JP2003289014A - 電解コンデンサ用セパレータとその製造方法、およびそれを用いた電解コンデンサ。 - Google Patents

電解コンデンサ用セパレータとその製造方法、およびそれを用いた電解コンデンサ。

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JP2003289014A JP2002092038A JP2002092038A JP2003289014A JP 2003289014 A JP2003289014 A JP 2003289014A JP 2002092038 A JP2002092038 A JP 2002092038A JP 2002092038 A JP2002092038 A JP 2002092038A JP 2003289014 A JP2003289014 A JP 2003289014A
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separator
acid
water
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Tadashi Ozawa
正 小澤
Kenji Tamamitsu
賢次 玉光
Masaro Sakakura
正郎 坂倉
Tatsunori Tsuji
達紀 辻
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放置特性の良好な電解コンデンサ用セパレー
タ及びその製造方法と、それを用いた電解コンデンサを
提供する。 【解決手段】 本発明の電解コンデンサ用セパレータ
は、リン酸を含有する水溶性金属錯体を付着しているの
で、このリン酸を含有する水溶性金属錯体がリン酸イオ
ンを放出して、電解液中のリン酸イオンを長時間にわた
って適正量に保つことができ、放置後の電極箔の劣化を
抑制するので、本発明の電解コンデンサ用セパレータを
用いた電解コンデンサの放置特性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は電解コンデンサ用
セパレータとその製造方法、およびそれを用いた電解コ
ンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサは一般的には以下のよう
な構成を取っている。すなわち、帯状に形成された高純
度のアルミニウム箔を化学的あるいは電気化学的にエッ
チングを行って拡面処理するとともに、拡面処理したア
ルミニウム箔をホウ酸アンモニウム水溶液等の化成液中
にて化成処理することによりアルミニウム箔の表面に酸
化皮膜層を形成させた陽極箔と、同じく高純度のアルミ
ニウム箔を拡面処理した陰極箔をセパレータを介して巻
回してコンデンサ素子が形成される。そしてこのコンデ
ンサ素子には駆動用の電解液が含浸され、金属製の有底
筒状の外装ケースに収納される。さらに外装ケースの開
口端部は弾性ゴムよりなる封口体が収納され、さらに外
装ケースの開口端部を絞り加工により封口を行い、電解
コンデンサを構成する。
【0003】そして、小型、低圧用の電解コンデンサ
の、コンデンサ素子に含浸される電解液としては、従来
より、エチレングリコールを主溶媒とし、アジピン酸、
安息香酸などのアンモニウム塩を溶質とするもの、また
は、γ−ブチロラクトンを主溶媒とし、フタル酸、マレ
イン酸などの四級化環状アミジニウム塩を溶質とするも
の等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
電解コンデンサを放置すると、静電容量が減少し、漏れ
電流特性が劣化し、さらには、安全弁の開弁にいたるこ
とがあるという問題点があり、このような負荷もしくは
無負荷での長時間経過後の特性である放置特性は、電解
コンデンサの信頼性に大きな影響を与えている。
【0005】このような問題点は以下のような挙動によ
るものと考えられる。すなわち、電極箔のアルミニウム
が電解液に溶解し、このアルミニウムが電解液中の水酸
化イオンと反応してアルミニウムの水酸化物になる。こ
の反応の繰り返しによって、電極箔が劣化して特性が低
下し、この際に発生する水素ガスによって開弁にいた
る。
【0006】ところで、リン酸がこのような電極箔の劣
化の防止に効果があることはよく知られているが、十分
なものではない。これは、このリン酸を電解液に添加し
ても、添加したリン酸は電解液中のアルミニウムと反応
して、電極箔に付着し、リン酸は電解液中から消失して
しまうからである。ところが、リン酸イオンが消失する
段階の適量残存している間は、電解コンデンサの特性は
良好に保たれる。これらのことを明らかにしたことか
ら、本発明にいたったもので、放置特性の良好な電解コ
ンデンサ用セパレータとその製造方法およびそれを用い
た電解コンデンサを提供することをその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の電解コンデンサ
用セパレータは、水溶性金属錯体にリン酸イオンが結合
した金属錯体を付着したことを特徴とする。
【0008】そして、本発明の電解コンデンサ用セパレ
ータの製造方法は、キレート化剤と、溶媒中でリン酸イ
オンを生成する化合物と、金属または金属化合物とを溶
媒中で混合し、リン酸イオンとキレート化剤と金属イオ
ンとの錯体形成反応を完結させ、リン酸を含有する水溶
性金属錯体を生成した後、この金属錯体をセパレータに
付着することを特徴とする。
【0009】ここで、前記の溶媒中でリン酸イオンを生
成する化合物が、一般式(化2)で示されるリン化合物
又はこれらの塩もしくはこれらの縮合体又はこれらの縮
合体の塩であることを特徴とする。
【0010】そして、本発明の電解コンデンサは、前記
の電解コンデンサ用セパレータを用いたことを特徴とす
る。
【0011】また、前記の電解コンデンサ用セパレータ
において金属錯体がアルミニウム錯体であり、その製造
方法において金属または金属化合物がアルミニウムまた
はアルミニウム化合物であることを特徴とする。
【化2】 (式中、R1 、R2 は、−H、−OH、−R3 、−OR
4 :R3 、R4 は、アルキル基、アリール基、フェニル
基、エーテル基)
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の電解コンデンサ用セパレ
ータは、リン酸を含有する水溶性金属錯体を付着してい
る。リン酸を含有する水溶性金属錯体は、アミノポリカ
ルボン酸等のキレート化剤と金属とリン酸が錯形成した
錯体化合物である。そして、本発明の電解コンデンサ用
電解液中では、セパレータに付着したリン酸を含有する
水溶性金属錯体(以下、水溶性金属錯体)が、電解液中
にリン酸イオンを徐々に放出し、電解液中のリン酸イオ
ンを長期間にわたって適正量に保持する。そして、この
電解コンデンサ用セパレータを用いた電解コンデンサに
おいては、この適正量に保持されたリン酸イオンによっ
て、放置特性が良好となる。
【0013】この水溶性金属錯体は、キレート化剤と金
属または金属化合物と溶媒中でリン酸イオンを生成する
化合物とを溶媒中で混合することによって得ることがで
きる。この溶液中では、リン酸を含有する金属錯体が形
成される。そして、この溶液から減圧、加熱等で溶媒を
除去し、水溶性金属錯体を得ることができる。この水溶
性錯体をセパレータに付着して本発明の電解コンデンサ
用セパレータが作成される。付着する方法としては、コ
ンマリバース方式の塗工機(コーティング機)等を用い
て、電解コンデンサ用セパレータに水溶性金属錯体水溶
液を塗布し、乾燥する。この水溶液はセパレータに浸透
し、乾燥後には水溶性金属錯体がセパレータの繊維に付
着した状態になる。また、セパレータをこの水溶液に浸
漬して、乾燥してもよいし、水溶性錯体をセパレータに
散布して形成することもできる。また、金属または金属
化合物として、リン酸金属化合物を用いると、錯体形成
反応が良好に進行するので好ましい。なお、水溶性金属
錯体ここで用いる溶媒は、キレート化剤、金属または金
属化合物、溶媒中でリン酸イオンを生成する化合物を溶
解する溶媒であればよく、なかでも水、エチレングリコ
ール、γ−ブチロラクトン等が好ましい。
【0014】そして、以上の錯体形成反応はpH=3〜
7、好ましくはpH=5〜7の溶液中で行うと、反応が
進行しやすいので好ましい。
【0015】本発明に用いるキレート化剤としては、以
下のものが挙げられる。すなわち、クエン酸、酒石酸、
グルコン酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、α−ヒド
ロキシ酪酸、ヒドロキシマロン酸、α−メチルリンゴ
酸、ジヒドロキシ酒石酸等のα−ヒドロキシカルボン酸
類、γ−レゾルシル酸、β−レゾルシル酸、トリヒドロ
キシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸、ジヒドロキシフタ
ル酸、フェノールトリカルボン酸、アウリントリカルボ
ン酸、エリオクロムシアニンR等の芳香族ヒドロキシカ
ルボン酸類、スルホサリチル酸等のスルホカルボン酸
類、タンニン酸等の加水分解性タンニンや縮合型タンニ
ンを含むタンニン類、ジシアンジアミド等のグアニジン
類、ガラクトース、グルコース等の糖類、リグノスルホ
ン酸塩等のリグニン類、そして、エチレンジアミン四酢
酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、グリコー
ルエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ジエチレン
トリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチ
レンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテト
ラミン六酢酸(TTHA)等のアミノポリカルボン酸類
またはこれらの塩である。
【0016】これらの中でも、本発明のリン酸放出効果
の高い水溶性金属錯体を生成することができる、アミノ
ポリカルボン酸が好ましく、アミノポリカルボン酸の中
でも、DTPA、GEDTA、TTHAが好適である。
【0017】そして、これらの塩としては、アンモニウ
ム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等を
用いることができる。なお、これらのキレート化剤を二
以上用いてもよい。
【0018】金属としては、アルミニウム、鉄、銅、ニ
ッケル、マンガン、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、
バリウム、鉛、チタン、ニオブ、タンタル等、キレート
化剤と錯体を形成する金属を用いることができる。ま
た、金属化合物としては、酸化物、水酸化物、塩化物、
また硫酸塩、炭酸塩等の金属塩など、溶媒中で金属イオ
ンを生成する化合物を用いることができる。
【0019】ここで、金属としてアルミニウムを用いる
と、アルミニウム電解コンデンサ内に、アルミニウム以
外の金属を含有することがないので、好ましい。
【0020】そして、水溶液中でリン酸イオンを生成す
る化合物(以下、リン酸生成性化合物)を添加する。こ
のリン酸生成性化合物として、一般式(化2)で示され
るリン化合物又はこれらの塩もしくはこれらの縮合体又
はこれらの縮合体の塩を挙げることができる。
【0021】これらのリン酸生成性化合物としては、以
下のものを挙げることができる。正リン酸、亜リン酸、
次亜リン酸、及びこれらの塩、これらの塩としては、ア
ンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カルシ
ウム塩、カリウム塩である。正リン酸及びこの塩は、水
溶液中で分解してリン酸イオンを生じる。また、亜リン
酸、次亜リン酸、及びこれらの塩は、水溶液中で分解し
て、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオンを生じ、その後
に酸化してリン酸イオンとなる。
【0022】また、リン酸エチル、リン酸ジエチル、リ
ン酸ブチル、リン酸ジブチル等のリン酸化合物、1−ヒ
ドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノト
リメチレンホスホン酸、フェニルホスホン酸等のホスホ
ン酸化合物等が挙げられる。また、メチルホスフィン
酸、ホスフィン酸ブチル等のホスフィン酸化合物が挙げ
られる。
【0023】さらに、以下のような、縮合リン酸又はこ
れらの塩をあげることができる。ピロリン酸、トリポリ
リン酸、テトラポリリン酸等の直鎖状の縮合リン酸、メ
タリン酸、ヘキサメタリン酸等の環状の縮合リン酸、又
はこのような鎖状、環状の縮合リン酸が結合したもので
ある。そして、これらの縮合リン酸の塩として、アンモ
ニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カルシウム
塩、カリウム塩等を用いることができる。
【0024】これらも、水溶液中でリン酸イオンを生ず
るか、もしくは、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオンを
生じ、その後に酸化してリン酸イオンとなる、リン酸生
成性化合物である。
【0025】なお、これらの中でも、容易にリン酸イオ
ンを生ずる正リン酸またはその塩、縮合リン酸、または
リン酸化合物が好ましい。さらに、添加量に対して、比
較的速やかに、多くのリン酸イオンを生ずる正リン酸、
ピロリン酸、トリポリリン酸等の直鎖状の縮合リン酸、
またはその塩が好ましい。なお、これらの化合物以外で
も、水溶液中でリン酸イオンを生ずる物質であれば、本
発明の効果を得ることができる。
【0026】そして、リン酸金属化合物としては、前記
の金属とリン酸の化合物を挙げることができる。
【0027】ここで、通常、電解コンデンサ用電解液の
溶媒が水を含んでいると電極箔の劣化は顕著になるが、
この場合にも水溶性金属錯体からリン酸イオンが適正量
放出されるので、本発明の電解コンデンサの放置特性は
良好である。さらに、水を主成分とした溶媒を用いた場
合にも放置特性が劣化することはなく、このような溶媒
を用いることによって、電解コンデンサ用電解液の比抵
抗が低減でき、そのことによって電解コンデンサの低イ
ンピーダンス化を図ることができる。
【0028】以上の本発明のセパレータを用いた電解コ
ンデンサは、放置特性、すなわち、長期間にわたる負
荷、無負荷試験後の特性が良好である。
【0029】以下、本発明について説明する。本発明の
電解コンデンサ用セパレータは、リン酸を含有する金属
錯体を付着しているが、この水溶性金属錯体によって、
電解液中のリン酸イオンを長時間にわたって適正量に保
つことができる。すなわち、電解液中のリン酸イオン
は、電極箔から溶出するアルミニウムと反応して減少す
るが、この減少にともなって、水溶性金属錯体がリン酸
イオンを放出して、電解液中のリン酸イオンを適正量に
保つ作用をする。そして、この適正量のリン酸イオンは
アルミニウムの溶解、またアルミニウムの水酸化物等の
生成を抑制して、電極箔の劣化を抑制するので、電解コ
ンデンサの放置特性が向上する。
【0030】すなわち、電解液にリン酸イオンを添加し
たのみでは、リン酸イオンはアルミニウムと反応して電
解液中から消失してしまうので、放置特性が劣化する。
また、多量に添加した場合はさらに漏れ電流特性が劣化
する。しかしながら、本発明の電解コンデンサにおいて
は、電解液中に適正量のリン酸イオンが長期間経過して
も消失することなく存在して、良好な放置特性を維持す
ることができ、漏れ電流特性も劣化することなく、良好
である。
【0031】以下の実験はこれらのことを明らかにし
た。本発明の電解コンデンサを分解し、コンデンサ素子
に含浸された電解液を洗浄、除去した。その後、このコ
ンデンサ素子にリン酸イオンを含まない電解液を含浸し
て電解コンデンサを作成したところ、この電解コンデン
サの放置特性は良好であり、この電解コンデンサの電解
液からリン酸イオンが検出された。すなわち、本発明の
セパレータに付着した水溶性金属錯体が電極箔に付着
し、電解液を代えた後にも残存した水溶性金属錯体が、
リン酸イオンを含まない電解液中にリン酸イオンを放出
し、その後も一定のリン酸イオンを長時間にわたって適
正に保つことによって、コンデンサの放置特性を向上さ
せたものである。なお、アルミニウム錯体が水溶性でな
い、つまり難溶性または不溶性の場合は、本発明のよう
な電解液中のリン酸イオンを適正量に保つ作用がないた
めと思われるが、本発明の効果を得ることはできない。
また、アルミ電解コンデンサについて説明したが、タン
タル電解コンデンサ等、その他の電解コンデンサについ
ても同様である。
【0032】そして、本発明の電解液はpHが上昇せ
ず、5〜7(水溶液として50倍に希釈して測定)に維
持されていることが判明した。これは、電解液中に保持
されたリン酸イオンによって、電極箔の溶解が抑制さ
れ、電解質のアニオン成分が電極箔と反応することが抑
制されて、pHの上昇が抑制されているものと思われ
る。
【0033】
【実施例】以下実施例を挙げて詳細に説明する。コンデ
ンサ素子は陽極箔と、陰極箔をセパレータを介して巻回
して形成する。陽極電極箔は、純度99.9%のアルミ
ニウム箔を酸性溶液中で化学的あるいは電気化学的にエ
ッチングして拡面処理した後、アジピン酸アンモニウム
の水溶液中で化成処理を行い、その表面に陽極酸化皮膜
層を形成したものを用いる。陰極箔として、純度99.
9%のアルミニウム箔をエッチングして拡面処理した箔
を用いた。
【0034】上記のように構成したコンデンサ素子に、
アルミ電解コンデンサの駆動用の電解液を含浸する。こ
の電解液を含浸したコンデンサ素子を、有底筒状のアル
ミニウムよりなる外装ケースに収納し、外装ケースの開
口端部に、ブチルゴム製の封口体を挿入し、さらに外装
ケースの端部を絞り加工することによりアルミ電解コン
デンサの封口を行う。
【0035】ここで用いるセパレータは以下のように作
成した。まず溶媒として水を用い、(表1)に示すキレ
ート化剤、リン酸アルミニウム、リン酸二水素アンモニ
ウムを混合し、アンモニアガスでpH=6に調整し、リ
ン酸イオンとキレート化剤とアルミニウムの錯体形成反
応を完結させた。この水溶液を減圧して水を除去し、水
溶性金属錯体を作成した。次いで、この水溶性金属錯体
の水溶液をコンマリバース方式の塗工機にて塗布し、加
熱乾燥させて、水溶性金属錯体が付着したセパレータを
得た。
【0036】電解液としては、(表2)に示す電解液を
用いた。また、比較例1として、リン酸アルミニウムを
(表2)の電解液に添加した。なお、組成は部で示し
た。
【0037】以上のように構成したアルミ電解コンデン
サの高温寿命試験を行った。アルミ電解コンデンサの定
格は、6.3WV−5600μFである。試験条件は、
105°C、定格電圧負荷、無負荷、1000時間であ
る。そして、試験後のコンデンサを分解し、その電極箔
をpH7以上の緩衝溶液に浸漬、加熱してリン酸イオン
を抽出し、その濃度を測定した。なお、リン酸イオン濃
度の測定下限は1ppmである。それぞれの結果を(表
3)、(表4)に示す。
【0038】
【表1】 (注)DTPA :ジエチレントリアミン五酢酸 GEDTA :グリコールエーテルジアミン四酢酸 TTHA :トリエチレンテトラミン六酢酸 2AP :リン酸二水素アンモニウム
【0039】
【表2】 (注)EG :エチレングリコール AAd :アジピン酸アンモニウム
【0040】
【表3】 (注)Cap:静電容量(μF)、tanδ:誘電損失
の正接、LC:漏れ電流(μA)、ΔCap:静電容量
変化率(%) リン酸:リン酸濃度(ppm)
【0041】
【表4】
【0042】(表3)、(表4)から分かるように、実
施例の1000時間経過後のリン酸イオン濃度は、それ
ぞれの試験条件で5〜8ppmであり、105℃の放置
特性も良好であった。すなわち、電極箔に付着した水溶
性金属錯体が1000時間後もリン酸イオンを放出する
能力を有しており、このことによって、良好な放置特性
を保持している。
【0043】これに比べて、リン酸水素二アンモニウム
のみを添加した比較例2、3は、それぞれ、電解液に、
50ppm、10000ppmのリン酸水素二アンモニ
ウムを添加したが、開弁にいたっており、さらに、開弁
した時点での電解液からはリン酸根が検出されなかっ
た。このことは電解液中のリン酸イオンが消失したこと
を示している。また、リン酸水素二アンモニウムを1.
2部添加した比較例3の初期の漏れ電流は高い。
【0044】さらに、リン酸アルミニウムを添加した比
較例1でも、開弁にいたっており、さらに、開弁した時
点での電解液からはリン酸根が検出されず、本発明の水
溶性金属錯体の効果が分かる。
【0045】また、キレート化剤のみを電解液に添加し
た電解コンデンサについて、電極箔の皮膜電圧を測定し
たところ、皮膜電圧が低下していた。これはキレート化
剤によって電極箔の酸化皮膜が溶解したことを示してい
る。これに対して、実施例ではこのような皮膜電圧の低
下は見られない。さらに、初期の漏れ電流も良好であ
る。これらから、水溶性金属錯体が電極箔を溶解せず、
さらに初期からリン酸イオンを適正量放出して、良好な
特性を保持させていることが分かる。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、リン
酸を含有する水溶性金属錯体を電解コンデンサ用セパレ
ータに付着しているので、電解液中のリン酸イオンを適
正量に長時間にわたって保つことができ、放置後の電極
箔の劣化を抑制することによって、良好な放置特性有す
る電解コンデンサ用セパレータとその製造方法およびそ
れを用いた電解コンデンサを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 辻 達紀 東京都青梅市東青梅1丁目167番地の1 日本ケミコン株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸を含有する水溶性金属錯体を付着
    した電解コンデンサ用セパレータ。
  2. 【請求項2】 キレート化剤と、溶媒中でリン酸イオン
    を生成する化合物と、金属または金属化合物、とを溶媒
    中で混合し、リン酸イオンとキレート化剤と金属イオン
    との錯体形成反応を完結させ、リン酸を含有する水溶性
    金属錯体を生成した後、このリン酸を含有する水溶性金
    属錯体をセパレータに付着することを特徴とする電解コ
    ンデンサ用セパレータの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記の溶媒中でリン酸イオンを生成する
    化合物が、一般式(化1)で示されるリン化合物又はこ
    れらの塩もしくはこれらの縮合体又はこれらの縮合体の
    塩である請求項2記載の電解コンデンサ用セパレータの
    製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の電解コンデンサ用セパレ
    ータを用いた電解コンデンサ。
  5. 【請求項5】 金属錯体がアルミニウム錯体である請求
    項1記載の電解コンデンサ用セパレータ。
  6. 【請求項6】 金属または金属化合物がアルミニウムま
    たはアルミニウム化合物である請求項2記載の電解コン
    デンサ用セパレータの製造方法。 【化1】 (式中、R1 、R2 は、−H、−OH、−R3 、−OR
    4 :R3 、R4 は、アルキル基、アリール基、フェニル
    基、エーテル基)
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