JP6584791B2 - 組成物、硬化性組成物、硬化物、プリプレグ、及び繊維強化プラスチック - Google Patents

組成物、硬化性組成物、硬化物、プリプレグ、及び繊維強化プラスチック Download PDF

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Description

本発明は、組成物、硬化性組成物、硬化物、プリプレグ、及び繊維強化プラスチックに関する。
なお、「樹脂組成物」は組成物に包含される一つの形態であり、本明細書においては組成物および樹脂組成物の総称として「(樹脂)組成物」の表記を用いる。
チイラン環を含む化合物を含有する(樹脂)組成物は、エポキシ樹脂をはじめとする、オキシラン環を含む(樹脂)組成物と比較して、高速硬化が可能であることから、製造工程における生産性向上や省エネルギー対策に有用な(樹脂)組成物として知られている。
しかしながら、チイラン環を含む化合物は、保存安定性に問題があり、品質の安定した製品を工業的に製造することが困難であることから、保存安定性の改善が大きな課題となっている。
更に、信頼性向上の観点から、チイラン環を含む化合物を含有する(樹脂)組成物の硬化物は、耐熱安定性向上も求められている。
チイラン環を含む化合物の保存安定性を改善する手段として、エピスルフィド樹脂をはじめとするチイラン環を含む化合物に、保存安定化剤を配合し、保存安定性を改善する方法が試みられている。
例えば、特許文献1には、25℃におけるpKa値が3.5以下の単官能有機酸又はその酸無水物を安定剤として、エピスルフィド樹脂に配合する方法が提案されている。
また、例えば、特許文献2には、エピスルフィド樹脂に、亜リン酸エステルやホウ酸エステルを配合する方法が提案されている。
特開平11−256038号公報 国際公開2010/035459号
しかしながら、特許文献1に記載されている方法の場合、樹脂中の酸が金属を腐食するおそれがある。さらに、塩基性の硬化触媒や硬化剤を使用して硬化反応を行う場合には、樹脂中の酸により硬化触媒や硬化剤が失活し、硬化反応が正常に進行せず、硬化反応が遅くなる場合があるという問題を有している。
特許文献2に記載に記載されている方法の場合、未だ十分な保存安定化効果が得られず、品質の安定した製品を工業的に製造することが困難であるという問題を有している。
また、特許文献2に記載されている方法の場合、リン化合物が工業廃水に流入すると、環境汚染に繋がるという問題を有しているため、リン化合物を使用せずに、一般的な有機化合物を使用して、保存安定性を向上させる技術が望まれている。
さらに、特許文献1及び2に記載されている方法の場合、未だ十分な硬化物の耐熱性向上の効果は得られていないという問題を有している。
そこで本発明においては、上述した従来技術の問題点に鑑み、高速硬化性を維持しつつ、保存安定性に優れる(樹脂)組成物、及び耐熱性が向上した硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した従来技術の問題を解決するために鋭意検討を行った結果、主剤である(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物に、所定の化合物を配合することにより、高速硬化性を維持しつつ、保存安定性に優れる(樹脂)組成物、及び耐熱性が向上した硬化物を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記のとおりである。
〔1〕
(A)エポキシ化合物とチオ尿素との反応物である、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物100質量部と、
(B)少なくとも2つ以上の、ビニルエーテル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基からなるエチレン性不飽和基を有する化合物2.0〜4.5質量部と、
を、含有する、配合物の、80℃〜120℃で20分〜4時間の加熱処理物である組成物であって、
当該組成物の保存安定性指標β=(保存粘度(60℃で24時間保存後の、25℃にお
ける粘度))/(開始粘度(製造直後の25℃における粘度))が、1.5以下であり、
25℃、24時間保存後のヘーズが30%以下であり、
60℃、24時間保存後のヘーズが10%以下である、
組成物。
〔2〕
前記(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物中に、
少なくとも1つのオキシラン環を有する基が含有されている、前記〔1〕に記載の組成
物。
〔3〕
前記(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物が、
ポリフェノール骨格を有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔4〕
前記(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物のS化率が、5%以上である、
前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の組成物。
〔5〕
前記(B)少なくとも2つ以上の、ビニルエーテル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基からなるエチレン性不飽和基を有する化合物の分子量(Mw)が196以上5000以下である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の組成物。
〔6〕
前記(B)少なくとも2つ以上の、ビニルエーテル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基からなるエチレン性不飽和基を有する化合物が、エチレン性不飽和基を3つ以上有する、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の組成物。
〔7〕
(C)エステル化合物を、さらに含有する、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の組成物。
〔8〕
前記(C)エステル化合物が、亜リン酸エステル及びホウ酸エステルからなる群より選
択される一種以上である、前記〔7〕に記載の組成物。
〔9〕
前記(C)エステル化合物が、芳香環又は炭素数4以上のアルキル基を有する、前記〔7〕又は〔8〕に記載の組成物。
〔10〕
前記(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物100質量部に対し、
前記(C)エステル化合物を、0.02〜20質量部含有する、
前記〔7〕乃至〔9〕のいずれか一に記載の組成物。
〔11〕
前記(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物が、ビスフェノールA型エピス
ルフィド樹脂、ビスフェノールF型エピスルフィド樹脂、及び水添ビスフェノールA型エ
ピスルフィド樹脂からなる群より選ばれるいずれかである、前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載の組成物。
〔12〕
繊維強化用の組成物である、前記〔1〕乃至〔11〕のいずれか一に記載の組成物。
〔13〕
25℃における粘度が10mPa・s〜100Pa・sである、前記〔1〕乃至〔12〕のいずれか一に記載の組成物。
〔14〕
前記〔1〕乃至〔13〕のいずれか一に記載の組成物の製造方法であって、
(工程1a):前記(A)エポキシ化合物とチオ尿素とを反応させて得られた反応物である、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物100質量部に、
前記(B)少なくとも2つ以上の、ビニルエーテル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基からなるエチレン性不飽和基を有する化合物を2.0〜4.5質量部配合する工程と、
(工程2):前記(工程1a)後、80℃以上120℃以下で、20分〜4時間の加熱処理を施す工程と、
を有する、組成物の製造方法。
〔15〕
前記〔7〕乃至〔13〕のいずれか一に記載の組成物の製造方法であって、
(工程1b):前記(A)エポキシ化合物とチオ尿素とを反応させて得られた反応物である、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物100質量部に、
前記(B)少なくとも2つ以上の、ビニルエーテル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基からなるエチレン性不飽和基を有する化合物2.0〜4.5質量部と、
前記(C)エステル化合物0.02〜20質量部と、を配合する工程と、
(工程2):前記(工程1b)後、80℃以上120℃以下で、20分〜4時間の加熱処理を施す工程と、
を有する、組成物の製造方法。
〔16〕
前記〔1〕乃至〔13〕のいずれか一に記載の組成物を、繊維強化に用いる方法。
〔17〕
前記〔1〕乃至〔13〕のいずれか一に記載の組成物と、
(D)硬化剤と、
を、含有する、硬化性組成物。
〔18〕
前記(D)硬化剤が、潜在性硬化剤である、前記〔17〕に記載の硬化性組成物。
〔19〕
前記(D)硬化剤が、マイクロカプセル型の潜在性硬化剤である、前記〔17〕又は〔18〕に記載の硬化性組成物。
〔20〕
前記(D)硬化剤が、コアとシェルとを有する、イミダゾール化合物含有マイクロカプ
セル型の潜在性硬化剤である、前記〔17〕乃至〔19〕のいずれか一に記載の硬化性組成物。
〔21〕
150℃におけるゲルタイムが、180秒以下である、前記〔17〕乃至〔20〕のいずれか一に記載の硬化性組成物。
〔22〕
前記〔17〕乃至〔21〕のいずれか一に記載の硬化性組成物を、硬化することにより得られる硬化物。
〔23〕
前記〔17〕乃至〔21〕のいずれか一に記載の硬化性組成物を、熱硬化することにより得られる硬化物。
〔24〕
200℃×24時間加熱試験後の質量減少率が5質量%以下である、前記〔22〕又は〔23〕に記載の硬化物。
〔25〕
強化繊維をさらに含有する、前記〔22〕乃至〔24〕のいずれか一に記載の硬化物。
〔26〕
前記〔17〕乃至〔21〕のいずれか一に記載の硬化性組成物を、繊維強化に用いる方法。
〔27〕
前記〔17〕乃至〔21〕のいずれか一に記載の硬化性組成物と、
強化繊維と、
を、具備する、プリプレグ。
〔28〕
前記〔17〕乃至〔21〕のいずれか一に記載の硬化性組成物と、
強化繊維と、
を、具備し、
複数積層構造を有する、プリプレグ。
〔29〕
前記〔17〕乃至〔21〕のいずれか一に記載の硬化性組成物と、
強化繊維と、
を、具備し、
硬化処理が施された、繊維強化プラスチック。
〔30〕
前記〔17〕乃至〔21〕のいずれか一に記載の硬化性組成物に、
強化繊維を、具備させ、
硬化処理を施す、繊維強化プラスチックの製造方法。
本発明によれば、高速硬化性を維持しつつ、かつ保存安定性に優れる(樹脂)組成物、及び耐熱性が向上した硬化物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。
以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で、適宜変形して実施することができる。
〔(樹脂)組成物〕
本実施形態の(樹脂)組成物は、
(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物と、
(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物と、
を、含有する。
((A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物)
本実施形態の(樹脂)組成物は、(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物を含有する。
なお、「少なくとも1つのチイラン環を有する化合物」とは、「少なくとも1つのチイラン環を有する化合物」を必須の構成成分として含み、かつ、チイラン環を有していない化合物も含まれ得ることを意味する。
なお、「少なくとも1つのチイラン環を有する化合物」は、特に限定されるものではなく、更に、オキシラン環を有していてもよい。
また、(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物は、原料エポキシ化合物のオキシラン環の、一部あるいは全てが、チイラン環に変換することによって得られるが、チイラン環に変換されずに残存した、「チイラン環を有さずオキシラン環を有する化合物」を含有し得る。
(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物は、1種のみを単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物の、25℃における粘度は、特に限定されるものではないが、1000Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは500Pa・s以下、さらに好ましくは100Pa・s以下、さらにより好ましくは50Pa・s以下、よりさらに好ましくは20Pa・s以下である。
25℃における粘度が1000Pa・s以下であると、良好な流動性が得られ、他の原料との相溶性が良好なものとなる。
(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物の25℃における粘度は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
前記(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物は、芳香族骨格、脂環式骨格、脂肪族骨格等からなる基本骨格、及びチイラン環部位を含む置換基から構成される。
前記(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物の、チイラン環部位を含む置換基の構造について、以下説明する。
チイラン環部位は、下記式(I)で示される。
下記式(I)により示されるチイラン環部位は、基本骨格と連結する基が一方の炭素原子に結合する以外は、いずれの炭素も無置換である末端チイラン環である。
基本骨格と前記チイラン環部位を連結する基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、炭素数1〜10の2価の非環式飽和炭化水素基、水酸基で置換された炭素数1〜10の2価の非環式飽和炭化水素基、エーテル結合、エステル結合、及びアミド結合、並びにこれらを2つから3つ組合せた構造等が挙げられる。
前記チイラン環部位を含む置換基の好ましい例を、下記式(II)に示す。
これらの中でも、反応性と製造のし易さの観点から、2,3−エピチオプロポキシ基、3,4−エピチオブトキシ基、2,3−エピチオプロポキシメチル基が、特に好適である。
前記チイラン環部位を含む置換基は、分子内に2つ以上存在する場合は、互いに同一の構造をとってもよく、異なる構造をとってもよい。
前記チイラン環部位を含む置換基の数は、2〜10が好ましく、2〜4がより好ましい。
前記「(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物」の基本骨格は、特に限定されるものではないが、例えば、芳香族骨格、脂環式骨格を有することが好ましく、芳香族骨格を有することがより好ましい。
基本骨格が、芳香族骨格や脂環式骨格を有する場合、前記チイラン環部位を含む置換基が基本骨格に結合する位置は、当該基本骨格の構造に含まれる、芳香族骨格又は脂環式骨格を構成する炭素原子のいずれかであることが好ましい。
前記「(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物」の分子内に、チイラン環部位を含む置換基を複数有する場合は、当該チイラン環部位を含む置換基は、別々の炭素原子と結合していることが好ましく、また、2つ以上の芳香族骨格又は脂環式骨格がある場合には、別々の芳香族骨格又は脂環式骨格と結合していることが好ましい。
更に、前記基本骨格には、チイラン環部位を含む置換基の他に、その他の置換基が結合していてもよい。
当該その他の置換基としては、以下に限定されるものではないが、例えば炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基;BrやF等のハロゲン元素を含む置換基等が挙げられ、特に、メチル基、エチル基、メトキシ基、及びエトキシ基が好ましい。
前記基本骨格が、ポリフェノール骨格やその核水添骨格を有している場合、繰り返し単位(下記式(VI)及び下記式(VIII)におけるn)は、特に限定されるものではないが、好ましくは20未満、より好ましくは0.001〜5、さらに好ましくは0.01〜2である。
前記基本骨格がポリフェノール骨格やその核水添骨格を有している場合の、当該基本骨格の繰り返し単位nが0.001以上であると、後述するプリプレグや繊維強化プラスチックを製造する際に用いる強化繊維との反応性が良好なものとなり、繰り返し単位nが20以下であると良好な流動性が得られる。
上述の強化繊維との反応性、及び流動性のバランスの観点から、繰り返し単位nは0.01〜2であることが特に好ましい。
(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物としては、例えば、後述する単官能エピスルフィド化合物;多官能エピスルフィド化合物;ポリフェノール型エピスルフィド化合物や、ノボラック型エピスルフィド化合物等の芳香族エピスルフィド化合物;芳香族エピスルフィド化合物の核水素化物;脂環式エピスルフィド化合物;複素環式エピスルフィド化合物;チオグリシジルエステル系エピスルフィド化合物;チオグリシジルアミン系エピスルフィド化合物;ハロゲン化フェノール類をチオグリシジル化したエピスルフィド化合物;(含硫)多官能脂肪族エピスルフィド化合物;分子内にチイラン環を有するシリコーン化合物;及び異種重合性官能基含有エピスルフィド化合物等が挙げられる。中でもチイラン環を二つ以上有し、架橋し得る化合物(エピスルフィド樹脂と定義される)が好ましく、特にビスフェノールA型エピスルフィド樹脂、ビスフェノールF型エピスルフィド樹脂、または水添ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂が好ましい。
これらは1種のみを単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
<単官能エピスルフィド化合物>
単官能エピスルフィド化合物としては、チイラン環を1つ有する化合物であれば特に限定されるものではなく、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレンスルフィド、プロピレンスルフィド、1−ブテンスルフィド、2−ブテンスルフィド、ブタジエンスルフィド、ブタジエンジチオエポキシド、シクロブテンスルフィド、1,3−シクロブタジエンジチオエポキシド、1−ペンテンスルフィド、2−ペンテンスルフィド、1,3−ペンタジエンジチオエポキシド、1,4−ペンタジエンジチオエポキシド、2−メチル−2−ブテンスルフィド、2−メチル−3−ブテンスルフィド、シクロペンテンスルフィド、1,3−シクロペンタジエンジチオエポキシド、1−メチル−シクロブテンスルフィド、3−メチル−1−シクロブテンスルフィド、1−ヘキセンスルフィド、2−ヘキセンスルフィド、3−ヘキセンスルフィド、1,3−ヘキサジエンジチオエポキシド、1,4−ヘキサジエンジチオエポキシド、1,5−ヘキサジエンジチオエポキシド、1,3,5−ヘキサトリエントリチオエポキシド、シクロヘキセンスルフィド、1,3−シクロヘキサジエンジチオエポキシド、1,3,5−シクロヘキサトリエントリチオエポキシド、1−メチル−シクロペンテンスルフィド、3−メチル−シクロペンテンスルフィド、1−メチル−1,3−シクロペンタジエンジチオエポキシド、2−メチル−1,3−シクロペンタジエンジチオエポキシド、5−メチル−1,3−シクロペンタジエンジチオエポキシド、3,4−ジメチル−シクロブテンスルフィド、2,3−ジメチル−シクロブテンスルフィド、
1,2−ジメチル−シクロブテンスルフィド、1,2−ジメチル−1,3−シクロブタジエンジチオエポキシド、2,3−ジメチル−1,3−シクロブタジエンジチオエポキシド、3,3−ジメチル−1,2−チオエポキシブタン、1−ヘプテンスルフィド、2−ヘプテンスルフィド、3−ヘプテンスルフィド、1,3−ヘプタジエンジチオエポキシド、1,4−ヘプタジエンジチオエポキシド、1,5−ヘプタジエンジチオエポキシド、1,5−ヘプタジエンジチオエポキシド、1,6−ヘプタジエンジチオエポキシド、1,3,5−ヘプタトリエントリチオエポキシド、1,3,6−ヘプタトリエントリチオエポキシド、1,4,6−ヘプタトリエントリチオエポキシド、シクロヘプテンスルフィド、1−メチル−シクロヘキセンスルフィド、3−メチル−シクロヘキセンスルフィド、4−メチル−シクロヘキセンスルフィド、1−メチル−1,3−シクロヘキサジエンジチオエポキシド、1−メチル−1,4−ヘキサジエンジチオエポキシド、1−メチル−1,3,5−ヘキサトリエントリチオエポキシド、1,2−チオエポキシ−5−ヘキセン、1,2−チオエポキシ−4−ビニルシクロヘキセン、2−ノルボルネンスルフィド、7−メチル−2−ノルボルネンスルフィド、7,7−ジメチル−2−ノルボルネンスルフィド、2−メチル−2−ノルボルネンスルフィド、2,3−ジメチル−2−ノルボルネンスルフィド、2,7−ジメチル−2−ノルボルネンスルフィド、2,7,7−トリメチル−2−ノルボルネンスルフィド、2,3−チオエポキシ−ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,3−チオエポキシ−2−メチル−ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,3−チオエポキシ−2,3−ジメチル−ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,3−チオエポキシ−2,5−ジメチル−ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,3−チオエポキシ−2,6−ジメチル−ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,3−チオエポキシ−2,3,5−トリメチル−ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,3−チオエポキシ−2,5,6−トリメチル−ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,3−チオエポキシ−2,3,5,6−テトラメチル−ビシクロ[2,2,2]オクタン、チオエポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、チオエポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、スチベンスルフィド、フェニルチオグリシジルエーテル、3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)−1,2−チオエポキシプロパン、ピネンスルフィド、イソプレンモノスルフィド、1,2−チオエポキシエチルベンゼン、ナフチルチオグリシジルエーテル、3−(2−ビフェニロキシ)−1,2−チオエポキシプロパン、アリルチオグリシジルエーテル、1,1−ジフェニル−エチレンスルフィド、チオグリシジル(メタ)アクリレート、チオグリシジルブチレート、ヨードメチルチイラン、4−(2,3−チオエポキシプロピル)モルフォリン、チオグリシジルメチルエーテル、2−フェニル−プロピレンスルフィド、2,3−チオエポキシプロピル−フルフリルエーテル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレンスルフィド、エチル−3−フェニルチオグリシデート、リモネンスルフィド、チオエポキシスクシン酸、3−チオグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3−チオグシリドキシプロピル)ペンタメチルジシロキサン、3−チオグリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、3−チオグリシドキシプロピル(メチル)ジエトキシシラン、3−チオグリシドキシプロピル(メチル)ジブトキシシラン、2−(3,4−チオエポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン、2−(3,4−チオエポキシシクロヘキシル)エチル(フェニル)ジエトキシシラン、2,3−チオエポキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、2,3−チオエポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシラン、3−チオグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−チオグリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−チオグリシドキシプロピルトリブトキシシラン、2−(3,4−チオエポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−チオエポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2,3−チオエポキシプロピルトリメトキシシラン及び2,3−チオエポキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記の中でも、標準状態における蒸気圧が高く、取扱いが容易であり、本実施形態の(樹脂)組成物の安定性がより向上する傾向にあり、重合する際の副反応をより抑制できる傾向にある観点から、単官能エピスルフィド化合物は、以下の群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
すなわち、例えば、エチレンスルフィド、プロピレンスルフィド、1−ブテンスルフィド、2−ブテンスルフィド、ブタジエンスルフィド、ブタジエンジチオエポキシド、シクロブテンスルフィド、1,3−シクロブタジエンジチオエポキシド、1−ペンテンスルフィド、2−ペンテンスルフィド、1,3−ペンタジエンジチオエポキシド、1,4−ペンタジエンジチオエポキシド、2−メチル−2−ブテンスルフィド、2−メチル−3−ブテンスルフィド、シクロペンテンスルフィド、1,3−シクロペンタジエンジチオエポキシド、1−メチル−シクロブテンスルフィド、3−メチル−1−シクロブテンスルフィド、1−ヘキセンスルフィド、2−ヘキセンスルフィド、3−ヘキセンスルフィド、1,3−ヘキサジエンジチオエポキシド、1,4−ヘキサジエンジチオエポキシド、1,5−ヘキサジエンジチオエポキシド、1,3,5−ヘキサトリエントリチオエポキシド、シクロヘキセンスルフィド、1,3−シクロヘキサジエンジチオエポキシド、1,3,5−シクロヘキサトリエントリチオエポキシド、1−メチル−シクロペンテンスルフィド、3−メチル−シクロペンテンスルフィド、1−メチル−1,3−シクロペンタジエンジチオエポキシド、2−メチル−1,3−シクロペンタジエンジチオエポキシド、5−メチル−1,3−シクロペンタジエンジチオエポキシド、3,4−ジメチル−シクロブテンスルフィド、2,3−ジメチル−シクロブテンスルフィド、1,2−ジメチル−シクロブテンスルフィド、1,2−ジメチル−1,3−シクロブタジエンジチオエポキシド、2,3−ジメチル−1,3−シクロブタジエンジチオエポキシド、3,3−ジメチル−1,2−チオエポキシブタン、1−ヘプテンスルフィド、2−ヘプテンスルフィド、3−ヘプテンスルフィド、1,3−ヘプタジエンジチオエポキシド、1,4−ヘプタジエンジチオエポキシド、1,5−ヘプタジエンジチオエポキシド、1,5−ヘプタジエンジチオエポキシド、1,6−ヘプタジエンジチオエポキシド、1,3,5−ヘプタトリエントリチオエポキシド、1,3,6−ヘプタトリエントリチオエポキシド、1,4,6−ヘプタトリエントリチオエポキシド、シクロヘプテンスルフィド、1−メチル−シクロヘキセンスルフィド、3−メチル−シクロヘキセンスルフィド、4−メチル−シクロヘキセンスルフィド、1−メチル−1,3−シクロヘキサジエンジチオエポキシド、1−メチル−1,4−ヘキサジエンジチオエポキシド、1−メチル−1,3,5−ヘキサトリエントリチオエポキシド、1,2−チオエポキシ−5−ヘキセン、1,2−チオエポキシ−4−ビニルシクロヘキセン、チオエポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、チオエポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、スチベンスルフィド、フェニルチオグリシジルエーテル、3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)−1,2−チオエポキシプロパン、ピネンスルフィド、イソプレンモノスルフィド、1,2−チオエポキシエチルベンゼン、ナフチルチオグリシジルエーテル、3−(2−ビフェニロキシ)−1,2−チオエポキシプロパン、アリルチオグリシジルエーテル、1,1−ジフェニル−エチレンスルフィドオキシド、チオグリシジル(メタ)アクリレート、チオグリシジルブチレート、ヨードメチルチイラン、4−(2,3−チオエポキシプロピル)モルフォリン、チオグリシジルメチルエーテル、2−フェニル−プロピレンスルフィド、2,3−チオエポキシプロピル−フルフリルエーテル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレンスルフィド、エチル−3−フェニルチオグリシデート、リモネンスルフィド、チオエポキシスクシン酸、3−チオグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3−チオグシリドキシプロピル)ペンタメチルジシロキサン、3−チオグリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、3−チオグリシドキシプロピル(メチル)ジエトキシシラン、3−チオグリシドキシプロピル(メチル)ジブトキシシラン、2−(3,4−チオエポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン、2−(3,4−チオエポキシシクロヘキシル)エチル(フェニル)ジエトキシシラン、2,3−チオエポキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、2,3−チオエポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシラン、3−チオグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−チオグリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−チオグリシドキシプロピルトリブトキシシラン、2−(3,4−チオエポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−チオエポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2,3−チオエポキシプロピルトリメトキシシラン及び2,3−チオエポキシプロピルトリエトキシシランが好ましいものとして挙げられる。
単官能エピスルフィド化合物としては、より好ましくは、以下の群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
すなわち、プロピレンスルフィド、1−ブテンスルフィド、2−ブテンスルフィド、ブタジエンスルフィド、ブタジエンジチオエポキシド、1−ペンテンスルフィド、2−ペンテンスルフィド、1,3−ペンタジエンジチオエポキシド、1,4−ペンタジエンジチオエポキシド、2−メチル−2−ブテンスルフィド、2−メチル−3−ブテンスルフィド、シクロペンテンスルフィド、1−メチル−シクロブテンスルフィド、3−メチル−1−シクロブテンスルフィド、1−ヘキセンスルフィド、2−ヘキセンスルフィド、3−ヘキセンスルフィド、1,3−ヘキサジエンジチオエポキシド、1,4−ヘキサジエンジチオエポキシド、1,5−ヘキサジエンジチオエポキシド、1,3,5−ヘキサトリエントリチオエポキシド、シクロヘキセンスルフィド、1,3−シクロヘキサジエンジチオエポキシド、1−メチル−シクロペンテンスルフィド、3−メチル−シクロペンテンスルフィド、2−ヘプテンスルフィド、3−ヘプテンスルフィド、1,3−ヘプタジエンジチオエポキシド、1,4−ヘプタジエンジチオエポキシド、1,5−ヘプタジエンジチオエポキシド、1,5−ヘプタジエンジチオエポキシド、1,6−ヘプタジエンジチオエポキシド、1−メチル−シクロヘキセンスルフィド、3−メチル−シクロヘキセンスルフィド、4−メチル−シクロヘキセンスルフィド、1,2−チオエポキシ−5−ヘキセン、1,2−チオエポキシ−4−ビニルシクロヘキセン、スチベンスルフィド、フェニルチオグリシジルエーテル、3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)−1,2−チオエポキシプロパン、ピネンスルフィド、イソプレンモノスルフィド、1,2−チオエポキシエチルベンゼン、ナフチルチオグリシジルエーテル、3−(2−ビフェニロキシ)−1,2−チオエポキシプロパン、アリルチオグリシジルエーテル、1,1−ジフェニル−エチレンスルフィド、チオグリシジル(メタ)アクリレート、チオグリシジルブチレート、ヨードメチルチイラン、4−(2,3−チオエポキシプロピル)モルフォリン、チオグリシジルメチルエーテル、2−フェニル−プロピレンスルフィド、2,3−チオエポキシプロピル−フルフリルエーテル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレンスルフィド、エチル−3−フェニルチオグリシデート、リモネンスルフィド、チオエポキシスクシン酸、3−チオグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3−チオグシリドキシプロピル)ペンタメチルジシロキサン、3−チオグリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、3−チオグリシドキシプロピル(メチル)ジエトキシシラン、3−チオグリシドキシプロピル(メチル)ジブトキシシラン、2−(3,4−チオエポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン、2−(3,4−チオエポキシシクロヘキシル)エチル(フェニル)ジエトキシシラン、2,3−チオエポキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、2,3−チオエポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシラン、3−チオグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−チオグリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−チオグリシドキシプロピルトリブトキシシラン、2−(3,4−チオエポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−チオエポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2,3−チオエポキシプロピルトリメトキシシラン、及び2,3−チオエポキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
<多官能エピスルフィド化合物>
多官能エピスルフィド化合物としては、分子内に少なくとも1つのチイラン環を持ち、かつ、チイラン環とオキシラン環との和が2つ以上であり、分子内に複数の芳香族骨格や脂環式骨格があるエピスルフィド化合物が挙げられる。
分子内にある、複数の芳香族骨格や脂環式骨格を連結する基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、炭素数1〜10の2価の非環式飽和炭化水素基、水酸基で置換された炭素数1〜10の2価の非環式飽和炭化水素基、エーテル結合、エステル結合、及びアミド結合、並びにこれらを2つから3つ組み合せた構造が挙げられる。
これらの中で、メチレン基、ジメチルメチレン基等、下記式(III)に示される構造が好ましい例として挙げられる。
また、複数の芳香族骨格や脂環式骨格を連結する部位においては、一方の骨格上の炭素と、他方の骨格上の炭素とが直接、共有結合で連結されていてもよい。
上記、複数の芳香族骨格や脂環式骨格が連結された例を、下記式(IV)及び式(V)に示す。
<ポリフェノール型エピスルフィド化合物や、ノボラック型エピスルフィド化合物等の芳香族エピスルフィド化合物>
芳香族エピスルフィド化合物は、芳香族骨格を有し、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。また、チイラン環の他に、オキシラン環を有する化合物も含まれる。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
芳香族エピスルフィド化合物の種類としては、特に限定されるものではないが、硬化物の物性に優れ、原料の入手が容易であることから、後述の(1)ポリフェノール型エピスルフィド化合物や、(2)ノボラック型エピスルフィド化合物、(3)ハロゲン化フェノール類を骨格に持つエピスルフィド化合物が好ましく、ポリフェノール型エピスルフィド化合物がより好ましい。
[(1)ポリフェノール型エピスルフィド化合物]
芳香族エピスルフィド化合物の一例であるポリフェノール型エピスルフィド化合物とは、芳香族骨格が、フェノール骨格又はポリフェノール骨格である多官能エピスルフィド化合物である。
当該ポリフェノール型エピスルフィド化合物としては、特に限定されるものではなく、原料の入手が容易であることから、ビスフェノール型エピスルフィド化合物が好ましい。
ポリフェノール型エピスルフィド化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4’−ビフェノール、ジメチル−4,4’−ビフェニルフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、2,6−ジ(t−ブチル)ハイドロキノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、及びフェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物のチオグリシジルエーテル化物が挙げられる。
上記の中でも、製造が容易であり、本実施形態の(樹脂)組成物の製造コストが抑制され、経済性に優れる観点から、ビスフェノールA骨格又はビスフェノールF骨格を有するフェノール類のチオグリシジルエーテル化物が好ましい。
芳香族エピスルフィド化合物の繰り返し単位(下記(VI)の代表例におけるn)は、特に限定されるものではないが、好ましくは50未満、より好ましくは0.001〜5、さらに好ましくは0.01〜2である。
繰り返し単位nが0.001以上であると、硬化における反応性が良好なものとなり、50未満であると実用上十分な流動性が得られる。
上述の反応性と流動性のバランスの観点から、芳香族エピスルフィド化合物の繰り返し単位nは0.01〜2であることがより好ましい。
ポリフェノール型エピスルフィド化合物の代表的な例を下記(VI)に示す。
[(2)ノボラック型エピスルフィド化合物]
ノボラック型エピスルフィド化合物とは、ノボラック化合物の骨格を有し、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物であれば、特に限定されるものではなく、チイラン環の他に、オキシラン環を有する化合物も含まれる。
これらは、1種のみを単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ノボラック型エピスルフィド化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、及びナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック化合物、キシリレン骨格含有フェノールノボラック化合物、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック化合物、ビフェニル骨格含有フェノールノボラック化合物、並びに、フルオレン骨格含有フェノールノボラック化合物等の各種ノボラック化合物のチオグリシジルエーテル化物等が挙げられる。
上記の中でも、製造が容易であり、本実施形態の(樹脂)組成物の製造コストが抑制され、経済性に優れる観点から、フェノール又はクレゾール類等を原料とするノボラック化合物のチオグリシジルエーテル化物が好ましい。
ノボラック型エピスルフィド化合物の代表的な例を下記式(VII)に示す。
[(3)ハロゲン化フェノール類を骨格に持つエピスルフィド化合物]
ハロゲン化フェノール類を骨格に持つエピスルフィド化合物とは、ハロゲン化フェノール類の骨格を有し、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物であれば、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン化フェノール類をチオグリシジル化したエピスルフィド化合物等が挙げられる。
具体的には、ブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック、クロル化ビスフェノールS、及びクロル化ビスフェノールA等のハロゲン化フェノール類をチオグリシジルエーテル化したエピスルフィド化合物等が挙げられる。
<芳香族エピスルフィド化合物の核水素化物>
芳香族エピスルフィド化合物の核水素化物は、脂環式骨格を有し、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物であれば、特に限定されるものではなく、チイラン環の他に、オキシラン環を有する化合物も含まれる。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
芳香族エピスルフィド化合物の核水素化物の製造方法としては、特に限定されず、例えば、芳香族エポキシ化合物の核水素化物をチア化する方法や、芳香族エピスルフィド化合物を核水素化する方法等が挙げられる。
芳香族エピスルフィド化合物の核水素化物の、好ましい脂環式骨格としては、ポリフェノールを核水素化した骨格が挙げられる。
当該脂環式骨格としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フェノール化合物(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェノール等)又は各種フェノール(フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等)の芳香環を核水素化したものや、ノボラック樹脂を核水素化したもの等が挙げられる。
芳香族エピスルフィド化合物の核水素化物は、以下に限定されるものではないが、例えば、フェノール化合物(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェノール等)のチオグリシジルエーテル化物、又は各種フェノール(フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等)の芳香環を核水素化したもの、並びに、ノボラック化合物のチオグリシジルエーテル化物の核水素化物が挙げられる。
芳香族エピスルフィド化合物の核水素化物の繰り返し単位(下記(VIII)の代表例におけるn)は、特に限定されるものではないが、好ましくは50未満、より好ましくは0.001〜5、さらに好ましくは0.01〜2である。
繰り返し単位が0.001以上であると、硬化における反応性が良好となり、50未満であると実用上良好な流動性が得られる。
上述の反応性と流動性のバランスの観点から、繰り返し単位は0.01〜2であることがより好ましい。
芳香族エピスルフィド化合物の核水素化物の代表的な例を下記に示す。
<脂環式エピスルフィド化合物>
脂環式エピスルフィド化合物とは、脂環式エピスルフィド構造を有するエピスルフィド化合物であり、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物であれば、特に限定されるものではなく、チイラン環の他に、オキシラン環を有する化合物も含まれる。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
脂環式エピスルフィド化合物としては、例えば、シクロヘキセンスルフィド基、トリシクロデセンスルフィド基又はシクロペンテンスルフィド基等を有するエピスルフィド化合物等が挙げられる。
脂環式エピスルフィド化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、3,4−チオエポキシシクロヘキセニルメチル−3',4'−チオエポキシシクロヘキセンカルボキシレート、3,4−チオエポキシシクロヘキシルメチル−3,4−チオエポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−チオエポキシシクロヘキシルオクチル−3,4−チオエポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−チオエポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−チオエポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−チオエポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジスルフィド、ビス(3,4−チオエポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−チオエポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3,4−チオエポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−チオエポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジチオエポキサイド、エチレングリコールジ(3,4−チオエポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−チオエポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、及び1,2,8,9−ジチオエポキシリモネンが挙げられる。他の多官能脂環式エピスルフィド化合物としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−チイラニル)シクロヘキセン又は1,2−チオエポキシ−4−(2−チイラニル)シクロヘキセン付加物等が挙げられる。
脂環式エピスルフィド化合物の代表的な例を下記式(IX)に示す。
<複素環式エピスルフィド化合物>
複素環式エピスルフィド化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、イソシアヌル環、及びヒダントイン環等の複素環を有する複素環式エピスルフィド化合物が挙げられる。
<チオグリシジルエステル系エピスルフィド化合物>
チオグリシジルエステル系エピスルフィド化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル及びテトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等の、カルボン酸化合物から誘導されるエピスルフィド化合物が挙げられる。
<チオグリシジルアミン系エピスルフィド化合物>
チオグリシジルアミン系エピスルフィド化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アニリン、トルイジン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン誘導体及びジアミノメチルベンゼン誘導体等のアミンをチオグリシジル化したエピスルフィド化合物が挙げられる。
<ハロゲン化フェノール類をチオグリシジル化したエピスルフィド化合物>
ハロゲン化フェノール類をチオグリシジル化した化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ブロムフェノール、クロルフェノール、ブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック、クロル化ビスフェノールS、及びクロル化ビスフェノールA等のハロゲン化フェノール類を、チオグリシジルエーテル化したエピスルフィド化合物等が挙げられる。
<(含硫)多官能脂肪族エピスルフィド化合物>
(含硫)多官能脂肪族エピスルフィド化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,1−ビス(エピチオエチル)メタン、1−(エピチオエチル)−1−(β−エピチオプロピル)メタン、1,1−ビス(β−エピチオプロピル)メタン、1−(エピチオエチル)−1−(β−エピチオプロピル)エタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルエタン、1−(エピチオエチル)−3−(β−エピチオプロピル)ブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピル)プロパン、1−(エピチオエチル)−4−(β−エピチオプロピル)ペンタン、1,4−ビス(β−エピチオプロピル)ブタン、1−(エピチオエチル)−5−(β−エピチオプロピル)ヘキサン、1−(エピチオエチル)−2−(γ−エピチオブチルチオ)エタン、1−(エピチオエチル)−2−〔2−(γ−エピチオブチルチオ)エチルチオ〕エタン、テトラキス(β−エピチオプロピル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピル)プロパン、1,3−ビス(β−エピチオプロピル)−1−(β−エピチオプロピル)−2−チアプロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピル)−2,4−ビス(β−エピチオプロピル)−3−チアペンタン、1,3または1,4−ビス(エピチオエチル)シクロヘキサン、1,3または1,4−ビス(β−エピチオプロピル)シクロヘキサン、2,5−ビス(エピチオエチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピル)−1,4−ジチアン、4−エピチオエチル−1、2−シクロヘキセンスルフィド、2,2−ビス〔4−(エピチオエチル)シクロヘキシル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピル)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(エピチオエチル)シクロヘキシル〕メタン、ビス〔4−(β−エピチオプロピル)シクロヘキシル〕メタン、ビス〔4−(β−エピチオプロピル)シクロヘキシル〕スルフィド、ビス〔4−(エピチオエチル)シクロヘキシル〕スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)エーテル、ビス(β−エピチオプロピルオキシ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)プロパン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)プロパン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−2−(β−エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ブタン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−3−(β−エピチオプロピルオキシメチル)ブタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ペンタン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−4−(β−エピチオプロピルオキシメチル)ペンタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−5−(β−エピチオプロピルオキシメチル)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−2−〔(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシ〕エタン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−2−[〔2−(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシエチル〕オキシ]エタン、テトラキス(β−エピチオプロピルオキシメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−2−(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−2,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアペンタン;1−(β−エピチオプロピルオキシ)−2,2−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エピチオプロピルオキシ)−4−(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4−(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−5−(β−エピチオプロピルオキシメチル)−5−〔(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシメチル〕−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−5,6−ビス〔(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシ〕−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−5,7−〔(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシメチル〕−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,3または1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキサン、1,3または1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)シクロヘキサン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシエチルオキシメチル)−1,4−ジチアン、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)トリスルフィド、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、ビス(β−エピチオプロピルジチオ)メタン、ビス(β−エピチオプロピルジチオ)エタン、ビス(β−エピチオプロピルジチオエチル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピルジチオエチル)ジスルフィド、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−3−(β−エピチオプロピルチオメチル)ブタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ペンタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)ペンタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ〕エタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−[〔2−(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオエチル〕チオ]エタンテトラキス(β−エピチオプロピルチオメチル)メタン、テトラキス(β−エピチオプロピルジチオメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,2,3−トリス(β−エピチオプロピルジチオ)プロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルジチオメチル)−2−(β−エピチオプロピルジチオエチルチオ)−4−チアヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)−5−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,6−ビス〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ〕−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、テトラ〔2−(β−エピチオプロピルチオ)アセチルメチル〕メタン、1,1,1−トリ〔2−(β−エピチオプロピルチオ)アセチルメチル〕プロパン、テトラ〔2−(β−エピチオプロピルチオメチル)アセチルメチル〕メタン、1,1,1−トリ〔2−(β−エピチオプロピルチオメチル)アセチルメチル〕プロパン、1,3または1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3または1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルジチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオエチルチオメチル)−1,4−ジチアン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕スルフィド等が挙げられる。
上記の中でも、製造が容易であるため、本実施形態の(樹脂)組成物の製造コストが抑制でき、経済性に優れることから、(含硫)多官能脂肪族エピスルフィド化合物としては、以下の群から選ばれる、少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
すなわち、例えば、ビス(β−エピチオプロピルオキシ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)プロパン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)プロパン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−2−(β−エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ブタン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−3−(β−エピチオプロピルオキシメチル)ブタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−5−(β−エピチオプロピルオキシメチル)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−2−〔(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシ〕エタン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−2−[〔2−(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシエチル〕オキシ]エタン、テトラキス(β−エピチオプロピルオキシメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−2,2−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エピチオプロピルオキシ)−4−(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4−(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,3または1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキサン、1,3または1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)シクロヘキサン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシエチルオキシメチル)−1,4−ジチアン、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、ビス(β−エピチオプロピルジチオ)メタン、ビス(β−エピチオプロピルジチオ)エタン、ビス(β−エピチオプロピルジチオエチル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピルジチオエチル)ジスルフィド、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−3−(β−エピチオプロピルチオメチル)ブタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ〕エタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−[〔2−(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオエチル〕チオ]エタンテトラキス(β−エピチオプロピルチオメチル)メタン、テトラキス(β−エピチオプロピルジチオメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,2,3−トリス(β−エピチオプロピルジチオ)プロパン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルジチオメチル)−2−(β−エピチオプロピルジチオエチルチオ)−4−チアヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、テトラ〔2−(β−エピチオプロピルチオ)アセチルメチル〕メタン、1,1,1−トリ〔2−(β−エピチオプロピルチオ)アセチルメチル〕プロパン、テトラ〔2−(β−エピチオプロピルチオメチル)アセチルメチル〕メタン、1,1,1−トリ〔2−(β−エピチオプロピルチオメチル)アセチルメチル〕プロパン、1,3または1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3または1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルジチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオエチルチオメチル)−1,4−ジチアン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕スルフィドが挙げられる。
<分子内にチイラン環を有するシリコーン化合物>
分子内にチイラン環を有するシリコーン化合物は、特に限定されるものではなく、例えば、下記式(X)で表される化合物から選ばれ得る。
(R101112SiO1/2a(R1314SiO2/2b(R15SiO3/2c(SiO4/2d ・・・(式X)
式(X)中、a、b、c及びdは、それぞれ、a+b+c+d=1.0を満たす数値であり、0≦a/(a+b+c+d)≦1、0≦b/(a+b+c+d)≦1、0≦c/(a+b+c+d)≦1、かつ0≦d/(a+b+c+d)<1である。
10〜R15のうち少なくとも1個は、チイラン環を含有する基を表し、その他のR10〜R15は、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜8の炭化水素基又は該炭化水素基がフッ素化された基を表す。これらは互いに同一であっても異なっていてもよい。
<異種重合性官能基含有エピスルフィド化合物>
異種重合性官能基含有エピスルフィド化合物は、特に限定されるものではなく、例えば下記式(XI)で表される化合物から選ばれ得る。
上記式(XI)中、R20〜R22は、チア化されていてもよい置換又は未置換の鎖状、分岐状、環状の脂肪族又は芳香族炭化水素基を示す。
m、n、o及びpは、それぞれ独立に1以上の数を示す。
Xは、チイラン環又はチイラン環部位を含む置換基を示す。
Yは、単種の重合性官能基を示す場合、チイラン環又はチイラン環部位を含む置換基、ラクトン構造、環状カーボネート構造、及びその含硫黄類縁構造、環状アセタール構造、及びその含硫黄類縁構造、環状アミン構造、環状イミノエーテル構造、ラクタム構造、環状チオウレア構造、環状ホスフィナート構造、環状ホスホナイト構造、環状ホスファイト構造、ビニル構造、アリル構造、(メタ)アクリル構造、シクロアルカン構造、からなる群より選ばれる構造を示す。
Yが複数種の重合性官能基を示す場合、上記の群より選ばれる少なくとも2種の構造を示す。
((A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物の製造方法)
本実施形態の(樹脂)組成物に含有される、(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物の製造方法は、目的とする(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物が合成できる方法であれば、特に制限されるものではないが、例えば、下記に示す方法が挙げられる。
(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物の好ましい製造方法としては、エポキシ化合物を原料として、当業者に公知の方法により、硫化物を用いてオキシラン環をチイラン環に変換する方法が挙げられる。
なお、このとき、オキシラン環のうちの一部がチイラン環に変換されずに残存したチイラン環を有していない化合物が含有され得る。
(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物を製造する際に、原料として使用するエポキシ化合物は、少なくとも1つのオキシラン環を有する化合物であれば、特に限定されるものではなく、例えば、後述するエポキシ化合物に例示の化合物等を、原料として使用することができる。
この原料としてのエポキシ化合物は、1種のみを単独で使用しても、複数種を組み合わせて使用してもよい。
(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物は、原料エポキシ化合物のオキシラン環の、一部あるいは全てが、チイラン環に変換することによって得られるが、上述したように、チイラン環を有さず、オキシラン環を有する化合物を含有し得る。
このオキシラン環のチイラン環への変換率(以下、S化率とも言う。)は、本実施形態の(樹脂)組成物の高速硬化性の観点から5%以上であることが好ましい。S化率は、好ましくは10〜100%、より好ましくは30〜100%、さらに好ましくは50〜100%である。
S化率が低い方が、生産効率は高くなる。
但し、本実施形態の(樹脂)組成物を高屈折率化が必要な用途に使用する場合、S化率が高い方が有利である。かかる場合、好ましいS化率は80〜100%、より好ましくは90〜100%、さらに好ましくは95〜100%、さらにより好ましくは98〜100%である。
前記S化率は、反応温度、反応時間、チア化剤の配合量等により制御することができる。また、S化率は、S化率が既知の複数のチイラン環を有する化合物を混合することによっても調整することができる。
S化率は(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物をNMR測定することにより求めることができる。具体的には後述する〔実施例〕に記載の方法により測定することができる。
上記のように、エポキシ化合物のオキシラン環をチイラン環に変換するためには、エポキシ化合物のオキシラン環にチア化剤を反応させ、チイラン環を生成することが必要である。
チア化剤としては、オキシラン環と反応して、チイラン環を生成させることができる化合物であれば、特に限定されるものではない。
チア化剤は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
チア化剤は、チオ尿素類及びチオシアン酸塩からなる群より選択される、少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。より好ましくは、チア化剤は、チオ尿素、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム及びチオシアン酸アンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物であり、さらに好ましくはチオ尿素である。
チオ尿素類及びチオシアン酸塩は、入手が容易であることから、経済性に優れる傾向にある。
また、チオ尿素、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム及びチオシアン酸アンモニウムを使用すると、反応時間が短く生産性が高い傾向があり、同様の観点からチオ尿素がさらにより好ましい。
前記チア化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ルビジウム、チオシアン酸セシウム、チオシアン酸銀、チオシアン酸第一コバルト、チオシアン酸第二水銀、チオシアン酸第一タリウム、チオシアン酸第一銅、二チオシアン酸鉛、二チオシアン酸ニッケル、二チオシアン酸バリウム、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸グアニジン、チオ尿素、N,N’−ジメチルチオ尿素、N,N,N’,N’−テトラメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、プロピルチオ尿素、N,N’−ジイソプロピルチオ尿素、N,N’−ジブチルチオ尿素、N−メチル−N’−(2−メチル−2−プロペニル)チオ尿素、N−フェニルチオ尿素、N,N’−ジフェニルチオ尿素、1−メチル−2−イミダゾリヂンチオン、1−ベンジル−2−チオ尿素、N−(3,5−ジメチルフェニル)チオ尿素、N−(2,6−ジメチルフェニル)チオ尿素、N−(2,3−ジメチルフェニル)チオ尿素、N−(2,4,6−トリメチルフェニル)チオ尿素、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)チオ尿素、N,N’−ビス(3,5−ジメチルフェニル)チオ尿素、N,N’−ビス(2,6−ジメチルフェニル)チオ尿素、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)チオ尿素、N−(2−クロロフェニル)チオ尿素、N−(3−クロロフェニル)チオ尿素、N−(4−クロロフェニル)チオ尿素、N−(3,4−ジクロロフェニル)チオ尿素、N−(3,5−ジクロロフェニル)チオ尿素、N−(2,6−ジクロロフェニル)チオ尿素、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)チオ尿素、N,N’−ビス(2−クロロフェニル)チオ尿素、N,N’−ビス(3,5−ジクロロフェニル)チオ尿素、N,N’−ビス(2,6−ジクロロフェニル)チオ尿素、N−(2−フルオロフェニル)チオ尿素、N−(3−フルオロフェニル)チオ尿素、N−(4−フルオロフェニル)チオ尿素、N−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]チオ尿素、N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]チオ尿素、N−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]チオ尿素、N−(2,6−ジフルオロフェニル)チオ尿素、N−(2,4−ジフルオロフェニル)チオ尿素、N−(2,3−ジフルオロフェニル)チオ尿素、N−(2,4,6−トリフルオロフェニル)チオ尿素、N,N’−ビス(2−フルオロフェニル)チオ尿素、N,N’−ビス(2,6−ジフルオロフェニル)チオ尿素、N,N’−ビス(2,4,6−トリフルオロフェニル)チオ尿素、N−(2−シアノフェニル)チオ尿素、N−(3−シアノフェニル)チオ尿素、N−(4−シアノフェニル)チオ尿素、N−(3,5−ジシアノフェニル)チオ尿素、N,N’−ビス(4−シアノフェニル)チオ尿素、N,N’−ビス(3,5−ジシアノフェニル)チオ尿素、N−(2−メトキシフェニル)チオ尿素、N−(3−メトキシフェニル)チオ尿素、N−(4−メトキシフェニル)チオ尿素、N−(2,6−ジメトキシフェニル)チオ尿素、N−(3,5−ジメトキシフェニル)チオ尿素、N−(2,4,6トリジメトキシフェニル)チオ尿素、N,N’−ビス(4−メトキシフェニル)チオ尿素、N,N’−ビス(2,6−ジメトキシフェニル)チオ尿素、N,N’−ビス(2,4,6トリジメトキシフェニル)チオ尿素、N−(2−ニトロフェニル)チオ尿素、N−(3−ニトロフェニル)チオ尿素、N−(4−ニトロフェニル)チオ尿素、N−(3,5−ジニトロフェニル)チオ尿素、及びN,N’−ビス(3,5−ジニトロフェニル)チオ尿素等が挙げられる。
前記チア化剤は、所定の担体に担持された担持物として用いてもよい。
担体に担持されたチア化剤を有する担持物を用いることで、反応時間が短くなり、エピスルフィド化合物同士の重合物、及びエピスルフィド化合物とチア化剤との反応物の生成が抑制でき、収率が高められる。また、反応終了後、担持物を分離することで、チア化剤を分離する際の操作が容易になる傾向がある。
なお、ここでいう「担持」とは、担体上、又は担体内部にチア化剤を付着させることや、担体に含有されるアニオン性の原子や分子をチオイソシアン酸アニオンと交換することをいう。
担体としては、一般的に用いられるものがいずれも使用でき、以下に限定されるものではないが、例えば、シリカ(球状、破砕状、鱗片状等のどのような形状でもよく、また、酸性、中性のどちらでもよい)、アルミナ(球状、リング状、ペレット状等のどのような形状でもよく、また活性化処理を施してしても、いなくてもよい)、イオン交換樹脂(例えば、Dow Chemical社製のアンバーリストTM、アンバーライトTM、アンバージェットTM、ダウエックスTM、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン等)が挙げられる。
チア化剤は、不純物の含有率が少ない方が好ましい。
チア化剤に含有される不純物(例えば、硫酸塩、塩化物、硫化物、銅、鉛、鉄、ヨウ素、ナトリウム等)が少ないことは、本発明の効果をより高める観点から有利であり、反応終了後にエピスルフィド化合物、未反応のエポキシ化合物、チア化剤の硫黄原子が酸素原子に置換されて生成した化合物、チア化剤、及び多価水酸基化合物を、分離し、精製する際に、不純物の分離工程が必要なくなり、高純度な前記化合物が得られるという観点から有利である。
チア化剤の不純物の含有量は、5000ppm以下が好ましく、より好ましくは2000ppm以下であり、さらに好ましくは500ppm以下である。
チイラン環を有する化合物を製造する工程における、原料のエポキシ化合物と、チア化剤との反応の際のこれらの混合比率は、以下の式(1)で算出される混合指標αで表すことができる。
混合指標α=αt/αe ・・・(1)
前記式(1)中、αtは、チア化剤に含まれる、チイラン環の生成に用いられ得る硫黄原子の物質量(mol)を示し、αeはエポキシ化合物に含まれるオキシラン環の物質量(mol)を示す。
本実施形態において、混合指標αは、1〜5であることが好ましく、より好ましくは、1〜2である。
混合指標αが1以上であると、エポキシ化合物とチア化剤との反応時間がより短くなり、生産性が向上する傾向にある。混合指標αが5以下であると、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物とチア化剤との反応物の生成が抑制でき、収率が高められる傾向にある。
チア化反応は、無溶媒で行ってもよく、溶媒中で行ってもよい。
溶媒を使用するときは、チオ尿素又はチオシアン酸塩、更にエポキシ化合物いずれかが可溶のものを使用することが好ましい。
チア化反応において用いる溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水、「メタノール、エタノール等のアルコール類」、「ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類」、「メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のヒドロキシエーテル類」、「ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類」、「ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類」等が挙げられる。これらは、1種のみを単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
溶媒を2種以上組み合わせる場合の組み合わせとしては、例えば、アルコール類と水の組み合わせ、エーテル類、ヒドロキシエーテル類、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類とアルコール類との組み合わせ等が挙げられる。
中でも、反応速度と収率のバランスの観点から、芳香族炭化水素類とアルコール類との組み合わせが好ましく、特に、トルエンとメタノールとの組み合わせがより好ましい。
溶媒を組み合わせる際の組成比は、特に限定されるものではないが、例えば、芳香族炭化水素類とアルコール類との比率は、芳香族炭化水素類:アルコール類=90:10〜30:70が好ましく、より好ましくは80:20〜40:60、さらに好ましくは70:30〜50:50である(質量比、合計で100)。
チア化反応を溶媒中で行う場合、原料エポキシ化合物と溶媒との比率は、特に限定されるものではないが、好ましくは、原料エポキシ化合物:溶媒=5:95〜50:50、より好ましくは10:90〜40:60、さらに好ましくは15:85〜30:70である。
なお、前記比率は質量比であるものとし、合計で100とする。
上記比率の場合、反応液を適正な粘度に保つことが可能になり、品質を安定化することができる。
また、チア化反応を行う工程における反応液中に、酸および酸無水物等を重合抑制剤として添加することは、反応成績向上の観点から有効な手段である。
重合抑制剤である酸および酸無水物等としては、以下に限定されるものではないが、例えば、硝酸、塩酸、硫酸、発煙硫酸、ホウ酸、ヒ酸、燐酸、青酸、酢酸、過酢酸、チオ酢酸、蓚酸、酒石酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、マレイン酸、安息香酸、無水硝酸、無水硫酸、酸化ホウ素、五酸化ヒ酸、五酸化燐、無水クロム酸、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水安息香酸、無水フタル酸、シリカゲル、シリカアルミナ、塩化アルミニウム等が挙げられる。
中でも、副生物抑制の観点から、酸無水物を使用することが好ましく、入手のし易さの観点から、無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸がより好ましく、無水酢酸がさらに好ましい。
これらの酸又は酸無水物は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
上記酸又は酸無水物の添加量は、通常は、反応液の総量に対して0.001〜10質量%の範囲で用いられるが、好ましくは0.01〜1質量%である。
チア化反応を行う工程における温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは20〜100℃、より好ましくは30〜80℃、さらに好ましくは40〜65℃である。
チア化反応を行う工程における温度を20℃以上とすることにより、実用上十分な生産性が得られ、100℃以下とすることにより安定した品質を確保することができる。
チア化反応を行う工程における反応時間は、上記の各種条件下で反応が完結する時間であれば、特に限定されるものではないが、生産性の観点から、24時間以下が適当である。
チア化反応を行う工程における雰囲気は、特に限定されるものではないが、例えば、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス又は低級飽和炭化水素等の不活性ガスや空気中でチア化反応を行うことができる。
これらのガスの中でも、安全性と副生物抑制の観点から、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス又は低級飽和炭化水素等の不活性ガスが好ましく、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガスがより好ましく、窒素、ヘリウムが更に好ましく、窒素が特に好ましく用いられる。
チア化反応を行う工程における圧力は、上記ガスの雰囲気下、流通下、減圧下、加圧下又はこれらの組み合わせで行うことができる。なお、圧力は、一定である必要は無く、反応途中において変化させてもよい。
上記チア化反応(工程A)により得られる反応液は、そのまま使用してもよいが、反応液を更に洗浄する洗浄工程(工程B)を実施することにより、副生物を除去することが好ましい。
前記洗浄工程(工程B)で使用する洗浄液は、上述のチア化反応に使用することができる、水や溶媒であれば、特に限定されるものではない。洗浄液は1種のみを単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、洗浄回数は特に限定されるものではなく、洗浄回数ごとに、洗浄液の種類や、比率を変更してもよい。
また、得られる化合物の安定性向上の観点から、酸性水溶液を用いた洗浄を行うことも可能である。
酸性水溶液のpHは、特に限定されるものではないが、確実に安定化効果が得られることから、好ましくはpH6以下、より好ましくはpH3以下である。
上記酸性水溶液に用いる酸としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸、ホウ酸、ヒ酸、燐酸、青酸、酢酸、過酢酸、チオ酢酸、蓚酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、アスコルビン酸等が挙げられ、入手のし易さと効果のバランスから、硫酸が特に好ましい。これらの酸は、1種のみを単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上述した洗浄後の反応液中に、水、有機溶剤等が残存している場合は、後述の脱揮装置で除去する脱揮工程(工程C)を実施してもよい。
脱揮装置は、特に限定されるものではないが、例えば、ロータリーエバポレーター、留出管が備えられた竪型撹拌槽、表面更新型撹拌槽、薄膜蒸発装置、表面更新型二軸混練器、二軸横型撹拌器、濡れ壁式反応器、自由落下型の多孔板型反応器、支持体に沿わせて化合物を落下させながら揮発成分を留去させる反応器、凍結乾燥機、真空乾燥機等が挙げられる。
これらの装置は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
脱揮方法は、特に限定されるものではないが、加熱による変質を抑制する観点から、ロータリーエバポレーター等で、減圧下で、水や有機溶剤を留去する方法が好ましい。
減圧下での留去は、通常0.1〜10000Paの圧力で、10〜100℃で実施する。留去時間は、特に限定されるものではないが、通常24時間以下が適当である。
更に、得られた反応液や樹脂の純度を上げるために、蒸留やろ過等を行い精製してもよい。通常、蒸留は0.1〜10000Paの減圧下で、0〜100℃で実施する。ろ過は0.05〜10ミクロ程度の孔径を有するフィルターで、凝固点〜50℃で不純物やポリマー等を濾過する。
上述したように、本実施形態の(樹脂)組成物に含まれる(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物の製造方法の好ましい形態として、下記(工程A)〜(工程C)を経る製造方法が挙げられる。
(工程A):エポキシ化合物を、アルコール及びトルエンの共存下、40〜65℃で、チオ尿素類又はチオシアン酸塩と反応させる工程。
(工程B):工程Aで得られた反応液を、洗浄する工程。
(工程C):工程Bで得られた洗浄液を、脱揮する工程。
((B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物)
本実施形態の(樹脂)組成物は、(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、(B)成分と記載する場合がある。)を含有する。
なお、「(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物」とは、1分子中に、少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物である。
1分子中に、エチレン性不飽和基1つしか持たない化合物を用いて、上述した(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物と組み合わせ、(樹脂)組成物を製造した場合、硬化反応後に、何らかの原因でエチレン性不飽和基が未反応で残留した場合、当該化合物の揮発やブリードアウト等を引き起こすおそれがある。
それに対し、1分子中に、少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を用いた場合は、未反応のエチレン性不飽和基が1つ残留したとしても、もう1つのエチレン性不飽和基が反応していれば、当該化合物の揮発やブリードアウト等の可能性を低減化することができる。
上記(B)成分における、1分子中の、エチレン性不飽和基の数は、2つ以上であれば、特に限定されないが、本実施形態の(樹脂)組成物の保存安定性向上や、硬化物の耐熱性向上の観点から、好ましくは3つ以上、より好ましくは4つ以上、さらに好ましくは6つ以上である。
(B)成分におけるエチレン性不飽和基の数が多いほど、当該(B)成分の化合物の揮発やブリードアウト等の可能性は低くなり、さらに、架橋形成により、硬化物の分子量低下を抑制できる。
また、上記(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物は、1種のみを単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記エチレン性不飽和基は、ラジカル反応性を有することが好ましい。
ここで言う、ラジカル反応性とは、ラジカル活性種によって、重合反応又は付加反応を誘発される性質を指す。
上述した(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物を含む(樹脂)組成物を硬化する際に、カチオン重合又はアニオン重合を主体とした反応機構を設計する場合が多いことから、ラジカル重合反応又は付加反応を併用することで、硬化物中の架橋構造のバリエーションを増やすことができる。
上記(B)成分における、エチレン性不飽和基の構造は、特に限定されないが、例えば、下記一般式(1−1)〜(1−3)のような構造が挙げられる。
一般式(1−1)〜(1−3)において、R31〜R41は、各々独立に、水素原子または1価の有機基を表す。
ここで、1価の有機基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、ウレイド基、ウレタン基などが挙げられ、これらの基はさらにこれらの置換基で置換されていてもよい。
なお、以降の各基や各一般式における1価の有機基もしくは置換基も同様の基が挙げられる。
前記式(1−1)中、R31は水素原子または置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、メチル基がより好ましい。
また、式(1−1)〜(1−3)中、R32、R33、R34〜R38、R40およびR41は、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホン基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がより好ましい。
式(1−3)中、R39は水素原子または置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、メチル基がより好ましい。
式(1−1)〜(1−3)中、X〜Zは、各々独立に、酸素原子、「水素原子、1価の有機基もしくは置換基を有してもよい炭素原子」、硫黄原子、又は−N(R42)−を表し、R42は水素原子または1価の有機基を表す。
42は置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がより好ましい。
Zは、酸素原子、「水素原子、1価の有機基もしくは置換基を有してもよい炭素原子」、硫黄原子、−N(R43)−または置換基を有してもよいフェニレン基を表す。
43は水素原子または1価の有機基を表す。
43は置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、メチル基、エチル基、イソプロピル基がより好ましい。
ここで、上記の各基が有してもよい置換基(置換基を有してもよいアルキル基等における、有してもよい置換基)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記の1価の有機基で挙げた基が挙げられ、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基、シアノ基が好ましい。
上記(B)成分におけるエチレン性不飽和基の構造としては、上記一般式(1−1)〜(1−3)で表される基のうち、反応性と入手のし易さの観点から、一般式(1−1)で表される基が好ましい。
上記一般式(1−1)で表される基のうち、R31は水素原子又はメチル基であることが好ましく、より好ましくは水素原子である。さらに、R32及びR33は、水素原子であることが好ましい。
また、上記一般式(1−1)〜(1−3)で表される基におけるX〜Zは、安定性と入手のし易さの観点から、酸素原子、「水素原子、1価の有機基もしくは置換基を有してもよい炭素原子」が好ましく、より好ましくは酸素原子である。
上記(B)成分におけるエチレン性不飽和基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビニル基、ビニルエステル基、ビニルエーテル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、スチリル基、アリル基、アリルエーテル基、プロペニル基、ブテニル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基等が挙げられる。
特に、反応性と入手のし易さの観点から、ラジカル重合性を有する有機基が好ましく、より好ましくは、ビニル基、ビニルエーテル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、スチリル基であり、さらに好ましくは、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、特に好ましくは、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基である。
上記(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物は、同一のエチレン性不飽和基を有していても、2種以上の異なるエチレン性不飽和基を有していてもよい。
上記(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2官能以上の(メタ)アクリレート、2官能以上のビニル化合物、2官能以上のビニルエーテル化合物、2官能以上のアリル化合物、2官能以上の(メタ)アクリルアミド化合物等が挙げられる。
特に、反応性と入手のし易さの観点から、2官能以上の(メタ)アクリレートが好ましく、より好ましくは3官能以上の(メタ)アクリレート、さらに好ましくは4官能以上の(メタ)アクリレートである。
上記(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれを選択してもよい。
また、これらは、1種のみの化合物を単独で使用しても、2種以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。
また、本実施形態の(樹脂)組成物の保存安定性維持の観点から、上記(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物は、水酸基を有さないことが好ましい。
<2官能以上の(メタ)アクリレート>
(B)成分としての2官能以上の(メタ)アクリレートとは、2つ以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を持つ化合物であれば、特に限定されず、アクリロイル基とメタクリロイル基の両方を有する化合物も含まれる。
また、上記2官能以上の(メタ)アクリレートには、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等も含まれる
[2官能(メタ)アクリレート]
前記2官能以上の(メタ)アクリレートのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ECH変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アクリロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、「PO、テトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート」、「ビスフェノールA−ジエポキシ−(メタ)アクリル酸付加物」、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノベンゾエートジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、1,1−(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、ジ(メタ)アクリル酸亜鉛、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
[3官能(メタ)アクリレート]
前記2官能以上の(メタ)アクリレートのうち、3官能(メタ)アクリレートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、アルコキシ変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、イソシアヌル酸トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)等が挙げられる。
[4官能(メタ)アクリレート]
前記2官能以上の(メタ)アクリレートのうち、4官能(メタ)アクリレートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エポキシ化大豆油テトラアクリレート等が挙げられる。
[5官能以上の(メタ)アクリレート]
前記2官能以上の(メタ)アクリレートのうち、5官能以上の(メタ)アクリレートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレートジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
2官能以上の(メタ)アクリレートの例を、以下に示す。
[2官能以上のポリエステル(メタ)アクリレート]
2官能以上の(メタ)アクリレートのうち、2官能以上のポリエステル(メタ)アクリレートとは、ポリエステル構造と、2つ以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を持つ化合物であれば、特に限定されず、アクリロイル基とメタクリロイル基の両方を有する化合物も含まれる。
2官能以上のポリエステル(メタ)アクリレートの製法は、特に限定されないが、例えば、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリオールと多塩基酸とを反応させることにより得られるポリエステルポリオールや、ポリオールを開始剤としてラクトン化合物の開環反応により得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
ポリオールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、トリメチルペンタンジオール、1,2−、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、1,2−ヒドロキシステアリルジオール、ダイマー酸を還元したジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。
多塩基酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、デカメチレンジカルボン酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等が挙げられる。
ラクトン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ε−カプロラクトン、ポリβ−メチル−δ−バレロラクトン等が挙げられる。
これらの物質は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用することも可能である。
2官能以上のポリエステル(メタ)アクリレートの、構成例を以下に示す。
2官能以上のポリエステル(メタ)アクリレートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、東亞合成(株)製「アロニックス」M−6100、M−6200、M−6250、M−6500、M−7100、M−7300K、M−8030、M−8530、M−8060、M−8100、M−8560、M−9050、ダイセル・オルネクス(株)製「EBECRYL」450、800、810、811、812、1830、846、851、852、853、1870、884、885、三菱レイヨン(株)製「ダイヤビーム」UK−4003、UK−4203、サンノブコ(株)製「フォトマー」5018、巴工業(株)製「CN」2203、2270、2271、2273、2274等が挙げられる。
[2官能以上のウレタン(メタ)アクリレート]
2官能以上の(メタ)アクリレートのうち、2官能以上のウレタン(メタ)アクリレートとは、ウレタン構造と、2つ以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を持つ化合物であれば、特に限定されず、アクリロイル基とメタクリロイル基の両方を有する化合物も含まれる。
2官能以上のウレタン(メタ)アクリレートの製法は、特に限定されないが、例えば、ポリオールとポリイソシアネートの反応物と、水酸基を有する(メタ)アクリレートとの付加反応で得ることができる。
ポリオールとしては、例えば、前述のものを使用できる。
ポリイソシアネートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、水添MDI、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、リジンエステルトリイソシアネート(LTI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、ノボルネンジイソシアネート(NBDI)、及び、上記ジイソシアネートの三量体やビウレット等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能以上のウレタン(メタ)アクリレートの、構成例を以下に示す。
2官能以上のウレタン(メタ)アクリレートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、フェニルグリシジルエーテルアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、荒川化学(株)製「ビームセット」502H、504H、505A−6、550B、575、577、サンノブコ(株)製「フォトマー」6008、6210、新中村化学(株)製、U−2PPA、U−6LPA、U−10HA、U−10PA、UA−1100H、U−15HA、UA−53H、UA−33H、U−200PA、UA−160TM、UA−290TM、UA−4200、UA−4400、UA−122P、UA−7100、UA−W2A、共栄社化学(株)製、AH−600、AT−600、UA−306H、UA−306I、UA−510H、UF−8001G、DAUA−167、日本合成化学(株)製「紫光」UV−1700B、UV−6300B、UV−7550B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7610B、UV−7620B、UV−7620EA、UV−7630B、UV−7640B、UV−7650B、UV−6630B、UV−7000B、UV−7510B、UV−7461TE、UV−2000B、UV−2750B、UV−3000B、UV−3200B、UV−3210EA、UV−3300B、UV−3310B、UV−3500BA、UV−3520TL、UV−3700B、UV−6640B、日本化薬(株)製「カヤラッド」UX−2201、UX−2301、UX−3301、UX−4101、MAX−5101、UX−6101、MAX−5100、UX−4101、根上工業(株)製「アートレジン」UN−333、UN−1255、UN−2600、UN−2700、UN−5500、UN−6060PTM、UN−6060P、UN−6200、UN−6300、UN−6301、UN−7600、UN−7700、UN−9000PEP、UN−9200A、UN−3320HA、UN−3320HB、UN−3320HC、UN−3320HS、UN−904、UN−901T、UN−905、UN−952、日立化成(株)製「ヒタロイド」4861、4863、「テステック」2300、2304、2310、2328、2350、DIC(株)製「ユニディック」V−4221、V−4260、V−4263、15−829、ダイセル・オルネクス(株)製「EBECRYL」210、220、230、270、1290、4858、5129、4858、5129、8210、8254、8301R、8402、8465、8804、8807、9260、9270、8311、8701、「KRM」8200、8200AE、8296、8452、8904、8667、大成ファインケミカル(株)製「アクリット」8UX−015A等が挙げられる。
[2官能以上のエポキシ(メタ)アクリレート]
2官能以上の(メタ)アクリレートのうち、2官能以上のエポキシ(メタ)アクリレートは、グリシジルエーテルと、(メタ)アクリル酸又はカルボン酸塩基を持つモノマーとの付加反応で得られ、2つ以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を持つ化合物であれば、特に限定されず、アクリロイル基とメタクリロイル基の両方を有する化合物も含まれる。
上記グリシジルエーテルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,6−ヘキサンジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、「2つ以上のグリシジルエーテル基を有する、ビスフェノールA型エポキシ、ビスフェノールF型エポキシ、水添ビスフェノールA型エポキシ、ナフタレン系エポキシ、カルドエポキシ、フェノールノボラックエポキシ、フルオレン系エポキシ」等が挙げられる。
2官能以上のエポキシ(メタ)アクリレートの、構成例を以下に示す。
2官能以上のエポキシ(メタ)アクリレートの具体例としては、以下に限定されるものではないが、例えば、「ビスフェノールAジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物」、「ビスフェノールFジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物」、「水添ビスフェノールAジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物」、脂肪族エポキシジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[2官能以上のポリブタジエン(メタ)アクリレート]
2官能以上の(メタ)アクリレートのうち、2官能以上のポリブタジエン(メタ)アクリレートとは、ポリブタジエン又は水添ポリブタジエン構造と、2つ以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を持つ化合物であれば、特に限定されず、アクリロイル基とメタクリロイル基の両方を有する化合物も含まれる。
2官能以上のポリブタジエン(メタ)アクリレートの製法は、特に限定されないが、例えば、水酸基を有するポリブタジエン又は水添ポリブタジエンを、(メタ)アクリレート化する方法、もしくは、ポリブタジエンの二重結合をエポキシ化し、(メタ)アクリル酸を付加する方法等が挙げられる。
[2官能以上のシリコーン(メタ)アクリレート]
2官能以上の(メタ)アクリレートのうち、2官能以上のシリコーン(メタ)アクリレートとは、シリコーン構造と、2つ以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を持つ化合物であれば、特に限定されず、アクリロイル基とメタクリロイル基の両方を有する化合物も含まれる。
具体的には、例えば、下記のような化合物が例示される。
(一般式(1−6)式中、R51は、それぞれ独立して、(メタ)アクリロイル基を含む有機基であり、R52は、それぞれ独立して、炭素数1以上30以下の炭化水素基、又は水素原子である。R53は、炭素数1以上30以下の炭化水素基、水素原子、又は(メタ)アクリロイル基を含む有機基である。)
製造と入手のし易さの観点から、式(1−6)中、R52は、メチル基又はフェニル基が好ましい。
<2官能以上のビニル化合物>
(B)成分としての2官能以上のビニル化合物とは、2つ以上のビニル基を持つ化合物であれば、特に限定されず、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、コハク酸ジビニル、フマル酸ジビニル、マレイン酸ジビニル、ジグリコール酸ジビニル、イタコン酸ジビニル、アセトンジカルボン酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、3,3’−チオジプロピオン酸ジビニル、trans−アコニット酸ジビニル、アジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、スベリン酸ジビニル、アゼライン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、デカン二酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニル、ブラシル酸ジビニル、trans−アコニット酸トリビニル、トリビニルベンゼン、アリルトリビニルシラン、アリルメチルジビニルシラン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン、1,3,5−トリビニル−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,1,3,3−テトラビニル−1,3−ジメチルジシロキサン等が挙げられる。
<2官能以上のビニルエーテル化合物>
(B)成分としての2官能以上のビニルエーテル化合物とは、2つ以上のビニルエーテル基を持つ化合物であれば、特に限定されず、例えば、ジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、EO変性ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、EO変性ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、(株)ダイセル製「ONB−DVE」、「OXT−DVE」、「4CH−DVE」等が挙げられる。
<2官能以上のアリル化合物>
(B)成分としての2官能以上のアリル化合物とは、2つ以上のアリル基を持つ化合物であれば、特に限定されず、例えば、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、コハク酸ジアリル、ジアリルクロレンデート、1,3−ジエテニルイミダゾリジン−2−オン、ジアリルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールF、ジアリルビスフェノールS、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、3−N,N−ジアリルアミノエチルイソプロペニルベンゼン、トリメリット酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
<2官能以上の(メタ)アクリルアミド化合物>
2官能以上の(メタ)アクリルアミド化合物とは、2つ以上の(メタ)アクリルアミド基を持つ化合物であれば、特に限定されず、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
<その他の化合物>
その他、(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸ビニル、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、アリルジメチルビニルシラン等が挙げられる。
上記(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物の融点は、特に限定されないが、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下である。(樹脂)組成物や硬化性(樹脂)組成物を製造する工程で、液状であることが好ましいからである。
上記(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物の沸点は、特に限定されないが、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上、特に好ましくは200℃以上である。硬化性(樹脂)組成物を熱硬化する工程で、揮発や突沸が起こりにくいからである。
上記(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物の分子量は、特に限定されないが、(A)成分との相溶性や反応性の観点から、好ましくは5000以下、より好ましくは3000以下、さらに好ましくは1000以下である。
上記(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物の25℃における粘度は、特に限定されないが、(A)成分との相溶性の観点から、好ましくは100Pa・s以下、より好ましくは80Pa・s以下、さらに好ましくは50Pa・s以下、特に好ましくは30Pa・s以下である。
((C)エステル化合物)
本実施形態の(樹脂)組成物は、上述した(A)成分及び(B)成分に加え、さらに、(C)エステル化合物(以下、(C)成分と記載する場合がある。)を含有してもよい。
(C)エステル化合物としては、オキソ酸のエステル化合物が好ましく、保存安定化効果と取扱性の観点から、無機酸エステル化合物がより好ましい。
無機酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ホウ酸、ケイ酸、シリコーン酸、塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸等が挙げられ、更に、それらのオリゴマーや重合体状の無水物であってもよい。
前記無機酸エステル化合物の中でも、入手のし易さと取扱性の観点から、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホウ酸エステルが好ましく、亜リン酸エステル又はホウ酸エステルがより好ましく、亜リン酸エステルがさらに好ましい。
(C)エステル化合物は、1種のみを単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
(C)エステル化合物のpHは、特に限定されるものではないが、好ましくは5.5〜8.5、より好ましくは6〜8、さらに好ましくは6.3〜7.7、さらにより好ましくは6.5〜7.5である。
後述する、本実施形態の硬化性(樹脂)組成物は、アニオン重合やカチオン重合で硬化させる場合があることから、安定的な硬化反応を維持するためには、中性に近いことが好ましい。
(C)エステル化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物100質量部に対し、0.02〜20質量部が好ましく、0.05〜10質量部がより好ましく、0.1〜5質量部がさらに好ましい。
(C)成分を(A)成分100質量部に対して0.02質量部以上配合することにより保存安定化効果が得られ、20質量部以下配合することにより、所望の硬化性や後述するプリプレグや繊維強化プラスチックを得る際の強化繊維との接着性が得られる。
<リン酸エステル>
前記(C)成分としてのリン酸エステルは、以下に限定されるものではないが、例えば、下記式(2)で表されるリン酸エステルが挙げられる。
具体的には、ジエチルベンジルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリn−ブチルホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、(RO)3P=O[R=ラウリル基、セチル基、ステアリル基又はオレイル基]、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(2−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、ブチルピロホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、アンモニウムエチルアシッドホスフェート、及び2−エチルヘキシルアシッドホスフェート塩等が挙げられる。
中でもジエチルベンジルホスフェートが好ましく用いられる。
(一般式(2)式中、R61〜R63において、R61は炭素数1以上30以下の炭化水素基であり;R62及びR63は、それぞれ独立に、炭素数1以上30以下の炭化水素基、又は水素原子である。)
<亜リン酸エステル>
前記(C)成分としての亜リン酸エステルの構造は、リン原子と有機基間がP−O結合を介して結合した、エステル化合物であれば、特に限定されるものではないが、例えば、下記式(3)〜(6)、(i)、(ii)で表される亜リン酸エステルが挙げられる。
(一般式(3)式中、R71〜R73において、R72は炭素数1以上30以下の炭化水素基であり;R71及びR73は、それぞれ独立に、炭素数1以上30以下の炭化水素基、又は水素原子である。)
(一般式(4)式中、R74及びR75は、それぞれ独立に、炭素数1以上30以下の炭化水素基、又は水素原子である。)
(一般式(5)式中、R76〜R79は、それぞれ独立に、炭素数1以上30以下の炭化水素基、又は水素原子である。)
(一般式(i)式中、R111及びR112は、それぞれ独立に、炭素数1以上30以下の炭化水素基、又は水素原子である。)
(一般式(ii)式中、R113〜R115は、それぞれ独立に、炭素数1以上30以下の炭化水素基、又は水素原子である。)
本実施形態の(樹脂)組成物中における相溶性や、貯蔵安定性の観点から、上述の式(3)及び(4)で表される亜リン酸エステルの中で、エステル部分(−P−O−R)の少なくとも1つが、ベンゼン環等の芳香環を含む構造であるものが好ましい。
芳香環が置換基を有する場合は、置換基は炭素数1〜6のアルキル基であるのが好ましく、置換位置はメタ位もしくはパラ位であるのが好ましい。
また、式(3)及び(4)で表される亜リン酸エステルでは、貯蔵安定性や取扱性の観点から、エステル部分(−P−O−R)にアルキル基を含む構造であるものも好ましく、中でも加水分解抑制の観点からは、アルキル基の炭素数は4以上であることが好ましく、耐熱性の観点からは、アルキル基の炭素数が6以上であることが好ましい。
式(5)のようなビスフェノール骨格を持つ亜リン酸エステルや、式(6)のような4つ以上の芳香環を持つ亜リン酸エステルは、本実施形態の(樹脂)組成物中における他の成分との相溶性や低加水分解性という観点で、優れた特性を示す。
亜リン酸エステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリn−ブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリイソデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、フェニルジイソオクチルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノイソデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ジノニルフェニルホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ジメチルハイドロジエンホスファイト、ジブチルハイドロジエンホスファイト、ジ(2−エチルヘキシル)ハイドロジエンホスファイト、ジラウリルハイドロジエンホスファイト、ジオレイルハイドロジエンホスファイト、ジフェニルハイドロジエンホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラ(C12〜C15アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト等が挙げられる。
中でも、エステル部分(−P−O−R)の少なくとも1つが、ベンゼン環等の芳香環を含む構造を含むという観点からは、例えば、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイトがより好ましく、エステル部分(−P−O−R)に、炭素数4以上のアルキル基を含む構造を含むという観点からは、トリエチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリステアリルホスファイト、ビス(2−エチルヘキシル)ハイドロゲンホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイトがより好ましい。
また、エステル部分(−P−O−R)の少なくとも1つが、ベンゼン環等の芳香環を含む構造を含み、かつ、炭素数4以上のアルキル基を含む構造を含むという観点からは、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラ(C12〜C15アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイトがより好ましい。
これらの中でも、汎用性と相溶性のバランスの観点から、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイトが、特に好ましい。
また、亜リン酸エステルとしては、市販品を利用することも可能であり、例えば、城北化学工業株式会社製の、JP−360、JP−351、JP−3CP、JP−302、JP−308E、JP−310、JP−312L、JP−333E、JP−318−O、JPM−308、JPM−311、JPM−313、JPS−312、JP−202、JPE−208、JP−212、JP−213D、JP−218−OR、JP−260、JPP−100、JPP−613M、JA−805、JPP−88、JPE−10、JPE−13R、JP−318E、JPP−2000PT、JP−650、JPH−3800、HBP等;株式会社ADEKA製の、「アデカスタブ」PEP−8、PEP−36、PEP−36A、HP−10、2112、2112RG、1178、1500、C、135A、3010、TPP等が挙げられる。
<ホウ酸エステル>
上記(C)成分としてのホウ酸エステル化合物は、ホウ素原子と有機基間がB−O結合を介して結合した、エステル化合物であれば、特に限定されるものではないが、例えば、下記式(7)、(8)で表されるホウ酸エステルが挙げられる。
(一般式(7)において、R81は炭素数1以上30以下の炭化水素基であり;R82及びR83は、それぞれ独立に、炭素数1以上30以下の炭化水素基、又は水素原子である。)
(一般式(8)において、R84は炭素数1以上30以下の炭化水素基であり;R85及びR86は、それぞれ独立に、炭素数1以上30以下の炭化水素基、又は水素原子である。)
(樹脂)組成物中における他の成分との相溶性や、貯蔵安定性の観点から、上述の式(7)及び(8)で表されるホウ酸エステルの中で、エステル部分(−B−O−R)の少なくとも1つが、ベンゼン環等の芳香環を含む構造であるものが好ましい。芳香環が置換基を有する場合は、置換基は炭素数1〜6のアルキル基であるのが好ましく、置換位置はメタ位もしくはパラ位であるのが好ましい。
また、前記式(7)及び(8)で表される化合物では、貯蔵安定性や取扱性の観点から、エステル部分(−B−O−R)にアルキル基を含む構造であるものも好ましく、中でも加水分解抑制の観点からは、アルキル基の炭素数は4以上であることが好ましく、耐熱性の観点からは、アルキル基の炭素数が6以上であることが好ましい。
ホウ酸エステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリ−t−ブチル、ホウ酸トリペンチル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリオクチル、ホウ酸トリヘキサデシル、ホウ酸トリオクタデシル、ホウ酸トリヘキサデシル、トリス(2−メトキシメチル)ボレート、ホウ酸トリシクロヘキシル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸トリベンジル、ホウ酸トリ(o−トリル)、2−エトキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン、2−イソプロポキシ−4,4,6−トリメチル−1,3,2−ジオキサボリナン、2−メトキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン、2,4,6−トリメトキシボロキシン等のトリ置換ホウ酸エステル化合物、ジイソプロポキシメチルボラン及びブチルジイソプロポキシボランなどのジ置換ホウ酸エステル化合物、ジエチルメトキシボランなどのモノ置換ホウ酸エステル化合物、2,4,6−トリメトキシボロキシン、2,4,6−トリフェニルボロキシン、メチル−1,3,2−ジオキサボリナン、2−ブチル−1,3,2−ジオキサボリナン、トリエタノールアミンボレート、ビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン、ビス(ピナコラト)ボロキシン及び4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノールなどの環状ホウ酸エステル化合物、また、それ以外に、トリエチレングリコールモノアルキルエーテルのホウ酸エステル、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)グリコールモノアルキルエーテルのホウ酸エステル、トリス(トリメチルシリル)ボレート、カテコールボランなどが挙げられる。
中でも、エステル部分(−B−O−R)の少なくとも1つが、ベンゼン環等の芳香環を含む構造を含むという観点からは、例えば、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸トリベンジル、ホウ酸トリ(o−トリル)がより好ましい。
エステル部分(−P−O−R)に、炭素数4以上のアルキル基を含む構造を含むという観点からは、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリ−t−ブチル、ホウ酸トリペンチル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリオクチル、ホウ酸トリヘキサデシル、ホウ酸トリオクタデシル、ホウ酸トリヘキサデシルがより好ましい。
(エポキシ化合物)
本実施形態の(樹脂)組成物は、上述した(A)成分、(B)成分、(C)成分に加えて、エポキシ化合物を、さらに含有してもよい。
エポキシ化合物とは、前述の(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物を構成する化合物を除く、分子内にオキシラン環、通常は2個以上のオキシラン環を有する化合物を指し、上述の要件を満たすものであれば、特に限定されるものではない。
エポキシ化合物は、1種のみを単独で用いてもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。
エポキシ化合物のエポキシ当量(WPE)は、100〜600g/eqであることが好ましく、より好ましくは100〜500g/eq、さらに好ましくは100〜300g/eqである。
エポキシ当量(WPE)が100g/eq以上であると、本実施形態の(樹脂)組成物において実用上良好な保存安定性が得られ、600g/eq以下であると、実用上良好な硬化物の物性が得られる。
また、エポキシ化合物は、25℃における粘度が1000Pa・s以下の液体であることが好ましく、より好ましくは500Pa・s以下、さらに好ましくは100Pa・s以下、さらにより好ましくは50Pa・s以下の液体である。
エポキシ化合物の25℃における粘度が1000Pa・s以下であると、液体としての良好な流動性が得られ、後述するアルコキシシラン化合物との相溶性が良好なものとなる。
また、25℃における粘度が500Pa・sを超え、1000Pa・s以下である場合(500Pa・s<粘度≦1000Pa・s)には、製造時の温度調整や溶媒選択等により使用可能であるが、製造条件がやや限定される傾向にあるため、500Pa・s以下であることが好ましい。
エポキシ化合物の種類は、特に限定されるものではなく、以下に限定されるものではないが、例えば、単官能エポキシ化合物、ポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、各種ノボラック化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物の核水素化物、複素環式エポキシ化合物、グリシジルエステル系エポキシ化合物、グリシジルアミン系エポキシ化合物、及びハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ化合物、含硫黄多官能脂肪族エポキシ化合物、分子内にエポキシ基を有するシリコーン化合物、異種重合性置換基含有エポキシ化合物等が挙げられる。
これらは1種のみを単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<単官能エポキシ化合物>
単官能エポキシ化合物は、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、ブタジエンオキシド、ブタジエンジエポキシド、シクロブテンオキシド、1,3−シクロブタジエンジエポキシド、1−ペンテンオキシド、2−ペンテンオキシド、1,3−ペンタジエンジエポキシド、1,4−ペンタジエンジエポキシド、2−メチル−2−ブテンオキシド、2−メチル−3−ブテンオキシド、シクロペンテンオキシド、1,3−シクロペンタジエンジエポキシド、1−メチル−シクロブテンオキシド、3−メチル−1−シクロブテンオキシド、1−ヘキセンオキシド、2−ヘキセンオキシド、3−ヘキセンオキシド、1,3−ヘキサジエンジエポキシド、1,4−ヘキサジエンジエポキシド、1,5−ヘキサジエンジエポキシド、1,3,5−ヘキサトリエントリエポキシド、シクロヘキセンオキシド、1,3−シクロヘキサジエンジエポキシド、1,3,5−シクロヘキサトリエントリエポキシド、1−メチル−シクロペンテンオキシド、3−メチル−シクロペンテンオキシド、1−メチル−1,3−シクロペンタジエンジエポキシド、2−メチル−1,3−シクロペンタジエンジエポキシド、5−メチル−1,3−シクロペンタジエンジエポキシド、3,4−ジメチル−シクロブテンオキシド、2,3−ジメチル−シクロブテンオキシド、1,2−ジメチル−シクロブテンオキシド、1,2−ジメチル−1,3−シクロブタジエンジエポキシド、2,3−ジメチル−1,3−シクロブタジエンジエポキシド、3,3−ジメチル−1,2−エポキシブタン、1−ヘプテンオキシド、2−ヘプテンオキシド、3−ヘプテンオキシド、1,3−ヘプタジエンジエポキシド、1,4−ヘプタジエンジエポキシド、1,5−ヘプタジエンジエポキシド、1,5−ヘプタジエンジエポキシド、1,6−ヘプタジエンジエポキシド、1,3,5−ヘプタトリエントリエポキシド、1,3,6−ヘプタトリエントリエポキシド、1,4,6−ヘプタトリエントリエポキシド、シクロヘプテンオキシド、1−メチル−シクロヘキセンオキシド、3−メチル−シクロヘキセンオキシド、4−メチル−シクロヘキセンオキシド、1−メチル−1,3−シクロヘキサジエンジエポキシド、1−メチル−1,4−ヘキサジエンジエポキシド、1−メチル−1,3,5−ヘキサトリエントリエポキシド、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキセン、2−ノルボルネンオキシド、7−メチル−2−ノルボルネンオキシド、7,7−ジメチル−2−ノルボルネンオキシド、2−メチル−2−ノルボルネンオキシド、2,3−ジメチル−2−ノルボルネンオキシド、2,7−ジメチル−2−ノルボルネンオキシド、2,7,7−トリメチル−2−ノルボルネンオキシド、2,3−エポキシ−ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,3−エポキシ−2−メチル−ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,3−エポキシ−2,3−ジメチル−ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,3−エポキシ−2,5−ジメチル−ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,3−エポキシ−2,6−ジメチル−ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,3−エポキシ−2,3,5−トリメチル−ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,3−エポキシ−2,5,6−トリメチル−ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,3−エポキシ−2,3,5,6−テトラメチル−ビシクロ[2,2,2]オクタン、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、スチベンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)−1,2−エポキシプロパン、ピネンオキシド、イソプレンモノオキシド、1,2−エポキシエチルベンゼン、ナフチルグリシジルエーテル、3−(2−ビフェニロキシ)−1,2−エポキシプロパン、アリルグリシジルエーテル、1,1−ジフェニル−エチレンオキシド、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルブチレート、ヨードメチルオキシラン、4−(2,3−エポキシプロピル)モルフォリン、グリシジルメチルエーテル、2−フェニル−プロピレンオキシド、2,3−エポキシプロピル−フルフリルエーテル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレンオキシド、エチル−3−フェニルグリシデート、フォスミドマイシン、リモネンオキシド、エポキシスクシン酸、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3−グシリドキシプロピル)ペンタメチルジシロキサン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(フェニル)ジエトキシシラン、2,3−エポキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、2,3−エポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2,3−エポキシプロピルトリメトキシシラン、及び2,3−エポキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記の中でも、標準状態における蒸気圧が高く、取り扱いが容易であり、重合物の生成や、チア化剤とチイラン環との反応を抑制できる傾向にあることから、単官能エポキシ化合物としては、以下の群から選ばれる、少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
すなわち、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、ブタジエンオキシド、ブタジエンジエポキシド、シクロブテンオキシド、1,3−シクロブタジエンジエポキシド、1−ペンテンオキシド、2−ペンテンオキシド、1,3−ペンタジエンジエポキシド、1,4−ペンタジエンジエポキシド、2−メチル−2−ブテンオキシド、2−メチル−3−ブテンオキシド、シクロペンテンオキシド、1,3−シクロペンタジエンジエポキシド、1−メチル−シクロブテンオキシド、3−メチル−1−シクロブテンオキシド、1−ヘキセンオキシド、2−ヘキセンオキシド、3−ヘキセンオキシド、1,3−ヘキサジエンジエポキシド、1,4−ヘキサジエンジエポキシド、1,5−ヘキサジエンジエポキシド、1,3,5−ヘキサトリエントリエポキシド、シクロヘキセンオキシド、1,3−シクロヘキサジエンジエポキシド、1,3,5−シクロヘキサトリエントリエポキシド、1−メチル−シクロペンテンオキシド、3−メチル−シクロペンテンオキシド、1−メチル−1,3−シクロペンタジエンジエポキシド、2−メチル−1,3−シクロペンタジエンジエポキシド、5−メチル−1,3−シクロペンタジエンジエポキシド、3,4−ジメチル−シクロブテンオキシド、2,3−ジメチル−シクロブテンオキシド、1,2−ジメチル−シクロブテンオキシド、1,2−ジメチル−1,3−シクロブタジエンジエポキシド、2,3−ジメチル−1,3−シクロブタジエンジエポキシド、3,3−ジメチル−1,2−エポキシブタン、1−ヘプテンオキシド、2−ヘプテンオキシド、3−ヘプテンオキシド、1,3−ヘプタジエンジエポキシド、1,4−ヘプタジエンジエポキシド、1,5−ヘプタジエンジエポキシド、1,5−ヘプタジエンジエポキシド、1,6−ヘプタジエンジエポキシド、1,3,5−ヘプタトリエントリエポキシド、1,3,6−ヘプタトリエントリエポキシド、1,4,6−ヘプタトリエントリエポキシド、シクロヘプテンオキシド、1−メチル−シクロヘキセンオキシド、3−メチル−シクロヘキセンオキシド、4−メチル−シクロヘキセンオキシド、1−メチル−1,3−シクロヘキサジエンジエポキシド、1−メチル−1,4−ヘキサジエンジエポキシド、1−メチル−1,3,5−ヘキサトリエントリエポキシド、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキセン、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、スチベンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)−1,2−エポキシプロパン、ピネンオキシド、イソプレンモノオキシド、1,2−エポキシエチルベンゼン、ナフチルグリシジルエーテル、3−(2−ビフェニロキシ)−1,2−エポキシプロパン、アリルグリシジルエーテル、1,1−ジフェニル−エチレンオキシド、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルブチレート、ヨードメチルオキシラン、4−(2,3−エポキシプロピル)モルフォリン、グリシジルメチルエーテル、2−フェニル−プロピレンオキシド、2,3−エポキシプロピル−フルフリルエーテル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレンオキシド、エチル−3−フェニルグリシデート、フォスミドマイシン、リモネンオキシド、エポキシスクシン酸、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3−グシリドキシプロピル)ペンタメチルジシロキサン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(フェニル)ジエトキシシラン、2,3−エポキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、2,3−エポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2,3−エポキシプロピルトリメトキシシラン、及び2,3−エポキシプロピルトリエトキシシランが好ましいものとして挙げられる。
さらに好ましくは、単官能エポキシ化合物としては、以下の群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物が挙げられる。
すなわち、例えば、プロピレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、ブタジエンオキシド、ブタジエンジエポキシド、1−ペンテンオキシド、2−ペンテンオキシド、1,3−ペンタジエンジエポキシド、1,4−ペンタジエンジエポキシド、2−メチル−2−ブテンオキシド、2−メチル−3−ブテンオキシド、シクロペンテンオキシド、1−メチル−シクロブテンオキシド、3−メチル−1−シクロブテンオキシド、1−ヘキセンオキシド、2−ヘキセンオキシド、3−ヘキセンオキシド、1,3−ヘキサジエンジエポキシド、1,4−ヘキサジエンジエポキシド、1,5−ヘキサジエンジエポキシド、1,3,5−ヘキサトリエントリエポキシド、シクロヘキセンオキシド、1,3−シクロヘキサジエンジエポキシド、1−メチル−シクロペンテンオキシド、3−メチル−シクロペンテンオキシド、2−ヘプテンオキシド、3−ヘプテンオキシド、1,3−ヘプタジエンジエポキシド、1,4−ヘプタジエンジエポキシド、1,5−ヘプタジエンジエポキシド、1,5−ヘプタジエンジエポキシド、1,6−ヘプタジエンジエポキシド、1−メチル−シクロヘキセンオキシド、3−メチル−シクロヘキセンオキシド、4−メチル−シクロヘキセンオキシド、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキセン、スチベンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)−1,2−エポキシプロパン、ピネンオキシド、イソプレンモノオキシド、1,2−エポキシエチルベンゼン、ナフチルグリシジルエーテル、3−(2−ビフェニロキシ)−1,2−エポキシプロパン、アリルグリシジルエーテル、1,1−ジフェニル−エチレンオキシド、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルブチレート、ヨードメチルオキシラン、4−(2,3−エポキシプロピル)モルフォリン、グリシジルメチルエーテル、2−フェニル−プロピレンオキシド、2,3−エポキシプロピル−フルフリルエーテル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレンオキシド、エチル−3−フェニルグリシデート、フォスミドマイシン、リモネンオキシド、エポキシスクシン酸、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3−グシリドキシプロピル)ペンタメチルジシロキサン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(フェニル)ジエトキシシラン、2,3−エポキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、2,3−エポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2,3−エポキシプロピルトリメトキシシラン、及び2,3−エポキシプロピルトリエトキシシラン等がより好ましいものとして挙げられる。
<多官能エポキシ化合物>
前記ポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4’−ビフェノール、ジメチル−4,4’−ビフェニルフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、2,6−ジ(t−ブチル)ハイドロキノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、及びフェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物等が挙げられる。
上記の中でも、安価に入手できることや、エピスルフィド化合物の重合物の生成やチア化剤とエピスルフィド化合物の反応を抑制できる傾向にあることから、ビスフェノールA骨格、又はビスフェノールF骨格を有するフェノール類のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ化合物が好ましい。
エポキシ化合物として、ポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂を使用する場合の繰り返し単位は、特に限定されるものではないが、好ましくは50未満、より好ましくは0.001〜5、さらに好ましくは0.01〜2である。
繰り返し単位が0.001以上であると、良好な反応性が得られ、50以下であると、実用上十分な流動性が得られる。上述の反応性と流動性のバランスの観点から、繰り返し単位は0.01〜2であることが特に好ましい。
<脂環式エポキシ化合物>
前記脂環式エポキシ化合物は、脂環式エポキシ基を有するエポキシ化合物であればよく、以下に限定されるものではないが、例えば、シクロヘキセンオキサイド基、トリシクロデセンオキサイド基又はシクロペンテンオキサイド基等を有するエポキシ化合物が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルオクチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、及び1,2,8,9−ジエポキシリモネンが挙げられる。
その他の多官能脂環式エポキシ化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキセン付加物等が挙げられる。
多官能脂環式エポキシ化合物の市販品としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エポリードGT401(ダイセル化学工業社)、EHPE3150(ダイセル化学工業社製)等が挙げられる。
<ノボラック化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ化合物>
ノボラック化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、及びナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック化合物、キシリレン骨格含有フェノールノボラック化合物、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック化合物、ビフェニル骨格含有フェノールノボラック化合物、並びに、フルオレン骨格含有フェノールノボラック化合物等の各種ノボラック化合物のグリシジルエーテル化物等が挙げられる。
上記の中でも、入手が容易である観点から、フェノール又はクレゾール類等を原料とするノボラック化合物が好ましい。
<芳香族エポキシ化合物の核水素化物>
芳香族エポキシ化合物の核水素化物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フェノール化合物(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェノール等)のグリシジルエーテル化物、又は各種フェノール(フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等)の芳香環を核水素化したもの、並びに、ノボラック化合物のグリシジルエーテル化物の核水素化物等が挙げられる。
<複素環式エポキシ化合物>
複素環式エポキシ化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、イソシアヌル環、及びヒダントイン環等の複素環を有する複素環式エポキシ化合物等が挙げられる。
<グリシジルエステル系エポキシ化合物>
グリシジルエステル系エポキシ化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル及びテトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等の、カルボン酸化合物から誘導されるエポキシ化合物等が挙げられる。
<グリシジルアミン系エポキシ化合物>
グリシジルアミン系エポキシ化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アニリン、トルイジン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン誘導体及びジアミノメチルベンゼン誘導体等のアミンをグリシジル化したエポキシ化合物等が挙げられる。
<ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ化合物>
ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック、クロル化ビスフェノールS、及びクロル化ビスフェノールA等のハロゲン化フェノール類をグリシジルエーテル化したエポキシ化合物等が挙げられる。
<含硫黄多官能脂肪族エポキシ化合物>
含硫黄多官能脂肪族エポキシ化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,1−ビス(エポキシエチル)メタン、1−(エポキシエチル)−1−(β−エポキシプロピル)メタン、1,1−ビス(β−エポキシプロピル)メタン、1−(エポキシエチル)−1−(β−エポキシプロピル)エタン、1,2−ビス(β−エポキシプロピルエタン、1−(エポキシエチル)−3−(β−エポキシプロピル)ブタン、1,3−ビス(β−エポキシプロピル)プロパン、1−(エポキシエチル)−4−(β−エポキシプロピル)ペンタン、1,4−ビス(β−エポキシプロピル)ブタン、1−(エポキシエチル)−5−(β−エポキシプロピル)ヘキサン、1−(エポキシエチル)−2−(γ−エポキシブチルチオ)エタン、1−(エポキシエチル)−2−〔2−(γ−エポキシブチルチオ)エチルチオ〕エタン、テトラキス(β−エポキシプロピル)メタン、1,1,1−トリス(β−エポキシプロピル)プロパン、1,3−ビス(β−エポキシプロピル)−1−(β−エポキシプロピル)−2−チアプロパン、1,5−ビス(β−エポキシプロピル)−2,4−ビス(β−エポキシプロピル)−3−チアペンタン、1,3または1,4−ビス(エポキシエチル)シクロヘキサン、1,3または1,4−ビス(β−エポキシプロピル)シクロヘキサン、2,5−ビス(エポキシエチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エポキシプロピル)−1,4−ジチアン、4−エポキシ−1 、2−シクロヘキセンオキシド、2,2−ビス〔4−(エポキシエチル)シクロヘキシル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(β−エポキシプロピル)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(エポキシエチル)シクロヘキシル〕メタン、ビス〔4−(β−エポキシプロピル)シクロヘキシル〕メタン、ビス〔4−(β−エポキシプロピル)シクロヘキシル〕スルフィド、ビス〔4−(エポキシエチル)シクロヘキシル〕スルフィド、ビス(β−エポキシプロピル)エーテル、ビス(β−エポキシプロピルオキシ)メタン、1,2−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)エタン、1,3−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)プロパン、1,2−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)プロパン、1−(β−エポキシプロピルオキシ)−2−(β−エポキシプロピルオキシメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,3−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1−(β−エポキシプロピルオキシ)−3−(β−エポキシプロピルオキシメチル)ブタン、1,5−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)ペンタン、1−(β−エポキシプロピルオキシ)−4−(β−エポキシプロピルオキシメチル)ペンタン、1,6−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)ヘキサン、1−(β−エポキシプロピルオキシ)−5−(β−エポキシプロピルオキシメチル)ヘキサン、1−(β−エポキシプロピルオキシ)−2−〔(2−β−エポキシプロピルオキシエチル)オキシ〕エタン、1−(β−エポキシプロピルオキシ)−2−[〔2−(2−β−エポキシプロピルオキシエチル)オキシエチル〕オキシ]エタン、テトラキス(β−エポキシプロピルオキシメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エポキシプロピルオキシメチル)プロパン、1,5− ビス(β−エポキシプロピルオキシ)−2−(β−エポキシプロピルオキシメチル)−3 −チアペンタン、1,5−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)−2,4−ビス(β−エポキシプロピルオキシメチル)−3−チアペンタン、1−(β−エポキシプロピルオキシ)−2,2−ビス(β−エポキシプロピルオキシメチル)−4−チアヘキサン、1,5, 6−トリス(β−エポキシプロピルオキシ)−4−(β−エポキシプロピルオキシメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)−4−(β−エポキシプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)−4,5−ビス(β−エポキシプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)−4,4−ビス(β−エポキシプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)−2,4,5−トリス(β−エポキシプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)−2,5−ビス(β−エポキシプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)−5−(β−エポキシプロピルオキシメチル)−5−〔(2−β−エポキシプロピルオキシエチル)オキシメチル〕−3,7−ジチアノナン、1,1 0−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)−5,6−ビス〔(2−β−エポキシプロピルオキシエチル)オキシ〕−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)−4,8−ビス(β−エポキシプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,1 1−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)−5,7−ビス(β−エポキシプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,1 1−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)−5,7−〔(2−β−エポキシプロピルオキシエチル)オキシメチル〕−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)−4,7−ビス(β−エポキシプロピルオキシメチル)−3,6,9 −トリチアウンデカン、1,3または1,4−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)シクロヘキサン、1,3または1,4−ビス(β−エポキシプロピルオキシメチル)シクロヘキサン、ビス〔4−(β−エポキシプロピルオキシ)シクロヘキシル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エポキシプロピルオキシ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エポキシプロピルオキシ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5−ビス(β−エポキシプロピルオキシメチル) −1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エポキシプロピルオキシエチルオキシメチル)−1,4−ジチアン、ビス(β−エポキシプロピル)スルフィド、ビス(β−エポキシプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エポキシプロピル)トリスルフィド、ビス(β−エポキシプロピルチオ)メタン、ビス(β−エポキシプロピルジチオ)メタン、ビス(β−エポキシプロピルジチオ)エタン、ビス(β−エポキシプロピルジチオエチル)スルフィド、ビス(β−エポキシプロピルジチオエチル)ジスルフィド、1,2−ビス(β−エポキシプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エポキシプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(β−エポキシプロピルチオ)プロパン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−2−(β−エポキシプロピルチオメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エポキシプロピルチオ)ブタン、1,3−ビス(β−エポキシプロピルチオ)ブタン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−3−(β−エポキシプロピルチオメチル)ブタン、1,5−ビス(β−エポキシプロピルチオ)ペンタン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−4−(β−エポキシプロピルチオメチル)ペンタン、1,6−ビス(β−エポキシプロピルチオ)ヘキサン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−5−(β−エポキシプロピルチオメチル)ヘキサン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−2−〔(2−β−エポキシプロピルチオエチル)チオ〕エタン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−2−[〔2−(2−β−エポキシプロピルチオエチル)チオエチル〕チオ]エタンテトラキス(β−エポキシプロピルチオメチル)メタン、テトラキス(β−エポキシプロピルジチオメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エポキシプロピルチオメチル)プロパン、1,2,3−トリス(β−エポキシプロピルジチオ)プロパン、1,5−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−2−(β−エポキシプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−2,4−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,6−ビス(β−エポキシプロピルジチオメチル)−2−(β−エポキシプロピルジチオエチルチオ)−4−チアヘキサン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−2,2−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エポキシプロピルチオ)−4−(β−エポキシプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−4−(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−4,5−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−4,4−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8− ビス(β−エポキシプロピルチオ)−2,4,5−トリス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−2,5−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6− ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−5−(β−エポキシプロピルチオメチル)−5−〔(2−β−エポキシプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−5,6−ビス〔(2−β−エポキシプロピルチオエチル)チオ〕−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−4,8−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−5,7−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−5,7−〔(2−β−エポキシプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−4,7−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、テトラ〔2−(β−エポキシプロピルチオ)アセチルメチル〕メタン、1,1,1−トリ〔2−(β−エポキシプロピルチオ)アセチルメチル〕プロパン、テトラ〔2−(β−エポキシプロピルチオメチル)アセチルメチル〕メタン、1,1,1−トリ〔2−(β−エポキシプロピルチオメチル)アセチルメチル〕プロパン、1,3または1,4−ビス(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3または1,4−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(β− エポキシプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エポキシプロピルジチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エポキシプロピルチオエチルチオメチル)−1,4−ジチアン、ビス〔4−(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキシル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,2−ビス〔4−(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキシル〕スルフィド等が挙げられる。
上記の中でも、製造が容易であるため、得られるエピスルフィド化合物のコストが抑制でき、経済性に優れることから、含硫黄多官能脂肪族エポキシ化合物としては、以下の群から選ばれる、少なくとも1種の化合物が好ましい。
すなわち、以下に限定されるものではないが、例えば、ビス(β−エポキシプロピルオキシ)メタン、1,2−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)エタン、1,3−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)プロパン、1,2−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)プロパン、1−(β−エポキシプロピルオキシ)−2−(β−エポキシプロピルオキシメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,3−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1−(β−エポキシプロピルオキシ)−3−(β−エポキシプロピルオキシメチル)ブタン、1,6−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)ヘキサン、1−(β−エポキシプロピルオキシ)−5−(β−エポキシプロピルオキシメチル)ヘキサン、1−(β−エポキシプロピルオキシ)−2−〔(2−β−エポキシプロピルオキシエチル)オキシ〕エタン、1−(β−エポキシプロピルオキシ)−2−[〔2−(2−β−エポキシプロピルオキシエチル)オキシエチル〕オキシ]エタン、テトラキス(β−エポキシプロピルオキシメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エポキシプロピルオキシメチル)プロパン、1−(β−エポキシプロピルオキシ)−2,2−ビス(β−エポキシプロピルオキシメチル)−4−チアヘキサン、1,5, 6−トリス(β−エポキシプロピルオキシ)−4−(β−エポキシプロピルオキシメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)−4−(β−エポキシプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)−4,5−ビス(β−エポキシプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)−4,4−ビス(β−エポキシプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)−2,4,5−トリス(β−エポキシプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)−2,5−ビス(β−エポキシプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,3または1,4−ビス(β−エポキシプロピルオキシ)シクロヘキサン、1,3または1,4−ビス(β−エポキシプロピルオキシメチル)シクロヘキサン、ビス〔4−(β−エポキシプロピルオキシ)シクロヘキシル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エポキシプロピルオキシ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エポキシプロピルオキシ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5−ビス(β−エポキシプロピルオキシメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エポキシプロピルオキシエチルオキシメチル)−1,4−ジチアン、ビス(β−エポキシプロピル)スルフィド、ビス(β−エポキシプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エポキシプロピルチオ)メタン、ビス(β−エポキシプロピルジチオ)メタン、ビス(β−エポキシプロピルジチオ)エタン、ビス(β−エポキシプロピルジチオエチル)スルフィド、ビス(β−エポキシプロピルジチオエチル)ジスルフィド、1,2−ビス(β−エポキシプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エポキシプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(β−エポキシプロピルチオ)プロパン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−2−(β−エポキシプロピルチオメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エポキシプロピルチオ)ブタン、1,3−ビス(β−エポキシプロピルチオ)ブタン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−3−(β−エポキシプロピルチオメチル)ブタン、1,6−ビス(β−エポキシプロピルチオ)ヘキサン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−5−(β−エポキシプロピルチオメチル)ヘキサン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−2−〔(2−β−エポキシプロピルチオエチル)チオ〕エタン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−2−[〔2−(2−β−エポキシプロピルチオエチル)チオエチル〕チオ]エタンテトラキス(β−エポキシプロピルチオメチル)メタン、テトラキス(β−エポキシプロピルジチオメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エポキシプロピルチオメチル)プロパン、1,2,3−トリス(β−エポキシプロピルジチオ)プロパン、1,6−ビス(β−エポキシプロピルジチオメチル)−2−(β−エポキシプロピルジチオエチルチオ)−4−チアヘキサン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−2,2−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エポキシプロピルチオ)−4−(β−エポキシプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−4−(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−4,5−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−4,4−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8− ビス(β−エポキシプロピルチオ)−2,4,5−トリス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−2,5−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6− ジチアオクタン、テトラ〔2−(β−エポキシプロピルチオ)アセチルメチル〕メタン、1,1,1−トリ〔2−(β−エポキシプロピルチオ)アセチルメチル〕プロパン、テトラ〔2−(β−エポキシプロピルチオメチル)アセチルメチル〕メタン、1,1,1−トリ〔2−(β−エポキシプロピルチオメチル)アセチルメチル〕プロパン、1,3または1,4−ビス(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3または1,4−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エポキシプロピルジチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エポキシプロピルチオエチルチオメチル)−1,4−ジチアン、ビス〔4−(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキシル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,2−ビス〔4−(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキシル〕スルフィド等が好ましいものとして挙げられる。
<分子内にエポキシ基を有するシリコーン化合物>
分子内にエポキシ基を有するシリコーン化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、下記式(XII)で表される化合物から選ばれ得る。
(R919293SiO1/2a(R9495SiO2/2b(R96SiO3/2c(SiO4/2d ・・・(XII)
式(XII)中、a、b、c及びdは、それぞれ、a+b+c+d=1.0を満たす数値であり、0≦a/(a+b+c+d)≦1、0≦b/(a+b+c+d)≦1、0≦c/(a+b+c+d)≦1、且つ0≦d/(a+b+c+d)<1である。
91〜R96のうち少なくとも1個は、エポキシ基を含有する基を表し、その他のR91〜R96は、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜8の炭化水素基又は該炭化水素基がフッ素化された基を表し、これらは互いに同一であっても異なっていてもよい。
<異種重合性置換基含有エポキシ化合物>
異種重合性置換基含有エポキシ化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば下記式(XIII)で表される化合物が挙げられる。
前記式(XIII)中、R100〜R102は、置換又は未置換の鎖状、分岐状、環状の脂肪族又は芳香族炭化水素基を示す。
m、n、o、pは、1以上の実数を示す。
Xは、エポキシ基を示す。
Yは、単種の重合性置換基を示す場合、環状エーテル構造、ラクトン構造、環状カーボネート構造、及びその含硫黄類縁構造、環状アセタール構造、及びその含硫黄類縁構造、環状アミン構造、環状イミノエーテル構造、ラクタム構造、環状チオウレア構造、環状ホスフィナート構造、環状ホスホナイト構造、環状ホスファイト構造、ビニル構造、アリル構造、(メタ)アクリル構造、シクロアルカン構造からなる群より選ばれ、複数種の重合性置換基を示す場合、前記の群より選ばれる少なくとも2種以上の構造を示す。
上記エポキシ化合物に含有される不純物(例えば、エポキシ化合物を製造するための原料、塩化物、重金属、ナトリウム等)が少ないことは、本発明の効果をより高める観点から好ましい。また、チイラン環を形成させる反応の終了後、エピスルフィド化合物、未反応のエポキシ化合物、チア化剤の硫黄原子が酸素原子に置換されて生成した化合物、チア化剤、多価水酸基化合物を、分離及び/又は精製する際に、不純物の分離が必要なくなり、高純度な前記化合物を得る観点から好ましい。
エポキシ化合物の不純物の含有量としては、5000ppm以下が好ましく、より好ましくは2000ppm以下であり、さらに好ましくは500ppm以下である。
エポキシ化合物のエポキシ当量(WPE)は、100〜600g/eqであることが好ましく、より好ましくは100〜500g/eq、さらに好ましくは100〜300g/eqである。
本実施形態の(樹脂)組成物の組成によっては、エポキシ化合物のエポキシ当量(WPE)が100g/eq以上であると、本実施形態の繊維強化用(樹脂)組成物において良好な保存安定性が得られ、600g/eq以下であると、硬化物の物性が良好なものとなる。
また、エポキシ化合物は、25℃における粘度が1000Pa・s以下の液体であることが好ましく、より好ましくは500Pa・s以下であり、更に好ましくは100Pa・s以下の液体である。
25℃における粘度が1000Pa・s以下であると、良好な液体としての流動性が得られ、(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物との相溶性が良好なものとなる傾向にある。
また、25℃における粘度が500Pa・sを超え、1000Pa・s以下である場合(500Pa・s<粘度≦1000Pa・s)には、製造時の温度調整や溶媒選択等により使用可能であるが、製造条件がやや限定される傾向にあるため、500Pa・s以下であることが好ましい。
本実施形態の(樹脂)組成物における、エポキシ化合物の含有量は、好ましくは、「(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物」100質量部に対し、0〜80質量部であり、より好ましくは10〜70質量部であり、さらに好ましくは20〜60質量部である。
エポキシ化合物の含有量が10質量部以上であることにより、コスト削減の効果が得られ、80質量部以下であることにより、高速硬化性維持の効果が得られる。
上述した本実施形態の(樹脂)組成物は、上述したように、(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物と、(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物とを含み、さらに(C)エステル化合物や、前記エポキシ化合物を含んでいてもよい。
上記(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物と、(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物の含有比率は、特に限定されないが、好ましい範囲を以下に示す。
本実施形態の(樹脂)組成物中の、上記(A)成分におけるのチイラン環の個数と、(B)成分中におけるエチレン性不飽和基の個数の比率γは下記式で求められ、特に限定されないが、高速硬化性と保存安定性のバランスの観点から、好ましくは30〜200、より好ましくは50〜150、さらに好ましくは80〜120である。γが30以上であると、速硬化性の維持が容易であり、200以下であると、(樹脂)組成物の保存安定性向上効果が高くなる傾向にある。
γ=[(A)成分におけるのチイラン環の個数]/[(B)成分中におけるエチレン性不飽和基の個数]
また、前記(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物100質量部に対し、前記(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物の配合量は、0.2〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜15質量部、さらに好ましくは1〜10質量部、さらにより好ましくは1.5〜6質量部である。
(A)成分100質量部に対し、(B)成分を0.2質量部以上配合すると、(樹脂)組成物の保存安定性向上効果が高くなる傾向にあり、(B)成分を20質量部以下配合することで、速硬化性を維持することができる。
本実施形態の(樹脂)組成物に含まれるアルコール含有量は、特に限定されるものではないが、保存安定性向上の観点から、好ましくは500ppm以下、より好ましくは100ppm未満、さらに好ましくは50ppm以下である。
本実施形態の(樹脂)組成物の、25℃における粘度は、特に限定されるものではないが、1000Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは500Pa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s〜100Pa・s、さらにより好ましくは50mPa・s〜50Pa・s、よりさらに好ましくは100mPa・s〜20Pa・sである。
25℃における粘度は、良好な流動性や他の原料との相溶性、さらに繊維強化に用いた際の硬化物の強度等の観点から上記範囲であることが好ましい。
本実施形態の(樹脂)組成物の保存安定性指標については、特に限定されるものではないが、(樹脂)組成物に流動性があり、すなわち粘度が1000Pa・s以下であり、かつ、保存安定性指標βが5以下であることが好ましく、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下、さらにより好ましくは1.5以下である。
ここで、前記「保存安定性指標β」とは、後述する実施例に記載する方法により測定することができ、具体的には、下記式により求められる。
保存安定性指標β=(保存粘度)/(開始粘度)
なお、前記式中、「開始粘度」とは、製造直後の(樹脂)組成物の25℃における粘度をいう。
前記式中、「保存粘度」とは、(樹脂)組成物を入れた容器を密封し、60℃で24時間保存した後の、25℃における粘度をいう。
保存安定性指標βが5以下であると、保存した(樹脂)組成物の取り扱い性に優れると判断できる。
本実施形態の(樹脂)組成物の透明性の指標であるヘーズは、特に限定されないが、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは10%以下、さらにより好ましくは5%以下である。ヘーズが50%以下であると、光の透過に優れ、光硬化反応が速やかに進行する。
具体的には、25℃、24時間保存後のヘーズが50%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは10%以下、さらにより好ましくは5%以下である。
また、60℃、24時間保存後のヘーズが50%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは10%以下、さらにより好ましくは5%以下である。
〔(樹脂)組成物の製造方法〕
本実施形態の(樹脂)組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、以下のような製造方法を選択することが可能である。
[製造方法1]
(工程1):(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物に、(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を、配合する工程を有する、(樹脂)組成物の製造方法。
[製造方法2]
(工程1a):前記(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物に、前記(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を配合する工程と、
(工程2):前記(工程1a)後、50℃以上で加熱処理を施す工程と、
を有する、(樹脂)組成物の製造方法。
[製造方法3]
(工程1b):前記(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物に、前記(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物と、前記(C)エステル化合物を配合する工程と、
(工程2):前記(工程1b)後、50℃以上で加熱処理を施す工程と、
を有する、(樹脂)組成物の製造方法。
前記(工程1)、(工程1a)、(工程1b)、(工程2)において、上述したエポキシ化合物を、さらに配合してもよい。
上記(A)成分、(B)成分、(C)成分、エポキシ化合物の配合方法は、特に限定されないが、均一に混合することが好ましい。
混合に用いる装置は、以下に限定されるものではないが、例えば、マグネチックスターラー、プロペラ撹拌翼、エバポレーター、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー)、ラインミキサー、KRCニーダー(株式会社栗本鉄工所)、ポリラボシステム(HAKKE社製)、「ラボプラストミル、ナノコンミキサー(東洋精機製作所社製)」、「ナウターミキサー・ブス・コ・ニーダー、エクストルーダー(Buss社製)」、TEM型押し出し機(東芝機械株式会社製)、TEX二軸混練機(株式会社日本製鋼所)、PCM混練機(株式会社池貝製)、「三本ロールミル、ミキシングロールミル、プラネタリーミキサー、ニーダー(株式会社井上製作所製)」、ニーデックス(三井鉱山株式会社)、「MS式加圧ニーダー、ニーダールーダー(株式会社森山製作所製)」、バンバリーミキサー(株式会社神戸製鋼所製)等が挙げられる。
(工程2)における加熱処理温度は、50℃以上が好ましく、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃〜150℃、さらにより好ましくは80〜120℃、よりさらに好ましくは90〜110℃である。
加熱処理温度を50℃以上とすることで、保存安定化効果が向上する傾向がある。
(工程2)における加熱処理時間は、特に限定されるものではないが、好ましくは10分〜4時間、より好ましくは20分〜3時間、さらに好ましくは30分〜2時間である。
加熱処理時間を10分以上とすることで保存安定化効果のバラツキが小さくなり、4時間以下とすることで、副反応の進行を抑制できる傾向がある。
加熱処理に用いる装置は、以下に限定されるものではないが、例えば、オーブン、オイルバス、エバポレーター、ジャケット付き反応装置、リボンヒーター、液体循環装置、ホットプレート、温度調節機能付きの上記混合装置等が挙げられ、これらの中から任意に選択できる。
また、(工程1)、(工程1a)、(工程1b)、(工程2)において、あるいは、その後に、さらに、脱揮処理(脱泡処理)を行ってもよい。
脱揮処理(脱泡処理)に使用する装置は、特に限定されるものではないが、例えば、エバポレーター、ガラスチューブオーブン、薄膜蒸留装置、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー)、真空乾燥機等が挙げられる。
上述した本実施形態の(樹脂)組成物は、後述するように、強化繊維を含有させる、繊維強化用の(樹脂)組成物として使用することができる。
〔硬化性(樹脂)組成物〕
本実施形態の硬化性(樹脂)組成物は、上述した本実施形態の(樹脂)組成物と、(D)硬化剤とを含有する。
((D)硬化剤)
(D)硬化剤は、(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物と反応して架橋構造を形成する化合物、又は、(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物に作用して重合反応を促進する化合であれば、特に限定されるものではない。
(D)硬化剤としては、例えば、エポキシ化合物の硬化剤として従来公知のものを使用できる。
(D)硬化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アミン系硬化剤、ポリアミド樹脂硬化剤、イミダゾール系硬化剤、リン系硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、酸無水物硬化剤、光硬化剤、及びその他の従来公知の硬化剤が挙げられる。
また上記(D)硬化剤は、ポットライフ維持の観点から、後述する潜在性硬化剤であることが、より好ましい。
(D)硬化剤は、1種のみを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<アミン系硬化剤>
アミン系硬化剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、及び変性アミンが挙げられる。
脂肪族アミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、BASF社製ラミロンC−260、CIBA社製Araldit HY−964、メンセンジアミン、イソフォロンジアミン、新日本理化株式会社製ワンダミンHM、新日本理化株式会社製ワンダミンCHE−20P、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、及びその塩類(例えばサンアプロ株式会社製U−CAT SA−1、SA−102、SA−506、SA−603、SA−810、SA−831、SA−841、SA−851、SA−881)、サンアプロ株式会社製U−CAT 18X、12XD等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、m−キシレンジアミン、キシレンジアミン三量体、各種キシレンジアミン誘導体等が挙げられる。
変性アミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミンとエポキシ樹脂との複合体(例えば株式会社スリーボンド製Three Bond 2102、2131B)、上記脂肪族アミンとメチルエチルケトン、イソブチルケトン等のケトン化合物とから得られるケトイミン化合物等が挙げられる。
<ポリアミド樹脂硬化剤>
ポリアミド樹脂硬化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1級及び2級のアミンを含むポリアミドアミン(例えば株式会社スリーボンド製Three Bond 2105、2105C、2105F、2107)等が挙げられる。
<イミダゾール系硬化剤>
イミダゾール系硬化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウム−トリメリテート、ビスフェノールAグリシジルエーテルとイミダゾールとの複合体等が挙げられる。
<リン系硬化剤>
リン系硬化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニル、テトラフェニルホスフィンブロマイド等が挙げられる。
<ポリメルカプタン硬化剤>
ポリメルカプタン硬化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]イソシアヌレート、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、液状ポリメルカプタン(例えば株式会社スリーボンド製、ThRee Bond 2086B)、ポリスルフィド樹脂(例えば株式会社スリーボンド製、ThRee Bond 2104)等が挙げられる。
<酸無水物硬化剤>
酸無水物硬化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリアジピン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、シクロヘキセンジカルボン酸無水物、ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−2−ベンゾフラン−1,3−ジオン、メチルヘキサヒドロ−4,7−メタノ−2−ベンゾフラン−1,3−ジオン、無水メチルハイミック酸等が挙げられる。
これら酸無水物硬化剤の使用においては、必要に応じて、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、リン系硬化剤、ルイス酸硬化剤等を硬化促進剤として併用することが望ましい。
<光硬化剤>
光硬化剤とは、光照射により、カチオン、アニオン等の活性種を発生する硬化剤を指す。
光硬化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、以下のような、(1)光酸発生剤(光照射によりカチオンを発生する硬化剤)、(2)光塩基発生剤(光照射によりアニオンを発生する硬化剤)よりなる化合物が挙げられる。
これらは1種のみを単独で使用しても、2つ以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。
[(1)光酸発生剤(光照射によりカチオンを発生する硬化剤)]
光酸発生剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、種々のオニウム塩が挙げられ、BF4 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -を対アニオンとするスルホニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。
スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウム塩、ジメチルフェニルスルホニウム塩、ジフェニルベンジルスルホニウム塩、トリトリルスルホニウム塩、4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム塩、トリス(4−フェノキシフェニル)スルホニウム塩、4−アセトキシ−フェニルジフェニルスルホニウム塩、トリス(4−チオメトキシフェニル)スルホニウム塩、ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウム塩、ジメチルナフチルスルホニウム塩、及びフェニルメチルベンキシルスルホニウム塩等が挙げられる。
ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウム塩、フェニル−2−チエニルヨードニウム塩、ジ(2,4−メトキシフェニル)ヨードニウム塩、ジ(3−メトキシカルボニルフェニル)ヨードニウム塩、ジ(4−アセトアミドフェニル)ヨードニウム塩、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウム塩等が挙げられる。
また、ルイス酸を発生する鉄−アレン化合物なども使用できる。
[(2)光塩基発生剤(光照射によりアニオンを発生する硬化剤)]
光塩基発生剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フェニルグリオキシル酸のアンモニウム塩、o−ニトロベンゾイルカルバメイト、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルバメイト、コバルト(III)アルキルアミン錯体、水酸化亜鉛+ピコリン酸グアニジン、ニトロベンジルアルコール、「ジニトロベンジルアルコールとイソシアナートの反応により得られるベンジルアルコール−ウレタン化合物」、「ニトロ−1−フェニルエチルアルコールやジニトロ−1−フェニルエチルアルコールとイソシアナートの反応により得られるフェニルアルコール−ウレタン化合物」、「ジメトキシ−2−フェニル−2−プロパノールとイソシアナートの反応により得られるプロパノール−ウレタン化合物」等が挙げられる。
また、特開平10−77264号公報、特開2005−264156号公報、特開2003−212856号公報、特開2003−20339号公報、「UV・EB硬化技術III(1997年、シーエムシー出版、P.7)」に記載の光塩基発生剤を使用してもよい。
また、光硬化剤を使用する場合においても、光照射後に適切な熱処理を行ってもよい。
<その他の硬化剤>
その他の硬化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ルイス酸、ジシアンジアミド、有機酸ヒドラジド化合物、炭化水素基を有するスルホニウム塩(例えば株式会社ADEKA製アデカオプトンCP−66、77)、アレン−イオン錯体、アルミニウムキレート化合物、スルホン酸エステル、イミドスルホネート等が挙げられる。
後述する潜在性硬化剤を除く、(D)硬化剤の配合量は、特に限定されるものではないが、本実施形態の(樹脂)組成物100質量部に対し、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましく、0.1〜5質量部であることがさらに好ましい。上記配合量が0.01質量部以上であれば、架橋反応による硬化が良好に進行し、20質量部以下であれば硬化物の着色等の影響が少ない傾向となるため好ましい。
<潜在性硬化剤>
本実施形態においては、(D)硬化剤として、潜在性硬化剤を用いることが好ましい。
潜在性硬化剤とは、主剤となる樹脂と混合されていても、かかる樹脂を通常保存する状態(室温、可視光線下など)では、官能基と反応せず、熱や光によって官能基に対して反応活性を呈する硬化剤をいう。
潜在性硬化剤としては、従来公知のものを使用でき、特に限定されるものではない。
潜在性硬化剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態において、潜在性硬化剤としては、例えば、70〜125℃で活性化する潜在性硬化剤、後述の光酸発生剤、光塩基発生剤等を用いることもできる。
潜在化の方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、イミダゾール化合物や三級アミン類等の活性成分を、それらの化合物と反応しうる何らかの化合物と反応させることによってアダクト化する方法、シクロデキストリン等により包接する方法、後述のように、マイクロカプセル化する方法等が挙げられる。
潜在性硬化剤の種類は、特に限定されるものではないが、本実施形態の(樹脂)組成物、硬化性(樹脂)組成物を繊維強化用途で使用する場合は、熱硬化が主流であることから、70〜125℃で活性化する潜在性硬化剤を使用するのが好ましい。具体的には、70℃未満では硬化反応が進行しないため、硬化性(樹脂)組成物を適正な粘度に保つことが可能であり、70℃以上の熱硬化工程で重合が開始するため、ハンドリングが良く、プリプレグやFRPの加工性に優れている。
[70〜125℃で活性化する潜在性硬化剤]
前記70〜125℃で活性化する潜在性硬化剤としては、かかる活性化温度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、アニオン硬化型の潜在性硬化剤、アミンアダクト型潜在性硬化剤、マイクロカプセル型潜在性硬化剤、アミンイミド、ブロックイソシアネート、エポキシ基にカルバミン酸エステルを反応させオキサゾリジノン環とした化合物、ビニルエーテルブロックカルボン酸、イミダゾールとカルボン酸との塩、アミンのカルバミン塩、オニウム塩などが挙げられる。
前記アニオン硬化型の潜在性硬化剤とは、通常保存する状態、すなわち室温条件下、可視光線下等では、官能基と反応せず、熱や光によって、官能基に対して反応活性を呈するアニオン種(イミダゾール化合物、三級アミン類等)を発生させ、アニオン重合を進行させる硬化剤を指す。
アニオン硬化型の潜在性硬化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、「TBG−01、TBG−02(日本合成化学工業株式会社製)」、「キュアダクトP−0505、L−07N(四国化成工業株式会社製)」、「ノバキュア(旭化成イーマテリアルズ株式会社製)」、「WPBG−140(和光純薬工業株式会社製)」等が挙げられる。
前記アミンアダクト型潜在性硬化剤とは、一級、二級もしくは三級アミノ基をもつ化合物や、種々のイミダゾール化合物などの活性成分を、それらの化合物と反応しうる何らかの化合物と反応させることによって高分子量化し、保存温度にて不溶化したもののことを指す。
アミンアダクト型潜在性硬化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、「アミキュア PN−23、MY−24(味の素ファインテクノ株式会社製)」、「アデカハードナー EH−3293S、EH−3615S、EH−4070S(旭電化工業株式会社製)、「フジキュアー FXE1000、FXR−1020(富士化成工業株式会社製)等が挙げられる。
また、上記潜在性硬化剤に、特定の硬化剤を組み合わせると、本実施形態の(樹脂)組成物の硬化が更に促進される場合がある。
例えば、「アミキュア PN−23」等の潜在性硬化剤に、バジンジヒドラジドなどの有機酸ジヒドラジドを組み合わせた硬化剤系や、潜在性硬化剤にDCMUなどの硬化促進剤を組み合わせた硬化剤系等が挙げられる。
前記潜在性硬化剤は、保存安定性の観点から、マイクロカプセル型潜在性硬化剤であることが好ましい。
マイクロカプセル型潜在性硬化剤とは、硬化剤を含むコアの表面が、無機酸化物又は合成樹脂を含むシェルによって被覆されている構造を少なくとも有する硬化剤をいう。
シェルの安定性と加熱時の破壊しやすさ、及び得られる硬化物の物性の均一性の観点から、コアの表面が合成樹脂からなるシェルによって被覆されている構造を有することが好ましい。
マイクロカプセル型潜在性硬化剤に用いられる硬化剤としては、特に限定されず、上述したエポキシ樹脂硬化剤をはじめ、公知のものを用いることができる。
潜在性硬化剤は、保存安定性の観点から、常温において固体である平均粒子径10μm以下の潜在性硬化剤であることが好ましい。
ここで、平均粒子径とは、レーザー回折式粒度分布測定法により測定された平均粒子径を示す。
平均粒子径が10μm以下のマイクロカプセル型潜在性硬化剤を得る方法としては、例えば、通常用いられるエポキシ樹脂硬化剤を塊状状態から、粉砕機を用いて所望する大きさの粒子に粉砕し、その後、その表面に後述する方法によってシェル膜を形成させ、所望の平均粒子径に調整する方法等が挙げられる。
シェルに用いる無機酸化物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、酸化ホウ素、ホウ酸エステル等のホウ素化合物、二酸化珪素、酸化カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、シェルの安定性と加熱時の破壊しやすさの観点から、酸化ホウ素が好ましい。
シェルに用いる合成樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、モノ又は多価アルコールと、モノ又は多価イソシアネートとの付加生成物であるウレタン系樹脂、アミン系硬化剤とエポキシ樹脂との反応生成物、フェノール樹脂が好ましい。これらの中でも、シェルの安定性と加熱時の破壊しやすさの観点から、多価イソシアネートと活性水素を有する化合物(活性水素化合物)との反応生成物、及び/又はエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との反応生成物が好ましい。
前記シェルに含まれる合成樹脂の生成に用いる前記多価イソシアネートとしては、1分子中に1個以上のイソシアネート基を有する化合物であればよいが、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましい。このようなイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、低分子トリイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
前記脂肪族ジイソシアネートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、イソホロンジイソシアネート、4−4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、1,4−イソシアナトシクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、1,3−ビス(2−イソシアナトプロピル−2イル)−シクロヘキサン等が挙げられる。
前記芳香族ジイソシアネートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
前記低分子トリイソシアネートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸−2−イソシアナトエチル、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸−1−メチル−2−イソシアネートエチル等の脂肪族トリイソシアネート化合物、トリシクロヘキシルメタントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式トリイソシアネート化合物、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等の芳香族トリイソシアネート化合物等が挙げられる。
前記ポリイソシアネートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートや上記ジイソシアネート、低分子トリイソシアネートより誘導されるポリイソシアネートが挙げられる。
上記ジイソシアネート、低分子トリイソシアネートより誘導されるポリイソシアネートとしては、イソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、ウレタン型ポリイソシアネート、アロハネート型ポリイソシアネート、カルボジイミド型ポリイソシアネート等が挙げられる。
これらイソシアネート化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記シェルに含まれる合成樹脂を生成するために用いる活性水素化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水、1分子中に1個以上の一級及び/又は二級アミノ基を有する化合物、1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物が挙げられる。
これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、水、1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物が好ましい。
前記活性水素化合物として用いられる1分子中に1個以上の一級及び/又は二級アミノ基を有する化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミンを用いることができる。
脂肪族アミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアルキルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキレンポリアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンジアミン等のポリオキシアルキレンポリアミン類等が挙げられる。
脂環式アミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、アニリン、トルイジン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
前記活性水素化合物として用いられる1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物としては、例えば、アルコール化合物、フェノール化合物等が挙げられる。
前記アルコール化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ドテシルアルコール、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパルギルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチル等のモノアルコール類、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、水添ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類等が挙げられる。また、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する化合物と、1分子中に1個以上の水酸基、カルボキシル基、一級又は二級アミノ基、メルカプト基を有する化合物との反応により得られる二級水酸基を1分子中に2個以上有する化合物も多価アルコール類として例示される。これらのアルコール化合物は、一級、二級、又は三級アルコールのいずれも用いることができる。
前記フェノール化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、石炭酸、クレゾール、キシレノール、カルバクロール、モチール、ナフトール等のモノフェノール類、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ピロガロール、フロログルシン等の多価フェノール類等が挙げられる。
これら1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物としては、多価アルコール類や多価フェノール類等が好ましく、多価アルコール類がより好ましい。
前記硬化剤を含むコアの表面にシェルを形成させる方法としては、従来公知の方法を用いることができ、特に限定されない。
例えば、シェル成分を溶解させ、硬化剤を分散させた分散媒中で、シェル成分の溶解度を下げて、硬化剤の表面にシェルを析出させる方法、エポキシ樹脂硬化剤を分散させた分散媒中で、シェルの形成反応を行い、エポキシ樹脂硬化剤の表面にシェルを析出させる方法、あるいは硬化剤の表面を反応場として、そこでシェルを形成させる方法等が挙げられる。
これらの中でも、反応と被覆を同時に行うことができる観点から、後者の方法が好ましい。
前記分散媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、溶媒、可塑剤、樹脂類等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂を分散媒として用いることもできる。
前記溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエチルエーテルアセテート等のエステル類;メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール類;水、等が挙げられる。
前記可塑剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシシル)等のフタル酸ジエステル系可塑剤、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシシル)等の脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、リン酸トリクレジル等のリン酸トリエステル系可塑剤、ポリエチレングリコールエステル等のグリコールエステル系可塑剤等が挙げられる。
前記樹脂類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、シリコーン樹脂類、エポキシ樹脂類、フェノール樹脂類等が挙げられる。
シェル成分で硬化剤を被覆する方法において、分散媒として使用できるエポキシ樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、テトラフルオロビスフェノールA等のビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,2,2,−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂等;多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールをグリシジル化した脂肪族エーテル型エポキシ樹脂;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸をグリシジル化したエーテルエステル型エポキシ樹脂;フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸をグリシジル化したエステル型エポキシ樹脂;4,4−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等のアミン化合物のグリシジル化物やトリグリシジルイソシアヌレート等のアミン型エポキシ樹脂等のグリシジル型エポキシ樹脂と、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキサイド等が挙げられる。これらの中でも、(樹脂)組成物の貯蔵安定性が高くなる観点から、グリシジル型エポキシ樹脂が好ましく、硬化物の電気的信頼性が優れる観点から、多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂がより好ましく、ビスフェノール型エポキシ樹脂がさらに好ましく、ビスフェノールAをグリシジル化したエポキシ樹脂とビスフェノールFをグリシジル化したエポキシ樹脂がよりさらに好ましく、ビスフェノールAをグリシジル化したエポキシ樹脂がさらに一層好ましい。
上述したシェルを形成させる方法の一つである、硬化剤の表面を反応場として、そこでシェルを形成させる方法において、イソシアネート化合物と活性水素化合物を、シェルの形成材料として用いた場合の反応は、通常−10℃〜150℃の温度範囲で、10分〜12時間の反応時間で行われる。
イソシアネート化合物と活性水素化合物との比率は、特に限定されないが、通常、イソシアネート化合物中のイソシアネート基と活性水素化合物中の活性水素との当量比が1:0.1〜1:1000の範囲で用いられる。
本実施形態におけるマイクロカプセル型潜在性硬化剤のシェルとして、硬化剤とエポキシ樹脂との反応生成物からなるシェルを用いる場合の反応は、通常0℃〜150℃、好ましくは10℃〜100℃の温度範囲で、1〜168時間、好ましくは2時間〜72時間の反応時間で行われ、分散媒中で行うことができる。
分散媒としては、溶媒、可塑剤等を用いることができる。また、エポキシ樹脂自体を分散媒として用いることもできる。
前記溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエチルエーテルアセテート等のエステル類;メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール類;水、等が挙げられる。
前記可塑剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシシル)等のフタル酸ジエステル系、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシシル)等の脂肪族二塩基酸エステル系、リン酸トリクレジル等のリン酸トリエステル系、ポリエチレングリコールエステル等のグリコールエステル系等が挙げられる。樹脂類としては、シリコ−ン樹脂類、エポキシ樹脂類、フェノール樹脂類等が挙げられる。
硬化剤とエポキシ樹脂との反応生成物からなるシェルでコアを被覆する方法としては、例えば、シェル成分を溶解させ、硬化剤を分散させた分散媒中で、シェル成分の溶解度を下げて、硬化剤の表面にシェルを析出させる方法;硬化剤を分散させた分散媒中で、シェルの形成反応を行い、硬化剤の表面にシェルを析出させる方法;硬化剤からなるコアの表面を反応場として、そこでシェルを生成させる方法等が挙げられる。
これらの中でも、反応と被覆を同時に行うことができる観点から、後2者の方法が好ましい。
また、後者の場合、本実施形態の硬化剤は別途添加してもよい。
シェルの厚みは、特に限定されないが、平均層厚で5〜1000nmが好ましい。
平均層厚を5nm以上とすることで、優れた貯蔵安定性が得られ、1000nm以下とすることで、実用的な硬化性が得られる。
ここでいう層の厚みは、透過型電子顕微鏡により測定される。特に好ましいシェルの厚みは、平均層厚で50〜700nmである。
マイクロカプセル型潜在性硬化剤の中でも、貯蔵安定性、低温・短時性の観点から、コアとシェルとを有する、アミンアダクト系硬化剤でありイミダゾール化合物を含むものがより好ましい。さらに、カプセル型のイミダゾール、2−メチルイミダゾール変性、又は2−フェニルイミダゾール変性したアミンアダクト系硬化剤がより一層好ましい。
本実施形態の硬化性(樹脂)組成物において、(D)硬化剤として潜在性硬化剤を用いる場合における、潜在性硬化剤の使用割合は、(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物中のチイラン環及びオキシラン環の合計量1当量に対し、(C)潜在性硬化剤中の活性水素を有する官能基が0.001〜10当量の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.01〜5当量の範囲であり、さらに好ましくは0.005〜1当量の範囲である。
潜在性硬化剤中の活性水素を有する官能基が0.001当量以上であることにより安定定期に硬化反応が進行する効果が得られ、10当量以下であることにより、適正な硬化物性が得られる。
マイクロカプセル型潜在性硬化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、「ノバキュア HX−3088、HX−3613、HX−3721、HX−3722、HX−3741、HX−3742、HX−3748、HXA3792等(旭化成イーマテリアルズ株式会社製)」等が挙げられる。
[潜在性硬化剤である光酸発生剤]
上述した光酸発生剤のうち、潜在性硬化剤である光酸発生剤としては、可視光、紫外線等の活性エネルギー線の照射によって酸を発生する化合物が挙げられ、特に限定されるものではないが、波長300nm以上、好ましくは波長300〜450nmの活性光線に感応する化合物が好ましい。
また、波長300nm以上の活性エネルギー線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。
このような潜在性硬化剤である光酸発生剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリクロロメチル−s−トリアジン類、スルホニウム塩やヨードニウム塩、第四級アンモニウム塩類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート化合物、特開2011−221494号公報、特開2014−96563号公報に開示の化合物等を挙げることができる。
[潜在性硬化剤である光塩基発生剤]
上述した光塩基発生剤のうち、潜在性硬化剤である光塩基発生剤としては、可視光、紫外線等の活性エネルギー線の照射によって塩基を生成する化合物が挙げられ、特に限定されるものではなく、生成する塩基として、アミン化合物、イミダゾール化合物、ホスフィン化合物を生じるような化合物が例示される。
このような潜在性硬化剤である光塩基発生剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(3−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4−クロロ−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(5−メチル−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4,5−ジメチル−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール等のイミダゾール誘導体、N−(2−メチル−2−フェニルプロピオニルオキシ)−N−シクロヘキシルアミン、特開2012−1453号公報、再表2005/14696号公報に開示の化合物等を挙げることができる。
これらの光塩基発生剤の製造法としては、公知の手法が使用可能で、例えば、ニトロベンジルアルコール誘導体を原料としてカルボニルジイミダゾールと反応させることにより合成が可能である。
光塩基発生剤の使用割合は、硬化性組成物が良好に硬化し、満足な硬化物が得られる範囲であれば、特に限定されるものではないが、好ましくは、(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物中のチイラン環及びオキシラン環の合計量1当量に対し、光塩基発生剤は0.03〜0.2当量である。光塩基発生剤が0.03当量以上であると、硬化が速やかに進行する傾向があり、0.2当量以下であると、光分解により生成する塩基以外の成分の発生が抑制される傾向がある。
本実施形態の硬化性(樹脂)組成物は、ポットライフ粘度が、100Pa・s以下であることが好ましい。
ポットライフ粘度とは、25℃の温度条件下で1時間保存した後の、25℃における粘度をいう。当該ポットライフ粘度は、後述する〔実施例〕に記載する方法により測定することができる。
前記ポットライフ粘度は、特に限定されるものではないが、本実施形態の硬化性(樹脂)組成物を用いて硬化物を製造する際における取り扱い性の観点から、好ましくは100Pa・s以下、より好ましくは80Pa・s以下、さらに好ましくは50Pa・s以下、さらにより好ましくは30Pa・s以下である。
上記のように、ポットライフ粘度が100Pa・s以下であることにより、本実施形態の硬化性(樹脂)組成物は、流動性の維持において良好な特性を有し、工業化に際し、大型設備を用いた製造工程を考慮すると、一定時間の間、硬化性(樹脂)組成物が流動性を維持できることは、生産性の観点から非常にメリットがある。
本実施形態の硬化性(樹脂)組成物は、100℃におけるゲルタイムが、高速硬化の観点から、好ましくは15分以下、より好ましくは10分以下、さらに好ましくは300秒以下、さらにより好ましくは180秒以下であり、よりさらに好ましくは60秒以下である。
また、同様に、150℃におけるゲルタイムは、特に限定されるものではないが、好ましくは180秒以下、より好ましくは120秒以下、さらに好ましくは60秒以下、さらにより好ましくは30秒以下である。
ここで、ゲルタイムとは、JIS C2105:2006(電気絶縁用無溶剤液状レジン試験方法)の熱板法に従って、100℃又は150℃の温度設定条件下、サンプルが流動性を失い、ゲル化する時間をいい、後述する実施例に記載する方法により、測定することができる。
本実施形態の硬化性(樹脂)組成物は、特に限定されるものではないが、熱硬化性(樹脂)組成物又はエネルギー線硬化組成物であることが好ましい。また、エネルギー線硬化組成物の中でも、特に、光硬化性(樹脂)組成物であることが好ましい。
本実施形態の(樹脂)組成物を熱硬化性(樹脂)組成物とするためには、(A)成分として、熱硬化性樹脂成分を選択する。
本実施形態の(樹脂)組成物が熱硬化性(樹脂)組成物であることにより、不透明で光を通さない(樹脂)組成物や材料の硬化も可能なため、特に、黒色で不透明な炭素繊維を使用したプリプレグやFRPの製造にも適用することができる。
本実施形態の(樹脂)組成物を光硬化性(樹脂)組成物とするためには、(A)成分として、光硬化性樹脂成分を選択する。光硬化性(樹脂)組成物の場合、透明性が重要である。
(硬化促進剤)
本実施形態の硬化性(樹脂)組成物は、硬化促進剤を、さらに含んでいてもよい。
ここで、硬化促進剤とは、硬化温度をより低下させる効果を有するもの、あるいは、硬化反応速度を上昇させる効果を持つ物質をいう。
硬化促進剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
本実施形態の硬化性(樹脂)組成物における硬化促進剤の含有量は、特に限定されないが、(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物を100質量部とした場合、好ましくは0.001〜10質量部であり、より好ましくは0.01〜5質量部である。
(硬化性化合物)
本実施形態の硬化性(樹脂)組成物には、更に、(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物と反応可能な硬化性化合物を含有していてもよい。
硬化性化合物としては、例えば、多官能エポキシ化合物、酸無水物、イオウ含有化合物等が挙げられる。
これらの硬化性化合物は1種で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
硬化性化合物としての多官能エポキシ化合物は、以下に限定されるものではないが、例えば、ジシクロペンタジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、アジピン酸ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸2,3−エポキシプロピル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボン酸2,3−エポキシプロピル、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボン酸(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)メチル、エチレン−1,2−ジ(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビシクロヘキサ−3,3’−ジエンジオキシド等の環状脂肪族骨格を有するエポキシ化合物、グリシジルメタクリレート、2−メチル−グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシイソプレニルメタクリレート等のエポキシ化アクリレート及びメタクリレート、1,3,5−トリス(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H、5H)−トリオン等の三官能エポキシ化合物、各種ビスフェノールのジグリシジルエーテル、芳香環水添ビスフェノールのグリシジルエーテル、ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル、多環芳香族のグリシジルエーテル、エポキシ基を有するシリコーン化合物等が挙げられる。
硬化性化合物としての酸無水物は、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアゼライン酸無水物、ポリアジピン酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、ポリセバシン酸無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物等の脂肪族カルボン酸無水物及びそのカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−2−ベンゾフラン−1,3−ジオン、メチルヘキサヒドロ−4,7−メタノ−2−ベンゾフラン−1,3−ジオン、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の脂環式カルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート等の芳香族カルボン酸無水物等が挙げられる。
硬化性化合物としてのイオウ含有化合物は、以下に限定されるものではないが、例えば、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、ノナンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(2−メルカプトプロピオネート)、オクタンジオールビス(2−メルカプトプロピオネート)、ノナンジオールビス(2−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ノナンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトイソブチレート)、エチレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(2−メルカプトイソブチレート)、オクタンジオールビス(2−メルカプトイソブチレート)、ノナンジオールビス(2−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトイソブチレート)、エチレングリコールビス(4−メルカプトバレレート)、ジエチレングリコールビス(4−メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(4−メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(4−メルカプトバレレート)、ノナンジオールビス(4−メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(4−メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(4−メルカプトバレレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトバレレート)、ノナンジオールビス(3−メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトバレレート)、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2,5−ヘキサンジチオール、2,9−デカンジチオール、1,4−ビス(1−メルカプトエチル)ベンゼン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]イソシアヌレート、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、液状ポリペルカプタン(例えば株式会社スリーボンド製、ThRee Bond 2086B)、ポリスルフィド樹脂(例えば株式会社スリーボンド製、ThRee Bond 2104)等が挙げられる。
(光ラジカル開始剤)
本実施形態の硬化性(樹脂)組成物は、更に、光ラジカル開始剤を含有してもよい。
光ラジカル開始剤とは、可視光、紫外線等の活性エネルギー線の照射、活性光線又は放射線の照射によりラジカルを発生する化合物であればよく、以下に限定されるものではないが、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、チウラム化合物類、フルオロアミン化合物類、オキシムエステル類などが用いられる。
光ラジカル開始剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、2−メチル−4’−メチルチオ−2−モリホリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリホリノフェニル)−ブタノン1、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、α−ヒドロキシアセトフエノン、α−アミノアセトフェノンなどのアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ペンゾインイソプロビルエーテル、ベンジルジメチルレタールなどのベンゾイン類;ペンゾフェノン、2,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノンなどのペンゾフェノン類;1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ペンゾイルオキシム)]、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類等が挙げられる。
(連鎖移動剤)
本実施形態の硬化性(樹脂)組成物には、連鎖移動剤をさらに含有させてもよい。
連鎖移動剤の併用により、得られた硬化物やFRPは、高温下長期保持した際の揮発分がより低減され、溶融加工により成形する際のボイド発生、又は、重合物若しくは硬化物の近傍にある金属部材の汚染又は腐食をより抑制できる場合がある。
連鎖移動剤としては、一般的に用いられるものを使用でき、以下に限定されるものではないが、例えば、環状エステル化合物、環状カーボネート化合物、環状シロキサン化合物、水酸基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましいものとして挙げられる。
これらは1種のみを単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
連鎖移動剤としては、入手のし易さの観点から、環状エステル化合物、環状カーボネート化合物、水酸基含有化合物からなる群より選択される、少なくとも1種の化合物であることが好ましく、水酸基含有化合物であることがより好ましい。
前記連鎖移動剤としての環状エステル化合物は、環状構造内にエステル基を有する化合物であればよく、以下に限定されるものではないが、例えば、エタノ−2−ラクトン、プロパノ−2−ラクトン、プロパノ−3−ラクトン、ブタノ−2−ラクトン、ブタノ−3−ラクトン、ブタノ−4−ラクトン、3−メチル−ブタノ−4−ラクトン、ペンタノ−2−ラクトン、ペンタノ−3−ラクトン、ペンタノ−4−ラクトン、ペンタノ−5−ラクトン、4−メチル−ペンタノ−4−ラクトン、ヘキサノ−2−ラクトン、ヘキサノ−3−ラクトン、ヘキサノ−4−ラクトン、ヘキサノ−5−ラクトン、ヘキサノ−6−ラクトン、ヘプタノ−2−ラクトン、ヘプタノ−3−ラクトン、ヘプタノ−4−ラクトン、ヘプタノ−5−ラクトン、ヘプタノ−6−ラクトン、ヘプタノ−7−ラクトン、オクタノ−2−ラクトン、オクタノ−3−ラクトン、オクタノ−4−ラクトン、オクタノ−5−ラクトン、オクタノ−6−ラクトン、オクタノ−7−ラクトン、オクタノ−8−ラクトン、ノナノ−2−ラクトン、ノナノ−3−ラクトン、ノナノ−4−ラクトン、ノナノ−5−ラクトン、ノナノ−6−ラクトン、ノナノ−7−ラクトン、ノナノ−8−ラクトン、ノナノ−9−ラクトン、デカノ−2−ラクトン、デカノ−3−ラクトン、デカノ−4−ラクトン、デカノ−5−ラクトン、デカノ−6−ラクトン、デカノ−7−ラクトン、デカノ−8−ラクトン、デカノ−9−ラクトン、デカノ−10−ラクトン、ウンデカノ−2−ラクトン、ウンデカノ−3−ラクトン、ウンデカノ−4−ラクトン、ウンデカノ−5−ラクトン、ウンデカノ−6−ラクトン、ウンデカノ−7−ラクトン、ウンデカノ−8−ラクトン、ウンデカノ−9−ラクトン、ウンデカノ−10−ラクトン、ウンデカノ−11−ラクトン、ドデカノ−2−ラクトン、ドデカノ−3−ラクトン、ドデカノ−4−ラクトン、ドデカノ−5−ラクトン、ドデカノ−6−ラクトン、ドデカノ−7−ラクトン、ドデカノ−8−ラクトン、ドデカノ−9−ラクトン、ドデカノ−10−ラクトン、ドデカノ−11−ラクトン、ドデカノ−12−ラクトン、トリデカノ−2−ラクトン、トリデカノ−3−ラクトン、トリデカノ−4−ラクトン、トリデカノ−5−ラクトン、トリデカノ−6−ラクトン、トリデカノ−7−ラクトン、トリデカノ−8−ラクトン、トリデカノ−9−ラクトン、トリデカノ−10−ラクトン、トリデカノ−11−ラクトン、トリデカノ−12−ラクトン、トリデカノ−13−ラクトン、テトラデカノ−2−ラクトン、テトラデカノ−3−ラクトン、テトラデカノ−4−ラクトン、テトラデカノ−5−ラクトン、テトラデカノ−6−ラクトン、テトラデカノ−7−ラクトン、テトラデカノ−8−ラクトン、テトラデカノ−9−ラクトン、テトラデカノ−10−ラクトン、テトラデカノ−11−ラクトン、テトラデカノ−12−ラクトン、テトラデカノ−13−ラクトン、テトラデカノ−14−ラクトン、ペンタデカノ−2−ラクトン、ペンタデカノ−3−ラクトン、ペンタデカノ−4−ラクトン、ペンタデカノ−5−ラクトン、ペンタデカノ−6−ラクトン、ペンタデカノ−7−ラクトン、ペンタデカノ−8−ラクトン、ペンタデカノ−9−ラクトン、ペンタデカノ−10−ラクトン、ペンタデカノ−11−ラクトン、ペンタデカノ−12−ラクトン、ペンタデカノ−13−ラクトン、ペンタデカノ−14−ラクトン、ペンタデカノ−15−ラクトン、ヘキサデカノ−2−ラクトン、ヘキサデカノ−3−ラクトン、ヘキサデカノ−4−ラクトン、ヘキサデカノ−5−ラクトン、ヘキサデカノ−6−ラクトン、ヘキサデカノ−7−ラクトン、ヘキサデカノ−8−ラクトン、ヘキサデカノ−9−ラクトン、ヘキサデカノ−10−ラクトン、ヘキサデカノ−11−ラクトン、ヘキサデカノ−12−ラクトン、ヘキサデカノ−13−ラクトン、ヘキサデカノ−14−ラクトン、ヘキサデカノ−15−ラクトン、ヘキサデカノ−16−ラクトン等が挙げられる。
中でも、硬化物やFRPへの残留が抑制される傾向にあることから、ブタノ−4−ラクトン、ペンタノ−4−ラクトン、ペンタノ−5−ラクトン、ヘキサノ−4−ラクトン、ヘキサノ−6−ラクトン、ヘプタノ−4−ラクトン、ヘプタノ−7−ラクトン、オクタノ−4−ラクトン、オクタノ−8−ラクトン、デカノ−10−ラクトン、ドデカノ−12−ラクトン、テトラデカノ−14−ラクトン、ヘキサデカノ−16−ラクトンがより好ましく、ブタノ−4−ラクトン、ペンタノ−4−ラクトン、ヘキサノ−4−ラクトンが好ましいものとして挙げられる。
前記連鎖移動剤としての環状カーボネート化合物は、環状構造内にカーボネート基を有する化合物であればよく、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ペンチレンカーボネート、ヘキシレンカーボネート、ヘプチレンカーボネート、オクチレンカーボネート、ノニレンカーボネート、デシレンカーボネート、ウンデシレンカーボネート、ドデシレンカーボネート、トリデシレンカーボネート、テトラデシレンカーボネート、ペンタデシレンカーボネート、ヘキサデシレンカーボネート、プロピル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ブチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ペンチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ヘキシル−1,3−ジオキソラン−2−オン、シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、エチル−1,3−ジオキサン−2−オン、プロピル−1,3−ジオキサン−2−オン、ブチル−1,3−ジオキサン−2−オン、ペンチル−1,3−ジオキサン−2−オン、ヘキシル−1,3−ジオキサン−2−オン、シクロヘキシル−1,3−ジオキサン−2−オン等が挙げられる。
特に、硬化物やFRPへの残留が抑制される傾向にあることから、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ペンチレンカーボネート、ヘキシレンカーボネート、プロピル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ブチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、エチル−1,3−ジオキサン−2−オン、プロピル−1,3−ジオキサン−2−オン、ブチル−1,3−ジオキサン−2−オンがより好ましく、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、1,3−ジオキサン−2−オン、ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オンが好ましいものして挙げられる。
連鎖移動剤としての環状シロキサン化合物は、環状構造がシロキサン結合により形成されている化合物であればよく、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメチルシクロトリシロキサン、トリエチルシクロトリシロキサン、トリプロピルシクロトリシロキサン、トリブチルシクロトリシロキサン、トリペンチルシクロトリシロキサン、トリヘキシルシクロトリシロキサン、トリヘプチルシクロトリシロキサン、トリオクチルシクロトリシロキサン、トリノニルシクロトリシロキサン、トリデシルシクロトリシロキサン、トリフェニルシクロトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、ヘキサプロピルシクロトリシロキサン、ヘキサブチルシクロトリシロキサン、ヘキサペンチルシクロトリシロキサン、ヘキサヘキシルシクロトリシロキサン、ヘキサヘプチルシクロトリシロキサン、ヘキサオクチルシクロトリシロキサン、ヘキサノニルシクロトリシロキサン、ヘキサデシルシクロトリシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、テトラエチルシクロテトラシロキサン、テトラプロピルシクロテトラシロキサン、テトラブチルシクロテトラシロキサン、テトラペンチルシクロテトラシロキサン、テトラヘキシルシクロテトラシロキサン、テトラヘプチルシクロテトラシロキサン、テトラオクチルシクロテトラシロキサン、テトラノニルシクロテトラシロキサン、テトラデシルシクロテトラシロキサン、テトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタエチルシクロテトラシロキサン、オクタプロピルシクロテトラシロキサン、オクタブチルシクロテトラシロキサン、オクタペンチルシクロテトラシロキサン、オクタヘキシルシクロテトラシロキサン、オクタヘプチルシクロテトラシロキサン、オクタオクチルシクロテトラシロキサン、オクタノニルシクロテトラシロキサン、オクタデシルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、ペンタエチルシクロペンタシロキサン、ペンタプロピルシクロペンタシロキサン、ペンタブチルシクロペンタシロキサン、ペンタペンチルシクロペンタシロキサン、ペンタヘキシルシクロペンタシロキサン、ペンタヘプチルシクロペンタシロキサン、ペンタオクチルシクロペンタシロキサン、ペンタノニルシクロペンタシロキサン、ペンタデシルシクロペンタシロキサン、ペンタフェニルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカエチルシクロペンタシロキサン、デカプロピルシクロペンタシロキサン、デカブチルシクロペンタシロキサン、デカペンチルシクロペンタシロキサン、デカヘキシルシクロペンタシロキサン、デカヘプチルシクロペンタシロキサン、デカオクチルシクロペンタシロキサン、デカノニルシクロペンタシロキサン、デカデシルシクロペンタシロキサン、デカフェニルシクロペンタシロキサン、ペンタメチルペンタフェニルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
特に、硬化物やFRPへの残留が抑制される傾向にあることから、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、ヘキサプロピルシクロトリシロキサン、ヘキサブチルシクロトリシロキサン、ヘキサペンチルシクロトリシロキサン、ヘキサヘキシルシクロトリシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタエチルシクロテトラシロキサン、オクタプロピルシクロテトラシロキサン、オクタブチルシクロテトラシロキサン、オクタペンチルシクロテトラシロキサン、オクタヘキシルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカエチルシクロペンタシロキサン、デカプロピルシクロペンタシロキサン、デカブチルシクロペンタシロキサン、デカペンチルシクロペンタシロキサン、デカヘキシルシクロペンタシロキサン、ペンタメチルペンタフェニルシクロペンタシロキサンがより好ましく、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンが、好ましいものとして挙げられる。
連鎖移動剤としての水酸基含有化合物は、構造内に水酸基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。
但し、水酸基含有化合物は、連鎖移動剤として、硬化速度を向上させる効果がある反面、物質によっては、プロトン供与体としてチイラン環の開環を促進し、保存安定性を低下させる場合があるため、保存環境や用途によっては、繊維強化用(樹脂)組成物における含有量を制限することが好ましい。
特に、アルコールでその傾向が顕著であるため、連鎖移動剤として水酸基含有化合物を用いる場合、アルコールの含有量は、(樹脂)組成物中、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下であるものとする。
水酸基含有化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、シクロプロパノール、メチルシクロプロパノール、ジメチルシクロプロパノール、エチルシクロプロパノール、プロピルシクロプロパノール、ブチルシクロプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、シクロブタノール、メチルシクロブタノール、ジメチルシクロブタノール、エチルシクロブタノール、プロピルシクロブタノール、ブチルシクロブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、シクロペンタノール、メチルシクロペンタノール、ジメチルシクロペンタノール、エチルシクロペンタノール、プロピルシクロペンタノール、ブチルシクロペンタノール、メチル−1−ブタノール、メチル−2−ブタノール、ジメチル−1−ブタノール、ジメチル−2−ブタノール、エチル−1−ブタノール、エチル−2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ジメチルシクロヘキサノール、エチルシクロヘキサノール、プロピルシクロヘキサノール、ブチルシクロヘキサノール、メチル−1−ペンタノール、メチル−2−ペンタノール、メチル−3−ペンタノール、ジメチル−1−ペンタノール、ジメチル−2−ペンタノール、ジメチル−3−ペンタノール、エチル−1−ペンタノール、エチル−2−ペンタノール、エチル−3−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、シクロヘプタノール、メチルシクロヘプタノール、ジメチルシクロヘプタノール、エチルシクロヘプタノール、メチル−1−ヘキサノール、メチル−2−ヘキサノール、メチル−3−ヘキサノール、ジメチル−1−ヘキサノール、ジメチル−2−ヘキサノール、エチル−1−ヘキサノール、エチル−2−ヘキサノール、エチル−3−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、シクロオクタノール、メチルシクロオクタノール、ジメチルシクロオクタノール、エチルシクロオクタノール、ノナノール、シクロノナノール、デカノール、シクロデカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、メチルプロパンジオール、ジメチルプロパンジオール、シクロプロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、メチルブタンジオール、ジメチルブタンジオール、シクロブタンジオール、メチルシクロブタンジオール、ジメチルシクロブタンジオール、エチルシクロブタンジオール、プロピルシクロブタンジオール、ブチルシクロブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルペンタンジオール、シクロペンタンジオール、メチルシクロペンタンジオール、ジメチルシクロペンタンジオール、エチルシクロペンタンジオール、プロピルシクロペンタンジオール、ブチルシクロペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルヘキサンジオール、ジメチルヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、ジメチルシクロヘキサンジオール、エチルシクロヘキサンジオール、プロピルシクロヘキサンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,3−ヘプタンジオール、1,4−ヘプタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、シクロヘプタンジオール、メチルシクロヘプタンジオール、ジメチルシクロヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,3−オクタンジオール、1,4−オクタンジオール、1,5−オクタンジオール、1,6−オクタンジオール、1,7−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、シクロオクタンジオール、メチルシクロオクタンジオール、ジメチルシクロオクタンジオール、ノナンジオール、シクロノナンジオール、デカンジオール、シクロデカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオール、トリデカンジオール、テトラデカンジオール、ペンタデカンジオール、ヘキサデカンジオール、グリセロール、エリトリトール、キシリトール、マンニトール、ボレミトール、グルコース、スクロース、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ドデカエチレングリコール、メチラール、PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG4000、PEG6000、ポリカーボネートジオール、ポリエステル−8−ヒドロキシ−1−アセチレン ビス−MPA デンドロン ジェネレーション 3(製品名、Aldrich社製)、ポリエステル−16−ヒドロキシ−1−アセチレン ビス−MPA デンドロン ジェネレーション 4(製品名、Aldrich社製)、ポリエステル−32−ヒドロキシ−1−アセチレン ビス−MPA デンドロン ジェネレーション 5(製品名、Aldrich社製)、ポリエステル−8−ヒドロキシ−1−カルボキシル ビス−MPA デンドロン ジェネレーション 3(製品名、Aldrich社製)、ポリエステル−16−ヒドロキシ−1−カルボキシル ビス−MPA デンドロン ジェネレーション 4(製品名、Aldrich社製)、ポリエステル−32−ヒドロキシ−1−カルボキシル ビス−MPA デンドロン ジェネレーション 5(製品名、Aldrich社製)、ハイパーブランチド ビス−MPA ポリエステル−16−ヒドロキシル,ジェネレーション 2(製品名、Aldrich社製)、ハイパーブランチド ビス−MPA ポリエステル−32−ヒドロキシル,ジェネレーション 3(製品名、Aldrich社製)等が挙げられる。
特に、入手のし易さの観点から、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、シクロペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、グリセロール、メチラールが好ましく、2−プロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、シクロペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、メチラールが好ましいものとして挙げられる。
(酸化防止剤)
本実施形態の(樹脂)組成物又は硬化性(樹脂)組成物には、酸化防止剤が、さらに含まれていてもよい。
酸化防止剤は、以下に限定されるものではないが、例えば、後述する(1)フェノール系酸化防止剤、(2)リン系酸化防止剤、(3)イオウ系酸化防止剤、及び(4)アミン系酸化防止剤が挙げられる。中でも、安定化効果と入手のし易さの観点から、(1)フェノール系酸化防止剤が、好ましい。
また、上記酸化防止剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態の(樹脂)組成物又は硬化性(樹脂)組成物における酸化防止剤の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、0.1〜5質量%、より好ましくは0.2〜3質量%、さらに好ましくは0.4〜2質量%である。
酸化防止剤の含有量が0.1質量%未満の場合、酸化防止抑制効果が得られにくい傾向があり、5質量%より多い場合、着色する傾向にある。
<(1)フェノール系酸化防止剤>
フェノール系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、以下のアルキルフェノール類、ヒドロキノン類、チオアルキル又はチオアリール類、ビスフェノール類、ベンジル化合物類、トリアジン類、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル、β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル、β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と一価又は多価アルコールとのエステル、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、及びビタミン類が挙げられる。
[(1−1)アルキルフェノール類]
アルキルフェノール類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、直鎖状又は分岐鎖状の側鎖を有するノニルフェノール類(例えば2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール)、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデカ−1’−イル)フェノール及びそれらの混合物、4−ヒドロキシラウルアニリド、4−ヒドロキシステアルアニリド、並びにオクチルN−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバマート等が挙げられる。
[(1−2)ヒドロキノン類]
ヒドロキノン類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアラート及びビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジパート等が挙げられる。
[(1−3)チオアルキル又はチオアリール類]
チオアルキル又はチオアリール類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,4−ジオクチルチオメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジ−ドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−sec−アミルフェノール)及び4,4’−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィド等が挙げられる。
[(1−4)ビスフェノール類]
ビスフェノール類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチラート]、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタラート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン及び1,1,5,5−テトラ(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン等が挙げられる。
[(1−5)ベンジル化合物類]
ベンジル化合物類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、3,5,3’,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセタート、トリデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルメルカプトアセタート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタラート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセタート、ジオクタデシル−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロナート、ジ−オクタデシル−2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロナート、ジ−ドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロナート、ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロナート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン及び2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール等が挙げられる。
[(1−6)トリアジン類]
トリアジン類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,2,3−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌラート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌラート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン及び1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌラート等が挙げられる。
[(1−7)β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル]
β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、及び4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン等から選ばれる一価又は多価アルコールとのエステル等が挙げられる。
[(1−8)β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル]
β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と、メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン、及び3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等から選ばれる一価又は多価アルコールとのエステル等が挙げられる。
[(1−9)β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル]
β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、及び4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン等から選ばれる一価又は多価アルコールとのエステル等が挙げられる。
[(1−10)3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と一価又は多価アルコールとのエステル]
3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と一価又は多価アルコールとのエステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、及び4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンから選ばれる一価又は多価アルコールとのエステル等が挙げられる。
[(1−11)β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド]
β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミド、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジド及びN,N’−ビス[2−(3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシ)エチル]オキサミド等が挙げられる。
[(1−12)ビタミン類]
ビタミン類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール及びそれらの混合物、トコトリエノール、並びにアスコルビン酸等が挙げられる。
上記フェノール系酸化防止剤の中でも、安定化効果と入手のし易さの観点から、ヒンダードフェノール骨格を有する酸化防止剤が好ましく、市販の化合物としては、例えば、BASF社製、「Irganox」1010、1035、1076、1098、1135、1330、1726、1425WL、1520L、245、259、3114、5057、565、295、株式会社ADEKA製、「アデカスタブ」AO−50、AO−60、AO−330等が挙げられる。
<(2)リン系酸化防止剤>
(2)リン系酸化防止剤としては、以下のホスホナート類、ホスファイト類及びオキサホスファフェナンスレン類が挙げられる。
[(2−1)ホスホナート類]
ホスホナート類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチル−2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホナート、ジエチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホナート、ジオクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホナート、ジオクタデシル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホナート、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナート及び3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩等が挙げられる。
[(2−2)ホスファイト類]
ホスファイト類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、水素化−4,4‘−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)−ビス[4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)]−1,6−ヘキサンジオールジホスファイト、フェニル−4,4’−イソプロピリデンジフェノール−ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス[4,4’−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール)]ホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)、トリス(1,3−ジ−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、及び4,4’−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール)−ジ(ノニルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。
[(2−3)オキサホスファフェナンスレン類]
オキサホスファフェナンスレン類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、8−クロロ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド及び8−t−ブチル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド等が挙げられる。
<(3)イオウ系酸化防止剤>
(3)イオウ系酸化防止剤としては、以下のジアルキルチオプロピオネート類、オクチルチオプロピオン酸と多価アルコールとのエステル、ラウリルチオプロピオン酸と多価アルコールとのエステル、及びステアリルチオプロピオン酸と多価アルコールとのエステルが挙げられる。
[(3−1)ジアルキルチオプロピオネート類]
ジアルキルチオプロピオネート類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、及びジステアリルチオジプロピオネート等が挙げられる。
[(3−2)オクチルチオプロピオン酸と多価アルコールとのエステル]
オクチルチオプロピオン酸と多価アルコールとのエステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、オクチルチオプロピオン酸と、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等から選ばれる多価アルコールとのエステル等が挙げられる。
[(3−3)ラウリルチオプロピオン酸と多価アルコールとのエステル]
ラウリルチオプロピオン酸と多価アルコールとのエステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラウリルチオプロピオン酸と、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートとのエステル等が挙げられる。
[(3−4)ステアリルチオプロピオン酸と多価アルコールとのエステル]
ステアリルチオプロピオン酸と多価アルコールとのエステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリルチオプロピオン酸と、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等から選ばれる多価アルコールとのエステル等が挙げられる。
<(4)アミン系酸化防止剤>
(4)アミン系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−(4−tert−オクチルフェニル)−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン(例えば、p,p’−ジ−tert−オクチルジフェニルアミン)、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4−メトキシフェニル)−アミン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス[(2−メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2−ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ビス[4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル]アミン、tert−オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノ−及びジ−アルキル化tert−ブチル−/tert−オクチルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジ−アルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジ−アルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジ−アルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジ−アルキル化tert−ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノ−及びジ−アルキル化tert−ブチル/tert−オクチルフェノチアジン類の混合物、モノ−及びジ−アルキル化tert−オクチルフェノチアジン類の混合物、N−アリルフェノチアジン,N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−ジアミノブタ−2−エン、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イル)ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イル)セバカート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、並びに、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール等が挙げられる。
(光安定剤)
本実施形態の(樹脂)組成物及び硬化性(樹脂)組成物は、光安定剤を、さらに含んでいてもよい。
光安定剤は、特に限定されるものではないが、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、エステル系、アクリラート系、ニッケル系、トリアジン系及びオキサミド系等の紫外線吸収剤、並びにヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
光安定剤の具体例としては、以下の(1)〜(8)のものが挙げられる。
[(1)トリアゾール系光安定剤]
トリアゾール系光安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール]、2−[3’−tert−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物、並びに、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(α,α−ジメチルベンジル)−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール;2−[2’−ヒドロキシ−3’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5’−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
[(2)ベンゾフェノン系光安定剤]
ベンゾフェノン系光安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、4−デシルオキシ、4−ベンジルオキシ、4,2’,4’−トリヒドロキシ及び2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ誘導体類等が挙げられる。
[(3)エステル系光安定剤]
エステル系光安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、4−tert−ブチルフェニルサリチラート、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチルフェニル、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−tert−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアート、ヘキサデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアート、オクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアート及び2−メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアート等が挙げられる。
[(4)アクリラート系光安定剤]
アクリラート系光安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリラート、イソオクチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリラート、メチル−α−カルボメトキシシンナマート、メチル−α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナマート、ブチル−α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナマート、メチル−α−カルボメトキシ−p−メトキシシンナマート及びN−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン等が挙げられる。
[(5)ニッケル系光安定剤]
ニッケル系光安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、n−ブチルアミン、トリエタノールアミン及びN−シクロヘキシルジエタノールアミンのような追加のリガンドを有する又は有さない、1:1又は1:2錯体(例えば、2,2’−チオビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体)、ニッケルジブチルジチオカルバマート、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルリン酸のモノアルキルエステル(例えば、メチル又はエチルエステル)のニッケル塩、ケトキシム類のニッケル錯体(例えば、2−ヒドロキシ−4−メチルフェニルウンデシルケトキシムのニッケル錯体)、並びに、追加のリガンドを有する又は有さない1−フェニル−4−ラウロイル−5−ヒドロキシピラゾールのニッケル錯体等が挙げられる。
[(6)トリアジン系光安定剤]
トリアジン系光安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン及び2−{2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル}−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
[(7)オキサミド系光安定剤]
オキサミド系光安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブトキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブトキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2’−エトキサニリド及びこれと2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−tert−ブトキサニリドとの混合物、o−及びp−メトキシ−二置換オキサニリドの混合物、並びにo−及びp−エトキシ−二置換オキサニリドの混合物等が挙げられる。
[(8)ヒンダードアミン系光安定剤]
ヒンダードアミン系光安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバカート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシナート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバカート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバカート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)n−ブチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロナート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの直鎖又は環式縮合物、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトリロトリアセタート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、1,1’−(1,2−エタンジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)マロナート、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバカート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)スクシナート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの直鎖又は環式縮合物;2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合物、2−クロロ−4,6−ジ−(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合物、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、5−(2−エチルヘキサノイル)−オキシメチル−3,3,5−トリメチル−2−モルホリノン、1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−4−オクタデカノイルオキシー2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,3,5−トリス(N−シクロヘキシル−N−(2,2,6,6−テトラメチルピペラジン−3−オン−4−イル)アミノ)−s−トリアジン、1,3,5−トリス(N−シクロヘキシル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペラジン−3−オン−4−イル)アミノ)−s−トリアジン、2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−ピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−6−クロロ−s−トリアジンとN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン)との反応生成物、4−ヘキサデシルオキシ−及び4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの混合物;N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−シクロヘキシルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合物、1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン、その他に4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合物、1,6−ヘキサンジアミンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン、その他にN,N−ジブチルアミンと4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合物、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシンイミド、N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシンイミド、2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソ−スピロ[4.5]デカン;5−(2−エチルヘキサノイル)オキシメチル−3,3,5−トリメチル−2−モルホリノン、7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ−[4,5]デカンとエピクロロヒドリンとの反応生成物、1,1−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテン、N,N’−ビス−ホルミル−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、4−メトキシメチレンマロン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ヒドロキシピペリジンとのジエステル、ポリ[メチルプロピル−3−オキシ−4−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)]シロキサン、並びに、マイレン酸無水物α−オレフィンコポリマーと2,2,6,6−テトラメチル−4−アミノピペリジン又は1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノピペリジンとの反応生成物等が挙げられる。
上述した本実施形態の硬化性(樹脂)組成物は、後述するように、強化繊維を含有させる、繊維強化用の硬化性(樹脂)組成物として使用することができる。
〔硬化物〕
本実施形態の硬化物は、本実施形態の硬化性(樹脂)組成物を含有する。
本実施形態の硬化物の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱硬化又はエネルギー線硬化により、本実施形態の硬化性(樹脂)組成物、又は当該硬化性(樹脂)組成物に任意の材料を含有させた組成物を硬化する方法が挙げられる。
ここで、熱硬化とは、熱による化学反応により分子間に3次元の架橋結合を生じさせることで硬化物を得る方法であれば、特に限定されるものではない。
熱硬化温度は、特に限定されるものではないが、生産性と品質の観点から、好ましくは20〜200℃、より好ましくは60〜180℃、さらに好ましくは100〜150℃である。
熱硬化に使用する装置は、加熱できる装置であれば、特に限定されるものではないが、例えば、オーブン、乾燥機、真空乾燥機、ブロック型加熱装置、ホットプレート、オートクレーブ、熱プレス装置、真空熱プレス装置、インライン型加熱装置(ヴェルサットキュア方式加熱装置、トランファー送り方式加熱装置、コンベア式加熱装置等)、多段式加熱装置、誘電加熱装置、リフロー加熱装置、乾燥加熱装置、熱硬化性射出成形機等が挙げられる。
前記エネルギー線硬化とは、エネルギー線(紫外線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線等の光の他、電子線等)を照射することで硬化物を得る方法である。
エネルギー線の種類としては、特に限定されるものではないが、好ましくは光、より好ましくは紫外線である。
エネルギー線の発生源は、特に限定されるものではなく、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、UVランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、アルゴンイオンレーザ、ヘリウムカドミウムレーザ、ヘリウムネオンレーザ、クリプトンイオンレーザ、各種半導体レーザー、YAGレーザー、エキシマーレーザー、発光ダイオード、CRT光源、プラズマ光源、電子線照射器等の各種光源等が挙げられる。
エネルギー線硬化の方法は、特に限定されるものではなく、通常、エネルギー線刺激により重合開始剤が分解することで重合開始種が発生し、対象物質の重合性官能基を重合するという経過を辿る。
また、硬化工程においては、上述した硬化方法のうちの一種のみを用いてもよく、複数の硬化方法を組み合わせてもよい。例えば、紫外線硬化後、更に加熱処理を施して、熱硬化してもよい。
(硬化物の加熱試験後の質量減少率)
本実施形態の硬化物は、200℃×24時間の加熱試験後の質量減量率(%)が、5質量%以下であることが好ましい。
質量減少率(%)は、後述する実施例に記載の方法で求められ、硬化物の耐熱性の指標となる。
質量減少率(%)は、特に限定されないが、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、さらにより好ましくは2質量%以下である。
硬化物の耐熱性は、上述した(B)成分を配合した場合の硬化物の質量減少率(%)と、比較対象となる(B)成分を配合しなかった硬化物との比較によって判定することができる。
つまり、(B)成分を配合した場合の硬化物の質量減少率(%)が、比較対象となる(B)成分を配合しなかった硬化物の質量減少率(%)よりも小さい場合に、硬化物の耐熱性が良好と判断でき、硬化物の判定が合格(A)であると判断できる。
本実施形態の硬化物は、強化繊維をさらに含有してもよい。
これにより、強度の向上効果が得られる。
〔プリプレグ〕
本実施形態のプリプレグは、上述した本実施形態の硬化性(樹脂)組成物と、後述する強化繊維を含有する。本実施形態のプリプレグは複数積層構造を有していてもよい。
本実施形態のプリプレグは、本実施形態の硬化性(樹脂)組成物と、強化繊維とを用いて、公知の方法で製造することができる。
その製法は、特に制限されるものではないが、例えば、硬化性(樹脂)組成物を、強化繊維に、含浸、塗布させる方法が挙げられる。
代表的な製法としては、例えば、硬化性(樹脂)組成物に強化繊維を含浸させる方法、硬化性(樹脂)組成物を含浸させた強化繊維を複数積層する方法等が挙げられる。
強化繊維の形態としては、特に限定されるものではなく、例えば、一方向に引き揃えられたもの、織物、ノンクリンプファブリック等が挙げられる。
硬化性(樹脂)組成物を繊維に含浸させる方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、溶剤を使用するウェット法、無溶剤で行うホットメルト法等が挙げられる。
ウェット法でプリプレグの製造を行う場合は、硬化性(樹脂)組成物を溶媒に溶解させ、ワニスを調製してから含浸させることが好ましい。
ワニス調製時に使用する溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、「メタノール、エタノール、プロパノールのようなアルコール類」、「メチルエチルケトン(MEK)のようなケトン類」が挙げられる。
溶剤の使用量は、特に限定されるものではないが、乾燥時間の短縮の観点から、硬化性(樹脂)組成物に対し、質量で、1〜2倍程度が好ましい。
本実施形態のプリプレグにおける、硬化性(樹脂)組成物の含有量は、特に限定されるものではないが、作業性、機械的特性の観点から、プリプレグ中の30〜70質量%が好ましく、より好ましくは35〜60質量%、特に好ましくは40〜50質量%である。
本実施形態のプリプレグは、その使用方法については、特に制限されず、例えば、プリプレグをそのまま硬化させる方法、繊維強化プリプレグを半硬化させさらに硬化させる方法等が適宜採用できる。
また、上記プリプレグと他の部材(例えば、ハニカムコア)とを積層させて、後述のFRPを作製することも可能である。具体的には、例えば、ハニカムサンドイッチパネル等が挙げられる。
本実施形態の、プリプレグは、強化繊維の繊維体積含有率が45〜70%の範囲内であることが好ましく、50〜65%の範囲内であることがより好ましく、さらには55〜60%の範囲内であることが好ましい。
繊維体積含有率が45%以上の場合、さらに高弾性率であり軽量化効果に優れるプリプレグが得られ、70%以下の場合、強化繊維同士の擦過による強度低下がなく、さらに引張強度などの力学特性に優れるプリプレグが得られる。
〔繊維強化プラスチック〕
本実施形態の繊維強化プラスチックは、上述した本実施形態の硬化性(樹脂)組成物と、後述する強化繊維を含有し、硬化処理が施されているものである。
本実施形態の、繊維強化プラスチック(FRP)の好ましい製造方法としては、特に限定されるものではないが、上述した本実施形態の液状の硬化性(樹脂)組成物を所定の強化繊維に含浸させ、これに硬化処理を施して繊維強化プラスチックを得る方法、本実施形態の液状の硬化性(樹脂)組成物に強化繊維を配合し、硬化処理を施してして繊維強化プラスチックを得る方法が挙げられ、具体的には、オートクレーブ成形法、レジン・トランスファー・モールディング法(RTM法)、フィラメントワインディング法、プルトルージョン法等が挙げられる。
中でも、FRPの物性の観点から、オートクレーブ成形法又はRTM法を用いることが好ましい。
前記オートクレーブ成形法とは、オートクレーブを使用する成形法であれば、特に限定されるものではないが、例えば、上記プリプレグを、成形型に積層し、必要に応じてバッグ材で覆い、それをオートクレーブで加熱・加圧してFRPを成形する方法である。この方法は、プリプレグを用いることにより、ボイドが少なく、極めて信頼性の高いFRPが得られるため、航空機部材の成形等に好ましく使われている。
前記RTM法とは、型内に配置した強化繊維基材に、液状の(樹脂)組成物を含浸させ、硬化してFRPを得る方法である。この方法は、生産性に優れるという利点がある。
更に、RTM法の派生形の製造方法としては、例えば、真空注入成形法(VaRTM法)、SCRIMP(Seeman’s Composite Resin Infusion Molding Process)法、特表2005−527410記載のCAPRI(Controlled Atmospheric Pressure Resin Infusion)法等も、好適に用いることができる。
前記RTM法に用いる型は、剛性材料からなるクローズドモールドを用いてもよく、剛性材料のオープンモールドと可撓性のフィルム(バッグ)を用いることもできる。後者の場合、強化繊維基材は、剛性材料のオープンモールドと可撓性フィルムの間に設置することができる。前記剛性材料としては、スチールやアルミニウムなどの金属、繊維強化プラスチック(FRP)、木材、石膏など既存の各種のものが用いられる。可撓性のフィルムの材料には、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などが用いられる。
前記RTM法において、剛性材料のクローズドモールドを用いる場合は、加圧して型締めし、硬化性(樹脂)組成物を加圧して注入するのが一般的である。このとき、注入口とは別に吸引口を設け、真空ポンプに接続して吸引することもできる。また、吸引を行い、特別な加圧手段を用いることなく、大気圧のみで硬化性(樹脂)組成物を注入することも可能である。この方法は、複数の吸引口を設けることにより、大型の部材を製造することができる。
前記RTM法において、剛性材料のオープンモールドと可撓性フィルムを用いる場合、通常、吸引を行い、特別な加圧手段を用いることなく、大気圧のみで硬化性(樹脂)組成物を注入する。大気圧での注入で、含浸を行うには、樹脂拡散媒体を用いることが有効である。さらに、強化繊維からなる繊維基材あるいはプリフォームの設置に先立って、剛性材料の表面にゲルコートを塗布することが好ましい。
また、型として剛性材料のクローズドモールドを用いる場合、型内とは、当該クローズドモールドで形成されるキャビティー内のことを意味し、剛性材料のオープンモールドと可撓性フィルムを用いる場合、型内とは、当該オープンモールドと可撓性フィルムに囲まれる空間内のことを意味する。
(その他の材料)
本実施形態の(樹脂)組成物、硬化性(樹脂)組成物、プリプレグ、FRPには、目的に応じて、各種有機樹脂、無機充填剤、着色剤、レベリング剤、滑剤、界面活性剤、シリコーン系化合物、反応性希釈剤、非反応性希釈剤等を適宜含むことができる。
その他、一般に樹脂用の添加剤(可塑剤、難燃剤、安定剤、帯電防止剤、耐衝撃強化剤、発泡剤、抗菌・防カビ剤、導電性フィラー、防曇剤、架橋剤等)として供される物質を、配合してもよい。
有機樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド樹脂、「ポリ(メタクリル酸メチル)(pMMA)をはじめとする、ポリメタクリル酸エステル樹脂」、「ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)をはじめとする、ポリエステル樹脂」、不飽和ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、「ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)をはじめとする、ポリオレフィン樹脂」、ポリスチレン(pSt)、ポリアクリロニトリル(PAN)、「ABS樹脂、α−メチルスチレン系ABS樹脂、フェニルマレイミド系ABS樹脂等をはじめとする、ABS樹脂類」、ASA樹脂(AAS樹脂)、ACS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ナイロン、フッ素樹脂、ポリカーボネート(PC)」、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリ乳酸、ポリアクリル酸及びその塩等が挙げられる。
中でも、硬化物やFRPの物性の観点から、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂が好ましく、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂がさらに好ましい。
これらの有機樹脂は、共重合されていてもよく、他の組成物とのコンパウンド品でもよい。
また、有機樹脂は、1種のみを単独で使用しても、2種以上を併用して使用してもよい。
無機充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、シリカ類(溶融破砕シリカ、結晶破砕シリカ、球状シリカ、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ及び沈降性シリカ等)、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、硝子繊維、炭素繊維、及び二硫化モリブデンが挙げられる。
これらの中でも、シリカ類、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム及びチタン酸バリウムが好ましく、さらに、硬化物の物性を考慮すると、シリカ類がより好ましい。
これらの無機充填材は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
着色剤は、着色を目的に使用される物質であれば、特に限定されるものではないが、例えば、フタロシアニン、アゾ、ジスアゾ、キナクリドン、アントラキノン、フラバントロン、ペリノン、ペリレン、ジオキサジン、縮合アゾ及びアゾメチン系の各種有機系色素、並びに、酸化チタン、硫酸鉛、クロムエロー、ジンクエロー、クロムバーミリオン、弁殻、コバルト紫、紺青、群青、カーボンブラック、クロムグリーン、酸化クロム及びコバルトグリーン等の無機顔料から選ばれ得る。
これらの着色剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
レベリング剤は、以下に限定されるものではないが、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリレートから形成される分子量4000〜12000のオリゴマー、エポキシ化大豆脂肪酸、エポキシ化アビエチルアルコール、水添ひまし油、並びにチタン系カップリング剤等が挙げられる。
これらのレベリング剤は1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
滑剤は、以下に限定されるものではないが、例えば、パラフィンワックス、マイクロワックス及びポリエチレンワックス等の炭化水素系滑剤、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸及びベヘン酸等の高級脂肪酸系滑剤、ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレイルアミド、メチレンビスステアロアミド及びエチレンビスステアロアミド等の高級脂肪酸アミド系滑剤、硬化ひまし油、ブチルステアレート、エチレングリコールモノステアレート及びペンタエリスリトール(モノ−,ジ−,トリ−,又はテトラ−)ステアレート等の高級脂肪酸エステル系滑剤、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリグリセロール等のアルコール系滑剤、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リシノール酸及びナフテン酸等のマグネシウム、カルシウム、カドミウム、バリウム、亜鉛及び鉛等の金属塩である金属石鹸、並びに、カルナウバロウ、カンデリラロウ、ミツロウ及びモンタンロウ等の天然ワックス等が挙げられる。
これらの滑剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
界面活性剤は、分子中に溶媒に対して親和性を持たない疎水基と、溶媒に対して親和性を持つ親媒基(通常は親水基)を持つ、両親媒性物質を指す。
界面活性剤の種類としては、特に限定されるものではなく、例えば、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シリコーン系化合物は、以下に限定されるものではないが、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン縮合物、シリコーン部分縮合物、シリコーンオイル、シランカップリング剤、シリコーンオイル、及びポリシロキサン等が挙げられる。
シリコーン化合物の両末端、片末端、あるいは側鎖に有機基を導入して変性されていてもよい。
シリコーン系化合物の変性の方法も特に限定されず、以下に限定されるものではないが、例えば、アミノ変性、エポキシ変性、脂環式エポキシ変性、カルビノール変性、メタクリル変性、ポリエーテル変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、フェノール変性、シラノール変性、ポリエーテル変性、ポリエーテル・メトキシ変性、及びジオール変性が挙げられる。
反応性希釈剤は、以下に限定されるものではないが、例えば、アルキルグリシジルエーテル、アルキルフェノールのモノグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6―ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アルカン酸グリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、及びプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
非反応性希釈剤は、以下に限定されるものではないが、例えば、ベンジルアルコール、ブチルジグリコール及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等の高沸点溶媒等が挙げられる。
〔用途〕
本実施形態の(樹脂)組成物、硬化性(樹脂)組成物、硬化物、プリプレグ及び繊維強化プラスチックの用途は、特に限定されるものではないが、強化繊維を含むものとしては、例えば、「オートバイフレーム、カウル、フェンダー等の二輪車部品」、「ドア、ボンネット、テールゲート、サイドフェンダー、側面パネル、フェンダー、エネルギー吸収部材、トランクリッド、ハードップ、サイドミラーカバー、スポイラー、ディフューザー、スキーキャリアー、エンジンシリンダーカバー、エンジンフード、シャシー、エアースポイラー、プロペラシャフト等の自動車部品」、「先頭車両ノーズ、ルーフ、サイドパネル、ドア、台車カバー、側スカート等の車輌用外板、荷物棚、座席等の鉄道車輌部品」、「インテリア、ウイングトラックにおけるウイングのインナーパネル、アウターパネル、ルーフ、フロアー等、自動車や単車に装着するやサイドスカート等のエアロパーツ、窓枠、荷物棚、座席、フロアパネル、翼、プロペラ、胴体等の航空機部品」、自転車部品、「ノートパソコン、携帯電話等の筐体用途」、透明基板等のディスプレイ用途、「建築、土木用の補修シート、構造材等の建築資材」、「X線カセッテ、天板等のメディカル用途」、「フラットスピーカーパネル、スピーカーコーン等の音響製品用途」、「ゴルフクラブ、フェースプレート、スノーボード、サーフボード、プロテクター、テニスラケット、釣竿等のスポーツ用品用途」、「水素タンク、ガスタンク、板バネ、風車ブレード、エレベーター(籠パネル、ドア)、スーツケース、家具のような一般産業用途」等が挙げられる。
本実施形態の(樹脂)組成物及び硬化物の、その他の用途としては、以下に限定されるものではないが、例えば、塗料、印刷インキ、感光材料、構造用接着剤、土木用接着剤、有機ELやLEDの封止用シール剤及び接着剤、偏光板接着剤、カラーフィルター、有機EL等の光取出し層及び光取出しフィルム、ディスプレイ基板、フレキシブルディスプレイ基板、フレキシブルディスプレイ用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材又は建築材料の構成部材等が挙げられ、これらにより、印刷物、透明封止剤、カラーフィルター、ディスプレイ基板、フレキシブルディスプレイ基板、フレキシブルディスプレイ用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、接続材料、異方性導電膜(ACF)、光学部材、建築部材等が提供される。
また、硬化物として形成されたパターン等は、以下に限定されるものではないが、例えば、透明封止剤、カラーフィルター、ディスプレイ基板、フレキシブルディスプレイ基板、フレキシブルディスプレイ用フィルム、電子部品、半導体装置、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、その他の光学部材又は電子部材として有利に使用することができる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて、本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例に適用する物性の評価方法は、以下のとおりである。
〔評価方法〕
(エポキシ当量(WPE))
原料であるエポキシ化合物のエポキシ当量を、「JIS K7236:2001(エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方)」に従って測定した。
(ナトリウム及びカルシウム含有量)
原料であるエポキシ化合物を測定サンプルとし、当該測定サンプルを、酸共存下で加熱分解後、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)により、ナトリウム(Na)及びカルシウム(Ca)の含有量を測定した。
((A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物のS化率)
「少なくとも1つのチイラン環を有する化合物」のS化率の測定は、1H−NMR測定により、以下の(1)〜(4)の手順で行った。
(1)サンプル瓶に、10mgのサンプルを入れ、クロロホルム−d(和光純薬工業株式会社製)を加え、1gの溶液に調製した。
(2)上記(1)の溶液を、直径5mmφのNMRチューブに移し、下記条件で、1H−NMRを測定した。
測定に用いたフーリエ変換核磁気共鳴装置:Bruker社製、「Spectrospin400型」
周波数:400MHz
核種:H
積算回数:200回
(3)オキシラン環に由来するピークの積分値(X)と、チイラン環に由来するピークの積分値(Y)を求めた。
なお、オキシラン環及びチイラン環に由来するピークは、他の構造に由来するピークと重複していないピークを選択した。
(4)上記(3)で読み取った積分値を下記式に代入し、S化率(%)を算出した。
S化率(%)=Y/(X+Y)×100
((A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物、(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、エポキシ化合物、及び樹脂組成物の粘度)
以下の条件で、粘度の測定を行った。
・使用した回転式E形粘度計:東機産業株式会社製、「TV−22型」
・ローター:3°×R14(必要に応じ、他のローターを選択してもよい。)
・測定温度:25℃
・サンプル量:0.4mL
((B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物の分子量(Mw))
少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物の分子量(Mw)は、化学構造が既知の場合は、化学構造から算出した。
化学構造が不明な場合は、メーカーのカタログ値を引用した。
((C)エステル化合物のpH)
エステル化合物のpHを、pH試験紙(東洋濾紙株式会社製)で測定した。
(樹脂組成物の保存安定性指標βの算出と、樹脂組成物の保存安定性の評価)
樹脂組成物における保存安定性を、以下の一般式(9)で示す、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物を含む樹脂組成物の保存安定性指標βで評価した。
保存安定性指標β=(保存粘度)/(開始粘度) ・・・(9)
製造直後の、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物を含む樹脂組成物の、25℃における粘度を測定し、これを「開始粘度」とした。
更に、測定用サンプルとして、樹脂組成物を入れた容器を密封し、60℃で24時間保存した。保存後のサンプルを25℃まで冷却し、25℃における粘度を測定し、これを「保存粘度」とした。
測定用サンプルに流動性があり(粘度が1000Pa・s以下であり)、かつ、保存安定性指標βが5以下である場合に、樹脂組成物において、良好な保存安定性を有すると判断し、樹脂組成物の判定が合格(A)であると判断した。
(樹脂組成物のアルコール含有量)
以下の条件で、樹脂組成物のアルコール含有量の測定を行った。
製造直後の樹脂組成物を、テトラヒドロフラン(和光純薬工業株式会社製、以下、THFとも言う。)で希釈し、ガスクロマトグラフ(GC)で測定した。
測定用装置:株式会社島津製作所製、「GC−14B型」
検出器:FID
キャリアガス:ヘリウム
注入温度:230℃
検出器温度:280℃
カラム:GLサイエンス株式会社製、「TC−1」、内径0.25mm×長さ30m、膜厚0.25μm
カラム温度:40℃×2分→昇温20℃/分→300℃×2分
アルコール含有量が500ppm以下であれば、適正なアルコール含有量であると評価した。
(樹脂組成物のヘーズ)
以下の条件で測定を行った。
TACフィルム(富士フィルム株式会社製、厚み60μm、ヘーズ=0.5%、2枚重ねた場合のヘーズ=0.8%)を2枚準備した。
1枚のTACフィルムの上に、所定量の「25℃×24時間保存後の樹脂組成物」又は「60℃×24時間保存後の樹脂組成物」を載せ、更に、もう1枚のTACフィルムを載せ、TACフィルムに挟まれた樹脂組成物の層の厚みが0.5mmになるまで、プレス機でプレスして、サンプルを作製した。
上記サンプルを、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、「NDH 5000W」)を使用し、「JIS K7105:プラスチックの光学的特性試験方法」に準じて、ヘーズを測定した。
(硬化性樹脂組成物のゲルタイム)
硬化性樹脂組成物のゲルタイムは、「JIS C2105:2006(電気絶縁用無溶剤液状レジン試験方法)」の熱板法に従って、下記の条件により測定した。
・測定温度:150℃及び100℃
・測定時間:上記温度に設定し、ゲル化した時間(秒)を記録した。但し、30分経過してもゲル化しない場合は、硬化しないと判断した。
・150℃におけるゲルタイムが、180秒以内の場合に、硬化性が良好(許容範囲)と、判断し、硬化性樹脂組成物の判定が合格(A)であると判断した。
(硬化性樹脂組成物の硬化物の製造と質量測定)
先ず、物性評価用の硬化物を、下記(1)〜(6)の手順で製造し、質量を求めた。
(1)アルミ皿(アズワン株式会社製、直径60mm×高さ15mm)の質量を、測定し記録した。
(2)硬化性樹脂組成物を、自転・公転ミキサー(シンキー株式会社、「あわとり練太郎」)で脱気した。
(3)上記硬化性樹脂組成物を、上記アルミ皿に、約5gずつはかり取った。
(4)更にアルミ皿を、セーフティオーブンに入れ、150℃で1時間以上硬化した。
(5)セーフティオーブンの内温が30℃以下に下がってから、硬化物の入ったアルミ皿を取り出し、デシケータ内で25℃になるまで保管後、質量を測定し、記録した。
(6)更に、下記式に従って、硬化物の質量を求めた。
硬化物の質量(g)=[硬化物の入ったアルミ皿の質量(g)]−[アルミ皿の質量(g)]
(硬化物のタック性)
ラテックス手袋を装着し、得られた硬化物表面の、タック性を評価した。
べたつきが無い場合を合格、べたつきがある場合を不合格とした。
(200℃×24時間加熱試験後の硬化物の質量減少率)
上記で製造した硬化物を使用して、下記の手順で、200℃×24時間加熱試験後の、耐熱性を評価した。
(B)成分を配合した場合の硬化物にタック性が無く、かつ、200℃×24時間加熱試験後の質量減少率(%)が、比較対象となる(B)成分を配合しなかった硬化物よりも小さい場合に、硬化物の耐熱性が良好と判断し、硬化物の判定が合格(A)であると判断した。
(1)上述の方法で製造した、アルミ皿に入った硬化物を、再度、セーフティーオーブンに入れ、200℃で24時間加熱し、加熱試験を行った。この時、加熱試験により庫内で発生したガスは、セーフティーオーブンに接続した排気ダクトから、直接、処理装置へ排出した。
(2)セーフティーオーブンの内温が30℃以下に下がってから、硬化物の入ったアルミ皿を取り出し、デシケータ内で25℃になるまで保管後、質量を測定し、記録した。
(3)下記式に従って、加熱試験後の硬化物の質量を求めた。
加熱試験後の硬化物の質量(g)=[加熱試験後の硬化物の入ったアルミ皿の質量(g)]−[アルミ皿の質量(g)]
(4)更に下記式に従って、加熱試験後の硬化物の質量減少率を求めた。
上述の(樹脂組成物の保存安定性指標βの算出と、樹脂組成物の保存安定性の評価)の項目で判断した樹脂組成物の判定が合格(A)であり、かつ、前記(硬化性樹脂組成物のゲルタイム)で判断した硬化性樹脂組成物の判定も合格(A)、更に(200℃×24時間加熱試験後の硬化物の質量減少量)で判断した硬化物の判定も合格(A)である場合に、総合判定が合格(A)であると判定した。
上述の樹脂組成物の判定と、硬化性樹脂組成物の判定、硬化物の判定のうち、いずれか1つでも不合格(B)である場合に、総合判定が不合格(B)であると判定した。
〔原材料〕
実施例及び比較例で使用した原材料について、以下の(1)〜(4)に示す。
((1)エポキシ化合物)
(1−1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(以下、「BisA−O」、「BisA型エポキシ」と記載する。)
・商品名:旭化成エポキシ株式会社製、「AER250」
・エポキシ当量(WPE):186g/eq
・粘度(25℃):9.4Pa・s
・ナトリウム含有量:検出下限未満(<0.25ppm)
・カルシウム含有量:0.8ppm
(1−2)ビスフェノールF型エポキシ樹脂(以下、「BisF−O」、「BisF型エポキシ」と記載する。)
・商品名:三菱化学株式会社製、「jER 806」
・エポキシ当量(WPE):164g/eq
・粘度(25℃):2.1Pa・s
・ナトリウム含有量:検出下限未満(<0.25ppm)
・カルシウム含有量:検出下限未満(<0.25ppm)
(1−3)水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(以下、「水添BisA−O」、「水添BisA型エポキシ」と記載する。)
・商品名:三菱化学株式会社製、「jER YX8000」
・エポキシ当量(WPE):203g/eq
・粘度(25℃):2.0Pa・s
((2)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物)
(2−1)トリメチロールプロパントリアクリレート(以下、TMP3Aと記載する。)
・商品名:新中村化学株式会社製、「A−TMPT」
・分子量(Mw):352g/mol
・粘度(25℃):102mPa・s
(2−2)トリメチロールプロパントリメタクリレート(以下、TMP3Mと記載する。)
・商品名:新中村化学株式会社製、「TMPT」
・分子量(Mw):338g/mol
・粘度(25℃):45mPa・s
(2−3)ペンタエリスリトールテトラアクリレート(以下、PE4Aと記載する。)
・Aldrich社製
・分子量(Mw):352g/mol
・粘度(25℃):0.4Pa・s
(2−4)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(以下、DP6Aと記載する。)
・商品名:新中村化学株式会社製、「A−DPH」
・分子量(Mw):578g/mol
・粘度(25℃):6.6Pa・s
(2−5)6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(以下、UV−7605Bと記載する。)
・商品名:日本合成化学株式会社製、「紫光」UV−7605B
・分子量(Mw):1100g/mol
・粘度(25℃):75.0Pa・s
(2−6)10官能ウレタンアクリレートオリゴマー(以下、UV−1700Bと記載する。)
・商品名:日本合成化学株式会社製、「紫光」UV−1700B
・分子量(Mw):2000g/mol
・粘度(25℃):76.8Pa・s
(2−7)1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(以下、HD2Aと記載する。)
・東京化成工業株式会社製
・分子量(Mw):226g/mol
・粘度(25℃):8mPa・s
(2−8)シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(以下、CHDVEと記載する。)
・商品名:日本カーバイド工業株式会社製
・分子量(Mw):196g/mol
・粘度(25℃):5mPa・s
(2−9)n−ヘキシルアクリレート(以下、n−HAと記載する。)
・東京化成工業株式会社製
・分子量(Mw):156g/mol
・粘度(25℃):15mPa・s
((3)硬化剤)
(3−1)潜在性硬化剤:旭化成イーマテリアルズ株式会社製、「ノバキュア HX−3722」(以下、「ノバキュア」と記載する。)
((4)エステル化合物)
(4−1)ホウ酸トリブチル:東京化成工業株式会社製
・pH:6〜7
(4−2)ジフェニルイソデシルホスファイト:城北化学工業株式会社製、「JPM−311」(以下、「DIDP」と記載する。)
・pH:6〜7
(4−3)トリスノニルフェニルホスファイト:城北化学工業株式会社製、「JP−3351」(以下、「TNPP」と記載する。)
・pH:6〜7
(4−4)ビス(2−エチルヘキシル)ハイドロゲンホスファイト:城北化学工業株式会社製、「JPE−208」(以下、「BEHP」と記載する。)
・pH:6〜7
((5)酸化防止剤)
(5−1)2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン:BASF社製、「Irganox」565(以下、Irganox565と記載する。)
((6)溶媒)
(6−1)メタノール:和光純薬工業株式会社製(以下、「MeOH」と記載する。)
(6−2)トルエン:和光純薬工業株式会社製(以下、「Tol」と記載する。)
(6−3)クロロホルム−d:Aldrich社製
(6−4)テトラヒドロフラン:和光純薬工業株式会社製、安定剤不含タイプ(以下、「THF」と記載する。)
〔少なくとも1つのチイラン環を有する化合物の製造例〕
(製造例1)
少なくとも1つのチイラン環を有する化合物S1を、下記表1の配合に従って、下記(1)〜(8)の手順で製造した。
当該少なくとも1つのチイラン環を有する化合物S1の評価結果を、下記表2に示す。
(1)温度計、窒素導入管を装着したフラスコに、撹拌子を入れ、表1の配合に従って、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(BisF型エポキシ樹脂)を17.7質量部、トルエン45.8質量部、メタノール24.7質量部導入し、25℃で撹拌溶解した。
(2)窒素雰囲気下で、更に、11.8質量部のチオ尿素を少量ずつ加え、45℃に保ちながら、360分間、チア化反応を行った。
(3)反応液を25℃に冷却し、分液漏斗に、反応液100質量部に対し、トルエン50質量部、イオン交換水50質量部を加えて撹拌、静置し、下層を廃棄した(洗浄1回目)。
(4)上記分液漏斗に、トルエン25質量部、イオン交換水50質量部を加えて撹拌、静置し、下層を廃棄した(洗浄2回目)。
(5)上記分液漏斗に、イオン交換水50質量部を加えて撹拌、静置し、下層を廃棄した(洗浄3回目)。
(6)上記分液漏斗に、イオン交換水50質量部を加えて撹拌、静置し、下層を廃棄した(洗浄4回目)。
(7)得られた上層を、ロータリーエバポレーターを使用して、60℃で、減圧留去した。圧力は、大気圧から徐々に減圧し、500Paで30分間留去し、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物を得た。
チイラン環を有する化合物を製造する工程における、原料のエポキシ化合物と、チア化剤との反応の際のこれらの混合比率を、以下の式(1)で算出される混合指標αで表した。
混合指標α=αt/αe ・・・(1)
前記式(1)中、αtは、チア化剤に含まれる、チイラン環の生成に用いられ得る硫黄原子の物質量(mol)を示し、αeはエポキシ化合物に含まれるオキシラン環の物質量(mol)を示す。
(8)S化率は99.0%であり、25℃における粘度は6.7Pa・sであった。
(製造例2)
少なくとも1つのチイラン環を有する化合物S2を、下記表1の配合に従って製造した。
チア化反応時間を10分とした以外は、前記〔製造例1〕と同様の方法で製造した。
また、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物の評価結果を、下記表2に示す。
(製造例3)
少なくとも1つのチイラン環を有する化合物S3を、下記表1の配合に従って製造した。
チア化反応時間を78分とした以外は、前記〔製造例1〕と同様の方法で製造した。
また、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物の評価結果を、下記表2に示す。
(製造例4)
少なくとも1つのチイラン環を有する化合物S4を、下記表1の配合に従って製造した。
チア化反応時間を30分とした以外は、前記〔製造例1〕と同様の方法で製造した。
また、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物の評価結果を、下記表2に示す。
(製造例5)
少なくとも1つのチイラン環を有する化合物S5を、下記表1の配合に従って製造した。
チア化反応時間を320分とした以外は、前記〔製造例1〕と同様の方法で製造した。
また、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物の評価結果を、下記表2に示す。
〔樹脂組成物、硬化性樹脂組成物、硬化物の製造〕
〔実施例1〕
下記表3の配合に従って、前記(製造例1)の少なくとも1つのチイラン環を有する化合物S1(100質量部)に、トリメチロールプロパントリアクリレート(以下、TMP3Aとも言う。)(2質量部)を配合し、自転・公転式ミキサー(株式会社シンキー製、「あわとり練太郎」)を用いて、撹拌モード2000rpmで3分間、更に、脱気モード2200rpmで3分間処理を行って混合し、組成物を得た。
上記組成物を、ガラス製サンプル瓶に入れて蓋をして、セーフティーオーブンに入れて、100℃で2時間加熱処理を施し、樹脂組成物Aを得た。
樹脂組成物Aの評価結果を、下記表4に示す。
得られた樹脂組成物Aの、アルコール含有量は、検出限界未満(50ppm未満)であった。
前記「開始粘度」を測定したところ、7.5Pa・sであった。
更に、測定用サンプルとして、樹脂組成物Aを入れた容器を密封し、60℃で24時間保存した。保存後の測定用サンプルは、流動性を有しており、25℃における粘度は、11.0Pa・sであり、これを前記「保存粘度」とした。上記開始粘度と保存粘度から求めた、保存安定性指標βは1.5であり、5以下であった。比較対象である、後述する〔比較例1〕の樹脂組成物aの保存安定性指標βは増粘により算出不能であり、保存安定性が不良であった。また〔比較例2〕の樹脂組成物bの保存安定性指標は7.3であり、保存安定性が不良であった。
更に、25℃で24時間保存した樹脂組成物Aのヘーズを測定したところ3.2%、60℃で24時間保存した樹脂組成物Aのヘーズは2.9%であった。
上述したことから、〔実施例1〕の樹脂組成物Aは、〔比較例1〕の樹脂組成物a及び〔比較例2〕の樹脂組成物bに対し、保存安定性に優れることがわかった。
次に、下記表5の配合に従って、上記樹脂組成物A(100質量部)に、ノバキュア(3質量部)を配合して十分に混合し、硬化性樹脂組成物Aを製造した。
当該硬化性樹脂組成物Aの評価結果を、下記表6に示す。
硬化性樹脂組成物Aの、150℃におけるゲルタイムは25秒であり、実施例1の硬化性樹脂組成物Aの硬化性は、許容範囲であった。
更に、上記硬化性樹脂組成物Aを用いて、上述した手順に従い、150℃で1時間加熱し、硬化物Aを製造した。この硬化物の評価結果を、下記表6に示す。得られた硬化物Aの表面に、タック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Aを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物Aの質量減量率を求めたところ0.1%であった。比較対象である、比較例1〜3の硬化物a〜cの質量減少率は5%より大きく、実施例1の硬化物Aは、比較例1〜3の硬化物a〜cに対し、耐熱性を有すると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物Aの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物Aの判定も合格(A)、更に硬化物Aの判定も合格(A)であることから、総合判定は、合格(A)と判定した。
〔実施例2〕
下記表3の配合に従って、化合物S1に、(B)成分と、ホウ酸トリブチルを配合した。その後、前記〔実施例1〕と同様の条件で加熱処理を行い、樹脂組成物Bを調製した。
評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物Bは、後述する〔比較例1〕の樹脂組成物a及び〔比較例2〕の樹脂組成物bに対し、保存安定性に優れることがわかった。
更に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物Bを調製し、評価した結果を、表6に示す。硬化性樹脂組成物Bの硬化性は許容範囲であった。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物Bを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物Bにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Bを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物Bの質量減量率を求めたところ0.2%であった。比較対象である、比較例1〜3の硬化物a〜cの質量減少率は5%より大きく、実施例2の硬化物Bは、比較例1〜3の硬化物a〜cに対し、耐熱性を有すると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物Bの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物Bの判定も合格(A)、更に硬化物Bの判定も合格(A)であることから、総合判定は、合格(A)と判定した。
〔実施例3〕
下記表3の配合に従って、化合物S1に(B)成分を配合した。その後の加熱処理条件を、110℃×30分間に変更した以外は、前記〔実施例1〕と同様の方法で、樹脂組成物Cを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物Cは、後述する〔比較例1〕の樹脂組成物a及び〔比較例2〕の樹脂組成物bに対し、保存安定性に優れることがわかった。
更に、下記表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物Cを調製し、評価した結果を、下記表6に示す。硬化性樹脂組成物Cの硬化性は許容範囲であった。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物Cを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物Cにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Cを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物Cの質量減量率を求めたところ0%であった。比較対象である、比較例1〜3の硬化物a〜cの質量減少率は5%より大きく、実施例3の硬化物Cは、比較例1〜3の硬化物a〜cに対し、耐熱性を有すると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物Cの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物Cの判定も合格(A)、更に硬化物Cの判定も合格(A)であることから、総合判定は、合格(A)と判定した。
〔実施例4〕
下記表3の配合に従って、前記〔実施例1〕と同様の方法で、樹脂組成物Dを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物Dは、後述する〔比較例1〕の樹脂組成物a及び〔比較例2〕の樹脂組成物bに対し、保存安定性に優れることがわかった。
更に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物Dを調製し、評価した結果を、表6に示す。硬化性樹脂組成物Dの硬化性は許容範囲であった。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物Dを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物Dにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Dを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物Dの質量減量率を求めたところ0%であった。比較対象である、比較例1〜3の硬化物a〜cの質量減少率は5%より大きく、実施例4の硬化物Dは、比較例1〜3の硬化物a〜cに対し、耐熱性を有すると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物Dの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物Dの判定も合格(A)、更に硬化物Dの判定も合格(A)であることから、総合判定は、合格(A)と判定した。
〔実施例5〕
前記〔製造例1〕の(1)〜(7)で製造した、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物S1を、ロータリーエバポレーターから降ろし、下記表3の配合に従い、上記化合物S1の入ったナスフラスコに、トルエンで希釈した(B)成分を加え、よく混合した。
ナスフラスコを、ロータリーエバポレーターに再度セットし、50℃で、大気圧から500Paまで徐々に減圧し、減圧留去した。
更に、100℃、500Paで2時間留去し、樹脂組成物Eを作製した。
評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物Eは、後述する〔比較例1〕の樹脂組成物a及び〔比較例2〕の樹脂組成物bに対し、保存安定性に優れることがわかった。
更に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物Eを調製し、評価した結果を、表6に示す。硬化性樹脂組成物Eの硬化性は許容範囲であった。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物Eを製造し、タック性を評価した。
評価結果を下記表6に示す。
得られた硬化物Eにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Eを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物Eの質量減量率を求めたところ0%であった。比較対象である、比較例1〜3の硬化物a〜cの質量減少率は5%より大きく、実施例5の硬化物Eは、比較例1〜3の硬化物a〜cに対し、耐熱性を有すると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物Eの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物Eの判定も合格(A)、更に硬化物Eの判定も合格(A)であることから、総合判定は、合格(A)と判定した。
〔実施例6〕
下記表3の配合に従って、化合物S1に、(B)成分と、TNPP及びIrganox565を加えて混合した。その後、前記〔実施例1〕と同様の条件で加熱処理を施し、樹脂組成物Fを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物Fは、後述する〔比較例1〕の樹脂組成物a及び〔比較例2〕の樹脂組成物bに対し、保存安定性に優れることがわかった。
更に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物Fを調製し、評価した結果を、表6に示す。硬化性樹脂組成物Fの硬化性は許容範囲であった。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物Fを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物Fにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Eを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物Eの質量減量率を求めたところ0%であった。比較対象である、比較例1〜3の硬化物a〜cの質量減少率は5%より大きく、実施例6の硬化物Fは、比較例1〜3の硬化物a〜cに対し、耐熱性を有すると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物Fの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物Fの判定も合格(A)、更に硬化物Fの判定も合格(A)であることから、総合判定は、合格(A)と判定した。
〔実施例7〕
下記表3の配合に従って、化合物S1と、(B)成分と、DIDPを加えて混合した。
その後、前記〔実施例1〕と同様の条件で加熱処理を施し、樹脂組成物Gを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物Gは、後述する〔比較例1〕の樹脂組成物a及び〔比較例2〕の樹脂組成物bに対し、保存安定性に優れることがわかった。
更に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物Gを調製し、評価した結果を、表6に示す。硬化性樹脂組成物Gの硬化性は許容範囲であった。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物Gを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物Gにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Gを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物Gの質量減量率を求めたところ0.1%であった。比較対象である、比較例1〜3の硬化物a〜cの質量減少率は5%より大きく、実施例7の硬化物Gは、比較例1〜3の硬化物a〜cに対し、耐熱性を有すると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物Gの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物Gの判定も合格(A)、更に硬化物Gの判定も合格(A)であることから、総合判定は、合格(A)と判定した。
〔実施例8〕
下記表3の配合に従って、化合物S1に(B)成分と、BEHPを配合して混合し、当該(B)成分を配合した後の加熱処理条件を、80℃×4時間とした以外は、前記〔実施例1〕と同様の方法で、樹脂組成物Hを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物Hは、後述する〔比較例1〕の樹脂組成物a及び〔比較例2〕の樹脂組成物bに対し、保存安定性に優れることがわかった。
更に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物Hを調製し、評価した結果を、表6に示す。硬化性樹脂組成物Hの硬化性は許容範囲であった。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物Hを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物Hにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Hを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物Hの質量減量率を求めたところ0.2%であった。比較対象である、比較例1〜3の硬化物a〜cの質量減少率は5%より大きく、実施例8の硬化物Hは、比較例1〜3の硬化物a〜cに対し、耐熱性を有すると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物Hの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物Hの判定も合格(A)、更に硬化物Hの判定も合格(A)であることから、総合判定は、合格(A)と判定した。
〔実施例9〕
下記表3の配合に従って、前記〔実施例1〕と同様の方法で、樹脂組成物Iを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物Iは、後述する〔比較例1〕の樹脂組成物a及び〔比較例2〕の樹脂組成物bに対し、保存安定性に優れることがわかった。
更に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物Iを調製し、評価した結果を、表6に示す。硬化性樹脂組成物Iの硬化性は許容範囲であった。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物Iを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物Iにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Iを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物Iの質量減量率を求めたところ0%であった。比較対象である、比較例1〜3の硬化物a〜cの質量減少率は5%より大きく、硬化物Iは、比較例1〜3の硬化物a〜cに対し、耐熱性を有すると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物Iの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物Iの判定も合格(A)、更に硬化物Iの判定も合格(A)であることから、総合判定は、合格(A)と判定した。
〔実施例10〕
下記表3の配合に従って、前記〔実施例1〕と同様の方法で、樹脂組成物Jを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物Jは、後述する〔比較例1〕の樹脂組成物a及び〔比較例2〕の樹脂組成物bに対し、保存安定性に優れることがわかった。
更に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物Jを調製し、評価した結果を、表6に示す。硬化性樹脂組成物Jの硬化性は許容範囲であった。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物Jを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物Jにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Jを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物Jの質量減量率を求めたところ0%であった。比較対象である、比較例1〜3の硬化物a〜cの質量減少率は5%より大きく、の硬化物Jは、比較例1〜3の硬化物a〜cに対し、耐熱性を有すると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物Jの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物Jの判定も合格(A)、更に硬化物Jの判定も合格(A)であることから、総合判定は、合格(A)と判定した。
参考例11〕
下記表3の配合に従って、(B)成分を配合後に加熱処理を施さなかった以外は、前記
〔実施例1〕と同様の方法で、樹脂組成物Kを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物Iは、後述する〔比較例1〕の樹脂組成物a及び〔比較例2〕の樹脂組成物
bに対し、保存安定性に優れることがわかった。
更に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物Kを調製し、評価した結果を、表6に示す。硬化性樹脂組成物Kの硬化性は許容範囲であった。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物Kを製造し、タック性を評価した。評価
結果を下記表6に示す。得られた硬化物Iにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Kを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行
い、硬化物Kの質量減量率を求めたところ0%であった。比較対象である、比較例1〜3
の硬化物a〜cの質量減少率は5%より大きく、参考例11の硬化物Kは、比較例1〜3の硬化物a〜cに対し、耐熱性を有すると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物Kの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物Kの判
定も合格(A)、更に硬化物Kの判定も合格(A)であることから、総合判定は、合格(
A)と判定した。
〔実施例12〕
下記表3の配合に従って、前記〔実施例1〕と同様の方法で、樹脂組成物Lを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物Lは、後述する〔比較例1〕の樹脂組成物a及び〔比較例2〕の樹脂組成物bに対し、保存安定性に優れることがわかった。
更に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物Lを調製し、評価した結果を、表6に示す。硬化性樹脂組成物Lの硬化性は許容範囲であった。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物Lを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物Lにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Lを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物Lの質量減量率を求めたところ0.1%であった。比較対象である、比較例1〜3の硬化物a〜cの質量減少率は5%より大きく、実施例12の硬化物Lは、比較例1〜3の硬化物a〜cに対し、耐熱性を有すると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物Lの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物Lの判定も合格(A)、更に硬化物Lの判定も合格(A)であることから、総合判定は、合格(A)と判定した。
〔実施例13〕
下記表3の配合に従って、前記〔実施例1〕と同様の方法で、樹脂組成物Mを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物Mは、後述する〔比較例1〕の樹脂組成物a及び〔比較例2〕の樹脂組成物bに対し、保存安定性に優れることがわかった。
更に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物Mを調製し、評価した結果を、表6に示す。硬化性樹脂組成物Mの硬化性は許容範囲であった。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物Mを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物Mにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Mを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物Mの質量減量率を求めたところ0%であった。比較対象である、比較例1〜3の硬化物〜cの質量減少率は5%より大きく、実施例13の硬化物Mは、比較例1〜3の硬化物a〜cに対し、耐熱性を有すると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物Mの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物Mの判定も合格(A)、更に硬化物Mの判定も合格(A)であることから、総合判定は、合格(A)と判定した。
〔実施例14〕
下記表3の配合に従って、前記〔実施例1〕と同様の方法で、樹脂組成物Nを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物Nは、後述する〔比較例1〕の樹脂組成物a及び〔比較例2〕の樹脂組成物bに対し、保存安定性に優れることがわかった。
更に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物Nを調製し、評価した結果を、表6に示す。硬化性樹脂組成物Nの硬化性は許容範囲であった。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物Nを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物Nにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Lを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物Nの質量減量率を求めたところ0%であった。比較対象である、比較例1〜3におけるの硬化物a〜cの質量減少率は5%より大きく、実施例14の硬化物Nは、比較例1〜3の硬化物a〜cに対し、耐熱性を有すると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物Nの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物Nの判定も合格(A)、更に硬化物Nの判定も合格(A)であることから、総合判定は、合格(A)と判定した。
〔比較例1〕
下記表3の配合に従って、(B)成分を配合しないこと以外は、前記〔実施例1〕と同様の方法で、樹脂組成物aを製造した。評価結果を表4に示す。
樹脂組成物aの保存粘度は、増粘が激しく測定不能であり、保存安定性指標βは算出できなかった。
更に、25℃で24時間保存した樹脂組成物aのヘーズを測定したところ1.9%、60℃で24時間保存した樹脂組成物aのヘーズは1.5%であった。
上述したことから、〔比較例1〕の樹脂組成物aは、保存安定性が不良であると判断した。
次に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物aを製造した。
当該硬化性樹脂組成物aの評価結果を、表6に示す。
硬化性樹脂組成物の、150℃におけるゲルタイムは19秒であり、比較例1の硬化性樹脂組成物aの硬化性は、許容範囲であった。
更に、上記硬化性樹脂組成物を用いて、上述した手順に従い、150℃で30分間加熱し、硬化物aを製造した。この硬化物の評価結果を、下記表6に示す。得られた硬化物aの表面に、タック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物を用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物aの質量減量率を求めたところ5.8%(>5%)であり、比較例1の硬化物aは、耐熱性が不良であると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物aの判定が不合格(B)、かつ、硬化性樹脂組成物aの判定が合格(A)、更に硬化物aの判定が不合格(B)であることから、総合判定は、不合格(B)と判定した。
〔比較例2〕
下記表3の配合に従って、加熱処理を施さなかった以外は、前記〔比較例1〕と同様の方法で、樹脂組成物bを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物bの保存安定性指標βは7.3(>5)であり、保存安定性が不良であった。
次に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物bを製造した。
当該硬化性樹脂組成物bの評価結果を、表6に示す。
硬化性樹脂組成物の、150℃におけるゲルタイムは25秒であり、比較例2の硬化性樹脂組成物bの硬化性は、許容範囲であった。
更に、上記硬化性樹脂組成物を用いて、上述した手順に従い、150℃で30分間加熱し、硬化物bを製造した。この硬化物の評価結果を、下記表6に示す。得られた硬化物bの表面に、タック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物を用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物bの質量減量率を求めたところ5.3%(>5%)であり、比較例2の硬化物bは、耐熱性が不良であると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物bの判定が不合格(B)、かつ、硬化性樹脂組成物bの判定が合格(A)、更に硬化物bの判定が不合格(B)であることから、総合判定は、不合格(B)と判定した。
〔比較例3〕
下記表3の配合に従って、(B)成分の代わりに、n−ヘキシルアクリレート(n−HA)を使用した以外は、前記〔実施例1〕と同様の方法で、樹脂組成物cを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物cの保存安定性指標βは3.2(>5)であり、保存安定性は良好であった。
次に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物cを製造した。
当該硬化性樹脂組成物cの評価結果を、表6に示す。
硬化性樹脂組成物の、150℃におけるゲルタイムは25秒であり、比較例3の硬化性樹脂組成物cの硬化性は、許容範囲であった。
更に、上記硬化性樹脂組成物を用いて、上述した手順に従い、150℃で30分間加熱し、硬化物cを製造した。この硬化物の評価結果を、下記表6に示す。得られた硬化物cの表面に、タック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物を用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物cの質量減量率を求めたところ5.1%(>5%)であり、比較例3の硬化物cは、耐熱性が不良であると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物cの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物cの判定が合格(A)、更に硬化物cの判定が不合格(B)であることから、総合判定は、不合格(B)と判定した。
〔実施例15〕
下記表3の配合に従って、前記〔実施例1〕と同様の方法で、樹脂組成物Oを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物Oの保存安定性指標βは、比較対象である、〔比較例4〕の樹脂組成物dの保存安定性指標βより小さい値であり、保存安定性に優れることがわかった。
更に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物Oを調製し、評価した結果を、表6に示す。硬化性樹脂組成物Oの硬化性は許容範囲であった。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物Oを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物Oにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Oを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物Oの質量減量率を求めたところ0.1%であった。比較対象である、比較例4の硬化物dの質量減少率は4%より大きく、実施例15の硬化物Oは、比較例4の硬化物dに対し、耐熱性を有すると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物Oの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物Oの判定も合格(A)、更に硬化物Oの判定も合格(A)であることから、総合判定は、合格(A)と判定した。
〔比較例4〕
下記表3の配合に従って、(B)成分を配合しないこと以外は、前記〔実施例15〕と同様の方法で、樹脂組成物dを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物dの保存安定性指標βは1.9であり、実施例15の樹脂組成物Oと比較して、保存安定性が不良であった。
次に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物dを製造した。
当該硬化性樹脂組成物dの評価結果を、表6に示す。
比較例4の硬化性樹脂組成物dの硬化性は、許容範囲であった。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物dを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物dにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物dを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物dの質量減量率を求めたところ4.1%であった。比較例4の硬化物dは、比較対象である、実施例15の硬化物Oと比較して、耐熱性が不良であった。
これらの結果から、樹脂組成物dの判定が不合格(B)、かつ、硬化性樹脂組成物dの判定が合格(A)、更に硬化物dの判定が不合格(B)であることから、総合判定は、不合格(B)と判定した。
〔実施例16〕
下記表3の配合に従って、前記〔実施例1〕と同様の方法で、樹脂組成物Pを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物Pは、後述する〔比較例5〕の樹脂組成物e対し、保存安定性に優れることがわかった。
更に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物Pを調製し、評価した結果を、表6に示す。硬化性樹脂組成物Pの硬化性は許容範囲であった。
また、硬化条件を150℃×4時間に変更した以外は、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物Pを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物Pにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Pを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物Pの質量減量率を求めたところ0%であり、比較対象である、比較例5の硬化物eに対し、耐熱性を有すると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物Pの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物Pの判定も合格(A)、更に硬化物Pの判定も合格(A)であることから、総合判定は、合格(A)と判定した。
〔比較例5〕
下記表3の配合に従って、(B)成分を配合しないこと以外は、前記〔実施例16〕と同様の方法で、樹脂組成物eを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物eの保存安定性指標βは5以下ではあるが、実施例16の樹脂組成物Pと比較して、保存安定性が不良であった。
次に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物eを製造した。
当該硬化性樹脂組成物eの評価結果を、表6に示す。比較例5の硬化性樹脂組成物eの硬化性は、許容範囲であった。
また、前記〔実施例16〕と同様の方法で硬化物eを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物dにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物eを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物eの質量減量率を求めたところ1.8%であった。比較例5の硬化物eは、比較対象である、実施例16の硬化物Pと比較して、耐熱性が不良であった。
これらの結果から、樹脂組成物eの判定は合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物eの判定が合格(A)、更に硬化物eの判定が不合格(B)であることから、総合判定は、不合格(B)と判定した。
〔実施例17〕
下記表3の配合に従って、前記〔実施例1〕と同様の方法で、樹脂組成物Qを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物Qは、後述する〔比較例6〕の樹脂組成物f対し、保存安定性に優れることがわかった。
更に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物Qを調製し、評価した結果を、表6に示す。硬化性樹脂組成物Qの硬化性は許容範囲であった。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物Qを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物Qにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Qを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物Qの質量減量率を求めたところ0%であり、比較対象である、比較例6の硬化物fに対し、耐熱性を有すると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物Qの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物Qの判定も合格(A)、更に硬化物Qの判定も合格(A)であることから、総合判定は、合格(A)と判定した。
〔比較例6〕
下記表3の配合に従って、(B)成分を配合しないこと以外は、前記〔実施例17〕と同様の方法で、樹脂組成物fを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物fの60℃×24時間後の粘度は測定不能であり、実施例17の樹脂組成物Qと比較して、保存安定性が不良であった。また25℃×24時間保存サンプルと、60℃×24時間保存サンプルは、部分的に結晶化しており、ヘーズを正確に測定することができなかった。これらから、樹脂組成物fは、実施例17の樹脂組成物Qと比較して、保存安定性が不良であることがわかった。
次に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物fを製造した。
当該硬化性樹脂組成物fの評価結果を、表6に示す。比較例6の硬化性樹脂組成物fの硬化性は、許容範囲であった。
また、前記〔実施例17〕と同様の方法で硬化物fを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物fにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物fを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物fの質量減量率を求めたところ3.5%であった。比較例6の硬化物fは、比較対象である、実施例17の硬化物Qと比較して、耐熱性が不良であった。
これらの結果から、樹脂組成物fの判定は不合格(B)、かつ、硬化性樹脂組成物fの判定が合格(A)、更に硬化物fの判定が不合格(B)であることから、総合判定は、不合格(B)と判定した。
〔実施例18〕
下記表3の配合に従って、前記〔実施例1〕と同様の方法で、樹脂組成物Rを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物Rは、後述する〔比較例7〕の樹脂組成物g対し、保存安定性に優れることがわかった。
更に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物Rを調製し、評価した結果を、表6に示す。硬化性樹脂組成物Rの硬化性は許容範囲であった。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物Rを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物Rにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Rを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物Rの質量減量率を求めたところ1.9%であり、比較対象である、比較例7の硬化物gに対し、耐熱性を有すると判断した。
これらの結果から、樹脂組成物Rの判定が合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物Rの判定も合格(A)、更に硬化物Rの判定も合格(A)であることから、総合判定は、合格(A)と判定した。
〔比較例7〕
下記表3の配合に従って、(B)成分を配合しないこと以外は、前記〔実施例18〕と同様の方法で、樹脂組成物gを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物gの保存安定性指標βは、実施例18の樹脂組成物Rと比較して、保存安定性が不良であった。
次に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物gを製造した。
当該硬化性樹脂組成物gの評価結果を、表6に示す。比較例7の硬化性樹脂組成物gの硬化性は、許容範囲であった。
また、前記〔実施例18〕と同様の方法で硬化物gを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物gにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物gを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物gの質量減量率を求めたところ7.8%であった。比較例7の硬化物gは、比較対象である、実施例18の硬化物Rと比較して、耐熱性が不良であった。
これらの結果から、樹脂組成物gの判定は不合格(B)、かつ、硬化性樹脂組成物gの判定が合格(A)、更に硬化物gの判定が不合格(B)であることから、総合判定は、不合格(B)と判定した。
〔比較例8〕
下記表3の配合に従って、前記〔比較例2〕の(A)成分の代わりに、BisF型エポキシを使用した以外は、前記〔実施例1〕と同様の方法で、樹脂組成物hを調製した。評価結果を、下記表4に示す。
樹脂組成物hの保存安定性指標βは1.1であり、保存安定性は良好であった。
次に、表5の配合に従って、〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物hを製造した。
当該硬化性樹脂組成物hの評価結果を、表6に示す。
硬化性樹脂組成物hの、150℃におけるゲルタイムを測定したが、30分経過時点でゲル化しておらず、比較例8の硬化性樹脂組成物hの硬化性は不良であった。
また、前記〔実施例16〕と同様の方法で硬化物hを製造し、タック性を評価した。評価結果を下記表6に示す。得られた硬化物hは硬化しておらず、タック性があり、正常な硬化物が作製できなかった。
これらの結果から、樹脂組成物hの判定は合格(A)、かつ、硬化性樹脂組成物hの判定は不合格(B)、更に硬化物hの判定は不合格(B)であることから、総合判定は、不合格(B)と判定した。
〔実施例19〕
前記〔実施例4〕の樹脂組成物D(100部)に、炭素繊維のチョップドファイバー(三菱レイヨン株式会社製、「PYROFIL」TR066A)(1部)を配合し、プラネタリーミキサーで混練し、CF樹脂組成物Xを得た。
上記CF樹脂組成物X(100部)に、ノバキュア(3部)を配合し、前記〔実施例1〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物Xを調製した。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物Xを製造し、タック性を評価した。得られた硬化物Xにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物Xを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物Xの質量減量率を求めたところ0.1%であり、比較対象である、比較例9の硬化物x及び比較例10の硬化物yに対して、耐熱性を有しており、硬化物Xは合格(A)と判定した。
〔比較例9〕
前記〔実施例19〕の樹脂組成物Dの代わりに、比較例1の樹脂組成物aを使用した以外は、前記〔実施例17〕と同様の方法で、CF樹脂組成物xを作製した。
上記CF樹脂組成物x(100部)に、ノバキュア(3部)を配合し、前記〔実施例19〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物xを調製した。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物xを製造し、タック性を評価した。得られた硬化物xにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物xを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物xの質量減量率を求めたところ6.1%であり、比較対象である、実施例19の硬化物Xに対して、耐熱性が不良であり、硬化物xは不合格(B)と判定した。
〔比較例10〕
前記〔実施例19〕の樹脂組成物Dの代わりに、比較例2の樹脂組成物bを使用した以外は、前記〔実施例19〕と同様の方法で、CF樹脂組成物yを作製した。
上記CF樹脂組成物y(100部)に、ノバキュア(3部)を配合し、前記〔実施例19〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物yを調製した。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物yを製造し、タック性を評価した。得られた硬化物yにタック性は無く、正常な硬化物が得られた。
次に、上記硬化物yを用いて、上述した手順に従い、200℃で24時間加熱試験を行い、硬化物yの質量減量率を求めたところ5.7%であり、比較対象である、実施例19の硬化物Xに対して、耐熱性が不良であり、硬化物yは不合格(B)と判定した。
〔比較例11〕
前記〔実施例19〕の樹脂組成物Dの代わりに、比較例8の樹脂組成物hを使用した以外は、前記〔実施例19〕と同様の方法で、CF樹脂組成物zを作製した。
上記CF樹脂組成物z(100部)に、ノバキュア(3部)を配合し、前記〔実施例19〕と同様の方法で、硬化性樹脂組成物zを調製した。
また、前記〔実施例1〕と同様の方法で硬化物zを製造したが、タック性があり、正常な硬化物が得られなかったため、硬化物zは不合格(B)と判定した。
〔実施例20〕
前記〔実施例4〕の硬化性樹脂組成物Dを使用し、下記(1)〜(6)の手順で、繊維強化プラスチック(CFRP)を製造した。
(1)ホットプレート上に、PETフィルムを敷き、40℃に加熱した。
(2)ホットプレート上に、10cm角の炭素繊維織物(東レ株式会社製)を敷き、その上に、硬化性樹脂組成物を載せ、金属ネジローラーを用いて、平滑化した。
(3)更に、硬化性樹脂組成物を載せ、CF織物を90°ずらして、その上に載せ、繊維強化用樹脂を載せて、金属ネジローラーを用いて、平滑化した。
(4)上記(2)〜(3)の操作を繰り返し、ハンドレイアップ法で、10枚のCF織物を含む、プリプレグを製造した。
(5)上記プリプレグの上下を、離型剤を塗ったPETフィルムで挟み、更に、SUS板で挟んでプレス機で形状を整えた。
(6)上記プリプレグを、SUS板に挟んだまま、真空熱プレス機で、150℃、10分間加熱した。更にオーブンで、150℃で1時間加熱して、CFRPを得た。
得られたCFRPを、目視で確認したところ、正常に硬化しており、タック性も無いことが確認できた。
〔実施例21〕
前記〔実施例20〕で用いた炭素繊維織物(東レ株式会社製)の代わりに、ガラス繊維織物(日東紡株式会社製)使用した。
その他の条件は、前記〔実施例20〕と同様の方法で、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を製造した。
得られたGFRPを、目視で確認したところ、正常に硬化しており、タック性も無いことが確認できた。
〔比較例12〕
前記〔実施例20〕で用いた硬化性樹脂組成物Dの代わりに、比較例8の硬化性樹脂組成物hを使用し、その他の条件は、前記〔実施例20〕と同様の方法で、CFRPを製造したが、タック性があり、正常に硬化できなかった。
表3に樹脂組成物の配合を示す。
表4に樹脂組成物の評価を示す。
表5に硬化性樹脂組成物の配合を示す。
表6に硬化性樹脂組成物及び硬化物の評価を示す。
本発明の(樹脂)組成物は、プリプレグ、繊維強化プラスチック、及びそれを利用した、自動車、飛行機、風車、ディスプレイ材料等の部品、構造材として、産業上の利用の可能性を有する。

Claims (30)

  1. (A)エポキシ化合物とチオ尿素との反応物である、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物100質量部と、
    (B)少なくとも2つ以上の、ビニルエーテル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基からなるエチレン性不飽和基を有する化合物2.0〜4.5質量部と、
    を、含有する、配合物の、80℃〜120℃で20分〜4時間の加熱処理物である組成物であって、
    当該組成物の保存安定性指標β=(保存粘度(60℃で24時間保存後の、25℃にお
    ける粘度))/(開始粘度(製造直後の25℃における粘度))が、1.5以下であり、
    25℃、24時間保存後のヘーズが30%以下であり、
    60℃、24時間保存後のヘーズが10%以下である、
    組成物。
  2. 前記(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物中に、
    少なくとも1つのオキシラン環を有する基が含有されている、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物が、
    ポリフェノール骨格を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物のS化率が、5%以上である、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記(B)少なくとも2つ以上の、ビニルエーテル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基からなるエチレン性不飽和基を有する化合物の分子量(Mw)が196以上5000以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記(B)少なくとも2つ以上の、ビニルエーテル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基からなるエチレン性不飽和基を有する化合物が、エチレン性不飽和基を3つ以上有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. (C)エステル化合物を、さらに含有する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 前記(C)エステル化合物が、亜リン酸エステル及びホウ酸エステルからなる群より選
    択される一種以上である、請求項に記載の組成物。
  9. 前記(C)エステル化合物が、芳香環又は炭素数4以上のアルキル基を有する、請求項
    7又は8に記載の組成物。
  10. 前記(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物100質量部に対し、
    前記(C)エステル化合物を、0.02〜20質量部含有する、
    請求項7乃至9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 前記(A)少なくとも1つのチイラン環を有する化合物が、ビスフェノールA型エピス
    ルフィド樹脂、ビスフェノールF型エピスルフィド樹脂、及び水添ビスフェノールA型エ
    ピスルフィド樹脂からなる群より選ばれるいずれかである、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の組成物。
  12. 繊維強化用の組成物である、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の組成物。
  13. 25℃における粘度が10mPa・s〜100Pa・sである、請求項1乃至12
    のいずれか一項に記載の組成物。
  14. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の組成物の製造方法であって、
    (工程1a):前記(A)エポキシ化合物とチオ尿素とを反応させて得られた反応物である、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物100質量部に、
    前記(B)少なくとも2つ以上の、ビニルエーテル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基からなるエチレン性不飽和基を有する化合物を2.0〜4.5質量部配合する工程と、
    (工程2):前記(工程1a)後、80℃以上120℃以下で、20分〜4時間の加熱処理を施す工程と、
    を有する、組成物の製造方法。
  15. 請求項7乃至13のいずれか一項に記載の組成物の製造方法であって、
    (工程1b):前記(A)エポキシ化合物とチオ尿素とを反応させて得られた反応物である、少なくとも1つのチイラン環を有する化合物100質量部に、
    前記(B)少なくとも2つ以上の、ビニルエーテル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基からなるエチレン性不飽和基を有する化合物2.0〜4.5質量部と、
    前記(C)エステル化合物0.02〜20質量部と、を配合する工程と、
    (工程2):前記(工程1b)後、80℃以上120℃以下で、20分〜4時間の加熱処理を施す工程と、
    を有する、組成物の製造方法。
  16. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の組成物を、繊維強化に用いる方法。
  17. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の組成物と、
    (D)硬化剤と、
    を、含有する、硬化性組成物。
  18. 前記(D)硬化剤が、潜在性硬化剤である、請求項17に記載の硬化性組成物。
  19. 前記(D)硬化剤が、マイクロカプセル型の潜在性硬化剤である、請求項17又は18に記載の硬化性組成物。
  20. 前記(D)硬化剤が、コアとシェルとを有する、イミダゾール化合物含有マイクロカプ
    セル型の潜在性硬化剤である、請求項17乃至19のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  21. 150℃におけるゲルタイムが、180秒以下である、請求項17乃至20のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  22. 請求項17乃至21のいずれか一項に記載の硬化性組成物を、硬化することにより得られる硬化物。
  23. 請求項17乃至21のいずれか一項に記載の硬化性組成物を、熱硬化することにより得られる硬化物。
  24. 200℃×24時間加熱試験後の質量減少率が5質量%以下である、請求項22又は23に記載の硬化物。
  25. 強化繊維をさらに含有する、請求項22乃至24のいずれか一項に記載の硬化物。
  26. 請求項17乃至21のいずれか一項に記載の硬化性組成物を、繊維強化に用いる方法。
  27. 請求項17乃至21のいずれか一項に記載の硬化性組成物と、
    強化繊維と、
    を、具備する、プリプレグ。
  28. 請求項17乃至21のいずれか一項に記載の硬化性組成物と、
    強化繊維と、
    を、具備し、
    複数積層構造を有する、プリプレグ。
  29. 請求項17乃至21のいずれか一項に記載の硬化性組成物と、
    強化繊維と、
    を、具備し、
    硬化処理が施された、繊維強化プラスチック。
  30. 請求項17乃至21のいずれか一項に記載の硬化性組成物に、
    強化繊維を、具備させ、
    硬化処理を施す、繊維強化プラスチックの製造方法。
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