JP2002161087A - 長鎖脂肪族ジグリシジルエーテル及びその合成方法 - Google Patents

長鎖脂肪族ジグリシジルエーテル及びその合成方法

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JP2002161087A
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aliphatic diglycidyl
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Toshiki Mori
俊樹 森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 α,ω型界面活性剤、吸油性ポリ
マー,両親媒性ポリマー,エポキシ樹脂等の合成中間体
としての応用が期待される、新規な長鎖脂肪族ジグリシ
ジルエーテル、及びその合成法を提供する。 【解決手段】 下記式(1) 【化1】 (式中Rは、炭素数8〜32でかつ直鎖若しくは分岐を
有するアルキル又はアルケニル基を示す)で表される、
長鎖脂肪族ジグリシジルエーテル、及び、式 HO−R
−OH(式中Rは、炭素数8〜32でかつ直鎖若しくは
分岐を有するアルキル又はアルケニル基を示す)で表さ
れる2価高級アルコールの2個の水酸基とエピハロヒド
リンを反応させることにより、長鎖脂肪族ジグリシジル
エーテルを合成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、界面活性剤等の
合成中間体,高分子のモノマー及び架橋剤,化学修飾試
薬として有用な、長鎖脂肪族ジグリシジルエーテル、及
びその合成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】グリシジルエーテル型化合物は、その反
応性の高さから、ポリオキシアルキレンアルキルエーテ
ル型界面活性剤やアルキルグリセリルエーテルの合成中
間体、あるいはエポキシ樹脂のモノマー及び架橋剤等と
して、広く利用されている。なかでも、両末端にグリシ
ジル基を有するジグリシジルエーテル型化合物は、α,
ω型界面活性剤、吸油性ポリマー,両親媒性ポリマー,
エポキシ樹脂等の合成中間体として応用が期待されてい
る。
【0003】このジグリシジルエーテル型化合物として
は、脂肪鎖長が6以下の短鎖長のもの、或いはポリアル
キレングリコールの両末端をグリシジルエーテル化した
ものが知られているが、いずれもそこから合成された化
合物や高分子に疎水性を付与することはできなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明においては、
α,ω型界面活性剤、吸油性ポリマー,両親媒性ポリマ
ー,エポキシ樹脂等の合成中間体としての応用が期待さ
れる、新規な長鎖脂肪族ジグリシジルエーテル、及びそ
の合成法を得ることを目的とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明においては、 式 HO−R−OH (式中Rは、炭素数8〜32でかつ直鎖若しくは分岐を
有するアルキル又はアルケニル基を示す)で表される2
価高級アルコール(以下本発明では単に2価高級アルコ
ールと略す)の2つの水酸基に、グリシジル基を導入す
ることを試みた。その結果、炭素数8〜32の2価高級
アルコールとエピハロヒドリンを反応させることによ
り、本発明の目的に適う、次の式(1)で表される長鎖
脂肪族ジグリシジルエーテルを得ることができた。
【0006】
【化2】 (式中Rは、炭素数8〜32でかつ直鎖若しくは分岐を
有するアルキル又はアルケニル基を示す)
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において、長鎖脂肪族ジグ
リシジルエーテルを調製するために用いる2価高級アル
コールは、 式 HO−R−OH (式中Rは、炭素数8〜32でかつ直鎖若しくは分岐を
有するアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される
化合物であれば、特にその種類は問わない。具体的に
は、1,12-ドデカンジオール,1,14-テトラデカンジオー
ル,1,16-ヘキサデカンジオール,1,18-オクタデカンジ
オール,1,22-ドコサンジオール等が例示される。
【0008】本発明において用いる、エピハロヒドリン
としては、種類は問わないが、エピヨードヒドリン,エ
ピブロムヒドリン,エピクロロヒドリンが例示される。
【0009】本発明において、長鎖脂肪族ジグリシジル
エーテルは、2価高級アルコールを溶媒に溶解、若しく
は溶媒の不存在下で、アルカリを用いてアルコキシドを
生成させ、エピハロヒドリドンを反応させることにより
合成することができる。アルカリとしては、金属ナトリ
ウム,水素化ナトリウム,カリウム-t-ブトキシド,ナ
トリウム-t-ブトキシド,水酸化カリウム,水酸化ナト
リウムなどが例示される。これらのアルカリのなかで
も、カリウム-t-ブトキシド,ナトリウム-t-ブトキシ
ド,水酸化カリウム,水酸化ナトリウムを用いることに
より、高収率で目的の化合物を得ることができる。
【0010】また、アルカリとして、金属ナトリウム,
水素化ナトリウム,カリウム-t-ブトキシド若しくはナ
トリウム-t-ブトキシドを用いる場合には、アルカリの
一部とエピハロヒドリンの一部を反応させた後、再度残
りのアルカリ及びエピハロヒドリンを添加して反応させ
ることにより、高収率で長鎖脂肪族ジグリシジルエーテ
ルを得ることができる。
【0011】2価高級アルコールを溶解するために用い
る溶媒は、添加せずとも本発明の長鎖脂肪族ジグリシジ
ルエーテルを得ることはできるが、ジグリシジルエーテ
ルが開環重合をおこし蒸留単離できない高沸点物を生成
するのを抑制し、2価高級アルコールとエピハロヒドリ
ンを均一に混合し易くなり、かつ生成する長鎖脂肪族ジ
グリシジルエーテルと無機塩等とを分離することが容易
になるため、溶媒を使用する方が好ましい。溶媒として
は、長鎖脂肪族ジグリシジルエーテルの生成に悪影響を
及ぼさないものはいずれも使用でき、例えばジメチルス
ルホキシド,ジメチルアセトアミド,N-メチルピロリド
ン,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,エチ
レングリコールジメチルエーテル,テトラヒドロフラ
ン,アセトン,メチルエチルケトン,ジメチルホルムア
ミド,ベンゼン,トルエン,キシレン,t-ブタノール,
1,4-ジオキサン等が例示される。本発明においては、こ
れらの溶媒から1種又は2種以上を選択して用いること
もできる。これらの溶媒は、2価高級アルコール1mmol
に対して2ml以下、好ましくは1ml以下の量目で用いる
のが適当である。溶媒が多いと、未反応のジオールが増
加し、長鎖脂肪族ジグリシジルエーテルの収率が低下す
る。
【0012】反応温度は一般に0〜100℃で進行する
が、高沸点物の生成を抑制し、高収率で長鎖脂肪族ジグ
リシジルエーテルを得るために、60℃以下で反応を行
うことが好ましい。
【0013】得られた長鎖脂肪族ジグリシジルエーテル
は、例えば、溶媒を用いて反応を行わせた場合には、水
を加え反応混合物を静置するだけで、有機相と水相とに
分離するので、分液或いは傾斜等により水相を除き、得
られた有機相を、減圧蒸留により所望留分を採取すれば
よい。また溶媒を用いず反応を行わせた場合には、反応
混合物にジエチルエーテル等の有機溶媒を添加混合し、
静置後、傾斜,分液などにより水相を除去した後、得ら
れた有機相を前記と同様にして目的物を得ることができ
る。また、このようにして得られた長鎖脂肪族ジグリシ
ジルエーテルは、溶媒による洗浄,クロマトグラフを用
いた分画等により精製処理を行うこともできる。
【0014】また、本発明の長鎖脂肪族ジグリシジルエ
ーテルは、相間移動触媒を用いて合成することもでき
る。具体的には、2価高級アルコールを上述の溶媒に溶
解、若しくは溶媒の不存在下で、エピハロヒドリンとア
ルカリ、相間移動触媒を添加して反応させることによ
り、長鎖脂肪族ジグリシジルエーテルを得ることができ
る。
【0015】相間移動触媒としては、臭化テトラ-n-ブ
チルアンモニウム,塩化テトラ-n-ブチルアンモニウ
ム,硫酸化テトラ-n-ブチルアンモニウム,塩化オクタ
デシルトリメチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩
やジシクロヘキシル-18-クラウン-6-等が例示される。
【0016】また、相間移動触媒を用いて反応させる際
の2価高級アルコールの溶媒としては、上述の溶媒の
他、ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタン,シクロ
ペンタン,シクロヘキサン等の炭化水素系の溶媒を用い
ることもできる。
【0017】本発明において、2価高級アルコールとア
ルカリ,エピハロヒドリンの使用量は、2価高級アルコ
ール1molに対して、アルカリ1〜10mol、エピハロヒ
ドリン2〜20molを使用する。
【0018】
【実施例】さらに実施例により、本発明の特徴について
詳細に説明する。
【0019】[実施例1]1,12-ドデカンジオール10m
molをジメチルスルフォキシド10mlに溶解した。そこ
にペレット状の水酸化カリウム40mmolを加え、撹拌し
ながら25℃でエピクロロヒドリン60mmolを滴下し、
滴下終了後さらに12時間撹拌した。反応終了後、反応
液に30mlの精製水を加え、n-ヘキサンで3回抽出を行
った。ヘキサン相の溶媒を留去し、シリカゲルクロマト
グラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=8/2)
にて精製し、白色固体2.84gを得た。1H−NMR測
定を行い、ドデカンジオールジグリシジルエーテルの生
成を確認した。収率は、90.4%であった。
【0020】[実施例2]1,12-ドデカンジオール10m
molをt-ブチルアルコール30mlに50℃で加熱溶解し
た。そこに、カリウム-t-ブトキシド12mmolを添加し3
0分撹拌した後、エピクロロヒドリン50mmolを添加し
1時間撹拌を行った。さらに、カリウム-t-ブトキシド
12mmolとエピクロロヒドリン50mmolを添加する操作
を繰り返した。反応終了後、反応液に30mlの精製水を
加え、n-ヘキサンで3回抽出を行った。ヘキサン相の溶
媒を留去し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:
ヘキサン/酢酸エチル=8/2)にて精製し、白色固体
1.48gを得た。1H-NMRにて、ドデカンジオール
ジグリシジルエーテルの生成を確認した。収率は、4
7.1%であった。
【0021】[実施例3]反応容器中で、1,12-ドデカ
ンジオール10mmol、n-ヘキサン25ml、50重量%水
酸化ナトリウム水溶液1.92gを混合し、加熱撹拌し
た。40℃でエピクロロヒドリン60mmolを滴下し、滴
下終了後さらに3時間撹拌した。反応終了後、反応液に
30mlの精製水を加え、n-ヘキサンで3回抽出を行っ
た。ヘキサン相の溶媒を留去し、シリカゲルクロマトグ
ラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=8/2)に
て精製し、白色固体0.91gを得た。1H-NMRに
て、ドデカンジオールジグリシジルエーテルの生成を確
認した。収率は29.0%であった。
【0022】[実施例4]50重量%水酸化ナトリウム
水溶液120g(水酸化ナトリウム1.5mol)に、1,18
-オクタデセンジオール250mmol、n-ヘキサン200m
l、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム7.5mmol
をこの順に添加する。エピクロルヒドリン2molを滴下
し、滴下終了後さらに4時間撹拌した。反応終了後、反
応混合物を静置し、沈殿物を傾斜により除去した後、上
澄み液を3回水洗後、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水
し、ついでろ過し、ろ液を減圧下に蒸留して、オクタデ
センジオールジグリシジルエーテルを得た。1H−NM
R測定を行い、オクタデセンジオールジグリシジルエー
テルの生成を確認した。
【0023】[実施例5]撹拌機,環流冷却器を取り付
けたガラス製500ml丸底フラスコに、1,10-オクタデ
カンジオール0.5mol,エピクロルヒドリン2.0mo
l,粒状水酸化ナトリウム1.0mol及び塩化テトラメチ
ルアンモニウム15mmolを仕込み、撹拌しながら40℃
で2時間反応させた。反応後内容物をろ過して沈殿物を
除去する。沈殿物は75gのエピクロルヒドリンで洗浄
しろ液に加えた。このろ液をガスクロマトグラフィーで
分析したところ、オクタデカンジオールジグリシジルエ
ーテルを収率78.5%で含有していた。
【0024】[実施例6]1,8-オクタンジオールを2価
高級アルコールとして用い、実施例1と同様にしてオク
タンジオールジグリシジルエーテルを合成した。収率は
87.3%であった。
【0025】[実施例7]1,22-ドコサンジオールを2
価高級アルコールとして用い、実施例1と同様にしてド
コサンジオールジグリシジルエーテルを合成した。収率
は92.6%であった。
【0026】
【発明の効果】本発明により、α,ω型界面活性剤、吸
油性ポリマー,両親媒性ポリマー,エポキシ樹脂等の合
成中間体としての応用が期待される、新規な長鎖脂肪族
ジグリシジルエーテル、及びその合成法を得ることがで
きた。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) 【化1】 (式中Rは、炭素数8〜32でかつ直鎖若しくは分岐を
    有するアルキル又はアルケニル基を示す)で表される、
    長鎖脂肪族ジグリシジルエーテル。
  2. 【請求項2】 式 HO−R−OH(式中Rは、炭素数
    8〜32でかつ直鎖若しくは分岐を有するアルキル又は
    アルケニル基を示す)で表される2価高級アルコールと
    エピハロヒドリンを反応させることにより、請求項1に
    記載の長鎖脂肪族ジグリシジルエーテルを合成する方
    法。
  3. 【請求項3】 式 HO−R−OH(式中Rは、炭素数
    8〜32でかつ直鎖若しくは分岐を有するアルキル又は
    アルケニル基を示す)で表される2価高級アルコール
    と、エピハロヒドリンを反応させて、長鎖脂肪族ジグリ
    シジルエーテルを合成する際、溶媒を2価高級アルコー
    ル1mmolに対して溶媒を2ml以下の量目で用いることを
    特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の長鎖脂肪族
    ジグリシジルエーテル又はその合成方法。
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