以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
(実施の形態1)
第1群の本発明に係る表示装置の好適な実施の形態を、以下の実施の形態1において説明する。
(実施の形態1−1)
本発明の実施の形態1−1に係る表示装置はいわゆるパッシブマトリクス方式のものである。図3は、本発明の実施の形態1−1に係る表示装置の構成を示すブロック図である。図3に示すように、本実施の形態の表示装置100は、マトリクス状に配置された画素15を有する表示部14を備えている。各画素15は、後述するように第1電極および第2電極を備えており、これらの第1電極および第2電極はそれぞれ第1電極ドライバ12および第2電極ドライバ13によって駆動される。そして、これらの第1電極ドライバ12および第2電極ドライバ13の動作は制御部11によって制御されるように構成されている。なお、図3では省略されているが、表示部14において、複数の第1電極が行方向に配設されており、複数の第2電極が列方向に配設されている。
図4Aは、白表示を行っている場合の本発明の実施の形態1−1に係る表示装置が備える表示部14の主要な構成を示す透視的な平面図であり、図4Bは、図4AのA-A線における断面図である。また、図5Aは、黒表示を行っている場合の本発明の実施の形態1−1に係る表示装置が備える表示部14の主要な構成を示す透視的な平面図であり、図5Bは、図5AのB-B線における断面図である。なお、説明の便宜上、図中のX方向、Y方向をそれぞれ表示部14の横方向、縦方向とし、Z方向を表示部14の上方向とする。
図4A乃至図5Bに示すように、表示部14は、2枚の基板、すなわち上側基板1と下側基板2とを備えている。これらの上側基板1および下側基板2は、厚さ0.1mm乃至0.5mm程度の透明樹脂製のフィルムで構成されている。なお、いわゆる電子ペーパーと呼ばれるような折り曲げ可能な表示装置を実現するためには、上側基板1および下側基板2の厚さが0.1mm乃至0.2mm程度であることが好ましい。
上側基板1および下側基板2は、スペーサ(図示せず)を介して対向して配置されており、これらの上側基板1と下側基板2との間に形成された空気層7には正に帯電させた複数の着色粒子6が充填されている。この着色粒子6は、アクリル粒子、ブラックカーボンなどから合成された球状の黒色粒子であり、その粒径は1μm乃至10μm程度である。なお、着色粒子6が凝集するのを防止するため、着色粒子6の粒径は均一であることが好ましい。
また、着色粒子6は、比重が小さく流動性に優れているものが好ましい。そのための具体的な構造を作製するために、直径5μmの真球状アクリル粒子の表層全面に、直径30nmの真球状シリカ微粒子をメカノケミカルなどの方法により固定化処理する。ここでシリカ微粒子は帯電処理を施したものを使用し、着色粒子6全体として帯電性を有するものとした。比重をさらに小さくするためには、アクリル粒子は中空状または多孔質のものがより望ましい。このような構造により、粒子の流動性は向上するため、粒子が移動するときの摩擦抵抗が小さくなり、かつ、粒子の移動に必要な運動エネルギーが小さくなる。したがって、応答速度が高速になるとともに低電圧での駆動が可能となる。
前述したスペーサによって維持されている空気層7のギャップGは100μm程度である。そして、着色粒子6の充填率は、空気層7に対して、体積換算で10%乃至30%程度としている。着色粒子6を空気層7に充填した後、上側基板1および下側基板2の周縁部はエポキシ系の接着剤などによって気密封止される。
上側基板1の下面には、複数の櫛歯部3aを有する櫛状の第1電極3と、第1電極3の隣り合う櫛歯部3a、3aに囲まれるようにして画素ごとに設けられた矩形状の第2電極4とがそれぞれ形成されている。第2電極4はITO(Indium Tin Oxide)などで構成された透明導電体である。ここで、第1電極3の櫛歯部3aの幅L1は10μm、第2電極4の幅L2は50μmとしている。また、第1電極3の櫛歯部3aと第2電極4との間の距離W1は5μmとしている。なお、第1電極3は表示部14の横方向に連結されており、第2電極4は図示しない配線によって表示部14の縦方向に電気的に接続されている。
下側基板2の上面には、上側から入射する光を反射するための反射層5が形成されている。この反射層5は、TiO2(チタニア)、Al2O3(アルミナ)などから構成される白色層である。
以上のように構成された本実施の形態に係る表示装置の動作について、図3乃至図5Bを参照しながら説明する。表示装置100では、制御部11が、外部の装置から入力される画像信号に応じて、第1電極ドライバ12および第2電極ドライバ13に対して制御信号をそれぞれ出力する。その結果、第1電極ドライバ12が第1電極3に対して所定の電圧を印加し、一方第2電極ドライバ13がそのタイミングに合わせて画像信号に応じた電圧を各画素15に形成されている第2電極4に印加する。これにより、各画素15の着色粒子6が後述するように移動し、反射層5によって反射される光の透過率が変化する。その結果、観察者の目に画像信号に対応する画像が映る。
画素15における白色表示は次のようにして実現される。制御部11から出力された制御信号に応じて、第1電極ドライバ12は第1電極3に負の電圧を、第2電極ドライバ13は第2電極4に正の電圧をそれぞれ印加する。前述したように着色粒子6は正に帯電させてあるので、この場合では、図4Aおよび図4Bに示すように、着色粒子6は第1電極3上に引き寄せられて付着する。ここで第2電極4は前述したように透明導電体で構成されているため、下側基板2の上面に形成されている反射層5の白色が観察されることになる。
一方、画素15における黒色表示は次のように実現される。制御部11から出力された制御信号に応じて、第1電極ドライバ12は第1電極3に正の電圧を、第2電極ドライバ13は第2電極4に負の電圧をそれぞれ印加する。この場合、図5Aおよび図5Bに示すように、正に帯電された着色粒子6は第2電極4上に引き寄せられて付着する。その結果、黒色の着色粒子6が観察されることになる。
以上のように、表示に利用する粒子は同一の極性に帯電するものしか存在しないため、従来のように異なる極性に帯電する2種類の粒子を用いる場合と比べて、粒子が電極に移動するときの障壁が少なくなる。そのため、粒子を移動させるための電圧、すなわち駆動電圧を低くすることができる。また、白色から黒色へ、または黒色から白色へ表示するために要する時間の短縮化を図ることができる。
従来のように第1電極および第2電極が異なる基板に形成されるいわゆる縦電界方式の場合、十分な黒表示を実現するためには300V以上の電圧が必要であった。これに対して、本実施の形態の構成において第1電極3の櫛歯部3aと第2電極4との間の距離w1が20乃至50μmの場合では80乃至120Vの駆動電圧で十分な黒表示を実現することができる。
(実施の形態1−2)
実施の形態1−2に係る表示装置は、第1電極と第2電極とを互いに異なる基板に形成して構成されたものである。
図6Aは、白表示を行っている場合の本発明の実施の形態1−2に係る表示装置が備える表示部14の主要な構成を示す透視的な平面図であり、図6Bは、図6AのC-C線における断面図である。また、図7Aは、黒表示を行っている場合の本発明の実施の形態1−2に係る表示装置が備える表示部14の主要な構成を示す透視的な平面図であり、図7Bは、図7AのD-D線における断面図である。
図6A乃至図7Bに示すように、本実施の形態に係る表示装置が備える表示部14において、実施の形態1−1の場合と同様に上側基板1の下面には複数の櫛歯部3aを有する櫛状の第1電極3が形成されている。一方、下側基板2の上面に形成された反射層5上には、画素ごとに設けられた矩形状の第2電極4が形成されている。この第2電極4は、平面視で第1電極3の隣り合う櫛歯部3a、3aに囲まれるように配置されている。なお、本実施の形態に係る表示装置のその他の構成については実施の形態1−1の場合と同様であるので説明を省略する。
以上のように構成された本実施の形態に係る表示装置では、実施の形態1−1の場合と同様に、第1電極3に負の電圧を、第2電極4に正の電圧をそれぞれ印加して着色粒子6を第1電極3上に引き寄せて付着させることにより白色表示を実現する(図6A及び図6B参照)。一方、第1電極3に正の電圧を、第2電極4に負の電圧をそれぞれ印加して着色粒子6を第2電極4上に引き寄せて付着させることにより黒色表示を実現する(図7A及び図7B参照)。
ここで、実施の形態1−1の場合と異なるのは、第1電極3と第2電極4との間を移動するときに着色粒子6が上側基板1と下側基板2との間を移動する点にある。すなわち、本実施の形態では着色粒子6が空気層7のギャップG分移動しなければならない。一方、実施の形態1−1の場合では上側基板1に形成された第1電極3と第2電極4との間を着色粒子6が移動する。ここで、空気層7のギャップGは100μmであり、第1電極3の櫛歯部3aと第2電極4との間は5μmである。したがって、第1電極3と第2電極4との間に同じ電位差を与えた場合に発生する電界強度は、本実施の形態では実施の形態1−1の場合の20倍となる。
着色粒子6を移動させるために必要な駆動電圧は第1電極3と第2電極4との間に発生する電界強度に依存する。そのため、駆動電圧の低減化という観点からは本実施の形態よりも実施の形態1−1の場合の方が望ましい。しかし、実施の形態1−1の場合では第1電極3と第2電極4との間の距離が小さいために電極間の電気的短絡が発生しやすいという課題がある。これに対して本実施の形態の場合は第1電極3と第2電極4との間の距離が大きいためにそのような電気的短絡が発生する確率を抑えることができるという利点がある。
(実施の形態1−3)
実施の形態1−3に係る表示装置は、基板に対して垂直な方向に窪むような凹状に第1電極を形成して構成されたものである。
図8Aは、白表示を行っている場合の本発明の実施の形態1−3に係る表示装置が備える表示部14の主要な構成を示す透視的な平面図であり、図8Bは、図8AのE-E線における断面図である。また、図9Aは、黒表示を行っている場合の本発明の実施の形態1−3に係る表示装置が備える表示部14の主要な構成を示す透視的な平面図であり、図9Bは、図8AのF-F線における断面図である。
図8A乃至図9Bに示すように、本実施の形態に係る表示装置が備える表示部14において、実施の形態1−1の場合と同様に上側基板1の下面には複数の櫛歯部3aを有する櫛状の第1電極3と、第1電極3の隣り合う櫛歯部3a、3aに囲まれるようにして画素ごとに設けられた矩形状の第2電極4とがそれぞれ形成されている。ここで、上側基板1の第1電極3の櫛歯部3aが形成される領域には、表示部14の縦方向の溝1aがエンボス加工、プレス加工などの公知の方法により設けられている。このようにして設けられている上側基板1の溝1aに沿って第1電極3の櫛歯部3aが形成されている。そのため、この第1電極3の櫛歯部3aは、上側基板1に対して垂直な方向に窪むような凹状に形成される。
なお、本実施の形態に係る表示装置のその他の構成については実施の形態1−1の場合と同様であるので説明を省略する。
以上のように構成された本実施の形態に係る表示装置では、実施の形態1−1の場合と同様に、第1電極3に負の電圧を、第2電極4に正の電圧をそれぞれ印加して着色粒子6を第1電極3上に引き寄せて付着させることにより白色表示を実現する(図8A及び図8B参照)。一方、第1電極3に正の電圧を、第2電極4に負の電圧をそれぞれ印加して着色粒子6を第2電極4上に引き寄せて付着させることにより黒色表示を実現する(図9A及び図9B参照)。
本実施の形態の場合、第1電極3の櫛歯部3aは上側基板1に対して垂直な方向に窪むような凹状に形成されている。そのため、実施の形態1の場合と比べて第1電極3の表面積を大きくすることができるので、より多くの着色粒子6を第1電極3に付着させることが可能となる。したがって、実施の形態1−1の場合より着色粒子6の数を多くしても白色表示のときの表示面積を維持することができる。このように着色粒子6の数を多くした場合、黒色表示のときに第2電極4に付着する着色粒子6の数が多くなることになるため、良好な表示を実現することができる。
以上のように、白表示の品質を維持した上で黒表示の品質を向上させることができるので、本実施の形態の表示装置では、実施の形態1−1の場合と比べてコントラストを向上させることができる。
なお、本実施の形態では上側基板1に直接溝を形成しているが、たとえば上側基板1の仮面に感光性樹脂を設け、その感光性樹脂に凹状のパターンを形成するようにしてもよい。感光性樹脂は基板と比べて加工が容易であるため、このように構成することによって、より複雑な形状を得ることができる。
(実施の形態1−4)
実施の形態1−3に係る表示装置では、基板に対して垂直な方向に窪むような凹状に第1電極を形成していた。これに対して実施の形態1−4に係る表示装置は、基板に対して垂直な方向に突起するような凸状に第1電極を形成して構成されたものである。
図10Aは、白表示を行っている場合の本発明の実施の形態1−4に係る表示装置が備える表示部14の主要な構成を模式的に示す断面図であり、図10Bは、黒表示を行っている場合の本発明の実施の形態1−4に係る表示装置が備える表示部14の主要な構成を模式的に示す断面図であり、
図10A及び図10Bに示すように、本実施の形態に係る表示装置が備える表示部14において、実施の形態1−1の場合と同様に上側基板1の下面には複数の櫛歯部3aを有する櫛状の第1電極3と、第1電極3の隣り合う櫛歯部3a、3aに囲まれるようにして画素ごとに設けられた矩形状の第2電極4とがそれぞれ形成されている。ここで、上側基板1の第1電極3の櫛歯部3aが形成される領域には、上側基板1に対して垂直な方向に突起する凸部1bがエンボス加工、プレス加工などの公知の方法により表示部14の縦方向に設けられている。このようにして設けられている上側基板1の凸部1bに沿って第1電極3の櫛歯部3aが形成されている。そのため、この第1電極3の櫛歯部3aは、上側基板1に対して垂直な方向に突起するような凸状に形成される。
なお、本実施の形態に係る表示装置のその他の構成については実施の形態1の場合と同様であるので説明を省略する。
以上のように構成された本実施の形態に係る表示装置では、実施の形態1−1の場合と同様に、第1電極3に負の電圧を、第2電極4に正の電圧をそれぞれ印加して着色粒子6を第1電極3上に引き寄せて付着させることにより白色表示を実現する(図10A参照)。一方、第1電極3に正の電圧を、第2電極4に負の電圧をそれぞれ印加して着色粒子6を第2電極4上に引き寄せて付着させることにより黒色表示を実現する(図10B参照)。
本実施の形態の場合、第1電極3の櫛歯部3aは上側基板1に対して垂直な方向に突起するような凸状に形成されている。そのため、実施の形態1−1の場合と比べて第1電極3の表面積を大きくすることができる。したがって、実施の形態1−3の場合と同様にしてコントラストを向上させることができる。
また、このように第1電極3の櫛歯部3aは上側基板1に対して垂直な方向に突起するような凸状に形成されている場合、実施の形態1のように第1電極3の櫛歯部3aが平らな形状で形成されているのと比べて、第1電極3および第2電極4に電圧が印加されたときの電界強度が大きくなる。したがって、実施の形態1の場合と同じ電圧が第1電極3および第2電極4に印加された場合には、本実施の形態の方が着色粒子6を確実に電極に付着させることができるため、コントラストを向上させるために適した構成であるといえる。一方、実施の形態1の場合と同様のコントラストを得るためにはより低い駆動電圧で足りることになるため、駆動電圧の低減化を図ることもできる。
なお、本実施の形態では上側基板1に直接凸部を形成しているが、実施の形態1−3で説明した場合と同様に、たとえば上側基板1の下面に感光性樹脂を設け、その感光性樹脂に凸状のパターンを形成するようにしてもよい。感光性樹脂は基板と比べて加工が容易であるため、このように構成することによって、より複雑な形状を得ることができる。
(実施の形態1−5)
実施の形態1−5に係る表示装置は、基板に対して垂直な方向に窪むような凹状に第1電極を形成し、この第1電極にギャップを保持するスペーサおよび粒子の移動を制限するための障壁として機能させるように構成されたものである。
図11Aは、白表示を行っている場合の本発明の実施の形態1−5に係る表示装置が備える表示部14の主要な構成を模式的に示す断面図であり、図11Bは黒表示を行っている場合の本発明の実施の形態1−5に係る表示装置が備える表示部14の主要な構成を模式的に示す断面図である。
図11A及び図11Bに示すように、本実施の形態に係る表示装置が備える表示部14において、実施の形態1−1の場合と同様に上側基板1の下面には複数の櫛歯部3aを有する櫛状の第1電極3と、第1電極3の隣り合う櫛歯部3a、3aに囲まれるようにして画素ごとに設けられた矩形状の第2電極4とがそれぞれ形成されている。ここで、上側基板1の第1電極3の櫛歯部3aが形成される領域には、上側基板1に対して垂直な方向に突起する凸部1bがエンボス加工、プレス加工などの公知の方法により表示部14の縦方向に設けられている。この凸部1bは、表示部14の下方向に向かうにしたがって狭くなるテーパ形状をなしている。
前述した上側基板1に設けられた凸部1bは、上側基板1と下側基板2とを対向させて配置させるときのスペーサの役割を果たす。すなわち、凸部1bは空気層7のギャップを保持するように構成されている。また、この凸部1bは、着色粒子6が空気層7内を自由に移動することを制限するための障壁ともなる。
このようにして設けられている上側基板1の凸部1bに沿って第1電極3の櫛歯部3aが形成されている。そのため、この第1電極3の櫛歯部3aは、上側基板1に対して垂直な方向に突起するような凸状に形成される。なお、凸部1bの先端部分、すなわち下側基板2上に形成された反射層5と接している部分には電極を形成する必要はない(図11A及び図11B参照)。本明細書においては、この先端部分に電極が形成されていると否とにかかわらず、第1電極3の櫛歯部3aが上側基板1に対して垂直な方向に突起するような凸状に形成されていると表現する。
なお、本実施の形態に係る表示装置のその他の構成については実施の形態1−1の場合と同様であるので説明を省略する。
以上のように構成された本実施の形態に係る表示装置では、実施の形態1−1の場合と同様に、第1電極3に負の電圧を、第2電極4に正の電圧をそれぞれ印加して着色粒子6を第1電極3上に引き寄せて付着させることにより白色表示を実現する(図11A参照)。一方、第1電極3に正の電圧を、第2電極4に負の電圧をそれぞれ印加して着色粒子6を第2電極4上に引き寄せて付着させることにより黒色表示を実現する(図11B参照)。
このように着色粒子6は第1電極3と第2電極4との間を移動するが、その移動は、第1電極3の櫛歯部3aおよび上側基板1の凸部1bによって規制される。そのため、一画素に内包される着色粒子6の量を一定に保つことができる。また、表示部4をある方向に傾けたために特定部分に着色粒子6が凝集するのを防止することができる。これにより、表示ムラの発生を防止することができるので、良好な画像表示を実現することができる。
本実施の形態の場合、第1電極3の櫛歯部3aおよび上側基板1の凸部1bがスペーサの役割を果たすので別にスペーサを設ける必要がない。また、着色粒子6の移動を制限するための障壁としての役割も果たすため、そのような障壁を別途設ける必要もない。したがって、製造コストの低減化を図ることができる。
また、本実施の形態では、上側基板1の凸部1bが前述したようなテーパ形状をなしている。この場合、このようなテーパ形状でない場合と比べて、第1電極3の櫛歯部3aの表面積を大きくすることができる。したがって、実施の形態1−3の場合と同様にしてコントラストを向上させることができる。
(実施の形態1−6)
実施の形態1−6に係る表示装置は、第1電極の櫛歯部を1画素内に複数設けるように構成されたものである。
図12Aは、本発明の実施の形態1−6に係る表示装置が備える表示部14の主要な構成を示す透視的な平面図であり、図12Bは、図12AのG-G線における断面図である。なお、便宜上、図12A及び図12Bにおいては着色粒子を省略している。
図12A及び図12Bに示すように、本実施の形態に係る表示装置が備える表示部14において、上側基板1の下面には、マトリクス状に配置されている画素に沿って格子状に配置されたブラックマトリックス9を有するブラックマトリックス層10が形成されている。ここでブラックマトリックス9はCr(クロム)などの黒色または透明の導電体で構成されている。このブラックマトリックス9は図示しない電圧印加手段に接続されており、後述する第1電極3および第2電極4とは独立して電圧が印加されるように構成されている。
ブラックマトリックス層10の下面には、1画素内に複数の櫛歯部3aを有する櫛状の第1電極3と同じく複数の櫛歯部4aを有する櫛状の第2電極4とが形成されている。第1電極3および第2電極4はITOなどで構成された透明電極である。これらの第1電極3および第2電極4は、櫛歯部3aと櫛歯部4aとが噛み合うように対向して配置されている。
第1電極3の櫛歯部3aの幅L3および第2電極4の櫛歯部4aの幅L4が3μm乃至5μm程度で、これらの櫛歯部3aと櫛歯部4aとの間の距離W2も3μm乃至5μm程度であることが好ましい。このように構成することによって、周辺電界効果により、電極の位置にかかわらず比較的均一で且つ強い電界強度分布を得ることができるためである。なお、本実施の形態では、第1電極3の櫛歯部3aの幅L3、第2電極4の櫛歯部4aの幅L4、および櫛歯部3aと櫛歯部4aとの間の距離W2の何れも4μm程度としている。
なお、本実施の形態に係る表示装置のその他の構成については実施の形態1−1の場合と同様であるので説明を省略する。
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る表示装置の動作について説明する。図13Aは、白表示を行っている場合の本発明の実施の形態1−6に係る表示装置が備える表示部14の主要な構成を示す透視的な平面図であり、図13Bは、図13AのH-H線における断面図である。また、図14Aは、中間調表示を行っている場合の本発明の実施の形態1−6に係る表示装置が備える表示部14の主要な構成を示す透視的な平面図であり、図14Bは、図14AのI-I線における断面図である。さらに、図15Aは、黒表示を行っている場合の本発明の実施の形態1−6に係る表示装置が備える表示部14の主要な構成を示す透視的な平面図であり、図15Bは、図15AのJ-J線における断面図である。
本実施の形態の表示装置において白色表示を行う場合、第1電極3および第2電極4に正の電圧を、ブラックマトリックス9に負の電圧をそれぞれ印加する。これにより着色粒子6はブラックマトリックス9上に引き寄せられて付着する(図13A及び図13B参照)。ここで第1電極3および第2電極4は前述したように透明導電体で構成されているため、下側基板2の上面に形成されている反射層5の白色が観察されることになる。
また、中間色表示を行う場合、第1電極3およびブラックマトリックス9に正の電圧を、第2電極4に負の電圧をそれぞれ印加する。これにより着色粒子6は第1電極3およびブラックマトリックス9上に引き寄せられて付着する(図14A及び図14B参照)。この場合、図14Aに示すように、着色粒子6が画素内で適当に分散されて静止することになる。したがって、中間色が観察されることになる。
さらに、黒色表示を行う場合、第1電極3および第2電極4に負の電圧を、ブラックマトリックス9に正の電圧をそれぞれ印加する。これにより着色粒子6は第1電極3および第2電極4上に引き寄せられて付着する(図15A及び図15B参照)。その結果、黒色の着色粒子6が多く観察されることになるため黒色表示を実現することができる。
前述したようにして第1電極3および第2電極4に所定の電圧を印加する場合、その印加の初期段階では第1電極3および第2電極4に対して正負の電圧を交互に印加する。これにより、画素の中央部に偏りなく着色粒子6が分散されることになるため、ブラックマトリックス9の近傍に着色粒子6が凝集するのを防止することができる。その結果、画素全体にわたって均一でムラのない良好な表示を実現することができる。
(第1群の本発明に係る表示装置におけるその他の実施の形態)
以上で説明したとおり、実施の形態1−1から実施の形態1−6までの表示装置は、パッシブマトリクス駆動の表示装置である。電気泳動表示装置のように液相中を粒子が移動する方式の表示装置の場合は、粒子の駆動に必要な閾値電圧が存在しないため、クロストークが発生し易いパッシブマトリクス駆動を適用することはできない。これに対して実施の形態1−1から実施の形態1−6までの表示装置のように気相中を粒子が移動する方式の表示装置の場合は、粒子の駆動に必要な閾値電圧が存在するため、パッシブマトリクス駆動による画像表示を行うことが可能である。
ただし、走査電極が数百本以上も必要となるような比較的大きな表示パネルを用いて高品位な画像表示を行うためには、画素ごとにアクティブ素子を備え、そのアクティブ素子をオン/オフ制御することにより画素ごとに電極に対して電圧を印加できるようなアクティブマトリクス駆動により画像表示を行うことが好ましい。この場合、アクティブ素子として有機材料を用いて印刷などによって形成される有機TFT(Thin Film Transistor)を採用し、しかもその有機TFTを樹脂製の基板上に形成することとすれば、フレキシブルさが損なわれることがない。
以上で説明した実施の形態1―1から実施の形態1−6までの表示装置ではカラー表示を行うことはできないが、光の三原色(赤、緑、青)のカラーフィルタなどを備えることによってカラー表示を実現することができることは言うまでもない。
(実施の形態2)
次に、第2群の本発明に係る表示装置の好適な実施の形態を、以下の実施の形態2において説明する。
(実施の形態2−1)
図16は、本発明の実施の形態2−1に係る表示装置の構成を示す模式図である。また、図17Aは、画像表示媒体270を構成する画素200の構成を示す透視的な平面図であり、図17Bは、図17AのK-K線における模式的な断面図である。
図16に示すように、表示装置は、表示部が画像表示媒体270から構成される。画像表示媒体270は、図17A及び図17Bに示すように、アクティブマトリクス基板(以下、TFTアレイ基板と呼ぶ)211と、該TFTアレイ基板211と対向するように配置された対向基板210とを有し、該TFTアレイ基板211と対向基板210との間に形成された空間209に、正に帯電した黒色粒子206が封入されて構成されている。TFTアレイ基板211の表面には、第1の電極203及び第2の電極204が配設されている。
図16乃至図17Bを参照すると、TFTアレイ基板211には、平面視において互いに直交する複数のソース線SL及びゲート線GLが配設されており、該ゲート線GL及びソース線SLで区画された領域が一画素200を構成している。このような画素200がマトリクス状に複数形成されて画像表示媒体270が形成されている。例えば、本実施の形態の表示装置は、高精細が要求されるモバイル用の表示装置であるため、230dpiの精細度を有し、画素ピッチが110μmである。そして、図示を省略しているが、TFTアレイ基板211には、画素100毎にスイッチング素子として、周知の薄膜トランジスタ(TFT)が配設されている。該TFTのドレイン領域には、TFTアレイ基板11側の第1の電極203が接続されている。このように、本実施の形態の表示装置は、画素200毎にTFTが形成されたアクティブ駆動型である。
画像表示媒体270の周囲部には、ソース線SLを駆動させるためのソースドライバ281が配設されるとともに、ゲート線GLを駆動させるためのゲートドライバ282が配設されている。さらに、該ソースドライバ281及びゲートドライバ282を外部から入力される画像信号に応じて制御する制御部280が配設されている。このように構成された表示装置では、制御部280が、外部から信号入力部283に入力された画像信号に応じて、ゲートドライバ282及びソースドライバ281にそれぞれ制御信号を出力する。すると、ゲートドライバ282がゲート線GLにゲート信号を出力して各画素200のスイッチング素子(TFT)を順次オンさせ、一方、ソースドライバ281が、それにタイミングを合わせてソース線SLを通じて映像信号を各画素100に順次入力する。それにより、後述するように、各画素200において、TFTアレイ基板11と対向基板210との間の空間209を、黒色粒子206が移動する。その結果、表示装置を観察する人の目に、映像信号に対応する映像が映る。
次に、図16の画像表示媒体270の構成を、図17A及び図17Bを参照しながら説明する。
図17Bに示すように、画素200は、TFTアレイ基板211と対向基板210との間の空間209に黒色粒子206が封入されている。
TFTアレイ基板211は、厚さ0.5mm以下、例えば0.1〜0.2mmの樹脂からなるフレキシブルな第1の基板202を有する。第1の基板202は、透明であっても不透明であってもよいが、ここでは透明樹脂で構成されている。図示を省略しているが、この第1の基板202上に、ゲート線が配設されるとともに、このゲート線と平面視において直交するソース線が、絶縁層によりゲート線と絶縁された状態で配設されている。このゲート線とソース線とで囲まれた領域が1つの画素領域である。そして、ゲート線とソース線との交差部には、スイッチング素子としてTFTが形成されている。TFTは、第1の基板202上に形成されたゲート電極と、このゲート電極上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜及び第1の基板2上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、チャネル領域を形成するための有機半導体層とを含んで構成される。TFTは、有機材料を用いて印刷等によって形成されるが、TFTが形成されたことによりTFTアレイ基板11のフレキシブル性が損なわれるものではない。TFTのゲート電極には、前述のゲート線が接続され、TFTのソース電極には、前述のソース線が接続されている。ここでは、ソース線、ゲート線、TFT、及びこれらを絶縁する絶縁層をまとめて、配線層215として図示している。
TFTアレイ基板211では、配線層215の上に、樹脂からなる凹凸層207が配設されている。凹凸層207では、断面が三角形状で画素の長手方向に延びる凸部207aが、所定の間隔で、横方向及び縦方向に繰り返すように形成されている。該凸部207aの頂角θは、画素ピッチとセルギャップとによって決まり、同じセルギャップの場合では、高精細なものほど鋭角な頂角θが必要となる。例えば、本例のように精細度が230dpiでありセルギャップが110μmである場合、凸部207aの断面は、頂角θが90°程度の二等辺三角形となっている。そして、このように縦方向及び横方向に配置された複数の凸部207aの隣接する凸部207a間には、平坦な底部を有する凹部207bが形成されている。したがって、該凹部207bは、平面視において格子状に形成されている。このような凸部207a及び凹部207bを有する凹凸層207は、感光性樹脂をパターニングして形成されるか、あるいは、熱可塑性樹脂をエンボス加工等により加工成形して形成される。
凹凸層207の凹部207bの底部には、矩形状の第1の電極203が配設されており、第1の電極203は、平面視において、櫛状の形状を有する。櫛状の第1の電極203は、横方向に配列された複数の画素200に共通して配設されるが、画素毎に絶縁されている。該絶縁された画素毎の第1の電極203は、凹凸層207を介して、配線層215のTFTのドレイン電極に接続している。第1の電極203は、ITO等の透明導電材料で構成されてもよく、不透明な金属膜で構成されてもよいが、ここではITOによって構成されている。
凹凸層207の凸部207aの表面を覆うように、白色層205が形成されている。白色層205は、屈折率が大きく光をよく散乱させる物質、例えば、TiO2(チタニア)、Al2O3(アルミナ)等が、樹脂中に分散されて構成される。この白色層205は、厚さが20μm以上であり、反射層として機能する。さらに、白色層205を覆うように、ITO等の透明導電材料から構成される第2の電極204が配設されている。第2の電極204は、各凸部207aの頂部を挟む側面(傾斜面)にそれぞれ配設されている。また、全ての第2の電極204は、図示しない共通配線によって互いに接続されている。この共通配線は接地されており、それによってソースドライバの接地側と接続されている。
対向基板210は、第2の基板201と、マイクロレンズ8とを有する。第2の基板201は、厚さが0.5mm以下、例えば0.1〜0.2mmのフレキシブルな透明樹脂からなる。該第2の基板201の内面に、マイクロレンズ208が配設されている。マイクロレンズ208は、対向面に、凹状曲面を有するレンズ部208Aが所定の間隔で複数形成された構成を有する。このようなマイクロレンズ208は、例えば、透明な感光性樹脂をパターニングしたり、あるいは、透明な熱可塑性樹脂をエンボス加工等により加工成形して形成される。そして、対向基板210は、マイクロレンズ208の各レンズ部208Aの間の部分に凸部207aの頂部を嵌め込むようにTFTアレイ基板211に取り付けられている。それにより、凹凸層207とマイクロレンズ208との間に、隣接する凸部207aによって各々隔てられた複数の空間209が形成される。ここでは、該空間209は、空気で満たされており、底部に第1の電極203が含まれている。また、後述するように、空間209の上部に配置されたレンズ部208Aは、対向基板201側から入射した光を、該空間209に面する白色層205に選択的に照射可能な構成となっている。そして、該空間209には、黒色粒子206が封入されている。ここでは、このように両基板210,211の間に黒色粒子206が封入されてなるセルの厚さ(セルギャップ)は、110μmである。また、黒色粒子6は、アクリル粒子、ブラックカーボン等から合成された直径1〜10μm程度の球状黒色粒子であり、真比重が1.2g/cm2である。また、凹凸層207の凸部207aで区画された各空間209に封入された黒色粒子209の体積充填率は10〜30%である。
ここでは、前述したように、ソース線及びゲート線で区画された1つの画素領域内に、1つの空間209が含まれる。すなわち、凹凸層207の隣接する凸部207aの頂部から頂部までの間が、1つの画素200に含まれる。ここでは、画像表示媒体270を構成する複数の画素200において、各画素200は、画素毎に独立した空間209を含んでいる。したがって、ここでは、画素間における黒色粒子206の移動はなく、粒子206の体積充填率は一定である。
次に、上記の構成を有する画像表示媒体270の表示動作を、画像表示媒体270の構成単位である画素200に着目して説明する。図17A及び図17Bは、白表示を行っている場合の画素200の動作を示しており、図18A及び図18Bは、黒表示を行っている場合における画素200の動作を示している。
図17A及び図17Bに示すように、白表示のときにおいては、画像に応じた信号電圧が、第1及び第2の電極203,204間に印加される。それにより、第1の電極203が負極となるとともに、第2の電極204が正極となる。すると、空間209に存在する正に帯電した黒色粒子206が、クーロン力によって、負極である第1の電極203に引きつけられて移動し第1の電極203に付着する。ここでは、80Vの電圧で黒色粒子206が移動を開始し、250Vで移動が完了する。一方、前述のように、黒色粒子206は第1の電極203側に集められるため、正極である第2の電極204の表面には、黒色粒子206が付着しない。したがって、透明な第2の電極204を通じて、下方に配置された白色層205が観察される。特に、ここでは、第1の電極203が櫛状であり、画素200の長手方向だけでなく、短手方向にも第1の電極203が配置されているため、第1の電極203における黒色粒子206の付着面積が広くなる。このため、第2の電極204周辺から効率よく黒色粒子206を除去することが可能となる。また、黒色粒子206は泳動法における粒子より大きいが、このように大きな粒子であっても、充分に付着させることができる(収容スペースが大きい)。また、第1の電極203が凹凸層207の凹部207bの底部に配置されているため、黒色粒子206は、速やかに移動して第1の電極203に集まる。
このような黒色粒子206の分散状態において、対向基板210側から入射した光は、図中の矢印で示すように、マイクロレンズ255のレンズ部208Aによって屈折される。それにより、光は、白色層205に選択的に照射されるとともにこの部分で反射され、一方、黒色粒子206が集まった凹凸層207の凹部207bにはほとんど光が照射されない。それゆえ、対向基板210側から観察すると、ほとんど黒色粒子206は観察されず、白色層205に基づく良好な白表示が行われる。
一方、図18A及び図18Bに示すように、黒表示のときにおいては、上記の白表示のときとは逆極性の信号電圧が第1及び第2の電極203,204間に印加される。それにより、第1の電極203が正極となるとともに、第2の電極204が負極となる。したがって、ここでは、正に帯電した黒色粒子206は、クーロン力によって負極である第2の電極204側に移動し、第2の電極204に付着して表面を覆い隠す。このような黒色粒子206の分散状態で対向基板210側から観察すると、第2の電極204の下方に配置された白色層205が黒色粒子206で覆われているため、白色層205がほとんど観察されずに黒色粒子206が観察される。それゆえ、黒色粒子206に基づく良好な黒表示が行われる。
このように、本実施の形態では、白表示のときに、黒色粒子206を凹凸層207の凹部207bに集めるとともに、この凹部207bが観察されないようにマイクロレンズ208を用いて光を屈折させるため、コントラストの向上を図ることが可能となる。また、黒表示のときには、光が照射されて表示に関与する凹凸層207の凸部207aの白色層205を黒色粒子206で覆えばよいため、隙間なく効率よく覆うことができる。したがって、この場合にも、コントラストの向上が図られる。このように、白表示、黒表示ともに表示品質が向上するので、結果としてコントラストを著しく向上させることができる。例えば、同じ動作電圧で比較した場合、従来の構成では6〜9であったコントラストが、本実施の形態の構成では、12〜15に向上した。また、このようにコントラストの向上が図られた画像表示媒体では、TFTアレイ基板211と対向基板210との間の距離(セルギャップ)が小さくても、十分なコントラストを実現することができる。したがって、より薄型化を図ることができるとともに、応答速度の向上、動作電圧の低減化を図ることが可能となる。
上記の白表示のとき及び黒表示のときにおける黒色粒子206の移動では、空間209内を移動する粒子が黒色粒子206の1種類であるため、図1A及び図1Bのように極性の異なる複数種類の着色粒子を用いる従来の場合のような粒子同士の間の移動の妨げが起こらない。このため、黒色粒子206は速やかに移動することができる。また、黒色粒子206は、気相中を移動するため、液相中を移動する場合に比べて、移動速度が速い。さらに、第1の電極203が凹凸層207の凹部207bの底部に配設されるとともに、第2の電極204が凹凸層207の凸部207aの傾斜面に形成されているため、平坦面に配設された電極間を粒子が移動する場合に比べて、黒色粒子206が速やかに移動する。それゆえ、本実施の形態の表示装置では、応答速度の向上が図られるとともに、動作電圧の低減化が図られる。
また、本実施の形態において、凹凸層207の凸部207aは、TFTアレイ基板211と対向基板210との間の空間209を保持する、すなわち両基板211,210を支持する空間保持部材(いわゆるスペーサ)の役目も果たしている。それゆえ、従来の構成においては、基板間に形成される空間を保持するために別途で空間保持部材を設ける必要があったが、本実施の形態の構成においてはその必要がない。
さらに、本実施の形態では、該凸部207aが対向基板210まで達するので、一画素毎に区画する隔壁として機能し、空間209が該凸部207aによって画素毎に区切られて独立している。このため、画像表示媒体の配置体勢にかかわらず、黒色粒子206が画像表示媒体の特定部分に凝集するのを防止することができ、一画素の空間209内に収容された黒色粒子206の量を一定に保つことが可能となる。このため、ムラの発生を防止することが可能となる。
(実施の形態2−2)
図19A及び図19Bは、本発明の実施の形態2−2に係る画像表示装置の画像表示媒体の構成を示す模式的な平面図である。なお、図19Aは、白表示のときにおける画像表示媒体の動作を示しており、図19Bは黒表示のときにおける画像表示媒体の動作を示している。
本実施の形態の画像表示媒体は、実施の形態2−1の場合と同様の構造を有する画素から構成されるが、以下の点が実施の形態2−1と異なっている。すなわち、本実施の形態では、画素200毎に独立して、画素の長手方向のみに凹凸層207の凹部207bが形成されており、画素の短手方向には凹部207bが配設されていない。そして、該凹部207bに第1の電極203が配設されている。したがって、本実施の形態では、実施の形態2−1のように横方向に配列された複数の画素200の凹凸層207の凹部207bに共通の櫛状の第1の電極203が配設されるのではなく、画素200毎に独立して、画素の長手方向に走る矩形状の第1の電極203が配設されている。
かかる構成とすると、白表示のときにおいて、図19Aに示すように、画素200の長手方向に形成された凹凸層207の凹部207bに配置された第1の電極203に黒色粒子206が引きつけられて移動し、凹部207bに退避する。また、黒表示のときにおいては、図19Bに示すように、実施の形態2−1と同様に、黒色粒子206が凹凸層207の凸部207aに配置された第2の電極204に引きつけられて移動する。したがって、本実施の形態においても、実施の形態2−1と同様の効果が得られる。
(実施の形態2−3)
図20A及び図20Bは、本発明の実施の形態2−3に係る画像表示装置の画像表示媒体の構成を示す模式的な断面図である。なお、図20Aは白表示のときにおける画像表示媒体の動作を示しており、図20Bは黒表示のときにおける画像表示媒体の動作を示している。
本実施の形態の画像表示媒体は、実施の形態2−1の場合と同様の構造を有する画素から構成されるが、以下の点が実施の形態2−1と異なっている。すなわち、本実施の形態では、第2の電極204と白色層205の積層順序が実施の形態2−1とは逆であり、図20A及び図20Bに示すように、凹凸層207の凸部207a表面に、第2の電極204が配設され、該第2の電極204上に白色層205が配設されている。この場合、第2の電極204は、透明であってもよく、あるいは、不透明な金属膜から形成されてもよい。また、白色層205の厚さは20μm以上とする。
かかる構成とすると、図20Aに示すように、白表示のときにおいて、黒色粒子206は凹凸層207の凹部207bの第1の電極203に移動する。それにより、白色層205が露出して白表示が行われる。一方、図20Bに示すように、黒表示のときにおいては、クーロン力により第2の電極204にひかれて黒色粒子206が移動する。ここでは、第2の電極204が白色層205の下に配置されているため、移動してきた黒色粒子206は白色層205の表面に付着する。したがって、白色層205が黒色粒子206で覆われ、その結果、黒色粒子206に基づく黒表示が行われる。
本実施の形態においては、実施の形態2−1と同様に、画素200の長手方向及び短手方向に凹凸層207の凹部207bが形成されるとともに該凹部207bに各画素共通の櫛状の第1の電極203が配設される場合について説明したが、本実施の形態の変形例として、実施の形態2−2において説明したように、画素の短手方向には凹凸層207の凹部207bが形成されずに長手方向のみに凹部207bが形成され、画素毎に独立して該凹部207b内に第1の電極203が形成されてもよい。
(第2群の本発明に係る表示装置におけるその他の実施の形態)
上記の実施の形態2−1から2−3においては、TFTアレイ基板211の表面に、凹凸層207により凹部207bを形成して該凹部207bに第1の電極203を配置し、該凹部207bに黒色粒子206を集めているが、第2群の本発明は、凹凸層207を設けずにTFTアレイ基板211の表面を平坦とした構成であってもよい。例えば、TFTアレイ基板211の平坦な表面に第1の電極203と第2の電極204とを配置し、該TFTアレイ基板211の平坦な表面において黒色粒子206を移動させる構成であってもよい。なお、前述のように、実施の形態2−1から2−3のようにTFTアレイ基板211の表面を凹凸形状として凹部207bに第1の電極203を配置すると、平坦なTFTアレイ基板211の表面において黒色粒子206を移動させる場合よりも粒子206が容易にかつ速やかに移動する。よって、この場合、動作電圧を低減できるので好ましい。
また、上記の実施の形態2−1から2−3においては、TFTアレイ基板211に凹凸層207を設けることにより、両基板211,210間の空間との界面に凹凸パターンを形成しているが、該空間との界面に凹凸パターンを形成するための構成はこれに限定されるものではない。例えば、平坦な表面を有するTFTアレイ基板211の表面に、凹凸パターンが形成された白色層205を配設してもよい。
また、上記の実施の形態2−1から2−3においては、光を散乱させるTiO2等の粒子を分散させて構成される白色層205を配設する場合について説明したが、白色層205の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、光を散乱させるための凹凸パターンが形成されたことにより白く見える白色層205を配設した構成であってもよい。
また、上記の実施の形態2−1から2−3においては、黒色粒子206が正に帯電した場合について説明したが、黒色粒子206は負に帯電していてもよい。この場合、実施の形態1〜3の場合とは逆に、白表示のときには、第1の電極203が正極となり第2の電極204が負極となるように信号電圧が印加され、一方、黒表示のときには、第1の電極203が負極となり第2の電極204が正極となるように信号電圧が印加される。
また、上記の実施の形態2−1から2−3においては、黒色粒子206と白色層205との組み合わせとしたが、白色粒子と黒色層とを組み合わせた構成であってもよい。かかる構成では、例えば、黒表示のときには、凹部207bに配置された第1の電極203に白色粒子が集められることにより黒色層が露出し、一方、白表示のときには、凸部207aの第2の電極204に白色粒子が集められて黒色層が覆われる。
また、上記の実施の形態2−1から2−3においては、凹状曲面を有するレンズ部208Aが形成されたマイクロレンズ208を用いているが、凸状曲面を有するレンズ部208Aが形成されたマイクロレンズ208を用いてもよい。かかる構成では、例えば、凹凸層207の凹部207bに配設された第1の電極203上に白色層205を配設するとともに、この白色層205に光が集光されるように、マイクロレンズ208のレンズ部208Aを配置する。そして、白表示のときには、凹凸層207の凸部207aの第2の電極204側に黒色粒子206を移動させることにより凹部207bの白色層205から黒色粒子206を除去し、白色層205を露出させる。一方、黒表示のときには、黒色粒子206を凹部207bの第1の電極203側に移動させ、白色層205を黒色粒子206で覆う。
また、上記の実施の形態2−1から2−3においては、TFTアレイ基板211側の第1の基板203、及び、対向基板210の第2の基板201が、ともに透明樹脂から構成される場合について説明したが、観察する側の基板、すなわち、ここでは対向基板210側の第2の基板201が透明であれば、観察側と反対のTFTアレイ基板211の第1の基板202は透明でなくてもよい。
また、上記の実施の形態2−1から2−3においては、白黒表示を行う場合について説明したが、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタを対向基板側に配置することにより、カラー表示を行うことも可能である。
また、上記の実施の形態2−1から2−3においては、一画素毎に隔壁(凹凸層207の凸部207aに相当)を設けているが、必ずしも一画素毎に隔てられる必要はなく、二画素、三画素、あるいはそれ以上の画素毎に隔壁を設けてもよい。
また、実施の形態201から203においては、隔壁として凹凸層207の凸部207aが機能するが、隔壁を別途設けた構成、例えば、感光性樹脂等で隔壁を形成した構成でもかまわない。
また、凹凸層207の凸部207aの断面形状は、上記の実施の形態2−1から2−3の形状に限定されるものではない。例えば、断面の頂角の大きさが90°以外の三角形状であってもよく、あるいは、頂部が平坦である台形状等であってもよい。
また、上記の実施の形態2−1から2−3においては、TFTのドレイン電極に第1の電極203が接続され、第1の電極203が画素電極に相当するとともに第2の電極204が共通電極に相当する構成について説明したが、第2の電極204がTFTのドレイン電極に接続され、第2の電極204が画素電極に相当するとともに第1の電極203が共通電極に相当する構成であってもよい。この場合、画素電極たる第2の電極204は、画素毎に絶縁されており、絶縁された第2の電極がそれぞれ各画素に配設されたTFTのドレイン電極に接続されている。
また、上記の実施の形態2−1から2−3においては、本発明をアクティブマトリクス駆動型の表示装置に適用する場合について説明したが、本発明を、パッシブマトリクス駆動型のものに適用してもよい。特に、着色粒子を気相中で移動させる本発明では、動作電圧に対する不感帯域、すなわち閾値動作電圧が存在するので、クロストーク等の僅かな動作電圧の変化によって着色粒子が移動するために従来の電気泳動ディスプレイ(図2A及び図2B参照)では実現が困難であったパッシブマトリクス駆動であっても、容易に実現可能となる。例えば、ペーパディスプレイにおいて、新聞を表示する場合には、表示の応答性に対する要求が少ないので、パッシブマトリクス駆動とする。一方、ソース線が数百本以上も必要な比較的大容量の画像表示を、クロストークのない高品位で表示するためには、アクティブマトリクス駆動とするのが好ましい。また、動画等の表示のように、表示の応答性が要求される場合には、アクティブ駆動とするのが好ましい。
パッシブマトリクス駆動では、アクティブマトリクス駆動の場合のように画素毎にスイッチング素子(TFT)が形成されるのではなく、互いに交差する縦方向及び横方向の矩形状の電極(以下、X電極及びY電極と呼ぶ)において、X電極に印加された信号電圧と同極性又は逆極性の信号電圧をY電極に印加することにより、スイッチング素子に代わって、X電極とY電極との交差部に配置される画素の点灯・消灯制御が行われる。そして、前述の第1の電極及び第2の電極の一方が、X電極及びY電極の一方と接続されており、第1の電極及び第2の電極の他方が、X電極及びY電極の他方と接続されている。X電極に印加された信号電圧と逆極性の信号電圧がY電極に印加されると、全体の信号電圧が大きくなって画素が点灯状態となる。一方、X電極に印加された信号電圧と同極性の信号電圧がY電極に印加されると、全体の信号電圧が小さくなって画素が消灯状態となる。ここで、このようにX電極及びY電極に印加される信号電圧の打ち消し合いによりオフ状態を実現しようとすると、全体の信号電圧を完全にうち消し合うことは困難であるため、クロストーク電圧が発生する。前述のように、該クロストーク電圧は、電気泳動ディスプレイにおいて問題となるが、本発明の構成では、着色粒子が気相中を移動するため、クロストーク電圧が発生しても該電圧に応じて着色粒子が移動することはない。したがって、次の信号電圧が入力されるまで表示が保たれる。
(実施の形態3)
次に、第3群の本発明に係る表示装置の好適な実施の形態を、以下の実施の形態3において説明する。
(実施の形態3−1)
本発明の実施の形態3−1に係る表示装置はいわゆるパッシブマトリクス方式のものである。図21は、本発明の実施の形態3−1に係る表示装置の構成を示すブロック図である。図21に示すように、表示部14が有する各画素15は、後述するように第1電極、第2電極、および第3電極を備えており、これらの第1電極、第2電極、および第3電極はそれぞれ第1電極ドライバ12、第2電極ドライバ13、および第3電極ドライバ16によって駆動される。そして、これらの第1電極ドライバ12、第2電極ドライバ13、および第3電極ドライバ16の動作は制御部11によって制御されるように構成されている。
なお、本実施の形態の表示装置100のその他の構成については実施の形態1−1の場合と同様であるので同一符号を付して説明を省略する。
図22Aは、白表示を行っている場合の本発明の実施の形態3−1に係る表示装置が備える表示部14の主要な構成を示す透視的な平面図であり、図22Bは、図22AのM-M線における断面図である。また、図23Aは、中間調表示を行っている場合の本発明の実施の形態3−1に係る表示装置が備える表示部14の主要な構成を示す透視的な平面図であり、図23Bは、図23AのN-N線における断面図である。さらに、図24Aは、黒表示を行っている場合の本発明の実施の形態3−1に係る表示装置が備える表示部14の主要な構成を示す透視的な平面図であり、図24Bは、図24AのO-O線における断面図である。なお、説明の便宜上、図中のX方向、Y方向をそれぞれ表示部14の横方向、縦方向とし、Z方向を表示部14の上方向とする。
図21乃至図24Bに示すように、表示部14は、2枚の基板、すなわち上側基板1と下側基板2とを備えている。これらの上側基板1および下側基板2は、厚さ0.1mm乃至0.5mm程度の透明樹脂製のフィルムで構成されている。なお、いわゆる電子ペーパーと呼ばれるような折り曲げ可能な表示装置を実現するためには、上側基板1および下側基板2の厚さが0.1mm乃至0.2mm程度であることが好ましい。
上側基板1および下側基板2は、スペーサ(図示せず)を介して対向して配置されており、これらの上側基板1と下側基板2との間に形成された空気層7には正に帯電させた複数の着色粒子6が充填されている。この着色粒子6は、アクリル粒子、ブラックカーボンなどから合成された球状の黒色粒子であり、その粒径は2μm乃至20μm程度である。なお、着色粒子6が凝集するのを防止するため、着色粒子6の粒径は均一であることが好ましい。
また、着色粒子6は、比重が小さく流動性に優れているものが好ましい。そのための具体的な構造を作製するために、直径5μmの真球状アクリル粒子の表層全面に、直径30nmの真球状シリカ微粒子をメカノケミカルなどの方法により固定化処理する。ここでシリカ微粒子は帯電処理を施したものを使用し、着色粒子6全体として帯電性を有するものとした。比重をさらに小さくするためには、アクリル粒子は中空状または多孔質のものがより望ましい。このような構造により、粒子の流動性は向上するため、粒子が移動するときの摩擦抵抗が小さくなり、かつ、粒子の移動に必要な運動エネルギーが小さくなる。したがって、応答速度が高速になるとともに低電圧での駆動が可能となる。
前述したスペーサによって維持されている空気層7のギャップGは100μm程度である。そして、着色粒子6の充填率は、空気層7に対して、体積換算で10%乃至30%程度としている。着色粒子6を空気層7に充填した後、上側基板1および下側基板2の周縁部はエポキシ系の接着剤などによって気密封止される。
上側基板1の下面には、複数の櫛歯部3aを有する櫛状の第1電極3と、第1電極3の隣り合う櫛歯部3a、3aに囲まれるようにして画素ごとに設けられた矩形状の第2電極4とがそれぞれ形成されている。第2電極4はITO(Indium Tin Oxide)などで構成された透明導電体である。ここで、第1電極3の櫛歯部3aの幅L1は10μm、第2電極4の幅L2は50μmとしている。また、第1電極3の櫛歯部3aと第2電極4との間の距離w1は5μmとしている。なお、第1電極3は表示部14の横方向に連結されており、第2電極4は図示しない配線によって表示部14の縦方向に電気的に接続されている。
下側基板2の上面には、上側から入射する光を反射するための反射層5が形成されている。この反射層5は、TiO2(チタニア)、Al2O3(アルミナ)などから構成される白色層である。
また、反射層5の上面には、第1電極3と同様な形状の第3電極8が形成されている。ここで、第3電極8と第1電極3とは平面視で重なるように配置されている。
以上のように構成された本実施の形態に係る表示装置の動作について、図21乃至図24Bを参照しながら説明する。表示装置100では、制御部11が、外部の装置から入力される画像信号に応じて、第1電極ドライバ12および第2電極ドライバ13に対して制御信号をそれぞれ出力する。その結果、第1電極ドライバ12が第1電極3に対して所定の電圧を印加し、一方第2電極ドライバ13がそのタイミングに合わせて画像信号に応じた電圧を各画素15に形成されている第2電極4に印加する。これにより、各画素15の着色粒子6が後述するように移動し、反射層5によって反射される光の透過率が変化する。その結果、観察者の目に画像信号に対応する画像が映る。
画素15における白色表示は次のようにして実現される。制御部11から出力された制御信号に応じて、第1電極ドライバ12は第1電極3に負の電圧V1を、第2電極ドライバ13は第2電極4に正の電圧V2をそれぞれ印加する。前述したように着色粒子6は正に帯電させてあるので、この場合では、図22Aおよび図22Bに示すように、着色粒子6は第1電極3上に引き寄せられて付着する。ここで第2電極4は前述したように透明導電体で構成されているため、下側基板2の上面に形成されている反射層5の白色が観察されることになる。
一方、画素15における黒色表示は次のように実現される。制御部11から出力された制御信号に応じて、第1電極ドライバ12は第1電極3に正の電圧V5を、第2電極ドライバ13は第2電極4に負の電圧V6をそれぞれ印加する。この場合、図24Aおよび図24Bに示すように、正に帯電された着色粒子6は第2電極4上に引き寄せられて付着する。その結果、黒色の着色粒子6が観察されることになる。
また、画素15における中間調表示は次のように実現される。制御部11から出力された制御信号に応じて、第1電極ドライバ12は第1電極3に正の電圧V3を、第2電極ドライバ13は第2電極4に負の電圧V2を、第3電極ドライバ16は第3電極8に負の電圧V4をそれぞれ印加する。この場合、図23Aおよび図23Bに示すように、正に帯電された着色粒子6は第2電極4および第3電極8上に引き寄せられて付着する。これにより、黒表示のときと比べて第2電極4に付着する着色粒子6の数が少なくなるため、中間調表示を実現することができる。
本実施の形態において、白表示を実現するために、第1電極3に―40Vを、第2電極4に+40Vをそれぞれ印加したところ、このときの反射濃度は0.4であった。また、中間調表示を実現するために、第1電極3に+30Vを、第2電極4に―30Vを、第3電極8に―10Vをそれぞれ印加したところ、このときの反射濃度は0.9であった。さらに、黒表示を実現するために、第1電極3に+40Vを、第2電極4に―40Vをそれぞれ印加したところ、このときの反射濃度は1.4であった。
本実施の形態では、第1電極2,第2電極4,および第3電極8のそれぞれに印加する電圧の値を変化させることにより、第2電極4に付着する着色粒子6の数を容易且つ高精度に制御することができる。例えば、第1電極2に印加する電圧、第2電極4に印加する電圧を一定とし、第3電極8に印加する電圧を増減する等により、従来の場合と比べて、より緻密な階調制御を実現することができる。
(実施の形態3−2)
図25Aは、本発明の実施の形態3−2に係る表示装置が備える表示部の主要な構成を示す透視的な平面図であり、図25Bは、図25AのP-P線における断面図である。なお、便宜上、図25Bにおいては着色粒子を省略している。また、本実施の形態に係る表示装置は隣り合う3個の画素を1つの単位(以下、絵素という)として表示を行うものであり、図25は1つの絵素の構成を示している。
図25A及び図25Bに示すように、本実施の形態に係る表示装置が備える表示部14において、上側基板1の下面には、マトリクス状に配置されている画素に沿って格子状に配置されたブラックマトリックス9を有するブラックマトリックス層10が形成されている。
ブラックマトリックス層10の下面には、複数の櫛歯部3aを有する櫛状の第1電極3と複数の櫛歯部4aを有する櫛状の第2電極4とが形成されている。第1電極3および第2電極4はITOなどで構成された透明電極である。これらの第1電極3および第2電極4は、櫛歯部3aと櫛歯部4aとが噛み合うように対向して配置されている。
図25A及び図25Bに示すとおり、1つの絵素内に位置する櫛歯部3aの幅L1,L2,L3は互いに異ならせてある。また、同様にして1つの絵素内に位置する櫛歯部4aの幅L4,L5,L6も互いに異ならせてある。さらに、1つの絵素内に位置する櫛歯部3aと櫛歯部4aとの間の距離W1,W2,W3,W4,W5,W6も互いに異ならせてある。
なお、本実施の形態に係る表示装置のその他の構成については実施の形態1−1の場合と同様であるので同一符号を付して説明を省略する。
以上のように構成すると、第1電極3と第2電極4との間に同じ電圧を印加した場合であっても、画素によって異なる電界が発生することになる。したがって、1つの絵素を構成する3つの画素はそれぞれ異なった階調特性を有することになる。
3つの画素から構成される絵素を1つの表示単位とすると、1つの絵素における表示パターンとしては以下の4つが挙げられる。
(1)3つの画素すべてにおいて黒表示を行う
(2)3つの画素のうちの2つの画素において黒表示を行い、1つの画素において白表示を行う
(3)3つの画素のうちの1つの画素において黒表示を行い、2つの画素において白表示を行う
(4)3つの画素すべてにおいて白表示を行う
ここで、前記(2)、(3)においては、3つの画素の組み合わせはそれぞれ3通りある。本実施の形態に係る表示装置の場合、それらの3通りの組み合わせごとに異なる階調で表示が行われることになる。したがって、本実施の形態に係る表示装置の場合、前記(1)、(4)においてそれぞれ1階調、前記(2)、(3)においてそれぞれ3階調の表示が可能であるため、8階調表示を実現することができる。
これに対して、櫛歯部3aの幅L1,L2,L3、櫛歯部4aの幅L4,L5,L6、および櫛歯部3aと櫛歯部4aとの間の距離W1,W2、W3,W4,W5,W6がそれぞれすべて同じである場合、前記(1)〜(4)の4つの表示パターンごとに1階調を表現することができるに過ぎない。したがって、そのような構成の場合は4階調表示に留まることになる。
このように、本実施の形態に係る表示装置では、階調特性が異なる3つの画素を適宜組み合わせることにより、従来の場合と比べて、より緻密な階調制御を実現することができる。
(実施の形態3−3)
図26は、黒表示を行っている場合の本発明の実施の形態3−3に係る表示装置が備える表示部の主要な構成を示す透視的な平面図である。なお、本実施の形態に係る表示装置は、実施の形態3−2の場合と同様に、隣り合う3個の画素から構成される絵素を単位として表示を行うものであり、図26は1つの絵素の構成を示している。
図26に示すように、1つの絵素を構成する3個の画素内には、それぞれ異なる粒径の着色粒子6a,6b,6c(6c,6a,6bの順に粒径が大きい)が充填されている。ここで、着色粒子6a,6b,6cの平均粒径は1μm以上10μm以下が好ましい。
なお、本実施の形態に係る表示装置のその他の構成については実施の形態1−1の場合と同様であるので同一符号を付して説明を省略する。
以上のように構成すると、第1電極3と第2電極4との間に同じ電圧を印加した場合でも、着色粒子6a,6b,6cの第1電極3及び第2電極4への付着状態、すなわち付着する着色粒子6a,6b,6cの個数および配列が異なることになる。したがって、3つの画素はそれぞれ異なった3種類の階調特性を有することになるので、実施の形態3−2の場合と同様に、階調特性が異なる3つの画素を適宜組み合わせることにより、従来の場合と比べて、より緻密な階調制御を実現することができる。
(実施の形態3−4)
実施の形態3−1から3−3までに係る表示装置は白黒表示を行うものであったが、実施の形態3−4に係る表示装置はカラー表示を行うものである。
図27は、本発明の実施の形態3−4に係る表示装置が備える表示部の主要な構成を示す透視的な平面図である。なお、本実施の形態に係る表示装置は、実施の形態3−2の場合と同様に、隣り合う3個の画素から構成される絵素を単位として表示を行うものであり、図27は1つの絵素の構成を示している。
図27において、6dは青色粒子を、6eは緑色粒子を、6fは赤色粒子をそれぞれ示している。したがって、1つの絵素は青、緑、赤の3色をそれぞれ表示可能な3つの画素から構成されていることになる。この3色の画素で1絵素を表示することによりカラー表示が可能となる。
これらの3色の粒子が1つの画素に混在すると良好なカラー表示を実現することができない。そのため、本実施の形態において、各色の粒子は、図11Aおよび図11Bに示すような隔壁によって画素毎に仕切られた空間に封入されている。
なお、本実施の形態に係る表示装置のその他の構成については実施の形態3−2の場合と同様である。すなわち、1つの絵素内に位置する櫛歯部3aの幅L1,L2,L3は互いに異ならせてあり、また、同様にして1つの絵素内に位置する櫛歯部4aの幅L4,L5,L6も互いに異ならせてある。さらに、1つの絵素内に位置する櫛歯部3aと櫛歯部4aとの間の距離W1,W2,W3,W4,W5,W6も互いに異ならせてある。
以上のように電極の幅等を異ならせているのは、赤、青、緑の3色の視感度が異なるからである。最も視感度が小さい青色を表示する面積を最も大きくし、最も視感度が大きい緑色を表示する面積を最も小さくするように電極の幅等を異ならせればよい。
本実施の形態に係る表示装置の場合、青色を表示する画素に係る櫛歯部3aの幅L1が最も小さく、次に赤色を表示する画素に係る櫛歯部3aの幅L3、緑色を表示する画素に係る櫛歯部3aの幅L2の順に小さくなる。また、青色を表示する画素に係る櫛歯部4aの幅L4が最も大きく、次に赤色を表示する画素に係る櫛歯部4aの幅L6、緑色を表示する画素に係る櫛歯部4aの幅L5の順に大きくなる。さらに、青色を表示する画素に係る櫛歯部3aと櫛歯部4aとの間の距離W1およびW4が最も大きく、次に赤色を表示する画素に係る櫛歯部3aと櫛歯部4aとの間の距離W2およびW5、緑色を表示する画素に係る櫛歯部3aと櫛歯部4aとの間の距離W3およびW6の順に大きくなる。
このように構成することにより、赤、緑、青に係る画素は各色の粒子の光学特性に適した階調特性を有することになるので、効率よく階調表現することが可能となり、従来に比べて階調特性が飛躍的に向上した良好かつ高効率のカラー表示が可能となる。
なお、実施の形態4−3と同様に、各色の粒子の粒径を異ならせることで各色の粒子の光学特性に適した階調特性を得ることにより、高効率かつ階調性に優れたカラー表示を実現することも可能である。
また,本実施の形態においてはカラー表示を実現するために赤、青、緑の3色の粒子群を用いているが、シアン、マジェンタ、イエローの3色の粒子群を用いるようにしてもよい。
(第3群の本発明に係る表示装置におけるその他の実施の形態)
以上で説明したとおり、実施の形態3−1から実施の形態3−3までの表示装置は、パッシブマトリクス駆動の表示装置である。しかしながら、第1群の本発明に係る表示装置におけるその他の実施の形態でも説明したように、アクティブマトリクス駆動の表示装置とすることも可能である。
(実施の形態4)
最後に、第4群の本発明に係る表示装置の好適な実施の形態を、以下の実施の形態4において説明する。
(実施の形態4−1)
本発明の実施の形態4−1に係る表示装置はいわゆるパッシブマトリクス方式のものである。なお、着色粒子以外の本実施の形態に係る表示装置の構成および動作については、実施の形態1−1の場合と同様であるので説明を省略する。以下、図3乃至図5Bを適宜参照しながら本実施の形態に係る表示装置に用いられる粒子の構成について説明する。
図28は、本発明の実施の形態4−1に係る表示装置に使用する粒子の構成を模式的に示す断面図である。図28に示すように、着色粒子6は、芯材となる母粒子6aと、その母粒子6aの表面を被覆するように固着されている複数の子粒子6bとから構成されている。着色粒子6は、比重が小さく流動性に優れているものが好ましい。このように着色粒子6を母粒子6aと子粒子6bとを用いた複合的な構成とすることにより、特に子粒子6bの粒径によって着色粒子6間あるいは基板との間に作用するファンデルワールス力が依存するため、着色粒子6全体としての流動性は向上する。
本実施の形態においては、母粒子6aには直径5μmの真球状アクリル粒子を、また、子粒子6bには帯電処理を施した直径16nmの真球状シリカ微粒子を使用し、着色粒子6全体として帯電性を有するものとした。なお、母粒子6aに使用する材料としてはスチレン系、メラミン系など他の樹脂材料でもかまわない。また、子粒子6bにシリカを使用したのはシランカップリング剤等により安定でかつ大きな帯電量を得られる帯電処理が可能となるからである。
母粒子6aの製造方法としては、防潤剤を含有しない水系媒体中に分散された重合体粒子に、単量体及び油溶性染料を吸収させ、その吸収させた単量体を重合する方法とした。この製造方法によれば、単分散で粒径が均一な母粒子6aを得ることができる。
母粒子6aは樹脂製なので真比重が1.2g/cm3と小さく、かつ軟化点が低い。一方、子粒子6bは母粒子6aに比べれば2.1g/cm3と真比重が大きいが配合比が小さいので着色粒子6全体としての影響は小さく、また、母粒子6aにくらべれば軟化点が高いため、メカノケミカルなどの方法で母粒子に固着しやすい。
本実施の形態においては、母粒子6aの表面全面を覆うように、子粒子6bをメカノケミカルの一種である高速気流中衝撃法により固定化処理した。母粒子6aの表面全面に子粒子6bを被覆するための配合比は、母粒子6a:子粒子6bの重量比で100:3乃至100:5とし、理論配合比よりもやや多めにした。ここで、理論配合比とは、母粒子6aの表面全面を子粒子6bの1層で被覆すると仮定したときの計算値であり、配合比を理論値よりも多めにしたのは、高速気流中衝撃法では子粒子6bの層を均一にするのには限界があり、母粒子6aの表面全面を子粒子6bの1層で覆うことは難しいためである。
本実施の形態のように、母粒子6aの表面全面に子粒子6bを被覆した構造とすると、子粒子の被覆のない従来の表示装置に用いられるアクリル製重合トナーに比べ、耐湿度特性は飛躍的に向上した。すなわち、湿度が50%から90%に上昇した場合、前記重合トナーでは帯電量が初期に比べて55%も低下したが、本実施の形態の複合化粒子の場合は15%程度の低下に留まった。
そのため、上側基板1、下側基板2に使用する樹脂フィルムは特別な耐防湿処理を必要とせず、PETフィルムのような安価な市販品を使用することが可能となる。
子粒子6bの帯電処理の方法としては、子粒子を表面処理剤と解砕媒体用ビーズとが充填された媒体攪拌ミルの中に投入することにより、湿式解砕処理される方法が望ましい。図34は、このように湿式解砕処理により製造された子粒子6bを使用して作製した着色粒子6の構成を模式的に示す断面図である。図34において、6gは表面処理剤として用いられたシランカップリング剤等により形成された帯電処理膜を示している。
この方法によれば、単分散で帯電処理ができるため、子粒子6bに対して一粒子単位で帯電処理を施すことができる。したがって、子粒子6bを帯電処理した後、凝集体が解砕されて帯電処理がされていない面が露出してしまう等の不都合が生じるおそれがない。
なお、本実施の形態においては黒色の着色粒子6を正に帯電処理した場合について説明したが、負に帯電処理させても良いことは言うまでもない。
また、従来のいわゆる縦電界方式の場合においても、本実施の形態における着色粒子6の構造は有効である。この場合、黒色の着色粒子6の他、白色粒子も必要となる。すなわち、2種類の粒子群からなる構成となる。このように2種類の粒子群からなる構成の場合、どちらか一方の粒子にのみ本実施の形態で示したような母粒子に子粒子を固着した複合化構成にすればよい。一方の粒子群に正の帯電処理、他方の粒子群に負の帯電処理を施すことになるが、両方の粒子群を複合化した場合、ファンデルワールス力よりも、むしろ静電気引力の影響が大きくなり、かえって凝集しやすいという不都合が生じるからである。
2種類の粒子群からなる構成のうち、粒子が凝集しにくく良好な画像表示が可能となったのは、黒色粒子を負に帯電処理した子粒子で複合化した構成とし、白色粒子は子粒子で被覆せず帯電処理もしない構成である。
ここで、白色粒子の製造方法としては、アクリルモノマーに顔料を分散させた後ポリマー化する方法がある。一方、白色粒子の母粒子の表面に固着させる子粒子として、平均粒径が200nm乃至400nmの酸化チタン(TiO2)粒子を利用すれば、母粒子が無色透明であっても、酸化チタンの散乱効果により粒子全体としては理想的な白色を得ることができる。したがって、粒子の流動性が向上するとともに容易に白色粒子を作製することができる。
ただし、母粒子がもともと着色粒子で、子粒子によって着色する必要がない場合は、ファンデルワールス力の理論式より、子粒子の平均粒径を10nm以上20nm以下にすれば付着力を最小にすることができ、表示装置の駆動電圧も小さくすることができる。
さらに、粒子の流動性を向上させ、かつ、反射率を重視した設計にしようとすれば、白色粒子には子粒子を付着させず、粒子の表面全面を光が透過しない不透明材料からなる第1被覆層で被覆する構成とするのが望ましい。
図35は、本発明の実施の形態4−1に係る表示装置に使用する粒子の構成の他の例を模式的に示す断面図である。図35において、6hは、アルミニウム、またはチタン等からなり、母粒子6aの表面全面を覆うようにして形成された白色の第1被覆層を、6iは、第1被覆層6hの表面全面を覆うように、シランカップリング剤等を用いて形成された第2被覆層をそれぞれ示している。このように、緻密な金属膜により母粒子を被覆した場合、母粒子を子粒子で被覆する構成と比べて、反射光の損失が少なく、より高反射率の表示装置を得ることが可能である。
(実施の形態4−2)
実施の形態4−2に係る表示装置は、着色粒子に導電性を持たせたものである。なお、本実施の形態に係る表示装置のその他の構成については実施の形態4−1の場合と同様であるので説明を省略する。
図29は、本発明の実施の形態4−2に係る表示装置に使用する粒子の構成を模式的に示す断面図である。図29に示すように、着色粒子6は、芯材となる母粒子6aと、その母粒子6aの表面を被覆するように固着されている複数の子粒子6bと、複数の子粒子6b間に散在する、クロム等の金属粉末からなる導電性粒子6cとから構成されている。このように、着色粒子6に導電性粒子6cが添加されていることにより、全体として帯電性を有しているだけでなく、導電性をも有している。
なお、本実施の形態においては、実施の形態4−1の場合と同様に、母粒子6aには直径5μmの真球状アクリル粒子を、子粒子6bには帯電処理を施した直径16nmの真球状シリカ微粒子をそれぞれ使用する。
母粒子6aに子粒子6bを固定化する方法は実施の形態4−1の場合と同様に、高速気流中衝撃法とした。母粒子6aの表層全面に子粒子6bを被覆するための配合比は、母粒子6a:子粒子6bの重量比で100:3乃至100:5とし、理論配合比よりもやや多めにした。
また、導電性粒子6cの添加量は重量比で母粒子6aの0.1%乃至1%である。導電性粒子6cをあまり多量に添加すると、第1電極3と第2電極4との間が短絡する原因となり好ましくないためである。
このように、着色粒子6に若干の導電性を持たせることにより、電荷が溜まりチャージアップすることを防止することができる。
(実施の形態4−3)
実施の形態3に係る表示装置は、着色粒子の母粒子を複数層からなる構成としたものである。なお、本実施の形態に係る表示装置のその他の構成については実施の形態4−1の場合と同様であるので説明を省略する。
図30Aは、本発明の実施の形態4−3に係る表示装置に使用する粒子の母粒子の構成を模式的に示す断面図である。図30Aに示すように、メラミン樹脂製の芯材となる母粒子6aは、その表面の全面がシリカ膜からなる第1被覆層6d1で覆われている。また、この第1被覆層6d1は、その表面の全面が芯材となる母粒子6aと同じメラミン樹脂からなる第2被覆層6d2で覆われている。ここで、第2被覆層6d2は後述する子粒子6bの直径の約半分程度の厚さであることが望ましい。
実施の形態4−1の場合のように、高速気流中衝撃法によって母粒子6aの表面全面に子粒子6bを固定化処理する場合、回転速度を大きくし処理時間を長くしすぎると母粒子6aの軟化がひどく、子粒子6bが母粒子6aの内部に埋没するという現象が生じ得る。このような現象が生じた場合、着色粒子6の流動性を向上させるという効果が得られない。一方、回転速度を小さくし処理時間を短くし過ぎると、子粒子6bが母粒子6aに充分に固着しないという問題があった。
そこで、本実施の形態においては、図30Aに示すように母粒子6aおよび第1被覆層6d1を覆う第2被覆層6d2の表面全面に子粒子6bを高速気流中衝撃法によって固定化処理する。
図30Bは、本発明の実施の形態4−3に係る表示装置に使用する粒子の構成を模式的に示す断面図である。図30Bに示すように、第1被覆層6d1の方が軟化点が高いために子粒子6bが第1被覆層内部に埋没することはなく、また、第2被覆層6d2は軟化点が低いために、その表層に留まりつつ子粒子6bが母粒子6aに固着されることになる。
したがって、高速気流中衝撃法の処理条件が比較的幅の広い条件であったとしても、流動性の高い複合化粒子を得ることが可能となる。
(実施の形態4−4)
実施の形態4に係る表示装置は、着色粒子6の母粒子6aを多孔質あるいは中空状の構成としたものである。なお、本実施の形態に係る表示装置のその他の構成については実施の形態4−1の場合と同様であるので説明を省略する。
粒子の比重が全体として小さい場合、粒子の流動性が向上するため、粒子が移動するときの摩擦抵抗が小さくなり、かつ、粒子の移動に必要な運動エネルギーが小さくなる。したがって、画像表示のときに高速に応答することができるとともに低電圧での駆動が可能となる。
着色粒子の比重を全体として小さくするためには、着色粒子の母粒子を多孔質のものとしたり、着色粒子を中空状のものにする等、種々の形態が考えられる。
図31及び図32は、本発明の実施の形態4−4に係る表示装置に使用する粒子の構成を模式的に示す断面図である。図31に示すように、母粒子6aに多孔質のものを使用した場合、形成された孔の数に応じて、母粒子6aの比重を小さくすることができる。また、図32に示すように、空洞6eを有する中空状の着色粒子6であれば、さらに比重を小さくすることができる。なお、このように着色粒子6を中空状のものにするためには、例えば、実施の形態4−1のように母粒子6aに子粒子6bを固着させた後、溶剤により母粒子6aを溶かして空洞6eを形成するようにすればよい。
(実施の形態4−5)
実施の形態5に係る表示装置は、複合化した粒子にさらに1層を設けた構成としたものである。なお、本実施の形態に係る表示装置のその他の構成については実施の形態4−1の場合と同様であるので説明を省略する。
図33は、本発明の実施の形態4−5に係る表示装置に使用する粒子の構成を模式的に示す断面図である。図34に示すように、母粒子6aの表面全面を覆うように固着された複数の子粒子6bをさらに覆うような撥水膜6fが形成されている。このような構成の着色粒子6を実現するためには、実施の形態4−1のように母粒子6aに子粒子6bを固着させた後、子粒子6bを覆うようにフッ素系の単分子膜である撥水膜6fを形成すればよい。
着色粒子6を以上のように構成した場合、撥水膜6fの作用により、水分による液架橋力が着色粒子6に対して発生しにくくなる。そのため、着色粒子6同士の固着、および着色粒子6と基板との固着等が減少し、電界が作用しても着色粒子6が動かないといった事態の発生を抑制することができる。これにより、反射率が向上しコントラストも向上することになる。
なお、本実施の形態においては、撥水膜6fとしてフッ素系の単分子膜を使用したが、シランカップリング剤等で処理した疎水膜を用いてもかまわない。
(第4群の本発明に係る表示装置におけるその他の実施の形態)
以上で説明したとおり、実施の形態4−1から実施の形態4−5までの表示装置は、パッシブマトリクス駆動の表示装置である。しかしながら、第1群の本発明に係る表示装置におけるその他の実施の形態でも説明したように、アクティブマトリクス駆動の表示装置とすることも可能である。
また、説明した実施の形態4−1から実施の形態4−5までの表示装置では、母粒子6aと子粒子6bとで複合化された着色粒子6を駆動させる電極としてイン・プレーン型の電極を使用し横電界を利用する方式について説明したが、上側基板1および下側基板2にそれぞれ第1電極3および第2電極4を形成することにより縦電界を利用する方式でも同様の効果を得ることができる。
また、着色粒子6は黒色1種類の場合について説明したが、白色、黒色2種類の場合、あるいは赤、緑、青等の複数種類の構成においても同様の効果を得ることができる。
この場合、例えば母粒子6aに白色粒子を使用している場合でも、子粒子6bに白色特性の良好な真球状TiO2微粒子を使用することで、さらに色特性を向上させることが可能となる。
これらの着色粒子の組合せによってカラー表示を実現することが可能であるが、その代わりに、光の三原色のカラーフィルタなどを備えることによってカラー表示を実現することができることは言うまでもない。
以上、第1群から第4群までの本発明に係る表示装置の実施の形態について説明した。なお、表示装置の用途等に応じて前述した実施の形態のうちのいくつかを適宜組み合わせることによって種々の形態の表示装置を実現することが可能である。