JP2002157732A - 磁気記録媒体の製造方法および製造装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法および製造装置

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JP2002157732A JP2000351810A JP2000351810A JP2002157732A JP 2002157732 A JP2002157732 A JP 2002157732A JP 2000351810 A JP2000351810 A JP 2000351810A JP 2000351810 A JP2000351810 A JP 2000351810A JP 2002157732 A JP2002157732 A JP 2002157732A
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Mitsuru Takai
充 高井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭素保護膜との密着性が良好でかつ均一な潤
滑層を形成し、走行安定性を確保することができる磁気
記録媒体の製造方法および製造装置を提供する。 【解決手段】 磁気記録媒体の金属薄膜磁性層上に炭素
保護膜を形成し、さらに該炭素保護膜上に潤滑層を形成
する磁気記録媒体の製造方法において、上記潤滑層形成
用の潤滑剤溶液を保管タンクとノズル部との間の配管ま
たは該ノズル部にて加熱する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体の製
造方法および製造装置に関し、詳しくは、金属薄膜との
密着性が良好でかつ均一な潤滑層を形成し、走行安定性
を確保することができる磁気記録媒体の製造方法および
製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】強磁性金属薄膜のCo(コバルト)、ま
たはCoを主体とし、さらにNi(ニッケル)、Cr
(クロム)等を含有し、斜め蒸着法によって形成された
強磁性金属薄膜を磁性層とする磁気テープは、飽和磁束
密度が大きく、しかも保磁力が高く、すぐれた電磁変換
特性を示すことが知られている。かかる斜め蒸着法で
は、強磁性金属の蒸気を非磁性基体の表面に特定の角度
で入射させ、基体に対し傾いた柱状結晶粒子からなる強
磁性金属薄膜を形成する。この斜め蒸着を行なうに際し
ては、真空槽内で長尺フィルム状の非磁性基体を回転す
る冷却ドラムの表面に添わせて搬送しながら、定置され
たるつぼ中の強磁性金属の溶湯表面に電子ビームを照射
し、蒸発させる手法が採られている。上述の斜め蒸着法
により金属薄膜磁性層を形成させた後は、保護層として
炭素保護膜をCVD法などを用いて形成する。この炭素
保護膜形成によって、磁性層は回転ヘッドとの繰り返し
摺動に耐えうるスチル耐久性をもつようになる。
【0003】しかし、回転ヘッドの摺動面は磁性層と擦
れることにより、特に低湿環境下において焼きつき変質
を起こすという問題があった。このため、従来、潤滑効
果を増大させるために、さらに炭素保護膜上に塗布方式
にて潤滑層を形成する手法が採られていた。
【0004】例えば、特開平7−021553号公報に
は、この潤滑層を形成する手法として、潤滑剤供給手段
から供給された潤滑剤に超音波を印加して霧化する手段
と、霧化された潤滑剤を噴霧するノズルとからなる磁気
記録媒体の潤滑層の製造装置が開示されている。
【0005】この特開平7−021553号公報の技術
によれば、それまでの手法に比べて潤滑剤の付着が均一
となり、より表面状態の良好な潤滑層が形成され、磁気
記録媒体の走行性が向上するとされている。また、金属
薄膜型の磁気記録媒体では、磁性層の形成ラインと連続
して潤滑層を形成することができるため、生産性が高く
なり、特に、超音波により潤滑剤を霧化する装置では、
真空中で潤滑剤を噴霧できるため、非磁性支持体へのゴ
ミの付着が防止できるとも述べられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
7−021553号公報記載のように超音波を印加して
霧化により潤滑層を形成する方法に限らず、これまでは
潤滑剤の溶剤への溶解が不十分なために十分に均一な潤
滑層を形成することはできなかった。また、超音波印加
による潤滑層の霧化形成法では潤滑剤が点在することに
より、保存環境下で潤滑剤が析出したりする不具合があ
った。さらに、上記公報には真空中での連続形成も述べ
られているが、必要な潤滑層膜厚を確保するためには真
空槽の圧力上昇が著しく悪化し、実用上実施することは
殆ど不可能であった。
【0007】そこで本発明の目的は、上記問題点を解消
し、炭素保護膜との密着性が良好でかつ均一な潤滑層を
形成し、走行安定性を確保することができる磁気記録媒
体の製造方法および製造装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、磁気記録
媒体の製造に際し使用する潤滑剤が使用溶剤に対し必ず
しも良好な溶解性を有しておらず、その結果、炭素保護
膜上に潤滑層を形成するときに潤滑剤が析出してしまう
ことがあることに着目して鋭意検討した結果、潤滑剤溶
液を炭素保護膜に塗布する直前に加熱することにより上
記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0009】即ち、本発明の磁気記録媒体の製造方法
は、磁気記録媒体の金属薄膜磁性層上に炭素保護膜を形
成し、さらに該炭素保護膜上に潤滑層を形成する磁気記
録媒体の製造方法において、上記潤滑層形成用の潤滑剤
溶液を保管タンクとノズル部との間の配管または該ノズ
ル部にて加熱することを特徴とするものである。
【0010】また、本発明の磁気記録媒体製造装置は、
磁気記録媒体の金属薄膜磁性層上に形成された炭素保護
膜上に潤滑層を形成する磁気記録媒体製造装置におい
て、上記潤滑層形成用の潤滑剤溶液を保管タンクとノズ
ル部との間の配管または該ノズル部にて加熱するための
加熱手段を具備することを特徴とするものである。
【0011】磁気記録媒体の製造に際し使用される潤滑
剤としては、一般にフッ素系潤滑剤が用いられる。かか
る潤滑剤は、炭素保護膜上への塗布に適するように0.
05〜1.0%程度の濃度にて溶剤に溶解希釈して塗布
される場合が多いが、常温で固体であるフッ素系潤滑剤
は溶剤に完全には溶けにくいという問題がある。そこで
本発明の磁気記録媒体製造方法においては、加熱して溶
解性を上げることが重要であり、特に、潤滑剤溶液を保
管タンクで加熱せずに、保管タンクとノズル部との間の
配管または該ノズル部にて潤滑剤溶液流(供給流)を短
時間に加熱することが重要である。ここでノズル部と
は、塗布する際の塗布液の吐き出し口がある部分をい
う。供給流を加熱することで加熱時間を極めて短時間と
することができ、これにより、溶解性のみを改善し、潤
滑剤の分解反応を抑えることができる。かかる加熱の温
度は使用する潤滑剤の種類および濃度によって異なる
が、通常、30℃以上、好ましくは50℃以上とするこ
とにより塗布時に未溶解物が存在しないようにすること
ができる。高温になるほど溶解性改善効果は高まるが、
潤滑剤の分解温度または溶剤の沸点を超えないようにす
る必要がある。好ましくは溶剤の沸点よりも5℃以上低
く抑え、塗布のコントロールに支障をきたさないように
する。また、潤滑剤の分解温度を超えて潤滑剤を加熱す
ると、本来の潤滑機能が失われるため、目的とする走行
安定性が得られなくなる。
【0012】一方、潤滑剤溶液はそのままでは完全に均
一塗布することが困難であるため、塗布量としては最低
限の潤滑層膜厚を確保するために多めに塗布することが
望ましい。しかし、かかる塗布により部分的に多めに付
着した潤滑剤はヘッド張り付きや、走行安定性の低下な
どの不具合を発生させる。よって、この問題を解消する
ために本発明の磁気記録媒体製造装置においては、過剰
に炭素保護膜上に塗布された潤滑剤を一定量の潤滑層と
なるように掻き落とす計量手段、例えば、溝付き塗工用
ロッドやブレード等を設けることが望ましく、これによ
り、より均一な潤滑層を形成することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的構成につい
て図面を参照して詳細に説明する。本発明により製造さ
れる磁気記録媒体は、非磁性基体上に斜め蒸着法により
形成される強磁性金属薄膜を含む磁性層を有する。この
磁性層の形成は、図1に示す構成の斜め蒸着装置1を用
いて行われ、非磁性基体2は供給ロール3から繰り出さ
れ、冷却ドラム4の表面に添って搬送されながら巻き取
りロール7に巻き取られる。この際、かかる非磁性基体
2が走行可能な真空槽は真空排気ポンプ8により好適に
は10-3Pa程度まで排気され、しかる後、電子銃6に
て電子ビーム6Bをるつぼ5内の原料に照射してこの原
料を加熱、溶融、蒸発させることにより磁性層の形成が
行われる。ここで、蒸発原料の不所望な付着を防止する
ため、蒸着装置1は遮蔽板9およびシャッタ10を備え
ている。
【0014】蒸発原料としては、Fe、Co、Niの磁
性金属単独またはこれらの混合材料、あるいはCo−N
i−Cr、Fe−Ni−N、Co−Ni−Taなどの三
成分系を用いてもよい。また、蒸着の際、表面保護と磁
気特性制御のために酸化性ガスを導入してもよい。かか
るガスとしては、酸素、オゾン、亜酸化窒素などから適
宜選択することができる。磁性層は、単層でもよく、ま
た、2層以上の多層膜であってもよい。全体の厚みは、
好ましくは30〜500nmの範囲で制御される。30
nmよりも薄い場合はスチル耐久性が不安定であり、一
方、500nmを超えると厚み損失増大のため電磁変換
特性が低下する。また、斜め蒸着の場合、カラムの方向
は同方向でも逆方向でもよく、要求される電磁変換特性
を満足するように設計すればよく、特に限定されるもの
ではない。
【0015】非磁性基体2は、テープ状磁気記録媒体で
は、好ましくは4〜40μmの間の厚みであり、録画時
間などより適宜選択すればよく、特に限定されるもので
はない。また、非磁性基体2の材料は、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミ
ド、ポリイミド、ポリサルフォンなどのエンジニアリン
グプラスチックより適宜選択すればよい。
【0016】上述のようにして形成された金属薄膜磁性
層上に形成される炭素保護膜として、ダイヤモンドライ
クカーボン(DLC)膜を成膜することが望ましい。D
LC膜は、炭化水素系のメタン、エタン、プロパン、ブ
タン、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、ア
セチレンなどより選択される材料にて成膜することがで
きる。また、潤滑剤による潤滑層の固定を向上させるた
めに、DLC膜表面にプラズマ処理、紫外線処理または
電子線処理を施してもよい。
【0017】DLC膜の成膜においては、図2に示すタ
イプのDLC装置21を好適に使用することができる。
このDLC装置21においては、真空排気ポンプ28に
より減圧された槽内において、金属薄膜磁性層が形成さ
れた非磁性基体25が供給ロール23から繰り出され、
次いで、高周波電源22に接続された回転ドラム電極2
6の表面に添って搬送され、この回転ドラム電極26と
電極29との間でプラズマ重合を生ぜしめ、炭素保護膜
が形成される。しかる後、炭素保護膜が形成された基板
は巻き取りロール24に巻き取られる。なお、槽内は供
給ロール23および巻き取りロール24と電極29との
間は仕切板27により仕切られている。
【0018】潤滑層は、成膜された炭素保護膜上に形成
されるが、潤滑剤を塗布する前に、潤滑剤と炭素保護膜
との間の密着性を向上させるために、前処理してもよ
く、例えば、赤外線をあてながら空気中を通過させる方
法、真空中で紫外線を当てて空気中を通過させる方法、
プラズマ処理法で酸素や窒素、空気、Ar、Ne、H
e、CO2、COで処理した後、大気中を通過させる方
法などがあり、その用途等に応じ適宜選択すればよい。
【0019】次に、本発明の磁気記録媒体製造装置にお
いて、潤滑剤溶液を炭素保護膜上に塗布する潤滑剤塗布
装置の好適例を図3に示す。塗布すべき潤滑剤は、最適
な希釈濃度に調整され、溶剤の蒸発による濃度変化を防
ぐために密閉式の潤滑剤保管タンク40にて保管され
る。さらに、保管タンク40内の潤滑剤溶液は潤滑剤の
析出を防止するため撹拌装置37にて撹拌される。保管
タンク40からダイノズル38までは潤滑剤溶液を定量
的に送液するためのポンプとフィルター(図示せず)が
設けられ、夫々の間に供給管が配管されている。このダ
イノズル直前の供給管には短時間に潤滑剤溶液を加熱す
るための電熱線ヒータ39が巻かれている。供給管を加
熱するための方法は電熱線ヒータ39の他、湯煎、温媒
循環、誘導加熱などがあり、特に限定されるものではな
く、また供給管ではなくノズル部を同様の方法により加
熱してもよい。供給管またはノズル部での加熱は、供給
流に対する加熱であるため、極めて短時間に行われ、よ
って保管タンク40におけるように滞留により潤滑剤溶
液が変質することがない。供給管での加熱においては、
加熱後に再び温度が低下して溶解度が低下しないように
することが好ましく、そのためには加熱位置をノズル部
の直前とすることが好ましい。加熱する供給管は、潤滑
剤溶液の塗布に支障がない程度に細径にすると温度伝達
効率も良く、過大な熱を加えなくとも配管内部の潤滑剤
溶液を良好に加熱することができる。潤滑剤溶液を所望
の温度に加熱するためには、その塗布に必要な供給量、
潤滑剤の種類および濃度等を考慮して加熱手段、供給管
の太さや長さを適宜選ぶことが好ましい。
【0020】ダイノズル38は、特別なものである必要
はなく、潤滑剤溶液の塗布用として従来より知られてい
るものを好適に使用することができる。また、ダイノズ
ル38の代わりに噴霧用ノズルを使用してもよく、かか
る噴霧用ノズルには、潤滑剤供給管の他に高圧力空気な
どの供給管を接続することができる。適用するノズルは
塗布フィルム幅、潤滑層膜厚に応じて適宜選択すればよ
い。また、噴霧用ノズルを使用する場合、噴霧発生装置
は高圧力空気を用いた方法に限らず、振動子を用いる方
法や両者を併用してもよい。さらに、潤滑剤の塗布量
は、磁気記録媒体の用途や潤滑剤の種類、濃度等を考慮
して適宜選定すればよい。尚、本発明においては、さら
に他の塗布方法、例えば、ディッピング塗布、リバース
塗布、グラビア塗布等を行ってもよい。
【0021】潤滑剤の濃度は、好ましくは0.05〜
1.0重量%の範囲より選択する。潤滑剤としては、脂
肪酸、脂肪酸エステル、フッ素系アルコールエステルな
どが挙げられ、またはこれらの混合物でもよい。具体的
には、次式、 R1COOH R1COOCmH2m+1 R1COO(CH2)iCmF2m+1 R1CH{(CH2)kCOO(CH2)iCmF2m+1}COO(CH2)jCpF2p+1 R1CH{(CH2)kCOOH}COO(CH2)jCpF2p+1 R1CH{(CHR2)COO(CH2)iCmF2m+1}COO(CH2)jCpF2p+1 R1CR3{(CH2)kCOO(CH2)iCmF2m+1}COO(CH2)jCpF2p+1 で表される潤滑剤化合物を挙げることができる。これら
のうち、好ましくはi、jおよびkは1〜3、mおよび
pは4以上、特には8〜10の各整数、R1は炭素原子
数10以上、特には14〜22のアルキル基またはアル
ケニル基、R2およびR3は水素原子または炭素原子数1
0〜22のアルキル基またはアルケニル基のものであ
る。
【0022】また、溶剤としては、例えば、アセトン、
メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、t−ブ
チルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ヘ
キサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の炭化
水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化
水素類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、
イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、
t−ブタノール等のアルコール類等が挙げられる。これ
ら溶剤は適宜混合して使用することもできる。
【0023】炭素保護膜が形成された原反フィルム35
は供給ロール33から繰り出され、各ガイドロール36
を介してダイノズル38の前面に誘導され、ここで潤滑
剤溶液が塗布される。潤滑剤溶液が塗布された後、乾燥
炉41を通って乾燥された原反フィルム35はガイドロ
ール36を経由して巻き取りロール34に巻き取られ
る。
【0024】上述の潤滑剤塗布装置31においては、潤
滑層の膜厚をより均一にするために、過剰に炭素保護膜
上に塗布された潤滑剤を所望量に掻き落とす計量手段3
2を設けることが好ましい。計量手段32としては、一
般には塗工用ロッドや、フィルム状ブレード等が用いら
れる。塗工用ロッドには、丸棒に均等に巻線が巻かれた
ワイヤーバーや、溝が転造された溝付き塗工用ロッド等
があり、巻線間の隙間や溝に入り込む潤滑剤が一定量と
なるように計量する機能を持つものである。また、炭素
保護膜表面にフィルム状ブレードを接触させても同様の
効果を得ることができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき説明する。実施例1〜3、比較例1 図1に示す構成の斜め蒸着装置を用いて、厚さ6μmの
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからな
る非磁性基体上に、酸素を導入しながら磁性層膜厚20
0nmの強磁性金属薄膜を形成した。蒸着原料は、Co
とした。次に、形成された磁性層上に図2に示すDLC
装置を用いてプラズマ重合による炭素保護膜を形成し
た。炭素保護膜はエチレンを原料とし、50kHzの周
波数電源にて厚み8nmにて形成した。次いで、この炭
素保護膜表面を接触角が50°となるように酸素にて表
面処理を施した後、ロール状に巻き取った。
【0026】次に、図3に示す構成の潤滑剤塗布装置を
用いて、メチルエチルケトン(MEK)とヘキサン
(1:2)の混合溶媒に下記の表1に示す潤滑剤を0.
4%溶解させた溶液流を、ダイノズルの直前に配置した
電熱線ヒータでダイノズルから吐き出される溶液が下記
の表1に示す温度になるように夫々加熱した後、塗布し
た。今回使用した潤滑剤の場合は分解温度が混合溶媒の
沸点64.2℃よりもはるかに高いことから、混合溶媒
の沸点近傍を実施例上の上限温度とした。潤滑層を形成
した磁気記録媒体の走行面にバックコートを塗布した
後、6.35mm幅に切断しサンプルを作製した。尚、
潤滑剤溶液をまったく加熱することなく塗布したものを
比較例1とした。
【0027】実施例4〜6、比較例2 上記実施例1〜3および比較例1と同様に潤滑剤を塗布
し、さらに溝付き塗工用ロッドを用いて、夫々2nmの
潤滑層膜厚が得られるように過剰の潤滑剤を掻き落とし
た。次いで、潤滑層を形成した磁気記録媒体の走行面に
バックコートを塗布した後、6.35mm幅に切断しサ
ンプルを作製した。
【0028】実施例7 実施例5におけるダイノズル塗布を、ノズルを代えて噴
霧塗布とした以外は実施例5と同様にサンプルを作製し
た。
【0029】実施例8〜10、比較例3〜5 潤滑剤の種類を下記の表1に示す潤滑剤に代えた以外は
夫々実施例5(潤滑剤温度50℃)および比較例2(潤
滑剤温度17℃)と同様にサンプルを作製した。
【0030】比較例6、比較例7 実施例1における電熱線ヒータによる加熱を行わずに、
100リットルの潤滑剤保管タンクにて比較例6では1
時間、比較例7では10時間夫々60℃に加熱・保温し
た後、ダイノズル塗布した以外は実施例1と同様にして
サンプルを作製した。
【0031】得られたサンプルの潤滑剤の密着性、走行
安定性を評価する方法としては、表面性0.2S、直径
2mmのSUS304ピンにサンプルテープを90度の
抱き角で巻きつけ、繰り返し摺動したときの磁性層面の
走行摩擦を測定した。この測定環境は温度20℃、湿度
60%RHとし、200パス目の摩擦係数を求めた。ま
た、同環境下にサンプルテープを2週間保存した後の磁
性層表面を光学顕微鏡にて面観察を行い、倍率100倍
における視野内に凝集して析出している潤滑剤の個数を
カウントした。得られた測定結果を下記の表1に示す。
【0032】
【表1】 *A:C17H35COOH (m.p.70℃) B:C17H35COOC8H17 (m.p.32℃) C:C13H27COOC2H4C8F17 (m.p.46℃) D:C14H29CH(CH2COOC2H4C8F17)COOC2H4C8F17 (m.p.48
℃)
【0033】上記表1から、塗布直前の潤滑剤溶液の温
度を30℃〜60℃に加熱すると走行摩擦係数が約0.
22以下に抑えられることがわかる。これに対し、加熱
せずに17℃の場合には0.30程度となり、ヘッド張
り付きやスティックスリップが生じるおそれがある。
【0034】また、計量手段として溝付き塗工用ロッド
を併用した場合には、潤滑剤温度を30℃〜60℃に加
熱すると塗布方法の種類や潤滑剤の種類に殆ど左右され
ることなく、走行摩擦係数は約0.20〜0.16と低
く安定することがわかる。これに対し、17℃の場合に
は溝付き塗工用ロッドを併用しても0.29程度とな
り、十分な走行摩擦が得られなかった。
【0035】2週間保存した後の潤滑剤析出状態は、常
温塗布の比較例1のサンプルは150個と最も個数が多
かった。一方、溝付き塗工用ロッドを使用したサンプル
は、使用しなかった同一温度のサンプルに比較して、い
ずれも析出が少なかった。
【0036】さらに、潤滑剤溶液を炭素保護膜に塗布す
る直前の電熱線ヒータで加熱せずに、保管タンクで長時
間(比較例6:1時間、比較例7:10時間)加熱・保
温した場合には、十分な走行摩擦係数が得られず、また
2週間保存後の析出状態も劣っていた。さらにまた、光
学顕微鏡による観察では、加熱なしの場合の析出物とは
様子が異なり、吸湿水分などの影響により潤滑剤が変質
していることがうかがえた。
【0037】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、炭素保護膜との密着性が良好でかつ均一な潤滑層が
形成され、走行安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用し得る蒸着装置の模式図である。
【図2】本発明で使用し得るDLC装置の模式図であ
る。
【図3】本発明で使用し得る潤滑剤塗布装置の模式図で
ある。
【符号の説明】
1 斜め蒸着装置 2 非磁性基体 3 供給ロール 4 冷却ドラム 5 るつぼ 6 電子銃 6B 電子ビーム 7 巻き取りロール 8 真空排気ポンプ 9 遮蔽板 10 シャッタ 21 DLC装置 22 高周波電源 23 供給ロール 24 巻き取りロール 25 金属薄膜磁性層が形成された非磁性基体 26 回転ドラム電極 27 仕切板 28 真空排気ポンプ 29 電極 31 潤滑剤塗布装置 32 溝付き塗工用ロッド(計量手段) 33 供給ロール 34 巻き取りロール 35 炭素保護膜が形成された原反フィルム 36 ガイドロール 37 撹拌装置 38 ダイノズル 39 ヒータ 40 潤滑剤保管タンク 41 乾燥炉

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気記録媒体の金属薄膜磁性層上に炭素
    保護膜を形成し、さらに該炭素保護膜上に潤滑層を形成
    する磁気記録媒体の製造方法において、上記潤滑層形成
    用の潤滑剤溶液を保管タンクとノズル部との間の配管ま
    たは該ノズル部にて加熱することを特徴とする磁気記録
    媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 磁気記録媒体の金属薄膜磁性層上に形成
    された炭素保護膜上に潤滑層を形成する磁気記録媒体製
    造装置において、上記潤滑層形成用の潤滑剤溶液を保管
    タンクとノズル部との間の配管または該ノズル部にて加
    熱するための加熱手段を具備することを特徴とする磁気
    記録媒体製造装置。
  3. 【請求項3】 形成された潤滑層の過剰潤滑剤を除去す
    る計量手段を備える請求項2記載の磁気記録媒体製造装
    置。
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