JP2002124365A - セラミックヒータ及びその製造方法 - Google Patents

セラミックヒータ及びその製造方法

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JP2002124365A
JP2002124365A JP2000312523A JP2000312523A JP2002124365A JP 2002124365 A JP2002124365 A JP 2002124365A JP 2000312523 A JP2000312523 A JP 2000312523A JP 2000312523 A JP2000312523 A JP 2000312523A JP 2002124365 A JP2002124365 A JP 2002124365A
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resistance heating
ceramic heater
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JP2000312523A
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Shindo Watanabe
進道 渡邉
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Niterra Co Ltd
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 WSiを導電性セラミックとして使用する
ことにより急速昇温特性と高温強度とに優れ、かつ初期
抵抗値が低くそのばらつきも小さいセラミックヒータ
と、その製造方法を提供する。 【解決手段】 窒化珪素質セラミック成形体中に、主に
導電性セラミックからなる抵抗発熱体の成形体を埋設し
た構造を有するとともに、導電性材料相の80質量%以
上をWSi系セラミックとした複合成形体を、雰囲気
圧力が100Pa以下であって、酸素分圧が20Pa以
下の減圧雰囲気にて焼成する。これにより、抵抗発熱体
10を構成する導電性材料相の80質量%以上がWSi
系セラミック相であり、かつ初期抵抗値が1kΩ未満
であるセラミックヒータ2が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はグロープラグ等に使
用されるセラミックヒータとその製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、セラミックグロープラグ等に使用
されるセラミックヒータとして、絶縁性のセラミック基
体に対し、導電性セラミックで構成された抵抗発熱体を
埋設した構造を有するものが知られている。このような
セラミックヒータに対する要求として、近年、急速昇温
性能と、かつディーゼルエンジン用グロープラグ等に使
用した際の、エンジン始動後における白煙発生低減のた
めの雰囲気高温化(最高1400℃程度)への対応とが
求められるようになってきている。急速昇温に対応する
には、抵抗発熱体の初期抵抗値が小さく、かつ電気比抵
抗の温度係数(以下、抵抗温度係数という)が正の大き
な値を有している必要がある。
【0003】導電性セラミックとして従来、WCやMo
Siが用いられていたが、WC系の導電性セラミック
は高温での特性には問題はないが、抵抗温度係数がやや
小さく、急速昇温性能にやや欠ける難点があった。他
方、MoSi系導電性セラミックは抵抗温度係数が大
きく急速昇温特性に優れるが、融点がやや低く(約20
30℃)、例えばアフターグローにおける燃焼室内の高
温環境下(最高1400℃近くにも達する)ではセラミ
ックに軟化が生じやすく、高温強度を確保しにくい欠点
がある。
【0004】そこで、上記のような問題に鑑みて、例え
ば特開平11−185936号公報あるいは特開平7−
135067号公報には、抵抗温度係数が大きく、しか
もMoSiよりも高融点で高温強度向上の期待できる
WSiを、導電性セラミックとして用いる提案がなさ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開平11−1859
36号公報においては、X線回折におけるWSi(金
属珪化物)とW(金属)との回折X線の計測数比が0〜
2となるように焼成した導電性セラミックを用いる旨が
開示されている。これは抵抗発熱体の導電性成分が、全
てWとなっているか、あるいはWとWSiとが混在し
ていることを意味している。なお、セラミックや金属の
X線回折プロファイルには通常、複数の回折角度位置に
各々高さの異なる回折ピークが現れるが、上記の公報に
はどの角度位置に現れた回折ピークを採用して計測数比
を求めるかが明示されていないため、WSiとWとの
混在比を特定することはできない。しかし、計測数比の
値として0(すなわち、全てが金属Wとなっていること
を意味する)を含む値が許容されていることから、相当
量の金属WがWSiと共存していることは明白である
と思われる。
【0006】本発明者らが検討した結果、このように金
属Wが多量に混在したWSi系導電性セラミックを焼
成により作製しようとした場合、WとWSiとの含有
比率がわずかに変化しただけで昇温特性が大幅に変化
し、工程上、性能の安定化が非常に困難であることが判
明した。また、金属Wの量が多いにも拘わらず、初期抵
抗値を急速昇温に適した値にまで低減することが困難で
あり、抵抗分布にもムラが生じやすくなることもわかっ
た。
【0007】次に、特開平7−135067号公報のセ
ラミックヒータでは、WSiに10質量%もの多量の
BN(窒化硼素)が配合された抵抗発熱体が使用されて
いる(比較例15)。しかしながら、このような抵抗発
熱体は抵抗値ばらつきが生じやすいため、およそ実用的
ではない。
【0008】本発明の課題は、WSiを導電性セラミ
ックとして使用することにより急速昇温特性と高温強度
とに優れ、かつ初期抵抗値が低くそのばらつきも小さい
セラミックヒータと、その製造方法とを提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】本発明者
らは、抵抗発熱体を構成する導電性セラミックの主体が
WSi系セラミック相であるセラミックヒータの製造
方法について検討を行なった結果、抵抗発熱体の高温強
度と急速昇温性能とを向上させるためには、やはり、W
Si系セラミック相の含有比率をなるべく多くするこ
とが有効であることが判明した。しかしながら、WSi
系セラミック相の含有比率が高くなるにつれ、従来の
製造方法では、WSi系セラミック相の変質等により
初期抵抗値レベルが高くなりやすく、ばらつきの度合い
も大きくなること、さらには、焼成雰囲気の圧力と酸素
分圧とが、抵抗発熱体の性能、特に初期抵抗値レベルに
大きな影響を及ぼすことも明らかになった。そして、さ
らに詳細な検討を重ねた結果、WSi系セラミック相
の含有率の高い導電性セラミック組成を採用する場合
は、焼成雰囲気の圧力と酸素分圧とを所定値以下、具体
的には雰囲気圧力が100Pa以下であって、酸素分圧
が20Pa以下の減圧雰囲気にて焼成することが、抵抗
発熱体中のWSi系セラミック相の含有率を高く維持
しつつ、ヒータの初期抵抗値レベルの低減及び安定化を
図る上で特に有効であることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0010】すなわち、本発明のセラミックヒータの製
造方法は、窒化珪素質セラミック成形体中に、主に導電
性セラミックからなる抵抗発熱体の成形体を埋設した構
造を有するとともに、導電性材料相の80質量%以上を
WSi系セラミックとした複合成形体を、雰囲気圧力
が100Pa以下であって、酸素分圧が20Pa以下の
減圧雰囲気にて焼成することを特徴とする。
【0011】雰囲気圧力を100Pa以下、酸素分圧を
20Pa以下の減圧雰囲気とすることで、WSi系セ
ラミックの分解が抑制され、結果として、抵抗発熱体中
の導電性材料相の80質量%以上をWSi系セラミッ
ク相としつつ、その初期抵抗値を1kΩ未満のレベルに
低減することが初めて可能となった。また、本発明のセ
ラミックヒータの第一は、絶縁性セラミック基体中に、
主に導電性セラミックからなる抵抗発熱体を埋設した構
造を有するとともに、該抵抗発熱体を構成する導電性材
料相の80質量%以上がWSi系セラミック相であ
り、かつ初期抵抗値が1kΩ未満であることを特徴とす
る。
【0012】なお、本明細書において、初期抵抗値と
は、常温(25℃)における抵抗値を意味する。また、
本明細書においてある成分(化合物や相の概念も含む)
が「主成分となる」あるいは「主体となる」とは、着目
している成分の質量含有比率が最も高くなっていること
をいい、前記した本発明の作用・効果が十分実現される
限りにおいて、任意の副成分の含有を許容するものであ
る。他方、発熱体を構成する導電性材料は、導電性セラ
ミック相あるいは導電性セラミック相と許容範囲内の金
属相とからなるものである。
【0013】本発明のセラミックヒータは、発熱部を構
成する導電性材料相の80質量%以上を、WSi系セ
ラミック(WSiを主成分とするセラミック)とする
ことで、抵抗温度係数が大きく急速昇温性に優れる。ま
た、高温強度が大幅に向上するので、アフターグローに
おける燃焼室内の高温環境下(最高1400℃近くにも
達する)でもセラミックに軟化が生じにくくなり、寿命
を延ばすことができる。さらに、抵抗発熱体を構成する
導電性材料中のWSi系セラミックの含有率を80質
量%以上に高めることで、1kΩ未満の低い初期抵抗値
をを安定的に実現することができ、急速昇温性能の向上
及び安定化に寄与する。なお、セラミックヒータの初期
抵抗値の下限値については特に制限はなく、なるべく低
いことが好ましいともいえるが、セラミックヒータの通
常の使用温度域を考慮すれば、物質の電気抵抗値を無制
限に小さくすることは事実上不可能である。例えばWS
系セラミックの含有率を高めることで、セラミック
ヒータの初期抵抗値を0.1Ω程度まで低くすることは
可能である。
【0014】本発明のセラミックヒータの製造方法にお
いて、雰囲気圧力が100Paを超えるか、あるいは酸
素分圧が20Paを超えると、WSi系セラミックの
Si等への変質が促進され、1kΩ未満の初期抵
抗値を安定的に実現することが困難となる。また、WS
系セラミックの分解が促進されれば、抵抗発熱体中
の導電性材料に占めるWSi系セラミック相の比率を
80質量%以上に確保することも困難となり、高温強度
低下等につながる場合もある。なお、雰囲気圧力は50
Pa以下であること、また、酸素分圧は10Pa以下で
あることがより望ましい。
【0015】また、本発明の製造方法により、本発明の
セラミックヒータの第二構成を実現することも可能とな
る。該構成は、絶縁性セラミック基体中に、主に導電性
セラミックからなる抵抗発熱体を埋設した構造を有する
とともに、該抵抗発熱体の断面においてディフラクトメ
ータ法による回折プロファイルを測定したときの、金属
W系相に帰着される最強の回折ピーク強度をX1、WS
系セラミック相に帰着される最強の回折ピーク強度
X2として、X2/(X1+X2)の値が0.3〜1であ
り、かつ初期抵抗値が1kΩ以下であることを特徴とす
る。WSi系セラミックの分解が抑制される結果、得
られるセラミックヒータの抵抗発熱体のX線回折ピーク
強度比X2/(X1+X2)の値を0.3〜1とすること
が可能となり、1kΩ以下の初期抵抗値を安定的に実現
することが可能となる。
【0016】なお、各回折ピークは、以下のようにして
測定されたもののことをいう。すなわち、CuのKα線
(波長:約0.154nm)を入射X線として用いるこ
とにより、ディフラクトメータ法による回折プロファイ
ル測定を行なう。そして、回折角2θが42.3〜4
3.3゜の範囲に現れる最強の回折ピークを金属W系相
に帰着されるピークX1とする。また、2θが29.6
〜30.6゜の範囲に現れる最強の回折ピークを、WS
系セラミック相に帰着されるピークX2とする。さ
らに、2θが42.3〜43.3゜の範囲に現れる最強
の回折ピークを、WSi系セラミック相に帰着され
るピークX3とする。
【0017】ピーク強度比X2/(X1+X2)が1とな
ることは、X1すなわち金属W系相が少なくともX線回
折による分析にて検出可能なレベルにて存在していない
ことを意味する。他方、比X2/(X1+X2)が0.3
未満になると、金属W系相の含有比率が増大し、1kΩ
以下の初期抵抗値を安定的に実現することが困難とな
る。初期抵抗値の低減を図る上では金属W系相がなるべ
く生成していないこと、すなわち、比X2/(X1+X
2)がなるべく1に近いことが望ましい。
【0018】なお、本発明の製造方法により、WSi
系セラミックのWSiへの変質を抑制することがで
きる。具体的には、該抵抗発熱体の断面においてディフ
ラクトメータ法による回折プロファイルを測定したとき
の、WSi系セラミック相に帰着される最強の回折
ピーク強度をX3、WSi系セラミック相に帰着され
る最強の回折ピーク強度X2として、X2/(X3+X2)
の値を0.3〜1とすることが可能である。
【0019】抵抗発熱体は、粒界相にて導電性セラミッ
ク相を結合した構造を有する。粒界相は、発熱体の高温
強度改善のため、希土類無機化合物を主成分に構成する
ことができる。これにより、発熱体の高温強度を一層向
上させることが可能となる。この場合、粒界相が結晶化
していればさらに望ましい。また、セラミック基体との
間の熱膨張率差の縮小、ひいては耐熱衝撃性改善のため
に、導電性セラミック相と粒界相とに加えて、窒化珪素
質絶縁相を含有させることもできる。
【0020】結晶化した粒界相、例えば希土類無機化合
物相の存在は、X線ディフラクトメータ法による回折パ
ターン測定(微小X線回折を含む)や、あるいは透過電
子顕微鏡法による制限視野回折法など、各種公知の結晶
解析方法にて確認することができる。また、希土類無機
化合物は、セラミック基体と同様に、Siとの複合酸化
物あるいは複合酸窒化物の形にて存在していることが、
高温強度を向上させる上で一層望ましい。
【0021】この場合、抵抗発熱体は、絶縁性セラミッ
ク相(主に粒界相よりなる)と導電性セラミック相とか
らなる構成セラミックの、30〜60質量%がWSi
系セラミックよりなり、残部が窒化珪素質絶縁相及び希
土類無機化合物を主体とする粒界相よりなるものとなっ
ていることが望ましい。この構成では、WSi
の、WSi以外のタングステン珪化物や金属珪化物、
さらには、従来使用されていたBN等の添加物が意図的
に配合されることがないため、製造工程を簡略化でき、
また、初期抵抗値の一層の安定化を図ることができる。
なお、WSi系セラミックの含有量が30質量%未満
では、前記した本発明の効果が十分に達成できない場合
があり、60質量%を超えると粒界相が不足して、発熱
体を緻密に焼結することが困難となり、強度あるいは通
電性能の低下を避け難くなる。
【0022】セラミックヒータの焼成は、例えば、成形
型のキャビティ内面及び/又は複合成形体のキャビティ
との接触表面に、離型剤と希土類酸化物粉末、又は離型
剤と希土類酸化物粉末及び窒化珪素質粉末とを含有した
離型被覆層を形成し、その成形型を用いて複合成形体を
ホットプレス焼成することにより行なうことができる。
希土類酸化物粉末及び/又は窒化珪素質粉末を、離型剤
とともにキャビティ内面及び/又は複合成形体のキャビ
ティとの接触表面に被覆しておくことで、得られるセラ
ミックヒータの初期抵抗値レベルの低減及びばらつき抑
制を一層効果的に図ることができる。また、焼成後の成
形型と焼結体との分離も容易に行うことができる。
【0023】次に、抵抗発熱体が埋設されるセラミック
基体は、窒化珪素質セラミックにて構成することができ
る(以下、窒化珪素質セラミック基体ともいう)。窒化
珪素質セラミック基体の組織は、例えば、窒化珪素を主
成分とするSi相粒子が、後述の焼結助剤成分等
に由来した粒界相により結合された形態のものである。
なお、主相は、ディフラクトメータ法によるX線回折プ
ロファイルを測定したときの、α窒化珪素質相に帰着さ
れるピーク強度をXα、β窒化珪素質相に帰着されるピ
ーク強度をXβと定義したときに、Xβ/(Xα+X
β)の値が0.7〜1、望ましくは0.9〜1の範囲と
なっていることが望ましい。なお、各回折ピークは、以
下のようにして測定することができる。すなわち、Cu
のKα線(波長:約1.5405Å)を入射X線(管電
圧:50kV、管電流:100mA)として用いること
により、ディフラクトメータ法による回折プロファイル
測定を行う。アメリカ材料試験協会(ASTM)による
回折データカードによると、α窒化珪素については、面
間隔d=2.599Å、回折角2θ=34.5゜に現れ
る(102)ピーク(以下、その強度をIα(102)と記
載する)が最強であり、面間隔d=2.547Å、回折
角2θ=35.2゜に現れる(210)ピーク(以下、
その強度をIα(210)と記載する)が、それに次ぐ強度
にて現れる。また、β窒化珪素については、面間隔d=
2.668Å、回折角2θ=33.6゜に現れる(10
1)ピーク(以下、その強度をIβ(101)と記載す
る)、同じく面間隔d=2.492Å、回折角2θ=3
6.0゜に現れる(210)ピーク(以下、その強度を
Iβ(210)と記載する)とが、最強の回折ピークとして
略同等の回折強度にて現れる。本明細書では、α窒化珪
素質相に帰着されるピーク強度を、 Xα=(Iα(102)+Iα(210))/2、 β窒化珪素質相に帰着されるピーク強度を、 Xβ=(Iβ(101) +Iβ(210))/2、 として定義する。なお、各面のピーク位置は、固溶原子
の存在や熱応力あるいはその他の種々の要因により、カ
ードが示すピーク位置から例えば±0.3゜程度の範囲
で若干のずれを生ずることがある。
【0024】この場合、Si相は、Siあるいは
Nの一部が、Alあるいは酸素で置換されたもの、さら
には、相中にLi、Ca、Mg、Y等の金属原子が固溶
したものであってもよい。例えば、次の一般式にて表さ
れるサイアロンを例示することができる; β−サイアロン:Si6−zAl8−z(z=
0〜4.2) α−サイアロン:M(Si,Al)12(O,N)
16(x=0〜2) M:Li,Mg,Ca,Y,R(RはLa,Ceを除く
希土類元素)。
【0025】抵抗発熱体及びセラミック基体のいずれに
おいても、焼結助剤成分は、主に粒界相を構成するが、
一部が主相中に取り込まれることもありえる。なお、粒
界相中には、焼結助剤として意図的に添加した成分のほ
か、不可避不純物、例えば窒化珪素質粉末に含有されて
いる酸化珪素などが含有されることがある。
【0026】焼結助剤成分は、上記の希土類成分のほ
か、本発明の効果が損なわれない範囲にて、SiやAl
など、周期律表の4A、5A、3B及び4Bの各族の元
素成分を使用できる。これらは、原料段階にて主に酸化
物の形で添加することができる。
【0027】焼結助剤成分として使用する希土類成分
は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、
Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luを用
いることができる。これらのうちでもTb、Dy、H
o、Er、Tm、Ybは、粒界相の結晶化を促進し、高
温強度を向上させる効果があるので好適に使用できる。
【0028】なお、抵抗発熱体及びセラミック基体のい
ずれにおいても、粒界相の結晶化を促進するためには、
主相形成に関与しない過剰な酸化珪素成分が必要十分な
量だけ含有されていることが望ましい。この過剰酸化珪
素成分が、例えば前述の複合酸化物の結晶生成を促進す
る。該過剰酸化珪素成分の含有量は、以下に説明するよ
うな過剰酸素量によって見積もることができる。すなわ
ち、珪素を除く焼結助剤成分の含有量と、全酸素含有量
とを求め、さらに、焼結助剤成分が全て酸化物として存
在するために必要な酸素量を上記全酸素含有量から差し
引いた残りの酸素量を、過剰酸素量として定義する。そ
して、希土類成分を焼結助剤成分として使用することに
よる前述の効果は、その過剰酸素量がSiO換算した
値にて、1〜10質量%となっていることが望ましい。
SiO換算した過剰酸素量が1質量%未満では、焼結
性が損なわれる場合があり、逆に10質量%を超える
と、粒界相の軟化点が下がって高温強度が損なわれる場
合がある。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に示す実施例を参照しつつ説明する。図1は、本発明に
製造方法によって製造されるセラミックヒータを使用し
たグロープラグを、その内部構造とともに示すものであ
る。すなわち、グロープラグ50は、その一端側に設け
られたセラミックヒータ1と、そのセラミックヒータ1
の先端部2が突出するようにその外周面を覆う金属製の
外筒3、さらにその外筒3を外側から覆う筒状の金属ハ
ウジング4等を備えており、セラミックヒータ1と外筒
3との間及び外筒3と金属ハウジング4との間は、それ
ぞれろう付けにより接合されている。
【0030】セラミックヒータ1の後端部には、金属線
により両端が弦巻ばね状に形成された結合部材5の一端
が外側から嵌合するとともに、その他端側は、金属ハウ
ジング4内に挿通された金属軸6の対応する端部に嵌着
されている。金属軸6の他方の端部側は金属ハウジング
4の外側へ延びるとともに、その外周面に形成されたね
じ部6aにナット7が螺合し、これを金属ハウジング4
に向けて締めつけることにより、金属軸6が金属ハウジ
ング4に対して固定されている。また、ナット7と金属
ハウジング4との間には絶縁ブッシュ8が嵌め込まれて
いる。そして、金属ハウジング4の外周面には、図示し
ないエンジンブロックにグロープラグ50を固定するた
めのねじ部5aが形成されている。
【0031】セラミックヒータ1は、図2に示すよう
に、U字状のセラミック抵抗発熱体(以下、単に抵抗発
熱体という)10を備え、その各両端部10b,10b
に線状又はロッド状の電極部11及び12の先端部が埋
設されるとともに、抵抗発熱体10と電極部11及び1
2の全体が、円形断面を有する棒状の窒化珪素質セラミ
ック基体13中に埋設されている。抵抗発熱体10は、
方向変換部10aがセラミック基体13の末端側に位置
するように配置されている。
【0032】セラミック基体13は、例えばSi
粉末に、ErやYb等の焼結助剤粉末を3
〜15質量%の範囲で添加・混合して焼結したもので
る。また、抵抗発熱体10は、例えば導電性セラミック
粉末としてのWSi粉末に対し、窒化珪素粉末を50
〜58質量%と、焼結助剤としての希土類酸化物粉末
を、2〜10質量%の範囲で添加・混合して焼結したも
のであり、その焼結体組織は、焼結助剤に由来する粒界
相中に、80質量%以上がWSi系セラミックよりな
る導電性セラミック相粒子と、窒化珪素質絶縁相とが分
散したものとなっている。一方、電極部11及び12
は、W、W−Re、Mo、Pt、Nb、Ta、ニクロム
等の金属線で構成される。
【0033】図2において、セラミック基体13の表面
には、その電極部12の露出部12aを含む領域に、ニ
ッケル等の金属薄層(図示せず)が所定の方法(例えば
メッキや気相製膜法など)により形成され、該金属薄層
を介してセラミック基体13と外筒3とがろう付けによ
り接合されるとともに、電極部12がこれら接合部を介
して外筒3と導通している。また、電極部11の露出部
11aを含む領域にも同様に金属薄層が形成されてお
り、ここに結合部材5がろう付けされている。このよう
に構成することで、図示しない電源から、金属軸6(図
1)、結合部材5及び電極部11を介して抵抗発熱体1
0に対して通電され、さらに電極部12、外筒3、金属
ハウジング4(図1)、及び図示しないエンジンブロッ
クを介して接地される。
【0034】以下、セラミックヒータ1の製造方法につ
いて説明する。まず、図3(a)に示すように、抵抗発
熱体10に対応したU字形状のキャビティ32を有した
金型31に対し電極材30を、その一方の端部が該キャ
ビティ32内に入り込むように配置する。そしてその状
態で、WSi粉末と、Siを主成分とする粉末
(以下、Si系粉末という)及び焼結助剤粉末と
からなる原料セラミック粉末と、バインダ(有機結合
剤)とを含有するコンパウンド33を射出することによ
り、同図(b)に示すように、電極材30とU字状の抵
抗発熱体成形体34とが一体化された一体成形体35を
作成する。なお、抵抗発熱体成形体34はほぼ円形の軸
断面を有するように形成される。
【0035】一方これとは別に、セラミック基体13を
形成するための原料粉末を予め金型プレス成形すること
により、図4(a)に示すような、上下別体に形成され
た分割予備成形体36,37を用意しておく。これら分
割予備成形体36,37は、上記一体成形体35に対応
した形状の凹部38がその合わせ面39aに形成されて
いる。次いで、この凹部38に一体成形体35を収容
し、分割予備成形体36,37を該型合わせ面39aに
おいて型合わせする。そして、図5(a)に示すよう
に、その状態でこれら分割予備成形体36,37及び一
体成形体35を、金型61のキャビティ61a内に収容
し、パンチ62,63を用いてプレス・圧縮することに
より、図4(b)に示すように、これらが一体化された
複合成形体39が形成される。ここで、図5(a)に示
すように、分割予備成形体36,37の合わせ面39a
に対しほぼ直角にプレス方向が設定される。
【0036】こうして得られた複合成形体39は、まず
原料粉末中のバインダ成分等を除去するために所定の温
度(例えば約600℃)で仮焼され、図6(b)に示す
仮焼体39’とされる(なお、仮焼体は、広義の意味に
おいて複合成形体であるとみなす)。続いて図5(b)
に示すように、この仮焼体39’が、グラファイト等で
構成されたホットプレス用成形型65,65のキャビテ
ィ65a,65aにセットされる。
【0037】ここで、キャビティ65aの内面には、S
系粉末及び焼結助剤粉末(以下、両者を総称し
て添加剤粉末という)を含んだ離型剤が塗布される。例
えば、図8(a)に示すように、溶媒(例えばエタノー
ル)中に離型剤粉末70(例えば窒化硼素(BN)の微
粉末)と添加剤粉末71とを、分散剤とともに配合して
塗布用懸濁液SLを作る。そして、これを図8(b)に
示すように、刷毛80等により手動塗布したり、あるい
はスプレーノズル81により噴霧塗布したりすることが
できる。塗布後、溶媒を蒸発・乾燥させることにより、
離型剤粉末70と添加剤粉末71との複合塗布層72が
形成される。
【0038】なお、塗布用懸濁液SLは、均一塗布性
と、必要な塗布層厚さとが確保できるように、離型剤粉
末70と添加剤粉末71とが主体となる固形分の体積含
有率を3〜20%としておくことが望ましい。ここで、
形成すべき複合塗布層72の厚さは、離型性と、得られ
るセラミックヒータの初期抵抗値低減ないしバラツキ抑
制効果とを十分に確保するために、25〜100μm程
度に設定するのがよい。また、離型剤粉末70と添加剤
粉末71との合計含有量に対する添加剤粉末71の含有
比率も、同様の観点により10〜80質量%の範囲にて
調整するのがよい。さらに、添加剤粉末71は平均粒径
が0.5〜10μm程度のものを使用するのがよい。
【0039】上記のように複合塗布層72を形成した成
形型65にセットされた仮焼体39’は、図5(b)に
示すように、焼成炉64(以下、単に炉64という)内
で両成形型65及び66の間で加圧されながら所定の焼
成保持温度(1700℃以上:例えば約1800℃前
後)で焼成されることにより、図6(c)に示すような
焼成体70となる。このとき、図4(b)に示す抵抗発
熱体成形体34が抵抗発熱体10を、分割予備成形体3
6,37がセラミック基体13をそれぞれ形成すること
となる。また、各電極材30はそれぞれ電極部11及び
12となる。
【0040】焼成は、酸素分圧が20Pa以下(望まし
くは10Pa以下)であり、全圧力が100Pa以下
(望ましくは50Pa以下)の減圧となるように、所定
純度(例えば99.99%)の窒素あるいはアルゴンを
導入して焼成温度(例えば1800℃)まで昇温し、該
雰囲気中にて焼成保持することにより行なう。
【0041】上記焼成により、図6(b)の仮焼体3
9’は、分割予備成形体36及び37の合わせ面39a
に沿う方向に圧縮されながら、図6(c)の焼成体70
となる。このとき、図6(b)の、抵抗発熱体成形体3
4の直線部34bは、その円状断面が上記圧縮方向につ
ぶれるように変形することにより、楕円状断面を有した
抵抗発熱体10の直線部10bとなる。他方、図10
(a)に示す成形型65のキャビティ65aに形成した
複合塗布層72は、図10(b)に示す離型層75とな
る。これにより、図10(c)に示すように、焼結体7
0をキャビティ65aから簡単に離脱させることができ
る。
【0042】得られた焼結体70は、外周面に研磨等の
加工を施すことにより、セラミック基体13の断面が円
形に整形されて最終的なセラミックヒータ1となる。
【0043】前記の減圧焼成雰囲気にて焼成を行なうこ
とにより、抵抗発熱体成形体34中のWSiのW
等への分解が抑制され、最終的に得られる抵抗発熱
体の導電性セラミック相の80質量%以上をWSi
相とすることができる。そして、抵抗発熱体の断面にお
いてディフラクトメータ法によるX線回折プロファイル
を測定したときに、金属W系相に帰着される最強の回折
ピーク強度をX1、WSi系セラミック相に帰着され
る最強の回折ピーク強度X2として、X2/(X1+X2)
の値が0.3〜1となる。また、WSi系セラミッ
ク相に帰着される最強の回折ピーク強度をX3、WSi
系セラミック相に帰着される最強の回折ピーク強度X
2として、X3/(X3+X2)の値が0.3〜1となる。
また、焼結助剤として配合した抵抗発熱体中の希土類酸
化物粉末は、結晶化の進行したR SiO等の希土類
−珪素複合酸化物、あるいはRSiやR
Siなどの希土類−珪素複合酸窒化物を主体
とする粒界相を形成する。セラミック基体の粒界相の結
晶化も同様に促進される。結果として、初期抵抗値が低
く急速昇温性に優れ、かつ高温強度も良好なセラミック
ヒータが実現される。
【0044】なお、添加剤粉末は、仮焼体の外面に塗布
してもよい。例えば、図9に示すように、添加剤粉末を
懸濁させた懸濁液SLを仮焼体39’に塗布し、乾燥す
ることにより、添加剤粉末の塗布層73を形成すること
ができる。なお、この塗布層73中には離型剤粉末は含
有されていても、含有されていなくてもいずれでもよ
い。後者の場合は、成形型側に離型剤を塗布しておくこ
とが望ましい。また、懸濁液SLは、ここでは浸漬によ
り塗布しているが、スプレー塗布など他の方法を用いて
もよいことはもちろんである。
【0045】なお、図7に示すように、セラミック基体
粉末の成形体に対し、導電性セラミック粉末のペースト
を用いて抵抗発熱体形状をパターン印刷し、これを焼成
することによりその印刷パターンを焼結して、抵抗発熱
体10とするようにしてもよい。
【0046】
【実験例】(実験例1)セラミック基体用原料粉末は下
記のようにして調製した。すなわち、平均粒径0.7μ
mのSi粉末に対し、焼結助剤粉末としてEr
を10質量%とSiOを3質量%とをそれぞれ配
合し、これをボールミルにて湿式粉砕した。そして、こ
れに所定量のバインダを添加した後、スプレードライ法
により乾燥させてセラミック基体用原料粉末とした。一
方、抵抗発熱体用原料粉末は以下のように調整した。ま
ず、平均粒径約1μmの各種導電性セラミック粉末(W
Si、WC、MoSi)20体積%に対し、残部の
うち、窒化珪素(Si )粉末87質量%、焼結助
剤としてのEr粉末を10質量%、同じくSiО
粉末を3質量%となるように配合し、ボールミルを用
いて溶媒とともに50hr湿式混合して乾燥後、有機結
合剤としてのポリプロピレン及びワックスを添加してコ
ンパウンドを作成し、ペレット造粒した。そして、この
造粒ペレットを用いて図3(a)に示すように射出成形
し、同図(b)に示す一体成形体35を作成した。
【0047】次いで上記原料粉末を用いて前述の方法に
より、図4(a)に示す分割予備成形体36,37を作
成し、さらにこれと前述の一体成形体35とを前述の方
法により一体プレス成形して、図5(b)あるいは図6
(a)に示す複合成形体39を形成した。この複合成形
体39を約600℃で仮焼して図6(b)に示す仮焼体
39’とし、これをホットプレス焼成した。なお、焼成
は、焼成温度を1800℃、加圧力300kgf/cm
、焼成キープ時間を60分に設定するとともに、焼成
雰囲気は、純度99.99%、圧力50Paの窒素ガス
(不純物を0.01%の酸素として換算した酸素分圧は
0.005Pa)を導入して1800℃まで昇温し、該
雰囲気中にて焼成保持するようにした。なお、試験品
は、後述する種々の破壊試験に供するため、1条件につ
き20個ずつ作製している。
【0048】各番号の試験品は、軸線と直交する断面に
より切断して表面を研摩し、CuのKα1線(波長:約
1.54Å)を入射させることにより、ディフラクトメ
ータ法によりX線回折測定を行なった。そして、その回
折プロファイルから、以下の情報を読み取った。W
Si系セラミック相に帰着される最強の回折ピーク強
度X3と、WSi 系セラミック相に帰着される最強の
回折ピーク強度X2とによる、X2/(X3+X2)の値。
なお、金属W相に帰着される最強の回折ピーク強度X1
と、WSi 系セラミック相に帰着される最強の回折ピ
ーク強度X2とによる、X2/(X1+X2)の値は全て1
であった(つまり、金属W相は確認されなかった)。
前述の希土類(R)/珪素複合酸化物あるいは複合酸窒
化物の回折ピークが観察されるか否か。観察されなかっ
たものは粒界相がガラス質であり、観察されたものは粒
界相が結晶質であると判定した。
【0049】次に、試験品のセラミック基材の外周面を
外径3.50mmとなるように研摩し(研磨面の算術平
均粗さ:0.1μm)、室温(試験品数N=10)及び
1400℃(試験品数N=5)にて3点曲げ抗折試験を
行った(スパン長:12mm、クロスヘッド速度:0.
5mm/分)。また、急速昇温性能を評価するために、
DC11Vにて5秒通電したときの抵抗値と、基材表面
の最高到達温度を測定した。さらに、基材表面の最高到
達温度が1400℃となるように電圧調整して、通電オ
ン1分、通電オフ1分のサイクルを繰り返し、通電不能
となるまでのサイクル数にて通電耐久性を評価した。な
お、評価したDC11Vにて60秒通電したときの該到
達温度が、いずれも1000℃以上1200℃以下とな
ることを確認している。以上の結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】この結果によると、導電性セラミックとし
てWSiを使用し、かつ粒界相を結晶化させたものは
WSi以外の導電性セラミックを用いたもの(番号
3,4)あるいは、WSiを使用していても粒界相が
結晶化していないもの(番号1)と比較して、急速昇温
特性に優れ、高温強度及び通電耐久特性も良好であるこ
とがわかる。なお、番号2の試験品は、X線回折の結
果、導電性セラミック相のほぼ全てがWSiとなって
いることがわかった。
【0052】(実験例2)セラミック基体用原料粉末を
実験例1と同様に調製した。また、抵抗発熱体は、平均
粒径約1μmのWSi粉末40質量%(20体積%)
を用いて、実験例1と同様に一体成形体35を作成し、
複合成形体39及び仮焼体39’を経てホットプレス焼
成した。なお、焼成は、焼成温度を1800℃、加圧力
300kgf/cm、焼成キープ時間を60分に設定
するとともに、焼成雰囲気は表2の各種圧力の窒素ガス
(純度99.99%)あるいはアルゴンガス(純度9
9.99%)を導入して1800℃まで昇温し、該雰囲
気中にて焼成保持するようにした(各ガスとも、不純物
を0.01%の酸素として、酸素分圧をそれぞれ見積も
っている)。なお、試験品は、後述する種々の破壊試験
に供するため、1条件につき20個ずつ作製している。
【0053】各番号の試験品は、実験例1と同様にX線
回折測定を行なった。また、初期抵抗値のばらつきも測
定した。以上の結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】雰囲気圧力が100Pa以下であって、酸
素分圧が20Pa以下の減圧雰囲気にて焼成を行なうこ
とにより、導電性セラミック相のほぼ全てをWSi
とすることができ、初期抵抗値のばらつきも低く抑える
ことができることがわかる。
【0056】(実験例3)セラミック基体用原料粉末を
実験例1と同様に調製した。また、抵抗発熱体は、平均
粒径1.0μmのWSi粉末40質量%(20体積
%)を用いて、実験例1と同様に一体成形体35を作成
し、複合成形体39及び仮焼体39’を経てホットプレ
ス焼成した。なお、ホットプレス成形型のキャビティ内
面には、平均粒径1μmのBN粉末を質量にて50部に
対し、抵抗発熱体の原料に使用したものと同じ窒化珪素
粉末からなる添加剤粉末(番号9)、あるいは、抵抗発
熱体の原料に使用したものと同じ配合比率にて混合した
窒化珪素粉末及び焼結助剤粉末(Er粉末+過剰
酸素に由来するSiО成分)からなる添加剤粉末(番
号10)を質量にて50部配合し、これをエタノール中
に懸濁させた塗布用懸濁液を塗布して乾燥することによ
り、厚さ約50μmの複合塗布層を形成した。なお、焼
成は、焼成温度を1800℃、加圧力300kgf/c
、焼成キープ時間を60分に設定するとともに、焼
成雰囲気は、純度99.99%、圧力50Paの窒素ガ
ス(不純物を0.01%の酸素として換算した酸素分圧
は0.005Pa)を導入して1800℃まで昇温し、
該雰囲気中にて焼成保持するようにした。なお、試験品
は、後述する種々の破壊試験に供するため、及び初期抵
抗値のバラツキ範囲を見積もるために、1条件につき5
0個ずつ作製している。
【0057】各番号の試験品は、実験例1と同様にX線
回折測定を行なった。また、試験数n=50における抵
抗値の最大値及び最小値によりバラツキ範囲を見積もっ
た。以上の結果を表3に示す。
【0058】
【表3】
【0059】離型剤中に添加剤粉末を配合することによ
り、初期抵抗値を一層低減でき、さらに、そのばらつき
も小さくすることができていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックヒータを採用したグロープ
ラグの一例を示す正面部分断面図。
【図2】そのセラミックヒータの正面断面図。
【図3】セラミックヒータの製造工程説明図。
【図4】図3に続く工程説明図。
【図5】図4に続く工程説明図。
【図6】複合成形体及び焼成体の断面形状変化を示す模
式図。
【図7】本発明のセラミックヒータの別実施例を示す断
面図。
【図8】ホットプレス成形型に、離型剤粉末と添加剤粉
末との塗布層を形成する方法を示す工程説明図。
【図9】仮焼体に離型剤粉末と添加剤粉末との塗布層を
形成する方法を示す工程説明図。
【図10】本発明のセラミックヒータ製造方法の一実施
例における作用説明図。
【符号の説明】
1 セラミックヒータ 13 窒化珪素質セラミック基体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 3/10 H05B 3/18 3/18 3/48 3/48 C04B 35/58 102C 102G Fターム(参考) 3K092 PP16 QA01 QB03 QB20 QB24 QB26 QB69 QB71 QB74 QC02 QC16 QC30 QC38 QC42 QC46 RA02 RB08 RB22 RC16 RD02 TT08 TT22 TT37 VV19 4G001 BA04 BA08 BA32 BA48 BA49 BB04 BB08 BB32 BB48 BB49 BC13 BC15 BC26 BC31 BC42 BD01 BD15 BD21 BE31

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性セラミック基体中に、主に導電性
    セラミックからなる抵抗発熱体を埋設した構造を有する
    とともに、該抵抗発熱体を構成する導電性材料相の80
    質量%以上がWSi系セラミック相であり、かつ初期
    抵抗値が1kΩ未満であることを特徴とするセラミック
    ヒータ。
  2. 【請求項2】 絶縁性セラミック基体中に、主に導電性
    セラミックからなる抵抗発熱体を埋設した構造を有する
    とともに、該抵抗発熱体の断面においてディフラクトメ
    ータ法によるX線回折プロファイルを測定したときの、
    金属W系相に帰着される最強の回折ピーク強度をX1、
    WSi系セラミック相に帰着される最強の回折ピーク
    強度X2として、X2/(X1+X2)の値が0.3〜1で
    あり、かつ初期抵抗値が1kΩ以下であることを特徴と
    するセラミックヒータ。
  3. 【請求項3】 前記抵抗発熱体は、粒界相にて導電性セ
    ラミック相を結合した構造を有してなり、かつ粒界相の
    少なくとも一部が結晶化した構造をなす請求項1又は2
    に記載のセラミックヒータ。
  4. 【請求項4】 前記粒界相は結晶化した希土類無機化合
    物を含有してなる請求項3記載のセラミックヒータ。
  5. 【請求項5】 前記抵抗発熱体は、窒化珪素質絶縁相を
    含有する請求項1ないし4のいずれかに記載のセラミッ
    クヒータ。
  6. 【請求項6】 絶縁性セラミック基体中に、主に導電性
    セラミックからなる抵抗発熱体を埋設した構造を有する
    とともに、前記抵抗発熱体は導電性材料相の80質量%
    以上がWSi系セラミックであり、かつ粒界相にて導
    電性セラミック相を結合した構造を有してなり、さら
    に、該粒界相は、主に結晶化した希土類無機化合物を含
    有することを特徴とするセラミックヒータ。
  7. 【請求項7】 DC11Vにて5秒通電したときに、前
    記絶縁性セラミック基体表面の温度分布において温度最
    高となる位置での到達温度が1000℃以上となり、か
    つDC11Vにて60秒通電したときに該到達温度が1
    000℃以上1200℃以下となる請求項1ないし6の
    いずれかに記載のセラミックヒータ。
  8. 【請求項8】 前記絶縁性セラミック基体は窒化珪素質
    セラミックからなる請求項1ないし7のいずれかに記載
    のセラミックヒータ。
  9. 【請求項9】 窒化珪素質セラミック成形体中に、主に
    導電性セラミックからなる抵抗発熱体の成形体を埋設し
    た構造を有するとともに、前記導電性材料相の80質量
    %以上をWSi系セラミックとした複合成形体を、雰
    囲気圧力が100Pa以下であって、酸素分圧が20P
    a以下の減圧雰囲気にて焼成することを特徴とするセラ
    ミックヒータの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記抵抗発熱体の成形体は、焼結助剤
    成分として希土類酸化物粉末が配合されたものが使用さ
    れる請求項9記載のセラミックヒータの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記抵抗発熱体の成形体は、さらに窒
    化珪素質粉末が配合されたものが使用される請求項10
    記載のセラミックヒータの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記焼成は、成形型のキャビティ内面
    及び/又は前記複合成形体の前記キャビティとの接触表
    面に、離型剤と希土類酸化物粉末、又は離型剤と希土類
    酸化物粉末及び窒化珪素質粉末とを含有した離型被覆層
    を形成し、その成形型を用いて前記複合成形体をホット
    プレス焼成することにより行われる請求項9ないし11
    のいずれかに記載のセラミックヒータの製造方法。
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