JP4301865B2 - 活性エネルギー線硬化型プリプレグ用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機、自動車等の構造材料等に用いられるプリプレグに好適に用いられる活性エネルギー線硬化型プリプレグ用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリプレグは、炭素繊維等の強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させ、シート状等にして得られる成形用中間材料であり、航空機、自動車等の構造材料等に用いられている。プリプレグ用樹脂組成物としては、加熱硬化型、光硬化型等が知られている。このうち、加熱硬化型のプリプレグ用樹脂組成物を用いたプリプレグは、成形時に、オートクレーブ等の加熱加圧装置を用いて高温高圧で処理する必要がある。したがって、消費エネルギーが大きいこと、得られるプリプレグの大きさおよび形状が加熱加圧装置に応じて決定されてしまうこと等の問題がある。そこで、種々の光硬化型のプリプレグ用樹脂組成物が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂と、1分子中にイソシアネート基を2個有していて分子量が500〜2000の末端トリレンジイソシアネートのウレタンプレポリマーとを、イソシアネート残基が1%以下になるまで反応せしめ、これにアルカリ土類金属の酸化物および光増感剤を添加し、ついで、得られる樹脂組成物を樹脂含浸可能なガラス基材に脱泡しながら含浸させた後に加熱熟成することを特徴とする光硬化性プリプレグシートの製造法が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、炭素繊維、硬化性樹脂および触媒からなる複合材料をつくり、該複合材料に光を照射する複合材料の硬化方法が記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭58−101119号公報
【特許文献2】
特開平8−57971号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者が検討したところ、特許文献1に記載されている樹脂組成物は、光硬化型ではあるが、プリプレグに用いた場合、光照射により硬化させた後、更に、100℃以上という高温での後加熱により、完全に硬化させることが必要であることが分かった。
また、特許文献2に記載されている複合材料は、硬化を内部まで進ませることを目的としているが、実際には、内部にボイドが残りやすいという問題があることが分かった。
【0007】
したがって、本発明は、プリプレグ等の成形時に、低温での後加熱によりまたは後加熱なしで、硬化させることができ、かつ、内部まで均一に硬化する、活性エネルギー線硬化型の樹脂組成物を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、以下の(1)〜(6)を提供する。
【0009】
(1)カチオン重合性基を有するカチオン重合性化合物と、
チイラン環を有するチイラン化合物と、
活性エネルギー線によりカチオン活性種を発生させうるカチオン重合開始剤と
を含有する活性エネルギー線硬化型プリプレグ用樹脂組成物。
【0010】
(2)前記カチオン重合性基が、脂環式エポキシ基、オキセタン残基およびビニルエーテル残基からなる群から選ばれる少なくとも一つである上記(1)に記載の活性エネルギー線硬化型プリプレグ用樹脂組成物。
【0011】
(3)前記カチオン重合開始剤が、活性エネルギー線および/または熱によりカチオン活性種を発生させうるカチオン重合開始剤である上記(1)または(2)に記載の活性エネルギー線硬化型プリプレグ用樹脂組成物。
【0012】
(4)前記カチオン重合性化合物が、カチオン重合性基とラジカル重合性基とを有するカチオン重合性化合物であって、
更に、活性エネルギー線によりラジカルを発生させうるラジカル重合開始剤を含有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型プリプレグ用樹脂組成物。
【0013】
(5)更に、熱によりアニオン活性種を発生させうるアニオン重合開始剤を含有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型プリプレグ用樹脂組成物。
【0014】
(6)更に、増感剤を含有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型プリプレグ用樹脂組成物。
【0015】
本発明の活性エネルギー線硬化型プリプレグ用樹脂組成物(以下、単に「本発明の組成物」という。)は、プリプレグ等とした後に硬化させたときに、低温での後加熱によりまたは後加熱なしで、硬化させることができ、かつ、内部まで均一に硬化する。その理由は以下のように考えられる。
本発明の組成物は、硬化機構としてカチオン重合を用いているために、光照射を終了した後においても、重合反応が進行し、内部まで硬化が進んでいく。また、本発明の組成物はチイラン化合物を用いているが、このチイラン化合物は、カチオン重合開始剤の存在下、アニオン(S- )を生じ、これにより硬化反応速度が適度に保たれつつ、内部まで硬化が進んでいく。したがって、発熱を伴って重合が進むのと異なり、より低温での反応が可能となり、エネルギー的に有利となるばかりでなく、反応が一気に進行しないため、内部に生じるボイドが表面に押し出される。更に、本発明の組成物においては、表面にタックを残すことができるため、重ね合わせ時の作業性の点でも有利となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の組成物は、
カチオン重合性基を有するカチオン重合性化合物と、
チイラン環を有するチイラン化合物と、
活性エネルギー線によりカチオン活性種を発生させうるカチオン重合開始剤とを含有する。
【0017】
本発明に用いられるカチオン重合性化合物は、カチオン重合性基を分子内に少なくとも一つ、好ましくは二つ以上有する化合物である。カチオン重合性化合物は、2種以上のカチオン重合性基を有していてもよい。また、カチオン重合性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン重合性基は、特に限定されず、例えば、エポキシ基(例えば、脂環式エポキシ基、2−メチルエポキシ基)、オキセタン残基、ビニルエーテル残基、イソブチレン残基、シクロペンタジエン残基が挙げられる。
オキセタン残基は、オキセタンの炭素原子から少なくとも一つの水素原子を除去して得られる基であり、例えば、オキセタニル基が挙げられる。
ビニルエーテル残基は、ビニルエーテル基のビニル基上の水素原子をアルキル基により置換した基であり、例えば、ビニルエーテル基、2−メチル−ビニルエーテル基が挙げられる。
中でも、カチオン重合性基としては、脂環式エポキシ基、オキセタン残基およびビニルエーテル残基からなる群から選ばれる少なくとも一つが好ましい。
そのほかに、カチオン重合性化合物としては、例えば、環状エーテル類、環状ケトン類、ラクトン類、ビニルアレーン類、脂環式ビニル化合物、スピロオルソエステル類、スピロオルソカーボネート類が挙げられる。
【0018】
また、後述するように、本発明の組成物が活性エネルギー線によりラジカルを発生させうるラジカル重合開始剤を含有する場合には、カチオン重合性化合物がカチオン重合性基とラジカル重合性基とを有するカチオン重合性化合物であるのが好ましい態様の一つである。
【0019】
本発明に用いられるチイラン化合物は、チイラン環を有する化合物である。チイラン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられるチイラン化合物は、特に限定されないが、例えば、下記式(a)、(b)、(c)および(d)のいずれかで表される化合物であって、Yがすべて下記式(1)で表されるチイラン環で表される化合物、および、ZがすべてSである化合物、ならびに、下記式(a)、(b)、(c)および(d)のいずれかで表される化合物であって、Yの少なくとも一つが下記式(1)で表されるチイラン環であり、その他のYが下記式(2)で表されるオキシラン環である化合物、および、Zの一つがSであり、その他のZがOである化合物が挙げられる。
【0020】
【化1】
Figure 0004301865
【0021】
(上記式中、nは0以上の整数を表す。)
【0022】
【化2】
Figure 0004301865
【0023】
本発明においては、上記式(a)で表され、nが0であり、Yの一つが上記式(1)で表されるチイラン環であり、その他の一つが上記式(2)で表されるオキシラン環である化合物が好ましい。また、前記化合物と、上記式(a)で表され、nが0であり、Yがすべて上記式(1)で表されるチイラン環である化合物、および/または、上記式(a)で表され、nが0であり、Yがすべて上記式(2)で表されるオキシラン環である化合物との混合物も好ましい。このような混合物は、チイラン化合物を、後述するエポキシ化合物とエピスルフィド化剤とを用いた製造方法により製造した場合に、反応生成物として得られる。
【0024】
本発明に用いられるチイラン化合物の製造方法は、特に限定されないが、エポキシ化合物のオキシラン環の一部または全部をチイラン環に置換する方法により、得ることができる。
用いられるエポキシ化合物としては、例えば、上記式(a)、(b)、(c)および(d)のいずれかで表される化合物であって、Yがすべて上記式(2)で表されるオキシラン環である化合物、および、ZがすべてOである化合物を用いることができる。
【0025】
チイラン化合物は、例えば、エポキシ化合物と、エピスルフィド化剤とを、極性溶媒中で、強かくはん下で反応させる方法により得ることができる。
エピスルフィド化剤としては、例えば、チオシアン酸カリウム(KSCN)、チオ尿素が挙げられる。
極性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、水;これらの混合溶媒が挙げられる。
反応は、通常、10〜35℃(例えば、室温下)の温度で、10〜40時間程度(例えば、20時間程度)の反応時間で行うことができる。また、反応の雰囲気は、空気であってもよいし、窒素等の不活性雰囲気であってもよい。
【0026】
本発明に用いられるカチオン重合開始剤は、活性エネルギー線によりカチオン活性種を発生させうる化合物、または、2種以上の化合物からなる系である。カチオン重合開始剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
活性エネルギー線は、特に限定されず、γ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線等が挙げられる。中でも、紫外線、可視光線および赤外線のうちのいずれかの光であるのが、汎用性および装置の簡便性の点で好ましい。
カチオン重合開始剤は、特に限定されず、例えば、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート(例えば、旭電化工業社製のアデカオプトマーSP−152およびSP−150、ユニオンカーバイド社製のUVI6990)、六フッ化リン系芳香族スルホニウム塩(例えば、三新化学工業社製のサンエイドSI−110およびSI−180)、六フッ化アンチモン系芳香族スルホニウム塩(例えば、三新化学工業社製のサンエイドSI−100L、SI−80LおよびSI−60L)、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(例えば、旭電化工業社製のアデカオプトマーSP−172およびSP−170);ヨードニウム塩タイプ、ピリジニウム塩タイプ、鉄−アレン化合物が挙げられる。
【0027】
本発明においては、カチオン重合開始剤が、活性エネルギー線および/または熱によりカチオン活性種を発生させうるカチオン重合開始剤であるのが、好ましい態様の一つである。
この場合、カチオン重合開始剤が、活性エネルギー線および熱のいずれによってもカチオン活性種を発生させることができるので、本発明の組成物を活性エネルギー線を照射し、更に、後加熱した場合に、いずれの工程においても、硬化が進行するという利点がある。
【0028】
活性エネルギー線および/または熱によりカチオン活性種を発生させうるカチオン重合開始剤は、特に限定されず、例えば、ベンジルスルホニウム塩化合物(例えば、下記式(3)で表される化合物、下記式(4)で表される化合物)、アリールスルホニウム塩化合物(例えば、旭電化工業社製のアデカオプトンCP−66およびCP−77)が挙げられる。
【0029】
【化3】
Figure 0004301865
【0030】
(式中、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基、水素原子、メトキシ基またはハロゲン原子を表す。)
【0031】
本発明の組成物は、更に、活性エネルギー線によりラジカルを発生させうるラジカル重合開始剤を含有することができる。ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線によりラジカルを発生させうる化合物、または、2種以上の化合物からなる系である。ラジカル重合開始剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン重合性化合物が、カチオン重合性基とラジカル重合性基とを有するカチオン重合性化合物であって、本発明の組成物が、更に、活性エネルギー線によりラジカルを発生させうるラジカル重合開始剤を含有すると、カチオン重合性化合物が、カチオン重合開始剤とラジカル重合開始剤の両者によって反応するため、アクリロイル基、ビニル基、メタクリロイル基等のラジカル重合をしやすい化合物を併用することができるので、粘度の調整等の点で好ましい。
【0032】
活性エネルギー線によりラジカルを発生させうるラジカル重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−メチル−チオフェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンゾインメチルエーテル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドが挙げられる。
【0033】
本発明の組成物は、更に、熱によりアニオン活性種を発生させうるアニオン重合開始剤を含有することができる。アニオン重合開始剤は、活性エネルギー線によりアニオン活性種を発生させうる化合物である。アニオン重合開始剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
この場合、活性エネルギー線の照射による硬化の後に、オーブン等による後加熱を行うと、チイラン化合物が速やかに硬化する。これは、本発明の組成物において、チイラン化合物は、活性エネルギー線の照射により、カチオン重合開始剤の存在下、アニオン(S- )を生じるが、反応の程度はゆるやかである。上記アニオン重合開始剤が存在すると、後加熱の工程でアニオンが生じるため、チイラン化合物のアニオン重合により硬化が更に進行するためである。
また、後加熱を行わない場合であっても、上述した種々の反応において発生する反応熱や、活性エネルギー線の照射により与えられる熱によっても、後加熱を行う場合と同様の反応が進行しうる。
【0034】
アニオン重合開始剤としては、例えば、イミダゾール化合物およびその塩(例えば、四国化成工業社製の2PHZ(2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール)、2P4MHZ(2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール)および2MA−OK(2,4−ジアミノ−6−〔2′−メチルイミダゾリル−(1′)〕−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物))、第三級アミン化合物(例えば、住友化学工業社製のBMP−30(2,4,6−トリスジメチルアミノフェノール))が挙げられる。
【0035】
本発明の組成物は、更に、増感剤を含有することができる。増感剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
この場合、増感剤を適宜選択することにより、カチオン活性種またはラジカルを発生させるために用いる活性エネルギー線の波長を広い範囲にわたり有効に利用することができる。
【0036】
増感剤は、カチオン重合開始剤またはラジカル重合開始剤の種類、用いる活性エネルギー線の波長等に応じて、適宜選択される。
増感剤としては、例えば、ヘキサアリールビイミダゾール、クマリン、メロシアニン色素とクマリン系色素またはα−ジケトン類との組み合わせ、キサンテン系色素とフタロシアニン化合物の組み合わせが挙げられる。
【0037】
本発明の組成物の硬化機構について説明する。
未硬化の本発明の組成物に活性エネルギー線を照射すると、カチオン重合開始剤が励起されて、カチオン活性種(例えば、水素イオン)が発生する。このカチオン活性種が、カチオン重合性化合物のカチオン重合性基を攻撃し、カチオン重合性化合物が連鎖的にカチオン重合して、硬化する。
同時に、活性エネルギー線の照射により、チイラン化合物のチイラン環の一部が開環して、アニオン(S- )を生じる。このアニオンは硬化を適当に制御し、硬化速度を適度にする。また、熱によってアニオン重合が促進する。
【0038】
ここで、上述したカチオン重合は、カチオン活性種が小さいので、活性エネルギー線の照射を止めた後でも反応が進行しやすい。したがって、深い方向にもよく硬化する。よって、本発明の組成物は、プリプレグ等の複合材料として好適に用いられる。
これに対し、ラジカル重合単独では、活性エネルギー線の照射後すぐに反応が止まってしまう。例えば、特許文献2の実施例においては、触媒として、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、カンファーキノン、カッパーナフタロシアニンとN−フェニルグリシンとの組み合わせ、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが用いられているが、これらはいずれもラジカル重合開始剤である。したがって、特許文献2の実施例に記載されている複合材料は、いずれも硬化時に内部まで深く硬化するものではない。特に、表面から2mm以上の深さで硬化させることは、困難である。
【0039】
本発明の組成物は、複合材料に好適に用いられる。複合材料の中でも、プリプレグに用いられるのが好ましい態様の一つである。具体的には、強化繊維に本発明の組成物を含浸させ、シート状等にして、プリプレグを得ることができる。
プリプレグに用いられる強化繊維は、特に限定されず、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が挙げられる。
本発明の組成物を用いたプリプレグは、航空機、自動車等の構造材料等に好適に用いられる。
【0040】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
1.樹脂組成物の調製
(実施例1〜3ならびに比較例1および2)
以下に示される原料をそれぞれ第1表に示される質量比で混合し、第1表に示される各樹脂組成物を得た。
(1)カチオン重合性化合物
・脂環式エポキシ樹脂:CY179、Vantico社製
・オキセタン樹脂:OXT221、東亞合成社製
・シクロヘキシルジビニルエーテル:CDVE、日本カーバイド社製
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂:YD128、東都化成社製
・クレゾールノボラック型エポキシ樹脂:ESCN220HH、住友化学工業社製
(2)チイラン化合物
・チイラン樹脂:TS50、横浜ゴム(株)製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂をオキシラン環/チイラン環=50/50となるようにチイラン化した樹脂(3)光カチオン重合開始剤
・トリアリールスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート系化合物:アデカオプトマーSP−170、旭電化工業社製
【0041】
2.樹脂組成物の評価
(1)硬化試験
上記で得られた各樹脂組成物を、バーコーターを用いて、ガラス板上に厚さ約200μmとなるように塗布し、未硬化のシートであるサンプルを作成した。
光照射装置(Fusion社製のベルトコンベア式光照射装置)を用いて、得られたサンプルの表面に、Hバルブ(高圧水銀ランプ相当)のランプを用いて、主波長365nmの光を、照射量が1000mJ/cm2 となるように照射し、光硬化させた。その後、80℃、30分の条件または120℃、60分の条件で熱処理し、熱硬化させた。
熱硬化後のサンプルをカッターで切断し断面を実体顕微鏡により観察して、硬化の状態を評価した。結果を第1表に示す。
【0042】
(2)ガラス繊維含浸評価
上述した硬化試験の場合と同様の方法により作成した未硬化のシートの上に、ガラス繊維織物(Eガラス布(8枚しゅす織)、カネボウ社製)を100mm×200mmの大きさに切断したものを載せた。ガラス繊維織物に樹脂組成物が速やかに浸透したのを目視で確認した後、上述した硬化試験の場合と同様に、主波長365nmの光を、照射量が1000mJ/cm2 となるように照射し、光硬化させた。その後、80℃、30分の条件で熱処理し、熱硬化させた。得られたサンプルをカッターで切断して、硬化の状態を確認するとともに、断面を顕微鏡で観察して、ボイドの有無を確認した。結果を第1表に示す。
【0043】
第1表から明らかなように、本発明の組成物(実施例1〜3)は、チイラン化合物を含有しない場合(比較例1および2)と比べて、活性エネルギー線により硬化させた後の後加熱をより低温にしても硬化させることができる。
また、本発明の組成物(実施例1〜3)は、内部まで均一に硬化する。
【0044】
【表1】
Figure 0004301865
【0045】
【発明の効果】
本発明の組成物は、低温での後加熱によりまたは後加熱なしで、硬化させることができ、かつ、内部まで均一に硬化するので、プリプレグ等の複合材料に好適に用いられる。

Claims (6)

  1. カチオン重合性基を有するカチオン重合性化合物と、
    チイラン環を有するチイラン化合物と、
    活性エネルギー線によりカチオン活性種を発生させうるカチオン重合開始剤とを含有する活性エネルギー線硬化型プリプレグ用樹脂組成物。
  2. 前記カチオン重合性基が、脂環式エポキシ基、オキセタン残基およびビニルエーテル残基からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型プリプレグ用樹脂組成物。
  3. 前記カチオン重合開始剤が、活性エネルギー線および/または熱によりカチオン活性種を発生させうるカチオン重合開始剤である請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型プリプレグ用樹脂組成物。
  4. 前記カチオン重合性化合物が、カチオン重合性基とラジカル重合性基とを有するカチオン重合性化合物であって、
    更に、活性エネルギー線によりラジカルを発生させうるラジカル重合開始剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型プリプレグ用樹脂組成物。
  5. 更に、熱によりアニオン活性種を発生させうるアニオン重合開始剤を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型プリプレグ用樹脂組成物。
  6. 更に、増感剤を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型プリプレグ用樹脂組成物。
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