JP2002131757A - 液晶表示板用接着性スペーサーおよびその製法 - Google Patents

液晶表示板用接着性スペーサーおよびその製法

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JP2002131757A JP2000321669A JP2000321669A JP2002131757A JP 2002131757 A JP2002131757 A JP 2002131757A JP 2000321669 A JP2000321669 A JP 2000321669A JP 2000321669 A JP2000321669 A JP 2000321669A JP 2002131757 A JP2002131757 A JP 2002131757A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性樹脂微粒子どおしの固着および凝集
を防止し、粒子本体への被覆効率を高め、未被覆の熱可
塑性樹脂微粒子を容易に除去することが可能で、液晶表
示板用スペーサーとして用いた場合に良好な分散性が得
られる、新規な液晶表示板用接着性スペーサーおよびそ
の製造方法を提供することにある。 【解決手段】 本発明にかかる液晶表示板用接着性スペ
ーサーは、粒子本体の表面の少なくとも一部が熱可塑性
樹脂からなる接着層で被覆された液晶表示板用の接着性
スペーサーにおいて、前記接着層を形成するための熱可
塑性樹脂は微粒子の形で前記粒子本体とヘテロ凝集させ
ることにより前記粒子本体の表面に付着させていること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着層の被覆効率
が高く、接着層単独の凝集物による液晶表示板の画質低
下などを低減した、液晶表示板用接着性スペーサーおよ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、テレビ、パーソナルコンピュ
ーター、ワードプロセッサー、PHS(携帯情報端
末)、カーナビゲーションシステム等の画像表示素子と
して、液晶表示板(LCD)が広く用いられている。な
かでもTFT−LCDと呼ばれる液晶表示板は、高速応
答や視野角拡大への対応が可能なため、ブラウン管(C
RT)からの置き換えを目的に、13インチ以上の大画
面TFT−LCDとする開発が検討されてきた。しか
し、特に大画面TFT−LCDを製造する際には、液晶
パネルの製造工程時、すなわち、基板搬送時、基板切断
時、および液晶パネルの輸送時等に、振動や衝撃が加わ
って液晶パネル内部のスペーサーが動き、1)液晶配向
の乱れや配向膜の損傷による、光抜けの増加およびコン
トラストの低下、2)ギャップムラおよび色ムラの発生
等の、液晶パネルの品質低下を生じさせる問題があった
ため、スペーサーの移動・脱落の防止を目的として、ス
ペーサー粒子表面を熱可塑性樹脂による接着層でコート
した接着性スペーサーの開発や検討がなされてきた。
【0003】なかでも、接着性スペーサーにおける接着
層の被覆工程では、簡便に実施できるという観点から、
衝撃(摩擦)力(例えば、奈良機械製作所(株)製ハイ
ブリダイゼーションシステムを用いた高速気流中衝撃法
など)を用いることによって、粒子本体表面に熱可塑性
樹脂を被覆するという方法(特開昭63−94224号
公報、特開平1−154028号公報、特開平8−32
8022号公報、および、特開平9−235527号公
報)がよく採用されている。しかしながら、前記従来の
方法・技術のみでは、粒子本体を被覆するために用いる
熱可塑性樹脂のうち、未被覆のまま樹脂単独で残存する
ものが多く、熱可塑性樹脂粉末どうしの合着あるいは凝
集によって被覆工程後も未被覆の樹脂単独のものが異物
として多く存在し、なかには生成したスペーサーと同程
度の粒子径を有するものも異物として副生することがあ
る。これら異物は除去・精製することが非常に困難で、
これらがスペーサーと共に電極基板上に散布されると、
加熱・加圧時に溶融して画素内の配向膜を広範囲に覆っ
てしまうため、液晶が配向せず、バックライトの光が透
過してしまい、コントラストが低下して表示品位の低い
液晶表示板しか得られないという問題があった。加え
て、上記問題に関連し、用いる熱可塑性樹脂の被覆効率
についても、現時点ではまだ非常に低いため、十分な接
着層膜厚を得るためには熱可塑性樹脂の使用量を増やさ
なければならず、さらに異物が増えてしまうという問題
があり、現状のレベルではまだ十分ではなく、さらなる
向上が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の解決
しようとする課題は、熱可塑性樹脂微粒子どおしの固着
および凝集を防止し、粒子本体への被覆効率を高め、未
被覆の熱可塑性樹脂微粒子を容易に除去することが可能
で、液晶表示板用スペーサーとして用いた場合に良好な
分散性が得られる、新規な液晶表示板用接着性スペーサ
ーおよびその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するべく鋭意検討を行った。その結果、粒子本体と
熱可塑性樹脂微粒子とのヘテロ凝集、および、ヘテロ凝
集に関与しなかった熱可塑性樹脂微粒子の除去等に着目
した。そして、粒子本体と熱可塑性樹脂微粒子との間に
理想的なオーダードミクスチャーを完成させ、ヘテロ凝
集により粒子本体の表面の少なくとも一部に熱可塑性樹
脂微粒子を付着させた、新規な液晶表示板用の接着性ス
ペーサーおよびその製造方法が上記課題を解決できるこ
とを見いだし、本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明にかかる液晶表示板用接
着性スペーサーは、粒子本体の表面の少なくとも一部が
熱可塑性樹脂からなる接着層で被覆された液晶表示板用
の接着性スペーサーにおいて、前記熱可塑性樹脂からな
る微粒子は前記粒子本体とのヘテロ凝集により前記粒子
本体の表面に付着していることを特徴とする。また、本
発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法
は、粒子本体となる原料粒子の表面の少なくとも一部が
熱可塑性樹脂からなる接着層で被覆された液晶表示板用
の接着性スペーサーを得る方法であって、前記原料粒子
と前記熱可塑性樹脂の微粒子とを水相中でヘテロ凝集さ
せる工程、および、ヘテロ凝集に関与しなかった前記熱
可塑性樹脂微粒子を除去する工程とを含むことを特徴と
する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の液晶表示板用接着
性スペーサーおよびその製造方法を具体的に説明する。 〔液晶表示板用接着性スペーサー〕本発明にかかる液晶
表示板用接着性スペーサーについては、その粒子構造
は、スペーサー粒子本体となる原料粒子と、その表面の
少なくとも一部に付着させた熱可塑性樹脂微粒子とを含
んでいることが好ましい。以下、前記粒子本体(原料粒
子)、熱可塑性樹脂微粒子およびスペーサーに分けて詳
しく説明する。
【0008】(粒子本体(原料粒子))本発明において
用いられる原料粒子は、たとえば、液晶表示板に使用す
る場合に、液晶層をはさむ両電極板の隙間距離を決める
ものであって、液晶層の厚みを均一かつ一定に保持する
ために必要であり、その平均粒子径は、1〜30μmで
あることが好ましく、より好ましくは1〜20μm、最
も好ましくは1〜15μmである。原料粒子の平均粒子
径が上記範囲を外れる場合は、液晶表示板用の接着性ス
ペーサーとしては通常用いられない領域である。原料粒
子の粒子径の変動係数(CV)は、10%以下であるこ
とが好ましく、より好ましくは8%以下、さらに好まし
くは6%以下である。前記粒子径の変動係数が10%を
超えると、液晶表示板用接着性スペーサーとして用いた
場合に、液晶層の厚みを均一かつ一定に保持することが
困難となり、画像ムラを起こしやすくなるおそれがある
ので好ましくない。
【0009】なお、前記平均粒子径および前記粒子径の
変動係数の定義や測定方法は、後述の実施例に記載のも
のを採用することが好ましい。原料粒子としては、特に
限定されるわけではないが、種々のものがあり、例え
ば、有機架橋重合体粒子、無機系粒子、有機質無機質複
合体粒子等を好ましく挙げることができる。これらの中
でも、有機架橋重合体粒子および/または有機質無機質
複合体粒子が、電極基板、配向膜またはカラーフィルタ
ーの損傷防止や両電極基板間の隙間距離(ギャップ)の
均一性を得やすいという点で好ましく、有機質無機質複
合体粒子が最も好ましい。
【0010】原料粒子の形状は、球状、針状、板状、鱗
片状、粉砕状、俵状、まゆ状、金平糖状等の任意の粒子
形状でよく、特に限定されるわけではないが、両電極基
板間の隙間距離を均一に一定とする上で球状が好まし
い。これは、球状であると、すべてまたはほぼすべての
方向について一定またはほぼ一定の粒形を有するからで
ある。原料粒子は、染料および/または顔料を含むこと
で好ましく着色されていてもよい。前記有機架橋重合体
粒子としては、特に限定されるわけではないが、例え
ば、ベンゾグアナミン、メラミンおよび尿素からなる群
の中から選ばれた少なくとも1種のアミノ化合物とホル
ムアルデヒドとから縮合反応により得られるアミノ樹脂
の硬化粒子(特開昭62−068811号公報参照);
ジビニルベンゼンを単独で重合あるいは他のビニル単量
体と共重合させて得られるジビニルベンゼン架橋樹脂粒
子(特開平1−144429号公報参照)等を好ましく
挙げることができる。
【0011】前記無機系粒子としては、特に限定される
わけではないが、例えば、ガラス、シリカ、アルミナ等
の球状微粒子等を好ましく挙げることができる。前記有
機質無機質複合体粒子は、好ましくは、有機質部分と無
機質部分とを含む複合粒子である。この有機質無機質複
合体粒子において、前記無機質部分の割合は、特に限定
されるわけではないが、例えば、前記有機質無機質複合
体粒子の重量に対して、無機酸化物換算で、10〜90
wt%の範囲であることが好ましく、より好ましくは2
5〜85wt%、さらに好ましくは30〜80wt%で
ある。前記無機酸化物換算とは、好ましくは、有機質無
機質複合体粒子を空気中などの酸化雰囲気中で高温(た
とえば1000℃)で焼成した前後の重量を測定するこ
とにより求めた重量百分率で示される。前記有機質無機
質複合体粒子の前記無機質部分の割合が、無機酸化物換
算で10wt%を下回ると、前記有機質無機質複合体粒
子は軟らかくなり、電極基板への散布個数が増えること
になるので好ましくなく、また、90wt%を上回る
と、硬すぎて配向膜の損傷やTFTの断線が生じやすく
なるおそれがあるので好ましくない。
【0012】このような有機質無機質複合体粒子として
は、特に限定されるわけではないが、例えば、有機ポリ
マー骨格と、前記有機ポリマー骨格中の少なくとも1個
の炭素原子にケイ素原子が直接化学結合した有機ケイ素
を分子内に有するポリシロキサン骨格とを含み、前記ポ
リシロキサン骨格を構成するSiO2の量が10wt%
以上である、有機質無機質複合体粒子A等を好ましく挙
げることができる。有機ポリマー骨格としては、ビニル
系ポリマーがギャップコントロールを制御できる高復元
性を与えるため好ましい。ここで、前記有機質無機質複
合体粒子Aが、G≧14・Y1.75(ここで、Gは破壊強
度〔kg〕を示し;Yは粒子径〔mm〕を示す)を満足
する破壊強度であると好ましく、10%圧縮弾性率が3
00〜2000kg/mm2、10%変形後の残留変位
が0〜5%であるとさらに好ましい。
【0013】前記有機質無機質複合体粒子Aの製造方法
については、特に限定されるわけではないが、例えば、
下記に示す縮合工程と重合工程と熱処理工程とを含む製
造方法を好ましく挙げることができる。前記縮合工程と
は、ラジカル重合性基含有第1シリコン化合物を用いて
加水分解・縮合する工程であることが好ましく、この縮
合工程では、触媒としてアンモニア等の塩基性触媒を好
ましく用いても良い。ラジカル重合性基含有第1シリコ
ン化合物は、次の一般式(1):
【0014】
【化1】
【0015】(ここで、Raは水素原子またはメチル基
を示し;Rbは、置換基を有していても良い炭素数1〜
20の2価の有機基を示し;Rcは、水素原子と、炭素
数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とか
らなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す。
1は、炭素数1〜5のアルキル基とフェニル基とから
なる群から選ばれた少なくとも1種の1価の基を示す。
lは1または2であり、pは0または1である。)と、
次の一般式(2):
【0016】
【化2】
【0017】(ここで、Rdは水素原子またはメチル基
を示し;Reは、水素原子と、炭素数1〜5のアルキル
基と、炭素数2〜5のアシル基とからなる群から選ばれ
る少なくとも1つの1価基を示す。R2は、炭素数1〜
5のアルキル基とフェニル基とからなる群から選ばれた
少なくとも1種の1価の基を示す。mは1または2であ
り、qは0または1である。)と、次の一般式(3):
【0018】
【化3】
【0019】(ここで、Rfは水素原子またはメチル基
を示し;Rgは、置換基を有していても良い炭素数1〜
20の2価の有機基を示し;Rhは、水素原子と、炭素
数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とか
らなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す。
3は、炭素数1〜5のアルキル基とフェニル基とから
なる群から選ばれた少なくとも1種の1価の基を示す。
nは1または2であり、rは0または1である。)とか
らなる群から選ばれる少なくとも1つの一般式で表され
る化合物またはその誘導体であることが好ましい。
【0020】前記重合工程は、前記縮合工程中および/
または前記縮合工程後に、ラジカル重合性基をラジカル
重合反応させて粒子を得る工程であることが好ましい。
前記熱処理工程は、前記重合工程で生成した重合体粒子
を800℃以下、より好ましくは100〜600℃の温
度で乾燥および焼成する工程であり、たとえば、10容
量%以下の酸素濃度を有する雰囲気中や減圧下で行われ
ることが好ましい。上記の縮合工程、重合工程および熱
処理工程から選ばれる少なくとも1つの工程中および/
または後に、生成した前記原料粒子を着色する着色工程
をさらに含んでいてもよく、詳しくは、前記原料粒子は
染料および顔料からなる群から選ばれる少なくとも1つ
等を含むことで着色されていてもよい。その色は、光が
透過しにくいか、または、透過しない色が、接着性スペ
ーサー自身の光抜けを防止でき画質のコントラストを向
上できる点で好ましい。光が透過しにくいか、または、
透過しない色としては、たとえば、黒、濃青、紺、紫、
青、濃緑、緑、茶、赤等の色を好ましく挙げることがで
きるが、特に好ましくは、黒、濃青、紺色である。な
お、染料および/または顔料は、単に原料粒子に含まれ
るものでもよく、あるいは、染料および/または顔料と
原料粒子を構成するマトリックスとが化学結合によって
結び付けられた構造を有するものでもよいが、特にこれ
らに限定されない。
【0021】前記染料は、着色しようとする色に応じて
適宜選択して使用され、たとえば、染色方法によって分
類された、分散染料、酸性染料、塩基性染料、反応染
料、硫化染料等が挙げられる。これらの染料の具体例
は、「化学便覧応用化学編 日本化学会編」(1986
年丸善株式会社発行)の1399頁〜1427頁、「日
本化薬染料便覧」(1973年日本化薬株式会社発行)
に記載されている。原料粒子を染色する方法としては、
従来公知の方法がとられる。たとえば、上記の「化学便
覧応用化学編 日本化学会編」や「日本化薬染料便覧」
に記載されている方法等で行うことができる。
【0022】前記顔料としては、特に限定はされない
が、たとえば、カーボンブラック、鉄黒、クロムバーミ
リオン、モリブデン赤、べんがら、黄鉛、クロム緑、コ
バルト緑、群青、紺青などの無機顔料;フタロシアニン
系、アゾ系、キナクリドン系などの有機顔料が挙げられ
る。なお、前記顔料は、その平均粒子径が0.4μm以
下でないと、原料粒子中に導入されない場合があるの
で、この場合は染料を使用する方が好ましい。前記原料
粒子が着色されている場合、液晶表示板用スペーサーと
して用いると、バックライトの光抜けを防止でき、液晶
表示板の画質向上を達成することができる。
【0023】上記の縮合工程、重合工程および熱処理工
程から選ばれた少なくとも1種の工程中および/または
後に、生成した前記原料粒子を表面処理する表面処理工
程をさらに含んでいても良い。前記表面処理に用いる表
面処理剤としては、特に限定されないが、下記一般式
(4)〜(6)から選ばれる少なくとも1種のシラン化
合物が好ましい。 SiX4 (4) R4SiX3 (5) R56SiX2 (6) (ここで、Xは塩素原子、水素原子、炭素数1〜5のア
ルコキシ基および炭素数2〜5のアシロキシ基から選ば
れた少なくとも1種;R4およびR5は、いずれも、炭素
数1〜22のアルキル基および炭素数6〜22のアリー
ル基から選ばれる少なくとも1種であり、その基の中の
1つ以上の水素原子が、アミノ基、メルカプト基、アル
キレンオキシド基、エポキシ基、シアノ基、塩素原子お
よびフッ素原子から選ばれる少なくとも1種で置換され
ていても良い;R6は、炭素数1〜5のアルキル基とフ
ェニル基とからなる群から選ばれる少なくとも1種の1
価の基である。) 前記シラン化合物のうち、一般式(4)で示されるシラ
ン化合物や、R4やR5がアミノ基を置換基として有する
ものである一般式(5)または(6)で示されるシラン
化合物で表面処理されると、特に乾式散布性に優れるた
め好ましい。
【0024】本発明における原料粒子は、例えば、水相
中においては、その水相のpHを調整した場合、ゼータ
電位としてプラスおよびマイナスのどちらもとり得るこ
とが好ましい。例えば、原料粒子が上述した有機質無機
質複合体粒子の場合、pHが3以下においてプラス、p
Hが3〜14おいてマイナスとなる。また、水相のpH
を調整して、このゼータ電位をさらに詳細に調製し、原
料粒子に所望の電荷符号および所望の電荷量を持たせる
ためには、原料粒子を適当なイオン性の処理剤で処理す
る、あるいは適当なイオン性の単量体、重合開始剤およ
び乳化剤から選ばれる少なくとも1種の成分を含む原料
を使用することが好ましい。
【0025】前記イオン性の単量体としては、特に限定
されるわけではないが、後述の熱可塑性樹脂微粒子の合
成に好ましく用いるイオン性単量体と同様であることが
好ましく、原料粒子を合成するための単量体成分中に、
0.001〜100wt%含まれることが好ましく、よ
り好ましくは0.1〜30wt%、さらに好ましくは
0.1〜10wt%である。イオン性単量体は過剰であ
っても不足であっても、ヘテロ凝集の際に問題となるた
め好ましくない。前記イオン性の重合開始剤および乳化
剤としては、特に限定されるわけではないが、アニオン
性やカチオン性等の各種イオン性の重合開始剤および乳
化剤を好ましく挙げることができる。
【0026】前記イオン性の処理剤としては、特に限定
されるわけではないが、各種のイオン性界面活性剤、イ
オン性ポリマーおよびシランカップリング剤等を好まし
く挙げることができる。これらイオン性の処理剤は、原
料粒子の合成時に添加してもよいし、合成後の表面処理
の際に用いられてもよい。また前記イオン性単量体およ
び前記イオン性界面活性剤は、両性単量体および両性界
面活性剤でもよい。 (熱可塑性樹脂微粒子)本発明にかかる接着性スペーサ
ーについて、前記接着層は熱可塑性樹脂微粒子からなる
ことが好ましく、前記熱可塑性樹脂微粒子を溶融させて
なるものがより好ましい。前記接着層は、本発明の接着
性スペーサーが加熱・加圧処理された場合、電極基板等
に対する接着剤として好ましく作用する。
【0027】熱可塑性樹脂微粒子に含まれる熱可塑性樹
脂としては、上記のように接着剤として作用するもので
あれば特に限定されるわけではないが、例えば、エチレ
ン性不飽和単量体の単独重合体または共重合体を含む樹
脂等を好ましく挙げることができる。前記エチレン性不
飽和単量体としては、特に限定はされないが、たとえ
ば、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、(メ
タ)アクリル酸エステル(たとえば、メチル(メタ)ア
クリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピ
ル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリ
レート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ス
テアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリフルオ
ロプロピル(メタ)アクリレート等を好ましく挙げるこ
とができる。これらの中でも、エチレン性不飽和単量体
が、芳香族残基(たとえば、フェニル基等)、水素結合
可能な残基(エステル基等)を含有していると、配向膜
との分子間力が大きくなり、前記電極基盤基板等への接
着性が高くなるため好ましく、(メタ)アクリル酸エス
テルおよび/またはスチレンを含むことがさらに好まし
い。
【0028】熱可塑性樹脂としては、接着性をより向上
させる観点からは、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレー
トをモノマー成分に含む(メタ)アクリル系樹脂、スチ
レン化合物をモノマー成分に含むスチレン系樹脂、およ
び、スチレン化合物と(メタ)アクリレートとをモノマ
ー成分に含む(メタ)アクリル−スチレン系樹脂からな
る各種ポリマー群の中から選ばれた少なくとも1種を含
んでなることが特に好ましい。前記(メタ)アクリル酸
エステルおよび/またはスチレンを重合して熱可塑性樹
脂微粒子を製造する場合、ソープフリー重合(ソープフ
リー乳化重合)して得られるものが好ましく、理由とし
ては、前記ソープフリー重合(ソープフリー乳化重合)
では界面活性剤等の導電性不純物を使用しないため、液
晶表示板の信頼性が向上し易いからである。
【0029】前記熱可塑性樹脂としては、上記のものに
限定されるわけではなく、例えば、ポリエチレンテレフ
タラート、ポリブチレンテレフタラート等のポリエステ
ル;各種ポリアミド;各種ポリカーボネート;各種エポ
キシ樹脂等も好ましく挙げることができる。熱可塑性樹
脂微粒子に用いる前記熱可塑性樹脂としては、これらを
1種のみ使用しても、2種以上併用してもよい。また、
熱可塑性樹脂微粒子からなる前記接着層は1層であって
も2層以上であってもよい。熱可塑性樹脂微粒子に用い
る熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度(Tg(℃))が、
40〜150℃であることが好ましく、より好ましくは
50〜130℃、特に好ましくは60〜120℃であ
る。前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg(℃))
が、上記範囲である場合、液晶表示板を組み立てる際に
は短時間の加熱・加圧であっても電極基板に強く固着さ
せることができるので好ましいが、150℃を超える場
合は、加熱・加圧時に、熱可塑性樹脂微粒子が溶融しに
くく、そのため電極基板との接着性が不十分となるおそ
れがあるので好ましくなく、また、40℃未満では、ス
ペーサーに用いた場合に貯蔵中に粒子どうしで融着を起
こしたり、電極基板上へ散布時の分散性が悪くなるおそ
れがあるので好ましくない。
【0030】前記熱可塑性樹脂の融解開始温度は、好ま
しくは50〜160℃、より好ましくは60〜150
℃、さらに好ましくは70〜140℃である。融解開始
温度が50℃未満では、スペーサーに用いた場合に貯蔵
中に融着等を起こしたり、電極基板上に散布する際の分
散性が悪くなるおそれがあるので好ましくなく、一方、
融解開始温度が160℃を超えると、液晶表示板を組み
立てる際の加熱加圧時に、熱可塑性樹脂が溶融しにく
く、そのため電極基板との接着性が不充分となるおそれ
があるので好ましくない。本発明における熱可塑性樹脂
微粒子は、染料および顔料からなる群から選ばれる少な
くとも1つを含むことで着色されていてもよく、特に限
定はされないが、たとえば、スペーサーの原料粒子の着
色に使用できる染料および顔料として前述したもの等を
好ましく挙げることができる。またその色は、光が透過
しにくいか、または、透過しない色が、光抜けを防止で
き画質のコントラストを向上できる点で好ましい。光が
透過しにくい、または、透過しない色としては、例え
ば、黒、濃青、紺、紫、青、濃緑、緑、茶、赤等の色が
挙げられるが、特に好ましくは、黒、濃青、紺色であ
る。
【0031】本発明における熱可塑性樹脂微粒子の平均
粒子径については、特に限定されるわけではないが、2
μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm
以下、最も好ましくは0.7μm以下である。前記熱可
塑性樹脂微粒子の平均粒子径が2μmを超えると、スペ
ーサーにおける前記原料粒子を被覆するのが困難になる
おそれがあるので好ましくない。なお、この熱可塑性樹
脂微粒子の平均粒子径の測定方法も、前記原料粒子の平
均粒子径の測定と同様の方法を採用することが好まし
い。本発明の接着性スペーサーにおける熱可塑性樹脂微
粒子からなる前記接着層の厚みは、特に限定されるわけ
ではないが、通常、0.01〜2μmが好ましく、より
好ましくは0.05〜1μmである。この厚みが上記範
囲より小さい場合、接着性が低下するおそれがあり、ま
た、厚みが上記範囲より大きい場合、配向膜やカラーフ
ィルター等を覆う面積が広くなって、液晶表示板の表示
品位が低下するおそれがあるので好ましくない。
【0032】本発明における熱可塑性樹脂微粒子は、例
えば、水相中において、水相のpHを調整した場合に所
望の電荷符号および所望の電荷量にするために、イオン
性界面活性剤での後処理により分散させたもの、および
/または、イオン性の単量体、重合開始剤および乳化剤
の群から選ばれる少なくとも1種を含む原料から合成し
たものを使用することが好ましい。前記イオン性の単量
体、重合開始剤および乳化剤としては、特に限定される
わけではないが、アニオン性またはカチオン性の単量
体、重合開始剤および乳化剤の群から選ばれる少なくと
も1種のイオン性の原料であることが好ましく、熱可塑
性樹脂微粒子を合成するための原料中に、0.001〜
100wt%含まれることが好ましく、より好ましくは
0.01〜70wt%、さらに好ましくは0.1〜25
wt%である。0.001wt%未満の場合は、イオン
性が低くヘテロ凝集が困難となるため好ましくない。
【0033】前記アニオン性の単量体、重合開始剤およ
び乳化剤としては、特に限定されるわけではないが、カ
ルボキシル基あるいはスルホン基を有するモノマー、ラ
ジカル重合開始剤および界面活性剤等を好ましく挙げる
ことができ、代表的なモノマーとしては、アクリル酸、
(メタ)アクリル酸、マレイン酸およびスルホスチレン
等を好ましく挙げることができる。前記カチオン性の単
量体、重合開始剤および乳化剤としては、特に限定され
るわけではないが、アミノ基、アミド基、第四級アンモ
ニウム塩基等を好ましく挙げることができ、具体的に
は、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、
N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−メ
チルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルア
ミノメチルメタクリレート、p−N,N−ジメチルアミ
ノフェニルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエ
チルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアク
リレート、N−メチルアミノエチルアクリレート、N,
N−ジエチルアミノメチルアクリレート、p−N,N−
ジメチルアミノフェニルアクリレート;N,N−ジメチ
ルアミノエチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルア
ミノエチルメタクリルアミド、N−メチルアミノエチル
メタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノメチルメタ
クリルアミド、p−N,N−ジメチルアミノフェニルメ
タクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリ
ルアミド、N,N−ジエチルアミノエチルアクリルアミ
ド、N−メチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−
ジエチルアミノメチルアクリルアミド、p−N,N−ジ
メチルアミノフェニルアクリルアミド;N,N−ジメチ
ルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミ
ド、N−プロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチル
アクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N
−プロピルアクリルアミド;p−N,N−ジメチルアミ
ノスチレン、p−N,N−ジエチルアミノスチレン、p
−N,N−ジプロピルアミノスチレン、p−N,N−メ
チルアミノスチレン;N−ビニルジメチルアミン、N−
ビニルジエチルアミン、N−ビニルジプロピルアミン、
N−ビニルプロピルアミン;各々メタまたはパラ位にア
ミノ基が付いたビニルベンジルアルキルアミン(アルキ
ル基は、炭素数1〜22の置換または未置換アルキル
基)、ビニルフェネチルジアルキルアミン(アルキル基
は、炭素数1〜22の置換または未置換アルキル基);
4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニル
イミダゾール;イソプロペニルオキサゾリン等を好まし
く挙げることができる。
【0034】さらに、上記化合物に対し、第四級アンモ
ニウム塩の形にしたものも好ましく用いることができ
る。例えば、炭素数1〜22のアルキル基、ベンジル
基、シクロアルキル基等を有しているものが好ましい。
また、前記イオン性の乳化剤(イオン性の界面活性剤)
および前記イオン性の単量体は、両性界面活性剤および
両性単量体であってもよい。 (スペーサー)本発明にかかる液晶表示板用接着性スペ
ーサーにおいて、その粒子構造は、粒子本体となる原料
粒子と、その表面の少なくとも一部に付着した接着層を
形成するための熱可塑性樹脂微粒子とを含む構造である
ことが好ましく、この構造は、粒子本体となる原料粒子
と熱可塑性樹脂微粒子とが粒子表面に互いに異なる符合
の電荷(ゼータ電位)を有し、その際生じる静電引力に
よりヘテロ凝集してなる。また、ヘテロ凝集後に、未被
覆(未付着)の熱可塑性樹脂微粒子を除去しておくこと
が、その後の工程において、熱可塑性樹脂微粒子単独の
凝集物が存在しないために重要である。さらには、ヘテ
ロ凝集後、原料粒子に付着した熱可塑性樹脂微粒子の少
なくとも一部を溶融させてなることが好ましいが、特に
限定されるわけではない。ここで、上述の溶融は、衝撃
力、特に、高速気流中衝撃法による衝撃力を加えること
によってなされる溶融であることが好ましく、熱可塑性
樹脂(熱可塑性樹脂微粒子)が原料粒子の表面により強
固に付着した接着性スペーサーとなるため好ましい。
【0035】本発明にかかる液晶表示板用接着性スペー
サーにおいて、原料粒子と熱可塑性樹脂微粒子の重さの
割合〔(熱可塑性樹脂微粒子/原料粒子)×100〕
(wt%)については、特に限定されるわけではない
が、0.1〜250wt%であることが好ましく、より
好ましくは1〜150wt%、最も好ましくは2〜10
0wt%である。上記熱可塑性樹脂粒子の割合が250
wt%を超える場合は、得られる接着性スペーサーの接
着層が厚くなりすぎて、溶融した際に電極基板や配向膜
やカラーフィルターを覆う面積が大きくなり、液晶表示
板の画質低下を招く恐れがあるので好ましくなく、他
方、熱可塑性樹脂粉末の割合が0.1wt%未満の場合
は、接着性が低下するおそれがあるので好ましくない。
【0036】本発明により得られる液晶表示板用接着性
スペーサーの平均粒子径は、特に限定されるわけではな
いが、この平均粒子径は原料粒子に熱可塑性樹脂微粒子
からなる接着層の厚みが付与されたものであり、1μm
〜32μmが好ましく、より好ましくは1μm〜22μ
m、さらに好ましくは1.2μm〜17μmである。本
発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーを、液晶表
示板用の接着性スペーサーとして用いた場合、粒子本体
となる原料粒子に未被覆(未付着)の熱可塑性樹脂微粒
子どうしの凝集の防止と、未被覆(未付着)の熱可塑性
樹脂微粒子の除去をすることができるため、熱可塑性樹
脂微粒子単独の凝集物(異物)が無く、また、原料粒子
への熱可塑性樹脂微粒子の被覆効率が高いため、電極基
板上に効率的に接着・固定され、スペーサー自身の移動
の防止と、液晶表示板のコントラストが高くなる等の画
質向上を達成することができる。
【0037】〔液晶表示板用接着性スペーサーの製造方
法〕本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーの製
造方法としては、粒子本体となる原料粒子と熱可塑性樹
脂微粒子とを水相中でヘテロ凝集させる工程と、ヘテロ
凝集に関与しなかった前記熱可塑性樹脂微粒子を除去す
る工程とを含むものであり、これらの工程によって粒子
本体となる前記原料粒子の表面の少なくとも一部を前記
熱可塑性樹脂微粒子からなる接着層で被覆させることが
好ましい。一般的に、ヘテロ凝集とは、粒子径および電
荷の符号が異なる2種類の球状粒子を混合すると、両粒
子間の凝集が優先して起こり、一方が他方によって取り
囲まれた複合凝集体が形成されることをいい、通常、小
さい方の粒子によって大きい方の粒子を取り囲むように
する場合が多いが、両粒子の粒子数比の範囲を広くとる
場合、大きい方の粒子によって小さい方の粒子を取り囲
むようにすることも可能である。
【0038】本発明の液晶表示板用接着性スペーサーの
製造方法におけるヘテロ凝集を含む工程については、上
記「粒子径および電荷の符号が異なる2種類の球状粒
子」が、原料粒子と熱可塑性樹脂微粒子であり、両粒子
間の静電引力によるヘテロ凝集によって、原料粒子が熱
可塑性樹脂微粒子に取り囲まれるように被覆されること
が好ましく、この場合、前記原料粒子および前記熱可塑
性樹脂微粒子は、粒子そのものであってもよいし、粒子
をイオン性の処理剤などで何らかの処理をされたもので
あってもよい。詳しくは、たとえば、水相をpH調整し
た場合、イオン性界面活性剤(a)を用いて分散させた
原料粒子(A1)と、このイオン性界面活性剤(a)と
反対の電荷を有するイオン性界面活性剤(b)で分散さ
せた熱可塑性樹脂微粒子(B1)あるいはこのイオン性
界面活性剤と反対の電荷を有するイオン性単量体を必須
とする単量体成分から合成されたもので好ましくはこの
イオン性単量体由来の官能基・電荷を粒子表面に有する
前記熱可塑性樹脂微粒子(B2)の少なくとも一方とが
混合した水相では、両粒子間の静電的相互作用により生
じる静電引力によって両粒子間にヘテロ凝集が生じ、前
期原料粒子の表面の少なくとも一部が前記熱可塑性樹脂
微粒子に取り囲まれるように被覆される。
【0039】本発明にかかる液晶表示板用接着性スペー
サーの製造方法においては、熱可塑性樹脂微粒子と原料
粒子との平均粒子径の比(熱可塑性樹脂微粒子/原料粒
子)は、1/10000〜2/5を採用することが好ま
しく、より好ましくは1/1000〜3/10、さらに
好ましくは1/100〜1/5である。前記平均粒子径
の比が、上記範囲外となる場合は、熱可塑性樹脂微粒子
によって原料粒子を被覆するのが困難になるおそれがあ
るので好ましくない。本発明にかかる液晶表示板用接着
性スペーサーの製造方法においては、熱可塑性樹脂微粒
子と原料粒子のゼータ電位は互いに異符号となるように
することが好ましく、両粒子間のゼータ電位の差は、2
〜300mVにすることが好ましく、より好ましくは1
0〜150mVである。前記ゼータ電位の差が300m
Vを超える場合は、系が安定でヘテロ凝集が起こらない
ため好ましくなく、2mV未満の場合は、ヘテロ凝集が
生じてもスペーサー粒子が単分散で得られないため好ま
しくない。
【0040】本発明にかかる液晶表示板用接着性スペー
サーの製造方法において、上記ゼータ電位の条件および
数値範囲に関しては、これらを満たすように水相の(分
散液の)pHを調整することで達成するのが好ましく、
用いる熱可塑性樹脂微粒子と原料粒子とは、ヘテロ凝集
時に異符号の電荷を有していることが好ましい。また、
前記原料粒子に関しては、原料粒子を水相中に分散させ
るために用いるイオン性異面活性剤について、一方、前
記熱可塑性樹脂微粒子に関しては、熱可塑性樹脂微粒子
を分散させるイオン性界面活性剤および/またはこの粒
子表面に官能基を導入するためのイオン性の単量体や重
合開始剤について、適宜最適なものを選択し、水相のp
H調整後に各粒子ともに所望の電荷符号およびゼータ電
位となるようにすることが好ましい。このイオン性の単
量体や重合開始剤としては、熱可塑性樹脂微粒子の合成
に用いるイオン性の単量体や重合開始剤として前述した
ものが好ましい。
【0041】本発明にかかる液晶表示板用接着性スペー
サーの製造方法において、原料粒子(この分散液も含
む)と熱可塑性樹脂微粒子(この分散液も含む)との水
相での混合は、前者に後者を加えても、その逆でもある
いは同時でもよい。また、前記水相のpH調整について
は、両者の混合前あるいは混合後のいずれで行ってもよ
い。本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーの製
造方法においては、水相中にさらに電解質を添加すると
いう工程を含む場合、熱可塑性樹脂微粒子を原料粒子に
より強固に付着させ被覆させることができる。
【0042】前記電解質としては、1価、2価、3価の
金属の塩が好ましく用いられるが、より好ましくは1価
の金属の塩であり、特に限定されるわけではないが、具
体的には、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウ
ム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム等を
好ましく挙げることができる。また、前記電解質の添加
量としては、特に限定されるわけではなく任意である
が、1mol/L以下が好ましく、より好ましくは1×
10-5〜1×10-1mol/Lである。ただし、上記の
ような金属塩を用いた場合、液晶表示板内ではイオン性
の不純物として液晶の配向などに悪影響を与えるため、
スペーサー粒子の洗浄過程で除去することが好ましい。
【0043】本発明にかかる液晶表示板用接着性スペー
サーの製造方法においては、上記へテロ凝集をさせる工
程において、ヘテロ凝集中および/または凝集後、室温
(約20℃)以上、(Tg+50℃)以下で加熱するこ
とが好ましい(ここで、Tgは、本発明における熱可塑
性樹脂微粒子に用いる熱可塑性樹脂のガラス転移温度
(Tg(℃))である)。この理由としては、原料粒子
と熱可塑性樹脂微粒子との親和力を高めるためであり、
特に、前記Tg(℃)以上の加熱をした場合は、熱可塑
性樹脂微粒子はその少なくとも一部が溶融して原料粒子
表面に強固に付着するため、本発明の接着性スペーサー
を単離する際に、熱可塑性樹脂微粒子の剥離を低減する
ことができる。
【0044】本発明にかかる液晶表示板用接着性スペー
サーの製造方法においては、上記ヘテロ凝集させる工程
の後、さらに、水相中の未被覆(未付着)の残余熱可塑
性樹脂微粒子を除去する工程を含むことが好ましい。本
発明においては、用いる熱可塑性樹脂微粒子はすべて同
符号の電荷を好ましく有するので、未被覆のものとして
水相中に遊離している場合、静電気的効果により互いに
反発し合うため、前記原料粒子の表面に付着し接着性ス
ペーサーとなった粒子と未被覆の粒子との粒子径は明確
に区別できる。本発明にかかる液晶表示板用接着性スペ
ーサーの製造方法においては、水相中の未被覆の残余熱
可塑性樹脂微粒子の除去には電成ふるいを備えた分級装
置を用いることが好ましい。
【0045】前記電成ふるいとは、メッキによって矩形
の孔を有するスクリーンを作製したものである。電成ふ
るいの製造方法としては、高精度にクロスライン状に腐
食させたガラス原板上に、真空蒸着、スパッタリング等
の物理メッキ、あるいは電解メッキ、無電解メッキ等の
化学メッキにより導電性被膜を形成した後、腐食部分の
溝以外のメッキ層を除去し、これに電解メッキ等の方法
でメッシュを形成し、ガラス原板から剥離する方法が挙
げられる。このようにして作製されたメッシュはガラス
原板から剥離後、必要に応じてさらに電解メッキを施し
てもかまわない。また、他の製造方法として、ガラス平
板上に真空蒸着、スパッタリング等の物理メッキ、ある
いは電解メッキ、無電解メッキ等の化学メッキにより導
電性被膜を形成し、その被膜上にレジストを塗布した
後、所定の形状のパターンを形成し、その後エッチング
によりパターン以外の部分を除去し、ガラス原板から剥
離後、電解メッキを施す方法も挙げられる。
【0046】前記電成ふるいの材質としては、金、白
金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル及びこれらを
ベースとする種々の合金が用いられるが、ふるいの耐久
性、耐蝕性やメッキ作業の容易さからニッケルを主成分
とするものが特に好ましく用いられる。前記電成ふるい
は、開孔径、単位あたりの開孔数の調整が容易であるば
かりでなく、開孔径分布が非常に良好であるため、ふる
いとして用いた場合、非常に精度良く分級することが可
能となる。前記電成ふるいは非常に薄いため簡単に傷つ
いたり、破れたりし、分級された粒子へ金属系不純物の
混入のおそれがある。特に分級された粒子を本発明の液
晶表示板用接着性スペーサー等の電子材料の用途に用い
る場合、金属系不純物の混入は品質および信頼性の低下
の原因となるため重大な問題である。そのため、電成ふ
るいの片面あるいは両面に格子状あるいはリング状等の
サポートを設けて強度を上げることが好ましい。
【0047】前記電成ふるいの分級装置への取り付けに
関しては、特に超音波振動を印加する場合など、電成ふ
るいと分級装置とが擦れて電成ふるいが破損し分級され
た粒子へ金属系不純物が混入するおそれがあるため、エ
ラストマーからなる部材を介して取り付けることが好ま
しい。前記電成ふるいを用いた分級工程においては、粒
子の分散液を電成ふるいを備えた分級装置に通すことに
よって湿式法により分級を行うことが好ましい。媒体と
して不活性ガスや空気などを用いる乾式法と比較して、
湿式法による場合の方が超音波の照射効率、分散の安定
性が高く、また電成ふるいへの粒子の付着が少ない。特
に液晶表示板用の接着性スペーサーなどに用いる粒子径
の小さいものは凝集力が強いため、乾式法では分散が不
十分になる場合がある。前記湿式法において、粒子を分
散させる液状媒体としては、用いる電成ふるいの材質、
開孔径、線数および粒子の性状あるいは粒子径分布など
によって適切に選択することができる。また、分級に際
しては、分級装置内に超音波照射チップを挿入した場
合、水等の液状媒体に超音波照射を行うことで、分級の
効率を好ましく向上させることができる。
【0048】本発明にかかる液晶表示板用接着性スペー
サーの製造方法においては、原料粒子と熱可塑性樹脂微
粒子とをヘテロ凝集させ、残余熱可塑性樹脂微粒子を除
去した後、さらに、前記熱可塑性樹脂微粒子の少なくと
も一部を溶融する溶融工程を含むことが好ましいが、特
に限定されるわけではない。溶融する方法としては、ガ
ラス転移温度Tg(℃)から(Tg+50℃)の温度範
囲で加熱処理をする、および、衝撃力を加える等の方法
を好ましく挙げることができ、衝撃力を加える方法がよ
り好ましく、なかでも、高速気流中衝撃法により衝撃力
を加える方法が特に好ましい。前記高速気流中衝撃法を
採用するにあたっては、特に限定されるわけではない
が、奈良機械製作所製「ハイブリダイゼーションシステ
ム」、ホソカワミクロン株式会社製「メカノフージョン
システム」、および、川崎重工株式会社製「クリプトロ
ンシステム」等を用いることが好ましく、なかでも、奈
良機械製作所製「ハイブリダイゼーションシステム」が
特に好ましい。このような高速気流中衝撃法による処理
によって熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂微粒子)を原料粒
子の表面により強固に付着させることができるので好ま
しい。
【0049】また、本発明にかかる液晶表示板用接着性
スペーサーの製造方法においては、得られた接着性スペ
ーサーを精製するため、上述した「残余熱可塑性樹脂微
粒子を除去する工程」と同じ方法で分級精製してもよ
い。
【0050】
【実施例】以下に、実施例により、本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定される
ものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を
単に「部」と記すことがある。まず、以下の製造例1〜
5により、実施例および比較例に用いる各種粒子成分を
合成する。また、これら製造例1〜5の記載中に示す、
各種粒子の平均粒子径(および粒子径の標準偏差、粒子
径の変動係数)は下記の方法により測定した。 〔平均粒子径と粒子径の変動係数〕試料を電子顕微鏡に
より観察して、その撮影像の任意の試料200個の粒子
径を実測し、次式に従って、平均粒子径、粒子径の標準
偏差および粒子径の変動係数を求めた。
【0051】
【数1】
【0052】
【数2】
【0053】
【数3】
【0054】−製造例1− (有機質無機質複合体粒子)γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシランおよびビニルトリメトキシシラン
(45/55重量比)を使用して、アルコキシシリル基
の共加水分解・重縮合と、二重結合のラジカル重合を行
うことにより、白色の有機質無機質複合体粒子を得て、
これを原料粒子(A)とした。原料粒子(A)の粒子径
を電子顕微鏡により観察し、粒子径を測定したところ、
平均粒子径5.5μm、粒子径変動係数2.9%であ
り、ポリシロキサン骨格の割合は、原料粒子(A)の重
量に対して、SiO2換算量で54wt%(空気中10
00℃で焼成した場合)であった。
【0055】−製造例2− (アミノ基含有熱可塑性樹脂微粒子分散液)撹拌機、還
流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコ
に、脱イオン水782.4部およびハイテノールN−0
8(第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩)の15%水溶
液128部を仕込み、緩やかに窒素ガスを流しながら7
0℃に加熱した。そこへ、過硫酸カリウムの5%水溶液
を64部注入し、予め調製しておいたアクリル酸ブチル
288部、スチレン288部およびジメチルアミノエチ
ルメタクリレート64部からなる単量体混合物を3時間
にわたって滴下した。反応中は窒素ガスを流し続け、フ
ラスコ内の温度を70±1℃に保った。滴下終了後も2
時間同じ温度に保った後、内温を80℃に昇温させて1
時間撹拌を続けて反応を完結させた。その後、冷却し、
不揮発分39.8wt%、pH8.0のアミノ基含有熱
可塑性樹脂微粒子分散液(B)を得た。また、得られた
熱可塑性樹脂微粒子分散液(B)の粒子径をDLS70
0(大塚電子株式会社製)およびゼータ電位をELS−
800(大塚電子株式会社製)を用いて測定したとこ
ろ、平均粒子径は85nm、ゼータ電位は+53mV
(pH8.0)であった。
【0056】−製造例3− (カルボキシル基含有熱可塑性樹脂微粒子)撹拌機、還
流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコ
に、脱イオン水640部およびハイテノールN−08
(第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩)の15%水溶液
128部を仕込み、緩やかに窒素ガスを流しながら70
℃に加熱した。そこへ、過硫酸カリウムの5%水溶液を
64部注入し、予め調製しておいたアクリル酸ブチル3
20部、メタクリル酸メチル294.4部、およびアク
リル酸25.6部からなる単量体混合物を3時間にわた
って滴下した。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ
内の温度を70±1℃に保った。滴下終了後も2時間同
じ温度に保った後、内温を80℃に昇温させて1時間撹
拌を続けて反応を完結させた。その後、冷却し、不揮発
分45.1wt%、pH2.3のカルボキシル基含有熱
可塑性樹脂微粒子分散液(C)を得た。また、得られた
熱可塑性樹脂微粒子分散液(C)の粒子径をDLS70
0(大塚電子株式会社製)およびゼータ電位をELS−
800(大塚電子株式会社製)を用いて測定したとこ
ろ、平均粒子径は103nm、ゼータ電位は−41mV
(pH2.3)であった。
【0057】−製造例4− (オキサゾリン基含有熱可塑性樹脂微粒子)撹拌機、還
流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコ
に、脱イオン水782.4部およびハイテノールN−0
8(第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩)の15%水溶
液128部を仕込み、緩やかに窒素ガスを流しながら7
0℃に加熱した。そこへ、過硫酸カリウムの5%水溶液
を64部注入し、予め調製しておいたアクリル酸ブチル
288部、スチレン288部および2−イソプロペニル
−2−オキサゾリン64部からなる単量体混合物を3時
間にわたって滴下した。反応中は窒素ガスを流し続け、
フラスコ内の温度を70±1℃に保った。滴下終了後も
2時間同じ温度に保った後、内温を80℃に昇温させて
1時間撹拌を続けて反応を完結させた。その後、冷却
し、不揮発分39.8wt%、pH8.0のオキサゾリ
ン基含有熱可塑性樹脂微粒子分散液分散液(D)を得
た。また、得られた熱可塑性樹脂微粒子分散液(D)の
粒子径をDLS700(大塚電子株式会社製)およびゼ
ータ電位をELS−800(大塚電子株式会社製)を用
いて測定したところ、平均粒子径は85nm、ゼータ電
位は+53mV(pH8.0)であった。
【0058】−製造例5− (アニオン性熱可塑性樹脂微粒子分散液)撹拌機、還流
冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、
脱イオン水576部を仕込み、緩やかに窒素ガスを流し
ながら70℃に加熱した。そこへ、過硫酸カリウムの2
0%水溶液を64部注入し、予め調製しておいたアクリ
ル酸ブチル80部、メタクリル酸メチル75部およびア
クリル酸5部からなる単量体混合物を2時間にわたって
滴下した。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の
温度を70±1℃に保った。滴下終了後も2時間同じ温
度に保った後、内温を80℃に昇温させて1時間撹拌を
続けて反応を完結させた。その後、冷却し、不揮発分1
9.8wt%、pH2.3のアニオン性の熱可塑性樹脂
微粒子分散液分散液(E)を得た。また、得られた熱可
塑性樹脂微粒子分散液(E)の粒子径をDLS700
(大塚電子株式会社製)およびゼータ電位をELS−8
00(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、
平均粒子径は450nm、ゼータ電位は−56mV(p
H2.3)であった。
【0059】−実施例1− 原料粒子(A)50部を水150部に超音波分散させた
際のpHは4.0であり、ゼータ電位は−20mVであ
った。この原料粒子分散液200部にカチオン性の熱可
塑性樹脂微粒子分散液(B)200部を添加した。その
混合液のpHは7.0、ゼータ電位は+23mVであっ
た。この混合分散液を、撹拌機、還流冷却器、窒素導入
管および温度計を備えたフラスコに仕込み、緩やかに窒
素ガスを流しながら、70℃にて2時間加熱した。得ら
れた分散混合液を光学顕微鏡で観察したところ、系の凝
集ならびに熱可塑性樹脂微粒子からなる原料粒子程度の
凝集物は観察されず、熱可塑性樹脂微粒子の単体、およ
び原料粒子が熱可塑性樹脂微粒子に被覆されてなる接着
性スペーサー(1)のみが観察された。
【0060】分級工程においては、まず、細孔径1ミク
ロンのメンブランフィルターを利用して、上記工程で得
た分散混合液の濾過を行った。フィルターを透過した濾
過後の液には、熱可塑性樹脂微粒子のみが存在した。こ
の濾過によってフィルター側に残存した接着性スペーサ
ー(1)を、分散媒としてメタノールを用いて再度分散
させ、電成ふるいを備えた分級装置によって分級した。
分級装置内の粒子濃度は5〜20wt%を保つよう適宜
メタノールの補給を行った。分級するに際し、電成ふる
いとしてニッケル系で開孔径2.0μmのものを用いて
分級を行ったあと、ふるい上部に残存した液を回収し、
さらに、これをニッケル系で開孔径10.0μmのもの
を用いて再び分級を行い、ふるい下部に流出した、分級
後の接着性スペーサー(1)の分散液を回収した。
【0061】−実施例2− 原料粒子(A)100部をメタノール500部および水
20gに超音波分散させた系に、カチオン性のシランカ
ップリング剤(信越シリコーン製、品名:X−12−6
14)20部、触媒としてイオン交換樹脂1gを加え
て、60℃メタノール還流下で2時間反応を行った。反
応後のカチオン性の原料粒子をメタノールでよく洗浄し
た後、100℃の減圧乾燥器で一晩乾燥させた。カチオ
ン性の原料粒子50部を水150部に超音波分散させた
際のpHは8.8であり、ゼータ電位は+26mVであ
った。この原料粒子分散液200部にアニオン性の熱可
塑性樹脂微粒子分散液(C)200部を添加した。その
混合液のpHは6.5、ゼータ電位は−16mVであっ
た。この混合分散液を、撹拌機、還流冷却器、窒素導入
管および温度計を備えたフラスコに仕込み、緩やかに窒
素ガスを流しながら、70℃にて2時間加熱した。得ら
れた分散混合液を光学顕微鏡で観察したところ、系の凝
集ならびに熱可塑性樹脂微粒子からなる原料粒子程度の
凝集物は観察されず、熱可塑性樹脂微粒子の単体、およ
び原料粒子が熱可塑性樹脂微粒子に被覆されてなる接着
性スペーサー(2)のみが観察された。
【0062】分級工程においては実施例1と同様の方法
により、濾過、懸濁および分級を行い、分級後の接着性
スペーサー(2)の分散液を回収した。 −実施例3− 原料粒子(A)100部をメタノール500部および水
20gに超音波分散させた系に、カチオン性のシランカ
ップリング剤(信越シリコーン製、品名:X−12−6
14)20部、触媒としてイオン交換樹脂1gを加え
て、60℃メタノール還流下で2時間反応を行った。反
応後のカチオン性の原料粒子をメタノールでよく洗浄し
た後、100℃の減圧乾燥器で一晩乾燥させた。
【0063】カチオン性の原料粒子100部をpH3に
調製した酢酸水溶液300部に分散させ、アニオン性の
熱可塑性樹脂微粒子分散液分散液(E)100部と混合
し、ヘテロ凝集を行った。この得られたヘテロ凝集分散
液を細孔径1μmのメンブランフィルターを利用して濾
過により分別した。その後、濾別粒子を40℃の減圧乾
燥下で一晩乾燥させた。乾燥した粒子36部を、奈良機
械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−0
型を用いた高速気流中衝撃法により衝撃力を加えて、熱
可塑性樹脂微粒子からなる接着層を溶融させ、均一被覆
を行い、実施例3の接着性スペーサー(3)を得た。
【0064】分級工程においては実施例1と同様の方法
により、濾過、懸濁および分級を行い、分級後の接着性
スペーサー(3)の分散液を回収した。 −実施例4− 実施例1において用いたカチオン性の熱可塑性樹脂微粒
子分散液(B)の代わりに、製造例4のオキサゾリン基
含有熱可塑性樹脂微粒子分散液分散液(D)を用いた以
外は、実施例1と同様にして、実施例4の接着性スペー
サー(4)を得た。分級工程においても実施例1と同様
の方法により、濾過、懸濁および分級を行い、分級後の
接着性スペーサー(4)の分散液を回収した。
【0065】−比較例1− 原料粒子(A)30gと、製造例3で合成した熱可塑性
樹脂微粒子分散液(C)をドライアップして得た熱可塑
性樹脂微粒子6gとを混合した後、奈良機械製作所
(株)製、ハイブリダイゼーションシステムNHS−0
型を使用し、高速気流中衝撃法により、原料粒子の表面
を熱可塑性樹脂微粒子で被覆処理することにより、比較
例1の接着スペーサー(比較接着性スペーサー(1))
を得た。分級工程においては、実施例1の濾過工程を除
いた工程と同様に、比較接着性スペーサー(1)を分散
媒としてメタノールを用いて再度分散させ、電成ふるい
を用いて行い、分級後の比較接着性スペーサー(1)の
分散液を回収した。上記実施例1〜4および比較例1よ
り得られた接着性スペーサー(1)〜(4)および比較
接着性スペーサー(1)について、固着力試験および樹
脂異物評価を行った。
【0066】(固着力試験)加熱処理後の接着性スペー
サーの基板への固着力(接着力)を、エアブロー法によ
りエアブロー前後の粒子残存率を計算し、評価した。そ
の結果を表1に示す。残存率は3回測定後の平均値であ
る。 基板:スライドガラス 加熱:ホットプレートにより、150℃あるいは180
℃で10分間加熱した。 エアブロー法:スライドガラスに直角にエアーガンをセ
ットし、圧力2kg/cm2にて10秒エアブローをし
た。
【0067】粒子数:測定した粒子数は5000個であ
る。
【0068】
【表1】
【0069】(樹脂異物評価)濾別・乾燥したサンプル
をSEM(日立製:S3500)にて任意の5視野(倍
率:1000倍、粒子総数:約5000)を観察し、熱
可塑性樹脂微粒子単体等が凝集した接着性スペーサー以
外の樹脂異物の個数を計測した。
【0070】
【表2】
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性樹脂微粒子ど
うしの付着および凝集を防止し、スペーサー粒子本体と
なる原料粒子表面への熱可塑性樹脂微粒子の被覆効率を
高め、未被覆(非付着)の熱可塑性樹脂微粒子の除去が
容易に可能で、液晶表示板用の接着性スペーサーとして
用いた場合に良好な分散性が得られる、新規な液晶表示
板用接着性スペーサーおよびその製造方法を提供するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横尾 純子 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 佐々木 令晋 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 倉本 成史 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 2H089 LA03 MA01X MA04X NA15 PA02 QA05 QA14 QA16 SA17 TA09 5C094 AA03 AA43 AA55 BA43 EC02 EC03 FB01 FB02 FB03 FB15 GB10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粒子本体の表面の少なくとも一部が熱可塑
    性樹脂からなる接着層で被覆された液晶表示板用の接着
    性スペーサーにおいて、前記熱可塑性樹脂からなる微粒
    子は前記粒子本体とのヘテロ凝集により前記粒子本体の
    表面に付着していることを特徴とする、液晶表示板用接
    着性スペーサー。
  2. 【請求項2】前記粒子本体が有機質無機質複合体粒子で
    ある、請求項1に記載の液晶表示板用接着性スペーサ
    ー。
  3. 【請求項3】粒子本体となる原料粒子の表面の少なくと
    も一部が熱可塑性樹脂からなる接着層で被覆された液晶
    表示板用の接着性スペーサーを得る方法であって、前記
    原料粒子と前記熱可塑性樹脂の微粒子とを水相中でヘテ
    ロ凝集させる工程、および、ヘテロ凝集に関与しなかっ
    た前記熱可塑性樹脂微粒子を除去する工程とを含むこと
    を特徴とする、液晶表示板用接着性スペーサーの製造方
    法。
  4. 【請求項4】さらに、前記熱可塑性樹脂微粒子の少なく
    とも一部を溶融させる溶融工程を含む、請求項3に記載
    の液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法。
  5. 【請求項5】前記溶融工程が、衝撃力を加える工程であ
    る、請求項4に記載の液晶表示板用接着性スペーサーの
    製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009075406A (ja) * 2007-09-21 2009-04-09 Sekisui Chem Co Ltd スペーサ粒子分散液、液晶表示装置の製造方法、及び、液晶表示装置

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