JP2002154815A - ポリ硫化カーボン、その製造方法およびそれを用いた非水電解質電池 - Google Patents

ポリ硫化カーボン、その製造方法およびそれを用いた非水電解質電池

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 正極活物質として用いた場合に、高容量でか
つ充放電サイクルに伴う容量低下が少ない非水電解質電
池を構成できるポリ硫化カーボンを提供する。 【解決手段】 −Sm (m≧3)で表されるポリスルフ
ィドセグメントを有する有機イオウ化合物のポリスルフ
ィドセグメントを構成するイオウの一部を除去すること
により、炭素とイオウを主な構成元素とし、イオウの重
量比率が67重量%以上でかつ炭素とイオウの重量比率
の合計が95重量%以上であって、分子内のイオウの大
部分がジスルフィド結合を形成しかつ単一性の高い構造
を有するポリ硫化カーボンを合成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池の活物質など
に利用可能なポリ硫化カーボン、その製造方法およびそ
れを用いた非水電解質電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】市場における携帯式電子デバイスの急速
拡大に伴い、その電源として使用される電池の高性能化
への要求はますます強くなり、しかも、その一方で、よ
り環境に優しい電池の開発が要求されている。そのよう
な状況の中で、非水電解質電池(一次電池または二次電
池)の正極活物質として、低コストで環境負荷が小さ
く、しかも高容量であるイオウ(硫黄)やその誘導体に
対する期待が高まっている。
【0003】このイオウの二電子反応を電池に利用でき
るならば、理論的には元素イオウは1675mAh/g
という大きなエネルギー密度を有する活物質となる。し
かし、イオウは絶縁性の高い物質であり、また可逆性に
乏しいため、アルカリ金属−イオウ電池では、実際には
低い利用率しか得られないのが現状である。しかも、イ
オウは高温でしか利用できないため、イオウやその誘導
体の高い活性により電池ケースなどが侵食されるという
問題があり、民生用の小型電池への応用は困難であると
言われている。
【0004】一方、アルカリ金属の硫化物など、有機溶
媒に可溶な無機イオウ化合物も電池の正極活物質として
利用されている(特開昭57−145272号公報な
ど)。この無機イオウ化合物を用いた電池では、正極に
多孔質のカーボン電極が用いられており、従来のイオウ
電池より大電流での放電ができるが、電極を構成するカ
ーボンが放電中に劣化しやすいため、主に一次電池とし
て用いられてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】また、非水電解質電池
の正極活物質として、炭素とイオウなどを主な構成元素
とする有機イオウ化合物の検討も進められており、特表
昭60−502213号公報(WO85/01293
号)においては、一般式(Ra CSb c (ただし、R
は水素、アルカリ金属または遷移元素)で表される有機
イオウ化合物が提案されている。ところが、本発明者ら
が上記公報に開示の有機イオウ化合物の合成方法につい
て検討したところ、以下に示すような問題を有している
ことが判明した。
【0006】すなわち、ポリテトラフルオロエチレンや
ポリトリフルオロクロロエチレンのようなハロゲン化ポ
リエチレンやポリアセチレンなどのポリマーにイオウを
付加する合成方法では、ハロゲン元素や水素などを完全
にイオウで置換することは不可能であり、分子内にハロ
ゲン元素や水素などが多く残存した有機イオウ化合物が
生成しやすい。また、付加するイオウの量も制御できな
いため、均一な構造の化合物を得ることは非常に困難で
ある。このような問題は、上記特表昭60−50221
3号公報において、実施例1〜3および実施例7に記載
された有機イオウ化合物が炭素とイオウ以外の元素を多
く含んでいることからも明らかである。
【0007】なお、特表昭60−502213号公報の
実施例6には、組成がCS0.980. 009 というほぼ炭素
とイオウの二元素のみで構成される生成物も記載されて
いる。しかしながら、本発明者らの詳細な検討によれ
ば、実施例6に記載の合成方法でCS0.980.009 を合
成すると、イオウの含有率の低い有機イオウ化合物とポ
リスルフィド化合物との混合物が得られることが判明し
た。このポリスルフィド化合物は水洗によって除去する
ことができないため、実施例6に記載の生成物の組成
は、実際には、上記混合物の平均組成を表したものと思
われる。しかも、出発原料として不飽和結合を含まない
ポリマーを使用しているため、合成されるイオウ含有率
の低い有機イオウ化合物の炭素骨格は基本的に飽和結合
の炭素鎖であり、分子内に存在する炭素骨格とのジスル
フィド結合(C−S−S−C)の数が少ないため、可逆
的な充放電が難しく放電容量も小さい。すなわち、特表
昭60−502213号公報に記載の方法では、炭素と
イオウの二元素のみからなり、かつイオウの含有割合が
高い高容量の有機イオウ化合物を得ることはできない。
【0008】一方、上記とは別の化合物として、(CS
w p (wは2.5〜約50、pは2以上)などの一般
式で表される有機イオウ化合物が1000〜1600m
Ah/gという高いエネルギー密度を有することから注
目されている。スコットハイム(Skotheim)ら
はこの化合物を非水電解質電池の正極活物質として用
い、室温下でも高い容量を示す二次電池を提案している
〔特開平7−29599号公報(US5441831
号)、特表平11−506799号公報(WO96/4
1388号)、特表平11−514128号公報(WO
96/41387号)など〕。この有機イオウ化合物
は、硫化ナトリウムとイオウとを反応させ、さらに有機
クロライド化合物と反応させる方法、あるいは金属ナト
リウムのアンモニア溶液中でアセチレンとイオウとを反
応させる方法、金属ナトリウムを触媒として二硫化炭素
とジメチルスルホンとを反応させる方法などにより製造
することができる。そして、この有機イオウ化合物の分
子構造は、主として炭素で形成された共役構造を有する
骨格と、その骨格に結合した−Sm −(m≧3)で表さ
れる構造(以下、「ポリスルフィドセグメント」と記載
する)を有することを特徴としている。
【0009】しかしながら、上記一般式(CSw p
表される有機イオウ化合物は合成過程で分子設計ができ
ないため、得られる化合物のイオウ含率などを制御する
ことが困難であり、単一構造の化合物が得られないとい
う問題があった。
【0010】また、生成した化合物には、一般に低分子
量または高分子量のポリスルフィド化合物が多く混在し
ており、式(CSw p 中のpの値が大きくなるほど前
記共役構造の割合が減少し、ポリスルフィド化合物の割
合が増える傾向がある。このポリスルフィド化合物や、
上記有機イオウ化合物の分子内のポリスルフィドセグメ
ントは、特に電解液(液体電解質)を用いた電池では、
充放電時に分解して電解液中に溶解しやすく、化合物自
体の安定性やそれを用いる電池の安定性を欠く大きな要
因となる。その結果、電池の自己放電が比較的大きくな
るだけでなく、充放電の可逆性を阻害する金属硫化物が
形成され、電池のサイクル寿命が短くなるという問題が
生じていた。
【0011】本発明は、上記のような従来の有機イオウ
化合物の問題点を解消し、可逆性が高く、高容量で安定
性が優れたポリ硫化カーボンとその製造方法を提供し、
さらにこれを活物質として用いることにより、充放電サ
イクル特性や信頼性が優れた高容量の非水電解質電池を
実現することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討を重ねた結果、炭素とイオウを
主な構成元素としポリスルフィドセグメントを有する有
機イオウ化合物を基にして、ほぼ炭素とイオウの二元素
のみからなり、イオウの含有比率が高く、従来の有機イ
オウ化合物よりも分子構造の単一性の高い新規な有機イ
オウ化合物(ポリ硫化カーボン)を製造する方法を見出
し、それに基づき、本発明を完成するにいたった。
【0013】すなわち、本発明の一つは、炭素とイオウ
を主な構成元素とし、イオウの重量比率が67重量%以
上でかつ炭素とイオウの重量比率の合計が95重量%以
上であって、そのラマンスペクトルにおいて、ラマンシ
フトの1444cm-1付近に主ピークが存在し、かつ4
00cm-1〜525cm-1の範囲に存在するピークが実
質的に490cm-1付近のピークのみであることを特徴
とするポリ硫化カーボンである。
【0014】また、本発明の他の一つは、炭素とイオウ
を主な構成元素とし、イオウの重量比率が67重量%以
上でかつ炭素とイオウの重量比率の合計が95重量%以
上であって、そのCuKα線によるX線回折において、
回折角(2θ)が20°〜30°の範囲の回折パターン
が、実質的に25°付近にピークを有するブロードな回
折ピークのみで表されることを特徴とするポリ硫化カー
ボンである。
【0015】本発明のさらに他の一つは、炭素とイオウ
を主な構成元素とし、イオウの重量比率が67重量%以
上でかつ炭素とイオウの重量比率の合計が95重量%以
上であって、室温から300℃まで10℃/分の速度で
加熱した際の熱重量分析による重量減少が5%以下であ
ることを特徴とするポリ硫化カーボンである。
【0016】このような炭素とイオウを主な構成元素と
し、イオウの重量比率が67重量%以上でかつ炭素とイ
オウの重量比率の合計が95重量%以上であって、かつ
上記特定の物性を有するポリ硫化カーボンは、非水電解
質電池の活物質として用いたときに高容量であり、可逆
性が高く、かつ充放電サイクルに伴う容量低下が少ない
ため、信頼性の高い一次電池または二次電池を提供する
ことができる。
【0017】上記ポリ硫化カーボンは、例えば、炭素と
イオウを主な構成元素とし、−Sm−(m≧3)で表さ
れるポリスルフィドセグメントを有する有機イオウ化合
物に対し、そのポリスルフィドセグメント構造を構成す
るイオウの一部を除去して、ジスルフィド結合に変化さ
せることによって合成することができる。
【0018】また、上記ポリ硫化カーボンは、例示のよ
うな非水電解質電池の活物質だけでなく、例えば、キャ
パシタなどの他の電気化学素子や、情報記憶素子、表示
素子、電子材料などにも利用可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明のポリ硫化カーボン
の製造方法についての詳細と、非水電解質電池の活物質
としての利用について具体的に説明する。
【0020】炭素とイオウを主な構成元素とし、イオウ
の重量比率が67重量%以上でかつ炭素とイオウの重量
比率の合計が95重量%以上であって、かつ上記特定の
物性を有するポリ硫化カーボンは、例えば、次の方法に
よって合成することができる。まず、硫化ナトリウムな
どのアルカリ金属硫化物とイオウをアルコール、アセト
ン、水などの溶媒中で、おおよそ0℃〜50℃の温度範
囲で10分〜10時間程度反応させた後、真空中で溶媒
を揮発させて反応物を取り出す。次いで、これをN−メ
チル−2−ピロリドンなどの有機溶媒中で、おおよそ0
℃〜50℃の温度範囲で10分〜3時間程度ヘキサクロ
ロブタジエンなどのハロゲン化不飽和炭化水素と反応さ
せる。その後、反応生成物を純水および有機溶媒で数回
洗浄し、おおよそ10℃〜80℃で真空乾燥させること
により、中間生成物として茶色の固体化合物を得る。こ
の茶色の固体化合物は、その分子中に多数のポリスルフ
ィドセグメントを有しており、前記の特表平11−51
4128号公報などに記載された有機イオウ化合物に相
当するものである。また、合成反応の過程で生じるポリ
スルフィド化合物が多く混在していることも確認されて
いる。この中間生成物を得る方法としては、上記方法以
外にも、従来公知の種々の有機イオウ化合物の合成方法
を採用することができる。
【0021】次に、上記中間生成物をアルミナ(酸化ア
ルミニウム)などで作られた耐熱容器に入れ、真空中あ
るいは不活性雰囲気中で加熱することにより、中間生成
物に含まれているポリスルフィド化合物などの不純物を
蒸発させ、また、有機イオウ化合物分子中のポリスルフ
ィドセグメントを切断して、余分なイオウを蒸発させて
除去し、ほぼ炭素とイオウとの二元素のみからなり、分
子内のほとんどあるいはすべての炭素原子がイオウ原子
との結合を形成し、しかもイオウ原子のほとんどあるい
はすべてが酸化および還元に対する高い可逆性を有する
ジスルフィド結合を形成した構造のポリ硫化カーボンが
得られる。このようなポリ硫化カーボン中のイオウの含
有比率は、重量比で2/3以上、すなわち、67重量%
以上と高い値となる。
【0022】この化合物の分子構造を具体的に説明する
と、次の式(1)で表される繰り返し単位を有する構造
が推定され、さらに炭素鎖間の結合は、例えば、式
(2)で表されるジスルフィド結合によりなされている
ものと推定される。
【化1】
【化2】
【0023】上記ポリ硫化カーボンの分子内に炭素の二
重結合(C=C)やイオウのジスルフィド結合(C−S
−S−C)が存在することは、後に詳記するラマン分析
などによって確認することができる。
【0024】上記の加熱処理においては、加熱中の化合
物の酸化を防ぐため、加熱雰囲気は酸素濃度の低い状態
が好ましく、真空中かあるいは酸素濃度を低減した(例
えば、400ppm以下にした)不活性ガス雰囲気中な
どで加熱処理するのが好ましい。
【0025】上記加熱温度としては、おおよそ300℃
〜430℃が好ましく、320℃〜410℃がより好ま
しいが、加熱を真空中あるいは減圧雰囲気中で行う場合
は、より低温でも行うことができる。また、加熱時間は
加熱処理の温度や雰囲気により調整すればよいが、おお
よそ10分〜5時間が適当である。中間生成物の組成、
加熱温度や加熱時間などの相違により、得られるポリ硫
化カーボンの組成は若干異なるが、イオウを重量比率で
67重量%以上含有することにより高容量化が容易とな
り、化学的安定性の点からは炭素およびイオウ以外の元
素の含有量が少ないこと、すなわちイオウと炭素の重量
比率が95重量%以上であることが好ましい。
【0026】さらに、上記ポリ硫化カーボンの炭素とイ
オウの原子比率を1:xとしたときに、xが0.9〜
1.5の範囲にある化合物は、分子構造の単一性が高
く、充放電における可逆性が優れ、高容量な活物質とな
るために好ましく、xが1.3以下であることがより好
ましい。特にxが1.1以下の場合は、可逆的な充放電
を可能にするジスルフィド結合の存在割合を最も高くで
きるため、高容量で安定性が最も優れた化合物となる。
また、容量の点からは、xは0.95以上が好ましく、
さらに1以上とすることにより最も好ましい化合物とな
る。これは、xの値が小さくなると、充放電に関与する
ジスルフィド結合以外に、充放電に関与しないC−S−
C結合が分子内に導入されるからであり、また、xが
1.5より大きい化合物では、分子内にポリスルフィド
セグメントが多く導入されてしまうからである。
【0027】また、上記ポリ硫化カーボンには、その化
学的安定性や充放電の可逆性を害しない範囲で炭素およ
びイオウ以外の元素を含有してもよく、水素、窒素、ホ
ウ素やハロゲン元素などを有する化合物とすることもで
きるが、炭素とイオウの二元素のみで構成されているこ
とがより好ましい。例えば、ポリ硫化カーボンを一般式
(CSx n で表した場合、xは0.9〜1.5で、n
は4以上となる化合物が好ましい。nが3でジスルフィ
ド結合を有するポリ硫化カーボンの合成は困難であり、
たとえ合成できたとしても安定性に劣り有用性は低いと
考えられる。本発明のポリ硫化カーボンは、有機溶剤な
どに対する耐性が優れていて、その分子量を測定するこ
とが困難であるため、上記一般式におけるnの値を正確
に求めることは難しいが、このnは4以上であることが
好ましく、加工性を考えるとnは100以上であること
がより好ましい。また、nはいくら大きくなっても何ら
問題が生じないと考えられるが、通常、nが10万程度
のものまでが合成しやすく実用的である。上記したnが
4以上のポリ硫化カーボンは、例えば、主鎖の炭素数が
4以上のハロゲン化不飽和炭化水素を用いて合成するこ
とにより得ることができる。
【0028】また、上記ポリ硫化カーボンは、前述の方
法以外に、ポリスルフィドセグメントを有する有機イオ
ウ化合物を容器中で非水性溶媒に接触させるか、または
その非水性溶媒の蒸気に接触させることにより、カーボ
ン骨格に繋がっていないイオウのセグメントと他の不純
物を溶出し、かつカーボン骨格に繋がっていても不安定
な長いイオウのセグメントを切断して除去することによ
っても得ることができる。すなわち、ポリスルフィドセ
グメントを有する有機イオウ化合物は、上記のような非
水性溶媒との接触により、ほぼカーボンとイオウの二元
素からなり、式(1)で表される繰り返し単位を主体と
するポリ硫化カーボンに変化する。この溶媒抽出処理に
おいては、溶媒の引火点を配慮して、雰囲気は酸素濃度
の低い状態が好ましく、酸素濃度を400ppm以下に
低減した不活性ガス雰囲気中で処理することがより好ま
しい。
【0029】上記溶媒抽出処理に使用する溶媒は、イオ
ウやポリスルフィドセグメントを有するイオウ化合物に
対して優れた溶解性を有する非水性有機溶媒であること
が好ましい。特に、カーボン骨格に繋がっている不安定
な長いイオウのセグメントを切断して除去するために
は、強いドナー性の非水性有機溶媒であることが好まし
い。具体例としては、例えば、トルエン、ベンセンなど
の芳香族系溶媒、テトラヒドロフラン、ジメチルホルム
アミド、テトラメチルエチレンジアミン、ジオキソラ
ン、テトラグリム(tetraglyme)などの分子
内に酸素または窒素を含有する脂肪族系または脂環族系
の低分子量溶媒や、二硫化炭素、ジメチルスルホキシ
ド、スルホランなどのイオウを含有する溶媒などが挙げ
られる。また、これらの溶媒からなる混合溶媒でもよ
い。前記の溶媒の中でも、特にジメチルスルホキシド、
二硫化炭素、テトラヒドロフラン、トルエン、テトラグ
リムなどが好ましい。なお、上記のテトラグリムはビス
〔(2−メトキシエトキシ)エチル〕エーテルと称され
る有機溶媒である。
【0030】上記溶媒による抽出温度は、特に限定され
ることはないが、室温から溶媒の沸点までの温度であ
り、特に溶媒を環流しながら抽出を行うことが好まし
い。また、抽出時間は、温度および中間生成物である有
機イオウ化合物の分子量にも依存するが、おおよそ10
分〜5時間が適当である。温度が高くなるほど、また中
間生成物の分子量が小さいほど、抽出時間を短縮するこ
とができる。
【0031】上記ポリ硫化カーボンのラマン分析はアル
ゴンレーザーを光源として行われるが、本発明のポリ硫
化カーボンは、そのラマン分析により得られるラマンス
ペクトルにおいて、ラマンシフトの1444cm-1付近
に主なピークが存在し、かつ400cm-1〜525cm
-1の範囲に存在するピークが実質的に490cm-1付近
のピークのみであることを特徴とする。ここで、144
4cm-1付近の主ピークはカーボン骨格中の炭素の不飽
和結合(C=C結合)に基づくものであり、ラマンスペ
クトルにおいてこのピークが最大強度となる。また、上
記400cm-1〜525cm-1の範囲には、カーボン骨
格と繋がったジスルフィド結合に由来するピーク、ある
いはポリスルフィドセグメントに由来するピークが現れ
るが、490cm-1付近のピークはジスルフィド結合に
由来するピークであり、ポリスルフィドセグメント中の
S−S結合に由来するピークは、これとは別の位置に現
れる。本発明において、「実質的に490cm-1付近の
ピークのみ」としたのは、490cm-1付近のピーク以
外に微小なピークが存在していてもかまわないという意
味である。すなわち、本発明のポリ硫化カーボンにおい
ては、その分子内にポリスルフィドセグメントが存在し
ないこと、すなわち、前記400cm-1〜525cm-1
の範囲内には490cm-1付近のピーク以外のピークが
存在しないことが好ましいが、要求される特性を劣化さ
せない範囲内で、分子内に少量のポリスルフィドセグメ
ントが存在していてもよいことを意味している。ここ
で、1444cm-1付近とはおおよそ1444cm-1±
20cm-1の範囲に相当し、490cm-1付近とはおお
よそ490cm-1±20cm-1の範囲に相当する。
【0032】これに対し、従来の有機イオウ化合物のラ
マンスペクトルでは、400cm-1〜525cm-1の範
囲に多数のピークが重なり合っている様子が認められ
る。これは、分子内に−Sm −(m≧3)で表されるポ
リスルフィドセグメントが多く存在することを示してお
り、mは種々の値を有しているものと考えられる。一
方、490cm-1付近のピークは明瞭ではなく、分子内
にはジスルフィド結合はほとんど存在していないと考え
られる。また、従来の有機イオウ化合物では、1444
cm-1付近のピークもブロードであるが、本発明のポリ
硫化カーボンでは、それよりシャープであって、その組
成と構造がより単一に近い化合物となっている。
【0033】上記ポリ硫化カーボンについて、CuKα
線を用いたX線回折を行うと、回折角(2θ)で20°
〜30°の回折パターンは、実質的に、25°付近にピ
ーク位置を有する半値幅がおおよそ1.5°〜5°くら
いの一つのブロードな回折ピークのみで表すことができ
る。すなわち、前記回折角の範囲では、実質的に、前記
回折ピークが一つ存在するだけである。「実質的に」と
記載したのは、完全に一つだけである必要はなく、ポリ
スルフィドセグメントに由来するピークすなわちイオウ
で同定されるピークが観察されないことが好ましいが、
観察されても微弱(ピーク強度が前記ピークのおおよそ
1/10以下)であるものは本発明において許容される
ことを意味する。ここで、25°付近とはおおよそ25
°±3.5°の範囲に相当する。
【0034】また、上述した方法を用いてポリ硫化カー
ボンを合成した場合、中間生成物である有機イオウ化合
物の生成過程においてアルカリ金属のハロゲン化物も副
生成物として生じるため、中間生成物あるいは最終的に
得られるポリ硫化カーボンの洗浄を行った場合でも、ポ
リ硫化カーボンに少量の塩化ナトリウムなどが混在する
こともある。そのため、X線回折パターンにアルカリ金
属のハロゲン化物のピークが現れることがあるが、この
回折ピークは除外して考えればよい。
【0035】上記X線回折パターンにおいて、25°付
近のピークは、次の式(3)
【化3】 で表されるジスルフィド結合により形成される平面がさ
らに層状構造を形成し、その層状構造により生じた回折
ピークであると推定される。ピークがブロードな形にな
るのは、主として炭素で構成される主鎖が回転可能であ
るため、一つの分子内に存在する複数のジスルフィド結
合により形成されるそれぞれの平面が、すべて同一平面
になるわけではないことや、合成されるポリ硫化カーボ
ンの分子量が一定の分布を有していることなどの理由に
よるものと考えられる。もちろん、上記理由から、この
ピークが完全に一つのピークとならずに若干の分離が生
じることも考えられるが、全体としてほぼ一つのピーク
を形成していればよい。このピークの回折角から求まる
層間距離は、0.3〜0.44nm程度であり、黒鉛の
層間距離(0.335nm)に近い値であるため、上記
層状構造の層間ヘリチウムがインターカレートすること
が考えられる。
【0036】これに対して、本発明における中間生成物
をはじめとする従来の有機イオウ化合物では、そのX線
回折パターンには多数のピークが存在しているが、その
ほとんどすべてが遊離したイオウまたはポリスルフィド
セグメントのイオウによる回折ピークである。イオウに
基づく回折ピーク以外の回折ピークは強度が小さいため
判別しにくく、ポリスルフィドセグメントを有する従来
の有機イオウ化合物は、本発明のポリ硫化カーボンより
結晶性が低いと考えられる。
【0037】さらに、従来の有機イオウ化合物では、窒
素雰囲気下で熱重量−示差熱分析(TG−DTA)を行
うと、イオウに基づく122.7℃と314℃の強い吸
熱ピークが存在し、また、温度の上昇とともに200℃
付近から重量減少も生じるが、本発明のポリ硫化カーボ
ンでは、上記122.7°と314°のピークが消失
し、また、より高温まで重量減少が生じない。例えば、
本発明のポリ硫化カーボンは、室温から300℃まで1
0℃/分の昇温速度で加熱した際の重量減少が5%以下
という優れた熱的安定性を示す。従って、結晶性がよく
化学的安定性にも優れた本発明のポリ硫化カーボンを非
水電解質電池の正極活物質として用いた場合は、充電あ
るいは放電における活物質の分解と、それに伴う電解液
へのイオウの溶出および硫化物の生成が抑制されるた
め、長期にわたり良好な可逆性を維持することができ
る。
【0038】本発明のポリ硫化カーボンを非水電解質電
池の正極活物質として用いた場合、その理論容量はおお
よそ550〜890mAh/gであり、非水電解質電池
の正極活物質として最も汎用されているLiCoO
2 (137mAh/g)の4倍以上の高容量化を実現で
きる。また、本発明のポリ硫化カーボンは、上記のよう
な非水電解質電池の正極活物質としての用途以外に、負
極活物質としての利用、あるいはその化学的安定性、半
導電性、光吸収性などの特性を生かして、情報記憶素
子、表示素子、電子材料などへの利用も可能であると考
えられる。
【0039】次に、本発明のポリ硫化カーボンを正極活
物質として用いた非水電解質電池(二次電池)の作製に
ついて述べる。
【0040】正極は、上記のポリ硫化カーボンと、必要
に応じて用いる導電助剤、バインダー、添加剤などとで
構成されるが、上記導電助剤としては、例えば、黒鉛、
カーボンブラックのような炭素質材料や、導電性ポリマ
ーなどが好適に用いられる。特に導電性ポリマーを含有
させた場合は、大電流負荷での特性向上が期待できる。
上記導電性ポリマーとしては、例えば、ポリアセン、ポ
リアセチレン、ポリアニリン、ポリピロールなどのよう
な共役構造を有するポリマーやそれらのメチル、ブチ
ル、ベンジルなどの側鎖を有する誘導体などが好適に用
いられる。
【0041】上記バインダーとしては、例えば、ポリフ
ッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフ
ッ素樹脂、無定形ポリエーテル、ポリアクリルアミド、
ポリ−N−ビニルアセトアミド、溶媒に溶解性を有する
ポリアニリン、ポリピロールまたはそれらのポリマーの
構成モノマー間もしくは他のモノマーとのコポリマーま
たは架橋により形成される化合物などが挙げられ、これ
らは正極活物質に対して化学的に安定でかつ強い接着力
を有する高分子化合物であることが好ましい。
【0042】また、正極の構成要素として、ニッケル、
ニッケル合金、ニッケル複合体またはニッケル化合物の
いずれかを含む場合は、ポリ硫化カーボンとの相互作用
により正極の充放電可逆性が向上する。そのようなニッ
ケル合金としては、例えば、LaNi5 、LaNi4.6
Al0.4 、V−Ti−Ni合金などが挙げられ、ニッケ
ル複合体としては、例えば、ニッケルをアルミニウム
箔、ステンレス鋼箔などの表面に蒸着したもの、ニッケ
ルをポリプロピレンシート、ポリエチレンテレフタレー
トシート、ポリブチレンテレフタレートシートなどに蒸
着したものなどのニッケルと無機材料または有機高分子
材料との複合体などが挙げられ、ニッケル化合物として
は、例えば、NiS、Ni2 2 、NiS2 などのニッ
ケルの硫化物などが挙げられる。中でも、一般式NiS
z (zは1〜5である)で表される化合物が好ましく用
いられる。これは、上記化合物が正極活物質としても作
用すると考えられるからである。
【0043】上記ニッケル、ニッケル合金、ニッケル複
合体またはニッケル化合物は、添加剤として正極合剤中
に含有させればよく、正極合剤中の含有量は0.5〜4
0重量%とすることが好ましく、3〜25重量%とする
ことがより好ましい。この場合は、0.1〜10μmの
粒子径のものを用いることが好ましい。また、ニッケル
は電子伝導体としても機能するため、上記ニッケル系添
加剤と併用してあるいは前記ニッケル系添加剤のかわり
に、例えば、発泡体状あるいはシート状のニッケルを正
極の集電体とするか、あるいは、ニッケルのリボンをリ
ード体として使用することもできる。ニッケルを正極の
集電体として用いた場合は、非水電解質電池の正極集電
体として通常用いられるアルミニウムの場合に比べて、
充放電サイクル特性を向上させることができる。また、
電池の外装缶を正極の出力端子とする場合は、外装缶を
ニッケル缶、ニッケル合金缶またはニッケルメッキ層を
有する金属缶としてもよい。
【0044】正極は、例えば、前記ポリ硫化カーボンか
らなる正極活物質に、必要に応じて、前記の導電助剤や
バインダーなどを加え、混合して正極合剤を調製し、そ
れを溶剤に分散させてペーストにし(バインダーはあら
かじめ溶剤に溶解させてから正極活物質などと混合して
もよい)、その正極合剤含有ペーストを金属箔などから
なる正極集電体に塗布し、乾燥して、正極集電体の少な
くとも一部に正極合剤層を形成する工程を経ることによ
って作製される。ただし、正極の作製方法は、上記例示
の方法に限られることなく、他の方法によってもよい。
【0045】負極の活物質としては、例えば、リチウ
ム、ナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグ
ネシウムなどのアルカリ土類金属、それらとアルミニウ
ムなどとの合金、黒鉛などの炭素質材料、スズ(錫)ま
たはケイ素(珪素)などのリチウムと合金化可能な元素
かまたはそれらを含む酸化物、リチウム含有窒素化合
物、ポリアセン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリ
チオフィン、ポリピロールなどのような共役構造を有す
るポリマーやそれらのメチル、ブチル、ベンジルなどの
側鎖を有する誘導体などからなる導電性ポリマーなどを
用いることができる。
【0046】負極の作製方法は、用いる負極活物質の種
類によって大別して2つに分けられる。その一つは、負
極活物質として金属や合金を用いる場合、金網、エキス
パンドメタル、パンチングメタルなどの金属多孔体から
なる負極集電体に負極活物質としての金属や合金を圧着
して負極を作製する方法が採用される。そして、負極活
物質として炭素質材料などを用いる場合は、上記炭素質
材料などからなる負極活物質に、必要に応じて、正極の
場合と同様の導電助剤やバインダーなどを加え、混合し
て負極合剤を調製し、それを溶剤に分散させてペースト
にし(バインダーはあらかじめ溶剤に溶解させておいて
から負極活物質などと混合してもよい)、その負極合剤
含有ペーストを銅箔などからなる負極集電体に塗布し、
乾燥して、負極集電体の少なくとも一部に負極合剤層を
形成する工程を経ることによって作製される。ただし、
負極の作製方法は、上記例示の方法に限られることな
く、他の方法によってもよい。
【0047】非水電解質としては、非水系の液状電解質
(以下、「電解液」という)、ポリマー電解質、固体電
解質のいずれも用いることができる。
【0048】上記電解質として、まず、電解液から説明
すると、電解液は非水性溶媒成分に電解質塩を溶解させ
ることによって構成される。
【0049】この溶媒成分としては、エーテル、エステ
ル、カーボネート類などが好適に用いられる。特に誘電
率が高いエステル(誘電率30以上)を混合して用いる
ことが好ましい。このような誘電率が高いエステルとし
ては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカー
ボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクト
ン、エチレングリコールサルファイトなどのイオウ系エ
ステルなどが挙げられ、特に環状のエステルが好まし
く、とりわけエチレンカーボネートなどの環状カーボネ
ートが好ましい。
【0050】また、上記溶媒以外にも、例えば、ジメチ
ルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチル
カーボネート、ビニレンカーボネート、プロピオン酸メ
チルなどの鎖状のアルキルエステル類やリン酸トリメチ
ルなどの鎖状リン酸トリエステルなどを用いることがで
き、そのほか、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジ
オキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラ
ヒドロフラン、ジエチルエーテル、テトラグリムなども
用いることができる。さらに、アミン系またはイミド系
有機溶媒やスルホラン、ジメチルスルホキシドなどの含
イオウ有機溶媒なども用いることができる。
【0051】また、電解液への添加剤としてC=C不飽
和結合を有する化合物を電解液中に添加すると、サイク
ル特性の低下を抑制できる場合がある。このような不飽
和結合を有する化合物としては、例えば、C6 5 6
11(シクロヘキシルベンゼン)などの芳香族化合物
や、H(CF2 4 CH2 OOCCH=CH2 、F(C
2 8 CH2 CH2 OOCCH=CH2 などのフッ素
化された化合物が挙げられる。
【0052】上記溶媒成分に溶解させる電解質塩として
は、例えば、リチウム、ナトリウムなどのアルカリ金属
やマグネシウムなどのアルカリ土類金属のハロゲン塩ま
たは過塩素酸塩、有機ホウ素リチウム塩、トリフロロメ
タンスルホン酸塩を代表とする含フッ素化合物の塩、イ
ミド塩などが好適に用いられる。このような電解質塩の
具体例としては、例えば、LiF、LiClO4 、Mg
(ClO4 2 、LiPF6 、LiBF4 、LiB(O
6 4 COO)2 、LiCF3 SO3 、LiC4 9
SO3 、LiCF3 CO2 、Li2 2 4 (SO3
2 、LiN(CF3 SO2 2 、LiN(RfSO2
(Rf′SO2 )、LiN(RfOSO 2 )(Rf′O
SO2 )、LiC(RfSO2 3 、LiCn 2n+1
3 (n≧2)、LiN(RfOSO2 2 〔ここでR
fとRf′はフルオロアルキル基〕などが挙げられ、こ
れらはそれぞれ単独でまたは2種以上混合して用いるこ
とができる。そして、この電解質塩としては、特に炭素
数2以上の含フッ素有機リチウム塩またはイミド塩が好
ましい。これは、上記含フッ素有機リチウム塩はアニオ
ン性が大きく、かつイオン分離しやすいので、上記溶媒
成分に溶解しやすいからであり、また、イミド塩は安定
性が優れているからである。電解液中における電解質塩
の濃度は、特に限定されるものではないが、0.5mo
l/l以上が好ましく、1.7mol/l以下が好まし
い。
【0053】ポリマー電解質は、上記電解液をゲル化し
たものに相当する。そのゲル化にあたっては、例えば、
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共
重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルニトリ
ルなどの直鎖状ポリマーまたはそれらの構成モノマー間
もしくは他のモノマーとのコポリマー、多官能モノマー
(例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
などの四官能以上のアクリレートなど)より得られるポ
リマー化合物やアミン化合物とウレタンとの反応により
得られるポリマー化合物などが用いられる。また、固体
電解質としては、無機系のものと有機のものとがあり、
無機系固体電解質としては、例えば、ナトリウムβアル
ミナ、60LiI−40Al2 3 、Li3 N、5Li
I−4Li2 S−2P2 5 、Li3 N−LiIなどが
挙げられ、また、有機系固体電解質としては、例えば、
無定形、低相転移温度(Tg)のポリエーテル、無定形
フッ化ビニリデンコポリマー、異種ポリマーのブレンド
した物などが挙げられる。
【0054】本発明においては、前記ポリ硫化カーボン
の可逆性および充放電での利用率をさらに向上させるた
めに、電池内、特に正極または電解質に、前記ポリ硫化
カーボン以外の有機イオウ化合物、−Sy −(y≧3)
で表される構造を有する化合物、リチウムの硫化物また
はイオウのいずれかを含有させてもよい。特にリチウム
の硫化物を含有させた場合には、以下のような相互作用
が発揮されるため好適な特性が得られる。
【0055】すなわち、前記ポリ硫化カーボンとリチウ
ムの硫化物とが電池内に共存する場合、ポリ硫化カーボ
ンがリチウムの硫化物に対して高い触媒活性を示すた
め、リチウムの硫化物が可逆性に優れた活物質として作
用するようになり、一方、リチウムの硫化物の存在によ
りポリ硫化カーボンの可逆性も高められるため、電池の
高容量化と大電流での充放電におけるサイクル特性の向
上を実現できる。上記リチウムの硫化物としては、一般
式Li2 t (t≧2)で表される化合物などを用いる
ことができ、具体的には、Li2 4 、Li2 8 、L
2 18 などが挙げられる。
【0056】上記リチウムの硫化物は、電池内に存在す
ればよいが、正極または電解質に含有させることが好ま
しく、中でも電解液(液状電解質)に溶解させた状態で
存在させることが最も好ましい。これは、リチウムの硫
化物が電解液中の非水性溶媒への溶解性を有しており、
電解液以外の構成部材に含有させても電解液に溶出し、
正極においてポリ硫化カーボンと共に活物質として作用
するからである。正極中に含有させた場合には、その体
積分だけポリ硫化カーボンの充填量を減じる必要がある
が、電解液中に含有させた場合には、正極のポリ硫化カ
ーボンの充填量を低減する必要がないので、実質的に正
極活物質の総量が増加することになり、電池の高容量化
を容易に達成できる。
【0057】もちろん、この場合には、電解液の非水性
溶媒として、リチウムの硫化物に対する溶解性の高い溶
媒を用いることが好ましく、通常、その溶媒成分は、リ
チウムの硫化物に対する良好な溶解性を有する主溶媒
と、必要に応じて用いられる副溶媒とで構成される。前
記主溶媒の具体例としては、例えば、トルエン、ベンゼ
ンなどの芳香族系溶媒、テトラヒドロフラン、ジメチル
ホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、テトラメチ
ルエチレンジアミン、ジオキソラン、2−メチル−テト
ラヒドロフラン、テトラグリムなどの分子内に酸素また
は窒素を含有する脂肪族系または脂環族系の低分子量溶
媒、ジメチルスルホキシド、スルホランなどのイオウを
含有する溶媒などが挙げられ、これらの溶媒はそれぞれ
単独でまたは2種以上の混合溶媒として用いることがで
きる。また、これらの溶媒の中でも、特にジメチルスル
ホキシド、スルホラン、テトラヒドロフラン、テトラグ
リムのようなドナー性(電子供与性)の強い溶媒が好ま
しく、とりわけ、これらのドナー性の強い溶媒をテトラ
ヒドロフラン、ジオキソランなどの低粘度エーテルと組
み合わせて用いることが好ましい。もちろん、この主溶
媒だけで非水性溶媒を構成することもできる。
【0058】上記助溶媒としては、例えば、エチレンカ
ーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボ
ネート、γ−ブチロラクトンなどのエステルが用いら
れ、また、エチレングリコールサルファイトなどのイオ
ウ系エステルなども用いることができる。さらに、これ
ら以外にも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネ
ート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸メチル
などの鎖状エステル、リン酸トリメチルなどの鎖状リン
酸トリエステルやジエチルエーテルなども用いることが
できる。これらの助溶媒の添加により電解質のイオン伝
導度は高まるが、リチウムの硫化物の溶解度を低下させ
る傾向があるので、副溶媒の添加量としては、主溶媒の
性質にもよるが、全構成溶媒中の20重量%以下が好ま
しい。
【0059】また、一般式Li2 t (t≧2)で表さ
れるリチウムの硫化物は、tの値が大きくなるほど電解
液への溶解度が低下し、また電解液の粘度を上昇させて
イオン伝導度を低下させる傾向があるため、tの値が5
0以下の硫化物が実用的であり、さらに20以下の硫化
物がより好適である。
【0060】ここで、リチウムの硫化物の電解液中での
濃度は、使用する溶媒の種類および硫化物の組成にもよ
るが、0.01mol/l以上が好ましく、10mol
/l以下が好ましい。特に0.1mol/l以上とする
ことにより電池の放電容量が大幅に増加し、4mol/
l以下にすることにより電解液のイオン伝導度およびポ
リ硫化カーボンの利用率を好適に保つことができる。
【0061】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定
されるものではない。なお、以下の実施例において、溶
液または分散液の濃度を示す%や、組成、収率などを示
す%は、特にその基準を付記しないかぎり重量%を表し
ている。
【0062】実施例1 硫化ナトリウムの九水和物(Na2 S・9H2 O)10
0gを、体積比1:1で混合したエタノールと水との混
合溶媒300mlに溶解させ、これに53.4gのイオ
ウを添加して室温下で1時間反応させた。次いで、溶媒
を真空中で除去した後、残留物をN−メチル−2−ピロ
リドン700mlに溶解させ、ヘキサクロロブタジエン
を17.2g添加して、室温下で1時間反応させた。そ
の後、純水、アセトンおよびエタノールを用いて充分に
洗浄し、真空中で40℃に保ちながら15時間乾燥し
て、中間生成物として茶色の化合物を得た。この化合物
の合成方法は、特表平11−506799号公報の実施
例に記載の方法とほぼ同一である。
【0063】得られた化合物について元素分析を行い、
その平均組成を求めた。その結果、C:7.0%、S:
92.3%、N:0.2%以下、H:0.3%以下であ
った。これに対応する一般式は(CS4.9 n であっ
た。前記C、N、Hの分析結果は、全自動元素分析装置
〔シーベルヘグナ社製、vario EL〕により、試
料分解炉温度:950℃、還元炉温度:500℃、ヘリ
ウム流量:200ml/分、酸素流量:20〜25ml
/分の条件下で元素分析を行った結果によるものであ
り、また、前記Sの分析結果は、フラスコ燃焼法−酢酸
バリウム測定で、指示薬としてトリンメチレンブルーを
用いて元素分析を行った結果によるものである。
【0064】次に、上記中間生成物10gを船形のアル
ミナ(酸化アルミニウム)容器に入れ、その中間生成物
を入れたアルミナ容器をアルミナ加熱炉の炉心に置き、
酸素濃度が100ppm以下になるまで純度99.99
9%のアルゴンガスで置換した後、アルゴンガスを流し
ながら、以下に示す条件で温度を変化させて最終的に3
80℃で加熱処理を行った。すなわち、室温から60℃
まで0.5時間で昇温を行い、60℃で1時間保持し、
次いで380℃まで2時間で昇温を行い、380℃で1
時間保持して加熱処理を行うことにより、中間生成物中
のイオウの一部を除去することによって、中間生成物を
ポリ硫化カーボンに変化させた。
【0065】処理後に室温まで冷却してから反応生成物
をアルミナ容器中から取り出し、外観が黒鉛に似た金属
光沢を有する黒色のポリ硫化カーボン約3gを得た。元
素分析の結果、このポリ硫化カーボンの組成は、C:2
6.0%、S:73.9%であり、一般式で表すと(C
1.06n となった。上記ポリ硫化カーボンの合成にあ
たって反応成分として用いたヘキサクロロブタジエンが
炭素数4の化合物であることから、上記ポリ硫化カーボ
ンの一般式(CS1.06n のn値は4以上であり、主と
して4の倍数の化合物であると推定される。
【0066】次に、このポリ硫化カーボンについて、以
下の装置および条件によりラマン分析を行った。その結
果を図1に示す。 装置:Ramaonor T−6400(Jobin
Yvon/愛宕物産) 光源:Arレーザー〔GLG3460(514.5n
m、出力:1mW(NEC)〕
【0067】図1において、横軸はラマンシフト(cm
-1)であり、縦軸は相対強度であるが、このポリ硫化カ
ーボン(CS1.06n のラマン分析の結果は、図1に示
すように、1444cm-1に炭素の不飽和結合(C=C
結合)に基づく主ピークを有し、また400cm-1〜5
25cm-1の範囲内に存在するピークは、490cm -1
のピークのみであった。すなわち、上記ポリ硫化カーボ
ンには、ジスルフィド結合に基づくピークのみで、ポリ
スルフィドセグメントに基づくピークは認められなかっ
た。一般に、炭素に繋がるジスルフィド結合の場合は、
505cm-1付近にジスルフィド結合に基づくピークが
現れるが、本発明のポリ硫化カーボンでは、上記炭素の
不飽和結合(C=C結合)の影響を受けてピーク位置が
シフトしたものと推定される。
【0068】また、上記ポリ硫化カーボンについて粉末
X線回折装置〔RINT2000(リガク社製)〕によ
り、CuKα線を用いてX線回折測定を行った。測定条
件は、電圧:40kV、電流:150mA、スキャン速
度:2°/分、サンプリング:0.02°、積算回数:
5回で、回折角(2θ)が10°〜80°の範囲で測定
を行った。上記X線回折測定により得られたポリ硫化カ
ーボン(CS1.06nの回折パターンを図2に示すが、
回折角(2θ)が20°〜30°の範囲では、25°付
近にピーク位置を有するブロードな回折ピークだけが観
察された。なお、31.8°および45.5°のピーク
は塩化ナトリウムによるものである。
【0069】さらに、上記ポリ硫化カーボン(C
1.06n について、リガク社製の熱分析計(ther
mo Plus TG8120)を用いて熱重量−示差
熱分析(TG−DTA)を行った。すなわち、高純度窒
素ガスを0.15リットル/分の流量で流しながら10
℃/分の昇温速度で加熱を行い、温度と重量変化の関係
を測定した。その結果を図3に示す。この図3には、後
述する比較例1の化合物(CS4.9 n の熱重量−示差
熱分析結果についても示している。図3に示す結果から
明らかなように、従来公知の有機イオウ化合物(CS
4.9 n は、100℃付近から重量減少が認められ、2
00℃以上になると急激に重量が減少するのに対して、
本発明のポリ硫化カーボン(CS1.06n は、300℃
付近まで重量減少が少なく(300℃までの重量減少:
約0.5%)、安定な化合物であることがわかる。
【0070】また、(CS1.06n をおおよそ75μm
の粉末に粉砕し、直径5mmのホルダーに上記粉末0.
5gを採取して、2トンで加圧して成形した後、100
nAの直流を印加して25℃で電気伝導度を測定したと
ころ、5×10-7Scm-1であった。これに対して、後
述する比較例1の化合物(CS4.9 n および比較例2
の化合物(CS2.6 n についての同様の測定では、そ
れらの電気伝導度が10-11 Scm-1未満の値であった
ことから、本発明のポリ硫化カーボン(CS1. 06
n は、従来の有機イオウ化合物よりも分子構造が単一化
され、それによって、電気伝導度が向上したものと考え
られる。
【0071】さらに、25℃での真密度をガス置換法に
より測定したところ、1.903g/cm3 であった。
後述する比較例2の化合物(CS2.6 n の真密度2.
047g/cm3 や斜方晶のイオウの真密度2.07g
/cm3 と比較して小さな値となったが、これは、式
(3)
【化4】 に示されるように、分子内に炭素とイオウとで形成され
る環が多数存在することが影響しているものと推定され
る。
【0072】実施例2 実施例1の加熱処理において、処理温度を370℃とし
た以外は、実施例1と同様にしてポリ硫化カーボン(C
1.1 n を得た。このポリ硫化カーボンについて実施
例1と同様にラマン分析とX線回折測定を行った。
【0073】このポリ硫化カーボン(CS1.1 n のラ
マン分析においては、前記(CS1. 06n と同様に14
44cm-1に主ピークを有し、また400cm-1〜52
5cm-1の範囲には490cm-1にピークを有するだけ
であった。また、X線回折測定においても、前記(CS
1.06n の回折パターンとほぼ一致するパターンが得ら
れた。
【0074】実施例3 実施例1の加熱処理において、処理温度を390℃とし
た以外は、実施例1と同様にしてポリ硫化カーボン(C
0.9 n を得た。このポリ硫化カーボンについて実施
例1と同様にラマン分析とX線回折測定を行った。
【0075】このポリ硫化カーボン(CS0.9 n のラ
マン分析においては、前記(CS1. 06n とほぼ同様に
1442cm-1に主ピークを有し、また400cm-1
525cm-1の範囲には494cm-1にピークを有する
だけであった。また、X線回折測定においても、前記
(CS1.06n の回折パターンと同様のパターンが得ら
れ、24.4°にブロードなピークを有するだけであっ
た。
【0076】実施例4 実施例1で合成した中間生成物10gを船形のアルミナ
容器に入れ、その中間生成物を入れたアルミナ容器をア
ルミナ加熱炉の炉心に置き、酸素濃度が400ppm以
下になるまで純度99.999%のアルゴンガスで置換
し、次いで2Pa以下になるまで真空引きをし、真空を
保ちながら実施例1と同じ条件で温度を変化させて加熱
処理を行い、ポリ硫化カーボン(CS1.02n を得た。
このポリ硫化カーボンについて実施例1と同様にラマン
分析とX線回折測定を行った。
【0077】このポリ硫化カーボン(CS1.02n のラ
マン分析においては、前記(CS1. 06n とほぼ同様に
1443cm-1に主ピークを有し、また400cm-1
525cm-1の範囲には490cm-1にピークを有する
だけであった。また、X線回折測定においても、前記
(CS1.06n の回折パターンと同様のパターンが得ら
れ、25.5°にブロードなピークを有するのみであっ
た。
【0078】実施例5 実施例4の加熱処理において、処理温度を355℃と
し、処理温度での保持時間を5時間とした以外は、実施
例4と同様にしてポリ硫化カーボン(CS1.38 n を得
た。このポリ硫化カーボンについて実施例1と同様にラ
マン分析とX線回折測定を行った。
【0079】このポリ硫化カーボン(CS1.38n のラ
マン分析においては、前記(CS1. 06n とほぼ同様に
1442cm-1に主ピークを有し、また400cm-1
525cm-1の範囲には488cm-1にピークを有する
だけであった。また、X線回折測定では、24.7°に
ブロードなピークを有するのみであった。
【0080】実施例6 温度計、滴下漏斗、冷却管、窒素置換口および気密攪拌
器を付けた500mlの四つ口フラスコに、窒素ガスを
流しながら金属ナトリウムの切削片15gを入れ、無水
キシレン100mlを加えて110〜120℃のオイル
バスにて加熱環流させた。金属ナトリウムが溶融した
後、加熱を止めて強く攪拌した。次に、室温まで冷却し
てからキシレンを除去し、金属ナトリウムを10mlの
無水エーテルで2回洗浄し、これに二硫化炭素204g
を添加して55℃のオイルバスにて加熱環流しながら、
ジメチルスルホキシド180mlを5時間かけてゆっく
り滴下し、15時間環流した。その後、室温まで冷却し
て24時間放置した。
【0081】さらに、上記の反応液中の二硫化炭素を5
5℃で蒸発させ、残った液状物をオイルバスにて110
℃まで加熱した後、その温度で20時間反応させた。次
いで、室温まで冷却した後、反応生成物の入ったフラス
コを氷冷しながら250mlの純水を20分間かけてゆ
っくり加えた。次いで、60mlの濃塩酸を1時間かけ
て滴下することにより、黒茶色の懸濁液を得た。上記黒
茶色の懸濁液をデカンテーションして沈降した固形分を
分離し、アセトンおよび水で充分に洗浄した。さらに、
得られた赤茶色の固形物を真空中で185℃に保持しな
がら2時間乾燥して、中間生成物として一般式(CS
2.6 n で表される黒茶色の化合物33gを得た。この
化合物の合成方法は、特表平11−514128号公報
の実施例に記載の方法とほぼ同一である。
【0082】上記化合物をボールミルで10μm前後ま
で粉砕し、得られた粉末10gを、冷却管と窒素置換口
を取り付けた内容積300mlの三つ口フラスコ中に投
入し、そこに100mlの二硫化炭素を加え、アルゴン
雰囲気中で5時間環流することにより、上記化合物を構
成するイオウの一部を除去し、ジスルフィド結合に変化
させた。その後、室温まで冷却して遠心分離法で沈殿物
を収集し、50℃で12時間真空乾燥して、黒い金属光
沢を有するポリ硫化カーボン(CS1.13n を得た。こ
のポリ硫化カーボンについて実施例1と同様にラマン分
析とX線回折測定を行った。ラマン分析の結果を図4に
示す。
【0083】このポリ硫化カーボン(CS1.13n のラ
マン分析においては、1438cm -1に主ピークを有
し、また400cm-1〜525cm-1の範囲には489
cm-1にピークを有するだけであった。また、X線回折
測定では、25.5°にブロードなピークを有するのみ
であった。
【0084】実施例7 実施例6において、溶媒抽出により中間生成物をポリ硫
化カーボンに変化させる過程で用いた二硫化炭素に代え
て、ジメチルスルホキシドを用いた以外は、実施例6と
同様に溶媒抽出処理を行い、ポリ硫化カーボン(CS
1.11n を得た。このポリ硫化カーボンについて実施例
1と同様にラマン分析とX線回折測定を行った。
【0085】このポリ硫化カーボン(CS1.11n のラ
マン分析においては、1439cm -1に主ピークを有
し、また400cm-1〜525cm-1の範囲には489
cm-1にピークを有するだけであった。また、X線回折
測定では、25.5°にブロードなピークを有するのみ
であった。
【0086】実施例8 内容積2リットルの四つ口フラスコに、ドライアイスラ
ック付きの冷却管を装着して窒素置換をした。これをメ
タノール−ドライアイスバスにより冷却し、バス温度−
75.5℃で500mlのアンモニアをゆっくりと仕込
んで、−70℃以下で一晩保存した。
【0087】その後、内温−63℃で55.1gのナト
リウムを入れ、バス温度−76℃でアセチレンガスを4
70ml/分で2.5時間吹き込んだ。30分間攪拌
後、内温−63℃で135gのイオウを添加して、その
まま8時間反応させてから、76gの塩化アンモニウム
を添加し、−70℃で一晩放置した。次に、室温まで昇
温して3日間保存した。その後、塩酸で系のpHを2〜
3に調整して生成物を沈殿させた。これを濾過後、70
℃で乾燥して黒緑色の化合物約70gを得た。元素分析
の結果、合成した化合物中の炭素とイオウとの比はモル
比で1:5.5であった。この化合物の合成方法は、特
表平11−506799号公報の実施例に記載の方法と
ほぼ同一である。
【0088】次に、上記の化合物10gをトルエン中に
入れ、室温下5時間反応させて、遠心分離して沈殿物を
得た。得られた沈殿物をテトラグリム中に添加し、80
℃で8時間反応させて、ポリ硫化カーボン(CS1.09
n 約2.2gを得た。このポリ硫化カーボン(C
1.09n のラマン分析では、1435cm-1に主ピー
クを有し、また400cm-1〜525cm-1の範囲には
492cm-1にピークを有するだけであった。
【0089】比較例1 実施例1と同様にして、その中間生成物として一般式
(CS4.9 n で表される有機イオウ化合物を得て、こ
れを比較例1の有機イオウ化合物とした。
【0090】比較例2 実施例6と同様にして、その中間生成物として一般式
(CS2.6 n で表される有機イオウ化合物を得て、こ
れを比較例2の有機イオウ化合物とした。
【0091】これらの化合物(CS4.9 n および(C
2.6 n について、実施例1と同様にラマン分析とX
線回折測定を行った。化合物(CS2.6 n のラマン分
析の結果を図5に、X線回折の結果を図6に示す。化合
物(CS4.9 n および化合物(CS2.6 n のいずれ
についても、ラマン分析において、400cm-1〜52
5cm-1の間には、ポリスルフィドセグメントに基づく
多数のピークが重なって現れており、ジスルフィド結合
に対応するピークは認められなかった。また、1444
cm-1付近のピークは、本発明のポリ硫化カーボンのも
のよりブロードであることから、主として炭素で形成さ
れる骨格の構造があまり均一でないものと考えられる。
さらに、本発明のポリ硫化カーボンでは見られなかった
ピーク(1000cm-1付近のピークなど)も認めら
れ、本発明のポリ硫化カーボンとは分子構造がかなり異
なっているものと推定された。
【0092】また、(CS4.9 n および(CS2.6
n のいずれについても、X線回折測定では、多数の回折
ピークが認められたが、その回折ピークのほとんどがイ
オウの回折ピークで同定され、本発明のポリ硫化カーボ
ンに見られるような、結晶構造に基づくと考えられる明
瞭なピークは認められなかった。
【0093】以下の実施例では、上記実施例1〜6のポ
リ硫化カーボンおよび比較例1〜2の有機イオウ化合物
をそれぞれ正極活物質として用いた非水電解質二次電池
を作製し、その特性を評価した。
【0094】実施例9 まず、正極は以下のようにして作製した。実施例1〜6
のポリ硫化カーボンまたは比較例1〜2の有機イオウ化
合物について、その10重量部と、ロンザ社製グラファ
イト(KS−6)7.2重量部およびアセチレンブラッ
ク0.8重量部を混合用容器に入れ、乾式で10分間混
合した後、N−メチル−2−ピロリドン50重量部を添
加して30分間混合した。次いで、ポリフッ化ビニリデ
ンを12%含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液1
6.7重量部を加え、さらに1時間混合して正極合剤含
有ペーストを調製した。
【0095】得られた正極合剤含有ペーストを厚さ20
μmのアルミニウム箔(サイズ:250mm×220m
m)に塗布し、50℃のホットプレート上で10分間乾
燥した後、さらに真空中で120℃で10時間乾燥して
N−メチル−2−ピロリドンを除去することにより正極
合剤層を形成した。乾燥後の電極体を100℃に加温し
て加圧し、正極合剤層の厚みが20μmの正極を得た。
【0096】負極は、アルゴンガス雰囲気中で厚さ20
0μmの金属リチウム箔をニッケル網(サイズ:250
mm×220mm)上に載せ、ローラーで加圧して、金
属リチウム箔をニッケル網に圧着することによって作製
した。
【0097】電解液としては、重量比1:1のプロピレ
ンカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒
に、LiPF6 を1.4mol/l溶解させた溶液を用
いた。
【0098】そして、上記正極と負極を、厚さ80μm
のポリプロピレン不織布からなるセパレータを介してア
ルゴンガス雰囲気中で積層し、その積層電極体をナイロ
ンフィルム−アルミニウム箔−変性ポリオレフィン樹脂
フィルムの三層ラミネートフィルムからなる包装体に入
れ、電解液を注入した後、密閉して非水電解質二次電池
を作製した。この電池に、正極活物質1gあたり60m
Aに相当する電流値で充放電を行い(放電の終止電圧は
1.5V)、これを10サイクル繰り返し、3サイクル
目の放電容量と10サイクル目の放電容量を測定し、正
極活物質1gあたりの放電容量の変化を調べた。その結
果を表1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】表1に示す結果から明らかなように、本発
明のポリ硫化カーボン(CS0.9 n 、(C
1.02n 、(CS1.06n 、(CS1.1 n 、(CS
1.13n および(CS1.38n は、従来の有機イオウ化
合物(CS2.6 n および(CS4.9 n に比べて実装
電池での容量が大きく、また、電解液に対する安定性が
高いので、充放電サイクルでの容量低下が少なく、信頼
性の高い非水電解質二次電池を構成することができた。
特にポリ硫化カーボンを一般式(CSx n で表したと
きに、xが0.9〜1.3の範囲内にあるポリ硫化カー
ボンが優れた特性を示し、中でも、xが1〜1.1の範
囲内にあるポリ硫化カーボンが高い安定性を有してい
た。
【0101】実施例10 実施例9において、正極活物質として(CS1.06n
用い、正極合剤含有ペーストの調製にあたってグラファ
イト7.2重量部の代わりに、グラファイト5.7重量
部および平均粒径が5μmのニッケル粉末1.5重量部
を用いた以外は、実施例9と同様にして非水電解質二次
電池を作製した。
【0102】実施例11 実施例9において、正極活物質として(CS1.06n
用い、正極の集電体としてアルミニウム箔の代わりに、
厚さ10μmのニッケル箔を用いた以外は、実施例9と
同様にして非水電解質二次電池を作製した。
【0103】上記実施例10および実施例11の電池
と、実施例9において(CS1.06nを正極活物質とし
た電池に対し、前記と同じ充放電条件で充放電を50サ
イクル繰り返し、50サイクル目の放電容量を測定し
た。その結果を正極活物質1gあたりの放電容量として
表2に示す。
【0104】
【表2】
【0105】表2に示すように、実施例10および実施
例11の電池は、実施例9の電池に比べて、50サイク
ル目の放電容量が大きく、実施例10および実施例11
の電池では、正極にニッケルを含有させたことにより、
実施例9の電池に比べて充放電サイクル特性が大幅に向
上していた。
【0106】実施例12 実施例9において、(CS1.06n とNiSを重量比で
9:1〜4:6の範囲で含有する(ただし、両者の合計
は10重量部)正極合剤含有ペーストを調製し、実施例
9と同様にして非水電解質二次電池を作製した。すなわ
ち、この実施例12ではポリ硫化カーボン(CS1.06
n の一部をニッケルの硫化物で置換した電池を作製し
た。
【0107】上記実施例12の電池と、実施例9におい
て(CS1.06n を正極活物質とした電池に対し、ポリ
硫化カーボンとNiSの合計重量1gあたり150mA
に相当する電流値で充放電を行い(放電終止電圧:1.
0V)、これを10サイクル繰り返し、1サイクル目の
放電容量と10サイクル目の放電容量を測定した。その
結果を、(CS1.06n とNiSの合計重量1g当たり
の放電容量として表3に示す。なお、(CS1.06n
NiSとの合計は、前記のように10重量部であり、こ
の両者で正極合剤中の50重量%を占めている。
【0108】
【表3】
【0109】表3に示す結果から明らかなように、正極
中にニッケルの硫化物を含有させることにより、充放電
サイクルでの電流値を大きくした場合でも、正極の良好
な可逆性が維持され、充放電サイクルに伴う容量低下が
抑制されていた。また、ニッケルの硫化物の添加により
ポリ硫化カーボンの含有量は減少するが、ニッケルの硫
化物自身も活物質として作用するため、電池の放電容量
がほとんど低下しないので好適である。
【0110】また、(CS1.06n とNiSとの重量比
を8:2にした正極を作用極とし、リチウムを対極と
し、さらに別のリチウムを参照電極としてモデルセルを
構成し、10mV/秒の電位掃引速度でサイクリックボ
ルタンメトリーの試験を行った。このときに得られた上
記正極のサイクリックボルタモグラムを図7に示す。こ
の図7に示すサイクリックボルタモグラムでは、酸化ピ
ークと還元ピークの電位が接近しており、本発明のポリ
硫化カーボンの酸化および還元に対する可逆性が高いこ
とを示していた。
【0111】実施例13 以下の方法により、リチウムの硫化物を含有する電解液
を調製した。すなわち、テトラグリムと1,3−ジオキ
ソランとの体積比1:1の混合溶媒にLiCF 3 SO3
を1mol/lの濃度で溶解させて電解液とし、さら
に、湿気を遮断した雰囲気中で86.5gの前記電解液
に2.3gのLi2 Sと11.2gのイオウを添加し、
80℃で5時間環流して電解液中でLi2 8 を合成し
た。この電解液中におけるLi2 8 の含有量は0.5
mol/lであり、Li2 8 の合成に伴ってLiCF
3 SO3 の濃度は0.87mol/lに減少した。
【0112】次に、実施例11において、電解液として
上記Li2 8 を含有する電解液を用いた以外は、実施
例11と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
【0113】実施例14 実施例13において、電解液中のLi2 8 の含有量を
1.0mol/lとした以外は、実施例13と同様にし
て非水電解質二次電池を作製した。
【0114】実施例15 実施例14において、電解液の非水性溶媒としてジメチ
ルスルホキシドと1,3−ジオキソランとの体積比1:
1の混合溶媒を用いた以外は、実施例14と同様にして
非水電解質二次電池を作製した。
【0115】実施例16 実施例13において、正極活物質として(CS1.38n
を用いた以外は、実施例13と同様にして非水電解質二
次電池を作製した。
【0116】比較例3 実施例15において、正極として以下に記載するカーボ
ン電極を用いた以外は、実施例15と同様にして非水電
解質二次電池を作製した。この比較例3の電池における
正極は、グラファイト(KS−6):82%、アセチレ
ンブラック:8%、ポリフッ化ビニリデン:10%の構
成比で作製されたカーボン電極である。
【0117】上記実施例13〜16の各電池に対し、定
電流−定電圧充電と定電流放電による充放電サイクルを
50サイクル繰り返し、1サイクル目の放電容量と50
サイクル目の放電容量を測定し、ポリ硫化カーボン1g
あたりの放電容量の変化を調べた。なお、定電流−定電
圧充電における定電流充電は、ポリ硫化カーボンとLi
2 8 との合計重量1g当たり60mAに相当する電流
値とし、電圧の上限値を2.5Vに設定して行った。放
電の電流値は、定電流充電での電流値と同じ値とし、電
池電圧が1.5Vになるまで放電させた。その結果をポ
リ硫化カーボン1gあたりの放電容量として表4に示
す。
【0118】また、比較例3の電池に対しても、上記と
同様に充放電を行ったが、2サイクル目に正極が崩壊し
て充放電が不可能になった。すなわち、Li2 8 のみ
を活物質として用いた場合は、二次電池として機能しな
かった。また、このときの1サイクル目の放電容量は、
Li2 8 の1gあたり167mAh/gと低い値であ
った。
【0119】
【表4】
【0120】前記した表1や表2に記載のように、ポリ
硫化カーボンの放電容量は約600mAh/gである
が、電解液にリチウムの硫化物を含有させることによ
り、ポリ硫化カーボンの見かけの放電容量が大幅に増加
し、電池の高容量化を容易に達成することができた。し
かも、その大きな放電容量はサイクルを繰り返しても維
持された。これは、リチウムの硫化物が活物質として作
用しただけでなく、ポリ硫化カーボンと共存することに
より、互いに可逆性を向上させる効果が生じたことによ
るものと考えられる。すなわち、上記実施例13〜16
の電池は、固体の活物質(ポリ硫化カーボン)だけでな
く、電解液中に溶解された液体状活物質(リチウムの硫
化物)を用いたことにより、前記の実施例11などと同
一体積の電池でありながら、放電容量を大幅に増加させ
ることに成功したものである。もちろん、ポリマー電解
質の中にリチウムの硫化物を含有させることにより、ゲ
ル状活物質として用いてもよい。
【0121】実施例17 実施例1および実施例3〜5のポリ硫化カーボンを用
い、以下のようにして非水電解質二次電池を作製した。
上記実施例1および実施例3〜5のポリ硫化カーボン1
0重量部と、グラファイト(KS−6)2.2重量部お
よびアセチレンブラック0.8重量部とを混合用容器に
入れ、乾式で10分間混合した後、N−メチル−2−ピ
ロリドン20重量部を添加して30分間混合した。次い
で、ポリアニリンを7.4%含有するN−メチル−2−
ピロリドン溶液21.6重量部と、ポリフッ化ビニリデ
ンを12%含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液1
6.7重量部を加え、さらに1時間混合して正極合剤含
有ペーストを調製し、その正極合剤含有ペーストを用い
た以外は、実施例9と同様に非水電解質二次電池を作製
した。
【0122】実施例18 実施例17において、導電性ポリマーとしてポリピロー
ルを用いた以外は、実施例17と同様にして非水電解質
二次電池を作製した。
【0123】実施例19 Huntsman社製のアミン化合物(Jeffami
ne XTJ−502)100gをプロピレンカーボネ
ートとエチレンカーボネートとの重量比1:1の混合溶
媒130gに溶解し、これに坂本薬品社製のエポキシ樹
脂(SR−8EG)25.2gを添加して、室温下で攪
拌しながら7日間反応させた。この反応により得られた
アミン化合物の溶液に、LiCF3 SO3 を濃度が1.
0mol/lになるように加え、均一に溶解するまで攪
拌した。一方、三井化学社製のウレタン(AX−104
3)をメチルエチルカーボネートとエチレンカーボネー
トとの重量比2:1の混合溶媒に溶解し、さらにLiC
3 SO3 を濃度が1.0mol/lになるように加え
た溶液を調製した。上記アミン化合物を含む溶液とウレ
タンを含む溶液とを、アミンの活性水素とウレタンのイ
ソシアネート基とのモル比が1.1:1になるように混
合し、その混合溶液に平均厚さが80μmのポリブチレ
ンテレフタレート不織布を浸漬し、引き上げ後に2時間
放置してポリブチレンテレフタレート不織布を支持体と
するポリマー電解質を作製した。以上の操作はすべて露
点温度が−60℃以下のドライ雰囲気中で行った。
【0124】次に、電解液として、メチルエチルカーボ
ネートとエチレンカーボネートとの重量比2:1の混合
溶媒にLiCF3 SO3 を濃度が1.0mol/lにな
るように加えた溶液を調製し、さらに実施例17におい
て用いた(CS1.06n を活物質とする正極と負極を用
いて電池を組み立てた。上記正極および負極の表面を電
解液で湿らせ、さらに、それらの正極と負極とを上記ポ
リマー電解質を介して積層し、その積層体を実施例9と
同様の包装体に入れ、電解液を注入した後、密閉して非
水電解質二次電池を作製した。
【0125】実施例20 実施例17において、ポリアニリンを用いず、その代わ
りにグラファイトとアセチレンブラックを増量した以外
は、実施例17と同様にして非水電解質二次電池を作製
した。
【0126】上記実施例17〜20の各電池に対し、正
極活物質1gあたり60mAに相当する電流値で初期放
電を行った後、同様の電流値で充放電を行い(放電終止
電圧:1.5V)、低電流の負荷での正極活物質1gあ
たりの放電容量を調べた。次いで、前記と同じ充電を行
った後、正極活物質1gあたり300mAに相当する電
流値で放電を行い、負荷が大きくなったときの放電容量
の変化を調べた。その結果を表5に示す。
【0127】
【表5】
【0128】表5に示す結果から明らかなように、導電
性ポリマーを正極に含有させることにより、放電時の電
流値が大きくなっても放電容量の低下が少なく、大電流
負荷の用途に適した電池を得ることができる。
【0129】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、特に
非水電解質電池の活物質として有用性の高いポリ硫化カ
ーボンを提供することができた。すなわち、イオウを重
量比率で67重量%以上含有し、イオウと炭素の重量比
率が95重量%以上であって、かつ前記特定の物性を有
する本発明のポリ硫化カーボンを活物質として用いるこ
とにより、高容量でかつ充放電サイクルに伴う容量低下
が少なく信頼性の高い非水電解質二次電池を提供するこ
とができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたポリ硫化カーボン(CS
1.06n のラマンスペクトルを示す図である。
【図2】実施例1で得られたポリ硫化カーボン(CS
1.06n のX線回折パターンを示す図である。
【図3】実施例1で得られたポリ硫化カーボン(CS
1.06n および比較例1で得られた有機イオウ化合物
(CS4.9 n の熱重量−示差熱分析での重量変化を示
す図である。
【図4】実施例6で得られたポリ硫化カーボン(CS
1.13n のラマンスペクトルを示す図である。
【図5】比較例2で得られた有機イオウ化合物(CS
2.6 n のラマンスペクトルを示す図である。
【図6】比較例2で得られた有機イオウ化合物(CS
2.6 n のX線回折パターンを示す図である。
【図7】実施例12でポリ硫化カーボン(CS1.06n
とNiSの重量比を8:2とした正極のサイクリックボ
ルタモグラムを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 10/40 H01M 10/40 Z B A (31)優先権主張番号 特願2000−272531(P2000−272531) (32)優先日 平成12年9月8日(2000.9.8) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2000−272600(P2000−272600) (32)優先日 平成12年9月8日(2000.9.8) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 西濱 秀樹 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 長井 龍 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 4G046 MA01 MB08 MC01 MC04 5H029 AJ03 AJ05 AK01 AK05 AK16 AK18 AL01 AL03 AL06 AL07 AL12 AL16 AM03 AM04 AM05 AM07 AM16 CJ02 CJ12 DJ08 DJ09 EJ01 EJ07 HJ00 HJ01 HJ02 HJ11 HJ13 HJ14 5H050 AA07 AA08 BA05 BA16 BA17 CA01 CA11 CA22 CA29 CB01 CB03 CB07 CB08 CB12 CB20 CB22 DA09 DA13 EA11 GA02 GA12 HA00 HA01 HA02 HA11 HA13 HA14

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素とイオウを主な構成元素とし、イオ
    ウの重量比率が67重量%以上でかつ炭素とイオウの重
    量比率の合計が95重量%以上であって、そのラマンス
    ペクトルにおいて、ラマンシフトの1444cm-1付近
    に主ピークが存在し、かつ400cm-1〜525cm-1
    の範囲に存在するピークが実質的に490cm-1付近の
    ピークのみであることを特徴とするポリ硫化カーボン。
  2. 【請求項2】 炭素とイオウを主な構成元素とし、イオ
    ウの重量比率が67重量%以上でかつ炭素とイオウの重
    量比率の合計が95重量%以上であって、そのCuKα
    線によるX線回折において、回折角(2θ)が20°〜
    30°の範囲の回折パターンが、実質的に25°付近に
    ピークを有するブロードな回折ピークのみで表されるこ
    とを特徴とするポリ硫化カーボン。
  3. 【請求項3】 炭素とイオウを主な構成元素とし、イオ
    ウの重量比率が67重量%以上でかつ炭素とイオウの重
    量比率の合計が95重量%以上であって、室温から30
    0℃まで10℃/分の速度で加熱した際の熱重量分析に
    よる重量減少が5%以下であることを特徴とするポリ硫
    化カーボン。
  4. 【請求項4】 前記炭素とイオウの原子比率を1:xと
    した時に、xが0.9〜1.5であることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載のポリ硫化カーボン。
  5. 【請求項5】 一般式(CSx n (xは0.9〜1.
    5で、nは4以上の数である)で表される請求項4記載
    のポリ硫化カーボン。
  6. 【請求項6】 xが1.3以下であることを特徴とする
    請求項4または5記載のポリ硫化カーボン。
  7. 【請求項7】 炭素とイオウを主な構成元素とし、−S
    m −(m≧3)で表される構造を有する有機イオウ化合
    物に対し、該構造を有するイオウの一部を除去し、ジス
    ルフィド結合に変化させることによって請求項1〜6の
    いずれかに記載のポリ硫化カーボンとすることを特徴と
    するポリ硫化カーボンの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記構造を構成するイオウの一部を除去
    する方法が加熱によるものであることを特徴とする請求
    項7記載のポリ硫化カーボンの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記構造を構成するイオウの一部を除去
    する方法が溶媒抽出法によるものであることを特徴とす
    る請求項7記載のポリ硫化カーボンの製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜6のいずれかに記載のポリ
    硫化カーボンを活物質とする電極と非水電解質を用いた
    ことを特徴とする非水電解質電池。
  11. 【請求項11】 請求項1〜6のいずれかに記載のポリ
    硫化カーボンと、ニッケル、ニッケル合金、ニッケル複
    合体またはニッケル化合物のうちの少なくとも1種とを
    含有する正極を用いたことを特徴とする請求項10記載
    の非水電解質電池。
  12. 【請求項12】 前記ニッケル化合物がニッケルの硫化
    物であることを特徴とする請求項11記載の非水電解質
    電池。
  13. 【請求項13】 前記ニッケルの硫化物が、一般式Ni
    z (zは1〜5である)で表される化合物であること
    を特徴とする請求項12記載の非水電解質電池。
  14. 【請求項14】 請求項1〜6のいずれかに記載のポリ
    硫化カーボン以外の有機イオウ化合物、−Sy −(y≧
    3)で表される構造を有する化合物、リチウムの硫化物
    またはイオウのうちの少なくとも1種を電池内に含有し
    ていることを特徴とする請求項10記載の非水電解質電
    池。
  15. 【請求項15】 リチウムの硫化物を正極または非水電
    解質に含有していることを特徴とする請求項14記載の
    非水電解質電池。
  16. 【請求項16】 前記リチウムの硫化物が、一般式Li
    2 t (t≧2)で表される化合物であることを特徴と
    する請求項15記載の非水電解質電池。
  17. 【請求項17】 請求項1〜6のいずれかに記載のポリ
    硫化カーボンと、導電性ポリマーとを含有する正極を用
    いたことを特徴とする請求項10記載の非水電解質電
    池。
  18. 【請求項18】 リチウム、リチウム合金、リチウム含
    有複合化合物または炭素質材料のいずれかを活物質とす
    る負極を用いたことを特徴とする請求項10〜17のい
    ずれかに記載の非水電解質電池。
  19. 【請求項19】 非水電解質としてポリマー電解質を用
    いたことを特徴とする請求項10〜18のいずれかに記
    載の非水電解質電池。
  20. 【請求項20】 含フッ素有機リチウム塩またはイミド
    塩を含有する非水電解質を用いたことを特徴とする請求
    項10〜19のいずれかに記載の非水電解質電池。
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