JP2002155159A - 防曇性樹脂シート、防曇剤および成形品 - Google Patents

防曇性樹脂シート、防曇剤および成形品

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JP2002155159A
JP2002155159A JP2001254417A JP2001254417A JP2002155159A JP 2002155159 A JP2002155159 A JP 2002155159A JP 2001254417 A JP2001254417 A JP 2001254417A JP 2001254417 A JP2001254417 A JP 2001254417A JP 2002155159 A JP2002155159 A JP 2002155159A
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resin sheet
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Eiji Sawada
栄嗣 澤田
Takeshi Fukukita
剛 福喜多
Mamoru Fukuoka
守 福岡
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱成形後も十分な防曇性を有する成形
品を得ることができ、かつ、防曇効果、並びに外観が経
時変化しない防曇剤、その防曇剤を塗布した樹脂シート
およびその成形品を提供すること。 【解決手段】 非イオン系界面活性剤(A)とカルボン
酸金属塩化合物(B)とから構成され防曇塗膜が形成さ
れた防曇性樹脂シートで、該化合物(B)が水和物形成
能を有し、且つ、非晶状態にある防曇性樹脂シートとそ
の成形品、および該界面活性剤(A)と、水和物形成能
を有するカルボン酸金属塩(C)と、該金属塩(C)中
の金属よりも大きい第一イオン化エネルギーを有する金
属の金属イオン(D)を含有する防曇剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弁当容器や総菜容
器等の蓋材に用いた場合に、優れた防曇性を発現する防
曇剤、この防曇剤を塗布した樹脂シートおよびその成形
品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエ
チレンテレフタレートおよびそれらの共重合物に代表さ
れる透明樹脂を用いて押出製膜されたシートは、真空成
形機、熱板圧空成形機、真空圧空成形機等を用いて加熱
成形され、軽量食品包装容器やその他物品の包装に多く
用いられている。
【0003】これら樹脂シートの成形品は、弁当容器や
総菜容器等の蓋材として使用されることが多く、この場
合、成形品表面に防曇処理を施すのが一般的である。し
かし、その性能は不十分なものが多く、特に、冷蔵ショ
ーケース等を用いて、低温下で陳列、保存する際に、成
形品内側の表面に水滴が付着し、内容物が見えなくなり
商品価値を著しく低下させるという問題が生じていた。
【0004】上記の問題を解決するために、例えば特開
平10−139907号公報においては、シート表面に
均一に塗布し得る防曇剤として、ショ糖脂肪酸エステル
とポリグリセリン脂肪酸エステルとを併用する技術が開
示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開平1
0−139907号公報に開示された技術は、シート自
体の防曇性はある程度改善されるものの、成形品の防曇
性は未だ十分なものでなく、特に10℃以下の低温条件
下での防曇性が十分なものでなかった。
【0006】そこで、本発明が解決しようとする課題
は、成形品の防曇性、特に低温条件下での成形品の防曇
性を飛躍的に高められた防曇性樹脂シート、これに用い
る防曇剤、及び、従来になく防曇性に優れた成形品を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意検討を行ったところ、樹脂シート表面
の防曇塗膜として、非イオン系界面活性剤と、少なくと
も2種のカルボン酸金属塩化合物を併用することによ
り、成形品における防曇性を飛躍的に向上でき、特に低
温域での成形品の防曇性を改善できることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、樹脂シート表面上に防曇
塗膜が形成された防曇性樹脂シートであって、前記防曇
塗膜が、非イオン系界面活性剤(A)とカルボン酸金属
塩化合物(B)とから構成され、前記カルボン酸金属塩
化合物(B)が水和物形成能を有し、且つ、非晶状態に
あることを特徴とする防曇性樹脂シートに関する。
【0009】本願のもう一つの発明は、非イオン系界面
活性剤(A)と、水和物形成能を有するカルボン酸金属
塩(C)と、前記カルボン酸金属塩(C)中に存在する
金属原子の第一イオン化エネルギーよりも大きい第一イ
オン化エネルギーを有する金属原子の金属イオン(D)
を含有することを特徴とする防曇剤に関する。
【0010】本願のもう一つの発明は、上記防曇性樹脂
シートを成形してなることを特徴とする成形品に関す
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明の防曇性樹脂シートは、樹脂シート表面上に
防曇塗膜が形成された防曇性樹脂シートであって、前記
防曇塗膜が、非イオン系界面活性剤(A)とカルボン酸
金属塩化合物(B)とから構成されるものである。
【0012】ここで、防曇塗膜を形成する非イオン系界
面活性剤(A)は、水滴の表面張力を効果的に低減し、
成形品の防曇性を高めるものである。このような成形品
の防曇性及びその持続性が良好となる点からHLB値が
10〜18のものであることが好ましい。
【0013】即ち、本発明においては、HLB値が高い
ほど防曇性が優れたものとなるが、HLB値が18を越
えた場合は防曇剤塗布面に水滴が付着した際、防曇剤が
流れ落ちやすくなる。よって、成形品の防曇性及びその
持続性を兼備させるためには上記HLB値の範囲を有す
ることが望ましい。
【0014】このような非イオン系界面活性剤(A)と
しては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラ
ウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ
ート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ソ
ルビタンモノステアリン酸エステルなどのソルビタン脂
肪酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ステ
アリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ
糖オレイン酸エステルなどのショ糖脂肪酸エステル、ジ
グリセリンステアレート、ジグリセリンラウレートステ
アレート、テトラグリセリンステアレート、テトラグリ
セリンラウレートステアレート、ヘキサグリセリンステ
アレート、ヘキサグリセリンラウレートステアレート、
デカグリセリンステアレート、デカグリセリンラウレー
トステアレートなどのポリグリセリン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシ
エチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンオク
チルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェ
ニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエ
ーテル、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエ
チレンステアレート、ポリオキシエチレンジステアレー
トなどのポリオキシエチレン誘導体等が挙げられる。こ
れらの化合物は、それぞれ単独で使用しても、二種以上
混合して使用してもよい。
【0015】これらのなかでも、特に防曇効果と防曇持
続性の観点から、ショ糖脂肪酸エステルが好ましい。
【0016】次に、防曇塗膜を形成するもう一つの成分
たるカルボン酸金属塩化合物(B)は、水和物形成能を
有するものであり、大気中で、単一化合物として、大気
中、常温で存在する場合、水和物結晶を形成し得るもの
であるが、塗膜においては非晶状態にあることを特徴と
している。かかるカルボン酸金属塩化合物(B)を防曇
塗膜の一成分とすることにより、効果的に気相中の水分
を吸着、シート表面に付着した水滴の接触角を低下させ
る効果を発現する。
【0017】尚、ここで、本発明における「非晶状態」
とは、塗膜全体に目視可能な結晶が表れていない実質的
な非晶状態をいい、目視できない程度の微小結晶が含ま
れていても何等差し支えないものである。
【0018】かかる、カルボン酸金属塩化合物(B)
は、上記したとおり、水和物形成能を有し、且つ、塗膜
中で非晶状態にあればよく、かかる機能を具備させるべ
く任意のカルボン酸金属塩化合物(B)を選択すること
ができる。しかしながら、本発明においては、水和物形
成能を有するカルボン酸金属塩化合物(B1)(以下、
「化合物(B1)」と略記する。)、及び、前記化合物
(B1)と同一のカルボキシラートアニオンと前記化合
物(B1)と異なる金属イオンとから構成されるカルボ
ン酸金属塩化合物(B2)(以下、「化合物(B2)」
と略記する。)から構成されること、即ち、塗膜におい
て化合物(B1)と化合物(B2)とが共存しているこ
とが好ましい。
【0019】即ち、化合物(B1)と化合物(B2)と
を塗膜中に共存させることにより、化合物(B1)が吸
湿して、含水物として結晶化するのを防止でき、樹脂シ
ート外観および成形品外観を良好に保つ効果が顕著なも
のとなる。また、この効果がより一層向上させるため、
防曇塗膜中の化合物(B1)と化合物(B2)との量比
は、モル基準で、(B1)/(B2)=(1/1×10
−4)〜(1/1×10−2)なる範囲であることが好
ましい。
【0020】ここで、化合物(B1)としては、水和物
を形成し得るカルボン酸金属塩化合物であればよく、特
に炭素原子数2〜8のものが好ましい。具体的には以下
に詳述する防曇剤中に含まれる、カルボン酸金属塩構造
を有し、かつ、水和物を形成し得る化合物又はその水和
物(B’)のうちの無水物、或いは、水和物を脱水した
化合物である。
【0021】具体的には、クエン酸一カリウム、クエン
酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、コハク酸一ナト
リウム、コハク酸二ナトリウム、DL−酒石酸ナトリウ
ム、L−酒石酸二ナトリウム、DL−リンゴ酸ナトリウ
ム、L−リンゴ酸ナトリウム、L−乳酸カルシウム、酢
酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸
カルシウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウ
ム、乳酸鉄等の有機酸金属塩、L−グルタミン酸一ナト
リウム、L−アスパラギン酸ナトリウム等が挙げられ
る。
【0022】これらのなかでも特に、コハク酸二ナトリ
ウム、L−酒石酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウ
ム、酢酸ナトリウム、L−グルタミン酸一ナトリウムが
優れた防曇性を発現する点から好ましい。
【0023】また、化合物(B2)は、前記した通り、
化合物(B1)と同一のカルボキシラートアニオンと、
該(B1)と異なる金属イオンとから構成させるカルボ
ン酸金属塩化合物である。
【0024】ここで、化合物(B1)中の金属イオン
と、化合物(B2)中の金属イオンとの組み合わせは、
前者/後者の組み合わせで、K/Na、K/Ca
2+、K/Mg2+、K/Fe2+、Na/Ca
2+、Na/Mg2+、Na /Fe2+、Ca2+
/Mg2+、Ca2+/Fe2+、Mg2+/Fe2+
等の組み合わせが挙げられる。これらの中でも特に、化
合物(B1)中の金属イオンとして、ナトリウム、又
は、ナトリウムの第一イオン化エネルギーよりも小さい
第一イオン化エネルギーを有する金属原子の金属イオン
であること、化合物(B2)中の金属イオンとして、ナ
トリウムの第一イオン化エネルギーよりも大きい第一イ
オン化エネルギーを有する金属原子の金属イオンとの組
み合わせが、樹脂シート表面及び成形品表面における結
晶析出を良好に防止できること、また、防曇性が一層良
好なものとなる点から好ましい。
【0025】ここで、第一イオン化エネルギー(また
は、第一イオン化ポテンシャル)とは、金属原子が一価
のイオンになるときに必要なエネルギー量を表す。一例
を以下に示す。
【0026】K(419)<Na(496)<Ca(5
90)<Mg(737)<Fe(762)(括弧内は第
一イオン化エネルギー量、単位:kJ/mol)
【0027】上記した化合物(B1)は、塗膜形成後、
乾燥した後に、後述する本発明の防曇剤中に存在する、
「水和物形成能を有するカルボン酸金属塩(C)」が、
「金属イオン(D)」とイオン交換反応することなく乾
燥塗膜中に塩を形成して取り込まれる成分である。
【0028】また、化合物(B2)は、本発明の防曇剤
中に存在する、「水和物形成能を有するカルボン酸金属
塩(C)」が、「金属イオン(D)」とイオン交換反応
して形成され、乾燥塗膜中に取り込まれる成分である。
【0029】また、塗膜を形成する非イオン系界面活性
剤(A)と、カルボン酸金属塩化合物(B)との存在比
は、低温条件下での防曇効果が良好となる点から、非イ
オン系界面活性剤(A)1重量部に対して、カルボン酸
金属塩化合物(B)が0.1〜1重量部となる割合であ
ることが好ましい。
【0030】さらに、非イオン系界面活性剤(A)1重
量部に対して、メチルセルロース(E)を0.01〜
0.2重量部、好ましくは0.01〜0.08重量部と
なる割合で混合することができる。メチルセルロース
(D)水溶液は、粘度が高く、温度が高くなると熱ゲル
化するため、塗布汚れが発生しやすい。初期防曇性が向
上し、且つ、塗布汚れが発生しないことから、メチルセ
ルロース(D)の混合量は、前記範囲内であることが好
ましい。
【0031】このような防曇性樹脂シートは、後述する
本発明の防曇剤を樹脂シートに塗布することにより製造
することができる。
【0032】防曇剤を樹脂シートに塗布する方法として
は、具体的には、樹脂シートの表面に親水化処理を施し
た後、該防曇剤を、この処理面に下記塗布装置により、
或いはアプリケータ方式により塗布し、水性媒体を乾燥
する方法が挙げられる。
【0033】ここで使用される塗布装置としては、スプ
レーコーター、ロールコーター、グラビアロールコータ
ー、ナイフコーター、エアーナイフコーター、ローター
ダンプニング等が挙げられる。
【0034】また、樹脂シート表面の親水化処理の方法
としては、酸処理、火炎処理、コロナ処理する方法が挙
げられる。これらの親水化処理を施したシート表面の濡
れ係数が、380μN/cm以上であれば、該防曇剤を
塗布することが可能であるが、連続的に防曇剤を塗布す
る場合には500〜600μN/cmの範囲内であるこ
とが、塗布状態が良好となることから好ましい。
【0035】防曇剤の塗布量の定量分析は、フーリエ変
換式赤外分光光度計による分析法(多重内部反射法)
〔FTIR分析法(ATR法)〕によって行うことが可
能であり、本発明のシートの防曇剤塗布量は、防曇効果
の向上と塗布ムラによる外観不良が発生しにくいことか
ら、乾燥後の固形分で5〜1000mg/mであるこ
とがより好ましく、10〜150mg/mであること
が特に好ましい。
【0036】本発明の樹脂シートに使用される樹脂とし
ては、特に限定されるものではないが、透明性のある熱
可塑性樹脂であることが好ましく、例えば、ポリスチレ
ン、結晶性ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合
体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、透明性
スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合
体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体等のスチ
レン系樹脂;ポリプロピレン、プロピレン−ブタジエン
共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のプロピレ
ン系樹脂;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリ塩
化ビニリデン;ナイロン6に代表されるポリアミド樹
脂;ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエス
テル樹脂等が好ましい。また、得られる樹脂シートの透
明性を阻害しない範囲で、これらの樹脂を二種類以上混
合して使用しても良い。また、これらの樹脂より得られ
るシートは、これらの樹脂を一種類以上使用した二層以
上の多層化シートであっても良い。さらに、これらのシ
ートに一軸若しくは二軸方向の延伸処理が施してあって
も良い。
【0037】これらの樹脂シートの厚みは、特に限定さ
れるものではないが、該シートを加熱成形する場合は、
加熱成形性が良好であることから0.05〜1.0mm
が好ましい。ヒートシール等によって袋状に製袋加工
し、食品包装用袋として用いる場合は、製袋加工性の観
点から0.005〜0.1mmが好ましい。
【0038】これらの樹脂シートに使用される樹脂中に
は、樹脂シートのブロッキング防止を目的として、シー
ト表面に突起を生じさせるための各種の微粒子をシート
の透明性を損なわない範囲で添加することができる。本
発明は、かかるブロッキング防止用の突起を設けても優
れた防曇性を発現する点に特徴がある。
【0039】前記微粒子としては、例えば、スチレン系
樹脂架橋ビーズ、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂架
橋ビーズ、ポリウレタン系樹脂架橋ビーズ等の樹脂架橋
ビーズ;シリカ、疎水化処理シリカ、球状シリカ、軽質
炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク等の無機微粒子;
ゴム微粒子などが挙げられる。
【0040】これらの微粒子はシート製膜前の溶融混練
時に導入すればよいが、前記ゴム微粒子を添加する方法
としては、ゴム含有樹脂を樹脂成分の一部として併用す
る方法が挙げられる。ここで用いるゴム含有樹脂として
は、樹脂シートの基材として用いられる樹脂と異なるも
のであって、例えば、耐衝撃ポリスチレン(HIP
S)、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合
体(ABS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチ
レン共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(MBS)、耐衝
撃性(メタ)アクリル酸エステル(HI−PMMA)等
が挙げられる。
【0041】しかしながら、表面が荒れていると付着し
た水滴の広がりが阻害され、水膜の形成がされにくくな
ることから、加熱成形して得られる成形品の中心線平均
粗さRaが0.15μm未満の範囲内となるよう上記微
粒子を添加することが好ましい。
【0042】ここで、中心線平均粗さRaは、表面粗さ
形状測定機を用いて得られる表面粗さ曲線から、日本工
業規格(JIS B0601−1994)に準じて算出
される。すなわち、中心線平均粗さRaは、基準長さあ
たりの表面の凹凸の程度を表す値であり、値が大きいほ
ど表面が荒れており、小さいほど表面が平滑であると言
える。
【0043】すなわち、成形品の防曇剤塗布面の中心線
平均粗さRaが小さいほど、表面が平滑で、付着した水
滴が広がりやすく、防曇性が向上する。成形品の防曇剤
塗布面の中心線平均粗さRaが上記範囲より大きいと、
表面の凹凸が付着した水滴の広がりを阻害し、結果とし
て防曇性が劣ってしまう。
【0044】本発明の防曇性樹脂シートは、防曇剤を塗
布するシート面の反対側に、シートと成形金型との離型
性、および成形品同士の剥離性を向上させるためにシリ
コーンオイル若しくはシリコーンエマルジョン液を塗布
しても良い。また、本発明の防曇剤を樹脂シート表面に
塗布、乾燥した上に、前記シリコーンオイル若しくはシ
リコーンエマルジョンを塗布しても良い。また、前記シ
リコーンオイル若しくはシリコーンエマルジョン中に
は、帯電防止効果のある界面活性剤および滑剤等を添加
することができる。
【0045】次に、本発明の防曇剤について詳述する。
本発明の防曇剤は、非イオン系界面活性剤(A)と、水
和物形成能を有するカルボン酸金属塩(C)と、前記カ
ルボン酸金属塩(C)中に存在する金属原子の第一イオ
ン化エネルギーよりも大きい第一イオン化エネルギーを
有する金属原子の金属イオン(D)を含有することを特
徴とするものである。ここで用いる非イオン系界面活性
剤(A)は、既述したとおりである。
【0046】次に、水和物形成能を有するカルボン酸金
属塩(C)(以下、「化合物(C)」と略記する。)
は、常温、大気中で固体結晶状態の水和物を形成し得る
ものであり、防曇剤として樹脂シート表面上に塗布さ
れ、その後、乾燥により樹脂シート表面で脱水され、前
記した化合物(B1)および化合物(B2)を形成する
ものである。
【0047】また、化合物(C)は、水との親和性に優
れる点から、炭素原子数2〜8のものが好ましく、ま
た、水100mlに対する溶解量が10℃で20g以上
のものであることが望ましい。この場合シートおよび成
形品表面に均一な水膜が形成され易くなり、防曇性がよ
り優れたものとなる。
【0048】このような化合物(C)は、常温、大気中
で固体結晶状態の水和物、又はその無水物を、水性媒体
中に溶解したものであり、具体的には、クエン酸一カリ
ウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、コ
ハク酸一ナトリウム、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒
石酸二ナトリウム、DL−リンゴ酸ナトリウム、L−リ
ンゴ酸ナトリウム、L−乳酸カルシウム、酢酸ナトリウ
ム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウ
ム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、乳酸鉄
等の有機酸金属塩、L−グルタミン酸一ナトリウム、L
−アスパラギン酸ナトリウム等のアミノ酸金属塩等が挙
げられる。
【0049】また、原料としてこれらの水和物を用いる
場合、かかる水和物としては、クエン酸一カリウム一水
和物、クエン酸一カリウム二水和物、クエン酸一カリウ
ム四水和物、クエン酸三カリウム一水和物、クエン酸三
カリウム二水和物、クエン酸三ナトリウム二水和物、ク
エン酸三ナトリウム三水和物、コハク酸一ナトリウム三
水和物、コハク酸二ナトリウム一水和物、コハク酸二ナ
トリウム六水和物、DL−酒石酸ナトリウム一水和物、
L−酒石酸二ナトリウム二水和物、DL−リンゴ酸ナト
リウム0.5水和物、DL−リンゴ酸ナトリウム一水和
物、DL−リンゴ酸ナトリウム二水和物、L−リンゴ酸
ナトリウム四水和物、L−乳酸カルシウム4.5水和
物、酢酸ナトリウム三水和物、プロピオン酸ナトリウム
一水和物、プロピオン酸カルシウム一水和物、プロピオ
ン酸カルシウム三水和物、ソルビン酸カリウム一水和
物、安息香酸ナトリウム一水和物、乳酸鉄三水和物等の
有機酸金属塩、L−グルタミン酸一ナトリウム一水和
物、L−アスパラギン酸ナトリウム一水和物等のアミノ
酸金属塩等が挙げられる。これらは二種類以上併用して
も良い。
【0050】前記化合物(C)は、該化合物(C)中の
カルボン酸金属塩を構成する金属原子が、ナトリウム原
子、又はナトリウム原子よりも第一イオン化エネルギー
が小さいものであることが、水性媒体への溶解性、及
び、水滴との親和性に優れて樹脂シート表面に付着した
水滴を広げる効果が顕著なものとなり好ましい。
【0051】また、シートを加熱成形した後に、化合物
(C)の原料として水和物を用いる場合、脱水反応があ
る程度進行していることがやはり水滴を広げる効果に優
れる点から好ましい。従って、前記水和物の脱水温度
は、加熱成形温度より低いほうがより好ましい。
【0052】上記具体例の中でも、化合物(C)とし
て、コハク酸二ナトリウム、L−酒石酸二ナトリウム、
クエン酸三ナトリウム、酢酸ナトリウム、L−グルタミ
ン酸一ナトリウムが優れた防曇性を発現する点から好ま
しく、特に防曇剤の製造においては、これらの水和物、
具体的には、コハク酸二ナトリウム六水和物、L−酒石
酸二ナトリウム二水和物、クエン酸三ナトリウム二水和
物、酢酸ナトリウム三水和物、L−グルタミン酸一ナト
リウム一水和物を用いることが好ましい。
【0053】化合物(C)の混合比率は、非イオン系界
面活性剤(A)1重量部に対して、0.1〜1重量部の
範囲内であることが、シートや成形品に付着した水滴を
広げる効果が高く、しかも、深絞り成形部で膜切れが生
じにくいことから好ましい。なかでも0.3〜0.8重
量部の範囲内が特に好ましい。
【0054】次に、本発明の防曇剤中に存在する金属イ
オン(D)は、化合物(C)中に存在する金属原子の第
一イオン化エネルギーよりも大きい第一イオン化エネル
ギーを有する金属原子の金属イオンである。即ち、化合
物(C)は、大気中では、常温で固体結晶状態の水和物
として存在するため、金属イオン(D)を用いない場合
は、樹脂シートに防曇剤を塗布した場合、時間の経過と
ともに前記結晶が樹枝状に析出し、シートや成形品の外
観を損ねることとなる。
【0055】そこで本発明は、防曇剤の必須成分として
化合物(C)中に存在する金属原子の第一イオン化エネ
ルギーよりも大きい第一イオン化エネルギーを有する金
属イオン(C)を存在させることにより、該金属イオン
(D)が、化合物(C)とイオン交換反応して防曇塗膜
において化合物(B2)を形成し、それにより、経時的
な結晶析出を良好に抑制でき、樹脂シートや成形品の外
観低下を防止できるものである。
【0056】化合物(C)に含まれ防曇剤中に導入され
る金属イオンと、金属イオン(D)との組み合わせは、
前記した防曇塗膜における化合物(B1)中の金属イオ
ンと、化合物(B2)中の金属イオンとの組み合わせと
同じであり、具体的には、〔前者〕/〔後者〕が、K
/Na、K/Ca2+、K/Mg2+、K/F
2+、Na/Ca2+、Na/Mg2+、Na
/Fe2+、Ca2+/Mg2+、Ca2+/F
2+、Mg2+/Fe2+等の組み合わせとなるもの
が挙げられる。これらの中でも特に、化合物(C)に含
まれ防曇剤中に導入される金属イオンとして、ナトリウ
ム、又は、ナトリウムの第一イオン化エネルギーよりも
小さい第一イオン化エネルギーを有する金属原子の金属
イオン、金属イオン(D)としてナトリウムよりも第一
イオン化エネルギーの大きい金属原子の金属イオンとの
組み合わせが防曇効果の持続性に優れる点から好まし
く、特にNa/Ca2+の組み合わせが最も好まし
い。
【0057】このような金属イオン(D)は、水溶性金
属塩化合物(D’)を水性媒体中に溶解することにより
防曇剤中に導入することができる。
【0058】また、かかる水溶性金属塩化合物(D’)
としては、具体的には、塩化マグネシウム、塩化カルシ
ウム等の水溶性無機金属化合物及びこれらの水和物、前
記化合物(C)の具体例に示したもの、並びに、その他
の有機酸金属塩が挙げられる。
【0059】具体的には、L−乳酸カルシウム、L−乳
酸カルシウム4.5水和物、プロピオン酸カルシウム、
プロピオン酸カルシウム一水和物、プロピオン酸カルシ
ウム三水和物、酒石酸カルシウム、酒石酸カルシウム四
水和物、クエン酸カルシウム、クエン酸カルシウム四水
和物、ステアロイル乳酸カルシウム、塩化カルシウム、
塩化カルシウム六水和物、炭酸カルシウム六水和物、水
酸化カルシウム等のカルシウム含有化合物;L−グルタ
ミン酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化マグネシ
ウム六水和物、酸化マグネシウム等のマグネシウム含有
化合物等が好ましく用いられる。
【0060】以下に、本発明で用いる化合物(C)又は
その水和物/水溶性金属化合物(D’)の具体的には組
み合わせとしては以下のものが好ましい。
【0061】(1)有機酸ナトリウム又はその水和物/
カルシウム含有化合物の組み合わせでは、例えば、コハ
ク酸二ナトリウム/L−乳酸カルシウム4.5水和物、
コハク酸二ナトリウム六水和物/プロピオン酸カルシウ
ム一水和物、コハク酸二ナトリウム六水和物/パテント
酸カルシウム、コハク酸二ナトリウム六水和物/酒石酸
カルシウム四水和物、コハク酸二ナトリウム六水和物/
クエン酸カルシウム、コハク酸二ナトリウム六水和物/
ステアロイル乳酸カルシウム、コハク酸二ナトリウム六
水和物/塩化カルシウム六水和物、コハク酸二ナトリウ
ム六水和物/炭酸カルシウム、コハク酸二ナトリウム六
水和物/水酸化カルシウム、L−酒石酸二ナトリウム二
水和物/L−乳酸カルシウム4.5水和物、L−酒石酸
二ナトリウム二水和物/プロピオン酸カルシウム一水和
物、L−酒石酸二ナトリウム二水和物/酒石酸カルシウ
ム四水和物、L−酒石酸二ナトリウム二水和物/クエン
酸カルシウム、L−酒石酸二ナトリウム二水和物/ステ
アロイル乳酸カルシウム、L−酒石酸二ナトリウム二水
和物/塩化カルシウム六水和物、L−酒石酸二ナトリウ
ム二水和物/炭酸カルシウム、L−酒石酸二ナトリウム
二水和物/水酸化カルシウム、クエン酸三ナトリウム二
水和物/L−乳酸カルシウム4.5水和物、クエン酸三
ナトリウム二水和物/プロピオン酸カルシウム一水和
物、クエン酸三ナトリウム二水和物/酒石酸カルシウム
四水和物、クエン酸三ナトリウム二水和物/クエン酸カ
ルシウム、クエン酸三ナトリウム二水和物/ステアロイ
ル乳酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム二水和物/塩
化カルシウム六水和物、クエン酸三ナトリウム二水和物
/炭酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム二水和物/水
酸化カルシウム、酢酸ナトリウム三水和物/L−乳酸カ
ルシウム4.5水和物、酢酸ナトリウム三水和物/プロ
ピオン酸カルシウム一水和物、酢酸ナトリウム三水和物
/パテント酸カルシウム、酢酸ナトリウム三水和物/酒
石酸カルシウム四水和物、酢酸ナトリウム三水和物/ク
エン酸カルシウム、酢酸ナトリウム三水和物/ステアロ
イル乳酸カルシウム、酢酸ナトリウム三水和物/塩化カ
ルシウム六水和物、酢酸ナトリウム三水和物/炭酸カル
シウム、酢酸ナトリウム三水和物/水酸化カルシウム等
が挙げられる。
【0062】(2)有機酸ナトリウム又はその水和物/
マグネシウム含有化合物の組み合わせとしては、例え
ば、コハク酸二ナトリウム/L−グルタミン酸マグネシ
ウム、コハク酸二ナトリウム/塩化マグネシウム六水和
物、コハク酸二ナトリウム/酸化マグネシウム、L−酒
石酸二ナトリウム二水和物/L−グルタミン酸マグネシ
ウム、L−酒石酸二ナトリウム二水和物/塩化マグネシ
ウム六水和物、L−酒石酸二ナトリウム二水和物/酸化
マグネシウム、クエン酸三ナトリウム二水和物/L−グ
ルタミン酸マグネシウム、クエン酸三ナトリウム二水和
物/塩化マグネシウム六水和物、酢酸ナトリウム三水和
物/L−グルタミン酸マグネシウム、酢酸ナトリウム三
水和物/塩化マグネシウム六水和物、酢酸ナトリウム三
水和物/酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0063】(3)アミノ酸ナトリウム又はその水和物
/カルシウム含有化合物の組み合わせとしては、L−グ
ルタミン酸一ナトリウム一水和物/L−乳酸カルシウム
4.5水和物、L−グルタミン酸一ナトリウム一水和物
/プロピオン酸カルシウム、L−グルタミン酸一ナトリ
ウム一水和物/酒石酸カルシウム四水和物、L−グルタ
ミン酸一ナトリウム一水和物/クエン酸カルシウム、L
−グルタミン酸一ナトリウム一水和物/ステアロイル乳
酸カルシウム、L−グルタミン酸一ナトリウム一水和物
/塩化カルシウム二水和物、L−グルタミン酸一ナトリ
ウム一水和物/炭酸カルシウム、L−グルタミン酸一ナ
トリウム一水和物/水酸化カルシウム等が挙げられる。
【0064】(4)アミノ酸ナトリウム又はその水和物
/マグネシウム含有化合物としては、L−グルタミン酸
一ナトリウム一水和物/L−グルタミン酸マグネシウ
ム、L−グルタミン酸一ナトリウム一水和物/塩化マグ
ネシウム六水和物、L−グルタミン酸一ナトリウム一水
和物/酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0065】本発明の防曇剤を製造するには、上記した
非イオン系界面活性剤(A)、化合物(C)又はその水
和物、および水溶性金属化合物(D’)を水性媒体中に
溶解させることにより容易に行うことができる。特に、
予め、化合物(C)又はその水和物と、水溶性金属化合
物(D’)とを水性媒体中に溶解させておくことが、塗
膜での化合物(C)の結晶析出を抑制する効果が高いた
めより好ましい。
【0066】ここで、水性媒体とは水を主たる成分とす
るものであり、アルコールなど水溶性の有機溶媒と混合
媒体であってもよいが、防曇効果の点から水であること
が好ましい。
【0067】また、防曇在中の非イオン系界面活性剤
(A)と化合物(C)の存在比は、これらの合計質量
が、防曇剤の全質量に対して0.1〜50重量%となる
範囲であることが、防曇剤の塗布が容易で、塗布ムラに
よる外観不良が発生しにくいことから好ましく、0.2
〜20重量%となる範囲が特に好ましい。
【0068】この場合、防曇剤の全質量に対し非イオン
系界面活性剤(A)が0.05〜35重量%、化合物
(C)が0.02〜25重量%なる範囲で用いることが
好ましく、なかでも非イオン系界面活性剤(A)が0.
1〜15重量%、化合物(C)が0.05〜10重量%
なる範囲であることが特に好ましい。
【0069】さらに、前記防曇剤の液中に金属イオン
(D)が質量基準で1〜500ppmとなる割合で含有
されていることが、化合物(C)の結晶析出を抑制する
効果が十分で、しかも塗布面が白濁しにくいことから好
ましい。
【0070】さらに、非イオン系界面活性剤(A)1重
量部に対して、メチルセルロース(E)を0.01〜
0.2重量部、好ましくは0.01〜0.08重量部と
なる割合で混合することができる。メチルセルロース
(D)水溶液は、粘度が高く、温度が高くなると熱ゲル
化するため、塗布汚れが発生しやすい。初期防曇性が向
上し、且つ、塗布汚れが発生しないことから、メチルセ
ルロース(D)の混合量は、前記範囲内であることが好
ましい。
【0071】前記防曇剤の液中に、溶液塗布型の帯電防
止剤、例えば、陰イオン系界面活性剤等を、本発明の効
果を阻害しない範囲で添加してもよい。
【0072】また、必要に応じて、防曇剤の液中にシリ
コーンエマルジョン液を分散させてもよい。
【0073】以上詳述した本発明の防曇剤は、10℃以
下の低温条件下での優れた防曇性を成形品に付与するの
みならず、熱成形時の伸長時に防曇剤塗膜の追随性に優
れ、深絞成形品においても優れた防曇性を発現する。
【0074】次に、本発明の成形品について詳述する。
本発明の成形品は、詳述した防曇性樹脂シートを、直接
加熱方式または間接加熱方式によって加熱することによ
り得られる。
【0075】加熱成形の方法は特に限定されるものでは
なく、真空成形機、熱板圧空成形機、真空圧空成形機等
を用いて常法により行うことができる。
【0076】上記の熱板圧空成形機を用いて成形する場
合、防曇剤を塗布したシート面を加熱板と接触させたま
ま加熱するが、本発明においては、その際に防曇剤が剥
離したり、シート表面に加熱板の凹凸の痕が転写して表
面を荒らして、防曇性を低下させることがない、という
特徴を有する。
【0077】また、真空成形法としては、ドレープ成形
法やプラグアシスト成形法が挙げられ、これらの成形法
においてもシートの防曇剤塗布面と金型若しくはプラグ
が接触することとなるが、本発明においては防曇剤が容
易に剥離することもない。
【0078】かかる方法によって得られる成形品は、上
記した通り中心線平均粗さRaが0.15μm未満の範
囲内であることが好ましく、特に、成形品表面に均一な
水膜を形成し、成形品の外側から内容物が鮮明に視認で
きることから、中心線平均粗さRaが0.10μm未満
の範囲であることがさらに好ましい。
【0079】また、本発明の防曇性樹脂シートをヒート
シール等によって袋状に製袋加工し、食品包装用袋等と
して用いる場合は、製袋後の表面粗さが樹脂シートと同
一であるため、該樹脂シートの防曇剤塗布面の中心線平
均粗さRaが0.10μm未満の範囲であることが好ま
しい。
【0080】また、本発明の成形品は、成形時の優れた
防曇塗膜の追随性を有するため、深絞形成品に適用する
こともでき、具体的には、絞り比(絞り深さ/開口部の
長さ)が0.05〜0.5の範囲であることが好まし
い。
【0081】このように本発明の成形品は、優れた防曇
性を有する点から弁当容器、総菜容器、寿司容器、刺身
容器等の食品容器の防曇性透明蓋として特に有用であ
る。
【0082】
【実施例】本発明を実施例により詳細に説明するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】実施例1 ショ糖ラウリン酸エステル(理研ビタミン株式会社製リ
ケマールA、HLB:15、固形分40重量%)を固形
分で0.2重量%となるように、さらに、L−酒石酸二
ナトリウム二水和物を0.1重量%となるように蒸留水
に溶解させ、最後に塩化カルシウム二水和物を重量基準
で50ppmとなる割合で添加し、防曇剤(1)を調製
した。
【0084】表面にコーティング処理を施していない、
厚さ0.30mmの二軸延伸ポリスチレン系樹脂シート
(大日本インキ化学工業株式会社製ディックシートG
K)(以下、OPSシートと略記する。)の片面に、濡
れ係数500μN/cm以上のコロナ処理を施し、ヨシ
ミツ精機(株)製電動式塗工機YOA−A型(アプリケ
ーターYA−4型;塗布幅150mm、クリアランス
0.10mm)を用いて、そのコロナ処理面に、得られ
た防曇剤(1)を塗布し、ドライヤーで乾燥して、防曇
性樹脂シート(1)を得た。この際、防曇剤(1)の固
形分(乾燥分)塗布量が80mg/m2 になるように塗
布したものを防曇性樹脂シート(1−1)とし、固形分
塗布量が40mg/m2 になるように塗布したものを防
曇性樹脂シート(1−2)とした。
【0085】なお、防曇剤の塗布量の定量分析は、フー
リエ変換式赤外分光光度計(FTIR)を用いて多重内
部反射法(ATR法)によりシート表面の赤外吸収スペ
クトルを測定し、塗布量が既知の標準サンプルより検量
線を作成し、定量を行った(以下も同様である。)。
【0086】また、防曇性樹脂シート(1−1)塗膜中
のL−酒石酸二ナトリウムとL−酒石酸カルシウムの量
比は、前者/後者のモル比で1/(2.9×10−4
であった。
【0087】得られた防曇性樹脂シート(1−2)を、
熱板圧空成形機を用いて、下記に示す金型で成形品(1
−2)とした。成形温度(熱板温度)は、該樹脂シート
のガラス転移温度より約30℃高くなるように130℃
に設定し、その他の条件としては、下記金型の角部の型
再現性が80%以上になる条件を基準とした。ここで、
型再現性80%以上とは、下記金型の角部2Rの部分が
二次成形品として2.5R以下になることを言う。ま
た、熱板圧空圧力(シートを加熱板に接触させる圧力)
は、0.1MPaで行った。 金型:縦×横×深さ=94×94×30mm(角部;2
R) 絞り比(絞り深さ/開口部の長さ)=0.31
【0088】次いで、得られた防曇性シート(1−1)
について、防曇剤を塗布する前後のシートの透明性の変
化と、防曇剤塗布面における結晶析出状況の評価を行っ
た。また、得られた成形品(1−2)について、防曇剤
塗布面の表面粗さを測定すると共に防曇剤塗布面の防曇
性の評価を行った。結果を表−1に示す。
【0089】シートの透明性変化と結晶析出状況の評
価、成形品の表面粗さの測定、および、成形品の防曇性
の評価は、以下の方法により行った。
【0090】[シートの透明性変化の評価]防曇性樹脂
シート(1−1)について、防曇剤を塗布する前後での
シートのヘーズ値の変化を測定し、下記の基準によって
評価した。 ◎:ヘーズ値の変化が+0.2%未満であるもの。 ○:ヘーズ値の変化が+0.2%以上0.5%未満であ
るもの。 △:ヘーズ値の変化が+0.5%以上1.5%未満であ
るもの。 ×:ヘーズ値の変化が+1.5%以上でありもの。
【0091】[シートの結晶析出状況の評価]防曇性樹
脂シート(1−1)を、室温下で1週間放置し、防曇剤
塗布面での結晶析出を下記の基準によって評価した。 ○:結晶析出が認められないもの。 △:一部に結晶析出が認められるもの。 ×:全面に結晶析出しているもの。
【0092】[成形品の表面粗さの測定]表面粗さ形状
測定機サーフコムRA130(東京精密株式会社製)を
使用して(触針先端半径5μm)、日本工業規格(JI
S B0601−1982)に準じて、成形品(1−
2)の防曇剤塗布面について、下記の条件で測定を行っ
た。 測定長さ ;1.25mm 測定速度 ;0.3mm/s カットオフ値;0.25mm カットオフ比;300 近似曲線 ;ガウシアン。
【0093】[成形品の防曇性の評価]成形品(1−
2)に25℃の水100mlを入れ、その上部を逆さま
にした成形品(1−2)で蓋をして四方をテープで密閉
した後、5℃の冷蔵庫中に30分間保持した後、逆さま
にした成形品(1−2)の天面に付着した水滴の割合を
肉眼で下記の基準によって評価した。 ◎:水滴付着率が面積基準で5%未満 (表面に均一に水膜が形成され、天面に曇りなし) ○:水滴付着率が面積基準で5%以上10%未満 (大きな水滴が付着し、天面の一部がやや曇る) △:水滴付着率が面積基準で10%以上50%未満 (小さな水滴が付着し、天面の半分程度が曇る) ×:水滴付着率が面積基準で50%以上 (微細な水滴が付着し、天面全体が曇る)
【0094】実施例2ショ糖ラウリン酸エステルを固形
分で0.2重量%となるように、さらに、L−グルタミ
ン酸一ナトリウム一水和物を0.1重量%となるように
蒸留水に溶解させ、最後に塩化カルシウム二水和物を重
量基準で50ppmとなる割合で添加し、防曇剤(2)
を調製した。
【0095】次いで、得られた防曇剤(2)を用いた以
外は実施例1と同様にして防曇性樹脂シート(2−1)
と(2−2)、および、成形品(2−2)を得、これら
をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にシートの透明
性変化と結晶析出状況の評価、および、成形品の防曇性
の評価を行った。結果を表−1に示す。
【0096】なお、防曇性樹脂シート(2−1)塗膜中
のL−グルタミン酸一ナトリウムとL−グルタミン酸一
カルシウムの量比は、前者/後者のモル比で1/(5×
10 −4)であった。
【0097】実施例3 ショ糖ラウリン酸エステルを固形分で0.2重量%とな
るように、さらに、L−酒石酸二ナトリウム二水和物を
0.1重量%となるように蒸留水に溶解させ、最後に塩
化マグネシウム六水和物を重量基準で50ppmとなる
割合で添加し、防曇剤(3)を調製した。
【0098】次いで、得られた防曇剤(3)を用いた以
外は実施例1と同様にして防曇性樹脂シート(3−1)
と(3−2)、および、成形品(3−2)を得、これら
をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にシートの透明
性変化と結晶析出状況の評価、および、成形品の防曇性
の評価を行った。結果を表−1に示す。
【0099】なお、防曇性樹脂シート(3−1)塗膜中
のL−酒石酸二ナトリウムとL−酒石酸マグネシウムの
量比は、前者/後者のモル比で1/(5×10−4)で
あった。
【0100】実施例4 ショ糖ラウリン酸エステルを固形分で0.2重量%とな
るように、さらに、L−酒石酸二ナトリウム二水和物を
0.1重量%となるように蒸留水に溶解させ、最後に塩
化カルシウム二水和物を重量基準で500ppmとなる
割合で添加し、防曇剤(4)を調製した。
【0101】次いで、得られた防曇剤(4)を用いた以
外は実施例1と同様にして防曇性樹脂シート(4−1)
と(4−2)、および、成形品(4−2)を得、これら
をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にシートの透明
性変化と結晶析出状況の評価、および、成形品の防曇性
の評価を行った。結果を表−2に示す。
【0102】なお、防曇性樹脂シート(4−1)塗膜中
のL−酒石酸二ナトリウムとL−酒石酸カルシウムの量
比は、前者/後者のモル比で1/(2.9×10−3
であった。
【0103】実施例5 ショ糖ラウリン酸エステルを固形分で0.2重量%とな
るように、さらに、L−酒石酸二ナトリウム二水和物を
0.1重量%となるように蒸留水に溶解させ、最後にL
−乳酸カルシウムを重量基準で500ppmとなる割合
で添加し、防曇剤(5)を調製した。
【0104】次いで、得られた防曇剤(5)を用いた以
外は実施例1と同様にして防曇性樹脂シート(5−1)
と(5−2)、および、成形品(5−2)を得、これら
をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にシートの透明
性変化と結晶析出状況の評価、および、成形品の防曇性
の評価を行った。結果を表−2に示す。
【0105】なお、防曇性樹脂シート(5−1)塗膜中
のL−酒石酸二ナトリウムとL−酒石酸カルシウムの量
比は、前者/後者のモル比で1/(5×10−3)であ
った。
【0106】実施例6 ショ糖ラウリン酸エステルを固形分で0.2重量%とな
るように、L−酒石酸二ナトリウム二水和物を0.1重
量%となるように、さらに、メチルセルロース(信越化
学株式会社製造、商品名メトロースSM−400)を
0.008重量%となるように蒸留水に溶解させ、最後
に塩化カルシウム二水和物を重量基準で50ppmとな
る割合で添加し、防曇剤(6)を調製した。
【0107】次いで、得られた防曇剤(6)を用いた以
外は実施例1と同様にして防曇性樹脂シート(6−1)
と(6−2)、および、成形品(6−2)を得、これら
をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にシートの透明
性変化と結晶析出状況の評価、および、成形品の防曇性
の評価を行った。結果を表−2に示す。
【0108】なお、防曇性樹脂シート(6−1)塗膜中
のL−酒石酸二ナトリウムとL−酒石酸カルシウムの量
比は、前者/後者のモル比で1/(2.9×10−4
であった。
【0109】実施例7 実施例1で得られた防曇性樹脂シート(1−2)を用
い、熱板圧空圧力を実施例1の0.1MPaより強めの
0.3MPaに設定し、シート防曇面を加熱板に強く接
触させた以外は実施例1と同様にして成形を行い、成形
品(7−2)を得た。
【0110】次いで、得られた成形品(7−2)を用い
た以外は実施例1と同様に成形品の表面粗さの測定を行
ったところ、および、成形品の防曇性の評価を行った。
成形品(6−2)の中心線表面粗さRaは0.11μm
で、防曇性の評価は○であった。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】上記表−1、表−2と実施例7の結果から
明らかなように、何れのシートも、透明性が良好で、且
つ、化合物(B’)の結晶析出は認められなかった。ま
た、何れの成形品も防曇性に優れていた。ただし、金属
イオン(C)の存在量を増加させると、シートの透明性
が低下する傾向にあった。実施例1と実施例6は同一の
シートを使用しているが、成形品防曇面の中心線表面粗
さRaが小さい実施例1(Ra=0.03μm)のほう
が、Raが大きい実施例6(Ra=0.11μm)より
防曇性に優れていた。さらに、実施例1およびは実施例
6について、初期防曇性の評価を行った。初期防曇性の
評価方法としては、実施例の成形品の防曇性の評価と同
様にして、評価開始5分後の成形品(1−2)および成
形品(6−2)の天面に付着した水滴の割合を同一基準
によって評価した。実施例1の成形品の初期防曇性は
○、実施例6の成形品の初期防曇性は◎であり、実施例
6は初期防曇性が優れていた。
【0114】比較例1 ショ糖ラウリン酸エステルを固形分で0.3重量%とな
るように蒸留水に溶解させて比較用防曇剤(1′)を得
た。
【0115】次いで、得られた比較用防曇剤(1′)を
用いた以外は実施例1と同様にして比較用防曇性樹脂シ
ート(1′−1)と(1′−2)、および、比較用成形
品(1′−2)を得、これらをそれぞれ用いた以外は実
施例1と同様にシートの透明性変化と結晶析出状況の評
価、および、成形品の防曇性の評価を行った。結果を表
−3に示す。
【0116】比較例2 ショ糖ラウリン酸エステルを固形分で0.2重量%とな
るように、さらに、L−酒石酸二ナトリウム二水和物を
0.1重量%となるように蒸留水に溶解させて比較用防
曇剤(2′)を得た。
【0117】次いで、得られた比較用防曇剤(2′)を
用いた以外は実施例1と同様にして比較用防曇性樹脂シ
ート(2′−1)と(2′−2)、および、比較用成形
品(2′−2)を得、これらをそれぞれ用いた以外は実
施例1と同様にシートの透明性変化と結晶析出状況の評
価、および、成形品の防曇性の評価を行った。結果を表
−3に示す。
【0118】比較例3 ショ糖ラウリン酸エステルを固形分で0.4重量%とな
るように、さらに、デカグリセリンラウリン酸エステル
(理研ビタミン株式会社製ポエムJ−0021、HL
B:15.5)を0.2重量%となるように蒸留水に溶
解させて比較用防曇剤(3′)を得た。この際、ヨシミ
ツ精機(株)製アプリケーターYA−2型(塗布幅15
0mm、クリアランス0.05mm)を使用した。
【0119】次いで、得られた比較用防曇剤(3′)を
用いた以外は実施例1と同様にして比較用防曇性樹脂シ
ート(3′−1)と(3′−2)、および、比較用成形
品(3′−2)を得、これらをそれぞれ用いた以外は実
施例1と同様にシートの透明性変化と結晶析出状況の評
価、および、成形品の防曇性の評価を行った。結果を表
−3に示す。
【0120】
【表3】
【0121】上記表−3の結果から明らかなように、比
較例1についてはシート外観が良好であったものの、低
温条件下での成形品の防曇効果は不十分であった。ま
た、化合物(B)を併用した比較例2は、成形品の防曇
性は良好であったものの、シートの結晶析出を招いた。
更に、ショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エ
ステルとを併用した比較例3は、低温条件下での防曇性
に劣るものであった。
【0122】実施例8 OPSシートの代わりに、厚さ0.30mmの透明性ス
チレン−ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合樹脂シ
ート(大日本インキ化学工業株式会社製ディックシート
V)(以下、特殊PSシートと略記する。)を用い、成
形温度(熱板温度)を120℃に変更した以外は実施例
1と同様にして、防曇性樹脂シート(8−1)、(8−
2)、および、成形品(8−2)を得た。次いで、得ら
れたシート(8−1)および成形品(8−2)を、それ
ぞれ用いた以外は実施例1と同様にシートの透明性変化
と結晶析出状況の評価、および、成形品の防曇性の評価
を行った。結果を表−4に示す。
【0123】なお、防曇性樹脂シート(8−1)上の塗
膜中のL−酒石酸二ナトリウムとL−酒石酸カルシウム
の量比は、前者/後者のモル比で1/(2.9×10
−4)であった。
【0124】実施例9 OPSシートの代わりに、非結晶性ポリエチレンテレフ
タレート樹脂を押出加工して得られた厚み0.30mm
の未延伸シート(以下、A−PETシートと略記す
る。)を用い、成形温度(熱板温度)を110℃に変更
した以外は実施例1と同様にして、防曇性樹脂シート
(9−1)、(9−2)、および、成形品(9−2)を
得た。
【0125】次いで、得られたシート(9−1)および
成形品(9−2)を、それぞれ用いた以外は実施例1と
同様にシートの透明性変化と結晶析出状況の評価、およ
び、成形品の防曇性の評価を行った。結果を表−4に示
す。
【0126】なお、防曇性樹脂シート(9−1)上の塗
膜中のL−酒石酸二ナトリウムとL−酒石酸カルシウム
の量比は、前者/後者のモル比で1/(2.9×10
−4)であった。
【0127】比較例4 OPSシートの代わりに特殊PSシートを、防曇剤
(1)の代わりに防曇剤(1′)を、それぞれ用い、成
形温度(熱板温度)を120℃に変更した以外は実施例
1と同様にして、比較用防曇性樹脂シート(4′−
1)、(4′−2)、および、比較用成形品(4′−
2)を得た。
【0128】次いで、得られた比較用防曇性シート
(4′−1)および比較用成形品(4′−2)を、それ
ぞれ用いた以外は実施例1と同様にシートの透明性変化
と結晶析出状況の評価、および、成形品の防曇性の評価
を行った。結果を表−4に示す。
【0129】比較例5 OPSシートの代わりにA−PETシートを、防曇剤
(1)の代わりに防曇剤(2′)を、それぞれ用い、成
形温度(熱板温度)を110℃に変更した以外は実施例
1と同様にして、比較用防曇性樹脂シート(5′−
1)、(5′−2)、および、比較用成形品(5′−
2)を得た。
【0130】次いで、得られた比較用防曇性シート
(5′−1)および比較用成形品(5′−2)を、それ
ぞれ用いた以外は実施例1と同様にシートの透明性変化
と結晶析出状況の評価、および、成形品の防曇性の評価
を行った。結果を表−4に示す。
【0131】
【表4】
【0132】表−4の結果から明らかなように、特殊P
SおよびA−PETシートを使用した実施例8および9
の場合でも、実施例1のOPSシートの場合と同様に、
外観が良好で、且つ、低温条件下で優れた防曇性を示し
た。また、比較例4では、外観が良好であったが、OP
Sシートを用いた比較例1と同様に、低温条件下での防
曇効果は不十分であった。
【0133】比較例5では、低温条件下での防曇性が優
れているものの、L−酒石酸ナトリウムの結晶が樹枝状
に析出し、外観不良となった。
【0134】
【発明の効果】本発明によれば、優れた防曇性、とりわ
け低温条件下での防曇性に優れた成形品が得られる。ま
た、本発明の防曇性樹脂シートおよびその成形品は外観
に関し経時変化は認められないという効果を奏する。従
って、本発明の成形品は、弁当容器、総菜容器、寿司容
器、刺身容器等の食品容器の防曇性透明蓋として、特に
有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 101:00 C08L 101:00 Fターム(参考) 4F006 AA15 AB64 AB69 BA10 CA07 EA03 EA05 4F100 AH02B AH08B AJ06B AK01A AK12A BA02 CA18B CC00B EJ38A EJ55A GB16 GB23 JA12B JL07 JL07B

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂シート表面上に防曇塗膜が形成され
    た防曇性樹脂シートであって、前記防曇塗膜が、非イオ
    ン系界面活性剤(A)とカルボン酸金属塩化合物(B)
    とから構成され、前記カルボン酸金属塩化合物(B)が
    水和物形成能を有し、且つ、非晶状態にあることを特徴
    とする防曇性樹脂シート。
  2. 【請求項2】 カルボン酸金属塩化合物(B)が、水和
    物形成能を有するカルボン酸金属塩化合物(B1)、及
    び、前記化合物(B1)と同一のカルボキシラートアニ
    オンと前記化合物(B1)と異なる金属イオンとから構
    成されるカルボン酸金属塩化合物(B2)から構成され
    るものである請求項1記載の防曇性樹脂シート。
  3. 【請求項3】 非イオン系界面活性剤(A)が、HLB
    値10〜18のものである請求項1または2記載の防曇
    性樹脂シート。
  4. 【請求項4】 カルボン酸金属塩化合物(B1)に対す
    る、カルボン酸金属塩化合物(B2)の存在比が、モル
    基準で、(B1)/(B2)=(1/1×10−4)〜
    (1/1×10−2)である請求項2記載の防曇性樹脂
    シート。
  5. 【請求項5】 非イオン系界面活性剤(A)1重量部に
    対して、カルボン酸金属塩化合物(B)を0.1〜1重
    量部となる割合で含有する請求項1〜4のいずれか1項
    記載の防曇性樹脂シート。
  6. 【請求項6】 非イオン系界面活性剤(A)1重量部に
    対して、メチルセルロース(E)が0.01〜0.2重
    量部となる割合で混合されている、請求項1〜5のいず
    れか1項記載の防曇性樹脂シート。
  7. 【請求項7】 非イオン系界面活性剤(A)と、水和物
    形成能を有するカルボン酸金属塩(C)と、前記カルボ
    ン酸金属塩(C)中に存在する金属原子の第一イオン化
    エネルギーよりも大きい第一イオン化エネルギーを有す
    る金属原子の金属イオン(D)を含有することを特徴と
    する防曇剤。
  8. 【請求項8】 非イオン系界面活性剤(A)が、HLB
    値10〜18のものである請求項7記載の防曇剤。
  9. 【請求項9】 水和物形成能を有するカルボン酸金属塩
    (C)中のカルボン酸金属塩を構成する金属原子が、ナ
    トリウム原子、又はナトリウム原子の第一イオン化エネ
    ルギーよりも小さい第一イオン化エネルギーを有するも
    のである請求項8または9記載の防曇剤。
  10. 【請求項10】 非イオン系界面活性剤(A)1重量部
    に対して、水和物形成能を有するカルボン酸金属塩
    (C)が0.1〜1重量部となる割合で混合されている
    請求項7、8または9記載の防曇剤。
  11. 【請求項11】 金属イオン(D)が、水溶性金属塩化
    合物(D’)を水性媒体中に溶解することにより防曇剤
    中に導入されるものである請求項7〜10のいずれか1
    項記載の防曇剤。
  12. 【請求項12】 非イオン系界面活性剤(A)と、水和
    物形成能を有するカルボン酸金属塩(C)とが、これら
    の合計質量が、水性媒体中0.2〜20重量%となる割
    合で溶解しており、かつ、金属イオン(D)が、防曇剤
    中が質量基準で1〜500ppmとなる割合で含有され
    ている請求項7〜11のいずれか1項記載の防曇剤。
  13. 【請求項13】 非イオン系界面活性剤(A)1重量部
    に対して、メチルセルロース(E)が0.01〜0.2
    重量部となる割合で混合されている、請求項7〜12の
    いずれか1項記載の防曇剤。
  14. 【請求項14】 請求項1〜6のいずれか一つに記載の
    防曇性樹脂シートを成形してなることを特徴とする成形
    品。
  15. 【請求項15】 防曇剤塗布面の中心線平均粗さRa
    が、0.15μm未満である請求項14記載の成形品。
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