JP2002155322A - アルミニウムまたはアルミニウム合金の精製方法および装置 - Google Patents

アルミニウムまたはアルミニウム合金の精製方法および装置

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JP2002155322A JP2000348249A JP2000348249A JP2002155322A JP 2002155322 A JP2002155322 A JP 2002155322A JP 2000348249 A JP2000348249 A JP 2000348249A JP 2000348249 A JP2000348249 A JP 2000348249A JP 2002155322 A JP2002155322 A JP 2002155322A
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稔 持田
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Okanori Sato
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不純物としてFe、Si、包晶系元素その他
の不可避的含有元素を含むアルミニウムを効率よく、工
業的規模で精製することが可能な精製方法を提供する。 【解決手段】 以下の工程を含む。原料溶湯中に金属B
を添加後、酸化性気体含有ガスを吹き込み、包晶系元素
またはその化合物を浮上分離する包晶系物質分離工程。
溶湯を保持容器に収容し、該容器の上部付近の外周を冷
却してアルミニウム初晶を保持容器内周に晶出させ、こ
の初晶を物理的手段で該容器内周から剥離させて該容器
下部に沈積せしめ、沈積した初晶を該容器内周断面全面
に渡り均一に押し固めて、結晶成長させると共に該容器
内部に前記結晶をコンパクトに詰め込む結晶詰込工程。
結晶を詰め込んだ該容器を傾動して、非包晶系不純物含
有母液を重力分離する非包晶系物質排出工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不純物として鉄
(Fe)、シリコン(Si)、包晶系元素、およびその
他の不可避的含有元素を含むアルミニウムまたはアルミ
ニウム合金を精製するためのアルミニウムまたはアルミ
ニウム合金の精製方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、不純物としてFe、Si、包晶系
元素、およびその他の不可避的含有元素を含むアルミニ
ウムまたはアルミニウム合金を精製するためのアルミニ
ウムまたはアルミニウム合金の精製方法として、例え
ば、以下の方法が開示されている。
【0003】(α)特開平8−295958号公報に開
示されているように、不純物としてFeを含むアルミニ
ウムまたはアルミニウム合金の溶湯中で、Fe酸化物お
よびアルミニウム酸化物以外の酸化物、好ましくはMg
O,TiO2,MnO2,SiO 2,ZnO等の存在下、
および酸化性ガスの共存下に、前記FeからFeを含有
する複合酸化物を形成してこれを除去することによりア
ルミニウムまたはアルミニウム合金を精製する方法。
【0004】(β)特開平7−207368号公報に開
示されているように、不純物としてチタニウム(Ti)
を含むアルミニウムまたはアルミニウム合金溶湯中に、
カルシウム(Ca)酸化物、バリウム(Ba)酸化物、
マグネシウム(Mg)酸化物、マンガン(Mn)酸化
物、鉛(Pb)酸化物の中から選択される少なくとも1
種の酸化物を添加し、不純物Tiとこれらの酸化物との
複合酸化物を形成させてこれを分離する工程を含む方
法。
【0005】(γ)特公昭61−36568号特許公報
に開示されているように、偏析凝固法を用いたアルミニ
ウムの精製法であって、溶解したアルミニウムを保持す
るための保持容器の上部外周を冷却し、この保持容器の
上部内周にアルミニウムの初晶を晶出させ、この保持容
器内で内周と略同径で、少なくとも1つの通液孔を有
し、前記初晶を掻き取るための初晶掻取板を周期的に上
下動させて前記初晶を掻き取り、かつ前記保持容器の下
部に沈積した前記初晶を押し固め、アルミニウムの結晶
を成長させることを特徴とし、アルミニウムの結晶の堆
積高さが前記保持容器の冷却された部分の下部に達した
時点でアルミニウムの精製を終了させ、その後、アルミ
ニウムの凝固物を前記保持容器から取り出して所望の純
度に応じて所要部位でこのアルミニウムの凝固物を切断
する方法。
【0006】(δ)特公平3−22453号公報に開示
されているように、内側を冷却した物体をその内部に浸
すことによって、外側を加熱した容器内で融点近くに保
持されている容量の液体金属を順繰りに結晶化させる。
このとき、その結晶化の速度を、冷却流体流、ルツボの
外側の加熱効果力およびルツボの熱絶縁との共同作用に
よって調節する。次に、このようにして形成された比較
的小さな結晶を掻き落とし、液体金属を含有する容器底
部に収集し、ピストンによって容器底部を圧縮してこの
比較的小さな結晶を焼結し、比較的大きな結晶とする。
比較的多くの不純物を含有する留分が液体状の上澄みを
構成している時に、この留分を排出するように容器を傾
注することにより、比較的多くの不純物を含有する液体
留分から比較的大きな結晶を含有する精製留分を分離す
る方法。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記従来のアルミニウ
ムまたはアルミニウム合金の精製方法には、以下のよう
な問題点があった。 (い)前記(α)の方法によるアルミニウムまたはアル
ミニウム合金の溶湯中の残留Feは、0.1質量%、す
なわち1000質量ppmと不純物濃度のレベルが比較
的高く、偏析凝固法を用いたアルミニウムの精製法に比
べて精製効果は不充分である。
【0008】(ろ)前記(β)の方法によるアルミニウ
ムまたはアルミニウム合金の溶湯中の残留Tiは、0.
02質量%以下と不純物濃度のレベルが比較的高く、精
製効果は不充分である。
【0009】(は)前記(γ)の方法は、FeやSi等
の除去にある程度有効であるが、精製部に数%の母液部
が残留し、これに起因してFeやSi等の不純物レベル
はせいぜい5から10質量ppmまでしか到達しなかっ
た。また、精製終了後、本体が凝固後に取り出すため、
製品部分と固化母液部分とをソー等の切断機で切断する
必要があった。
【0010】(に)前記(δ)の方法は、アルミニウム
またはアルミニウム合金の高純度精製品を得るには、精
製後不純物含有液体部分を排出するために、圧縮・加熱
操作が不可避であり、このような操作が比較的複雑でか
つ長時間を要するため、コスト増加を招いていた。
【0011】本発明は、前記の現状に鑑み、不純物とし
てFe、Si、包晶系元素およびその他の不可避的含有
元素を含むアルミニウムまたはアルミニウム合金を効率
よく、工業的規模で精製することが可能なアルミニウム
またはアルミニウム合金の精製方法および装置の提供を
課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決した本発
明の第1の態様は、不純物としてFe、Si、包晶系元
素およびその他の不可避的含有元素を含むアルミニウム
またはアルミニウム合金を精製する方法において、原料
溶湯中にボロンおよび/またはボロン含有化合物を添加
した後、酸化性気体含有ガスを吹き込み、包晶系元素ま
たはその化合物を浮上分離する包晶系物質分離工程、を
含むことを特徴とするアルミニウムまたはアルミニウム
合金の精製方法である。なお、前記酸化性気体含有ガス
とは、例えば、空気、窒素やアルゴンガスと酸素ガスと
の混合物、炭酸ガス等を意味するものとする。
【0013】前記課題を解決した本発明の第2の態様
は、不純物としてFe、Si、包晶系元素およびその他
の不可避的含有元素を含むアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金を精製する方法において、下記の2工程を含む
ことを特徴とするアルミニウムまたはアルミニウム合金
の精製方法である。 (A)溶湯を保持容器に収容し、この保持容器の上部付
近を冷却してアルミニウム初晶を晶出させ、この初晶を
物理的手段で剥離させて保持容器下部に沈積せしめ、沈
積した初晶を保持容器内周断面全面に渡り均一に押し固
めて、結晶成長させると共に保持容器内部にコンパクト
に詰め込む結晶詰込工程。 (B)前記結晶を詰め込んだ保持容器から、非包晶系不
純物含有母液を溶湯のまま分離して排出する非包晶系物
質排出工程。
【0014】前記課題を解決した本発明の第3の態様
は、不純物としてFe、Si、包晶系元素およびその他
の不可避的含有元素を含むアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金を精製する方法において、下記の3工程を含む
ことを特徴とするアルミニウムまたはアルミニウム合金
の精製方法である。 (1)原料溶湯中にボロンおよび/またはボロン含有化
合物を添加した後、酸化性気体含有ガスを吹き込み、包
晶系元素またはその化合物を浮上分離する包晶系物質分
離工程。 (2)前記包晶系物質分離工程で処理された溶湯を保持
容器に収容し、この保持容器の上部付近を冷却してアル
ミニウム初晶を晶出させ、この初晶を物理的手段で剥離
させて保持容器下部に沈積せしめ、沈積した初晶を保持
容器内周断面全面に渡り均一に押し固めて、結晶成長さ
せると共に保持容器内部にコンパクトに詰め込む結晶詰
込工程。 (3)前記結晶を詰め込んだ保持容器から、非包晶系不
純物含有母液を溶湯のまま分離して排出する非包晶系物
質排出工程。
【0015】前記課題を解決した本発明の第4の態様
は、前記第2または第3の態様において、前記非包晶系
物質排出工程で、結晶を詰め込んだ保持容器から非包晶
系不純物含有母液を吸引して分離し、排出することを特
徴とするアルミニウムまたはアルミニウム合金の精製方
法である。
【0016】前記課題を解決した本発明の第5の態様
は、前記第2または第3の態様において、前記非包晶系
物質排出工程で、結晶を詰め込んだ保持容器を傾動逆転
して、非包晶系不純物含有母液を重力の作用で分離し、
排出することを特徴とするアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金の精製方法である。
【0017】前記課題を解決した本発明の第6の態様
は、前記第2から第5のいずれか1つの態様において、
前記結晶詰込工程で、初晶を押し固める圧力が4000
0から110000Paであることを特徴とするアルミ
ニウムまたはアルミニウム合金の精製方法である。
【0018】前記課題を解決した本発明の第7の態様
は、前記第2から第6のいずれか1つの態様において、
前記非包晶系物質排出工程で、結晶を詰め込んだ保持容
器から非包晶系不純物母液を吸引して分離し、排出する
際、当該排出作業を前記結晶詰込工程終了後10分以内
に完了させることを特徴とするアルミニウムまたはアル
ミニウム合金の精製方法である。
【0019】前記課題を解決した本発明の第8の態様
は、前記第2、第3、第5および第6のいずれか1つの
態様において、前記非包晶系物質排出工程で、結晶を詰
め込んだ保持容器を傾動逆転し、当該逆転位置の保持時
間を5分以内として元の位置に戻すことを特徴とするア
ルミニウムまたはアルミニウム合金の精製方法である。
【0020】前記課題を解決した本発明の第9の態様
は、不純物としてFe、Si、包晶系元素およびその他
の不可避的含有元素を含むアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金を精製するアルミニウムまたはアルミニウム合
金の精製装置であって、原料溶湯を保持する第1の保持
容器と、この保持容器中の原料溶湯にボロンおよび/ま
たはボロン含有化合物を添加するボロン添加手段と、前
記第1の保持容器中の溶湯に酸化性気体を含有するガス
を吹き込むガス吹き込み手段とを含む第1の精製装置を
備えたことを特徴とするアルミニウムまたはアルミニウ
ム合金の精製装置である。
【0021】前記課題を解決した本発明の第10の態様
は、不純物としてFe、Si、包晶系元素およびその他
の不可避的含有元素を含むアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金を精製するアルミニウムまたはアルミニウム合
金の精製装置であって、溶湯を収容・保持する第2の保
持容器が、この保持容器の上部付近を冷却する冷却手段
と、前記第2の保持容器の外周を加熱する加熱手段と、
前記第2の保持容器内で内周と略同径の押圧板と、この
押圧板を周期的に上下動させる上下駆動手段と、を含む
第2の精製装置として構成され、この第2の精製装置
と、前記第2の保持容器を開放後、容器内へ挿入する吸
引管および吸引ポンプを有する不純物含有母液吸引装置
とを備えたことを特徴とするアルミニウムまたはアルミ
ニウム合金の精製装置である。
【0022】前記課題を解決した本発明の第11の態様
は、前記第10の態様において、前記不純物含有母液吸
引装置の代替に、前記第2の保持容器を垂直に設置後、
水平または水平から45度下方まで保持回動する傾動装
置を備えたことを特徴とするアルミニウムまたはアルミ
ニウム合金の精製装置である。
【0023】前記課題を解決した本発明の第12の態様
は、前記第10から第11のいずれか1つの態様におい
て、前記第2の保持容器の底部を加熱する加熱手段を備
えたことを特徴とするアルミニウムまたはアルミニウム
合金の精製装置である。なお、以下ではアルミニウム、
または、アルミニウム合金を単に「アルミニウム」とい
う。
【0024】(作用)前記第1の態様のように構成すれ
ば、以下のような作用がある。前記包晶系物質分離工程
では、攪拌用気泡(例えば、工業用圧縮空気)を用いて
添加されたボロンおよび/またはボロン含有化合物が、
アルミニウムの溶湯中に拡散すると共に、Ti、V、Z
r、Cr等の包晶系元素と衝突して包晶系元素ボライド
から構成される複合化合物の生成が促進される。その
後、前記アルミニウムの溶湯との濡れ性が比較的よい前
記複合化合物が、前記酸化性気体の気泡表面に生成する
アルミニウムの溶湯との濡れ性が比較的悪いアルミニウ
ム酸化物に選択的に吸着され、このアルミニウムの溶湯
の表面に浮上する。そして、一旦、このように前記アル
ミニウム酸化物に吸着して浮上した当該複合化合物およ
びアルミニウム酸化物は、容易には前記アルミニウムの
溶湯中に溶解あるいは縣濁して戻ることができないた
め、速やかに前記アルミニウムの溶湯中から分離される
ようになる。
【0025】前記第2の態様のように構成すれば、以下
のような作用がある。前記結晶詰込工程では、アルミニ
ウム結晶を保持するための保持容器の上部内壁に晶出し
た比較的小さなアルミニウム結晶は、この結晶を掻き取
るための掻取板等によって物理的に剥離され、前記保持
容器の底部に沈積する。このアルミニウム結晶は、この
アルミニウム結晶を押圧するための押圧板による容器内
の横断面全面への比較的均一な押圧、および前記保持容
器の底部からの加熱、または前記保持容器の側面の各レ
ベルでの適切な温度調整によって、底部から垂直上方に
向けて、また、外周部から中心方向へ向けて、前記アル
ミニウム結晶の再溶解、再結晶化が進行するようにな
る。その際、前記保持容器の各断面レベルでは、前記押
圧板による上部からの比較的均一な押圧、前記保持容器
の外周部からの加熱により、不純物を含有する不純物含
有液が、順次に底部から上部へ向けて、また、外縁部か
ら中心部へ向けて移動する。このようにして精製された
アルミニウム結晶は、当該中心部またはその上部近傍で
は、再溶解した前記不純物含有液が僅かに残留し、その
他の結晶部分では、Fe,Si等が数質量ppm未満に
抑えられて成る高純度アルミニウムとなる。
【0026】前記非包晶系物質排出工程では、前記結晶
詰込工程でSi,Fe,Cu,Zn,Ga,B等の元素
が濃縮した母液を、アルミニウムの溶湯のまま分離す
る。このとき、アルミニウムの溶湯に含まれている前記
母液と、アルミニウム結晶の間隙とに存在する残留不純
物とが共に排出される。
【0027】そして、前記第3の態様のように構成すれ
ば、包晶系物質分離工程において、Ti、V、Zr、C
r等の包晶系元素が極めて低い値まで除去されアルミニ
ウムまたはアルミニウム合金の溶湯が高純度化される。
また、前記結晶詰込工程により、Fe,Si等の不純物
が数質量ppm未満の高純度アルミニウム結晶が得られ
る。さらに、前記母液を分離して排出する非包晶系物質
排出工程により、前記結晶詰込工程でSi,Fe,C
u,Zn,Ga,B等の濃縮した母液を排出し、高純度
のアルミニウムまたはアルミニウム合金結晶が製品とし
て得られる。
【0028】前記第4の態様のように構成すれば、前記
非包晶系物質排出工程において、前記アルミニウム結晶
を詰め込んだ保持容器から、非包晶系不純物含有母液を
吸引して分離し、排出する。このとき、前記母液は、前
記保持容器中でアルミニウム結晶が生成した部分の上部
に絞り出されており、アルミニウム結晶上部の結晶の間
隙に存在する残留不純物を、吸引管を用いる吸い出しに
よって、略完全に吸引排出することが可能である。
【0029】前記第5の態様のように構成すれば、前記
非包晶系物質排出工程において、前記アルミニウムの結
晶を詰め込んだ保持容器を傾動、逆転することによって
も、前記母液を排出することができる。このとき、アル
ミニウムの結晶上部の結晶の間隙に存在する残留不純物
も、前記保持容器の中心部およびその上部近傍に存在し
ているので、母液と共に速やかに排出される。一方、前
記高純度のアルミニウムの結晶部分は、前記精製工程
(結晶詰込工程)で押圧された結果、前記保持容器の内
部に緊着しているため、傾動、逆転の運動によっても、
当該結晶部分が剥離、落下することがない。
【0030】前記第6の態様における数値限定理由は下
記のとおりである。アルミニウム初晶を押し固める圧力
が40000Pa未満であると、アルミニウムまたはア
ルミニウム合金を精製するための装置に含まれる略同径
の円板とルツボとの接触抵抗により、目的とする底部堆
積物への押圧圧力が所要以下に減少するため、この底部
堆積物が有する結晶粒界からの母液の押し出しが不充分
となる。一方、アルミニウム初晶を押し固める圧力が1
10000Paを超えると、アルミニウムまたはアルミ
ニウム合金を精製するための装置に含まれる支持棒や円
板が損傷する恐れがあり、また、前記円板の通液孔に比
較的小さな結晶から成る堆積物が固着する恐れがある。
したがって、アルミニウム初晶を押し固める圧力は、4
0000Paから110000Paとする。
【0031】前記第7の態様のように構成すれば、前記
結晶詰込工程の終了後、アルミニウムの結晶を詰め込ん
だ保持容器から非包晶系不純物含有母液を10分程度以
内で吸引して分離し、排出することにより、精製された
アルミニウムの結晶本体の温度の低下を、通常の温度雰
囲気では充分に小さく抑えることができる。その結果、
温度の低下によって生じる体積収縮に起因する不純物含
有母液の侵入を無視できるレベルに抑えることができ
る。
【0032】前記第8の態様のように構成すれば、前記
保持容器内の不純物を比較的高濃度に含有する母液は、
この保持容器内の結晶堆積物の結晶の隙間に押し出され
て存在するようになるので第5の態様における傾動逆転
により速やかに母液のほとんど全てが排出され、5分程
度以内で逆転保持した後に正位置に復帰させることによ
りアルミニウムの固液分離が完了することとなる。
【0033】前記第9の態様から第12の態様のように
構成すれば、前記第2の態様から第6の態様のいずれか
1つの方法が効率的に、工業的規模で実施できるように
なる。特に前記第11の態様のように構成すれば、前記
第2の保持容器を垂直に設置した後、水平方向または水
平方向から45度下方まで保持回動する傾動装置によ
り、前記第2の保持容器からの前記アルミニウムの結晶
およびこの結晶の間隙に存在する残留不純物の排出が効
率的に行われる。また、特に前記第12のように構成す
れば、前記第2の保持容器の底部の加熱手段により、前
記第2の保持容器の中央部のアルミニウムの再溶解、お
よび再結晶が促進され、アルミニウム結晶の高純度化が
効率よく進行するようになる。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、添付の図
面および具体的な実施例を参照して、以下に詳細に説明
する。図1は、本発明に係るアルミニウムまたはアルミ
ニウム合金の精製装置を構成する第1の精製装置の一実
施の形態の概略構成を示す模式的縦断面図、兼系統図で
あり、図2は、本発明に係るアルミニウムまたはアルミ
ニウム合金の精製装置を構成する第2の精製装置の一実
施の形態の概略構成を示す模式的縦断面図である。
【0035】本発明に係る精製装置を構成する第1の精
製装置は、図1に示すように、黒鉛、不定形耐火物また
は耐火レンガで内張りされ、原料溶湯MMを保持する第
1の保持容器1と、この保持容器1中の原料溶湯MMに
ボロンおよび/またはボロン含有化合物を添加するボロ
ン添加手段2と、前記第1の保持容器中の溶湯に酸化性
気体含有ガスとしての空気や炭酸ガス等を吹き込むガス
吹き込み手段3とを備える。
【0036】ガス吹き込み手段3は、黒鉛支持管3aの
下端に、ガス吐出口3bを備えた円板および攪拌翼3c
を備え、酸化性気体含有ガスが前記黒鉛支持管3aを通
って下端のガス吐出口3bより溶湯中に吹き込まれ、攪
拌翼3cにより微細化された気泡が溶湯内に拡散する。
黒鉛支持管3aの上端には毎分0から1200回転の回
転速度で水平回転可能なようにロータリアクチュエータ
4が接続されている。このロータリアクチュエータ4
は、正逆転可能で、正逆転を繰り返すことにより第1の
保持容器1内の溶湯表面を乱さないようになっている。
ガス吹き込み手段3の上部には、ロータリジョイント5
を介して、酸化性気体含有ガス源6から途中に圧力調整
弁8を介設したガス配管7が接続されている。
【0037】本発明に係る精製装置を構成する第2の精
製装置は、図2に示すように、ステンレス鋼製容器17
の内壁に接して黒鉛ルツボ16が設けられてアルミニウ
ムの溶湯を保持する第2の保持容器10を構成してい
る。黒鉛製支持棒11の下端には、通液孔22を配設し
た掻取押圧板としての黒鉛円板21が取り付けられ、こ
の黒鉛円板21の外径は黒鉛ルツボ16の内径と略同径
で、黒鉛製支持棒11に連結した図示せぬ駆動装置によ
り、ルツボ16の内周に沿って上下動する。
【0038】ステンレス鋼製容器17の外周上部には上
部加熱部18が設けられ、次に断熱性耐火物19で囲繞
されたステンレス鋼製冷却部20が取り付けられ、冷却
用空気が導入され、内部を循環し、冷却後排出口から排
出される。このステンレス鋼製冷却部20に対応した黒
鉛ルツボ16の内周面がアルミニウム結晶晶出面を形成
する。
【0039】ステンレス鋼製容器17の外側の側壁部お
よび底部を囲んで分割加熱部23が配設され、発熱体を
取り付けた各々のセグメントは、図示せぬ入力温度調整
機で高温加熱部が必要に応じて移動するように構成され
ている。
【0040】次に、前記第1の精製装置の操作法、作
用、および本発明の前記第1の態様のアルミニウムまた
はアルミニウム合金の精製装置の包晶系物質分離工程の
実施の形態について述べる。すなわち、この包晶系物質
分離工程は、下記の(a1)〜(a5)の段階を含む。 (a1)アルミニウムまたはアルミニウム合金の所定の
量の原料溶湯MMを第1の保持容器1に容れる段階。 (a2)ボロンおよび/またはボロン含有化合物添加手
段2により、保持容器1の中の原料溶湯MMにボロンお
よび/またはボロン含有化合物を添加する段階。 (a3)酸化性気体含有ガス吹き込み手段3をロータリ
アクチュエータ4で、所定の回転速度例えば毎分400
回転の回転速度で正逆回転させながら、下端部のガス吐
出口3bから原料溶湯MM中に酸化性気体含有ガスを吹
き込み、攪拌翼3cで気泡を微細化して溶湯中に拡散さ
せる段階。 (a4)酸化性気体含有ガスの吹き込みを所定の時間行
った後、酸化性気体含有ガスの吹き込みを停止する段
階。 (a5)溶湯表面に浮上した包晶系元素ボライド吸着滓
を、掻き上げて分離し、排出する段階。
【0041】次に、前記第2の精製装置の操作法、作
用、および本発明の前記第2の態様のアルミニウムまた
はアルミニウム合金の精製装置の結晶詰込工程および非
包晶系物質排出工程の実施の形態について述べる。前記
第1の精製装置を用い、包晶系物質分離工程で精製した
アルミニウムの溶湯を黒鉛ルツボ16に入れる。アルミ
ニウムの結晶を押圧して掻き取るための掻取押圧板とし
て、黒鉛円板21を下端に設けた黒鉛製支持棒11をセ
ットする。
【0042】また、冷却用空気をステンレス鋼製冷却部
20に流しながら、アルミニウム初晶25を黒鉛ルツボ
16の内周面に晶出させる。黒鉛円板21をステンレス
鋼製冷却部20付近で周期的に上下運動させ、アルミニ
ウム初晶25を掻き落とし、ルツボ底部に沈積させる。
一定時間後黒鉛円板21で底部堆積物を均一に押圧す
る。押圧面下方に位置する加熱部23の各セグメント
を、図示せぬ入力温度調整機の作用によって順次調節す
る。以上の操作を堆積物がステンレス鋼製冷却部20の
下部付近の高さに達するまで続ける。この際堆積物の外
周の一部が溶解する程度に、またその他の部分を、これ
より低温に保持するように、図示せぬ入力温度調整機の
作用により、加熱部23の各セグメントによる加熱を行
う。また、上部の溶湯が凝固しないように、上部加熱部
18により加熱する。
【0043】アルミニウム初晶の堆積高さが、ステンレ
ス鋼製冷却部20の直下部に達した後に空気による冷却
を中止し、黒鉛円板21を抜き出す。
【0044】次に、第2の保持容器10(ステンレス製
鋼製容器17および黒鉛ルツボ16)内の非包晶系不純
物含有母液を、図示せぬ吸引排出手段により、吸引して
分離し、排出する。あるいは、第2の保持容器10(ス
テンレス製鋼製容器17および黒鉛ルツボ16)を、図
示せぬ傾動手段により、傾動させ、上部液を重力の作用
で分離し、排出する。その後、数時間放冷し、精製物を
黒鉛ルツボ16から取り出し、製品として倉入れする。
【0045】本発明に係る第2の精製装置は前記のよう
に構成し、本発明の前記第2の態様のアルミニウムの精
製方法の結晶詰込工程および非包晶系物質排出工程は前
記のような構成を有するので、比較的広い晶出面が得ら
れ、かつ周期的に晶出面が更新されて晶出速度が低下し
ない。また、効果的にアルミニウムの溶湯が攪拌され、
かつ突き固めに際し、アルミニウムの結晶間の不純物が
通液孔から上方へ押し出されるので、精製されたアルミ
ニウムの純度も比較的高純度で、不純物含有液が結晶の
上部間隙に押し上げられ、簡単に排出できる。また、本
発明の方法では、堆積結晶の突き固めを一枚の円板で行
うので、構造、操作が極めて簡単であり、装置の故障の
恐れがない。
【0046】
【実施例】本発明に係るアルミニウムの精製方法の包晶
系物質分離工程の実施例を以下に説明する。内径が80
0mm、内部高さが1000mm、溶湯深さが800m
mの略前記図1に準じた第1の精製装置を使用し、Ti
を30質量ppm、Vを50質量ppm含むアルミニウ
ム溶湯1.0tを第1の保持容器1に入れて、ボロン母
合金を1.3kg添加した後、工業用エアーを80l/
minの流量で20分間吹き込んだ。その結果、Tiを
1質量ppm、Vを1質量ppm含むアルミニウム溶湯
が得られた。比較のために前記と同じ条件で、工業用エ
アーの代わりにアルゴンガスを吹き込む実験を行った。
その結果、Tiを7質量ppm、Vを23質量ppm含
むアルミニウム溶湯が得られた。なお、前記の実験にお
けるTiおよびVの除去速度は下記式1に示す一次反応
速度式で表され、除去速度係数kは、下記表1に示すと
おりとなった。 C=C0-kt …………式1 ここで、前記式1中の各変数は、以下のように表され
る。 C :時間t分後の濃度(質量ppm) C0:初期濃度(質量ppm) k :除去速度係数 t :反応時間(min)
【0047】
【表1】
【0048】前記表1から、アルゴンガスを吹き込んだ
比較例に対して、エアーを吹き込んだ本発明に係る実施
例では除去速度定数kが、Tiの場合で2.6倍、Vの
場合で5.5倍と非常に大きく、その結果、所定時間
(例えば、20分)後の到達Ti濃度および到達V濃度
が前記したとおり非常に低くなっている。
【0049】次に、本発明に係るアルミニウムの精製方
法の結晶詰込工程の実施例を以下に説明する。内径56
0mm、高さ1300mmの黒鉛ルツボを収容した図2
に準じた本発明に係る第2の精製装置を使用し、Fe濃
度が200ppm、Si濃度が200ppmのアルミニ
ウム原料溶湯500kgを黒鉛ルツボに入れて溶解し、
アルゴン雰囲気下で操作した。
【0050】通液孔を備えた黒鉛円板で、アルミニウム
初晶を掻き落とし、周期的に圧力99000Paで押圧
を行った。12時間掛けて溶湯の55%を凝固させた
後、黒鉛ルツボを傾動、逆転させて不純物の濃縮された
溶湯部分を除去した。こうして得られた製品凝固塊から
厚み20mmの縦スライスを取り、図3から図4に示す
ように直径方向に3分割、縦方向に6分割し、発光分析
にて各スライスの不純物濃度を分析し、濃度分布を調査
した。その調査結果を図3および図4に示した。
【0051】図3〜図4から分かるように、Fe,Si
の各元素共に、あまり大きな濃度偏析がなく、極めて低
い濃度まで低下していることが分かる。以上、本発明に
好適な実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明は
この実施例に限定されるものではなく本発明の技術的な
思想に基づく限りにおいて適宜に変形することが可能で
ある。
【0052】
【発明の効果】以上説明したとおり構成される本発明の
アルミニウムの精製方法および装置によれば、以下の優
れた効果を奏する。 (1)請求項1の発明によれば、前記包晶系物質分離工
程において、第1の精製装置を用いた包晶系物質分離工
程において、ボロンおよび/またはボロン含有化合物の
添加と酸化性気体含有ガスの吹き込みにより、Ti、
V、Zr、Cr等の包晶系元素が極めて低い値まで除去
されアルミニウムの溶湯が高純度化される。
【0053】(2)請求項2の発明によれば、第2の精
製装置を用いた結晶詰込工程により、Fe,Si等の不
純物が数質量ppm未満の高純度アルミニウム結晶が得
られる。さらに、母液を分離して排出する非包晶系物質
排出工程により、前記結晶詰込工程でSi,Fe,C
u,Zn,Ga,B等の濃縮した母液を排出し、高純度
のアルミニウム結晶が製品として得られる。
【0054】(3)請求項3の発明によれば、前記第1
の精製装置を用いた包晶系物質分離工程において、T
i、V、Zr、Cr等の包晶系元素が極めて低い値まで
除去されアルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯が
高純度化される。また、前記第2の精製装置を用いた結
晶詰込工程により、Fe,Si等の不純物が数質量pp
m未満の高純度のアルミニウム結晶が得られる。さら
に、母液を分離して排出する非包晶系物質排出工程によ
り、前記結晶詰込工程でSi,Fe,Cu,Zn,G
a,B等の濃縮した母液を排出し、高純度のアルミニウ
ム結晶が製品として得られる。以上の結果、不純物とし
てFe、Si、包晶系元素その他の不可避的含有元素を
含むアルミニウムを効率よく、工業的規模で高純度に精
製することが可能である。
【0055】(4)請求項2から請求項5の発明によれ
ば、前記非包晶系物質排出工程では、前記結晶詰込工程
でSi,Fe,Cu,Zn,Ga,B等の濃縮した母液
を、前記結晶を詰め込んだ保持容器から非包晶系不純物
含有母液を吸引して分離し、排出するか、あるいは前記
結晶を詰め込んだ保持容器を傾動、逆転することにより
前記母液を分離して排出するので、前記母液と結晶間隙
に存在する残留不純物とが共に速やかに排出される。一
方、結晶部分は、前記精製工程(結晶詰込工程)で押圧
された結果、保持容器内に緊着しているため、前記溶湯
のまま分離され、排出されても、当該結晶部分が剥離ま
たは落下して、排出されることがない。
【0056】(5)請求項6の発明によれば、目的とす
る底部堆積物への押圧圧力が適切であるため、底部堆積
物を適切に押圧し、再結晶させることができると共に、
支持棒や円板の損傷や、また、円板の通液孔に小結晶堆
積物が固着する等の恐れがない。
【0057】(6)請求項7の発明によれば、前記結晶
詰込工程の終了後、10分以内で結晶を詰め込んだ保持
容器から非包晶系不純物含有母液を吸引して分離し、排
出することにより、精製された結晶本体温度の低下を通
常の温度雰囲気では充分に小さく抑えることができる。
その結果として、温度低下による結晶部の体積収縮に起
因する、不純物含有母液の侵入を無視できるレベルに抑
えることができる。
【0058】(7)請求項8の発明によれば、前記保持
容器内の不純物を高濃度に含有する母液は、この保持容
器内部の結晶堆積物の最上部の結晶隙間に押し出されて
存在するようになるので第3の態様における傾動逆転に
より速やかに母液のほとんど全てが排出され、5分以内
の逆転保持後に正位置に復帰させることにより固液分離
が完了することとなる。
【0059】(8)請求項9から12のいずれか1項の
発明によれば、前記請求項3から請求項8のいずれか1
つの方法が効率よく、工業的規模で実施できる。特に請
求項11のように構成すれば、前記第2の保持容器を垂
直に設置後、水平または水平から45度下方まで保持回
動する傾動装置により、前記第2の保持容器からの前記
結晶および結晶間隙に存在する残留不純物含有母液の排
出が効率的に行われる。また、特に請求項12のように
構成すれば、第2の保持容器の底部の加熱手段により、
中央部の再溶解、再結晶が促進され、結晶の高純度化が
効率よく進行する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金の精製装置を構成する第1の精製装置の一実施
の形態の概略構成を示す模式的縦断面図兼系統図であ
る。
【図2】 本発明に係るアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金の精製装置を構成する第2の精製装置の一実施
の形態の概略構成を示す模式的縦断面図である。
【図3】 本発明方法による精製後の凝固塊の縦スラ
イス中のFe濃度を示す図である。
【図4】 本発明方法による精製後の凝固塊の縦スラ
イス中のSi濃度を示す図である。
【符号の説明】 1 第1の保持容器、2 ボロンおよび/またはボロン
含有化合物添加手段、3 ガス吹き込み手段、3b ガ
ス吐出口、3c 攪拌羽根、4 ロータリアクチュエー
タ、5 ロータリジョイント、6 酸化性気体含有ガス
供給源、7 気体配管、8 圧力調整弁、10 第2の
保持容器、11 黒鉛製支持棒、、16 黒鉛ルツボ、
17 ステンレス鋼製容器、18 上部加熱部、19
断熱性耐火物、20 ステンレス鋼製冷却部、21 黒
鉛円板(掻取押圧板)、22 通液孔、23 加熱部、
25 アルミニウム初晶、MM 原料溶湯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金森 照己 静岡県庵原郡蒲原町蒲原161番地 日本軽 金属株式会社蒲原工場内 (72)発明者 佐藤 丘憲 静岡県庵原郡蒲原町蒲原161番地 日本軽 金属株式会社蒲原工場内 (72)発明者 黒田 高弘 静岡県庵原郡蒲原町蒲原161番地 日本軽 金属株式会社蒲原工場内 Fターム(参考) 4K001 AA02 AA10 AA23 AA42 DA05 EA03 EA04 EA05 GA14 JA01

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不純物としてFe、Si、包晶系元素お
    よびその他の不可避的含有元素を含むアルミニウムまた
    はアルミニウム合金を精製する方法において、 原料溶湯中にボロンおよび/またはボロン含有化合物を
    添加した後、酸化性気体含有ガスを吹き込み、包晶系元
    素またはその化合物を浮上分離する包晶系物質分離工程
    を含むことを特徴とするアルミニウムまたはアルミニウ
    ム合金の精製方法。
  2. 【請求項2】 不純物としてFe、Si、包晶系元素お
    よびその他の不可避的含有元素を含むアルミニウムまた
    はアルミニウム合金を精製する方法において、下記の2
    工程を含むことを特徴とするアルミニウムまたはアルミ
    ニウム合金の精製方法。 (A)溶湯を保持容器に収容し、この保持容器の上部付
    近を冷却してアルミニウム初晶を晶出させ、この初晶を
    物理的手段で剥離させて保持容器下部に沈積せしめ、沈
    積した初晶を保持容器内周断面全面に渡り均一に押し固
    めて、結晶成長させると共に保持容器内部にコンパクト
    に詰め込む結晶詰込工程。 (B)前記結晶を詰め込んだ保持容器から、非包晶系不
    純物含有母液を溶湯のまま分離して排出する非包晶系物
    質排出工程。
  3. 【請求項3】 不純物としてFe、Si、包晶系元素お
    よびその他の不可避的含有元素を含むアルミニウムまた
    はアルミニウム合金を精製する方法において、下記の3
    工程を含むことを特徴とするアルミニウムまたはアルミ
    ニウム合金の精製方法。 (1)原料溶湯中にボロンおよび/またはボロン含有化
    合物を添加した後、酸化性気体含有ガスを吹き込み、包
    晶系元素またはその化合物を浮上分離する包晶系物質分
    離工程。 (2)前記第1工程で処理された溶湯を保持容器に収容
    し、この保持容器の上部付近を冷却してアルミニウム初
    晶を晶出させ、この初晶を物理的手段で剥離させて保持
    容器下部に沈積せしめ、沈積した初晶を保持容器内周断
    面全面に渡り均一に押し固めて、結晶成長させると共に
    保持容器内部にコンパクトに詰め込む結晶詰込工程。 (3)結晶を詰め込んだ保持容器から、非包晶系不純物
    含有母液を溶湯のまま分離して排出する非包晶系物質排
    出工程。
  4. 【請求項4】 前記非包晶系物質排出工程において、結
    晶を詰め込んだ保持容器から非包晶系不純物含有母液を
    吸引して分離し、排出することを特徴とする請求項2ま
    たは請求項3に記載のアルミニウムまたはアルミニウム
    合金の精製方法。
  5. 【請求項5】 前記非包晶系物質排出工程において、結
    晶を詰め込んだ保持容器を傾動逆転して、非包晶系不純
    物含有母液を重力の作用で分離し、排出することを特徴
    とする請求項2または請求項3に記載のアルミニウムま
    たはアルミニウム合金の精製方法。
  6. 【請求項6】 前記結晶詰込工程において、初晶を押し
    固める圧力が40000から110000Paであるこ
    とを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に
    記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金の精製方
    法。
  7. 【請求項7】 前記非包晶系物質排出工程において、結
    晶を詰め込んだ保持容器から非包晶系不純物母液を吸引
    して分離し、排出する際、当該排出作業を前記結晶詰込
    工程終了後10分以内に完了させることを特徴とする請
    求項2から請求項6のいずれか1項に記載のアルミニウ
    ムまたはアルミニウム合金の精製方法。
  8. 【請求項8】 前記非包晶系物質排出工程において、結
    晶を詰め込んだ保持容器を傾動逆転し、当該逆転位置の
    保持時間を5分以内として元の位置に戻すことを特徴と
    する請求項2、請求項3、請求項5、および請求項6の
    いずれか1項に記載のアルミニウムまたはアルミニウム
    合金の精製方法。
  9. 【請求項9】 不純物としてFe、Si、包晶系元素お
    よびその他の不可避的含有元素を含むアルミニウムまた
    はアルミニウム合金を精製するアルミニウムまたはアル
    ミニウム合金の精製装置であって、 原料溶湯を保持する第1の保持容器と、 この保持容器中の原料溶湯にボロンおよび/またはボロ
    ン含有化合物を添加するボロン添加手段と、 前記第1の保持容器中の溶湯に酸化性気体を含有するガ
    スを吹き込むガス吹き込み手段とを含む第1の精製装置
    を備えたことを特徴とするアルミニウムまたはアルミニ
    ウム合金の精製装置。
  10. 【請求項10】 不純物としてFe、Si、包晶系元素
    およびその他の不可避的含有元素を含むアルミニウムま
    たはアルミニウム合金を精製するアルミニウムまたはア
    ルミニウム合金の精製装置であって、 溶湯を収容・保持する第2の保持容器が、 この保持容器の上部付近を冷却する冷却手段と、 前記第2の保持容器の外周を加熱する加熱手段と、 前記第2の保持容器内で内周と略同径の押圧板と、 この押圧板を周期的に上下動させる上下駆動手段と、を
    含む第2の精製装置として構成され、 この第2の精製装置と、 前記第2の保持容器を開放後、容器内へ挿入する吸引管
    および吸引ポンプを有する不純物含有母液吸引装置とを
    備えたことを特徴とするアルミニウムまたはアルミニウ
    ム合金の精製装置。
  11. 【請求項11】 前記不純物含有母液吸引装置の代替
    に、前記第2の保持容器を垂直に設置後、水平または水
    平から45度下方まで保持回動する傾動装置を備えたこ
    とを特徴とする請求項10に記載のアルミニウムまたは
    アルミニウム合金の精製装置。
  12. 【請求項12】 前記第2の保持容器の底部を加熱する
    加熱手段を備えたことを特徴とする請求項10から請求
    項11のいずれか1項に記載のアルミニウムまたはアル
    ミニウム合金の精製装置。
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