JP4954385B2 - 非水電解質二次電池用電極及びそれを用いた非水電解質二次電池 - Google Patents
非水電解質二次電池用電極及びそれを用いた非水電解質二次電池 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、 特定の有機イオウ化合物を活物質とする電極と、その電極を用いた非水電解質電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
市場における携帯式電子デバイスの急速拡大に伴い、その電源として使用される電池の高性能化への要求はますます強くなっている。しかも、その一方で、より環境に優しい電池の開発が要求されている。そのような状況の中で、非水電解質電池(一次電池又は二次電池)の正極活物質として、低コストで環境負荷が小さく、しかも高容量であるイオウ(硫黄)やその誘導体に対する期待が高まっている。
【0003】
このイオウの二電子反応を電池に利用できるならば、理論的には元素イオウは1675mAh/gという大きな放電容量を有する活物質となる。しかし、イオウは絶縁性の高い物質であり、また、可逆性に乏しいため、アルカリ金属−イオウ電池では実際には低い利用率しか得られないのが現状である。しかも、高温でしか利用できないため、イオウやその誘導体の高い活性により電池ケースなどが侵食されるという問題があり、民生用の小型電池への応用は困難であると言われている。
【0004】
一方、アルカリ金属の硫化物など、有機溶媒に可溶な無機イオウ化合物も電池の正極活物質として利用できることが特開昭57−145272号公報などに記載されている。この無機イオウ化合物を用いた電池では、正極に多孔質のカーボン電極が用いられており、従来のイオウ電池より大電流での放電が可能であるが、電極を構成するカーボンが放電中に劣化しやすいため、主に一次電池として用いられてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
米国特許第4833048号には、(SRS)n(Rは脂肪族基又は芳香族基)で表される低分子量のジスルフィド系化合物を活物質として使用することが提案されている。しかし、具体的に記載された((C2H5)2NCSS)2などの化合物は、理論容量が低く、室温での酸化還元反応が遅く、且つ可逆性にも問題がある。
【0006】
また、炭素とイオウなどを主な構成元素とする高分子有機イオウ化合物の検討も進められており、特表昭60−502213号公報(WO85/01293号)においては、一般式(RaCSb)c〔Rは水素、アルカリ金属又は遷移元素、aは炭素−硫黄構造におけるRの存在度(0〜b/金属の原子価の値)、bは硫黄での置換度(0<b≦1)、cはポリマー炭素鎖におけるユニット数〕の形で表される有機イオウ化合物を活物質として使用することが提案されている。ところが、本発明者らが上記公報に開示の有機イオウ化合物の合成方法について検討したところ、以下の問題を有することが明らかとなった。
【0007】
即ち、ポリテトラフルオロエチレンやポリトリフルオロクロロエチレンのようなハロゲン化ポリエチレンやポリアセチレンなどのポリマーにイオウを付加する合成方法では、ハロゲン元素や水素などを完全にイオウで置換することは不可能であり、分子内にハロゲン元素や水素などが多く残存した有機イオウ化合物が生成しやすい。また、付加するイオウの量も制御できないため、均一な構造の化合物を得ることは非常に困難である。しかも、出発原料として不飽和結合を含まないポリマーを使用しているため、合成されるイオウ含有率の低い有機イオウ化合物の炭素骨格は基本的に飽和結合の炭素鎖であり、炭素−炭素間の原子間距離との関係で分子内に存在する炭素骨格とのジスルフィド結合が形成されにくいため、可逆的な充放電が難しく、放電容量も小さいという問題がある。
【0008】
一方、上記とは別の高分子有機イオウ化合物として、(CSx)y(xは1.2〜約50、yは2以上)などの一般式で表される有機イオウ化合物が、1000〜1600mAh/gという高いエネルギー密度を有することから注目されている。スコットハイム(Skotheim)らは、この化合物を非水電解質電池の正極活物質として用い、室温下でも高い電池容量を示す二次電池を提案している〔特開平7−29599号公報(米国特許第5441831号)、特表平11−506799号公報(WO96/41388号)、特表平11−514128号公報(WO96/41387号)など〕。この有機イオウ化合物は、硫化ナトリウムと元素イオウとを反応させ、更に有機クロライド化合物と反応させる方法、あるいは金属ナトリウムのアンモニア溶液中でアセチレンとイオウとを反応させる方法、金属ナトリウムを触媒として二硫化炭素とジメチルスルホンとを反応させる方法などにより製造することができる。この高分子有機イオウ化合物の分子構造は、主として炭素で形成された共役二重結合の構造を有する骨格と、その骨格に結合した−Sm−(m≧3)で表される構造(以下、ポリスルフィドセグメントという)を有することを特徴としている。
【0009】
しかし、上記有機イオウ化合物は合成過程での分子設計ができないため、得られる化合物のイオウ含率などを制御することが困難であり、単一構造の化合物が得られないという問題がある。また、生成した化合物には、一般に、低分子量又は高分子量のポリスルフィド化合物が多く混在しており、式(CSx)y中のyの値が大きくなるほど前記共役二重結合の構造の割合が減少し、ポリスルフィド化合物の割合が増える傾向がある。このポリスルフィド化合物や、あるいは上記有機イオウ化合物分子内のポリスルフィドセグメントは、充放電時に分解しやすい特質を有し、特に液状電解質(以下、電解液という)を用いた電池において、充放電時に分解して電解液中に溶解しやすく、化合物自体の安定性やそれを用いる電池の安定性を欠く大きな要因となる。その結果、電池の自己放電が比較的大きくなるだけでなく、充放電の可逆性を阻害する金属硫化物が形成され、サイクル寿命の短い電池しか構成できないという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、前記従来のイオウ系化合物を活物質として使用する場合の問題点を解決し、高容量で、且つ充放電サイクル特性や信頼性に優れた非水電解質電池を実現することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、以下の一般式(1)に示す構造を有する[1,2]ジチオロ[4,3−c]−1,2−ジチオール−3,6−ジチオン([1,2]Dithiolo[4,3-c]-1,2-dithiole-3,6-dithione)〔以下、「ジチオロジチオールジチオン」ともいう〕が非水電解質電池の活物質として好適に用いられることを見出した。この化合物は、炭素とイオウだけで構成された縮合複素環を有する芳香族化合物であって、ブタジエンの骨格を基本とし、分子内に共役二重結合を有している。このため、炭素原子と結合した各イオウ原子の酸化還元反応に対する可逆性が高く、電解液中での充放電に対しても良好な安定性が得られる。また、化合物中のイオウの含有率が80質量%と高いため、単位質量あたりの理論容量は約670mAh/gとなり、正極活物質として最も一般に用いられているLiCoO2の理論容量である137mAh/gに対して4倍以上の高容量化を実現できる。更に、融点が250℃と高く、熱的な安定性にも優れている。
【0012】
【化1】
【0013】
即ち、本発明の電極は、[1,2]ジチオロ[4,3−c]−1,2−ジチオール−3,6−ジチオンを活物質として用いたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の非水電解質電池は、少なくとも、前記電極と、非水電解質とを有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の非水電解質電池は、前記非水電解質が、ポリマー電解質であることが好ましい。
【0016】
また、本発明の非水電解質電池は、前記非水電解質の溶媒として、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、分子量が10000以下のポリオキサイド、及び分子内にイオウを含有する非水性溶媒からなる群から選択された少なくとも一種類を用いることが好ましい。
【0017】
また、本発明の非水電解質電池は、前記非水電解質の電解質塩として、含フッ素有機リチウム塩又はイミド塩を用いることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のジチオロジチオールジチオンを正極の活物質として用いた電極及び非水電解質電池について具体的に説明する。
【0019】
正極は、例えば以下の工程を経ることによって作成される。即ち、上記ジチオロジチオールジチオンからなる正極活物質に、必要に応じて、導電助剤やバインダーなどを加え、混合して正極合剤を調製する。次に、その正極合剤を溶剤で分散させてペーストにし、その正極合剤含有ペーストを金属箔などからなる正極集電体に塗布し、乾燥して、正極集電体の少なくとも一部に正極合剤層を形成して正極とする。ただし、正極の作製方法は、上記例示の方法に限られることはなく、他の方法によってもよい。
【0020】
上記ジチオロジチオールジチオン自体は、公知の化合物であり、市販品を購入して用いることができる。また、独自に合成することも可能である。
【0021】
上記導電助剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラックのような炭素質材料などが好適に用いられる。また、バインダーとしては、特に限定されないが、正極活物質に対して化学的に安定で且つ強い接着力を有する高分子化合物であることが好ましい。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、無定形ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリN−ビニルアセトアミド、溶媒に溶解性を有するポリアニリン、ポリピロール若しくはそれら化合物の共重合体、又はそれらを架橋させて形成される化合物などを挙げることができる。この中で、特にフッ素樹脂が、化学的安定性の点で好ましい。
【0022】
一方、負極の活物質としては、例えば、リチウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、スズ、ケイ素などのリチウムと合金化可能な元素とリチウムとの合金、前記リチウムと合金化可能な元素を含む酸化物、黒鉛などの炭素質材料、リチウム含有窒素化合物などが挙げられる。特に、高容量化の点からはリチウム又はリチウム合金を用いることが好ましい。
【0023】
負極の作製方法は、用いる負極活物質の種類によって大別して2つに分けられる。その一つは、負極活物質として金属や合金を用いる場合、金網、エキスパンドメタル、パンチングメタルなどの金属多孔体からなる負極集電体に負極活物質の金属や合金を圧着して負極を作製する方法である。また、負極活物質として炭素質材料などを用いる場合は、負極活物質に、必要に応じて、正極の場合と同様の導電助剤やバインダーなどを加え、混合して負極合剤を調製し、それを溶剤に分散させてペーストにし、その負極合剤含有ペーストを銅箔などからなる負極集電体に塗布し、乾燥して、負極集電体の少なくとも一部に負極合剤層を形成する工程を経ることによって作製される。ただし、負極の作製方法は上記例示の方法に限られることなく、他の方法によってもよい。
【0024】
非水電解質としては、電解液、ポリマー電解質、固体電解質のいずれも用いることができる。
【0025】
上記非水電解質として、先ず、電解液から説明すると、電解液は非水性溶媒に電解質塩を溶解させることによって調製される。
【0026】
この非水性溶媒としては、特に限定はされないが、イオウに対する親和性を有する溶媒が好ましく用いられる。そのような溶媒としては、トルエン、ベンゼンなどの芳香族系溶媒、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、テトラメチルエチレンジアミン、1,3−ジオキソラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、テトラグリムに代表される分子量10000以下のポリオキサイドなど、分子内に酸素又は窒素を含有する脂肪族系又は脂環族系の溶媒、あるいは、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの分子内にイオウを含有する非水性溶媒などが挙げられ、これらの溶媒はそれぞれ単独で、又は2種類以上の混合溶媒として用いることができる。これらの溶媒の中でも、特にジメチルスルホキシド、スルホラン(分子内にイオウを含有する非水性溶媒)、テトラグリム(分子量10000以下のポリオキサイド)、テトラヒドロフラン、ジオキソランのようなドナー性(電子供与性)の強い溶媒が好ましく、とりわけ、テトラヒドロフラン、ジオキソランなどの低粘度エーテルと他の溶媒とを組み合わせて用いるのが好ましい。
【0027】
また、上記溶媒以外にも、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトンなどの環状エステル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ビニレンカーボネート、プロピオン酸メチルなどの鎖状エステルやリン酸トリメチルなどのリン酸エステルなども用いることができる。ただし、これら溶媒の添加により電解質のイオン伝導度は高まるが、活物質の反応性を低下させる傾向があるため、組み合わせる溶媒の性質にもよるが、上記溶媒の添加量としては全構成溶媒中の20質量%以下が好ましい。
【0028】
上記溶媒に溶解させる電解質塩としては、リチウムのハロゲン塩又は過塩素酸塩、有機ホウ素リチウム塩、トリフロロメタンスルホン酸塩を代表とする含フッ素化合物の塩、イミド塩などが好適に用いられる。このような電解質塩の具体例としては、例えば、LiF、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiB(OC6H4COO)2、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiCF3CO2、Li2C2F4(SO3)2、LiN(CF3SO2)2、LiN(RfSO2)(Rf’SO2)、LiN(RfOSO2)(Rf’OSO2)、LiC(RfSO2)3、LiCnF2n+1SO3(n≧2)、LiN(RfOSO2)2〔ここで、RfとRf’はフルオロアルキル基〕などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で、又は2種類以上混合して用いることができる。
【0029】
この中でも、上記電解質塩として、炭素数2以上の含フッ素有機リチウム塩又はイミド塩が好適に用いられる。これは、上記含フッ素有機リチウム塩はアニオン性が大きく、且つイオン分離しやすいので上記溶媒に溶解しやすいからであり、またイミド塩は安定性が優れるからである。なお、電解液中における電解質塩の濃度は、特に限定されるものではないが、0.5mol/dm3以上が好ましく、また1.7mol/dm3以下が好ましい。
【0030】
次に、ポリマー電解質について説明する。ポリマー電解質は、上記電解液をゲル化したものに相当する。上記電解液をゲル化するためのゲル化剤としては、例えば、フッ化ビニリデンの共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルニトリルなどの直鎖状ポリマー又はそれらの共重合体、多官能モノマー(例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの四官能以上のアクリレートなど)より得られるポリマー化合物やアミン化合物とウレタンとの反応より得られるポリマー化合物などが用いられる。
【0031】
続いて、固体電解質について説明する。固体電解質とは、電解液を含有しない完全固体の電解質を意味する。固体電解質としては、無機系のものと有機のものとがあり、無機系固体電解質としては、例えば、ナトリウム−βアルミナ、60LiI−40Al2O3、Li3N、5LiI−4Li2S−2P2S5、Li3N−LiIなどが挙げられる。また、有機系固体電解質としては、例えば、無定形、低相転移温度(Tg)のポリエーテル、無定形フッ化ビニリデンの共重合体、異種ポリマーのブレンドしたものなどが挙げられる。
【0032】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0033】
(実施例1)
正極活物質としてアルドリッチ(Aldrich)社製のジチオロジチオールジチオン10質量部と、導電助剤としてティミカル(Timical)社製のグラファイト“KS−6”6.5質量部及びアセチレンブラック1質量部とを混合用容器に入れ、乾式で10分間混合した後、分散剤としてN−メチル−2−ピロリドン40質量部を添加して30分間混合した。次いで、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンを12質量%含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液21質量部を加え、更に1時間混合して正極合剤含有ペーストを調製した。
【0034】
得られた正極合剤含有ペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔(サイズ:250mm×220mm)に塗布し、50℃のホットプレート上で10分間乾燥した後、更に真空中で120℃で10時間乾燥してN−メチル−2−ピロリドンを除去して正極合剤層を形成した。乾燥後の電極体を加圧し、正極合剤層の厚みが20μmの正極を得た。
【0035】
負極は、アルゴンガス雰囲気中で厚さ200μmのリチウム箔をニッケル網(サイズ:250mm×220mm)上に載せ、ローラーで加圧してリチウム箔をニッケル網に圧着することによって作製した。
【0036】
電解液としては、テトラグリムと1,3−ジオキソランとを質量比で4:1の割合に混合した溶媒に、LiCF3SO3を1mol/dm3溶解させた溶液を用いた。
【0037】
そして、上記正極と負極を、厚さ40μmの多孔質ポリエチレンセパレータを介してアルゴンガス雰囲気中で積層し、その積層体をナイロンフィルム−アルミニウム箔−変性ポリオレフィン樹脂フィルムの三層ラミネートフィルムからなる包装体に入れ、電解液を注入した後、密閉して非水電解質二次電池を作製した。
【0038】
また、上記正極を20mm×20mmの大きさに切断して作用極とし、参照電極としてLiを用いてモデルセルを作製し、5mV/秒の電位掃引速度でサイクリックボルタンメトリーの試験を行なった。このとき得られたジチオロジチオールジチオンのサイクリックボルタモグラムを図1に示すが、この曲線の酸化側のピーク電位と還元側のピーク電位が接近していることから明らかなように、上記化合物は充電及び放電に対して高い可逆性を示すことがわかる。
【0039】
(実施例2)
電解液の溶媒として、ジメチルスルホキシドと1,3−ジオキソランとを質量比で4:1の割合に混合した溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
【0040】
(実施例3)
電解液の溶媒として、テトラグリムとエチルメチルカーボネートとを質量比で9:1の割合に混合した溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
【0041】
(実施例4)
下記化2の構造を有するハンツマン(Huntsman)社製のアミン化合物“Jeffamine XTJ−502”100質量部を実施例1と同じ電解液の混合溶媒130質量部に溶解し、これに坂本薬品社製のエポキシ樹脂“SR−8EG”25.2質量部を添加して、室温下で攪拌しながら7日間反応させた。
【0042】
【化2】
【0043】
この反応により得られたアミン化合物の溶液に、LiCF3SO3を濃度が1.0mol/dm3になるように加え、均一に溶解するまで攪拌した。一方、三井化学社製のウレタン(−NCO基の含率=8.6質量%)“AX−1043”を上記と同じ混合溶媒に溶解し、更にLiCF3SO3を濃度が1.0mol/dm3になるように加えた溶液を調製した。上記アミン化合物を含む溶液とウレタンを含む溶液とを、アミンの活性水素とウレタンのイソシアネート基のモル比が1.1:1になるよう混合し、その混合溶液に平均厚さが40μmのポリブチレンテレフタレート不織布を浸漬し、引き上げた後に2時間放置してポリブチレンテレフタレート不織布を支持体とするポリマー電解質を作製した。以上の操作はすべて露点温度が−60℃以下のドライ雰囲気中で行なった。
【0044】
次に、実施例1と同じ正極、負極及び電解液を用いて以下のようにして電池を組み立てた。即ち、正極及び負極の表面を電解液で濡らし、次に、上記ポリマー電解質を介してそれら正極と負極を積層し、以下、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
【0045】
(実施例5)
実施例1と同じ電解液の混合溶媒100質量部に、アトフィナ(Atofina)社製のフッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンとの共重合体(六フッ化プロピレンは約12質量%)“2801”20質量部を分散させ、更にLiCF3SO3を濃度が1.0mol/dm3になるように加えた分散溶液を調製し、その分散溶液に平均厚さが40μmのポリブチレンテレフタレート不織布を浸漬した後引き上げて、実施例4と同様にしてポリマー電解質を作製した。以下、実施例4と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
【0046】
(比較例1)
ジチオロジチオールジチオンに代えて、((C2H5)2NCSS)2を正極活物質として用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
【0047】
(比較例2)
ジチオロジチオールジチオンに代えて、一般式(CS4.9)nで表される高分子有機イオウ化合物を正極活物質として用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
【0048】
上記実施例1〜5及び比較例1、2の電池に対し、正極活物質1gあたり70mAに相当する電流値での充放電を10サイクル行ない(放電終止電圧:1.5V)、1サイクル目と10サイクル目の放電容量を測定した。その結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表1の結果より明らかなように、ジチオロジチオールジチオンを正極活物質として用いた本発明の実施例1〜5の非水電解質二次電池は、従来の有機イオウ化合物を用いた比較例1、2の電池と比較して、放電容量が大きく、充放電サイクルでの放電容量の低下が小さく、信頼性の高い非水電解質二次電池であることがわかる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ジチオロジチオールジチオンを活物質として用いることにより、高容量で、且つ充放電サイクルに伴う放電容量の低下が少なく、信頼性の高い非水二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ジチオロジチオールジチオンのサイクリックボルタモグラムを示す図である。
Claims (5)
- [1,2]ジチオロ[4,3−c]−1,2−ジチオール−3,6−ジチオンを活物質として用いたことを特徴とする非水電解質二次電池用電極。
- 少なくとも、請求項1に記載の非水電解質二次電池用電極と、非水電解質とを有することを特徴とする非水電解質二次電池。
- 前記非水電解質が、ポリマー電解質である請求項2に記載の非水電解質二次電池。
- 前記非水電解質の溶媒として、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、分子量が10000以下のポリオキサイド、及び分子内にイオウを含有する非水性溶媒からなる群から選択された少なくとも一種類を用いた請求項2又は3に記載の非水電解質二次電池。
- 前記非水電解質の電解質塩として、含フッ素有機リチウム塩又はイミド塩を用いた請求項2〜4のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
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