JP2002339013A - 鋼ダライコ屑の溶解方法 - Google Patents

鋼ダライコ屑の溶解方法

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JP2002339013A
JP2002339013A JP2001145946A JP2001145946A JP2002339013A JP 2002339013 A JP2002339013 A JP 2002339013A JP 2001145946 A JP2001145946 A JP 2001145946A JP 2001145946 A JP2001145946 A JP 2001145946A JP 2002339013 A JP2002339013 A JP 2002339013A
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chamber
steel
melting
scrap
melting chamber
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Hideaki Mizukami
秀昭 水上
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶解室の上蓋を解放することや鋼ダライコ屑
の溶融による棚吊りを起こすことなく、どのような型式
のアーク溶解設備であっても大量の鋼ダライコ屑を溶解
用原料として使用して溶湯を溶製する。 【解決手段】 溶解室2を取り囲む側壁7又は上蓋8に
設置した装入口6から鋼ダライコ屑22を溶解室内に装
入しながら、溶解室内の鋼ダライコ屑をアーク26によ
り溶解する。その際、溶解室から発生する排ガスを前記
装入口とは異なる位置に設置した排気口14から排出し
ながら溶解することが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大量の鋼ダライコ
屑を安価な溶解用原料としてアーク熱により溶解する方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄スクラップや直接還元鉄等の冷鉄源を
アーク溶解設備にて溶解する際は、一般に、冷鉄源を一
旦供給用バケットに積載し、次いで、供給用バケットか
らアーク溶解設備の溶解室内に装入する方法が行なわれ
ている。鉄スクラップを主体とする冷鉄源は嵩密度が小
さいため、アーク溶解設備の1ヒートの溶湯量に対応す
る冷鉄源全量を1回の装入チャンスで溶解室内に装入す
ることは困難であり、そのため、例えば鉄鋼便覧第II巻
製銑・製鋼(日本鉄鋼協会編、第3版、556頁)(以
下、「先行技術1」と記す)に示されるように、最初の
装入チャンスに装入(以下、「初装入」と記す)した冷
鉄源をある程度溶解して溶解室内に冷鉄源を装入するた
めの空間を形成した後、溶解室の上蓋を開放して第2回
目の冷鉄源の装入(以下、「追加装入」と記す)を行な
っている。場合によっては、更に溶解を続けて第3回目
の追加装入を行なうこともある。
【0003】ところで、安価な冷鉄源として鋼ダライコ
屑がある。これは鋼の切削加工等で生じる加工屑であ
り、その嵩密度は通常の鉄スクラップの1/3から1/
5程度で極めて小さい。従って、先行技術1のような溶
解方法において鋼ダライコ屑を溶解用原料として大量に
使用した場合には、嵩密度が低いことに起因して追加装
入の回数が大幅に増加する。この追加装入時には、溶解
室の上蓋を開閉するために通電を中断しなければなら
ず、生産性が低下し、又、溶解室上蓋の解放時には溶解
室内の熱が放散するために熱効率が悪化するという問題
点もある。
【0004】一方、溶解中には冷鉄源を溶解室に直接装
入せずに、溶解室に直結された予熱室に装入し、溶解室
から発生する排ガスにより予熱室内で予熱してから溶解
室内に装入する型式のアーク溶解設備が特開平7−18
0975号公報(以下「先行技術2」と記す)に開示さ
れている。又、溶解室に直結された予熱室内と溶解室内
とに1ヒート分の冷鉄源全量を溶解毎に装入し、予熱室
内に装入した冷鉄源を排ガスで予熱しつつ溶解する型式
のアーク溶解設備が特公平6−46145号公報(以下
「先行技術3」と記す)に開示されている。先行技術2
では追加装入の際にも溶解室の上蓋を開閉する必要がな
く、又、先行技術3では追加装入自体する必要がなく、
従って、先行技術2及び先行技術3において鋼ダライコ
屑を配合した場合には、先行技術1における上記の問題
点は解消される。
【0005】しかし、鋼ダライコ屑は肉厚が薄く、排ガ
スとの単位質量当たりの接触面積が大きく、そのために
予熱され易く、更に表面には油分が付着していることも
あり、鋼ダライコ屑を予熱すると優先的に予熱され、予
熱雰囲気中に酸素が存在する状態では、場合によっては
酸化溶融して他の冷鉄源と融着し、先行技術2及び先行
技術3のような型式の予熱室内では棚吊りして、予熱室
から溶解室への冷鉄源の供給が阻害される虞がある。そ
のため、先行技術2及び先行技術3のような、溶解室と
直結された予熱室を備えたアーク溶解設備において鋼ダ
ライコ屑を溶解用原料として使用する場合には、鋼ダラ
イコ屑は初装入のみに限られる、若しくは、予熱室に装
入する場合には配合量が制限されており、安価な鋼ダラ
イコ屑の大量使用による製造コストの削減が達成できな
いという問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みなされたもので、その目的とするところは、溶解室の
上蓋を解放することや鋼ダライコ屑の溶融による棚吊り
を起こすことなく、どのような型式のアーク溶解設備で
あっても大量の鋼ダライコ屑を溶解用原料として使用す
ることができる溶解方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の発明による鋼ダラ
イコ屑の溶解方法は、溶解室を取り囲む側壁又は上蓋に
設置した装入口から鋼ダライコ屑を溶解室内に装入しな
がら、溶解室内の鋼ダライコ屑をアークにより溶解する
ことを特徴とするものである。
【0008】第2の発明による鋼ダライコ屑の溶解方法
は、第1の発明において、溶解室から発生する排ガスを
前記装入口とは異なる位置に設置した排気口から排出し
ながら鋼ダライコ屑を溶解することを特徴とするもので
ある。
【0009】第3の発明による鋼ダライコ屑の溶解方法
は、溶解室と、この溶解室に直結するシャフト型の原料
装入室とを有するアーク溶解設備を用い、鋼ダライコ屑
が溶解室及び原料装入室に存在する状態を保つように鋼
ダライコ屑を原料装入室へ供給すると共に、溶解室から
発生する排ガスを原料装入室とは異なる位置に設置した
排気口から排出しながら、溶解室内の鋼ダライコ屑をア
ークにより溶解し、溶解室内に所定量の溶湯が生成した
時点で出湯することを特徴とするものである。
【0010】第1の発明及び第2の発明では、鋼ダライ
コ屑を側壁又は上蓋に設置された装入口から溶解室内に
装入するので、鋼ダライコ屑の溶解室への装入の際に上
蓋を解放する必要がなく、そのために連続してアーク加
熱することができるので、上蓋解放に起因する生産性の
低下並びに熱効率の悪化を防止することができる。又、
溶解室で発生する排ガスを鋼ダライコ屑の装入口とは異
なる位置から排出させた場合には、溶解室へ装入される
前の鋼ダライコ屑は排ガスにより実質的に予熱されず、
鋼ダライコ屑の酸化・融着が防止され、鋼ダライコ屑を
溶解室へ安定して供給することができる。
【0011】第3の発明では、鋼ダライコ屑を溶解室に
直結されたシャフト型の原料装入室から連続して溶解室
内に装入するので、鋼ダライコ屑の溶解室への装入の際
に溶解室を解放する必要がなく、従って、先行技術1の
ような追加装入時の上蓋解放に起因する生産性の低下並
びに熱効率の悪化を防止することができる。又、溶解室
から発生する排ガスを原料装入室とは異なる位置に設置
した排気口から排出させるので、溶解室へ装入される前
の鋼ダライコ屑は排ガスにより実質的に予熱されず、鋼
ダライコ屑の酸化・融着が防止され、鋼ダライコ屑を溶
解室へ安定して供給することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態を説明する。先ず第1の実施の形態につい
て図1に基づき説明する。図1は、本発明の実施の形態
の例を示す図であり、本発明を実施したアーク溶解設備
の縦断面概略図である。
【0013】図1に示すように、内部を耐火物で構築さ
れ、底部に下部電極9を備えた溶解室2の周辺上部に
は、溶解室2を取り囲むようにして水冷構造で金属製の
側壁7が配置され、この側壁7の上部は開閉自在な水冷
構造の上蓋8で覆われている。この上蓋8を貫通して、
溶解室2内までの上下移動が可能な黒鉛製の上部電極1
0が設けられ、下部電極9と上部電極10とは直流電源
(図示せず)に連結されており、下部電極9と上部電極
10との間でアーク26を発生させる。又、溶解室2に
は出湯口(図示せず)が設けられている。
【0014】側壁7には、その先端部が装入口6として
溶解室2に開口している原料供給室5が、側壁7を貫通
して設置されている。原料供給室5内にはプッシャー1
9が設置され、このプッシャー19を原料供給室5内で
作動させることにより、原料供給室5の上部側に設置さ
れた蓋20を介して原料供給室5内に装入された鋼ダラ
イコ屑22が連続的若しくは断続的に装入口6から溶解
室2内へ供給されるようになっている。図1では原料供
給室5が側壁7を貫通しているが、上蓋8を貫通するよ
うに配置しても良い。
【0015】又、側壁7を貫通して、溶解室2内までの
上下移動が可能な酸素吹き込みランス11と炭材吹き込
みランス12とが設けられ、酸素吹き込みランス11か
らは酸素が溶解室2内に吹き込まれ、そして、炭材吹き
込みランス12からは空気や窒素等を搬送用ガスとし
て、コークス、チャー、石炭、木炭、黒鉛等の等の炭材
が溶解室2内に吹き込まれる。
【0016】上蓋8には排気口14が設けられ、この排
気口14と接続してダクト15が設けられ、溶解室2内
で発生する高温の排ガスは排気口14及びダクト15を
介して集塵機(図示せず)に吸引されて排出される。即
ち、溶解室2で発生する排ガスは原料供給室5内に流入
しないようになっており、原料供給室5内の鋼ダライコ
屑22は排ガスにより予熱されないようになっている。
図1では排気口14を上蓋8に設置しているが、側壁7
に設置しても良い。
【0017】溶解室2の上方には、走行台車30に吊り
下げられた底開き型の供給用バケット21が設けられ、
この供給用バケット21から上蓋8を解放した状態で溶
解用原料としての鉄スクラップ等が溶解室2内に装入さ
れるようになっている。このようにして直流式アーク溶
解設備1が構成されている。
【0018】このように構成される直流式アーク溶解設
備1において鋼ダライコ屑22を含めて冷鉄源を溶解す
るに際しては、先ず、供給用バケット21に鉄スクラッ
プや冷銑、及び鋼ダライコ屑22等の冷鉄源(図示せ
ず)を溶解用原料として積載し、これらの冷鉄源を積載
した供給用バケット21を走行台車30により溶解室2
の直上に搬送し、予め上部電極10を上昇させて取り外
すと共に上蓋8を開放して、これらの冷鉄源を初装入と
して溶解室2内に装入する。次いで、上蓋8を閉じて上
部電極10を溶解室2内に挿入し、下部電極9と上部電
極10との間に直流電流を給電して、上部電極10と下
部電極9及び装入した冷鉄源との間でアーク26を発生
させ、発生するアーク熱により初装入として装入した冷
鉄源を溶解して溶湯24を生成させる。溶湯24の生成
に伴い、生石灰及び蛍石等のフラックスを溶解室2内に
装入して溶融スラグ25を溶湯24上に形成させ、溶湯
24の酸化を防止すると共に溶湯24の保温を図る。
【0019】又、初装入として装入した冷鉄源の溶解が
進み、酸素吹き込みランス11及び炭材吹き込みランス
12の溶解室2内への挿入が可能となったなら、酸素吹
き込みランス11及び炭材吹き込みランス12を溶解室
2内に挿入して、酸素吹き込みランス11及び炭材吹き
込みランス12から酸素と炭材とを溶湯24面又は溶融
スラグ25中に吹き込むことが望ましい。吹き込まれて
溶湯24中に溶解した炭材又は溶融スラグ25中に懸濁
した炭材と、吹き込まれる酸素とが反応して燃焼熱を発
生し、補助熱源として作用して電力使用量を節約すると
共に、反応生成物のCOガスが溶融スラグ25をフォー
ミングさせて、アーク26が溶融スラグ25に包まれる
ので、アークの着熱効率が上昇する。
【0020】このようにして初装入としての冷鉄源をほ
ぼ溶解したならば、プッシャー19を作動させて原料供
給室5から鋼ダライコ屑22を溶解室2内に供給する。
溶解室2内に供給された鋼ダライコ屑22は溶湯24の
熱により加熱されて溶解する。原料供給室5内の鋼ダラ
イコ屑22が減少したならば、蓋20を開けて新たに鋼
ダライコ屑22を原料供給室5内に装入する。
【0021】鋼ダライコ屑22を連続的若しくは断続的
に溶解室2内に供給して溶解させ、1ヒート分の溶湯2
4が溶解室2内に生成したならば、鋼ダライコ屑22の
溶解室2への供給を停止して、溶湯24を加熱・昇温
し、必要により脱炭等の精錬を行なった後、出湯口から
溶湯保持容器(図示せず)に溶湯24を出湯する。出湯
後、溶湯24は必要に応じて取鍋精錬炉等にて精錬した
後、連続鋳造機等で鋳造する。溶湯24を出湯し、更に
必要に応じて溶融スラグ25を排滓した後、上蓋8を解
放して初装入としての冷鉄源を供給用バケット21を介
して溶解室2内に再度装入し、溶解を再開する。
【0022】このようにして鋼ダライコ屑22を溶解す
ることで、溶解用原料における鋼ダライコ屑22の配合
比率を大幅に増加させることができる。又、鋼ダライコ
屑22の溶解室2への供給の際にも連続してアーク加熱
することができるので、生産性を低下させることがな
く、更に、溶解室2で生成する排ガスにより原料供給室
5内の鋼ダライコ屑22を予熱しないので、鋼ダライコ
屑22の酸化・融着が防止され、鋼ダライコ屑22を溶
解室2内に安定して供給することができる。
【0023】次いで、第2の実施の形態について、図2
及び図3に基づき説明する。図2は、本発明の実施の形
態の他の例を示す図であり、本発明を実施したアーク溶
解設備の縦断面概略図、図3は、図2のX−X’矢視に
よる縦断面概略図である。
【0024】この直流式アーク溶解設備1Aは、鋼ダラ
イコ屑22並びに鉄スクラップや冷銑等の冷鉄源23を
アーク溶解するための溶解室2と、溶解室2の上部に直
結し、上方に向かって延在するシャフト型の予熱室3と
を備えている。この溶解室2及び予熱室3には鋼ダライ
コ屑22並びに鉄スクラップや冷銑等の冷鉄源23が装
入される。
【0025】溶解室2の周辺上部には、水冷構造で金属
製の側壁7が配置され、この側壁7の上部には開閉自在
な水冷構造の上蓋8が設けられており、この上蓋8を貫
通して溶解室2の上方からその中にほぼ垂直に上部電極
10が挿入されている。又、溶解室2の底部には、上部
電極10と対向する位置に下部電極9が設けられてい
る。そしてこれらの電極によって形成されるアーク26
により、鋼ダライコ屑22及び冷鉄源23が溶解され、
溶湯24となる。溶湯24の上には溶融スラグ25が形
成されており、アーク26はこの溶融スラグ25中に形
成されることとなる。
【0026】側壁7には、その先端部が装入口6として
溶解室2に開口している原料供給室5が、側壁7を貫通
して設置されている。原料供給室5内にはプッシャー1
9が設置され、このプッシャー19を原料供給室5内で
作動させることにより、原料供給室5の上部側に設置さ
れた蓋20を介して原料供給室5内に装入された鋼ダラ
イコ屑22が連続的若しくは断続的に装入口6から溶解
室2内へ供給されるようになっている。図3では原料供
給室5が側壁7を貫通しているが、上蓋8を貫通するよ
うに配置しても良い。
【0027】又、側壁7を貫通して、溶解室2内を上下
移動可能な酸素吹き込みランス11と炭材吹き込みラン
ス12とが、その先端を溶湯湯面に向けて挿入されてお
り、前述したように、酸素吹き込みランス11からは酸
素が吹き込まれ、炭材吹き込みランス12からは炭材が
吹き込まれる。
【0028】予熱室3の上方には、走行台車30に吊り
下げられた底開き型の供給用バケット21が設けられ、
この供給用バケット21から、予熱室3の上部に設けた
開閉自在な供給口27を介して、鉄スクラップ、冷銑、
直接還元鉄等の冷鉄源23が予熱室3内に装入される。
鋼ダライコ屑22も予熱室3内に装入しても良いが、予
熱時の酸化・融着を防止する観点から、装入する場合に
も鋼ダライコ屑22の酸化・融着による冷鉄源23の棚
吊りが発生しないようにするため、極力少なくする必要
があり、従って、望ましくは装入しない方が良い。
【0029】供給用バケット21からの冷鉄源23の装
入は、操業中に、冷鉄源23が溶解室2と予熱室3とに
連続して存在する状態を保つように予熱室3へ冷鉄源2
3を連続的又は断続的に供給する。この際の冷鉄源23
の装入は、操業実績に基づいて予め設定されたレシピに
基づいて行っても良いし、予熱室3内の冷鉄源23の量
を検出可能なセンサーを設け、このセンサーからの信号
に基づいて供給用バケット21による冷鉄源23の投入
を制御するようにしても良い。
【0030】予熱室3の上端にはダクト15が設けら
れ、ダクト15の他端は集塵機(図示せず)に連結され
ており、溶解室2で発生する排ガスの排出流路を構成し
ている。即ち、溶解室2で発生する高温の排ガスは予熱
室3及びダクト15を経由して排出され、予熱室3を通
過する排ガスにより予熱室3内に装入された冷鉄源23
は予熱され、予熱された冷鉄源23は、溶解室2内で溶
解される冷鉄源23の量に見合って溶解室2内に自由落
下し、溶解室2へ装入される。この場合、予熱室3の側
壁は、下方に向かって広がるテーパーを有しており、こ
のようなテーパーを有することにより、予熱室3内の冷
鉄源23を安定的に溶解室2内へ供給することができ
る。
【0031】溶解室2の予熱室3を設置した部位の反対
側には、その底部に、扉28で出口側を押さえ付けられ
て内部に詰め砂又はマッド剤が充填された出湯口16
と、その側壁に、扉29で出口側を押さえ付けられて内
部に詰め砂又はマッド剤が充填された出滓口17とが設
けられている。溶解室2における予熱室3と出湯口16
との関係は、溶解室2の中心に対し180度の対向する
位置に限るものではなく、90度の位置であっても良
い。そして、出湯口16の鉛直上方に対応する部位の上
蓋8には、バーナー13が取り付けられている。バーナ
ー13は、重油、灯油、微粉炭、プロパンガス、天然ガ
ス等の化石燃料を、空気又は酸素若しくは酸素富化空気
により溶解室2内で燃焼させる。このようにして直流式
アーク溶解設備1Aが構成されている。この直流式アー
ク溶解設備1Aにおいては、溶解室2に対して予熱室3
自体が排ガスのための排気口の役割を果たしている。
【0032】このように構成される直流式アーク溶解設
備1Aにおいて鋼ダライコ屑22及び冷鉄源23を溶解
するに際しては、先ず、供給用バケット21に鉄スクラ
ップ、冷銑、直接還元鉄等の冷鉄源23を積載し、これ
らの冷鉄源23を予熱室3内に装入する。予熱室3内に
装入された冷鉄源23は、溶解室2内にも初装入として
装入される。こうして、冷鉄源23が溶解室2と予熱室
3とに連続して存在する状態とする。前述したように、
鋼ダライコ屑22を予熱室3内へ装入することは好まし
くなく、極力少なくする若しくは装入しないようにす
る。尚、初装入としての冷鉄源23を溶解室2内へ均一
に装入するため、上蓋8を開けて予熱室3と反対側の溶
解室2内に冷鉄源23を予め装入しておくこともでき
る。この場合には、溶解用原料として鋼ダライコ屑22
を装入しても良い。
【0033】次いで、下部電極9と上部電極10との間
に直流電流を給電して、上部電極10と下部電極9及び
装入した冷鉄源23との間でアーク26を発生させ、発
生するアーク熱により初装入として装入した冷鉄源23
を溶解して溶湯24を生成させる。溶湯24の生成に伴
い、生石灰及び蛍石等のフラックスを溶解室2内に装入
して、溶融スラグ25を溶湯24上に形成させ、溶湯2
4の酸化を防止すると共に溶湯24の保温を図る。
【0034】又、初装入として装入した冷鉄源23の溶
解が進み、酸素吹き込みランス11及び炭材吹き込みラ
ンス12の溶解室2内への挿入が可能となったなら、酸
素吹き込みランス11及び炭材吹き込みランス12を溶
解室2内に挿入して、酸素吹き込みランス11及び炭材
吹き込みランス12から酸素と炭材とを溶湯24面又は
溶融スラグ25中に吹き込むことが望ましい。吹き込ま
れて溶湯24中に溶解した炭材又は溶融スラグ25中に
懸濁した炭材と、吹き込まれる酸素とが反応して燃焼熱
を発生し、補助熱源として作用して電力使用量を節約す
ると共に、反応生成物のCOガスが溶融スラグ25をフ
ォーミングさせて、アーク26が溶融スラグ25に包ま
れるので、アークの着熱効率が上昇する。
【0035】又、これらにより発生する排ガスは予熱室
3及びダクト15を経由して排出され、この排ガスの熱
により予熱室3内の冷鉄源23が予熱される。原料供給
室5には排ガスが流入しないようになっており、原料供
給室5内の鋼ダライコ屑22は予熱されることがない。
【0036】溶解室2内での冷鉄源23の溶解に伴い、
予熱室3内の冷鉄源23が順次溶解室2内に供給される
ため、予熱室3内の冷鉄源23の上端位置が低下してく
る。この場合、予熱室3内に装入した冷鉄源23が溶解
室2と予熱室3とに連続して存在する状態を保つよう
に、供給用バケット21から予熱室3へ冷鉄源23を連
続的又は断続的に装入する。これにより、常に一定以上
の冷鉄源23が溶解室2内及び予熱室3内に存在してい
る状態が保たれる。
【0037】一方、初装入として装入した冷鉄源23が
ほぼ溶解したならば、プッシャー19を作動させて原料
供給室5から鋼ダライコ屑22を溶解室2内に供給す
る。溶解室2内に供給された鋼ダライコ屑22は溶湯2
4の熱により加熱されて溶解する。原料供給室5内の鋼
ダライコ屑22が減少したならば、蓋20を開けて新た
に鋼ダライコ屑22を原料供給室5内に装入する。
【0038】このようにして鋼ダライコ屑22を連続的
若しくは断続的に溶解室2内に供給しながら、予熱室3
内の冷鉄源23と供給された鋼ダライコ屑22とを溶解
し、1ヒート分の溶湯24が溶解室2内に生成したなら
ば、鋼ダライコ屑22の溶解室2への供給を停止して、
溶湯24を加熱・昇温し、必要により脱炭等の精錬を行
ない、出湯口16から溶湯保持容器(図示せず)に溶湯
24を出湯する。この際、溶解室2内には若干量の溶湯
24を残す。出湯後、溶湯24は必要に応じて取鍋精錬
炉等にて精錬した後、連続鋳造機等で鋳造する。溶湯2
4を出湯し、更に必要に応じて溶融スラグ25を排滓し
た後、鋼ダライコ屑22の原料供給室5から溶解室2へ
の供給を再開する。鋼ダライコ屑22の溶解室2への供
給と前後してアーク加熱を再開し、鋼ダライコ屑22及
び冷鉄源23の溶解を再開する。
【0039】このようにして鋼ダライコ屑22を溶解す
ることで、溶解用原料における鋼ダライコ屑22の配合
比率を大幅に増加させることができる。又、鋼ダライコ
屑22の溶解室2への供給の際にも連続してアーク加熱
することができるので、生産性を低下させることがな
く、更に、溶解室2で生成する排ガスにより原料供給室
5内の鋼ダライコ屑22を予熱しないので、鋼ダライコ
屑22の酸化・融着が防止され、鋼ダライコ屑22を溶
解室2内に安定して供給することができる。
【0040】次に、第3の実施の形態について、図4に
基づき説明する。図4は、本発明の実施の形態の他の例
を示す図であり、本発明を実施したアーク溶解設備の縦
断面概略図である。
【0041】この直流式アーク溶解設備1Bは、鋼ダラ
イコ屑22並びに鋼ダライコ屑22と他の冷鉄源との混
合物をアーク溶解するための溶解室2と、溶解室2の上
部に直結し、上方に向かって延在するシャフト型の原料
装入室4とを備えている。この溶解室2及び原料装入室
4には溶解用原料として鋼ダライコ屑22、並びに鋼ダ
ライコ屑22と鉄スクラップ、冷銑、直接還元鉄等の他
の冷鉄源との混合物が装入される。
【0042】溶解室2の周辺上部には、水冷構造で金属
製の側壁7が配置され、この側壁7の上部には開閉自在
な水冷構造の上蓋8が設けられており、この上蓋8を貫
通して溶解室2の上方からその中にほぼ垂直に上部電極
10が挿入されている。又、溶解室2の底部には、上部
電極10と対向する位置に下部電極9が設けられてい
る。そしてこれらの電極によって形成されるアーク26
により、鋼ダライコ屑22を含む溶解用原料が溶解さ
れ、溶湯24となる。溶湯24の上には溶融スラグ25
が形成されており、アーク26はこの溶融スラグ25中
に形成されることとなる。
【0043】原料装入室4の上方には、走行台車30に
吊り下げられた底開き型の供給用バケット21が設けら
れ、この供給用バケット21から、原料装入室4の上部
に設けた開閉自在な供給口27を介して、鋼ダライコ屑
22が原料装入室4内に装入される。鋼ダライコ屑22
以外に、鉄スクラップや冷銑及び直接還元鉄等も鋼ダラ
イコ屑22と混合して原料装入室4内に装入しても良
い。
【0044】原料装入室4には、原料装入室4内を出入
り可能なプッシャー18が設置されている。原料装入室
4内の鋼ダライコ屑22は、溶解室2内で溶解される鋼
ダライコ屑22の量に見合って自重により自由落下して
溶解室2内へ供給されるが、プッシャー18を作動させ
ることにより、原料装入室4内の鋼ダライコ屑22を確
実に溶解室2内へ供給することができる。プッシャー1
8は多いほど鋼ダライコ屑22の供給が安定するので、
2基以上設置することが好ましい。
【0045】供給用バケット21からの鋼ダライコ屑2
2の装入は、操業中に、鋼ダライコ屑22が溶解室2と
原料装入室4とに連続して存在する状態を保つように原
料装入室4へ鋼ダライコ屑22を連続的又は断続的に供
給する。この際の鋼ダライコ屑22の装入は、操業実績
に基づいて予め設定されたレシピに基づいて行っても良
いし、原料装入室4内の鋼ダライコ屑22の量を検出可
能なセンサーを設け、このセンサーからの信号に基づい
て供給用バケット21による鋼ダライコ屑22の投入を
制御するようにしても良い。
【0046】上蓋8を貫通して、溶解室2内を上下移動
可能な酸素吹き込みランス11と炭材吹き込みランス1
2とが、その先端を溶湯湯面に向けて挿入されており、
前述したように、酸素吹き込みランス11からは酸素が
供給され、炭材吹き込みランス12からは炭材が吹き込
まれる。又、上蓋8には排気口14が設けられ、この排
気口14と接続するダクト15が設けられ、ダクト15
の他端は集塵機(図示せず)に連結されており、溶解室
2で発生する高温の排ガスは排気口14及びダクト15
を経由して排出され、原料装入室4内に装入された鋼ダ
ライコ屑22は排ガスにより予熱されないようになって
いる。
【0047】溶解室2の原料装入室4を設置した部位の
反対側には、その底部に、扉28で出口側を押さえ付け
られて内部に詰め砂又はマッド剤が充填された出湯口1
6と、その側壁に、扉29で出口側を押さえ付けられて
内部に詰め砂又はマッド剤が充填された出滓口17とが
設けられている。溶解室2における原料装入室4と出湯
口16との関係は、溶解室2の中心に対し180度の対
向する位置に限るものではなく、90度の位置であって
も良い。そして、出湯口16の鉛直上方に対応する部位
の上蓋8には、バーナー13が取り付けられている。バ
ーナー13は、重油、灯油、微粉炭、プロパンガス、天
然ガス等の化石燃料を、空気又は酸素若しくは酸素富化
空気により溶解室2内で燃焼させる。このようにして直
流式アーク溶解設備1Bが構成されている。
【0048】このように構成される直流式アーク溶解設
備1Bにおいて鋼ダライコ屑22を溶解するに際して
は、先ず、供給用バケット21を介して鋼ダライコ屑2
2を原料装入室4内に装入する。鋼ダライコ屑22以外
に鉄スクラップや冷銑及び直接還元鉄等の冷鉄源を装入
しても良い。原料装入室4内に装入された鋼ダライコ屑
22は、溶解室2内にも装入され、やがて原料装入室4
内を充填する。尚、初装入としての鋼ダライコ屑22を
溶解室2内へ均一に装入するため、上蓋8を開けて原料
装入室4と反対側の溶解室2内に鋼ダライコ屑22を予
め装入しておくこともできる。この場合、鋼ダライコ屑
22と共に前述した他の冷鉄源を装入しても良い。
【0049】次いで、下部電極9と上部電極10との間
に直流電流を給電して、上部電極10と下部電極9及び
装入した鋼ダライコ屑22又は他の冷鉄源との間でアー
ク26を発生させ、発生するアーク熱により初装入とし
て装入した鋼ダライコ屑22及び他の冷鉄源を溶解して
溶湯24を生成させる。溶湯24の生成に伴い、生石灰
及び蛍石等のフラックスを溶解室2内に装入して、溶融
スラグ25を溶湯24上に形成させ、溶湯24の酸化を
防止すると共に溶湯24の保温を図る。
【0050】溶湯24の生成する頃から、酸素吹き込み
ランス11から酸素を、又、炭材吹き込みランス12か
ら炭材を、溶解室2内の溶湯24又は溶融スラグ25中
に吹き込むことが望ましい。吹き込まれて溶湯24中に
溶解した炭材又は溶融スラグ25中に懸濁した炭材と、
吹き込まれる酸素とが反応して燃焼熱を発生し、補助熱
源として作用して電力使用量を節約すると共に、反応生
成物のCOガスが溶融スラグ25をフォーミングさせ
て、アーク26が溶融スラグ25に包まれるので、アー
クの着熱効率が上昇する。この間、ダクト15を介して
溶解室2で発生する排ガスを排気する。
【0051】溶湯24の生成に伴い、原料装入室4内の
鋼ダライコ屑22は溶解室2内で溶解された量に見合っ
て溶解室2内に自由落下し、原料装入室4内の鋼ダライ
コ屑22が減少するので、この減少分を補うために供給
用バケット21から原料装入室4へ鋼ダライコ屑22を
連続的又は断続的に装入する。これにより、常に一定以
上の鋼ダライコ屑22が溶解室2内及び原料装入室4内
に存在している状態が保たれる。鋼ダライコ屑22の溶
解室2への供給が不安定な場合には、プッシャー18を
作動させて、鋼ダライコ屑22を強制的に溶解室2へ供
給する。
【0052】鋼ダライコ屑22の溶解が進行して所定量
の溶湯24、例えば1ヒート分の溶湯24が溶解室2内
に生成したならば、溶解室2を出湯口16側へ傾動さ
せ、溶解室2内の鋼ダライコ屑22と溶湯24との接触
面積を減少させ、溶湯24をアーク26にて加熱する。
その際にバーナー13を併用しても良い。
【0053】溶湯24を所定温度まで昇温した後、溶解
室2を出湯口16側に更に傾動させ、溶解室2及び原料
装入室4に鋼ダライコ屑22が連続して存在する状態を
保ったまま、出湯口16を塞いでいた扉28を開き、出
湯口16から1ヒート分の溶湯24を溶湯保持容器(図
示せず)に出湯する。出湯に際しては溶湯24の凝固に
よる出湯口16の閉塞を防止するために、バーナー13
で溶湯24を加熱しても良い。この間もダクト15を介
して溶解室2で発生する排ガスを排気する。
【0054】そして、出湯後、必要に応じて溶湯24を
取鍋精錬炉等にて昇温して精錬した後、連続鋳造機等で
鋳造する。溶湯24を出湯し、更に必要に応じて溶融ス
ラグ25を排滓した後、溶解室2を水平に戻し、出湯口
16及び出滓口17内に詰め砂又はマッド材を充填した
後、次回ヒートの溶解を再開する。尚、出湯時に数トン
〜数十トンの溶湯24を溶解室2内に残留させて、次回
ヒートの溶解を再開しても良い。こうすることで初期の
溶解が促進され、溶解効率が向上する。
【0055】このようにして溶解することで、生産性を
低下させることがなく、大量の鋼ダライコ屑22を用い
て溶湯24を溶製することができる。又、溶解室2で生
成する排ガスにより原料装入室4内の鋼ダライコ屑22
が予熱されないので、鋼ダライコ屑22の酸化・融着が
防止され、鋼ダライコ屑22を溶解室2内に安定して供
給することができる。
【0056】
【実施例】[実施例1]図1に示す直流式アーク溶解設
備における実施例を以下に説明する。アーク溶解設備
は、溶解室が直径6mであり、溶解室の容量が100ト
ンである。先ず、溶解室内に鋼ダライコ屑5トンを含む
鉄スクラップ65トンを初装入し、最大700V、12
0kAの電源容量により溶解を開始した。溶鋼の生成に
伴い、生石灰と蛍石とを添加して溶融スラグを形成し
た。そして、溶解室内中央部に溶融スラグが現出した時
点で、酸素吹き込みランスから酸素を、又、炭材吹き込
みランスからコークスを溶融スラグ中に吹き込んだ。酸
素とコークスの吹き込みにより、溶融スラグはフォーミ
ングして上部電極の先端は溶融スラグ中に埋没した。
【0057】このようにして溶解を続け、初装入の約6
5トンが溶解した時点で上蓋8を解放して15トンの鉄
スクラップを追加装入すると同時に、原料供給室から鋼
ダライコ屑を連続的に毎分およそ2トンの供給速度で供
給し、総量約20トンの鋼ダライコ屑を供給した。
【0058】このようにして、約100トンの溶鋼を得
て、その後1620℃まで昇温して取鍋に出湯した。出
湯時の溶鋼の炭素濃度は0.1mass%であった。酸素吹
き込み量が溶鋼トン当たり30Nm3 (以下「Nm3
t」と記す)、炭材吹き込み量が溶鋼トン当たり20k
g(以下「kg/t」と記す)の条件で、電力使用量は
溶鋼トン当たり390kWh(以下「kWh/t」と記
す)であった。
【0059】このように鋼ダライコ屑の配合比率が25
%の高配合比率であっても、溶鋼を効率良く且つ操業ト
ラブルもなく安定して溶製することができた。先行技術
1のような従来の溶解方法では初装入の65トン中に5
トン及び追加装入の35トン中に3トン程度の鋼ダライ
コ屑を配合するのが限界であり、従来では鋼ダライコ屑
の配合比率は8%程度であったものが、本発明によりお
よそ3倍の配合比率まで高めることが可能であった。
【0060】[実施例2]図2及び図3に示す直流式ア
ーク溶解設備における実施例を以下に説明する。アーク
溶解設備は、溶解室が直径7.2m、高さ4m、予熱室
が幅3m、長さ5m、高さ7mで、溶解室の容量が18
0トンである。
【0061】先ず、溶解室内及び予熱室内に鋼ダライコ
屑が実質的に混入していない鉄スクラップ150トンを
装入し、直径30インチの黒鉛製上部電極を用い、最大
750V、130kAの電源容量により溶解を開始し
た。又、酸素吹き込みランスから5500Nm3 /hr
の流量で送酸した。そして、溶解室内に溶鋼が溜まって
きた時点で、生石灰と蛍石とを添加して溶融スラグを形
成すると共に、炭材吹き込みランスから80kg/mi
nの吹き込み速度でコークスを溶融スラグ中に吹き込
み、スラグフォーミング操業に移行し、上部電極の先端
をフォーミングした溶融スラグ中に埋没させた。この時
の電圧を550Vに設定した。
【0062】このようにして溶解を続け、溶解室内に初
装入として装入した鉄スクラップがほぼ溶解した時点
で、原料供給室から鋼ダライコ屑を連続的に毎分およそ
1.2トンの供給速度で溶解室内に供給した。
【0063】一方、溶解室内の鉄スクラップの溶解に伴
い、予熱室内の鉄スクラップが下降したならば、供給用
バケットを介して鉄スクラップを予熱室に供給し、予熱
室内の鉄スクラップの高さを一定以上の高さに保持し
た。
【0064】このように、溶解室内及び予熱室内に連続
して鉄スクラップが存在する状態を保ちながら、原料供
給室から鋼ダライコ屑を連続的に溶解室内へ装入して溶
解を進行させ、溶解室内に約180トンの溶鋼が生成し
た時点で鋼ダライコ屑の溶解室への供給を停止し、溶解
室を出湯口側に傾動し、この状態で溶鋼をアークと重油
バーナーにより1580℃まで昇温した後、約60トン
の溶鋼を溶解室に残し、1ヒート分の120トンの溶鋼
を取鍋に出湯した。出湯時の溶鋼の炭素濃度は0.1ma
ss%であった。
【0065】出湯後、溶解室を水平に戻して出湯口に詰
め砂を充填した後に溶解を再開し、再び溶鋼量が約18
0トンになったら溶解室を傾動させ、溶鋼を1580℃
まで昇温して120トン出湯することを繰り返し実施し
た。2回目以降の溶解も送酸及びコークス吹き込みを実
施すると共に鋼ダライコ屑の供給も実施した。
【0066】その結果、酸素吹き込み量が33Nm3
t、コークス吹き込み量が26kg/tの条件で、出湯
から出湯までの時間は平均して40分となり210kW
h/tの電力使用量で溶解することができた。又、1ヒ
ート当たりの鋼ダライコ屑の配合量は平均して36トン
であり、配合比率は30%であった。従来、先行技術2
のような予熱室を備えたアーク溶解設備では、予熱室へ
装入される冷鉄源中の鋼ダライコ屑の配合比率は3%以
下であり、本発明によりおよそ10倍の配合比率まで高
めることが可能であった。
【0067】[実施例3]図4に示す直流式アーク溶解
設備における実施例を以下に説明する。アーク溶解設備
は、溶解室が直径7.2m、高さ4m、原料装入室が幅
3m、長さ5m、高さ7mで、溶解室の容量が180ト
ンである。
【0068】先ず、溶解室に70トンの鉄スクラップを
装入し、次いで、鉄スクラップ40トンと鋼ダライコ屑
10トンとを原料装入室に装入し、直径30インチの黒
鉛製上部電極を用い、最大750V、130kAの電源
容量により溶解を開始した。又、酸素吹き込みランスか
ら5500Nm3 /hrの流量で送酸した。そして、溶
解室内に溶鋼が溜まってきた時点で、生石灰と蛍石とを
添加して溶融スラグを形成すると共に、炭材吹き込みラ
ンスから80kg/minの吹き込み速度でコークスを
溶融スラグ中に吹き込み、スラグフォーミング操業に移
行し、上部電極の先端をフォーミングした溶融スラグ中
に埋没させた。この時の電圧を550Vに設定した。
【0069】このようにして溶解を継続し、溶解室内に
初装入として装入した鉄スクラップがほぼ溶解した時点
で、原料装入室下部に設置されたプッシャーを作動さ
せ、原料装入室内に装入されていた鉄スクラップと鋼ダ
ライコ屑との混合物を溶解室内に供給した。
【0070】一方、原料装入室内に装入した鉄スクラッ
プと鋼ダライコ屑との混合物が溶解室内での鉄スクラッ
プの溶解に伴って下降したら、鉄スクラップと鋼ダライ
コ屑とがおよそ4:1の比率で配合された混合物を原料
装入室に供給用バケットを介して供給し、原料装入室内
におけるこの混合物の高さを一定以上に保持した。
【0071】溶解室内及び原料装入室内に連続して鉄ス
クラップと鋼ダライコ屑との上記混合物が存在する状態
を保ちながら溶解を進行し、溶解室内に約180トンの
溶鋼が生成した時点で、溶解室を出湯口側に傾動し、こ
の状態でアーク加熱と重油バーナーとにより加熱し、溶
鋼を1580℃まで昇温した後、約60トンの溶鋼を溶
解室に残し、1ヒート分の120トンの溶鋼を取鍋に出
湯した。出湯時の溶鋼の炭素濃度は0.1mass%であっ
た。
【0072】出湯後、溶解室を水平に戻して出湯口に詰
め砂を充填した後、送酸及びコーク吹き込みを行ってス
ラグフォーミング操業による溶解を再開した。その際に
鉄スクラップと鋼ダライコ屑との上記混合物を8分毎に
16トンの投入速度で原料装入室に供給しながら溶解
し、再び溶鋼量が約180トンになったら溶解室を傾動
させ、溶鋼を1580℃まで昇温して120トン出湯す
ることを繰り返し実施した。
【0073】その結果、酸素吹き込み量が33Nm3
t、コークス吹き込み量が26kg/tの条件で、出湯
から出湯までの時間は平均して60分となり350kW
h/tの電力使用量で溶解することができた。又、1ヒ
ート当たりの鋼ダライコ屑の配合量は平均して24トン
であり、配合比率は20%であった。先行技術3のよう
な1ヒートで使用する溶解用原料の全量を溶解室内及び
予熱室内に装入して溶解する方法では、溶解用原料中の
鋼ダライコ屑の配合比率は5%以下であり、本発明によ
りおよそ4倍の配合比率まで高めることが可能であっ
た。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、鋼ダライコ屑を用いて
溶湯を溶製する際に、鋼ダライコ屑の溶解室への装入時
に上蓋を解放する必要がなく、連続してアーク加熱する
ことができるので、生産性の低下及び熱効率の悪化を未
然に防止することができ、又、溶解室で発生する排ガス
により溶解室へ装入される前の鋼ダライコ屑を予熱しな
いので、鋼ダライコ屑の酸化・融着が防止され、鋼ダラ
イコ屑を溶解室へ安定して供給することができる。その
結果、安価な鋼ダライコ屑を大量に配合して溶湯を溶製
することが可能となり、製造コストを大幅に削減するこ
とができ、工業上有益な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の例を示す図であり、本発
明を実施したアーク溶解設備の縦断面概略図である。
【図2】本発明の実施の形態の他の例を示す図であり、
本発明を実施したアーク溶解設備の縦断面概略図であ
る。
【図3】図2のX−X’矢視による縦断面概略図であ
る。
【図4】本発明の実施の形態の他の例を示す図であり、
本発明を実施したアーク溶解設備の縦断面概略図であ
る。
【符号の説明】
1 直流式アーク溶解設備 1A 直流式アーク溶解設備 1B 直流式アーク溶解設備 2 溶解室 3 予熱室 4 原料装入室 5 原料供給室 6 装入口 9 下部電極 10 上部電極 14 排気口 16 出湯口 18 プッシャー 19 プッシャー 21 供給用バケット 22 鋼ダライコ屑 23 冷鉄源 24 溶湯 25 溶融スラグ 26 アーク

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶解室を取り囲む側壁又は上蓋に設置し
    た装入口から鋼ダライコ屑を溶解室内に装入しながら、
    溶解室内の鋼ダライコ屑をアークにより溶解することを
    特徴とする鋼ダライコ屑の溶解方法。
  2. 【請求項2】 溶解室から発生する排ガスを前記装入口
    とは異なる位置に設置した排気口から排出しながら鋼ダ
    ライコ屑を溶解することを特徴とする請求項1に記載の
    鋼ダライコ屑の溶解方法。
  3. 【請求項3】 溶解室と、この溶解室に直結するシャフ
    ト型の原料装入室とを有するアーク溶解設備を用い、鋼
    ダライコ屑が溶解室及び原料装入室に存在する状態を保
    つように鋼ダライコ屑を原料装入室へ供給すると共に、
    溶解室から発生する排ガスを原料装入室とは異なる位置
    に設置した排気口から排出しながら、溶解室内の鋼ダラ
    イコ屑をアークにより溶解し、溶解室内に所定量の溶湯
    が生成した時点で出湯することを特徴とする鋼ダライコ
    屑の溶解方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010270963A (ja) * 2009-05-21 2010-12-02 Nippon Metal Ind Co Ltd 電気製錬炉
JP2019525112A (ja) * 2016-07-01 2019-09-05 ペキン チョンカイホンド テクノロジー カンパニー リミテッドBeijing Zhongkaihongde Technology Co., Ltd 冶金電気炉及び溶製法

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