JP2002144938A - ヘッドレスト装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヘッドレストフレームを後傾方向に付勢する
付勢部材に乗員の人体が干渉せず確実な動作が保証され
るとともに、シートバックのサイズや厚さ等の制約を受
けないヘッドレスト装置を提供する。 【解決手段】 シートバックフレーム１のアッパーフレ
ーム３とヘッドレストフレーム１１との間に、ヘッドレ
ストフレーム１１の下端部を後方から前方に押して後傾
させるカンチレバー１３を装着する。カンチレバー１３
は、シートバックフレーム１の前方および幅方向外側に
突出しておらず、したがって、乗員の人体が干渉しない
とともに、シートバックのサイズや厚さに制約があって
も当該装置が装備可能である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用のシート
におけるシートバックに設けられ、追突を受けたときな
どに乗員が受けるムチ打ち障害を低減するためのヘッド
レスト装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図４は、従来のヘッドレスト装置３０を
備えたリクライニング式のシートバックの内部構造を示
している。同図で符合２１は正面から見て略逆Ｕ字状を
なすシートバックフレームであり、このシートバックフ
レーム２１は、下端に設けられたリクライニング軸２２
を介して図示せぬシートクッションに傾動自在に取り付
けられる。ヘッドレスト装置３０は、シートバックフレ
ーム２１の上下方向に延びる左右の部分の上端部に、ブ
ラケット２３を介して設けられている。

【０００３】同装置３０は、各ブラケット２３に対し傾
動軸を介して前後方向に傾動自在に取り付けられたコ字
状のヘッドレストフレーム３１と、このヘッドレストフ
レーム３１の下端部に固定された受圧プレート３２と、
ヘッドレストフレーム３１を後傾する方向に常時付勢す
るコイルスプリング３３とを主体として構成されてい
る。ヘッドレストフレーム３１の上端部には、図示せぬ
ヘッドレストのステーが装着されるヘッドレストホルダ
３４が取り付けられている。コイルスプリング３３は、
図５に示すように、シートバックフレーム２１と受圧プ
レート３２の端部に掛け渡され、受圧プレート３２を前
方に引っ張ることによりヘッドレストフレーム３１を後
傾する方向に常時付勢している。コイルスプリング３３
の装着形態に関しては、図６に示すように、シートバッ
クフレーム２１からリンク３５を介して受圧プレート３
２に連結される場合もある。ヘッドレストフレーム３１
は、ヘッドレストホルダ３４がシートバックフレーム２
１の上端部に当接することでそれ以上の後傾が規制さ
れ、定位置に保持される。

【０００４】上記ヘッドレスト装置３０によれば、追突
を受けるなどして自動車が衝撃的に前方に加速するに伴
い、その反動でシートに着座している乗員が後方に相対
的に移動すると、受圧プレート３２がコイルスプリング
３３の付勢力に抗して後方に押される。これに追従して
ヘッドレストフレーム３１が傾動軸を支点に前傾し、ヘ
ッドレストが前方に移動して乗員の頭部を支持する。図
７は、乗員の人体Ｍが後方に移動してヘッドレスト３６
が前方に移動する状態を示している。このように、ヘッ
ドレストが積極的に前方に移動して乗員の頭部を支持す
ることにより、乗員が受けるムチ打ち障害が低減され
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記従来のヘッドレス
ト装置３０では、ヘッドレストフレーム３１を後傾方向
に付勢するコイルスプリング３３は、前方から受圧プレ
ート３２を引っ張るレイアウトとなっている。このた
め、図８に示すように、シートバックのクッション２４
を押して後方に移動する乗員の人体Ｍがコイルスプリン
グ３３に干渉しやすく、また、シートバックフレーム３
１にもコイルスプリング３３が干渉する場合があり、ヘ
ッドレスト装置３０が確実に動作しないおそれがあっ
た。また、コイルスプリング３３からクッション２４の
表面までの距離（Ｌで示す）を十分にとれないため、ク
ッション２４を構成するウレタンフォーム等のパッド材
を薄く成形することになるが、これは困難を伴うもので
あった。さらに、自動車のサイズやシートのレイアウト
によってはシートバックの厚さや幅を小さくする要求が
あり、その場合、上記コイルスプリング３３を用いたヘ
ッドレスト装置３０をシートに装備させることは困難で
あった。

【０００６】よって、本発明は、ヘッドレストフレーム
を後傾方向に付勢する付勢部材に乗員の人体が干渉せず
確実な動作が保証されるとともに、シートバックのサイ
ズや厚さ等に制約がある場合にも装備させることができ
るヘッドレスト装置を提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、シートバック
のシートバックフレームに傾動軸を介して傾動自在に支
持され、傾動軸の上側にヘッドレストが装着されるヘッ
ドレストフレームと、このヘッドレストフレームにおけ
る傾動軸の下側に設けられ、シートバックの前面から後
方へ加わる荷重を受ける受圧部材と、シートバックフレ
ームとヘッドレストフレームとに係合し、ヘッドレスト
フレームを後傾する方向に常時付勢する付勢部材とを備
え、受圧部材が荷重を受けると、ヘッドレストフレーム
が傾動軸を支点に前傾してヘッドレストが前方に移動す
るようになされたヘッドレスト装置において、前記付勢
部材は、前記ヘッドレストフレームを後方から後傾する
方向に付勢するようになされていることを特徴とする。

【０００８】本発明によれば、ヘッドレストフレームを
後傾方向に常時付勢する付勢部材はヘッドレストフレー
ムを後方から後傾するように配設されている。すなわ
ち、その付勢部材はヘッドレストフレームの後方に配設
され、これによってシートバックフレームからの前方お
よび幅方向外側への突出を回避することができる。した
がって、乗員の人体が付勢部材に干渉せず確実な動作が
保証されるとともに、シートバックのサイズや厚さ等に
制約がある場合にも、当該ヘッドレスト装置を装備させ
ることができる。

【０００９】本発明の前記付勢部材は、シートバックフ
レームとヘッドレストフレームとに係合し、かつ、ヘッ
ドレストフレームを後方から後傾方向に付勢可能な構成
であれば、いかなるものでも用いることができるが、カ
ンチレバーまたは板バネが好適に用いられる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
実施形態を説明する。図１は、一実施形態に係るヘッド
レスト装置１０を備えたシートバックの内部構造の一部
を示している。同図で符合１は正面から見て略逆Ｕ字状
をなすシートバックフレームである。このシートバック
フレーム１は、左右一対のサイドフレーム２の上端に、
コ字状のアッパーフレーム３の両端がそれぞれ固定され
てなるもので、各サイドフレーム２の下端にわたって渡
された図示せぬリクライニング装置を介して、シートク
ッションに傾動自在に取り付けられる。ヘッドレスト装
置１０は、アッパーフレーム３の上下方向に延びる左右
の部分の上端部に、ブラケット４を介して設けられてい
る。

【００１１】ヘッドレスト装置１０は、各ブラケット４
に対し傾動軸（図示略）を介して前後方向に傾動自在に
取り付けられたコ字状のヘッドレストフレーム１１と、
このヘッドレストフレーム１１の下端部に固定された受
圧プレート（受圧部材）１２と、ヘッドレストフレーム
１１を後傾する方向に常時付勢するカンチレバー（付勢
部材）１３とを主体として構成されている。ヘッドレス
トフレーム１１は、両端を下方に向けてアッパーフレー
ム３の内部に収容される状態に配置されており、上下方
向に延びる左右の部分の上端から適当距離下方の部分
が、傾動軸を介してブラケット４に取り付けられてい
る。

【００１２】ヘッドレストフレーム１１の左右に延びる
上端部は傾動軸の上側に位置し、その上端部には、図示
せぬヘッドレストのステーが装着される左右一対のヘッ
ドレストホルダ１４が取り付けられている。一方、ヘッ
ドレストフレーム１１の上下に延びる左右の部分の下端
部は傾動軸の下側に位置し、その下端部の前面側に受圧
プレート１２が架け渡され、かつ固定されている。

【００１３】カンチレバー１３は、弾性を有する丸棒が
略コ字状に屈曲されてなるもので、開放側を上に向けた
状態で、図２および図３に示すように、両端部に形成さ
れた外側に突出する軸部１３ａが、それぞれ各ブラケッ
ト４に回動自在に装着されている。カンチレバー１３
は、図２および図３に示すように、軸部１３ａから下方
に延び途中が屈曲している左右の縦棒部１３ｂと、これ
ら縦棒部１３ｂの下端をつないで左右方向に延びる横棒
部１３ｃとを有している。そして、縦棒部１３ｂがヘッ
ドレストフレーム１１の外側において上下方向に延び、
横棒部１３ｃがヘッドレストフレーム１１の下端部の背
面側に配設されている。なお、図３の符合５はウレタン
フォーム等のパッド材によるクッションである。

【００１４】このように取り回されたカンチレバー１３
は、縦棒部１３ｂの弾性によって図２および図３の矢印
Ｆで指す前方に弾性復帰するようになされており、これ
によって横棒部１３ｃがヘッドレストフレーム１１の下
端部を前方に付勢している。すなわち、ヘッドレストフ
レーム１１は、カンチレバー１３によって後傾する方向
に常時付勢され、かつ、受圧プレート１２は前方に常時
付勢されている。ヘッドレストフレーム１１は、ヘッド
レストホルダ１４がアッパーフレーム３の上端部に当接
することでそれ以上の後傾が規制され、定位置に保持さ
れるようになっている。

【００１５】上記ヘッドレスト装置１０によれば、追突
を受けるなどして自動車が衝撃的に前方に加速するに伴
い、その反動でシートに着座している乗員が後方に相対
的に移動すると、受圧プレート１２がカンチレバー１３
の付勢力に抗して後方に押される。これに追従してヘッ
ドレストフレーム１１が傾動軸を支点に前傾し、ヘッド
レストが前方に移動して乗員の頭部を支持する。このよ
うに、ヘッドレストが積極的に前方に移動して乗員の頭
部を支持することにより、乗員が受けるムチ打ち障害が
低減される。

【００１６】本実施形態によれば、ヘッドレストフレー
ム１１を後傾方向に常時付勢するカンチレバー１３はヘ
ッドレストフレーム１１を後方から後傾するように配設
されている。すなわち、図３で明らかなように、カンチ
レバー１３はヘッドレストフレーム１１の後方に配設さ
れており、これによってシートバックフレーム１からの
前方および幅方向外側への突出が回避されている。した
がって、乗員の人体Ｍがカンチレバー１３に干渉せず、
確実な動作が保証される。また、シートバックのサイズ
や厚さ等に制約がある場合にも、カンチレバー１３がシ
ートバックフレーム１から突出しないことからクッショ
ンの厚さを確保することができ、かつ、当該ヘッドレス
ト装置１０を装備させることができる。

【００１７】上記実施形態のカンチレバー１３は本発明
の付勢部材の一具体例であり、本発明の付勢部材はこの
ようなカンチレバー１３に限定されない。本発明の付勢
部材は、シートバックフレーム１とヘッドレストフレー
ム１１とに係合し、かつ、ヘッドレストフレーム１１を
後方から後傾方向に付勢可能な構成であればいかなるも
のでも用いることができ、例えば、板バネ等を適宜に採
用することもできる。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ヘ
ッドレストフレームを後傾方向に常時付勢する付勢部材
を、ヘッドレストフレームの後方から付勢するように構
成したので、付勢部材に乗員の人体が干渉せず確実な動
作が保証されるとともに、シートバックのサイズや厚さ
等に制約がある場合にも装備させることができるといっ
た効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施形態に係るヘッドレスト装置
を備えたシートバックの内部構造の一部を示す斜視図で
ある。

【図２】 本発明の一実施形態に係るヘッドレスト装置
の側面図である。

【図３】 本発明の一実施形態に係るヘッドレスト装置
の作用を説明するためのシートバックの一部横断面図で
ある。

【図４】 従来のヘッドレスト装置を備えたシートバッ
クの内部構造を示す斜視図である。

【図５】 従来のヘッドレスト装置に備えられた付勢部
材の取付構造を示す斜視図である。

【図６】 従来の付勢部材の取付構造の別形態を示す斜
視図である。

【図７】 従来のヘッドレスト装置の作用を模式的に示
す側面図である。

【図８】 従来のヘッドレスト装置の作用を説明するた
めのシートバックの一部横断面図である。

【符号の説明】

１…シートバックフレーム １０…ヘッドレスト装置 １１…ヘッドレストフレーム １２…受圧プレート（受圧部材） １３…カンチレバー（付勢部材）

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートバックのシートバックフレームに
   傾動軸を介して傾動自在に支持され、傾動軸の上側にヘ
   ッドレストが装着されるヘッドレストフレームと、 このヘッドレストフレームにおける前記傾動軸の下側に
   設けられ、前記シートバックの前面から後方へ加わる荷
   重を受ける受圧部材と、 前記シートバックフレームと前記ヘッドレストフレーム
   とに係合し、ヘッドレストフレームを後傾する方向に常
   時付勢する付勢部材とを備え、 前記受圧部材が前記荷重を受けると、前記ヘッドレスト
   フレームが前記傾動軸を支点に前傾して前記ヘッドレス
   トが前方に移動するようになされたヘッドレスト装置に
   おいて、 前記付勢部材は、前記ヘッドレストフレームを後方から
   後傾する方向に付勢するようになされていることを特徴
   とするヘッドレスト装置。
2. 【請求項２】 前記付勢部材はカンチレバーであること
   を特徴とする請求項１に記載のヘッドレスト装置。
3. 【請求項３】 前記付勢部材は板バネであることを特徴
   とする請求項１に記載のヘッドレスト装置。