JP5659573B2 - 表示用粒子分散液、表示媒体、及び表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、表示用粒子分散液、表示媒体、及び表示装置に関するものである。
画像維持性(所謂メモリー性)を有するディスプレイとして電気泳動表示媒体が盛んに研究されている。本表示方式では、液体中に帯電した表示用粒子(電気泳動粒子)を用いて、電場付与によって泳動粒子をセル内(二枚の電極基板を重ねてその間に電気泳動材料を分散媒と共に封入した構成)の視野面及び背面へ交互に移動させることによって表示が行なわれる。
本技術では、前記表示用粒子(電気泳動粒子)が重要な要素になっており、様々な技術開発がなされている。例えば、表示用粒子に凝集力を付与し、画像維持性(所謂メモリー性)を付与する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1乃至4)
特願2005−331859号公報 特願2007−121570号公報 特表2007−534006号公報 特開2001−265261号公報
本発明の課題は、表面にアルキル基を持ち且つ無帯電のシリカ粒子を適用しない場合に比べ、画像維持性に優れる表示用粒子分散液を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
シリコーンオイルを含む分散媒と、
前記分散媒に分散され、電界に応じて移動する第1表示用粒子であって、表面に極性基を持つ第1表示用粒子と、
前記分散媒に分散され、表面にアルキル基を持ち、且つ無帯電のシリカ粒子と、
を備える表示用粒子分散液。
請求項2に係る発明は、
前記分散媒に分散され、電界に応じて移動する第2表示用粒子であって、表面に非極性基を持つ第2表示用粒子を備える請求項1に記載の表示用粒子分散液。
請求項3に係る発明は、
前記分散媒に、極性基を持つ単量体とシリコーン鎖を持つ単量体との共重合体からなる高分子が溶解されている請求項1又は2に記載の表示用粒子分散液。
請求項4に係る発明は、
少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、
前記一対の基板間に封入された、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示用粒子分散液と、
を備えたことを特徴とする表示媒体。
請求項5に係る発明は、
少なくとも一方が透光性を有する一対の電極と、
前記一対の電極間に設けられた、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示用粒子分散液を有する領域と、
を備えたことを特徴とする表示媒体。
請求項6に係る発明は、
請求項4又は5に記載の表示媒体と、
前記表示媒体の前記一対の基板間又は前記一対の電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、
を備えた表示装置。
請求項1に係る発明によれば、表面にアルキル基を持ち、且つ無帯電のシリカ粒子を適用しない場合に比べ、画像維持性に優れる表示用粒子分散液を提供することができる。
請求項2に係る発明は、第2表示用粒子として表面に極性基を持たない第2表示用粒子を適用しない場合に比べ、画像維持性に優れる表示用粒子分散液を提供することができる。
請求項3に係る発明は、極性基を持つ単量体とシリコーン鎖を持つ単量体との共重合体からなる高分子が分散媒に溶解していない場合に比べ、画像維持性に優れる表示用粒子分散液を提供することができる。
請求項4、5、6に係る発明によれば、表示用粒子分散液に対して表面にアルキル基を持ち、且つ無帯電のシリカ粒子を適用しない場合に比べ、画像維持性に優れる表示媒体、表示装置を提供することができる。
本実施形態に係る表示装置の概略構成図である。 本実施形態に係る表示装置の表示媒体の基板間に電圧を印加したときの粒子群の移動態様を模式的に示す説明図である。 シリカ粒子の濃度と、表示用粒子の径(凝集径)と、の関係を示す図である。 ブリッジング凝集を説明するための模式図である。 枯渇凝集を説明するための模式図である。 ブリッジング凝集を説明するための模式図である。 媒介高分子を用いたときにおける、ブリッジング凝集を説明するための模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
(表示用粒子分散液)
本実施形態に係る表示用粒子分散液は、シリコーンオイルを含む分散媒と、分散媒に分散され、電界に応じて移動する第1表示用粒子であって、表面に極性基を持つ第1表示用粒子と、分散媒に分散され、表面にアルキル基を持ち、且つ無帯電のシリカ粒子と、を有する。
本実施形態に係る表示用分散液では、シリコーンオイルを含む分散媒に、表面にアルキル基を持ち且つ無帯電のシリカ粒子が分散された系において、当該系に表面に極性基を持つ表示用粒子を分散させた場合、同極に帯電されている表示用粒子であっても当該表示用粒子の凝集が引き起され易くなると考えられる。これは、シリコーンオイルを含む分散媒中において、表面に極性基を持つ表示用粒子と共に、上記表面にアルキル基を持ち且つ無帯電のシリカ粒子を分散媒に分散させることで、例えば、図3に示すように、シリカ粒子の低濃度領域では、低表面に極性基を持つ第1表示用粒子に対して、ブリッジング凝集(架橋凝集)と呼ばれる作用が生じ、シリカ粒子の濃度が増えると、枯渇凝集と呼ばれる作用が生じるためと考えられる。
図3は、シリカ粒子の濃度と、表示用粒子の径(凝集径)と、の関係を示す図である。当該図3に示すように、シリカ粒子の濃度が上昇するにつれて、表示用粒子の径(凝集径)の大きさが2つのピークを生じる。シリカ粒子の低濃度側における表示用粒子の径(凝集径)の大きさのピークでは、シリカ粒子による表示用粒子のブリッジング凝集(橋架け凝集)が生じているものと考えられる。一方、シリカ粒子の高濃度側における表示用粒子の径(凝集径)の大きさのピークでは、シリカ粒子による表示用粒子の枯渇凝集が生じているものと考えられる。
なお、表示用粒子の径(凝集径)の大きさの2つのピークに挟まれるシリカ粒子の濃度領域では、明確な表示用粒子に対する凝集作用が働いているかは明確ではないが、シリカ粒子を分散液中に添加しない場合に比べ、凝集し易くなるため、何らかの凝集作用が生じているものと推測される。
ここで、ブリッジング凝集(橋架け凝集)は、極性基を持つ表示用粒子が離間して分散媒中で分散されている状態(図4(A))から、当該表示用粒子同士が接近したとき、ここに、表面にアルキル基を持ち且つ無帯電のシリカ粒子が存在すると、シリカ粒子が表示用粒子表面へ付着して、当該シリカ粒子が接近した表示用粒子同士を橋架けして凝集させる作用と考えられる(図4(B)参照)。シリカ粒子表面はシロキサンにアルキル基が結合した状態であり、これはシリコーンオイルと同等の構造であるためシリカ粒子はシリコーンオイルと非常に馴染みが良く高い分散性を有する。また、シリカ粒子表面のアルキル基は熱運動などで確率的に間隙をつくり、その間隙の奥(例えばシリカ粒子の表面の孔内壁面)にはシロキサン主鎖や未反応のシラノール基があり、これと表示用粒子の極生基がファンデルワールス力や配位結合などによってブリッジング凝集を起こすと考えられる(図6参照)。
この様子の一例を図6に模式的に示す。図6では、例えば、極性基(図6では−NRを標記)を持つ高分子乳化剤を表面に付着させた表示用粒子の極性基が、表示用粒子の移動又はその高分子乳化剤のセグメント運動によって、表面がアルキル化されたシリカ粒子の表面の孔内壁に存在するシラノール基(そのOH基)に対して接近することで、表示用粒子の表面の極性基とシリカ粒子のシラノール基(そのOH基)とがファンデルワールス力や配位結合などによって引力的作用を及ぼし合い、ブリッジング凝集が生じている様子を模式的示している。
しかし、わずかな間隙での結合のため容易に切れるうえ結合サイトも少なく、粒子全体としての結合力は比較的弱いと考えられる。仮にシリカ粒子表面にシロキサンやシラノール基が露出していたとしたらシリカ粒子と極性基を持つ表示用粒子の結合は強固になってしまい、不可逆な凝集を生じ、図3のような可逆な凝集は起こらないと考えられる。さらに、極生基が露出した状態ではシリカ粒子はシリコーンオイルに分散状態では存在できないと考えられる。すなわち、表面にアルキル基を持ち且つ無帯電のシリカ粒子は、分散と凝集力の制御のバランスの取れた状態であるといえる。
シリカ粒子の濃度が上がると、シリコーンオイルを含む分散液中では表示用粒子が持つ極性基とシリカ粒子の持つアルキル基とが例えばファンデルワールス力や配位結合などにより、シリカ粒子が表示用粒子表面に付着し、その濃度が飽和吸着濃度以上になると付着しきれないシリカ粒子が分散媒中で分散された状態となると考えられる(図5(A))。この状態で、シリカ粒子が付着した表示用粒子が、付着しきれず分散された状態のシリカ粒子の径よりも小さい距離に表示用粒子が相互に接近すると、シリカ粒子は表示用粒子同士の間から排除され易くなり(逆を言えばシリカ粒子が表示用粒子同士の間に入り込み難くなり)、シリカ粒子が枯渇した領域が存在することとなる。このとき、接近した表示用粒子同士の間は、接近した表示用粒子同士の間に比べ分散媒が多く存在することから、表示用粒子同士は回りから押されて、凝集を引き起こし易くなる(図5(B))。これを枯渇効果と言い、生ずる凝集を枯渇凝集と言われている(例えば、上記特許文献1参照)。
したがって、本実施形態に係る表示用粒子分散液、及びそれを用いた表示用媒体や表示装置では、上記シリカ粒子による表示用粒子の凝集作用によって、シリカ粒子を適用しない場合に比べて、画像維持性(メモリー性)に優れるものになると考えられる。
また、上記シリカ粒子による表示用粒子の凝集作用は、表示用粒子の電界に応じた移動により解除され易いものであり、繰り返し表示用粒子の移動による表示も実現され得ると考えられる。
また、上記シリカ粒子による表示用粒子の凝集作用は、原理的には帯電量によらないことから表示媒体や表示装置の構成自由度が増し、また表示用粒子が多層状態であっても当該凝集作用が働くことから画像濃度向上も実現され得ると考えられる。
ここで、高分子(分散剤等)によっても、表示用粒子に対して上記ブリッジング凝集(橋架け凝集)や枯渇凝集を生じさせられるが、当該高分子による凝集作用は、高分子の添加による分散媒の粘度上昇、温度による凝集力の変化、不可逆的な凝集となり易い。一方で、上記シリカ粒子による凝集作用は、シリカ粒子の添加により分散媒の粘度上昇が生じ難く、温度による凝集力の変化も生じ難く、可逆的な凝集となり易く(凝集が解かれ易い)、高分子による凝集作用に比べ有利である。
一方、本実施形態に係る表示用粒子分散液は、表示用粒子として、2種以上の表示用粒子を含む形態であってもよい。2種以上の表示用粒子は、例えば、帯電極性が異なる表示用粒子や、電界により移動を開始する電界強度が異なる表示用粒子の組み合わせが挙げられる。特に、本実施形態に係る表示用粒子分散液では、上記第1表示用粒子と共に、分散媒に分散され、電界に応じて移動する第2表示用粒子として、表面に非極性基を持つ第2表示用粒子を併用した形態が好適である。
この第2表示用粒子は、表面に非極性基を持つ表示用粒子である。このため、第2表示用粒子が持つ非極性基とシリカ粒子の持つアルキル基の間隙の奥に存在するシロキサン主鎖や未反応のシラノール基とは、ほとんど相互作用を及ぼし合わないと考えられる。この第2表示用粒子を、第1表示用粒子と併用することで、第1表示用粒子の画像保持性および第2表示用粒子の画像保持性その他の特性が独立に制御され易くなる。一方、第2表示用粒子が極性基を有すると、第1表示用粒子と共にブリッジング凝集等を起こしてしまい、それぞれを独立駆動することが困難となるものと考えられる。したがって、第2表示用粒子として表面に極性基を持たない第2表示用粒子を適用しない場合に比べて、画像維持性(メモリー性)に優れるものになると考えられる。また、発色性にも優れるものと考えられる。
ここで、第2表示用粒子は、理由は定かではないが、第1表示用粒子に上記シリカ粒子が付着すると当該第1表示用粒子は負帯電粒子として振舞うことから、正帯電極性の粒子(正帯電粒子)であることがよい。
また、本実施形態に係る表示用粒子分散液は、分散媒(シリコーンオイル)に、極性基を持つ単量体とシリコーン鎖を持つ単量体との共重合体からなる高分子(以下、媒介高分子と称する)が溶解されている形態であってもよい。この媒介高分子を分散媒に溶解させることで、この媒介高分子が第1表示用粒子とシリカ粒子とのブリッジング凝集(橋架け凝集)を生じさせ、これら粒子の凝集力を強め、画像維持性(メモリー性)が優れるものになると考えられる。
ここで、上述のように、シリカ粒子によるブリッジング凝集(橋架け凝集)は、表示用粒子表面の極生基とシリカ粒子表面の未反応のシラノール基とがファンデルワールス力や配位結合などによって生じるものと考えられるが、この表示用粒子とシリカ粒子との間に媒介高分子が介在すると、表示用粒子表面の極生基及びシリカ粒子表面の未反応のシラノール基と、媒介高分子の極性基と、がそれぞれファンデルワールス力や配位結合などの引力的作用が働くものと考えられる。
この様子の一例を図7に模式的に示す。図7では、例えば、表示用粒子とシリカ粒子との間に、極性基(図7では、−OH、−NRを標記)を持つ媒介高分子が介在して、この媒介高分子の極性基が、極性基(図7では−NRを標記)を持つ高分子乳化剤を表面に付着させた表示用粒子の極性基及び表面がアルキル化されたシリカ粒子の表面の孔内壁に存在するシラノール基(そのOH基)とそれぞれファンデルワールス力や配位結合などによって引力的作用を及ぼし合い、ブリッジング凝集が生じている様子を模式的示している。なお、図7でも、Rはアルキル基を示す。
そして、媒介高分子の極性基による引力的作用は、シリコーンオイルという低誘電溶媒(例えば誘電率5.0以下)下での現象なので、図7で示した−OH・−NRの組み合わせのみならず、例えば、−OH・−OH間、−NR・−NR間、−COOH・−COOH、−NR・−COOH間の組み合わせでも生じると考えられることから、媒介高分子は、極性基を有していれば、上記ブリッジング凝集を生じさせるものと考えられる。
このため、媒介高分子により、表示用粒子とシリカ粒子とがある程度距離が離れていても、ブリッジング凝集が生じ、そして、その凝集力が高まり、画像維持性(メモリー性)が優れるものになると考えられる。
以下、各構成要素について詳細に説明する。
まず、シリカ粒子について説明する。
シリカ粒子は、表面にアルキル基を持ち、且つ無帯電のシリカ粒子である。シリカ粒子として、具体的には、例えば、表面処理が施されていないシリカ粒子(以下、無処理シリカ粒子と称する)に表面に対してアルキル化剤によりアルキル化処理が施された粒子である。なお、「無帯電」とは、いずれの帯電極性も帯びておらず、具体的には、例えば、シリカ粒子の表面に、帯電基等の帯電作用を及ぼす基を有しておらず、粒子が電界に応じて移動が生じないことをいう。
無処理シリカ粒子としては、例えば、シリカ粒子(シリカ単体粒子、シリカ複合酸化物粒子(例えば、SiOとTiO、Al等との混晶粒子、TiO、Al等の粒子にSiOを被覆した粒子等)が挙げられる。シリカ粒子は、気相法シリカ粒子、湿式シリカ粒子のいずれでもよい。
無処理シリカ粒子としては、単分散且つ球形であるシリカ粒子(以下、単分散球形シリカと称する)であることがよい。ここで単分散とは、凝集体を含め平均粒径に対する標準偏差で議論され、標準偏差が体積平均粒径D50×0.22以下であることをいう。また球形とは、Wadellの球形化度で議論され、球形化度が0.6以上であることをいい、0.8以上であることが望ましい。単分散球形シリカ粒子は、湿式法であるゾルゲル法により得られる。ゾルゲル法により得られたシリカ粒子の真比重は、湿式法かつ焼成することなしに作製するため、蒸気相酸化法に比べ低く制御される。また、疎水化処理工程での疎水化処理剤種、あるいは処理量を制御することによっても、シリカ粒子の真比重が調整される。シリカ粒子の粒径は、ゾルゲル法の加水分解、縮重合工程のアルコキシシラン、アンモニア、アルコール、水の重量比、反応温度、攪拌速度、供給速度により制御される。単分散、球形形状も本手法にて作製することにより達成される。
一方、アルキル化剤としては、テトラアルコキシシラン若しくはその部分加水分解縮合物、又はそれらの組み合わせ;、加水分解性シリル基および親水性基を有する化合物の共加水分解若しくは縮合反応物、シラザン化合物、シラン化合物、又はそれらの組み合わせなどが挙げられる。
テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。また、テトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物としては、例えば、メチルシリケート、エチルシリケート等のアルキルシリケートが挙げられる。これらのテトラアルコキシシラン等は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
シラザン化合物としては、ケイ素原子に結合する基としてアルキル基、フェニル基等であるものが挙げられる。
ここで、アルキル化剤を用いてアルキル化処理された無処理シリカ粒子の表面に導入されるアルキル基(つまりシリカ粒子が表面に持つアルキル基)は、例えば、炭素数が1以上20以下であることがよく、望ましく炭素数が1以上12以下であり、特に望ましくは炭素数が1以上8以下である。
表面にアルキル基を持つシリカ粒子の製造方法の一例を示すと、例えば、まず、シラン化合物(例えばテトラメトキシシラン)を水、アルコールの存在下、アンモニア水を触媒として温度をかけながら滴下、攪拌を行う。次に、反応により得られたシリカゾル懸濁液の遠心分離を行い、湿潤シリカゲルとアルコールとアンモニア水に分離する。湿潤シリカゲルに溶剤を加え再度シリカゾルの状態にし、アルキル化剤を加え、シリカ表面のアルキル化処理を行う。次に、このアルキル化処理されたシリカゾルから溶媒を除去、乾燥、篩い分けすることにより、目的のシリカ粒子(例えば単分散球形シリカ粒子)が得られる。また、このようにして得られたシリカ粒子に再度処理を行っても構わない。
ここで、シラン化合物は、例えば、水溶性のものが挙げられる。このシラン化合物としては、例えば、下記の化学構造式で表される化合物が挙げられる。
式:RSiX4−a
(式中、aは0から3の整数であり、Rは、水素原子、アルキル基及びアルケニル基等の有機基を表し、Xは、塩素原子、メトキシ基及びエトキシ基等の加水分解性基を表す。)
シラン化合物としては、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれのタイプを使用してもよい。具体的には、例えば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ −グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランが代表的なものとして例示される。
シリカ粒子の粒径は、表示用粒子の粒径よりも小さく、例えば、表示用粒子の粒径に対して1/1000以上1/2以下であることがよく、望ましくは1/500以上1/3以下であることがよい。シリカ粒子の粒径として具体的には、例えば、体積平均粒径で5nm以上5μm以下であることがよく、より望ましくは10nm以上2μm以下であることがよい。
この体積平均粒径は、大塚電子株式会社製FPAR−1000:粒径アナライザーを用いて、得られたチャンネルごとの体積平均粒径を小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とする。以下、同様である。
シリカ粒子の濃度は、上記ブリッジング凝集が生じる濃度(その下限濃度)以上(例えば分散媒に対して0.001質量%以上)であることがよい。特に、シリカ粒子の濃度としては、ブリッジング凝集が生じる濃度(例えば分散媒に対して0.01質量%以上10質量%以下、望ましくは0.05質量%以上5質量%以下)、又は上記枯渇凝集が生じる濃度(例えば分散媒に対して0.01質量%以上50質量%以下、望ましくは0.1質量%以上30質量%以下)であることがよい。
次に、表示用粒子(第1表示用粒子、第2表示用粒子)について説明する。
まず、第1表示用粒子について説明する。
第1表示用粒子は、表面に極性基を持つ粒子であり、例えば、着色剤と極性基を持つ高分子とを含んで構成され、必要に応じて、その他の配合材料と、を含んで構成される。表示用粒子は、高分子中に着色剤が分散・配合された粒子であってもよいし、着色剤の粒子表面に対して高分子を被覆又は付着した粒子であってもよい。
極性基を持つ高分子は、当該極性基(分極性の官能基)として塩基又は酸基を持つことがよい。ここで、高分子において、当該極性基は、帯電基として機能する基であってもよいし、帯電基として機能する基とは別に有してもよいが、帯電基として機能する基であることがよい。高分子が塩基又は酸基を帯電基として機能する基とは別に有する場合、当該帯電基としてはフッ素基が挙げられる。
極性基として塩基(以下、カチオン性基)は、例えば、アミノ基、4級アンモニウム基が挙げられる(これら基の塩も含む)。また、極性基として酸基(以下、アニオン性基)は、例えば、フェノール基、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基、リン酸塩基及びテトラフェニルボロン基が挙げられ(これら基の塩も含む)。なお、カチオン性基が帯電基として機能する場合、例えば、粒子には正帯電極性が付与される易くなる。一方、アニオン性基が帯電基として機能する場合、例えば、粒子に負帯電極性が付与される易くなる。
極性基(帯電基)を有する高分子として、具体的には、例えば、極性基(帯電基)を有する単量体の単独重合体であってもよいし、極性基(帯電基)を有する単量体と他の単量体(極性基を持たない単量体)との共重合体が挙げられる。なお、「(メタ)アクリレート」等の記述は、「アクリレート」及び「メタクリレート」等のいずれをも含む表現である。以下、同様である。
極性基(帯電基)を有する単量体としては、カチオン性基を有する単量体(以下、カチオン性単量体)、アニオン性基を有する単量体(以下、アニオン性単量体)が挙げられる。
カチオン性単量体としては、例えば、以下のものが挙げられる。具体的には、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−オ クチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族アミノ基を有する(メタ)アクリレート類、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジオクチルアミノスチレン等の含窒素基を有する芳香族置換エチレン系単量体類、
ビニル−N−エチル −N−フェニルアミノエチルエーテル、ビニル−N−ブチル−N−フェニルアミノエチルエーテル、トリエタノールアミンジビニルエーテル、ビニルジフェニルアミノエチルエーテル、N−ビニルヒドロキシエチルベンズアミド、m−アミノフェニルビニルエーテル等の含窒素ビニルエーテル単量体類、ビニルアミン、N−ビニルピロール等のピロール類、N−ビニル−2−ピロリン、N−ビニル−3−ピロリン等のピロリン類、N−ビニルピロリジン、ビニルピロリジンアミノエーテル、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリジン類、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、N−ビニルイミダゾリン等のイミダゾリン類、N−ビニルインドール等のインドール類、N−ビニルインドリン等のインドリン類、N−ビニルカルバゾール、3,6−ジブロム−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン等のピリジン類、(メタ)アクリルピペリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピペラジン等のピペリジン類、2−ビニルキノリン、4−ビニルキノリン等のキノリン類、N−ビニルピラゾール、N−ビニルピラゾリン等のピラゾール類、2−ビニルオキサゾール等のオキサゾール類、4−ビニルオキサジン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等のオキサジン類などが挙げられる。
また、汎用性から特に好ましいカチオン性単量体としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの脂肪族アミノ基を有する(メタ)アクリレート類が好ましく、特に重合前あるいは重合後に4級アンモニウム塩とした構造で使用されることが好ましい。4級アンモニウム塩化は、例えば、前記化合物をアルキルハライド類やトシル酸エステル類と反応することで得られる。
アニオン性単量体としては、例えば、以下のものが挙げられる。
具体的には、アニオン性単量体のうち、カルボン酸モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、又はそれらの無水物及びそのモノアルキルエステルやカルボキシエチルビニルエーテル、カルボキシプロピルビニルエーテルの如きカルボキシル基を有するビニルエーテル類等がある。
スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリックアシッドエステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコニックアシッドエステル等及びその塩がある。また、その他2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸の硫酸モノエステル及びその塩がある。
リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート等がある。
望ましくはアニオン性単量体としては、(メタ)アクリル酸やスルホン酸を持ったものであり、より望ましくは重合前若しくは重合後にアンモニウム塩となった構造のものである。アンモニウム塩は、例えば、3級アミン類若しくは4級アンモニウムハイドロオキサイド類と反応させることで作製される。
ここで、極性基(酸基及び塩基)以外で帯電基として機能するフッ素基を持つ単量体としては、例えばフッ素基を持つ(メタ)アクリレートモノマーがあり、具体的には、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロメチルトリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
一方、他の単量体としては、非イオン性単量体(ノニオン性単量体)が挙げられ、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド、スチレン、ビニルカルバゾール、スチレン、スチレン誘導体、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、ブタジエン、ビニルピロリドン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ここで、極性基(帯電基)を有する単量体と他の単量体との共重合比は、所望の粒子の帯電量に応じて変更させる。通常は極性基(帯電基)を有する単量体と他の単量体との共重合比がそのモル比で1:100乃至100:0からの範囲で選択される。
極性基(帯電基)を有する高分子の重量平均分子量としては、1000以上100万以下が望ましく、より望ましくは1万以上20万以下である。
次に、着色剤について説明する。着色剤としては、有機若しくは無機の顔料や、油溶性染料等が挙げられ、例えば、マグネタイト、フェライト等の磁性紛、カーボンブラック、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、フタロシアニン銅系シアン色材、アゾ系イエロー色材、アゾ系マゼンタ色材、キナクリドン系マゼンタ色材、レッド色材、グリーン色材、ブルー色材等の公知の着色剤が挙げられる。具体的には、着色剤としては、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3、等が代表的なものとして例示される。
着色剤の配合量としては、極性基(帯電基)を持つ高分子に対し10質量%以上99質量%以下が望ましく、望ましくは30質量%以上99質量%以下である。
次にその他の配合材料を説明する。その他の配合材料としては、例えば帯電制御材料、磁性材料が挙げられる。
帯電制御材料としては、電子写真用トナー材料に使用される公知のものが使用でき、例えば、セチルピリジルクロライド、BONTRON P−51、BONTRON P−53、BONTRON E−84、BONTRON E−81(以上、オリエント化学工業社製)等の第4級アンモニウム塩、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、テトラフェニル系化合物、酸化金属粒子、各種カップリング剤により表面処理された酸化金属粒子を挙げられる。
磁性材料としては、必要に応じてカラーコートした無機磁性材料や有機磁性材料を使用する。また、透明な磁性材料、特に、透明有機磁性材料は着色顔料の発色を阻害し難く、比重も無機磁性材料に比べて小さく、より望ましい。
着色した磁性材料(カラーコートした材料)として、例えば、特開2003−131420公報記載の小径着色磁性粉が挙げられる。核となる磁性粒子と該磁性粒子表面上に積層された着色層とを備えたものが用いられる。そして、着色層としては、顔料等により磁性粉を不透過に着色する等選定して差し支えないが、例えば光干渉薄膜を用いるのが好ましい。この光干渉薄膜とは、SiOやTiO等の無彩色材料を光の波長と同等な厚みを有する薄膜にしたものであり、薄膜内の光干渉により光の波長を選択的に反射するものである。
ここで、第1表示用粒子は、その表面に、高分子乳化剤を付着(例えば結合又は被覆)させた粒子であってもよい。また、高分子乳化剤に、上記各表示用粒子を構成する高分子同様の極性基(帯電基)を持たせ、当該表示用粒子を構成する上記各高分子に代えて用いてもよい。
高分子乳化剤としては、シリコーン系高分子が代表的なものとして挙げられる。シリコーン系高分子は、例えば、シリコーン鎖を持つ高分子化合物であり、より具体的には主高分子化合物の主鎖に対して、シリコーン鎖(シリコーングラフト鎖)が側鎖として有する化合物であることがよい。
シリコーン系高分子の一つとしては、例えば、シリコーン鎖成分と、必要に応じて反応性成分、極性基(帯電基)を持つ共重合成分、及びその他共重合成分(極性基を持たない共重合成分)の少なくとも1種と、を共重合させた共重合体が好適に挙げられる。なお、当該共重合体における共重合成分(特に、シリコーン鎖成分)の原料は、モノマーを用いてもよいし、マクロモノマーを用いてもよい。この「マクロモノマー」とは、重合性官能基を持ったオリゴマー(重合度2以上300以下程度)あるいはポリマーの総称であり、高分子と単量体(モノマー)との両方の性質を有するものである。
シリコーン鎖成分としては、片末端に(メタ)アクリレート基を持ったジメチルシリコーンモノマー(例えば、チッソ社製:サイラプレーン:FM−0711,FM−0721,FM−0725等、信越シリコーン(株):X−22−174DX, X−22−2426, X−22−2475等)が挙げられる。
反応性成分としては、エポキシ基を有するグリシジル(メタ)アクリレート、イソシアネート基を有するイソシアネート系モノマー(昭和電工:カレンズAOI、カレンズMOI)などが挙げられる。
極性基(帯電基)を持つ共重合成分、及びその他共重合成分(極性基を持たない共重合成分)としては、上記極性基(帯電基)を有する高分子で説明した極性基(帯電基)を有する単量体、他の単量体(極性基を持たない単量体)で挙げられたものが適用される。
シリコーン系高分子は、シリコーン鎖成分が、高分子全体に対して占める質量比で3%以上60%以下、望ましくは5%以上40%以下であることが望ましい。
シリコーン系高分子としては、上記共重合体以外に、片末端にエポキシ基を持つシリコーン化合物(下記構造式1で示されるシリコーン化合物)も挙げられる。当該片末端にエポキシ基を持つシリコーン化合物としては、例えば、信越シリコーン社製:X−22−173DX等が挙げられる。



構造式1中、R’は、水素原子、又は炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。nは自然数(例えば1以上1000以下、望ましくは3以上100以下)を示す。xは1以上3以下の整数を示す。
シリコーン系高分子としては、片末端に(メタ)アクリレート基を持ったジメチルシリコーンモノマー(下記構造式2で示されるシリコーン化合物:例えば、チッソ社製:サイラプレーン:FM−0711,FM−0721,FM−0725等、信越シリコーン(株):X−22−174DX, X−22−2426,X−22−2475等)とグリシジル(メタ)アクリレート又はイソシアネート系モノマー(昭和電工:カレンズAOI、カレンズMOI)との少なくとも2成分からなる共重合体も好適に挙げられる。


構造式2中、Rは、水素原子、又はメチル基を示す。R’は、水素原子、又は炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。nは自然数(例えば1以上1000以下、望ましくは3以上100以下)、を示す。xは1以上3以下の整数を示す。
シリコーン系高分子の重量平均分子量としては、500以上100万以下が望ましく、より望ましくは1000以上100万以下である。
以上説明した第1表示用粒子のうち、最も好適な形態の粒子として、
1)着色剤と帯電基を持つ高分子で構成された粒子の表面に、極性基を持つ高分子乳化剤が付着した形態の粒子、
2)着色剤と非極性基を持つ高分子で構成された粒子の表面に、極性基および帯電基を持つ高分子乳化剤が付着した形態の粒子、
3)帯電基を持つ着色剤と非極性基を持つ高分子で構成された粒子の表面に、極性基を持つ高分子乳化剤が付着した形態の粒子、
4)着色剤が帯電基および極性基を持つ高分子に包埋された形態の粒子、
5)帯電基を持つ着色剤が極性基を持つ高分子に包埋された形態の粒子、
等が挙げられる。
次に、第2表示用粒子について説明する。
第2表示用粒子は、表面に非極性基(例えばフェニル基、アルキル基、又はそれらの誘導体等)を持つ粒子であり、例えば、着色剤と非極性基を持つ高分子とを含んで構成され、必要に応じて、その他の配合材料と、を含んで構成される。表示用粒子は、高分子中に着色剤が分散・配合された粒子であってもよいし、着色剤の粒子表面に対して高分子を被覆又は付着した粒子であってもよい。
第2表示用粒子としては、極性基の代わり非極性基を持つ以外は、基本的な材料構成は第1表示用粒子と同じである。
第2表示用粒子を構成する高分子(非極性高分子)としては、(アルキル)アクリル酸アルキルエステル、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、スチレン、ビニルカルバゾール、スチレン、やそれらの誘導体などが挙げられる。
第2表示用粒子全体を非極性高分子で構成してもよいし、コアの高分子を極性基を有する高分子で構成し、非極性高分子からなる乳化剤を付着(吸着)させてもよい。
すなわち、第2表示用粒子として最も好適な形態の粒子として、
1)着色剤と帯電基を持つ高分子で構成された粒子の表面に、非極性基を持つ高分子乳化剤が付着した形態の粒子、
2)着色剤と非極性基を持つ高分子で構成された粒子の表面に、非極性基および帯電基を持つ高分子乳化剤が付着した形態の粒子、
3)帯電基を持つ着色剤と非極性基を持つ高分子で構成された粒子の表面に、非極性基を持つ高分子乳化剤が付着した形態の粒子、
4)帯電基を持つ着色剤が非極性基を持つ高分子に包埋された形態の粒子、
等が挙げられる。
次に、分散媒について説明する。
分散媒は、シリコーンオイルを含んで構成される。無論、分散媒は、シリコーンオイルと、シリコーンオイル以外の溶媒と、の混合溶媒であってもよい。
シリコーンオイルとして具体的には、シロキサン結合に炭化水素基が結合したシリコーンオイル(例えば、ジメチルシリコーンオイル、ジエチルシリコーンオイル、メチルエチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル等)が挙げられる。これらの中も、ジメチルシリコーンが特に望ましい。
また、シリコーンオイル以外の溶媒としては、例えば、パラフィン系炭化水素溶媒、フッ素系液体などの他の石油由来高沸点溶媒が挙げられる。
次に、媒介高分子について説明する。
媒介高分子は、極性基を持つ単量体とシリコーン鎖を持つ単量体との共重合体である。
極性基を持つ単量体としては、表示用粒子で説明したアニオン性基を持つ単量体、カチオン性基を持つ単量体、その他、ノニオン性基(例えば、ヒドロキシル基(−OH基))を持つ単量体[例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート)が挙げられる。
シリコーン鎖を持つ単量体としては、上記高分子乳化剤で説明したシリコーン鎖成分で挙げられた単量体が挙げられる。
媒介高分子としては、具体的には、例えば、
1)極性基を持つ一種類の単量体とシリコーン鎖を持つ単量体との共重合体、
2)異なる極性基を持つ2種類又はそれ以上の単量体とシリコーン鎖を持つ単量体との共重合体、
が好適に挙げられる。
1)極性基を持つ一種類の単量体と、シリコーン鎖を持つ単量体と、の共重合体として好適には、例えば、アミノ基、カルボキシル基、エステル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、又はスルホン酸塩基等を持つ単量体と、シリコーン鎖を持つ単量体と、の共重合体が好適に挙げられる。
本共重合体の場合、例えば、その単量体比率(質量比)は、シリコーン鎖を持つ単量体に対して極性基を持つ一種類の単量体が0.1質量%以上70質量%以下がよく、望ましくは0.2質量%以上50質量%以下である。
また、本共重合体の場合、媒介高分子の含有量は、分散媒に対して0.01質量%以上30質量%以下がよく、望ましくは0.05質量%20質量%以下、より望ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。
2)異なる極性基を持つ2種類又はそれ以上の単量体とシリコーン鎖を持つ単量体との共重合体として好適には、例えば、1)アミノ基を持つ単量体と、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、スルホン酸基、又はスルホン酸塩基等持つ単量体と、シリコーン鎖を持つ単量体と、の共重合体、2)カルボキシル基、エステル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、又はスルホン酸塩基等を持つ単量体のうち、いずれか2種類以上の単量体と、シリコーン鎖を持つ単量体との共重合体が挙げられる。
本重合体の場合、例えば、その単量体比率(質量比)は、シリコーン鎖を持つ単量体に対して極性基を持つ2種類又はそれ以上の単量体の合計が0.1質量%以上70質量%以下がよく、望ましくは0.2質量%以上50質量%以下である。
また、極性基を持つ2種類又はそれ以上の単量体の単量体比率(質量比)は、一の極性基を持つ単量体に対して他の極性基を持つ単量体がそれぞれ0.1質量%以上99質量%以下がよく、望ましくは5質量%以上95質量%以下である。
また、本共重合体の場合、媒介高分子の含有量は、分散媒に対して0.01質量%以上30質量%以下がよく、望ましくは0.05質量%20質量%以下、より望ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。
次に、表示用粒子(第1及び第2表示用粒子)の製造方法について説明する。
本実施形態に係る表示用粒子の製造方法としては、例えば、高分子と着色剤と第1溶媒(連続相を形成し得る貧溶媒)と前記第1溶媒に対して非相溶で前記第1溶媒より沸点が低く且つ高分子を溶解する第2溶媒(分散相を形成し得る良溶媒)とを含む混合溶液を攪拌し、乳化させる工程と、前記乳化させた混合溶液から前記第2溶媒を除去して、前記高分子及び前記着色剤を含有する着色粒子(表示用粒子)を生成する工程と、を有する周知の製法が挙げられる。この製法は、所謂、液中乾燥法と呼ばれる製法である。
本製法は、第1溶媒として表示媒体に利用する分散媒(シリコーンオイル)を利用することで、そのまま、表示用粒子と分散媒を含む表示用粒子分散液として利用してもよい。これにより、本実施形態に係る表示用粒子の製造方法では、上記工程を経ることで、第1溶媒を分散媒とした表示用粒子分散液を、洗浄・乾燥工程を経ることなく得られる。また、粒子の洗浄(イオン性不純物の除去)や分散媒の置換を行ってもよい。
なお、表示用粒子の製造方法は、上記製法方法に限られず、例えば、周知の手法(粉砕法、コアセルベーション法、分散重合法、懸濁重合法等)などにより着色粒子(表示用粒子)を形成する手法が採用される。各手法では、溶媒(製法で最終的に残る溶媒)として表示媒体に利用する分散媒を利用し、製造後そのまま、表示用粒子と分散媒を含む表示用粒子分散液として利用してもよい。これにより、表示用粒子の製造方法では、各製造工程を経ることで、使用する溶媒を分散媒とした表示用粒子分散液を、洗浄・乾燥工程を経ることなく得られる。また、粒子の洗浄(イオン性不純物の除去)や分散媒の置換を行ってもよい。
上記工程を経て、表示用粒子を得ると共に、これを含む表示用粒子分散液が得られる。
ここで、得られた表示用粒子分散液に対し、必要に応じて、例えば、分散媒(溶媒)で希釈したり、してもよい。なお、2種以上の表示用粒子を含む表示用粒子分散液を得るためには、それぞれの分散液を作製した後、これらを混合すればよい。
本実施形態に係る表示用粒子分散液には、必要に応じて、酸、アルカリ、塩、分散剤、分散安定剤、酸化防止や紫外線吸収などを目的とした安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加してもよい。また、本実施形態に係る表示用粒子分散液には、帯電制御剤を添加してもよい。
本実施形態に係る表示用粒子分散液中の表示用粒子の濃度は、表示特性や応答特性あるいはその用途によって種々選択されるが0.1質量%以上30質量%以下の範囲で選択されることが望ましい。色の異なった粒子を混合する場合にはその粒子総量がこの範囲であると望ましい。
本実施形態に係る表示用粒子分散液は、電気泳動方式の表示媒体、電気泳動方式の調光媒体(調光素子)、液体現像方式電子写真システムの液体トナーなどに利用される。なお、電気泳動方式の表示媒体、電気泳動方式の調光媒体(調光素子)としては、公知である電極(基板)面の対向方向に粒子群を移動させる方式、それとは異なり電極(基板)面に沿った方向に移動させる方式(いわゆるインプレーン型素子)、又はこれらを組み合わせたハイブリッド素子がある。
なお、本実施形態に係る表示用粒子分散液において、表示用粒子として色や帯電極性の異なる複数種の粒子を混合して使用すれば、カラー表示が実現される。
(表示媒体、表示装置)
以下、実施形態に係る表示媒体、及び表示装置の一例について説明する。
図1は、本実施形態に係る表示装置の概略構成図である。図2は、本実施形態に係る表示装置の表示媒体の基板間に電圧を印加したときの粒子群の移動態様を模式的に示す説明図である。
本実施形態に係る表示装置10は、その表示媒体12の分散媒50と粒子群34と線状高分子(不図示)とを含む粒子分散液として、上記本実施形態に係る表示用粒子分散液を適用する形態である。つまり、分散媒50として、シリコーンオイルを含む分散媒を適用し、粒子群34として第1表示用粒子の群を適用し、且つ分散媒50にシリカ粒子(不図示)を分散させた形態である。
本実施形態に係る表示装置10は、図1に示すように、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部16と、制御部18と、を含んで構成されている。
表示媒体12は、画像表示面とされる表示基板20、表示基板20に間隙をもって対向する背面基板22、これらの基板間を特定間隔に保持すると共に、表示基板20と背面基板22との基板間を複数のセルに区画する間隙部材24、各セル内に封入された粒子群34とは異なる光学的反射特性を有する反射粒子群36を含んで構成されている。
上記セルとは、表示基板20と、背面基板22と、間隙部材24と、によって囲まれた領域を示している。このセル中には、分散媒50が封入されている。粒子群34は、複数の粒子から構成されており、この分散媒50中に分散され、セル内に形成された電界強度に応じて表示基板20と背面基板22との基板間を反射粒子群36の間隙を通じて移動する。
なお、この表示媒体12に画像を表示したときの各画素に対応するように間隙部材24を設け、各画素に対応するようにセルを形成することで、表示媒体12を、画素毎の表示を行うように構成してもよい。
また、本実施形態では、説明を簡易化するために、1つのセルに注目した図を用いて本実施形態を説明する。以下、各構成について詳細に説明する。
まず、一対の基板について説明する。表示基板20は、支持基板38上に、表面電極40及び表面層42を順に積層した構成となっている。背面基板22は、支持基板44上に、背面電極46及び表面層48を積層した構成となっている。
表示基板20、又は表示基板20と背面基板22との双方は、透光性を有している。ここで、本実施形態における透光性とは、可視光の透過率が60%以上であることを示している。
支持基板38及び支持基板44の材料としては、ガラスや、プラスチック、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等が挙げられる。
表面電極40及び背面電極46の材料としては、インジウム、スズ、カドミウム、アンチモン等の酸化物、ITO等の複合酸化物、金、銀、銅、ニッケル等の金属、ポリピロールやポリチオフェン等の有機材料等が挙げられる。表面電極40及び背面電極46は、これらの単層膜、混合膜又は複合膜のいずれであってもよい。表面電極40及び背面電極46の厚さは、例えば、100Å以上2000Å以下であることがよい。背面電極46及び表面電極40は、例えば、マトリックス状、又はストライプ状に形成されていてもよい。
また、表面電極40を支持基板38に埋め込んでもよい。また、背面電極46を支持基板44に埋め込んでもよい。この場合、支持基板38及び支持基板44の材料を粒子群34の各粒子の組成等に応じて選択する。
なお、背面電極46及び表面電極40各々を表示基板20及び背面基板22と分離させ、表示媒体12の外部に配置してもよい。
なお、上記では、表示基板20と背面基板22の双方に電極(表面電極40及び背面電極46)を備える場合を説明したが、何れか一方にだけ設けるようにして、アクティブマトリクス駆動させるようにしてもよい。
また、アクティブマトリックス駆動を実施するために、支持基板38及び支持基板44は、画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)を備えていてもよい。TFTは表示基板ではなく背面基板22に備えることがよい。
次に、表面層について説明する。表面層42及び表面層48は、表面電極40及び背面電極46各々上に形成されている。表面層42及び表面層48を構成する材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、エポキシ、ポリイソシアネート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、共重合ナイロン、紫外線硬化アクリル樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
表面層42及び表面層48は、上記樹脂と電荷輸送物質を含んで構成されていてもよく、電荷輸送性を有する自己支持性の樹脂を含んで構成されてもよい。
次に、間隙部材について説明する。表示基板20と背面基板22との基板間の隙を保持するための間隙部材24は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、光硬化樹脂、ゴム、金属等で構成される。
間隙部材24は表示基板20及び背面基板22の何れか一方と一体化されてもよい。この場合には、支持基板38又は支持基板44をエッチングするエッチング処理、レーザー加工処理、予め作製した型を使用してプレス加工処理又は印刷処理等を行うことによって作製する。
この場合、間隙部材24は、表示基板20側、背面基板22側のいずれか、又は双方に作製する。
間隙部材24は有色でも無色でもよいが、無色透明であることがよく、その場合には、例えば、ポリスチレンやポリエステルやアクリルなどの透明樹脂等で構成される。
また、粒子状の間隙部材24もまた透明であることが望ましく、ポリスチレン、ポリエステル又はアクリル等の透明樹脂粒子の他、ガラス粒子も使用される。
なお、「透明」とは、可視光に対して、透過率60%以上有することを示している。
次に、反射粒子群について説明する。反射粒子群36は、粒子群34とは異なる光学的反射特性を有する反射粒子から構成され、粒子群34とは異なる色を表示する反射部材として機能するものである。そして、表示基板20と背面基板22との基板間の移動を阻害することなく、移動させる空隙部材としての機能も有している。すなわち、反射粒子群36の間隙を通って、背面基板22側から表示基板20側、又は表示基板20側から背面基板22側へ粒子群34の各粒子は移動される。この反射粒子群子36の色としては、例えば、背景色となるように白色又は黒色を選択することがよいが、その他の色であってもよい。また、反射粒子群36は、帯電されていない粒子群(つまり電界に応じて移動しない粒子郡)であってもよいし、帯電されている粒子群(電界に応じて移動する粒子郡)であってもよい。なお、本実施形態では、反射粒子群36は、帯電されていない粒子群で、白色である場合を説明するが、これに限定されることはない。
反射粒子群36の粒子は、例えば、白色顔料(例えば酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛など)を、樹脂(例えばポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ホルムアルデヒド縮合物等)に分散した粒子が挙げられる。また、反射粒子群36の粒子として、白色以外の粒子を適用する場合、例えば、所望の色の顔料、あるいは染料を内包した前記した樹脂粒子を使用してもよい。顔料や染料は、例えばRGBやYMC色であれば、印刷インキやカラートナーに使用されている一般的な顔料又は染料が挙げられる。
反射粒子群36を基板間へ封入するには、例えば、インクジェット法などにより行う。また、反射粒子群36を固定化する場合、例えば、反射粒子群36を封入した後、加熱(及び必要があれば加圧)して、反射粒子群36の粒子群表層を溶かすことで、粒子間隙を維持させつつ行われる。
表示媒体12における上記セルの大きさとしては、表示媒体12の解像度と密接な関係にあり、セルが小さいほど高解像度な画像を表示する表示媒体12を作製することができ、通常、表示媒体12の表示基板20の板面方向の長さが10μm以上1mm以下程度である。
上記表示基板20及び背面基板22を、間隙部材24を介して互いに固定するには、ボルトとナットの組み合わせ、クランプ、クリップ、基板固定用の枠等の固定手段を使用する。また、接着剤、熱溶融、超音波接合等の固定手段も使用してもよい。
このように構成される表示媒体12は、例えば、画像の保存及び書換えがなされる掲示板、回覧版、電子黒板、広告、看板、点滅標識、電子ペーパー、電子新聞、電子書籍、及び複写機・プリンタと共用するドキュメントシート等に使用する。
上記に示したように、本実施形態に係る表示装置10は、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部16と、制御部18とを含んで構成されている(図1参照)。
電圧印加部16は、表面電極40及び背面電極46に電気的に接続されている。なお、本実施形態では、表面電極40及び背面電極46の双方が、電圧印加部16に電気的に接続されている場合を説明するが、表面電極40及び背面電極46の一方が、接地されており、他方が電圧印加部16に接続された構成であってもよい。
電圧印加部16は、制御部18に信号授受されるように接続されている。
制御部18は、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)と、各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、装置全体を制御する制御プログラム等の各種プログラムが予め記憶されたROM(Read Only Memory)と、を含むマイクロコンピュータとして構成されていてもよい。
電圧印加部16は、表面電極40及び背面電極46に電圧を印加するための電圧印加装置であり、制御部18の制御に応じた電圧を表面電極40及び背面電極46間に印加する。
次に、表示装置10の作用を説明する。この作用は制御部18の動作に従って説明する。
ここで、表示媒体12に封入されている粒子群34が正極性に帯電されている場合を説明する。また、分散媒50は透明であり、反射粒子群36が白色であるものとして説明する。すなわち、本実施形態では、表示媒体12は、粒子群34の移動によって、その呈する色を表示し、その背景色として反射粒子群36による白色を表示する場合を説明する。
なお、下記動作は、説明上、粒子群34が背面基板22側へ付着した状態からの動作について説明する。
まず、電圧を、特定時間、表面電極40が負極となり背面電極46が正極となるように印加することを示す動作信号を、電圧印加部16へ出力する。図2(A)に示す状態から、電極間に印加する電圧を上昇させ、表面電極40が負極で且つ濃度変動が終了する閾値電圧以上の電圧が印加されると、粒子群34の凝集力が低減された状態で、正極に帯電している粒子群34を構成する粒子が表示基板20側へと移動して、表示基板20に至る(図2(B)参照)。
そして、電極間への印加を終了すると、粒子群34が表面基板20側で拘束され、粒子群34の呈する色が、反射粒子群36の色としての白色を背景色とし表示基板20側から視認される表示媒体12の色として視認される。
次に、表面電極40と背面電極46との電極間に、電圧を、特定時間、表面電極40が正極となり背面電極46が負極となるように印加することを示す動作信号を、電圧印加部16へ出力する。電極間に印加する電圧を上昇させ、表面電極40が正極で且つ濃度変動が終了する閾値電圧以上の電圧が印加されると、粒子群34の凝集力が低減された状態で、正極に帯電している粒子群34を構成する粒子が背面基板22側へと移動して、背面基板22に至る(図2(A)参照)。
そして、電極間への印加を終了すると、粒子群34が背面基板22側で拘束される一方で、反射粒子群36の色としての白色が、表示基板20側から視認される表示媒体12の色として視認される。なお、粒子群34は、反射粒子群36に隠蔽され、視認され難くなる。
ここで、電極間への電圧印加時間は、動作中の電圧印加における電圧印加時間を示す情報として、予め制御部18内の図示を省略するROM等のメモリ等に記憶しておけばよい。そして、処理実行のときに、この電圧印加時間を示す情報を読み取るようにすればよい。
このように、本実施形態に係る表示装置10では、粒子群34が表示基板20又は背面基板22に到達して、付着・凝集することで表示が行われる。
なお、上記本実施形態に係る表示媒体12及び表示装置10では、表示基板20に表面電極40、背面基板22に背面電極46を設けて当該電極間(即ち基板間)に電圧を印加して、当該基板間を粒子群34を移動させて表示させる形態を説明したがこれに限られず、例えば、表示基板20に表面電極40を設ける一方で、間隙部材に電極を設けて、当該電極間に電圧を印加して、表示基板20と間隙部材との間を粒子群34を移動させて表示させる形態であってもよい。
また、上記本実施形態に係る表示媒体12及び表示装置10では、粒子群34として1種類(1色)の粒子群を適用した形態を説明したが、これに限られず、2種類(2色)以上の粒子群を適用した形態(具体的には、例えば、上記本実施形態に係る表示用分散液における第2表示用粒子の群を適用した形態)であってもよい。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。
[実施例A]
(実施例A1)
−乳化剤Aの作製−
イソプロパノール10gにメタクリル酸を1g、FM0711(チッソ社製:サイラプレーン)を9g、重合開始剤(アゾビスジメチルバレロニトリル「V−65」、和光純薬社製)0.1gを溶解させ、窒素バブリングにより酸素除去をさせ、65℃、8時間で重合を行った。重合後、精製処理および乾燥を行い乳化剤Aを得た。
−マゼンタ粒子Aの作製−
キナクリドン系マゼンタ顔料(Ciba製)3gとポリアクリル酸(和光純薬製)7gを10mlの水に溶解した。これを5%乳化剤Aのシリコーンオイル溶液に添加し超音波乳化装置によって乳化処理を行った。この乳化物を減圧して水分を除去しマゼンタ粒子Aを得た。また、分散液中の粒子の体積平均粒径を測定(大塚電子株式会社製FPAR−1000:粒径アナライザー)した結果、600nmであった。
−シリカ粒子Aの作製−
次のようにして、アルキル化処理したシリカ粒子Aを得た。
エタノール100g、水10g、30質量%アンモニア水3gを添加して混合した。この溶液にテトラエトキシシラン70gとポリジオルガノシロキサン5g、1質量%アンモニア水50gを添加開始し、80℃ に加熱し球状ポリジメチルシロキサン含有シリカ粒子の分散液を得た。得られた分散液に、室温で、ヘキサメチルジシラザン10gを添加し、前記シリカ粒子をトリメチルシリル化した。該分散液を乾燥させ表面がアルキル化されたシリカ粒子Aを得た。
得られたシリカ粒子は、体積平均粒径100nmの単分散球形シリカ粒子の表面に、炭素数1のアルキル基が導入されたものである。また、シリカ粒子は、ゼータ電位計(日本ルフト製Model502)で調べたところ、シリコーンオイル中では無帯電粒子であった。
−表示用粒子分散液の作製−
得られたマゼンタ粒子Aを含むマゼンタ粒子分散液(固形分濃度1.5%)に対して、分散媒100質量部当たり、シリカ粒子Aを0.5質量部添加し、表示用粒子分散液を得た。なお、得られた表示用粒子分散液における、シリカ粒子添加前、添加後の粘度を表1に示す。粘度は、自動マイクロ粘度計(アントンパール製AmVn)により測定した。
(実施例A2〜A9)
シリカ粒子Aの濃度を表1に従って変更した以外は、実施例A1と同様にして表示用粒子分散液を得た。なお、得られた表示用粒子分散液の粘度を表1に示す。
(評価)
−表示媒体の作製−
以下のようにして、上記第1実施形態と同様な構成の表示媒体を作製した(図1参照)。厚さ0.7mmのガラスからなる支持基板上に電極としてITOをスパッタリング法により50nmの厚さで成膜した。このITO/ガラス基板で構成された背面基板に、サイトップ(旭硝子社製、CTL809M)を用いて層を塗布した後、露光、及びウエットエッチングを行うことにより高さ50μm、幅20μmの間隙部材を形成した。
間隙部材の上部に熱融着性の接着層(図示せず)を形成した後、下記白色粒子群及び得られた表示用粒子分散を充填し、背面基板と同様にして作製したITO/ガラスで構成され、且つ処理層の形成された表示基板を、互いの処理層の形成された側の面(電極面)が対向するように背面基板に張り合わせて熱をかけて表示媒体を作製した。
このようにして表示媒体を作製した。作製した表示媒体を用いて、表示基板の電極がプラス、背面基板の電極がマイナスとなるように両電極に20Vの電圧を印加し、この繰り返しにより、粒子を表示基板、背面基板に移動させ、表示用粒子の色を表示させた。
(白色粒子の調製)
−分散液Aの調製−
下記成分を混合し、10mmΦのジルコニアボールにてボールミル粉砕を20時間実施して分散液Aを調製した。
<組成>
・メタクリル酸シクロヘキシル :53質量部
・酸化チタン1(白色顔料) (一次粒子径0.3μm、タイペークCR63:石原産業社製) :45質量部
・シクロヘキサン:5質量部
−炭カル分散液Bの調製−
下記成分を混合し、上記と同様にボールミルにて微粉砕して炭カル分散液Bを調製した。
<組成>
・炭酸カルシウム:40質量部
・水:60質量部
−混合液Cの調製−
下記成分を混合し、超音波機で脱気を10分間おこない、ついで乳化機で攪拌して混合液Cを調製した。
<組成>
・2質量%セロゲン水溶液(第一工業製薬社製):4.3g
・炭カル分散液B:8.5g
・20質量%食塩水:50g
分散液A35gとジビニルベンゼン1g、重合開始剤AIBN(アゾビスイソブチロニトリル):0.35gをはかりとり、充分混合し、超音波機で脱気を10分おこなった。これを前記混合液Cに加え、乳化機で乳化を実施した。次にこの乳化液をビンにいれ、シリコーン詮をし、注射針を使用し、減圧脱気を充分行い、窒素ガスで封入した。次に65℃で15時間反応させ粒子を調製した。冷却後、この分散液を凍結乾燥機により−35℃、0.1Paの下で2日間でシクロヘキサンを除去した。得られた粒子粉をイオン交換水中に分散させ、塩酸水で炭酸カルシウムを分解させ、ろ過を行った。その後充分な蒸留水で洗浄し、目開き:20μm、25μmのナイロン篩にかけ、粒度を揃えた。これを乾燥させ、体積平均粒子径20μmの白色粒子群を得た。これを白色粒子(反射粒子群)とした。
−評価−
得られた表示媒体におけるマゼンタ色の表示維持性(メモリー性)、表示特性につき、次のように評価した。結果を表1に示す。
電圧を印加し平衡状態になったときの色濃度をX−Rite530(X−Rite社)にて測定した(X)。電圧を解放して24時間経過後の色濃度を同様に測定した(Y)。Y/Xを表示維持性とした。評価基準は以下の通りである。
◎:1.5以上
○:1.40以上1.50未満
△+:1.30以上1.40未満
△−:1.20以上1.30未満
×:1.20未満
電圧を印加し平衡状態になったときの色濃度をX−Rite530(X−Rite社)にて測定して、表示特性とした。評価基準は以下の通りである。
◎:初期濃度に対して98%以上
○:初期濃度に対して90%以上98%未満
△+:初期濃度に対して85%以上90%未満
△−:初期濃度に対して75%以上85%未満
×:初期濃度に対して75%未満
そして、上記表示維持性、及び表示特性の評価を、常温(25℃)と高温(60℃)の双方の環境下でそれぞれ行った。
[実施例B]
(実施例B1〜B9)
下記マゼンタ粒子Bを含むマゼンタ粒子分散液(固形分濃度1.5%)を用いた以外は、実施例A1〜A9と同様にして、表示用粒子分散液を得て、評価を行った。結果を表1に示す。
−乳化剤Bの作製−
イソプロパノール10gに2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸を1g、FM0711を9g、重合開始剤(V−65)0.1gを溶解させ、窒素バブリングにより酸素除去をさせ、65℃、8時間で重合を行った。重合後、精製処理および乾燥を行い乳化剤Bを得た。
−マゼンタ粒子Bの作製−
キナクリドン系マゼンタ顔料(Ciba製)3gとジメチルアミン/エピクロルヒドリン重縮合体(四日市合成製、カチオマスターPD−7)7gを10mlの水に溶解した。これを5%乳化剤Aのシリコーンオイル溶液に添加し超音波乳化装置によって乳化処理を行った。この乳化物を減圧して水分を除去しマゼンタ粒子Bを得た。また、分散液中の粒子の体積平均粒径を測定(大塚電子株式会社製FPAR−1000:粒径アナライザー)した結果、500nmであった。
[実施例C]
(実施例C1〜C9)
下記シアン粒子Cを含むシアン粒子分散液(固形分濃度1.5%)50質量部と上記マゼンタ粒子Aを含むマゼンタ粒子分散液(固形分濃度1.5%)50質量部とを混合した混合分散液に対して、シリカ粒子Aを添加した以外は、実施例A1〜A9と同様にして、表示用粒子分散液を得て、評価した。評価は、マゼンタ粒子によるマゼンタ色と共に、シアン粒子によるシアン色の画像維持性、表示特性についても行った。結果を表2に示す。
−乳化剤Cの作製−
イソプロパノール10gにアクリル酸フェニルを1g、FM0711を9g、重合開始剤(V−65)0.1gを溶解させ、窒素バブリングにより酸素除去をさせ、65℃、8時間で重合を行った。重合後、精製処理および乾燥を行い乳化剤Cを得た。
−シアン粒子Cの作製−
シアン顔料(Ciba製)3gとポリ(アクリル酸メトキシフェニル)7gを10mlの水に溶解した。これを5%乳化剤Cのシリコーンオイル溶液に添加し超音波乳化装置によって乳化処理を行った。この乳化物を減圧して水分を除去しシアン粒子Cを得た。また、分散液中の粒子の体積平均粒径を測定(大塚電子株式会社製FPAR−1000:粒径アナライザー)した結果、700nmであった。
[実施例D]
(実施例D1〜D3)
シリカ粒子Aの代わりに、表2に従ってシリカ粒子D1〜D3をそれぞれ用いた以外は、実施例A2と同様にして、表示用粒子分散液を得て、評価した。結果を表2に示す。
−シリカ粒子D1の作製−
次のようにして、アルキル化処理したシリカ粒子D1を得た。
エタノール100g、水10g、30質量%アンモニア水3gを添加して混合した。この溶液にテトラエトキシシラン70gとポリジオルガノシロキサン5g、2質量%アンモニア水50gを添加開始し、80℃ に加熱し球状ポリジメチルシロキサン含有シリカ粒子の分散液を得た。得られた分散液に、室温で、ヘキサメチルジシラザン10gを添加し、前記シリカ粒子をトリメチルシリル化した。該分散液を乾燥させ表面がアルキル化されたシリカ粒子D1を得た。
得られたシリカ粒子は、体積平均粒径50nmの単分散球形シリカ粒子の表面に、炭素数1のアルキル基が導入されたものである。また、シリカ粒子は、ゼータ電位計(日本ルフト製Model502)で調べたところ、シリコーンオイル中では無帯電粒子であった。
−シリカ粒子D2の作製−
次のようにして、アルキル化処理したシリカ粒子D2を得た。
エタノール100g、水10g、30質量%アンモニア水3gを添加して混合した。この溶液にテトラエトキシシラン70gとポリジオルガノシロキサン5g、1質量%アンモニア水10gを添加開始し、80℃ に加熱し球状ポリジメチルシロキサン含有シリカ粒子の分散液を得た。得られた分散液に、室温で、ヘキサメチルジシラザン10gを添加し、前記シリカ粒子をトリメチルシリル化した。該分散液を乾燥させ表面がアルキル化されたシリカ粒子D2を得た。
得られたシリカ粒子は、体積平均粒径300nmの単分散球形シリカ粒子の表面に、炭素数1のアルキル基が導入されたものである。また、シリカ粒子は、ゼータ電位計(日本ルフト製Model502)で調べたところ、シリコーンオイル中では無帯電粒子であった。
−シリカ粒子D3の作製−
次のようにして、アルキル化処理したシリカ粒子D3を得た。
エタノール100g、水10g、30質量%アンモニア水3gを添加して混合した。この溶液にテトラエトキシシラン70gとポリジオルガノシロキサン5g、1質量%アンモニア水50gを添加開始し、80℃に加熱し球状ポリジメチルシロキサン含有シリカ粒子の分散液を得た。得られた分散液に、室温で、ヘキサエチルジシラザン10gを添加し、前記シリカ粒子をトリメチルシリル化した。該分散液を乾燥させ表面がアルキル化されたシリカ粒子D3を得た。
得られたシリカ粒子は、体積平均粒径100nmの単分散球形シリカ粒子の表面に、炭素数2のアルキル基が導入されたものである。また、シリカ粒子は、ゼータ電位計(日本ルフト製Model502)で調べたところ、シリコーンオイル中では無帯電粒子であった。
[比較例]
(比較例1)
シリカ粒子Aを添加しない以外は、実施例A3と同様にして、表示用粒子分散液を得て、評価した。結果を表2に示す。
(比較例2〜3)
シリカ粒子Aの代わりに、下記粒子E1〜E2をそれぞれ用いた以外は、実施例A3と同様にして、表示用粒子分散液を得て、評価した。結果を表2に示す。
−粒子E1(アルキル化処理を施していないもの)
次のようにして、アルキル化処理を施さない比較用のシリカ粒子E1を得た。
エタノール100g、水10g、30質量%アンモニア水3gを添加して混合した。この溶液にテトラエトキシシラン70gとポリジオルガノシロキサン5g、1質量%アンモニア水50gを添加開始し、80℃ に加熱し球状ポリジメチルシロキサン含有シリカ粒子E1の分散液を得た。
得られたシリカ粒子は、体積平均粒径100nmの単分散球形シリカ粒子である。また、シリカ粒子は、ゼータ電位計(日本ルフト製Model502)で調べたところ、シリコーンオイル中では負電粒子であった。
−粒子E2−
粒子E2として、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物(日本触媒(株)製エポスターS)の粒子を準備した。
粒子E2は、体積平均粒径 200nmの有機粒子である。また、粒子E2はゼータ電位計(日本ルフト製Model502)で調べたところ、シリコーンオイル中では無電粒子であった。
(比較例4)
シリカ粒子Aの代わりに、下記高分子1質量部を用いた以外は、実施例A3と同様にして、表示用粒子分散液を得て、評価した。結果を表2に示す。
−高分子1の作製−
次のようにして高分子を得た。
FM0711を10g、重合開始剤(V−65)を0.03g、イソプロパノール2gを混合し、窒素ガスのバブリングで脱気後65℃で6時間重合反応を行った。重合後、減圧下にて溶媒を除去して、高分子を得た。
得られた結果から、本実施例では、比較例に比べ、表示維持性、及び表示特性共に、優れた結果が得られたことがわかる。
なお、本実施例において、シリカ粒子の低濃度側ではブリッジング凝集、シリカ粒子の高濃度側では枯渇凝集が生じでいるものと考えられる。
[実施例E]
(乳化剤の作製)
−乳化剤E1の作製−
イソプロパノール10gにメタクリル酸を1g、FM0711(チッソ社製:サイラプレーン)を9g、重合開始剤(アゾビスジメチルバレロニトリル「V−65」、和光純薬社製)0.1gを溶解させ、窒素バブリングにより酸素除去をさせ、65℃、8時間で重合を行った。重合後、精製処理および乾燥を行い乳化剤E1を得た。
−乳化剤E2の作製−
イソプロパノール10gに、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを1g、FM0711(チッソ社製:サイラプレーン)を9g、重合開始剤(アゾビスジメチルバレロニトリル「V−65」、和光純薬社製)0.1gを溶解させ、窒素バブリングにより酸素除去をさせ、65℃、8時間で重合を行った。重合後、精製処理および乾燥を行い乳化剤E2を得た。
(マゼンタ粒子の作製)
−マゼンタ粒子E1の作製−
キナクリドン系マゼンタ顔料(CibD製)3gとポリアクリル酸(和光純薬製)7gを10mlの水に溶解した。これを5%乳化剤E1のシリコーンオイル溶液に添加し超音波乳化装置によって乳化処理を行った。この乳化物を減圧して水分を除去しマゼンタ粒子E1を得た。また、分散液中の粒子の体積平均粒径を測定(大塚電子株式会社製FPDR−1000:粒径アナライザー)した結果、600nmであった。
−マゼンタ粒子E2の作製−
5%乳化剤E1のシリコーンオイル溶液に代えて、5%乳化剤E2のシリコーンオイル溶液を用いた以外は、マゼンタ粒子E1と同様にして、マゼンタ粒子E2を得た。また、分散液中の粒子の体積平均粒径を測定(大塚電子株式会社製FPDR−1000:粒径アナライザー)した結果、600nmであった。
(シリカ粒子の作製)
−シリカ粒子E1の作製−
次のようにして、アルキル化処理したシリカ粒子E1を得た。
エタノール100g、水10g、30質量%アンモニア水3gを添加して混合した。この溶液にテトラエトキシシラン70gとポリジオルガノシロキサン5g、1質量%アンモニア水50gを添加開始し、80℃ に加熱し球状ポリジメチルシロキサン含有シリカ粒子の分散液を得た。得られた分散液に、室温で、ヘキサメチルジシラザン10gを添加し、前記シリカ粒子をトリメチルシリル化した。該分散液を乾燥させ表面がアルキル化されたシリカ粒子E1を得た。
得られたシリカ粒子は、体積平均粒径100nmの単分散球形シリカ粒子の表面に、炭素数1のアルキル基が導入されたものである。また、シリカ粒子は、ゼータ電位計(日本ルフト製Model502)で調べたところ、シリコーンオイル中では無帯電粒子であった。
(媒介高分子の作製)
−媒介高分子E1の作製−
イソプロパノール10gにジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)を2.5g、FM0711(チッソ社製:サイラプレーン)を7.5g、重合開始剤(アゾビスジメチルバレロニトリル「V−65」、和光純薬社製)0.1gを溶解させ、窒素バブリングにより酸素除去をさせ、65℃、8時間で重合を行った。重合後、精製処理および乾燥を行い媒介高分子E1を得た。
−媒介高分子E2の作製−
イソプロパノール10gに2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を2.5gg、FM0711(チッソ社製:サイラプレーン)を7.5g、重合開始剤(アゾビスジメチルバレロニトリル「V−65」、和光純薬社製)0.1gを溶解させ、窒素バブリングにより酸素除去をさせ、65℃、8時間で重合を行った。重合後、精製処理および乾燥を行い媒介高分子E2を得た。
−媒介高分子E3の作製−
イソプロパノール10gにジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)を1g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)1g、FM0711(チッソ社製:サイラプレーン)を8g、重合開始剤(アゾビスジメチルバレロニトリル「V−65」、和光純薬社製)0.1gを溶解させ、窒素バブリングにより酸素除去をさせ、65℃、8時間で重合を行った。重合後、精製処理および乾燥を行い媒介高分子E3を得た。
FM0711、DMAEMA、及びHEMAの配合比(質量比)を表3に従って変更した以外は、媒介高分子E3と同様にして、媒介高分子E4〜E7を得た。
(実施例E1−1〜E1−8)
−表示用粒子分散液の作製−
得られたマゼンタ粒子E1を含むマゼンタ粒子分散液(固形分濃度1.0%)に対して、分散媒100質量部当たり、シリカ粒子E1を1質量部添加すると共に、表4に従った種類・添加濃度(分散媒に対する質量%)で媒介高分子を添加して、各表示用粒子分散液E1−1〜E1−8を得た。
(実施例E2−1〜E2−8)
−表示用粒子分散液の作製−
得られたマゼンタ粒子E2を含むマゼンタ粒子分散液(固形分濃度1.0%)に対して、分散媒100質量部当たり、シリカ粒子E1を1質量部添加すると共に、表5に従った種類・添加濃度(分散媒に対する質量%)で媒介高分子を添加して、各表示用粒子分散液E2−1〜E2−8を得た。
(評価)
−表示媒体の作製−
厚さ0.7mmのガラスからなる支持基板上に電極としてITOをスパッタリング法により50nmの厚さで成膜した。このITO/ガラス基板で構成された背面基板に、サイトップ(旭硝子社製、CTL809M)をスピンコートにて塗布した後、露光、及びウエットエッチングを行うことにより高さ50μm、幅20μmの間隙部材を形成した。
間隙部材の上部に熱融着性の接着層を形成した後、表示用粒子分散を充填し、背面基板と同様にして作製したITO/ガラスで構成され、且つ処理層の形成された表示基板を、互いの処理層の形成された側の面(電極面)が対向するように背面基板に張り合わせて熱をかけて表示媒体を作製した。
−評価−
ファンクションジェネレーターに表示媒体を接続し、±30Vの電圧を0.5Hzの周期の三角波で印加した。そのときの粒子移動に伴う表示色変化を反射光測定器(オーシャンオプティクス社、分光器:USB400、光源:LS1)によって検知した。そのときの電圧−反射率プロファイルの微分を算出し、電圧−微分プロファイルのピークを閾値と定義した。
得られた閾値を表4及び表5に示す。
上記結果から、媒介高分子を用いた実施例は、媒介高分子を用いない実施例E1−1、E2−2に比べ、閾値が上昇しており、画像維持性が向上することがわかる。
10 表示装置
12 表示媒体
16 電圧印加部
18 制御部
20 表示基板
22 背面基板
24 間隙部材
34 粒子群
36 反射粒子群
38 支持基板
40 表面電極
42 表面層
44 支持基板
46 背面電極
48 表面層
50 分散媒

Claims (6)

  1. シリコーンオイルを含む分散媒と、
    前記分散媒に分散され、電界に応じて移動する第1表示用粒子であって、表面に極性基を持つ第1表示用粒子と、
    前記分散媒に分散され、表面にアルキル基を持ち、且つ無帯電のシリカ粒子と、
    を備える表示用粒子分散液。
  2. 前記分散媒に分散され、電界に応じて移動する第2表示用粒子であって、表面に非極性基を持つ第2表示用粒子を備える請求項1に記載の表示用粒子分散液。
  3. 前記分散媒に、極性基を持つ単量体とシリコーン鎖を持つ単量体との共重合体からなる高分子が溶解されている請求項1又は2に記載の表示用粒子分散液。
  4. 少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、
    前記一対の基板間に封入された、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示用粒子分散液と、
    を備えたことを特徴とする表示媒体。
  5. 少なくとも一方が透光性を有する一対の電極と、
    前記一対の電極間に設けられた、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示用粒子分散液を有する領域と、
    を備えたことを特徴とする表示媒体。
  6. 請求項4又は5に記載の表示媒体と、
    前記表示媒体の前記一対の基板間又は前記一対の電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、
    を備えた表示装置。
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