JP2005331859A - 表示素子 - Google Patents

表示素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2005331859A
JP2005331859A JP2004152060A JP2004152060A JP2005331859A JP 2005331859 A JP2005331859 A JP 2005331859A JP 2004152060 A JP2004152060 A JP 2004152060A JP 2004152060 A JP2004152060 A JP 2004152060A JP 2005331859 A JP2005331859 A JP 2005331859A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
charged electrophoretic
particles
electrophoretic particles
display element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004152060A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshihiko Takeda
俊彦 武田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2004152060A priority Critical patent/JP2005331859A/ja
Publication of JP2005331859A publication Critical patent/JP2005331859A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

【課題】 表示コントラストの低下や表示画像の劣化の発生を抑制することができる表示素子を提供する。
【解決手段】 基板10上に設けられた中空部15に分散媒40と帯電泳動粒子50とからなる表示媒体を充填し、印加電界に応じた中空部内における帯電泳動粒子50の分布状態を表示に反映させる。そして、分散媒40に高分子60を添加すると共に、帯電泳動粒子間及び中空部15の内壁面と帯電泳動粒子50との間に形成される高分子60の濃度勾配によって力を発生させ、この力により、電界印加解除状態でも帯電泳動粒子50の分布状態の維持を行うようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、帯電泳動粒子の分布状態を表示状態に反映させる表示素子に関する。
近年、中空部内における微粒子の分布状態を表示状態に反映させる表示素子が提案されており、このような表示素子の一例として、帯電している微粒子である帯電泳動粒子を絶縁性液体中に分散させ、この帯電泳動粒子に電界を印加して帯電泳動粒子を移動させる、電気泳動現象を利用した電気泳動表示素子(以下、EPDという)の開発が盛んに行われている。
EPDは、印加電界に応じて中空部内の帯電泳動粒子の分布状態を表示に反映させるので表示コントラストが大きい。また、その表示状態は書き込み用の電気信号の印加を解除しても保持される例が数多く報告されているが、このように電気信号の印加を解除しても表示状態が保持されるという事は、帯電泳動粒子の集団が所定の位置に存在しつづけることに対応している。
ここで、このように保持状態を維持させるためには、帯電泳動粒子の変位を抑制するための機構が必要であり、このような機構として、帯電泳動粒子とEPDの画素を形成している固体表面との間に働く鏡像力を利用する方法(例えば、特許文献1参照)や、高粘性の分散媒を利用する方法(例えば、特許文献2参照)を採用したものが提案されている。
特開2000−321605(第12頁、図5) WO 02/079869(45頁、Fig.1A)
しかしながら、上記特許文献1および上記特許文献2に提案されている方法では、保持状態における表示コントラストの低下が発生する場合があった。
ここで、このような表示コントラスト低下の原因の一つとして、表示コントラストの維持に必要な帯電泳動粒子の積層状態の崩壊があげられる。次に、この積層状態の崩壊がコントラスト低下を誘起する理由を説明する。
図14の(a)は、ある画素部に対応する固体表面上に1層の帯電泳動粒子層のみが存在する場合の模式図である。(a)において、1000は表示面の反対側にある第1基板、1100は帯電泳動粒子、1200は分散媒、1300は表示面側の第2基板である。(b)は、第2基板側から見た帯電泳動粒子層の様子を示した模式図であり、1400は、隣接する帯電泳動粒子1100の間の隙間である。
そして、この隙間1400を通して、第1基板1000の表面を確認する事ができる。ここで、この隙間1400の存在のために、第2基板側から第1基板側を観察すると、少なくとも帯電泳動粒子1100の色と、第1基板表面の色とが混ざって見える。
一方、(c)は、第1基板表面上に帯電泳動粒子の層が2層積層している画素の状態を模式的に示した図であり、1500は帯電泳動粒子1100の第1層目、1600は帯電泳動粒子1100の第2層目である。ここで、帯電泳動粒子1100の第2層目1600は、第1層1500を構成する帯電泳動粒子間に形成される隙間をふさぐ状態で、第1層上に配置している。
このため、第2基板側から第1基板側を観察した場合、画素部は帯電泳動粒子1100のみが観察され、第1基板表面は見えない。従って、このように帯電泳動粒子1100が2層積層している状態の表示コントラストは、(a)に示す帯電泳動粒子1100が1層のみの場合の表示コントラストより大きい。
ところで、このような帯電泳動粒子の積層状態が、下記理由により崩壊して帯電泳動粒子からなる層が1層のみになる場合があり、この場合EPDの表示コントラストは低下する。
例えば、鏡像力のみを利用する先行技術の場合、その大きさが2物体間(第1基板表面と帯電泳動粒子)の距離の2乗に反比するという鏡像力の性質により、第2層に作用する鏡像力の大きさが、1層に作用する大きさよりも小さくなるため、2層には、第1層上に配置し続けるために十分な鏡像力が作用しにくい場合がある。さらには、第2層に第1基板表面から離れる方向に何らかの外乱(例えば、EPDの落下衝撃や分散媒の流動や熱揺らぎ)が作用すると、第2層を構成する帯電泳動粒子は第1層上から離れ易くなる。
一方、高粘性の分散媒を利用する先行技術の場合、粘性は帯電泳動粒子の空間変位に対する抵抗として機能するものではあるが、第1基板表面と第1層との間や第1層と第2層との間に引力を誘起するもではないことから、第1層および第2層に何らかの外乱(例えば、素子の落下衝突や分散媒の流動)が作用すると、両層ともに崩壊しやすくなる。
更に、保持状態を分散媒の粘性の増加や鏡像力により維持しようとした場合、画像の劣化が発生する場合があった。例えば、保持状態におけるEPDを曲げようとした場合、分散媒の流動等が発生する。この流動等は、帯電泳動粒子の積層状態を崩そうとする力として作用する。この際、帯電泳動粒子を元の位置に戻そうとする復元力が十分でない場合がある。特に分散媒の高粘性化により保持状態を維持する方法の場合、基本的に変位した帯電泳動粒子の位置を元に戻そうとする復元力は作用しにくい。従って、このような場合、表示画像を復元できずに、表示画像の劣化が発生する。さらに、駆動速度が抑制される場合もある。
また、表示コントラストの低下の他の原因としては、表示コントラストの維持に必要な帯電泳動粒子の積層構造の崩壊がある。次に、この積層構造の崩壊がコントラスト低下を誘起する理由を説明する。
図15の(a)は、第2基板1300表面に帯電泳動粒子1100が積層している状態を模式的に示している。この場合、第2基板1300側から第1基板1000側を観察した場合、画素部は帯電泳動粒子1100の色を呈している様に見える。
また、図15の(b)は、(a)に示した帯電泳動粒子1100の一部が積層構造から離れている状態を模式的に示している。そして、このように積層構造が部分的に崩壊した領域を第2基板側から観察すると、帯電泳動粒子1100の色と分散媒1200の色とが混ざったように見える。
これは、この領域を第2基板側から観察すると、図15の(c)に模式的に示すように第2基板1300に近接している帯電泳動粒子1100と同時に、互いに隣接する帯電泳動粒子間に形成される隙間1400から分散媒1200が見えるからである。このため、図15の(b)の表示コントラストは、図15の(a)の表示コントラストよりも小さくなる。
なお、図16は、図15の(b)よりも帯電泳動粒子1100の積層構造が、より崩壊している状態を模式的に示している。この場合、第2基板1300側から観察すると、図15の(b)の場合よりも、帯電泳動粒子の色と分散媒の色が混ざった色を呈している様に見える。このため、図16の表示コントラストは、図15の(b)の表示コントラストよりも小さい。
ところで、このような積層構造が、下記の理由により崩壊する場合があり、この場合、保持状態の維持が困難になり、EPDの表示コントラストが低下する。
その第1の理由は、既述したように鏡像力の性質により、第2層目には、第1層目に近接して配置し続けるために十分な鏡像力が作用しにくい。したがって、第2層目に第2基板表面から離れる方向に何らかの外乱(例えば、EPDの落下衝撃や分散媒1100の流動や熱揺らぎ)が作用すると、第2層目を構成する帯電泳動粒子は第1層目から離れ易くなる。この様な鏡像力の性質により、積層構造が崩壊するようになる。
第2の理由は、分散媒の粘性は、既述したように粒子間等に引力相互作用を発現させないためであり、何らかの外乱(例えば、素子の落下衝突や分散媒の流動)により帯電泳動粒子が変位すると、元の位置には戻らない。そして、この変位が微小なものであっても、変位が複数回発生すると、大きな距離を移動する事となり、積層構造が崩壊するようになる。
そこで本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、表示コントラストの低下や表示画像の劣化の発生を抑制することができる表示素子を提供することを目的とするものである。
本発明は、基板と、基板上に設けられ、中空部が二次元的に配列されている封止構造体と、前記中空部に充填された分散媒と帯電泳動粒子群とからなる表示媒体から構成され、印加電界に応じた中空部内における前記帯電泳動粒子の分布状態を表示に反映させる表示素子において、前記分散媒に高分子及び超微粒子の少なくとも一方を添加すると共に、帯電泳動粒子間及び前記中空部の内壁面と前記帯電泳動粒子との間に形成される前記高分子及び超微粒子の少なくとも一方の濃度勾配によって発生する力により、電界印加解除状態でも前記帯電泳動粒子群の分布状態の維持を行うことを特徴とするものである。
本発明は、分散媒に高分子及び超微粒子の少なくとも一方を添加し、帯電泳動粒子間及び中空部の内壁面と帯電泳動粒子との間に形成される高分子及び超微粒子の少なくとも一方の濃度勾配によって発生する力により、電界印加解除状態でも帯電泳動粒子の分布状態の維持を行うようにすることにより、表示コントラストの低下や表示画像の劣化の発生を抑制することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る表示素子である電気泳動表示素子の構成を模式的に示す断面図であり、10は表示面の反対側にある第1基板、20は表示面側の透明な第2基板、30は隔壁、100は絶縁層である。40は分散媒であり、絶縁層100と隔壁30と第2基板20により形成される中空部15に充填されている。なお、本実施の形態において、この分散媒40は無色である。また、中空部15は第1基板上に二次元的に配列しており、絶縁層100と隔壁30と第2基板20とにより封止構造体が構成される。
50は分散媒40と共に表示媒体を構成する帯電泳動粒子(群)、80は第1電極、90は各中空部に配置された第2電極である。なお、図1では、この他の表示素子構成要素(例えば、電極間に電気信号を印加する電気信号印加手段や、各中空部15に対して配置した薄膜トランジスタTFTなど)は省略している。
ここで、この電気泳動表示素子は、帯電泳動粒子50の分布状態を表示状態に反映させるものである。例えば、図1における右側の中空部15Bでは、帯電泳動粒子50が第1基板10の面内方向に積層して分散している分布状態を示している。そして、この領域を第2基板20側から観察すれば、帯電泳動粒子50の色が、例えば黒色であれば、黒色を呈している様に見える。また、図1における左側の中空部15Aでは、帯電泳動粒子50が隔壁30の表面上に集合した分布状態を示している。そして、この領域を基板20側から観察すれば、第1電極80面又は絶縁層100が白色ならば、観察者には白色に見える。
また、表示状態を変化させるには、例えば第1電極80と第2電極90との間へ電気信号を印加して帯電泳動粒子50を電気泳動力により第1基板10上で変位させ、帯電泳動粒子50の分布状態を変化させればよい。なお、本発明では、表示状態の変化時に必要な、帯電泳動粒子50の基板上での変位方法に特に制限はない。例えば、誘電泳動力、分散媒の電気流体力学的な流動などを利用して、帯電泳動粒子50を基板10上で変位させても構わない。
また、上記説明では、帯電泳動粒子50は黒色で、第1電極80面(又は絶縁層100)は白色としたが、これに限定されるものではない。例えば、第1電極80面(又は絶縁層100)を適宜赤・緑・青色等に着色するとカラー表示も可能である。また、図1では、第1基板10側に電極系を配置させた例を示した。そして、この電極系により形成される電界は、帯電泳動粒子を封止膜の面内方向に大きく変位させる。しかし、本発明ではこの様な電極構成に限定されるものではなく、所望の表示状態を形成できれば構わない。例えば、帯電泳動粒子を基板10の法線方向に大きく変位させる電極構成でも構わない。
ところで、図1において、60は分散媒40中に添加された高分子であり、本実施の形態においては、このように分散媒40中に高分子60を添加することにより、画像形成用の電気信号の印加が解除された場合でも、表示画像を保持することができるようにしている。
次に、このような高分子60を利用した表示画像保持方法について説明する。
図2は、分散媒40中に分散された高分子60の状態を示しており、高分子60は分散媒40中で有限の拡がりを示している。ここで、高分子60は、帯電泳動粒子50に接触しても剥離しやすく、分散媒40側に離脱しやすい性質を有している。また、高分子60は、中空部の内壁面に接触しても剥離しやすく、分散媒40側に離脱しやすい性質を有している。
ところで、図2は、帯電泳動粒子50の表面間距離が、高分子60の分散媒40中における拡がりよりも大きい状態を模式的に示している。この場合、粒子表面間には高分子60が存在しうる。なお、図2において、60Aは、このように粒子表面間に存在している高分子を示している。
一方、図3は、帯電泳動粒子50同士が近接配置しており、その粒子表面間の最短距離が、高分子60の広がりよりも小さい状態を示している。そして、このように粒子表面間の最短距離が高分子60の広がりよりも狭い場合、破線で模式的に囲っている粒子表面間の領域には高分子60は存在する事ができない。
つまり、この様な領域では、高分子60の濃度はゼロである。一方、粒子表面間距離が高分子60の広がりより大きい領域では、高分子60の濃度はゼロよりも大きい。従って、図3における帯電泳動粒子50の周囲には、高分子60の濃度勾配が形成される。そして、この濃度勾配は、帯電泳動粒子同士を凝集させるような引力相互作用を帯電泳動粒子50に作用させる。この相互作用による力の一つとして、浸透圧に起因する力Fをあげる事ができる。
そして、このFは、下記式(1)で表現される。また、相互作用のエネルギーWは、下記式(2)で表現される。
Figure 2005331859
Figure 2005331859
なお、上記式(1)及び式(2)において、Dは帯電泳動粒子の直径、rは帯電泳動粒子の中心間の距離、dは分散媒中における高分子の拡がりの大きさ、Cは高分子の添加濃度である。
式(2)が示すように、相互作用Wは、高分子濃度Cや高分子の広がりdが大きい程、大きくなる。ここで、Cを大きくするには、高分子の添加量を増大させればよく、Cの大きさは10−7モル/リットル以上にする事が好ましい。また、dを大きくするには、高分子の分子量を増大させればよく、dの大きさは5nm以上にする事が好ましい。
なお、上記濃度勾配に起因する力Fは、帯電泳動粒子間だけでなく、帯電泳動粒子と平面状の表面(例えば、中空部の内壁面)との間でも発生する。即ち、両者の表面間の最短距離が高分子の広がりよりも小さい距離にまで近接したならば、そこは高分子が存在できない領域となる。この結果、この領域においても既述したような濃度勾配が形成され、両者には引力が発生する。
そして、この場合の力Fも、上記(1)式と同様に、C及びdが大きい程、大きくなる。なお、本実施の形態の場合、帯電泳動粒子同士の表面間距離と帯電泳動粒子と中空部表面との間の距離が2μm未満に接近する必要がある。
一方、引力相互作用のエネルギーWは、例えば、2物体(帯電泳動粒子同士、帯電泳動粒子と中空部表面)を十分に近接させたり、高分子濃度や高分子広がりを大きくすれば分散媒の熱エネルギー(kT:kはボルツマン定数、Tは分散媒の絶対温度である)の少なくとも5倍以上にする事ができる。そして、このように相互作用のエネルギーWが浸透圧の5倍以上あれば、少なくとも粒子間又は粒子と平面間の近接した状態は、熱揺らぎにより崩れにくくなる。
更に、高分子濃度や高分子の広がりを増大させるなどの処理により、相互作用のエネルギーWを分散媒の熱揺らぎの15倍以上にする事も可能である。この場合には、外乱(例えば、分散媒の流動)に対しても帯電泳動粒子同士や帯電泳動粒子と中空部表面と間の安定性が増すようになる。
ところで、これまでは分散媒中に高分子60が分散した系について説明したが、本実施の形態は、これに限らず、高分子の替わりに、例えば図4に示すように、超微粒子70を添加させても良く、また図5に示すように高分子60と超微粒子70の両方を分散媒中に分散させても良い。
ここで、例えば、図4に示すように高分子60の替わりに超微粒子70を添加した場合も、粒子同士の接近及び粒子の中空部表面への接近により両物体間に超微粒子70の濃度勾配が形成されれば、引力相互作用が発現する。そして、この場合の力や、この力に関する引力相互作用のエネルギーも、超微粒子の添加濃度に比例する。なお、超微粒子70が球形の場合、超微粒子70の濃度分布に起因する引力相互作用W’は下記の式(3)で表現される。
Figure 2005331859
なお、上記式(3)において、C’は超微粒子の添加濃度、Rは帯電泳動粒子の直径、σは超微粒子の直径、hは帯電泳動粒子の表面間距離である。そして、式(3)が示す様に、引力相互作用W’は、C’が大きい程、σが小さい程、大きくなる。
つまり、本実施の形態では、このように濃度勾配に起因する力を利用して、帯電泳動粒子同士及び帯電泳動粒子と中空部表面との間に引力相互作用を誘起させ、この引力を保持状態の維持に利用するようにしている。
例えば、図1に示した2種類の帯電泳動粒子50の分布状態を形成するために、帯電泳動粒子50に電界を印加すると、電界により帯電泳動粒子50は、中空部の内壁面に接近する。この接近距離が高分子の広がり(又は超微粒子の大きさ)よりも小さくなると、帯電泳動粒子50の周囲には高分子(又は超微粒子)の濃度勾配が形成される。この結果、帯電泳動粒子50と内壁表面との間には引力が発生する。
同様に、帯電泳動粒子同士も高分子の広がり(又は超微粒子の大きさ)よりも小さい距離にまで近接し、この近接により、既述した様な濃度勾配が形成され、帯電泳動粒子間にも引力が発生する。そして、本実施の形態では、これらの濃度勾配に起因する力を利用して、保持状態における中空部表面上での帯電泳動粒子50の積層状態を維持するようにしている。
また、図14の(c)に示す保持状態における帯電泳動粒子50の第1層と第2層との間には、濃度勾配に起因する引力が作用する。ここで、この引力は、上述した先行技術が利用している鏡像力とは異なり、内壁表面からの距離の2乗に反比例するものではなく、第1層と第2層を構成する帯電泳動粒子同士が接触又は近接していれば、両者間に作用する。従って、外乱(例えば、分散媒の流動)に対して安定である。また、濃度勾配に起因する力は引力であるので、帯電泳動粒子の層が変形しようとしても、力が復元力として作用する。
このように、分散媒40に高分子及び超微粒子の少なくとも一方を添加し、帯電泳動粒子間及び中空部15の内壁面と帯電泳動粒子50との間に形成される高分子60及び超微粒子70の少なくとも一方の濃度勾配によって発生する力により、電界印加解除状態でも帯電泳動粒子の分布状態の維持を行うようにすることにより、表示コントラストの低下や表示画像の劣化の発生を抑制することができる。さらに、このような高分子及び超微粒子の添加により、帯電泳動粒子駆動時の粘性抵抗を低下させることができる。
次に、本実施の形態に係る電気泳動表示素子の材料について説明する。
本実施の形態に用いる分散媒は、絶縁性流体であり、このような絶縁性流体としては、イソパラフィン(例えば、商品名がアイソパーのエクソン社製の流体)、シリコーンオイル及びキシレン、トルエン等の有機溶媒をあげる事ができる。
また、帯電泳動粒子は、所望の表示を行う事ができれば、特に材料や粒子サイズや粒子の色等に制限はない。なお、着色されていて絶縁性液体中で正極性又は負極性の良好な帯電特性を示す材料が好ましい。例えば、各種の無機顔料や有機顔料やカーボンブラック、或いは、それらを含有させた樹脂を使用すると良い。粒子の平均粒径は通常0.01〜50μm程度のものを使用できるが、好ましくは、0.1〜10μm程度のものを用いる。
上述した絶縁性液体中や帯電泳動粒子中には、帯電泳動粒子の帯電を制御し、安定化させるための荷電制御剤を添加しておくと良い。かかる荷電制御剤としては、コハク酸イミド、モノアゾ染料の金属錯塩やサリチル酸や有機四級アンモニウム塩やニグロシン系化合物などを用いると良い。
本実施の形態に係る高分子の性状は、液体でも固体でも構わないが、分散媒に溶解しやすい事が望ましい。また、高分子は、帯電泳動粒子や中空部表面に接触しても、分散媒側に離脱し易い性質を有している事が好ましい。もし、帯電泳動粒子や中空部表面に接触した高分子が容易に剥離しないとすると、帯電泳動粒子同士や帯電泳動粒子が中空部内壁に極めて接近したとしても、両者の間には高分子が存在する事となる。
そして、このように両者の間に高分子が存在するようになると、帯電泳動粒子の周囲には、引力相互作用の形成に必要な高分子の濃度勾配が形成されなくなり、引力相互作用の発現ができなくなる。つまり、この高分子の性質は引力相互作用の発現に必要なものである。
また、この性質を高分子に発現させるためには、高分子の極性が分散媒の極性以下である事が好ましい。なぜならば、高分子の極性が、分散媒の極性よりも大きければ、高分子は分散媒に接触している固体表面に強く吸着する場合が多いからである。なお、この関係は絶対的なものではく、一つの目安である。従って、所望の引力相互作用を発現できれば、高分子の種類に特に制限はない。
なお、分散媒として、イソパラフィン等の炭化水素系の溶媒を用いた場合、高分子としてゴム系高分子を使用する事が可能である。なぜならば、ゴム系高分子は、炭化水素系の溶媒と同程度に極性を低くする事が可能で、且つ、炭化水素系溶媒に対する溶解性を付与し易いからである。ここで、ゴム系高分子としては、イソプレンゴム系高分子、ブタジエンゴム系高分子、エチレンプロピレンゴム系高分子、イソブチレンゴム系高分子、あるいはこれら高分子の誘導体をあげる事ができる。
また、既述した式(1)を用いて説明した様に、高分子の分子量は大きい方が好ましい。なぜならば、高分子の分子量が大きい方が、式(1)における高分子の分散媒中における拡がりdを大きくでき、引力相互作用を増大させる事ができるからである。
例えば、ブタジエン系高分子であるポリブタジエンの平均分子量は10万以上、好ましくは100万以上、より好ましくは200万以上である。一方、イソブチレン系高分子であるポリイソブチレンの分子量は、100万以上、好ましくは300万以上である。また、1種類の高分子だけでなく、複数種の高分子を高分子として分散媒に添加しても構わない。
次に、本実施の形態に係る超微粒子の大きさは、帯電泳動粒子の大きさの半分以下である事が好ましい。なぜならば、既述した式(3)が示す様に、超微粒子の大きさが小さい程、帯電泳動粒子に作用する引力相互作用が大きくなるからである。
また、本実施の形態に係る超微粒子は、所望の引力相互作用を発現できれば、有機物でも無機物でも、或は両者の複合体でも構わない。ここで、有機物組成の超微粒子としては、アクリル系高分子の超微粒子を上げる事ができ、無機物組成の超微粒子としては、シリカ系の超微粒子をあげる事ができる。
また、超微粒子は、帯電泳動粒子や中空部表面に接触しても、分散媒側に離脱し易い性質を有している事が好ましい。もし、帯電泳動粒子や中空部表面に接触した超微粒子が容易に剥離しないとすると、帯電泳動粒子同士や帯電泳動粒子が中空部内壁に接近したとしても、両者の間には超微粒子が存在する事となる。
そして、このように両者の間に超微粒子が存在するようになると、帯電泳動粒子の周囲には、引力相互作用の形成に必要な超微粒子の濃度勾配が形成されなくなり、引力相互作用の発現ができなくなる。つまり、この超微粒子の性質は引力相互作用の発現に必要なものである。なお、高分子と超微粒子の両方を、帯電泳動粒子への引力相互作用を発現させるための材料として、分散媒に添加しても構わない。
使用する基板の種類には、特に制限はない。例えば、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)等の柔らかい基板や、ガラス、石英等の硬い基板も使用できる。なお、表示面側に配置される基板は、透明である必要がある。
また、電極材料や電極配置も、所望の表示を実現できれば大きな制限はない。電極材料としてはAl電極やITO電極を挙げる事ができ、電極配置としては、表示状態の変化に必要な所望の帯電泳動粒子変位を誘起できるものであれば、特に制限はない。なお、第1電極60を光反射層としても利用する場合は、銀(Ag)あるいはアルミ(Al)等の光反射率の高い材料を好適に使用する。この第1電極6を白色表示として使用する場合は、電極表面そのものに光が乱反射するように表面凹凸をつけるか、あるいは電極上に光散乱層を形成しておく。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図6は、本実施の形態に係る表示素子である電気泳動表示素子の構成を模式的に示す断面図である。なお、図6において、図1と同一符号は、同一または相当部分を示している。
図6において、50Aは帯電泳動粒子であり、この帯電泳動粒子50Aの表面には、帯電泳動粒子の分散媒中における分散状態を支援するため、後述する図7に示すような第1分散基120、あるいは第2分散基130が存在している。なお、以下の説明では、帯電泳動粒子50Aの一部を固体1とし、他の帯電泳動粒子50A又は中空部の内壁面を固体2と表現する場合もある。そして、この固体1と固体2の表面には、おのおの第1分散基120及び第2分散基130が存在している。
ここで、この第1分散基120及び第2分散基130は、帯電泳動粒子50Aの分散媒中における分散性を支援するだけでなく、後述する保持特性発現にも関与するものである。また、本実施の形態において、分散媒中には、第1分散基120と第2分散基130との間に引力を発生させるための添加物として、例えば高分子や超微粒子が添加されている。
図6は、分散媒40中に添加剤として高分子60を添加した系の模式図であり、高分子60が帯電泳動粒子間を架橋する事なく保持状態を実現している状態を模式的に示している。つまり、本実施の形態は、添加剤を利用して、画像形成用の電気信号の印加を解除しても、表示画像を保持させるようにしたものである。
次に、本実施の形態に係る表示画像保持方法について説明する。
先ず、固体1と固体2の間を添加剤が架橋する事なく保持状態を実現する機構について説明する。
図7は、分散媒40中に添加された高分子60の状態を示しており、高分子60は分散媒40中で有限の拡がりを示している。なお、この図7は、帯電泳動粒子50Aの表面間距離が、高分子60の分散媒40中における拡がりよりも大きい状態を模式的に示している。この場合、粒子表面間には高分子60Aが存在しうる。
一方、図8は、帯電泳動粒子50A同士が近接配置しており、その粒子表面間の最短距離は、高分子60の拡がりよりも小さい状態を示している。そして、このように粒子表面間の最短距離が高分子60の拡がりよりも狭い場合、破線で模式的に囲っている粒子表面間の領域には高分子60は存在する事ができない。
つまり、この様な領域では、高分子60の濃度はゼロである。一方、粒子表面間距離が高分子60の広がりより大きい領域では、高分子60の濃度はゼロよりも大きい。従って、図8における帯電泳動粒子50の周囲には、高分子60の濃度勾配が形成される。そして、この濃度勾配は、帯電泳動粒子同士を凝集させるような引力相互作用を帯電泳動粒子50Aに作用させる。
ここで、この相互作用により第1分散基120と第2分散基130との間には引力が作用しているのと同じ状況が実現される。この相互作用による力の一つとして、浸透圧に起因する力Fをあげる事ができる。なお、このFは、既述した第1の実施の形態と同様に、式(1)で表現される。また、相互作用のエネルギーWは、既述した式(2)で表現される。
Figure 2005331859
Figure 2005331859
ここで、本実施の形態において、濃度勾配に起因する力Fは、帯電泳動粒子間だけでなく、帯電泳動粒子と平面状の表面(例えば、中空部の内壁面)との間でも発生する。即ち、第1分散基120と第2分散基130との間に引力が作用しているのと同じ状況が実現される。
例えば、第1分散基120と第2分散基130との表面間の最短距離が高分子の拡がりよりも小さい距離にまで近接したならば、そこは高分子が存在できない領域となる。この結果、上述したような濃度勾配が形成され、両者には引力が発生する。この力も、上記式(1)と同様に、C及びdが大きい程、大きくなる。なお、本実施の形態では、帯電泳動粒子同士の表面間距離と帯電泳動粒子と中空部の内壁面との間の距離が2μm未満に接近する必要がある。
ところで、既述した第1の実施の形態では、添加剤としての高分子60が、帯電泳動粒子及び中空部の内壁面に付着しても剥離し易いとした。しかし、本実施の形態は、この条件に限定されるものではなく、高分子60が帯電泳動粒子や中空部の内壁面、即ち第1分散基120や第2分散基130にはり付き易い場合でも、高分子60の分散媒中への添加量が多ければ、引力相互作用を発現させる事が可能である。
つまり、少なくとも帯電泳動粒子と中空部の内壁面に吸着可能以上の量の高分子が、分散媒中に添加されていればよい。ここで、帯電泳動粒子と中空部の内壁面に吸着できなかった過剰分の高分子は、2物体(帯電泳動粒子、中空部の内壁)に吸着し難く、この結果、この過剰分の高分子は上述した浸透圧に由来する引力相互作用を第1分散基120と第2分散基130との間に発現させる事が可能となる。
ところで、このような濃度勾配に起因する引力相互作用は、前述した特性を有する高分子だけでなく、例えば、図9に示すように高分子60の替わりに添加剤として超微粒子70を用いた場合も、また図10に示すように添加剤として高分子60と超微粒子70の両方を用いた系でも発現する。
なお図9は、超微粒子70が帯電泳動粒子間を架橋する事なく保持状態を実現している状態を模式的に示している。また、図9において、超微粒子の形状はロッド状であるが、超微粒子の形状はこれに限定されるものではなく、例えば球状でも構わない。
一方、図10は、高分子60と超微粒子70が帯電泳動粒子間を架橋する事なく保持状態を実現している状態を模式的に示している。
ここで、例えば図9に示すように高分子60の替わりに超微粒子70を添加した場合も、第1分散基120の第2分散基130への接近により、両物体間に超微粒子の濃度勾配が形成されれば、引力相互作用が発現する。そして、この場合の力や、この力に関する引力相互作用のエネルギーも、超微粒子70の添加濃度に比例する。なお、超微粒子70がロッド状の場合、超微粒子の濃度分布に起因する帯電泳動粒子間の引力相互作用W’は下記の式(4)で表現される。
Figure 2005331859
式(4)において、C’は超微粒子の添加濃度、Rは帯電泳動粒子の直径、Dは超微粒子の直径、Lは超微粒子の長さ、hは帯電泳動粒子の表面間距離である。そして、式(4)が示す様に、引力相互作用W’は、C’が大きい程、D’が小さい程、L/D’が大きい程、大きくなる。
そして、本実施の形態では、濃度勾配に起因する力を利用して、帯電泳動粒子同士及び帯電泳動粒子と中空部表面との間に引力相互作用を誘起させ、この引力を保持状態の維持に利用するようにしている。
また、図11は、固体1と固体2の間を添加剤を用いて緩やかに架橋する事により保持状態を実現するようにしたものであり、図11において、110は分散媒40中に添加された架橋剤である。そして、この架橋剤110により、帯電泳動粒子間及び帯電泳動粒子と中空部内壁面との間を緩やかに架橋して保持状態を実現している。
次に、固体1と固体2の間を添加剤を用いて緩やかに架橋する事により保持状態を実現する構成について説明する。
図12は、架橋剤110の両末端が、夫々第1分散基120と第2分散基130とに結合している状態を模式的に示している。ここで、この架橋剤110には、第1分散基120と第2分散基130に緩やかな結合を形成可能なユニットが含まれている。また、同様に、第1分散基120及び第2分散基130には、架橋剤110のユニットと緩やかな結合を形成可能なユニットが含まれている。
また図13は、架橋剤110と第1分散基120と第2分散基130との間の結合部位を模式的に拡大した様子を示す図であり、160は第1分散基120及び第2分散基130に設けられた、架橋剤110と緩やかに架橋するためのユニット、150は架橋剤110に設けられた、ユニット160と緩やかに架橋するためのユニットである。なお、ユニット150とユニット160との間の緩やかな結合としては、水素結合、或は酸塩基相互作用やエントロピー的相互作用に基づく引力相互作用をあげる事ができる。ただし所望の緩やかな結合を形成できるものであれば、特に制限はない。
ここで、例えば図6、図9及び図10に示した様な帯電泳動粒子50Aの分布状態を形成するために、帯電泳動粒子50Aに電界を印加すると、電界により帯電泳動粒子50Aは、中空部の内壁面に接近する。この接近距離が高分子の拡がり(又は超微粒子の大きさ)よりも小さくなると、帯電泳動粒子50Aの周囲には高分子(又は超微粒子)の濃度勾配が形成される。この結果、帯電泳動粒子50Aと内壁表面との間には引力が発生する。
同様に、帯電泳動粒子同士も高分子の拡がり(又は超微粒子の大きさ)よりも小さい距離にまで近接し、この近接により、前述した様な濃度勾配が形成され、帯電泳動粒子間にも引力が発生する。そして、本実施の形態では、これらの濃度勾配に起因する力を利用して、保持状態における中空部の内壁面上での帯電泳動粒子の積層状態を維持する。
また、保持状態における帯電泳動粒子50Aの第1層と第2層との間には、濃度勾配に起因する引力が作用する。この引力は、上述した先行技術が利用している鏡像力とは異なり、内壁表面からの距離の2乗に反比例するものではなく、第1層と第2層を構成する帯電泳動粒子同士が接触又は近接していれば、両者間に引力が作用する。
従って、外乱(例えば、分散媒の流動)に対して安定である。また、濃度勾配に起因する力は引力であるので、帯電泳動粒子の層が変形しようとしても、力が復元力として作用する。
また、図11に示した帯電泳動粒子50Aの分布状態を形成するために、帯電泳動粒子50Aに電界を印加すると、電界により帯電泳動粒子50Aは、中空部の内壁面に接近する。そして、この接近距離が分散媒中における架橋剤110の拡がり程度になれば、中空部の内壁面と帯電泳動粒子50Aとは、架橋剤110により架橋される。同様に、帯電泳動粒子同士も架橋剤110の拡がりよりも小さい距離にまで近接すると、帯電泳動粒子間も架橋剤110により架橋される。
また、帯電泳動粒子50Aに電界を印加することにより、帯電泳動粒子50Aが中空部の内壁面に接近する距離が分散媒中における架橋剤110の拡がりよりも小さくなると、帯電泳動粒子50Aと中空部の内壁面との間が、架橋剤110により緩やかに架橋される。同様に、帯電泳動粒子同士も分散媒中における架橋剤110の拡がりよりも小さい距離にまで近接すると、帯電泳動粒子同士は架橋剤110により緩やかに架橋される。そして、このように本実施の形態では、これらの架橋を利用して、保持状態における中空部の内壁面上での帯電泳動粒子50Aの積層状態を維持することができる。
さらにまた、保持状態における帯電泳動粒子の第1層と第2層との間には、架橋に起因する引力が作用する。この引力は、上述した先行技術が利用している鏡像力とは異なり、内壁表面からの距離の2乗に反比例するものではなく、第1層と第2層を構成する帯電泳動粒子同士が接触又は近接していれば、両者間に引力が作用する。
従って、外乱(例えば、分散媒の流動)に対して安定である。また、帯電泳動粒子50Aの層が変形しようとしても、架橋が可能なユニットが複数個存在しているので、すぐに架橋状態が形成される。即ち、保持に重要な架橋状態が復元される。
つまり、本実施の形態においては、保持状態における固体1(帯電泳動粒子)と固体2(帯電泳動粒子、中空部の内壁)との間の近接状態を上述した機構により維持する事ができる。なお、上述した機構とともに、他の近接状態を維持する機構(例えば、鏡像力)が共存していても構わない事は言うまでもない。
このように、本実施の形態においても、分散媒40に高分子及び超微粒子の少なくとも一方を添加し、帯電泳動粒子間及び中空部15の内壁面と帯電泳動粒子50との間に形成される高分子60及び超微粒子70の少なくとも一方の濃度勾配によって発生する力により、電界印加解除状態でも帯電泳動粒子の分布状態の維持を行うようにすることにより、表示コントラストの低下や表示画像の劣化の発生を抑制することができる。
次に、本実施の形態に係る電気泳動表示素子の材料について説明する。
本実施の形態に用いる分散媒及び帯電泳動粒子は、既述した第1の実施の形態のものと同様のものを用いる。また、高分子については、既述した第1の実施の形態のものと同様のものを用いることができるが、帯電泳動粒子や中空部の内壁面に吸着し易いものを用いても良い。この場合には、分散媒中に帯電泳動粒子と中空部の内壁面に吸着可能な量以上の高分子を添加されていれば良い。この理由は上述したように、過剰に存在する高分子は帯電泳動粒子等に吸着し難ので、帯電泳動粒子同士等が近接すれば、上述した浸透圧に起因する引力が発生するからである。従って、帯電泳動粒子への吸着可能なユニットを含有するゴム系高分子を使用する事も可能である。
また、超微粒子の大きさは、帯電泳動粒子の大きさの半分以下である事が好ましい。より好ましくは200ナノメートル以下、更に好ましくは100ナノメートル以下である。上記式(3)が示す様に、超微粒子の大きさが小さい程、超微粒子が細長い程、帯電泳動粒子等に作用する引力相互作用は大きくなる。また、超微粒子としては、既述した第1の実施の形態のもののほか、無機物組成の超微粒子としては、シリカ系や酸化アルミニウム系の超微粒子をあげる事ができる。また、超微粒子は分散媒中で帯電可能なユニットを有していても構わない。該ユニットとしては硫黄酸化物やアミノ基、カルボキシル基などをあげることができる。
超微粒子が帯電泳動粒子に対して逆極性に帯電していれば、超微粒子は帯電泳動粒子間の静電引力を媒介する。また、この超微粒子が中空部の内壁に付着(付着機構に制限はない)すれば、超微粒子は帯電泳動粒子と中空部の内壁との間の静電引力を媒介する。本発明では、この静電力を前記架橋に利用してもよい。この様な帯電している超微粒子を用いた場合、この超微粒子が上述した浸透圧に起因する引力相互作用を発現するとともに、静電引力相互作用も発現できる。即ち、1種類の添加剤で2重の引力相互作用を発現でき、保持状態形成に有効に作用する。更に、帯電した超微粒子とともに前述した高分子を併用すれば、この高分子が関与する浸透圧に起因する引力相互作用も機能する。
また、本実施の形態に係る架橋剤の性状は、液体でも固体でも構わないが、分散媒に溶解しやすい事が望ましい。また、架橋剤中には、2箇所以上の架橋ユニットが含まれている事が望ましい。
緩やかな架橋として酸塩基相互作用を利用する場合には、架橋剤には酸性ユニット(例えば、マレイン酸、カルボキシル基)を配置し、第1分散基120及び第2分散基130には塩基性ユニット(例えばアミン基)を配置すればよい。この逆の組み合わせでも構わない。また、緩やかな架橋として水素結合を利用する場合には、架橋剤にはアミド結合等の水素結合を形成可能なユニットを含ませればよい。そして第1分散基120及び第2分散基130には、架橋剤の水素結合形成ユニットとの間にすし結合を形成可能なユニットを設ければよい。例えば、架橋剤として両末端にアデニン残基が配置している高分子を用いた場合、第1分散基120及び第2分散基130にはチミン残基を配置すればよい。
また、第1分散基120及び第2分散基130としては、少なくとも帯電泳動粒子の分散媒中における分散状態を支援できるものであれば特に制限はなく、例えば分散媒としてイソパラフィン系の溶媒を用いた場合、直鎖アルキル鎖をあげる事ができる。また、本実施の形態に係る分散基は、あらかじめ固体1及び固体2に固定化してあっても、分散媒中で吸着させても構わない。
以下、第1の実施の形態を実施例1〜3に沿って、また第2の実施の形態を実施例4〜8に沿って更に詳細に説明する。
(実施例1)
本実施例では、図1に示す様な電気泳動表示素子を作製した。作製した電気泳動表示素子の1画素の大きさは、100μm×100μmであり、各画素は周囲を隔壁30によって囲まれている。なお、隔壁30は格子状であり、幅8μm、高さ20μmである。第1電極80は、隔壁30に囲まれた領域直下に位置し、スイッチング素子(図1では示していない)に接続している。第2電極90は、隔壁30と基板10の間に位置する。第2電極90は、全画素の共通電極としている。
本実施例に係る電気泳動表示素子の製造方法を説明する。
先ず、公知のフォトリソグラフィー法を用いて、ステンレス製の基板10上にスイッチング素子、第1電極80、絶縁層100を形成し、この後、絶縁層100上に公知のリソグラフィー法により隔壁30を形成する。次に、絶縁層100と隔壁30が形成する空隙部に、分散媒40と帯電泳動粒子50と高分子60と帯電制御剤との混合物を充填する。
本実施例では、分散媒40として炭化水素系溶媒(商品名:アイソパー、エクソン社製)を用い、帯電制御剤としてはカルボキシル基を有する変性ポリイソプレン(商品名:OLOA1200、シェブロン社製)を用いた。なお、帯電制御剤の添加濃度は0.8wt%である。また、帯電泳動粒子50としては、平均粒径1〜2μm程度であるカーボンブラック含有のポリスチレン−ポリメチルメタクリレート共重合体樹脂からなるポリマービーズを使用し、高分子としては、ポリブタジエン(平均分子量:250万)を用いた。なお、高分子の添加濃度は2wt%である。
次に、このような混合物を充填した後、透明な基板20を隔壁30上に設置し、分散媒40等を密閉した。なお、本実施例では基板20としてポリカーボネートと用いた。そして、この後、得られた電気泳動表示素子の第1電極を接地し、第2電極の電位を1ヘルツ(Hz)にて、+15V、−15Vと交互に変調した。その結果、黒表示状態と白表示状態が交互に出現した。
次に、表示状態の保持性について観察した。この観察では、まず第2電極への+15V印加を100ミリ秒以内に解除した。続いて素子の黒表示状態を観察したが、黒表示状態の劣化は観察されなかった。同様に、第2電極への−15V印加を100ミリ秒以内に解除した。続いて素子の白表示状態を観察したが、白表示状態の劣化は観察されなかった。各状態における帯電泳動粒子を光学顕微鏡で観察したが、積層状態を維持している事が確認できた。
更に、表示状態の外乱に対する安定性を観察した。この観察では、白表示を示している保持状態の素子を1mの高さから10回落下させたが、白表示状態の劣化は観察されなかった。同様に、黒表示を示している保持状態の素子を1mの高さから10回落下させたが、黒表示状態の劣化は観察されなかった。各状態における帯電泳動粒子を観察したが、積層状態を維持している事が確認できた。
次に、保持状態の素子を曲げたり元の平面状の状態に戻す操作を10回繰り返したが、白表示及び黒表示の劣化は観察されなかった。
(実施例2)
本実施例は、ポリブタジエンの替わりに高分子の超微粒子を添加した以外は、実施例1と同じ方法で電気泳動表示素子を作製した。本実施例では、超微粒子としてポリメチルメタクリレートの架橋粒子(粒径0.06〜0.15μm)を用いた。なお、その添加濃度は0.9wt%である。
そして、得られた電気泳動表示素子の第1電極を接地し、第2電極の電位を1ヘルツ(Hz)にて、+16V、−16Vと交互に変調した。その結果、黒表示状態と白表示状態が交互に出現した。
次に、表示状態の保持性について観察した。この観察では、まず第2電極への+15V印加を100ミリ秒以内に解除した。続いて素子の黒表示状態を観察したが、黒表示状態の劣化は観察されなかった。同様に、第2電極への−15V印加を100ミリ秒以内に解除した。続いて素子の白表示状態を観察したが、白表示状態の劣化は観察されなかった。各状態における帯電泳動粒子を光学顕微鏡で観察したが、積層状態を維持している事が確認できた。
更に、表示状態の外乱に対する安定性を観察した。この観察では、白表示を示している保持状態の素子を1mの高さから10回落下させたが、白表示状態の劣化は観察されなかった。同様に、黒表示を示している保持状態の素子を1mの高さから10回落下させたが、黒表示状態の劣化は観察されなかった。各状態における帯電泳動粒子を観察したが、積層状態を維持している事が確認できた。
次に、保持状態の素子を曲げたり元の平面状の状態に戻す操作を10回繰り返したが、白表示及び黒表示の劣化は観察されなかった。
(実施例3)
本実施例は、ポリブタジエンと共に高分子超微粒子を分散媒に添加した以外は、実施例1と同じ方法で電気泳動表示素子を作製した。本実施例で用いた高分子超微粒子は架橋性ポリスチレンを主成分とし、大きさは約90ナノメートルである。またその表面には硫黄酸化物等の帯電可能なユニットが配置している。なお、ポリブタジエンの添加濃度は1.5wt%、高分子超微粒子の添加濃度は0.1wt%である。これらの添加剤は、上述した浸透圧と静電力を利用するために分散媒に添加する。
そして、得られた電気泳動表示素子の第1電極を接地し、第2電極の電位を1ヘルツ(Hz)にて、+15V、−15Vと交互に変調した。その結果、黒表示状態と白表示状態が交互に出現した。
次に、表示状態の保持性について観察した。この観察では、まず第2電極への+15V印加を100ミリ秒以内に解除した。続いて素子の黒表示状態を観察したが、黒表示状態の劣化は観察されなかった。同様に、第2電極への−15V印加を100ミリ秒以内に解除した。続いて素子の白表示状態を観察したが、白表示状態の劣化は観察されなかった。各状態における帯電泳動粒子を光学顕微鏡で観察したが、積層状態を維持している事が確認できた。
更に、表示状態の外乱に対する安定性を観察した。この観察では、白表示を示している保持状態の素子を1mの高さから10回落下させたが、白表示状態の劣化は観察されなかった。同様に、黒表示を示している保持状態の素子を1mの高さから10回落下させたが、黒表示状態の劣化は観察されなかった。各状態における帯電泳動粒子を観察したが、積層状態を維持している事が確認できた。
次に、保持状態の素子を曲げたり元の平面状の状態に戻す操作を10回繰り返したが、白表示及び黒表示の劣化は観察されなかった。
(実施例4)
本実施例では、図6に示す様な電気泳動表示素子を作製した。作製した電気泳動表示素子の1画素の大きさは、100μm×100μmであり、各画素は周囲を隔壁30によって囲まれている。なお、隔壁30は格子状であり、幅8μm、高さ20μmである。第1電極80は、隔壁30に囲まれた領域直下に位置し、スイッチング素子(図6では示していない)に接続している。第2電極90は、隔壁30と基板10の間に位置する。第2電極90は、全画素の共通電極としている。
本実施例に関する表示素子の製造方法を説明する。
先ず、公知のフォトリソグラフィー法を用いて、ステンレス製の基板10上にスイッチング素子、第1電極80、絶縁層100を形成し、この後、絶縁層100上に公知のリソグラフィー法により隔壁30を形成する。次に、絶縁層100と隔壁30が形成する空隙部に、分散媒40と帯電泳動粒子50Aと帯電制御剤と添加剤としての高分子60との混合物を充填する。
本実施例では、分散媒40として炭化水素系溶媒(商品名:アイソパー、エクソン社製)を用い、帯電制御剤としてはカルボキシル基を有する編成ポリイソプレン(商品名:クラプレンLIR410、クラレ社製)を用いた。なお、帯電制御剤の添加濃度は0.8wt%である。また、帯電泳動粒子50Aとしては、平均粒径1〜2μm程度であるカーボンブラック含有のポリスチレン−ポリメチルメタクリレート共重合体樹脂からなるポリマービーズを使用した。なお、この粒子の表面には、あらかじめ長鎖状の炭化水素鎖が配置している。この鎖が分散基に対応している。また、添加剤としての高分子として、ポリブタジエン(平均分子量:250万)を用いた。この高分子の添加濃度は3×10−5モル/リットルである。なお、この高分子は、上述した浸透圧に起因する引力相互作用を発現させるために分散媒に添加した。
次に、このような混合物を充填した後、透明な基板20を隔壁30上に設置し、分散媒40等を密閉した。なお、本実施例では基板20としてポリカーボネートと用いた。そして、この後、得られた表示素子の第1電極を接地し、第2電極の電位を1ヘルツ(Hz)にて、+15V、−15Vと交互に変調した。その結果、黒表示状態と白表示状態が交互に出現した。
次に、表示状態の保持性について観察した。この観察では、まず第2電極への+15V印加を100ミリ秒以内に解除した。続いて素子の黒表示状態を観察したが、黒表示状態の劣化は観察されなかった。同様に、第2電極への−15V印加を100ミリ秒以内に解除した。続いて素子の白表示状態を観察したが、白表示状態の劣化は観察されなかった。各状態における帯電泳動粒子50Aを光学顕微鏡で観察したが、積層状態を維持している事が確認できた。
更に、表示状態の外乱に対する安定性を観察した。この観察では、白表示を示している保持状態の素子を1mの高さから10回落下させたが、白表示状態の劣化は観察されなかった。同様に、黒表示を示している保持状態の素子を1mの高さから10回落下させたが、黒表示状態の劣化は観察されなかった。各状態における帯電泳動粒子を観察したが、積層状態を維持している事が確認できた。
次に、保持状態の素子を曲げたり元の平面状の状態に戻す操作を10回繰り返したが、白表示及び黒表示の劣化は観察されなかった。
(実施例5)
本実施例は、ポリブタジエンの替わりに無機超微粒子を添加した以外は、実施例4と同じ方法で表示素子を作製した。本実施例では、超微粒子としてロッド状のアルミナ粒子(粒径:2〜4nm、アスペクト比:20〜100)を用いた。その添加濃度は1.5wt%である。なお、この超微粒子は、上述した浸透圧に起因する引力相互作用を発現させるために分散媒に添加した。
得られた表示素子の第1電極を接地し、第2電極の電位を1ヘルツ(Hz)にて、+16V、−16Vと交互に変調した。その結果、黒表示状態と白表示状態が交互に出現した。
次に、表示状態の保持性について観察した。この観察では、まず第2電極への+15V印加を100ミリ秒以内に解除した。続いて素子の黒表示状態を観察したが、黒表示状態の劣化は観察されなかった。同様に、第2電極への−15V印加を100ミリ秒以内に解除した。続いて素子の白表示状態を観察したが、白表示状態の劣化は観察されなかった。各状態における帯電泳動粒子を光学顕微鏡で観察したが、積層状態を維持している事が確認できた。
更に、表示状態の外乱に対する安定性を観察した。この観察では、白表示を示している保持状態の素子を1mの高さから10回落下させたが、白表示状態の劣化は観察されなかった。同様に、黒表示を示している保持状態の素子を1mの高さから10回落下させたが、黒表示状態の劣化は観察されなかった。各状態における帯電泳動粒子を観察したが、積層状態を維持している事が確認できた。
次に、保持状態の素子を曲げたり元の平面状の状態に戻す操作を10回繰り返したが、白表示及び黒表示の劣化は観察されなかった。
(実施例6)
本実施例は、ポリブタジエンと共に実施例5で用いた超微粒子を分散媒に添加した以外は、実施例4と同じ方法で電気泳動表示素子を作製した。ここで、ポリブタジエンの添加濃度は3.5×10−6モル/リットル、超微粒子の添加濃度は、0.5wt%である。なお、この高分子と超微粒子は、上述した浸透圧に起因する引力相互作用を発現させるために分散媒に添加した。
そして、得られた電気泳動表示素子の第1電極を接地し、第2電極の電位を1ヘルツ(Hz)にて、+14V、−14Vと交互に変調した。その結果、黒表示状態と白表示状態が交互に出現した。
次に、表示状態の保持性について観察した。この観察では、まず第2電極への+14V印加を100ミリ秒以内に解除した。続いて素子の黒表示状態を観察したが、黒表示状態の劣化は観察されなかった。同様に、第2電極への−14V印加を100ミリ秒以内に解除した。続いて素子の白表示状態を観察したが、白表示状態の劣化は観察されなかった。各状態における帯電泳動粒子を光学顕微鏡で観察したが、積層状態を維持している事が確認できた。
更に、表示状態の外乱に対する安定性を観察した。この観察では、白表示を示している保持状態の素子を1mの高さから10回落下させたが、白表示状態の劣化は観察されなかった。同様に、黒表示を示している保持状態の素子を1mの高さから10回落下させたが、黒表示状態の劣化は観察されなかった。各状態における帯電泳動粒子を観察したが、積層状態を維持している事が確認できた。
次に、保持状態の素子を曲げたり元の平面状の状態に戻す操作を10回繰り返したが、白表示及び黒表示の劣化は観察されなかった。
(実施例7)
本実施例は、ポリブタジエンの替わりにジエンスチレン共重合体を添加した以外は、実施例4と同じ方法で電気泳動表示素子を作製した。なお、共重合体の添加濃度は、3.5wt%である。この場合、共重合体は、帯電泳動粒子と中空部の内壁面に吸着しているだけでなく、分散媒中にも溶存している。なお、この共重合体は、上述した浸透圧に起因する引力相互作用を発現させるために分散媒に添加した。
次に、表示状態の保持性について観察した。この観察では、まず第2電極への+15V印加を100ミリ秒以内に解除した。続いて素子の黒表示状態を観察したが、黒表示状態の劣化は観察されなかった。同様に、第2電極への−15V印加を100ミリ秒以内に解除した。続いて素子の白表示状態を観察したが、白表示状態の劣化は観察されなかった。各状態における帯電泳動粒子を光学顕微鏡で観察したが、積層状態を維持している事が確認できた。
更に、表示状態の外乱に対する安定性を観察した。この観察では、白表示を示している保持状態の素子を1mの高さから10回落下させたが、白表示状態の劣化は観察されなかった。同様に、黒表示を示している保持状態の素子を1mの高さから10回落下させたが、黒表示状態の劣化は観察されなかった。各状態における帯電泳動粒子を観察したが、積層状態を維持している事が確認できた。
次に、保持状態の素子を曲げたり元の平面状の状態に戻す操作を10回繰り返したが、白表示及び黒表示の劣化は観察されなかった。
(実施例8)
本実施例では、表面にアミン基を有する粒子を帯電泳動粒子として用い、添加剤としてはスチレン−マレイン酸樹脂を用いた。これ以外は実施例4と同じ条件で電気泳動表示素子を作製した。なお、この樹脂は、上述した緩やかな結合に起因する引力相互作用を発現させるために分散媒に添加した。
次に、表示状態の保持性について観察した。この観察では、まず第2電極への+15V印加を100ミリ秒以内に解除した。続いて素子の黒表示状態を観察したが、黒表示状態の劣化は観察されなかった。同様に、第2電極への−15V印加を100ミリ秒以内に解除した。続いて素子の白表示状態を観察したが、白表示状態の劣化は観察されなかった。各状態における帯電泳動粒子を光学顕微鏡で観察したが、積層状態を維持している事が確認できた。
更に、表示状態の外乱に対する安定性を観察した。この観察では、白表示を示している保持状態の素子を1mの高さから10回落下させたが、白表示状態の劣化は観察されなかった。同様に、黒表示を示している保持状態の素子を1mの高さから10回落下させたが、黒表示状態の劣化は観察されなかった。各状態における帯電泳動粒子を観察したが、積層状態を維持している事が確認できた。
次に、保持状態の素子を曲げたり元の平面状の状態に戻す操作を10回繰り返したが、白表示及び黒表示の劣化は観察されなかった。
本発明の第1の実施の形態に係る電気泳動表示素子の構成を模式的に示す断面図。 上記電気泳動表示素子における帯電泳動粒子間相互作用を説明する図。 上記電気泳動表示素子における帯電泳動粒子間相互作用を説明する他の図。 上記電気泳動表示素子の他の構成を模式的に示す断面図。 上記電気泳動表示素子の他の構成を模式的に示す断面図。 本発明の第2の実施の形態に係る電気泳動表示素子の構成を模式的に示す断面図。 上記電気泳動表示素子における帯電泳動粒子間相互作用を説明する図。 上記電気泳動表示素子における帯電泳動粒子間相互作用を説明する他の図。 上記電気泳動表示素子の他の構成を模式的に示す断面図。 上記電気泳動表示素子の他の構成を模式的に示す断面図。 上記電気泳動表示素子の他の構成を模式的に示す断面図。 上記電気泳動表示素子における架橋剤の両末端が、夫々第1分散基と第2分散基とに結合している状態を模式的に示した図。 上記架橋剤と第1分散基及び第2分散基との間の結合部位を模式的に拡大した様子を示す図。 従来技術を模式的に説明する図。 従来技術を模式的に説明する他の図。 従来技術を模式的に説明する他の図。
符号の説明
10,20 基板
30 隔壁
40 分散媒
50,50A 帯電泳動粒子
60 高分子
70 超微粒子
110 架橋剤
120 第1分散基
130 第2分散基
140 高分子
150,160 緩やかな結合を形成するユニット

Claims (20)

  1. 基板と、基板上に設けられ、中空部が二次元的に配列されている封止構造体と、前記中空部に充填された分散媒と帯電泳動粒子群とからなる表示媒体から構成され、印加電界に応じた中空部内における前記帯電泳動粒子の分布状態を表示に反映させる表示素子において、
    前記分散媒に高分子及び超微粒子の少なくとも一方を添加すると共に、帯電泳動粒子間及び前記中空部の内壁面と前記帯電泳動粒子との間に形成される前記高分子及び超微粒子の少なくとも一方の濃度勾配によって発生する力により、電界印加解除状態でも前記帯電泳動粒子群の分布状態の維持を行うことを特徴とする表示素子。
  2. 前記濃度勾配は、前記帯電泳動粒子間の最近接領域及び前記帯電泳動粒子と前記中空部表面との最近接領域における前記高分子及び前記超微粒子の少なくとも一方の濃度が、他の領域の前記高分子及び超微粒子の少なくとも一方の濃度よりも小さいことにより生じることを特徴とする請求項1記載の表示素子。
  3. 前記濃度勾配により発生する力が、浸透圧であることを特徴とする請求項1又は2記載の表示素子。
  4. 前記所定の前記帯電泳動粒子群の維持状態における前記帯電泳動粒子間の相互作用エネルギーが、5kT(k:ボルツマン定数、T:分散媒の絶対温度)以上であることを特徴とする請求項1記載の表示素子。
  5. 前記高分子及び前記超微粒子は、前記帯電泳動粒子及び前記中空部の内壁面に接触しても、前記分散媒側に離脱しやすいことを特徴とする請求項1記載の表示素子。
  6. 前記分散媒は炭化水素系の溶媒から構成されて、前記高分子はゴム系高分子であることを特徴とする請求項1記載の表示素子。
  7. 前記高分子が、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム及びこれら高分子の誘導体から少なくとも1種類又は2種類以上の組み合わせからなることを特徴とする請求項6記載の表示素子。
  8. 前記高分子の極性が、前記分散媒の極性に類似していることを特徴とする請求項1記載の表示素子。
  9. 前記超微粒子の大きさが、前記帯電泳動粒子の大きさの半分以下であることを特徴とする請求項1記載の表示素子。
  10. 前記超微粒子が高分子からなる超微粒子である事を特徴とする請求項1記載の表示素子。
  11. 前記帯電泳動粒子の一部は、該帯電泳動粒子の分散媒中における分散状態を支援する第1分散基を、他の前記帯電泳動粒子又は前記中空部の内壁面は該帯電泳動粒子の分散媒中における分散状態を支援する第2分散基をそれぞれ含み、前記第1分散基と前記第2分散基には前記添加された高分子及び超微粒子の少なくとも一方の濃度勾配により引力が発生することを特徴とする請求項1記載の表示素子。
  12. 前記引力は、前記濃度勾配により発生する浸透圧の圧力勾配に起因することを特徴とする請求項11記載の表示素子。
  13. 前記引力は、前記第1分散基と前記第2分散基との間を前記添加された高分子及び超微粒子の少なくとも一方が架橋することに起因することを特徴とする請求項11記載の表示素子。
  14. 前記添加された高分子及び超微粒子は、前記帯電泳動粒子の一部、及び前記他の前記帯電泳動粒子又は前記中空部の内壁面に吸着しにくいことを特徴とする請求項11記載の表示素子。
  15. 前記添加された高分子及び超微粒子の極性が、前記分散媒の極性よりも小さいことを特徴とする請求項14に記載の表示素子。
  16. 前記添加された高分子及び超微粒子は、前記帯電泳動粒子の一部、及び前記他の前記帯電泳動粒子又は前記中空部の内壁面に吸着可能であり、且つ、該高分子及び超微粒子の前記分散媒への添加量が前記帯電泳動粒子の一部、及び前記他の前記帯電泳動粒子又は前記中空部の内壁面の全てに吸着可能な量よりも多いことを特徴とする請求項11に記載の表示素子。
  17. 前記架橋が前記第1分散基及び第2分散基と、前記添加された高分子及び超微粒子との間における酸塩基相互作用に起因し、前記高分子及び超微粒子には少なくとも一つの酸性又は塩基性のユニットが含まれ、前記第1分散基及び前記第2分散基には前記高分子及び超微粒子とは反対の酸性又は塩基性のユニットが含まれることを特徴とする請求項13記載の表示素子。
  18. 前記架橋が前記第1分散基及び第2分散基と前記添加された高分子及び超微粒子との間における水素結合に起因し、前記高分子及び超微粒子には前記第1分散基及び前記第2分散基との間に水素結合を形成可能なユニットが含まれることを特徴とする請求項13に記載の表示素子。
  19. 前記超微粒子が前記分散媒中で帯電可能なユニットを有する事を特徴とする請求項1に記載の表示素子。
  20. 前記架橋が前記超微粒子の媒介する静電力である事を特徴とする請求項13と請求項19に記載の表示素子。
JP2004152060A 2004-05-21 2004-05-21 表示素子 Pending JP2005331859A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004152060A JP2005331859A (ja) 2004-05-21 2004-05-21 表示素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004152060A JP2005331859A (ja) 2004-05-21 2004-05-21 表示素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005331859A true JP2005331859A (ja) 2005-12-02

Family

ID=35486549

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004152060A Pending JP2005331859A (ja) 2004-05-21 2004-05-21 表示素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005331859A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008107740A (ja) * 2006-10-27 2008-05-08 Tdk Corp 光透過調整装置および表示装置
JP2009276567A (ja) * 2008-05-14 2009-11-26 Nippon Shokubai Co Ltd 電気泳動表示装置用マクロカプセルの製造方法
JP2011043797A (ja) * 2009-07-21 2011-03-03 Fuji Xerox Co Ltd 表示用粒子分散液、表示媒体、及び表示装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008107740A (ja) * 2006-10-27 2008-05-08 Tdk Corp 光透過調整装置および表示装置
JP2009276567A (ja) * 2008-05-14 2009-11-26 Nippon Shokubai Co Ltd 電気泳動表示装置用マクロカプセルの製造方法
JP2011043797A (ja) * 2009-07-21 2011-03-03 Fuji Xerox Co Ltd 表示用粒子分散液、表示媒体、及び表示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7096300B2 (ja) カラーディスプレイデバイス
JP7122965B2 (ja) 内部全反射型画像ディスプレイにおける双安定性強化
TW201239497A (en) Color electrophoretic display
US20060209388A1 (en) Electrophoretic displays using gaseous fluids
JP2018512078A (ja) 多電極内部全反射型画像表示装置
TWI493269B (zh) An electrophoretic display device, an electrophoretic display device and an electronic device using the same
US9013780B2 (en) Electrophoretic displays
US20180157144A1 (en) TIR-Modulated Wide Viewing Angle Display
JP5298212B2 (ja) 表示装置
JP2015018209A (ja) 記録媒体、画像記録装置、画像記録セット
TWI780445B (zh) 使用在有色電泳顯示介質中的聚合物添加劑
TW201718777A (zh) 改良之低溫電泳介質
JP2007121570A (ja) 粒子移動型表示装置
JP2005331859A (ja) 表示素子
JP2007140533A (ja) 電気泳動表示装置と電気泳動表示装置の駆動方法
CN114868078A (zh) 包括具有非离子聚合物壁的微囊的彩色电泳层
JP2004133353A (ja) 電気泳動表示用粒子、電気泳動表示用粒子分散液およびそれを用いた電気泳動表示装置
JP2008165206A (ja) 表示媒体用粒子
JP2007133013A (ja) 粒子移動型表示装置
JP2012063437A (ja) マイクロカプセル型電気泳動式表示パネル
JP2012008209A (ja) 表示シート、表示装置、電子機器および表示シートの駆動方法
JP2006337554A (ja) 粒子移動型表示素子及び粒子移動型表示装置
KR101140006B1 (ko) 전자종이 디스플레이 소자
JP2006220969A (ja) 電気泳動表示用懸濁液および電気泳動表示装置
US20210356834A1 (en) Multi-color electro-optic media