JPH1152561A - 感光性ペースト - Google Patents

感光性ペースト

Info

Publication number
JPH1152561A
JPH1152561A JP21487197A JP21487197A JPH1152561A JP H1152561 A JPH1152561 A JP H1152561A JP 21487197 A JP21487197 A JP 21487197A JP 21487197 A JP21487197 A JP 21487197A JP H1152561 A JPH1152561 A JP H1152561A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photosensitive
weight
glass
fine particles
organic component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP21487197A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Horiuchi
健 堀内
Yoshiki Masaki
孝樹 正木
Hiroshige Yamada
洋恵 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP21487197A priority Critical patent/JPH1152561A/ja
Publication of JPH1152561A publication Critical patent/JPH1152561A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Glass Compositions (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高アスペクト比かつ高精度のパターン加工を可
能にすると共に、焼成して形成される隔壁の着色や剥が
れなどの欠陥を解消することができる感光性ペーストを
提供する。 【解決手段】ガラス微粒子と感光性有機成分とを必須成
分とする感光性ガラスペーストにおいて、ガラス微粒子
が、光反応により形成される感光性有機成分の硬化物の
熱重量分析で減量率が80%に達する温度よりも10℃
以上高いガラス転移点を有し、かつガラス軟化点が57
0℃以下であることを特徴とする感光性ペーストとす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマディスプ
レイパネル、プラズマアドレス液晶ディスプレイなどの
ディスプレイのパターン加工に好適に用いられる感光性
ペーストに関するものであり、特に、ガラス基板上にガ
ラス微粒子と感光性有機成分を必須成分とする感光性ペ
ーストを用いてパターン加工を行った後、焼成により隔
壁を形成する、いわゆるフォトリソグラフィ法で用いる
感光性ガラスペーストに関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラズマディスプレイパネル(以下PD
Pとする)は液晶パネルに比べて高速の表示が可能であ
り、かつ大型化が容易であることから、OA機器および
広報表示装置などの分野に浸透している。また、高品位
テレビジョンの分野などでの進展が非常に期待されてい
る。
【0003】このような用途の拡大に伴って、精細で多
数の表示セルを有するカラーPDPが注目されている。
PDPは、前面ガラス基板と背面ガラス基板との間に設
けられた放電空間内で対向するアノードおよびカソード
電極間にプラズマ放電を生じさせ、上記放電空間内に封
入されているガスから発生した紫外線を、放電空間内の
蛍光体にあてることにより表示を行うものである。この
場合、放電の広がりを一定領域に抑え、表示を規定のセ
ル内で行わせると同時に、かつ均一な放電空間を確保す
るために隔壁(障壁、リブともいう)が設けられてい
る。
【0004】上記の隔壁のサイズは、ピッチ100〜4
30μm、幅30〜80μm、高さ100〜200μm
であるが、通常は前面ガラス基板や背面ガラス基板にガ
ラスからなる絶縁ペーストをスクリーン印刷法で印刷・
乾燥し、この印刷・乾燥工程を10〜15回繰返して所
定の高さにした後、焼成して形成している。しかしなが
ら、前記した通常のスクリーン印刷法では、特にパネル
サイズが大型化した場合に、予め前面基板上に形成され
た放電電極と絶縁ガラスペーストの印刷場所との位置合
せが難しく、位置精度が得られ難いという問題がある。
しかも10〜15回ガラスペーストを重ね合わせ印刷を
行うことになるため、隔壁および壁体の側面エッジ部の
波打ちや裾の乱れが生じ、高さの精度が得られないた
め、表示品質が悪くなり、また作業性が悪い、歩留まり
が低いなどの問題もある。特に、パターン線幅が50μ
m、ピッチが100μm以下になると隔壁底部がペース
トのチクソトロピー性により滲みやすく、シャープで残
渣のない隔壁形成が難しくなる問題がある。
【0005】PDPの大面積化、高解像度化に伴い、こ
のようなスクリーン印刷による方法では、高アスペクト
比、高精細の隔壁の製造がますます技術的に困難とな
り、かつコスト的に不利になってきている。
【0006】これらの問題を改良する方法として、特開
平1−296534号公報、特開平2−165538号
公報、特開平5−342992号公報、特開平6−29
5676号公報では、隔壁を感光性ペーストを用いてフ
ォトリソグラフィ技術により形成する方法が提案されて
いる。しかしながら、これらの方法では、感光性絶縁ペ
ーストのガラス含有量が少ないために焼成後に緻密な隔
壁が得られなかったり、感光性ペーストの感度や解像度
が低いという問題があった。このために高アスペクト比
の隔壁を得る為には、スクリーン印刷・露光・現像の工
程を繰返し行うことが必要であった。しかし、印刷・露
光・現像を繰返し行うのでは、位置合せの問題が生じた
り、コストの問題があり限界があった。
【0007】このため、特開平8−50811号公報で
は、感光性ガラスペースト法を用いて、隔壁を1回の露
光で形成する方法が提案されている。しかしながら、こ
の方法では、ピッチが200μm以下、隔壁の線幅が5
0μm以下の高精細隔壁を作製する際、感光性ペースト
中の無機成分と有機成分の割合によって、線幅の太り、
所望の線幅が得られない、または現像残りが発生し、い
わゆる残膜が発生したり、パターン形成性が悪いという
問題があった。また、焼成時に有機成分が消失し難く、
いわゆる脱バインダー性が悪く、剥がれ、着色の原因に
なったり、焼成時の収縮が大きくなり、所望の高さの隔
壁を得るためにパターン形成時の高さが高く必要にな
り、パターン形成時のマージンが小さく、歩留まりが悪
くなるという問題があった。
【0008】さらには、感光性ペーストはガラス微粒子
と感光性有機成分を必須とするが、パターン形成の工程
で優れた特性を示す成分組合わせであっても、次の焼成
工程において問題を生じることがある。すなわち、パタ
ーンを形成しているガラス微粒子と光反応で硬化してい
る有機成分はそれぞれ加熱される工程において溶融や熱
分解の作用を受けるが組合わせのバランスが悪い場合に
は、有機成分がガラス溶融物中に閉じ込められて炭化す
るという現象などが起こり、焼成されたパターンが着色
したり、パターンが基板から剥がれたりするという欠陥
が発生する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記した従来
技術の問題点を改良し、高アスペクト比で高精度のパタ
ーン加工が可能で、パターンの焼成時に有機成分が消失
し易く、焼成後に形成される隔壁に着色や剥がれのない
感光性ペーストを提供することをその目的とするもので
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、ガラス微粒子と感光性有機成分とを必須成分とする
感光性ガラスペーストにおいて、ガラス微粒子が、光反
応により形成される感光性有機成分の硬化物の熱重量分
析で減量率が80%に達する温度よりも10℃以上高い
ガラス転移点を有し、かつガラス軟化点が570℃以下
であることを特徴とする感光性ペーストによって達成さ
れる。
【0011】
【発明の実施の形態】通常、感光性ペーストは、基板上
に塗布され、露光により基板上にパターンを形成後、現
像、焼成工程を経て隔壁を形成する。従って、感光性ぺ
ーストには感度・解像度が良好であること、および焼成
における熱分解性が良好であることが要求される。
【0012】焼成工程では、光硬化反応の結果で形成さ
れた有機成分の3次元硬化物の熱分解と、ガラス微粒子
の溶融が並行して進行すると考えられ、これらがバラン
スよく進行しない場合には、パターンの変形や着色、基
板からの剥がれなどの欠陥が発生することになる。従っ
て、ガラス微粒子と感光性有機成分の熱分解性のバラン
スが重要であり、ガラス微粒子においては熱的特性であ
るガラス転移点やガラス軟化点が重要となる。
【0013】そこで本発明者らは、種々の感光性有機成
分に組み合わせるガラス微粒子の熱特性を検討した結
果、感光性ペーストに用いた感光性有機成分が光反応し
てできた硬化物の熱重量分析を行った場合において、温
度の上昇に伴って重量が減少していく過程の減量率が8
0%になる温度より10℃以上高いガラス転移点を有
し、かつガラス軟化点が570℃以下のガラス微粒子を
使用することにより焼成工程における欠陥発生が解消で
きることを見出したものである。感光性化合物の中に
は、感光性ペーストの感度や解像度を高く保つのに有効
であるが、焼成工程で炭化などのトラブルを起こしやす
い成分を含むものがある。しかしながら、本発明におい
てはガラス微粒子の熱的特性を前記の範囲に限定するこ
とによって、いろいろな種類の感光性化合物を感光性ペ
ースト中に含むことが可能となるものである。
【0014】本発明においては、有機成分の熱的特性を
評価する分析方法として、加熱温度と物質の重量変化と
の関係を基にして行う熱重量分析(Thermo−Gr
avimetric Analysis:TGA)法を
用いた。一般に、物質の温度を徐々に上昇させると熱分
解などによって重量が段階的に変化し、変化を起す温度
は物質に固有のものであることを利用した分析法であ
る。
【0015】本発明においてはこのTGA法における光
硬化した感光性有機成分の減量率が80%、すなわち、
測定前の重量の80%が失われた状態となる温度を目安
として、組み合わせるガラス微粒子のガラス転移点を選
択することが焼成における挙動が優れた感光性ペースト
の重要な条件となる。ガラス微粒子のガラス転移点が、
TGA法において光硬化した感光性有機成分の減量率が
80%となる温度より10℃以上高くないと、有機成分
がガラス溶融物中に閉じ込められて炭化するという現象
などが起こり、焼成されたパターンが着色したり、パタ
ーンが基板から剥がれたりするという欠陥が発生する。
【0016】なお、本発明においてTGA法の測定は空
気中で行うものとする。有機成分の熱的特性の評価とし
てTGA測定の多くは窒素雰囲気などの不活性ガス雰囲
気で行われるが、空気中では、単なる熱分解の他に酸化
分解なども加わるために炭素、水素、酸素などを主とし
て構成されている有機物の場合には、空気中での減量は
不活性ガス雰囲気中よりも低い温度で進行することが多
い。
【0017】感光性ペーストのパターン形成の過程で
は、感光性モノマ、感光性オリゴマもしくはポリマ、光
重合開始剤および増感剤を含む有機成分は光の作用によ
り、光分解、光開始による重合および架橋などの反応を
起こし、その結果、3次元構造を有する構造体に変化し
ていると推定される。
【0018】加えられた成分によって異なるが、例え
ば、これらの光反応による構造体のTGA測定の結果か
ら、80%減量率を示す温度として430〜500℃が
得られた場合、これらの温度より10℃以上高い温度を
ガラス転移点とするガラス微粒子を選択して用いること
が必要となり、即ち、ガラス微粒子のガラス転移点は4
40℃以上となる。もちろん、この数値によって用いら
れるガラス微粒子のガラス転移点の範囲を限定するもの
ではなく、用いる有機成分とその組合わせが異なれば8
0%減量率を示す温度が異なり、それより10℃以上高
いガラス転移点を有するガラス微粒子のガラス転移点の
範囲も異なってくる。
【0019】しかしながら、パターンの焼成温度が用い
る基板のガラス転移点を越えると、基板の歪みを生じさ
せる。一般的にPDPに用いられる基板のガラス転移点
から、本発明に用いるガラス微粒子のガラス軟化点が5
70℃を上限とする。
【0020】なお本発明においてガラス軟化点およびガ
ラス転移点は、示差熱分析(DTA)法を用いてガラス
試料100mgを20℃/分で空気中で加熱し、横軸に
温度、縦軸に熱量をプロットし、DTA曲線を描き、D
TA曲線より、ガラス軟化点、ガラス転移点を読みと
る。
【0021】本発明の感光性ペーストはガラス微粒子成
分と感光性有機成分を必須成分とするが、ガラス微粒子
成分/感光性有機成分の重量混合比は60/40〜90
/10であることが好ましい。ここで感光性有機成分と
は、感光性官能基を有するモノマおよびオリゴマもしく
はポリマ、光重合開始剤、増感剤およびその他の添加成
分を含む。しかしながら粘度調整等に使われる溶媒は、
塗布、乾燥工程の際に蒸発するため含まないこととす
る。ガラス微粒子の比率が60以上であると、焼成時に
感光性有機成分が消失しやすく、形成された隔壁の着色
や基板からの剥がれを防止する点で好ましい。また、高
精細パターン形成時にも、所望の線幅が得られやすい。
さらに、焼成時の収縮が小さくなり、焼成前のパターン
を高くしなくても所望の高さを得やすくなる。
【0022】ガラス微粒子成分比が90より少ないと、
ペースト中に気泡が入りにくく、光散乱が少なくなり、
容易に所望の線幅とすることができる。また、感光性有
機成分から構成される3次元硬化した樹脂成分の量が適
度であるため、パターン全体として硬化が十分となり、
パターン形成時に基板との密着性に優れ、剥がれにくく
なる。
【0023】ガラス微粒子成分と感光性有機成分からな
る感光性ペーストを用いて、隔壁パターンを形成する場
合、ガラス微粒子成分と感光性有機成分のそれぞれの屈
折率が異なる場合は、ペースト内部で光散乱が生じるた
めに高精度のパターン加工が困難である。ガラス微粒子
成分と感光性有機成分の屈折率を制御することによっ
て、光の散乱を抑制することができる。ガラス微粒子の
屈折率と感光性有機成分の屈折率の差が0.1以下であ
ることが好ましい。
【0024】しかし、一般に絶縁体として用いられるガ
ラス成分は、1.5〜1.9程度の屈折率を有している
のに対し、一般的な有機成分の屈折率は1.45〜1.
7程度であり、屈折率を整合するためには、ガラス微粒
子成分の屈折率を1.5〜1.8が好ましい。より好ま
しくは1.5〜1.7である。さらにガラス微粒子個々
の屈折率のバラツキが小さいことも光散乱低減には重要
であり、成分組成を均一化するとよい。
【0025】ガラス微粒子成分の屈折率が1.5〜1.
8であることによって、感光性有機成分との屈折率を整
合しやすくなり、ペーストの光線透過率向上(散乱や反
射の抑制)に結びつき、照射された光が塗布膜の最下部
まで直進的に透過する割合が増加するのでより高精度の
パターン形成が可能になる。
【0026】本発明におけるガラス微粒子の屈折率測定
は、ベッケ法によるものとし、測定する光の波長は、本
発明の感光性ペーストを塗布した後の露光の際用いる光
の波長で測定することが好ましい。
【0027】また感光性有機成分の屈折率とは、露光に
より感光性成分を感光させる時点における感光性ペース
ト中の感光性有機成分のことである。つまり、ペースト
を塗布し、乾燥工程後に、露光を行う場合は、乾燥工程
後の感光性ペースト中の感光性有機成分の屈折率のこと
である。本発明における感光性有機成分の屈折率の測定
は、一般的に行われるエリプソメトリー法やVブロック
法で行うものとし、測定は露光する光の波長で行うこと
が好ましい。
【0028】ガラス微粒子は上記のように屈折率の点の
みでなく、焼成時の溶融特性および隔壁としての物理特
性の点からの条件にも適合するように選ぶことが必要で
ある。プラズマディスプレイ用隔壁はガラス基板上に形
成されるので、該ガラス基板のガラス転移点以下の温度
で焼成しなければならないので低融点が要求される。す
なわち、上限はガラス基板の特性から限定されるが、優
れた特性を有する隔壁を生成するには、ペースト成分に
用いた感光性有機成分の光硬化物の熱重量分析において
初期重量が80%減量する温度より10℃以上高いガラ
ス転移点を有するものでなければならない。
【0029】本発明において、好ましいガラス微粒子の
例として、次の組成を有するものが挙げられる。
【0030】 酸化リチウム :3〜10重量% 酸化珪素 :15〜50重量% 酸化ホウ素 :15〜40重量% 酸化バリウム :2〜15重量% 酸化アルミニウム :6〜25重量% 酸化リチウム(Li2O)を3〜10重量%含有するガ
ラス微粒子を用いることによって、ガラス軟化点、熱膨
張係数のコントロールが容易になるだけでなく、ガラス
の屈折率を低くすることができるため、感光性有機成分
との屈折率差を小さくすることが容易になる。ペースト
の安定性を向上させる点でも、10重量%以下が好まし
く、より好ましくは8重量%以下である。
【0031】前記の組成において、酸化リチウムの代わ
りに、酸化ナトリウム、酸化カリウム等のアルカリ金属
酸化物を用いてもよいが、ペーストの安定性の点で酸化
リチウムが好ましい。酸化カリウムを用いた場合は、比
較的少量の添加でも屈折率の制御ができる利点があるこ
とから、アルカリ金属酸化物の中でも、酸化リチウムと
酸化カリウムの添加が有効である。その場合、アルカリ
金属の酸化物を合計で3〜10重量%含有するガラス微
粒子を用いることが好ましい。
【0032】酸化珪素(SiO2)は15〜50重量%
の範囲で配合することが好ましい。15重量%以上にす
ることによって、隔壁の緻密性、強度や安定性の向上の
点で好ましくまた熱膨張係数が所望の値となる。また、
50重量%以下にすることによって、ガラス軟化点が低
くなり、ガラス基板への焼き付けが可能になるなどの利
点がある。
【0033】酸化ホウ素(B23)は15〜40重量%
の範囲で配合することが、電気絶縁性、強度、熱膨張係
数、隔壁の緻密性などの電気、機械および熱的特性を向
上する点や、ガラスの安定性の点で好ましい。
【0034】酸化バリウム(BaO)は2〜15重量%
の範囲で配合することが、好ましい。2重量%以上にす
ることによって、ガラス焼き付け温度および電気絶縁性
を制御するのが容易となり、また、15重量%以下であ
ると隔壁の安定性や緻密性が向上する。
【0035】酸化アルミニウム(Al23)は6〜25
重量%の範囲で配合するのが好ましい。酸化アルミニウ
ムはガラスの歪み点を高めるために添加される。6重量
%以上にすることによって、隔壁の強度が向上する。ま
た25重量%以下にすることによってガラスの耐熱温度
を適度に保ち、ガラス基板上に焼き付けが容易である。
また、緻密な隔壁が600℃以下の温度で得られやすく
なる。
【0036】また前記した金属酸化物に加え、酸化亜
鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウムが配合されるこ
とが好ましい。
【0037】酸化亜鉛(ZnO)は1.5〜10重量%
の範囲で配合することが好ましい。1.5重量%以上に
することによって、隔壁の緻密性が向上する。10重量
%以下にすることによって、ガラス基板上に焼き付けす
る温度の制御が容易となり、絶縁抵抗を好ましい範囲と
できる。
【0038】酸化カルシウム(CaO)は2〜10重量
%の範囲で配合するのが好ましい。ガラスを溶融し易く
するとともに熱膨張係数を制御するのに添加される。2
重量%以上にすることによって、歪み点が適度に保たれ
る。
【0039】酸化マグネシウム(MgO)は1〜10重
量%の範囲で配合するのが好ましい。酸化マグネシウム
は、ガラスを溶融し易くするとともに熱膨張係数を制御
するために添加される。10重量%以下にすることによ
って、ガラスの失透を防止できる。
【0040】また、ガラス微粒子中に、酸化チタン、酸
化ジルコニウムなどを含有することができるが、その量
は2重量%未満であることが好ましい。酸化ジルコニウ
ムは、ガラス軟化点、ガラス転移点および電気絶縁性を
制御するのに効果がある。
【0041】ガラス微粒子の作製法としては、例えば原
料である酸化リチウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、
酸化ホウ素、酸化バリウムおよび酸化亜鉛を所定の配合
組成となるように混合し、900〜1200℃で溶融
後、急冷し、ガラスフリットにしてから粉砕して1〜5
μmの微細な粉末にする。原料は高純度の炭酸塩、酸化
物、水酸化物などを使用できる。また、ガラス微粒子の
種類や組成によっては99.99%以上の超高純度なア
ルコキシドや有機金属の原料を使用し、ゾル・ゲル法で
均質に作製した粉末を使用すると高電気抵抗で緻密な気
孔の少ない、高強度な絶縁層が得られるので好ましい。
【0042】上記において使用されるガラス微粒子粒子
径は、作製しようとする隔壁の線幅や高さを考慮して選
ばれるが、50体積%粒子径(平均粒子径D50)が1
〜6μm、最大粒子径サイズが30μm以下、比表面積
1.5〜4m2/gであることが好ましい。より好まし
くは10体積%粒子径(D10)0.4〜2μm、50
体積%粒子径(D50)1.5〜6μm、90体積%粒
子径(D90)4〜15μm、最大粒子径サイズが25
μm以下、比表面積1.5〜3.5m2/gを有してい
ることが好ましい。さらに好ましくはD50が2〜3.
5μm、比表面積1.5〜3m2/gである。
【0043】ここでD10、D50、D90は、それぞ
れ、粒径の小さいガラス粉末から累積していき、全量の
10体積%になった粒径をD10、同様に50体積%、
90体積%になった粒径をD50、D90と定義する。
【0044】上記のような粒度分布を持ったガラス微粒
子を用いることにより、ガラス微粒子の充填性が向上
し、感光性ペースト中のガラス微粒子比率を増加させて
も気泡を巻き込むことが少なくなり、余分な光錯乱が小
さいため、好ましいパターンが形状が形成できる。
【0045】また本発明において、感光性ペースト中の
感光性有機成分とは、感光性ペーストからガラス微粒子
成分を除いた部分のことであり、感光性ペーストの10
〜40重量%を占めることが好ましい。
【0046】感光性有機成分は、感光性モノマ、感光性
オリゴマ、感光性ポリマのうち少なくとも1種から選ば
れた感光性化合物と、バインダー、光重合開始剤、増感
剤、増感助剤、紫外線吸光剤、重合禁止剤、可塑剤、増
粘剤、酸化防止剤、分散剤、その他必要に応じて配合さ
れる添加剤が挙げられる。この時感光性化合物として、
感光性モノマおよび感光性オリゴマもしくは感光性ポリ
マが混合して配合されたものが好ましい。これらの感光
性有機成分は、パターン形成における露光・現像の工程
において重要な役割を担っており、さらに焼成工程にお
いては速やかに熱分解して消失することが好ましい。
【0047】感光性モノマとしては、活性な炭素−炭素
二重結合を有する化合物が挙げられるが、官能基とし
て、ビニル基、アリル基、アクリレート基、メタクリレ
ート基、アクリルアミド基を有する単官能および多官能
化合物が好ましい。本発明において、特に感光性有機成
分が、感光性モノマとして、多官能アクリレート化合物
および/または多官能メタクリレート化合物を10〜8
0重量%含有したものであることが好ましい。多官能ア
クリレート化合物および/または多官能メタクリレート
化合物は多様な種類の化合物が開発されているので、そ
れらの中から反応性、屈折率などを考慮して選択するこ
とが可能である。選択の基準としては、ペーストの安定
性、塗布性などの特性が良好か、感度、解像度の優れた
パターンが形成できるかなどがあるが、一方、焼成した
後のガラス成分で形成されたパターン状物を着色させた
り、その特性に影響を与えたりしないという条件が挙げ
られる。
【0048】感光性ペースト中に含まれる感光性有機成
分の屈折率を制御する方法としては、感光性モノマの屈
折率を制御する方法が簡便である。特に、屈折率1.5
5〜1.8の感光性モノマを用いることによって、感光
性有機成分の屈折率を高めることができる。このような
屈折率を有する感光性モノマとしては、ベンゼン環、ナ
フタレン環などの芳香環や硫黄原子を含有するアクリレ
ートもしくはメタクリレートモノマが好ましく挙げられ
る。
【0049】感光性ペーストを構成する感光性有機成分
において、光反応で形成される硬化物の物性の向上やペ
ーストの粘度の調整などの役割を果たすと共に、未露光
部の現像性をコントロールし、さらにはガラス微粒子を
分散させるバインダーの役割も可能な成分として、オリ
ゴマもしくはポリマが配合される。これらのオリゴマも
しくはポリマは、炭素ー炭素二重結合を有する化合物か
ら選ばれた成分の重合または共重合により得られた炭素
連鎖の骨格を有するものである。共重合するモノマとし
ては、不飽和カルボン酸などが有用であり、感光後に未
露光部分をアルカリ水溶液で現像できる感光性ペースト
とすることができる。不飽和カルボン酸の具体的な例と
して、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロト
ン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸またはこれら
の酸無水物などがあげられる。
【0050】こうして得られた側鎖にカルボキシル基な
どの酸基を有するオリゴマもしくはポリマの酸価(A
V)は50〜180にコントロールするのが現像許容
幅、未露光部の現像液に対する溶解性の点で好ましい。
より好ましくは70〜140である。
【0051】本発明において感光性有機成分に、分子内
にカルボキシル基と不飽和二重結合を含有する重量平均
分子量500〜10万のオリゴマもしくはポリマが含ま
れることが最も好ましいが、不飽和二重結合を導入する
には、上記のようなカルボキシル基を側鎖に有するオリ
ゴマもしくはポリマに、グリシジル基やイソシアネート
基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロラ
イド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライド
を付加反応させる方法が適用される。アルカリ水溶液現
像性のためのカルボキシル基数とオリゴマもしくはポリ
マを感光性にするエチレン性不飽和基数とは、反応条件
により自由に選択することができる。
【0052】前記した分子内にカルボキシル基と不飽和
二重結合を含有するオリゴマもしくはポリマは、それ自
身が感光性を有するものであるため、高い感度としっか
りしたパターン形成が可能になる。かつ前記オリゴマも
しくはポリマは焼成工程において速やかに熱分解して除
去されるべきものであり、主鎖分子構造が熱分解し易い
構造のもの選択するとよい。
【0053】感光性有機成分中に、バインダーが配合さ
れる場合は、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラ
ール、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステ
ル重合体、それらの共重合体などを用いることができ
る。
【0054】前記した感光性モノマ、オリゴマもしくは
ポリマは、いずれも活性光線のエネルギー吸収能力はな
いので、感光性有機成分には、光反応を開始するために
は光重合開始剤や増感剤が配合される必要がある。
【0055】感光性ペーストによるパターン形成は、露
光された部分の感光性成分(モノマ、オリゴマ、ポリ
マ)を重合および架橋させて現像液に不溶性にすること
であり、用いる感光性を示す官能基はラジカル重合性で
あるため、光重合開始剤はラジカル種を発生するものか
ら選んで用いられる。光重合開始剤には、1分子系直接
開裂型、イオン対間電子移動型、水素引き抜き型、2分
子複合系など機構的に異なる種類があるが、本発明にお
いては主として、1分子系直接開裂型から選ばれた化合
物を用いている。例えば、ベンゾインアルキルエーテル
やα,α−ジメトキシ−α−モルフォリノアセトンフェ
ノン,α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトンフェ
ノンなどが好ましい。また、過酸化物、ホスフィンオキ
シド、硫黄化合物、ハロゲン化合物なども好ましい。こ
れらは1種または2種以上配合される。光重合開始剤
は、一般的には、感光性化合物に対して0.05〜10
重量%、好ましくは、0.1〜10重量%配合される
が、本発明においては、ガラス微粒子の量を考慮して感
光性成分に対し2〜30重量%配合されるのが好まし
い。
【0056】さらに感光性有機成分に、光重合開始剤と
共に増感剤が配合されることにより、感度を向上させた
り(化学増感)、反応に有効な波長範囲を拡大する(分
光増感)ことができる。増感剤の作用機構にも種々のも
のがあるが、三重項増感剤と称されるものが最もよく使
われる。それらの中には、炭化水素系化合物、アミノ・
ニトロ化合物、キノン類、キサントン類、アンスロン
類、ケトン類、有機色素類がある。これらの中には光重
合開始剤としての作用を有するものも含まれている。本
発明の感光性ペーストにおいては、キサントン類から選
ばれた化合物が好ましく、2,4−ジエチルチオキサン
トン、イソプロピルチオキサントンなどが例示される。
これらは1種または2種以上配合される。
【0057】増感剤の配合量としては、通常感光性成分
に対して0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜1
0重量%であるが、本発明の感光性ペーストの場合には
ガラス微粒子の量を考慮して感光性化合物に対して2〜
30重量%配合されることが好ましい。
【0058】光重合開始剤および増感剤が、少な過ぎる
と十分な感度が得られず、また、多くすることによって
感度を高めることは可能であるものの、多すぎると硬化
した部分の重合度が十分に高くならず、露光部の残存率
が小さくなるおそれがあり、また、パターン間での不要
な硬化が発生して残膜が形成されるなどの不都合が起
る。光重合開始剤と増感剤を適量配合することが適度の
感度で優れた形状を示すパターンを形成するのに重要で
ある。
【0059】さらに感光性ペーストには、紫外線吸光剤
が配合されることが優れた形状のパターン加工のために
有効である。紫外光の吸収効果の高い化合物が含まれる
ことによって、より高アスペクト比、高精細、高解像度
が得られる。紫外線吸光剤としては有機系染料からなる
もの、中でも350〜450nmの波長範囲で高い吸光
係数を有するものが好ましく用いられる。
【0060】具体的にはアゾ系染料、アミノケトン系染
料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アントラキノ
ン系染料、ベンゾフェノン系染料、ジフェニルシアノア
クリレート系染料、トリアジン系染料、p−アミノ安息
香酸系染料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ系
およびベンゾフェノン系染料が好ましい。有機系染料は
紫外線吸光剤として配合されていても、焼成後の絶縁膜
中に残存しないので絶縁特性の低下を少なくできるので
好ましい。
【0061】紫外線吸光剤としての有機系染料の配合量
は、感光性ペースト中に分散されるガラス微粒子に対し
て0.05〜1重量%であることが好ましい。添加方法
としては、この紫外線吸光剤を予め有機溶媒に溶解した
溶液を作製し、それをペースト作製時に混練する方法
や、該染料溶液中にガラス微粒子を混合し乾燥する方法
がある。後者の方法ではガラス微粒子の個々の粒子表面
に有機染料膜をコートした、いわゆるカプセル状のガラ
ス粉末が作製できる。これにより、ガラス微粒子の界面
における反射が抑制され、不要な光反応が阻止されるの
で、パターンの太りや残膜発生が防止されるものと推定
される。
【0062】感光性ペースト中には、その他必要に応じ
て、保存時の熱安定性を向上させるための重合禁止剤、
アクリル系共重合体の酸化を防ぐための酸化防止剤、そ
の他可塑剤などを配合することができる。
【0063】また、有機成分に含まれる感光性モノマ、
感光性オリゴマもしくはポリマ、種々の添加剤の熱分解
特性とガラス微粒子成分の熱特性の釣り合いを考えるこ
とが、隔壁が褐色に着色したり、隔壁が基板から剥がれ
たりする欠陥の発生防止の点から好ましい。
【0064】さらに感光性ペーストをガラス基板に塗布
する時、塗布方法に応じて粘度を調整するために有機溶
媒が使用される。この時使用される有機溶媒としては、
メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソル
ブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シク
ロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジ
メチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトンなどやこれ
らのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いら
れる。
【0065】本発明の感光性ペーストは、ガラス微粒
子、紫外線吸光剤、感光性モノマ、感光性オリゴマもし
くはポリマ、光重合開始剤、増感剤、その他の添加剤お
よび溶媒などの各種成分を所定の組成となるように調合
した後、3本ローラや混練機で均質に混合分散し作製さ
れる。
【0066】感光性ペーストを用いたパターン形成と焼
成による隔壁形成は次のように行われる。先ず、ガラス
基板に感光性ペーストを塗布する。塗布方法としては、
スクリーン印刷法、バーコーター法、ロールコーター
法、スリットダイ法、ドクターブレード法など一般的な
方法を用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、ス
クリーン印刷のスクリーンメッシュ、ペーストの粘度を
選ぶことによって調整できる。ペーストの粘度はガラス
微粒子、感光性成分、増粘剤、可塑剤などの添加割合に
もよるが、有機溶媒によって、その範囲を2000〜2
0万cps(センチ・ポイズ)とし、例えば、ガラス基
板への塗布をスクリーン印刷法で1回塗布して膜厚10
〜20μmを得るには5万〜20万cpsが好ましい。
スピンコート法には2000〜5000cps、ブレー
ドコーター法やダイコーター法などを用いる場合は1万
〜2万cpsが好ましい。
【0067】感光性ペーストを、必要に応じて表面処理
したガラス基板上または誘電体層を形成した上に塗布し
た後、露光装置を用いて露光を行う。露光は通常のフォ
トリソグラフィ技術で行われるように、フォトマスクを
介して行われる。この際にフォトマスクを感光性ペース
トの塗布膜表面に密着する方法あるいは一定の間隔をあ
けて行うプロキシミティー露光法のいずれを用いてもよ
い。
【0068】露光に使用される活性光線は、紫外線が最
も好ましく、その光源として、例えば、低圧水銀灯、高
圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプなどが使用さ
れる。超高圧水銀灯を光源とした平行光線を用いプロキ
シミティー露光機を用いるのが一般的である。露光条件
は感光性ペーストの塗布厚みによって異なるが、1〜1
00mW/cm2の出力の超高圧水銀灯を用いて0.5
〜30分間露光を行う。
【0069】露光後、露光部分と未露光部分の現像液に
対する溶解度差を利用して、現像を行うが、この場合、
浸漬法、スプレー法、ブラシ法などが用いられる。現像
液には、感光性ペースト中の有機成分、特に感光性オリ
ゴマもしくはポリマが溶解可能な溶液を用いる。本発明
の感光性ペーストにおいて好ましい感光性オリゴマもし
くはポリマはカルボキシル基を側鎖に有するものであ
り、この場合アルカリ水溶液で現像することができる。
【0070】アルカリ水溶液としては水酸化ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウムの水溶液などが
使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時
にアルカリ成分を除去し易いので好ましい。 有機アル
カリとしては、一般的なアミン化合物を用いることがで
きる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキ
サイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイ
ド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが
あげられる。アルカリ濃度が低すぎれば可溶部が完全に
除去されず、アルカリ濃度が高すぎれば、露光部のパタ
ーンを剥離させたり、侵食したりするおそれがある。こ
のためアルカリ水溶液の濃度は通常0.05〜5重量
%、より好ましくは0.1〜1重量%である。現像時の
温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好まし
い。
【0071】感光性ペーストの塗布から露光・現像の工
程を経て形成されたパターンは、次に焼成炉で焼成され
て、感光性有機成分を熱分解して除去し、同時にガラス
微粒子成分を溶融させて無機質の隔壁を形成する。焼成
雰囲気や温度は、ペーストや基板の特性によって異なる
が、空気中、窒素、水素などの雰囲気で焼成される。焼
成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼
成炉を用いことができる。
【0072】バッチ式の焼成を行うには通常、パターン
が形成されたガラス基板を室温から500℃程度まで数
時間掛けてほぼ等速で昇温した後、焼成温度として設定
された560〜580℃に30〜40分間で上昇させ
て、15〜30分間保持して焼成を行う。焼成温度は用
いるガラス基板のガラス転移点より低くなければならな
いので自ずから上限が存在する。焼成温度が高すぎた
り、焼成時間が長すぎたりすると隔壁の形状にダレなど
の欠陥が発生する。
【0073】本発明では、前記した熱特性を有するガラ
ス微粒子成分を用いているので、隔壁が褐色に着色した
り、隔壁が基板から剥がれたりする欠陥が発生すること
なく、パターン化された高アスペクト比で高精細の隔壁
を得ることができる。
【0074】以下、本発明を実施例を用いて具体的に説
明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0075】なお、本発明において熱重量分析で減量率
が80%に達する温度の測定は次の方法で行うものと
し、実施例中の略記号も次の通りである。なお濃度は断
りのない限り重量%を意味する。
【0076】1.TGA法における減量率が80%に達
する温度の測定 まず感光性有機成分をガラス基板上に乾燥後10μm厚
みになるようスピンナーで塗布、乾燥し、500mJ/
cm2で光硬化させた。それをはぎ取り、10〜20m
g秤量した。これをの熱重量分析装置TGA−50型
(島津製作所社製)の白金製の試料皿にいれ、20ml
/分、空気気流下、昇温速度10℃/分で、試料を室温
から600℃まで昇温させた。その間の重量変化を測定
し、重量が80%減量したところの温度を求めた。
【0077】2.略記号の説明 X−4007:40%メタクリル酸、30%メチルメタ
クリレート、30%スチレンからなる共重合体のカルボ
キシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレー
トを付加重合させた重量平均分子量43,000、酸価
95の感光性ポリマ。
【0078】MGP400:X2-N-CH(CH3)-CH2-(O-CH2-
CH(CH3))n-N-X2 X:-CH2-CH(OH)-CH2O-CO-C(CH3)=CH2 n=2〜10 GX :X2-N-CH2-Ph-CH2-N-X2 X:-CH2-CH(OH)-CH2O-CO-C(CH3)=CH2 TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート IC−369:Irgacure−369(チバ・ガイ
ギー製品)2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−
(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1 DETX−S:2,4−ジエチルチオキサントン
【0079】
【実施例】
実施例1 ガラス微粒子として、組成(分析値)が、Li2O:
8.6%、SiO2:20.1%、B23:31%、B
aO:3.8%、Al23:20.6%、ZnO:2.
1%、MgO:5.9%、CaO:4.2%のものを用
意した。このガラス微粒子のガラス転移点は472℃、
ガラス軟化点は515℃、平均粒子径は2.6μmであ
り、屈折率は1.58であった。この組成のガラス微粒
子に対して、紫外線吸光剤をコーティング処理した。紫
外線吸光剤としてはスダンIV(東京化成工業(株)製)
をガラス微粒子に対して0.1%使用した。
【0080】このように処理したガラス微粒子70重量
部に、感光性有機成分として、感光性ポリマ(X−40
07):15重量部、感光性モノマ(MGP400):
15重量部、光重合開始剤(IC−369):2.4重
量部および増感剤(DETX−S):2.4重量部を配
合した。
【0081】この時、ガラス微粒子70重量部の0.1
%にあたる0.007重量部の紫外線吸光剤スダンIV
(東京化成工業(株)製)を感光性有機成分に添加し、
TGA法により感光性有機成分の重量減量率が80%と
なる温度を測定したところ450℃であった。
【0082】感光性有機成分の各成分および紫外線吸光
剤をコート処理した無機微粒子を混合し、3本ローラー
で混練するという手順で感光性ペーストを作製した。粘
度はγ−ブチロラクトンの量を感光性ペースト中10〜
40%になるようにし、粘度を調整した。
【0083】パターン形成用のサンプルは、A4サイズ
のソーダガラス基板上に、感光性ペーストをスクリーン
印刷により、均一に塗布した。塗布膜にピンホールなど
の発生を回避する為に塗布・乾燥を数回繰返し行い、乾
燥厚みが180μmになるように塗布した。途中の乾燥
は80℃で10分間行った。所定の厚みに塗布した後、
80℃で40分乾燥した。
【0084】次にプラズマディスプレイ用の隔壁パター
ン形成を目的としたフォトマスク(ストライプ状パター
ン、パターンピッチ150μm、線幅20μm)を介し
てパターン形成用サンプルにプロキシミティ露光を行っ
た。露光は、50mW/cm2の出力の超高圧水銀灯で
1J/cm2の紫外線露光を行った。その後、モノエタ
ノールアミンの0.3%水溶液をシャワーで120秒間
かけることにより現像し、その後、シャワースプレーを
用いて水洗浄し、光硬化していないスペース部分を除去
してガラス基板上にストライプ状の隔壁パターンを形成
した。
【0085】パターンの加工を終了したガラス基板を8
0℃で15分乾燥した後、560℃で15分焼成し隔壁
を形成した。焼成により約30%程度の収縮が生じた。
この感光性ペーストの塗布膜に対してマスク露光・現
像を行って形成した隔壁パターンの形状を電子顕微鏡観
察した。その断面形状は矩形形状であり、高さ180μ
m、線幅(半値幅)は43μmであった。スペース部分
に残膜はなく高アスペクト比のパターンが得られた。
【0086】焼成した後に得られた隔壁は、高さ140
μm、線幅(半値幅)33μmの剥がれのない、ほぼ白
色の良好なものであった。
【0087】実施例2 ガラス微粒子として、組成(分析値)が、Li2O:
6.7%、SiO2:22%、B23:32%、Ba
O:3.9%、Al23:19%、ZnO:2.2%、
MgO:5.5%、CaO:4.1%のものを用意し
た。このガラス微粒子は実施例1で用いたものと成分は
同じであるが、 各金属酸化物の量が異なり、従ってガ
ラス転移点は497℃、ガラス軟化点は530℃となり
いずれも高くなっている。平均粒子径は2.9μm、屈
折率は1.59であった。この組成のガラス微粒子に対
して、紫外線吸光剤をコーティング処理した。紫外線吸
光剤としてはスダンIVをガラス微粒子に対して0.1%
使用した。
【0088】このように処理したガラス微粒子70重量
部に、感光性有機成分として、感光性ポリマ(X−40
07):10重量部、感光性モノマ(GX):20重量
部、光重合開始剤(IC−369):3重量部および増
感剤(DETX−S):1.8重量部を配合した。この
時、TGA法により感光性有機成分の重量減量率が80
%となる温度を測定したところ470℃であった。
【0089】上記の組成のガラス微粒子と感光性有機成
分を組み合わせて、実施例1と同様に感光性ペーストの
作製を行い、該感光性ペーストにより、実施例1と同様
に処理してパターン化と焼成を行った結果、着色がな
く、剥がれも発生しないことが確認された。
【0090】比較例1 感光性モノマをTMPTAに変えた以外は実施例1と同
様に感光性ペーストを作製した。使用した感光性有機成
分のみを空気中で熱重量分析した結果、80%減量率を
示す温度は480℃であり、ガラス転移点(472℃)
よりも高かった。
【0091】この感光性ペーストを用いて実施例1と同
様に処理してパターン化と焼成を行った結果、褐色とな
り、全体に剥がれが生じた。
【0092】
【発明の効果】本発明の感光性ペーストは、ガラス微粒
子と感光性有機成分とを必須成分とする感光性ガラスペ
ーストにおいて、ガラス微粒子が、光反応により形成さ
れる感光性有機成分の硬化物の熱重量分析で減量率が8
0%に達する温度よりも10℃以上高いガラス転移点を
有し、かつガラス軟化点が570℃以下であるため、高
アスペクト比かつ高精度のパターン加工が可能になると
共に、焼成後に形成される隔壁が着色や剥がれのない優
れたものにすることができる。このため、ディスプレ
イ、回路材料などの厚膜、高精度のパターン加工が可能
になり、精細性の向上、工程の簡略化が可能になる。特
に、簡便に、高精度のPDPの隔壁を形成することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G03F 7/027 502 G03F 7/027 502 7/028 7/028 H01J 9/02 H01J 9/02 F

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス微粒子と感光性有機成分とを必須成
    分とする感光性ガラスペーストにおいて、ガラス微粒子
    が、光反応により形成される感光性有機成分の硬化物の
    熱重量分析で減量率が80%に達する温度よりも10℃
    以上高いガラス転移点を有し、かつガラス軟化点が57
    0℃以下であることを特徴とする感光性ペースト。
  2. 【請求項2】ガラス微粒子と感光性有機成分との重量混
    合比が60/40〜90/10であることを特徴とする
    請求項1記載の感光性ペースト。
  3. 【請求項3】ガラス微粒子の屈折率が1.5〜1.7で
    あることを特徴とする請求項1または2記載の感光性ペ
    ースト。
  4. 【請求項4】ガラス微粒子の成分が、下記組成であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の感光性
    ペースト。 酸化リチウム :3〜10重量% 酸化珪素 :15〜50重量% 酸化ホウ素 :15〜40重量% 酸化バリウム :2〜15重量% 酸化アルミニウム :6〜25重量%
  5. 【請求項5】感光性有機成分が、感光性モノマと感光性
    オリゴマもしくは感光性ポリマを主成分とし、光重合開
    始剤、増感剤を含むことを特徴とする請求項1〜4いず
    れか1項記載の感光性ペースト。
  6. 【請求項6】感光性有機成分が、感光性モノマとして多
    官能アクリレート化合物および/またはメタクリレート
    化合物を10〜80重量%含むことを特徴とする請求項
    5記載の感光性ペースト。
  7. 【請求項7】感光性有機成分が、感光性オリゴマもしく
    は感光性ポリマとして、分子内にカルボキシル基および
    不飽和二重結合を含有する重量平均分子量500〜10
    万のオリゴマもしくはポリマを10〜90重量%含むこ
    とを特徴とする請求項5または6記載の感光性ペース
    ト。
  8. 【請求項8】有機染料から選ばれた紫外線吸光剤をガラ
    ス微粒子に対して0.05〜1重量%含むことを特徴と
    する請求項1〜7いずれか1項記載の感光性ペースト。
  9. 【請求項9】プラズマディスプレイやプラズマアドレス
    液晶ディスプレイにおいてパターン形成に用いることを
    特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の感光
    性ペースト。
JP21487197A 1997-08-08 1997-08-08 感光性ペースト Pending JPH1152561A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21487197A JPH1152561A (ja) 1997-08-08 1997-08-08 感光性ペースト

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21487197A JPH1152561A (ja) 1997-08-08 1997-08-08 感光性ペースト

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1152561A true JPH1152561A (ja) 1999-02-26

Family

ID=16662952

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21487197A Pending JPH1152561A (ja) 1997-08-08 1997-08-08 感光性ペースト

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1152561A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013176022A1 (ja) 2012-05-25 2013-11-28 東レ株式会社 隔壁ペースト、隔壁を有する部材の製造方法及び隔壁を有する部材
KR20140043046A (ko) 2011-03-28 2014-04-08 도레이 카부시키가이샤 페이스트 및 평면 디스플레이용 패널의 제조방법

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20140043046A (ko) 2011-03-28 2014-04-08 도레이 카부시키가이샤 페이스트 및 평면 디스플레이용 패널의 제조방법
WO2013176022A1 (ja) 2012-05-25 2013-11-28 東レ株式会社 隔壁ペースト、隔壁を有する部材の製造方法及び隔壁を有する部材
KR20150013141A (ko) 2012-05-25 2015-02-04 도레이 카부시키가이샤 격벽 페이스트, 격벽을 갖는 부재의 제조방법 및 격벽을 갖는 부재
US9481601B2 (en) 2012-05-25 2016-11-01 Toray Industries, Inc. Barrier rib paste, method of manufacturing member including barrier rib, and member including barrier rib

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2013176022A1 (ja) 隔壁ペースト、隔壁を有する部材の製造方法及び隔壁を有する部材
JPH11323147A (ja) 誘電体ペーストおよびそれを用いたディスプレイ基板の製造方法
JPH09110466A (ja) 感光性絶縁ガラスペースト
JP4092754B2 (ja) プラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法
JPH11185601A (ja) プラズマディスプレイの製造方法
JP2002023383A (ja) 感光性ペーストおよびそれを用いたディスプレイ用部材、並びにディスプレイ用部材の製造方法
JP3959811B2 (ja) プラズマディスプレイパネル用基板の製造方法
JPH1152561A (ja) 感光性ペースト
JP3520663B2 (ja) 感光性ペースト
JP3520733B2 (ja) プラズマディスプレイの製造方法
JP3900597B2 (ja) 感光性ペースト
JPH11256047A (ja) 感光性ペースト
JPH1053433A (ja) 感光性ペースト
JPH1196918A (ja) プラズマディスプレイ
JPH1165102A (ja) 感光性ペースト
JPH10120432A (ja) 感光性ペーストおよびそれを用いたプラズマディスプレイの製造方法
JP2006145750A (ja) 感光性ペースト、それを用いたプラズマディスプレイ用パネルの製造方法およびプラズマディスプレイ用パネル
JPH11111165A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JPH11111164A (ja) プラズマディスプレイの製造法
JP4744654B2 (ja) プラズマディスプレイおよびその製造方法
JPH10275564A (ja) プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法
JPH1172909A (ja) 感光性ペースト
JPH1173888A (ja) 放電型ディスプレイ用基板およびその製造方法
JPH11219654A (ja) プラズマディスプレイ用隔壁の製造方法
JPH11213877A (ja) プラズマディスプレイ用基板、プラズマディスプレイおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040806

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061219

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070424