JP7475141B2 - 撹拌装置およびそれを用いた有機廃棄物の処理方法 - Google Patents

撹拌装置およびそれを用いた有機廃棄物の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、撹拌装置およびそれを用いた有機廃棄物の処理方法に関する。
生ゴミ、下水処理場で発生する余剰汚泥等の有機性の被処理物の処理装置として、例えば、特許文献1には減圧発酵乾燥装置が提案されている。
この減圧発酵乾燥装置は、微生物が添加された有機性の被処理物が投入される処理室を有する乾燥機と、乾燥機に設けられて被処理物を加熱する加熱部と、乾燥機の処理室内に回転可能に設けられて被処理物を撹拌する撹拌部と、被処理物から生成された水蒸気を凝縮して凝縮水を生成する凝縮部と、凝縮部内の凝縮水と処理室内の空気の混合体が導かれて混合体を凝縮水と空気とに分離する気液分離装置と、気液分離装置の下流側に接続されて凝縮部内の凝縮水と処理室内の空気を気液分離装置に向かって吸引する吸引ポンプとを備えている。
乾燥機は、内部に処理室を有する円筒形のケーシングと、処理室の下部の壁面に沿って形成された加熱ジャケットと、処理室内に配置された撹拌部としての加熱撹拌部とを有している。
加熱撹拌部は、ケーシングの両端面に設けられた軸受に両端が支持された中空の回転軸と、回転軸の外径側を取り囲むように固定された2つの螺旋管と、螺旋管の外周に配置された複数の矩形の送り羽根とを有する。
この減圧発酵乾燥装置によれば、微生物が添加された被処理物を、空気圧が大気圧よりも低い処理室内で加熱しながら撹拌し、処理室内の水蒸気を凝縮部で凝縮して排出するため、微生物の分解作用と、加熱作用と、水蒸気の排出作用により、迅速かつ効果的に被処理物の脱臭と乾燥を行って被処理物を肥料として利用可能な粉体に処理することができる、とされている。
特開2013-75248号公報
特許文献1のように、処理室内で撹拌羽根を回転させて有機性の被処理物を撹拌しながら発酵させて処理する処理装置では、例えば、トウモロコシの芯、サトウキビの搾り粕等の食品加工後に廃棄される硬い農作物系廃棄物、鶏、豚、牛等の家畜の食品加工後に廃棄される骨を含む部位、家畜などの動物の死骸等を処理した場合、硬い農作物系棒状廃棄物や骨といった硬い動物系棒状廃棄物によって撹拌羽根が曲がるまたは折れるという問題が発生していた。そのため、処理室内で撹拌羽根を回転させるタイプの処理装置はこのような硬い棒状廃棄物を含む被処理物の処理には適していなかった。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、硬い棒状の有機廃棄物を含む被処理物の処理に適した撹拌装置およびそれを用いた有機廃棄物の処理方法を提供することを目的とする。
かくして、本発明によれば、被撹拌物を密閉状態で収容可能な筒形の回転ドラムと、前記回転ドラムの軸心を中心として水平状にかつ回転可能に支持する支持部と、前記回転ドラムを回転させる駆動部とを備え、
前記回転ドラムが、被撹拌物と接触可能な複数の突起を内周面に有している撹拌装置が提供される。
また、本発明の別の観点によれば、前記撹拌装置における前記回転ドラム内に被撹拌物としての有機廃棄物および有機廃棄物発酵用の微生物を投入する投入工程と、
前記回転ドラムを回転しながら、前記回転ドラム内の温度を所定温度まで上昇させ、かつ前記回転ドラム内を所定圧力まで減圧して、前記回転ドラム内の前記有機廃棄物を前記微生物にて発酵させる発酵処理工程と、
前記回転ドラムの回転を停止し、前記回転ドラム内から前記有機廃棄物の発酵物を排出する排出工程とを含む有機廃棄物の処理方法が提供される。
本発明の撹拌装置は、回転ドラムの内周面に複数の突起を設けることにより、撹拌羽根を用いることなく、被撹拌物を収容した回転ドラムを回転させることによって被撹拌物を撹拌することができ、その用途は特に限定されるものではない。
本発明の撹拌装置は、特に、有機廃棄物の処理に好適であり、撹拌羽根によって有機廃棄物を撹拌せず、有機廃棄物を収容した回転ドラムを回転させることによって被撹拌物を撹拌することができるため、例えば、トウモロコシの芯、サトウキビの粕等の農作物の硬い廃棄物や、家畜といった動物の死骸などを処理した場合でも、農作物の硬い廃棄物や動物の死骸の骨などの硬い棒状廃棄物によって撹拌羽根が曲がるまたは折れるという問題が発生することなく、有機性廃棄物を発酵処理して飼料や肥料等に資源化することができる。
また、本発明の撹拌装置は、回転する撹拌羽根が被撹拌物と摺接することにより生じる摩擦熱が生じないため、摩擦熱を加えることなく粉体と固形物とを撹拌混合する用途にも適しており、固形物を砕かないように粉体に均一に混合分散する用途にも適しており、例えば、加工食品や医薬品の製造分野に用いることも可能である。
本発明の撹拌装置の実施形態1を示す正面断面図である。 実施形態1の撹拌装置の右側面図である。 実施形態1の撹拌装置の左側図である。 図1の撹拌装置における左端部を示す拡大断面図である。 図1の撹拌装置における右端部を示す拡大断面図である。 図1の撹拌装置におけるロータリージョイント部の拡大断面図である。 実施形態1の撹拌装置による有機廃棄物の処理方法を説明する図であって、(A)は投入工程、(B)は発酵処理工程を示す。 実施形態1の撹拌装置による有機廃棄物の処理方法を説明する図であって、(A)および(B)は図7(B)の発酵処理工程の続きを示す。 実施形態1の撹拌装置による有機廃棄物の処理方法を説明する図であって、(A)は図8(B)の発酵処理工程の続きを示し、(B)は排出工程を示す。 実施形態2の撹拌装置を示す正面図である。 実施形態2の撹拌装置の右側面図である。 実施形態2の撹拌装置の左側面図である。 実施形態2の撹拌装置の長手方向の中間部を省略した正面断面図である。 実施形態2の撹拌装置における支持部の受台部およびスライド部を示す(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図である。 図13の撹拌装置におけるロータリージョイント部の拡大断面図である。 実施形態2の撹拌装置による有機廃棄物の処理方法を説明する図であって、(A)は投入工程、(B)は発酵処理工程を示す。 実施形態2の撹拌装置による有機廃棄物の処理方法を説明する図であって、(A)および(B)は図7(B)の発酵処理工程の続きを示す。 実施形態2の撹拌装置による有機廃棄物の処理方法を説明する図であって、(A)は図8(B)の発酵処理工程の続きを示し、(B)は排出工程を示す。 実施形態3の撹拌装置の概略構造を示す説明図である。
本発明の撹拌装置は、被撹拌物を密閉状態で収容可能な筒形の回転ドラムと、前記回転ドラムの軸心を中心として水平状にかつ回転可能に支持する支持部と、前記回転ドラムを回転させる駆動部とを備え、
前記回転ドラムが、被撹拌物と接触可能な複数の突起を内周面に有している。
この場合、前記複数の突起が、前記軸心と平行に前記内周面に配置された複数のミキシングプレートと、前記軸心と直交する方向から視て前記軸心に対して傾斜するように前記内周面に配置された複数のリードプレートとの少なくとも一方を含んでなるものであってもよい。
この構成によれば、回転ドラムが回転するとミキシングプレートによって被撹拌物が回転方向に持ち上げられ、ある程度の高さまで持ち上げられると落下し、これを繰り返すことにより被撹拌物が効率よく均一に撹拌される。また、一方向に回転する回転ドラム内の被撹拌物を複数のリードプレートによって軸心方向の一方の端部側から他方の端部側へ送ることができる。そのため、有機廃棄物を微生物にて発酵処理する場合には、有機性廃棄物を回転ドラム内で撹拌しながら軸心方向に移動させることができ、発酵処理効率を高めることができる。
また、本発明の撹拌装置は、次のタイプA~C(後述の実施形態1~3に対応)のように構成することができる。
(タイプA)
タイプAの撹拌装置としては、前記回転ドラムにおける前記軸心方向の一端部に連結されたロータリージョイント部をさらに備え、
前記ロータリージョイント部は、前記回転ドラムの前記軸心上に配置されて前記一端部と連結する回転体と、前記軸心上に配置された固定体と、前記回転体と固定体とを少なくとも1つのシールリングを介して前記軸心を中心とする回転方向に摺動可能とするメカニカルシールとを有し、
前記固定体は、前記回転ドラム内への流体の供給用の接続パイプおよび前記回転ドラム内からの流体の排出用の接続パイプと接続可能な接続部を有し、
前記回転ドラムは、内筒体と、前記内筒体との間に隙間部をもって設けられた外筒体と、前記内筒体および前記外筒体の前記軸心方向の両端開口部を閉鎖する一対の閉鎖板とを有し、
前記回転ドラムおよび前記ロータリージョイント部は、前記供給用の接続パイプから供給された水蒸気が前記ロータリージョイント部を介して前記隙間部内に流入する蒸気供給流路と、前記排出用の接続パイプから前記隙間部内のドレンを前記ロータリージョイント部を介して外部に排出するドレン排出流路とを有するものであってもよい。
このタイプAの撹拌装置によれば、内筒体内に被撹拌物を投入した回転ドラムを回転しながら、内筒体の外周の隙間部内に蒸気を供給して内筒体内の温度を上昇させることができると共に、隙間部内の蒸気の凝縮水を外部に排出することができる。そのため、有機廃棄物を微生物にて発酵処理する場合には、有機廃棄物を発酵に適した温度まで加温することができる。
さらに、タイプAの撹拌装置において、前記回転ドラムおよび前記ロータリージョイント部は、前記排出用の接続パイプから前記内筒体内のガスを前記ロータリージョイント部を介して外部に排出するガス排出流路を有し、
前記ガス排出流路は、前記供給用の接続パイプから供給された水が前記ロータリージョイント部を介して前記回転ドラム内に流入する水供給流路として使用可能に構成されてもよい。
この構成によれば、回転ドラムを回転させて被撹拌物を撹拌する際に、回転ドラム内の空気を外部に排出して回転ドラム内を減圧することができる。そのため、有機廃棄物を微生物にて発酵処理する場合には、回転ドラム内を発酵に適した圧力まで減圧することができると共に、有機廃棄物の発酵時に発生するガス(臭気を含む)を回転ドラム内から外部へ排出することができる。また、回転ドラムを回転させて被撹拌物を撹拌する際に、回転ドラム内に水を供給することができる。そのため、有機廃棄物を微生物にて発酵処理する場合には、有機廃棄物を発酵に適した水分量に調整することができる。
(タイプB)
タイプBの撹拌装置としては、前記回転ドラムにおける前記軸心方向の一端部に連結されたロータリージョイント部をさらに備え、
前記ロータリージョイント部は、前記回転ドラムの前記軸心上に配置されて前記一端部と連結する回転体と、前記軸心上に配置された固定体と、前記回転体と固定体とを少なくとも1つのシールリングを介して前記軸心を中心とする回転方向に摺動可能とするメカニカルシールとを有し、
前記固定体は、前記回転ドラム内への流体の供給用の接続パイプと接続可能な接続部を有し、
前記回転ドラムは、内筒体と、前記内筒体との間に隙間部をもって設けられた外筒体と、前記内筒体および前記外筒体の前記軸心方向の一端開口部を閉鎖する閉鎖板とを有し、
前記回転ドラムおよび前記ロータリージョイント部は、前記供給用の接続パイプから供給された水蒸気が前記ロータリージョイント部を介して前記隙間部内に流入する蒸気供給流路を有し、
前記支持部は、前記回転ドラムの前記軸心方向の一端側を回転可能に支持する軸受部と、前記内筒体および前記外筒体の前記軸心方向の他端開口部を閉鎖しかつ回転可能に支持する閉鎖支持板部と、前記閉鎖支持板部を貫通しかつ前記隙間部の内部と連通して前記隙間部内のドレンを外部に排出するドレン排出パイプとを有するものであってもよい。
このタイプBの撹拌装置によれば、タイプAと同様に、内筒体内の温度上昇および隙間部内のドレンの排出が可能となる。それに加え、回転ドラムの他端側の閉鎖支持板部は固定されているため、閉鎖支持板部に被撹拌物の投入口と排出口を設けることによって回転ドラムの回転中に被撹拌物の投入および排出を行うことが可能となると共に、回転ドラムの一端側の構成およびロータリージョイント部の内部構成を簡素化することができる。さらに、回転ドラムの隙間部における蒸気供給側とは反対側からドレンを排出するため、熱効率の向上が図られる。
さらに、タイプBの撹拌装置において、前記支持部は、前記閉鎖支持板部を貫通しかつ前記回転ドラムの前記内筒体の内部と連通して前記内筒体内のガスを外部に排出するガス排出パイプと、前記閉鎖支持板部を貫通しかつ前記内筒体の内部と連通して前記内筒体内に水を供給する水供給パイプとを有するものであってもよい。
この構成によれば、タイプAと同様に、有機廃棄物を微生物にて発酵処理する場合、回転ドラム内を発酵に適した圧力まで減圧することができ、有機廃棄物の発酵時に発生するガス(臭気を含む)を回転ドラム内から外部へ排出することができ、有機廃棄物を発酵に適した水分量に調整することができる。
(タイプC)
タイプCの撹拌装置としては、前記回転ドラムは、内筒体と、前記内筒体との間に隙間部をもって設けられた外筒体と、前記内筒体および前記外筒体の前記軸心方向の一端開口部を閉鎖する閉鎖板とを有し、
前記支持部は、前記回転ドラムの前記軸心方向の一端側を回転可能に支持する軸受部と、前記内筒体および前記外筒体の前記軸心方向の他端開口部を閉鎖しかつ回転可能に支持する閉鎖支持板部と、前記閉鎖支持板部を貫通しかつ前記隙間部の内部と連通して前記隙間部内に蒸気を供給する蒸気供給パイプと、前記閉鎖支持板部を貫通しかつ前記隙間部の内部と連通して前記隙間部内のドレンを外部に排出するドレン排出パイプとを有するものであってもよい。
このタイプCの撹拌装置によれば、タイプAと同様に、内筒体内の温度上昇および隙間部内のドレンの排出が可能となると共に、タイプBと同様に、回転ドラムの他端側の閉鎖支持板部は固定されているため、閉鎖支持板部に被撹拌物の投入口と排出口を設けることによって回転ドラムの回転中に被撹拌物の投入および排出を行うことが可能となる。さらに、回転ドラムの一端側のロータリージョイント部を省略することができる。
さらに、タイプCの撹拌装置において、前記支持部は、前記閉鎖支持板部を貫通しかつ前記回転ドラムの前記内筒体の内部と連通して前記内筒体内のガスを外部に排出するガス排出パイプと、前記閉鎖支持板部を貫通しかつ前記内筒体の内部と連通して前記内筒体内に水を供給する水供給パイプとを有するものであってもよい。
この構成によれば、タイプAと同様に、有機廃棄物を微生物にて発酵処理する場合、回転ドラム内を発酵に適した圧力まで減圧することができ、有機廃棄物の発酵時に発生するガス(臭気を含む)を回転ドラム内から外部へ排出することができ、有機廃棄物を発酵に適した水分量に調整することができる。
また、タイプA~Cの撹拌装置は、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
(1)前記支持部は、ベース部と、前記ベース部上に設けられた複数の重量測定部と、前記複数の重量測定部上に設けられた前記軸受部および前記閉鎖支持板部とを有するものであってもよい。
この構成によれば、回転ドラム内に投入した被撹拌物の重量を複数の重量測定部にて測定することができるため、有機廃棄物を微生物にて発酵処理する場合、有機廃棄物の投入量を発酵処理に適した重量に容易に調整することができる。
(2)前記支持部は、前記ベース部と前記複数の重量測定部との間に設けられた複数の緩衝部をさらに有し、
前記緩衝部は、前記ベース部上に固定された受台部と、前記重量測定部を支持しかつ前記受台部上に摺動可能に載るスライド部とを有してなるものであってもよい。
この構成によれば、回転ドラムが加熱されて熱膨張した場合、スライド部によって回転ドラムの熱膨張を吸収して支持部の破損を回避することができる。
(3)前記駆動部が、前記回転ドラムを正逆回転可能に構成されてもよい。
この構成によれば、回転する回転ドラム内の被撹拌物を撹拌しながら軸心方向に往復移動させることができる。そのため、有機廃棄物を微生物にて発酵処理する場合には、有機性廃棄物を回転ドラム内で撹拌しながら軸心方向に往復移動させることができ、より発酵処理効率を高めることができると共に、発酵処理終了時には、発酵物を開閉蓋が設けられた回転ドラムの他端部側へ集めて外部へ取り出しやすくすることができる。
以下、図面を参照しながら本発明の撹拌装置およびそれを備えた有機廃棄物の処理方法の実施形態について詳説する。
(実施形態1)
図1は本発明の撹拌装置の実施形態1を示す正面断面図であり、図2は実施形態1の撹拌装置の右側面図であり、図3は実施形態1の撹拌装置の左側図である。また、図4は図1の撹拌装置における左端部を示す拡大断面図であり、図5は図1の撹拌装置における右端部を示す拡大断面図であり、図6は図1の撹拌装置におけるロータリージョイント部の拡大断面図である。図1中の矢印Xは左右方向、矢印Yは前後方向、矢印Zは上下方向を示している。
なお、実施形態1並びに後述の実施形態2および3では、有機廃棄物の処理に適した撹拌装置としての有機廃棄物処理装置を例示するが、本発明の撹拌装置は有機廃棄物の処理にその用途が限定されるものではない。
〔撹拌装置の構成〕
図1~図6に示すように、実施形態1の有機廃棄物処理装置(撹拌装置)1は、被撹拌物としての有機廃棄物を密閉状態で収容可能な筒形の回転ドラム10と、回転ドラム10の軸心Pを中心として水平状にかつ回転可能に支持する支持部20と、回転ドラム10を回転させる駆動部30と、回転ドラム10における軸心P方向の一端部10aに連結されたロータリージョイント部40とを備え、ロータリージョイント部40によって回転ドラム10内への流体の供給および回転ドラム10内からの流体の排出を可能とされている。
以下、回転ドラム10の軸心P方向のロータリージョイント部40側を一端側、一端側の反対側を他端側として説明する。
<回転ドラム>
回転ドラム10は、円筒形の内筒体11と、内筒体11との間に隙間部Sをもって設けられた円筒形の外筒体12と、内筒体11および外筒体12の軸心P方向の両端開口部を閉鎖する一対の円盤形の閉鎖板13、14と、閉鎖板13、14に外面にかつ軸心P上に設けられた一対の軸部15、16とを有し、これらは、例えば、ステンレス鋼にて形成されている。なお、回転ドラム10の前記一端部10aとして軸部15が設けられ、前記他端部10bとして軸部16が設けられている。
内筒体11は、軸心P方向に延びるようにかつ周方向等間隔で内周面に設けられた帯板形の複数の突起(後述のミキシングプレート11a)と、内周面における隣接する2つのリブ11aの間に軸心Pと直交する方向(図1の紙面直交方向)から視て軸心Pに対して傾斜する複数の突起(後述のリードプレート11b)とを有し、これらは、例えば、ステンレス鋼にて形成されており、内筒体11の内周面に溶接されている。
リードプレート11bは軸心Pと直交する方向から視て緩やかな波形に湾曲しており、軸心P方向に並ぶ複数のリードプレート11bは等間隔で配置され、周方向に隣接する2つのリードプレート11bは周方向に並ばないよう位置をずらして配置されている。
また、リードプレート11bの軸心Pに対する傾斜角度θ(図4)は、回転ドラム10のサイズおよび処理時の回転速度等にもよるが、軸心Pと平行な場合を0°とすると、例えば、87~70°程度に設定することができ、実施形態1では約83°である。
また、円筒体11と外筒体12との間には、これらの間に隙間部S1を形成するように設けられた複数のガイドプレート11cが設けられている。複数のガイドプレート11cは、例えば、ステンレス鋼にて形成されており、内筒体11の外周面に溶接されている。また、複数のガイドプレート11cは、その長手方向が軸心P方向に向けられて1列で所定間隔に配置され、かつ周方向に等間隔で複数列配置されている。
実施形態1の撹拌装置1において、一例として、回転ドラム10のサイズとしては、直径約2m、長さ約5mに設定され、このサイズの回転ドラム10による有機廃棄物の1バッチ当たりの処理可能な重量は5.6t程度である。なお、回転ドラム10のサイズは特に限定されるものではなく、前記サイズより大きくても小さくてもよく、処理すべき有機廃棄物の1バッチ当たりの重量に応じて設定すればよい。
回転ドラム10の一端部10a側の閉鎖板13は、内筒部11の外周面に気密に連結されて内筒体11の開口部を閉鎖する内蓋部13aと、外筒部12の外周面に気密に連結されて外筒部12の開口部を閉鎖する外蓋部13bとを有する。
閉鎖板13において、内蓋部13aと外蓋部13bとの間には前記隙間部S1と連通する円形の連通流路S2が形成されると共に、内蓋部13aの軸心P上には中心孔が形成されている。
内蓋部13aの中心孔は、回転ドラム10の内筒部11内への流体としての水の供給および内筒部11内からの流体としての空気を排出を可能とする後述のロータリージョイント部40の接続部42bのメインパイプ42b1を軸受部13cを介して挿通させる孔である。
一方、外蓋部13bは、軸部15を挿入する中心孔を有しており、外蓋部13bの外面が軸部15の外フランジ部に連結されている。
一端側の軸部15は、メインパイプ42b1との間に連通流路S2と連通する連通流路S3を形成するようにメインパイプ42b1を挿通させる中心孔を有し、後述する支持部20の一端側の軸受部22にて回転可能に支持されている。
他端側の軸部16は、支持部20の他端側の軸形の軸受部22を挿入させる挿入孔を有しており、軸受部22に回転可能に支持されている。
また、回転ドラム10の外周面、すなわち、外筒部12の外周面には、ローテーションギア17と、一対のロードリング18と、コントロールディスク19とが設けられている。なお、これらの役割について詳しくは後述する。
さらに、回転ドラム10の他端側の閉鎖板14には軸心Pを中心に回動可能な扇形の開閉蓋14aが設けられると共に、開閉蓋14aを軸心P廻りに回動させて閉鎖板14の弓形の開口部14bを開閉させるモータ64を含む開閉機構部60が軸部16および後述の支持部20の他端側の支柱部21bに設けられている。
図3と図4に示すように、開閉機構部60は、開閉蓋14aを軸部16の外周部に軸受を介して取り付ける軸受カバー61と、軸受カバー61の外周部に設けられたサーベントギア62と、サーベントギア62と噛合するピニオンギア63と、ピニオンギア63を回動させる前記モータ64とを備え、モータ64は後述の支持部20の支持部21bにて支持されている。
この開閉機構部60によれば、モータ64を駆動してピニオンギア63を一方向に回転させることにより、サーベントギア62を介して開閉蓋14aが軸心Pを中心に一方向に回動して開口部14bが開き、ピニオンギア63を他方向に回転させることにより開閉蓋14aが他方向に回動して開口部14bが閉じる。
<支持部>
支持部20は、回転ドラム10の下方に配置されるベース部21aおよびベース部21aの長手方向両端部から起立する門形の一対の支柱部21bを有するマウントフレーム21と、一対の支柱部21bの上端部に設けられた一対の軸受部22とを有する。
ベース部21aは、前後に位置する一対の長辺部21a1と、左右に位置する一対の短片部21a2とを有する長方形の枠体であり、回転ドラム10の一対のロードリング18の外周面を左右軸心廻りに回転可能に支持する複数の支持ローラ21a3が一対の長辺部21a1に設けられている。なお、各支持ローラ21a3の外周部はタイヤにて構成されてもよい。
また、ベース部21aにおける回転ドラム10のロードリング18の下方位置には、上下軸心廻りに回転可能に設けられて一方のロードリング18を左右から挟持する一対の挟持ローラ21a4が設けられている。なお、各挟持ローラ21a4の外周部はタイヤにて構成されてもよい。
回転ドラム10の回転時において、一対の挟持ローラ21a4にロードリング18が摺接することにより、回転ドラム10の左右方向への移動が規制される。
さらに、ベース部21aにおける回転ドラム10のコントロールディスク19の下方位置には、コントロールディスク19を介して回転する回転ドラム10を停止可能なブレーキ部21a5が設けられている。なお、実施形態1の場合、ブレーキ部21a5としてマグネットブレーキが用いられているが、これに限定されるものではなく、ブレーキパッドにてコントロールディスク19を挟んで回転ドラム10を制動する摩擦ブレーキでもよい。
あるいは、後述する駆動部30の駆動モータ31として制動可能な変速機直結モータを用いることによって駆動部30が制動機能を有するようにしてもよい。この場合、コントロールディスク19およびブレーキ部21a5を省略することができる。
前記のように、一端側の軸受部22は回転ドラム10の一端部10aの軸部15を回転可能に支持し、他端側の軸受部22は回転ドラム10の他端部10bの軸部16を回転可能に支持している。
<駆動部>
駆動部30は、支持部20のベース部21aに設けられた駆動モータ31と、回転ドラム10のローテーションギア17と噛合するように駆動モータ31の出力軸に固定された出力ギア32とを備え、駆動モータ31は出力ギア32およびローテーションギア17を介して回転ドラム10を正逆回転可能に構成されている。
なお、出力ギア32とローテーションギア17とをタイミングベルトにて連結し、出力ギア32の回転力をタイミングベルトを介してローテーションギア17に伝えるようにしてもよい。あるいは、回転ドラム10の一端側の軸部15または他端側の軸部16を制動可能な変速機直結モータにて回転駆動するように構成してもよい。
<ロータリージョイント部>
図1と図2と図5と図6に示すように、ロータリージョイント部40は、回転ドラム10の軸心P上に配置されて一端部10aの軸部15と連結する回転体41と、軸心P上に配置された固定体42と、回転体41と固定体42とを少なくとも1つのシールリングを介して軸心Pを中心とする回転方向に摺動可能とするメカニカルシール43とを有する。
回転体41は、回転ドラム10の軸部15の端面とシール部材52を介して圧接する端面41a1を有する円筒形の内パイプ部41aと、内パイプ部41aの外周面に嵌め込ま
れた外パイプ部41bとを有するロータリーシャフト41であり、内パイプ部41aおよび外パイプ部41bはステンレス鋼にて形成されている。
内パイプ部41aと外パイプ部41bは一体回転可能に連結しており、それらを構成する外周壁の一部には連通孔41xが形成されている。
ロータリーシャフト41は、回転ドラム10の軸部15に取り付けられた取付部材53によって軸部15の方へ押圧されて回転ドラム10と一体的に回転する。
固定体42は、ロータリーシャフト41を気密に覆う円筒形のケーシング42aと、ケーシング42aおよびロータリーシャフト41の内部に挿通された接続部42bとを有する。
ケーシング42aは、支持部20の一端側の支柱部21bによって図示しない連結部材を介して支持されており、その内部のロータリーシャフト41を気密かつ回転可能に保持している。また、ケーシング42aは、ロータリーシャフト41における連通孔41xを含む外周部分に円環状スペースS4を形成しており、円環状スペースS4と連通流路S3とが連通孔41xを介して連通している。
接続部42bは、ケーシング42a、ロータリーシャフト41および回転ドラム10の軸部15の内部を挿通しかつ回転ドラム10の閉鎖板13を貫通するメインパイプ42b1と、メインパイプ42b1における連通流路S2に露出した一部分に接続されて下方へ延びる第1サブパイプ42b2と、メインパイプ42b1における閉鎖板13の内蓋部13aを貫通した先端部に接続されて上方へ延びる第2サブパイプ42b3とを備える。なお、ロータリーシャフト41とメインパイプ42b1との間には隙間が設けられており、この隙間は回転ドラム10の軸部15内へ通じる連通流路S3の一部となっている。
接続部42bのメインパイプ42b1の基端部は、回転ドラム10の水平な軸心P上に配置されるようケーシング42aにて支持されている。
一方、メインパイプ42b1における閉鎖板13の内蓋部13aを貫通した先端部には、回転ドラム10の内筒体11の一端側の開口部をその下部に隙間S5を形成するように覆うプロテクションディスク43がプロテクションハブ44を介して取り付けられている。このプロテクションディスク43は、回転ドラム10によって処理される有機廃棄物が内筒部11の一端側の開口部から連通流路S2の下部へ流入するのを阻止すると共に、第2サブパイプ42b3を支持する。
また、メインパイプ42b1における閉鎖板13の内蓋部13aを貫通した先端部には、回転ドラム10の閉鎖板13の内蓋部13aを回転可能に支持する前記軸受部13cが固定されている。
また、内蓋部13aに沿った閉鎖板13の連通流路S2内に複数のグリースパイプ13dが放射状に配置されており、各グリースパイプ13dの外側端部は閉鎖板13の外蓋部13bにグリースニップル13d1を介して固定されている。これにより、各グリースニップル13d1から各グリースパイプ13d内にグリースを注入して軸受部13cに供給することができる。
メインパイプ42b1は、その内部空間が上下に区画されており、下部空間42bs1と第1サブパイプ42b2とが連通し、上部空間42bs2と第2サブパイプ42b3とが連通し、メインパイプ42b1における閉鎖板13を貫通した先端開口部は塞がれている。なお、メインパイプ42b1内の下部空間42bs1と上部空間42bs2は、例えば、メインパイプ42b1内に2本の小径パイプを挿入することによって形成することができる。
さらに、メインパイプ42b1におけるケーシング42aから外部へ突出した基端部42b11の上部空間42bs2に第1接続パイプ71が接続され、メインパイプ42b1の一端部42b11の下部空間42bs1に第2接続パイプ72が接続されている。
なお、第1接続パイプ71は、回転ドラム10の内筒体11内に水を供給するポンプ等を備えた水供給手段Wsと、回転ドラム10の内筒体11内のガスを外部へ排出するバキューム装置といったガス排出手段Geとに切換弁Vを介して接続されている(図7(A)参照)。また、第2接続パイプ72は、回転ドラム10内の下部に溜まった水分を外部に排出する水分排出手段Leに接続されており、回転ドラム10の隙間部S1の上部から供給された水蒸気の圧力によって隙間部S1の下部に溜まったドレンが第2接続パイプ72を介して水分排出手段Leから外部へ押し出される(図7(A)参照)。
また、接続部42bは、ケーシング42aの一部に第3接続パイプ73と接続される図示しない接続口が設けられている。
なお、第3接続パイプ73は、回転ドラム10の内筒部11と外筒部12との間の隙間部S1内へ水蒸気を供給するボイラといった水蒸気供給手段Bsと接続されている(図7(A)参照)。
このように構成された回転ドラム10およびロータリージョイント部40は、水蒸気供給用の第3接続パイプ73から供給された水蒸気がロータリージョイント部40を介して隙間部S1内に流入する蒸気供給流路(連通流路S3、S2)と、ドレン排出用の第2接続パイプ72から隙間部S1内のドレンをロータリージョイント部40を介して外部に排出するドレン排出流路(第1サブパイプ42b2、メインパイプ42b1の下部空間42bs1)とを有すると共に、ガス排出用の第1接続パイプ71から回転ドラム10内のガスをロータリージョイント部40を介して外部に排出するガス排出流路(第2サブパイプ42b3、メインパイプ42b1の上部空間42bs2)を有する。
さらに、ガス排出流路(第2サブパイプ42b3、メインパイプ42b1の上部空間42bs2)は、水供給用としても兼用される第1接続パイプ71から供給された水がロータリージョイント部40を介して回転ドラム10内に流入する水供給流路として使用可能に構成されている。
メカニカルシール43は、ロータリーシャフト(回転体)41の外パイプ部41bと固体体42のケーシング42aとの間に設けられたシールリングとしてのフローティングリング43aおよびリング状のシールプレート43bとを有してなり、外パイプ部41bとシールプレート43bとの間にフローティングリング43aが配置されている。
ロータリーシャフト41の外パイプ部41bにおけるフローティングリング43aとの接触面41b1は、回転ドラム10へ向かうにつれて軸心P側へ傾斜するテーパ状に形成されている。一方、フローティングリング43aにおける外パイプ部41bとの接触面43a1は、回転ドラム10へ向かうにつれて軸心P側へ傾斜する逆テーパ状に形成されている。
また、フローティングリング43aとシールプレート43bとの摺接面43a2、43b1は軸心Pと垂直な面となっている。
フローティングリング43aおよびシールプレート43bは、ロータリージョイントのメカニカルシール43で一般的に使用されているセラミックスからなり、それらの対向シール面となる摺接面43a2、43b1は所定の表面粗さ以下となるまで平滑化されている。
ロータリージョイント部40を組み立てる際、ロータリーシャフト41を回転ドラム10の軸部15へシール部材52を介して圧接させることにより、ロータリーシャフト41の外パイプ部41bがメカニカルシール43のフローティングリング43aに圧接し、それによりフローティングリング43aがシールプレート43bに圧接する。
また、ロータリーシャフト41の外パイプ部41bにおけるフローティングリング43aとの接触面41b1をテーパ状に形成し、かつフローティングリング43aにおける外パイプ部41bとの接触面43a1を逆テーパ状に形成することにより、ロータリーシャフト41の回転中心を回転ドラム10の軸心Pに一致させやすくなる。それに加え、外パイプ部41bとフローティングリング43との摩擦抵抗を、フローティングリング43とシールプレート43bとの摩擦抵抗より大きくすることができるため、フローティングリング43を外パイプ部41bと一体回転させてシールプレート43bに摺接させることができる。
〔有機廃棄物処理装置を用いた有機廃棄物の処理方法〕
図7は実施形態1の撹拌装置による有機廃棄物の処理方法を説明する図であって、(A)は投入工程、(B)は発酵処理工程を示す。また、図8は実施形態1の撹拌装置による有機廃棄物の処理方法を説明する図であって、(A)および(B)は図7(B)の発酵処理工程の続きを示す。また、図9は実施形態1の撹拌装置による有機廃棄物の処理方法を説明する図であって、(A)は図8(B)の発酵処理工程の続きを示し、(B)は排出工程を示す。
図1~図6および図7~図9を参照しながら前記構成を備えた有機廃棄物処理装置(撹拌装置)1を用いた有機廃棄物の処理方法を説明する。
この有機廃棄物の処理方法は、
有機廃棄物処理装置1における回転ドラム10内に被撹拌物としての有機廃棄物Owおよび有機廃棄物発酵用の微生物を投入する投入工程と、
回転ドラム10を回転しながら、回転ドラム10内の温度を所定温度まで上昇させ、かつ回転ドラム10内を所定圧力まで減圧して、回転ドラム10内の有機廃棄物Owを微生物にて発酵させる発酵処理工程と、
回転ドラム10の回転を停止し、回転ドラム10内から有機廃棄物の発酵物Ofを排出する排出工程とを含む。
<投入工程>
投入工程では、図3および図7(a)に示すように、開閉機構部60を作動して回転ドラム10の上方位置にある開閉蓋14aを開いて、回転ドラム10内(円筒体11内)に処理すべき有機廃棄物Owおよび有機廃棄物Owを発酵させる共生微生物を投入し、開閉蓋14aを閉じる。なお、使用する微生物は特に限定されるものではないが、有機廃棄物Owを効率よく発酵処理できるものが好ましく、複数種の微生物を使用してもよい。
<発酵処理工程>
発酵処理工程では、まず、回転ドラム10内の環境を有機廃棄物の発酵に適した条件に調整する。一例として、次のように調整することができる。
〔1〕水供給手段Wsから供給した水Wを切換弁V、第1接続パイプ71およびロータリージョイント部40のメインパイプ42b1の上部空間42bs2と第2サブパイプ42b3を介して回転ドラム10の内筒体11内へ導入する(図7(A))。これにより、発酵処理工程の初期段階において有機廃棄物Owの水分量が発酵に適した量に調整される。使用する水は、上水でなくてもよく、井戸水、雨水、工業用水等を用いてもよい。なお、供給する水量は、有機廃棄物Owの種類や微生物の種類にもよるが、例えば、家畜糞尿の場合、100重量部の有機廃棄物Owに対して80~98重量部に調整される。
〔2〕ガス排出手段Geを駆動し、回転ドラム10内の空気Aをロータリージョイント部40の第2サブパイプ42b3とメインパイプ42b1の上部空間42bs2、第1接続パイプ71および切換弁Vを介して外部に排出し、発酵処理工程中は回転ドラム10内の気圧が所定圧力に維持されるよう減圧調整する(図7(B))。回転ドラム10内を減圧することにより、微生物による有機廃棄物Owの発酵が促進される。なお、回転ドラム10内の気圧は、有機廃棄物Owの種類や微生物の種類にもよるが、例えば、40~53kPaに調整される。
〔3〕水蒸気供給手段Bsから供給した水蒸気Wvを第3接続パイプ71、ロータリージョイント部40の円環状スペースS4、連通流路S3および回転ドラム10の連通流路S2を介して回転ドラム10の内筒体11の外周の隙間部S1内へ導入する(図7(B))。これにより、発酵処理工程中は回転ドラム10内の温度が有機廃棄物Owの発酵に適した温度に調整される。なお、回転ドラム10内の温度は、有機廃棄物Owの種類や微生物の種類にもよるが、例えば、50~70℃に調整される。
発酵処理工程においては、前記〔1〕~〔3〕のように発酵処理条件を調整しながら、駆動部30を駆動して回転ドラム10を所定時間回転させる。この際、回転ドラム10のサイズおよび処理する有機廃棄物Owの重量等にもよるが、例えば、回転ドラム10の回転速度は1~5rpm、回転ドラム10を回転させて行う発酵処理工程時間は2~3時間に設定される。
なお、これらの発酵処理条件は一例であり、本発明の有機廃棄物の処理方法はこれらの条件に限定されるものではなく、効率的に発酵処理が促進されるように適宜調整すればよい。
また、発酵処理工程においては、回転ドラム10の隙間部S1内に供給した水蒸気が凝縮したドレンDが隙間部S1の下部に溜まるため、水分排出手段Leを駆動し、隙間部S1のドレンDをロータリージョイント部40の第1サブパイプ42b2とメインパイプ42b1の下部空間42bs1および第2接続パイプ72を介して外部に排出する。なお、発酵処理中の有機廃棄物Owから余分な水分等の液体が出ても隙間部S1側へ落下して外部へ排出される、あるいは内筒体11への加熱によりスチームとなって外部へ排出される。
なお、回転ドラム10の回転と停止、回転速度および回転時間、水分供給、水蒸気供給、ガス排出、水分排出等の動作を行うモータや各種手段の制御は、オペレーターによって図示しないオペレーションボックスを操作して図示しない制御部を介して行われる。また、オペレーションボックスは、オペレーターが運転開始ボタンを押すと予め設定入力された発酵処理条件に自動的に調整しながら回転ドラムを回転させて発酵処理を完了させるように構成されてもよい。
図1と図5と図6に示すように、回転ドラム10の一端部10a側の軸部15とロータリージョイント部40のロータリーシャフト(回転体)41とは一体回転可能に連結されているため、回転ドラム10の回転中はロータリーシャフト41も回転している。
一方、ロータリージョイント部40のケーシング(固定体)42aは静止した状態で回転するロータリーシャフト41を支持している。
この際、メカニカルシール43において、フローティングリング43aはロータリーシャフト41と共に回転し、シールリング43bはケーシング42aと共に静止しているため、シールリング43bに対してフローティングリング43aが摺動している。
図1と図7(B)に示すように、発酵処理工程の初期段階において、回転ドラム10が回転することにより、回転ドラム10内の有機廃棄物Owは正回転方向(矢印J方向)に持ち上げられ、ある程度の高さまで持ち上げられると落下し、これを繰り返すことにより撹拌される。この際、内筒体11の内面に設けられた複数のミキシングプレート11aによって、有機廃棄物Owが内筒体11の内面を滑らずにある程度の高さまで持ち上げられる。
また、内筒体11の内面に設けられた複数のリードプレート11bによって、有機廃棄物Owは撹拌されながら回転ドラム10の他端部10b側から一端部10a側へゆっくりと移動していく。
そして、図8(A)に示すように、有機廃棄物Owが撹拌されながら回転ドラム10の一端部10a側へ移動したところで、一旦駆動部30を停止し、かつブレーキ部21a5にてコントロールディスク19を介して回転ドラム10の回転を停止させる。あるいは、制動可能な変速機直結モータの制御により回転ドラム10の回転を停止させる。
その後、図8(B)に示すように、駆動部30を再び駆動して回転ドラム10を逆方向(矢印K方向)に回転させて、回転ドラム10内の有機廃棄物Owを撹拌しながら他端部10b側へゆっくり移動させる。
そして、図9(A)に示すように、有機廃棄物Owが撹拌されながら回転ドラム10の他端部10b側へ移動したところで、駆動部30を停止し、かつブレーキ部21a5にてコントロールディスク19を介して回転ドラム10の回転を停止させる、あるいは制動可能な変速機直結モータの制御により回転ドラム10の回転を停止させる。これにより1ストロークの発酵処理動作が完了する。なお、有機廃棄物Owが所望の粉末状態(発酵度合い)となるまで発酵処理動作が2ストローク以上行われる。
<排出工程>
回転ドラム10の他端部10b側へ移動した有機廃棄物Owが所望の粉末または団粒状態となった発酵物Ofであれば、図3および図9(B)に示すように、開閉機構部60を作動して回転ドラム10の下方位置にある開閉蓋14aを開いて、回転ドラム10内から発酵物Ofを外部へ排出する。なお、回転ドラム10の閉鎖板14および開閉蓋14aにはガラス窓14cが設けられており、ガラス窓14c越しに回転ドラム10内の有機廃棄物の発酵度合いが目視することができる。
このように、本発明の有機廃棄物処理装置(撹拌装置)1によれば、撹拌羽根によって有機廃棄物Owを撹拌せず、有機廃棄物を収容した回転ドラム10を回転させることによって有機廃棄物Owを撹拌することができるため、例えば、トウモロコシの芯、サトウキビの粕等の農作物の硬い廃棄物や、家畜といった動物の死骸などを処理した場合でも、農作物の硬い廃棄物や動物の死骸の骨などの硬い棒状廃棄物によって撹拌羽根が曲がるまたは折れるという問題が発生することなく、有機性廃棄物Owを発酵処理して飼料や肥料等に資源化することができる。
また、ロータリージョイント部40を設けたことにより、回転ドラム10への水分、蒸気等の供給および回転ドラム10からの水分、ガス等の排出が可能となり、回転ドラム10内の環境を、有機性廃棄物Owを資源化する最適条件に容易に調整することができる。
(実施形態2)
図10は実施形態2の撹拌装置を示す正面図であり、図11は実施形態2の撹拌装置の右側面図であり、図12は実施形態2の撹拌装置の左側面図である。また、図13は実施形態2の撹拌装置の長手方向の中間部を省略した正面断面図である。また、図14は実施形態2の撹拌装置における支持部の受台部およびスライド部を示す(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図であり、図15は図13の撹拌装置におけるロータリージョイント部の拡大断面図である。なお、図10~図15において、図1~図6中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。また、図10と図14(A)中の矢印Xは左右方向、矢印Yは前後方向、矢印Zは上下方向を示している。
実施形態2の有機廃棄物処理装置(撹拌装置)101は、実施形態1と同様に回転ドラム110の一端側から蒸気の供給を行うことができるが、回転ドラム110の他端側から水の供給、空気の排出およびドレンの排出を行うことができるよう構成されている点が実施形態1とは異なる。
以下、実施形態2における実施形態1とは異なる点を主に説明する。
図10~図15に示すように、実施形態2の有機廃棄物処理装置101は、被撹拌物としての有機廃棄物を密閉状態で収容可能な筒形の回転ドラム110と、回転ドラム110の軸心Pを中心として水平状にかつ回転可能に支持する支持部120と、回転ドラム110を回転させる駆動部130と、回転ドラム110における軸心P方向の一端部10aに連結されたロータリージョイント部140とを備え、ロータリージョイント部140によって回転ドラム110内への流体の供給を可能とされている。
<回転ドラム>
回転ドラム110は、実施形態1と同様の複数のミキシングプレート11aおよび複数のリードプレート11bを有する内筒体11、外周面にローテーションギア17を有しかつ内筒体11の外側に隙間部S1をもって設けられた外筒体12、内筒体11および外筒体12の軸心P方向の一端部10a側の開口部を閉鎖する閉鎖板13、および閉鎖板13の外面にかつ軸心P上に設けられた一端部10aとしての軸部15を備え、回転ドラム110の他端側の開口部は支持部120の後述する閉鎖支持板部121eによって回転可能に支持されかつ閉鎖されている。
閉鎖板13は、内部に円形もしくは放射形に形成されて内筒体11と外筒体12の間の隙間部S1と連通する連通流路S2が設けられている。
また、軸部15の中心孔15aは連通流路S2と連通している。
<支持部>
支持部120は、回転ドラム110の下方に配置されるベース部21aと、ベース部21aの長手方向の一端部から起立する門形の支柱部121bと、ベース部21aの長手方向の他端部から起立する前後一対の支柱部121cと、門形の支柱部121bの上端部に設けられた軸受部121dと、前後一対の支柱部121cに連結され支持された前記閉鎖支持板部121eと、閉鎖支持板部121eと回転ドラム110の外筒体12の他端側外周部との間に設けられた軸受としての複数のボール121fとを有する。なお、実施形態2におけるベース部21aは、実施形態1では設けられていた回転ドラム110を回転可能に支持する複数の支持ローラ21a3(図1参照)が省略されている。
図11に示すように、回転ドラム110の一端側を支持する門形の支柱部121bは、ベース部21aに連結された前後一対の柱部121b1と、各柱部121b1上に固定された重量測定部としてのロードセル121b2と、各ロードセル121b2上に連結された梁部121b3とを有し、梁部121b3上に軸受部121dが固定されている。なお、各ロードセル121b2はインジケーター(不図示)にケーブルを介して電気的に接続されており、各ロードセル121b2にかかる荷重が電気信号に変換されてインジケーターに入力され荷重として表示される。
図12に示すように、回転ドラム110の他端側を支持する前後一対の支柱部121cは、ベース部21a上に連結された緩衝部121c1と、緩衝部121c1上に固定された重量測定部としてのロードセル121c2と、ロードセル121c2上に連結された柱部121c3とをそれぞれ有する。
一対のロードセル121c2は、前記インジケーター(不図示)にケーブルを介して電気的に接続されており、各ロードセル121c2にかかる荷重が電気信号に変換されてインジケーターに入力され荷重として表示される。なお、インジケーターは右側の一対のロードセル121b2および左側の一対のロードセル121c2にかかる荷重の合計値も表示するものであってもよい。
図12と図14(A)~(C)に示すように、緩衝部121c1は、回転ドラム110の熱膨張を吸収する役割を担う要素であり、ベース部21a上に固定された受台部121c11と、ロードセル121c2を支持しかつ受台部121c11上に摺動可能に載るスライド部121c12とを有してなる。
受台部121c11は、金属製の矩形ブロック体であり、上面はスライド部121c12を受ける凹形の受け面121c111となっている。
また、受台部121c11において、受け面121c111の中央位置にローラ121c112が垂直軸心を中心として回動可能に設けられ、受け面121c111におけるローラ121c112の周囲(前後位置)にX形の複数の凹溝121c113が設けられ、凹溝121c113のX形状の交差部分に連通するように受台部121c11の正面から後面近傍に亘って一対のグリース注入路121c114および連通孔121c115が設けられている。
この受台部121c11によれば、各グリース注入路121c114内にグリースを注入することにより、各凹溝121c113内にグリースが充填されるようになっている。なお、受台部121c11の下面にはベース部21aにボルトにて固定するためのネジ孔が形成されている。
スライド部121c12は、受台部121c11の受け面121c111よりも小さいサイズに形成された金属製の矩形ブロック体であり、その下面が受け面121c111に摺接する摺接面121c121となっている。
また、スライド部121c12において、その下面にはローラ121c112が収まるサイズに形成された凹部121c122を有している。
この凹部121c122は、平面的に視て、左右方向(矢印X方向)に長い長方形に形成されており、前後方向(矢印Y方向)の幅はローラ121c112の直径よりも少し広い程度に設定されている。
この凹部121c122において、前後方向(矢印Y方向)の前面および後面は垂直面121c1221となっており、左右方向(矢印X方向)の左面および右面は凹部121c122の奥部が狭くなる傾斜面121c1222となっている。
このように構成された緩衝部121c1によれば、スライド部121c12の摺接面121c121と受台部121c11の受け面121c111との間にグリースの膜が形成されるため、回転ドラム110が熱膨張した場合に、受台部121c11上をスライド部121c12がスムーズに摺動することができる。
このとき、回転ドラム110の長手方向(軸心P方向)の熱膨張に対して、スライド部121c12の凹部121c122の左右方向(矢印X方向)の長さは傾斜面121c1222がローラ121c112に衝突しない十分な長さを確保されている。
一方、凹部121c122の前後方向(矢印Y方向)の幅はローラ121c112に近接する狭い幅であるため、回転ドラム110の径方向の熱膨張によってスライド部121c12が前後方向(矢印Y方向)にも移動した場合、凹部121c122の前または後の垂直面121c1221がローラ121c112に衝突することが想定される。この場合、ローラ121c112が回動するため、凹部121c122の前または後の垂直面121c1221がローラ121c112にて受け流されて矢印X方向に移動する、つまり、スライド部121c12の矢印Y方向の移動が矢印X方向への移動に変換されることとなる。
このように、緩衝部121c1によって回転ドラム110の熱膨張を吸収することができるため、回転ドラム110の熱膨張による支持部120の破損が回避される。
図12と図13に示すように、閉鎖支持板部121eは、回転ドラム110の他端側開口部を閉鎖する円形板部121e1と、円形板部121e1の外周部に沿って設けられた短筒形の外周壁部121e2とを有し、外周壁部121e2内に回転ドラム110の他端部が嵌め込まれて複数のボルトにて固定される。このとき、外周壁部121e2と回転ドラム110との間はシール材にて密閉性が確保されると共に、外周壁部121e2と回転ドラム110との間には軸受としての複数の金属製ボール121fが設けられることにより閉鎖支持板部121eに対して回転ドラム110が回転可能となる。
なお、回転ドラム110の他端部の外周面に沿って複数のボール121fが嵌め込まれる断面半円形の凹周溝が設けられており、一方、閉鎖支持板部121eの外周壁部121e2には複数のボール121fおよびグリースを凹周溝に向かって挿入可能とする複数のネジ孔および複数のネジ孔に螺着されて栓をするボルト部材121e21が設けられている。
また、閉鎖支持板部121eの円形板部121e1は、その上部に設けられて回転ドラム110内に被撹拌物を投入可能とする投入口121e11と、投入口121e11の周囲に設けられたホッパー121e12およびホッパー121e12の開閉蓋121e13と、下部に設けられて回転ドラム110内から撹拌処理後の被撹拌物を外部へ排出可能とする排出口121e14と、排出口121e14の開閉蓋121e15とを備える。なお、ホッパー121e12および排出口121e14の開閉蓋121e15には回転ドラム110の内部を目視できるように強化ガラス製のガラス窓が設けられている。
また、支持部120は、閉鎖支持板部121eの外周壁部121e2を貫通しかつ回転ドラム110の隙間部S1の内部と連通して隙間部S1内のドレンを外部に排出するドレン排出パイプ122と、閉鎖支持板部121eの円形板部121e1を貫通しかつ回転ドラム110の内筒体11の内部と連通して内筒体11内のガスを外部に排出するガス排出パイプ123と、閉鎖支持板部121eの円形板部121e1を貫通しかつ内筒体11の内部と連通して内筒体11内に水を供給する水供給パイプ124とを有する。
ドレン排出パイプ122は、閉鎖支持板部121eの外周壁部121e2の最下部を貫通して回転ドラム110の隙間部S1の内部と連通している。
ガス排出パイプ123は、閉鎖支持板部121eの円形板部121e1におけるホッパー121e12の下部を貫通しかつ円形板部121e1の内面外周部に沿って上方へ延びた位置に先端開口部123aが設けられている。
水供給パイプ124は、閉鎖支持板部121eの円形板部121e1におけるホッパー121e12の下部を貫通しかつ円形板部121e1の内面外周部に沿って上方へ延びた位置にシャワーヘッド124aが設けられている。
また、ドレン排出パイプ122は図外の水分排出手段Leと接続され、ガス排出パイプ123は図外のガス排出手段Geと接続され、水供給パイプ124は図外の水供給手段Wsと接続されている(図16参照)。
<駆動部>
駆動部130は、支持部20のベース部21aに設けられた駆動モータ31と、回転ドラム10のローテーションギア17と噛合するように駆動モータ31の出力軸に接続された変速機131と、変速機131の出力軸に固定された出力ギア32とを備え、駆動モータ31は変速機131、出力ギア32およびローテーションギア17を介して回転ドラム10を正逆回転可能に構成されている。
<ロータリージョイント部>
図10と図13と図15に示すように、ロータリージョイント部140は、回転ドラム10の軸心P上に配置されて一端部10aの軸部15と連結する回転体としてのロータリーシャフト141と、軸心P上に配置された固定体142と、ロータリーシャフト141と固定体142とを少なくとも1つのシールリングを介して軸心Pを中心とする回転方向に摺動可能とするメカニカルシール143とを有する。
ロータリーシャフト141は、回転ドラム10の軸部15の端面とシール部材を介して圧接する端面を有する円筒体であり、実施形態1と同様に回転ドラム110の軸部15に取り付けられた取付部材53(図6参照)によって軸部15の方へ押圧されて回転ドラム110と一体的に回転する。なお、実施形態2におけるロータリーシャフト141は、実施形態1におけるロータリーシャフト41の内パイプ部41aと外パイプ部41bとを一体形成した構造を有するものである。
固定体142は、ロータリーシャフト141をその一端部まで気密に覆う有底円筒形のケーシング142aを有する。
ケーシング142aは、支持部120の一端側の支柱部121bによって連結部材142bを介して支持されており、その内部のロータリーシャフト141を気密かつ回転可能に保持している。
また、ケーシング142aは、ロータリーシャフト141における連通孔141xを含む外周部分に円環状スペースS4を形成しており、円環状スペースS4とロータリーシャフト141の内部の連通流路S3とが連通孔141xを介して連通し、連通流路S3と回転ドラム110の軸部15の中心孔15aとが連通している。
また、ケーシング142aの一部には、水蒸気供給パイプ125と接続される図示しない接続口が設けられている。
また、水蒸気供給パイプ125は水蒸気供給手段Bsと接続されており、これにより水蒸気供給手段Bsから供給された水蒸気は、ロータリージョイント部140内の円環状スペースS4および連通流路S3を通って回転ドラム110の軸部15の中心孔15a内に流入し、さらに回転ドラム10の連通流路S2を通って内筒部11と外筒部12との間の隙間部S1内に流入することができる。
メカニカルシール143は、ロータリーシャフト(回転体)141の外周部に設けられたシールリングとしてのフローティングリング143aおよびリング状のシールプレート143bとを有してなり、ロータリーシャフト141とシールプレート143bとの間にフローティングリング143aが配置されている。なお、実施形態2におけるメカニカルシール143は、実施形態1におけるメカニカルシール43(図6参照)と基本的に同じ構造を備えている。
〔有機廃棄物処理装置を用いた有機廃棄物の処理方法〕
図16は実施形態2の撹拌装置による有機廃棄物の処理方法を説明する図であって、(A)は投入工程、(B)は発酵処理工程を示す。また、図17は実施形態2の撹拌装置による有機廃棄物の処理方法を説明する図であって、(A)および(B)は図7(B)の発酵処理工程の続きを示す。また、図18は実施形態2の撹拌装置による有機廃棄物の処理方法を説明する図であって、(A)は図8(B)の発酵処理工程の続きを示し、(B)は排出工程を示す。
図10~図15および図16~図18を参照しながら実施形態2の有機廃棄物処理装置(撹拌装置)101を用いた有機廃棄物の処理方法を説明する。
なお、実施形態2の有機廃棄物処理装置101を用いた有機廃棄物の処理方法は、実施形態1の有機廃棄物処理装置1を用いた有機廃棄物の処理方法と基本的に同じであるが、水の供給方向、ガスおよびドレンの排出方向、有機廃棄物の投入および排出の方法等が実施形態1とは異なる。
<投入工程>
投入工程では、図10、図12および図16(A)に示すように、ホッパー121e12の開閉蓋121e13を開いて、投入口121e11から回転ドラム110内(円筒体11内)に処理すべき有機廃棄物Owおよび有機廃棄物Owを発酵させる共生微生物を投入し、開閉蓋121e13を閉じる。
この投入工程においては、有機廃棄物処理装置101の支持部120の4箇所に設けられたロードセル121b2、121c2にて回転ドラム110内に投入された有機廃棄物Owの重量を測定することができるため、作業者は発酵処理に適した重量分が投入されるよう有機廃棄物Owの投入量を調整する。
<発酵処理工程>
〔1〕発酵処理工程では、まず、水供給手段Wsから供給した水Wを水供給パイプ124を介して回転ドラム110の内筒体11内へ導入する(図16(A))。これにより、回転ドラム110内の有機廃棄物Ow上に水が散布され、発酵処理工程の初期段階において有機廃棄物Owの水分量が発酵に適した量に調整される。
〔2〕ガス排出手段Geを駆動し、回転ドラム110内の空気Aをガス排出パイプ123を介して外部に排出し、発酵処理工程中は回転ドラム110内の気圧が所定圧力に維持されるよう減圧調整する(図16(B))。回転ドラム10内を減圧することにより、微生物による有機廃棄物Owの発酵が促進される。
〔3〕水蒸気供給手段Bsから供給した水蒸気Wvを水蒸気供給パイプ125、ロータリージョイント部140の円環状スペースS4、連通流路S3および回転ドラム110の連通流路S2を介して回転ドラム110の内筒体11の外周の隙間部S1内へ導入する(図16(B))。これにより、発酵処理工程中は回転ドラム10内の温度が有機廃棄物Owの発酵に適した温度に調整される。
発酵処理工程においては、前記〔1〕~〔3〕のように発酵処理条件を調整しながら、駆動部130を駆動して回転ドラム110を軸心Pを中心に所定時間回転させる。
また、発酵処理工程においては、回転ドラム110の隙間部S1内に供給した水蒸気が凝縮したドレンDが隙間部S1の下部に溜まるため、水分排出手段Leを駆動し、隙間部S1のドレンDをドレン排出122を介して外部に排出する。なお、発酵処理中の有機廃棄物Owから余分な水分等の液体が出ても隙間部S1側へ落下して外部へ排出される、あるいは内筒体11への加熱によりスチームとなって外部へ排出される。
また、発酵処理工程において、回転ドラム110が軸心方向および径方向に熱膨張すると、この熱膨張が支持部120の他端側(投入口121e11側)に設けた前後一対の緩衝部121c1によって吸収されるため、回転ドラム110を支持する軸受部121dおよび支持部120等の破損が回避される。
なお、実施形態2の場合も、回転ドラム110の回転と停止、回転速度および回転時間、水分供給、水蒸気供給、ガス排出、水分排出等の動作制御は、オペレーターによって図示しないオペレーションボックスを操作して行われる。また、オペレーションボックスは、オペレーターが運転開始ボタンを押すと予め設定入力された発酵処理条件に自動的に調整しながら回転ドラムを回転させて発酵処理を完了させるように構成されてもよい。
図13と図16(B)に示すように、発酵処理工程の初期段階において、回転ドラム110が回転することにより、回転ドラム110内の有機廃棄物Owは正回転方向(矢印J方向)に持ち上げられ、ある程度の高さまで持ち上げられると落下し、これを繰り返すことにより撹拌される。この際、内筒体11の内面に設けられた複数のミキシングプレート11aによって、有機廃棄物Owが内筒体11の内面を滑らずにある程度の高さまで持ち上げられる。
また、内筒体11の内面に設けられた複数のリードプレート11bによって、有機廃棄物Owは撹拌されながら回転ドラム110の他端部10b側から一端部10a側へゆっくりと移動していく。
そして、図17(A)に示すように、有機廃棄物Owが撹拌されながら回転ドラム10の一端部10a側へ移動したところで、駆動部130の制動可能な変速機131に直結された駆動モータ31の制御により回転ドラム110の回転を停止させる。
その後、図17(B)に示すように、駆動部130を再び駆動して回転ドラム110を逆方向(矢印K方向)に回転させて、回転ドラム110内の有機廃棄物Owを撹拌しながら他端部10b側へゆっくり移動させる。
そして、図18(A)に示すように、有機廃棄物Owが撹拌されながら回転ドラム10の他端部10b側へ移動したところで、回転ドラム110の回転を停止させる。これにより1ストロークの発酵処理動作が完了する。なお、有機廃棄物Owが所望の粉末状態(発酵度合い)となるまで発酵処理動作が2ストローク以上行われる。
<排出工程>
回転ドラム110の他端部10b側へ移動した有機廃棄物Owが所望の粉末または団粒状態となった発酵物Ofであれば、図13および図18(B)に示すように、開閉蓋121e15を開いて、排出口121e14から回転ドラム110内の発酵物Ofを外部へ排出する。この際、回転ドラム110を矢印K方向(図17(B)参照)に逆回転させて有機廃棄物Ofを排出口121e14の方へ移動させてもよく、これにより有機廃棄物Ofの排出を容易かつ効率よく行うことができる。
(実施形態3)
図19は実施形態3の撹拌装置の概略構造を示す説明図である。なお、図19において、図1~図18中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
実施形態3の有機廃棄物処理装置(撹拌装置)は、回転ドラム210の一端部の軸部215aを中実に形成した点、軸部215aを軸受にて回転可能に支持する点、回転ドラム210の他端側から水蒸気を供給する点、および支持部220の一端側の支持部221bに前後一対の緩衝部121c1を設けた点が実施形態2の有機廃棄物処理装置(撹拌装置)とは異なり、その他の構成は概ね実施形態2と同様である。以下、実施形態3における実施形態2とは異なる点を主に説明する。
図19に示すように、実施形態3の有機廃棄物処理装置201において、回転ドラム210の一端側の閉鎖板213には中実の軸部215aが設けられており、この軸部215aは軸受部121dを介して支持部220の一端側の門形の支柱部121b上に回転可能に支持されている。したがって、回転ドラム210の一端側にはロータリージョイントおよび水蒸気供給パイプが設けられていない。
また、支持部220のベース部21aと門形の支柱部121bの前後一対の柱部121b1との間には前後一対の緩衝部121c1が設けられている。
各緩衝部121c1において、その受台部121c11はベース部21a上に固定され、受台部121c11上にスライド可能に設けられたスライド部121c12上に柱部121b1が固定されている。なお、前後一対の柱部121b1と梁部121b3との間には重量測定部としてのロードセル121b2が設けられている。
一方、支持部220の他端側の前後一対の支柱部121cとベース部21aとの間にはロードセル121c2が設けられるが、緩衝部121c1は省略される。
また、実施形態3では、水蒸気供給手段Bsと接続された水蒸気供給パイプ125が、支持部220の閉鎖支持板部121eを気密に貫通して回転ドラム210の内筒体11と外筒体12との間の隙間部S1と連通し、この隙間部S1内に投入口121e11側から水蒸気を供給するようにしている。
このように構成された実施形態3の有機廃棄物処理装置201も、実施形態2と同様に、有機廃棄物を発酵処理することができる。
なお、実施形態3において、水供給手段Wsとガス排出手段Geとは、実施形態1と同様に、回転ドラム210の内筒体11内に連通する同一のパイプに切換弁V(図7参照)を介して接続されてもよい。
(実施形態4)
実施形態4の撹拌装置は、実施形態1の撹拌装置1におけるロータリージョイント部40が異なる以外は、実施形態1と同様である。
実施形態4の場合、実施形態1のロータリージョイント部40におけるメカニカルシール43のフローティングリング43aが省略される。
さらにこの場合、ロータリーシャフト41の外パイプ部41bの摺接面41b1と摺接するシールプレート43bの摺接面43b1が逆テーパ状に形成されるか、あるいはシールプレート43bの摺接面43b1と摺接するロータリーシャフト41の外パイプ部41bの摺接面41b1が軸心Pと垂直状に形成される。
このように、メカニカルシールは1つのシールリングから構成されてもよい。
なお、実施形態2についても実施形態4の構成を採用することができる。
(実施形態5)
実施形態5の撹拌装置は、実施形態1の撹拌装置1における回転ドラム10が異なる以外は、実施形態1と同様である。
実施形態3の場合、実施形態1の回転ドラム10(図1参照)における複数のミキシングプレート11aが省略されると共に、複数のリードプレート11bの長手方向の両端部に軸心P方向と略平行な屈曲片部が相互に逆向きに設けられてリードプレートの形状が略Z形に変更される。
この略Z形のリードプレートによれば、回転する回転ドラム内の有機廃棄物をある程度の高さまで持ち上げて落下させ、かつ進行方向に移動させることができる。
なお、実施形態2および3についても実施形態5の構成を採用することができる。
(実施形態6)
撹拌装置における回転ドラムのサイズが小さい場合、例えば、回転ドラムの直径が1m以下、長さが1.5m以下の場合、実施形態1~3における複数のリードプレート11bを省略してもよい。また、この場合、回転ドラムを駆動部にて一方向にのみ回転させるようにしてもよい。
(他の実施形態)
本発明の撹拌装置は、回転ドラム内への流体の供給(蒸気、水等)および回転ドラム内からの流体(ドレン、空気等)の排出を伴わない構成であってもよい。
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
10、110、210 回転ドラム
10a 一端部
11 内筒体
11a ミキシングプレート
11b リードプレート
12 外筒体
13、14 閉鎖板
14a 開閉蓋
20、120、220 支持部
30、130 駆動部
40、140 ロータリージョイント部
41、141 ロータリーシャフト(回転体)
42、142 固定体
42b 接続部
42b1 メインパイプ
42b2 第1サブパイプ
42b3 第2サブパイプ
42bs1 下部空間
42bs2 上部空間
43、143 メカニカルシール
43a、143a フローティングリング(シールリング)
43b、143b シールプレート(シールリング)
71 第1接続パイプ
72 第2接続パイプ
73 第3接続パイプ
Of 発酵物
Ow 有機廃棄物(被撹拌物)
P 軸心
1 隙間部
2、S3 連通流路
4 円環状スペース
Wv 水蒸気

Claims (11)

  1. 有機廃棄物および有機廃棄物発酵用の微生物を収容可能な筒形の回転ドラムと、前記回転ドラムの軸心を中心として回転可能にかつ前記回転ドラムを密閉状態で支持する支持部と、前記微生物の発酵に適した水分量となるように前記回転ドラムの内部に水を導入する水供給手段と、前記微生物の発酵に適した圧力となるように前記回転ドラムの内部のガスを排出し大気圧よりも低い圧力に内部を減圧調整するガス排出手段と、前記微生物の発酵に適した温度となるように水蒸気により前記回転ドラムの内部を加熱する水蒸気供給手段と、前記回転ドラムを回転させる駆動部とを備え、
    前記回転ドラムが、前記有機廃棄物を撹拌可能な複数の突起を内周面に有していることを特徴とする有機廃棄物処理用の撹拌装置。
  2. 記回転ドラムは、内筒体と、前記内筒体との間に隙間部をもって設けられた外筒体とを有し、
    前記水蒸気供給手段からの前記水蒸気を前記隙間部内に供給して前記内筒体に収容された有機廃棄物および有機廃棄物発酵用の微生物を加熱する請求項1に記載の撹拌装置。
  3. 前記回転ドラムの前記軸心の方向の一端部に連結されたロータリージョイント部をさらに備え、
    前記水供給手段は、前記ロータリージョイント部を通して前記回転ドラムの内部に水を導入し、
    前記ガス排出手段は、前記ロータリージョイント部を通して前記回転ドラムの内部のガスを排出し、
    前記水蒸気供給手段は、前記ロータリージョイント部を通して前記回転ドラムの内部に水蒸気を供給する請求項2に記載の撹拌装置。
  4. 前記回転ドラムは、前記軸心の方向の一端が閉鎖され、前記軸心の方向の他端に他端開口部を有し、
    前記支持部は、筒形の外周壁部を含む閉鎖支持板部を有し、
    前記回転ドラムの前記他端開口部が前記外周壁部に嵌まり前記閉鎖支持板部に回転可能に支持されて閉鎖されている請求項1または2に記載の撹拌装置。
  5. 前記回転ドラムの前記他端開口部と前記閉鎖支持板部の前記外周壁部との間がシール材で密閉されている、請求項4に記載の撹拌装置。
  6. 前記閉鎖支持板部は、その上部に設けられて前記回転ドラム内に前記有機廃棄物を投入可能とする蓋付き投入口と下部に設けられて前記回転ドラム内から撹拌処理後の被撹拌物を外部へ排出可能とする蓋付き排出口とを備える請求項4に記載の撹拌装置。
  7. 前記回転ドラムにおける前記軸心の方向の一端部に連結されたロータリージョイント部をさらに備え、
    前記水供給手段は、前記閉鎖支持板部を通して前記回転ドラムの内部に水を供給し、
    前記ガス排出手段は、前記閉鎖支持板部を通して前記回転ドラムの内部のガスを外部に排出し、
    前記水蒸気供給手段は、前記ロータリージョイント部を通して前記回転ドラムの内部に水蒸気を供給する請求項4に記載の撹拌装置。
  8. 前記水供給手段は、前記閉鎖支持板部を通して前記回転ドラムの内部に水を供給し、
    前記ガス排出手段は、前記閉鎖支持板部を通して前記回転ドラムの内部のガスを外部に排出し、
    前記水蒸気供給手段は、前記閉鎖支持板部を通して前記回転ドラムの内部に水蒸気を供給する請求項4に記載の撹拌装置。
  9. 被撹拌物を撹拌可能な複数の突起を内周面に有する回転ドラム内に被撹拌物としての有機廃棄物と、有機廃棄物発酵用の微生物とを投入する投入工程と、
    密閉状態の前記回転ドラムを回転し、かつ前記微生物の発酵に適した水分量となるように前記回転ドラム内に水を供給し、かつ前記微生物の発酵に適した圧力となるように前記回転ドラムの内部のガスを排出し大気圧よりも低い圧力に内部を減圧し、かつ前記微生物の発酵に適した温度となるように前記回転ドラムの内部を水蒸気により加熱させて、前記回転ドラム内の前記有機廃棄物を前記微生物にて発酵させる発酵処理工程と、
    前記回転ドラムの回転を停止し、前記回転ドラム内から前記有機廃棄物の発酵物を排出する排出工程とを含む有機廃棄物由来の発酵物の製造方法。
  10. 被撹拌物を撹拌可能な複数の突起を内周面に有する回転ドラム内に被撹拌物としての有機廃棄物と、有機廃棄物発酵用の微生物とを投入する投入工程と、
    密閉状態の前記回転ドラムを回転し、かつ前記微生物の発酵に適した水分量となるように前記回転ドラム内に水を供給し、かつ前記微生物の発酵に適した圧力となるように前記回転ドラムの内部のガスを排出し大気圧よりも低い圧力に内部を減圧し、かつ前記微生物の発酵に適した温度となるように前記回転ドラムの内部を水蒸気により加熱させて、前記回転ドラム内の前記有機廃棄物を前記微生物にて発酵させる発酵処理工程と、
    前記回転ドラムの回転を停止し、前記回転ドラム内から前記有機廃棄物の発酵物としての肥料を排出する排出工程とを含む有機廃棄物由来の肥料の製造方法。
  11. 被撹拌物を撹拌可能な複数の突起を内周面に有する回転ドラム内に被撹拌物としての有機廃棄物と、有機廃棄物発酵用の微生物とを投入する投入工程と、
    密閉状態の前記回転ドラムを回転し、かつ前記微生物の発酵に適した水分量となるように前記回転ドラム内に水を供給し、かつ前記微生物の発酵に適した圧力となるように前記回転ドラムの内部のガスを排出し大気圧よりも低い圧力に内部を減圧し、かつ前記微生物の発酵に適した温度となるように前記回転ドラムの内部を水蒸気により加熱させて、前記回転ドラム内の前記有機廃棄物を前記微生物にて発酵させる発酵処理工程と、
    前記回転ドラムの回転を停止し、前記回転ドラム内から前記有機廃棄物の発酵物としての飼料を排出する排出工程とを含む有機廃棄物由来の飼料の製造方法。
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