JP2002101865A - 有機物の発酵飼料化装置 - Google Patents

有機物の発酵飼料化装置

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JP2002101865A JP2000302524A JP2000302524A JP2002101865A JP 2002101865 A JP2002101865 A JP 2002101865A JP 2000302524 A JP2000302524 A JP 2000302524A JP 2000302524 A JP2000302524 A JP 2000302524A JP 2002101865 A JP2002101865 A JP 2002101865A
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  • Treatment Of Sludge (AREA)
  • Apparatuses For Bulk Treatment Of Fruits And Vegetables And Apparatuses For Preparing Feeds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 発酵にバラツキがなく品質が安定しており、
短時間で大量処理可能で、商品化に耐える発酵有機飼料
を作る処理装置の提供。 【解決手段】 発酵容器2内の減圧を利用して真空引き
で原料取り入れ口26から容器に取り入れた有機物39
を、好気性微生物の存在下で加熱しつつ攪拌し発酵させ
て飼料化する装置であって、当該装置は、発酵容器2の
加熱装置5と、前記容器2内を減圧する減圧装置7と、
電動仕切り弁35付きの容器2内への空気取り入れ口9
と、容器内の圧力、温度、湿度などを検知する容器内雰
囲気検知装置(真空計45)と、当該装置で検知した信
号を処理して電動仕切り弁35の駆動部に処理信号を出
力する制御装置36とを具備し、その処理信号で電動仕
切り弁35を開閉操作し、発酵容器2内圧力を設定減圧
値に保持するように空気取り入れ量を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般家庭や飲食
店、家畜、建設現場などから排出される有機廃棄物など
の有機物を、発酵させて飼料とする発酵飼料化装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】資源の有効利用、リサイクルが今日ほど
切実な問題として、国家や社会で深刻に考えられたこと
はない。資源の有効利用、リサイクルが問題となると
き、しばしば議論対象として取り上げられるものに、各
種産業や一般家庭から排出される有機廃棄物の処理問題
がある。
【0003】本発明が対象とするのは、各種産業や一般
家庭から排出される有機廃棄物や、その他の各種有機物
の有効利用についてである。有機性資源は余すところな
く再生・利用すること、生成物を有効に利用して、安全
安心で活力の有る第一次産業を創造すること、地域の生
態系を守り、環境保全ができること、などの観点から種
々研究されている。
【0004】有機廃棄物を有効利用する場合の用途とし
て、現在の技術では、発酵させて肥料とし、あるいは、
畜産用の発酵飼料とすることであるが、多くの場合は肥
料とし用いられている。発酵肥料と発酵飼料の違いを簡
単に述べると、発酵飼料は、発酵肥料となる前段階の発
酵状態のもので、発酵肥料は、発酵飼料をさらに発酵さ
せたものである。
【0005】肥料、飼料の何れに利用する場合にも、有
機物を発酵することが必要である。有機物を発酵するに
は、発酵を促進する温度条件、酸素、微生物などの存在
が必要であるが、自然条件のもとで有機物を発酵させる
場合は、通常3〜4ヶ月もかかり、悪臭その他の公害が
発生するなどの問題があって、かっては、有機性廃棄物
を大量処理すること、或いは、その事業化の実現性は困
難と考えらていた。
【0006】しかるに、最近になって、短期間で効率的
に、しかも安価で、公害問題も発生しない有機廃棄物の
処理装置の提案がなされ、実用化も徐々になされてい
る。
【0007】有機廃棄物の処理装置の実用化されたプラ
ントは、次のようになされている。このプラントは、原
料を数トン単位で投入できる密閉可能な発酵容器(タン
ク)内に、発酵を促進する微生物(土着菌)を混合した
原料を投入し、容器内で原料を攪拌すると共に内部を加
熱し、さらに、発酵容器内を真空状態で高速乾燥し、こ
うして人工的に最適発酵雰囲気を作り出することで微生
物を増殖し、100℃以下で原料に含まれる水分を効率
よく蒸発させ、効率的に有機物から肥料を作るものであ
る。
【0008】前記の処理装置では、有機廃棄物を密閉
容器内で処理するため、悪臭や廃液が全く出ない、微
生物が生きている温度帯で乾燥・発酵させるため、畜産
の発酵飼料・肥料・敷料が製造できる、3〜4時間の
短時間で発酵でき、小さなスペースでも設置が可能であ
る、などの広い意味での利点を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の有機廃
棄物の処理装置は、前記〜の利点があるが、本発明
者の研究によると、この従来技術には、改良すべき点が
あることが分かった。
【0010】第1に、従来の処理装置は一般にバッチ方
式であって、処理しようとする原料の全部を最初一度に
発酵容器に投入し、その後は、発酵処理完了まで容器を
開くことなく密閉したまま所定の減圧下で加熱するので
あるが、水分が蒸発し発酵処理が完了した時の原料の体
積は、水分を多量に含む原料の投入時の体積の数分の1
に減少するので、最初、発酵容器に目一杯原料を投入し
ても、処理品(生成物)完了時を基準に見れば、容器内
には多くの無駄な空間が発生しており、本発明の連続投
入方式(後述する)に比べて、効率の劣る処理方式であ
る。
【0011】第2に、前述のとおり、バッチ方式では、
発酵容器の容量は大きくても、その容積を最大限利用で
きていないので、比較的少量の処理品(生成物)ごとに
発酵容器へ原料の投入と、排出のサイクルを繰り返すこ
とになり、このバッチ方法では、有機物の処理に要する
時間、経費などの面から見たとき、必ずしも合理的な処
理方式とはいえない。
【0012】第3に、前記の不具合を解消するには、最
初に投入した原料が発酵すると共に、水分が蒸発して体
積が減少したとき、発酵容器の蓋を開き、新たに原料を
投入して蓋を再び閉じ、発酵処理を再開する方式が考え
られる。しかし、この方式であると、蓋の開閉操作や、
原料の数回に分けての断続的投入のため攪拌装置の駆動
を停止するなど、処理装置の運転作業がスムーズにでき
ず、作業効率が低下する。この場合のさらに重大な欠点
として、蓋の開閉に伴う発酵容器内の発酵雰囲気が変化
し、最適な発酵雰囲気に回復するには面倒な操作と時間
がかかり、ともすれば、不適切な発酵雰囲気の下で運転
を再開しがちであり、このため処理品(生成物)の発酵
状態にバラツキがある不良品が多くでる。
【0013】第4に、バッチ方式であると、最初から発
酵容器内に目一杯の原料を投入することになるが、それ
では原料が攪拌装置により十分攪拌されないで、攪拌が
不十分となりやすい。このため、原料の隅々まで酸素が
行きわたらず、発酵効率が低下しやすく、また、発酵ム
ラができやすい。
【0014】第5に、本発明との関係で特に重大な欠点
として、従来の有機廃棄物の処理装置では、運転中の発
酵容器内の最適発酵雰囲気(最適発酵条件)を原料の発
酵処理開始から処理完了までに渡って1〜数時間の間、
連続的に維持できないことであり、そのため、家畜の飼
料として必要な品質が安定した完成品を得るのが極めて
困難なことである。
【0015】つまり、有機廃棄物には水分が多量に存在
し、通常65%以上含有している。この多量に水分を含
む有機廃棄物を発酵容器に収容した上、容器内を加熱す
ることで水分を蒸発させ水蒸気として容器外に排出する
が、有機廃棄物の水分が変化するに応じて、容器内の温
度は変化し、それに伴って容器内の減圧値も変化して、
容器内の発酵雰囲気が変化する。
【0016】この場合、有機廃棄物の水分が変化するに
応じて容器内の加熱温度を変えるとか、容器内の減圧値
を変えてやらないと、蒸発温度が変化し、発酵を促進す
る微生物が活発に活動できる温度下で水分を蒸発させる
ことができず、数トンに及ぶ多量の原料の発酵処理の処
理開始から処理終了までにわたって、容器内の減圧を含
む発酵雰囲気を一定に保つことはできない。結果、容器
内の発酵最適条件を維持できず、発酵状態が一定で品質
の安定したより良い完成品を、多量にかつ効率的に得る
ことが困難である。
【0017】従来、当業者は、前述の問題点に特に気づ
くことなく、或いは、有機廃棄物が専ら肥料として利用
されることから、品質のバラツキに特に不具合を感じる
ことなく、その得られた処理品(生成物)を主に発酵肥
料として使用していた。
【0018】本発明者は、有機物利用のより効率的な用
途として、畜産用の発酵有機飼料について研究している
が、この発酵有機飼料の場合、肥料と違って品質にバラ
ツキがあっては商品価値に大きく影響し、事実上商品に
できない。つまり、発酵有機飼料の発酵にバラツキがあ
っては、家畜が食べなかったり、例え食べても、これか
ら得られた肉質にバラツキが生じるなどの欠点がある。
【0019】前述のとおり、従来の有機廃棄物処理装置
を用いて、発酵にバラツキがない発酵有機飼料を短時間
で大量に効率的に作ることは困難であった。
【0020】本発明は、前述の欠点を改良すべくなされ
たものである。すなわち、内部が減圧された発酵容器を
用いた処理装置において、従来のバッチ処理方式でな
く、連続投入方式とすると共に、この場合に特に問題と
なる、発酵容器内の発酵雰囲気の変化を常時監視に、そ
の変化を連続的に補正することで、容器内を終始最適発
酵雰囲気(最適発酵条件)に保ち、以って、発酵にバラ
ツキがなく品質が安定しており、短時間で大量生産可能
で、商品化に耐える発酵有機飼料を作れる処理装置を完
成したものである。
【0021】
【問題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、次のように構成する。
【0022】第1の発明に係る有機物の発酵飼料化装置
は、発酵容器内の減圧を利用して真空引きで原料取り入
れ口から発酵容器に取り入れた有機物を、好気性微生物
の存在下で加熱しつつ攪拌し発酵させて飼料化する装置
であって、当該装置は、発酵容器内を加熱する加熱装置
と、前記容器内を減圧する減圧装置と、仕切り弁付きの
容器内への空気取り入れ口と、容器内の圧力、温度、湿
度などを検知する容器内雰囲気検知装置と、当該検知装
置で検知した信号を処理して前記仕切り弁の駆動部に処
理信号を出力する制御装置とを具備し、当該制御装置か
らフィードバックされる処理信号で前記仕切り弁を開閉
操作し、発酵容器内圧力を設定減圧値に保持するように
空気取り入れ量を制御することを特徴とする。
【0023】第2の発明に係る、有機物の発酵飼料化装
置は、発酵容器内の減圧を利用して原料取り入れ口から
容器内に有機物を連続的に取り入れ、好気性微生物の存
在下で加熱しつつ攪拌すると共に、発酵させて飼料化す
る装置であって、当該装置は、攪拌翼を内蔵した発酵容
器と、発酵容器内の水蒸気を含む気体を吸引して減圧す
る真空ポンプ等からなる減圧装置と、発酵容器に設けた
真空引き原料取り入れ口と、容器内に発酵促進用酸素を
供給する仕切り弁付きの空気取り入れ口と、容器内の圧
力、温度、湿度などを検知する容器内雰囲気検知装置
と、当該検知装置で検知した信号を処理したうえ前記仕
切り弁を開閉操作する駆動部にフィードバックすること
で、発酵容器内圧力を設定減圧値に保持するように空気
取り入れ量を制御する制御装置と、発酵容器本体や攪拌
装置を構成する部材の肉厚内部に形成した流路間隙を通
して水蒸気などの加熱媒体を循環させて発酵容器内を加
熱する加熱装置とを具備したことを特徴とする。
【0024】
【作用】有機物の効率的な発酵には、微生物の存在の
他、発酵容器内の3条件、つまり、減圧値、温度、酸素
量が所定値(最適値)に保持されることが必要とされる
が、当該容器内に原料を投入し、容器内を加熱すること
で原料に含まれる水分が蒸発して、発酵が進むにしたが
って前記の値が変わり、容器内雰囲気は必然的に変化す
るので、前記条件の値を初期設定値に固定したままで
は、減圧値、温度、酸素量を最適値に保持できない。本
発明では、前記条件のうち、特に容器内の減圧値、酸素
量を初期設定値に固定するのではなく、前記の値を原料
の投入から処理終了までにわたって経時的に補正するこ
とで、発酵最適条件(最適雰囲気)を維持するものであ
る。
【0025】つまり、従来の処理装置では、発酵容器内
に水分を含む原料を連続的に投入することで、容器内温
度(60〜70℃が発酵最適温度)が低下して、微生物
の活動が低下し発酵効率が低下すると共に、前記温度変
化や、原料の投入その他の諸条件の変化が起因となっ
て、容器内の減圧値が変化することで水分蒸発効率が低
下し、或いは、必要とする酸素量が変化して必要量得ら
れず、この点でも発酵効率が低下するなどの問題があっ
た。
【0026】本発明では、発酵容器内の圧力、温度、湿
度等の雰囲気を機械的に常時監視し、その容器内雰囲気
の検知信号を制御装置で処理して、その処理信号を容器
内への空気(酸素)取り入れ口の仕切り弁の駆動部にフ
ィードバックしてこれを操作することで、原料発酵に必
要な最適量の酸素を容器内に供給し、同時に、減圧が設
定減圧値に保たれるので、微生物の活動が最も活発な温
度範囲(60℃〜70℃)の下で、原料に含まれる水分
を効率的に蒸発させて効率的処理ができる。
【0027】
【発明の実施の形態】次にこの発明を図示の実施形態に
基づいて説明する。
【0028】図1は、本発明に係る有機飼料の発酵装置
のフロー図で、図2は図1のA−A部矢視図、図3は、
同じく有機飼料の発酵装置の断面図で、図4は図3のB
−B部矢視図である。
【0029】図1〜図4によって説明すると、実施形態
に係る有機飼料の発酵装置1は、発酵容器2を中心に構
成され、これに容器内に配置される攪拌装置4と、容器
内に空気(酸素)を供給する空気取り入れ口9と、容器
内の加熱装置5と有機物(原料ともいう)の供給装置6
と、減圧装置7等を組合わせて構成される。
【0030】各図において、発酵容器2は円筒状の容器
本体8と、容器本体8の両端を閉じる端板10とから構
成される。容器本体8は、内周壁8aと外周壁8bを間
隔をおいて同心的に配設して構成され、その間隙が蒸気
流通間隙11とされている。また、一方の端板10(図
1、3の左側)には、発酵処理されて固形粒状に乾燥し
た処理品(生成物)の取り出し口19が設けられてい
る。
【0031】容器本体8の外周壁8bには、水蒸気取り
入れ口12(図1、図3で上部位置)と、水蒸気排出口
13(図1、図3で下部位置)が複数設けられている。
加熱装置5は、ボイラー14を主要素とし、このボイラ
ー14を、容器本体8の前記蒸気流通間隙11および、
攪拌装置4の部材内に形成される流通間隙を一部に含む
水蒸気循環系統に組み合わせて構成されている。
【0032】すなわち、ボイラー14から導出された水
蒸気供給本管15は、途中で分岐されて第1分岐管15
aと第2分岐管15bに分れ、第1分岐管15aは、攪
拌装置4の中空軸部4aの一端部に中空支軸4cを介し
て接続され(後述する)、第2分岐管15bはさらに分
岐されて、それぞれ容器本体8の水蒸気取り入れ口12
に接続されている。
【0033】ボイラー14の帰還側に接続された水蒸気
の復水帰還本管17の第1下流管17aは、攪拌装置4
の中空軸部4aの他端部に中空支軸4cを介して接続さ
れ、第2下流管17bは、容器本体8の水蒸気排出口1
3に接続されている。
【0034】したがって、ボイラー14で加熱された蒸
気は、水蒸気取り入れ口12から容器本体8の蒸気流通
間隙11を流れる過程で、発酵容器2内を加熱ながら復
水し、復水した水蒸気は、水蒸気排出口13から排出さ
れ、途中にスチームトラップ24を有する復水帰還本管
17を通ってボイラー14に帰還する。前記の過程を繰
り返すことで有機物の発酵処理中にわたって発酵容器2
を加熱できる。
【0035】攪拌装置4は、図に示されるように、先端
部に中空攪拌膨出部4dを有した複数の中空攪拌翼4b
を中空軸部4aに固着して構成されると共に、中空軸部
4a内と、複数の中空攪拌翼4bと中空攪拌膨出部4d
内は連通していて、これらの内部が蒸気流通間隙16と
して形成されている。
【0036】また、中空軸部4aの両端に同心的に連結
された中空支軸4cは気密軸封部18を介して、容器本
体8の端板10を内外に貫通しており、各中空支軸4c
は軸受け部20で回転自在に軸支されており、さらに、
一方の中空支軸4cには駆動プーリ21が固定されてい
る。
【0037】したがって、ボイラー14で加熱された蒸
気は、前記容器本体8の蒸気流通間隙11を流れる循環
系統とは別の循環系統である、第1分岐管15aから上
流側の中空支軸4cの水蒸気流入口22に入り、中空支
軸4cと中空軸部4aと中空攪拌翼4bと中空攪拌膨出
部4d内を流れ、その過程で、発酵容器2内を内側から
加熱ながら復水し、復水した水蒸気は、下流側の中空支
軸4cの水蒸気排出口23から排出され、復水帰還本管
17を通ってボイラー14に帰還する。前記の過程を繰
り返すことで、有機物の発酵処理中にわたって発酵容器
2を内側から加熱できる。
【0038】発酵容器2の容器本体8には、モータ29
で駆動される電動仕切り弁25を有する原料取り入れ口
26が設けられていて、この原料取り入れ口26には、
破砕機27から導出された真空引き式の原料供給パイプ
28の先端が接続されている。破砕機27は公知の機構
であって、原料投入口30を有するケーシング44内に
破砕翼31と格子32などが設けられている。
【0039】発酵容器2の両側の端板10を内外に貫通
して複数の空気供給パイプ33が配設されていて、この
空気供給パイプ33の端部には、モータ34で駆動され
る電動仕切り弁35が設けられている。電動仕切り弁3
5は、制御装置36を介して真空計45(後述する)と
連動していて、発酵容器2内の減圧値に応じて開閉動作
し、発酵容器2内への空気の供給が制御される。
【0040】容器本体8には水蒸気排出口38が設けら
れていて、この水蒸気排出口38には、連通管40を介
して上流から下流にかけて順に、復水機41と、減圧装
置7の主要素である真空ポンプ(減圧ポンプ)42と、
脱臭及び水処理装置43が直列に接続されている。真空
ポンプ42によって吸引された原料由来の水蒸気は、ク
ーリングタワーで冷やされて蒸発するほか、一部はふた
たび本体に戻され冷却水として循環する。また、オゾン
発生装置が標準装備されていて、生ゴミ特有の臭いはオ
ゾンと接触することで無臭化される(図示省略)。
【0041】水蒸気排出口38に連通する水蒸気排出経
路(連通管40)には、発酵容器2内の減圧値を常時監
視するセンサーとして真空計45が設けられていて、真
空計45は制御装置36を介して、空気供給パイプ33
の端部に設けられた電動仕切り弁35が開閉制御され
る。
【0042】次に、本発明の実施形態の運転動作を説明
する。
【0043】必要な微生物(土着菌)を混合した有機物
(原料)39を破砕機27内に投入する。
【0044】一方、発酵容器2においては、攪拌装置4
を回転駆動すると共に、ボイラー14で加熱した水蒸気
を水蒸気供給管の各管15、15a、15bを通し、容
器本体8の水蒸気流通間隙16と、回転駆動中の攪拌装
置4における中空軸部4aと、中空攪拌翼4bと、中空
支持軸4cの内部の蒸気流通間隙に約120℃のスチー
ムを通すことにより、約2.5気圧に保っている密閉の
発酵容器2内を加熱すると同時に、該発酵容器2内を約
0.5気圧以下(0.2〜0.3気圧が望ましい)に減
圧することによって、60〜80℃まで水分の沸点(蒸
発するときの温度)を下げ、その温度差を利用して水分
蒸発を速やかに行える雰囲気を発酵容器2内に作る。
【0045】真空ポンプ42を駆動して発酵容器2内を
真空引きして、容器2内で発生する水蒸気を連続的に排
出する。こうして発酵容器2内が減圧されることで、当
該発酵容器2内に導入された空気供給パイプ33を介し
て、微生物の活動に必要な空気(酸素)が容器2内に供
給される。しかも、このとき、真空計45と制御装置3
6で空気供給パイプ33の電動仕切り弁35を制御する
ことで、次に述べる原料39の連続投入により発酵容器
2内の条件が変化しても、発酵最適値に設定した減圧値
を保つように容器2内への空気供給量を制御しながら、
真空ポンプ42を連続運転することができる。
【0046】本発明は、原料の連続投入方式を特徴とし
ている。原料の連続投入方式の利点は、既述のように発
酵容器2の容量を最大限利用でき、かつ連続運転による
効率的な発酵処理ができることである。つまり、連続投
入方式では、先に投入された原料が加熱攪拌され発酵が
進行し、かつ水分が水蒸気となって蒸発することで体積
が減少し、容器内に空間ができるので、次に水分を含む
新しい原料を投入する。これを順次連続することで、最
終的に、発酵が終わり、体積が最大限減少した処理品
(生成物)が発酵容器2内に一杯になるまで効率的に連
続運転できる。
【0047】連続投入方式では、効率的処理が可能な反
面、克服すべき次の課題が有る。つまり、連続投入方式
では、一方では、新しい原料が連続的に投入されてお
り、他方では、先に投入された原料が加熱攪拌されて発
酵する(攪拌が十分におこなわれることで、土着菌の有
機物への密着を促す)と共に、常時水分が水蒸気となっ
て蒸発しているので、容器内の減圧値は常時変化する環
境下にある。
【0048】したがって、発酵容器2内の減圧値や酸素
量を初期設定値に固定していたのでは、発酵処理開始か
ら処理完了までの一定時間の間、発酵容器2内を最適発
酵条件に維持できない。
【0049】本発明では、常時変化する容器内の減圧値
や酸素量を、次のようにして、原料の投入開始から処理
終了までにわたって経時的に補正し、発酵最適条件(最
適雰囲気)を維持している。
【0050】すなわち、水蒸気排出口38に接続の連通
管40に設けた真空計45によって、連続運転の真空ポ
ンプ42で排気される発酵容器2内の減圧値を常時監視
し、その信号を制御装置36に出力し、制御装置36で
処理した信号を空気取り入れ口9の電動仕切り弁35の
駆動部(モータ34)に出力することで、当該電動仕切
り弁35を開閉制御し、所定幅の設定減圧値(発酵容器
2内の減圧値が約0.2気圧〜0.3気圧)を外れて容
器内の減圧値が上がったときは、電動仕切り弁35が自
動的に開かれて、発酵容器2内への空気の供給が増大さ
れ、容器内の減圧値は再び下げられる。
【0051】反対に、設定減圧値を外れて容器内の減圧
値が下がったときは、電動仕切り弁35が自動的に絞ら
れて、発酵容器2内への空気の供給が減じられるので、
容器内の減圧値は再び上げられる。このようにして、容
器内の減圧値が所定値を外れて変化しようとすると、即
座にこれを打消すように空気供給量が調節されるので、
発酵容器2内は、常時、発酵最適雰囲気が保持されて、
大量の原料を効率的に、かつ、発酵状態にバラツキがな
く、均質な処理品(生成物)を生産できる。
【0052】前述のようにして、破砕機27で破砕され
たうえ、原料供給パイプ28を通して、発酵容器2内の
減圧を利用して真空引きで当該容器2内に連続的に投入
される原料39には、一般に65%以上の多量の水分が
含有されていて、水分が蒸発し発酵処理が完了した時の
原料の体積は、原料の投入時の体積の数分の1に減少す
るが、本発明では、発酵処理され、水分が蒸発して体積
が縮小した原料が約3.5トンの容量の容器内に略一杯
になるまで1〜3時間程度かけて連続運転できる。
【0053】本発明の処理装置は、必要に応じて従来の
バッチ方式で使用すること、つまり、最初から処理しよ
うとする全量の有機物を発酵容器に投入して処理するこ
とも勿論できる。
【0054】本発明を前述の連続投入方式の発展形態と
して使用することもできる。つまり、発酵容器2の一方
の端板10に設けた処理品(生成物)の取り出し口19
にロータリーバルブ(図示せず)を付設して、発酵容器
2内で処理品(生成物)が生成され次第、順次連続的に
取り出し、他方では、原料取り入れ口26から原料を連
続投入する操作を繰り返すことで、さらに大量の原料を
長時間に亘り連続処理することができる。
【0055】また、本発明の実施形態では、発酵容器2
内の雰囲気を検知する手段の一例として、容器内圧力を
検知する真空計45の例を示したが、これ以外にも温度
計や湿度計で発酵容器2内の温度または湿度を検知し
て、その信号を制御装置に出力し、制御装置で処理した
信号で空気取り入れ口9の電動仕切り弁35の駆動部を
制御するようにしてもよい。
【0056】また、本発明の実施形態では、空気取り入
れ口9を開閉操作するし仕切り弁として、電動仕切り弁
35の例を示したが、これ以外にも液圧式仕切り弁や空
気圧式仕切り弁等を用いてもよい。
【0057】本発明は、有機物、例えば、食品加工ざん
さ、食品副産物、売れ残り食品、焼酎廃液、廃酸などの
液状廃棄物、畜産糞尿、畜産廃棄物、水産加工廃棄物、
漁業廃棄物、一般生ゴミ、厨芥残さ、下水汚泥ケーキ、
し尿、建設汚泥、剪定枝などに適用できる。
【0058】なお、有機物には種々あり、破砕機27に
投入する前処理として、水分を予め所定量まで除去する
とか、ある微生物を混合するとかの処理してもよく、例
えば、米ヌカなどの手に入りやすく栄養に富んだ炭水化
物を原料(微生物が吸着する培地)とし、微生物の好む
糖類を与えて加工すると、良質な土着菌の拡大培養物が
できる。
【0059】本発明の装置で得られた処理品(生成物)
は、乾燥処理と土着菌の働きにより、1週間程度の保存
可能な飼料となり、保存の間に発酵がさらに進んで、熟
成した良質な飼料が得られる。
【0060】本発明では、原料の温度を60〜70℃程
度にコントロールして再生加工するため、熱変性が少な
く原料のもつ栄養価を損なわない。また発酵飼料となる
ため、微生物の働きで消化吸収が良くなり、病気に強い
家畜ができあがる。具体的には、再生加工された発酵飼
料は栄養分析を行い、TDN、DCPなどを考慮して、
配合飼料と混合することによって、最適な飼料に仕上げ
て家畜に供給できる。また、高タンパクな素材では、魚
の養殖用飼料にも供給可能でえる。
【0061】
【発明の効果】本発明は以上の構成であるので次のよう
な効果を有している。
【0062】発酵容器での有機物の発酵処理に際して
は、発酵が進むにつれて、減圧値、温度、酸素量、微生
物の存在等できまる容器内の発酵雰囲気が変化し、発酵
最適条件を常時保持するのが難しいが、本発明では、有
機物の効率的な発酵に必要な容器内の前記3条件のう
ち、特に減圧値、酸素量を初期設定値に固定するのでは
なく、前記の値を原料の投入開始から処理終了までにわ
たって経時的に補正することで、発酵最適条件(最適雰
囲気)を維持することができ微生物の活動が最も活発な
温度範囲(60℃〜70℃)の下で、原料に含まれる水
分を効率的に蒸発させて効率的処理ができる。しかも、
得られた品は発酵ムラがなく、有機飼料として商品価値
の高い高品質の処理品(生成物)が得られるという効果
がある。
【0063】特に本発明では、原料を連続的に投入しな
がら処理品(生成物)を発酵ムラなく生産できるので、
従来のバッチ方式に比べ、水分が蒸発し、乾燥すること
で最終的に体積が最初から数分の1にまで減少した処理
品(生成物)が発酵容器内を満すまで連続処理できるの
で、処理装置の運転を中断することなく、大量の処理品
(生成物)を連続処理でき、この点でも、有機物の効率
的かつ大量処理が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機飼料の発酵装置のフロー図で
ある。
【図2】図1のA−A部矢視図である。
【図3】図1の構成を具体的に示す有機飼料の発酵装置
の断面図である。
【図4】図3のB−B部矢視図である。
【符号の説明】
1 発酵装置 2 発酵容器 4 攪拌装置 4a 中空軸部 4b 中空攪拌翼 4c 中空支軸 5 加熱装置 6 供給装置 7 減圧装置 8 容器本体 9 空気取り入れ口 10 端板 11 蒸気流通間隙 12 水蒸気取り入れ口 13 水蒸気排出口 14 ボイラー 15 水蒸気供給本管 15a 第1分岐管 15b 第2分岐管 16 蒸気流通間隙 17 復水帰還本管 17a 第1管 17b 第2管 18 気密軸封部 19 処理品(生成物)の取り出し口 20 軸受け部 21 駆動プーリ 22 水蒸気流入口 23 水蒸気流出口 24 スチームトラップ 25 電動仕切り弁 26 原料取り入れ口 27 破砕機 28 原料供給パイプ 29 モータ 30 原料投入口 31 破砕翼 32 格子 33 空気供給パイプ 34 モータ 35 電動仕切り弁 36 制御装置 38 水蒸気排出口 39 有機物 40 連通管 41 復水器 42 真空ポンプ 43 脱臭及び水処理装置 44 ケーシング 45 真空計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 圓川 憲夫 山口県下関市長府扇町8番46号 住吉重工 業株式会社内 Fターム(参考) 4B061 AA02 AB06 AB07 DA10 DB01 DB12 DB19 DB22 4D004 AA02 AA03 AA04 AA12 AC04 BA04 CA04 CA15 CA19 CA22 CA42 CA48 CB04 CB13 CB28 CB36 CB50 DA01 DA02 DA06 DA07 DA08 4D059 AA01 AA03 AA07 AA08 BA03 BA48 BA56 BA60 BD01 BD19 BJ03 BK01 CC02 EA08 EA10 EA20 EB15

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発酵容器内の減圧を利用して真空引きで
    原料取り入れ口から発酵容器に取り入れた有機物を、好
    気性微生物の存在下で加熱しつつ攪拌し発酵させて飼料
    化する装置であって、当該装置は、発酵容器内を加熱す
    る加熱装置と、前記容器内を減圧する減圧装置と、仕切
    り弁付きの容器内への空気取り入れ口と、容器内の圧
    力、温度、湿度などを検知する容器内雰囲気検知装置
    と、当該検知装置で検知した信号を処理して前記仕切り
    弁の駆動部に処理信号を出力する制御装置とを具備し、
    当該制御装置からフィードバックされる処理信号で前記
    仕切り弁を開閉操作し、発酵容器内圧力を設定減圧値に
    保持するように空気取り入れ量を制御することを特徴と
    する有機物の発酵飼料化装置。
  2. 【請求項2】 発酵容器内の減圧を利用して原料取り入
    れ口から容器内に有機物を連続的に取り入れ、好気性微
    生物の存在下で加熱しつつ攪拌すると共に、発酵させて
    飼料化する装置であって、当該装置は、攪拌翼を内蔵し
    た発酵容器と、発酵容器内の水蒸気を含む気体を吸引し
    て減圧する真空ポンプ等からなる減圧装置と、発酵容器
    に設けた真空引き原料取り入れ口と、容器内に発酵促進
    用酸素を供給する仕切り弁付きの空気取り入れ口と、容
    器内の圧力、温度、湿度などを検知する容器内雰囲気検
    知装置と、当該検知装置で検知した信号を処理したうえ
    前記仕切り弁を開閉操作する駆動部にフィードバックす
    ることで、発酵容器内圧力を設定減圧値に保持するよう
    に空気取り入れ量を制御する制御装置と、発酵容器本体
    や攪拌装置を構成する部材の肉厚内部に形成した流路間
    隙を通して水蒸気などの加熱媒体を循環させて発酵容器
    内を加熱する加熱装置とを具備したことを特徴とする有
    機物の発酵飼料化装置。
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