JP2002123014A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP2002123014A
JP2002123014A JP2000312065A JP2000312065A JP2002123014A JP 2002123014 A JP2002123014 A JP 2002123014A JP 2000312065 A JP2000312065 A JP 2000312065A JP 2000312065 A JP2000312065 A JP 2000312065A JP 2002123014 A JP2002123014 A JP 2002123014A
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JP
Japan
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substituent
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groups
aryl
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JP2000312065A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Ono
均 小野
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 非常に高感度で且つ繰り返し使用による残留
電位の蓄積や感度変動が小さく耐久性に優れた、レーザ
ー用感光体として極めて有用な電子写真感光体を提供す
る。 【解決手段】 導電性支持体上に、少なくとも、下記一
般式[1]で表わされるアリールアミンヒドラゾン系化
合物、及びCuKα線によるX線回折スペクトルにおい
てブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に主たる回
折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを含
有する感光層を有することを特徴とする電子写真感光
体。 (式中、Aは一般式[II]又は[III]で表わされる基
を表わし; X−Ar [II] Qは下記一般式[IV]で示される基を表わす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真感光体に関
するものである。さらに詳しくは電荷発生物質と有機系
の電荷輸送物質を含有する感光層を有する高感度の電子
写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真感光体の感光層にはセレ
ン、硫化カドミウム、酸化亜鉛などの無機系の光導電性
物質が広く用いられていた。しかしながら、セレン、硫
化カドミウムは毒性が強く、回収の必要があり、またセ
レンは熱により結晶化するため耐熱性に難があり、硫化
カドミウム、酸化亜鉛は耐湿性に劣り、特に酸化亜鉛は
耐刷性に弱点があり、総じて、新規な材料の出現が待た
れていた。最近は有機系の光導電性物質を電子写真感光
体の感光層中の特性発揮物質として使う研究が盛んであ
り、そのうちいくつかの技術が実用化されてきている。
有機系の光導電性物質は無機系のそれに比べ、種類によ
っては透明な感光体を製造できる等の大きな利点がある
(着色した材料はそれだけ光吸収が起こり、露光分の光
量が落ちるので、不利である。) 最近は、電荷キャリアの発生と輸送とを別個の層で機能
的に起こさせ、両層間の適合性を合わせた形で積層し、
注入過程を好適に行わせることにより、良好な特性を提
供する機能分離型感光体が主流となっている。特筆すべ
きは両層を構成する電荷発生物質、電荷輸送物質材料と
共に、樹脂成分の特性も大幅に改良され、感光体として
多種の方面で利用されるようになってきた。
【0003】また一方、従来から使われてきた複写分野
以外にも電子写真方式が採用され、近年の高度情報化の
時代、量子処理できるデジタル信号に変えて処理し、高
精細、高画質な高品位画像品を簡便に入手したいという
要求が強く、これらの要求に応えうる好適な方式、好適
な材料の登場が待たれている。昨今の電子写真方式を利
用した複写法も単に複写機にとどまらず、プリンター、
ファックス、オンデマンド印刷機などIT技術の伸展に
伴って応用分野も多岐に亘っている。とりわけ、デジタ
ル/高精細画像で高品位品を要求される今日にあって装
置面での改良は勿論、小粒径トナー、均一微細帯電、転
写効率の飛躍的向上などめざましい伸展が見られる。
【0004】このような、技術的進歩の中に置いて、特
に感光体に焦点を絞ってみても多種多様の研究開発が展
開されている。感光体にとって、感光層は特性発揮のた
めの重要な役割を演じ、装置を含めた方式そのものを決
定づける。通常、支持体の上に、必要とあらば、下引き
層(中間層)が塗布され、次いで、電荷発生層、電荷輸
送層が積層され、必要とあらば、保護層等も設け、電子
写真感光体となっている。
【0005】当然、電荷発生層で吸収された光情報に対
応して、物理的諸過程(例えば、吸収−電荷分離−電荷
発生)が始まり、電荷輸送層に注入され、表面電荷をう
ち消して、表面上に静電潜像を形成し、逆帯電の現像材
(例えばトナー)により、現像、転写、定着と進むわけ
であるが、とりわけ、高精細、高品位な画像を求めた場
合、電荷発生層、電荷移動層の協奏効果(注入過程で)
を発現しないと、目的は達し得ない。
【0006】それは、感光体としての帯電性、感度、残
留電位、暗減衰等の電子写真特性は積層されている以
上、両層の界面状態が大変重要な役割を演じるが、両層
は明確に分離された界面を形成しているのではなく、か
なり混在して特性を発揮している。具体的に詳述する
と、片一方の層を形成する成分(例えば電荷輸送物質)
がもう片一方の層(例えば、電荷発生層)のなかにある
深度で入り込み、界面付近では各層に用いた両材料、使
われた溶剤、添加物などがホストであるバインダーの中
で、混在して複雑な界面を形成している。
【0007】その両材料の相性を決定するのは、実に様
々な因子が絡み、複雑であるが、例えば、分子構造、濃
度、立体構造、粒子形態、大きさ、配向状態、凝集状
態、SP値他である。付言するが、電荷発生層、電荷輸
送層はそれぞれ単層的には良好な特性を発揮しうる材料
であっても、これらが積層された場合、必ずしも、好適
な感光体特性を発揮するとは限らないことである。つま
り単一素材としては優秀なる、電荷発生効率、電荷輸送
効率を有していても、積層した後に如何なる注入効率に
なるかは予測できるものではない。従来の材料におい
て、この点が大きな課題であった。
【0008】一般的な複写機に応用される場合は上述し
たが、特に、デジタル/高精細画像を出現させるには、
画像情報を読みとり、電気信号へと変換し、再び、信号
処理させ、微細ドットで画像形成させねばならない。色
分解を伴なう読みとりに関して高性能の方式、材料が開
発され、回路設計も考案され、信号処理技術、現像技術
も向上してきている現状であっても、感光体自身の性能
が今ひとつ完成度に乏しい。
【0009】感光体構成成分である電荷発生物質、電荷
輸送物質も極めて高い感度他、他の特性も良好でなけれ
ばならないし、その上、両物質を含有した両層の良好な
相性による、高い発生効率、注入効率、移動効率から生
み出される高速応答性が要求される。従来から、電荷発
生物質として有機化合物、無機化合物を問わず他種類の
化合物が知られている。特に有機化合物の場合、用いら
れる露光光源の波長に対応させるべく様々な化合物が電
荷発生剤として用いられている。中でも、アゾ系化合物
(モノアゾ系、ジスアゾ系、ビスアゾ系トリスアゾ系、
テトラキスアゾ系、ペンタキスアゾ系)、縮合多環系化
合物(アントラキノン系、ベンズアンスロン系、アンス
アンスロン系、ナフタレンジカルボン酸イミド系、ペリ
ノン系、ペリレン系、ナフトイレンベンズイミダゾール
系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系)、インジ
ゴ系、チオインジゴ系、キナクリドン系、メチン系(シ
アニン系)他が多用されている。
【0010】一般にフタロシアニン系化合物は、非金属
フタロシアニン以外に含金属フタロシアニンが注目さ
れ、特に中心金属のバラエテイー、配位子の選択自由
性、結晶型の豊富さ、結晶化度の選択、粒子径の選択な
ど目的に合わせた素材を準備しやすく、且つ製造条件に
大きく依存することも手伝って、大変多くの研究が展開
されてきた。
【0011】従来から中心金属種としてはCu、Fe等
が汎用的であるが、特に電子写真特性に有利な金属源と
して、最近注目されているのはTi、Inなどである。
なかでもTiはその特性豊かな結晶型を狙った開発研究
が熾烈であり、例えば、特公平5−31137号、特公
平6−29975号、特公平7−91486号、特許第
2864622号、特許第2700859号、特許第2
502404号、特許第2584682号等である。
【0012】一方、電荷輸送物質については、従来は前
述した、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛などの光導
電性化合物に頼ってきたが、近年はかなりのところまで
低分子有機化合物がその役割を演じるようになってき
た。そもそも、ポリビニルカルバゾール(PVK)など
の高分子光導電性化合物に端を発した有機化合物の開発
ではあったが、前述した樹脂成分(ポリマーバインダ
ー)の開発進捗も手伝って、低分子化合物の開発研究が
極めて盛んであり技術開示も多い。
【0013】近年は、前述した機能分離型感光体が主流
となり電荷発生は別の材料で行い電荷輸送のみを目的と
した開発研究が大変盛んとなってきている。従来から、
ピラゾリン系、アリールアミン系、ヒドラゾン、スチル
ベン、スチリル、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾ
ール、チアゾール、オキサジアゾール等の複素環系、ブ
タジエン系等の有機化合物が応用されている。特に有機
系の低分子光導電性化合物は、バインダー中に高い濃度
の作用発揮部位を配備させるのに有効であり、部位間の
距離を短くすることにより大変良好な移動効率を挙げる
ことが可能となる。
【0014】またバインダーとして皮膜性、可とう性、
接着性などの優れたポリマーを選択することができるの
で、容易に機械的特性の優れた感光体を得ることができ
る。(例えば、特開昭63−172161号公報、特開
平4−267261号公報参照)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、極めて高い
感度他の電子写真特性を要求される感光体用構成成分と
して、単独に良好な電子写真特性を発揮する電荷発生物
質と電荷輸送物質とを用いて、良好な特性を維持するば
かりか、更なる好適な電子写真特性とりわけ感度を与え
る感光体を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記実情に鑑
み、電荷発生物質と電荷輸送物質との協奏効果を発揮す
るような材料の選択につき鋭意検討を行った結果、特定
のアリールアミンヒドラゾン系化合物とオキシチタニウ
ムフタロシアニンとを組み合わせることにより極めて高
感度の電子写真感光体が得られることに知見して、本発
明を完成した。
【0017】即ち、本発明の要旨は、導電性支持体上
に、少なくとも、下記一般式[1]で表わされるアリー
ルアミンヒドラゾン系化合物、及びCuKα線によるX
線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2
°)27.3°に主たる回折ピークを有するオキシチタ
ニウムフタロシアニンを含有する感光層を有することを
特徴とする電子写真感光体、
【0018】
【化5】
【0019】(式中、Aは一般式[II]又は[III]で
表わされる基を表わし;
【0020】
【化6】X−Ar [II]
【0021】
【化7】
【0022】Qは下記一般式[IV]で示される基を表わ
し;
【0023】
【化8】
【0024】Xは置換基を有していてもよいアルキレン
基を表わし;Arは置換基を有してもよいアリール基ま
たは置換基を有してもよい複素環基を表わし;B、D、
Eは、それぞれ、置換基を1以上有してもよいベンゼン
環を表わし、これらは互いに同一でも異なっていてもよ
く;R1 は水素原子、置換基を有してもよいアルキル
基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有
してもよい複素環基を表わし;R2 は置換基を有しても
よいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置
換基を有してもよい複素環基または置換基を有してもよ
いアラルキル基を表わし;R3 又はR4 は、それぞれ、
置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよ
い複素環基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基
を有してもよいアラルキル基もしくはアリル基を表わ
し、またR3 とR4 とは直接、もしくは結合基を介して
連結していてもよい。)、に存する。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。まず、本発明において対象とする電子写真感光体に
つき簡単に説明する。有機化合物を用いた電子写真感光
体は大別して単層系感光体と積層系感光体とにわけられ
るが、電荷発生と電荷輸送の機能を分離して性能の向上
を期した積層型を考えた場合、電荷発生材料として、種
々の有機化合物が研究されている。
【0026】積層型感光体とは少なくとも、導電性支持
体と電荷発生層と及び、電荷輸送層からなり、通常は、
電荷発生層の上に電荷輸送層が積層されているが、逆の
構成でもよい。又、これらの他に、接着層、ブロッキン
グ層等の中間層や、保護層など、電気特性、機械特性の
改良のための層を設けてもよい。導電性支持体としては
周知の電子写真感光体に採用されているものがいずれも
使用できる。具体的には例えばアルミニウム、ステンレ
ス、銅等の金属ドラム、シートあるいはこれらの金属箔
のラミネート物、蒸着物が挙げられる。更に、金属粉
末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導
電性物質を適当なバインダーとともに塗布して導電処理
したプラスチックフィルム、プラスチックドラム、紙、
紙管等が挙げられる。また、金属粉末、カーボンブラッ
ク、炭素繊維等の導電性物質を含有し、導電性となった
プラスチックのシートやドラムが挙げられる。又、酸化
スズ、酸化インジウム等の導電性金属酸化物で導電処理
したプラスチックフィルムやベルトが挙げられる。これ
らの導電性支持体上に形成する電荷発生層は、本発明の
オキシチタニウムフタロシアニン粒子とバインダーポリ
マーおよび必要に応じ有機光導電性化合物、色素、電子
吸引性化合物等を溶剤に溶解あるいは分散して得られる
塗布液を塗布乾燥して得られる。バインダーとしては、
スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチル
ビニルエーテル等のビニル化合物の重合体および共重合
体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエ
ステル、ポリアミド、ポリウレタン、セルロースエステ
ル、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、けい素樹
脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。オキシチタニウムフ
タロシアニンとバインダーポリマーとの割合は、特に制
限はないが、一般には、オキシチタニウムフタロシアニ
ン100重量部に対し、5〜500重量部、好ましく
は、20〜300重量部のバインダーポリマーを使用す
る。
【0027】電荷発生層の膜厚は、通常、0.05〜5
μm、好ましくは0.1〜2μmになるようにする。次
に電荷発生物質として用いるオキシチタニウムフタロシ
アニンについて詳述する。目的とするX線回折スペクト
ルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に
主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシア
ニン(通常「Y型」と称する。)はいくつかの方法によ
って製造できる。
【0028】本明細書中「主たる回折ピーク」とは、そ
の粉末X線回折スペクトルにおけるピーク強度が最も強
い(高い)ピーク又はピーク形が最も鋭いピークを指
す。本発明方法により製造されるオキシチタニウムフタ
ロシアニン結晶のX線回折スペクトルは例えば図1及び
図2に示すようにブラッグ角(2θ±0.2°)27.
3°に明瞭な回折ピークを示し、9.7°、24.1°
等に見られる他の回折ピークは製造条件によって種々変
動し得るが、比較的巾広いピークとなる。
【0029】個々の回折ピークの鋭さを表わす指標とし
て、各結晶についての粉末X線回折スペクトルを下記条
件で測定した。 X線測定条件 X線管球 Cu 電圧 40.0kV 電流 100.0mA スタート角度 6.00deg ストップ角度 35.00deg ステップ角度 0.020deg 測定時間 0.50sec 得られたX線回折スペクトルのチャート上のピーク形か
ら、下記式によりS値を算出した。なお、下記式中のピ
ークの高さ(Ht)、半値幅(hw)測定例は図1の2
7.3°のピークに示した。
【0030】
【数1】
【0031】本発明のオキシチタニウムフタロシアニン
結晶の粉末X線回折スペクトルにおいて、全てのピーク
のS値の中で、通常ブラッグ角(2θ±0.2°)2
7.3°のピークのS値が最小であり、そのS値の他の
ピークのS値に対する比率は0.25以下、更には0.
20以下であることが好ましい。そして、製造された材
料はその製法に依存して、主たるピークが27.3°
(±0.2°)以外細かい部分で多様なスペクトルパタ
ーンを呈する。例えば、特公昭7−91486号公報に
よれば2θ(±0.2°)値は7.4°、9.7°、2
4.2°、27.3°であり、特許第2864622号
公報によれば、9.7°、24.1°、27.3°であ
り、特許第2700859号公報によれば、9.5°、
9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、2
4.1°、27.3°であり、特許第2502404号
公報によれば、9.0°、14.2°、23.9°、2
7.1°であり、特許第2584682号公報によれ
ば、9.5°、14.3°、18.0°、24.0°、
27.3°であり、特開平10−88024号公報によ
れば、9.2°、14.3°、24.0°、27.3°
である。これらに共通していることは27.3°のピー
クが明瞭且つ最大強度であることである。そのほか、特
開平12−7933号公報、特開平12−7934号公
報にも近似した材料が用いられているし、特開平12−
7935号公報ではチタニルオキシフタロシアニン結晶
の面間隔(9〜10Å 秩序性の高い配列群、12〜1
4Å 秩序性の弱い配列群、3.2〜3.4Å 秩序性
の高い配列群から構成されている結晶と特定されている
が、ブラッグの式 2dsinθ=nλ(d:面間隔)
に代入して求められる2θ値がそれぞれ、8.8〜9.
8°、6.3〜7.4°、26.2〜27.9°に対応
し、先に述べた諸特許公報記載の材料とほぼ同一であ
る。
【0032】上述したオキシチタニウムフタロシアニン
の製造方法としては、例えば、特許第2864622号
公報記載の機械的摩砕方法による方法が一例として挙げ
られる。機械的摩砕法としてはチタニウムオキシフタロ
シアニンを実質的に無定型となるまで十分摩砕し得る機
械的方法ならいかなる方法でも採用可能で、例えば、ペ
イントシェーカー、サンドグラインダー、ボールミル、
ロールミル、アトライター、コロイドミル、振動ミルな
どの分散機、好ましくはペイントシェーカーまたはサン
ドグラインドミル、より好ましくはペイントシェーカー
を用い、湿式又はより好ましくは乾式条件下で十分摩砕
すればよい。工業的には、用いる機械にもよるが5時間
〜100時間の範囲で処理時間を選び摩砕処理するのが
適当である。
【0033】本発明では上記方法で実質的に無定型とし
たチタニウムオキシフタロシアニンを水中に懸濁させた
有機溶剤を加え加熱処理する。本発明において実質的に
無定形とは回折スペクトルが完全な非晶質を示す場合と
一部に識別し得るピークの存在はあっても極めて強度が
低く全体として見た場合、ほぼ非晶質とみなせる場合を
包含する。本発明において、結晶型オキシチタニウムフ
タロシアニンを機械的に摩砕すると無定型となり、更に
十分に摩砕すると殆んど識別できる回折ピークがなかっ
たX線回折スペクトルにおいて、例えば図4及び図6に
示した通りブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に
極めて弱いが識別し得る回折ピークが現れてくる。本発
明方法では機械的摩砕後に実質的に無定形となったオキ
シチタニウムフタロシアニンを以降の工程に供すれば目
的のX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±
0.2°)27.3°に明瞭な回折ピークを示す結晶が
製造できるが、中でも前述したようにブラッグ角(2θ
±0.2°)27.3°に識別し得る回折ピークが現れ
るまで充分に機械的摩砕を施したオキシチタニウムフタ
ロシアニンを以降の工程に供した場合に、主たる回折ピ
ークの強度がより大きく、その他の回折ピークの強度が
より小さく、目的の結晶型の特徴をより明瞭に呈する結
晶が製造でき、好ましい。
【0034】この意味で出発原料が無定形のオキシチタ
ニウムフタロシアニンの場合でも機械的摩砕を行ってブ
ラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に識別し得る回
折ピークを出現せしめることにより、有意義に本発明を
実施し得るので本発明においてかかる出発原料を採用す
ることも可能である。この場合用いられる有機溶剤とし
ては、クロロホルム、ジクロルエタン、n−ヘキサン、
酢酸ブチル等の水不溶性の脂肪族有機溶剤、モノクロル
ベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、ト
ルエン、キシレン、ニトロベンゼン、αクロルナフタレ
ン等の芳香族有機溶剤が挙げられる。また、水懸濁液は
無定型化合物ができる範囲内でよいが好ましくは固形分
2〜50%の液であり、有機溶剤の水に対して200%
以下、好ましくは5〜100%である。加熱処理は十分
行うほど目的の結晶型のチタニウムオキシフタロシアニ
ンが確実に得られるが、工業的には温度30〜100
℃、好ましくは40〜70℃で1〜5時間程度行えば十
分である。
【0035】得られた結晶型チタニウムオキシフタロシ
アニンは適当なバインダー、溶剤等を用いて再度分散さ
れ、必要とあらば、適宜添加剤も加えられ、塗布液とさ
れるが、本結晶型は比較的環境、特に温度に敏感で結晶
型変換してしまうことがあるので、塗布工程に至るまで
の保存、保管条件或いは液輸送期間の温度条件などに留
意しなければならない。通常は室温から低温の定温保管
庫、より好ましくは−10〜20℃以下の定温条件に置
かれることが望ましい。
【0036】次いで、電荷輸送物質について詳しく説明
する。本発明に用いられる電荷輸送物質は、下記一般式
[1]で表わされるアリールアミンヒドラゾン系化合物
である。
【0037】
【化9】
【0038】式中、Aは一般式[II]
【0039】
【化10】−X−Ar [II]ま
たは一般式[III]
【0040】
【化11】
【0041】で示される基を表わし、特に一般式[II]
で示される基が好ましい。Qは下記一般式[IV]で示さ
れる基を表わす。
【0042】
【化12】
【0043】Xは、置換基を有していてもよいアルキレ
ン基を表わす。具体的には、例えば、メチレン基、エチ
レン基、プロピレン基等のアルキレン基が挙げられ、特
にメチレン基が好ましい。これらのアルキレン基は置換
基を有してもよく、置換基としては、メチル基、エチル
基等の低級アルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の低
級アルコキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原
子;フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げら
れる。
【0044】Arは、フェニル基、ナフチル基、アント
ラセニル基等のアリール基;ピロリル基、チエニル基、
フリル基、カルバゾリル基等の複素環基を表わし、特に
フェニル基が好ましい。これらのアリール基および複素
環基は置換基を有していてもよく、置換基としては、塩
素原子、臭素原子、よう素原子等のハロゲン原子;メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等
のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等
のアルコキシ基;アリル基;ベンジル基、ナフチルメチ
ル基、フェネチル基等のアラルキル基;フェノキシ基、
トリロキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ
基、フェネチルオキシ基等のアリールアルコキシ基;フ
ェニル基、ナフチル基等のアリール基;スチリル基、ナ
フチルビニル基等のアリールビニル基、ジメチルアミノ
基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェ
ニルアミノ基;ジナフチルアミノ基等のジアリールアミ
ノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等の
ジアラルキルアミノ基;ジピリジルアミノ基、ジチエニ
ルアミノ基等のジ複素環アミノ基;ジアリルアミノ基
又、上記のアミノ基の置換基を組み合わせたジ置換アミ
ノ基等が挙げられる。
【0045】B、D、Eは置換基を1以上有していても
よいベンゼン環を表わし、その置換基としては、塩素原
子、臭素原子、沃素原子等のハロゲン原子;メチル基、
エチル基、プロピル基等のアルキル基;メトキシ基、エ
トキシ基、プロピルオキシ基等のアルコキシ基;フェニ
ル基、ナフチル基等のアリール基;ジメチルアミノ基等
のジアルキルアミノ基、ジフェニルアミノ基等のジアリ
ールアミノ基、ジベンジルアミノ基等のジアラルキルア
ミノ基;ジピリジルアミノ基等のジ複素環アミノ基、ジ
アリルアミノ基、又、上記のアミノ基の置換基を組み合
わせたジ置換アミノ基等の置換アミノ基を表わし、これ
らは互いに同一でも異なっていてもよく、特に、水素原
子、メチル基、メトキシ基が好ましい。これらのアルキ
ル基、アルコキシ基、アリール基は、置換基を有してい
てもよく、置換基としては、水酸基;塩素原子、臭素原
子、よう素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル
基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキ
シ基;アリール基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フ
ェネチル基等のアラルキル基;フェノキシ基、トリロキ
シ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネ
チルオキシ基等のアリールアルコキシ基;フェニル基、
ナフチル基等のアリール基;スチリル基、ナフチルビニ
ル基等のアリールビニル基、ジメチルアミノ基、ジエチ
ルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ
基、ジナフチルアミノ基等のジアリールアミノ基;ジベ
ンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等のジアラルキ
ルアミノ基;ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基
等のジ複素環アミノ基;ジアリルアミノ基又、上記のア
ミノ基の置換基を組み合わせたジ置換アミノ基等が挙げ
られる。
【0046】R1 は、水素原子;メチル基、エチル基、
プロピル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、
アントラセニル基等のアリール基;ピロリル基、チエニ
ル基、フリル基、カルバゾリル基等の複素環基を表わ
す。これらのアルキル基、アリール基、複素環基は置換
基を有していてもよく、置換基としては、塩素原子、臭
素原子、よう素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル
基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキ
シ基;アリル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェ
ネチル基等のアラルキル基;フェノキシ基、トリロキシ
基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチ
ルオキシ基等のアリールアルコキシ基;フェニル基、ナ
フチル基等のアリール基;スチリル基、ナフチルビニル
基等のアリールビニル基、ジメチルアミノ基、ジエチル
アミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ
基、ジナフチルアミノ基等のジアリールアミノ基;ジベ
ンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等のジアラルキ
ルアミノ基;ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基
等のジ複素環アミノ基;ジアリルアミノ基又、上記のア
ミノ基の置換基を組み合わせたジ置換アミノ基等が挙げ
られる。
【0047】R2 は、メチル基、エチル基、プロピル基
等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセ
ニル基等のアリール基;ピロリル基、チエニル基、フリ
ル基、カルバゾリル基等の複素環基;ベンジル基、フェ
ネチル基等のアラルキル基を表わし、アルキル基が好ま
しい。これらのアルキル基、アリール基、複素環基およ
びアラルキル基は置換基を有していてもよく、置換基と
しては、塩素原子、臭素原子、よう素原子等のハロゲン
原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘ
キシル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ブ
トキシ基等のアルコキシ基;アリル基;ベンジル基、ナ
フチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基;フェ
ノキシ基、トリロキシ基等のアリールオキシ基;ベンジ
ルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアリールアルコキ
シ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;スチリ
ル基、アフチルビニル基等のアリールビニル基、ジメチ
ルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ
基;ジフェニルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等のジ
アラルキルアミノ基;ジピリジルアミノ基、ジチエニル
アミノ基等のジ複素環アミノ基;ジアリルアミノ基又、
上記のアミノ基の置換基を組み合わせたジ置換アミノ基
等が挙げられる。
【0048】R3 又はR4 は、それぞれフェニル基、ナ
フチル基、アントラセニル基等のアリール基;ピロリル
基、チエニル基、フリル基、カルバゾリル基等の複素環
基;メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;
ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;アリル基
を表わす。これらのアリール基、複素環基、アルキル
基、アラルキル基は置換基を有していてもよく、置換基
としては、塩素原子、臭素原子、よう素原子等のハロゲ
ン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ヘキシル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、
ブトキシ基等のアルコキシ基;アリル基;ベンジル基、
ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基;フ
ェノキシ基、トリロキシ基等のアリールオキシ基;ベン
ジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアリールアルコ
キシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;スチ
リル基、ナフチルビニル基等のアリールビニル基、ジメ
チルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ
基;ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基等のジア
リールアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルア
ミノ基等のジアラルキルアミノ基;ジピリジルアミノ
基、ジチエニルアミノ基等のジ複素環アミノ基;ジアリ
ルアミノ基又、上記のアミノ基の置換基を組み合わせた
ジ置換アミノ基等が挙げられる。特にR3 とR4 のう
ち、少なくとも1つが置換基を有してもよいアリール基
であることが好ましい。
【0049】また、R3 とR4 とは直接もしくは結合基
を介して連結していても良い。結合基としては、メチレ
ン基、エチレン基、トリメチレン基等のアルキレン基;
−S−、−O−、−N−等のヘテロ原子;が挙げられ、
特に−S−、−O−、−CH2 −が好ましく、更には−
S−が好ましい。R3 とR4 が結合基を介して連結した
場合の好ましいQの例としては、下記一般式[V]、
[VI]、[VII]、[VIII]が挙げられる。
【0050】
【化13】
【0051】(FおよびGは、それぞれ、置換基とし
て、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、
置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有しても
よいアリール基または置換アミノ基を有してもよいベン
ゼン環を表わし、これらは互いに同一でも異なっていて
もよい。) 以下に一般式[I]で表わされるアリールアミンヒドラ
ゾン系化合物について代表例を挙げるが、これらの代表
例は例示の為に示されるのであって、本発明に用いるア
リールアミン系化合物は、これら代表例に限定されるも
のではない。
【0052】
【化14】
【0053】
【化15】
【0054】
【化16】
【0055】
【化17】
【0056】
【化18】
【0057】
【化19】
【0058】前記一般式[I]で表わされるアリールア
ミンヒドラゾン系化合物は、公知の方法を用いて製造で
きる。好ましい製造方法として、(1)Aが一般式[I
I]で示される基の場合と、(2)Aが一般式[III]で
示される基の場合について、それぞれ述べる。 (1)Aが一般式[II]で示される基の場合 例えば、公知なアリールアミン化合物を用いて、公知な
カルボニル導入反応を行ない、次いで公知なエーテル化
反応を行なった後、所望のヒドラジン類との脱水反応を
行なうことにより、目的の化合物を得る方法である。こ
の方法を詳しく説明すると、まず下記のように
【0059】
【化20】
【0060】R1 =Hの場合 一般式[IX](一般式[IX]および[X]中、B、D、
EおよびR1 は一般式[I]におけると同一の定義を有
する。)で表わされるアリールアミン化合物をオキシ塩
化リンの存在下に、N,N−ジメチルホルムアミド、N
−メチルホルムアニリド等のホルミル化剤と反応させる
と一般式[X]で示されるアルデヒド体が得られる。ホ
ルミル化剤を大過剰に用いて反応溶媒を兼ねることもで
きるが、O−ジクロロベンゼン、ベンゼン等の反応に不
活性な溶媒を用いることもできる。
【0061】R1 ≠Hの場合 一般式[IX]で表わされるアリールアミン化合物を、塩
化アルミニウム、塩化鉄、塩化亜鉛等のルイス酸存在
下、ニトロベンゼン、ジクロロメタン、四塩化炭素等の
溶媒中、一般式Cl−CO−R1 で表わされる酸塩化物
と反応させることにより一般式[X]で表わされるケト
ン体が得られる。(カルボニル導入反応)次いで一般式
[X]で表わされるアリールアミン化合物と一般式W−
X−Ar(Wは塩素原子、臭素原子、よう素原子等のハ
ロゲン原子を表わし、Ar及びXは、一般式[I]にお
ける定義と同一。)を水酸化カリウム、水酸化ナトリウ
ム、ピリジン、トリエチルアミン等の塩基存在下、トル
エン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、
N,N−ジメチルホルムアミド等の反応に不活性な溶媒
中、反応させることにより一般式[XI](一般式[XI]
中、B、D、EおよびR1 は一般式[I]におけると同
一の定義を有する。)で表わされるアリールアミン化合
物が得られる。(エーテル化反応)
【0062】
【化21】
【0063】次いで、一般式[XI]で表わされる化合物
を一般式H2 N−Qで表わされるヒドラジン類と脱水縮
合反応することにより、一般式[I]で表わされるアリ
ールアミンヒドラゾン化合物が得られる。
【0064】
【化22】
【0065】脱水縮合反応は必要によっては50〜15
0℃の加熱下、メタノール、エタノール、テトラヒドロ
フラン、セロソルブ、N,N−ジメチルホルムアミド、
ベンゼン、トルエン等の反応に不活性な溶剤の中、所望
により反応促進剤としてパラトルエンスルホン酸、塩
酸、酢酸ナトリウム等の助剤を用いてもよい。(ヒドラ
ゾン化反応) (2)Aが一般式[III]で示される基の場合 例えば、公知なアリールアミン化合物を用いて、公知な
カルボニル導入反応を行ない、次いで公知なエステル化
反応を行なった後、所望のヒドラジン類との脱水反応を
行なうことにより、目的の化合物を得る方法である。
【0066】この方法を詳しく説明すると、前述したカ
ルボニル導入反応によって得られた一般式[X]で表わ
されるアリールアミン化合物を、ピリジン、トリエチル
アミン等の塩基存在下、トルエン、ベンゼン、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミ
ド等の反応に不活性な溶媒中、一般式Cl−CO−R 2
で表わされる酸塩化物と反応させることにより一般式
[XII](一般式[XII]中、B、D、EおよびR1 は一
般式[I]におけると同一の意義を有する。)で表わさ
れるアリールアミン化合物が得られる。(エステル化反
応)
【0067】
【化23】
【0068】次いで一般式[XII]で表わされるアリー
ルアミン化合物を用いて、前述したヒドラゾン化反応す
ることにより、一般式[I]で表わされるアリールアミ
ンヒドラゾン化合物が得られる。
【0069】
【化24】
【0070】これらの反応において、場合によっては、
各工程終了後、あるいは、全工程終了後、再結晶精製、
昇華精製、カラム精製等の公知な精製手段により、高純
度体を得ることも可能である。本発明の電子写真用感光
体は、上記一般式[I]で表わされるアリールアミンヒ
ドラゾン系化合物を1種または2種以上含有する感光層
を有する。
【0071】これらの感光層中には、一般式[I]で表
わされるアリールアミンヒドラゾン系化合物と共に、有
機光導電体としてすぐれた性能を有する公知の他のアリ
ールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン系化
合物等を混合してもよい。本発明においては上記一般式
[I]で表わされるアリールアミンヒドラゾン系化合物
を電荷発生層と電荷輸送層の二層からなる感光層の電荷
輸送層中に用いる場合に、特に感度が高く残留電位が小
さく、かつ、繰返し使用した場合に、表面電位の変動や
感度の低下、残留電位の蓄積等が少なく耐久性にすぐれ
た感光体を得ることができる。
【0072】塗布液調製用の溶剤としてはテトラヒドロ
フラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホ
ルムアミド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、
ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;酢酸
エチル、蟻酸メチル、メチルセロソルブアセテート等の
エステル類;ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化
炭化水素などのアリールアミンヒドラゾン系化合物を溶
解させる溶剤が挙げられる。勿論これらの中からバイン
ダーを溶解するものを選択する必要がある。また、バイ
ンダーとしては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ブタジエ
ン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニル
アセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリス
ルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セ
ルロースエステル、セルロースエーテル、フェノキシ樹
脂、けい素樹脂、エポキシ樹脂等スチレン系化合物と相
溶性のある各種ポリマーが挙げられる。バインダーの使
用量は通常アリールアミンヒドラゾン系化合物に対し、
0.5〜30重量倍、好ましくは0.7〜10重量倍の
範囲である。また、アリールアミンヒドラゾン系化合物
と電荷移動錯体を形成する電子吸引性化合物としては、
例えばクロラニル、2,3−ジクロロ−1,4−ナフト
キノン、1−ニトロアントラキノン、1−クロロ−5−
ニトロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、フ
ェナントレンキノン等のキノン類;4−ニトロベンズア
ルデヒド等のアルデヒド類;9−ベンゾイルアントラセ
ン、インダンジオン、3,5−ジニトロベンゾフェノ
ン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,
5,7−テトラニトロフルオレノン、3,3′,5,
5′−テトラニトロベンゾフェノン等のケトン類;無水
フタル酸、4−クロロナフタル酸無水物等の酸無水物;
テトラシアノエチレン、テレフタラルマロノニトリル、
9−アントリルメチリデンマロノニトリル、4−ニトロ
ベンザルマロノニトリル、4−(p−ニトロベンゾイル
オキシ)ベンザルマロノニトリル等のシアノ化合物;3
−ベンザルフタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベ
ンザル)フタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベン
ザル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等のフ
タリド類等の電子吸引性化合物が挙げられる。
【0073】更に、本発明の電子写真用感光体の感光層
は成膜性、可撓性、機械的強度を向上させるために周知
の可塑剤を含有していてもよい。そのために上記塗布液
中に添加する可塑剤としては、フタル酸エステル、りん
酸エステル、エポキシ化合物、塩素化パラフィン、塩素
化脂肪酸エステル、メチルナフタレンなどの芳香族化合
物などが挙げられる。アリールアミンヒドラゾン系化合
物を電荷輸送層中の電荷輸送媒体として用いる場合の塗
布液は、前記組成のものでもよいが、光導電性粒子、染
色色素、電子吸引性化合物等は除くか、少量の添加でよ
い。この場合の電荷発生層としては上記光導電性粒子と
必要に応じバインダーポリマーや有機光導電性物質、染
料色素、電子吸引性化合物等の溶媒に溶解乃至分散させ
て得られる塗布液を塗布乾燥した薄層、あるいは前記光
導電性粒子を蒸着等の手段により成膜とした層が挙げら
れる。
【0074】
【実施例】次に、本発明を実施例、製造例により更に具
体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、
以下の製造例、実施例に限定されるものではない。な
お、実施例、製造例中「部」とあるのは「重量部」を示
す。 (製造例1)(p−ヒドロキシ)ジフェニルアミン
【0075】
【化25】
【0076】5.2gをN,N−ジメチルホルムアミド
20mlに溶解させ、その後、オキシ塩化リン5.5m
lを加え、その後65℃で5時間反応させた。放冷後、
反応液を氷水100mlに排出し、水酸化ナトリウムに
より加水分解し、更に、常法により、抽出、濃縮、精製
処理を行なうことにより、下記構造式で表わされるホル
ミル化合物5.4gを得た。
【0077】
【化26】
【0078】得られたホルミル化合物2.0gとベンジ
ルブロマイド1.2gおよびテトラ−n−ブチルアンモ
ニウムブロマイド0.2gとベンジルブロマイド1.2
gをテトラヒドロフラン20mlに溶解し、水酸化カリ
ウム0.6gを加え、60℃で2時間反応させた。放冷
後、反応液を氷水100ml中に排出し、常法により抽
出、濃縮、精製を行ない、下記構造式で表わされるアリ
ールアミン化合物2.5gを得た。
【0079】
【化27】
【0080】次いで、得られたアリールアミン化合物
2.5gと1,1−ジフェニルヒドラジン1.8gを酢
酸触媒下、テトラヒドロフラン40mlとメタノール3
0mlの混合溶液中、60℃で5時間反応させた。放冷
後、反応液を氷水200ml中に排出し、常法により抽
出、濃縮、精製を行なうことにより、黄色結晶(m.
p.154〜155℃)3.1gを得た。
【0081】この化合物は下記元素分析値および赤外吸
収スペクトル図(図1)により前記例示化合物No.1
の構造式で表わされるアリールアミンヒドラゾン系化合
物であることが判明した。
【0082】
【表1】 (元素分析値) C38313 Oとして (表1) C% H% N% 計算値 83.64 5.73 7.70 実測値 83.48 5.70 7.70 (質量分析測定結果) C38313 Oとして Mw=545 M+ =545 (製造例2)図2に示すX線回折スペクトルを有するβ
型オキシチタニウムフタロシアニン2.0gをガラスビ
ーズ15mlと共にペイントシェーカーで50時間振と
うさせた後メタノールでフタロシアニン結晶を洗い出
し、濾過、乾燥した。このものは図3に示すごとくX線
回折スペクトルにおいてほとんどピークを示さない無定
型である。
【0083】該無定型フタロシアニンを水45mlに懸
濁後、o−ジクロルベンゼン3mlを加え60℃で1時
間撹拌した後冷却し、メタノール400mlを加え1時
間撹拌し、濾過、乾燥した。得られたオキシチタニウム
フタロシアニン(収量1.8g)は、図4に示す通り、
X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.
2°)が27.3°に明瞭なピーク(S値0.02、他
のピークのS値に対する比率0.15以下)を示すもの
で原料β型(図2)とは明らかに異なるものであった。
【0084】(実施例1)製造例2に記載の方法により
得られた化合物(X線回折スペクトルにおいて、ブラッ
グ角(2θ±0.2°)が9.5°、9.7°、24.
2°及び27.3°に回折ピークがあり、中でも27.
3°のピークが一番強い…図4))1.0部をジメトキ
シエタン14部に加え4−メトキシ−4−メチルペンタ
ノン−2(三菱化学(株)社製)14部を加え希釈し、
さらに、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)社
製、商品名デンカブチラール#6000−C)0.5部
と、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド(株)社製、
商品名UCAR(商標登録)PKHH)0.5部をジメ
トキシエタン6部、4−メトキシ−4−メチルペンタノ
ン−26部の混合溶媒に溶解した液と混合し、分散液を
得た。この分散液を75μmの膜厚のポリエステルフィ
ルムに蒸着されたアルミ蒸着層の上に乾燥後の重量が
0.48g/m2 になるようにワイヤーバーで塗布した
後、乾燥して電荷発生層を形成させた。
【0085】ついで、この上に製造例1で製造したアリ
ールアミンヒドラゾン系化合物70部と下記に示すポリ
カーボネート樹脂100部をテトラヒドリフラン585
部とジオキサン315部の混合溶媒に溶解した塗布液を
塗布、乾燥し、膜厚17μmの電荷輸送層を形成させ
た。このようにして得た2層からなる感光層を有する電
子写真感光体によって感度すなわち半減露光量を測定し
たところ、0.12μJ/cm2 であった。
【0086】
【化28】
【0087】半減露光量はまず、感光体を暗所で50μ
Aのコロナ電流により負帯電させ、次いで20ルックス
の白色光を干渉フィルターに通して得られた780nm
の光(露光エネルギー10μW/cm2 )で露光し、表
面電位が−450Vから−225Vまで減衰するのに要
する露光量を測定することにより求めた。さらに露光時
間を9.9秒とした時の表面電位を残留電位として測定
したところ、−5Vであった。この操作を2000回繰
り返したが、残留電位の上昇はみられなかった。
【0088】(比較例1)実施例1中に用いた製造例2
の化合物の替わりに図2に示されるオキシチタニウムフ
タロシアニンを用いた以外は実施例1に準じた方法で感
光体を作成し実施例1と同様の半減露光量を測定したと
ころ0.38μJ/cm2 であった。
【0089】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は電荷発生層と
輸送層との適合性が極めてよいため、感度が非常に高
く、かつ、かぶりの原因となる残留電位が小さく、特に
光疲労が少ないために繰り返し使用による残留電位の蓄
積や表面電位及び感度変動が小さく耐久性に優れるとい
う特徴を有する。そして、何にも増して電荷発生材料と
して選択したチタニウムオキシフタロシアニンが効を奏
し、650nm〜850nmまでの露光波長に対して極
めて高い分光感度を示す。この材料の出現により、レー
ザープリンター用感光体用用途に適した、高速で高精細
/高画質な画像品位を有する印画物を提供しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は製造例1で得られたアリールアミンヒド
ラゾン系化合物の赤外吸収スペクトルチャート図であ
る。
【図2】図2は製造例2において、原料として用いたβ
型チタニウムオキシフタロシアニンの粉末X線スペクト
ルチャート図である。
【図3】図3は製造例2において、機械的摩砕を加えた
直後の不定形チタニウムオキシフタロシアニンの粉末X
線スペクトルチャート図である。
【図4】図4は製造例2において、有機溶剤処理して得
られたブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に主た
る回折ピークを有するチタニウムオキシフタロシアニン
系化合物の粉末X線回折スペクトルチャート図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に、少なくとも、下記一
    般式[1]で表わされるアリールアミンヒドラゾン系化
    合物、及びCuKα線によるX線回折スペクトルにおて
    いブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に主たる回
    折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを含
    有する感光層を有することを特徴とする電子写真感光
    体。 【化1】 (式中、Aは一般式[II]又は[III]で表わされる基
    を表わし; 【化2】X−Ar [II] 【化3】 Qは下記一般式[IV]で示される基を表わし; 【化4】 Xは置換基を有していてもよいアルキレン基を表わし;
    Arは置換基を有してもよいアリール基または置換基を
    有してもよい複素環基を表わし;B、D、Eは、それぞ
    れ、置換基を1以上有してもよいベンゼン環を表わし、
    これらは互いに同一でも異なっていてもよく;R1 は水
    素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有
    してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素
    環基を表わし;R2 は置換基を有してもよいアルキル
    基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有して
    もよい複素環基または置換基を有してもよいアラルキル
    基を表わし;R3 又はR4 は、それぞれ、置換基を有し
    てもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、
    置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよ
    いアラルキル基もしくはアリル基を表わし、またR3
    4 とは直接、もしくは結合基を介して連結していても
    よい。)
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