JP2002134278A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用いた表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用いた表示装置

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JP2002134278A
JP2002134278A JP2000327645A JP2000327645A JP2002134278A JP 2002134278 A JP2002134278 A JP 2002134278A JP 2000327645 A JP2000327645 A JP 2000327645A JP 2000327645 A JP2000327645 A JP 2000327645A JP 2002134278 A JP2002134278 A JP 2002134278A
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organic
thin film
cathode
carbon thin
electrode
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JP2000327645A
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English (en)
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Hiroyuki Okita
裕之 沖田
Toshitaka Kawashima
利孝 河嶋
Mitsunori Ueda
充紀 植田
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高効率、長寿命且つ製造が容易である。 【解決手段】 一対の接触電極3,7間に有機発光材料
を含む有機エレクトロルミネッセンス層5が配され、こ
れら接触電極3,7間に電圧を印加することにより有機
エレクトロルミネッセンス層5が発光する有機エレクト
ロルミネッセンス素子1において、上記一対の接触電極
3,7のうち、陰極として機能する接触電極が、カーボ
ン薄膜を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一対の接触電極間
に有機発光材料を含む有機エレクトロルミネッセンス層
が配されて構成される有機エレクトロルミネッセンス素
子及びそれを用いた表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトロルミネッセンス素子(以下、
EL素子と称する。)は、発光材料に電界を加えること
で励起し、発光させる素子である。このEL素子は、使
用される発光材料により、無機EL素子と有機EL素子
とに分類される。
【0003】このうち、有機EL素子は、陽極と陰極と
の間に、発光材料として有機化合物を用いた発光層を挟
み込んだものである。有機EL素子では、陽極及び陰極
から正孔及び電子が発光層に注入され、それらが発光層
中で再結合する際の再結合エネルギーによって発光中心
が励起される。そして、有機EL素子の電極の少なくと
も一方を透明にすることによって、面状の発光体を得る
ことができる。
【0004】このように、有機EL素子は、自己発光性
であり、液晶ディスプレイに比べて応答速度が大きく、
視野角依存性がない等の長所を有している。また、有機
EL素子は、無機EL素子に比べてはるかに低電圧で駆
動させることが可能である。これらの利点を有すること
から、有機EL素子の研究開発は、近年極めて盛んに行
われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、有機EL素
子には、さらに低い電圧での駆動が可能であること、長
期にわたって良好な性能を維持できること、また、効率
的な量産が可能であること等の特性が求められている。
すなわち高効率、長寿命、及び製造が容易な有機EL素
子が望まれている。
【0006】上述のような有機EL素子を実現するため
に、有機EL素子の陰極材料に求められる理想的な特性
として、効率良い電子の注入が可能となるように仕事関
数が低いこと、導電性が良好であること、化学的に安定
であること、作製が容易であり量産可能であること等が
挙げられる。
【0007】しかしながら、上述したような特性を充分
に満足する陰極材料は、現状では未だ見出されていな
い。
【0008】例えばCaは、低い仕事関数を有するもの
の、化学的反応性が高いという欠点を有する。このた
め、Caを陰極材料として用いた場合、陰極に含まれる
Caが陰極近傍の有機材料と化学反応を起こして、有機
EL素子の性能を劣化させる虞がある。
【0009】また、例えばAlは、化学的な安定性に優
れるものの、仕事関数が高いという欠点を有する。この
ため、Alを陰極材料として用いた場合、発光層へ電子
を注入するために高い電圧が必要となる。したがって、
オーム損失が大きくなるため、有機EL素子の効率が低
下してしまう。また、高電圧が印加されることにより強
い電界が生じるため、相互拡散の促進、寄生化学反応等
を引き起こし、有機EL素子の劣化を促進させてしま
う。
【0010】そこで本発明はこのような従来の実情に鑑
みて提案されたものであり、高効率、長寿命且つ製造が
容易な有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用
いた表示装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子
は、一対の接触電極間に有機発光材料を含む有機エレク
トロルミネッセンス層が配され、これら接触電極間に電
圧を印加することにより有機エレクトロルミネッセンス
層が発光する有機エレクトロルミネッセンス素子におい
て、上記一対の接触電極のうち、陰極として機能する接
触電極が、カーボン薄膜を有することを特徴とする。
【0012】また、本発明に係る表示装置は、一対の接
触電極間に有機発光材料を含む有機エレクトロルミネッ
センス層が配されてなる有機エレクトロルミネッセンス
素子が基板上にマトリクス状に配列され、駆動回路によ
り上記接触電極間に選択的に電圧を印加することにより
各有機エレクトロルミネッセンス素子の発光が制御され
画像が表示される表示装置において、上記エレクトロル
ミネッセンス素子を構成する一対の接触電極のうち、陰
極として機能する接触電極が、カーボン薄膜を有するこ
とを特徴とする。
【0013】以上のように構成された有機エレクトロル
ミネッセンス素子及びそれを用いた表示装置に用いられ
るカーボン薄膜は、仕事関数が低く、化学的に安定であ
るとともに、成膜が容易である。すなわち、このカーボ
ン薄膜を有機エレクトロルミネッセンス素子の陰極とし
て用いることで、電子注入性が大きいので低電圧での駆
動が可能であり、性能劣化が抑制され、作製が容易な有
機エレクトロルミネッセンス素子が実現される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る有機エレクト
ロルミネッセンス素子及びそれを用いた表示装置につい
て、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】図1は、本発明を適用した有機エレクトロ
ルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と称する。)
の一例を示した要部断面図である。
【0016】有機EL素子1は、透明な基板2と、基板
2上に形成された陽極である第1電極3と、第1電極3
上に形成された有機EL層9と、有機EL層9上に形成
された陰極である第2電極7と、陰極である第2電極7
及び有機EL素子1を覆うように形成された保護層8と
を備えて構成される。
【0017】基板2は、有機EL素子1の支持体となる
ものであり、この基板2上に有機EL素子1を構成する
各層が形成される。
【0018】基板2に用いる材料としては、透光性を有
し、光学特性が良好な材料を用いることができ、例えば
ガラス、プラスチック等を用いることができる。
【0019】陽極である第1電極3に用いる陽極材料と
しては、効率良く正孔を注入するために電極材料の真空
準位からの仕事関数が大きく、導電性が良好であり、ま
た、陽極側から有機電界発光を取り出すことを可能とす
るために、透光性を有する材料を用いることが好まし
い。このような材料としては、例えばITO(Indium T
in Oxide)、SnO2、Sb含有SnO2、Al含有Zn
O等の酸化物、Au薄膜等が挙げられる。また、陽極材
料として、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性高
分子薄膜を用いても良い。
【0020】そして、上述した陽極の厚みは、30nm
以上、200nm以下とすることが好ましい。これは、
陽極の厚みが30nm未満の場合、厚みが薄すぎるため
に陽極として充分に機能しなくなるからである。また、
陽極の厚みが200nmよりも厚い場合には、可視光の
透過率が悪くなり、実用に適さなくなるからである。
【0021】有機EL層9は、正孔輸送層4と、発光層
5と、電子輸送層6とを備えて構成され、これら各層が
この順で陽極上に形成されてなる。
【0022】正孔輸送層4は、陽極から注入された正孔
を発光層5まで輸送する。正孔輸送材料として使用可能
な材料としては、ベンジン、スチリルアミン、トリフェ
ニルメタン、ポルフィリン、トリアゾール、イミダゾー
ル、オキサジアゾール、ポリアリールアルカン、フェニ
レンジアミン、アリールアミン、オキサゾール、アント
ラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、又は
これらの誘導体、並びにポリシラン系化合物、ビニルカ
ルバゾール系化合物、チオフェン系化合物、アニリン系
化合物等の複素環式共役系のモノマ、オリゴマ、ポリマ
等が挙げられる。
【0023】具体的には、α−ナフチルフェニルジアミ
ン、ポルフィリン、金属テトラフェニルポルフィリン、
金属ナフタロシアニン、4,4’,4”−トリメチルト
リフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(3−メチ
ルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)トリ
フェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(p
−トリル)p−フェニレンジアミン、N,N,N’,
N’−テトラフェニル4,4’−ジアミノビフェニル、
N−フェニルカルバゾール、4−ジ−p−トリルアミノ
スチルベン、ポリ(パラフェニレンビニレン)、ポリ
(チオフェンビニレン)、ポリ(2,2’−チエニルピ
ロール)等が挙げられるが、これらに限定されるもので
はない。
【0024】発光層5では、電子と正孔が結合して、そ
の結合エネルギーが光として放射される。図1において
は、発光層5が独立して設けられているが、正孔輸送層
4と発光層5とを兼ねた正孔輸送性発光層や、電子輸送
層6と発光層5とを兼ねた電子輸送性発光層を用いるこ
ともできる。正孔輸送性発光層を用いた場合には、陽極
から正孔輸送性発光層に注入された正孔が電子輸送層に
よって閉じこめられるため、再結合効率が向上する。ま
た、電子輸送性発光層を用いた場合には、陰極から電子
輸送性発光層に注入された電子が電子輸送性発光層に閉
じこめられるため、正孔輸送性発光層を用いた場合と同
様に再結合効率が向上する。
【0025】発光層5の材料としては、電圧印加時に陽
極側から正孔を、また、陰極側から電子を注入できるこ
と、注入された電荷、すなわち正孔及び電子を移動さ
せ、正孔と電子が再結合する場を提供できること、発光
効率が高いこと等の条件を満たしている例えば低分子蛍
光色素、蛍光性の高分子、金属錯体等の有機材料を使用
することができる。
【0026】このような材料としては、例えばアントラ
セン、ナフタリン、フェナントレン、ピレン、クリセ
ン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、ス
チルベン、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯
体、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体、トリ
(ジベンゾイルメチル)フェナントロリンユーロピウム
錯体、ジトルイルビニルビフェニル等を挙げることがで
きる。
【0027】電子輸送層6は、陰極である第2電極7か
ら注入された電子を発光層5まで輸送する。電子輸送層
6の材料として使用可能な材料としては、キノリン、ペ
リレン、ビススチリル、ピラジン、又はそれらの誘導体
が挙げられる。
【0028】具体的には、8−ヒドロキシキノリンアル
ミニウム、アントラセン、ナフタリン、フェナントレ
ン、ピレン、クリセン、ペリレン、ブタジエン、クマリ
ン、アクリジン、スチルベン、又はこれらの誘導体等が
挙げられる。
【0029】本発明を適用した有機EL素子1では、陰
極である第2電極7として、カーボン薄膜を用いてい
る。カーボン薄膜は、仕事関数が低い材料であるため、
陰極である第2電極7の電子注入効率を向上させる。こ
れにより、有機EL素子1は、低電圧での駆動が可能と
なり、高効率な有機EL素子となる。また、カーボン薄
膜は化学的に安定な材料であるため、陰極である第2電
極7と第2電極7近傍の有機材料とが化学反応を起こす
ことに起因する有機EL素子の性能劣化が抑制される。
これにより、有機EL素子1は長寿命化を実現すること
ができる。また、陰極である第2電極7に用いられるカ
ーボン薄膜は、大面積の成膜が可能であり、同様の特性
を示す単結晶ダイヤモンド薄膜に比べて成膜が極めて容
易である。したがって、有機EL素子の陰極としてカー
ボン薄膜を用いることにより、有機EL素子1の効率良
い量産が可能となる。
【0030】ここで、カーボン薄膜とは、炭素を主な構
成要素とし、化学結合として例えばグラファイトに代表
されるsp2結合と単結晶ダイヤモンドに特徴的なsp3
結合との両方を含んだ状態で成膜されるカーボンからな
る薄膜の総称であり、アモルファス又は多結晶性の薄膜
全てを指すこととする。
【0031】なお、カーボン薄膜は、成膜方法や成膜条
件等により、抵抗値、硬度、熱伝導度等の特性が大きく
異なってくる。このため、有機EL素子の陰極として用
いるために、カーボン薄膜には、成膜条件を最適化した
り、不純物を添加する等により、適度な導電性を持たせ
ることが好ましい。
【0032】このようなカーボン薄膜としては、例えば
ダイヤモンドライクカーボン(Diamond like carbon:
以下、DLCと称する。)、四面体アモルファスカーボ
ン(Tetrahedral amorphous carbon:以下、Ta−Cと
称する。)等が挙げられる。
【0033】ここで、DLCとは、主に炭素、或いは主
に炭素又は水素で構成される非晶質のカーボン薄膜のこ
とで、特にsp3結合とsp2結合とが混在した状態の薄
膜のことを指すこととする。sp3結合とsp2結合との
混在比に関してはsp3結合成分(四面体結合成分)が
多いため、DLCは、硬度、絶縁性、熱伝導性、光透過
性、化学的な安定性等について単結晶ダイヤモンドに近
い優れた特性を示す。
【0034】また、Ta−Cとは、上述したDLCのう
ち、一般に、水素等を含まず炭素のみから構成される非
晶質のカーボン薄膜であり、sp3結合とsp2結合との
混在比に関しては、sp3結合成分の占める割合が80
%程度以上のものを指すこととする。
【0035】陰極である第2電極として上述のようなカ
ーボン薄膜を成膜する手法としては、例えば化学気相成
長法(Chemical Vapor Deposition:以下、CVD法と
称する。)、マグネトロンスパッタ法やイオンビームス
パッタ法等のスパッタリング法、イオンビームプレーテ
ィング法、真空アーク法等の従来公知の方法が挙げられ
る。
【0036】CVD法によってカーボン薄膜を成膜する
場合には、例えば作製途中の有機EL素子を配置した真
空容器中に炭化水素ガス、或いは炭化水素ガスと不活性
ガスとの混合ガスを導入し、10Pa〜100Pa程度
の圧力に保持した状態で、真空容器内にて放電を行う。
そして、炭化水素ガスのプラズマを発生させ、例えば有
機EL素子の有機EL層上にカーボン薄膜、すなわち陰
極である第2電極を形成する。
【0037】放電形式としては、外部電極方式、内部電
極方式のいずれでもよく、放電周波数については、実験
的に決めることができる。
【0038】CVD法を行う際にカーボン薄膜の材料と
なる上記炭化水素としては、例えばメタン、エタン、プ
ロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オク
タン、エチレン、アセチレン、プロペン、ブテン、ペン
テン、ベンゼン等を用いることができる。
【0039】また、マグネトロンスパッタリング法によ
ってカーボン薄膜を形成する場合には、先ず、排気装置
及びガス導入装置を備える真空容器内に、アノード電極
に作製途中の有機EL素子と、カソード電極にカーボン
からなるターゲットとをそれぞれ配置する。次に、減圧
した真空容器内に例えばアルゴンガスを導入し、高電圧
を印加してアルゴンガスをプラズマ化させる。これによ
り、アルゴンガスがプラズマ化し、電離されたイオンが
ターゲットに衝突することにより、ターゲットの原子が
はじき出される。そして、このターゲットからはじき出
された原子が例えば作製途中の有機EL素子の有機EL
層上に付着し、カーボン薄膜、すなわち陰極である第2
電極が形成される。
【0040】保護層8は、有機EL素子1の駆動の信頼
性を確保するため、また、有機EL素子1の劣化を防止
するために、有機EL素子1を封止し、酸素や水分を遮
断する作用をするものである。保護層8に用いられる材
料としては、気密性を保つことが可能な金属単体、若し
くはその合金等を適宜選択して用いることができる。保
護層8は、陰極上だけではなく、図1に示すように有機
EL素子1全体を覆うように形成することが好ましい。
有機EL素子全体1を覆うように保護層8を形成するこ
とにより、外部からの酸素や水分の有機EL素子1内へ
の侵入を防ぐことができるからである。
【0041】保護層8に用いられる材料としては、具体
的には、アルミニウム、金、クロム、ニオブ、タンタ
ル、チタン、酸化シリコン等を挙げることができる。た
だし、保護層8に用いられる材料が導電性を有する場合
には、電極の短絡を防止するために、絶縁性の膜を適宜
設けることが望ましい。
【0042】また、上述した有機EL素子1を構成する
各層は、それぞれが複数層からなる積層構造とされてい
ても良い。
【0043】例えば、陰極である第2電極7が、カーボ
ン薄膜と他の材料との積層構造や、添加される不純物濃
度の異なるカーボン薄膜の積層構造や、成膜方法及び/
又は成膜条件を変化させたカーボン薄膜の積層構造であ
っても構わない。
【0044】具体的には、有機EL層9上に、先ずsp
3結合成分を多く含むカーボン薄膜を成膜し、次にsp
2結合成分を多く含むカーボン薄膜を成膜することによ
り、積層構造の陰極である第2電極7を形成することが
できる。陰極である第2電極7をこのようなカーボン薄
膜の積層構造にすることにより、この第2電極7は、低
い仕事関数と高い導電性とを実現するものとなる。
【0045】以上のように構成された有機EL素子1
は、陽極と陰極との間に直流電圧を選択的に印加するこ
とにより、陽極から注入された正孔が正孔輸送層4を経
て、また陰極から注入された電子が電子輸送層6を経て
移動し、それぞれ発光層5に到達する。その結果、発光
層5においては、電子と正孔との再結合が生じ、ここか
ら所定波長の発光を発生する。また、有機材料を選択す
ることにより、R、G、Bの三色を発光するフルカラー
用、マルチカラー用の有機EL素子とすることができ
る。この有機EL素子1は、例えばディスプレイ用とし
て用いることができるが、その他にも光源等としても使
用可能であり、種々の光学的用途等に用いることが可能
である。
【0046】この有機EL素子1では、陰極材料として
カーボン薄膜を用いているため、陰極である第2電極7
は、仕事関数が低く、化学的に安定なものとなる。ま
た、第2電極7は、例えば単結晶ダイヤモンド薄膜に比
べて、大面積での成膜が極めて容易である。これによ
り、陰極である第2電極7の電子注入効率が飛躍的に向
上し、有機EL素子1は、低電圧での駆動が可能となる
とともに、陰極である第2電極に起因する性能劣化が抑
制され、長期にわたる安定な動作を実現するものとな
る。また、陰極である第2電極7を容易に作製できる。
したがって、例えば有機エレクトロルミネッセンス表示
装置の発光素子として用いられた際に、本発明を適用し
た有機EL素子は、当該有機エレクトロルミネッセンス
表示装置の高効率及び長寿命を実現するとともに、当該
有機エレクトロルミネッセンス表示装置の効率良い量産
を可能とする。
【0047】次に、本発明を適用した有機エレクトロル
ミネッセンス表示装置(以下、有機EL表示装置と称す
る。)について、有機EL表示装置の概略斜視図である
図2を用いて説明する。
【0048】この有機EL表示装置11は、基板2上に
多数形成された有機EL素子1を有する画面部12と、
画面部12の駆動制御を行う駆動回路部13a,13b
と、有機EL表示装置11全体に電源を供給する図示し
ない電源回路とを備えて構成される。また、画面部12
は、各有機EL素子1を駆動するために各有機EL素子
1と各駆動回路部13a,13bとを接続する配線14
a,14bとを備えている。
【0049】この画面部12は、電子輸送層6と発光層
5と正孔輸送層4とが積層されてなる有機EL層9を、
配線14aを介して駆動回路部13aと接続された、陽
極である多数の第1電極3と、配線14bを介して駆動
回路部13bと接続された、陰極である多数の第2電極
7との間に挟み込んで構成される。
【0050】具体的な画面部12の要部斜視図を、図3
に示す。この画面部21は、基板2上にストライプ状
(帯状)に陽極である第1電極3が複数設けられ、その
上に正孔輸送層4と発光層5と電子輸送層6とが積層さ
れてなるシート状の有機EL層9が設けられている。そ
して、さらに陽極である第1電極3と直交するようにし
てストライプ状(帯状)の陰極である第2電極7が複数
設けられ、その上に保護層8が設けられて構成されたも
ので、陽極である第1電極3と陰極である第2電極7と
が交差する位置に有機EL素子1が形成されている。
【0051】以上のように構成された有機EL表示装置
11は、駆動回路部13a,13bによって陽極である
第1電極3と陰極である第2電極7との交差位置におけ
る有機EL層9に時系列に信号電圧を印加することによ
り有機EL層9が発光し、所定の画像を表示する。
【0052】以上のように構成された有機EL表示装置
11は、有機EL素子1の陰極である第2電極7として
カーボン薄膜を用いる。このカーボン薄膜は、仕事関数
が低く、導電性が良好であるとともに、化学的に安定な
材料である。また、カーボン薄膜は、例えば単結晶ダイ
ヤモンド薄膜に比べて、大面積での成膜が極めて容易で
ある。このため、有機EL素子1は、低電圧での駆動が
可能となるとともに、長期にわたる安定な動作を実現す
るものとなる。また、陰極である第2電極7を容易に作
製できる。したがって、このような有機EL素子1を用
いることによって、高効率、長寿命且つ製造が容易な有
機EL表示装置11が実現される。
【0053】なお、上述の説明では、基板上に、陽極と
正孔輸送層と発光層と電子輸送層と陰極とがこの順に積
層されてなる有機EL素子及び表示装置を例に挙げた
が、本発明はこれに限定されるものではない。例えば本
発明は、基板上に、陰極と電子輸送層と発光層と正孔輸
送層と陽極とがこの順に積層されてなる有機EL素子に
適用することももちろん可能である。また、この場合、
発光層は、正孔輸送層と発光層との機能を兼ねた正孔輸
送性発光輸送層や、電子輸送層と発光層との機能を兼ね
た電子輸送性発光層であっても構わない。
【0054】なお、陽極である第1電極や陰極である第
2電極に対しては、発光層からの光を遮光しない範囲
で、導電性の非常に良い金属が補助電極として設けられ
ていても構わない。これにより、陽極として用いられる
ITOや、陰極として用いられるカーボン薄膜の配線抵
抗を改善することが可能となる。補助電極として用いら
れる具体的な金属としては、アルミニウム、金、銀等が
挙げられる。
【0055】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、陰極と
してカーボン薄膜を用いるため、仕事関数が低く、化学
的に安定なものとなる。また、本発明に係る有機エレク
トロルミネッセンス素子は、陰極の成膜が極めて容易で
ある。したがって、本発明によれば、低電圧での駆動が
可能となり、長期にわたって陰極に起因する性能劣化が
抑制され、且つ効率良い量産が可能な有機エレクトロル
ミネッセンス素子を提供することが可能である。
【0056】また、本発明に係る表示装置は、上述のよ
うな、低電圧での駆動が可能であり、性能劣化が抑制さ
れ、容易な作製を実現した有機エレクトロルミネッセン
ス素子を用いる。このため、本発明によれば、高効率、
長寿命且つ製造が容易な表示装置を提供することが可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した有機EL素子の一構成例を示
す縦断面図である。
【図2】本発明を適用した有機EL表示装置の一構成例
を示す概略斜視図である。
【図3】有機EL表示装置の一部分である画面部を拡大
して示す要部斜視図である。
【符号の説明】
1 有機EL素子、2 基板、3 第1電極(陽極)、
4 正孔輸送層、5発光層、6 電子輸送層、7 第2
電極(陰極)、8 保護層、9 有機EL層、11 有
機EL表示装置、12 画面部、13 駆動回路部、1
4 配線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植田 充紀 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB06 AB11 AB18 BA06 BB01 BB02 CA01 CB01 CC00 DA01 DB03 EA01 EB00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の接触電極間に有機発光材料を含む
    有機エレクトロルミネッセンス層が配され、これら接触
    電極間に電圧を印加することにより有機エレクトロルミ
    ネッセンス層が発光する有機エレクトロルミネッセンス
    素子において、 上記一対の接触電極のうち、陰極として機能する接触電
    極が、カーボン薄膜を有することを特徴とする有機エレ
    クトロルミネッセンス素子。
  2. 【請求項2】 上記カーボン薄膜は、ダイヤモンドライ
    クカーボンであることを特徴とする請求項1記載の有機
    エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 【請求項3】 上記カーボン薄膜は、四面体アモルファ
    スカーボンであることを特徴とする請求項1記載の有機
    エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 【請求項4】 一対の接触電極間に有機発光材料を含む
    有機エレクトロルミネッセンス層が配されてなる有機エ
    レクトロルミネッセンス素子が基板上にマトリクス状に
    配列され、駆動回路により上記接触電極間に選択的に電
    圧を印加することにより各有機エレクトロルミネッセン
    ス素子の発光が制御され画像が表示される表示装置にお
    いて、 上記エレクトロルミネッセンス素子を構成する一対の接
    触電極のうち、陰極として機能する接触電極が、カーボ
    ン薄膜を有することを特徴とする表示装置。
  5. 【請求項5】 上記カーボン薄膜は、ダイヤモンドライ
    クカーボンであることを特徴とする請求項4記載の表示
    装置。
  6. 【請求項6】 上記カーボン薄膜は、四面体アモルファ
    スカーボンであることを特徴とする請求項4記載の表示
    装置。
JP2000327645A 2000-10-26 2000-10-26 有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用いた表示装置 Withdrawn JP2002134278A (ja)

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