JP2009276567A - 電気泳動表示装置用マクロカプセルの製造方法 - Google Patents

電気泳動表示装置用マクロカプセルの製造方法 Download PDF

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輝紀 松下
Mitsuo Kushino
光雄 串野
Tomoyuki Kuwamoto
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Abstract

【課題】微小流路を用いても、閉塞を起こすことなく、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液を長時間にわたって安定的に略均一な液滴径で乳化させることができ、その結果、粒子径の均一性が高い電気泳動表示装置用マイクロカプセルを生産性よく製造することが可能な電気泳動表示装置用マイクロカプセルの製造方法を提供すること。
【解決手段】電気泳動表示装置用マイクロカプセルの製造方法は、微小流路を用いて、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液の液滴を水系媒体中に形成した後、該液滴の表面に殻体を形成することにより、該分散液が該殻体に内包されている電気泳動表示装置用マイクロカプセルを製造するにあたり、該分散液に該電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子を添加する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気泳動表示装置用マクロカプセルの製造方法に関する。
電気泳動表示装置は、例えば、電気泳動粒子を溶媒中に分散させておき、電圧を印加したときの電気泳動粒子の挙動により、文字データや画像データなどを表示する。例えば、電気泳動粒子と溶媒とが異なる色で着色されていると、電圧印加により、電気泳動粒子が溶媒の表面に移動したときには電気泳動粒子の色が観察され、電気泳動粒子が溶媒の底部に移動したときには分散液の色が観察されることになる。アドレス指定して電圧を印加できる電極を備えておけば、アドレスごとに異なる色が表示でき、任意の文字データや画像データを表示できるようになる。しかも、表示データが書き換え可能であると共に、電気的な信号が存在しなくなっても、そのまま表示データを保持することができるという利点がある。
近年、電気泳動粒子の分散液を対向電極基板間の空間に封入した従来型の電気泳動表示装置(例えば、特許文献1を参照)に代わって、電気泳動粒子の分散液を封入したマイクロカプセルを対向電極基板間に配列させた構造を有するマイクロカプセル型の電気泳動表示装置(例えば、特許文献2を参照)が開発されている。このマイクロカプセル型の電気泳動表示装置は、従来型の電気泳動表示装置に比べて、表示の長期安定性、応答性、コントラストおよび表示の書き換え可能回数などの各種性能・機能において、大きく向上している。
一般に、芯物質を封入したマイクロカプセルを調製する方法としては、殻体の強度や厚さを制御しやすく、複数層の殻体を形成できるなどの利点を有することから、コアセルベーション法(例えば、特許文献3を参照)が一般的に好適であるとされている。電気泳動表示装置の分野でも、コアセルベーション法を用いて、例えば、ゼラチンとアラビアゴムとを必須成分とする殻体に電気泳動粒子の分散液を封入したマイクロカプセルの研究・開発が行われてきた。例えば、ディスパーなどの攪拌機を用いて、電気泳動粒子の分散液を水系媒体中に乳化させ、得られた乳化液中に存在する分散液の液滴表面に、コアセルベーション法を用いて、殻体を形成することにより、電気泳動粒子の分散液が殻体に内包されている電気泳動表示装置用マイクロカプセルが製造されてきた。
ところが、ディスパーなどの攪拌機を用いて水系媒体中に乳化させた分散液の液滴は、大きさが不均一であるので、電気泳動表示装置用マイクロカプセルの粒子径も不均一となる。それゆえ、このような電気泳動表示装置用マイクロカプセルを用いて作製した電気泳動表示装置は、コントラストが低く、表示性能に劣るという問題点があった。
そこで、特許文献4〜6には、微小流路を用いて、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液を水系媒体中に乳化させて分散液の液滴を形成した後、これらの液滴表面に殻体を形成することにより、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液が殻体に内包されている電気泳動表示装置用マイクロカプセルを製造する方法が開示されている。この方法によれば、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液の液滴が略均一な大きさになるので、粒子径が揃った電気泳動表示装置用マクロカプセルが得られる。このような電気泳動表示装置用マイクロカプセルを用いて作製した電気泳動表示装置は、コントラストが向上するという利点を有する。
特公昭50−15115号公報 特許第2551783号公報 米国特許第2,800,457号明細書 特開2006−35132号公報 特開2007−187470号公報 特開2007−216206号公報
ところが、電気泳動表示装置用マイクロカプセルに内包される分散液は、溶媒中に電気泳動粒子を含有するスラリーであるので、微小流路を用いて、このような分散液を水系媒体中に乳化させると、比較的短時間のうちに乳化処理が不安定になり、やがて微小流路が閉塞するという問題点があった。特に、分散液の液滴径を均一化するために、微小流路内における連続相および分散相の流量を低く設定する必要があるので、微小流路の閉塞が起こりやすかった。
上述した状況の下、本発明が解決すべき課題は、微小流路を用いても、閉塞を起こすことなく、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液を水系媒体中に長時間にわたって安定的に略均一な液滴径で乳化させることができ、その結果、粒子径の均一性が高い電気泳動表示装置用マイクロカプセルを生産性よく製造することが可能な電気泳動表示装置用マイクロカプセルの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、種々検討の結果、微小流路を用いて、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液を水系媒体中に乳化するにあたり、この分散液に電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子を添加すれば、微小流路が閉塞することなく、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液を水系媒体中に長時間にわたって安定的に略均一な液滴径で乳化させることができ、その結果、粒子径の均一性が高い電気泳動表示装置用マイクロカプセルを生産性よく製造することが可能になることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、微小流路を用いて、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液の液滴を水系媒体中に形成した後、該液滴の表面に殻体を形成することにより、該分散液が該殻体に内包されている電気泳動表示装置用マイクロカプセルを製造するにあたり、該分散液に該電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子を添加することを特徴とする電気泳動表示装置用マイクロカプセルの製造方法を提供する。
本発明による電気泳動表示装置用マイクロカプセルの製造方法において、前記微粒子の添加量は、好ましくは、前記電気泳動粒子100質量%に対して5質量%以下(0質量%を含まない)であり、前記電気泳動粒子に対する前記微粒子の粒子径比は、好ましくは、1/10以下である。また、前記電気泳動表示装置用マイクロカプセルの粒子径のCv値は、好ましくは、30%以下である。さらに、前記微小流路の流路幅は、好ましくは、100μm以下であり、前記微小流路の処理量は、好ましくは、0.001mL/min以上である。
本発明による電気泳動表示装置用マイクロカプセルの製造方法は、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液に電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子を添加するだけで、従来公知の微小流路を用いて、微小流路の閉塞を招くことなく、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液を水系媒体中に長時間にわたって安定的に略均一な液滴径で乳化させることができ、その結果、粒子径の均一性が高い電気泳動表示装置用マイクロカプセルを生産性よく製造することができる。
≪電気泳動表示装置用マイクロカプセルの製造方法≫
本発明による電気泳動表示装置用マイクロカプセルの製造方法(以下「本発明の製造方法」ということがある。)は、微小流路を用いて、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液の液滴を水系媒体中に形成した後、該液滴の表面に殻体を形成することにより、該分散液が該殻体に内包されている電気泳動表示装置用マイクロカプセル(以下「マイクロカプセル」ということがある。)を製造するにあたり、該分散液に該電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子を添加することを特徴とする。
本発明の製造方法は、微小流路を用いて、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液、すなわち電気泳動表示装置用分散液を水系媒体中に乳化させて分散液の液滴を形成させる際に、分散液に電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子を添加すれば、微小流路内における分散液の流動性が向上するので、微小流路が閉塞することなく、長時間にわたって安定的に略均一な液滴径で乳化させることができ、その結果、粒子径の均一性が高い電気泳動表示装置用マイクロカプセルが生産性よく得られるというものである。なお、本発明では、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液を「電気泳動表示装置用分散液」または単に「分散液」ということがあるが、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液に電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子を添加した分散液についても「電気泳動表示装置用分散液」または単に「分散液」ということがある。
<微小流路>
本発明の製造方法に用いる「微小流路」とは、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液に電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子を添加した分散液、すなわち電気泳動表示装置用分散液を水系媒体中に乳化させるための流路を意味する。本発明の製造方法において、微小流路は、得られた乳化液中における電気泳動表示装置用分散液の液滴を略均一な液滴径に揃えるために用いられる。
本発明の製造方法に用いられる微小流路の代表例の概略を図1に示す。この微小流路を用いて、電気泳動表示装置用分散液の乳化処理は、例えば、以下のようにして行われる。まず、水系媒体7を連続相として第1の流路1の導入口4から所定の流量で注入する。次いで、電気泳動粒子と溶媒と微粒子とを含有する分散液、すなわち電気泳動表示装置用分散液8を分散相として第2の流路2の導入口5から所定の流量で注入する。すると、第1の流路1と第2の流路2とが交差する箇所3で、略均一な量の分散液が液滴となって、連続相によって押し流される。そして、第1の流路1の排出口6から、水系媒体中に略均一な液滴径を有する分散液の液滴9を含有する乳化液が排出される。なお、本発明の製造方法は、この代表例の微小流路に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
本発明の製造方法に用いる微小流路としては、特に限定されるものではなく、従来公知のマイクロリアクタ型の乳化装置を用いることができる。あるいは、マイクロリアクタ型の乳化装置を自ら作製してもよい。
微小流路の断面形状は、特に限定されるものではないが、例えば、円形、楕円形、正方形、長方形、菱形などが挙げられる。断面形状が正方形、長方形、菱形などの場合、角を丸くしてもよい。これらの断面形状のうち、電気泳動表示装置用分散液の液滴が球状になりやすいことから、円形が特に好適である。
微小流路の流路幅は、10mmより小さい限り、特に限定されるものではなく、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは1.0μm以上、最も好ましくは3.0μm以上であり、また、好ましくは8.0mm以下、より好ましくは1.0mm以下、さらに好ましくは500μm以下、最も好ましくは100μm以下である。微小流路の流路幅が小さすぎると、微小流路にかかる圧力損失が大きくて、連続相および分散相を送液できなくなることがある。逆に、微小流路の流路幅が大きすぎると、電気泳動表示装置用分散液の液滴が目的とする液滴径よりも大きくなり、その結果、電気泳動表示装置用マイクロカプセルの粒子径が大きくなり、電気泳動表示装置の表示性能が低下することがある。なお、微小流路の流路幅とは、断面形状に少なくとも3点で内接する最大円の直径を意味する。
微小流路の処理量は、電気泳動表示装置用分散液を水系媒体中に乳化させる処理速度を表す。粒子径の均一性が高い電気泳動表示装置用マイクロカプセルを製造する方法および設備を用いても、生産性が低ければ、工業化に適さない。本発明の製造方法によれば、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液に電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子が添加されているので、微小流路を用いて、分散液を水系媒体中に長時間にわたって安定した処理速度で乳化させることが可能になる。
本発明の製造方法において、微小流路の処理量は、微小流路1個の処理量であっても、微小流路を並列接続した場合の処理量であってもよい。微小流路の処理量は、0.001mL/min以上であれば、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01mL/min以上、より好ましくは0.1mL/min以上、最も好ましくは1.0mL/min以上である。微小流路の処理量が小さすぎると、工業化に適した処理量ではないので、電気泳動表示装置用分散液を水系媒体中に乳化させる設備費用が高くなり、ひいては、製造コストが上昇することがある。微小流路の処理量の上限は、特に限定されるものではないが、1,000mL/min程度である。
本発明の製造方法において、微小流路を用いて、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液に電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子を添加した分散液の液滴を水系媒体中に形成する際には、この分散液を分散相として微小流路に導入するが、連続相としては、水系媒体が微小流路に導入される。水系媒体としては、特に限定されるものではないが、例えば、水や、水と親水性溶剤(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類など)との混合溶液、水に水溶性高分子(例えば、ゼラチン、アラビアゴム、PVA(ポリビニルアルコール)、CMC(カルボキシメチルセルロース)、大豆多糖類など)を溶解させた水溶液、水に界面活性剤(例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤など)を添加した水溶液、または、これらの水系媒体を複合した溶液などが用いられる。例えば、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液に電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子を添加した分散液の液滴表面に殻体を形成する際に、コアセルベーション法を用いる場合には、水系媒体として、殻体の材料を含有する水溶液を用いることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、微小流路を用いることにより、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液に電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子を添加した分散液の液滴を水系媒体中に含有する乳化液が、微小流路の閉塞を招くことなく、長時間にわたって安定した処理速度で得ることができる。それゆえ、本発明の製造方法によれば、粒子径の均一性が高い電気泳動表示装置用マイクロカプセルを生産性よく製造することができる。
<微粒子>
本発明の製造方法において、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液に添加される微粒子は、電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子である限り、例えば、化学的および物理的構造について、特に限定されるものではない。微粒子の粒子径は、好ましくは0.2μm以下、より好ましくは0.1μm以下、さらに好ましくは0.05μm以下、最も好ましくは0.03μm以下であり、また、好ましくは0.001μm以上である。微粒子の粒子径が大きすぎるか、あるいは、小さすぎると、電気泳動粒子に付着する微粒子の数が少なくなるので、電気泳動粒子の分散安定性が低下し、その結果、微小流路内における分散液の流動性が低下し、微小流路の閉塞を防止する効果が低下することがある。なお、微粒子の粒子径とは、動的光散乱式粒度分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製、商品名「LB−500」)を用いて測定した体積平均粒子径を意味する。
電気泳動粒子に対する微粒子の粒子径比(微粒子の粒子径/電気泳動粒子の粒子径)は、特に限定されるものではないが、好ましくは1/1,000以上、より好ましくは1/500以上、さらに好ましくは1/200以上、最も好ましくは1/100以上であり、また、好ましくは1/10以下、より好ましくは1/30以下、さらに好ましくは1/50以下である。電気泳動粒子に対する微粒子の粒子径比が小さすぎるか、あるいは、大きすぎると、電気泳動粒子に付着する微粒子の数が充分ではないので、電気泳動粒子の分散安定性が低下し、その結果、微小流路内における分散液の流動性が低下し、微小流路の閉塞を防止する効果が低下することがある。
電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液に添加される微粒子は、電気泳動粒子に付着する限り、無機化合物または有機化合物のいずれであってもよい。微粒子が無機化合物である場合、その化学的構造は、特に限定されるものではないが、例えば、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硫化物、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属炭酸塩、金属リン酸塩などが挙げられる。これらの無機化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの無機化合物のうち、価格が安いことや粒子径が小さいことから、金属酸化物が好適である。
金属酸化物としては、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニアなどが挙げられる。本発明では、ケイ素を金属の範疇に含めるものとする。また、粒子径が小さいことから、例えば、ヒュームドシリカ、ヒュームドチタニア、ヒュームドアルミナ、ヒュームドジルコニアが特に好適である。
金属酸化物の市販品としては、例えば、日本アエロジル株式会社などから入手可能な商品名「AEROSIL(登録商標)50」、「AEROSIL(登録商標)90」、「AEROSIL(登録商標)90G」、「AEROSIL(登録商標)130」、「AEROSIL(登録商標)200」、「AEROSIL(登録商標)200V」、「AEROSIL(登録商標)200CF」、「AEROSIL(登録商標)200FAD」、「AEROSIL(登録商標)300」、「AEROSIL(登録商標)300CF」、「AEROSIL(登録商標)380」、「AEROSIL(登録商標)R972」、「AEROSIL(登録商標)R972V」、「AEROSIL(登録商標)R972CF」、「AEROSIL(登録商標)R974」、「AEROSIL(登録商標)380PE」、「AEROSIL(登録商標)R976」、「AEROSIL(登録商標)R976S」、「AEROSIL(登録商標)R202」、「AEROSIL(登録商標)R805」、「AEROSIL(登録商標)R812」、「AEROSIL(登録商標)R812S」、「AEROSIL(登録商標)OX50」、「AEROSIL(登録商標)TT600」、「AEROSIL(登録商標)MOX80」、「AEROSIL(登録商標)MOX170」、「AEROSIL(登録商標)COK84」、「AEROSIL(登録商標)RX200」、「AEROSIL(登録商標)RY200」、「AEROSIL(登録商標)RY200S」、「AEROSIL(登録商標)RX300−5」、「AEROSIL(登録商標)RX300」、「AEROSIL(登録商標)R8200」、「AEROSIL(登録商標)R9200」、「AEROSIL(登録商標)RX50」、「AEROSIL(登録商標)NAX50」、「AEROSIL(登録商標)NX90」、「AEROSIL(登録商標)RY50」、「AEROSIL(登録商標)NY50」、「AEROSIL(登録商標)R104」、「AEROSIL(登録商標)R106」、「AEROSIL(登録商標)NA50H」、「AEROSIL(登録商標)NA50Y」、「AEROSIL(登録商標)RA200H」、「AEROSIL(登録商標)RA200HS」、「AEROSIL(登録商標)NA200Y」、「AEROSIL(登録商標)R816」、「AEROSIL(登録商標)RM50」、「AEROSIL(登録商標)R711」、「AEROSIL(登録商標)R7200」、「AEROXIDE(登録商標)TiO2 T805」、「AEROXIDE(登録商標)TiO2 P25」、「AEROXIDE(登録商標)TiO2 PF2」、「AEROXIDE(登録商標)TiO2 NKT90」、「AEROXIDE(登録商標)Alu C」、「AEROXIDE(登録商標)Alu C805」、「VP ZIRCONOXID(登録商標)3−YSZ」などが挙げられる。
本発明の製造方法において、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液に添加される微粒子は、親水性または疎水性のいずれであってもよい。電気泳動粒子が親水性であれば、親水性の微粒子を用いることが好ましい。また、電気泳動粒子が疎水性であれば、疎水性の微粒子を用いることが好ましい。すなわち、電気泳動粒子および微粒子の性質(親水性または疎水性)を一致させた方が、溶媒中における電気泳動粒子および微粒子の分散性が良好になるので好ましい。ただし、電気泳動粒子および微粒子の種類や特性によっては、必ずしも性質(親水性または疎水性)を一致させることが最良の態様にならない場合がある。
親水性または疎水性を区別する指標として、メタノール疎水化度を用いてもよい。例えば、電気泳動粒子および微粒子が疎水性であれば、微粒子のメタノール疎水化度は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上、最も好ましくは20%以上であり、また、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは75%以下、最も好ましくは70%以下である。微粒子の疎水化度が小さすぎるか、あるいは、大きすぎると、溶媒中における電気泳動粒子および微粒子の分散性が低下することがある。なお、メタノール疎水化度とは、下記の実施例で説明する方法を用いて測定された値である。
分散液中における微粒子の添加量は、電気泳動粒子100質量%に対して、5質量%以下(0質量%を含まない)である限り、特に限定されるものではないが、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。微粒子の添加量が少なすぎると、電気泳動粒子に付着する微粒子の数が少なくなるので、電気泳動粒子の分散安定性が低下し、その結果、微小流路内における分散液の流動性が低下し、微小流路の閉塞を防止する効果が低下することがある。逆に、微粒子の添加量が多すぎると、電気泳動粒子に付着する微粒子の数が多くなるので、電気泳動粒子の凝集安定性が低下し、電気泳動表示装置に用いた場合に、コントラストが低下することがある。
分散液に微粒子を添加する方法は、特に限定されるものではなく、分散液に微粒子を添加しても、分散液を調製する前の電気泳動粒子に微粒子を添加してもよい。いずれの方法であっても、微粒子は、微小流路内における分散液の流動性を向上させ、微小流路の閉塞を防止するという効果を発揮する。
分散液に添加される微粒子の反射率は、特に限定されるものではないが、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは35%以上、最も好ましくは40%以上である。微粒子の反射率が小さすぎると、電気泳動表示装置における白表示の反射率が低下することがある。微粒子の反射率の上限は100%である。なお、微粒子の反射率とは、下記の実施例で説明する方法を用いて測定された値である。
<電気泳動粒子>
本発明の製造方法において、分散液に添加する電気泳動粒子は、電気泳動性を有する固体粒子、すなわち分散液中で正または負の極性を示す着色粒子であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、顔料粒子が用いられる。あるいは、染料で着色したポリマー粒子や顔料を含有させたポリマー粒子を用いてもよい。これらの固体粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの固体粒子のうち、顔料粒子が好適である。なお、電気泳動粒子として、分散液中で電気泳動性を有しない固体粒子を用いる場合には、従来公知の方法で電気泳動性を付与すればよい。あるいは、分散液中で電気泳動性を有する固体粒子と電気泳動性を有しない固体粒子とを併用してもよい。
電気泳動粒子に用いる顔料粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、白色系では、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、亜鉛華などの無機顔料;黄色系では、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、クロムイエロー、黄鉛などの無機顔料や、ファーストイエローなどの不溶性アゾ化合物類、クロモフタルイエローなどの縮合アゾ化合物類、ベンズイミダゾロンアゾイエローなどのアゾ錯塩類、フラバンスイエローなどの縮合多環類、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、ニトロ化合物、ピグメントイエローなどの有機顔料;橙色系では、モリブデートオレンジなどの無機顔料や、ベンズイミダゾロンアゾオレンジなどのアゾ錯塩類、ベリノンオレンジなどの縮合多環類などの有機顔料;赤色系では、ベンガラ、カドミウムレッドなどの無機顔料や、マダレーキなどの染色レーキ類、レーキレッドなどの溶解性アゾ化合物類、ナフトールレッドなどの不溶性アゾ化合物類、クロモフタルスカーレッドなどの縮合アゾ化合物類、チオインジゴボルドーなどの縮合多環類、シンカシヤレッドY、ホスタパームレッドなどのキナクリドン顔料、パーマネントレッド、ファーストスローレッドなどのアゾ系顔料などの有機顔料;紫色系では、マンガンバイオレットなどの無機顔料や、ローダミンレーキなどの染色レーキ類、ジオキサジンバイオレットなどの縮合多環類などの有機顔料;青色系では、紺青、群青、コバルトブルー、セルリアンブルーなどの無機顔料や、フタロシアニンブルーなどのフタロシアニン類、インダンスレンブルーなどのインダンスレン類、アルカリブルーなどの有機顔料;緑色系では、エメラルドグリーン、クロームグリーン、酸化クロム、ビリジアンなどの無機顔料や、ニッケルアゾイエローなどのアゾ錯塩類、ピグメントグリーン、ナフトールグリーンなどのニトロソ化合物類、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン類などの有機顔料;黒色系では、カーボンブラック、チタンブラック、鉄黒などの無機顔料や、アニリンブラックなどの有機顔料;などで構成される粒子が挙げられる。これらの顔料粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの顔料粒子のうち、酸化チタンなどの白色系の顔料粒子や、カーボンブラック、チタンブラックなどの黒色系の顔料粒子が好適である。
なお、酸化チタンの微粒子を用いる場合、その種類は、特に限定されるものではなく、一般に白色系の顔料として用いられるものであれば、例えば、ルチル型またはアナターゼ型のいずれでもよいが、酸化チタンの光触媒活性による着色剤の退色などを考えた場合、光触媒活性の低いルチル型であることが好ましく、さらに、光触媒活性を低減させるために、Si処理、Al処理、Si−Al処理、Zr−Al処理などを施した酸化チタンであれば、より好ましい。
電気泳動粒子にポリマー粒子を用いる場合、その構成ポリマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系ポリマー、ポリハロゲン化オレフィン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、アクリル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、メラミン系ポリマー、尿素系ポリマーなどが挙げられる。なお、「ポリマー」とは、ホモポリマーだけでなく、少量の共重合可能な他のモノマーを共重合させたコポリマーを含むものとする。これらのポリマー粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのポリマー粒子を着色する染料としては、特に限定されるものではないが、例えば、溶媒を着色する染料として列挙した下記のような染料が挙げられる。また、これらのポリマー粒子に含有させる顔料としては、特に限定されるものではないが、例えば、電気泳動粒子に用いる顔料として列挙した上記のような顔料が挙げられる。
分散液中における電気泳動粒子の添加量(2種類以上の電気泳動粒子を用いる場合は、その合計添加量)は、分散液100質量%に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。電気泳動粒子の添加量が少なすぎると、充分な色度が得られず、電気泳動表示装置に用いた場合、コントラストが低下して、表示が不鮮明になることがある。逆に、電気泳動粒子の添加量が多すぎると、分散液の粘度が高くなり、微小流路に分散液を安定的に流せなくなることや、電気泳動表示装置に用いた場合、データ表示のために電圧を印加した部分で、電気泳動粒子の凝集が生じて、コントラストが低下したり、電気泳動粒子の応答時間(表示応答性)が低下したりすることがある。
電気泳動粒子の粒子径は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1μm以上であり、また、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。電気泳動粒子の粒子径が小さすぎると、充分な色度が得られず、電気泳動表示装置に用いた場合、コントラストが低下して、表示が不鮮明になることがある。逆に、電気泳動粒子の粒子径が大きすぎると、粒子自体の着色度を必要以上に高くする必要があり、顔料などの使用量が増大することや、電気泳動表示装置に用いた場合、データ表示のために電圧を印加した部分で、電気泳動粒子の速やかな移動が困難となり、その応答時間(表示応答性)が低下することがある。なお、電気泳動粒子の粒子径とは、動的光散乱式粒度分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製、商品名「LB−500」)を用いて測定した体積平均粒子径を意味する。
電気泳動粒子は、溶媒にそのまま分散させてもよいが、その表面にカップリング剤を反応させたり、その表面をポリマーグラフト処理したり、その表面をポリマーで被覆したりしてから分散させてもよい。このような表面処理を行う場合、電気泳動粒子は、カップリング剤またはポリマーで表面処理された顔料粒子であることが好ましい。なお、本発明では、このように表面処理された電気泳動粒子を単に電気泳動粒子と呼ぶことがある。
<溶媒>
分散液に用いる溶媒としては、従来から一般的に電気泳動表示装置用分散液に用いられている溶媒であればよく、特に限定されるものではないが、より詳しくは、実質的に水に不溶性(疎水性)であり、マイクロカプセルの殻体とその機能を阻害する程度に相互作用しないものであればよく、例えば、高絶縁性の有機溶媒が好適である。
高絶縁性の有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、混合キシレン、エチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ドデシルベンゼン、フェニルキシリルエタンなどのベンゼン系炭化水素などの芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−デカンなどのパラフィン系炭化水素、アイソパー(登録商標)シリーズ(エクソン化学株式会社製)などのイソパラフィン系炭化水素、1−オクテン、1−デセンなどのオレフィン系炭化水素、シクロヘキサン、デカリンなどのナフテン系炭化水素などの脂肪族炭化水素類;ケロシン、石油エーテル、石油ベンジン、リグロイン、工業ガソリン、コールタールナフサ、石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油や石炭由来の炭化水素混合物;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、トリクロロフルオロエタン、テトラブロモエタン、ジブロモテトラフルオロエタン、テトラフルオロジヨードエタン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、トリクロロフルオロエチレン、クロロブタン、クロロシクロヘキサン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードメタン、ジヨードメタン、ヨードホルムなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類;ハイドロフルオロエーテルなどのフッ素系溶剤;などが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの有機溶媒のうち、沸点および引火点が高く、毒性もほとんどないことから、ヘキシルベンゼン、ドデシルベンゼンなどの長鎖アルキルベンゼン、フェニルキシリルエタン、アイソパー(登録商標)シリーズ(エクソン化学株式会社製)、ジメチルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類が好適である。特に、酸化チタンやチタンブラック(比重が約4)などの電気泳動粒子に対して、アイソパー(登録商標)シリーズ(エクソン化学株式会社製)(比重が約0.8)やシリコーンオイル類(比重が約0.9)などの溶媒を組み合わせた場合のように、電気泳動粒子と溶媒との比重差が大きいほど、本発明の効果がより発揮される。
一般に、電気泳動表示には、分散液中の溶媒の色と電気泳動粒子の色とのコントラストで表示する方法と、分散液中の少なくとも2種類の電気泳動粒子の互いの色のコントラストで表示する方法とがある。
溶媒を着色する場合には、電気泳動粒子の色(例えば、酸化チタンの微粒子であれば白色)に対して、充分なコントラストが得られる程度に着色することが好ましい。
溶媒を着色する場合、着色に用いられる染料としては、特に限定されるものではないが、油溶性染料が好適であり、使いやすさの観点から、アゾ染料およびアントラキノン染料などが特に好適である。具体的には、黄色系染料として、オイルイエロー3G(オリエント化学工業株式会社製)などのアゾ化合物類;橙色系染料として、ファーストオレンジG(バスフ・アクチエンゲゼルシャフト製)などのアゾ化合物類;青色系染料として、マクロレックスブルーRR(バイエル・アクチエンゲゼルシャフト製)などのアントラキノン類;緑色系染料として、スミプラスト(登録商標)グリーンG(住友化学株式会社製)などのアントラキノン類;茶色系染料として、オイルブラウンGR(オリエント化学工業株式会社製)などのアゾ化合物類;赤色系染料として、オイルレッド5303(有本化学工業株式会社製)およびオイルレッド5B(オリエント化学工業株式会社製)などのアゾ化合物類;紫色系染料として、オイルバイオレット#730(オリエント化学工業株式会社製)などのアントラキノン類;黒色系染料として、スーダンブラックX60(バスフ・アクチエンゲゼルシャフト製)などのアゾ化合物や、アントラキノン系のマクロレックスブルーFR(バイエル・アクチエンゲゼルシャフト製)とアゾ系のオイルレッドXO(関東化学株式会社製)との混合物が挙げられる。これらの染料は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
<電気泳動表示装置用分散液>
本発明の製造方法において、電気泳動表示装置用分散液は、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液に電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子を添加した分散液である。
微粒子を添加した分散液の粘度は、特に限定されるものではないが、好ましくは500mPa・s以下、より好ましくは100mPa・s以下、さらに好ましくは50mPa・s以下、最も好ましくは10mPa・s以下である。分散液の粘度が高すぎると、分散液を微小流路に流す際の圧力損失が大きくなり、微小流路を用いて乳化処理を行えなくなることや、電気泳動表示装置に用いた場合、データ表示のために電圧を印加した部分で、電気泳動粒子の凝集が生じて、コントラストが低下したり、電気泳動粒子の応答時間(表示応答性)が低下したりすることがある。分散液の粘度の下限は、特に限定されるものではないが、0.1mPa・s程度である。なお、分散液の粘度とは、例えば、B型粘度計(例えば、株式会社トキメック製、商品名「BM−HM型」)を用いて、温度25℃で測定した値である。また、分散液の粘度を測定する前には、分散液に対して充分な超音波分散を行った後、直ちに粘度測定を行う方が好ましい。粘度の値の振れが少ない測定を行うことができるからである。
分散液には、溶媒、電気泳動粒子および微粒子以外に、必要に応じて、染料、分散剤、電荷制御剤、粘度調整剤などを添加してもよい。これらの添加量は、電気泳動粒子および微粒子の機能を阻害しない限り、特に限定されるものではなく、10質量%を上限として、適宜設定すればよい。
<殻体の形成>
マイクロカプセルは、電気泳動粒子と溶媒と含む分散液に電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子を添加した電気泳動表示装置用分散液の液滴を水系媒体中に形成した後、この液滴の表面に殻体を形成することにより製造される。
殻体を形成するにあたっては、マイクロカプセル化工程を含む通常公知の製造方法、具体的には、例えば、コアセルベーション法(相分離法)、液中乾燥法、融解分解冷却法、スプレードライング法、パンコーティング法、気中懸濁被覆法および粉床法などのいわゆる界面沈積法や、界面重合法、In−situ重合法、液中硬化被膜(被覆)法(オリフィス法)および界面反応法(無機化学反応法)などのいわゆる界面反応法などを用いることができる。これらの方法のうち、コアセルベーション法、In−situ重合法、界面重合法、液中乾燥法、融解分解冷却法が好適である。
マイクロカプセルの殻体部分については、従来公知のマイクロカプセルにおける殻体の原料と同様のものを用いて形成することができる。具体的には、コアセルベーション法で製造する場合は、ゼラチンなどの等電点を有する化合物やポリエチレンイミンなどのカチオン性の化合物とアラビアガム、アルギン酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体、デンプンのフタル酸エステル、ポリアクリル酸などのアニオン性物質の組み合わせが好適である。In−situ重合法を用いる場合では、メラミン−ホルマリン樹脂(メラミン−ホルマリンプレポリマー)、ラジカル重合性モノマーなどが好適である。界面重合法を用いる場合では、ポリアミン、グリコール、多価フェノールなどの親水性モノマーと、多塩基酸ハライド、ビスハロホルメール、多価イソシアネートなどの疎水性モノマーとの組み合わせが好適であり、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ尿素などのカプセル殻体が形成される。
殻体の原料には、架橋剤を加えることもでき、耐久性に優れた殻体を有するマイクロカプセルを得ることができる。架橋剤としては、例えば、ホルマリンやグリオキサールなどのアルデヒド化合物、尿素やチオ尿素などの尿素化合物、メラミンやメチロール化メラミンなどのメラミン化合物、多官能のエポキシ化合物、多官能のオキサゾリン化合物、水分散型イソシアネート化合物、エチレンジアミンやポリエチレンイミンなどの多価アミン化合物を挙げることができる。これらの架橋剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
分散液の液滴表面に殻体を形成してマイクロカプセルを調製した後、必要に応じて、吸引濾過や自然濾過などにより、マイクロカプセルを単離してもよい。また、マイクロカプセルを単離した後は、従来公知の方法により、所望の粒径分布となるようにマイクロカプセルを分級してもよい。微小流路で処理して、得られたマイクロカプセルは、粒子径の均一性が比較的高いが、殻体を形成する前に合体した分散液の液滴から形成されたマイクロカプセルは、粒子径が大きいので、簡単な分級処理によって取り除いてもよい。さらに、不純物を除去し、製品品質を向上させるために、得られたマイクロカプセルを洗浄する操作を行うことも好ましい。
<マイクロカプセル>
マイクロカプセルは、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液に電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子を添加した分散液が殻体に内包されている。マイクロカプセルは、球状、円柱状、直方体状などの様々な形状をとることができるが、マイクロカプセルの強度や、マイクロカプセルとバインダー樹脂とを含有する塗工液の塗工性を考慮すると、球状が好適である。
マイクロカプセルのアスペクト比(縦/横)は、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上であり、また、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下である。マイクロカプセルのアスペクト比が約1.0であると、マイクロカプセルが真球に近くなるので、最も好ましい。マイクロカプセルのアスペクト比が小さすぎるか、あるいは、大きすぎると、マイクロカプセルの強度が低下したり、マイクロカプセルとバインダー樹脂とを含有する塗工液の塗工性が低下したりすることがある。
マイクロカプセルの粒子径は、特に限定されるものではないが、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、また、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。マイクロカプセルの粒子径が小さすぎると、電気泳動表示装置に用いた場合に、データ表示部分で充分な表示濃度が得られないことがある。逆に、マイクロカプセルの粒子径が大きすぎると、マイクロカプセルのカプセル強度が低下したり、電気泳動表示装置に用いた場合に、マイクロカプセルに封入した分散液中における電気泳動粒子の電気泳動特性が充分に発揮されず、データ表示のための駆動電圧も高くなったりすることがある。なお、マイクロカプセルの粒子径とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製、商品名「LA−910」)を用いて測定した体積平均粒子径を意味する。
本発明の製造方法によれば、微小流路を用いることにより、マイクロカプセルの粒子径が均一化される。粒子径が均一化されると、表示電極およびバックプレーンに、ほとんどのマイクロカプセルが接触するので、電気泳動表示装置に用いた場合に、コントラストや応答時間が向上する。
他方、粒子径が均一化されていないと、表示電極またはバックプレーンにマイクロカプセルを単層に配置することが困難となり、粒子径が小さいマイクロカプセルは、2層以上に積層する。また、粒子径が極端に大きいマイクロカプセルも含まれ、そのマイクロカプセルの周囲に配置したマイクロカプセルは、一方の電極としか接触することができない。そのため、電気泳動表示装置に用いた場合に、コントラストや応答時間が低下する。
一般に、粒子径のバラツキの程度を表す指標として、Cv値([粒度分布測定における標準偏差/個数平均粒子径]×100(%))が用いられている。本発明における電気泳動表示装置用マイクロカプセルは、粒子径のCv値が小さければ小さいほど好ましい。具体的には、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下、最も好ましくは15%以下である。粒子径のCv値が大きすぎると、表示電極およびバックプレーンに接触できないマイクロカプセルが多数存在するので、電気泳動表示装置に用いた場合に、コントラストや応答時間が低下することがある。
なお、理想的には、Cv値は5%未満である。マイクロカプセルを経済的に生産することを考慮すると、マイクロカプセルを電極フィルム上に配置する際に用いるバインダー樹脂や接着剤層による粒子径のバラツキの補正能力を考慮すると、過度にCv値を小さくしなくても、電気泳動表示装置に用いた場合に、高いコントラストや速い応答時間を維持することが可能になる場合がある。
<マイクロカプセルの用途>
本発明の製造方法で得られたマイクロカプセルは、電気泳動表示装置用マイクロカプセルであるので、電気泳動表示装置が利用・応用可能な表示デバイスを備えた電子機器に用いることができる。このような表示デバイスを備えた電子機器としては、特に限定されるものではないが、例えば、パーソナルコンピューター、ワークステーション、ワードプロセッサー、ICカード、ICタグ、電子手帳、電子辞書、ICレコーダ、電子ブック、電子ペーパー、電子ノート、電卓、電子新聞、電子ホワイトボード、案内板、広告板、各種ディスプレイ、テレビ、DVDプレーヤー、デジタルスチルカメラ、ビューファインダー型またはモニター直視型のビデオカメラ、カーナビゲーションシステム、携帯電話、テレビ電話、ページャ、携帯端末、POS用端末、タッチパネルを備えた各種機器などが挙げられる。これらの電子機器は、従来公知であるが、その表示デバイスを、本発明の製造方法で得られたマイクロカプセルを用いた電気泳動表示装置で置き換えることにより、本発明の電子機器が得られる。
<マイクロカプセルの使用および保存>
本発明の製造方法において、マイクロカプセルは、最終的には、水系媒体中における分散液の形態で得られる。得られたマイクロカプセルは、電気泳動表示装置用マイクロカプセルであるので、電気泳動表示装置の製造に用いられる。電気泳動表示装置を製造するには、まず、電気泳動表示装置用シートを作製する。この場合、マイクロカプセルは、バインダー樹脂と混合して塗工液の形態に調製される。マイクロカプセルは、水系媒体から分離して用いてもよいが、従来公知の濾過装置を用いて、分散液を濾過し、水系媒体の含有率が好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは25%以上であり、また、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下である濾過ケーキの形態で用いることが好ましい。電気泳動表示装置用シートおよびその製造方法については、以下で詳しく説明する。
なお、得られたマイクロカプセルを保存する場合には、マイクロカプセルとバインダー樹脂との混合物である塗工液の形態および/または塗工液をITO付きPETフィルムに塗工して得られる電気泳動表示装置用シートの形態で保存することが好ましい。
≪電気泳動表示装置用シート≫
電気泳動表示装置用シート(以下「表示シート」ということがある。)は、マイクロカプセルとバインダー樹脂とを含む層を有する。このような表示シートにおいて、マイクロカプセルは、全体として面状になるように配置されており、その配置を維持することができるように、バインダー樹脂で固定されている。
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、有機バインダー樹脂が用いられる。有機バインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、液状ポリブタジエン、クマロン樹脂などの合成樹脂バインダー;エチレン−プロピレン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムなどの天然または合成ゴムバインダー;セラック、ロジン(松脂)、エステルガム、硬化ロジン、脱色セラック、白セラックなどの天然樹脂バインダー;硝酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、酢酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの熱可塑性または熱硬化性高分子バインダー;などを挙げることができる。なお、合成樹脂バインダーは、可塑性(熱可塑性)のバインダーであっても、アクリル系、メタクリル系、エポキシ系などの硬化性(熱硬化性、紫外線硬化性、電子線硬化性、湿気硬化性など)のバインダーであってもよい。これらの有機バインダー樹脂は、単独で用いても2種以上併用してもよい。
バインダー樹脂の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、溶剤可溶型、水溶性型、エマルション型および分散型(水/有機溶剤などの任意の溶剤)などが挙げられる。
これらの形態のうち、水溶性型のバインダーとしては、例えば、水溶性アルキド樹脂、水溶性アクリル変性アルキド樹脂、水溶性オイルフリーアルキド樹脂(水溶性ポリエステル樹脂)、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシエステル樹脂、水溶性メラミン樹脂などを挙げることができる。また、エマルション型のバインダーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル共重合ディスパージョン、酢酸ビニル樹脂エマルション、酢酸ビニル共重合樹脂エマルション、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルション、アクリル酸エステル(共)重合樹脂エマルション、スチレン−アクリル酸エステル(共)重合樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、アクリル−シリコーンエマルション、フッ素樹脂エマルションなどを挙げることができる。
<表示シートの基材>
表示シートは、マイクロカプセルとバインダー樹脂とからなるシートであっても、マイクロカプセルおよびバインダー樹脂以外に、他の構成部分や構成成分を有していてもよく、特に限定されるものではない。後者の表示シートとしては、例えば、マイクロカプセルとバインダー樹脂とを含む層(以下「マイクロカプセル層」ということがある。)がフィルム状やシート状の基材上に形成されているか、あるいは、フィルム状やシート状の基材上にマイクロカプセル層を形成した後、このマイクロカプセル層を挟むように別のフィルム状やシート状の基材がさらに配置されている(例えば、マイクロカプセル層がフィルム状やシート状の基材でラミネートされている)表示シートであって、マイクロカプセル層と別の基材とが一体化している表示シートが挙げられる。製造方法が容易であることや、マイクロカプセルの特性を容易に保持したまま製造することができるなどの点で、後者の形態が好ましい。
表示シートは、電気泳動表示装置用の表示シートであるので、フィルム状やシート状の基材を有する場合(上記した後者の表示シートの場合)は、一般に、基材として導電性フィルムが用いられる。導電性フィルムとしては、具体的には、電気泳動表示装置の電極として使用可能な電極フィルムが挙げられる。電極フィルムは、例えば、非透明の電極フィルムであっても、透明電極フィルム(例えば、ITO付きPETフィルムなど)であってもよく、特に限定されるものではないが、透明電極フィルムが好ましく、特に、上記のように、マイクロカプセルとバインダー樹脂とを含む層が2枚の対向する電極フィルムでラミネートされている場合は、少なくとも一方の電極フィルムが透明であることが必要である。
<表示シートの製造方法>
表示シートを製造する方法としては、特に限定されるものではないが、一般には、以下に詳述するように、マイクロカプセルとバインダー樹脂とを混合して塗工液を調製し、この塗工液をフィルム状やシート状の基材の表面に塗工して乾燥させる方法が好ましく採用される。マイクロカプセル層と基材とが一体化している表示シートを得る場合は、乾燥後、そのまま取り扱うようにすればよいが、マイクロカプセル層のみの表示シートとして得る場合は、乾燥後、基材からマクロカプセル層のみを単離する(剥離する)などすればよい。また、マイクロカプセル層が基材でラミネートされている表示シートを得る場合は、乾燥後の塗工面に、さらに基材を重ねて配置し、ラミネートするようにすればよい。
塗工液中におけるマイクロカプセルの濃度は、特に限定されるものではないが、好ましくは30質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下である。マイクロカプセルの濃度がこの範囲内であれば、例えば、マイクロカプセルが基材上に一層で緻密に配置された表示シートを得ることができ、このような表示シートを電気泳動表示装置に用いた場合に、優れた製品品質(表示品質)が発揮され得る。
塗工液の粘度は、特に限定されるものではないが、好ましくは500mPa・s以上、より好ましくは800mPa・s以上であり、また、好ましくは5,000mPa・s以下、より好ましくは4,000mPa・s以下、さらに好ましくは3,000mPa・s以下である。塗工液の粘度がこの範囲内であれば、例えば、マイクロカプセルを基材上に一層で隙間なく配置させることができ、マイクロカプセルが緻密に充填された状態の塗工膜(塗工層)に仕上げることができる。
塗工液には、マイクロカプセルおよびバインダー樹脂以外に、必要に応じて、その他の成分を配合することができる。その他の成分としては、例えば、粘度調整剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤などが挙げられる。その他の成分の配合量は、本発明の効果が損なわれない範囲内で適宜設定することができる。
塗工液を基材に塗工する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、アプリケーターやブレードコーターなどの塗工装置を用いて、基材1枚1枚に塗工する方法であっても、マルチコーターなどの連続塗工装置を用いて、基材に連続塗工する方法であってもよく、必要に応じて、適宜選択できる。
塗工後の乾燥方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の乾燥技術や乾燥条件が採用できる。
表示シートの厚さは、使用するマイクロカプセルの粒子径との兼ね合いもあるので、特に限定されるものではない。マイクロカプセル層の厚さとしては、例えば、好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは250μm以下、より好ましくは180μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。マイクロカプセル層の厚さが小さすぎると、表示シートを電気泳動表示装置に用いた場合、表示部分で充分な表示濃度が得られず、未表示部分との明確な区別ができないことがある。逆に、マイクロカプセル層の厚さが大きすぎると、表示シートを電気泳動表示装置に用いた場合、マイクロカプセル内に封入した分散液中の電気泳動粒子の電気泳動特性を充分に発揮させるためには、駆動電圧を高くすることが必要となり、経済性に劣ることがある。なお、フィルム状やシート状の基材を用いる場合、基材の厚みは、特に限定されるものでなく、数十μmから数mmが好ましい。
表示シートとして、ラミネートされた表示シートを得る場合、ラミネートの方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知のラミネート技術やラミネート条件が採用できる。
表示シートがラミネートされた表示シートである場合、優れた表示品質を安定して発揮し得る電気泳動表示装置を得るためには、一般には、マイクロカプセルを両電極フィルムに充分に密着させたもの(接触面積が大きいもの)であることが好ましい。両電極フィルムとの密着性が低いと、電気泳動性微粒子の応答性の低下や、コントラストの低下などが生じることがある。この密着性を高めるためには、例えば、ラミネート時の温度や圧力を高くするようにすることなどが考えられる。また、使用するマイクロカプセルに関しては、殻体を構成する成分の含有割合を適宜設定し、柔軟性や接着性を高めることなどにより、電極フィルムへの密着のし易さをより一層高めることができ、その場合は、ラミネート時の温度や圧力などの諸条件をある程度緩やかにした状態でも、充分な密着性を得ることができる。
表示シートがラミネートされた表示シートである場合、2枚の対向する電極フィルムの間隔は、特に限定されるものではないが、好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは250μm以下、より好ましくは180μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。2枚の対向する電極フィルムの間隔が小さすぎると、表示シートを電気泳動表示装置に用いた場合、表示部分において充分な表示濃度が得られず、その他の未表示部分との明確な区別ができないことがある。逆に、2枚の対向する電極フィルムの間隔が大きすぎると、表示シートを電気泳動表示装置に用いた場合、マイクロカプセル内に封入した分散液中の電気泳動性微粒子の電気泳動特性を充分に発揮させるためには、駆動電圧を高くすることが必要となり、経済性に劣ることがある。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記の実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、下記の実施例および比較例において、「質量%」を単に「%」で表すことがある。
まず、メタノール疎水化度の測定方法、微粒子の反射率の測定方法、電気泳動粒子および微粒子の粒子径の測定方法、電気泳動粒子の分散安定性の評価方法、マイクロカプセルの粒子径の測定方法、Cv値の測定方法、マイクロリアクタ型の微小乳化装置の作製方法、電気泳動表示装置の作製方法、および、コントラストの測定方法について説明する。
<メタノール疎水化度>
試料0.2gを容量200mLのビーカーに採取し、純水50mLを加えた。電磁攪拌しながら、液面下にメタノールを少しずつ加えた。そして、液面上に試料が認められなくなった点を終点とした。終点までに必要としたメタノール使用量から、次式により、メタノール疎水化度を算出した。
メタノール疎水化度(%)=[x/(50+x)]×100
[式中、xはメタノール使用量(mL)を表す。]
なお、下記の実施例および比較例で用いたヒュームドシリカのうち、AEROSIL(登録商標)R972(日本アエロジル株式会社製)については、メタノール使用量が46mL、メタノール疎水化度が47.9%であり、また、AEROSIL(登録商標)R976S(日本アエロジル株式会社製)については、メタノール使用量が42mL、メタノール疎水化度が45.7%であった。
<微粒子の反射率>
微粒子の反射率は、微粒子をポリエチレン袋に入れ、微粒子の厚さが1cm以上の箇所を、ポリエチレン袋の外側から、マクベス分光光度濃度計(グレターク・マクベス・アクチエンゲゼルシャフト製、商品名「SpectroEye(登録商標)」)を用いて測定した。なお、下記の実施例および比較例で用いたヒュームドシリカのうち、AEROSIL(登録商標)R972(日本アエロジル株式会社製)については、反射率が57%であり、また、AEROSIL(登録商標)R976S(日本アエロジル株式会社製)については、反射率が53%であった。
<電気泳動粒子および微粒子の粒子径>
電気泳動粒子および微粒子の粒子径は、動的光散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、商品名「LB−500」)を用いて、体積平均粒子径を測定した。
<電気泳動粒子の分散安定性>
電気泳動表示装置用分散液をプレパラート上に一滴垂らして、電気泳動粒子の分散状態を光学顕微鏡(株式会社キーエンス製、商品名「VHX(登録商標)−500」;倍率3,000倍)で観察し、下記の基準で電気泳動粒子の分散安定性を評価した。なお、電気泳動粒子が凝集した二次粒子の粒子径は、この光学顕微鏡で観察した場合の外接円相当径を意味する。また、電気泳動粒子が凝集した粒子径1μm以上の二次粒子の数は、この光学顕微鏡のモニター1画面あたりに観察される数である。
○:電気泳動粒子が凝集した粒子径1μm以上の二次粒子が全く認められず、電気泳動粒子が略均一に分散している;
△:電気泳動粒子が凝集した粒子径1μm以上の二次粒子が1または2個認められる;
×:電気泳動粒子が凝集した粒子径1μm以上の二次粒子が3個以上認められる。
<分散液の粘度>
分散液の粘度は、超音波分散処理を行った後、直ちに、B型粘度計(株式会社トキメック製、商品名「BM−HM型」)を用いて、温度25℃で測定した。
<マイクロカプセルの粒子径>
マイクロカプセルの粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、商品名「LA−910」)を用いて、体積平均粒子径を測定した。
<Cv値>
Cv値は、細胞計数分析装置(コールターカウンター)を用いて、乳化液中に存在する電気泳動表示装置用分散液の液滴の個数平均粒子径を測定し、得られた個数平均粒子径と粒度分布測定における標準偏差値とから、次式より算出した。
Cv値=[(粒度分布測定における標準偏差値)/(個数平均粒子径)]×100
<マイクロリアクタ型の微小乳化装置の作製>
まず、2枚のアルミ板の各表面に、互いに直交したT字状であり、断面形状が半円形の溝を切削した。一方のアルミ板について、第1の流路の導入口、第1の流路の排出口、第2の流路の導入口に対応する位置に円形の穴を開けた。これらの2枚のアルミ板を互いの溝が対向するように重ね合わせて固定した。また、第1の流路の導入口、第1の流路の排出口、第2の流路の導入口に対応する位置に開けた各穴にテフロン(登録商標)チューブを挿入して固定した。第1の流路および第2の流路の断面形状は、いずれも円形であり、第1の流路の流路幅(直径)は100μm、第2の流路幅(直径)は20μmであった。さらに、第1の流路の導入口および第2の流路の導入口から第1の流路と第2の流路とが交差する箇所までの距離は、いずれも約1cmであり、第1の流路と第2の流路とが交差する箇所から第1の流路の排出口までの距離は、約5mmであった。第1の流路の導入口に挿入して固定したテフロン(登録商標)チューブの先端には、連続相を供給するための容量50mLのマイクロシリンジポンプを接続し、第2の流路の導入口に挿入して固定したテフロン(登録商標)チューブの先端には、分散相を供給するための容量10mLのマイクロシリンジポンプを接続した。第1の流路の排出口に挿入して固定したテフロン(登録商標)チューブの先端には、乳化液を受けるためのビーカーを備え付けた。かくして、電気泳動表示装置用分散液を乳化処理するためのマイクロリアクタ型の微小乳化装置を得た。
<電気泳動表示装置の作製>
一辺に未塗布部分(導電性部分)を残した状態で、塗布部分が縦×横=5cm×3cmのマイクロカプセル塗布シート(電気泳動表示装置用シート)と、縦×横=6cm×4cmの厚さ75μmのITO付きPETフィルム(対向電極)を貼り合わせ(任意の2個所をセロテープ(登録商標)で止める)、厚さ2mmのガラス板上に置き、2本のロール間を通過させてラミネートすることにより、電気泳動表示装置を作製した。
なお、ロールはシリコンゴムロールであり、ロール径は3インチ(7.62cm)、上方ロールは熱媒により加熱されており、ロール表面温度は120℃、ロールは駆動回転しており、0.2mPa・sの空気圧で下方ロールに圧着されており、ロール間の間隙は0mm、下方ロールは加熱されておらず、フリー回転で、ロール位置は固定されていた。6cm/minの送り速度でロールを回転させ、ラミネート面が加熱ロール側になるようにガラス板上に試料を乗せてロール間を通過させた。
<コントラスト>
電気泳動表示装置の両電極間に40Vの直流電圧を0.4秒間印加して、白表示または黒表示をさせ、各表示の反射率をマクベス分光光度濃度計(グレターク・マクベス・アクチエンゲゼルシャフト製、商品名「SpectroEye(登録商標)」)を用いて測定し、コントラスト(反射率比)を次式で算出した。
コントラスト=白表示の反射率/黒表示の反射率
なお、白表示および黒表示の反射率は、極性を切り替えて電圧を印加することにより別々に測定し、各反射率は電気泳動表示装置の片面全体について測定した平均値とする。
次に、電気泳動表示装置用分散液を調製するための原料の合成例について説明する。
≪合成例1≫
攪拌羽根、温度計、冷却管を備えた容量300mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル(組成モル比80:15:5)からなるアクリル系ポリマー(質量平均分子量3,300)2g、カーボンブラック(三菱化学株式会社製、商品名「MA−100R」)20g、アイソパー(登録商標)M(エクソン化学株式会社製)78gを仕込み、さらに直径1mmのジルコニアビーズ800gを仕込んだ。
回転数300rpmで攪拌しながら、160℃で2時間反応させてポリマーグラフト処理を行った。処理後、さらにアイソパー(登録商標)M(エクソン化学株式会社製)100gを添加し、充分に混合した。その後、ジルコニアビーズを分離して、ポリマーグラフト処理されたカーボンブラック(ここでは、カーボンブラックの表面に存在するカルボキシ基にアクリル系ポリマーのエポキシ基を反応させた。)を含有する固形分11%の分散液150gを得た。
この分散液に含まれる電気泳動粒子の粒子径を測定したところ、体積平均粒子径が0.2μmであった。
一方、攪拌羽根を備えた容量300mLのセパラブルフラスコに、酸化チタン(石原産業株式会社製、商品名「タイペーク(登録商標)CR90」)50g、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(組成モル比80:15:5)からなるアクリル系ポリマー(質量平均分子量6,800)5g、ヘキサン100gを仕込み、55℃の超音波浴槽(ヤマト科学株式会社製、商品名「BRANSON(登録商標)5210」)に入れ、攪拌しながら、超音波分散処理を2時間行った。
このセパラブルフラスコを90℃の温水槽に移し、溶媒を留去し、粉体状となった酸化チタンをフラスコから取り出し、バットに移した後、乾燥機中、150℃で熱処理を5時間行った。
熱処理された酸化チタンをヘキサン100gに分散させ、遠心沈降器で遠心分離し、酸化チタンを洗浄する操作を3回行った後、100℃で乾燥させた。
容量300mLのセパラブルフラスコに、洗浄処理された酸化チタン50g、アイソパー(登録商標)M(エクソン化学株式会社製)50gを仕込み、55℃の超音波浴槽(ヤマト科学株式会社製、商品名「BRANSON(登録商標)5210」)に入れ、攪拌しながら、超音波分散処理を2時間行って、ポリマーグラフト処理された酸化チタン(ここでは、酸化チタンの表面に存在するシラノール基にアクリル系ポリマーのアルコキシシリル基を反応させた。)を含有する固形分50%の分散液100gを得た。
この分散液に含まれる電気泳動粒子の粒子径を測定したところ、体積平均粒子径が0.5μmであった。
容量200mLのマヨネーズビンに、ポリマーグラフト処理されたカーボンブラックの分散液6g、ポリマーグラフト処理された酸化チタンの分散液75g、アイソパー(登録商標)M(エクソン化学株式会社製)19gを仕込み、充分に混合して、電気泳動粒子の濃度がカーボンブラック0.66%および酸化チタン37.5%である分散液(C−1)を得た。
≪実施例1≫
まず、連続相として、容量200mLのビーカーに、水50g、アラビアガム6g、ゼラチン6gを仕込み、溶解させ、ゼラチン/アラビアゴム水溶液を得た。一方、分散相として、分散液(C−1)50gの固形分(電気泳動粒子)100質量%に対して、微粒子として、0.1質量%(38mg)のヒュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、商品名「AEROSIL(登録商標)R972」(粒子径約16nm)を添加し、55℃の超音波浴槽(ヤマト科学株式会社製、商品名「BRANSON(登録商標)5210」)で超音波分散を行い、電気泳動表示装置用分散液(1)を得た。
得られた電気泳動表示装置用分散液(1)中における電気泳動粒子の分散安定性を評価した。その結果を表1に示す。なお、電気泳動表示装置用分散液(1)の粘度を測定したところ、3.0mPa・sであった。
次いで、上記で説明した方法により作製したマイクロリアクタ型の微小乳化装置(すなわち、微小流路)を用いて、上記のゼラチン/アラビアゴム水溶液を連続相として、また、電気泳動表示装置用分散液(1)を分散相として、乳化処理を行った。その際、マイクロシリンジポンプを用いることにより、連続相の流量0.6mL/min、分散相の流量0.3mL/minの条件で、90分間にわたって連続して乳化処理を行い、69gの乳化液を得た。乳化液の一部を採取し、プレパラートに載せて、光学顕微鏡(株式会社キーエンス製、商品名「VHX(登録商標)−500」;倍率500倍)で観察したところ、直径約40μmの液滴が略均一に揃っているのが確認された。
この乳化液を容量200mLのセパラブルフラスコに移し、パドル翼を用いて、180rpmで攪拌した。さらに、温度計、pHメーターをセットし、全体を攪拌しながら40℃を保持した。
次いで、10%酢酸水溶液を徐々に滴下してpH4.3に調整した。光学顕微鏡(株式会社キーエンス製、商品名「VHX(登録商標)−500」;倍率500倍)でゼラチン/アラビアガムの析出およびマイクロカプセルの形成を確認した後、10℃に冷却した。すなわち、本実施例では、コアセルベーション法により、ゼラチン/アラビアガムの殻体に分散液が内包されているマイクロカプセルを調製した。
冷却状態で30分間保持した後、37%ホルマリン水溶液1.5mLを添加し、10%炭酸ナトリウム水溶液を徐々に滴下してpH8.8に調整した後、30℃に昇温して2時間保持した。さらに40℃で1時間熟成した後、25℃に冷却し、目開き53μmの標準ふるいで粗大カプセルを除去した。次いで、マイクロカプセル分散液を容量1Lのビーカーに入れ、水を添加して、全体量を700mLとした。そのまま静置して、マイクロカプセルを沈降させ、上澄み液を廃棄した。この操作を3回繰り返して、マイクロカプセルを洗浄した。
得られた電気泳動表示装置用マイクロカプセル(1)の粒子径を測定したところ、体積平均粒子径が42.0μmであった。また、Cv値は、10.5%であった。その結果を表1に示す。
この電気泳動表示装置用マイクロカプセル(1)を吸引濾過して、固形分65%の電気泳動表示装置用マイクロカプセルペースト(1)を得た。このペースト5gにアルカリ可溶型アクリル樹脂(株式会社日本触媒製、商品名「WR301A」)をアンモニアで溶解した固形分50%の樹脂液1gを添加し、混合機(株式会社シンキー製、商品名「あわとり練太郎(登録商標)AR−100」)で10分間混合して塗工液を得た。
この塗工液をITO付きPETフィルムにアプリケーターで塗布した後、60℃で10分間乾燥させて、電気泳動表示装置用シート(1)を得た。
この電気泳動表示装置用シート(1)を用いて、上記で説明した方法により、電気泳動表示装置を作製し、コントラストを測定した。その結果を表1に示す。
≪実施例2≫
実施例1において、微粒子をヒュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、商品名「AEROSIL(登録商標)R976S」(粒子径約7nm)に変更し、微粒子の添加量を0.3質量%(0.11mg)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして電気泳動表示装置用分散液(2)を得た。
得られた電気泳動表示装置用分散液(2)中における電気泳動粒子の分散安定性を評価した。その結果を表1に示す。なお、電気泳動表示装置用分散液(2)の粘度を測定したところ、2.8mPa・sであった。
実施例1において、分散相として、電気泳動表示装置用分散液(1)に代えて、電気泳動表示装置用分散液(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気泳動表示装置用マイクロカプセル(2)を得た。
得られた電気泳動表示装置用マイクロカプセル(2)の粒子径を測定したところ、体積平均粒子径が38.9μmであった。また、Cv値は、9.7%であった。その結果を表1に示す。
実施例1において、電気泳動表示装置用マイクロカプセル(1)に代えて、電気泳動表示装置用マイクロカプセル(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気泳動表示装置用シート(2)を得た。
この電気泳動表示装置用シート(2)を用いて、上記で説明した方法により、電気泳動表示装置を作製し、コントラストを測定した。その結果を表1に示す。
≪比較例1≫
この比較例では、分散液(C−1)に微粒子を添加せずに、電気泳動表示装置用分散液(C1)として用いた。電気泳動表示装置用分散液(C1)中における電気泳動粒子の分散安定性を評価した。その結果を表1に示す。なお、電気泳動表示装置用分散液(C1)の粘度を測定したところ、4.0mPa・sであった。
まず、容量500mLの平底セパラブルフラスコに、水60g、アラビアゴム6g、ゼラチン6gを仕込み、溶解させ、ゼラチン/アラビアゴム水溶液を得た。この水溶液を43℃に保持しながら、50℃に加温した電気泳動表示装置用分散液(C1)100gを、ディスパー(プライミクス株式会社製、商品名「T.K.ロボミックス(登録商標)」)を用いて、350rpmで攪拌しながら、添加した。その後、攪拌速度を1,600rpmに変更して2分間攪拌した後、攪拌速度を1,000rpmに変更し、41℃の温水300mLを添加して、懸濁液を得た。攪拌をパドル翼による攪拌に変更し、温度計、pHメーターをセットし、全体を攪拌しながら40℃を保持した。
次いで、10%酢酸水溶液を徐々に滴下してpH4.3に調整した。光学顕微鏡(株式会社キーエンス製、商品名「VHX(登録商標)−500」;倍率500倍)でゼラチン/アラビアゴムの析出およびマイクロカプセルの形成を確認した後、10℃に冷却した。すなわち、本比較例では、コアセルベーション法により、ゼラチン/アラビアガムの殻体に分散液が内包されているマイクロカプセルを調製した。
冷却状態で30分間保持した後、37%ホルマリン水溶液3mLを添加し、10%炭酸ナトリウム水溶液を徐々に滴下してpH8.8に調整した後、30℃に昇温して2時間保持した。さらに40℃で1時間熟成した後、25℃に冷却し、目開き53μmの標準ふるいで粗大カプセルを除去した。次いで、マイクロカプセル分散液を容量2Lのビーカーに入れ、水を添加して、全体量を1,000mLとした。そのまま静置して、マイクロカプセルを沈降させ、上澄み液を廃棄した。この操作を3回繰り返して、マイクロカプセルを洗浄した。
得られた電気泳動表示装置用マイクロカプセル(C1)の粒子径を測定したところ、体積平均粒子径が41.1μmであった。また、Cv値は、36.0%であった。その結果を表1に示す。
実施例1において、電気泳動表示装置用マイクロカプセル(1)に代えて、電気泳動表示装置用マイクロカプセル(C1)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気泳動表示装置用シート(C1)を得た。
この電気泳動表示装置用シート(C1)を用いて、上記で説明した方法により、電気泳動表示装置を作製し、コントラストを測定した。その結果を表1に示す。
≪比較例2≫
実施例1において、微粒子の添加量を0.3質量%(0.11mg)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして電気泳動表示装置用分散液(C2)を得た。
得られた電気泳動表示装置用分散液(C2)中における電気泳動粒子の分散安定性を評価した。その結果を表1に示す。なお、電気泳動表示装置用分散液(C2)の粘度を測定したところ、2.5mPa・sであった。
比較例1において、電気泳動表示装置用分散液(C1)に代えて、電気泳動表示装置用分散液(C2)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、電気泳動表示装置用マイクロカプセル(C2)を得た。
得られた電気泳動表示装置用マイクロカプセル(C2)の粒子径を測定したところ、体積平均粒子径が40.5μmであった。また、Cv値は、37.8%であった。その結果を表1に示す。
実施例1において、電気泳動表示装置用マイクロカプセル(1)に代えて、電気泳動表示装置用マイクロカプセル(C2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気泳動表示装置用シート(C2)を得た。
この電気泳動表示装置用シート(C2)を用いて、上記で説明した方法により、電気泳動表示装置を作製し、コントラストを測定した。その結果を表1に示す。
≪比較例3≫
この比較例では、分散液(C−1)に微粒子を添加せずに、電気泳動表示装置用分散液(C3)として用いた。電気泳動表示装置用分散液(C3)中における電気泳動粒子の分散安定性を評価した。その結果を表1に示す。
実施例1において、分散相として、電気泳動表示装置用分散液(1)に代えて、電気泳動表示装置用分散液(C3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、乳化処理を行ったところ、最初の30分間は安定的に分散相が流れたが、それ以降は、不安定になり、得られた乳化液は、分散液の液滴径が不均一であった。さらに、乳化処理を続けると、分散相が微小流路内で閉塞し、出てこなくなった。そのため、殻体の形成は、行うことができなかった。
Figure 2009276567
表1から明らかなように、実施例1および2の電気泳動表示装置用分散液は、電気泳動粒子に加えて、電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子を含有するので、電気泳動粒子の分散安定性に優れていた。また、このような電気泳動表示装置用分散液を用いて作製した実施例1および2の電気泳動表示装置用マイクロカプセルは、電気泳動表示装置用分散液の乳化処理に微小流路を用いたので、Cv値が小さく、粒子径の均一性が高かった。しかも、微小流路を用いた電気泳動表示装置用分散液の乳化処理は、90分間以上にわたって安定に行うことができた。さらに、このような電気泳動表示装置用マイクロカプセルを用いて作製した実施例1および2の電気泳動表示装置は、高いコントラストを示し、表示性能に優れていた。
これに対し、比較例1の電気泳動表示装置用分散液は、微粒子を添加していないので、電気泳動粒子の分散安定性に劣っていた。また、このような電気泳動表示装置用分散液を用いて作製した比較例1の電気泳動表示装置用マイクロカプセルは、電気泳動表示装置用分散液の乳化処理にディスパーを用いたので、Cv値が大きく、粒子径の均一性が低かった。さらに、このような電気泳動表示装置用マイクロカプセルを用いて作製した比較例1の電気泳動表示装置は、低いコントラストを示し、表示性能に劣っていた。比較例2の電気泳動表示装置用分散液は、電気泳動粒子に加えて、電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子を含有するので、電気泳動粒子の分散安定性に優れていた。このような電気泳動表示装置用分散液を用いて作製した比較例2の電気泳動表示装置用マイクロカプセルは、電気泳動表示装置用分散液の乳化処理にディスパーを用いたので、Cv値が大きく、粒子径の均一性が低かった。さらに、このような電気泳動表示装置用マイクロカプセルを用いて作製した比較例1の電気泳動表示装置は、低いコントラストを示し、表示性能に劣っていた。比較例3の電気泳動表示装置用分散液は、微粒子を添加していないので、電気泳動粒子の分散安定性に劣っていた。また、このような電気泳動表示装置用分散液を用いて電気泳動表示装置用マイクロカプセルを作製しようとしたところ、わずか30分間で微小流路による乳化が不安定になり、やがて微小流路が閉塞してしまった。
かくして、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液に、電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子を添加すれば、微小流路を用いて、分散液を水系媒体中に長時間にわたって安定的に略均一な液滴径で乳化させることができ、その結果、粒子径の均一性が高い電気泳動表示装置用マイクロカプセルを生産性よく製造することができることがわかる。また、粒子径の均一性が高い電気泳動表示装置用マイクロカプセルを用いて作製した電気泳動表示装置は、高いコントラストを示し、表示性能に優れることがわかる。
本発明による電気泳動表示装置用マイクロカプセルの製造方法は、微小流路を用いて、電気泳動表示装置用分散液を長時間にわたって安定的に略均一な液滴径で乳化させることができ、その結果、粒子径の均一性が高い電気泳動表示装置用マイクロカプセルを生産性よく製造することができる。得られた電気泳動表示装置用マイクロカプセルを用いて作製した電気泳動表示装置は、高いコントラストを示し、表示性能に優れている。それゆえ、本発明による電気泳動表示装置用マイクロカプセルの製造方法は、電気泳動表示装置を備えている電子機器に関連する分野で多大の貢献をなすものである。
本発明による電気泳動表示装置用マイクロカプセルの製造方法に用いられる微小流路の代表例を模式的に示す概略図である。
符号の説明
1 第1の流路
2 第2の流路
3 第1の流路と第2の流路とが交差する箇所
4 第1の流路の導入口
5 第2の流路の導入口
6 第1の流路の排出口
7 水系媒体
8 電気泳動表示装置用分散液
9 電気泳動表示装置用分散液の液滴

Claims (6)

  1. 微小流路を用いて、電気泳動粒子と溶媒とを含む分散液の液滴を水系媒体中に形成した後、該液滴の表面に殻体を形成することにより、該分散液が該殻体に内包されている電気泳動表示装置用マイクロカプセルを製造するにあたり、該分散液に該電気泳動粒子よりも粒子径が小さい微粒子を添加することを特徴とする電気泳動表示装置用マイクロカプセルの製造方法。
  2. 前記微粒子の添加量が前記電気泳動粒子100質量%に対して5質量%以下(0質量%を含まない)である請求項1記載の製造方法。
  3. 前記電気泳動粒子に対する前記微粒子の粒子径比が1/10以下である請求項1または2記載の製造方法。
  4. 前記電気泳動表示装置用マイクロカプセルの粒子径のCv値が30%以下である請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
  5. 前記微小流路の流路幅が100μm以下である請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
  6. 前記微小流路の処理量が0.001mL/min以上である請求項5記載の製造方法。
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