JP2002117756A - 隔壁転写用元型の作製方法及び隔壁形成方法 - Google Patents

隔壁転写用元型の作製方法及び隔壁形成方法

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JP2002117756A
JP2002117756A JP2000306543A JP2000306543A JP2002117756A JP 2002117756 A JP2002117756 A JP 2002117756A JP 2000306543 A JP2000306543 A JP 2000306543A JP 2000306543 A JP2000306543 A JP 2000306543A JP 2002117756 A JP2002117756 A JP 2002117756A
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Akira Tokai
章 渡海
Osamu Toyoda
治 豊田
Keiichi Betsui
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 感光性材料を用いて、その感光性材料にフォ
トマスクを介して斜め方向から露光光を照射することに
より、側壁に適切なテーパの付いた隔壁パターンを有す
る隔壁転写用元型を安定した高い精度で形成する。 【解決手段】 基板上に感光性材料層を形成し、その感
光性材料層にフォトマスクを介して斜め方向から露光光
を照射した後、現像することにより、基板上に適切なテ
ーパの付いた側壁を有する隔壁パターンを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、隔壁転写用元型の
作製方法及び隔壁形成方法に関し、さらに詳しくは、例
えばプラズマディスプレイパネル(PDP)のような表
示パネルの隔壁を形成する際に用いる隔壁転写用元型の
作製方法及び隔壁形成方法に関する。
【0002】近年、PDPのような表示パネル、なかで
も面放電型のPDPでは、作製プロセスが確立され、大
画面型のPDPが製品化されるに至っている。しかし、
作製プロセスは確立されたものの、PDPの発光効率は
低く、高効率化が要求されている。このような状況下
で、高性能化のために、インタレースでハイビジョンの
映像ソースが表示可能なALiS(Alternate Lighting
of Surfaces)構造のPDPなども開発されたが、この
PDPでは、維持放電を起こす表示電極間のギャップが
一定であるため、駆動マージンの向上が必要となってい
る。
【0003】
【従来の技術】PDPにおいては、現在、AC型の3電
極面放電構造を有するパネルが主流となっている。この
パネルでは、一方の基板(通常は背面側の基板)に、複
数のアドレス(信号)電極が隔壁(リブ)を介して縦方
向に平行に配置され、他方の基板(通常は前面側の基
板)に、一定の放電ギャップを有する面放電用の一対の
表示電極が横方向に平行に配置されている。
【0004】このような帯状の隔壁と直線状の表示電極
から構成される面放電構造のPDPでは、42インチワ
イドVGAで画素サイズが約1mmである。したがっ
て、そのままの構造でHDTVクラスの解像度にした場
合、画素サイズが500μmとなり、製造が難しくな
る。そこで、42インチインタレースでHDTVを実現
できるALiS構造のPDPが開発された。
【0005】このALiS構造のPDPは、表示電極間
隔が一定(ほぼ等間隔)で、すべての表示電極間が放電
ギャップとして用いられる。この場合、列方向(縦方
向)の結合を抑制するものは、空間的な障壁と電位の障
壁の2つであるが、空間的な障壁は、すべての電極間が
放電ギャップとして用いられるため、十分な駆動マージ
ンが得られていない。そのため、隔壁を格子状にして上
下方向の放電空間の結合を物理的に抑制する手法が考え
られている。
【0006】このような電極構造が開発される一方、隔
壁の形成方法も各種の方法が開発されており、代表的な
形成方法としては、量産に用いられるサンドブラスト法
の他に、感光性隔壁材料を用いる方法や転写法などが知
られている。
【0007】サンドブラスト法は、隔壁材料の乾燥膜に
対して、マスクパターンを介して研磨材を吹き付け、不
要部分を物理的に切削していく方法であり、この方法で
は、膜の強度や研磨材の粒径、形状、吹き付け時間など
によって隔壁形状を変化させることができる。
【0008】感光性隔壁材料を用いる方法は、ネガ型
(光硬化型)の感光性隔壁材料膜に対し、マスクパター
ンを介して感光波長(通常は紫外線)を含む光を照射
し、現像により不要部分を除去する方法であり、この方
法では、感光性材料の感度によって隔壁形状を変化させ
ることができる。
【0009】転写法は、通常、隔壁と同一の形状を有す
る元型を作製し、その元型から隔壁の母型となる凹版を
シリコーンゴム等で転像し、この凹版に隔壁材料を埋め
込んでガラス基板に転写し、隔壁を形成する方法であ
り、この方法では、元型の形状に依存して隔壁形状を変
化させることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したA
C型の3電極面放電構造のPDPや、ALiS構造のP
DPでは、最小発光単位であるセル(放電空間)は、左
右方向が隔壁で区画され、この区画内に蛍光体層が形成
されている。したがって、蛍光体層の光が隔壁で反射さ
れるため、隔壁の形状、特に隔壁の側壁(側面)のテー
パ角によって発光効率が変化する。すなわち、隔壁のテ
ーパ角によっては、発光を効率良く表示面側へ取り出す
ことができず、セル内で反射を繰り返して、裏面などへ
漏れる光が存在する。また、隔壁を格子状にした場合、
横方向の隔壁のテーパ角が適正でないと、横方向の隔壁
による遮光の効果で上下方向からの視野角に依存したフ
リッカが発生することがある。また、転写法で隔壁を形
成する場合には、離型のため、隔壁に適正なテーパを設
けておく必要がある。
【0011】このように、AC型の3電極面放電構造の
PDPやALiS構造のPDPでは、隔壁の形状、特に
テーパ角が発光効率に大きな影響を与える。また、転写
法で隔壁を形成する場合には、隔壁のテーパ角が離型に
大きな影響を与える。
【0012】しかしながら、上述した隔壁の形成方法の
内、サンドブラスト法では、膜の強度や研磨材の形状、
粒径、吹き付け時間などで、隔壁のテーパ角を微妙に調
整することは難しい。
【0013】また、感光性隔壁材料を用いた方法も、一
回露光の場合には、光強度の減衰により逆テーパ形状
(隔壁の頂部よりも裾部のほうが細い形状)の隔壁がで
きる。これについては、複数回露光や、感光性隔壁材料
の露光感度の調整などにより、一定の断面形状は形成で
きるものの、様々なテーパ角を有する隔壁の形成は難し
い。特に、感光性隔壁材料中に特定波長の光を遮光する
フィラーなどが含まれていると、感光剤の感度がそのフ
ィラーの影響を受けるため、テーパ角の制御が難しい。
【0014】また、転写による方法も、ストレート構造
の隔壁に限れば、形成が可能であるが、格子状の隔壁の
作製には、多くの課題がある。特に転写法では、元型の
作製方法として機械的切削により金型を形成する方法が
あるが、この方法では、隔壁と同形状の元型作製の際に
は、形状がストレートなどの構造に限定され、ハニカム
や格子といった構造の元型は、形成が難しい。
【0015】このように、従来の隔壁形成方法では、テ
ーパ角を微妙に調整した隔壁の形成は難しく、特に格子
状の隔壁の形成は困難であった。このため、効率良く光
を表示面に取り出し、輝度差によるフリッカを軽減でき
る形状の隔壁を有するPDPを製造することは困難であ
った。
【0016】本発明は、このような事情を考慮してなさ
れたもので、感光性材料を用いて、その感光性材料にフ
ォトマスクを介して斜め方向から露光光を照射すること
により、安定した高い精度で、側壁に適切なテーパの付
いた隔壁パターンを有する隔壁転写用元型を作製する
か、又はPDP用の基板上に直接、側壁に適切なテーパ
の付いた隔壁を形成し、それにより効率良く発光を表示
面側へ取り出すとともに、フリッカを軽減したPDPを
製造することが可能な隔壁転写用元型の作製方法及び隔
壁形成方法を提供するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上に感光
性材料層を形成し、その感光性材料層にフォトマスクを
介して斜め方向から露光光を照射した後、現像すること
により、基板上に側壁がテーパの付いている隔壁パター
ンを形成する工程を含んでなる隔壁転写用元型の作製方
法である。
【0018】本発明によれば、感光性材料層にフォトマ
スクを介して斜め方向から露光光を照射して、基板上に
側壁がテーパの付いている隔壁パターンを形成するの
で、隔壁パターンのテーパ角を任意に調整した、転写の
際の離型が良好な隔壁転写用元型を容易に作製すること
ができる。また、格子状の隔壁パターンを有する隔壁転
写用元型も容易に作製することができる。
【0019】したがって、この隔壁転写用元型を用いて
作製した転写用凹版を用いることで、転写による隔壁形
成における転写、離型工程を安定的に行うことができ、
歩留まりが向上する。
【0020】さらに、この隔壁転写用元型を用いて作製
したPDPであれば、隔壁の側面にテーパがあるので、
効率良く発光を表示面側に取り出すことができる。ま
た、同様の効果から、格子状隔壁の横方向の隔壁による
遮光から生じるフリッカを抑制することができる。
【発明の実施の形態】本発明において、基板は、ガラ
ス、石英、セラミックス、樹脂等の基板や、これらの基
板上に、電極、絶縁膜、誘電体層、保護膜等の所望の構
成物を形成した基板が含まれる。
【0021】感光性材料層は、液状のレジストを所望の
厚さに塗布して乾燥させることにより形成することがで
きる。また、一定の厚さのシート状の感光性樹脂材料を
ラミネート装置で複数枚ラミネートして、所望の厚さに
形成してもよい。レジストとしては、公知のフォトリソ
グラフィーの手法で使用されるフォトレジストを適用す
ることができる。シート状の感光性樹脂材料としては、
アクリル系樹脂、光重合性アクリル系モノマー、添加剤
等からなるドライフィルムレジストを使用することがで
きる。このようなドライフィルムレジストとしては、日
本合成化学工業株式会社製のALPHO NIT600
シリーズのドライフィルムレジストなどが挙げられる。
隔壁パターンの高さを一定にするためにはドライフィル
ムレジストを用いることが望ましく、厚さが均一なドラ
イフィルムレジスト用いることで、高さ方向の精度の高
い元型を容易に作製することができる。
【0022】フォトマスクを介した斜め方向からの露光
光の照射は、一般的なフォトリソグラフィーで使用する
公知の平行光が照射される露光装置を利用することがで
きる。この平行光露光装置では、光源として超高圧水銀
ランプなどを用い、この光源からの光を放物ミラーまた
はフレネルレンズなどを利用して平行光にして露光を行
う。
【0023】斜め方向からの露光光の照射は、露光装置
のステージ上に基板を傾けて保持し、露光を行えばよ
い。この斜め方向からの露光については、基板を傾けて
保持するのではなく、光源を傾ける、あるいはレンズ、
鏡等の光屈折手段を用いて斜め露光を行ってもよい。
【0024】斜め方向からの露光によるメリットは、正
面からの露光に比べて露光に必要な均一な照射エリアが
小さくてすむため、露光装置のランプ周辺部(放物ミラ
ーなど)の大型化を避けることができる等が挙げられ
る。
【0025】この場合、露光の方式は、基板の全体を同
時に露光する一括露光方式、または基板の分割された複
数の小さな領域を小領域ごとに露光する分割露光方式の
いずれかを採用する。露光装置のランプ周辺部と基板を
相対的に移動させる後者の方式では、ランプ周辺部を小
型化できるメリットがある。
【0026】本方法においては、斜め方向からの露光光
の照射の際、隔壁パターンの断面形状が順テーパを有す
る山型となるように、隔壁パターンの一方の側壁に沿っ
た方向と他方の側壁に沿った方向から2度行うことが望
ましい。
【0027】また、基板上に形成される隔壁パターン
が、平面視格子状の隔壁パターンである場合には、斜め
方向からの露光光の照射は、格子状隔壁パターンの縦方
向パターンの一方の側壁に沿った方向と他方の側壁に沿
った方向と、格子状隔壁パターンの横方向パターンの一
方の側壁に沿った方向と他方の側壁に沿った方向とから
4度行うことが望ましい。
【0028】この場合、斜め方向からの露光光の照射が
4度行われるに際しては、完成された隔壁転写用元型を
用いて隔壁転写用凹版を作製し、その転写用凹版で隔壁
材料を基板に転写後、離型する際に、離型方向に沿った
方向の隔壁のテーパよりも離型方向に交差する方向の隔
壁のテーパのほうが緩やかになるように、縦方向パター
ンと横方向パターンとで角度を変えて、露光光の照射を
行うようにすることが望ましい。
【0029】斜め方向からの露光光の照射の後は、隔壁
パターンの長手方向端部がゆるやかな傾斜を持つよう
に、隔壁パターンの長手方向端部に相当する部分に斜め
方向から露光光をさらに照射してもよい。
【0030】上述の方法によって隔壁転写用元型を作製
した後は、この隔壁転写用元型を用いて転写用凹版を作
製し、この転写用凹版で、電極及び誘電体層を形成した
PDP用のガラス基板に隔壁材料を転写することにより
隔壁を形成する。
【0031】具体的には、転写用凹版は、シリコーンゴ
ム等で隔壁転写用元型を転像することにより作製するこ
とができる。例えば、隔壁転写用元型をインジェクショ
ン装置内に配置し、シリコーンゴムの液状又はペースト
状の主剤と硬化剤を混ぜ合わせた後、インジェクション
装置内に圧入し、その後、放置又は、加熱することによ
り作製することができる。
【0032】転写用凹版による隔壁材料の転写は、転写
用凹版の凹部にペースト状の隔壁材料を埋め込み、埋め
込んだ隔壁材料をPDP用のガラス基板に圧着すること
により行うことができる。その後、乾燥、焼成等の公知
の処理を施し、PDP用のガラス基板に隔壁を形成す
る。
【0033】本発明は、また、基板上に感光性の隔壁材
料層を形成し、その隔壁材料層にフォトマスクを介して
斜め方向から露光光を照射した後、現像することによ
り、基板上に側壁がテーパの付いている隔壁を形成する
工程を含んでなる隔壁形成方法である。
【0034】本隔壁形成方法においては、隔壁転写用元
型の作製の際に用いる基板の代わりに、ガラス基板に電
極及び誘電体層を形成したPDP用のガラス基板を用
い、感光性材料層の代わりに、例えば、低融点ガラスフ
リット、バインダ、溶剤等からなるガラスペーストのよ
うな感光性隔壁材料を用い、これをPDP用のガラス基
板上に塗布して乾燥させて感光性隔壁材料層とすれば、
隔壁転写用元型の作製方法と同様の方法で、PDP用の
ガラス基板に直接隔壁パターンを形成することができ
る。隔壁パターンの形成後は、公知の方法で乾燥して焼
成することにより隔壁を形成すればよい。
【0035】以下、本発明の実施の形態を実施例に基づ
き図面を参照して説明する。なお、これによって本発明
が限定されるものではない。
【0036】まず、本発明の隔壁転写用元型の作製方法
及び隔壁形成方法が適用されるPDPの構成について説
明する。本発明の方法は、隔壁を有するPDPであれば
どのような構造のPDPにも適用可能であるが、AC型
3電極面放電形式の、特にALiS構造のPDPに好適
に用いられるので、以下では本発明をこのPDPの隔壁
の形成に適用した例で説明する。
【0037】図1はAC型3電極面放電形式のALiS
構造のPDPを部分的に示す斜視図である。この図に示
すように、PDP10は、前面側の基板11を含む前面
側のパネルアセンブリと、背面側の基板21を含む背面
側のパネルアセンブリから構成されている。前面側の基
板11と背面側の基板21はガラスで形成される。
【0038】前面側の基板11の内側面に形成された表
示電極X,Yは、公知の材料と公知の方法を用いて形成
される。例えばITO、SnO2 などの透明電極12
と、電極の抵抗を下げるための、例えばAg、Au、A
l、Cu、Cr及びそれらの積層体(例えばCr/Cu
/Crの積層構造)等からなる金属製のバス電極13か
ら構成される。表示電極X,Yは、Ag、Auについて
は印刷法を用い、その他については蒸着法、スパッタ法
等の成膜法とエッチング法を組み合わせることにより、
所望の本数、厚さ、幅及び間隔で形成することができ
る。表示電極X,Yのいずれか一方がスキャン電極とし
て用いられる。
【0039】誘電体層17は、PDPに通常使用されて
いる材料で形成される。具体的には、例えば低融点ガラ
スフリット、バインダ、溶剤等からなるガラスペースト
を基板上にスクリーン印刷法などで塗布し、焼成するこ
とにより形成することができる。
【0040】誘電体層17の上には、通常、表示の際の
放電により生じるイオンの衝突による損傷から誘電体層
17を保護するための保護膜18が設けられる。この保
護膜18は、公知の材料、例えば、MgO、CaO、S
rO、BaO等からなる。
【0041】背面側の基板21の内側面に形成されたア
ドレス電極Aは、公知の材料と公知の方法を用いて形成
される。例えばAg、Au、Al、Cu、Cr及びそれ
らの積層体(例えばCr/Cu/Crの積層構造)等か
ら構成される。アドレス電極Aも、表示電極X,Yと同
様に、Ag、Auについては印刷法を用い、その他につ
いては蒸着法、スパッタ法等の成膜法とエッチング法を
組み合わせることにより、所望の本数、厚さ、幅及び間
隔で形成することができる。誘電体層24は、誘電体層
17と同じ材料、同じ方法を用いて形成することができ
る。
【0042】隔壁29は、後述する本発明の隔壁転写用
元型を用いた転写法で形成するか、又は本発明の隔壁形
成方法を用いて形成する。
【0043】蛍光体層28R,28G,28Bは、公知
の材料と公知の方法を用いて形成される。例えば、蛍光
体粉末とバインダとを含む蛍光体ペーストを隔壁29間
の溝内にスクリーン印刷、又はディスペンサーを用いた
方法などで塗布し、これを各色毎に繰り返した後、乾燥
させ、焼成することにより形成することができる。ま
た、この蛍光体層28R,28G,28Bは、蛍光体粉
末とバインダとを含むシート状の感光性蛍光体層材料
(いわゆるグリーンシート)を使用し、フォトリソ法で
形成することもできる。この場合、所望の色のシートを
基板上の表示領域全面に貼り付けて、露光、現像を行
い、これを各色毎に繰り返すことで、対応する隔壁間に
各色の蛍光体層を形成することができる。
【0044】PDP10は、上記した前面側のパネルア
センブリと背面側のパネルアセンブリとを、表示電極
X,Yとアドレス電極Aとが直交するように対向配置
し、周囲を封止し、隔壁29で囲まれた放電空間30に
ネオン、キセノンなどの放電ガスを充填することにより
作製される。このPDP10では、表示電極X−Y間と
表示電極Y−X間の全ての電極間とアドレス電極Aとの
交差部の放電空間が表示の最小単位である1つのセル領
域(単位発光領域)となる。なお、この構成は一例であ
り、本発明はこれに限定されることなく、隔壁を有する
PDPであればどのような構造のPDPにも適用するこ
とができる。
【0045】次に、上記PDP10の隔壁29の形成方
法について説明する。以下の実施例においては、まず、
隔壁転写用元型を作製し、次に、この元型を用いてシリ
コーンゴムなどで転写用凹版(ネガ凹版)を作製し、そ
の転写用凹版でPDPの基板上に隔壁材料を転写成型す
る。または、この転写用凹版をプレス版として使用し、
隔壁材料をプレスして隔壁を形成する。
【0046】実施例1 図2(a)〜図2(d)は本発明の隔壁転写用元型の作
製方法の実施例1を示す説明図である。本発明の隔壁転
写用元型の作製方法においては、まず、ガラス、石英、
セラミックス、樹脂等の基板31上に、感光性材料層3
2として、アクリル系樹脂、光重合性アクリル系モノマ
ー、添加剤等からなるドライフィルムレジストをラミネ
ート装置で貼り付け、所望の隔壁高さに応じた厚み(約
100〜300μm)まで積層する(図2(a)参
照)。
【0047】次に、感光性材料層32上に、隔壁パター
ン以外の部分の光を遮蔽するフォトマスク33を当接さ
せて配置する。そして、露光を行う。この露光には、平
行光が照射される露光装置を用い、このステージ上に基
板31を傾けて保持し、露光を行う。すなわち、基板3
1に対して斜めの方向から第1回目の露光光H1を照射
する、いわゆる斜め露光を行う(図2(b)参照)。
【0048】次に、基板31の傾きを逆にし、再度、斜
め露光を行う。すなわち、基板31に垂直な方向に対
し、前回の露光方向の反対側から第2回目の露光光H2
を照射する(図2(c)参照)。
【0049】上記の平行光露光装置では、光源として超
高圧水銀ランプを用い、この光源からの光を放物ミラー
またはフレネルレンズなどを利用して平行光にして露光
を行う。
【0050】斜め方向からの露光については、基板31
を傾けて保持するのではなく、光源を傾ける、あるいは
レンズ、鏡等の光屈折手段を用いて斜め露光を行っても
よい。この斜め露光のメリットとしては、正面からの露
光に比べて露光に必要な均一な照射エリアが小さくてす
むため、露光装置のランプ周辺部(放物ミラーなど)の
大型化を避けることができる等が挙げられる。
【0051】露光の方式は、一括露光方式、分割露光方
式のいずれを用いてもよいが、分割露光方式で露光した
場合には、露光装置のランプ周辺部と基板を相対的に移
動させるので、ランプ周辺部を小型化できる。
【0052】次に、炭酸ナトリウム水溶液で感光性材料
層32のシャワー現像を行うことにより、隔壁パターン
35を形成する(図2(d)参照)。フォトマスク3
3、及び露光光H1,H2を照射するための露光装置
は、通常のフォトリソグラフィーの手法で用いるものを
適用することができる。現像についても、通常のフォト
リソグラフィーの手法で用いるものを適用することがで
きる。
【0053】本例では、感光性材料層32は、日本合成
化学工業株式会社製のALPHONIT600シリーズ
のドライフィルムレジストを用い、これの膜厚50μm
のものを4層積層することにより、200μmの厚みで
形成した。また、露光時のチルト角度を約25〜45度
として露光した結果、元型の側壁角度で約15〜25度
の形状が得られた。
【0054】現像後、乾燥させ、転写用凹版を形成する
際の圧力や温度による変形や反応性を抑えるために、露
光光をさらに全体に照射して感光性樹脂材料の重合を進
め、転写用凹版形成時の温度環境下まで昇温しながらさ
らに乾燥させ、隔壁転写用元型を完成する。
【0055】このようにして、感光性樹脂材料を用い、
斜め方向からの露光を2回行うことにより、断面が順テ
ーパの隔壁パターンを有する隔壁転写用元型を作製する
ことができる。
【0056】図3(a)〜図3(d)は隔壁転写用元型
を用いた転写用凹版の作製方法及び転写による隔壁形成
方法を示す説明図である。隔壁転写用元型を作製した後
は、シリコーンゴムで隔壁パターン35を転像すること
により転写用凹版38を作製する(図3(a)参照)。
具体的には、隔壁転写用元型をインジェクション装置内
に配置し、シリコーンゴムの液状又はペースト状の主剤
と硬化剤を混ぜ合わせた後、インジェクション装置内に
圧入し、その後、放置又は、加熱して転写用凹版38を
作製する。
【0057】そして、転写用凹版38の凹部にペースト
状の隔壁材料39を埋め込み(図3(b)参照)、埋め
込んだ隔壁材料39を、電極のみ、もしくは電極と誘電
体層を形成したPDP用の背面側のガラス基板21に圧
着し(図3(c)参照)、転写用凹版38を離型するこ
とにより隔壁材料39の転写を行う(図3(d)参
照)。その後、乾燥、焼成等の公知の処理を施し、PD
P用の背面側のガラス基板21に隔壁を形成する。
【0058】図4(a)〜図4(c)は斜め露光を行わ
ない場合の比較例を示す説明図である。この図に示すよ
うに、基板31上に、感光性材料層32を形成し(図4
(a)参照)、フォトマスク33を介して、基板31に
対して垂直な方向から露光光Hを照射し(図4(b)参
照)、現像した場合には(図4(c)参照)、形成され
る隔壁パターンは、露光光の減衰のため、頂部よりも裾
部のほうが細く形成される。
【0059】実施例2 図5〜図8は本発明の隔壁転写用元型の作製方法の実施
例2を示す説明図である。これらの図において、図6
(a)、図7(a)及び図8(a)は図5のA−A′断
面を示し、図6(b)、図7(b)及び図8(b)は図
5のB−B′断面を示す。
【0060】本例においては、図5に示すような平面視
格子状の隔壁パターンを有する隔壁転写用元型を作製す
る。基板31、感光性材料層32、及びフォトリソグラ
フィーの手法は実施例1と同じものを用いる。
【0061】まず、基板1上に感光性材料層32を形成
する(図6(a)及び図6(b)参照)。次に、感光性
材料層32上に、隔壁パターン以外の部分の光を遮蔽す
るフォトマスク33を配置し、基板31に対して垂直な
方向から露光光Hを照射する(図7(a)及び図7
(b)参照)。次に、現像を行うことにより、隔壁パタ
ーン35を形成する(図8(a)及び図8(b)参
照)。
【0062】実施例3 図9〜図12は本発明の隔壁転写用元型の作製方法の実
施例3を示す説明図である。これらの図において、図9
(a)、図10(a)、図11(a)及び図12(a)
は図5のA−A′断面を示し、図9(b)、図10
(b)、図11(b)及び図12(b)は図5のB−
B′断面を示す。
【0063】本例においては、図5に示すような平面視
格子状で、かつ断面が順テーパ形状の隔壁パターンを有
する隔壁転写用元型を作製する。基板31、感光性材料
層32、及びフォトリソグラフィーの手法は実施例1と
同じものを用いる。まず、基板1上に感光性材料層32
を形成する(図9(a)及び図9(b)参照)。
【0064】次に、感光性材料層32上に、隔壁パター
ン以外の部分の光を遮蔽するフォトマスク33を当接さ
せて配置する。そして、図5のA−A′方向に対して斜
めの方向から第1回目の露光光H1を照射し、その後、
基板31の傾きを逆にし、反対の方向から第2回目の露
光光H2を照射する(図10(a)及び図10(b)参
照)。
【0065】次に、図5のB−B′方向に対して斜めの
方向から第3回目の露光光H3を照射し、その後、基板
31の傾きを逆にし、反対の方向から第4回目の露光光
H4を照射する(図11(a)及び図11(b)参
照)。次に、現像を行うことにより、隔壁パターン35
を形成する(図12(a)及び図12(b)参照)。
【0066】上記の斜め露光によって形成する隔壁パタ
ーンの側面(側壁)のテーパ角は、以下のような角度で
あることが望ましい。アドレス電極に平行な隔壁のテー
パ角の最大値は、放電空間の制限から求める。例えば、
42インチワイド型のPDPの隔壁転写用元型の場合で
あれば、図13に示すように、 隔壁ピッチP:360μm 隔壁トップ幅V:70μm 隔壁高さT:200μm アドレス電極幅W:80μm であるとすると、隔壁29とアドレス電極Aとの位置合
わせ余裕度D:5μm程度が必要であるため、隔壁の広
がり幅K:100μmとなり、これにより、隔壁テーパ
角の最大値はtan-1(K/T)=tan-1(100/
200)=26.6度となり、このことから、42イン
チワイド型のPDPの場合、隔壁のテーパ角θの範囲
は、 0度<θ<26.6度 となる。
【0067】平面視格子状の隔壁パターンで、かつ断面
が順テーパ形状を有する隔壁パターンの隔壁転写用元型
を作製する場合には、隔壁材料を転写して離型する際の
離型方向に交差する方向の隔壁パターンに、離型方向に
平行な隔壁パターンのテーパ角よりも大きなテーパ角を
設けておくことで離型が容易となる。
【0068】実施例4 図14〜図18は本発明の隔壁転写用元型の作製方法の
実施例4を示す説明図である。これらの図において、図
15〜図18は図14のC−C′断面を示している。本
例においては、隔壁パターンの長手方向端部により大き
な順テーパを形成した隔壁転写用元型を作製する。
【0069】実施例3の露光を行った後、図14に示す
ように、隔壁パターンの格子状の部分をマスクMで覆
い、縦方向の隔壁パターンの長手方向端部に斜め方向か
ら第5回目の露光光H5を照射し(図15参照)、次
に、基板31の傾きを逆にし、縦方向の隔壁パターンの
反対側の長手方向端部に斜め方向から第6回目の露光光
H6を照射する(図16参照)。この後、必要に応じ、
横方向の隔壁パターンの長手方向端部についても斜め露
光を行ってもよい。
【0070】次に、現像を行うことにより、長手方向端
部により大きな順テーパが形成された隔壁パターン35
を形成する(図17及び図18参照)。転写用凹版の離
型方向に平行な隔壁のテーパ角については、0〜26.
6度の範囲が望ましく、離型方向に垂直な隔壁のテーパ
角は、離型方向に平行な隔壁のテーパ角よりも大きい角
度であることが望ましいことは先述したが、隔壁材料を
転写する際の離型の容易性を考慮すると、隔壁パターン
の長手方向端部の順テーパの角度は、この離型方向に垂
直な隔壁のテーパ角よりもさらに大きい角度であること
が望ましい。
【0071】このようにして、隔壁パターンの長手方向
端部だけを露出した状態で露光時のチルト角をさらに大
きくして斜め露光することで、隔壁の長手方向端部によ
り大きな順テーパを有する平面視格子状の隔壁パターン
を形成する。隔壁の長手方向端部のテーパ角を大きくす
る方法としては、この方法に限定されず、例えば、隔壁
端部に照射される光だけをさらに屈折させるようなレン
ズなどを用いて、擬似的に照射角をつけることによって
も実現できる。
【0072】以上では、隔壁転写用元型の作製方法につ
いて説明したが、基板31の代わりに、ガラス基板に電
極及び誘電体層を形成したPDP用のガラス基板を用
い、感光性材料層32の代わりに、例えば、低融点ガラ
スフリット、バインダ、溶剤等からなるガラスペースト
のような感光性隔壁材料を用い、これをPDP用のガラ
ス基板上に塗布して乾燥させて感光性隔壁材料層とすれ
ば、上述した隔壁転写用元型の作製方法と同様の方法
で、PDP用のガラス基板に直接隔壁パターンを形成す
ることができる。隔壁パターンの形成後は、公知の方法
で乾燥して焼成することにより隔壁を形成すればよい。
【0073】上述のような側面が順テーパを有する隔
壁、特に格子状の隔壁は、従来の金型切削法では形成で
きないが、本発明のように、フォトリソグラフィーの技
術を用いて斜め露光を行えば作製が容易である。特に、
厚さが均一なシート状の感光性材料を用いれば、高さ方
向の精度の高い元型を容易に作製することができる。こ
のように、本発明では、直線状または格子状の隔壁の作
製に際し、テーパ角を微妙に調整した隔壁を形成するこ
とができる。
【0074】次に、上述の実施例で作製した隔壁転写用
元型を用いて転写用凹版を作製し、その転写用凹版でP
DPの基板上に隔壁材料を転写成型する際の離型につい
て説明する。
【0075】図19及び図20は順テーパを有する格子
状の隔壁を転写法で形成する場合の離型状態を示す説明
図である。図19は離型方向に平行な方向の隔壁の断面
を示し、図20は離型方向に垂直な方向の隔壁の断面を
示している。
【0076】図19に示すように、PDPの背面側のガ
ラス基板21に転写用凹版38を用いて隔壁材料39を
転写し、矢印Eで示すように、隔壁と平行な方向に離型
する際、側面が順テーパを有する隔壁であれば、転写用
凹版38と隔壁材料39との摩擦力Fが小さく、順テー
パのない隔壁に比較して、引き剥がしの関係が優位とな
り、ピールに要する力が小さくなるので、離型不良を抑
制することができる。
【0077】また、図20に示すように、PDPの背面
側のガラス基板21に転写用凹版38を用いて隔壁材料
39を転写し、矢印Eで示すように、隔壁と垂直な方向
に離型する際、側面に順テーパがない隔壁であれば、転
写用凹版38と隔壁材料39とが干渉し、隔壁の変形を
生じるが、隔壁の側面にテーパ角をつけることで、両者
の干渉を防ぐことができるため、隔壁の変形を抑制する
ことができる。
【0078】図21及び図22は図19及び図20の比
較例であり、側面に順テーパのない格子状の隔壁を転写
法で形成する場合の離型状態を示す説明図である。図2
1は離型方向に平行な方向の隔壁の断面を示し、図22
は離型方向に垂直な方向の隔壁の断面を示している。
【0079】図21に示すように、PDPの背面側のガ
ラス基板21に転写用凹版38を用いて隔壁材料39を
転写し、矢印Eで示すように、隔壁と平行な方向に離型
する際、側面に順テーパがない隔壁であれば、転写用凹
版38と隔壁材料39との摩擦力Fが大きく働き、順テ
ーパを有する隔壁よりもピールに要する力が大きくなる
ので、離型不良が発生しやすくなる。
【0080】また、図22に示すように、PDPの背面
側のガラス基板21に転写用凹版38を用いて隔壁材料
39を転写し、矢印Eで示すように、隔壁と垂直な方向
に離型する際、側面に順テーパがない隔壁であれば、転
写用凹版38と隔壁材料39とが干渉し、隔壁の変形が
生じやすくなる。
【0081】図23は転写用凹版に隔壁材料を充填する
際の隔壁の長手方向端部の状態を示す説明図である。図
24は図23の比較例であり、隔壁の長手方向端部にテ
ーパがない場合を示す説明図である。
【0082】これらの図に示すように、転写用凹版38
にペースト状の隔壁材料が、図中矢印iの方向から充填
されると、隔壁の長手方向端部にテーパがない場合に
は、図24に示すように、隔壁の長手方向端部Gのエア
ーが抜け難いため、泡かみが発生しやすい。一方、隔壁
の長手方向端部にテーパを有する場合には、図23に示
すように、矢印jで示す方向にエアーが抜けやすいた
め、泡かみの発生を防止することができる。
【0083】図25は隔壁材料を転写して離型する際の
隔壁の長手方向端部の状態を示す説明図である。図26
は図25の比較例であり、隔壁の長手方向端部にテーパ
がない場合を示す説明図である。
【0084】これらの図に示すように、転写用凹版38
によって隔壁材料39が転写された後、図中矢印mで示
す方向に転写用凹版38が離型(ピール)されるとする
と、隔壁の長手方向端部にテーパがない場合とある場合
では、摩擦力Fが異なり、テーパがない場合には離型不
良を生じやすい。
【0085】すなわち、隔壁の長手方向端部にテーパが
ない場合には、転写用凹版38と隔壁材料39の摩擦力
Fが大きく働き、離型不良を生じやすい。一方、隔壁の
長手方向端部にテーパがある場合には、引き剥がしの関
係が優位となるため、離型不良を低減できる。
【0086】図27及び図28はAC型3電極面放電形
式のALiS構造のPDPの縦断面を部分的に示す説明
図である。図27は横方向の隔壁の側面にテーパがある
PDPを示し、図28は比較例で、横方向の隔壁の側面
にテーパがないPDPを示している。
【0087】これらの図に示すように、横方向の隔壁の
側面にテーパがあるPDPの場合には、セル内の輝度差
を低減して、上下方向の視野角に依存したフリッカを防
止することができる。
【0088】すなわち、横方向の隔壁の側面にテーパが
ないPDPの場合には、図中、矢印Sの方向から画面を
見た場合、セルAとセルBに放電Uが発生したとする
と、隔壁29によるシャドウイングのため、見かけ上、
セルAの輝度がセルBの輝度に比べて低下する。
【0089】一方、横方向の隔壁の側面にテーパがある
PDPの場合には、図中、矢印Sの方向から画面を見た
場合、セルAとセルBに放電Uが発生しても、隔壁29
によるシャドウイングがないため、見かけ上、セルBに
比較したセルAの輝度低下が軽減され、これにより、上
下方向の視野角に依存したフリッカが抑制される。
【0090】図29及び図30はAC型3電極面放電形
式のALiS構造のPDPのセル構造を示す説明図であ
る。図29は横方向の隔壁の側面にテーパがあるPDP
を示し、図30は比較例で、横方向の隔壁の側面にテー
パがないPDPを示している。
【0091】これらの図に示すように、横方向の隔壁の
側面にテーパがある場合には、セル内の発光を効率的に
表示面側へ取り出すことができる。すなわち、隔壁の側
面にテーパがある場合もない場合も、セル内の発光は反
射を繰り返す間に光量LOだけ裏面に漏れるが、隔壁の
側面にテーパがある場合には、隔壁のテーパによってセ
ル内の発光は斜めの光量LMとして表示面側へ反射され
るため、セル内の発光を効率的に表示面側へ取り出すこ
とができる。
【0092】以上述べたように、感光性の元型材料を用
い、少なくとも2回以上の斜め露光を行うことにより、
側面が順テーパの隔壁パターンを有する隔壁転写用元型
を作製する。また、感光性の隔壁材料を用い、少なくと
も2回以上の斜め露光を行うことにより、側面が順テー
パの隔壁を有する背面側の基板を作製する。
【0093】このように、感光性材料を用いることで、
従来の金型切削では形成が困難であった格子形状などの
元型を容易に形成することができる。また、斜め露光に
より、隔壁転写用元型の隔壁パターンの側面に様々に調
整したテーパをつけたり、隔壁パターンの長手方向端部
に角度を付けることができ、これにより、離型性を改善
し、転写隔壁形成における歩留まりを向上させることが
できる。
【0094】また、隔壁の側面に順テーパを有する形状
を持たせることで、発光を効率的に表示面側へ取り出す
ことができる。さらに、横方向の隔壁の側面にも順テー
パをつけることで、セル内の輝度差を軽減し、上下方向
から見た場合の視野角に依存したフリッカを低減するこ
とができる。
【0095】
【発明の効果】本発明によれば、基板上に感光性材料層
を形成し、この感光性材料層にフォトマスクを介して斜
め方向から露光光を照射して、基板上に側壁がテーパの
付いている隔壁パターンを形成するので、隔壁パターン
の側壁のテーパ角を任意に調整した、転写の際の離型が
良好な隔壁転写用元型を容易に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】AC型3電極面放電形式のALiS構造のPD
Pを部分的に示す斜視図である。
【図2】本発明の隔壁転写用元型の作製方法の実施例1
を示す説明図である。
【図3】隔壁転写用元型を用いた転写用凹版の作製方法
及び転写による隔壁形成方法を示す説明図である。
【図4】斜め露光を行わない場合の比較例を示す説明図
である。
【図5】本発明の隔壁転写用元型の作製方法の実施例2
を示す説明図である。
【図6】本発明の隔壁転写用元型の作製方法の実施例2
を示す説明図である。
【図7】本発明の隔壁転写用元型の作製方法の実施例2
を示す説明図である。
【図8】本発明の隔壁転写用元型の作製方法の実施例2
を示す説明図である。
【図9】本発明の隔壁転写用元型の作製方法の実施例3
を示す説明図である。
【図10】本発明の隔壁転写用元型の作製方法の実施例
3を示す説明図である。
【図11】本発明の隔壁転写用元型の作製方法の実施例
3を示す説明図である。
【図12】本発明の隔壁転写用元型の作製方法の実施例
3を示す説明図である。
【図13】隔壁の適正テーパ角を示す説明図である。
【図14】本発明の隔壁転写用元型の作製方法の実施例
4を示す説明図である。
【図15】本発明の隔壁転写用元型の作製方法の実施例
4を示す説明図である。
【図16】本発明の隔壁転写用元型の作製方法の実施例
4を示す説明図である。
【図17】本発明の隔壁転写用元型の作製方法の実施例
4を示す説明図である。
【図18】本発明の隔壁転写用元型の作製方法の実施例
4を示す説明図である。
【図19】側面に順テーパの付いている格子状の隔壁を
転写法で形成する場合の離型状態を示す説明図である。
【図20】側面に順テーパの付いている格子状の隔壁を
転写法で形成する場合の離型状態を示す説明図である。
【図21】図19の比較例であり、側面に順テーパのな
い格子状の隔壁を転写法で形成する場合の離型状態を示
す説明図である。
【図22】図20の比較例であり、側面に順テーパのな
い格子状の隔壁を転写法で形成する場合の離型状態を示
す説明図である。
【図23】転写用凹版に隔壁材料を充填する際の隔壁の
長手方向端部の状態を示す説明図である。
【図24】図23の比較例であり、隔壁の長手方向端部
にテーパがない場合を示す説明図である。
【図25】隔壁材料を転写して離型する際の隔壁の長手
方向端部の状態を示す説明図である。
【図26】図25の比較例であり、隔壁の長手方向端部
にテーパがない場合を示す説明図である。
【図27】AC型3電極面放電形式のALiS構造のP
DPの縦断面を部分的に示す説明図であり、横方向の隔
壁の側面にテーパがあるPDPを示している。
【図28】図27の比較例であり、横方向の隔壁の側面
にテーパがないPDPを示している。
【図29】AC型3電極面放電形式のALiS構造のP
DPのセル構造を示す説明図であり、横方向の隔壁の側
面にテーパがあるPDPを示している。
【図30】図29の比較例であり、横方向の隔壁の側面
にテーパがないPDPを示している。
【符号の説明】
10 PDP 11 前面側の基板 12 透明電極 13 バス電極 17,24 誘電体層 18 保護膜 21 背面側の基板 22 隔壁 28R,28G,28B 蛍光体層 29 隔壁 30 放電空間 31 基板 32 感光性材料層 33 フォトマスク 35 隔壁パターン 36 透明なガラス基板 37 マスクパターン 38 転写用凹版 39 隔壁材料 H,H1,H2,H3,H4,H5,H6 露光光 A アドレス電極 X,Y 表示電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/20 501 G03F 7/20 501 5C058 H01J 11/02 H01J 11/02 B H04N 5/66 101 H04N 5/66 101A (72)発明者 別井 圭一 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 Fターム(参考) 2H095 BA12 BB02 2H097 AA11 BA06 BB03 FA02 2H113 AA01 AA02 BA03 BB09 CA15 CA21 FA10 5C027 AA09 5C040 FA01 FA04 GB03 GB14 GF19 5C058 AA11 AB01 BA09

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に感光性材料層を形成し、その感
    光性材料層にフォトマスクを介して斜め方向から露光光
    を照射した後、現像することにより、基板上に側壁がテ
    ーパの付いている隔壁パターンを形成する工程を含んで
    なる隔壁転写用元型の作製方法。
  2. 【請求項2】 斜め方向からの露光光の照射が、隔壁パ
    ターンの断面形状が順テーパを有する山型となるよう
    に、隔壁パターンの一方の側壁に沿った方向と他方の側
    壁に沿った方向から2度行われる請求項1記載の隔壁転
    写用元型の作製方法。
  3. 【請求項3】 基板上に形成される隔壁パターンが平面
    視格子状の隔壁パターンからなり、 斜め方向からの露光光の照射が、格子状隔壁パターンの
    縦方向パターンの一方の側壁に沿った方向と他方の側壁
    に沿った方向と、格子状隔壁パターンの横方向パターン
    の一方の側壁に沿った方向と他方の側壁に沿った方向と
    から4度行われる請求項1記載の隔壁転写用元型の作製
    方法。
  4. 【請求項4】 斜め方向からの露光光の照射が4度行わ
    れるに際し、完成された隔壁転写用元型を用いて隔壁転
    写用凹版を作製し、その転写用凹版で隔壁材料を基板に
    転写後、離型する際に、離型方向に沿った方向の隔壁の
    テーパよりも離型方向に交差する方向の隔壁のテーパの
    ほうが緩やかになるように、縦方向パターンと横方向パ
    ターンとで角度を変えて、露光光の照射が行われる請求
    項3記載の隔壁転写用元型の作製方法。
  5. 【請求項5】 斜め方向からの露光光の照射の後、隔壁
    パターンの長手方向端部がゆるやかな傾斜を持つよう
    に、隔壁パターンの長手方向端部に相当する部分に斜め
    方向から露光光がさらに照射される請求項1〜4のいず
    れか1つに記載の隔壁転写用元型の作製方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1つに記載の方
    法を用いて作製された隔壁転写用元型を用いて隔壁転写
    用凹版を作製し、その転写用凹版で隔壁材料を基板に転
    写することにより形成された隔壁を有してなるプラズマ
    ディスプレイパネル。
  7. 【請求項7】 基板上に感光性の隔壁材料層を形成し、
    その隔壁材料層にフォトマスクを介して斜め方向から露
    光光を照射した後、現像することにより、基板上に側壁
    がテーパの付いている隔壁を形成する工程を含んでなる
    隔壁形成方法。
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