JP2002106718A - ゴム被覆ステンレス鋼製ガスケット - Google Patents

ゴム被覆ステンレス鋼製ガスケット

Info

Publication number
JP2002106718A
JP2002106718A JP2000305900A JP2000305900A JP2002106718A JP 2002106718 A JP2002106718 A JP 2002106718A JP 2000305900 A JP2000305900 A JP 2000305900A JP 2000305900 A JP2000305900 A JP 2000305900A JP 2002106718 A JP2002106718 A JP 2002106718A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stainless steel
rubber
rubber layer
core material
overhang
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000305900A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Shimizu
剛 清水
Masayoshi Tadano
政義 多々納
Minoru Saito
実 斎藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Steel Co Ltd filed Critical Nisshin Steel Co Ltd
Priority to JP2000305900A priority Critical patent/JP2002106718A/ja
Publication of JP2002106718A publication Critical patent/JP2002106718A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ステンレス鋼板芯材とゴム層との密着性およ
び製造性を改善したゴム被覆ステンレス鋼製ガスケット
を提供する。 【解決手段】 ステンレス鋼板芯材の表面をゴム層で被
覆したガスケットであって、該芯材表面には塩化第二鉄
水溶液のようなFe3+を含む水溶液中での交番電解によっ
て得られるオーバーハング部(ピット内壁面が芯材板厚
中央部側に傾いている部分)を持つピットが形成されて
おり、それらのピットのオーバーハング部にゴムが潜り
込んだ芯材/ゴム層接合構造を有することを特徴とする
ゴム層の耐剥離性に優れたゴム被覆ステンレス鋼製ガス
ケット。芯材断面の顕微鏡観察像においてオーバーハン
グ部の個数を測定範囲の長さ(μm)で除したオーバーハ
ング密度Kの値が0.05〜1.50の範囲となり、かつピット
未発生部分の面積率が60%以下となる芯材を使用するこ
とが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車エンジンの
シリンダーガスケット等に用いられるゴム被覆ステンレ
ス鋼製ガスケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車エンジンに用いられるシリンダー
ガスケットは、環境問題の点からアスベストに代わり、
現在ではステンレス鋼板を芯材としてその表面にフッ素
ゴムやNBRゴム等の耐熱性ゴム層を形成させた「ゴム
被覆ステンレス鋼製ガスケット」が主流となっている。
ところが、一般にステンレス鋼と上記のような耐熱性ゴ
ムとは本来密着性があまり良くない。特に自動車エンジ
ン用ガスケットでは、ゴム層とステンレス鋼板の接合部
が露出するガスケット端面(打ち抜きによる剪断面)か
ら接合部にエンジン冷却水(不凍液)が侵入し、ゴム層
の接着耐久性を劣化させるという問題がある。そこで、
ゴム層の密着性を向上させ、不凍液に対するゴム層の接
着耐久性を改善する技術が種々提案されている。例え
ば、特開平1−203763号公報には、亜鉛めっきステンレ
ス鋼板表面に化成被膜処理によりリン酸亜鉛の結晶性被
膜を析出させ、その上に接着剤を介してゴム層を形成さ
せる手法が開示されている。特開平3−265764号公報に
は、ステンレス鋼板上にクロメート被覆層を設け、その
上に接着剤を介してゴム層を形成し、さらに加圧加硫す
る手法が開示されている。その他、ダルロール圧延やシ
ョットブラスト等により機械的にステンレス鋼板表面を
粗面化してゴム層の密着性を改善する試みも行われてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、亜鉛めっきス
テンレス鋼板表面にリン酸亜鉛を析出させる特開平1−2
03763号公報の方法では、鋼板とリン酸亜鉛の結晶性被
膜との間に亜鉛めっき層が残存した場合、不凍液との接
触により亜鉛めっき層が溶解し、ゴム層の剥離が発生す
る場合があるといった不安定な要素を抱えている。ま
た、クロメート処理したステンレス鋼板上に接着剤を介
してゴム層を設ける特開平3−265764号公報の方法では
安定したゴム層の密着性を得ることができるが、クロメ
ート処理液には環境上有害な6価クロムが含まれるた
め、廃液処理設備を備えた工場でしか製造できない。さ
らに、これらいずれの方法もゴム層の密着性を十分確保
するためには「接着剤」を使用する必要がある。このた
め、煩雑な接着剤塗布工程を経なければならない。
【0004】一方、ダルロール圧延によってステンレス
鋼板表面を機械的に粗面化する方法は、圧延ロールに形
成した凹凸を転写するものであるため、ゴム層を十分に
拘束し得るアンカー効果の高い粗面化表面を得ることは
難しい。ショットブラストやホーニング等による粗面化
手法によれば、比較的アンカー効果の高い粗面化表面を
形成することが可能である。しかし、削り取られた鋼粉
を処理する必要があるために作業効率が低下し、また、
薄ゲージ鋼板に適用した場合には鋼板に反りが生じ易い
ため、ミクロシールを目的としたシリンダーヘッド用の
ガスケット材には適さない方法と言える。
【0005】本発明は、このような従来技術の問題を解
消するためになされたものであり、ゴム層との密着性を
顕著に改善したゴム被覆ステンレス鋼製ガスケットであ
って、環境上有害な物質を使用せず、かつ効率的な方法
で製造できるものを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは、ステンレス
鋼板とゴム層との密着性改善手法を種々検討した結果、
アンカー効果の非常に高い特定の凹凸形態に粗面化した
ステンレス鋼板を芯材に用いることによって、ゴム層は
強固に拘束され、不凍液に対する抵抗力の高いゴム被覆
ステンレス鋼製ガスケットが得られることを知見した。
特に、接着剤を使用しなくても従来材と同等以上の密着
性が得られ、また接着剤を用いると一層安定した密着性
が得られることがわかった。本発明はこのような知見に
基づいてなされたものである。すなわち、上記目的は、
ステンレス鋼板芯材の表面をゴム層で被覆したガスケッ
トであって、該芯材表面にはオーバーハング部を持つピ
ット、好ましくは例えば塩化第二鉄水溶液のようなFe3+
を含む水溶液中での交番電解によって得られるオーバー
ハング部を持つピットが形成されており、それらのピッ
トのオーバーハング部にゴムが潜り込んだ芯材/ゴム層
接合構造を有することを特徴とするゴム層の耐剥離性に
優れたゴム被覆ステンレス鋼製ガスケットによって達成
される。
【0007】ここで、オーバーハング部とはピット内壁
面が芯材板厚中央部側に傾いている部分をいう。より厳
密には、オーバーハング部の有無は、芯材鋼板の断面を
顕微鏡で観察することによって以下のようにして確かめ
られる。すなわち、芯材鋼板断面に現れる該鋼板表面の
輪郭を「断面曲線」と定義したとき、その断面曲線にお
いてピット内壁面が「断面曲線の平均線」の方向より芯
材板厚中央部側を向いている部分があれば、その部分は
本発明でいうオーバーハング部である。ここで、断面曲
線の平均線とは定めた測定範囲において、その断面曲線
までの偏差の二乗和が最小になるように設定した直線ま
たは曲線をいう。ここで定義した断面曲線および断面曲
線の平均線は、表面粗さの定義と表示に関するJIS B 06
01において定義されている「断面曲線」および「断面曲
線又は粗さ曲線の平均線」と同様の概念である。
【0008】また本発明では、ステンレス鋼板芯材の表
面をゴム層で被覆したガスケットであって、該芯材表面
には下記(1)で定義されるオーバーハング密度Kが0.05
〜1.50の範囲となり、かつピット未発生部分の面積率が
60%以下となるように高密度に、好ましくは実質上隙間
なく、ピットが形成されており、ピットのオーバーハン
グ部にゴムが潜り込んだ芯材/ゴム層接合構造を有する
ことを特徴とするゴム層の耐剥離性に優れたゴム被覆ス
テンレス鋼製ガスケットを提供する。 (1)オーバーハング密度K:芯材断面の顕微鏡観察像に
おいて、50μm以上の長さの測定範囲を定め、当該測定
範囲内におけるオーバーハング部の個数nを測定し、そ
の個数nを測定範囲の長さ(μm)で除した値をKとす
る。
【0009】ここでオーバーハング部の概念は上記と同
じである。ピット未発生部分の面積率とは、芯材鋼板表
面の垂直投影面積に占めるピット未発生部分の面積の割
合(%)をいう。実質上隙間なくピットが形成されている
とは、各ピットの間に粗面化前の表面が残っていないこ
と、例えば電解により粗面化する場合には未電解部分が
残っていないことを意味し、換言すれば、各ピットは周
囲全体が他のピット(ピットと呼べるかどうか疑わしい
微小な凹部を含む)と接するようにして連続的につなが
っている状態を意味する。
【0010】また以上のガスケットにおいて、特に、芯
材がHv300〜500の硬さに調整された平均板厚0.1〜1mmの
オーステナイト系ステンレス鋼板またはフェライト+マ
ルテンサイト複相組織ステンレス鋼板であり、ゴム層の
平均厚さが10〜150μmであるものを提供する。ここで、
ゴム層の平均厚さは、芯材鋼板単位面積当たりに塗布す
るゴム量から求めることができる。
【0011】さらに本発明では、上記の粗面化ステンレ
ス鋼板表面に接着剤を介してゴム層を形成させたゴム被
覆ステンレス鋼製ガスケットを提供する。すなわち、上
記のガスケットにおいてオーバーハング部にゴムが潜り
込んだ芯材/ゴム層接合構造に代え、オーバーハング部
に接着剤が潜り込んだ接着剤層と、その上に形成された
ゴム層からなる芯材/接着剤層/ゴム層接合構造を有する
ことを特徴とするゴム被覆ステンレス鋼製ガスケットを
提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のゴム被覆ステンレス鋼製
ガスケットは、芯材であるステンレス鋼板にアンカー効
果の高い特殊な粗面化表面を有するものを用い、そのア
ンカー効果を利用してゴム層をステンレス鋼板に強固に
密着させることを特徴とするものである。また、ゴム層
の下に接着剤層を介在させ、その接着剤層がアンカー効
果によってステンレス鋼板に強固に固着されるようにし
ても良い。その特殊な粗面化表面とは、オーバーハング
部を持つピットが数多く形成された形態のものである。
【0013】図1,図2に、本発明に適するステンレス
鋼板芯材の表面と断面の電子顕微鏡(SEM)写真の一例
を示す。鋼板表面にピットが高密度に形成されているこ
とがわかる。各ピットの壁面は概ね球面状になってお
り、ピット開口部の大きさの割には深さのある半球状の
ピットが多く見られる。また、隣り合うピットの境界は
多くの部分でエッジ状に鋭く切り立っていることがわか
る。このようなピット形態は本発明の芯材に特徴的なも
のであり、これによってゴム層あるいは接着剤層を強固
に固着するのである。
【0014】図3には、図2の断面写真の拡大スケッチ
を示してある。図3中、測定範囲75μmの範囲において
矢印を付した箇所がオーバーハング部である。このよう
なオーバーハング部を有するピット壁面の下(下とは芯
材の板厚中心側)にゴムが潜り込んだ芯材/ゴム層接合
構造を有するとき、オーバーハング部の壁面はアンカー
効果を発揮してゴム層を強力に拘束し、芯材とゴム層は
極めて高い密着性を呈する。このため、ゴム層の耐剥離
性が非常に向上するとともに、ガスケット端面において
は芯材とゴム層の間への不凍液の侵入が防止される。
【0015】本発明では、このようなオーバーハング部
を有する特徴的な粗面化形態によってゴム層の高い密着
性が確保されるため、粗面化された芯材表面には特別な
表面処理や接着剤の塗布は必ずしも必要でない。ただ
し、極めて高い密着性を狙う場合等には接着剤層を介在
させることも可能である。その場合、接着剤がオーバー
ハング部に潜り込んで強固に固着されることによって、
やはり本来あまり良好でない接着剤とステンレス鋼板
(クロメート処理等の表面処理を受けていないもの)と
の密着性が大幅に改善される。一方、接着剤とゴムとの
密着性は本来良好であるため、この芯材/接着剤層/ゴム
層の接合構造によって結果的に芯材とゴム層は非常に強
固に固着されることになる。
【0016】耐熱性ゴムや接着剤に対して高いアンカー
効果を発揮するステンレス鋼板表面を実現するには、先
に(1)で定義したオーバーハング密度Kを0.05〜1.50の
範囲にすることが効果的であることがわかった。オーバ
ーハング密度Kが0.05未満であると、アンカー効果が薄
れることから、特に加工時における密着性が低下する。
一方、オーバーハング密度Kが1.50を超えると、そのよ
うな場合にはピット開口部の径が小さくなっており、か
つピット内面の曲率もかなり小さくなっていることか
ら、耐熱性ゴムや接着剤に対する密着性は却って低下す
る。したがって、オーバーハング密度Kが0.05〜1.50の
範囲になるように粗面化された芯材を用いることが好ま
しい。なお、図3の例では、測定範囲75μmあたりオー
バーハング部の数は23個であるから、前述の(1)の定義
に従うと、オーバーハング密度Kは23個/75μmによ
り、0.31と求められる。
【0017】また、ピットはできるだけ高密度に存在し
ていることが望ましい。オーバーハング密度Kが上記の
好ましい範囲にある場合において、ピット未発生部分の
面積率が60%以下となるように高密度にピットが存在す
るするとき、シリンダーガスケット材として特に優れた
効果を発揮するゴム被覆ステンレス鋼製ガスケットが得
られることがわかった。これは、芯材表面に細かいピッ
チの凹凸をできるだけ連続的に形成することによって、
芯材/ゴム層間への不凍液の侵入が効果的に抑えられる
ためだと考えられる。なお、上記図1,図2に示した粗
面化表面は、実質上ピットが隙間なく形成されている場
合の例である。
【0018】本発明のガスケットに用いる芯材として
は、バネ特性を付与するために冷間圧延あるいは冷間圧
延・熱処理の組み合わせにより硬さがHv300〜500に調整
されたオーステナイト系ステンレス鋼板またはフェライ
ト+マルテンサイト複相組織ステンレス鋼板が適してい
る。芯材の板厚は要求特性によって異なるが、一般的に
は平均厚さ0.1〜1.0mmの範囲のものが適用でき、特に0.
15〜0.8mmのものが好適に使用される。このような薄ゲ
ージのステンレス鋼板では、ショットブラストやホーニ
ング等の粗面化処理を行うと鋼板が反り返るなどの不都
合を生じやすい。このため本発明では後述する電解処理
にて粗面化した芯材を用いるのが好ましい。
【0019】ゴム層を構成するゴムの種類としては、フ
ッ素ゴム,シリコンゴム,アクリロニトリルブタジエン
ゴム等の耐熱ゴムを挙げることができる。ゴム層の厚さ
は平均10〜150μmの範囲とするのが良い。また、芯材と
ゴム層の間に接着剤層を介在させる場合、その接着剤と
しては、エポキシ系樹脂あるいはフェノール系樹脂を主
成分とした樹脂が挙げられ、これらを芯材表面に塗布し
たのち焼き付けして接着剤層を形成する。
【0020】前記のような芯材の特徴ある粗面化表面
は、ステンレス鋼板をFe3+を含む水溶液中で交番電解処
理することによって得ることができる。以下、その電解
条件について説明する。
【0021】〔電解液〕電解液中でステンレス鋼板を交
番電解すると、まずアノード電解によりピットが形成さ
れ、次のカソード電解でH2が発生する。このとき電解
液中にFe3+が含まれていると、未だピットが形成されて
いないフラットな表面に比べピット内部では一時的にFe
3++3OH-→Fe(OH)3の反応が起こる領域までpHが上
昇し、この時にピット内壁はFe(OH)3に覆われ保護さ
れる。このため、次のアノード電解ではピット内部より
もH2発生により活性化されているフラットな表面が優
先的に溶解され、この繰り返しによって比較的短時間に
微細なピットをステンレス鋼板表面に均一に形成するこ
とができるものと考えられる。したがって、Fe3+を含ま
ない塩化第一鉄,硝酸,塩酸,硫酸等の電解液中では、
上記メカニズムを利用した電解粗面化が行えない。さら
に、本発明ではステンレス鋼を対象とするので、電解液
中にはステンレス鋼の酸化作用を促進するNO3 -,SO
4 2-といったイオンが含まれていないことも、孔食、す
なわちピット形成を容易にさせ、短時間での粗面化処理
を可能にするための重要な条件となる。このような観点
から、電解液としてはFe3+を含む塩化第二鉄水溶液を使
用するのが好ましい。
【0022】電解液のエッチング力と形成されるピット
の形状との間には密接な関係がある。電解液のエッチン
グ力が弱いと浅めのピットが形成されやすく、エッチン
グ力が増すにつれて半球状あるいは鍵穴状といったピッ
ト開口部の大きさの割には深さのあるピットが形成され
るようになる。このような現象が起こる理由については
現時点では不明な点も多いが、恐らく、電解液のエッチ
ング力を強めるとステンレス鋼板の不動態化作用が低下
し、その結果、深さ方向へのピット成長が促進されるも
のと考えられる。電解液のエッチング力はステンレス鋼
板の化学成分および液温にも影響される。したがって、
アンカー効果の高い粗面化表面を形成させるためには、
芯材の鋼種に応じて電解液の濃度および液温を管理する
必要がある。
【0023】オーステナイト系ステンレス鋼ではFe3+
度が30〜120g/Lの塩化第二鉄水溶液を、また、フェライ
ト+マルテンサイト複相組織ステンレス鋼ではFe3+濃度
が1〜50g/Lの塩化第二鉄水溶液を用いるのが良い。いず
れの場合も液温は20〜70℃の工業的に管理しやすい温度
域とすることができる。
【0024】なお、この電解処理では、カソード電解時
にH2発生とともにFe3++e-→Fe2+なる還元反応が起こ
り、一方、アノード電解時にステンレス鋼から溶出する
FeはFe2+であることから、処理時間の経過とともに電解
液中のFe3+濃度は低下してくる。したがって、工業的規
模での連続生産においてはFe3+濃度を常に適正範囲に保
つようコントロールする必要がある。例えば、Fe3+の消
費に合わせて新液を添加する方法や、電解液中に生成し
たFe2+をFe3+に酸化する周知の方法を用いてFe 3+濃度を
コントロールすればよい。
【0025】〔アノード電解〕アノード電解の目的はス
テンレス鋼板表面にピットを形成させることである。ア
ノード電流密度が1.0kA/m2未満では活性溶解が起こるだ
けでステンレス鋼板表面にピットを形成することができ
ない。一方、10.0kA/m2を超えるとCl-イオンの分解反応
をともなうようになり、作業効率と作業環境がともに悪
化する。したがって、アノード電流密度は1.0〜10.0kA/
m2の範囲とするのが望ましい。また、交番電解1サイク
ルあたりのアノード通電時間は、ステンレス鋼板表面に
形成される球面状のピットの開口径と直接関係し、1サ
イクルあたりのアノード通電時間が長くなるほどピット
の開口径はアノード電流密度とは無関係に増大する。オ
ーバーハング密度Kが0.05〜1.5の範囲のアンカー効果
の高い粗面化表面を得るには、1サイクルあたりのアノ
ード通電時間を0.05〜1secとすることが望ましい。
【0026】〔カソード電解〕カソード電解の目的はス
テンレス鋼板表面でH2を発生させ、ピット内壁にFe(O
H)3の保護皮膜を形成させること、およびピット未発生
部分を活性化させることである。そのためカソード電流
密度の下限は、電解液中のFe3+の還元反応の限界電流密
度より高くしてH2発生領域の値となるように設定す
る。塩化第二鉄濃度,液温あるいは流速等によって多少
変動するが、オーステナイト系ステンレス鋼の適用電解
液であればほぼ0.3kA/m2以上、フェライト+マルテンサ
イト複相組織ステンレス鋼の適用電解液であればほぼ0.
1kA/m2以上あればよい。一方、過剰なH2発生はピット
内壁に形成したFe(OH)3の保護皮膜をも取り去る恐れ
があり、その場合にはステンレス鋼板表面に良好な形状
のピットを高密度に形成することが難しい。このためカ
ソード電流密度の上限は3.0kA/m2とするのが好ましい。
また、カソード電解の目的を達成するための交番電解1
サイクルあたりのカソード通電時間は0.01sec以上とす
ることが望ましい。
【0027】〔交番電解サイクル〕交番電解1サイクル
あたりの適正通電時間は、アノード電解で0.05〜1sec、
カソード電解では0.01sec以上とするのが良いことを述
べたが、工業的規模での交番電源を考慮した場合、アノ
ードとカソードの通電時間は1:1とすることがコスト
的な面から望ましい。これらのことを考慮すると、交番
電解のサイクルは0.5〜5Hzの範囲とするのがよい。
【0028】〔電解処理時間〕交番電解に要する処理時
間が10secに満たないと、ステンレス鋼板表面にピット
未発生箇所が多く残り、ゴム層あるいは接着剤層に対す
るアンカー効果が十分に得られない。一方、120secを超
えて電解しても粗面化形態に大きな差はなく、それ以上
の処理は経済上不利になる。したがって、交番電解に要
する処理時間は10〜120secとするのが良い。これは、工
業的規模での連続生産に十分対応できる処理時間といえ
る。
【0029】
【実施例】〔実施例1〕板厚0.25mmのSUS301 3/4Hオー
ステナイト系ステンレス鋼板(Hv約380)の表面に、通
常の電解脱脂,酸洗を施した後、塩化第二鉄水溶液中で
交番電解を施した。その際、交番電解条件を変えること
で各種粗面化表面を形成した。また比較のため、ダルロ
ール圧延仕上げ材,ショットブラスト仕上げ材,粗面化
未処理材(=粗面化していないもの)を準備した。これ
らのステンレス鋼板を芯材として、その表面上にフッ素
ゴム被覆を行った。フッ素ゴム被覆は、フッ化ビニリデ
ン−フルオロプロペン共重合体を溶液化したポリオール
加硫型の塗料((株)ダイキン製;ダイエルDPA−351)を
使用し、加硫後の平均塗膜厚が20μmとなる条件下で塗
布した後、フラッシュオフ加硫することにより形成し
た。また、一部、上記芯材の表面上にエポキシ系樹脂を
主成分とした接着剤層を形成し、その上に上記と同様の
フッ素ゴム被覆(平均塗膜厚が20μm)を形成した。フ
ッ素ゴムで被覆されたステンレス鋼板から試験片を切り
出し、以下の耐不凍液性試験および加工性試験に供し
た。
【0030】耐不凍液性試験;150℃に加温した自動車
エンジン用不凍液(商品名;トヨタ純正ロングライフク
ーラント)に500時間浸漬した後、引き上げて室温に24
時間放置した。そして、描画試験(JIS K 6894,荷重50
0gf)を行い、感圧接着性テープで剥離試験を行った後
にゴム層(接着剤層を形成したものでは接着剤層)が芯
材から剥離した程度を、JIS K 6894の図2の付図に規定
される付着力判定基準に従い評価した。評点4以上のも
のを合格とした。
【0031】加工性試験;フッ素ゴム被覆を形成したま
まの材料について、30tonプレス装置により直径6.5mmの
打ち抜き加工を施した後、感圧接着性テープによる剥離
試験を行い、ゴム層(接着剤層を形成したものでは接着
剤層)の剥離した程度を以下の基準で○,△,×評価し
た。○評価のものを合格とした。 ○評価:ゴム層(または接着剤層)の剥離が全く観察さ
れなかったもの。 △評価:端面のゴム層(または接着剤層)の剥離が最大
1mm未満のもの。 ×評価:同1mm以上のもの。 これらの結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】表1の本発明例のものは、芯材表面にオー
バーハングを持つピットが適正に形成されていたため、
ピットのオーバーハング部にゴムが潜り込んだ芯材/ゴ
ム層接合構造(No.8ではオーバーハング部に接着剤が潜
り込んだ芯材/接着剤層/ゴム層接合構造)を有し、その
結果、アンカー効果が十分に発揮されてゴム層の耐剥離
性に優れていたものである。これらはいずれも、耐不凍
液性試験および加工性試験により高い性能が確認され
た。一方、比較例のうちNo.9〜12は電解粗面化条件が不
適切であったため芯材表面にアンカー効果の高い粗面化
表面を形成することができず、結果的にゴム層の耐剥離
性が優れていなかったものである。No.13は最終仕上げ
圧延をダルロールによって行ったステンレス鋼板を芯材
として、その表面にゴム被覆を行ったものであるが、耐
不凍液性,加工性とも劣っていた。No.14はショットブ
ラストにより鋼板表面の粗面化を試みたものであるが、
鋼板の反りがひどくゴム被覆できなかった。No.15は粗
面化未処理材にクロメート処理を行わず、接着剤層とゴ
ム層を設けたものであるが、耐不凍液性,加工性とも劣
っていた。
【0034】なお、表1の本発明例のものは、ステンレ
ス鋼板の交番電解を以下の条件範囲内で行ったものであ
る。 ・電解液:Fe3+濃度が30〜120g/Lの塩化第二鉄水溶液、
30〜50℃ ・アノード電解時の電流密度:1.0〜10.0kA/m2 ・カソード電解時の電流密度:0.3〜3.0kA/m2 ・交番電解:0.5〜5Hz,10〜120秒間
【0035】〔実施例2〕16.5%Cr−2%Ni系ステンレ
ス鋼を板厚0.20mmまで冷間圧延し、その後連続焼鈍炉で
の熱処理による金属組織制御を行ってフェライト+マル
テンサイト複相組織としたステンレス鋼板(Hv約380)
の表面に、通常の電解脱脂,酸洗を施した後、塩化第二
鉄水溶液中で交番電解を施した。その際、実施例1と同
様に交番電解条件を変えることで各種粗面化表面を形成
した。これらのステンレス鋼板を芯材として、実施例1
と同様条件でフッ素ゴム被覆を行った。そして、実施例
1と同じく耐不凍液性試験および加工性試験に供した。
評価基準も実施例1と同じである。その結果を表2に示
す。
【0036】
【表2】
【0037】表2に示されるものは、フェライト+マル
テンサイト複相組織ステンレス鋼板を芯材に用いた本発
明例であるが、実施例1のオーステナイト系ステンレス
鋼板の場合と同様、芯材表面にはオーバーハングを持つ
ピットが適正に形成されてアンカー効果が十分に発揮さ
れ、耐不凍液性試験および加工性試験により高い性能が
確認された。
【0038】なお、表2のものは、ステンレス鋼板の交
番電解を以下の条件範囲内で行ったものである。 ・電解液:Fe3+濃度が1〜50g/Lの塩化第二鉄水溶液、30
〜50℃ ・アノード電解時の電流密度:1.0〜10.0kA/m2 ・カソード電解時の電流密度:0.1〜3.0kA/m2 ・交番電解:0.5〜5Hz,10〜120秒間
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、以下のような効果が得
られる。 ステンレス鋼の芯材には亜鉛めっきやクロメート処理
等を施したものを使用する必要がないため、亜鉛層が不
凍液と接触してゴム層が剥離したり、クロメート処理に
伴う有害物質の処理問題が生じたりすることがない。 ゴム層をステンレス鋼板芯材表面に形成した特殊な凹
凸により強固に固着するものであるため、接着剤を用い
ずに直接芯材表面にゴム層を形成しても、従来接着剤を
使用していたものと同等以上の高い密着性が得られる。
また、接着剤を使用するとさらに優れた密着性が得られ
る。 その高い密着性のため、耐不凍液性および加工性に非
常に優れたガスケットが提供できる。 芯材表面の特殊な凹凸は電解処理により化学的に形成
できるため、薄板に適用しても機械的な凹凸形成手段の
ように板が反ることがない。このため本発明はエンジン
ガスケットとしてニーズの高い薄ゲージのガスケットに
適している。 従来のゴム被覆ステンレス鋼製ガスケットより省工程
で製造できる。以上のことから、本発明はゴム被覆ステ
ンレス鋼製ガスケットの普及に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用できるステンレス鋼板芯材の粗面
化表面を上から見た電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図2】図1の試料の断面を見た電子顕微鏡(SEM)写
真である。
【図3】図2の断面写真の拡大スケッチである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎藤 実 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社内 Fターム(参考) 3J040 BA01 EA46 FA02 FA05 HA02 HA07 HA17

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレス鋼板芯材の表面をゴム層で被
    覆したガスケットであって、該芯材表面にはオーバーハ
    ング部を持つピットが形成されており、それらのピット
    のオーバーハング部にゴムが潜り込んだ芯材/ゴム層接
    合構造を有することを特徴とするゴム層の耐剥離性に優
    れたゴム被覆ステンレス鋼製ガスケット。ここで、オー
    バーハング部とはピット内壁面が芯材板厚中央部側に傾
    いている部分をいう。
  2. 【請求項2】 ステンレス鋼板芯材の表面をゴム層で被
    覆したガスケットであって、該芯材表面にはFe3+を含む
    水溶液中での交番電解によって得られるオーバーハング
    部を持つピットが形成されており、それらのピットのオ
    ーバーハング部にゴムが潜り込んだ芯材/ゴム層接合構
    造を有することを特徴とするゴム層の耐剥離性に優れた
    ゴム被覆ステンレス鋼製ガスケット。ここで、オーバー
    ハング部とはピット内壁面が芯材板厚中央部側に傾いて
    いる部分をいう。
  3. 【請求項3】 Fe3+を含む水溶液が塩化第二鉄水溶液で
    ある請求項2に記載のガスケット。
  4. 【請求項4】 ステンレス鋼板芯材の表面をゴム層で被
    覆したガスケットであって、該芯材表面には下記(1)で
    定義されるオーバーハング密度Kが0.05〜1.50の範囲と
    なり、かつピット未発生部分の面積率が60%以下となる
    ように高密度にピットが形成されており、ピットのオー
    バーハング部にゴムが潜り込んだ芯材/ゴム層接合構造
    を有することを特徴とするゴム層の耐剥離性に優れたゴ
    ム被覆ステンレス鋼製ガスケット。ここで、オーバーハ
    ング部とはピット内壁面が芯材板厚中央部側に傾いてい
    る部分をいう。(1)オーバーハング密度K:芯材断面の
    顕微鏡観察像において、50μm以上の長さの測定範囲を
    定め、当該測定範囲内におけるオーバーハング部の個数
    nを測定し、その個数nを測定範囲の長さ(μm)で除し
    た値をKとする。
  5. 【請求項5】 芯材表面にはオーバーハング密度Kが0.
    05〜1.50の範囲となり、かつ実質上隙間なくピットが形
    成されている請求項4に記載のガスケット。
  6. 【請求項6】 芯材がHv300〜500の硬さに調整された平
    均板厚0.1〜1mmのオーステナイト系ステンレス鋼板また
    はフェライト+マルテンサイト複相組織ステンレス鋼板
    であり、ゴム層の平均厚さが10〜150μmである請求項1
    〜5に記載のガスケット。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6に記載のガスケットにおい
    てオーバーハング部にゴムが潜り込んだ芯材/ゴム層接
    合構造に代え、オーバーハング部に接着剤が潜り込んだ
    接着剤層と、その上に形成されたゴム層からなる芯材/
    接着剤層/ゴム層接合構造を有することを特徴とするゴ
    ム被覆ステンレス鋼製ガスケット。
JP2000305900A 2000-10-05 2000-10-05 ゴム被覆ステンレス鋼製ガスケット Withdrawn JP2002106718A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000305900A JP2002106718A (ja) 2000-10-05 2000-10-05 ゴム被覆ステンレス鋼製ガスケット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000305900A JP2002106718A (ja) 2000-10-05 2000-10-05 ゴム被覆ステンレス鋼製ガスケット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002106718A true JP2002106718A (ja) 2002-04-10

Family

ID=18786677

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000305900A Withdrawn JP2002106718A (ja) 2000-10-05 2000-10-05 ゴム被覆ステンレス鋼製ガスケット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002106718A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004076911A (ja) * 2002-08-22 2004-03-11 Nok Corp ゴム金属積層ガスケット
JP2011168017A (ja) * 2010-02-22 2011-09-01 Nisshin Steel Co Ltd ステンレス鋼板と熱可塑性樹脂組成物の成形体とが接合された複合体、およびその製造方法
WO2014034340A1 (ja) * 2012-08-31 2014-03-06 日本軽金属株式会社 金属・樹脂複合体製造用金属部材及びその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004076911A (ja) * 2002-08-22 2004-03-11 Nok Corp ゴム金属積層ガスケット
JP2011168017A (ja) * 2010-02-22 2011-09-01 Nisshin Steel Co Ltd ステンレス鋼板と熱可塑性樹脂組成物の成形体とが接合された複合体、およびその製造方法
WO2014034340A1 (ja) * 2012-08-31 2014-03-06 日本軽金属株式会社 金属・樹脂複合体製造用金属部材及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3404286B2 (ja) 金属の表面処理方法、および該表面処理方法により得られた表面を有する金属部材
WO2003072984A1 (en) Rolling bearing
JP2005042130A (ja) ステンレス鋼板、その製造方法及びゴム被覆ステンレス鋼板製ガスケット
JP4060627B2 (ja) 粗面化鋼板および粗面化方法
MX2010011889A (es) Procedimiento para la produccion de laminas de acero revestidas con estaño, laminas de acero revestidas con estaño y fluido de tratamiento de conversion quimica.
JP3818723B2 (ja) ステンレス鋼板表面の粗面化方法
JP2002106718A (ja) ゴム被覆ステンレス鋼製ガスケット
EP3502312A1 (en) Nanocrystalline material based on stainless steel surface, and preparation method therefor
JPS626758B2 (ja)
WO2016125911A1 (ja) Snめっき鋼板及び化成処理鋼板並びにこれらの製造方法
JP2003268521A (ja) 溶融Sn−Znめっき鋼板
JP4312489B2 (ja) 粗面化鋼板の製造方法
JP2835403B2 (ja) ZnまたはZn合金めっきステンレス鋼板の製造方法
JPH1161377A (ja) 酸性環境下での緑錆の早期生成能に優れるCu−Ni合金被覆ステンレス鋼板およびその原板ならびに製造方法
JP3664538B2 (ja) 塗膜密着性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JP2718310B2 (ja) 積層めっきAl板およびその製造法
CN111133132A (zh) 被膜层叠体及其制造方法
JP2003213459A (ja) 耐食性及びスポット溶接性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法
JPH1161440A (ja) 緑錆の早期発生性・密着性に優れるCuめっきステンレス鋼板およびその原板ならびに製造方法
JP3664537B2 (ja) 無機系塗膜との密着性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JPH045753B2 (ja)
JPS57203798A (en) Production of surface treated steel plate for seam welded can
JPS61177378A (ja) 塗装性能にすぐれたクロメ−ト系処理被覆Cr含有系鋼板
JP3684820B2 (ja) 耐蝕性に優れたアルミニウム製水門及びその製造方法
JPH11158657A (ja) 耐食性に優れた表面処理鋼材

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20080108