JP2002129222A - 冷鉄源の溶解方法及び溶解設備 - Google Patents

冷鉄源の溶解方法及び溶解設備

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JP2002129222A
JP2002129222A JP2000318711A JP2000318711A JP2002129222A JP 2002129222 A JP2002129222 A JP 2002129222A JP 2000318711 A JP2000318711 A JP 2000318711A JP 2000318711 A JP2000318711 A JP 2000318711A JP 2002129222 A JP2002129222 A JP 2002129222A
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cold iron
melting
melting chamber
cold
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JP2000318711A
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English (en)
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Takeshi Nakayama
剛 中山
Ryuji Yamaguchi
隆二 山口
Hideaki Mizukami
秀昭 水上
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
  • Vertical, Hearth, Or Arc Furnaces (AREA)
  • Furnace Charging Or Discharging (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 予熱室を必要とせずに冷鉄源を予熱すること
ができ、且つ、出湯時の溶湯温度が制御可能である冷鉄
源の溶解方法及び溶解設備を提供する。 【解決手段】 本発明による冷鉄源の溶解設備1は、冷
鉄源装入口3及びこの冷鉄源装入口直下の底部に嵩上げ
部2cを備えた溶解室2と、溶解室内で冷鉄源18を溶
解するためのアーク発生用電極7,8と、冷鉄源が嵩上
げ部に常に存在する状態を保つように溶解室へ冷鉄源を
連続的又は断続的に供給する冷鉄源供給手段17とを有
し、冷鉄源が嵩上げ部に存在する状態で溶湯19を出湯
する冷鉄源の溶解設備であって、前記嵩上げ部は所定量
の溶湯を溶解室内で溶解しても溶湯が到達しない高さを
有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄スクラップや直
接還元鉄等の冷鉄源をアーク熱により効率良く溶解する
溶解方法及び溶解設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】製鋼用アーク溶解設備では、アーク発生
用電極から発生するアーク熱にて鉄スクラップや直接還
元鉄等の冷鉄源を加熱・溶解し、精錬して溶鋼を製造す
るが、多くの電力を消費するため、溶解中にアーク溶解
設備の溶解室から発生する高温の排ガスを利用して冷鉄
源を予熱し、予熱した冷鉄源を溶解することによって電
力使用量を削減する方法が多数提案されている。
【0003】例えば、特公平6−46145号公報(以
下「先行技術1」と記す)には、溶解室に直結したシャ
フト型の予熱室を設け、溶解室内と予熱室内とに1ヒー
ト分の冷鉄源を溶解毎に装入して、この冷鉄源を排ガス
で予熱しつつ溶解する設備が開示されている。先行技術
1では、予熱室が溶解室に直結されているので冷鉄源の
保持・搬送用設備が必要でなく、そのため、これら設備
の熱による設備トラブルを懸念することなく排ガス温度
を上昇させ、冷鉄源の予熱温度を上げることができるの
で、電力削減効果に優れるが、1ヒート分の溶鋼量を溶
解する毎に予熱室内の全ての冷鉄源を溶解して出湯する
ため、ヒートの最初に溶解される冷鉄源は常に予熱され
ず、排ガスの有効利用という点では十分とはいえない。
【0004】この問題を解決すべく、特開平10−29
2990号公報(以下「先行技術2」と記す)が本発明
者等により提案されている。先行技術2では、溶解室
と、その上部に直結するシャフト型の予熱室とを備えた
アーク溶解設備を用い、冷鉄源が予熱室と溶解室とに連
続して存在する状態を保つように冷鉄源を連続的又は断
続的に予熱室へ供給しながら、溶解室内の冷鉄源をアー
クにて溶解し、溶解室に所定量の溶鋼が溜まった時点
で、冷鉄源が予熱室と溶解室とに連続して存在する状態
で溶鋼を出湯する溶解方法としているので、予熱室内及
び溶解室内には常に冷鉄源が存在して、2ヒート目以降
では溶解される全ての冷鉄源が溶解室で発生する排ガス
により予熱され、電力使用量の大幅な削減が達成され
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先行技
術2でも以下の問題点がある。即ち、予熱室内での冷鉄
源の融着或いは機械的原因により棚吊りが発生して安定
操業が難しく、又、予熱室内で未燃焼ガスを燃焼させる
ために酸素含有ガスを供給しても、予熱室内では冷鉄源
が充填しているために安定的に未燃焼ガスを燃焼させる
ことができず、予熱温度を十分高くすることが困難であ
る。又、予熱室が上方に突出しているために建家高さが
高くなり、設備費が増大する。
【0006】更に、溶解室内において溶鋼と冷鉄源とが
常に共存する状態、即ち溶鋼中に冷鉄源が浸かった状態
で出湯するため、出湯される溶鋼の温度が低く、出湯時
にアーク溶解設備の出湯口での凝固地金付着により出湯
が阻害される虞があり、又、溶鋼温度が低いために、取
鍋等の溶湯保持容器への出湯後、溶湯保持容器内壁へ凝
固地金が付着し、歩留まりの低下や製品の品質低下の原
因となる。
【0007】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
その目的とするところは、シャフト型の予熱室を必要と
せずに冷鉄源を連続的に予熱することができ、且つ、未
燃焼ガスを安定的に燃焼させて冷鉄源を高温度に予熱す
ることが可能であり、従来の排ガスを利用して冷鉄源を
予熱する方法では達成できない極めて高効率で溶解する
ことができると共に、出湯時の溶湯温度を上昇させて、
溶湯温度の低下に伴う出湯口での地金付着による閉塞や
溶湯保持容器内壁への地金付着を防止することを可能と
する冷鉄源の溶解方法及び溶解設備を提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1の発明による冷鉄源
の溶解方法は、アーク発生用電極及び冷鉄源装入口を備
えた溶解室と、この溶解室内に冷鉄源を供給する冷鉄源
供給手段とを具備したアーク溶解設備での冷鉄源の溶解
方法において、冷鉄源装入口直下の溶解室の底部に嵩上
げ部を設置しておき、冷鉄源が嵩上げ部に常に存在する
状態を保つように、冷鉄源供給手段を用いて冷鉄源装入
口から冷鉄源を連続的又は断続的に溶解室へ供給しなが
ら溶解室内の冷鉄源をアークにて溶解し、溶解室内の溶
湯湯面が嵩上げ部に到達する前に、冷鉄源が嵩上げ部に
存在する状態で溶湯を出湯することを特徴とするもので
ある。
【0009】第2の発明による冷鉄源の溶解方法は、ア
ーク発生用電極及び冷鉄源装入口を備えた溶解室と、こ
の溶解室内に冷鉄源を供給する冷鉄源供給手段とを具備
したアーク溶解設備での冷鉄源の溶解方法において、冷
鉄源装入口直下の溶解室の底部に嵩上げ部を設置してお
き、冷鉄源が嵩上げ部に常に存在する状態を保つよう
に、冷鉄源供給手段を用いて冷鉄源装入口から冷鉄源を
連続的又は断続的に溶解室へ供給しながら、酸素及び炭
材を溶解室内に吹き込みつつ、又は溶解室内をバーナー
にて加熱しつつ、若しくは双方を行いつつ、溶解室内の
冷鉄源をアークにて溶解し、次いで、酸素及び炭材吹き
込み、並びにバーナー加熱を停止してアークにて溶湯を
加熱・昇温した後、溶解室内の溶湯湯面が嵩上げ部に到
達する前に、冷鉄源が嵩上げ部に存在する状態で溶湯を
出湯することを特徴とするものである。
【0010】第3の発明による冷鉄源の溶解方法は、ア
ーク発生用電極及び冷鉄源装入口を備えた溶解室と、こ
の溶解室内に冷鉄源を供給する冷鉄源供給手段と、溶解
室内を出入りする1基若しくは2基以上のプッシャーと
を具備したアーク溶解設備での冷鉄源の溶解方法におい
て、冷鉄源装入口直下の溶解室の底部に嵩上げ部を設置
しておき、冷鉄源が嵩上げ部に常に存在する状態を保つ
ように、冷鉄源供給手段を用いて冷鉄源装入口から冷鉄
源を連続的又は断続的に溶解室へ供給すると共に、プッ
シャーを溶解室内に出入りさせて嵩上げ部に堆積した冷
鉄源を溶解室内に生成される溶湯側に供給しながら溶解
室内の冷鉄源をアークにて溶解し、次いで、プッシャー
を停止してアークにて溶湯を加熱・昇温した後、溶解室
内の溶湯湯面が嵩上げ部に到達する前に、冷鉄源が嵩上
げ部に存在する状態で溶湯を出湯することを特徴とする
ものである。
【0011】第4の発明による冷鉄源の溶解方法は、ア
ーク発生用電極及び冷鉄源装入口を備えた溶解室と、こ
の溶解室内に冷鉄源を供給する冷鉄源供給手段と、溶解
室に突設され、出湯口を有する出湯部とを具備し、溶解
室内の冷鉄源は溶解中に溶解室の冷鉄源装入口が設けら
れている一方側から他方側へ向けて供給され、出湯部は
その冷鉄源の供給方向とは異なる方向に設けられたアー
ク溶解設備での冷鉄源の溶解方法であって、冷鉄源装入
口直下の溶解室の底部に嵩上げ部を設置しておき、冷鉄
源が嵩上げ部に常に存在する状態を保つように、冷鉄源
供給手段を用いて冷鉄源装入口から冷鉄源を連続的又は
断続的に溶解室へ供給しながら溶解室内の冷鉄源をアー
クにて溶解し、溶解室内の溶湯湯面が嵩上げ部に到達す
る前に、冷鉄源が嵩上げ部に存在する状態で溶湯を出湯
することを特徴とするものである。
【0012】第5の発明による冷鉄源の溶解方法は、ア
ーク発生用電極及び冷鉄源装入口を備えた溶解室と、こ
の溶解室内に冷鉄源を供給する冷鉄源供給手段と、溶解
室に突設され、出湯口を有する出湯部とを具備し、溶解
室内の冷鉄源は溶解中に溶解室の冷鉄源装入口が設けら
れている一方側から他方側へ向けて供給され、出湯部は
その冷鉄源の供給方向とは異なる方向に設けられたアー
ク溶解設備での冷鉄源の溶解方法であって、冷鉄源装入
口直下の溶解室の底部に嵩上げ部を設置しておき、冷鉄
源が嵩上げ部に常に存在する状態を保つように、冷鉄源
供給手段を用いて冷鉄源装入口から冷鉄源を連続的又は
断続的に溶解室へ供給しながら、酸素及び炭材を溶解室
内に吹き込みつつ、又は溶解室内をバーナーにて加熱し
つつ、若しくは双方を行いつつ、溶解室内の冷鉄源をア
ークにて溶解し、次いで、酸素及び炭材吹き込み、並び
にバーナー加熱を停止してアークにて溶湯を加熱・昇温
した後、溶解室内の溶湯湯面が嵩上げ部に到達する前
に、冷鉄源が嵩上げ部に存在する状態で溶湯を出湯する
ことを特徴とするものである。
【0013】第6の発明による冷鉄源の溶解方法は、ア
ーク発生用電極及び冷鉄源装入口を備えた溶解室と、こ
の溶解室内に冷鉄源を供給する冷鉄源供給手段と、溶解
室に突設され、出湯口を有する出湯部と、溶解室内を出
入りする1基若しくは2基以上のプッシャーとを具備
し、溶解室内の冷鉄源は溶解中に溶解室の冷鉄源装入口
が設けられている一方側から他方側へ向けて供給され、
出湯部はその冷鉄源の供給方向とは異なる方向に設けら
れたアーク溶解設備での冷鉄源の溶解方法であって、冷
鉄源装入口直下の溶解室の底部に嵩上げ部を設置してお
き、冷鉄源が嵩上げ部に常に存在する状態を保つよう
に、冷鉄源供給手段を用いて冷鉄源装入口から冷鉄源を
連続的又は断続的に溶解室へ供給すると共に、プッシャ
ーを溶解室内に出入りさせて嵩上げ部に堆積した冷鉄源
を溶解室内に生成される溶湯側に供給しながら溶解室内
の冷鉄源をアークにて溶解し、次いで、プッシャーを停
止してアークにて溶湯を加熱・昇温した後、溶解室内の
溶湯湯面が嵩上げ部に到達する前に、冷鉄源が嵩上げ部
に存在する状態で溶湯を出湯することを特徴とするもの
である。
【0014】第7の発明による冷鉄源の溶解方法は、第
4の発明ないし第6の発明の何れかにおいて、前記アー
ク溶解設備が、溶解室の冷鉄源装入口が設けられた部分
と出湯部が設けられた部分との間に、溶解室を出湯部側
に傾動した際に溶解室内の冷鉄源が出湯部へ流出するこ
とを妨げるための離間部を具備したアーク溶解設備であ
ることを特徴とするものである。
【0015】第8の発明による冷鉄源の溶解方法は、第
4の発明ないし第7の発明の何れかにおいて、前記出湯
部が冷鉄源の供給方向に対して直交する方向に設けられ
ていることを特徴とするものである。
【0016】第9の発明による冷鉄源の溶解設備は、冷
鉄源装入口及びこの冷鉄源装入口直下の底部に嵩上げ部
を備えた溶解室と、溶解室内で冷鉄源を溶解するための
アーク発生用電極と、冷鉄源が嵩上げ部に常に存在する
状態を保つように溶解室へ冷鉄源を連続的又は断続的に
供給する冷鉄源供給手段とを有し、冷鉄源が嵩上げ部に
存在する状態で溶湯を出湯する冷鉄源の溶解設備であっ
て、前記嵩上げ部は所定量の溶湯を溶解室内で溶解して
も溶湯が到達しない高さを有していることを特徴とする
ものである。
【0017】第10の発明による冷鉄源の溶解設備は、
冷鉄源装入口及びこの冷鉄源装入口直下の底部に嵩上げ
部を備えた溶解室と、溶解室内で冷鉄源を溶解するため
のアーク発生用電極と、冷鉄源が嵩上げ部に常に存在す
る状態を保つように溶解室へ冷鉄源を連続的又は断続的
に供給する冷鉄源供給手段と、溶解室に突設され、出湯
口を有する出湯部とを有し、冷鉄源が嵩上げ部に存在す
る状態で溶湯を出湯する冷鉄源の溶解設備であって、前
記溶解室内の冷鉄源は溶解中に溶解室の冷鉄源装入口が
設けられている一方側から他方側へ向けて供給され、前
記出湯部はその冷鉄源の供給方向とは異なる方向に設け
られ、且つ、前記嵩上げ部は所定量の溶湯を溶解室内で
溶解しても溶湯が到達しない高さを有していることを特
徴とするものである。
【0018】第11の発明による冷鉄源の溶解設備は、
第9の発明又は第10の発明において、前記冷鉄源装入
口の下方には溶解室内を出入り可能なプッシャーが1基
若しくは2基以上、更に設けられていることを特徴とす
るものである。
【0019】本発明者等は出湯時の溶湯温度が低いとい
う問題点を解決すべく、溶湯中に埋没して冷鉄源が存在
する状態で溶解室内の溶湯の温度を上昇させる手段につ
いて鋭意検討を重ねた。その結果、溶湯の過熱度(Δ
T)は、溶解速度(W)及び溶湯と溶湯中に浸かってい
る冷鉄源との接触面積(S)とは、ΔT∝W/Sの関係
があることを見出した。従って、過熱度(ΔT)を大き
くするには、溶解速度(W)即ちアーク加熱能力が一定
の条件では、溶湯と溶湯中に浸かっている冷鉄源との接
触面積(S)を小さくすることが有効である。
【0020】本発明では、冷鉄源装入口直下の溶解室底
部に、それ以外の底部よりも高い嵩上げ部を設置してお
き、冷鉄源の溶解により生成される溶湯が所定量となっ
た際も嵩上げ部には溶湯が到達しないようにしている。
そのため、冷鉄源を溶解して溶解室内に所定量の溶湯が
確保された状態でも嵩上げ部までには溶湯湯面が到達せ
ず、そして、その状態で溶湯を出湯するので、冷鉄源と
溶湯との接触面積を小さくすることができ、溶湯の過熱
度を大きくすることが可能となる。
【0021】又、本発明では、冷鉄源を溶解室内で予熱
しつつ溶解するので、予熱室を必要とせず、予熱室にお
ける冷鉄源の棚吊り等のトラブルを発生させることなく
安定した操業を行うことができる。又、冷鉄源が嵩上げ
部に常に存在する状態を保つように、溶解室内に冷鉄源
を供給しながら溶解室内の冷鉄源をアークにて溶解し、
溶解室内に所定量の溶湯が溜まった時点で、冷鉄源が嵩
上げ部に存在する状態で溶湯を出湯するので、冷鉄源は
溶解される前に溶解室内で予熱され、極めて高効率で冷
鉄源を溶解することができる。この場合、次ヒート以降
で溶解する冷鉄源を全て予熱することができる。
【0022】その際に、溶解室内において、アーク加熱
のみならず、酸素及び炭材吹き込みによる炭材の燃焼、
又はバーナー加熱、若しくは双方を行うことによって発
生する高温の排ガスで嵩上げ部に堆積する冷鉄源を加熱
・溶融することで、嵩上げ部に堆積した冷鉄源を溶湯中
に崩落させて冷鉄源の溶解を促進させることができる。
即ち、酸素や炭材の吹き込み又はガスバーナー加熱によ
り、溶解室内の溶湯中への冷鉄源の供給を促進させるこ
とができる。又、溶解室に設置したプッシャーを用いて
冷鉄源を供給する場合には、嵩上げ部に堆積する冷鉄源
の溶湯中への供給量を適切に制御することができ、溶解
室内の溶湯中への冷鉄源供給の過不足を防止することが
できる。
【0023】又、溶解室内に所定量の溶湯が確保された
なら、酸素と炭材の吹き込み、及び、バーナー加熱を停
止することで、冷鉄源の溶湯中への供給を中断させるこ
とができる。同様に、プッシャーを停止することで、冷
鉄源の溶解室への供給を中断させることができる。その
ため、所定量の溶湯を溶解室内に確保した時点におい
て、嵩上げ部に堆積した冷鉄源と溶湯とを実質的に分離
することが可能となり、冷鉄源と溶湯との接触面積を極
めて小さくすることができ、溶湯の過熱度をより一層大
きくすることが可能となる。その結果、出湯中における
出湯口での閉塞等の溶湯温度の低下によるトラブルを未
然に防止することができる。
【0024】但し、溶解室内の溶湯を出湯するために溶
解室を傾動させると、嵩上げ部に堆積した冷鉄源が溶湯
中に崩落して、溶湯の過熱度を低下させる虞があるが、
第4の発明、第5の発明、第6の発明、及び第10の発
明では、溶解室に突設した出湯部を冷鉄源の供給方向と
は異なる方向としているので、出湯するために溶解室を
出湯部側へ傾動させた場合も、冷鉄源の溶湯中への崩落
を抑えることが可能であり、冷鉄源の溶湯中への崩落に
よる溶湯過熱度の低下を防止することができる。そし
て、出湯部を冷鉄源の供給方向に対して直交する方向に
設けること、又、溶解室の冷鉄源装入口が設けられた部
分と出湯部が設けられた部分との間に、溶解室を出湯部
側に傾動した際に溶解室内の冷鉄源が出湯部へ流出する
ことを妨げるための離間部を設けることで、溶解室を出
湯部側へ傾動した際の冷鉄源の溶湯中への崩落を一層少
なくすることが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態を説明する。先ず、第1の実施の形態につ
いて、図1及び図2に基づき説明する。図1は、第1の
実施の形態の例を示すアーク溶解設備の縦断面概略図、
図2は、図1に示すアーク溶解設備の概略平面図であ
る。
【0026】図1及び図2において、内部を耐火物で構
築され、底部に底部電極7を備えた溶解室2の側壁上部
には水冷構造の側壁5が配置され、側壁5の上部は開閉
自在な水冷構造の蓋6で覆われている。蓋6の溶解室2
の外周部に相当する一角には、冷鉄源18を溶解室2内
に装入するための冷鉄源装入口3が設置されており、冷
鉄源装入口3には、開閉可能な開閉蓋22及び開閉蓋2
2aが設置されている。溶解室2の冷鉄源装入口3を設
置した部位の反対側には突出部2dが設けられ、突出部
2dの底部には、扉24で出口側を押さえ付けられて内
部に詰め砂又はマッド剤が充填された出湯口15と、そ
の側壁に、扉25で出口側を押さえ付けられて内部に詰
め砂又はマッド剤が充填された出滓口16とが設けられ
ている。溶解室2を傾動するための傾動手段として、溶
解室2の4角に接続する4個の昇降シリンダー11から
構成された傾動装置10が設けられ、又、蓋6を貫通し
て、溶解室2内へ上下移動可能な黒鉛製の上部電極8が
設けられている。アーク発生用電極である底部電極7と
上部電極8とは直流電源(図示せず)に連結し、底部電
極7と上部電極8との間でアーク21を発生させる。
【0027】冷鉄源装入口3直下の溶解室2の底部には
嵩上げ部2cが設けられており、所定量の溶湯19が溶
解室2内に溜まった時にも、溶湯19が嵩上げ部2cに
到達しないように、その高さが調整されている。所定量
の溶湯量とは、例えば1ヒート分の溶湯量や、出湯後に
溶解室2内に溶湯19を残留させる場合には、1ヒート
分の溶湯量と溶解室2内の残留溶湯量とを合わせた量で
あり、操業状況により適宜決定される溶湯量である。
【0028】蓋6を貫通して、溶解室2内を上下移動可
能な酸素吹き込みランス12と炭材吹き込みランス13
とが設けられ、酸素吹き込みランス12からは酸素が溶
解室2内に吹き込まれ、そして、炭材吹き込みランス1
3からは空気や窒素ガス等を搬送用ガスとしてコーク
ス、チャー、石炭、木炭、黒鉛等の等の炭材が溶解室2
内に吹き込まれる。又、重油、灯油、微粉炭、プロパン
ガス、天然ガス等の化石燃料を空気又は酸素若しくは酸
素富化空気により燃焼させるバーナー14が、冷鉄源装
入口3を介して溶解室2へ供給される冷鉄源18の斜面
に向け、蓋6を貫通して設置されている。
【0029】冷鉄源装入口3の上方には、冷鉄源供給手
段として、走行台車26に吊り下げられた底開き型の供
給用バケット17が設けられ、この供給用バケット17
より、冷鉄源装入口3に設けられた開閉蓋22及び開閉
蓋22aを開閉させて、鉄スクラップや直接還元鉄等の
冷鉄源18が溶解室2内に装入される。冷鉄源18の装
入の際に、開閉蓋22及び開閉蓋22aを交互に開閉さ
せること、即ち、どちらか一方の開閉蓋22、22aを
閉鎖しておくことで、溶解室2で発生する排ガスの漏洩
を防止することができる。又、冷鉄源装入口3の側壁部
には集塵機(図示せず)に連結するダクト23が設けら
れ、酸素吹き込み、炭材吹き込み、又はバーナー14の
加熱により溶解室2で発生する高温の排ガスはダクト2
3を通って吸引される。その際、溶解室2内の冷鉄源1
8はダクト23の前面に堆積しているので、この排ガス
により嵩上げ部2c上に堆積している冷鉄源18が予熱
される。このようにして直流式アーク溶解設備1が構成
されている。
【0030】このように構成される直流式アーク溶解設
備1において冷鉄源18を溶解するに際しては、先ず、
供給用バケット17により溶解室2内に冷鉄源18を装
入し、冷鉄源18が冷鉄源装入口3付近まで堆積して存
在する状態とする。冷鉄源18は嵩上げ部2cの上に堆
積し、一部は嵩上げ部2cより落下して溶解室2の中央
部にまで堆積する。尚、溶解室2内へ冷鉄源18を均一
に装入するために、蓋6を開けて冷鉄源装入口3と反対
側の溶解室2内に冷鉄源18を装入しても良い。溶解室
2内へ冷鉄源18を均一に装入することにより、冷鉄源
18の溶解操業を円滑に開始することができる。
【0031】この状態で底部電極7と上部電極8との間
に直流電流を給電しつつ上部電極8を昇降させ、上部電
極8と底部電極7及び装入した冷鉄源18との間でアー
ク21を発生させる。そして、発生するアーク熱により
冷鉄源18を溶解して溶湯19を生成させる。溶湯19
の生成に伴い、生石灰、蛍石等のフラックスを溶解室2
内に装入して、溶融スラグ20を溶湯19上に形成さ
せ、溶湯19の酸化を防止すると共に溶湯19の保温を
図る。溶融スラグ20の量が多すぎる場合には、操業中
でも出滓口16から、排滓することができる。
【0032】溶湯19の生成する頃から、酸素吹き込み
ランス12及び炭材吹き込みランス13から、酸素と炭
材とを溶湯19面又は溶融スラグ20中に吹き込むこと
が好ましい。吹き込まれて溶湯19中に溶解した炭材又
は溶融スラグ20中に懸濁した炭材と、吹き込まれる酸
素とが反応して燃焼熱を発生し、補助熱源として作用し
て電力使用量を節約すると共に、反応生成物のCOガス
が溶融スラグ20をフォーミングさせて、アーク21が
溶融スラグ20に包まれるので、アーク21の着熱効率
が上昇する。又、大量に発生する高温のCOガス、及び
このCOガスが二次燃焼した高温のCO2 ガスにより嵩
上げ部2c上に堆積する冷鉄源18は効率良く予熱され
る。この炭材の吹き込み量は、吹き込む酸素の量に対応
して決める。即ち、吹き込まれる酸素の化学当量に等し
い程度の炭材を添加する。炭材が吹き込まれる酸素に比
べて少ないと、溶湯19が過剰に酸化するので好ましく
ない。補助熱源としての効果を発揮させるためには、酸
素の吹き込み量は溶湯トン当たり25Nm3 以上とする
ことが好ましい。
【0033】酸素吹き込み及び炭材吹き込みに相前後し
て、バーナー14を用いて嵩上げ部2c上に堆積する冷
鉄源18の斜面を加熱・溶融することが好ましい。その
際、バーナー14から酸素のみを吹き付けても良い。
【0034】酸素及び炭材吹き込みに伴う高温排ガスの
生成、並びに、バーナー14による冷鉄源18の加熱・
溶融により、嵩上げ部2cに堆積した冷鉄源18は高温
に予熱され、又一部は溶解して崩れ落ち、溶解室2内の
溶湯19中に入り込み、これがアーク21により溶解さ
れて冷鉄源18の溶解が促進される。尚、嵩上げ部2c
に堆積した冷鉄源18の溶湯19中への崩落を促進させ
るためには、酸素吹き込み及び炭材吹き込みと、バーナ
ー加熱とを同時に実施することが好ましいが、どちらか
一方とすることもできる。
【0035】溶湯19の生成、並びに冷鉄源18の溶湯
19中への崩落に伴って、溶解室2内に堆積する冷鉄源
18は減少するので、この減少分を補うために、供給用
バケット17から溶解室2内へ冷鉄源18を装入する。
この冷鉄源18の溶解室2内への装入は、冷鉄源18が
常に嵩上げ部2cの上に存在する状態を保つように、連
続的又は断続的に行う。その際、予熱効果を高めるため
に、冷鉄源18を冷鉄源装入口3付近まで堆積させるこ
とが好ましい。この際の冷鉄源18の装入は、操業実績
に基づいて予め設定されたレシピに基づいて行っても良
いし、溶解室2内の冷鉄源18の量を検出可能なセンサ
ーを設け、このセンサーからの信号に基づいて供給用バ
ケット17による冷鉄源18の投入を制御するようにし
ても良い。
【0036】そして、嵩上げ部2cに溶湯19が到達す
る以前の、溶解室2内に所定量の溶湯19が溜まった時
点で、酸素吹き込み、炭材吹き込み、及びバーナー加熱
を停止する。酸素吹き込み、炭材吹き込み、及びバーナ
ー加熱の停止に伴い、冷鉄源18の溶湯19への崩落が
妨げられ、この状態でアーク加熱を継続することによ
り、嵩上げ部2cに堆積した冷鉄源18と溶湯19との
接触が実質的に断たれる。即ち、冷鉄源18と溶湯19
との接触面積が極めて小さくなり、溶湯19の加熱・昇
温が容易となるので、アーク21により溶湯19を所定
の過熱度となるまで昇温することができる。
【0037】溶湯19の加熱・昇温後、嵩上げ部2cに
溶湯19が到達していない状態で、傾動装置10により
溶解室2を出湯口15側に傾動し、嵩上げ部2cに冷鉄
源18が堆積した状態を保ったまま、出湯口15から溶
湯保持容器(図示せず)に1ヒート分の溶湯19を出湯
する。尚、溶解室2を傾動しなくても1ヒート分の溶湯
19が出湯できる場合には、敢えて傾動する必要はな
い。溶湯19の出湯に引き続き、必要に応じて溶融スラ
グ20を排滓した後、溶解室2を傾動装置10にて冷鉄
源装入口3側に傾動して出湯口15及び出滓口16内に
詰め砂又はマッド材を充填した後、溶解室2を水平に戻
して溶解を再開する。次回のヒートは予熱された冷鉄源
18で溶解を開始することができる。尚、出湯時に、数
トン〜数十トンの溶湯19を溶解室2内に残留させて、
次回ヒートの溶解を再開しても良い。溶湯19を残留さ
せることで初期の溶解が促進され、溶解効率が一層向上
する。
【0038】このようにして冷鉄源18を溶解すること
で、冷鉄源18の予熱効率の極めて高い状態で溶解操業
を行うことができ、電力原単位を大幅に低減することが
可能になると共に、嵩上げ部2cの設置によって溶湯1
9の加熱度を高めることが可能となり、溶湯温度の低下
に伴う出湯口15での地金付着による閉塞や溶湯保持容
器内壁への地金付着等の操業トラブルを未然に防止する
ことができ、安定した操業を行うことができる。又、冷
鉄源18を予熱するための予熱室を特に必要としないの
で、冷鉄源18の棚吊り等のトラブルがなく、安定操業
が可能である。
【0039】次に、第2の実施の形態について図3に基
づき説明する。図3は、第2の実施の形態の例を示すア
ーク溶解設備の縦断面概略図である。このアーク溶解設
備1Aは、図1に示したアーク溶解設備1の変形例であ
り、嵩上げ部2cに堆積した冷鉄源18の溶湯19中へ
の供給促進手段として、アーク溶解設備1で具備してい
たバーナー14の替わりに、冷鉄源装入口3の直下に溶
解室2を出入り可能な、1基若しくは2基以上のプッシ
ャー27を具備している。即ち、アーク溶解設備1Aに
はバーナー14が設置されていない。
【0040】プッシャー27は、溶解室2を出入りし、
嵩上げ部2c上に堆積している冷鉄源18を溶解室2内
の溶湯19側に押し込んで供給する。プッシャー27の
溶解室2内への出入りを頻繁に行えば、多量の冷鉄源1
8が溶湯19側に供給され、又、プッシャー27を停止
すれば、溶湯19側への冷鉄源18の供給が停滞し、ア
ーク熱は溶湯19の昇温に費やされる。プッシャー27
は、その設置数が多いほど、冷鉄源18の供給制御が容
易となるので、2基以上とすることが好ましい。アーク
溶解設備1Aは、その他の構造は図1に示す第1の実施
の形態のアーク溶解設備1と同一構造となっており、同
一の部分は同一符号により示し、その説明は省略する。
【0041】このように構成される直流式アーク溶解設
備1Aにおいては、次のようにして冷鉄源18を溶解す
る。このアーク溶解設備1Aでは、嵩上げ部2c上に堆
積する冷鉄源18の供給を、プッシャー27を用いて行
う以外は前述の図1に示すアーク溶解設備1と同一であ
り、従って、冷鉄源18を嵩上げ部2cから溶湯19側
へ供給するためにプッシャー27を運転し、バーナー1
4は使用しない以外は、前述の第1の実施の形態と同様
な方法で冷鉄源18を溶解する。
【0042】即ち、アーク21を発生させて溶解室2内
に溶湯19が生成するころからプッシャー27の運転を
開始する。プッシャー27は数分間隔、例えば、3分間
に1回、溶解室2内を10秒程度で往復するように運転
すれば良い。プッシャー27により嵩上げ部2c上に堆
積する冷鉄源18は強制的に溶解室2内の溶湯19側に
押し込まれ、これがアーク21により溶解され、冷鉄源
18の溶解が進行する。そして、嵩上げ部2cに溶湯1
9が到達する以前の、溶解室2内に所定量の溶湯19が
溜まった時点で、プッシャー27を停止し、冷鉄源18
の溶湯19への供給を中断する。それ以降は、前述した
第1の実施の形態のアーク溶解設備1に準じて行うこと
とする。
【0043】このようにして冷鉄源18を溶解すること
で、冷鉄源18の予熱効率の極めて高い状態で溶解操業
を行うことができ、電力原単位を大幅に低減することが
可能になると共に、嵩上げ部2cの設置によって溶湯1
9の加熱度を高めることが可能となり、溶湯温度の低下
に伴う出湯口15での地金付着による閉塞や溶湯保持容
器内壁への地金付着等の操業トラブルを未然に防止する
ことができ、安定した操業を行うことができる。又、冷
鉄源18を予熱するための予熱室を特に必要としないの
で、冷鉄源18の棚吊り等のトラブルがなく、安定操業
が可能である。
【0044】次に、第3の実施の形態について、図4か
ら図8に基づき説明する。図4は、第3の実施の形態の
1例を示すアーク溶解設備の斜視図、図5は、図4の概
略平面図、図6は、図4のX−X’矢視による断面図、
図7は、図4のY−Y’矢視による断面図、図8は、図
4に示すアーク溶解設備の溶解室を傾動させた状態を示
す縦断面図である。
【0045】このアーク溶解設備1Bの第1の特徴は、
溶解室2に突設された出湯部4を具備していることであ
る。嵩上げ部2cに堆積する冷鉄源18は溶解室2の冷
鉄源装入口側2aからその反対側2bに向かう方向に供
給されるが、この出湯部4は冷鉄源18の供給方向と直
交する方向に向くように溶解室2に突設されている。
又、溶解室2の冷鉄源装入口3が設けられた部分と出湯
部4が設けられた部分とは距離aだけ離間しており、溶
解室2が出湯部4側に傾動された際に、その部分の壁部
により冷鉄源18が出湯部4側に流出することが阻止さ
れる。この場合、図6に示すように、距離aが嵩上げ部
2cから溶解室2の中央部側に亘って安息角で拡がる冷
鉄源18の距離よりも長いことが好ましい。出湯部4の
先端近傍の底部には出湯口15が設けられており、又、
溶解室2の底部の嵩上げ部2cは、溶解室2の冷鉄源装
入口側2aから離間部の途中までの範囲に設けられてい
る。
【0046】このアーク溶解設備1Bの第2の特徴は、
上部電極8は電極傾動機構9に支持されており、電極傾
動機構9により傾動可能となっていることである。その
他の構造は図1に示す第1の実施の形態のアーク溶解設
備1と同様な構造となっており、同一の部分は同一符号
により示し、その説明は省略する。
【0047】このように構成された直流式アーク溶解設
備1Bにおける冷鉄源18の溶解方法は、所定量の溶湯
19が溶解室2内に溜まるまでは前述した図1の直流式
アーク溶解設備1の場合と同様に行う。そして、所定量
の溶湯19が溶解室2内に溜まった時点で、酸素吹き込
み、炭材吹き込み、及びガスバーナー加熱を停止してア
ーク加熱のみ行う。アーク加熱を継続することにより、
嵩上げ部2cに堆積した冷鉄源18と溶湯19との接触
が断たれ、アーク21による溶湯19の加熱が容易とな
るので、所定の過熱度となるまで昇温することができ
る。
【0048】又、所定量の溶湯19が溜まった時点で、
図8に示すように溶解室2を出湯部4側に傾動し、酸素
吹き込み、炭材吹き込み、及びガスバーナー加熱を停止
してアーク加熱することもできる。この場合、出湯部4
は冷鉄源18の供給方向と直交する方向に向くように溶
解室2に突設されており、しかも、溶解室2の冷鉄源装
入口3が設けられた部分と出湯部4が設けられた部分と
は距離aだけ離間しており、その部分の壁部により冷鉄
源18が出湯部4側に流出することが阻止されるため、
冷鉄源18と溶湯19との接触を確実に阻止することが
でき、溶湯19の加熱、即ち大きな過熱度を持たせるこ
とが更に容易となる。但し、溶解室2を傾動しなくても
1ヒート分の溶湯19が出湯できる場合には、敢えて傾
動する必要はない。
【0049】尚、溶解室2を傾動させると、上部電極8
が図8の破線の位置になり、アーク21が溶湯19に有
効に供給されなくなるので、電極傾動機構9により上部
電極8を傾動させて図8の実線の位置として、アーク熱
を溶湯19に有効に供給することが好ましい。
【0050】溶湯19の加熱・昇温後、嵩上げ部2cに
溶湯19が到達していない状態で、嵩上げ部2cに冷鉄
源18が堆積した状態を保ったまま、出湯口15から溶
湯保持容器(図示せず)に1ヒート分の溶湯19を出湯
する。出湯以降は前述した第1の実施の形態のアーク溶
解設備1に準じて行うこととする。
【0051】このようにして冷鉄源18を溶解すること
で、冷鉄源18の予熱効率の極めて高い状態で溶解操業
を行うことができ、電力原単位を大幅に低減することが
可能になると共に、嵩上げ部2c及び出湯部4の設置に
よって溶湯19の加熱度を高めることが可能となり、溶
湯温度の低下に伴う出湯口15での地金付着による閉塞
や溶湯保持容器内壁への地金付着等の操業トラブルを未
然に防止することができ、安定した操業を行うことがで
きる。又、冷鉄源18を予熱するための予熱室を特に必
要としないので、冷鉄源18の棚吊り等のトラブルがな
く、安定操業が可能である。
【0052】次に、第4の実施の形態について図9に基
づき説明する。図9は、第4の実施の形態の例を示すア
ーク溶解設備の縦断面概略図である。このアーク溶解設
備1Cは、図4から図8に示したアーク溶解設備1Bの
変形例であり、嵩上げ部2cに堆積した冷鉄源18の溶
湯19中への供給促進手段として、アーク溶解設備1B
で具備していたバーナー14の替わりに、冷鉄源装入口
3の直下に溶解室2を出入り可能な、1基若しくは2基
以上のプッシャー27を具備している。即ち、アーク溶
解設備1Cにはバーナー14が設置されていない。
【0053】プッシャー27は、溶解室2を出入りし、
嵩上げ部2c上に堆積している冷鉄源18を溶解室2内
の溶湯19側に押し込んで供給する。プッシャー27の
溶解室2内への出入りを頻繁に行えば、多量の冷鉄源1
8が溶湯19側に供給され、又、プッシャー27を停止
すれば、溶湯19側への冷鉄源18の供給が停滞し、ア
ーク熱は溶湯19の昇温に費やされる。プッシャー27
は、その設置数が多いほど、冷鉄源18の供給制御が容
易となるので、2基以上とすることが好ましい。アーク
溶解設備1Cは、その他の構造は図4から図8に示す第
3の実施の形態のアーク溶解設備1Bと同一構造となっ
ており、同一の部分は同一符号により示し、その説明は
省略する。
【0054】このように構成される直流式アーク溶解設
備1Cにおいては、次のようにして冷鉄源18を溶解す
る。このアーク溶解設備1Cでは、嵩上げ部2c上に堆
積する冷鉄源18の供給を、プッシャー27を用いて行
う以外は前述の図4から図8に示すアーク溶解設備1B
と同一であり、従って、冷鉄源18を嵩上げ部2cから
溶湯19側へ供給するためにプッシャー27を運転し、
バーナー14は使用しない以外は、前述の第3の実施の
形態と同様な方法で冷鉄源18を溶解する。
【0055】即ち、アーク21を発生させて溶解室2内
に溶湯19が生成するころからプッシャー27の運転を
開始する。プッシャー27は数分間隔、例えば、3分間
に1回、溶解室2内を10秒程度で往復するように運転
すれば良い。プッシャー27により嵩上げ部2c上に堆
積する冷鉄源18は強制的に溶解室2内の溶湯19側に
押し込まれ、これがアーク21により溶解され、冷鉄源
18の溶解が進行する。そして、嵩上げ部2cに溶湯1
9が到達する以前の、溶解室2内に所定量の溶湯19が
溜まった時点で、プッシャー27を停止し、冷鉄源18
の溶湯19への供給を中断する。それ以降は、前述した
第3の実施の形態のアーク溶解設備1Bに準じて行うこ
ととする。
【0056】このようにして冷鉄源18を溶解すること
で、冷鉄源18の予熱効率の極めて高い状態で溶解操業
を行うことができ、電力原単位を大幅に低減することが
可能になると共に、嵩上げ部2c及び出湯部4の設置に
よって溶湯19の加熱度を高めることが可能となり、溶
湯温度の低下に伴う出湯口15での地金付着による閉塞
や溶湯保持容器内壁への地金付着等の操業トラブルを未
然に防止することができ、安定した操業を行うことがで
きる。又、冷鉄源18を予熱するための予熱室を特に必
要としないので、冷鉄源18の棚吊り等のトラブルがな
く、安定操業が可能である。
【0057】尚、本発明は上記実施の形態に限定される
ことなく種々の変形が可能である。例えば、上記第1な
いし第4の実施の形態では、嵩上げ部2cの底面を、溶
解室2が傾動されていない状態ではほぼ水平としている
が、冷鉄源18が滑って落下しない程度に、冷鉄源装入
口3側を高くして溶解室2の中央側に向かって傾斜させ
ても良い。要は、所定量の溶湯19が溶解室2内に溜ま
った際に、溶湯19が到達しない高さの嵩上げ部2cが
冷鉄源装入口3の直下に設置されていれば良い。嵩上げ
部2cにこのような傾斜を設けた場合には、炉修等によ
り溶解操業を停止する際に、溶解室2内に残留する未溶
解の冷鉄源18が少なくなり、炉修等に好都合である。
【0058】又、ダクト23を冷鉄源装入口3の側壁に
設置したが、冷鉄源装入口3の側壁の設置する必要はな
く、側壁5又は蓋6を貫通して設置しても良い。更に、
上記第3及び第4の実施の形態では、冷鉄源18の供給
方向に対して直交する方向に向くように出湯部4を設け
たが、これに限らず冷鉄源18の供給方向以外の方向で
あれば良い。冷鉄源18の供給方向以外の方向であれ
ば、出湯部4への冷鉄源18の流出防止効果を得ること
ができる。
【0059】
【実施例】[実施例1]図1に示す直流式アーク溶解設
備における実施例を以下に説明する。アーク溶解設備
は、溶解室が直径7.2m、高さ4mであり、溶解室の
容量が溶鋼換算で180トンである。
【0060】先ず、溶解室内に冷鉄源として鉄スクラッ
プ100トンを装入し、直径28インチの黒鉛製上部電
極を用い、最大600V、100kAの電源容量により
溶解した。溶鋼の生成に伴って、生石灰と蛍石とを添加
して溶融スラグを形成し、次いで、酸素吹き込みランス
から酸素を、炭材吹き込みランスからコークスを溶融ス
ラグ中に吹き込んだ。酸素とコークスの吹き込みによ
り、溶融スラグはフォーミングして上部電極の先端は溶
融スラグ中に埋没した。この時の電圧を400Vに設定
した。又、嵩上げ部から溶解室に拡がる鉄スクラップの
斜面を、灯油を燃料とするバーナー(400l/hr・
本)により加熱・溶融した。
【0061】溶解室内に冷鉄源装入口付近まで堆積させ
た鉄スクラップが溶解につれて下降したら、供給用バケ
ットにて鉄スクラップを溶解室に供給し、溶解室内の鉄
スクラップ高さをほぼ一定の高さに保持しながら溶解を
続けた。この間、酸素吹き込み、コークス吹き込み、及
びバーナーの使用により鉄スクラップは溶解室内の溶湯
中に定常的に崩れ落ち、溶解が進行した。
【0062】嵩上げ部まで溶鋼が到達しない前の、溶解
室内に180トンの溶鋼が生成した時点で、酸素吹き込
み、コークス吹き込み、及びバーナー加熱を停止し、こ
の状態で更に400Vの電圧によるアーク通電により加
熱し、溶鋼を1600℃まで昇温した後、嵩上げ部まで
溶鋼が到達しない状態で、約60トンを溶解室に残して
1ヒート分の120トンの溶鋼を取鍋に出湯した。出湯
時の溶鋼の炭素濃度は0.08mass%であった。出湯
後、溶解室を冷鉄源装入口側に傾動して出湯口及び出滓
口に詰め砂を充填した後、溶解室を水平に戻して溶解を
再開し、再度溶鋼が180トンとなったら酸素吹き込
み、コークス吹き込み、及びバーナー加熱を停止し、溶
鋼を1600℃まで昇温して120トンの溶鋼を出湯す
ることを繰り返し実施した。
【0063】その結果、バーナーに使用した酸素を含む
トータルの酸素吹き込み量を溶鋼トン当たり33Nm3
(以下、「Nm3 /t」と記す)、コークス吹き込み量
を溶鋼トン当たり22kg(以下、「kg/t」と記
す)とした溶解条件で、出湯から出湯までの時間は平均
で40分となり、電力原単位は溶鋼トン当たり230k
Wh(以下「kWh/t」と記す)が得られた。出湯し
た溶鋼は取鍋精錬炉にて1620℃に昇温し、連続鋳造
機により175mm平方の断面を有するビレットに鋳造
した。取鍋精錬炉の電力使用量は、平均30kWh/t
であった。
【0064】一方、先行技術2に示したシャフト型の予
熱室を具備したアーク溶解設備(溶解室容量:180ト
ン)を用いて、鉄スクラップを連続して予熱室に供給し
つつ溶解した場合(比較例)についても、同様に電力原
単位を求めた。比較例における酸素吹き込み量及び炭材
吹き込み量は実施例と同一にした。比較例では、出湯か
ら出湯までの時間は平均40分、電力原単位は平均21
0kWh/tが得られたが、溶湯中に未溶解の鉄スクラ
ップが埋没した状態で出湯するために出湯時の溶湯温度
は1550℃であり、取鍋精錬炉にて1620℃に昇温
するために、取鍋精錬炉の電力使用量は平均で60kW
h/tであった。
【0065】このように、取鍋精錬炉までを含めた電力
原単位は、実施例と比較例とでほとんど差が見られなか
ったが、シャフト型の予熱室で予熱した比較例では、予
熱室内での鉄スクラップの融着或いは機械的原因による
棚吊りが10ヒートに1回程度の頻度で発生し、安定操
業が困難であった。実施例ではこれらのトラブルは全く
発生せず、これらの結果から実施例と比較例とを比較す
ると、エネルギー効率は両者がほぼ等しく、操業安定性
は実施例の方が優れることが確認できた。
【0066】[実施例2]図4から図8に示す直流式ア
ーク溶解設備における実施例を以下に説明する。アーク
溶解設備は、溶解室が幅3m、長さ8.5m、高さ4m
であり、溶解室の容量が溶鋼換算で180トンである。
【0067】先ず、溶解室内に鉄スクラップ100トン
を装入し、直径28インチの黒鉛製上部電極を用い、最
大600V、100kAの電源容量により溶解した。
又、酸素吹き込みランスから酸素を6000Nm3 /h
r吹き込むと共に、嵩上げ部から溶解室に拡がる鉄スク
ラップの斜面を、灯油を燃料とするバーナー(400l
/hr・本)により加熱・溶融した。溶解室内に溶鋼が
溜まってきた時点で、生石灰と蛍石とを添加して溶融ス
ラグを形成すると共に、炭材吹き込みランスから80k
g/minでコークスを溶融スラグ中に吹き込んだ。コ
ークスの吹き込みにより、溶融スラグはフォーミングし
て上部電極の先端は溶融スラグ中に埋没した。この時の
電圧を400Vに設定した。
【0068】溶解室内に冷鉄源装入口付近まで堆積させ
た鉄スクラップが溶解につれて下降したら、供給用バケ
ットにて鉄スクラップを溶解室に供給し、溶解室内の鉄
スクラップ高さを一定の高さに保持しながら溶解を続け
た。この間、酸素吹き込み、コークス吹き込み、及びバ
ーナーの使用により鉄スクラップは溶解室内の溶湯中に
定常的に崩れ落ち、溶解が進行した。
【0069】嵩上げ部まで溶鋼が到達しない前の、溶解
室内に180トンの溶鋼が生成した時点で、酸素吹き込
み、コークス吹き込み、及びバーナー加熱を停止し、溶
解室を出湯部側に15度傾動し、この状態で更に400
Vの電圧によるアーク通電により加熱し、溶鋼を162
0℃まで昇温した後、嵩上げ部まで溶鋼が到達しない状
態で、更に溶解室を傾動させ、約60トンを溶解室に残
して1ヒート分の120トンの溶鋼を取鍋に出湯した。
出湯時の溶鋼の炭素濃度は0.07mass%であった。
【0070】出湯後、溶解室を傾動して元に戻し、出湯
口及び出滓口に詰め砂を充填した後、溶解を再開し、再
度溶鋼が180トンとなったら酸素吹き込み、コークス
吹き込み、及びバーナー加熱を停止し、溶鋼を1620
℃まで昇温して120トンの溶鋼を出湯することを繰り
返し実施した。
【0071】バーナーに使用した酸素を含むトータルの
酸素吹き込み量が33Nm3 /t、コークス吹き込み量
が22kg/tで、電力電単位が230kWh/tであ
った。又、酸素吹き込み量が45Nm3 /t、コークス
吹き込み量が32kg/tの条件では、電力電単位が1
70kWh/tであった。出湯した溶鋼は直ちに連続鋳
造機により175mm平方の断面を有するビレットに鋳
造した。
【0072】[実施例3]図9に示す直流式アーク溶解
設備における実施例を以下に説明する。アーク溶解設備
は、溶解室が幅3m、長さ8.5m、高さ4mであり、
溶解室の容量が溶鋼換算で180トンである。プッシャ
ーは冷鉄源装入口直下の横方向に3基設置した。
【0073】先ず、溶解室内に鉄スクラップ100トン
を装入し、直径28インチの黒鉛製上部電極を用い、最
大600V、100kAの電源容量により溶解した。
又、溶解室内に溶鋼が溜まってきた時点で、生石灰と蛍
石とを添加して溶融スラグを形成すると共に、酸素吹き
込みランスから酸素を6000Nm3 /hr、炭材吹き
込みランスから80kg/minでコークスを溶融スラ
グ中に吹き込んだ。コークスの吹き込みにより、溶融ス
ラグはフォーミングして上部電極の先端は溶融スラグ中
に埋没した。この時の電圧を400Vに設定した。
【0074】溶解室内に冷鉄源装入口付近まで堆積させ
た鉄スクラップが溶解につれて下降したら、供給用バケ
ットにて鉄スクラップを溶解室に供給し、溶解室内の鉄
スクラップ高さを一定の高さに保持しながら溶解を続け
た。この間、3基のプッシャーを交互に運転して鉄スク
ラップを溶解室内の溶湯中に定常的に供給し、溶解を進
行させた。
【0075】嵩上げ部まで溶鋼が到達しない前の、溶解
室内に180トンの溶鋼が生成した時点で、プッシャー
を停止すると共に酸素吹き込み及びコークス吹き込みを
停止し、溶解室を出湯部側に15度傾動し、この状態で
更に400Vの電圧によるアーク通電により加熱し、溶
鋼を1620℃まで昇温した後、嵩上げ部まで溶鋼が到
達しない状態で、更に溶解室を傾動させ、約60トンを
溶解室に残し1ヒート分の120トンの溶鋼を取鍋に出
湯した。出湯時の溶鋼の炭素濃度は0.07mass%であ
った。
【0076】出湯後、溶解室を傾動して元に戻し、出湯
口及び出滓口に詰め砂を充填した後、溶解を再開し、再
度溶鋼が180トンとなったらプッシャーを停止すると
共に酸素吹き込み及びコークス吹き込みを停止し、溶鋼
を1620℃まで昇温して120トンの溶鋼を出湯する
ことを繰り返し実施した。
【0077】酸素吹き込み量が33Nm3 /t、コーク
ス吹き込み量が22kg/tで、電力電単位が230k
Wh/tであった。又、酸素吹き込み量が45Nm3
t、コークス吹き込み量が32kg/tの条件では、電
力電単位が170kWh/tであった。出湯した溶鋼は
直ちに連続鋳造機により175mm平方の断面を有する
ビレットに鋳造した。
【0078】
【発明の効果】本発明では、溶解室の底部に嵩上げ部を
設け、嵩上げ部に常に冷鉄源が存在する状態を保つよう
に冷鉄源を供給しながら冷鉄源を溶解し、冷鉄源の溶解
に伴い生成される溶湯が嵩上げ部に到達する前に溶湯を
出湯するので、次ヒートの冷鉄源の予熱も可能であり、
極めて高効率の冷鉄源の溶解を実現することができると
共に、冷鉄源と溶湯との接触面積を極めて少なくするこ
とができ、溶湯の過熱度を大きくして溶湯温度の低下に
伴う操業トラブルを回避することができる。又、予熱室
を必要としないので、冷鉄源の棚吊り等の操業トラブル
がなく、安定操業が可能となる。このように、安価な設
備で効率良く且つ安定して冷鉄源を溶解することが可能
となり、工業上極めて有益な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の例を示すアーク溶解設備の
縦断面概略図である。
【図2】図1の概略平面図である。
【図3】第2の実施の形態の例を示すアーク溶解設備の
縦断面概略図である。
【図4】第3の実施の形態の1例を示すアーク溶解設備
の斜視図である。
【図5】図4の概略平面図である。
【図6】図4のX−X’矢視による断面図である。
【図7】図4のY−Y’矢視による断面図である。
【図8】図4に示すアーク溶解設備の溶解室を傾動させ
た状態を示す断面図である。
【図9】第4の実施の形態の例を示すアーク溶解設備の
縦断面概略図である。
【符号の説明】
1 直流式アーク溶解設備 1A 直流式アーク溶解設備 1B 直流式アーク溶解設備 1C 直流式アーク溶解設備 2 溶解室 2c 嵩上げ部 3 冷鉄源装入口 4 出湯部 7 底部電極 8 上部電極 9 電極傾動機構 10 傾動装置 12 酸素吹き込みランス 13 炭材吹き込みランス 14 バーナー 15 出湯口 17 供給用バケット 18 冷鉄源 19 溶湯 20 溶融スラグ 21 アーク 27 プッシャー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F27D 13/00 F27D 13/00 D (72)発明者 水上 秀昭 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K014 CB01 CB02 CB07 CC00 CC01 CD13 CD14 4K045 AA04 BA02 RB02 RB12 RC02 4K055 AA03 BA03 BA05 DA03 JA18 4K063 AA04 AA12 AA13 BA02 CA01 CA04 DA06 DA17 FA54 GA09

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アーク発生用電極及び冷鉄源装入口を備
    えた溶解室と、この溶解室内に冷鉄源を供給する冷鉄源
    供給手段とを具備したアーク溶解設備での冷鉄源の溶解
    方法において、冷鉄源装入口直下の溶解室の底部に嵩上
    げ部を設置しておき、冷鉄源が嵩上げ部に常に存在する
    状態を保つように、冷鉄源供給手段を用いて冷鉄源装入
    口から冷鉄源を連続的又は断続的に溶解室へ供給しなが
    ら溶解室内の冷鉄源をアークにて溶解し、溶解室内の溶
    湯湯面が嵩上げ部に到達する前に、冷鉄源が嵩上げ部に
    存在する状態で溶湯を出湯することを特徴とする冷鉄源
    の溶解方法。
  2. 【請求項2】 アーク発生用電極及び冷鉄源装入口を備
    えた溶解室と、この溶解室内に冷鉄源を供給する冷鉄源
    供給手段とを具備したアーク溶解設備での冷鉄源の溶解
    方法において、冷鉄源装入口直下の溶解室の底部に嵩上
    げ部を設置しておき、冷鉄源が嵩上げ部に常に存在する
    状態を保つように、冷鉄源供給手段を用いて冷鉄源装入
    口から冷鉄源を連続的又は断続的に溶解室へ供給しなが
    ら、酸素及び炭材を溶解室内に吹き込みつつ、又は溶解
    室内をバーナーにて加熱しつつ、若しくは双方を行いつ
    つ、溶解室内の冷鉄源をアークにて溶解し、次いで、酸
    素及び炭材吹き込み、並びにバーナー加熱を停止してア
    ークにて溶湯を加熱・昇温した後、溶解室内の溶湯湯面
    が嵩上げ部に到達する前に、冷鉄源が嵩上げ部に存在す
    る状態で溶湯を出湯することを特徴とする冷鉄源の溶解
    方法。
  3. 【請求項3】 アーク発生用電極及び冷鉄源装入口を備
    えた溶解室と、この溶解室内に冷鉄源を供給する冷鉄源
    供給手段と、溶解室内を出入りする1基若しくは2基以
    上のプッシャーとを具備したアーク溶解設備での冷鉄源
    の溶解方法において、冷鉄源装入口直下の溶解室の底部
    に嵩上げ部を設置しておき、冷鉄源が嵩上げ部に常に存
    在する状態を保つように、冷鉄源供給手段を用いて冷鉄
    源装入口から冷鉄源を連続的又は断続的に溶解室へ供給
    すると共に、プッシャーを溶解室内に出入りさせて嵩上
    げ部に堆積した冷鉄源を溶解室内に生成される溶湯側に
    供給しながら溶解室内の冷鉄源をアークにて溶解し、次
    いで、プッシャーを停止してアークにて溶湯を加熱・昇
    温した後、溶解室内の溶湯湯面が嵩上げ部に到達する前
    に、冷鉄源が嵩上げ部に存在する状態で溶湯を出湯する
    ことを特徴とする冷鉄源の溶解方法。
  4. 【請求項4】 アーク発生用電極及び冷鉄源装入口を備
    えた溶解室と、この溶解室内に冷鉄源を供給する冷鉄源
    供給手段と、溶解室に突設され、出湯口を有する出湯部
    とを具備し、溶解室内の冷鉄源は溶解中に溶解室の冷鉄
    源装入口が設けられている一方側から他方側へ向けて供
    給され、出湯部はその冷鉄源の供給方向とは異なる方向
    に設けられたアーク溶解設備での冷鉄源の溶解方法であ
    って、冷鉄源装入口直下の溶解室の底部に嵩上げ部を設
    置しておき、冷鉄源が嵩上げ部に常に存在する状態を保
    つように、冷鉄源供給手段を用いて冷鉄源装入口から冷
    鉄源を連続的又は断続的に溶解室へ供給しながら溶解室
    内の冷鉄源をアークにて溶解し、溶解室内の溶湯湯面が
    嵩上げ部に到達する前に、冷鉄源が嵩上げ部に存在する
    状態で溶湯を出湯することを特徴とする冷鉄源の溶解方
    法。
  5. 【請求項5】 アーク発生用電極及び冷鉄源装入口を備
    えた溶解室と、この溶解室内に冷鉄源を供給する冷鉄源
    供給手段と、溶解室に突設され、出湯口を有する出湯部
    とを具備し、溶解室内の冷鉄源は溶解中に溶解室の冷鉄
    源装入口が設けられている一方側から他方側へ向けて供
    給され、出湯部はその冷鉄源の供給方向とは異なる方向
    に設けられたアーク溶解設備での冷鉄源の溶解方法であ
    って、冷鉄源装入口直下の溶解室の底部に嵩上げ部を設
    置しておき、冷鉄源が嵩上げ部に常に存在する状態を保
    つように、冷鉄源供給手段を用いて冷鉄源装入口から冷
    鉄源を連続的又は断続的に溶解室へ供給しながら、酸素
    及び炭材を溶解室内に吹き込みつつ、又は溶解室内をバ
    ーナーにて加熱しつつ、若しくは双方を行いつつ、溶解
    室内の冷鉄源をアークにて溶解し、次いで、酸素及び炭
    材吹き込み、並びにバーナー加熱を停止してアークにて
    溶湯を加熱・昇温した後、溶解室内の溶湯湯面が嵩上げ
    部に到達する前に、冷鉄源が嵩上げ部に存在する状態で
    溶湯を出湯することを特徴とする冷鉄源の溶解方法。
  6. 【請求項6】 アーク発生用電極及び冷鉄源装入口を備
    えた溶解室と、この溶解室内に冷鉄源を供給する冷鉄源
    供給手段と、溶解室に突設され、出湯口を有する出湯部
    と、溶解室内を出入りする1基若しくは2基以上のプッ
    シャーとを具備し、溶解室内の冷鉄源は溶解中に溶解室
    の冷鉄源装入口が設けられている一方側から他方側へ向
    けて供給され、出湯部はその冷鉄源の供給方向とは異な
    る方向に設けられたアーク溶解設備での冷鉄源の溶解方
    法であって、冷鉄源装入口直下の溶解室の底部に嵩上げ
    部を設置しておき、冷鉄源が嵩上げ部に常に存在する状
    態を保つように、冷鉄源供給手段を用いて冷鉄源装入口
    から冷鉄源を連続的又は断続的に溶解室へ供給すると共
    に、プッシャーを溶解室内に出入りさせて嵩上げ部に堆
    積した冷鉄源を溶解室内に生成される溶湯側に供給しな
    がら溶解室内の冷鉄源をアークにて溶解し、次いで、プ
    ッシャーを停止してアークにて溶湯を加熱・昇温した
    後、溶解室内の溶湯湯面が嵩上げ部に到達する前に、冷
    鉄源が嵩上げ部に存在する状態で溶湯を出湯することを
    特徴とする冷鉄源の溶解方法。
  7. 【請求項7】 前記アーク溶解設備が、溶解室の冷鉄源
    装入口が設けられた部分と出湯部が設けられた部分との
    間に、溶解室を出湯部側に傾動した際に溶解室内の冷鉄
    源が出湯部へ流出することを妨げるための離間部を具備
    したアーク溶解設備であることを特徴とする請求項4な
    いし請求項6の何れか1つに記載の冷鉄源の溶解方法。
  8. 【請求項8】 前記出湯部が冷鉄源の供給方向に対して
    直交する方向に設けられていることを特徴とする請求項
    4ないし請求項7の何れか1つに記載の冷鉄源の溶解方
    法。
  9. 【請求項9】 冷鉄源装入口及びこの冷鉄源装入口直下
    の底部に嵩上げ部を備えた溶解室と、溶解室内で冷鉄源
    を溶解するためのアーク発生用電極と、冷鉄源が嵩上げ
    部に常に存在する状態を保つように溶解室へ冷鉄源を連
    続的又は断続的に供給する冷鉄源供給手段とを有し、冷
    鉄源が嵩上げ部に存在する状態で溶湯を出湯する冷鉄源
    の溶解設備であって、前記嵩上げ部は所定量の溶湯を溶
    解室内で溶解しても溶湯が到達しない高さを有している
    ことを特徴とする冷鉄源の溶解設備。
  10. 【請求項10】 冷鉄源装入口及びこの冷鉄源装入口直
    下の底部に嵩上げ部を備えた溶解室と、溶解室内で冷鉄
    源を溶解するためのアーク発生用電極と、冷鉄源が嵩上
    げ部に常に存在する状態を保つように溶解室へ冷鉄源を
    連続的又は断続的に供給する冷鉄源供給手段と、溶解室
    に突設され、出湯口を有する出湯部とを有し、冷鉄源が
    嵩上げ部に存在する状態で溶湯を出湯する冷鉄源の溶解
    設備であって、前記溶解室内の冷鉄源は溶解中に溶解室
    の冷鉄源装入口が設けられている一方側から他方側へ向
    けて供給され、前記出湯部はその冷鉄源の供給方向とは
    異なる方向に設けられ、且つ、前記嵩上げ部は所定量の
    溶湯を溶解室内で溶解しても溶湯が到達しない高さを有
    していることを特徴とする冷鉄源の溶解設備。
  11. 【請求項11】 前記冷鉄源装入口の下方には溶解室内
    を出入り可能なプッシャーが1基若しくは2基以上、更
    に設けられていることを特徴とする請求項9又は請求項
    10に記載の冷鉄源の溶解設備。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009293877A (ja) * 2008-06-06 2009-12-17 Toda Iron Works Co Ltd 電気炉の原料投入シュートのシャッター機構

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