JP2008107740A - 光透過調整装置および表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小さい消費電力で電界配列粒子を電界配列させることができる光透過調整装置と、光透過調整装置を有する表示装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る光透過調整装置2は、少なくとも一方が透明な対向する一対の電極板4A,4Bを有し、前記一対の電極板4A,4Bの間に、少なくとも、複数の電界配列粒子16と、透光性を有する非極性溶媒18と、アクリル樹脂と、を有する
【選択図】図1B

Description

本発明は、電圧を印加することにより光透過率が変化する光透過調整装置、および光透過調整装置を有する表示装置に関する。
例えば特許文献1に示す光透過調整装置は、主として、対向する一対の透明電極板と、透明電極板間に充填された透光性の溶媒と、溶媒中に含まれる電界配列粒子とから構成される。
光透過調整装置において、一対の透明電極板間に電圧を印加しない状態では、電界配列粒子が、透明電極板間に不規則(均一)に分散しているため、透明電極板間は不透明である(透明電極板間の光透過率が小さい)。
また、光透過調整装置において、一対の透明電極板間に電圧を印加すると、誘電分極した複数の電界配列粒子が、不規則(均一)に分散した状態から、電界方向に略直線上に配列し、粒子の鎖状体を形成する(この現象を、以下、電界配列効果と記す)。また、各鎖状体は互いに間隔をおいて形成される。すなわち、透明電極板間において、電界方向に電界配列粒子が存在しない隙間(透光性の溶媒のみが存在する領域)が多数形成される。その結果、電界方向においては、透明電極板間が透明になる(透明電極板間の光透過率が大きくなる)。
上記の原理を基づき、従来の光透過調整装置においては、透明電極板間の光透過率が小さい状態と、大きい状態との2つの状態を繰り返し再現することができる。
このような従来の光透過調整装置においては、装置の薄型化や、装置に可撓性を付与することが困難であった。そこで、電界配列粒子をカプセルで内包することが試みられているが、電界配列粒子を、不規則(均一)に分散した状態から電界配列させるために必要となる印加電圧(透過応答電圧)が高く、光透過調整装置の消費電力が大きくなることが問題となる。また、電界配列効果を維持するためには、透明電極板間に高い透過応答電圧を印加し続ける必要があり、この点においても光透過調整装置の消費電力が大きくなることが問題となる。
特開平9−230803号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、小さい消費電力で電界配列効果を維持できる光透過調整装置と、光透過調整装置を有する表示装置を提供することである。
本発明者は、鋭意研究の結果、光透過調整装置の透明電極板間に満たされた非極性溶媒にアクリル樹脂を溶解させると、一度透過応答電圧を透明電極板間に印加した後に、透明電極板間に電圧を印加しない場合であっても、電界配列効果を維持できることを発見した。そこで、本発明者は、以下のような、光透過調整装置を発明するに至った。
本願発明に係る光透過調整装置は、
少なくとも一方が透明な対向する一対の電極板を有し、
前記一対の電極板の間に、少なくとも、複数の電界配列粒子と、透光性を有する非極性溶媒と、アクリル樹脂と、を有する。
非極性溶媒にアクリル樹脂を溶解させることによって、非極性溶媒の極性が微妙に変化し、アクリル樹脂を溶解させない場合に比べて、電界配列粒子が電界配列する傾向が強まる。その結果、一度透過応答電圧を透明電極板間に印加した後に、透明電極板間に電圧を印加しなくとも、電界配列効果(電極間の光透過率が大きい状態)を維持できる。よって、電界配列効果を維持するために要する消費電力を減少させることができる。また、非極性溶媒にアクリル樹脂を溶解させることによって、一度透過応答電圧を透明電極板間に印加した後に、透過応答電圧以下の低電圧を透明電極板間に印加し続けることによって、電界配列粒子の凝集、沈降を防止することができ、電界配列効果をより確実に維持できる。
すなわち、本願発明に係る光透過調整装置は、電界配列効果のメモリ機能を、従来より小さい消費電力で実現することができる。
なお、本願発明において、電界配列粒子とは、所定の電界中において、誘電分極し、電界方向に沿って配列する粒子(鎖状体を形成する粒子)を意味する。一方、従来の電気泳動粒子は、電圧印加によって電極板側へ引き寄せられ、互いに凝集する性質を有する。この点において、本願発明に係る電界配列粒子は、従来の電気泳動粒子とは異なる粒子である。
好ましくは、前記一対の電極板の間に、さらに分散剤を有する。
電極板間の非極性溶媒に分散剤を含ませることによって、電極板間に電圧が印加されていない状態では、電界配列粒子が凝集することを防止できる。その結果、電極板間に電圧が印加されていない状態では、電界配列粒子を、電極板間に均一に分散させ、電極板間を不透明にすることができる。
前記電界配列粒子、前記非極性溶媒、前記アクリル樹脂、および前記分散剤の総重量に対して、前記アクリル樹脂の重量の比率が、好ましくは、0.1〜5.0重量%、より好ましくは0.3〜3.0重量%である。
アクリル樹脂の比率を0.1重量%以上とすることによって、電圧印加を止めても、電界配列効果を維持し続けることができる。また、アクリル樹脂の比率を5.0重量%以下とすることによって、透過応答電圧の印加時に、電界配列粒子を充分に電界配列させることができる。
好ましくは、前記一対の電極板の間に電圧を印加し、かつ、前記電圧を自在に変化させることができる電圧印加手段を有する。
電圧印加手段で電極板間に透過応答電圧を印加することによって、電界配列粒子を、不規則(均一)に分散した状態から電界配列させることができる。電界配列粒子を一度電界配列させた後に、電圧印加手段で電極板間印加する電圧をゼロとした場合であっても、電界配列効果を維持することができる。また、電界配列粒子を一度電界配列させた後に、電圧印加手段で電極板間に透過応答電圧以下の低電圧を印加することによって、小さい消費電力で電界配列効果をより確実に維持することができる。
また、電圧印加手段で電極板間に印加する電圧を連続的に変化させることによって、電極板間の光透過率を連続的に変化させることができる。さらには、電極板間に所定の電圧を印加し、電極板間の光透過率を、光透過率の最小値から最大値までの中間にある任意の値に設定した後に、電極板間に電圧を印加しない場合であっても、光透過率を任意の値に維持できる。
好ましくは、少なくとも前記一対の電極板の間に振動を加えることができる振動手段を有する。
電界配列した状態にある電界配列粒子に対して、振動手段で振動を加えることによって、電界配列粒子を、電極板間に不規則(均一)に分散させることができる。
好ましくは、前記一対の電極板の間に位置し、透光性皮膜からなるカプセルと、
前記一対の電極板の間において前記カプセル間の隙間に充填される透光性の電極間樹脂と、を有し、
前記カプセルが、少なくとも、前記電界配列粒子と、前記非極性溶媒と、前記アクリル樹脂と、を内包する。
電界配列粒子、非極性溶媒、アクリル樹脂、および分散剤をカプセルで内包するすることによって、光透過調整装置を薄型化でき、また、光透過調整装置に可撓性を付与することができる。
好ましくは、前記電極間樹脂の比誘電率が、前記非極性溶媒の比誘電率より大きい。
電極間樹脂の比誘電率を、カプセル内の非極性溶媒の比誘電率より大きくすることによって、カプセル内の電界配列粒子を電界配列させるために必要な印加電圧(透過応答電圧)を低くすることができる。
好ましくは、前記電極板が、可撓性を有するフィルムと、透明電極膜と、を有する。
電極板が、可撓性のフィルムを有することによって、電極板および光透過調整装置も可撓性を有する。光透過調整装置が可撓性を有することによって、光透過調整装置を様々な形状に加工しやすくなる。その結果、光透過装置を様々な用途に応用することができる。
なお、前記電極板が、ガラス板と、透明電極膜とを有してもよい。
好ましくは、前記電界配列粒子が、TiOまたはBaTiOを含む。
本願発明に係る表示装置は、上述した光透過調整装置を有する。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1A、図1Bは、本発明の第1実施形態に係る光透過調整装置を示す図であって、光透過調整装置を透明電極板に対して垂直方向に切断した要部断面図、
図2A、図2Bは、本発明の第1実施形態に係る光透過調整装置において、電界配列粒子が電界配列している状態を示す概略図、
図3A、図3B、図3Cは、本願発明の第1実施形態に係る光透過調整装置の製造方法を示す一連の概略図、
図4は、本願発明の第1実施形態に係る表示装置を示す図であって、表示装置を透明電極板に対して垂直方向に切断した概略断面図、
図5は、本願発明の第2実施形態に係る光透過調整装置(表示装置)を示す概略図、
図6A、図6Bは、本発明の第3実施形態に係る光透過調整装置を示す図であって、光透過調整装置を透明電極板に対して垂直方向に切断した要部断面図である。
(第1実施形態)
光透過調整装置の全体構成
まず、本発明の第1実施形態に係る光透過調整装置の全体構成について説明する。
図1Aに示すように、光透過調整装置2は、対向する一対の透明電極板(第1電極板4Aおよび第2電極板4B)を有する。透明電極板である第1電極板4Aは、可撓性を有するフィルム12Aと、透明電極膜14Aとから構成される。同様に、第2電極板4Bは、可撓性を有するフィルム12Bと、透明電極膜14Bとから構成される。また、光透過調整装置2は、電圧印加手段(図示省略)を有する。透明電極膜14A、14Bは、それぞれ電圧印加手段の正極端子および負極端子(図示省略)のいずれかに電気的に接続されており、透明電極膜14A(第1電極板4A)と透明電極膜14B(第2電極板4B)との間に電圧を可変的に印加することができる。なお、電圧印加手段の電源としては、直流電源および交流電源のいずれを用いてもよい。
第1電極板4Aと、第2電極板4Bとの間には、透光性皮膜で構成されたカプセル6が位置する。カプセル6は、少なくとも、複数の電界配列粒子16と、透光性を有する非極性溶媒18と、アクリル樹脂と、を内包している。
本願発明において、アクリル樹脂は非極性溶媒18に溶解していることが好ましい。アクリル樹脂が非極性溶媒18に溶解しないと、本願発明に係る作用効果を充分に奏することができない。
好ましくは、カプセル6は、第1電極板4Aおよび第2電極板4Bに挟まれることによって、扁平に潰れている。
カプセル6が扁平に潰れていることによって、透明電極板(第1電極板4Aおよび第2電極板4B)に略垂直に入射する光が、カプセル6が球状である場合に比べて、カプセル表面によって乱反射され難くなる。その結果、透過応答電圧の印加時において、透明電極板間の光透過率を向上させることができる。
また、カプセル6が扁平に潰れていることによって、カプセル内部における電界を均一化し、透過応答バラツキを小さくすることができる。換言すれば、カプセル6内部の全領域において、均一に電界配列粒子16を電界配列することができる。
さらに、カプセル6が扁平に潰れることによって、カプセル6が球状の場合に比べて、電界配列粒子16がカプセル下部へ沈降することがなく、電界配列粒子16が凝集することを防止できる。よって、光透過調整装置の光透過調整性能が経時劣化することを防止できる。一般的に、カプセル6の直径が大きくなるほど、電界配列粒子がカプセル下部へ沈降し易くなるが、カプセル6を扁平に潰すことによって、これを防止することができる。
透明電極板間において、カプセル間の隙間には、透光性の電極間樹脂8が充填されている。また、透明電極板間には、スペーサー10が設置してある。
本実施形態においては、電極間樹脂8の比誘電率が、非極性溶媒18の比誘電率より大きい。
電極間樹脂8の比誘電率を、カプセル6内の非極性溶媒18の比誘電率より大きくすることによって、カプセル6内の電界配列粒子16を電界配列させるために必要な透過応答電圧(第1電極板4Aと第2電極板4Bとの間の電圧)を低くすることができる。
電極間樹脂8の比誘電率としては、好ましくは、10〜50程度である。電極間樹脂8としては、透光性を有し、また、透明電極膜14A、14B、カプセル6の透光性皮膜、およびスペーサー10を侵食せず、かつ、上記範囲内の比誘電率を有するもの(非極性溶媒18より比誘電率の大きいもの)を用いる。具体的な電極間樹脂8としては、好ましくは、分子内にシアノエチル基を有する樹脂(高分子化合物)を用いる。より具体的には、信越化学工業社製のシアノレジン等を用いることが好ましい。
非極性溶媒18の比誘電率としては、好ましくは、1.0〜4.0程度である。非極性溶媒18としては、カプセル6の透光性皮膜を侵食せず、上記範囲内の比誘電率を有するもの(電極間樹脂8より比誘電率の小さいもの)を用いる。具体的な非極性溶媒18としては、好ましくは、トルエンまたはベンゼンを含むものを用いる。より好ましくは、非極性溶媒18がトルエンを主成分とする。
なお、好ましくは、非極性溶媒18は、トルエンまたはベンゼンと共に、ジイソプロピルナフタレンを含む。非極性溶媒18にジイソプロピルナフタレンを含有させることによって、カプセル化が容易となる。
電界配列粒子16の材質としては、電界配列効果を有するものであれば特に限定されないが、好ましくは、電界配列粒子16が、TiOまたはBaTiOを含む。より好ましくは、電界配列粒子16がTiO から構成されている。TiOまたはBaTiO を含む粒子は、透明電極板間に電圧を印加することによって、誘電分極し、電界配列することができる。
電界配列粒子16の粒径としては、特に限定されないが、好ましくは、0.001〜0.1μm程度である。
フィルム12A、12Bとしては、可撓性を有するものであれば特に限定されないが、好ましくは、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PAR(ポリアリレート)等を用いる。PETのように、フィルム12A、12Bとして、可撓性を有する素材を用いることによって、透明電極板および光透過調整装置を様々な形状に加工しやすくなる。その結果、光透過装置を様々な用途に応用することができる。
フィルム12Aあるいは12Bの厚さT1は、特に限定されないが、好ましくは、10〜1000μmである。
透明電極膜14A、14Bとしては、特に限定されないが、通常、ITO膜(酸化インジウムスズ膜)を用いる。
透明電極膜14A、14Bの厚さT2は、特に限定されないが、好ましくは、0.1〜10nmである。
カプセル6を構成する透明性皮膜としては、電極間樹脂8および非極性溶媒18に不溶性のものであり、透光性を有するものであれば、特に限定されないが、好ましくは、透明性を有するゼラチンと弾性を有するアラビアゴムとの混合物、あるいはゲル化させたシアノレジンを用いる。
好ましくは、カプセル6が、電界配列粒子16、非極性溶媒18、アクリル樹脂と共に分散剤を内包する。
カプセル6に分散剤を内包させることによって、透明電極板間に電圧が印加されていない状態では、電界配列粒子16が凝集することを防止できる。その結果、透明電極板間に電圧が印加されていない状態では、電界配列粒子16を、透明電極板間に均一に分散させ、透明電極板間を不透明にすることができる。
分散剤としては、特に限定されないが、好ましくは、アニオン系分散剤、界面活性剤等を用いる。
カプセル6が界面活性剤を内包することによって、第1電極板4Aと第2電極板4Bとの間に電圧を印加した際、界面活性剤(の長軸方向)を中心とした円周部26(図2A、2B参照)に沿って、電界集中が起こる。この電界集中が起こった領域において、電界配列粒子16を電界配列させることができる。
好ましくは、複数の電界配列粒子16、非極性溶媒18、アクリル樹脂、および分散剤の総重量に対して、アクリル樹脂の重量の比率が、好ましくは、0.1〜5.0重量%、より好ましくは、0.3〜3.0重量%である。
アクリル樹脂の比率を0.1重量%以上とすることによって、電極板間の電圧印加を止めても、電界配列効果を維持し続けることができる。また、アクリル樹脂の比率を5.0重量%以下とすることによって、透過応答電圧の印加時に、電界配列粒子16を充分に電界配列させることができる。
扁平に潰れたカプセル6の幅W1は、特に限定されないが、好ましくは、50〜3000μm程度である。カプセル6の幅W1をこの範囲内とすることによって、カプセル6を扁平に潰すことによる作用効果を充分に奏することが可能となる。
また、カプセル6とスペーサー10との距離W2は、特に限定されないが、好ましくは、0.1〜10μmである。距離W2が大き過ぎると、スペーサー10によって、透明電極板間におけるカプセル6の位置決めを充分に行えない恐れがある。そこで、距離W2をこの範囲内とすることによって、この不具合を防止することができる。
スペーサー10の材質としては、透明であり、電極間樹脂8に対して不溶性のものであれば特に限定されないが、好ましくは、PET(ポリエチレンテレフタレート)を用いる。
スペーサー10として、PETを用いることによって、光透過調整装置全体に可撓性をもたせることができる。その結果、光透過調整装置を様々な形状に加工し易くなる。
スペーサー10の厚さT3は、特に限定されないが、好ましくは、30〜300μmである。スペーサー10の厚さT3をこの範囲内とすることによって、カプセル6を、透明電極膜14Aおよび14Bに完全に接触させ、カプセル6を扁平に潰すことができる。
なお、スペーサー10の厚さT3は、透明電極板間の距離、電極間樹脂8の厚さ、および扁平に潰れたカプセル6の厚さに等しい。よって、スペーサー10の厚さT3を調整することによって、透明電極板間の距離、電極間樹脂8の厚さ、および扁平に潰れたカプセル6の厚さを容易に、かつ、自在に調整することができる。
スペーサー10の幅W3は、特に限定されなず、カプセル6の大きさ、光透過調整装置全体の寸法等に合わせて、適宜設定すればよい。
電界配列効果
以下では、図1Aおよび図1Bを用いて、光透過調整装置における電界配列効果について説明する。
図1Aに示す光透過調整装置2においては、第1電極板4Aおよび第2電極板4Bの間に一度も電圧が印加されてないため、電界配列粒子16が、第1電極板4Aおよび第2電極板4Bの間において均一に分散する。その結果、透明電極板間が不透明な状態にある。
一方、図1Bに示す光透過調整装置2においては、第1電極板4Aおよび第2電極板4Bの間に透過応答電圧を印加しているため、複数の電界配列粒子16が、電界方向Eに沿って、略直線上に配列し、鎖状体20を形成する。すなわち、電界配列粒子16が電界配列する。また、各鎖状体20は互いに間隔をおいて形成される。すなわち、透明電極板間において、電界方向Eに電界配列粒子16が存在しない隙間22が多数形成される。その結果、電界方向Eにおいては、透明電極板間が透明になる。
次に、図2A、図2Bを用いて、電界配列粒子16の電界配列と、第1電極板4Aと第2電極板4Bとの間の印加電圧(透過応答電圧)の関係について説明する。
図2Aでは、図2Bの場合に比べて、印加電圧が低い。すなわち、第1電極板4Aと第2電極板4Bとの間における電界Eが小さい。この場合において、電界配列粒子16は電界配列するが、印加電圧が高い場合(図2Bの場合)に比べて、各電界配列粒子16の分極率が小さく、電界配列粒子16の配列が不規則となる。また、電界配列によって形成される鎖状体20aと界面活性剤の中心部24との距離dが、印加電圧が高い場合に比べて小さい。また、余分な電界配列粒子16が、界面活性剤の中心部24と鎖状体20aとの間に存在してしまう。
以上のことから、第1電極板4Aと第2電極板4Bとの間における電界Eが小さい場合(図2A)、透明電極板間の光透過率は小さくなる。
一方、 図2Bでは、図2Aの場合に比べて、印加電圧が高い。すなわち、第1電極板4Aと第2電極板4Bとの間における電界Eが大きい。この場合においても、電界配列粒子16は電界配列するが、印加電圧が低い場合(図2Aの場合)に比べて、電界配列粒子16の分極率が高く、電界配列粒子16の配列が規則的である。すなわち、電界配列粒子16は略直線状に配列した鎖状体20bを形成する。また、電界配列によって形成される鎖状体20bと界面活性剤の中心部24との距離dが、印加電圧が低い場合に比べて大きい。さらに、ほとんどの電界配列粒子16が電界配列するため、界面活性剤中心部24と鎖状体20bとの間に存在する余分な電界配列粒子16の数が少なくなる。
以上のことから、第1電極板4Aと第2電極板4Bとの間における電界Eが大きい場合(図2B)、透明電極板間の光透過率は大きくなる。なお、図2Bに示すように、透明電極板間の光透過率が略最大となる場合の印加電圧(透過応答電圧)の高さは、特に限定されないが、好ましくは、25〜250V(電界に換算すると0.25〜2.5KV/mm)程度である。
上述のように、本実施形態においては、第1電極板4Aと第2電極板4Bとの間における印加電圧(電界E)を連続的に調整することによって、透明電極板間の光透過率を自在に、かつ連続的に制御することができる。換言すれば、印加電圧(電界E)を調整することによって、図1Aに示す状態(光透過率が小さい状態)、図2Aに示す状態(光透過率が中程度の状態)、および図1B、2Bに示す状態(光透過率が大きい状態)を連続的に再現することができる。
電界配列効果のメモリ機能
次に、図1A、図1Bを用いて、光透過調整装置2における電界配列効果のメモリ機能について説明する。
本実施形態に係る光透過調整装置2においては、カプセル6に内包された非極性溶媒18にアクリル樹脂を溶解させることによって、非極性溶媒18の極性が微妙に変化し、アクリル樹脂を溶解させない場合に比べて、電界配列粒子16が電界配列する傾向が強まる。その結果、一度透過応答電圧を透明電極板間に印加した後に、透明電極板間に電圧を印加しなくとも、図1Bに示すように、電界配列粒子16が電界配列した状態(電界配列効果)を維持できる。よって、電界配列効果(電極間の光透過率が大きい状態)を維持するために要する消費電力を減少させることができる。
また、非極性溶媒18にアクリル樹脂を溶解させることによって、一度透過応答電圧を透明電極板間に印加した後に、透過応答電圧以下の低電圧を透明電極板間に印加し続けることによって、電界配列粒子16の凝集、沈降を防止することができ、電界配列効果(図1B)を、より確実に維持できる。
すなわち、本実施形態に係る光透過調整装置2は、電界配列効果のメモリ機能を、従来より小さい消費電力で実現することができる。
一度透過応答電圧を透明電極板間に印加した後に、電界配列粒子16の凝集、沈降を防止し、メモリ機能を維持するために要する待機電圧(メモリ機能維持電圧)の高さは、特に限定されないが、好ましくは、0〜30V(電界に換算すると0〜0.3KV/mm)程度である。
なお、本実施形態においては、上述のように、第1電極板4Aと第2電極板4Bとの間における印加電圧(電界E)を連続的に調整することによって、透明電極板間の光透過率を自在に、かつ連続的に制御することができる。また、本実施形態においては、任意の電圧Emを透明電極板間に印加し、光透過率を、最大値と最小値との間である中程度の値(図2Aに対応する光透過率)に設定した後、透明電極板間に電圧を印加しなくとも、光透過率が中程度である状態を維持できる。また、電圧Emを透明電極板間に印加し、光透過率を中程度の値に設定した後、Em以下の低電圧を透明電極板間に印加し続けることによって、電界配列粒子16の凝集、沈降を防止することができ、光透過率が中程度である状態を、より確実に維持できる。
好ましくは、光透過調整装置2が、少なくとも一対の透明電極板(第1電極板4Aおよび第2電極板4B)の間に振動を加えることができる振動手段(図示省略)を有する。
電界配列した状態にある電界配列粒子16(図1B)に対して、振動手段で振動を加えることによって、電界配列粒子16を、図1Aに示すように電極板間に不規則(均一)に分散させることができる。
具体的な振動手段としては、特に限定されないが、例えば、圧電素子等が用いられる。
すなわち、本実施形態に係る光透過調整装置2においては、振動手段によって、電界配列効果のメモリ機能を、自在に解除することができる。
振動手段によってメモリ機能を解除する際に、電極板間に常に所定の電圧が印加され続けている場合は、一時的に不規則(均一)に分散した電界配列粒子16(図1A)を、再度電界配列させることができる(図1B)。また、電極板間に電圧が印加されていない場合は、メモリ機能は解除されたままの状態(図1A)である。
光透過調整装置2の製造方法
次に、図1A、1Bに示す光透過調整装置2の製造方法を説明する。なお、光透過調整装置2の製造方法は、以下に示す方法に限定されない。
なお、上述した光透過調整装置2の概略断面図1A、1Bにおいては、スペーサー10で囲まれた領域内に2つのカプセル6が配置されていたが、スペーサー10で囲まれた領域内に設置されるカプセル6の数量は特に限定されない。以下では、スペーサー10で囲まれた領域内に9つのカプセル6が配置された場合(光透過調整装置2の断面においては3つのカプセル6が配置された場合)における光透過調整装置2の製造方法を説明する。
カプセル6の作製
まず、所定量の電界配列粒子16、非極性溶媒18、アクリル樹脂、および分散剤を秤量する。
次に、これらを混合、攪拌し、カプセル内包物(エマルジョン状態の電界配列粒子16、非極性溶媒18、アクリル樹脂、および分散剤)を得る。
次に、カプセル内包物に対して界面活性剤を所定量添加する。
次に、電解配列粒子16同士が凝集することを防止するために、電界配列粒子16のゼータ電位を調整する。
次に、透光性皮膜でカプセル内包物を内包して、図3Aに示すカプセル6を作製する。カプセル6の作製法としては、特に限定されず、例えば、滴下法(液中硬化法)、界面重合法、in situ重合法等の界面反応法、あるいは、相分離法、液中乾燥法、融解分散冷却法、および噴霧乾燥法等の界面沈積法等が挙げられる。
得られたカプセル6(扁平に潰れる前の球状のカプセル6)の直径は、特に限定されないが、好ましくは、好ましくは、500〜3000μmであることが好ましい(図3A)。
カプセル6の直径を上記範囲内とすることによって、後に、カプセル6を扁平に潰し、カプセル6全体において電界を均一にすることが可能となる。カプセル6の直径が小さいと、複数のカプセル6を透明電極板間に挟んだ際に、カプセル同士が重なり合って凝集し、透明電極板間の光透過率が低下する恐れがある。そこで、カプセル6の直径を上記範囲内とすることによって、この不具合を防止できる。
また、カプセル6の透光性皮膜の厚さは、特に限定されないが、好ましくは、0.5〜5.0μmである。透光性皮膜の厚さが小さ過ぎると、カプセル6の強度が弱くなり、後に、カプセル6を透明電極板間に挟んで扁平に潰す際に、カプセル6が破損する恐れがある。または、透光性皮膜のの厚さが大き過ぎると、透明電極板間における電界が小さくなり、電界配列粒子16の応答性が悪くなる恐れがある。そこで、透光性皮膜の厚さを上記範囲内とすることによって、これらの不具合を防止することができる。
透明電極板の貼り合わせ
次に、図3Aに示すように、第2電極板4Bを準備する。この第2電極板4Bが有する透明電極膜側の表面に接着樹脂層68を形成する。
接着樹脂層68のと材質しては、好ましくは、分子内にシアノエチル基を有する樹脂(高分子化合物)を用いる。具体的には、信越化学工業社製のシアノレジン等を用いることが好ましい。接着樹脂層68は、完成後の光透過調整装置2において電極間樹脂8を形成する。
接着樹脂層68が形成された第2電極板4Bの表面は、スペーサー10によって均等に区画される。このスペーサー10に囲まれた各区画に、複数のカプセル6を等間隔で設置する。
スペーサー10を設置することによって、透明電極板間の間隔を均一にし易くなる。その結果、量産設計もし易くなる。また、透明電極板間にスペーサー10を介在させることによって、透明電極板間に位置するカプセル6を、均一な大きさに潰すことができる。さらには、透明電極板間におけるカプセル6を、スペーサー10に囲まれた所定の領域内に閉じ込め、カプセル6の位置を固定させることができる。その結果、透明電極板間の局所にカプセル6が集中することがなく、それらが重なり合うような不具合を防止することができる。
扁平に潰される前のカプセル間の間隔W4(図3A)は、カプセル6の直径、スペーサー10の厚さ、光透過調整装置2の寸法等に合わせて、適宜設定すればよく、特に限定されない。
また、カプセル6とスペーサー10との距離W5は、カプセル6の直径、スペーサー10の厚さ、光透過調整装置2の寸法等に合わせて、適宜設定すればよく、特に限定されない。
次に、第1電極板4Aを準備する。この第1電極板4Aが有する透明電極膜側の表面に接着樹脂層68を形成する。
次に、プレス板70および72を用いて、第1電極板4Aの表面のうち接着樹脂層68が形成された表面と、第2電極板4Bの表面のうちカプセル6が位置する表面とを、圧着して貼り合わせる。その結果、図3Bに示すように、カプセル6は、第1電極板4Aおよび第2電極板4Bに挟まれて扁平に潰れる。また、圧着前の状態(図3A)における接着樹脂層68は、圧着後(図3B)において電極間樹脂8を形成する。
なお、圧着時の加圧力は、カプセル6の強度に合わせて、適宜設定すればよい。
次に、加圧貼り合わせ後の第1電極板4A、第2電極板4B、カプセル6、電極間樹脂8、およびスペーサー10を適度に乾燥させることによって、図3C(図1A、1B)に示す光透過調整装置2が完成する。
図3Cに示すように、各カプセル6は扁平に潰れ、透明電極板間において、第1電極板4Aおよび第2電極板4Bの面に接するように略平面状に変形している。また、各カプセル6は、スペーサー10で囲まれた内部領域に収まり、互いに重なり合うことなく、透明電極板間に均等に配置されている。
表示装置
本実施形態に係る光透過調整装置2を用いて、図4に示すように表示装置1を形成することができる。図4においては、光透過調整装置2の第2電極板4Bの表面のうち、透明電極膜14Bと接する面とは反対側の表面に、被表示物80が配置されている。被表示物80の表面のうち第2電極板4Bに接する表面上には、表示の対象となる文字、画像等が表示されている。
図4に示す状態においては、光透過調整装置2の透明電極板間(第1電極板4Aと第2電極板4Bとの間)に電圧が印加されていない。よって、第1電極板4Aの側から透明電極板間へ入射した光は、透明電極板間を透過し難く、被表示物80へ届き難い。また、被表示物80によって反射された光も、第1電極板4A側へ透過し難い。つまり、図4の状態においては、第1電極板4Aの側から被表示物80は見え難い。
ここで、図4の透明電極板間に電圧を印加すると、電界配列効果が生じ、第1電極板4Aの側から透明電極板間へ入射した光は、透明電極板間を透過し、被表示物80へ到る。そして、被表示物80によって反射された光は、透明電極板間を透過し、第1電極板4Aに到る。つまり、図4の透明電極板間に電圧を印加した状態においては、第1電極板4A側から被表示物80を見ることができる。
このように、光透過調整装置2を有する表示装置1においては、透明電極板間への印加電圧を調整することにより、被表示物8が見える状態および見えない状態、あるいはその中間状態を繰り返し、再現することができる。
本実施形態に係る光透過調整装置2においては、第1電極板4Aと第2電極板4Bとの間において、カプセル6に内包された非極性溶媒18にアクリル樹脂を溶解させることによって、非極性溶媒18の極性が微妙に変化し、アクリル樹脂を溶解させない場合に比べて、電界配列粒子16が電界配列する傾向が強まる。その結果、一度透過応答電圧を透明電極板間に印加した後に、透明電極板間に電圧を印加しなくとも、電界配列効果(図1B)を維持できる。よって、電界配列効果(電極間の光透過率が大きい状態)を維持するために要する消費電力を減少させることができる。
また、非極性溶媒18にアクリル樹脂を溶解させることによって、一度透過応答電圧を透明電極板間に印加した後に、透過応答電圧以下の低電圧を透明電極板間に印加し続けることによって、電界配列粒子16の凝集、沈降を防止することができ、電界配列効果(図1B)を、より確実に維持できる。
本実施形態においては、カプセル6内の溶媒として非極性溶媒18を用い、かつ、電極間樹脂8の比誘電率を、カプセル内の非極性溶媒18の比誘電率より大きくすることによって、カプセル6内の電界配列粒子16を電界配列させるために必要な印加電圧を低くすることができる。
本実施形態においては、カプセル6が、一対の透明電極板に挟まれて、扁平に潰れることによって、透明電極板の面方向において、カプセル6が球状から略平面状に変形する。その結果、透明電極板に略垂直に入射する光は、カプセル6が球状である場合に比べて、カプセル表面によって乱反射され難くなる。換言すれば、透明電極板に略垂直に入射する光は、カプセル6が球状である場合に比べて、透明電極板間を透過し易くなる。その結果、透過応答電圧の印加時において、透明電極板間の光透過率を向上させることができる。
また、カプセル6が、扁平に潰れることによって、カプセル内部における電界を均一化し、透過応答バラツキを小さくすることができる。
さらに、カプセル6が、一対の透明電極板に挟まれて、扁平に潰れることによって、カプセル6が球状の場合に比べて、電界配列粒子16がカプセル下部へ沈降することを防止でき、かつ、カプセル6が凝集することを防止できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下では、第1実施形態と第2実施形態とに共通する事項については説明を省略し、両実施形態の相違点についてのみ説明する。
図5は、本実施形態に係る光透過調整装置2aを、透明電極板に対して垂直な方向から見た概略図である。図の簡略化のため、図5では、各カプセル6(各画素)のみを表記している。図5に示す透過調整装置2aにおいては、電界配列粒子の色の種類が複数であり、複数のカプセル6のうちの特定のカプセル6a内に内包された電界配列粒子の色が、他のカプセル6b内に内包された電界配列粒子の色と異っていてもよい。例えば、光透過調整装置2aは、少なくとも、着色された電界配列粒子を内包するカプセル6a(画素6a)と、着色されていない電界配列粒子を内包するカプセル6b(画素6b)との2種類の画素を有する。このような光透過調整装置2aにおいては、各カプセル6が各々1つの画素として機能するため、少なくとも透明電極板間に電圧を印加していない状態において、透明電極板間に、着色された画像「T」を表示することができる。また、透明電極板間に電圧を印加した状態においては、透明電極板間に表示されていた画像「T」を消すことが可能である。さらには、印加電圧を連続的に変化させることによって、表示される画像「T」の濃淡を連続的に制御することができる。このように、光透過調整装置2a自体が、文字、画像等の表示装置としても機能することができる。この場合も上述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
なお、図5において、カプセル6の集合体(例えば、格子状のスペーサーで囲まれた各区画内に配置された複数の同色のカプセル)を1つの画素単位としてもよい。また、図5においては、着色された画素6aと、着色されていない画素6bのうち、少なくとも一方だけに光透過調整機能があれば、透明電極板間に画像を表示することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を説明する。なお、以下では、第1実施形態と第3実施形態とに共通する事項については説明を省略し、両実施形態の相違点についてのみ説明する。
図6Aに示すように、本実施形態に係る光透過調整装置2cにおいては、複数の電界配列粒子16、非極性溶媒18、非極性溶媒18に溶解したアクリル樹脂、および分散剤が、カプセルに内包されることなく、一対の透明電極板4A,4Bの間に直接充填され、シール部材11によって密封されている。この場合においても、上述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
すなわち、透明電極板間に充填された非極性溶媒18にアクリル樹脂を溶解させることによって、非極性溶媒18の極性が微妙に変化し、アクリル樹脂を溶解させない場合に比べて、電界配列粒子16が電界配列する傾向が強まる。その結果、一度透過応答電圧を透明電極板間に印加した後に、透明電極板間に電圧を印加しなくとも、電界配列効果(図6B)を維持できる。よって、電界配列効果(電極間の光透過率が大きい状態)を維持するために要する消費電力を減少させることができる。
また、非極性溶媒18にアクリル樹脂を溶解させることによって、一度透過応答電圧を透明電極板間に印加した後に、透過応答電圧以下の低電圧を透明電極板間に印加し続けることによって、電界配列粒子16の凝集、沈降を防止することができ、電界配列効果(図6B)を、より確実に維持できる。
すなわち、本実施形態に係る光透過調整装置2cは、電界配列効果のメモリ機能を、従来より小さい消費電力で実現することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
上述の実施形態では、図3Cに示すように、正方形状のスペーサー10の内側に複数のカプセル6を配置したが、スペーサー10は、一対の透明電極板の面方向に対して、格子状に配置されていることが好ましい。各格子の内側に、単数あるいは複数のカプセル6を配置させることによって、透明電極板間に電界配列粒子6を均一に配置させることができる。その結果、光透過表示装置2における光透過率の斑を防止することができる。この場合も、上述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、上述の実施形態においては、透明電極板(第1電極板4Aおよび第2電極板4B)がそれぞれフィルム12A、フィルム12Bを有したが、フィルム12A、フィルム12Bの代わりに、ガラス板を用いても良い。この場合も、上述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、上述の実施形態においては、第1電極板4Aおよび第2電極板4Bの双方が透明であったが、いずれかの電極板が有色(不透明)であってもよい。あるいは、いずれかの電極板に文字、画像等が直接表示されていてもよい。この場合においても、上述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、図1A、1Bに示す第1電極板4Aの表面のうち、透明電極膜14Aとは反対側の表面に、透光性のカラーフィルターを設置し、第2電極板4Bの側から第1電極板4Aの側へバックライトを照射することによって、図1Aの光透過調整装置2を用いた表示装置を実現することができる。この表示装置の場合、各カラーフィルターを、各カプセル6に対応する位置に設置することによって、カプセル6を一つの画素とするカラー表示装置を形成することができる。この場合も上述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、スペーサー10で囲まれた各区画内に配置された複数のカプセル6を、一つの画素単位としてもよい。
また、図1A、1Bに示す透明電極膜14Aを、縦に走る複数の線状電極14Aとし、透明電極膜14Bを、横に走る複数の線状電極14Bとしてもよい。この場合、各線状電極14Aと各線状電極14Bとが交差する各格子点において、両線電極間に電圧を印加することができる。すなわち、線状電極14Aと線状電極14Bとが交差する各格子点を一つの画素とする表示装置を形成することができる。すなわち、線状電極14Aと線状電極14Bとが交差する各格子点においてのみ、光透過率を調整できる表示装置を実現することができる。この表示装置においては、1本の線状電極14Aと1本の線状電極14Bとの組み合わせが、1つの格子点(画素)に対応する。よって、一組の線状電極14Aおよび線状電極14Bの間おいてのみ電圧を印加することによって、1つの格子点(画素)においてのみ光透過率を制御することができる。
また、本発明に係る光透過調整装置2、および光透過調整装置2を有する表示装置は、上述の実施形態以外にも、他の用途としても使用されることが可能である。
例えば、光透過調整装置2は、防犯機能付き遮光ガラス窓等の防犯装置として使用することができる。この防犯装置において、透明電極板間に低電圧が印加され、透明電極板間の光透過率が小さい状態にあるとき、透明電極板が破壊されると、透明電極板間の電圧が変化する。この電圧変化を検知することによって、透明電極板の破壊(犯罪発生)を検知できる。
光透過調整装置2のその他の用途として、例えば、玩具としての表示装置として用いることができる。また、ガラス窓、床材、壁、ビニールハウス、2重サッシ等の建材として用いることもできる。これらの建材においては、光透過率、あるいは建材の色を自在に調整することができる。また、ブラインド、カーテン、および遮光フィルム等の遮光材として用いることもできる。また、電界配列粒子として酸化チタンを用いた場合、紫外線カット用フィルムとしても用いることができる。また、社員章として用いることもできる。
また、本発明では、光透過調整装置2および表示装置1の製造方法は、特に限定されない。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
図6A,6Bに示す実施例1の光透過調整装置2c(電極板4A,4Bの間に、アクリル樹脂を有する光透過調整装置2c)を作製した。この光透過調整装置2cの電極板間に、透過応答電圧125V(電界:1.25KV/mm)を印加して、電極板間の光透過率を最大とした。次に、電極板間に印加する電圧をゼロし、電極板間の光透過率が最大である状態が維持されるか否か(メモリ機能の有無)を調べた。結果を表1に示す。
なお、電極板間に印加する電圧をゼロしてから、電極板間の光透過率が最大である状態が600秒以上維持された場合、表1において、「メモリ機能有り」とした。また、光透過率が最大である状態を維持できた時間が600秒未満であった場合、表1において、「メモリ機能無し」とした。
Figure 2008107740
実施例2
実施例1と同様の光透過調整装置2cの電極板間に、電圧50V(電界:0.05KV/mm)を印加して、電極板間の光透過率が最小値と最大値との中間である状態を実現した。次に、電極板間に印加する電圧をゼロし、電極板間の光透過率が中間である状態が維持されるか否かを調べた。結果を表1に示す。
なお、電極板間に印加する電圧をゼロしてから、電極板間の光透過率が中間である状態が600秒以上維持された場合、表1において、「メモリ機能有り」とした。また、光透過率が中間である状態を維持できた時間が600秒未満であった場合、表1において、「メモリ機能無し」とした。
比較例1
電極板4A,4Bの間にアクリル樹脂を有さないこと以外は、実施例1と同様の光透過装置2dを作製した。次に、実施例1と同様の方法で、メモリ機能の有無)を調べた。結果を表1に示す。
評価
表1に示すように、実施例1、2においては、光透過調整装置2cが電極板間にアクリル樹脂を有する結果、いずれの光透過率の場合であっても、光透過装置2cがメモリ機能を有することが確認された。
一方、比較例1においては、光透過調整装置2dが電極板間にアクリル樹脂を有さない結果、光透過装置2dがメモリ機能を有さないことが確認された。
図1Aは、本発明の第1実施形態に係る光透過調整装置を示す図であって、光透過調整装置を透明電極板に対して垂直方向に切断した要部断面図である。 図1Bは、本発明の第1実施形態に係る光透過調整装置を示す図であって、光透過調整装置を透明電極板に対して垂直方向に切断した要部断面図である。 図2Aは、本発明の第1実施形態に係る光透過調整装置において、電界配列粒子が電界配列している状態を示す概略図である。 図2Bは、本発明の第1実施形態に係る光透過調整装置において、電界配列粒子が電界配列している状態を示す概略図である。 図3Aは、本願発明の第1実施形態に係る光透過調整装置の有するカプセルを、一対の透明電極板で挟む工程(加圧貼り合わせ工程)を示す概略図である。 図3Bは、本願発明の第1実施形態に係る光透過調整装置の有するカプセルを、一対の透明電極板で挟む工程(貼り合わせ工程)を示す概略図である。 図3Cは、本願発明の第1実施形態に係る光透過調整装置の有するカプセルを、一対の透明電極板で挟む工程(貼り合わせ工程)を示す概略図である。 図4は、本願発明の第1実施形態に係る表示装置を示す図であって、表示装置を透明電極板に対して垂直方向に切断した概略断面図である。 図5は、本願発明の第2実施形態に係る光透過調整装置(兼、表示装置)を示す概略図である。 図6Aは、本発明の第3実施形態に係る光透過調整装置を示す図であって、光透過調整装置を透明電極板に対して垂直方向に切断した要部断面図である。 図6Bは、本発明の第3実施形態に係る光透過調整装置を示す図であって、光透過調整装置を透明電極板に対して垂直方向に切断した要部断面図である。
符号の説明
1… 表示装置
2… 光透過調整装置
4A… 第1電極板(透明電極板)
4B… 第2電極板(透明電極板)
6… カプセル
8… 電極間樹脂
16… 電界配列粒子
18… 非極性溶媒
58… 透光性皮膜

Claims (12)

  1. 少なくとも一方が透明な対向する一対の電極板を有し、
    前記一対の電極板の間に、少なくとも、複数の電界配列粒子と、透光性を有する非極性溶媒と、アクリル樹脂と、を有する光透過調整装置。
  2. 前記一対の電極板の間に電圧を印加した状態において、前記複数の電界配列粒子が、電界方向に沿って配列することを特徴とする請求項1に記載の光透過調整装置。
  3. 前記一対の電極板の間に、さらに分散剤を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光透過調整装置。
  4. 前記電界配列粒子、前記非極性溶媒、前記アクリル樹脂、および前記分散剤の総重量に対して、前記アクリル樹脂の重量の比率が、0.1〜5.0重量%であることを特徴とする請求項3に記載の光透過調整装置。
  5. 前記一対の電極板の間に電圧を印加し、かつ、前記電圧を自在に変化させることができる電圧印加手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光透過調整装置。
  6. 少なくとも前記一対の電極板の間に振動を加えることができる振動手段を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光透過調整装置。
  7. 前記一対の電極板の間に位置し、透光性皮膜からなるカプセルと、
    前記一対の電極板の間において前記カプセル間の隙間に充填される透光性の電極間樹脂と、を有し、
    前記カプセルが、少なくとも、前記複数の電界配列粒子と、前記非極性溶媒と、前記アクリル樹脂と、を内包することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光透過調整装置。
  8. 前記電極間樹脂の比誘電率が、前記非極性溶媒の比誘電率より大きいことを特徴とする請求項7に記載の光透過調整装置。
  9. 前記電極板が、可撓性を有するフィルムと、透明電極膜と、を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光透過調整装置。
  10. 前記電極板が、ガラス板と、透明電極膜と、を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光透過調整装置。
  11. 前記電界配列粒子が、TiOまたはBaTiOを含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の光透過調整装置。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の光透過調整装置を有する表示装置。
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