JPH11111165A - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルの製造方法

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JPH11111165A
JPH11111165A JP9271347A JP27134797A JPH11111165A JP H11111165 A JPH11111165 A JP H11111165A JP 9271347 A JP9271347 A JP 9271347A JP 27134797 A JP27134797 A JP 27134797A JP H11111165 A JPH11111165 A JP H11111165A
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JP
Japan
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photosensitive
fine particles
photosensitive paste
paste
plasma display
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JP9271347A
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English (en)
Inventor
Takeshi Horiuchi
健 堀内
Yoshiki Masaki
孝樹 正木
Kazutaka Kusano
一孝 草野
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高アスペクト比かつ高精細で、上部線幅が狭い
台形形状の優れた隔壁を形成するプラズマディスプレイ
の製造方法を提供する。 【解決手段】無機微粒子と感光性有機成分とを必須成分
とする感光性ペーストであって、フォトマスクと感光性
ペースト塗布膜表面とを実質的に接触して、5μm以下
で露光することによって、性能の向上したプラズマディ
スプレイを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感光性ペーストを
用いたプラズマディスプレイパネルの製造方法に関する
ものであり、詳しくは、プラズマディスプレイパネルの
隔壁のパターン加工およびその形成の改良に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、回路材料やディスプレイにおい
て、小型・高精細化が進んでおり、それに伴って、パタ
ーン加工技術の向上が望まれている。特に、プラズマデ
ィスプレイパネルの隔壁形成には、ガラスなどの無機材
料を高精度かつ高アスペクト比でパターン加工できる技
術が求められている。
【0003】従来、無機材料のパターン加工は、無機粉
末と有機バインダーからなるペーストを使用し、スクリ
ーン印刷により行なわれてきた。しかしながら、スクリ
ーン印刷ではより精度の高いパターンの形成が困難であ
る。
【0004】また、プラズマディスプレイパネルに必須
である隔壁の形成にも、このスクリーン印刷法が用いら
れているが、多数回の操作を繰り返すなどの作業が必要
であり、高精細・大面積化が進む技術進展への対応が難
しくなってきている。この問題を改良する方法として、
特開平1−296534号公報、特開平2−16553
8号公報および特開平5−342992号公報では、感
光性ペーストを用いてフォトリソグラフィ技術でパター
ンを形成する方法が提案されている。しかしながら、提
案された感光性ペーストの感度や解像度が低いために高
アスペクト比で高精細な隔壁が得られず、例えば80μ
mを超えるような厚みのものをパターン加工する場合、
複数回の加工工程(スクリーン印刷、露光、現像工程)
が必要であり、工程が長くなる欠点がある。
【0005】さらに、特開平2−165538号公報で
は、感光性ペーストを転写紙上にコーティングした後、
転写フィルムをガラス基板上に転写して隔壁を形成する
方法が、また特開平3−57138号公報では、フォト
レジスト層の溝に誘電体ペーストを充填して隔壁を形成
する方法がそれぞれ提案されている。また、特開平4−
109536号公報では、感光性有機フィルムを用いて
隔壁を形成する方法も提案されている。しかしながら、
これらの方法では、転写フィルムやフォトレジストある
いは有機フィルムを必要とするためにやはり多くの工程
を必要とする課題があり、そして、高精細度で高アスペ
クト比を有する隔壁を得るには至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、これま
で上記の欠点を改善すべく、ペーストの塗布回数を極力
少なく、できれば1回だけの塗布を可能とし、これをフ
ォトリソグラフィの技術でパターン加工、焼成して、ガ
ラス材料からなる隔壁が得られる感光性ペーストについ
て検討し、良好なパターン形状を有する高アスペクト比
でかつ高精度のパターン加工を可能にする感光性ペース
トを用いたいくつかの隔壁形成方法を提案してきた。し
かしながら、ここにおいて、さらに高開口率で高精細度
の隔壁形成が求められるようになってきた。
【0007】本発明の目的は、隔壁パターンの形状をよ
りシャープに形成すると共に開口率の大きな隔壁層を有
するプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のプラズマディス
プレイパネルの製造方法は、無機微粒子と感光性有機成
分を含む感光性ペーストをガラス基板上に塗布した後、
フォトマスクを介して露光し隔壁層を形成するプラズマ
ディスプレイパネルの製造方法において、その露光工程
でフォトマスクと感光性ペーストの塗布面との距離を5
μm以下にして露光することを特徴とするものであっ
て、本発明では両者を好ましくは実質的に接触させて、
露光することもできる。
【0009】また、本発明は、次の好ましい実施態様を
含んでいる。
【0010】・前記感光性ペーストの塗布にドクターブ
レードまたはスリットダイコーターを用いること。
【0011】・前記隔壁の断面形状が上部が細幅の台形
状であること。
【0012】・前記感光性ペーストが、無機微粒子と感
光性化合物を含む有機成分を必須成分とし、その無機微
粒子が屈折率1.5〜1.65のガラス微粒子であるこ
と。・前記感光性ペーストが、紫外線吸光能を有する有
機系染料を該無機微粒子に対して0.05〜1重量%含
有すること。
【0013】・表面を紫外線吸収能を有する有機染料で
コーティング処理した無機微粒子を用いること。
【0014】・前記隔壁のピッチが100〜250μ
m、線幅が15〜50μm、高さが50〜170μmで
あること。
【0015】このようなプラズマディスプレイパネルの
製造方法によって、断面形状が台形状で、隔壁上部の線
幅としてフォトマスクに忠実な再現が可能であり、十分
に精細で開口率の大きい隔壁を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のプラズマディスプレイパ
ネルの製造方法に用いられる感光性ペーストは、無機微
粒子と感光性化合物を含む有機成分(以下、感光性有機
成分)とからなり、感光性有機成分によるフォトリソグ
ラフィを用いたパターン形成後に焼成を行なうことによ
り、無機物のパターンを形成するものである。
【0017】焼成により形成される隔壁の形状は、感光
性ペーストの露光および現像で形成されるパターン形状
に依存するので、断面が台形状を呈する高アスペクト比
の隔壁を得るためには、感光性ペーストから得られるパ
ターン形状を台形状に形成することが重要である。
【0018】本発明においては、用いられる感光性ペー
スト中の無機微粒子の含有率は50〜95重量%、さら
には70〜95重量%であることが焼成時の収縮率を小
さくさせ、焼成による形状変化が小さくなり好ましい。
このように多量の無機微粒子を含む感光性ペーストに光
照射して、効率よく化学変化を起こさせるためには、光
反応させるべき部分に十分な光エネルギーが供給される
ようにして、感光性有機成分を十分に光硬化しなければ
ならない。このためには、感光性ペーストが十分に光を
透過させて、下部にまで光を到達させることが必要であ
る。
【0019】ここで光線透過率は、全光線透過率および
直進透過率で評価することができる。これらを高めるこ
とが、高アスペクト比のパターン加工を行なう上で有効
な方法である。
【0020】透過率測定において、全光線透過率(T
1)から拡散透過率(T2)を差し引き、これを全光線
透過率で除した値(T3)を直進透過率(正規透過率と
もいう)とした場合、直進透過率が高いほど、高アスペ
クト比の優れた形状のパターン化が可能である。すなわ
ち、感光性ペーストの内部をできる限り直線的に透過す
る光の割合を高めることが重要である。
【0021】全光線透過率を高くするためには、全光線
透過率が高い感光性有機成分および無機微粒子を用いる
ことが有効である。また、直進透過率を高くするために
は、感光性有機成分中で無機微粒子が均一に分散してい
ることが必要である。無機微粒子に関しては、その全光
線透過率が高いと共に、微粒子内部の組成が均一である
ことや気泡などの組成のムラがないことが重要である。
【0022】また、一般に異なる成分の分散体の光線透
過率を高めるためには、それぞれの成分の屈折率を一致
させるか、近似させることが好ましいことが知られてい
る。感光性ペーストにおいても、光線透過率を向上させ
るために、無機微粒子の屈折率と感光性有機成分の屈折
率をできるだけ近づけることが必要である。これらは、
全光線透過率を向上するのみでなく、直進透過率の向上
にも寄与するので、本発明で目的とする高アスペクト比
で高精度のパターンを形成する感光性ペーストに対して
は重要な要件となる。
【0023】隔壁形成には、無機微粒子としてガラスや
セラミックスの微粒子を用いることが好ましく、またガ
ラス微粒子の平均屈折率は、その組成によって制御する
ことができ、また感光性有機成分の平均屈折率も用いる
感光性成分の組成によって制御することが可能である。
したがって、両者の平均屈折率を整合させることは可能
であり、このような観点でガラス微粒子組成および感光
性有機成分組成を選定することができる。
【0024】ガラス微粒子および感光性有機成分である
モノマやポリマは、それ自身では紫外線などの活性光線
のエネルギーを吸収しないので、光反応を起こさない。
光反応を起こすためには、光エネルギーを吸収し、感光
性の官能基に反応を開始させるための光重合開始剤や増
感剤が必要である。光重合開始剤や増感剤は照射された
光エネルギーを吸収して直接に活性なラジカルを発生し
たり、あるいは吸収したエネルギーを転移させて反応を
促進したりする作用を行なう。これらの作用により、感
光性ペースト中の有機成分は反応し、光硬化が進行し
て、その部分が現像液に不溶となってパターン形成が行
なわれる。
【0025】本発明の感光性ペーストは、光エネルギー
を吸収した部分が光反応で硬化し現像液不溶になるタイ
プのペーストであり、その硬化の程度は、所望の形状を
示すパターンを得るために重要な要件である。硬化の程
度が低いと、現像の際に溶解したり膨潤したりして、パ
ターン形状が不安定となり、隔壁を形成するためには不
都合なものになってしまう。
【0026】かかる感光性ペーストのように多量の無機
微粒子を分散した組成物では、これら無機微粒子の界面
で乱反射が起こるので、散乱光による不要な光反応を制
御する手段が必要である。
【0027】本発明は、無機微粒子成分としてのガラス
微粒子の屈折率を、好ましくは1.5〜1.65の範囲
に規制して有機成分の屈折率に近似させると共に、ガラ
ス微粒子に対して好ましくは0.05〜1重量%の有機
系染料から選ばれた紫外線吸光剤を添加する。この紫外
線吸光剤は、光反応に有効な活性光を吸収するというマ
イナスの効果があるが、散乱された活性光を吸収して不
要な光反応を抑制して、パターンの太りやパターン間で
の残膜形成を防止するというプラスの効果を発揮するこ
とができる。このような紫外線吸光剤で予めガラス微粒
子の表面をコーティング処理しておく方法も本発明では
有効であり、照射された紫外光を界面で吸収して、散乱
光を抑制することができる。感光性ペーストにおいて塗
布膜の光硬化を進めるには、光重合開始剤や増感剤が吸
収する波長の光を照射する。塗布膜の最下部まで十分に
光硬化させるためにはより多くの光量を与えることで達
成されるが、パターン形成の場合には、過剰な光照射は
種々の障害をもたらすことがあるので注意しなければな
らない。既に記述したように感光性ペーストは、多くの
ガラス微粒子を分散状態で含有するので、内部の光散乱
は避け難く、それに原因すると考えられるパターン形状
の太りやパターン間の埋まり(残膜形成)が発生しやす
い。
【0028】感光性ペーストを用いてパターン形成を行
なう場合には、フォトマスクを介して露光し、光の当た
らなかった部分を現像液で溶解除去するという方法が用
いられる。この場合、一般的に感光性ペーストの塗布面
とフォトマスクに、僅かな間隙を保持して行なう方法が
知られている。
【0029】この方法は、プロキシミティ露光法と称さ
れるもので、1つのフォトマスクで多数回の露光を繰り
返す場合にフォトマスクを損傷することがなく好都合で
ある。しかしながら、この露光方法の場合、フォトマス
クと感光性ペースト表面との間に隙間が存在するので、
フォトマスクに記録された線幅を忠実に再現することは
難しく、多くの場合に感光性ペーストに再現された線幅
は太りを生じることが避け難い。より高精細となり、し
かも輝度を高く保持するため開口率を高く保つために隔
壁線幅を細く形成する必要が生じる場合の露光方法とし
ては問題のある露光方法である。
【0030】本発明のプラズマディスプレイパネルの製
造方法の特徴は、露光工程で、フォトマスクと感光性ペ
ースト塗布表面との距離Lを5μm以下にすること、ま
たは両者を実質的に接触させることにあり、特に好まし
くは、両者を密着させて露光することである。このよう
に、ガラス微粒子と感光性有機成分との屈折率を整合さ
せ、紫外線吸光剤で処理したガラス微粒子を使用する感
光性ペーストを用いてフォトマスクを実質的に接触さ
せ、好ましくはほぼ密着状態にして露光することによっ
て、隔壁パターンの上部線幅にはフォトマスクの線幅が
忠実に再現されると共に、下部に向かってやや広がる台
形状の断面パターンを得ることができる。このようにし
て、隔壁パターンの上部線幅を細くして全体として表示
部の開口率を大きくすることが可能になる。上部線幅が
細くなっても隔壁パターンが台形状で形成されるので現
像時におけるパターンの膨潤による揺らぎなどの欠陥が
生じ難い。また、広い開口部と台形状の断面を有する隔
壁に囲まれたセル内への蛍光体ペーストの塗布が好適に
行なわれるという利点も得られる。
【0031】このようなフォトマスクと感光性ペースト
塗布表面とを実質的に接触または密着させた状態での露
光により、ピッチ100〜250μm、線幅15〜50
μm、高さ50〜170μmの次元を有する高アスペク
ト比でかつ高精細な隔壁が得られるパターンを形成する
ことができる。このような露光方法では、線幅を15μ
mよりもさらに細くすることも可能であり、より高精細
の隔壁を必要とする場合にも対応できるものである。
【0032】本発明のように、フォトマスクと感光性ペ
ースト塗布表面が実質的に接触した状態を実現するため
には、フォトマスクを感光性ペースト塗布表面に重ね合
わせて配置する自重による接触や両者の間隙を排気して
真空密着させる方法などが用いられる。寸法安定性の向
上したプラスチックフィルムをベースとしたフォトマス
クの使用も考えられ、このような場合には印刷製版作業
で使用されている真空焼き枠装置などの使用も可能であ
る。
【0033】本発明において、実質的に接触とは、フォ
トマスクと感光性ペースト塗布表面を平行に配置させた
状態で、フォトマスクと塗布面の少なくとも一部が接触
している状態をいう。また、両者の間隔が5μm以下と
いうことは、フォトマスクと感光性ペースト塗布表面と
の最短距離が5μmであることを表している。
【0034】フォトマスクとの距離の測定方法は、所望
の厚さのフィルムをフォトマスクと塗布面の間にスペー
サとして挟む方法、自動ギャップ調整装置を用いる方法
などどのような方法を用いてもよい。
【0035】そして、フォトマスクと感光性ペースト塗
布表面との接触をできるだけ均等にして、高い密着度に
するためには、ペースト塗布表面の平滑性や表面粗度が
重要である。平滑性を高めるために、少なくとも表面を
形成するペースト層の塗布には、メッシュ跡が残りやす
いスクリーン印刷法よりも、ドクターブレードまたはス
リットダイコーターを用いる塗布法が好ましい。また、
表面の粗度をコントロールするためには、ペーストに分
散されるガラス微粒子の平均粒径および最大粒子径に注
目する必要があり、少なくともペーストの表面層を形成
する部分において、それらを配慮することが必要であ
る。
【0036】本発明のプラズマディスプレイ製造方法に
用いられる感光性ペーストは、無機微粒子および感光性
有機成分を必須成分として含有するが、それらに加えら
れる成分を含めて以下に説明する。
【0037】無機微粒子としてはガラス、セラミックス
などが透明性に優れており好ましい。特に酸化珪素、酸
化ホウ素または酸化アルミニウムを含有するガラスやセ
ラミックスが好ましい。
【0038】プラズマディスプレイの隔壁は、ガラス基
板上に形成されるため、感光性ペーストに用いられるガ
ラス微粒子の熱軟化温度は350〜600℃であること
が好ましい。350℃未満の場合は、後の封着工程で隔
壁層が変形する問題があり、600℃を越えると、焼成
時に溶融せず強度の低い隔壁になる問題がある。しか
し、熱軟化温度が600℃以上のガラス微粒子を添加す
ることによって、焼成時の収縮率をコントロールするこ
とはできるが、そのような高い熱軟化温度を有するガラ
ス微粒子の添加量には限度がある。
【0039】このような温度特性を有するガラスとして
は、従来、酸化鉛や酸化ビスマスを30重量%以上含有
するガラスが用いられてきた。しかしながら、酸化鉛や
酸化ビスマスを30重量%以上含有するガラス微粒子
は、平均屈折率が1.7以上になるため、有機成分との
屈折率を整合することが困難になり、高アスペクト比の
隔壁パターンが形成できる感光性ペーストを得ることが
難しい。
【0040】平均屈折率が1.5〜1.65で、かつ熱
軟化温度が600℃以下のガラスとして、本発明で用い
られるガラス微粒子の主な成分と配合量を、酸化物換算
で例示すると次のようなものである。
【0041】 酸化リチウム : 3〜10重量% 酸化珪素 :15〜50重量% 酸化ホウ素 :15〜40重量% 酸化バリウム : 2〜15重量% 酸化アルミニウム : 6〜15重量% 酸化リチウム(Li2O)を3〜10重量%含有するガ
ラス微粒子を用いることによって、熱軟化点、熱膨張係
数のコントロールが容易になるだけでなく、ガラスの平
均屈折率を低くすることができるため、有機物との屈折
率差を小さくすることが容易になる。アルカリ金属の酸
化物の添加量は、ペーストの安定性を向上させるために
は10重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%
以下である。
【0042】上記の組成において、酸化リチウムの代わ
りに、酸化ナトリウムや酸化カリウムを用いてもよい
が、ペーストの安定性の点で酸化リチウムが好ましい。
酸化カリウムを用いた場合は、比較的少量の添加でも屈
折率の制御ができる利点があることから、アルカリ金属
酸化物の中でも、酸化リチウムと酸化カリウムの添加が
有効である。その場合、アルカリ金属の酸化物を合計で
3〜10重量%含有するガラス微粒子を用いることが好
ましい。
【0043】酸化珪素(SiO2)は、15〜50重量
%の範囲で配合することが好ましく、15重量%未満の
場合はガラス層の緻密性、強度や安定性が低下し、また
熱膨張係数が所望の値から外れ、ガラス基板とのミスマ
ッチが起こり易い。また、50重量%以下にすることに
よって、熱軟化点が低くなり、ガラス基板への焼き付け
が可能になるなどの利点がある。
【0044】酸化ホウ素(B23)は、15〜40重量
%の範囲で配合することが好ましい。40重量%を超え
るとガラスの安定性が低下する。B23はガラス粉末を
800〜1200℃付近の温度で溶融するため、および
ガラスペーストの焼き付け温度を酸化珪素が多い場合で
も電気絶縁性、強度、熱膨張係数および絶縁層の緻密性
などの電気、機械および熱的特性を損なうことのないよ
うに、焼き付け温度を540〜610℃の範囲に制御す
るために配合される。15重量%未満では絶縁層の強度
が低下し、ガラスの安定性が低下する。
【0045】酸化バリウム(BaO)は、2〜15重量
%の範囲で配合することが好ましい。2重量%未満で
は、ガラス焼き付け温度および電気絶縁性を制御するの
が難しくなる。また、15重量%を超えるとガラス層の
安定性や緻密性が低下する。
【0046】酸化アルミニウム(Al23)は、6〜1
5重量%の範囲で配合するのが好ましい。酸化アルミニ
ウムはガラスの歪み点を高めるために添加される。6重
量%未満ではガラス層の強度が低下する。15重量%を
超えるとガラスの耐熱温度が高くなり過ぎてガラス基板
上に焼き付けが難しくなる。また、緻密な絶縁層が60
0℃以下の温度で得られ難くなる。
【0047】酸化カルシウム(CaO)は、2〜10重
量%の範囲で配合するのが好ましい。ガラスを溶融し易
くするとともに熱膨張係数を制御するのに添加される。
2重量%より少ないと、歪み点が低くなり過ぎる。
【0048】酸化マグネシウム(MgO)は、1〜10
重量%の範囲で配合するのが好ましい。酸化マグネシウ
ムは、ガラスを溶融し易くするとともに熱膨張係数を制
御するために添加される。10重量%を超えるとガラス
が失透し易くなり良くない。
【0049】ガラス粉末には、プラズマの放電特性を劣
化させる酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化イットリ
ウムなどの金属酸化物を含まないことが好ましい。含有
したとしても5重量%以下である。
【0050】また、ガラス粉末中に、酸化チタンおよび
酸化ジルコニウムなども含有させることができるが、そ
の量は10重量%未満であることが好ましい。酸化ジル
コニウムは、ガラスの軟化点、転移点および電気絶縁性
を制御する効果がある。
【0051】ガラス粉末の製法としては、例えば原料で
ある酸化リチウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化
ホウ素、酸化バリウムおよび酸化亜鉛を所定の配合組成
となるように混合し、900〜1200℃で溶融後、急
冷し、ガラスフリットにしてから粉砕して1〜5μmの
微細な粉末にする。原料は高純度の炭酸塩、酸化物、水
酸化物などを使用できる。また、ガラス粉末の種類や組
成によっては99.99%以上の超高純度なアルコキシ
ドや有機金属の原料を使用し、ゾル・ゲル法で均質に作
製した粉末を使用すると高電気抵抗で緻密な気孔の少な
い、高強度な絶縁層が得られるので好ましい。
【0052】上記において使用されるガラス粉末粒子径
は、作製しようとする隔壁の線幅や高さを考慮して選ば
れるが、50体積%粒子径(平均粒子径D50)が1〜
6μm、最大粒子径サイズが30μm以下、比表面積
1.5〜4m2/gであることが好ましい。より好まし
くは10体積%粒子径(D10)0.4〜2μm、50
体積%粒子径(D50)1.5〜6μm、90体積%粒
子径(D90):4〜15μm、最大粒子径サイズが2
5μm以下、比表面積1.5〜3.5m2/gを有して
いることが好ましい。さらに好ましくはD50が2〜
3.5μm、比表面積1.5〜3m2/gである。
【0053】ここで、D10、D50、D90は、それ
ぞれ、粒径の小さいガラス粉末から順に10体積%、5
0体積%、90体積%のガラスの粒子径である。
【0054】粒子径がこれらの範囲にあると、紫外線露
光時に光が十分に透過し、下部まで光硬化したしっかり
した隔壁が得られる。粉末粒子径が1.5μm未満、比
表面積が3.5m2/gを超えると粉末が細かくなり過
ぎて露光時において光が散乱されて非露光部分を硬化す
るようになる。
【0055】既に記述したとおり、塗布表面は、粗度を
小さくするため、平均粒子径およびトップサイズともに
小さくするようにコントロールされたガラス微粒子を混
合した感光性ペーストで形成することが好ましい。
【0056】隔壁パターンの形成に用いられるガラス微
粒子は、ガラス基板上で焼成を行なう必要があるため、
酸化亜鉛を含有するガラスを用いることが多いが、これ
らの金属を含有するガラスは屈折率が1.65以上にな
る場合が多い。そのため、酸化亜鉛の含有量を2〜20
重量%に調整する必要があるが、酸化リチウムなどのア
ルカリ金属酸化物を合計で5〜15重量%含有するガラ
ス微粒子を用いることによって、平均屈折率をコントロ
ールし易くなり、ガラス基板上に焼き付け可能な熱軟化
温度を有し、平均屈折率を1.5〜1.65にすること
ができる。
【0057】感光性ペースト中において使用される感光
性有機成分とは、ペーストからガラス微粒子成分を除い
た部分のことであり、感光性ペーストの10〜40重量
部を占める。
【0058】有機成分には、感光性モノマ、感光性オリ
ゴマおよび感光性ポリマのうち少なくとも1種から選ば
れた感光性成分の他に、バインダー、光重合開始剤、増
感剤、増感助剤、紫外線吸光剤、重合禁止剤、可塑剤、
増粘剤、酸化防止剤、分散剤、その他の添加剤を必要に
応じて加えることができる。通常、感光性モノマおよび
感光性オリゴマもしくは感光性ポリマを混合して用いら
れる。
【0059】感光性モノマとしては、活性な炭素−炭素
二重結合を有する化合物が用いられるが、官能基とし
て、ビニル基、アリル基、アクリレート基、メタクリレ
ート基、アクリルアミド基を有する単官能および多官能
化合物が応用される。本発明においては、多官能アクリ
レート化合物および/または多官能メタクリレート化合
物を有機成分中に10〜80重量%含有させることが好
ましい。アクリレートまたはメタクリレート官能基を有
する多官能化合物には多様な種類の化合物が開発されて
いるので、それらから反応性、屈折率などを考慮して選
択することが可能である。
【0060】感光性ペースト中に含まれる有機成分の屈
折率を制御する方法として、感光性モノマの屈折率を制
御する方法が簡便である。好ましくは屈折率1.55〜
1.8の感光性モノマを用いることによって、有機成分
の屈折率を高めることができる。屈折率の高い感光性モ
ノマとしては、ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環
や硫黄原子を含有するアクリレートもしくはメタクリレ
ートモノマが好ましい。
【0061】感光性ペーストを構成する有機成分とし
て、光反応で形成される硬化物の物性の向上やペースト
の粘度の調整などの役割を果たすと共に、未露光部の現
像性をコントロールする機能を果たす成分として、オリ
ゴマもしくはポリマが用いられる。これらのオリゴマも
しくはポリマは、炭素−炭素二重結合を有する化合物か
ら選ばれた成分の重合または共重合により得られた炭素
連鎖の骨格を有するものである。共重合するモノマとし
ては、不飽和カルボン酸などが有用であり、感光後に未
露光部分をアルカリ水溶液で現像できる感光性ペースト
を与えることができる。不飽和カルボン酸の具体的な例
として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロ
トン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸またはこれ
らの酸無水物などがあげられる。
【0062】このようにして得られた、側鎖にカルボキ
シル基などの酸基を有するオリゴマもしくはポリマの酸
価(AV)は、30〜150、好ましくは80〜120
の範囲になるようにコントロールすることが好ましい。
酸価が150を超えると、現像許容幅が狭くなる。ま
た、酸価が30以下になると未露光部の現像液に対する
溶解性が低下するようになる。
【0063】本発明には、分子内にカルボキシル基と不
飽和二重結合を含有する重量平均分子量500〜10万
のオリゴマもしくはポリマを用いることが最も好ましい
が、不飽和二重結合を導入するには、上記のようなカル
ボキシル基を側鎖に有するオリゴマもしくはポリマに、
グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不
飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロ
ライドまたはアリルクロライドを付加反応させる方法が
適用される。アルカリ水溶液現像性のためのカルボキシ
ル基数とオリゴマもしくはポリマを感光性にするエチレ
ン性不飽和基数とは、反応条件により自由に選択するこ
とができる。
【0064】感光性ペーストを構成するために、バイン
ダー成分が必要な場合には、ポリビニルアルコール、ポ
リビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、ア
クリル酸エステル重合体およびそれらの共重合体などを
用いることができる。
【0065】本発明の感光性ペーストの有機成分は、感
光性モノマ、感光性オリゴマもしくはポリマあるいは場
合によりバインダーを含有するが、これらの成分はいず
れも活性光線のエネルギー吸収能力はないので、光反応
を開始するためには光重合開始剤や増感剤を加える必要
がある。
【0066】感光性ペーストによるパターン形成は、露
光された部分の感光性成分(モノマ、オリゴマ、ポリ
マ)を重合および架橋させて現像液に不溶性にすること
であり、用いられる感光性を示す官能基はラジカル重合
性であるため、光重合開始剤はラジカル種を発生するも
のから選んで用いられる。光重合開始剤には、1分子系
直接開裂型、イオン対間電子移動型、水素引き抜き型、
2分子複合系など機構的に異なる種類があるが、本発明
の感光性ペーストでは主として、1分子系直接開裂型か
ら選ばれた化合物が用いられている。例えば、ベンゾイ
ンアルキルエーテルやα,α−ジメトキシ−α−モルフ
ォリノアセトフェノン,α,α−ジメトキシ−α−フェ
ニルアセトフェノンなどが実用的に用いられる。また、
過酸化物、ホスフィンオキシド、硫黄化合物、ハロゲン
化合物なども公知である。これらを1種または2種以上
使用することができる。光重合開始剤は、感光性ペース
トの場合にはガラス微粒子の量を考慮して感光性成分に
対し5〜30重量%用いることが好ましい。
【0067】光重合開始剤と共に増感剤を使用し、感度
を向上させたり(化学増感)、反応に有効な波長範囲を
拡大する(分光増感)ことができる。増感剤の作用機構
にも種々のものがあるが、三重項増感剤と称されるもの
が最もよく使われる。増感剤としては、炭化水素系化合
物、アミノ・ニトロ化合物、キノン類、キサントン類、
アンスロン類、ケトン類、有機色素類があげられる。こ
れらの中には光重合開始剤としての作用を有するものも
含まれている。本発明では、増感剤としてキサントン類
から選ばれる化合物が好ましく使用されるが、具体的に
は、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチ
オキサントンなどが例示される。これらは1種または2
種以上使用することができる。
【0068】増感剤を本発明の感光性ペーストに添加す
る場合、ガラス微粒子の量を考慮して感光性成分に対し
て2〜30重量%用いるのが好ましい。
【0069】光重合開始剤および増感剤が、少なすぎる
と十分な感度が得られない。増感剤を多くすることによ
って感度を高めることは可能であるが、硬化した部分の
重合度合いが十分に高くならず、露光部の残存率が小さ
くなる恐れがあり、また、パターン間での不要な硬化が
発生して残膜が形成されるなどの不都合が起こる。光重
合開始剤と増感剤を適量ずつ使用することが適度の感度
で優れた形状を示すパターンを形成する上で必要であ
る。
【0070】感光性ペーストには、紫外線吸光剤を添加
することが優れた形状のパターン加工のために有効であ
る。紫外光の吸収効果の高い化合物を添加することによ
って高アスペクト比、高精細、高解像度が得られる。吸
光剤としては有機系染料からなるもの、中でも350〜
450nmの波長範囲で高い吸光係数を有する有機系染
料が好ましく用いられる。
【0071】具体的にはアゾ系染料、アミノケトン系染
料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アントラキノ
ン系染料、ベンゾフェノン系染料、ジフェニルシアノア
クリレート系染料、トリアジン系染料およびp−アミノ
安息香酸系染料などが使用できる。これらの中でも、ア
ゾ系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。有機系染
料は吸光剤として添加した場合にも、焼成後の絶縁膜中
に残存しないので絶縁特性の低下を少なくできるので好
ましい。
【0072】紫外線吸光剤としての有機系染料の添加量
は、感光性ペースト中に分散されるガラス微粒子に対し
て0.05〜1重量%であることが好ましい。この吸光
剤は、予め有機溶媒に溶解した溶液を作製し、それをペ
ースト作製時に混練する方法や該染料溶液中にガラス微
粒子を混合し乾燥する方法がある。後者の方法ではガラ
ス微粒子の個々の粒子表面に有機染料膜をコートしたい
わゆるカプセル状のガラス粉末となる。これにより、ガ
ラス微粒子の界面における反射が抑制され、不要な光反
応が阻止されるので、パターンの太りや残膜発生が防止
されるものと推定される。
【0073】感光性ペーストには、必要に応じて、保存
時の熱安定性を向上させるための重合禁止剤、アクリル
系共重合体の酸化を防ぐための酸化防止剤およびその他
可塑剤などを加えることができる。
【0074】感光性ペーストをガラス基板に塗布すると
きの粘度を、塗布方法に応じて調整するために、有機溶
媒が使用される。このとき使用される有機溶媒として
は、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロ
ソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、
シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアル
コール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラ
ン、ジメチルスルフォキシドおよびγ-ブチロラクトン
などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合
物が用いられる。
【0075】感光性ペーストは、通常、ガラス微粒子、
紫外線吸光剤、感光性モノマ、感光性オリゴマもしくは
ポリマ、光重合開始剤、増感剤、その他の添加剤および
溶媒などの各種成分を所定の組成となるように調合した
後、3本ローラや混練機で均質に混合分散し作製され
る。
【0076】ペーストの粘度はガラス微粒子、感光性成
分、増粘剤、有機溶媒、可塑剤などの添加割合で調整さ
れるが、その範囲は2000〜20万cp(センチ・ポ
イズ)である。例えば、ガラス基板への塗布をスクリー
ン印刷法で1回塗布して膜厚10〜20μmを得るには
5万〜20万cpが好ましい。スピンコート法には20
00〜5000cp、ドクターブレードコーター法やダ
イコーター法などを用いる場合は1万〜2万cpが好ま
しい。本発明では、フォトマスクと感光性ペースト塗布
表面とを実質的に接触させて露光するため、ペースト塗
布膜の表面をできるだけ平滑性の高いものとすることが
望まれる。
【0077】感光性ペーストを用いたパターン形成と焼
成による隔壁形成は、次のようにして行なわれる。先
ず、ガラス基板に感光性ペーストを塗布する。塗布方法
としては、スクリーン印刷法、バーコーター法、ロール
コーター法、スリットダイ法、ドクターブレード法など
一般的な方法を用いることができるが、上述のスリット
ダイ法、ドクターブレード法が好ましく用いられる。塗
布厚みは、塗布回数により調整されるが、スクリーン印
刷の場合にはスクリーンメッシュ、ペーストの粘度を選
ぶことによっても調整できる。
【0078】感光性ペーストの塗布膜厚さは、目的とす
る隔壁の高さによって異なる。例えば、高さ170μm
の隔壁を形成するためには、ペーストの焼成収縮率を1
5〜30%とすると、感光性ペーストの塗布厚さは20
0〜240μm程度になる。用いられる塗布方法によっ
ては、このような厚さに1度の塗布工程で感光性ペース
トを塗布することも可能であるが、塗布後のペーストの
乾燥工程に問題があることが多い。塗布膜の乾燥と所定
の厚さへの塗布の達成を考慮して数回に分けて塗布する
方法も用いられる。このような場合の表面層の塗布に
は、平滑な塗布面が得られるドクターブレードまたはス
リットダイコーターを用いることが好ましい。もちろ
ん、塗布の工程をすべてこれらの方法で行なうことも可
能である。
【0079】感光性ペーストを必要に応じて表面処理し
たガラス基板上または誘電体層を形成した上に塗布した
後、露光装置を用いて露光を行なう。露光は通常のフォ
トリソグラフィ技術で行われるように、フォトマスクを
介して行われる。この際にフォトマスクと感光性ペース
トの塗布膜表面との距離を実質的に接触した状態、また
は5μm以下にすることが本発明の特徴であり、その効
果は既に記述したとおりである。露光に使用される活性
光線は、紫外線が最も好ましく、その光源として、例え
ば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲン
ランプなどが使用される。超高圧水銀灯を光源とした露
光機を用いて行なうことが好ましい。露光条件は感光性
ペーストの塗布厚みによって異なるが、1〜100mW
/cm2の出力の超高圧水銀灯を用いて20秒〜30分間
の露光を行なう。
【0080】露光後、露光部分と未露光部分の現像液に
対する溶解度差を利用して、現像を行なうが、この場
合、浸漬法、スプレー法およびブラシ法などが用いられ
る。現像液には、感光性ペースト中の有機成分、特に感
光性オリゴマもしくはポリマが溶解可能な溶液が用いら
れる。本発明で用いられる感光性ペースト中の感光性オ
リゴマもしくはポリマは、好ましくはカルボキシル基を
側鎖に有するのでアルカリ水溶液で現像することができ
る。アルカリ水溶液としては水酸化ナトリウム、炭酸ナ
トリウム、水酸化カルシウムの水溶液などを使用できる
が、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ
成分を除去し易いので好ましい。
【0081】有機アルカリとしては、一般的なアミン化
合物を用いることができる。具体的には、テトラメチル
アンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアン
モニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミンおよび
ジエタノールアミンなどがあげられる。アルカリ水溶液
の濃度は通常0.05〜5重量%、より好ましくは0.
1〜1重量%である。アルカリ濃度が低すぎると可溶部
が完全に除去されず、アルカリ濃度が高すぎると、露光
部のパターンを剥離させたり、侵食したりするおそれが
ある。現像時の温度は、20〜50℃で行なうことが工
程管理上好ましい。
【0082】感光性ペーストの塗布膜から露光・現像の
工程を経て形成された隔壁パターンは次に焼成炉で焼成
されて、有機成分を熱分解して除去し、同時にガラス微
粒子成分を溶融させて無機質の隔壁を形成する。焼成雰
囲気や温度は、ペーストや基板の特性によって異なる
が、空気中、窒素、水素などの雰囲気で焼成される。焼
成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼
成炉を用いことができる。
【0083】バッチ式の焼成を行なうには通常、隔壁パ
ターンが形成されたガラス基板を室温から500℃程度
まで数時間掛けてほぼ等速で昇温した後、焼成温度とし
て設定された560〜580℃に30〜40分間で上昇
させて、約15〜30分間保持して焼成を行なう。焼成
温度は用いられるガラス基板のガラス転移点より低くな
ければならないので自ずから上限がある。焼成温度が高
すぎたり、焼成時間が長すぎたりすると隔壁の形状にダ
レなどの欠陥が発生する。また、有機成分に含まれる感
光性モノマ、感光性オリゴマもしくはポリマ、種々の添
加剤の熱分解特性とガラス微粒子成分の熱特性が不釣り
合いになると、隔壁が褐色に着色したり、隔壁が基板か
ら剥がれたりする欠陥が発生する。
【0084】
【実施例】以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明
する。ただし、本発明はこれに限定されるものではな
い。なお、実施例中の濃度は断りのない場合は重量%で
ある。
【0085】(実施例1)感光性ペーストは、下記の有
機成分の各成分を80℃に加熱しながら溶解し、その
後、吸光剤をコーティング処理したガラス微粒子を添加
し、混練機で混練するという手順で作製した。
【0086】ここで用いたガラス微粒子の組成は次のと
おりである。酸化リチウム9%、酸化珪素22%、酸化
ホウ素33%、酸化バリウム4%、酸化アルミニウム2
3%、酸化亜鉛2%、酸化マグネシウム7%。
【0087】また、ガラス微粒子の平均屈折率は1.5
86であり、ガラス転移点は476℃、軟化点は519
℃、平均粒子径は2.6μmである。このガラス微粒子
は吸光剤をコーティング処理して用いたが、吸光剤スダ
ンIVは、ガラスに対して0.08%を使用した。
【0088】上記の組成を有し、吸光剤処理をしたガラ
ス微粒子70重量部に感光性ポリマ(X4007)15
重量部、感光性モノマ(MGP400)15重量部、光
重合開始剤(IC−369)4.8重量部および増感剤
(DETX−S)4.8重量部を配合した。感光性ペー
ストは、これらの成分を3本ローラで混練して作製し
た。感光性ペーストの粘度はγ−ブチロラクトンを使用
し調整した。
【0089】次に、ソーダガラス基板上に、スクリーン
印刷により感光性ペーストを均一に塗布した。塗布膜に
ピンホールなどの発生を回避するために、塗布・乾燥を
数回繰り返し行ない、乾燥厚みが150μmになるよう
に塗布した。表面層を形成する乾燥厚み30μmはドク
ターブレード法で塗布した。重ね塗り途中の乾燥は80
℃で10分間ずつ行なった。所定の厚みに塗布した後、
80℃で100分間乾燥した。このようにして乾燥厚み
180μmの感光性ペースト塗布膜を得た。
【0090】プラズマディスプレイ用の隔壁パターン形
成を目的としたフォトマスク(ストライプ状パターン、
パターンピッチ150μm、線幅20μm)を介して露
光を行なった。露光には、20mW/cm2の出力の超
高圧水銀灯で0.8J/cm2の紫外線露光を用いた。
このとき、フォトマスクは感光性ペースト塗布面に密着
して重ね置きした状態であった。その後、35℃に保持
したモノエタノールアミンの0.2%水溶液を300秒
間シャワーでかけることにより現像し、シャワースプレ
イを用いて水洗し、光硬化していないスペース部分を除
去してガラス基板上にストライプ状の隔壁パターンを形
成した。
【0091】隔壁パターンの加工を施したガラス基板を
80℃で15分乾燥した後、560℃で15分焼成し、
隔壁を形成した。焼成により約30%程度の収縮が生じ
た。
【0092】得られた隔壁パターンの形状を電子顕微鏡
観察した。上部線幅19μm、パターン高さ中央部での
幅(半値幅)44μmで高さは180μmであった。5
60℃で焼成した後の隔壁上部の線幅は15μm、半値
幅29μmで高さは130μmであった。またピッチは
150μmであり、良好な側面にテーパーを有する台形
状の隔壁が得られた。
【0093】各隔壁の開口率を1−(隔壁上部の線幅/
ピッチ)として定義して算出すると、0.9であり、広
い開口部を有する隔壁層を有するプラズマディスプレイ
が得られた。
【0094】(実施例2)フォトマスク−感光性ペース
ト塗布面間の距離を約5μm程度に保持するために、特
殊フィルムをスペーサとしてマスクの周辺に貼り付けて
感光性ペースト塗布面の上に重ね置きした以外は、実施
例1と同様に実施した。得られた隔壁パターンの形状は
実施例1の場合とほぼ同様のサイズであり、焼成後に高
さ130μm、上部線幅17μm、半値幅35μmの良
好な側面にテーパーを有する台形状の隔壁が得られた。
ピッチは150μmであった。
【0095】開口率を計算すると0.88であり、広い
開口部を有する隔壁層を有するプラズマディスプレイが
得られた。
【0096】(比較例)フォトマスク−感光性ペースト
塗布膜間の距離を200μmにした以外は実施例1と同
様に操作を行なった。
【0097】焼成後に得られた隔壁は、上部線幅75μ
m、半値幅30μmで高さ130μmであった。またピッ
チは150μmであり、逆台形の形状が得られた。
【0098】開口率は0.5であり、狭い開口部を有す
る隔壁層が得られた。
【0099】(略記号の説明) X−4001:40%メタクリル酸、30%メチルメタ
クリレート、30%スチレンからなる共重合体のカルボ
キシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレー
トを付加反応させた重量平均分子量43,000、酸価
95の感光性ポリマ。
【0100】 MGP400:X2N-CH(CH3)-CH2-(O-CH2-CH(CH3))n-NX2 X:-CH2-CH(OH)-CH2O-CO-C(CH3)=CH2 IC−369:Irgacure−369(チバ・ガイ
ギー社製) 2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフ
ォリノフェニル)ブタノン−1 DETX−S:2,4−ジエチルチオキサントン スダンIV :アゾ系有機染料、化学式C2420
4O、分子量380.45
【0101】
【発明の効果】感光性ペーストを用い、フォトマスクと
感光性ペースト塗布膜表面とを実質的に接触させて、5
μm以下の条件で露光することで、パターン断面形状が
台形状で上部線幅が狭くフォトマスクに忠実に再現され
た隔壁パターンを得ることができ、これにより開口率が
大きく、高アスペクト比で高精細な隔壁の形成されたプ
ラズマディスプレイパネルの製造が可能になる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感光性ペーストをガラス基板上に塗布し
    た後、フォトマスクを介して露光し隔壁層を形成するプ
    ラズマディスプレイパネルの製造方法において、露光工
    程で該フォトマスクと該感光性ペースト塗布面との距離
    Lを5μm以下にすることを特徴とするプラズマディス
    プレイパネルの製造方法。
  2. 【請求項2】 感光性ペーストをガラス基板上に塗布し
    た後、フォトマスクを介して露光し隔壁層を形成するプ
    ラズマディスプレイパネルの製造方法において、露光工
    程で該フォトマスクと該感光性ペーストの塗布面とを実
    質的に接触させることを特徴とするプラズマディスプレ
    イパネルの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記感光性ペーストの塗布にドクターブ
    レードまたはスリットダイコーターを用いることを特徴
    とする請求項1または2記載のプラズマディスプレイパ
    ネルの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記隔壁の断面形状を上部が細幅の台形
    状に形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記感光性ペーストが、無機微粒子と感
    光性化合物を含む有機成分を必須成分とし、該無機微粒
    子が屈折率1.5〜1.65のガラス微粒子であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラズマ
    ディスプレイパネルの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記感光性ペーストが、紫外線吸光能を
    有する有機系染料を該無機微粒子に対して0.05〜1
    重量%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  7. 【請求項7】 表面を紫外線吸光能を有する有機染料で
    コーティング処理した無機微粒子を用いることを特徴と
    する請求項1〜5のいずれかに記載のプラズマディスプ
    レイパネルの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記隔壁のピッチが100〜250μ
    m、線幅が15〜50μm、高さが50〜170μmで
    あることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の
    プラズマディスプレイパネルの製造方法。
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