JP2002110463A - 電解コンデンサ用セパレータとその製造方法、およびそれを用いた電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ用セパレータとその製造方法、およびそれを用いた電解コンデンサ

Info

Publication number
JP2002110463A
JP2002110463A JP2000299186A JP2000299186A JP2002110463A JP 2002110463 A JP2002110463 A JP 2002110463A JP 2000299186 A JP2000299186 A JP 2000299186A JP 2000299186 A JP2000299186 A JP 2000299186A JP 2002110463 A JP2002110463 A JP 2002110463A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrolytic capacitor
separator
acid
phosphate ions
aluminum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000299186A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4586950B2 (ja
Inventor
Kenji Tamamitsu
賢次 玉光
Tadashi Ozawa
正 小澤
Masaro Sakakura
正郎 坂倉
Hisatomi Ito
久富 伊東
Tatsunori Tsuji
達紀 辻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Chemi Con Corp
Original Assignee
Nippon Chemi Con Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Chemi Con Corp filed Critical Nippon Chemi Con Corp
Priority to JP2000299186A priority Critical patent/JP4586950B2/ja
Publication of JP2002110463A publication Critical patent/JP2002110463A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4586950B2 publication Critical patent/JP4586950B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 放置特性の良好な電解コンデンサ用セパレー
タ及びその製造方法と、それを用いた電解コンデンサを
提供する。 【解決手段】 本発明の電解コンデンサ用セパレータ
は、水溶性の金属錯体にリン酸イオンが結合した結合体
が付着しているので、電解液中のリン酸イオンを長時間
にわたって適正量に保つことができ、放置後の電極箔の
劣化を抑制することによって、これを用いた電解コンデ
ンサの放置特性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は電解コンデンサ用
セパレータとその製造方法、およびそれを用いた電解コ
ンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサは一般的には以下のよう
な構成を取っている。すなわち、帯状に形成された高純
度のアルミニウム箔を化学的あるいは電気化学的にエッ
チングを行って拡面処理するとともに、拡面処理したア
ルミニウム箔をホウ酸アンモニウム水溶液等の化成液中
にて化成処理することによりアルミニウム箔の表面に酸
化皮膜層を形成させた陽極箔と、同じく高純度のアルミ
ニウム箔を拡面処理した陰極箔をセパレータを介して巻
回してコンデンサ素子が形成される。そしてこのコンデ
ンサ素子には駆動用の電解液が含浸され、金属製の有底
筒状の外装ケースに収納される。さらに外装ケースの開
口端部は弾性ゴムよりなる封口体が収納され、さらに外
装ケースの開口端部を絞り加工により封口を行い、電解
コンデンサを構成する。
【0003】そして、小型、低圧用の電解コンデンサ
の、コンデンサ素子に含浸される電解液としては、従来
より、エチレングリコールを主溶媒とし、アジピン酸、
安息香酸などのアンモニウム塩を溶質とするもの、また
は、γ−ブチロラクトンを主溶媒とし、フタル酸、マレ
イン酸などの四級化環状アミジニウム塩を溶質とするも
の等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
電解コンデンサを放置すると、静電容量が減少し、漏れ
電流特性が劣化し、さらには、安全弁の開弁にいたるこ
とがあるという問題点があり、このような負荷もしくは
無負荷での長時間経過後の特性である放置特性は、電解
コンデンサの信頼性に大きな影響を与えている。
【0005】そこで、長時間放置して劣化した電解コン
デンサを分析したところ、電解液のpHが高くなってお
り、また、電極箔表面に溶質のアニオン成分が付着して
いることが分かった。このことから、電極箔表面のアル
ミニウムが溶質のアニオン成分と反応して電極箔に付着
し、さらに、アルミニウムが溶解して水酸化物等とな
り、一部は溶質のアニオン成分と反応し、この際に水素
ガスが発生する。この反応がくり返されて、pHが上昇
し、電極箔の劣化、開弁にいたるということが明らかに
なった。
【0006】ところで、リン酸がこのような電極箔の劣
化の防止に効果があることはよく知られているが、十分
なものではない。これは、このリン酸を電解液に添加し
ても、添加したリン酸は電解液中のアルミニウムと錯体
を形成して電極箔に付着し、リン酸は電解液中から消失
してしまうことによるものである。さらに、添加量が多
過ぎると、漏れ電流が増大するという問題もある。とこ
ろが、リン酸イオンが消失する段階の適量残存している
間は、電解コンデンサの特性は良好に保たれる。これら
のことを明らかにしたことから、本発明にいたったもの
で、放置特性の良好な電解コンデンサ用セパレータとそ
の製造方法およびそれを用いた電解コンデンサを提供す
ることをその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の電解コンデンサ
用セパレータは、水溶性の金属錯体にリン酸イオンが結
合した結合体が付着したことを特徴とする。
【0008】そして、本発明の電解コンデンサ用セパレ
ータの製造方法は、キレート化剤と、溶媒中でリン酸イ
オンを生成する化合物と、金属または金属化合物とから
なる溶液を作成し、キレート化反応とリン酸イオン結合
反応を完結させて、水溶性の金属錯体にリン酸イオンが
結合した結合体を生成した後、この結合体をセパレータ
に付着することを特徴とする。
【0009】ここで、前記の溶媒中でリン酸イオンを生
成する化合物が、一般式(化2)で示されるリン化合物
又はこれらの塩もしくはこれらの縮合体又はこれらの縮
合体の塩であることを特徴とする。
【0010】そして、本発明の電解コンデンサは、前記
の電解コンデンサ用セパレータを用いたことを特徴とす
る。
【0011】また、前記の電解コンデンサ用セパレータ
において金属錯体がアルミニウム錯体であり、その製造
方法において金属または金属化合物がアルミニウムまた
はアルミニウム化合物であることを特徴とする。
【化2】 (式中、R1 、R2 は、−H、−OH、−R3 、−OR
4 :R3 、R4 は、アルキル基、アリール基、フェニル
基、エーテル基)
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の電解コンデンサ用セパレ
ータは、水溶性の金属錯体にリン酸イオンが結合した結
合体が付着している。そして、本発明の電解コンデンサ
用セパレータを用いた電解コンデンサにおいては、製造
直後から、水溶性の金属錯体にリン酸イオンが結合した
結合体(以下、水溶性結合体)が、電解液中にリン酸イ
オンを徐々に放出し、電解液中のリン酸イオンを長期間
にわたって適正量に保持する。そして、この電解コンデ
ンサ用セパレータを用いた電解コンデンサにおいては、
この適正量に保持されたリン酸イオンによって、放置特
性が良好となる。
【0013】この水溶性結合体は、キレート化剤と金属
または金属化合物と溶媒中でリン酸イオンを生成する化
合物とを溶媒に溶解することによって得ることができ
る。この溶液中では、キレート化剤と溶媒中に溶解した
金属イオンとが錯体を形成し、この錯体にリン酸イオン
が結合して水溶性結合体が形成される。そして、この結
合体をセパレータに付着して本発明の電解コンデンサ用
セパレータが製造される。また、ここで用いる溶媒は、
キレート化剤、金属または金属化合物、溶媒中でリン酸
イオンを生成する化合物を溶解する溶媒であればよく、
なかでも水、エチレングリコール、γ−ブチロラクトン
等が好ましい。
【0014】本発明に用いるキレート化剤としては、以
下のものが挙げられる。すなわち、クエン酸、酒石酸、
グルコン酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、α−ヒド
ロキシ酪酸、ヒドロキシマロン酸、α−メチルリンゴ
酸、ジヒドロキシ酒石酸等のα−ヒドロキシカルボン酸
類、γ−レゾルシル酸、β−レゾルシル酸、トリヒドロ
キシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸、ジヒドロキシフタ
ル酸、フェノールトリカルボン酸、アウリントリカルボ
ン酸、エリオクロムシアニンR等の芳香族ヒドロキシカ
ルボン酸類、スルホサリチル酸等のスルホカルボン酸
類、タンニン酸等のタンニン類、ジシアンジアミド等の
グアニジン類、ガラクトース、グルコース等の糖類、リ
グノスルホン酸塩等のリグニン類、そして、エチレンジ
アミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NT
A)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDT
A)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒド
ロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、
トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)等のアミノ
ポリカルボン酸類またはこれらの塩である。これらの中
では、タンニン酸、グルコン酸、DTPA、GEDT
A、TTHAが好適である。そして、これらの塩として
は、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、
カリウム塩等を用いることができる。なお、これらのキ
レート化剤を二以上用いてもよい。
【0015】金属としては、アルミニウム、鉄、銅、ニ
ッケル、マンガン、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、
バリウム、鉛、チタン、ニオブ、タンタル等、キレート
化剤と錯体を形成する金属を用いることができる。ま
た、金属化合物としては、酸化物、水酸化物、塩化物、
また硫酸塩、炭酸塩等の金属塩など、溶媒中で金属イオ
ンを生成する化合物を用いることができる。
【0016】そして、水溶液中でリン酸イオンを生成す
る化合物(以下、リン酸生成性化合物)を添加する。こ
のリン酸生成性化合物として、一般式(化2)で示され
るリン化合物又はこれらの塩もしくはこれらの縮合体又
はこれらの縮合体の塩を挙げることができる。
【0017】これらのリン酸生成性化合物としては、以
下のものを挙げることができる。正リン酸、亜リン酸、
次亜リン酸、及びこれらの塩、これらの塩としては、ア
ンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カルシ
ウム塩、カリウム塩である。正リン酸及びこの塩は、水
溶液中で分解してリン酸イオンを生じる。また、亜リン
酸、次亜リン酸、及びこれらの塩は、水溶液中で分解し
て、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオンを生じ、その後
に酸化してリン酸イオンとなる。
【0018】また、リン酸エチル、リン酸ジエチル、リ
ン酸ブチル、リン酸ジブチル等のリン酸化合物、1−ヒ
ドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノト
リメチレンホスホン酸、フェニルホスホン酸等のホスホ
ン酸化合物等が挙げられる。また、メチルホスフィン
酸、ホスフィン酸ブチル等のホスフィン酸化合物が挙げ
られる。
【0019】さらに、以下のような、縮合リン酸又はこ
れらの塩をあげることができる。ピロリン酸、トリポリ
リン酸、テトラポリリン酸等の直鎖状の縮合リン酸、メ
タリン酸、ヘキサメタリン酸等の環状の縮合リン酸、又
はこのような鎖状、環状の縮合リン酸が結合したもので
ある。そして、これらの縮合リン酸の塩として、アンモ
ニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カルシウム
塩、カリウム塩等を用いることができる。
【0020】これらも、水溶液中でリン酸イオンを生ず
るか、もしくは、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオンを
生じ、その後に酸化してリン酸イオンとなる、リン酸生
成性化合物である。
【0021】なお、これらの中でも、容易にリン酸イオ
ンを生ずる正リン酸またはその塩、縮合リン酸、または
リン酸化合物が好ましい。さらに、添加量に対して、比
較的速やかに、多くのリン酸イオンを生ずる正リン酸、
ピロリン酸、トリポリリン酸等の直鎖状の縮合リン酸、
またはその塩が好ましい。なお、これらの化合物以外で
も、水溶液中でリン酸イオンを生ずる物質であれば、本
発明の効果を得ることができる。
【0022】ここで、通常、電解コンデンサ用電解液の
溶媒が水を含んでいると電極箔の劣化は顕著になるが、
この場合にも水溶性結合体からリン酸イオンが適正量放
出されるので、本発明の電解コンデンサの放置特性は良
好である。さらに、水を主成分とした溶媒を用いた場合
にも放置特性が劣化することはなく、このような溶媒を
用いることによって、電解コンデンサ用電解液の比抵抗
が低減でき、そのことによって電解コンデンサの低イン
ピーダンス化を図ることができる。
【0023】以上の本発明のセパレータを用いた電解コ
ンデンサは、放置特性、すなわち、長期間にわたる負
荷、無負荷試験後の特性が良好である。
【0024】以下、本発明について説明する。本発明の
電解コンデンサ用セパレータは、水溶性の金属錯体にリ
ン酸イオンが結合した結合体が付着しているが、この水
溶性結合体によって、電解液中のリン酸イオンを長時間
にわたって適正量に保つことができる。すなわち、電解
液中のリン酸イオンは、電極箔から溶出するアルミニウ
ムと反応して減少するが、この減少にともなって、水溶
性結合体がリン酸イオンを放出して、電解液中のリン酸
イオンを適正量に保つ作用をする。そして、この適正量
のリン酸イオンはアルミニウムの溶解、またアルミニウ
ムの水酸化物等の生成を抑制して、電極箔の劣化を抑制
するので、電解コンデンサの放置特性が向上する。
【0025】すなわち、電解液にリン酸イオンを添加し
たのみでは、リン酸イオンはアルミニウムと反応して電
解液中から消失してしまうので、放置特性が劣化する。
また、多量に添加した場合はさらに漏れ電流特性が劣化
する。しかしながら、本発明の電解コンデンサにおいて
は、電解液中に適正量のリン酸イオンが長期間経過して
も消失することなく存在して、良好な放置特性を維持す
ることができ、漏れ電流特性も劣化することなく、良好
である。
【0026】以下の実験はこれらのことを明らかにし
た。本発明の電解コンデンサを分解し、コンデンサ素子
に含浸された電解液を洗浄、除去した。その後、このコ
ンデンサ素子にリン酸イオンを含まない電解液を含浸し
て電解コンデンサを作成したところ、この電解コンデン
サの放置特性は良好であった。そして、この電解コンデ
ンサの電解液からはリン酸イオンが検出され、アルミニ
ウムはほとんど検出されなかった。すなわち、セパレー
タに付着した水溶性結合体が、リン酸イオンを含まない
電解液中にリン酸イオンを放出し、その後も一定のリン
酸イオンを長時間にわたって適正に保つことによって、
コンデンサの放置特性を向上させたものである。また、
このようにして作成した電解コンデンサについて、上記
の操作を数度おこなっても、同じく、電解液からはリン
酸イオンが検出され、電解コンデンサの放置特性は良好
であった。なお、本発明の金属錯体が水溶性でない、つ
まり難溶性または不溶性の場合は、本発明のような電解
液中のリン酸イオンを適正量に保つ作用がないためと思
われるが、本発明の効果を得ることはできない。また、
アルミ電解コンデンサについて説明したが、タンタル電
解コンデンサ等、その他の電解コンデンサについても同
様である。
【0027】以上のように、本発明に用いる水溶性結合
体はリン酸イオンを放出する特性を有している。ここ
で、錯体に結合し得るリン酸イオンの数はキレート化
剤、金属の配位数によって異なるが、所望の特性が得ら
れる適正な数だけ結合していることが好ましい。すなわ
ち、水溶性結合体に結合したリン酸イオンが適正でない
と、放置中に放出し得るリン酸イオンの数が減少して、
所望の効果が得られない。したがって、本発明のよう
に、キレート化剤とリン酸生成性化合物と金属または金
属化合物の溶液を作成して、この溶液中で水溶性の金属
錯体にリン酸イオンが結合した結合体を生成することに
よって、キレート化反応及びリン酸イオン結合反応を完
結させ、適正な数のリン酸イオンが結合した水溶性結合
体を得ることができる。そして、この結合体をセパレー
タに付着することによって、本発明の電解コンデンサ用
セパレータを製造することができる。
【0028】さらに、電解液中で水溶性結合体を生成す
るためにキレート化剤を電解液に添加すると、キレート
化剤が電極箔溶解してしまうことが判明している。しか
しながら、本発明の電解コンデンサ用セパレータにおい
てはキレート化反応が終了した水溶性結合体を付着させ
るので、この結合体が電極箔を溶解するということもな
い。
【0029】そして、本発明の電解コンデンサの電解液
はpHが上昇せず、5〜7(水溶液として50倍に希釈
して測定)に維持されていることが判明した。これは、
電解液中に保持されたリン酸イオンによって、電極箔の
溶解が抑制され、したがって、電解質のアニオン成分が
電極箔と反応することが抑制されて、pHの上昇が抑制
されているものと思われる。
【0030】
【実施例】以下実施例を挙げて詳細に説明する。コンデ
ンサ素子は陽極箔と、陰極箔をセパレータを介して巻回
して形成する。陽極電極箔は、純度99.9%のアルミ
ニウム箔を酸性溶液中で化学的あるいは電気化学的にエ
ッチングして拡面処理した後、アジピン酸アンモニウム
の水溶液中で化成処理を行い、その表面に陽極酸化皮膜
層を形成したものを用いる。陰極箔として、純度99.
9%のアルミニウム箔をエッチングして拡面処理した箔
を用いた。
【0031】上記のように構成したコンデンサ素子に、
アルミ電解コンデンサの駆動用の電解液を含浸する。こ
の電解液を含浸したコンデンサ素子を、有底筒状のアル
ミニウムよりなる外装ケースに収納し、外装ケースの開
口端部に、ブチルゴム製の封口体を挿入し、さらに外装
ケースの端部を絞り加工することによりアルミ電解コン
デンサの封口を行う。
【0032】ここで用いるセパレータは以下のように作
成した。まず水10部に(表1)に示すキレート化剤、
金属化合物、リン酸二水素アンモニウムを添加し、キレ
ート化反応及びリン酸イオン結合反応を完結させ、水溶
性結合体を作成した。なお、比較例1として、水10部
に水酸化アルミニウム0.2部、リン酸二水素アンモニ
ウム1部を添加した水溶液を作成した。次いで、この水
溶性結合体の水溶液に電解コンデンサ用セパレータを浸
漬し、その後に乾燥して水溶性結合体を付着し、本発明
の電解コンデンサ用セパレータを形成した。そして、こ
のセパレータを用いて電解コンデンサを作成した。そし
て、(表2)に示す電解液を用いて電解コンデンサを作
成した。また、従来例として、γ−ブチロラクトン75
部、フタル酸エチルジメチルイミダゾリニウム25部の
電解液を用いた。比抵抗は81Ωcmであった。
【0033】以上のように構成したアルミ電解コンデン
サの高温寿命試験を行った。アルミ電解コンデンサの定
格は、6.3WV−5600μFである。試験条件は、
105°C、定格電圧負荷、無負荷、1000時間であ
る。そして、試験後のコンデンサを分解し、その電極箔
をpH7以上の緩衝溶液に浸漬、加熱してリン酸イオン
を抽出し、その濃度を測定した。なお、リン酸イオン濃
度の測定下限は1ppmである。それぞれの結果を(表
3)〜(表4)に示す。また、従来例の初期特性は、静
電容量が5660μF、tanδが0.101,漏れ電
流が13μAであった。
【0034】
【表1】 (注)TaA :タンニン酸〔CAS:1401−55−
4〕 GluA:グルコン酸 DTPA:ジエチレントリアミン六酢酸 AlOH:水酸化アルミニウム FeSO:硫酸第二鉄 NiSO:硫酸ニッケル CaCO:炭酸カルシウム 2PA :リン酸二水素アンモニウム
【0035】
【表2】 (注)EG :エチレングリコール AAd :アジピン酸アンモニウム
【0036】
【表3】 (注)Cap:静電容量(μF)、tanδ:誘電損失
の正接、 LC:漏れ電流(μA)、ΔCap:静電容量変化率
(%) リン酸:リン酸濃度(ppm)
【0037】
【表4】
【0038】(表3)、(表4)から分かるように、実
施例の1000時間経過後のリン酸濃度は、それぞれの
試験条件で4〜12ppmであり、105℃の放置特性
も良好であった。
【0039】これに比べて、リン酸水素二アンモニウム
のみを添加した比較例2、3は、それぞれ、電解液に、
50ppm、10000ppmのリン酸水素二アンモニ
ウムを添加したが、開弁にいたっており、さらに、開弁
した時点での電解液からはリン酸根が検出されない。こ
のことは電解液中のリン酸イオンが消失したことを示し
ている。また、リン酸水素二アンモニウムを1部添加し
た比較例3の初期の漏れ電流は高い。
【0040】さらに、水酸化アルミニウムとリン酸水素
二アンモニウムを用いた比較例1でも、開弁にいたって
おり、さらに、開弁した時点での電解液からはリン酸根
が検出されず、本発明の水溶性結合体の効果が分かる。
【0041】また、キレート化剤のみを電解液に添加し
た電解コンデンサについて、電極箔の皮膜電圧を測定し
たところ、皮膜電圧が低下していた。これはキレート化
剤によって電極箔の酸化皮膜が溶解したことを示してい
る。これに対して、実施例ではこのような皮膜電圧の低
下は見られない。さらに、初期の漏れ電流も良好であ
る。これは、あらかじめ作成した水溶性結合体の水溶液
にはキレート化剤及び過剰のリン酸が含まれず、キレー
ト化反応及びリン酸イオンの結合反応が完結しているこ
とが分かる。
【0042】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、水溶
性の金属錯体にリン酸イオンが結合した結合体が電解コ
ンデンサ用セパレータに付着しているので、電解液中の
リン酸イオンを適正量に長時間にわたって保つことがで
き、放置後の電極箔の劣化を抑制することによって、良
好な放置特性有する電解コンデンサ用セパレータとその
製造方法およびそれを用いた電解コンデンサを提供する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊東 久富 東京都青梅市東青梅1丁目167番地の1 日本ケミコン株式会社内 (72)発明者 辻 達紀 東京都青梅市東青梅1丁目167番地の1 日本ケミコン株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性の金属錯体にリン酸イオンが結合
    した結合体が付着した電解コンデンサ用セパレータ。
  2. 【請求項2】 キレート化剤と、溶媒中でリン酸イオン
    を生成する化合物と、金属または金属化合物とからなる
    溶液を作成し、キレート化反応とリン酸イオン結合反応
    を完結させて、水溶性の金属錯体にリン酸イオンが結合
    した結合体を生成した後、この結合体をセパレータに付
    着することを特徴とする電解コンデンサ用セパレータの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記の溶媒中でリン酸イオンを生成する
    化合物が、一般式(化1)で示されるリン化合物又はこ
    れらの塩もしくはこれらの縮合体又はこれらの縮合体の
    塩である請求項2記載の電解コンデンサ用セパレータの
    製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の電解コンデンサ用セパレ
    ータを用いた電解コンデンサ。
  5. 【請求項5】 金属錯体がアルミニウム錯体である請求
    項1記載の電解コンデンサ用セパレータ。
  6. 【請求項6】 金属または金属化合物がアルミニウムま
    たはアルミニウム化合物である請求項2記載の電解コン
    デンサ用セパレータの製造方法。 【化1】 (式中、R1 、R2 は、−H、−OH、−R3 、−OR
    4 :R3 、R4 は、アルキル基、アリール基、フェニル
    基、エーテル基)
JP2000299186A 2000-09-29 2000-09-29 電解コンデンサ用セパレータとその製造方法、およびそれを用いた電解コンデンサ Expired - Fee Related JP4586950B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000299186A JP4586950B2 (ja) 2000-09-29 2000-09-29 電解コンデンサ用セパレータとその製造方法、およびそれを用いた電解コンデンサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000299186A JP4586950B2 (ja) 2000-09-29 2000-09-29 電解コンデンサ用セパレータとその製造方法、およびそれを用いた電解コンデンサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002110463A true JP2002110463A (ja) 2002-04-12
JP4586950B2 JP4586950B2 (ja) 2010-11-24

Family

ID=18781032

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000299186A Expired - Fee Related JP4586950B2 (ja) 2000-09-29 2000-09-29 電解コンデンサ用セパレータとその製造方法、およびそれを用いた電解コンデンサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4586950B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007148430A1 (ja) * 2006-06-20 2007-12-27 Sanyo Chemical Industries, Ltd. アルミニウム電解コンデンサ用電解液、およびそれを用いたアルミニウム電解コンデンサ
JP2008135693A (ja) * 2006-06-20 2008-06-12 Sanyo Chem Ind Ltd アルミニウム電解コンデンサ用電解液、およびそれを用いたアルミニウム電解コンデンサ

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000173878A (ja) * 1998-12-09 2000-06-23 Rubycon Corp 電解コンデンサ

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000173878A (ja) * 1998-12-09 2000-06-23 Rubycon Corp 電解コンデンサ

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007148430A1 (ja) * 2006-06-20 2007-12-27 Sanyo Chemical Industries, Ltd. アルミニウム電解コンデンサ用電解液、およびそれを用いたアルミニウム電解コンデンサ
JP2008135693A (ja) * 2006-06-20 2008-06-12 Sanyo Chem Ind Ltd アルミニウム電解コンデンサ用電解液、およびそれを用いたアルミニウム電解コンデンサ
US8177994B2 (en) 2006-06-20 2012-05-15 Sanyo Chemical Industries, Ltd. Electrolytic solution for aluminum electrolytic capacitors, and aluminum electrolytic capacitor using the same

Also Published As

Publication number Publication date
JP4586950B2 (ja) 2010-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4683315B2 (ja) 電解コンデンサ用電解液
JP5447505B2 (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電解液及びアルミニウム電解コンデンサ
JPWO2011004616A1 (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電解液及びアルミニウム電解コンデンサ
JP2006108159A (ja) 電解コンデンサ
JP4586950B2 (ja) 電解コンデンサ用セパレータとその製造方法、およびそれを用いた電解コンデンサ
JP4737352B2 (ja) 電解コンデンサ用電極箔とその製造方法、およびそれを用いた電解コンデンサ
JP2003289021A (ja) 電解コンデンサ用電極箔とその製造方法、およびそれを用いた電解コンデンサ。
JP2003289017A (ja) 電解コンデンサ用電解液とその製造方法、およびそれを用いた電解コンデンサ。
JP4586949B2 (ja) 電解コンデンサ用電解液とその製造方法、およびそれを用いた電解コンデンサ。
JP2011216744A (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電解液及びアルミニウム電解コンデンサ
JP4164637B2 (ja) 電解コンデンサ
JP4737354B2 (ja) 電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサ。
JP4569724B2 (ja) アルミ電解コンデンサ、及びそれに用いるアルミ電解コンデンサ用電解液とその製造方法。
JP4743362B2 (ja) 電解コンデンサ、及びそれに用いる電解コンデンサ用電解液とその製造方法。
JP6331627B2 (ja) 電解コンデンサ用電解液、これを用いた電解コンデンサ及びその製造方法
JP2003289014A (ja) 電解コンデンサ用セパレータとその製造方法、およびそれを用いた電解コンデンサ。
JP4720962B2 (ja) アルミ電解コンデンサ、及びそれに用いるアルミ電解コンデンサ用電解液とその製造方法。
JP4569729B2 (ja) アルミ電解コンデンサ
JP4569725B2 (ja) アルミ電解コンデンサ、及びそれに用いるアルミ電解コンデンサ用電解液とその製造方法。
JP4569726B2 (ja) アルミ電解コンデンサ、及びそれに用いるアルミ電解コンデンサ用電解液とその製造方法。
JP5138850B2 (ja) 電解コンデンサ
JP4569730B2 (ja) アルミ電解コンデンサ
JP2002359165A (ja) 電解コンデンサおよびそれに用いる電解コンデンサ用電極箔
JP4569728B2 (ja) アルミ電解コンデンサ
JP2003234252A (ja) 電解コンデンサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070911

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100203

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100811

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100824

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130917

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees