リートおよびセラミック等の基材に適用することができ
る。
保護、装飾および絶縁用コーテイング、注封化合物、印
刷インキ、シーラント、接着剤、フォトレジスト、ワイ
ヤー絶縁材料、織物コーティング、ラミネート、含浸テ
ープおよび印刷プレート等が挙げられる。
明をより具体的に説明する。なお、実施例および比較例
の中の部は特に断わりの無い限り重量部である。
てビスフェノールAジグリシジルエーテル90部を混合
した組成物に、化合物CとしてアデカオプトマーSP−
170(旭電化(株)社製品、有効成分50%)を5部
添加、混合して、活性エネルギー線硬化型組成物を調製
した。
になるように塗布した後、80w/cmの高圧水銀灯を
設置したコンベアタイプの紫外線照射装置(ランプ高さ
=10cm、コンベアスピード=10m/min、照射強
度:310mW/cm2 、76mJ/cm2 )を用い
て、表面から粘りがなくなるまでのパス数を測定した。
(10m/minを1パスとする)得られた硬化物につ
いて、クロスカット後テープ剥離して密着性を評価し
た。粘度測定はB型粘度計を用いて、25℃で測定した。
化合物BとしてビスフェノールAジグリシジルエーテル
を表1に示した組成比で使用し、実施例1と同様にして
組成物を調製した。得られた組成物について実施例1と
同様に評価を行った。その結果を表1に示す。
同様に評価を行った。その結果を表2に示す。
は、低粘度であっても紫外線又は電子線等の活性エネル
ギー線照射により速硬化し、かつ基材との密着性に優れ
るため、保護、装飾及び絶縁用コーテイング、注封化合
物、印刷インキ、シーラント、接着剤、フォトレジス
ト、ワイヤー絶縁材料、織物コーティング、ラミネー
ト、含浸テープ及び印刷プレート等の種々の用途に使用
することができ、産業界に与える影響は大である。
Claims (3)
- 【請求項1】 1)分子中に1個のオキセタン環を有す
る化合物 2)分子中に1個以上のオキシラン環を有する化合物、
および 3)活性エネルギー線の照射によりカチオン重合を開始
させる化合物で第四級ア ンモニウム塩を含まない化合物
からなる活性エネルギー線硬化型組成物。 - 【請求項2】 活性エネルギー線の照射によりカチオン
重合を開始させる化合物がジアリールヨードニウム塩ま
たはトリアリールスルホニウム塩である請求項1記載の
活性エネルギー線硬化型組成物。 - 【請求項3】 分子中に1個のオキセタン環を有する化
合物が、下記式(1)で示される化合物である請求項1
または請求項2記載の活性エネルギー線硬化型組成物 (式中、Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、R 1 は水素
原子、フッ素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素
数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール
基、フリル基又はチエニル基を示し、R 2 は炭素数1〜
6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアルケニル基、ア
リール基、炭素数1〜6個のアルキルカルボニル基、炭
素数1〜6個のアルコキシカルボニル基または炭素数1
〜6個のアルコキシカルバモイル基を示す)。
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JPH0762082A JPH0762082A (ja) | 1995-03-07 |
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-
1993
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