JP2000292064A - 冷鉄源の溶解方法及び溶解設備 - Google Patents

冷鉄源の溶解方法及び溶解設備

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JP2000292064A
JP2000292064A JP9716099A JP9716099A JP2000292064A JP 2000292064 A JP2000292064 A JP 2000292064A JP 9716099 A JP9716099 A JP 9716099A JP 9716099 A JP9716099 A JP 9716099A JP 2000292064 A JP2000292064 A JP 2000292064A
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melting
chamber
iron source
cold iron
melting chamber
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Hideaki Mizukami
秀昭 水上
Ryuji Yamaguchi
隆二 山口
Takeshi Nakayama
剛 中山
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶解室と直結した予熱室を有する溶解設備に
おいて、溶解室内の予熱室下方位置における冷鉄源の棚
吊りを防止して、高効率で安定した溶解を行う。 【解決手段】 アーク発生用電極6、7を備えた溶解室
2と、溶解室に直結し、溶解室で発生する排ガスが導入
されるシャフト型の予熱室3とを具備したアーク溶解設
備1を用い、冷鉄源16が予熱室と溶解室とに連続して
存在する状態を保つように冷鉄源を予熱室へ供給しなが
ら溶解室内の冷鉄源をアーク19にて溶解し、溶解室に
少なくとも1ヒート分の溶鋼17が溜まった時点で、冷
鉄源が予熱室と溶解室とに連続して存在する状態で溶鋼
を出鋼する冷鉄源の溶解方法において、溶解室内の予熱
室下方位置に堆積する冷鉄源を突き棒にて突つきながら
溶解する、或いは、溶解室内の冷鉄源と溶鋼との境界付
近の溶鋼中に酸素又は不活性ガスを溶解室炉底から吹き
込みながら溶解する方法及び装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷鉄源や直接還元
鉄等の冷鉄源を効率良く溶解する溶解方法及び溶解設備
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】製鋼用アーク炉では、アーク発生用電極
から発生するアーク熱により鉄スクラップや直接還元鉄
等の冷鉄源を加熱・溶解し、精錬して溶鋼を製造する
が、多くの電力を消費するため、溶解中にアーク炉溶解
室から発生する高温の排ガスを利用して冷鉄源を予熱
し、予熱した冷鉄源を溶解することで電力使用量を削減
する方法が多数提案されている。
【0003】例えば、特公平6−46145号公報(以
下「先行技術1」と記す)には、溶解室に直結したシャ
フト型の予熱室を設け、溶解室内と予熱室内とに1ヒー
ト分の冷鉄源を溶解毎に装入して、この冷鉄源を排ガス
で予熱しつつ溶解する設備が開示されている。先行技術
1では、予熱室が溶解室に直結されているので冷鉄源の
保持・搬送用設備が必要でなく、そのため、これら設備
の設備トラブルを懸念することなく排ガス温度を上昇さ
せ、冷鉄源の予熱温度を上げることができるので、電力
削減効果に優れるが、1ヒート分の溶鋼量を溶解する毎
に予熱室内の全ての冷鉄源を溶解して出鋼するため、次
ヒートの最初に溶解される冷鉄源の予熱ができず、排ガ
スの有効利用という点では十分とはいえない。
【0004】この問題を解決すべく、特開平10−29
2990号公報(以下「先行技術2」と記す)が本発明
者等により提案されている。先行技術2では、溶解室
と、溶解室に直結するシャフト型の予熱室とを備えたア
ーク溶解設備を用い、冷鉄源が予熱室と溶解室とに連続
して存在する状態を保つように冷鉄源を連続的又は断続
的に予熱室へ供給しながら、溶解室内の冷鉄源をアーク
にて溶解し、溶解室に所定量の溶鋼が溜まった時点で、
冷鉄源が予熱室と溶解室とに連続して存在する状態で溶
鋼を出鋼する溶解方法としているので、予熱室内及び溶
解室内には常に冷鉄源が存在して、次ヒートの最初に溶
解される冷鉄源も予熱され、電力使用量の大幅な削減が
達成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先行技
術2でも以下の問題点がある。即ち、冷鉄源が連続的に
予熱室から溶解室内の溶鋼中に供給されているときに
は、高温に予熱された冷鉄源の定常的な溶解が可能とな
り、電力原単位の低減を図ることができるものの、予熱
室から溶解室に供給された冷鉄源と溶解室内の溶鋼との
境界付近に冷鉄源が積層したり、又は、予熱室下方の溶
け残った未溶解部に冷鉄源が積層したりして、冷鉄源が
溶鋼中に落ちていかず、所謂、棚吊りが発生した場合に
は、溶鋼と冷鉄源との接触面積が減少して溶解が停滞す
ることがある。これらの現象は特に操業トラブルにはな
らないが、これらの現象が生じると溶解時間の延長、溶
鋼温度の上昇等が生じて、安定操業に支障を来すことに
なる。
【0006】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
その目的とするところは、溶解室に直結されたシャフト
型の予熱室から溶解室への冷鉄源の供給に際して、溶解
室内の予熱室下方位置における冷鉄源の棚吊りを防止し
て、高効率で安定した溶解を行うことのできる冷鉄源の
溶解方法及び溶解設備を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の発明による冷鉄源
の溶解方法は、アーク発生用電極を備えた溶解室と、溶
解室に直結し、溶解室で発生する排ガスが導入されるシ
ャフト型の予熱室とを具備したアーク溶解設備を用い、
冷鉄源が予熱室と溶解室とに連続して存在する状態を保
つように冷鉄源を連続的又は断続的に予熱室へ供給しな
がら溶解室内の冷鉄源をアークにて溶解し、溶解室に少
なくとも1ヒート分の溶鋼が溜まった時点で、冷鉄源が
予熱室と溶解室とに連続して存在する状態で溶鋼を出鋼
する冷鉄源の溶解方法において、溶解室内の予熱室下方
位置に堆積する冷鉄源を突き棒にて突つきながら溶解す
ることを特徴とするものである。
【0008】第2の発明による冷鉄源の溶解方法は、第
1の発明において、前記突き棒を前後に振動させながら
冷鉄源を突くことを特徴とするものである。
【0009】第3の発明による冷鉄源の溶解方法は、ア
ーク発生用電極を備えた溶解室と、溶解室に直結し、溶
解室で発生する排ガスが導入されるシャフト型の予熱室
とを具備したアーク溶解設備を用い、冷鉄源が予熱室と
溶解室とに連続して存在する状態を保つように冷鉄源を
連続的又は断続的に予熱室へ供給しながら溶解室内の冷
鉄源をアークにて溶解し、溶解室に少なくとも1ヒート
分の溶鋼が溜まった時点で、冷鉄源が予熱室と溶解室と
に連続して存在する状態で溶鋼を出鋼する冷鉄源の溶解
方法において、溶解室内の冷鉄源と溶鋼との境界付近の
溶鋼中に酸素又は不活性ガスを溶解室炉底から吹き込み
ながら溶解することを特徴とするものである。
【0010】第4の発明による冷鉄源の溶解設備は、冷
鉄源を溶解するための溶解室と、溶解室の上部に直結
し、溶解室で発生する排ガスにて冷鉄源を予熱するシャ
フト型の予熱室と、溶解室内で冷鉄源を溶解するための
アーク発生用電極と、冷鉄源が予熱室と溶解室とに連続
して存在する状態を保つように予熱室へ冷鉄源を連続的
又は断続的に供給する冷鉄源供給手段と、溶解室内の予
熱室下方位置に堆積する冷鉄源を突つくための突き棒
と、溶解室に設けられた出鋼口とを具備し、前記突き棒
により溶解室内の予熱室下方位置に堆積する冷鉄源を突
つきながら、溶解室内の冷鉄源をアークにより溶解し、
溶解室に少なくとも1ヒート分の溶鋼が溜まった時点
で、冷鉄源が予熱室と溶解室とに連続して存在する状態
で溶鋼を出鋼することを特徴とするものである。
【0011】第5の発明による冷鉄源の溶解設備は、冷
鉄源を溶解するための溶解室と、溶解室の上部に直結
し、溶解室で発生する排ガスにて冷鉄源を予熱するシャ
フト型の予熱室と、溶解室内で冷鉄源を溶解するための
アーク発生用電極と、冷鉄源が予熱室と溶解室とに連続
して存在する状態を保つように予熱室へ冷鉄源を連続的
又は断続的に供給する冷鉄源供給手段と、溶解室内の冷
鉄源と溶鋼との境界付近の溶鋼中に酸素又は不活性ガス
を吹き込むためのガス供給手段と、溶解室に設けられた
出鋼口とを具備し、前記ガス供給手段から酸素又は不活
性ガスを吹き込みながら、溶解室内の冷鉄源をアークに
より溶解し、溶解室に少なくとも1ヒート分の溶鋼が溜
まった時点で、冷鉄源が予熱室と溶解室とに連続して存
在する状態で溶鋼を出鋼することを特徴とするものであ
る。
【0012】本発明によれば、例え予熱室下方の溶け残
った未溶解部に冷鉄源が積層したとしても、突き棒によ
り冷鉄源を突ついて溶鋼中に落下させることができ、
又、例え予熱室から溶解室に供給された冷鉄源と溶解室
内の溶鋼との境界付近に冷鉄源が積層したとしても、酸
素又は不活性ガスを冷鉄源と溶鋼との境界付近の溶鋼中
に吹き込むことにより、積層部を溶解することができる
ので、冷鉄源の棚吊りが防止され、冷鉄源を溶解室に安
定して供給することができる。その結果、高効率でしか
も安定した操業が可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づき説明
する。図1は、本発明の実施の形態の1例を示すアーク
溶解設備の縦断面概略図である。
【0014】図1において、内部を耐火物で構築され、
底部に炉底電極6を備えた溶解室2の上部には、シャフ
ト型の予熱室3と水冷構造の炉壁4とが配置され、この
予熱室3で覆われない炉壁4の上部開口部は、開閉自在
な水冷構造の炉蓋5で覆われている。この炉蓋5を貫通
して、溶解室2内へ上下移動可能な黒鉛製の上部電極7
が設けられ、アーク溶解設備1の基部が構成されてい
る。炉底電極6と上部電極7とは直流電源(図示せず)
に連結し、炉底電極6と上部電極7との間でアーク19
を発生させる。
【0015】予熱室3の上方には、走行台車24に吊り
下げられた底開き型の供給用バケット15が設けられ、
この供給用バケット15から、予熱室3の上部に設けた
開閉自在な供給口20を介して鉄スクラップや直接還元
鉄等の冷鉄源16が予熱室3内に装入される。そして、
予熱室3の上端に設けられたダクト21は集塵機(図示
せず)に連結し、溶解室2で発生する高温の排ガスは、
予熱室3及びダクト21を順に通って吸引され、予熱室
3内の冷鉄源16は予熱される。予熱された冷鉄源16
は、溶解室2内で溶解される冷鉄源16の量に見合っ
て、溶解室2内に自由落下し、溶解室2へ装入される。
【0016】予熱室3の側壁は下方に向かって広がるテ
ーパーを有している。テーパーを設けることにより予熱
された冷鉄源16を溶解室2へ安定して供給することが
できる。テーパーが形成されない場合には、冷鉄源16
が落下し難くなり、予熱室3内で棚吊りを起こす原因と
なる。このテーパーは2.5〜7度の範囲であることが
好ましい。2.5度未満では予熱室3内の棚吊り発生を
有効に防止することができず、又、7度を越えると予熱
室3内の冷鉄源16の装入量が減少して、冷鉄源16の
予熱室3内の滞留時間を十分に長くすることができず、
十分な予熱効果を得ることができなくなる。
【0017】炉蓋5を貫通して、溶解室2内を上下移動
可能な酸素吹き込みランス8と炭材吹き込みランス9と
が設けられ、酸素吹き込みランス8からは酸素が溶解室
2内に吹き込まれ、炭材吹き込みランス9からは空気や
窒素等を搬送用ガスとしてコークス、チャー、石炭、木
炭、黒鉛等の等の炭材が溶解室2内に吹き込まれる。
又、溶解室2の予熱室3を設置した部位の反対側には、
その炉底に、扉22で出口側を押さえ付けられて内部に
詰め砂又はマッド剤が充填された出鋼口13と、その側
壁に、扉23で出口側を押さえ付けられて内部に詰め砂
又はマッド剤が充填された出滓口14とが設けられてい
る。この出鋼口13の鉛直上方に対応する部位の炉蓋5
には、バーナー10が取り付けられている。バーナー1
0は、重油、灯油、微粉炭、プロパンガス、天然ガス等
の化石燃料を、空気又は酸素若しくは酸素富化空気によ
り溶解室2内で燃焼させる。
【0018】予熱室3から供給される冷鉄源16と溶解
室2内に生成される溶鋼17との境界付近の溶解室2の
炉底には、酸素又は不活性ガスを溶解室2内に吹き込む
ためのガス供給手段として羽口12が設置されている。
酸素を吹き込む場合には、羽口12を二重管構造として
外管にプロパン等の冷却ガスを流す構造とし、Ar等の
不活性ガスを吹き込む場合には、羽口12を単管として
も又直径が1mm程度の多数の細管を集合させたものと
しても、或いは羽口12に代えて多孔質のポーラス煉瓦
としてもどれでも良い。
【0019】炉蓋5の予熱室3側には、炉蓋5を貫通し
て炉蓋5の上方から溶解室2内の予熱室3下方位置まで
挿入可能な突き棒11が設置されている。図2に示すよ
うに、突き棒11は更に予熱室3の側壁に沿って予熱室
3の側壁と平行な方向にも移動可能となっており、予熱
室3から溶解室2に供給される冷鉄源16を幅広く且つ
隈なく突ついて崩すことが可能である。そして、突き棒
11は前後に微動しながら冷鉄源16を突つく機構を具
備している。尚、図2は、図1に示すアーク溶解設備の
平面概略図である。
【0020】このように構成されるアーク溶解設備1に
おける冷鉄源16の溶解方法は次のようにして行われ
る。先ず、供給用バケット15より予熱室3内に冷鉄源
16を装入する。予熱室3内に装入された冷鉄源16
は、溶解室2内にも装入され、やがて予熱室3内を充填
する。尚、溶解室2内へ冷鉄源16を均一に装入するた
め、炉蓋5を開けて予熱室3と反対側の溶解室2内に冷
鉄源16を装入することもできる。
【0021】次いで、羽口12から酸素又は不活性ガス
を吹き込みながら、炉底電極6と上部電極7との間に直
流電流を給電しつつ上部電極7を昇降させ、上部電極7
と炉底電極6及び装入した冷鉄源16との間でアーク1
9を発生させる。そして、発生するアーク熱により冷鉄
源16を溶解し、溶鋼17を生成させる。溶鋼17の生
成と共に、生石灰、蛍石等のフラックスを溶解室2内に
装入して、溶融スラグ18を溶鋼17上に形成させ、溶
鋼17の酸化を防止すると共に溶鋼17の保温を図る。
溶融スラグ18の量が多すぎる場合には、操業中でも出
滓口14から、排滓することができる。
【0022】通電開始に伴い、突き棒11により溶解室
2内の予熱室3下方位置に堆積する冷鉄源16を断続的
に突いて、堆積した冷鉄源16を崩しながら溶解する。
これにより、例え予熱室3下部の溶け残った未溶解部に
冷鉄源16が積層したとしても、積載した冷鉄源16が
崩されるので、冷鉄源16の棚吊りを未然に防止するこ
とができる。上述のように予熱室3の側壁にテーパーを
形成することにより、棚吊りは生じ難くはなるものの、
ある程度の頻度で発生するが、このようにして予熱室3
下方に堆積する冷鉄源16を崩すので、未溶解部に冷鉄
源16が積層することによる棚吊りをほぼ完全に防止す
ることができる。突き棒11は間歇的に溶解室2内に挿
入されるので、その熱負荷は小さく、耐用性は高い。
【0023】又、溶解の進行に伴って、例え予熱室3下
方位置に堆積する冷鉄源16と溶鋼17との境界付近に
冷鉄源16が積載しても、羽口12から吹き込まれる酸
素又は不活性ガスにより溶鋼17が攪拌され、攪拌され
た溶鋼17により積載した冷鉄源16が溶解するので、
冷鉄源16の棚吊りを未然に防止することができる。
【0024】溶鋼17の生成する頃から、酸素吹き込み
ランス8及び炭材吹き込みランス9から、酸素及び炭材
を溶解室2内の溶鋼17又は溶融スラグ18中に吹き込
むことが好ましい。溶鋼17中に溶解した炭材又は溶融
スラグ18中に懸濁した炭材は、酸素と反応して燃焼熱
を発生し、補助熱源として作用して電力使用量を節約す
る。同時に、反応生成物のCOガスが溶融スラグ18を
フォーミングさせ、アーク19が溶融スラグ18に包ま
れた、所謂スラグフォーミング操業となるので、アーク
19の着熱効率が上昇する。又、大量に発生する高温の
COガスと、このCOガスが燃焼して生成するCO2
スとが、予熱室3内の冷鉄源16を効率良く予熱する。
この炭材の吹き込み量は、酸素吹き込み量に対応して決
める。即ち、吹き込まれる酸素の化学等量に等しい程度
の炭材を吹き込むこととする。吹き込まれる炭材が酸素
吹き込み量に比べて少ないと、溶鋼17が過剰に酸化す
るので好ましくない。又、羽口12から吹き込まれる酸
素は溶鋼17と反応してFeOとなるが、このFeOは
吹き込まれた炭材により還元される。この場合、酸素吹
き込みランス8と羽口12とから吹き込まれる酸素の合
計量は、溶解される溶鋼17の1トン当り25Nm3
上、望ましくは40Nm3 以上であることが好ましい。
これにより一層効率良く冷鉄源16を溶解することがで
きる。
【0025】溶鋼17の生成に伴い、予熱室3内の冷鉄
源16は溶解室2内で溶解された量に見合って溶解室2
内に自由落下して減少するので、この減少分を補うため
に供給用バケット15から予熱室3へ冷鉄源16を装入
する。この冷鉄源16の予熱室3内への装入は、冷鉄源
16が予熱室3と溶解室2とに連続して存在する状態を
保つように、連続的又は断続的に行う。その際、予熱効
率を高めるために、予熱室3と溶解室2とに連続して存
在する冷鉄源16の量を、1ヒート分の冷鉄源16の5
0%以上とすることが好ましい。
【0026】このようにして冷鉄源16を溶解して、溶
解室2内に少なくとも1ヒート分の溶鋼17が溜まった
ら、溶解室2及び予熱室3に冷鉄源16が連続して存在
する状態を保ったまま、溶解室2を傾動して出鋼口13
から取鍋等の溶鋼保持容器(図示せず)に1ヒート分の
溶鋼17を出鋼する。出鋼に際しては、溶鋼温度の低下
に伴う出鋼口13の閉塞等のトラブルを防止するため
に、バーナー10で溶鋼17を加熱しても良い。
【0027】そして出鋼後、必要により溶鋼17を取鍋
精錬炉等にて昇温して精錬した後、連続鋳造機等で鋳造
する。溶鋼17を出鋼し、更に溶融スラグ18を排滓し
た後、溶解室2を水平に戻し、出鋼口13及び出滓口1
4内に詰め砂又はマッド材を充填し、次いで、再度通電
して溶解を継続する。次回のヒートは予熱された冷鉄源
16で溶解を開始することができるので、溶解効率が向
上する。尚、出鋼時に、数トン〜数十トンの溶鋼17を
溶解室2内に残留させて、次回ヒートの溶解を再開して
も良い。こうすることで初期の溶解が促進され、溶解効
率がより一層向上する。
【0028】このようにして、冷鉄源16を加熱・溶解
することで、溶解室2内の予熱室3下方位置における冷
鉄源16の棚吊りを未然に防止することが可能となり、
高効率で安定した溶解を行うことが可能となる。その結
果、生産性の向上と電力原単位の低減とが達成される。
【0029】尚、上記説明では、突き棒11及び羽口1
2の両方を具備したアーク溶解設備1で説明したが、本
発明はこれに限るものではなく、突き棒11又は羽口1
2のどちらか1方のみを設置したアーク溶解設備として
も良い。又、上記説明では、アーク発生装置が直流式の
場合について説明したが、交流式としても全く支障なく
本発明を適用することができる。
【0030】
【実施例】[実施例1]図1に示すアーク溶解設備にお
ける実施例を以下に説明する。尚、本実施例では溶解室
炉底の羽口を取り外し、底吹きガス攪拌を行わずに溶解
した例である。アーク溶解設備は、溶解室が炉径7.2
m、高さ4m、予熱室が幅3m、長さ5m、高さ7m、
炉容量が180トンである。
【0031】先ず、予熱室に150トンの常温の鉄スク
ラップを装入し、直径30インチの黒鉛製上部電極を用
い、最大750V、130KAの電源容量で溶解を開始
した。通電直後、生石灰と蛍石とを添加すると共に、酸
素吹き込みランスから4000Nm3 /hrで酸素を吹
き込んだ。溶解室内に溶鋼が溜まってきた時点で、炭材
吹き込みランスからコークスを80kg/minとして
スラグ中に吹き込み、スラグフォーミング操業に移行
し、上部電極の先端をフォーミングしたスラグ中に埋没
させた。この時の電圧を550Vに設定した。そして、
予熱室内の鉄スクラップが溶解につれて下降したなら
ば、供給用バケットにて鉄スクラップを予熱室に装入
し、予熱室内の鉄スクラップ高さを一定の高さに保持し
ながら溶解を続けた。
【0032】この間、突き棒を5分間に1回の頻度で溶
解室内に挿入して、予熱室下方に堆積した冷鉄源を突つ
いて崩し、冷鉄源の棚吊りを防止して、冷鉄源の溶鋼中
への倒れこみが定常的に生じる状態を継続させた。
【0033】そして、溶解室内及び予熱室内に連続して
鉄スクラップが存在する状態で溶解を進行させ、溶解室
内に180トンの溶鋼が生成した時点で、約60トンの
溶鋼を溶解室に残し1ヒート分の120トンの溶鋼を取
鍋に出鋼した。出鋼時、重油バーナーにより溶鋼を加熱
した。出鋼時の溶鋼の炭素濃度は0.1wt%で、溶鋼
温度は1550℃であった。出鋼後、再通電すると共に
酸素及びコークスの吹き込みを再開し、再び溶鋼量が1
80トンになったら120トン出鋼することを繰り返し
実施した。
【0034】その結果、酸素吹き込み量が33Nm3
t、コークス吹き込み量が26kg/tの条件で、出鋼
から出鋼までの平均時間を40分とし、電力原単位を1
70kWh/tとして溶解することができた。
【0035】突き棒を使用しない場合には、予熱室の下
方位置に溶け残った未溶解部の上に鉄スクラップが積層
し、鉄スクラップの前面には空間があるにも関わらず、
鉄スクラップが溶解室内に落ちていかず、棚吊り状態が
長時間継続して溶解が停滞する現象が6ヒートに1回程
度生じたが、本発明に従って突き棒を使用することによ
り、このような溶解の停滞は発生しなかった。
【0036】突き棒を用いて冷鉄源を突いた場合と突か
なかった場合とで、出鋼から出鋼までの時間とその頻度
との関係を図3に示す。図3から明らかなように、突き
棒を使用しない場合には、溶鋼への鉄スクラップの供給
が遅れ、その結果出鋼から出鋼までの時間が長くなる場
合が発生したが、突き棒を使用した場合には、ほぼ40
分間で出鋼でき、溶解時間の延長は発生しなかった。
【0037】[実施例2]図1に示すアーク溶解設備に
おける実施例を以下に説明する。尚、本実施例では突き
棒は使用せず、溶解室炉底に設けた2つの二重管羽口か
ら酸素を吹き込みつつ溶解した例である。アーク溶解設
備は、溶解室が炉径7.2m、高さ4m、予熱室が幅3
m、長さ5m、高さ7m、炉容量が180トンである。
【0038】先ず、予熱室に150トンの常温の鉄スク
ラップを装入し、直径30インチの黒鉛製上部電極を用
い、最大750V、130KAの電源容量で溶解を開始
した。通電直後、生石灰と蛍石とを添加すると共に、酸
素吹き込みランスから4000Nm3 /hrで酸素を吹
き込んだ。溶解室内に溶鋼が溜まってきた時点で、炭材
吹き込みランスからコークスを80kg/minとして
スラグ中に吹き込み、スラグフォーミング操業に移行
し、上部電極の先端をフォーミングしたスラグ中に埋没
させた。この時の電圧を550Vに設定した。そして、
予熱室内の鉄スクラップが溶解につれて下降したなら
ば、供給用バケットにて鉄スクラップを予熱室に装入
し、予熱室内の鉄スクラップ高さを一定の高さに保持し
ながら溶解を続けた。
【0039】この間、二重管羽口から1つの羽口当り4
0Nm3 /hr、羽口合計で80Nm3 /hrで酸素を
吹き込み、冷鉄源の棚吊りを防止して、冷鉄源の溶鋼中
への倒れこみが定常的に生じる状態を継続させた。尚、
二重管の外管からはプロパンガスを吹き込み、羽口を冷
却させた。
【0040】そして、溶解室内及び予熱室内に連続して
鉄スクラップが存在する状態で溶解を進行させ、溶解室
内に180トンの溶鋼が生成した時点で、約60トンの
溶鋼を溶解室に残し1ヒート分の120トンの溶鋼を取
鍋に出鋼した。出鋼時、重油バーナーにより溶鋼を加熱
した。出鋼時の溶鋼の炭素濃度は0.1wt%で、溶鋼
温度は1550℃であった。出鋼後、再通電すると共に
酸素及びコークスの吹き込みを再開し、再び溶鋼量が1
80トンになったら120トン出鋼することを繰り返し
実施した。
【0041】その結果、酸素吹き込みランス及び底吹き
羽口からの合計の酸素吹き込み量が33Nm3 /t、コ
ークス吹き込み量が26kg/tの条件で、出鋼から出
鋼までの平均時間を40分とし、電力原単位を170k
Wh/tとして溶解することができた。
【0042】羽口から酸素を吹き込まない場合には、溶
鋼と冷鉄源との境界付近に溶け残った未溶解部の上に鉄
スクラップが積層し、鉄スクラップの前面には空間があ
るにも関わらず、鉄スクラップが溶解室内に落ちていか
ず、棚吊り状態が長時間継続して溶解が停滞する現象が
6ヒートに1回程度生じたが、本発明に従って酸素を吹
き込むことにより、このような溶解の停滞は発生しなか
った。
【0043】酸素を炉底から吹き込んだ場合と吹き込ま
ない場合とで、出鋼から出鋼までの時間とその頻度との
関係を調査した結果、実施例1と同様に、酸素を吹き込
まない場合には、溶鋼への鉄スクラップの供給が遅れ、
その結果出鋼から出鋼までの時間が長くなる場合が発生
したが、酸素を吹き込んだ場合には、ほぼ40分間で出
鋼でき、溶解時間の延長は発生しなかった。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、溶解室に直結されたシ
ャフト型の予熱室から溶解室への冷鉄源の供給に際し
て、溶解室内の予熱室下方位置における冷鉄源の棚吊り
を防止することができるので、高効率で安定した冷鉄源
の溶解を行うことが可能となる。その結果、生産性の向
上並びに電力原単位の大幅な低減が達成され、多大な工
業的効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示すアーク溶解設
備の縦断面概略図である。
【図2】図1に示すアーク溶解設備の平面概略図であ
る。
【図3】実施例1において、突き棒使用の有無による出
鋼から出鋼までの時間を調査した結果を示す図である。
【符号の説明】
1 アーク溶解設備 2 溶解室 3 予熱室 4 炉壁 5 炉蓋 6 炉底電極 7 上部電極 8 酸素吹き込みランス 9 炭材吹き込みランス 10 バーナー 11 突き棒 12 羽口 13 出鋼口 14 出滓口 15 供給用バケット 16 冷鉄源 17 溶鋼 18 溶融スラグ 19 アーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中山 剛 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K014 CB07 CC01 CC09 CD11 4K045 AA01 AA03 AA06 BA02 RB02 RB16 RB22 RB29 RC02 4K063 AA03 AA04 AA12 BA02 CA01 CA06 GA02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アーク発生用電極を備えた溶解室と、溶
    解室に直結し、溶解室で発生する排ガスが導入されるシ
    ャフト型の予熱室とを具備したアーク溶解設備を用い、
    冷鉄源が予熱室と溶解室とに連続して存在する状態を保
    つように冷鉄源を連続的又は断続的に予熱室へ供給しな
    がら溶解室内の冷鉄源をアークにて溶解し、溶解室に少
    なくとも1ヒート分の溶鋼が溜まった時点で、冷鉄源が
    予熱室と溶解室とに連続して存在する状態で溶鋼を出鋼
    する冷鉄源の溶解方法において、溶解室内の予熱室下方
    位置に堆積する冷鉄源を突き棒にて突つきながら溶解す
    ることを特徴とする冷鉄源の溶解方法。
  2. 【請求項2】 前記突き棒を前後に振動させながら冷鉄
    源を突くことを特徴とする請求項1に記載の冷鉄源の溶
    解方法。
  3. 【請求項3】 アーク発生用電極を備えた溶解室と、溶
    解室に直結し、溶解室で発生する排ガスが導入されるシ
    ャフト型の予熱室とを具備したアーク溶解設備を用い、
    冷鉄源が予熱室と溶解室とに連続して存在する状態を保
    つように冷鉄源を連続的又は断続的に予熱室へ供給しな
    がら溶解室内の冷鉄源をアークにて溶解し、溶解室に少
    なくとも1ヒート分の溶鋼が溜まった時点で、冷鉄源が
    予熱室と溶解室とに連続して存在する状態で溶鋼を出鋼
    する冷鉄源の溶解方法において、溶解室内の冷鉄源と溶
    鋼との境界付近の溶鋼中に酸素又は不活性ガスを溶解室
    炉底から吹き込みながら溶解することを特徴とする冷鉄
    源の溶解方法。
  4. 【請求項4】 冷鉄源を溶解するための溶解室と、溶解
    室の上部に直結し、溶解室で発生する排ガスにて冷鉄源
    を予熱するシャフト型の予熱室と、溶解室内で冷鉄源を
    溶解するためのアーク発生用電極と、冷鉄源が予熱室と
    溶解室とに連続して存在する状態を保つように予熱室へ
    冷鉄源を連続的又は断続的に供給する冷鉄源供給手段
    と、溶解室内の予熱室下方位置に堆積する冷鉄源を突つ
    くための突き棒と、溶解室に設けられた出鋼口とを具備
    し、前記突き棒により溶解室内の予熱室下方位置に堆積
    する冷鉄源を突つきながら、溶解室内の冷鉄源をアーク
    により溶解し、溶解室に少なくとも1ヒート分の溶鋼が
    溜まった時点で、冷鉄源が予熱室と溶解室とに連続して
    存在する状態で溶鋼を出鋼することを特徴とする冷鉄源
    の溶解設備。
  5. 【請求項5】 冷鉄源を溶解するための溶解室と、溶解
    室の上部に直結し、溶解室で発生する排ガスにて冷鉄源
    を予熱するシャフト型の予熱室と、溶解室内で冷鉄源を
    溶解するためのアーク発生用電極と、冷鉄源が予熱室と
    溶解室とに連続して存在する状態を保つように予熱室へ
    冷鉄源を連続的又は断続的に供給する冷鉄源供給手段
    と、溶解室内の冷鉄源と溶鋼との境界付近の溶鋼中に酸
    素又は不活性ガスを吹き込むためのガス供給手段と、溶
    解室に設けられた出鋼口とを具備し、前記ガス供給手段
    から酸素又は不活性ガスを吹き込みながら、溶解室内の
    冷鉄源をアークにより溶解し、溶解室に少なくとも1ヒ
    ート分の溶鋼が溜まった時点で、冷鉄源が予熱室と溶解
    室とに連続して存在する状態で溶鋼を出鋼することを特
    徴とする冷鉄源の溶解設備。
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