JP2002105276A - ゴム変性熱可塑性樹脂成形体 - Google Patents

ゴム変性熱可塑性樹脂成形体

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JP2002105276A
JP2002105276A JP2000299473A JP2000299473A JP2002105276A JP 2002105276 A JP2002105276 A JP 2002105276A JP 2000299473 A JP2000299473 A JP 2000299473A JP 2000299473 A JP2000299473 A JP 2000299473A JP 2002105276 A JP2002105276 A JP 2002105276A
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rubber
thermoplastic resin
modified thermoplastic
monomer
graft copolymer
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JP2000299473A
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Atsushi Hashiba
篤志 橋場
Shigeo Ii
茂雄 伊井
Atsumi Shimamura
敦美 島村
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Nippon A&L Inc
Original Assignee
Nippon A&L Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 耐衝撃性、落錘衝撃強度、耐熱性、表面光沢
および耐薬品性に優れたゴム変性熱可塑性樹脂の提供。 【解決手段】 ゴム状重合体と芳香族ビニル、シアン化
ビニル、アルキル(メタ)アクリレートの1種類以上を
塊状、懸濁または溶液重合してなる平均粒子径が0.6
〜10ミクロンであるグラフト共重合体(I)、及びゴ
ム状重合体と芳香族ビニル、シアン化ビニル、アルキル
(メタ)アクリレートの1種類以上を乳化重合してなる
平均粒子径が0.05〜0.6ミクロンであるグラフト
共重合体(II)を含有するゴム変性熱可塑性樹脂成形体
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性、落錘衝
撃強度、加工性、耐熱性、表面光沢および耐薬品性に優
れたゴム変性熱可塑性樹脂成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂等
に代表されるゴム変性スチレン系樹脂は、耐衝撃性と加
工性のバランスに優れ、さらに耐熱性、耐薬品性等に優
れることから、従来より、自動車等の車両用内外装部
品、 各種の家電製品やOA機器のハウジング、その他
雑貨分野等幅広い分野に使用されている。しかし、ゴム
変性スチレン系樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリエステル
樹脂(PBT樹脂、PET樹脂)、PP樹脂等の結晶性
樹脂に比べて耐薬品性に劣ることから、その改良のため
に、様々な方法が提案されている。例えば、ゴム変性ス
チレン系樹脂に上記のような結晶性樹脂を配合する方法
(特開平6−313091号、特開平6−329852
号)、また、ABS樹脂等においてはその構成成分であ
るアクリロニトリル含有量を増加させる方法や樹脂の分
子量を増加させる方法が考えられる。しかし、結晶性樹
脂を配合する方法は、これら結晶性樹脂とゴム変性スチ
レン系樹脂の相溶性が十分でないことから機械的強度や
表面外観が劣り、さらに結晶性樹脂に起因して成形収縮
率が大きくなるため、その配合量を増加させるとゴム変
性スチレン系樹脂の金型が使用できなくなるなどの問題
がある。また、樹脂中のアクリロニトリル含有量を増加
する方法では、その含有量が高い領域では高レベルの耐
薬品性が得られるものの、逆に高アクリロニトリル含有
量に起因して成形加工時に着色したり、加工性が低下す
るなどの問題が発生する。また樹脂の分子量を増大させ
る方法では耐薬品性の改良効果に乏しく、それに比べて
成形加工性の低下が著しく実用的ではなかった。
【0003】さらに、近年、これらの樹脂は、大型・薄
肉成形および高速射出成形材料として多用されたり、あ
るいは成形物の薄肉化に伴って成形物の使用範囲が拡大
されるのに従い、これらの樹脂に対する品質要求はさら
に高まっており、上記した耐薬品性のみならず、耐衝撃
性、加工性、耐熱性、表面光沢等、さらに優れたゴム変
性熱可塑性樹脂成形体の開発が求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決し、耐衝撃性、落錘衝撃強度、加工性、耐熱
性、表面光沢および耐薬品性に優れた樹脂成形体を提供
することを目的とするものであり、特定の二種類のグラ
フト共重合体を含有するゴム変性熱可塑性樹脂成形体に
おいて、該成形体の表面層部分のゴム粒子の形状と分布
および分散性が特定の条件を満たした場合のみ、耐衝撃
性、落錘衝撃強度、加工性、耐熱性、表面光沢および耐
薬品性に優れた成形体となる事を見出し、本発明に至っ
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ゴ
ム状重合体と芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系
単量体、アルキル(メタ)アクリレート系単量体のうち
少なくとも1種類以上を塊状、懸濁または溶液重合して
なる、平均粒子径が0.6ミクロン〜10ミクロンであ
るグラフト共重合体(I)、およびゴム状重合体と芳香
族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、アルキル
(メタ)アクリレート系単量体のうち少なくとも1種類
以上を乳化重合してなる、平均粒子径が0.05ミクロ
ン〜0.6ミクロンであるグラフト共重合体(II)を含
有するゴム変性スチレン系樹脂成形体であって、該成形
体の複数箇所における成形体の表面から30ミクロン以
内の厚み方向の断面で測定される(I)、(II)それぞ
れのゴム粒子の平均短軸長さaと平均長軸長さbとの比
が、(I)においては、b/a≦8、(II)において
は、b/a≦1.5であり、かつ各断面毎のb/aの対
比において、その最大値(b/a max.)と最小値(b
/a min.)の比が、(I)においては、1≦(b/a
max.)/(b/a min.)≦3、(II)においては、
1≦(b/a max.)/(b/a min.)≦1.5の範
囲にあり、かつゴム粒子の断面積の総和の割合(ゴム占
有面積比)をA%とした時に、各断面毎のゴム占有面積
比の対比において、その最大値Amax.と最小値Amin.
が、0≦(Amax.−A)/A≦0.2、0≦(A−Ami
n.)/A≦0.2の範囲にしてなることを特徴とするゴ
ム変性熱可塑性樹脂成形体を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明におけるゴム変性熱可塑性
樹脂成形体とは、樹脂の成形加工法として通常知られて
いる射出成形、射出圧縮成形、射出プレス成形、圧縮成
形、押出成形等によって、以下に例示される二種類のグ
ラフト共重合体(I)および(II)を含有した熱可塑性
樹脂を用いて成形して得られる成形体である。
【0007】グラフト共重合体(I)および(II)を構
成するゴム状重合体は、例えばジエン系ゴム状重合体、
エチレン・α−オレフィン系共重合体、アルキル(メ
タ)アクリレート系共重合体、ポリオルガノシロキサン
系重合体を単独であるいは二種以上を混合であるいは二
種以上を複合ゴムとして使用できる。これらのうち、特
にジエン系ゴム状重合体が好ましい。ここで、ジエン系
ゴム状重合体としてはポリブタジエン、スチレン−ブタ
ジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
体、ポリイソプレン等があげられる。
【0008】上記ゴム状重合体にグラフト重合させる芳
香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルス
チレン、ビニルトルエン等が挙げられる。シアン化ビニ
ル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル等が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート
系単量体としては、メチルメタクリレ−ト、2-エチルヘ
キシルメタクリレ−ト、メチルアクリレ−ト、エチルア
クリレ−ト、ブチルアクリレ−ト、グリシジルメタクリ
レート、β−ヒドロキシエチルアクリレート等が挙げら
れる。これらはそれぞれ単独で又は二種以上組み合わせ
て用いられる。また、本発明においては、その目的とす
る効果を妨げない範囲において、上記芳香族ビニル系単
量体、シアン化ビニル系単量体およびアルキル(メタ)
アクリレート系単量体以外に、例えばマレイミド、N−
フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の不
飽和カルボン酸(無水物)単量体等の単量体を使用する
ことも可能である。なお、得られるグラフト共重合体
(I)および(II)は最終的に成形体内でマトリクス樹
脂中に混和することなく粒子状で存在していればよい。
【0009】グラフト共重合体(I)は、上記ゴム状重
合体に上記単量体をグラフト重合することにより得るこ
とができるが、グラフト重合については従来公知の塊状
重合、懸濁重合または溶液重合を採用することができ、
その方法については何ら制限はない。また、グラフト共
重合体(I)のゴム粒子径については、0.6ミクロン
〜10ミクロンであり、この範囲外では本発明の目的を
達成することができない。該ゴム状重合体の粒子径は、
塊状重合、懸濁重合または溶液重合にて重合する過程に
おいて、該ゴム状重合体を粒子化する反応槽の攪拌強
度、反応温度や有機過酸化物の量によって調整すること
ができる。具体的には、攪拌強度を強くすることにより
粒子径は小さくなり、反応温度を高くすれば粒子径が大
きくなり、有機過酸化物の量を増加させると粒子径は小
さくなる傾向にあるので、これらを組み合せることによ
りゴム粒子の調整が可能である。
【0010】グラフト共重合体(II)は、上記ゴム状重
合体に上記単量体をグラフト重合することにより得るこ
とができるが、グラフト重合については従来公知の乳化
重合を採用することができ、その方法については何ら制
限はない。また、グラフト共重合体のゴム粒子径につい
ては、0.05ミクロン〜0.6ミクロンであり、この
範囲外では本発明の目的を達成することができない。該
ゴム状重合体のうち、特にジエン系ゴムは、通常、乳化
重合により得ることができるが、該ゴム粒子径について
は、その際の重合時間により調整することができるが、
特定の小粒子径、例えば0.05〜0.2μm程度の小
粒子ゴムを凝集肥大化させることにより、0.6μmま
での粒子径に調整することも可能である。
【0011】またグラフト共重合体(I)および(II)
以外のマトリクス樹脂としては、これらグラフト共重合
体の重合時に副生成する(共)重合体であり、またグラ
フト共重合体以外に、別途グラフト重合時に使用する単
量体のみを重合した(共)重合体、例えば芳香族ビニル
系単量体とシアン化ビニル系単量体との共重合体、また
はそれらと他のビニル系単量体が共重合してなる共重合
体、ポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹
脂等が挙げられる。これらのうち、特に芳香族ビニル系
単量体とシアン化ビニル系単量体との共重合体、または
それらと他のビニル系単量体が共重合してなる共重合体
が好ましい。
【0012】また、ゴム成分の含有量は、特に制限する
ものではないが、耐衝撃性、加工性、耐熱性、表面光
沢、耐薬品性等の諸物性のバランスを考慮すると、ゴム
変性熱可塑性樹脂成形体中に総重量で1〜50重量%の
範囲であることが好ましい。
【0013】本発明のゴム変性熱可塑性樹脂成形体は、
このような特定の二種類のグラフト共重合体(I)およ
び(II)を含有してなる樹脂を成形加工して得られる成
形体であるが、かかる成形体の表面から30ミクロン以
内、好ましくは20ミクロン以内、さらに好ましくは1
0ミクロン以内の表面層におけるゴム粒子の形状と分布
および分散性が成形体の性質に及ぼす影響が極めて大き
い。該成形体の複数箇所における成形体の表面から30
ミクロン以内の厚み方向の断面で測定されるゴム粒子の
平均短軸長さaと平均長軸長さbとの比がグラフト共重
合体(I)においては、b/a≦8、グラフト共重合体
(II)においては、b/a≦1.5であり、かつ各断面
毎のb/aの対比において、その最大値(b/a ma
x.)と最小値(b/a min.)の比が、グラフト共重合
体(I)においては、1≦(b/amax.)/(b/a
min.)≦3、グラフト共重合体(II)においては、1≦
(b/a max.)/(b/a min.)≦1.5の範囲に
あり、かつゴム粒子の断面積の総和の割合(ゴム占有面
積比)をA%とした時に、各断面毎のゴム占有面積比の
対比において、その最大値Amax.と最小値Amin.が、0
≦(Amax.−A)/A≦0.2、0≦(A−Amin.)/
A≦0.2の範囲にしてなることが必要であって、これ
らのうちいずれの要件を欠如しても本発明の目的を達成
することはできない。
【0014】ここで、成形体の表面から30ミクロン以
内の厚さ部分は、一般にスキン層と呼ばれ、成形加工時
において溶融樹脂に最も剪断力のかかる領域であり、こ
のスキン層は金型温度や溶融樹脂の供給圧力などの成形
条件によって非常に影響の受けやすい部分であって、本
発明における上記各規定は、かかるスキン層の厚み方向
の断面から求められるものである。具体的には、成形体
を厚み方向に切断し、さらにその切断部について超ミク
ロトーム(例えばライヘルト社製、ウルトラカットN)
等を用いて切断面に平行に成形体をスライスして厚みが
0.07〜0.08ミクロンの試料薄片を得、これを通
常の方法、例えば四酸化オスミウムを用いて染色処理
し、成形体の表面から30ミクロン以内の部分について
任意の面積部、例えば成形体表面から10ミクロンの幅
の部分の10ミクロン四方についてこれを透過型電子顕
微鏡(例えば日本電子株式会社製、1200EX)で1
万倍に拡大し、その断面を観察する。尚、観察される部
分は成形体表面から厚み方向に切断した時の表面層の断
面であって、表面から30ミクロン以内の範囲であれば
必ずしもその全部について測定する必要はなく、その一
部分であってもよいが、特徴部分の現れやすい表面に近
い部分がより好ましく、また測定面積部については、そ
れが狭すぎるときには誤差が生じ易いため、上記幅の部
分について少なくとも10ミクロン四方以上の範囲で測
定される。かかる操作を、成形体の任意の部分につい
て、好ましくは成形体の各部について測定部位の偏りが
生じないように複数箇所、通常は5ヶ所、好ましくは1
0ヶ所以上で行い、それぞれの断面X1、X2、X3〜Xn
について観察する。
【0015】b/aについては、上記で得られた電子顕
微鏡写真(図1)をもとに、その断面に確認されるすべ
てのゴム粒子についてそれぞれ短軸長さおよび長軸長さ
を測定して、各断面毎にそれぞれのグラフト共重合体
(I)および(II)毎にそれぞれの長さの平均値として
平均短軸長さaおよび平均長軸長さbを求めるととも
に、その平均値としてのb/aを計算により求める。ま
た、各断面で求めた各グラフト共重合体のそれぞれのb
/aを各断面毎に対比し、その最大値をb/a max.と
し、最小値をb/a min.とする。
【0016】ゴム占有面積比Aは、上記各断面の断面観
察写真を通常の画像解析処理、例えば基本画像処理ソフ
ト(LA−555)および画像解析計算ソフト(LA−
555)を組み込んだ画像解析装置(例えば株式会社ピ
アス社製LA−555D)を用いて画像解析を行う事に
より、ゴム成分の断面積の総和(ゴム成分部分)とマト
リクス樹脂の断面積の総和(マトリクス部分)をその面
積値として2値化し、各断面毎にゴム占有面積比を求め
るとともに、その平均値としてのゴム占有面積比Aを求
める。また各断面で求めたそれぞれのゴム占有面積比を
断面毎に対比し、その最大値をAmax.、最小値をAmin.
とする。尚b/aについては、前記したように電子顕微
鏡写真をもとに断面に確認される全てのゴム粒子につい
て測定した短軸長さおよび長軸長さをもとに計算しても
よいが、断面観察写真の画像処理により同時に求める事
もでき、そのいずれの方法であってもよい。
【0017】上記方法で測定された全ての断面につい
て、グラフト共重合体(I)においては、b/a≦8、
グラフト共重合体(II)においては、b/a≦1.5で
ある事は、成形体表面から厚さ30ミクロン以内のいわ
ゆるスキン層部において、個々のゴム粒子の形状(偏平
度)を規定するものであり、また各断面毎のb/aの対
比において、その最大値(b/a max.)と最小値(b
/a min.)の比が、グラフト共重合体(I)において
は、1≦(b/a max.)/(b/a min.)≦3、グ
ラフト共重合体(II)においては、1≦(b/a ma
x.)/(b/a min.)≦1.5の範囲にある事は、ゴ
ム粒子の変形度合いの分布を規定するものであり、この
いずれの数値においても規定範囲を超える場合には、成
形体中に極めて変形の大きいゴムが存在する事になり、
耐衝撃性、落錘衝撃強度、耐熱性、表面光沢および耐薬
品性が低下する。また、各断面でのゴム占有面積比Aの
対比にてゴム粒子の分散性を規定するものであるが、そ
の最大値Amax.と最小値Amin.が、0≦(Amax.−A)
/A≦0.2、0≦(A−Amin.)/A≦0.2の範囲
を超える場合には、成形体の部位によってゴム成分が偏
在している事になって、同様に各種物性の低下が見られ
る。
【0018】本発明のゴム変性熱可塑性樹脂成形体は、
成形体それ自体において上記各条件を同時に満足してい
る事が必要であって、成形体の製法それ自体には何ら制
限されるものではない。
【0019】例えば射出プレス成型法によって熱可塑性
樹脂成形体を製造する方法としては、従来より公知の方
法、例えば所定の成形体形状になるように設計された一
対の雌雄金型を用い、金型キャビティ部が未閉鎖の両金
型間に、可塑化装置により樹脂の溶融温度以上に加熱し
たゴム変性熱可塑性樹脂を、金型内に設けた溶融樹脂通
路より供給した後、あるいは供給しながら両金型のキャ
ビティが所定のクリアランスになるまで型締し、加圧、
冷却ののち成形体を取り出す方法があげられる。このよ
うに、成形体の製造方法それ自体は何ら特別の方法であ
る必要はなく、任意の方法を採用し得るが、本発明の熱
可塑性樹脂成形体を得るためには、成形体自体が本発明
にて特定する関係を全て充足するように、樹脂の溶融温
度、金型温度、型締時の型締圧力や型締速度などの成形
条件を適宜選択する必要がある。このような成形条件を
適宜選択する必要がある事は、射出成形や射出圧縮成
形、押出成形等においても同様である。
【0020】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明がこれに限定されるものでないことはい
うまでもない。
【0021】[グラフト共重合体(I−1)の製造]ス
チレン74.5部、アクリロニトリル25.5部、エチ
ルベンゼン25部、ゴム状重合体(スチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体:溶液粘度10cts5%スチレン溶
液、25℃)10部、有機過酸化物[1,1−ビス(t−
ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキ
サン]0.04部、t−ドデシルメルカプタン0.2部
よりなる原料溶液を作製した。この原料を三段の攪拌式
重合槽列反応器にて重合を行った。一段目の槽から原料
溶液を連続的に供給し、一段目の槽の反応温度を100
℃、攪拌を250rpm、滞留時間を1時間とした。二
段目の槽では反応温度を120℃、滞留時間を2時間と
し、三段目の槽では反応温度を130℃、滞留時間を
2.5時間とした。三段目の槽より重合液を予熱器と減
圧室よりなる分離回収工程に導いた。予熱器の温度は2
10〜240℃に保持し、減圧室の真空度は40Tor
rとし、グラフト(I−1)を得た。このグラフトゴム
粒子の平均粒子径は0.8ミクロン、ゴム含有量は12
重量%だった。
【0022】[グラフト共重合体(II−1)の製造]窒
素置換した耐圧容器を減圧にし、1,3−ブタジエン1
00部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、過硫酸カ
リウム0.15部、ロジン酸ナトリウム1.5部、水酸
化ナトリウム0.02部、純水200部を仕込み、80
℃で反応させた。反応開始後15時間目に冷却して反応
を終了させた。得られたラテックスの平均粒子径は0.
08ミクロンだった。このラテックスを常法のリン酸を
用いた凝集肥大化法にて肥大化し、平均粒子径0.40
ミクロンのポリブタジエンゴムラテックス(S−1)を
得た。
【0023】窒素置換したガラスリアクターに、上記ポ
リブタジエンゴムラテックス(S−1)60部(固形分
換算)と純水30部、過硫酸カリウム0.3部を仕込
み、65℃に昇温した。その後アクリロニトリル10
部、スチレン30部、t−ドデシルメルカプタン0.3
部の混合液および純水20部にオレイン酸カリウム1部
を溶解した乳化剤水溶液を4時間に亘り連続添加した。
その後、重合を3時間継続し、重合を終了した。その
後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト共重合体(II−1)
を得た。
【0024】[共重合体(A−1)の製造]窒素置換し
たガラスリアクターに、純水130部および過硫酸カリ
ウム0.3部を仕込んだ後、65℃に昇温した。その
後、アクリロニトリル25部、スチレン75部およびt
−ドデシルメルカプタン0.3部からなる混合モノマー
溶液および不均化ロジン酸カリウム2部を含む乳化剤水
溶液30部を4時間に亘って連続添加し、その後2時間
重合を継続し、重合を終了した。その後、塩析・脱水・
乾燥し、共重合体(A−1)を得た。
【0025】[実施例1〜3]表1に示す組成割合にて
グラフト共重合体(I−1)、(II−1)および共重合
体(A−1)を混合し、40mm二軸押出機を用いて2
60℃にて溶融混練しペレット化した。
【0026】得られたペレットを可塑化装置に供給し、
260℃にて加熱溶融し、この溶融樹脂を雄金型内に設
けた溶融樹脂通路より、キャビティクリアランスが7m
mの雌雄両金型間に供給した。その後、両金型のキャビ
ティクリアランスが3mmになるまで型締し、加圧、冷
却して長さ340mm、幅270mm、厚さ3mmのA
BS樹脂成形体を得た。この時の成形条件は次のとおり
である。 加圧力 100トン 型締速度 3mm/秒 金型温度 雌雄両金型ともに65℃ 射出圧力 500Kg/cm 射出速度 75cc/秒 スクリュウ回転数 65rpm スクリュウ背圧 10Kg/ cm(ゲージ圧)
【0027】次に、得られた成形体の幅方向の両端から
それぞれ130mmのところで長さ方向に切断し、幅1
0mm、長さ340mm、厚さ3mmの板状サンプルを
切り出した。この板状サンプルの長さ方向の端部から3
0mmのところで厚み方向に直角になるように切断し、
その切断部を超ミクロトームを用いて切断面に平行にス
ライスして、縦3mm、幅10mmで厚さが約0.07
ミクロンの試料薄片を得た。この操作を順次繰り返し、
合計10個の異なる切断部からの試料薄片を得た。つい
で、各試料薄片について本文記載の方法により染色処理
を行い、各試料薄片の縦方向の表面から10ミクロンの
幅の部分の10ミクロン四方について得た電子顕微鏡写
真をもとに、本文記載の方法によりそれぞれのグラフト
粒子についてb/aを求めた。同時に各試料薄片の電子
顕微鏡写真を本文記載の方法により画像処理して、それ
ぞれのゴム占有面積比を求めた。結果を表1に示す。ま
た、得られた成形体を所定の大きさに切り出して基本物
性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0028】[比較例1〜3]実施例1〜3で使用した
ものと同じペレットを可塑化装置に供給し、260℃に
て加熱溶融し、この溶融樹脂を雄金型内に設けた溶融樹
脂通路より、キャビティクリアランスが3mmの密閉さ
れた雌雄金型間に供給し、その後、保圧、冷却して長さ
340mm、幅270mm、厚さ3mmのABS樹脂成
形体を得た。この時の成形条件は次のとおりである。 加圧力 300トン 保圧 30Kg/cm 金型温度 雌雄両金型ともに65℃ 射出圧力 700Kg/cm 射出速度 80cc/秒 得られた成形体について実施例1〜3と同様に処理を
し、また基礎物性を評価した。結果を表1に示す。
【0029】[比較例4]実施例1において、40mm
二軸押出機を用いてペレット化せずに、グラフト共重合
体(I−1)、(II−1)および共重合体(A−1)を
ドライブレンドのまま、可塑化装置に供給し、260℃
にて加熱溶融した。スクリュウ回転数を120rpm、
スクリュウ背圧を5Kg/ cm(ゲージ圧)とする
以外は実施例1と同様にして成形体を得た。結果を表1
に示す。
【0030】[比較例5〜6]表1に示すように、グラ
フト共重合体(I−1)、(II−1)および共重合体
(A−1)の組成割合を変更するほかは、実施例1〜3
と同様にして成形体を得た。結果を表1に示す。
【0031】耐衝撃性:ASTM D−256に準拠し
てノッチ付アイゾット衝撃強度を測定した。23℃、1
/8インチ。 落錘衝撃強度:60×60×3mmの試験片を作製し、
直径12.7mmのダートを試験片上部に設置し、ダー
ト上部より荷重を自然落下させ、試験片を破壊するため
に要する最小エネルギー(Kg・cm)を測定する。2
3℃。 流動性:ASTM D−1238に準拠してメルトフロ
ーレイトを測定した。220℃、10kg。
【0032】耐熱性: ASTM D−648に準拠して
熱変形温度を測定した。1/8インチ、18.6Kg/
cm荷重、アニールなし。 表面光沢:ASTM D−523に準拠して表面光沢を
測定した。 耐薬品性:150mm×20mm×3mmの試験片を、
片持バリの治具に固定し、30mmのたわみをかけた
後、各種の薬品(ジオクチルフタレート、ブレーキオイ
ル)に浸漬し、クラックの有無を判定した。○:クラッ
ク無し、×:クラック有り。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、耐衝撃
性、落錘衝撃強度、耐熱性、表面光沢および耐薬品性に
優れたゴム変性熱可塑性樹脂成形体が得られるものであ
り、自動車部品、家電製品を始めとして幅広く各種用途
に適用可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA12 AA13 AA22 AA33 AA34 AA77 AD06 AF23 AF45 AH12 BA01 BB03 BB05 BB06 BC07 4J002 BC03Y BC09Y BG05Y BG07Y BG10Y BN06W BN06X BN13W BN13X BN14W BN14X GQ00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム状重合体と芳香族ビニル系単量体、
    シアン化ビニル系単量体、アルキル(メタ)アクリレー
    ト系単量体のうち少なくとも1種類以上を塊状、懸濁ま
    たは溶液重合してなる、平均粒子径が0.6ミクロン〜
    10ミクロンであるグラフト共重合体(I)、およびゴ
    ム状重合体と芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系
    単量体、アルキル(メタ)アクリレート系単量体のうち
    少なくとも1種類以上を乳化重合してなる、平均粒子径
    が0.05ミクロン〜0.6ミクロンであるグラフト共
    重合体(II)を含有するゴム変性熱可塑性樹脂成形体で
    あって、該成形体の複数箇所における成形体の表面から
    30ミクロン以内の厚み方向の断面で測定される
    (I)、(II)それぞれのゴム粒子の平均短軸長さaと
    平均長軸長さbとの比が、(I)においては、b/a≦
    8、(II)においては、b/a≦1.5であり、かつ各
    断面毎のb/aの対比において、その最大値(b/ama
    x.)と最小値(b/a min.)の比が、(I)において
    は、1≦(b/amax.)/(b/a min.)≦3、(I
    I)においては、1≦(b/a max.)/(b/a mi
    n.)≦1.5の範囲にあり、かつゴム粒子の断面積の総
    和の割合(ゴム占有面積比)をA%とした時に、各断面
    毎のゴム占有面積比の対比において、その最大値Amax.
    と最小値Amin.が、0≦(Amax.−A)/A≦0.2、
    0≦(A−Amin.)/A≦0.2の範囲にしてなること
    を特徴とするゴム変性熱可塑性樹脂成形体。
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