JP2002115161A - 多孔性繊維集積体およびその製造方法 - Google Patents

多孔性繊維集積体およびその製造方法

Info

Publication number
JP2002115161A
JP2002115161A JP2000310361A JP2000310361A JP2002115161A JP 2002115161 A JP2002115161 A JP 2002115161A JP 2000310361 A JP2000310361 A JP 2000310361A JP 2000310361 A JP2000310361 A JP 2000310361A JP 2002115161 A JP2002115161 A JP 2002115161A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
layer
porous
porous fiber
fiber assembly
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000310361A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4485040B2 (ja
Inventor
Toshiaki Yamaguchi
俊朗 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2000310361A priority Critical patent/JP4485040B2/ja
Publication of JP2002115161A publication Critical patent/JP2002115161A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4485040B2 publication Critical patent/JP4485040B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 捲縮繊維の交絡構造にセル状空隙部を併有す
る新規な繊維集積体、およびその製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】 湿熱接着性捲縮繊維を10〜100質量
%含む多孔性繊維集積体であって、該繊維集積体内部に
は、多数の不定形のセル状空隙部が単独でまたは複数個
が部分的に連なった状態で存在し、該繊維集積体を構成
する繊維の少なくとも一部が湿熱接着性捲縮繊維によっ
て熱接着されていることを特徴とする多孔性繊維集積
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多孔性繊維集積体に
関し、さらに詳しくは繊維集積体内部に多数の不定形の
セル状空隙部を有する新規な多孔性繊維集積体およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】不織布またはブロック状の繊維集積体を
接着剤または接着性繊維で接着した製品は広く使用され
ている。これらの製品は用途によっては、嵩高さが要求
され、そのために種々の提案がなされている。例えば、
繊維集積体に発泡性樹脂を含浸させ、該樹脂の発泡によ
って嵩高さを与える方法、水溶性繊維を混入した繊維集
積体から該水溶性繊維を溶解して、嵩高さを与える方法
などが提案されている。これらの技術は繊維集積体にあ
る程度の嵩高さを与えるが、その効果は非常に低いもの
である。
【0003】また前者の技術では、繊維が樹脂に埋包さ
れるため、柔軟さ、吸湿性などの繊維本来の性質が発現
できない問題がある。後者の技術では、繊維間に形成さ
れる空隙のサイズは溶解除去され、繊維のそれ以上とは
ならず、その結果、空隙率は低く制限され、また原料繊
維の一部が溶解除去されることから繊維の利用率が低い
との問題もある。
【0004】さらに、特開昭59−76959号公報、
特開昭60−28565号公報には、繊維表面を構成す
る成分に発泡剤としてアゾジカルボン酸アミドを含有さ
せ、該表面に多数の微細な開裂孔を形成させたポリプロ
ピレン繊維とバインダー繊維とを混合して、熱処理する
ことにより得られる不織布が開示されている。しかし、
この方法で得られた不織布はセル状空隙を有するもので
はなく、繊維表面に微細な開裂孔が存在して、合成繊維
の表面ぬめり感を改善するものである。一方、詰め綿は
布団やぬいぐるみ人形の中綿および布団の中芯材に適用
されているが、いずれも綿がランダムに絡合した均質な
構造であり、セル状空隙部は存在しない。従来、繊維だ
けからなり、かつ不定形のセル状空隙部を持つ空隙率の
極めて高い繊維集積体は知られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、繊維の交絡
構造とセル状空隙部を併有する新規な繊維集積体、およ
びその製造方法に関し、さらに本発明は、嵩高性に優れ
た繊維集積体を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】 すなわち本発明は、湿
熱接着性捲縮繊維を10〜100質量%含む多孔性繊維
集積体であって、該繊維集積体内部には、多数の不定形
のセル状空隙部が単独でまたは複数個が部分的に連なっ
た状態で存在し、該繊維集積体を構成する繊維の少なく
とも一部が湿熱接着性捲縮繊維によって熱接着されてい
ることを特徴とする多孔性繊維集積体である。
【0007】また本発明は、湿熱接着性捲縮繊維を10
〜100質量%含む繊維集積体に水を含浸し、次いで含
水繊維集積体を加熱し該繊維集積体層内に沸騰による気
泡を生じさせ、該繊維集積体内部に多数の不定形の空洞
部を形成せしめると同時に湿熱接着性繊維によって繊維
集積体を構成する繊維の少なくとも一部を熱接着するこ
とを特徴とする多孔性繊維集積体の製造方法である。
【0008】なお、本発明において「繊維集積体」なる
用語は、セル状空隙部を形成せしめたものと該空隙部を
形成せしめる前の原料の両者に対して使用される。
【0009】
【発明の実施の形態】 本発明の繊維集積体に含まれる
湿熱接着捲縮繊維とは、約95〜100℃の熱水で軟化
して、自己接着性または他の繊維に接着するポリマー成
分を含有する捲縮繊維である。該捲縮繊維の捲縮形態
は、平面的なジグザグ状の捲縮や、仮撚による立体捲
縮、サイドバイサイド型複合繊維、偏心芯鞘型複合繊
維、非対称冷却繊維などによって発現するコイル状の立
体捲縮等、特に限定されるものではないが、多孔性繊維
集積体の嵩高性、柔軟性、通気性の観点から立体捲縮を
有していることが好ましく、特に仮撚捲縮繊維が好まし
い。
【0010】本発明の湿熱接着性捲縮繊維は、捲縮率が
5%以上であることが好ましく、さらに好ましくは10
〜30%である。捲縮率が、5%未満であると、後述す
るセル状空隙部の形成による空隙率が不十分となり、本
発明の目的である嵩高な繊維集積体が得られにくい場合
がある。
【0011】該繊維を構成する湿熱接着性のポリマーと
しては、例えば、アクリルアミドを一成分とする共重合
体、ポリ乳酸、エチレン−ビニルアルコール系共重合体
などを挙げることができるが、中でもエチレン−ビニル
アルコール系共重合体が好ましく用いられる。エチレン
−ビニルアルコール系共重合体とは、ポリビニルアルコ
ールにエチレン残基が10モル%以上、60モル%以下
共重合されたものを示す。とくにエチレン残基が30モ
ル%以上、50モル%以下共重合されたものが、湿熱接
着性の点で好ましい。また、ビニルアルコール部分は9
5モル%以上の鹸化度を持つものが好ましい。エチレン
残基が多いことにより、湿熱接着性を有するが熱水には
溶解性しないという、特異な性質が得られる。重合度は
必要に応じて選択できるが、通常は400から1500
程度である。目的とする多孔性繊維集積体とした後、染
色性付与または繊維改質などの後加工のために、エチレ
ン−ビニルアルコ−ル系共重合体を部分架橋処理するこ
ともできる。
【0012】湿熱接着性捲縮繊維としては、上記の共重
合体単独からなる繊維でもよいし、他の熱可塑性重合体
との複合繊維や、他の熱可塑性重合体からなる繊維に該
共重合体をコートした繊維でもよい。他の熱可塑性重合
体としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレ
ン等を挙げることができるが、耐熱性、寸法安定性等の
点で融点がエチレン−ビニルアルコール系共重合体より
高いポリエステル、ポリアミド等が好ましく用いられ
る。
【0013】ポリエステルとしてはテレフタル酸、イソ
フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、フタル
酸、α,β−(4−カルボキシフェノキシ)エタン、
4,4’−ジカルボキシジフェニル、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アゼライン
酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸ま
たはこれらのエステル類;エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−
ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペン
チルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノー
ル、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリ
コール等のジオールからなる繊維形成性のポリエステル
を挙げることができ、構成単位の80モル%以上がエチ
レンテレフタレート単位であることが好ましい。
【0014】ポリアミドとしてはナイロン6、ナイロン
66、ナイロン12を主成分とする脂肪族ポリアミド、
半芳香族ポリアミドを挙げることができ、少量の第3成
分を含有するポリアミドでもよい。
【0015】エチレン−ビニルアルコール系共重合体と
他の熱可塑性重合体からなる複合繊維とする場合は、複
合比は前者:後者(重量比)=10:90〜90:1
0、とくに30:70〜70:30であることが、紡糸
性の点で好ましい。また、複合形態は従来公知の複合形
態であれば特に限定はなく、該共重合体が繊維表面の少
なくとも一部、好ましくは50%以上露出しているもの
であれば、芯鞘型、偏心芯鞘型、多層貼合型、サイドバ
イサイド型、ランダム複合型、放射状貼合型等を挙げる
ことができる。これらの繊維の断面形状は中実断面形状
である丸断面や異型断面形状に限らず、中空断面形状
等、種々の断面形状とすることができる。人体の清掃
材、精密機器、医療機器、貴金属製品、チューブ、鏡、
レンズ、ガラス、プラスチック製品、陶磁器などの清掃
材、化粧用材などに用いる場合は、複合繊維として分割
型複合繊維を使用し、0.11dtex以下、より好ま
しくは0.01dtex以下の単繊維からなる多孔性繊
維集積体とすることが、風合およびワイピング性能の点
から好ましい。 また、他の熱可塑性繊維にエチレン−
ビニルアルコール系共重合体をコーテイングした繊維に
おいては、該共重合体が他の繊維の表面を1/3以上被
覆していることが好ましく、さらに好ましくは1/2以
上である。
【0016】本発明の多孔性繊維集積体は上記の湿熱接
着性捲縮繊維を10〜100質量%含むことが必要であ
り、好ましくは30〜100質量%であり、さらに好ま
しくは50〜100質量%である。湿熱接着性捲縮繊維
が10質量%を下回ると繊維の接着が不十分となり、ま
たセル状空隙部の形成が不十分となる。該多孔性繊維集
積体は、織編物、不織布、ブロック状繊維構造物、これ
らの複合積層体など特に限定されず、詰め綿方式、型綿
方式による集積体およびニードルパンチを含む各種の不
織布が好ましい。さらに、他の不織布、布帛、フィル
ム、網状物が積層またはサンドイッチされたものであっ
てもよい。
【0017】また、多孔性繊維集積体は平面二次元的な
形状に限らず、矩形、円筒、球、人形動物などの不定形
の任意の三次元形状とすることも可能である。例えば、
上記の形に成形した型枠に繊維を吹込んで製造した3次
元の多孔性繊維集積体を使用することができる。一方、
多孔性繊維集積体を構成する湿熱接着性捲縮繊維以外の
繊維は特に限定されず、天然繊維、半合成繊維および合
成繊維を使用することができ、目的によって選定する。
本発明の多孔性繊維集積体中に形成されるセル状空隙部
は、その形状は球形から雲型などの各種の不定形を含
み、多孔性繊維集積体を構成する繊維の繊維間空壁とは
明確に区別できる大きさをもつ空洞状の空間であり、そ
の大きさも長径約1mmから約30mmに亘り広い分布
を有する。セル状空隙部は多孔性繊維集積体内におい
て、単独でまたは複数個が部分的に連なった状態で存在
し、該セル状空隙部の独立または連続の形状は厳密なも
のではなく、試料またはその拡大写真を目視して見られ
る形状であり、微視的に見れば、数十センチに亘り連続
するセル状空隙部もあり得る。
【0018】本発明の多孔性繊維集積体は、長径約5m
m以上の大きい空隙部を多数有する点に特徴を有する。
その空隙率は湿熱接着性捲縮繊維量、繊維の集積密度、
湿熱処理条件などにより任意に設定できるが、水銀圧入
法による空隙率で約80%以上が好ましく、さらに好ま
しくは90%以上である。該空隙部は発泡剤を全く使用
せずに形成されるものであり、従来の多孔性繊維構造体
にはない構造である。本発明の空隙部は、湿熱接着性捲
縮繊維を含有する繊維集積体に水を含浸させ、該含水繊
維集積体を約100℃、すなわち水の沸騰温度に加熱処
理し、繊維集積体内で気泡が多数発生し、その気泡によ
って集積体の繊維が移動し、生じた空間が繊維集積体内
のセル状空隙部となり、同時に熱により湿熱接着性捲縮
繊維が融着し、空隙部の内壁面を固定し、他の部分の繊
維は繊維どうしが接着し、絡合構造が形成される。
【0019】本発明では湿熱接着性捲縮繊維と水による
加熱を組合せることにより、沸騰水気泡によるセル状空
隙部の生成と繊維の熱接着を同時に起こし、多孔性繊維
集積体を形成するのである。本発明の多孔性繊維集積体
は、全体にセル状空隙部を有する均質な多孔性集積体と
する他に、その一表面に緻密層を有し、それに連続した
多孔性繊維層を有する、いわゆる非対称構造とすること
も可能である。もちろん副次的な目的で、公知の接着剤
や発泡剤を使用することも可能である。
【0020】本発明の繊維集積体は、湿熱接着性捲縮繊
維を用いる点に特徴を有する。捲縮繊維を用いて水によ
る加熱処理を行うことによりクリンプを発現し3次元ラ
ンダムコイル状となる。ランダムコイルを発現した該繊
維が沸騰水気泡によりセル状空隙部が形成され、従来に
ない空隙率を有するばかりでなく、嵩高な繊維集積体を
得ることが可能となる。
【0021】以下、図によって本発明のセル状空隙部を
有する多孔性繊維集積体の構造を更に詳細に説明する。
図1は本発明の多孔性繊維集積体を説明する断面模式図
である。多数の繊維1がランダムに絡合して、多孔性繊
維集積体を構成し、その内部に単独のセル状空隙部2お
よび複数の空隙部が部分的に連なったセル状空隙部3を
有する。単独のセル状空隙部は、まとまった1つの空間
を構成する空隙部であり、部分的に連なったセル状空隙
部は、空隙部に狭い部分や内壁に孔があり、隣接する次
の空隙部に連絡している形状の空隙部である。繊維1は
繊維どうしの交差点および接合点で湿熱接着性捲縮繊維
によって融着しており、多孔性繊維集積体自体で充分な
形態保持性、強度を有している。
【0022】図2は本発明の多孔性繊維集積体の他の一
例を説明する断面模式図である。多数の繊維1が概ね層
状に形成された不織布を構成し、その内部に単独のセル
状空隙部2および複数の空隙不が部分的に連なったセル
状空隙部3があり、その多くは長軸が不織布層内で横方
向に沿って形成されている。不織布では繊維の多くが層
状に配置されるので、繊維の移動によって形成されるセ
ル状空隙部は横に長い形状となる。また層内には部分的
に不織布の厚さ方向に配列される繊維1’がある。該繊
維1’は、不織布をニードルパンチした場合に生じる繊
維の厚さ方向の絡合である。図2の多孔性繊維集積体
は、セル状空隙部の形成がニードルパンチによる厚さ方
向の繊維絡合で規制されるために、図1の多孔性繊維集
積体に比してセル状空隙部は小さい傾向となる。
【0023】図3は本発明の多孔性繊維集積体の他の一
例を説明する断面模式図である。多孔性繊維集積体の一
表面に緻密層4を有し、それに連続した多孔性繊維層を
有し、該多孔性繊維層は絡合した繊維1と単独のセル状
空隙部2および部分的に連なったセル状空隙部3からな
る。緻密層4の構造は、構成する繊維の種類やその量お
よび熱処理などにより、フィルムに近い構造からルーズ
な繊維ウエブの構造の各種のものにできる。緻密層4は
実質的に本発明で規定するセル状空隙部を有しない。
【0024】かかる本発明の多孔性繊維集積体の製造方
法について、一例としてニードルパンチ不織布を用いた
例で以下に説明する。ニードルパンチ不織布は、一例と
して前記した湿熱接着性捲縮繊維とポリエチレンテレフ
タレート繊維とを混綿した後、カード工程を経てニード
リングする工程を通すことにより得られる。この場合、
相手繊維の種類および/または湿熱接着性捲縮繊維の混
繊比率を違えた2種類のカードウェブを積層させてニー
ドリングすることも可能である。また、パンチ密度を適
当に変えることは、セル状空隙部の大きさをコントロー
ルする要素の一つとなり得る。
【0025】本発明者らは、湿熱接着性捲縮繊維を含有
する繊維集積体を水に含浸させ、該含水繊維集積体を加
熱し、繊維集積体内で気泡を生ずる状態で湿熱処理する
ことで、該繊維集積体内に不定形のセル状空隙部を多数
形成させることができることを見出した。該処理では、
加熱下で気泡を発生するに十分な量の水の存在が必要で
ある。該気泡が繊維集積体内のセル状空隙部を形成す
る。ところで繊維集積体の層内で気泡が発生し、繊維が
移動しても、その構造が繊維集積体内で固定されなけれ
ば、セル状空隙部は形成されない。繊維集積体内にセル
状空隙部を形成させるために、湿熱接着性捲縮繊維が必
要である。すなわち、気泡を含んだ状態で、湿熱接着性
捲縮繊維が加熱融着して、セル状空隙部が形成され固定
される。以上の条件が本発明の必要条件である。
【0026】繊維集積体内に気泡が発生するために要す
る加熱は、加熱雰囲気の気圧に依存し、通常1気圧であ
れば約100℃である。加熱を減圧下または加圧下で行
なえば、気圧に応じて沸騰温度が変動する。繊維集積体
が充分な気泡存在下で加熱されることが重要である。加
熱温度はまた湿熱接着性捲縮繊維の融着温度と相関す
る。加熱温度が湿熱接着性捲縮繊維の融着温度、または
それ以上10℃未満の温度とすることが好ましい。湿熱
処理時間は繊維集積体の量、繊維の融着の程度等により
調整することができる。
【0027】本発明は、セル状空隙部を形成するのに、
有機溶媒や発泡性樹脂を一切必要としない特徴を有す
る。従って、環境および作業者への負荷や負担が極めて
少なく、製造コストを低減することもできる。該利点は
実用上大きな効果である。含水繊維集積体の加熱は、ス
チーム吹き込みか、高周電磁波、例えば2450MHz
のマイクロ波により加熱することができる。繊維層内で
の気泡発生が容易であることから高周電磁波加熱が好ま
しい。さらに繊維集積体を水中に完全に浸漬した状態
か、その一部を気相に露出した状態で加熱するかによ
り、繊維集積体の表面部分の構造を調整できる。水中に
浸漬した状態で湿熱処理すれば、集積体内にほぼ均一な
セル状空隙部を付与することができる。表面を露出した
状態で湿熱処理すれば、該表面を緻密層にすることがで
きる。かかる簡単な方法で、多孔性繊維集積体の表面構
造を調整できることも、本発明の優れた利点の一つであ
る。
【0028】湿熱接着性捲縮繊維が融着した後に、周知
の方法で該繊維集積体を冷却し、多孔性繊維集積体の構
造を固定する。湿熱処理後の繊維集積体は熱水を含有し
ているから、冷水中に浸漬するか、冷水シャワーによる
冷却が好ましく、冷風による冷却は効率が低い。充分に
冷却する前に繊維集積体を圧縮すると、セル状空隙部の
変形が生ずる恐れがある。一方、圧縮処理を利用して、
セル状空隙部の調整を行なうことも可能である。繊維集
積体を冷却した後、圧搾および/または常温または熱風
乾燥して、巻取りローラーに巻き上げる。ブロック体で
は個別に乾燥処理する。
【0029】本発明による多孔性繊維集積体は、不織布
形状の製品でその性能を測定すると、引張り強度1kg
/cm以上、残留伸び率:10%伸長時 6時間後
2.7%、空隙率80%以上、圧縮回復率:50%圧縮
時 90%以上、熱伝導率:0.05kcal/m・h
・℃、などの優れた性能を有する。
【0030】本発明の多孔性繊維集積体は、任意の形状
にすることが可能である。また、本発明の方法におい
て、湿熱接着性捲縮繊維を繊維束に整束し、繊維束の一
箇所で拘束することで、繊維束内の気泡の成長を制限
し、拘束される部分では小さな気泡が小さいセル状空隙
部を形成させることが可能である。この場合、繊維束の
自由端に向けて漸次大きな気泡が生じて大きいセル状空
隙部を形成する。その結果、繊維が密に配置される部分
から方向性をもって漸次拡大する多数の不定形セル状空
隙部をもつ構造が形成される。この基本的構成を利用し
て、単位繊維束の集積を、単独、線状配列、面状配列な
どにして、球形、円柱状、シート状の多孔性繊維集積体
を製造することができる。また、これらの構成を複合し
たり、他の繊維布帛、不織布、糸状体、フィルムなどと
複合した多孔性繊維集積体を製造することもできる。こ
のような構造にすることにより、該集積体に海綿のよう
な性質を付与することが可能となる。以下にその代表的
な例について具体的に説明する。
【0031】例えば、5cm程の長さの紐状に集束させ
た湿熱接着性捲縮繊維を含む繊維束を、長さ方向に二分
する位置に湿熱接着性捲縮繊維または別の糸を巻き付け
て拘束した後、これを水を満たした容器に浸漬して高周
電磁波を照射し、該繊維束の内部から気泡が生じる状態
で加熱することにより球状の多孔性繊維集積体が得られ
る。
【0032】また、湿熱接着性捲縮繊維を含む長さ5c
m程の繊維束を多数用意し、各繊維束のほぼ中点を湿熱
接着性捲縮繊維または別の繊維により拘束した連続繊維
束条を作成する(通称モ−ル糸またはシュニール糸と呼
ばれることがある。)。この繊維束条を上記と同様に高
周電磁波を照射して該集束体の内部から気泡が生じる状
態で加熱することにより、円柱状の多孔性繊維集積体が
得られる。
【0033】さらに、湿熱接着性捲縮繊維を含む繊維糸
条をカットパイルとし、別の糸条を地糸としてボアニッ
ト地を編立てる。得られた編地を前記と同様に高周電磁
波を照射して該編地の内部から気泡が生じつつ加熱する
ことにより、シート状の多孔性繊維集積体を得ることが
できる。さらに、上記円柱状集積体に使用したモール糸
状の連続繊維束を数本または数十本並列して、これらを
糸で固定化してシート状にした後、同様に高周電磁波で
湿熱処理してもシート状の多孔性繊維集積体を得ること
ができる。
【0034】さらに、モール糸状の連続繊維束を渦巻き
状にして高周電磁波で湿熱処理してもシート状の多孔性
繊維集積体が得られる。また、拘束された短繊維束また
は連続繊維束を適当な型枠に吹き込むかまたは詰め込ん
で、高周電磁波で湿熱処理することにより、型枠に対応
した任意の3次元的形状の多孔性繊維集積体を得ること
も可能である。本発明においては、上記のように湿熱接
着性捲縮繊維や他の繊維によって拘束されていた部分
は、最終的に得られる集積体において繊維が密に配置さ
れ、その部分が遠ざかるにしたがって、繊維の配列は粗
となっており、かかる密な部分から粗な部分に向かって
多数の不定形セル状空隙部がその大きさを漸次拡大した
状態で存在している。
【0035】このようにして得られる多孔性繊維集積体
は微細に観察すると、海綿の構造に類似している。すな
わち、セル状空隙部の一部は該繊維集積体の表面に開口
し、内部は融着した繊維の網状構造を有している。これ
を天然の海綿と比較すると、表面の開口と内部のセル状
空隙部および繊維の網状構造が、海綿のそれらと類似し
ている。得られた球状、円柱状およびシ−ト状の多孔性
繊維集積体は、そのままでも外観的に天然の海綿に類似
しており、それを海綿代替品として使用できる。また必
要によりこれを適当にカットして製品としてもよい。
【0036】以下、図によって本発明の多孔性繊維集積
体の加工前の繊維集積体(以下、前駆体と称することが
ある)および加工処理後の多孔性繊維集積体の構造につ
いて詳細に説明する。図4は本発明の球状の多孔性繊維
集積体を製造するための前駆体の一例を示す模式図であ
る。長さを揃えた湿熱接着性捲縮繊維を含む繊維束5が
等分されるように拘束される位置6で別の繊維7により
拘束された前駆体を示す。図5は、図4に示した前駆体
から得られた、球状の多孔性繊維集積体の部分切断面模
式図である。該集積体は、繊維の移動が拘束された中心
部8に緻密な構造を有し、そこから放射状にセル状空隙
部9が、該集積体表面に向かって漸次拡大しながら形成
されている。セル状空隙部の一部は、表面で開口してい
る。集積体の他の部分は繊維が融着した繊維網状構造で
ある。繊維量が少ないと、球形でなく円盤状になり易
い。繊維束が長くなると、より多くの繊維が必要とな
る。
【0037】図6は本発明の円柱状の多孔性繊維集積体
の前駆体の一例を示す模式図である。この例はモップや
はたきのパイルの形成方法として公知のフレンジ法で作
成したもので、複数の繊維束5を別の繊維7で編んで拘
束した繊維束である。図7は、図6の繊維束から得られ
る円柱状の多孔性繊維集積体の部分切断面模式図であ
る。多孔性繊維集積体の内部構造は、中心に繊維束の拘
束により形成される繊維の緻密部分が線状に配置され、
その中心線に対して直角に切った円形断面において、セ
ル状空隙部9がほぼ円周方向へ漸次拡大して形成され
る。この構造は、単位繊維束の内部でセル状空隙部が形
成されるためと考えられる。該集積体の他の部分は、図
5と同様な繊維網状の構造である。
【0038】図8は本発明のシート状の多孔性繊維集積
体を製造するための前駆体の一例を示す模式図である。
繊維束5が地糸10で拘束されたカットパイルシート地
の断面構造を示す。図9は、図8のシート地から得られ
るシート状の多孔性繊維集積体の断面模式図である。繊
維は地糸部の平面に密に配置され、セル状空隙部はその
密な部分から多孔性繊維層の表面に向いてほぼ線状に漸
次拡大しながら形成されている。これは地糸部に多数立
設された繊維束において、拘束部が地糸部に位置し、表
面に向いて立設した繊維束内にセル状空隙部9が形成さ
れるためと考えられる。
【0039】図10は天然の海綿の網状構造を示す拡大
模式図である。海綿は繊維状骨格11から構成され、海
綿内部にセル状空隙部を有する。繊維状骨格の多くは五
角形の網状構造を示している。図11は本発明の多孔性
繊維集積体の構造を示す拡大模式図である。セル状空隙
部以外における湿熱接着性捲縮繊維12が多数の接点お
よび交点で相互に融着接合している状態を示す。図10
および図11を比較すると、本発明の多孔性繊維集積体
は明確な五角形の構造を有さないが、それに類似した繊
維状骨格を有しており、この構造と方向性を持って配置
されるセル状空隙部を併有することから、海綿様の形態
を示すと考えられる。
【0040】さらに、本発明の多孔性繊維集積体は短繊
維をランダムに吹き込みまたは詰め込んで成型されたも
のではなく、拘束される部分を有するから短繊維の一部
が表面または内部から脱落することがないか極めて少な
いことも、特徴の一つである。本発明の多孔性繊維集積
体と海綿とを性状面で比較すると、海綿の比重は0.0
1から0.04g/cm3であるのに対して、本発明の
多孔性繊維集積体は0.06〜0.15g/cm3であ
り、10倍程度高めではあるが、これは本発明の多孔性
繊維集積体には、繊維の高密度な部分が存在するためで
あり、セル状空隙部含有層を比較すれば海綿の比重に近
いものである。
【0041】次に、本発明の多孔性繊維集積体を含む複
合積層体のバリエーションについて説明する。本発明の
多孔性繊維集積体は、支持層と積層することにより、多
孔性繊維複合積層体とすることができる。多孔性繊維複
合積層体とは、少なくとも一層の支持層と、該支持層と
連結した多数の不定形セル状空隙部を含む繊維層(以
下、本多孔性繊維層と称する場合がある)から構成され
る。その一つの態様は、一つの支持層とその一表面また
は両表面に本多孔性繊維層を積層した多孔性繊維複合積
層体である。この構造では、積層体の一または二面に本
多孔性繊維層が露出している。他の態様は、二層の支持
層とその間に存在する本多孔性繊維層とからなる多孔性
繊維複合積層体である。この構造では、本多孔性繊維層
が支持層間にあり、表面には露出しない。これらの構造
は多層に重積することも可能である。
【0042】本発明にいう支持層とは、実質的にセル状
空隙部を有さない層であり、かつ本質的に緻密で変形し
がたい層である。かかる層として、繊維層、フィルム、
シートおよび発泡層などを挙げることができる。繊維層
としては、織編布、各種の不織布または網状物である。
フィルム、シートおよび発泡体は、各種の樹脂で成形さ
れたものであり、その厚さや表面加工は、必要に応じて
任意に加工されたものを含む。支持層と本多孔性繊維層
は、編織製、接着、融着、ニードルパンチなどの機械的
絡合などの方法で連結させることができる。
【0043】以下、図によって本発明のセル状空隙部を
有する多孔性繊維複合積層体の構造を更に詳細に説明す
る。図12は本発明の多孔性繊維複合積層体の一例で、
支持層の一表面上に多孔性繊維層を有する多孔性繊維複
合積層体の断面模式図を示したものである。なお、本断
面図は丸編地により得られるものであるが、支持層の構
造はこれに限定されない。図12において、支持層13
に固定された多数の繊維1がランダムに絡合して本多孔
性繊維層を形成しており、その内部に不定形のセル状空
隙部9を有している。多数の繊維1は湿熱接着性捲縮繊
維を含有し、セル状空隙部には該繊維が交点で融着して
セル状空隙部の内壁面を形成している。また、本多孔性
繊維層は、全体が湿熱接着性捲縮繊維で接着されてい
る。
【0044】図13は本発明の多孔性繊維複合積層体の
他の一例で、支持層の両面に二つの多孔性繊維層を有す
る多孔性繊維複合積層体の断面模式図を示したものであ
る。本例も丸編地により得られるものであるが、支持層
の構造はこれに限定されない。図13において、支持層
13に固定された多数の繊維1がランダムに絡合して本
多孔性繊維層を形成しており、その内部に多数の不定形
のセル状空隙部9を有している。多数の繊維1は湿熱接
着性捲縮繊維を含有し、セル状空隙部には該繊維が交点
で融着してセル状空隙部の内壁面を形成している。
【0045】図14は本発明の多孔性繊維複合積層体の
他の一例であり、二つの支持層に挟まれた本多孔性繊維
層を有する多孔性繊維複合積層体の断面模式図を示した
ものである。なお、本例は丸編地により得られるもので
あるが、支持層の構造はこれに限定されない。図14に
おいて、支持層13および支持層13’の間に多数の繊
維1の絡合による本多孔性繊維層が形成されており、そ
の内部にセル状空隙部3が多数存在する。支持層1また
は1’と繊維層との界面をカットして繊維層の平面を見
ると、セル状空隙部は平面内で連結している部分も見ら
れ、セル状空隙部は単独で存在するものと連続した形状
のものがあることが認められる。なお、支持層1と支持
層1’は、同一の繊維組成または同一材料である必要は
なく、別々の素材であってもよい。
【0046】かかる本発明の多孔性繊維複合積層体は、
各種の方法で製造できる。編織法では、シングル丸編
地、両面丸編地、トリコット経編地、ラッセル編地、ダ
ブルラッセル編地、多重織物、積層不織布等を用いるこ
とができる。一例として、両面丸編地の中でも連結糸が
長いことによる厚みが確保できる丸編製ダンボールニッ
ト地を用いて、本発明の多孔性繊維複合積層体を製造す
る方法について述べる。ダンボールニット地は、口径3
0インチ、20ゲージのダブルニット編機を使用して得
ることができる。一例として前記した湿熱接着性捲縮繊
維を連結糸として両タック組織にて編み、シリンダーお
よびダイヤル側はポリエチレンテレフタレート繊維のみ
で編込んで得られる。編機ゲージを適当に変えること
で、繊維層の厚みを調整し、セル状空隙部の大きさをコ
ントロールする要素の一つとなり得る。
【0047】また、本発明においては、多孔性繊維集積
体に融着緻密層を形成させることによっても複合積層体
を得ることができる。かかる積層体は、表面が平滑であ
り、融着の程度をコントロールすることによって、通気
性を有する層を形成させることも可能である。さらに、
融着緻密層を形成させることで、多孔性繊維集積体の特
徴である防音性、断熱性を調整することも可能である。
【0048】繊維層表面に繊維融着緻密層を形成する方
法は、前記した湿熱処理後の繊維層表面を通常の方法で
加熱加圧することであり、それにより表面層の湿熱接着
性捲縮繊維が溶融、再固化して表面が平滑な緻密層が形
成される。連続的な熱圧方法としては、180℃の熱ロ
ーラーと接触加熱する方法が好ましい。
【0049】かかる繊維融着緻密層は、走査型電子顕微
鏡写真観察によれば、湿熱接着性捲縮繊維が不規則に絡
合融着して網状構造を形成しており、100μm以上、
好ましくは300μm以上の層厚みを有し、多数の貫通
した微細孔を有している。緻密層の厚さおよび微細孔の
孔径は、湿熱接着性捲縮繊維の種類およびその含有量な
らびに加熱加圧条件によって調整できる。本発明の多孔
性繊維複合積層体の緻密層は、湿熱接着性捲縮繊維成分
が溶融し他の繊維と融着接合して形成された繊維絡合層
であり、平滑でかつ通気性を有する層である。
【0050】本発明の繊維融着緻密層を有する多孔性繊
維複合積層体は任意の形状にすることができる。本発明
は表面構造と内部構造に特徴を有するもので、外観形状
には制限されない。以下、図面によって本発明の繊維複
合積層体の構造を詳細に説明する。
【0051】図15は本発明の繊維融着緻密層を有する
シ−ト状の多孔性繊維複合積層体の一例を示す断面模式
図である。多孔性繊維層14は繊維が不規則に配置され
ており、該繊維層内に形成されるセル状空隙部9は不定
形な形状が多い。繊維層14の一表面に繊維融着緻密層
15を有する。図16は本発明の繊維融着緻密層を有す
るシ−ト状の多孔性繊維複合積層体の他の一例を示す断
面模式図である。多孔性繊維層14は繊維が繊維層の平
面にほぼ平行に配置されており、該繊維層内に形成され
るセル状空隙部9も繊維層の平面に沿った形状が多い。
該繊維層14の一表面に繊維融着緻密層15を有する。
【0052】図17は本発明の繊維融着緻密層を有する
シ−ト状の多孔性繊維複合積層体の他の一例を示す断面
模式図である。多孔性繊維層14は繊維が繊維支持層1
6の上に立設されており、該繊維層内に形成されるセル
状空隙部9は立設された繊維に沿って、支持層からその
反対面に順次拡大する形状が多い。該繊維層14の一表
面(支持層に対して反対面)に繊維融着緻密層15を有
する。図18は本発明の繊維融着緻密層を有する多孔性
繊維複合積層体の他の一例を示す部分破断模式図であ
る。多孔性繊維層14は繊維が長軸に沿って円筒状に配
置されており、該繊維層内に形成されるセル状空隙部9
は配置された繊維に沿って、長さ方向に配置された形状
が多い。円筒状の該繊維層14の外表面に繊維融着緻密
層15を有する。
【0053】図19は本発明の繊維融着緻密層の構造を
示す拡大断面部図である。繊維融着緻密層15は、例え
ばポリエステル繊維のような湿熱接着性捲縮繊維以外の
繊維17が、湿熱接着性捲縮繊維が溶融した溶融ポリマ
ー層18で被覆され、それらの間に微細な連通孔19を
有している。
【0054】以下に代表的な繊維融着層を有する多孔性
繊維複合積層体の製造方法について説明する。シ−ト状
の多孔性繊維複合積層体を製造する一例として、モケッ
ト地を前駆体とする方法を挙げることができる。湿熱接
着性捲縮繊維をカットパイル糸として製織し、得られた
モケット地の表面を水に浸漬してマイクロ波を照射し、
該モケット地の内部から気泡を生じさせつつ加熱するこ
とによりセル状空隙部を形成した後、熱シリンダーで圧
着してモケット表面に繊維融着緻密層を形成させる。ま
た、モケット地の表面に熱シリンダーを圧着して繊維融
着緻密層を形成させた後、該モケット地を水に浸漬して
マイクロ波を照射し、該モケット地の内部から気泡を生
じさせつつ加熱する方法を採用してもよい。この方法に
おいて、繊維融着緻密層とセル状空隙部をもたない繊維
層からなる繊維複合構造体が、中間製品として得られ
る。該中間製品はセル状空隙部はないが、本発明の繊維
複合積層体の類似品として使用することが可能である。
【0055】シート状の多孔性繊維複合積層体は、上記
のモケット地を使用するほか、通常の長繊維または短繊
維からなる繊維ウエブを用いて同様に製造することがで
きる。さらに該繊維ウエブは、不規則な繊維配置でも、
繊維ウエブ平面にほぼ平行な繊維配置でもよい。繊維の
配置によって、繊維層内に形成されるセル状空隙部の形
状が、不規則な形状か、繊維層の平面に沿った形状とな
る傾向がある。
【0056】また、多孔性繊維複合積層体の製造法の他
の一例として、湿熱接着性捲縮繊維を含む約11万dt
exの繊維束を中空ヒーターの内壁に接触させながら通
過させることにより、図18に示すような円柱状の複合
積層体を得ることができる。接触圧は中空ヒーターの径
を絞ることで調整できる。これにより、表面に繊維融着
緻密層を形成させることができる。次いで、該繊維束を
連続または所望の長さに切断して、水を満たした容器に
浸漬し、マイクロ波を照射して該繊維束から気泡を生じ
させつつ加熱することにより、内部にセル状空隙を形成
させる。もちろん、上記と逆の方法でも同一の製品が得
られる。
【0057】本発明による多孔性繊維集積体は、その多
孔性を利用して、液体の収蔵と吐出性、吸音、断熱性、
クッション性および濾過性を目的とする用途に使用され
る。具体的には、ドレン材、ワイパー、ペイント用ロー
ラー、結露防止材、インク収蔵体、養生シート、空気フ
ィルターおよび液体フィルター、医療用の各種吸収材、
衛材、フィルター材、化粧用品、スタンプ台、カーペッ
ト用基布、マットレス用基材、椅子用基材、壁装材、人
工皮革用基布、靴中敷、布団中綿、包材、プランター、
微生物支持体、人工海綿、たわし等に使用できる。
【0058】特に、本発明による多孔性繊維集積体は、
清掃材に使用することが有効であり、人体の清掃材、精
密機器、医療機器、貴金属製品、チューブ、鏡、レン
ズ、ガラス、プラスチック製品、陶磁器などの清掃材に
使用できる。本発明による清掃材用繊維成型物は、大き
さに制限されることはなく、球状、筒状、棒状、板状そ
の他不定型の任意の3次元的形状の物として、前記した
型枠に繊維を吹き込んで直接得ることもできる。多孔性
繊維層を構成する繊維は、均一組成でも数種の繊維の混
合物でもよい。混合物である場合は、融着繊維部分が複
雑な構造となり、多孔性構造、吸水性、風合いなどを調
整するのに適している。混合または調整する繊維の条件
は、湿熱接着性捲縮繊維の配合比、繊度、カット長さ、
捲縮の有無および伸長率などである。これらの条件の一
つ以上が異なる繊維の混合物を一体で使用するか、複数
層間で変えた複合層として使用できる。
【0059】本発明による多孔性繊維集積体の清掃材用
繊維成型物を得るためのスラブ方式による一例を挙げる
と、湿熱接着性短繊維を50質量%とポリエチレンテレ
フタレート綿50質量%を混綿して、カーディングを施
してカードスライバーを得、次いで、これを円筒または
直方体等の容器に投入し、該容器に水を導入してスライ
バーに充分量の水を含浸させる。これを前述の方法で加
熱処理することで、繊維成型物を得ることができる。
【0060】繊維成型物の密度は、投入する繊維の種
類、その量、または繊維量と水の量により制御できる。
成型物を得た直後のものをそのままの形状で清掃材とし
て使用することもできるが、一定サイズまたは形状にプ
レス裁断して外観および品位の設定をすることもでき
る。さらに、裁断面の平滑化や密度調整のために、再度
沸騰水中で処理することも可能である。また、湿熱接着
性捲縮繊維の形態としてカットファイバー以外にフィラ
メントを適当な充填装置を用いて容器に導いて上述した
処理方法で成型物を得ることもできる。
【0061】次いで、複数層の繊維集積体構造を有する
清掃材用繊維成型物を得るためのスラブ方式の製法につ
いて説明する。湿熱接着性捲縮繊維100質量%をカー
ディングして得られるカードスライバーと、単繊維繊度
が前者とは異なる太い単繊維繊度の湿熱接着性捲縮繊維
を60質量%と太繊度のポリエチレンテレフタレート4
0質量%とを混綿した後カーディングして得られるカー
ドスライバーを準備して、これらを積層させるようにし
て前述した容器に投入する。この場合、各々のカードス
ライバーを交互に投入してもよいし、変則的な積層であ
ってもよい。または隣接させてもよい。このようにし
て、混綿では得られない構成成分の異なる繊維層を有す
る多孔性繊維集積体を得る。容器に繊維を投入した後
は、上述した方法と同様に湿熱処理して目的とする成型
物を得ることができる。
【0062】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明は何らこれらに限定されるものではない。なお、実
施例中の各物性は以下の方法により求めた。 (1)捲縮率 カセ取機で5500dtexのカセとなるまで糸条を巻
き取った後、カセの下端中央に10gの荷重を吊るし、
上部でこのカセを固定し、0.009cN/dtexの
荷重がかかった状態で90℃にて30分間熱水処理を行
なった。ついで、無荷重状態で室温に放置して乾燥した
後、再び10gの荷重をかけて5分間放置後の糸長を測
定し、これをL1(mm)とした。次に1kgの荷重を
掛け、30秒間放置後の糸長を測定し、これをL2(m
m)とするとき、下記式により算出した。 捲縮率(%)={(L2−L1)/L2}×100
【0063】実施例1 ・繊維製造方法 微粒子シリカを3質量%含有したポリエチレンテレフタ
レート[フェノール/テトラクロロエタン等重量混合溶
媒中、30℃で測定した固有粘度=0.68]を芯成分
とし、鞘成分として、エチレン含有量40モル%、MI
=10のエチレン−ビニルアルコール共重合体を用いて
紡糸温度260℃で紡糸し、芯鞘複合繊維を得た。(同
心、芯/鞘比率=50/50、167dtex/48フ
ィラメント) この繊維を用いて仮撚数2350T/M、1段ヒーター
温度120℃、2段ヒーター温度135℃により仮撚加
工を施して、捲縮率が17%の仮撚加工糸を得た。得ら
れた仮撚加工糸を用いて、3.3dtex、カット長さ
51mmにカットし、単繊維繊度3.3dtexの芯鞘
複合ステープル繊維を得た。
【0064】・ニードルパンチ不織布の製造 上記した芯鞘複合ステープル繊維40質量%と、ポリエ
チレンテレフタレートステープル繊維(3.3dte
x、カット長さ51mm)を60質量%用いて、パンチ
密度130回/cm2、目付150g/m2、厚み3mm
のニードルパンチ不織布を得た。
【0065】・セル状空隙部を有する不織布の製造 前記のニードルパンチ不織布を常温の水に十分に含浸さ
せ、100℃の沸騰水中に浸漬させて、不織布が浮き上
がらないようにネットで押さえながら30秒間湿熱処理
した。処理後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬
させて冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾
熱110℃で乾燥した。得られた不織布の断面には、厚
み方向に貫通する繊維束がニードル跡としてほぼ均一に
分布しており、該繊維束の間に1mm〜5mmの大きい
空隙部が多数確認できた。一方、該不織布の表面をスラ
イスして内部の状態を観察すると、不定形のセル状空隙
部が存在し、単独で存在する空隙部や部分的に連なった
セル状空隙部も確認できた。
【0066】実施例2 実施例1に使用した芯鞘複合ステープル繊維40質量%
と、ポリエチレンテレフタレートステープル繊維(3.
3dtex、カット長さ51mm)を60質量%用いて
第1層目のウェブを作成し、また、ポリエチレンテレフ
タレートステープル繊維(3.3dtex、カット長さ
51mm)の原綿を100質量%用いたウェブを第2層
目として、これらを積層してパンチ密度160回/cm
2、目付250g/m2、厚みが10mmのニードルパン
チ不織布を得た。以下、実施例1と同様に、100℃の
沸騰水中に浸漬させ、次いで冷却水中に投入して固定化
し、さらに遠心脱水した後、乾熱110℃で熱風乾燥し
た。得られた不織布は上記二層の界面を境にして、第一
層の断面には実施例1と同様のセル状空隙部が多数存在
することが確認できた。一方、ポリエチレンテレフタレ
ートステープル繊維のみからなる第二層については、沸
騰水による繊維の収縮に起因する高密度な綿の三次元的
絡合が認められた。以上の如く、非対称な断面構造を有
する不織布を得ることができた。
【0067】実施例3 実施例1に使用した芯鞘複合ステープル繊維40質量%
と、ポリエチレンテレフタレートステープル繊維(3.
3dtex、カット長さ51mm)の原綿55質量%
と、融着温度が乾熱120℃の低融点ポリエステルを含
むバインダーステープル繊維の原綿5質量%を混合して
カードにて薄いウェブを製造し、これらを積層してネッ
トに挟み、低融点ポリエステルが融解する130℃の熱
風を用いて、ウェブ間を仮接着して目付800g/m2
のブロック状積層物を得た。得られたブロック状積層物
を実施例1と同様にして、100℃の沸騰水中に浸漬さ
せ、次いで冷却水に浸漬させて冷却固定化し、さらにエ
アブローにより脱水した後、乾熱110℃で熱風乾燥し
た。得られたブロック状積層物の断面には、積層界面に
沿って細長いセル状空隙部が断続的に存在し、また平面
方向には不定形の独立した、または部分的に連なったセ
ル状空隙部が確認できた。
【0068】実施例4 実施例3に用いたブロック状積層物を、厚みに対して約
1/2の高さまで水に浸漬し、これに2450MHzの
マイクロ波を3分間照射してブロック状積層物に含浸し
た水を沸騰させ、次いでこれを常温の水に浸漬して冷却
処理した。得られたブロック状の積層物の断面におい
て、水に浸漬された部分にのみ実施例3と同様のセル状
空隙が存在し、水に浸漬されなかった部分は融着絡合繊
維構造であった。すなわち、本ブロック状繊維集積体
は、非対称の構造を有するものであった。
【0069】実施例5 ・繊維製造方法 実施例1で得られた仮撚加工糸を集束させて11000
dtexの集束体とし、これを長さ5cmにカットし
た。カットした繊維束の長さを等分する位置を前記の湿
熱接着性の仮撚加工糸で強く縛り、両端がカットされた
梵天状の繊維束を得た。液体を収容できる円筒の容器に
前記の繊維束とこれが十分に浸る常温の水を入れ、24
50MHz、1kWのマイクロ波を照射し気泡発生状態
で約1分間熱処理した後、冷水を用いて成型物を冷却
し、ついで遠心脱水して球形の多孔性繊維集積体を得
た。得られた多孔性繊維集積体の比重は0.11g/c
3で、表面状態から多孔性構造体であることが確認で
き、さらに断面を見ると、中心部に密度の高い硬い部分
を有し、表面へ向かって、セル状空隙が放射状に配列し
ており、さらにそのサイズも表面にいくほど大きくなっ
ていることが確認できた。
【0070】実施例6 実施例1で使用した仮撚加工糸を100本合糸して16
700dtexとした後、カット長さ3cmとなるよう
フレンジ加工を施した。液体を収容できる直方体の容器
に、前記のフレンジ加工した前駆体と水を入れ、実施例
5と同様に高周電磁波を照射し加熱すると、繊維束から
気泡が激しく生じるとともに、糸の捲縮が発現して、海
綿様の円柱状の多孔性繊維集積体が得られた。得られた
多孔性繊維集積体の比重は0.15g/cm3であり、
表面に向けて漸次拡大するセル状空隙部を有する内部構
造であった。手持ちの感じはソフトで、洗剤をつけると
泡立ち性は非常に良好であった。
【0071】実施例7 実施例1で使用した仮撚加工糸を2本合糸して334d
tex/96フィラメントの繊維束(カットパイル)と
し、これとポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸(1
67dtex/48フィラメント)を地糸として丸編ボ
アに編立した。前記編地を直径10cmの円形に裁断
し、これを円筒容器に入れ、次いでこれが充分に浸る水
を入れて高周電磁波を照射した。高周電磁波の照射加熱
により、編地のカットパイル部から気泡が激しく生じる
と共にカットパイル糸の捲縮が発現し、多孔性の構造体
が形成された。これを冷水に浸して形態を固定化した
後、遠心脱水してシート状の多孔性繊維集積体を得た。
得られたシート状の多孔性繊維集積体について、地糸部
をカットパイル部から切断分離して、カットパイル部の
比重を測定すると、0.09g/cm3であり、セル状
空隙部のサイズは地糸部から表面に向かって大きくなっ
ていた。
【0072】実施例8 ・丸編ダンボールニット地の製造 30インチ、20ゲージのダブルニット編み機を図20
の編組織となる様に設定し、該編組織において、実施例
1で使用した仮撚加工糸を給糸口No.F1およびF4
に供給し、ポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸(1
67dtex/48フィラメント)を給糸口No.F
2、F3、F5およびF6に供給して、厚みが6mm、
目付が1180g/m2の丸編段ボールニット地を得
た。
【0073】・多孔性繊維複合積層体の製造 前記の丸編ダンボールニット地を常温の水に十分に含浸
させ、100℃の沸騰水中に浸漬させて、該編地が浮き
上がらないようにネットで押さえながら30秒間湿熱処
理した。処理後該編地を取り出して、常温の冷却水に浸
漬させて冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、
乾熱110℃で乾燥した。得られた編地の断面には、厚
み方向に連結する繊維束がスポンジ状の硬化層を形成し
ているとともに、長径約1mm〜5mmの不定形のセル
状空隙部が多数確認できた。一方、該編地の片面と硬化
層の境界付近をスライスして内部平面の状態を観察する
と、不定形ではあるが、珊瑚礁のごとく細かいセル状空
隙部が多数存在することが確認できた。得られた多孔性
繊維複合積層体は水中に投入しても沈まずに浮き、さら
に該多孔性繊維複合積層体に十分の水を吸収させると軟
化した。
【0074】実施例9 ・フリ−ス編地の製造 30インチ20ゲージ、シンカー長2.7mmのシンカ
ーパイル編機を用いて、実施例1で使用した仮撚加工糸
をパイル糸とし、ポリエチレンテレフタレート仮撚加工
糸(167dtex/48フィラメント)をグランド糸
として編立し、目付790g/m2のシンカーパイル編
地を得た。得られたシンカ−パイル編地の反パイル側と
パイル側の両面を起毛機を用いてパイル糸を掻き出した
後、シャーリング加工してフリース編地を得た。
【0075】・多孔性繊維複合積層体の製造 前記のフリース編地を常温の水に十分に含浸させ、10
0℃の沸騰水中に浸漬させて、該編地が浮き上がらない
ようにネットで押さえながら30秒間湿熱処理した。処
理後、該編地を取り出して常温の冷却水に浸漬させて冷
却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110
℃で乾燥した。得られた編地の断面には、熱水処理前に
はパイル糸であった繊維束がスポンジ状の硬化層を形成
しているとともに、長径約1mm〜5mmの不定形のセ
ル状空隙部が多数確認できた。一方、該編地の表面付近
をスライスして内部平面の状態を観察すると、実施例8
と同様に不定形ではあるが、珊瑚礁のごとく細かいセル
状空隙部が多数存在することが確認できた。実施例8と
同じく得られた多孔性繊維複合積層体は水中に投入して
も沈まずに浮き、さらに該多孔性繊維複合積層体に十分
の水を吸収させると軟化した。
【0076】実施例10 ・積層されたニードルパンチ不織布の製造 実施例1で使用したステープル繊維40質量%と、ポリ
エチレンテレフタレートステープル繊維(3.3dte
x、カット長さ51mm)60質量%からなるカードウ
ェブと、ポリエステル製スパンボンド不織布とを積層さ
せてニードリングにより積層構造として、目付600g
/m2、厚み6mmの積層ニードルパンチ不織布を得
た。
【0077】・多孔性繊維複合積層体の製造 前記の積層ニードルパンチ不織布を常温の水に十分に含
浸させ、100℃の沸騰水中に浸漬させて、該編地が浮
き上がらないようにネットで押さえながら30秒間湿熱
処理した。処理後、該積層ニードルパンチ不織布を取り
出して常温の冷却水に浸漬させて冷却固定化した。次に
これを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。得ら
れた積層ニードルパンチ不織布の断面には、支持繊維層
を貫通して連結する繊維束がニードル跡としてほぼ均一
に分布しており、該繊維束の間に長径約1mm〜5mm
の大きい空隙部が多数確認できた。一方、該積層ニード
ルパンチ不織布の表面をスライスして内部平面の状態を
観察すると、不定形のセル状空隙部が存在し、独立した
空隙部や部分的に連なったセル状空隙部も確認できた。
実施例8と同じく、得られた多孔性繊維複合積層体は水
中に投入しても沈まずに浮き、さらに該多孔性繊維複合
積層体に十分の水を吸収させると軟化した。
【0078】実施例11 ・ラミネ−トにより積層された不織布の製造 実施例10に使用したカードウェブをニードルパンチに
より目付570g/m 2の不織布を得た。これに、目付
が70g/m2のポリウレタンフォームをフレームラミ
ネーション法により、ポリウレタンフォーム側を火炎に
より溶融させるとともに、上記不織布の片面と接着して
貼り合せた。更に、目付が70g/m2の別のポリウレ
タンフォームを、前記と同様にしてフレームラミネーシ
ョン法により前記接合布のもう片面に貼り合せて、ポリ
ウレタンフォームを支持層とし、不織布をサンドイッチ
した積層体を得た。
【0079】・多孔性繊維複合積層体の製造 前記のポリウレタンフォームを支持層とする、不織布を
サンドイッチした繊維複合積層体を常温の水に十分に含
浸させ、100℃の沸騰水中に浸漬させて、該複合積層
体が浮き上がらないようにネットで押さえながら30秒
間湿熱処理した。処理後、該複合積層体を取り出して常
温の冷却水に浸漬させて冷却固定化した。次にこれを遠
心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。得られた複合
積層体の断面において、ポリウレタンフォームにより挟
まれた不織布層には、ニードリングにより貫通して連結
する繊維束がニードル跡としてほぼ均一に分布してお
り、該繊維束の間に長径約1mm〜5mmの大きい不定
形空隙部が多数確認できた。さらに、ポリウレタンフォ
ームの層と該ポリウレタンフォーム層に挟まれた不織布
層との界面付近をスライスして内部平面の状態を観察す
ると、不定形のセル状空隙部が存在し、独立した空隙部
や部分的に連なったセル状空隙部が確認できた。
【0080】実施例12 実施例5で使用した仮撚加工糸を2本合糸して334d
tex/96フィラメントとしたカットパイル糸と、ポ
リエチレンテレフタレート仮撚加工糸(167dtex
/48フィラメント)を地糸として丸編ボアを編立し
た。該丸編ボア編地を30cm四方に裁断して、これを
拡布状態で水中に浸漬し、2450MHz、1kWのマ
イクロ波を照射した。マイクロ波の照射により編地のパ
イル面内部より気泡の発生が見られる。気泡発生後約1
分間照射を続けた後、取り出して水中にて冷却、遠心脱
水して乾燥させて、表面および内部にセル状空隙を有す
る繊維構造体を得た。次いで、該繊維構造体を、圧着温
度180℃、ロ−ル線圧5kg/cmのカレンダーロー
ルを用いて熱圧着した。得られた繊維複合積層体は表面
が平滑な緻密層を備え、その下面には隣接してセル状空
隙を有する繊維層が形成されていた。
【0081】実施例13 カット長さを64mmとした以外は、実施例1と同様に
して芯鞘複合ステープル繊維を得た。得られた芯鞘複合
ステープル繊維100質量%をカーディングしてパンチ
密度90本/cm2で厚さ10mm、目付300g/m2
のニードルパンチ不織布を作成した。該ニードルパンチ
不織布を常温の水に十分に含浸させ、不織布が浮き上が
らないようにネットで押さえながら2450MHz、1
kWのマイクロ波を照射した。該不織布から気泡の発生
を確認してから2分間照射を続けた。処理後、不織布を
取り出して常温の冷却水に浸漬させて冷却固定化した。
次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。
【0082】得られた不織布の断面には、厚み方向に貫
通する繊維束がニードル跡としてほぼ均一に分布してお
り、該繊維束の間に1mm〜5mmの大きいセル状空隙
部が多数確認できた。一方、該不織布の表面をスライス
して内部の状態を観察すると、不定形のセル状空隙部が
存在し、独立した空隙部や部分的に連なったセル状空隙
部も確認できた。次いで、該不織布の両面をカレンダー
ロールに導き、両面を180℃で熱圧着した。両面には
平滑な緻密層が形成されており、表面と隣接する内部層
は上述したセル状空隙を持った繊維層を形成した繊維複
合積層体が得られた。
【0083】実施例14 実施例12の丸編ボアを使用し、マイクロ波照射に先立
って繊維融着緻密層を形成した。すなわち、圧着温度1
80℃、ロール線圧5kg/cmのカレンダーロールを
用いて該丸編ボアの表面を熱圧着した。得られた繊維構
造体は表面が平滑な緻密層を備えている。該繊維構造体
を水中に浸漬し、2450MHz、1kWのマイクロ波
を照射した。マイクロ波の照射により編地のパイル面内
部より気泡の発生が見られる。気泡発生後約1分間照射
を続けた後、取り出して水中にて冷却、遠心脱水して乾
燥させて繊維融着緻密層と支持層との間にセル状空隙を
有する繊維層が形成されていることを確認した。
【0084】実施例15 実施例1で使用した仮撚加工糸をトウに束ねて、64m
mにカットして捲縮ステープル繊維を得た。
【0085】・成型物の製造 液体が透過できる四角形の型枠にカーディングした前記
の捲縮ステープルファイバーを投入し、常温の水を充分
含浸し、高周電磁波装置で加熱し気泡発生から約1分間
熱処理した後、冷水を用いて成型物を冷却し、ついで遠
心脱水して直方体の清掃材用繊維成型物を得た。本実施
例の清掃材用繊維成型物を用いると石鹸および合成洗剤
での泡立ちは市販のスポンジ類と同様に良好であり、洗
浄後の水滴の拭き取りは綿製品と同様に拭き取ることが
できた。
【0086】比較例1 実施例1で使用した芯鞘複合ステープル繊維70質量%
と、ポリエチレンテレフタレートステープル繊維(3.
3dtex、カット長さ51mm)30質量%を用い
て、パンチ密度150回/cm2、目付200g/m2
厚み5mmのニードルパンチ不織布を得た。上記のニー
ドルパンチ不織布を常温の水に十分に含浸させ、90℃
の熱水中に浸漬させて、不織布が浮き上がらないように
ネットで押さえながら30秒間湿熱処理した。処理後、
不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬させて冷却固定
化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾
燥した。得られた不織布は繊維間の絡合性も弱く、断面
においてセル状空隙の存在は認められなかった。
【0087】比較例2 ポリエチレンテレフタレートステープル繊維(3.3d
tex、カット長さ51mm)の原綿70質量%と、該
原綿より融点の低いバインダー繊維(6.6dtex、
カット長さ64mm、融点120℃)30質量%からな
るウェブを、パンチ密度150回/cm2、目付220
g/m2、厚み5mmのニードルパンチ不織布を得た。
上記のニードルパンチ不織布を常温の水に十分に含浸さ
せ、100℃の沸騰水中に浸漬させて、不織布が浮き上
がらないようにネットで押さえながら30秒間湿熱処理
した。処理後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬
させて冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾
熱110℃で乾燥した。しかしながら、得られた不織布
は繊維間の絡合性も弱く、断面においてもセル状空隙の
存在は認められなかった。
【0088】比較例3 実施例1で使用した芯鞘複合ステ−プル繊維40質量%
と、ポリエチレンテレフタレートステ−プル繊維(3.
3dtex、カット長さ51mm)60質量%用いてパ
ンチ密度が130回/cm2、目付150g/m2、厚み
が3mmのニードルパンチ不織布を得た。上記不織布
を、該芯鞘複合ステープルの鞘部を形成する樹脂の融点
より10℃高い174℃で乾熱処理を2分間施した。得
られた不織布は風合いが硬く、ごわごわしたもので、さ
らに断面にもセル状空隙の存在は認められず、三次元的
な絡合状態を示すものであった。
【0089】比較例3 実施例1で使用した仮撚加工糸7質量%とポリエチレン
テレフタレート仮撚加工糸(167dtex/48フィ
ラメント)93質量%を集束させて11000dtex
の繊維束とし、これを長さ5cmにカットした。カット
品の長さを等分する位置を前記の湿熱接着性の仮撚加工
糸で強く縛り、両端がカットされた梵天状の繊維束を得
た。液体を収容できる円筒容器に前記の繊維束とこれが
十分に浸る常温の水を入れ、高周電磁波を照射し加熱処
理した後、冷水を用いて成型物を冷却したが、単に仮撚
加工糸の捲縮発現が生じただけで、セル状空隙部を有す
る集積体は得られなかった。
【0090】比較例4 ・丸編ダンボールニット地の製造 実施例1で使用した仮撚加工糸とポリエチレンテレフタ
レート仮撚加工糸(167dtex/48フィラメン
ト)とを30インチ、20ゲージのダブルニット編機を
用いて、実施例8と同一の編組織にて編立し、厚みが4
mm、目付が620g/m2の丸編ダンボールニット地
を得、比較例1と同じ条件で加熱処理を行った。得られ
た丸編ダンボールニット地は熱処理前の状態と変化がな
く、繊維層にセル状空隙部は見出せなかった。
【0091】比較例5 比較例4と全く同一の丸編ダンボールニット地を用いて
熱処理条件をテンター180℃の乾熱処理に置き換えて
実施した。得られた丸編ダンボールニット地は、その連
結糸がモノフィラメント状に膠着するのみで、一部の連
結糸間では相互の融着は確認されるものの、スポンジ状
の硬化層の形成もなければ、セル状空隙部も形成されて
いなかった。
【0092】比較例6 実施例13で使用した芯鞘複合ステープル繊維6質量%
と、ポリエチレンテレフタレートステープル繊維(3.
3dtex、カット長さ51mm)94質量%を混綿し
てカーディングした後、パンチ密度90本/cm2で目付
300g/m2、厚み10mmのニードルパンチ不織布
を得た。上記のニードルパンチ不織布を水に含浸させ、
2450MHz,1kWでマイクロ波照射を実施した。
不織布内部から気泡の発生を確認後、2分間照射を続け
た。次いで、冷水中で冷却した後、乾燥した。該不織布
の両面をカレンダーロールに導き、両面を180℃で熱
圧着した。得られた不織布は繊維間の絡合性が弱く、ま
たセル状空隙部と判断できる構造は見出せなかった。ま
た、不織布表面には緻密層形成の状態は見られず、繊維
断面が圧力により変形しているのみで、繊維間の融着、
固化は見られなかった。
【0093】
【発明の効果】本発明により、捲縮繊維の交絡構造とセ
ル状空隙部を併有し、大きな空隙部を有する新規な繊維
集積体、および水と加熱のみにより多孔性繊維集積体を
製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の多孔性繊維集積体を説明する断面模
式図。
【図2】 本発明の多孔性繊維集積体の他の一例を説明
する断面模式図。
【図3】 本発明の多孔性繊維集積体の他の一例を説明
する断面模式図。
【図4】 本発明の球状の多孔性繊維集積体を製造する
ための前駆体の一例を示す模式図。
【図5】 本発明の球状の多孔性繊維繊維集積体の部分
切断模式図。
【図6】 本発明の円柱状の多孔性繊維集積体を製造す
るための前駆体の一例を示す模式図。
【図7】 本発明の円柱状の多孔性繊維集積体の部分切
断面模式図。
【図8】 本発明のシート状の多孔性繊維集積体を製造
するための前駆体の一例を示す模式図。
【図9】 本発明のシート状の多孔性繊維集積体の断面
模式図。
【図10】 天然の海綿の網状構造を示す拡大模式図。
【図11】 本発明の多孔性繊維集積体の構造を示す拡
大模式図。
【図12】 支持層の一表面上に多孔性繊維層を有する
多孔性繊維複合積層体の断面模式図。
【図13】 支持層の両面に二つの多孔性繊維層を有す
る多孔性繊維複合積層体の断面模式図。
【図14】 二つの支持層に挟まれた多孔性繊維層を有
する多孔性繊維複合積層体の断面模式図。
【図15】 本発明のシート状の多孔性繊維複合積層体
の一例を示す断面模式図。
【図16】 本発明のシート状の多孔性繊維複合積層体
の他の一例を示す断面模式図。
【図17】 本発明のシート状の多孔性繊維複合積層体
の他の一例を示す断面模式図。
【図18】 本発明の円筒状の多孔性繊維複合積層体の
一例を示す部分破断模式図。
【図19】 本発明の繊維融着緻密層の構造を示す拡大
断面図。
【図20】 実施例8で採用した編組織図。
【符号の説明】
1,1’:繊維 2:独立のセル状空隙部 3:部分的に連なったセル状空隙部 4:緻密層 5:繊維束 6:拘束される位置 7:別の繊維 8:中心部 9:セル状空隙部 10:地糸 11:繊維状骨格 12:湿熱接着性繊維 13,13’:支持層 14:多孔性繊維層 15:繊維融着緻密層 16:繊維支持層 17:湿熱接着性繊維以外の繊維 18:溶融ポリマー層 19:連通孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D04H 1/70 D04H 1/70 Z Fターム(参考) 4F100 AK21A AK21B AR00D AR00E AT00D AT00E BA01 BA03 BA07 BA10A BA10B BA10D BA10E BA43 DG01C DG01D DG01E DG15A DG20 DJ00A DJ00B DJ01D DJ01E EC09 JA03A JA03B JA14C JL11A JL11B JL12A JL12B YY00A YY00B 4L047 AA14 AA27 AA28 AB02 BA03 BA05 BA09 BB01 BB09 CA02 CA18 CB02

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湿熱接着性捲縮繊維を10〜100質量
    %含む多孔性繊維集積体であって、該繊維集積体内部に
    は、多数の不定形のセル状空隙部が単独でまたは複数個
    が部分的に連なった状態で存在し、該繊維集積体を構成
    する繊維の少なくとも一部が湿熱接着性捲縮繊維によっ
    て熱接着されていることを特徴とする多孔性繊維集積
    体。
  2. 【請求項2】 該多孔性繊維集積体が、繊維がランダム
    に集積されたブロック状繊維集積体である請求項1に記
    載の多孔性繊維集積体。
  3. 【請求項3】 該多孔性繊維集積体が、繊維が概ね層状
    に集積されたブロック状繊維集積体であり、該セル状空
    隙部の少なくとも一部はその長軸が該層の方向に沿って
    成形された形状である請求項1に記載の多孔性繊維集積
    体。
  4. 【請求項4】 該多孔性繊維集積体が、繊維が概ね層状
    に集積された不織布であり、該セル状空隙部の少なくと
    も一部はその長軸が不織布の層内において横方向に沿っ
    て成形された形状である請求項1に記載の多孔性繊維集
    積体。
  5. 【請求項5】 該多孔性繊維集積体の一面に緻密層を有
    する請求項1に記載の多孔性繊維集積体。
  6. 【請求項6】 該多孔性繊維集積体に、繊維が密に配置
    された部分と粗に配置された部分とが存在し、密に配置
    された部分から粗に配置された部分に行くにしたがって
    セル状空隙の大きさが漸次拡大している請求項1に記載
    の多孔性繊維集積体。
  7. 【請求項7】 該繊維が密に配置される部分が該多孔性
    繊維集積体の中心部に存在する請求項6に記載の球状の
    多孔性繊維集積体。
  8. 【請求項8】 該繊維が密に配置される部分が該多孔性
    繊維集積体の中心線部に存在する請求項6に記載の円柱
    状の多孔性繊維集積体。
  9. 【請求項9】 該繊維が密に配置される部分が該多孔性
    繊維集積体の一平面部に存在する請求項6に記載のシー
    ト状の多孔性繊維集積体。
  10. 【請求項10】 該多孔性繊維集積体の表面に多数のセ
    ル状空隙部が開口して形成される請求項6に記載の多孔
    性繊維集積体。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載の多孔性繊維集積体と
    支持層からなる複合積層体であって、その一表面または
    両表面に該多孔性繊維集積体が存在することを特徴とす
    る多孔性繊維複合積層体。
  12. 【請求項12】 該支持層が、繊維層、フィルム、シー
    トおよび発泡層からなる群から選ばれる層である請求項
    11に記載の多孔性繊維複合積層体。
  13. 【請求項13】 請求項1に記載の多孔性繊維集積体の
    両面に支持層が存在することを特徴とする多孔性繊維複
    合積層体。
  14. 【請求項14】 支持層が、繊維層、フィルム、シート
    および発泡層からなる群から選ばれる層である請求項1
    3に記載の多孔性繊維複合積層体。
  15. 【請求項15】 請求項1に記載の多孔性繊維集積体の
    少なくとも一表面に該繊維層と同一繊維組成からなる通
    気性の繊維融着緻密層を有することを特徴とする多孔性
    繊維複合積層体。
  16. 【請求項16】 捲縮が立体捲縮である請求項1〜15
    のいずれか1項に記載の多孔性繊維集積体。
  17. 【請求項17】 捲縮が仮撚捲縮である請求項1〜16
    のいずれか1項に記載の多孔性繊維集積体。
  18. 【請求項18】 湿熱接着性捲縮繊維が、繊維表面の少
    なくとも一部にエチレン−ビニルアルコール系共重合体
    が存在する繊維である請求項1〜17のいずれか1項に
    記載の多孔性繊維集積体。
  19. 【請求項19】 湿熱接着性捲縮繊維を10〜100質
    量%含む繊維集積体に水を含浸し、次いで含水繊維集積
    体を加熱し該繊維集積体層内に沸騰による気泡を生じさ
    せ、該繊維集積体内部に多数の不定形の空洞部を形成せ
    しめると同時に湿熱接着性繊維によって繊維集積体を構
    成する繊維の少なくとも一部を熱接着することを特徴と
    する多孔性繊維集積体の製造方法。
  20. 【請求項20】 湿熱接着性捲縮繊維を10〜100質
    量%含む繊維集積体の一表面は湿熱接着性繊維の含有量
    が低く、他の部分は湿熱接着性繊維の含有量が高い繊維
    集積体を水層に浸漬し、該含水繊維集積体を加熱して、
    繊維集積体の一表面に緻密層を有し、該緻密層に連続し
    た多孔性繊維層を有する多孔性繊維集積体の製造方法。
  21. 【請求項21】 該含水繊維集積体に高周電磁波を照射
    して加熱する請求項19に記載の多孔性繊維集積体の製
    造方法。
  22. 【請求項22】 該含水繊維集積体の表面層の少なくと
    も一部を外気に露出した状態で、該含水繊維集積体に高
    周電磁波を照射して加熱し、繊維集積体の一表面に緻密
    層を有し、該緻密層に連続した多孔性繊維層を有する多
    孔性繊維積層体の製造方法。
  23. 【請求項23】 湿熱接着性捲縮繊維を10〜100質
    量%含有する繊維束をその任意の部位で拘束し、該繊維
    束に水を含浸し、次いで該繊維束内に気泡を生じさせつ
    つ湿熱処理を施した後、該繊維束を冷却することを特徴
    とする多孔性繊維集積体の製造方法。
  24. 【請求項24】 湿熱接着性捲縮繊維を10〜100質
    量%含む繊維層を水に浸漬し、加熱処理することにより
    該繊維層内に気泡を生じせしめ、セル状空隙部を形成し
    た後、該繊維層の少なくとも一表面を熱圧着することに
    より通気性の繊維融着緻密層を形成させることを特徴と
    する多孔性繊維複合積層体の製造方法。
  25. 【請求項25】 湿熱接着性捲縮繊維を10〜100質
    量%含む繊維層の少なくとも一表面を熱圧着することに
    より、通気性の繊維融着緻密層を形成せしめ、次いで、
    該繊維層を水に浸漬し、加熱処理することにより該繊維
    層内に気泡を生じせしめ、セル状空隙部を形成すること
    を特徴とする多孔性繊維複合積層体の製造方法。
  26. 【請求項26】 捲縮が立体捲縮である請求項19〜2
    5のいずれか1項に記載の多孔性繊維集積体の製造方
    法。
  27. 【請求項27】 捲縮が仮撚捲縮である請求項19〜2
    6のいずれか1項に記載の多孔性繊維集積体の製造方
    法。
  28. 【請求項28】 湿熱接着性捲縮繊維が、繊維表面の少
    なくとも一部にエチレン−ビニルアルコール系共重合体
    が存在する繊維である請求項の19〜27いずれか1項
    に記載の多孔性繊維集積体の製造方法。
JP2000310361A 2000-10-11 2000-10-11 多孔性繊維集積体およびその製造方法 Expired - Fee Related JP4485040B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000310361A JP4485040B2 (ja) 2000-10-11 2000-10-11 多孔性繊維集積体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000310361A JP4485040B2 (ja) 2000-10-11 2000-10-11 多孔性繊維集積体およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002115161A true JP2002115161A (ja) 2002-04-19
JP4485040B2 JP4485040B2 (ja) 2010-06-16

Family

ID=18790337

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000310361A Expired - Fee Related JP4485040B2 (ja) 2000-10-11 2000-10-11 多孔性繊維集積体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4485040B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002302863A (ja) * 2001-04-02 2002-10-18 Kuraray Co Ltd 塗装具用繊維構造体およびその製造方法
JP2006314286A (ja) * 2005-05-13 2006-11-24 Kuraray Co Ltd 細胞培養基体および該基体を用いた細胞培養方法
WO2007116676A1 (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Kuraray Kuraflex Co., Ltd. 不織繊維構造を有する成形体
JP2009084715A (ja) * 2007-09-27 2009-04-23 Kuraray Kuraflex Co Ltd 緩衝材及びその製造方法
JP2012077432A (ja) * 2010-09-08 2012-04-19 Kuraray Co Ltd 透光性シート及びその製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002302863A (ja) * 2001-04-02 2002-10-18 Kuraray Co Ltd 塗装具用繊維構造体およびその製造方法
JP4663897B2 (ja) * 2001-04-02 2011-04-06 株式会社クラレ 塗装具用繊維構造体およびその製造方法
JP2006314286A (ja) * 2005-05-13 2006-11-24 Kuraray Co Ltd 細胞培養基体および該基体を用いた細胞培養方法
WO2007116676A1 (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Kuraray Kuraflex Co., Ltd. 不織繊維構造を有する成形体
JP4951618B2 (ja) * 2006-03-31 2012-06-13 株式会社クラレ 不織繊維構造を有する成形体
US9758925B2 (en) 2006-03-31 2017-09-12 Kuraray Co., Ltd. Molded object having nonwoven fibrous structure
JP2009084715A (ja) * 2007-09-27 2009-04-23 Kuraray Kuraflex Co Ltd 緩衝材及びその製造方法
JP2012077432A (ja) * 2010-09-08 2012-04-19 Kuraray Co Ltd 透光性シート及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4485040B2 (ja) 2010-06-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100366113B1 (ko) 다공성 섬유 집적체 및 그 제조방법
JP4039809B2 (ja) 三次元構造化された繊維平面形成物およびその製造方法
JP5613095B2 (ja) 熱膨張性不織布及びこれを用いた嵩高不織布の製造方法
US5443893A (en) Multilayer nonwoven thermal insulating batts
JP4485040B2 (ja) 多孔性繊維集積体およびその製造方法
JPS621027B2 (ja)
JP4316077B2 (ja) 多孔性繊維複合積層体およびその製造方法
JPH04245965A (ja) 堅綿成形体
JP4204734B2 (ja) 多孔性繊維複合体およびその製造方法
JP2003236965A (ja) クッション材及びその製造方法、並びにそれに用いる製造装置
JP5399095B2 (ja) 不織繊維集合体及びクッション材
JPH10325059A (ja) 不織布及び不織布の製造方法
JP4166395B2 (ja) 清掃材用繊維成型物
JP2002143028A (ja) ボディスポンジ
JP3856972B2 (ja) 熱収縮性を有する分割型複合短繊維およびこれを用いた短繊維不織布
JP2002194678A (ja) 人工皮革用繊維シート
JP4124941B2 (ja) 異方性多孔質繊維成型体およびその製造方法
KR20210148553A (ko) 경량화 매트 구조체
JP4522592B2 (ja) 球状繊維構造体およびその製造方法
WO2011122561A1 (ja) 不織繊維成形体及びその製造方法
JP4047848B2 (ja) 不織布の製造方法
JP4536229B2 (ja) 弾性湿潤シート
JP3213460B2 (ja) 生分解性積層不織構造体の製造方法
JP4647111B2 (ja) 靴中敷用繊維構造体およびその製造方法
JP3526358B2 (ja) 多孔性基材一体化用不織布、この多孔性基材一体化用不織布の製造方法、この多孔性基材一体化用不織布で一体化した複合体、及びこの複合体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070705

A977 Report on retrieval

Effective date: 20100219

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100302

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100324

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 3

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130402

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees