JP2002096569A - 平版印刷版用支持体 - Google Patents

平版印刷版用支持体

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JP2002096569A
JP2002096569A JP2000285886A JP2000285886A JP2002096569A JP 2002096569 A JP2002096569 A JP 2002096569A JP 2000285886 A JP2000285886 A JP 2000285886A JP 2000285886 A JP2000285886 A JP 2000285886A JP 2002096569 A JP2002096569 A JP 2002096569A
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alloy plate
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JP2000285886A
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Masahiro Endo
雅弘 遠藤
Hirokazu Sawada
宏和 澤田
Akio Uesugi
彰男 上杉
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 過剰にアルミニウム合金板表面を研磨するこ
となく高い得率を維持し、ラインスポット故障を発生さ
せない平版印刷版用支持体を提供する。 【解決手段】 アルミニウム合金板12に、少なくと
も、機械的粗面化処理、エッチング処理、電気化学的粗
面化処理、デスマット処理、陽極酸化処理が、順次施さ
れた平版印刷版用支持体であって、機械的粗面化処理
が、不織布に研磨材を担持させた不織布ローラー14に
よりアルミニウム合金板12の表面を粗面化する処理で
あり、平版印刷版用支持体の表面に露出しているCuの
存在率が、5.0mm2/m2以下であることを特徴とす
る平版印刷版用支持体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷版用支持体
に関し、特に、一連の粗面化処理後の砂目立て性および
製造得率に優れた平版印刷版用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版用支持体の支持体基板である
アルミニウム板あるいはアルミニウム合金板(以下、こ
れらを「アルミニウム合金板」と総称する)は、その表
面に砂目と称する微細な凸凹を形成させる粗面化処理を
施すことにより、平版印刷版用支持体の保水性および平
版印刷版用支持体と感光層との密着性を向上させてい
る。
【0003】現在、アルミニウム合金板の粗面化を行な
うために一般に行なわれている研磨方法(粗面化方法)
としては、ローラ状ブラシを用いた機械的粗面化処理、
電解液中で電気分解を行なう電気化学的粗面化処理、薬
液中に浸漬する化学的粗面化処理がある。
【0004】しかし、局所的にCuの偏析部がアルミニ
ウム合金板表面に存在すると、機械的粗面化処理、電気
化学的粗面化処理、化学的粗面化処理を行っても、Cu
の偏析部への均一な粗面化処理が施されず、外観不良や
Cuの偏析部における印刷性能が低下するという不具合
(ラインスポット故障)が生じることがあった。
【0005】Cuの偏析部が形成される原因としてはい
くつか考えられるが、例えば、アルミニウム合金板を製
造する際に施される圧延処理中に、Cuを含む異物が巻
き込まれて、アルミニウム合金板表面に形成されること
がある。この場合は、アルミニウム合金板中のCu含有
量に関わらず、Cuの偏析部が形成される。
【0006】Cu偏析部の存在により発生するラインス
ポット故障は、特願平11−066821号に記載の条
件でアルミニウム合金板表面を十分に研磨することで解
消されるが、必要以上に研磨すると、板厚が薄くなりす
ぎて得率が低下してしまうといった問題があった。ま
た、アルミニウム合金板からなるアルミニウムコイルの
ロットによってCuの混入程度もばらつくため、最適な
予備研磨条件を設定することが難しかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上から、本発明の目
的は、過剰にアルミニウム合金板表面を研磨することな
く高い得率を維持し、ラインスポット故障を発生させな
い平版印刷版用支持体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく鋭
意研究の結果、本発明者らは、不織布に研磨材を担持さ
せた不織布ローラーにより、アルミニウム合金板の表面
を粗面化する機械的粗面化処理を施した後、種々の粗面
化処理等を施すと、ラインスポット故障を発生させず、
高い得率を維持した平版印刷版用支持体が得られること
を見出し、本発明に想到した。すなわち、本発明は、
【0009】アルミニウム合金板に、少なくとも、機械
的粗面化処理、エッチング処理、電気化学的粗面化処
理、デスマット処理、陽極酸化処理が、順次施された平
版印刷版用支持体であって、前記機械的粗面化処理が、
不織布に研磨材を担持させた不織布ローラーによりアル
ミニウム合金板の表面を粗面化する処理であり、前記平
版印刷版用支持体の表面に露出しているCuの存在率
が、5.0mm2/m2以下であることを特徴とする平版
印刷版用支持体である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の平版印刷版用支持体は、
アルミニウム合金板に、少なくとも、機械的粗面化処理
と、エッチング処理と、アルミニウム合金板に存在する
スマットおよび金属間化合物を除去するデスマット処理
と、デスマット処理されたアルミニウム合金板に陽極酸
化処理を行う陽極酸化処理と、を順次施して製造され
る。実際には、ウエブ状のアルミニウム合金板(以下、
単に「アルミニウム合金板」という)が準備され、連続
的に各処理が施されたものがコイル状に巻き取られ、平
板印刷版用支持体が製造される。以下、上記各処理につ
いて説明する。
【0011】<1.機械的粗面化処理>アルミニウム合
金板の表面は、不織布に研磨材を担持させた不織布ロー
ラーにより機械的粗面化処理が施される。前記不織布ロ
ーラは、例えば、図1に示すような粗面化処理装置10
に組み込まれている。そして、該粗面化処理装置10に
より、アルミニウム合金板表面に機械的粗面化処理を施
すのが好ましい。
【0012】ここで、図1に示す粗面化処理装置10に
ついて説明する。粗面化処理装置10は、主として、不
織布ローラ14と、一対の支持ローラ16a、16bと
からなる。不織布ローラ14と、一対の支持ローラ16
a、16bとは対向して配置されており、不織布ローラ
14と、一対の支持ローラ16a、16bとの間隙に、
支持ローラ16aから支持ローラ16b方向へ、アルミ
ニウム合金板12が挿通される。
【0013】この他、粗面化する際の研磨量を調整する
進退装置18と、アルミニウム合金板12を巻き取るた
めの巻取装置30と、その巻取速度を調整して、アルミ
ニウム合金板12の移動速度を調整する移動速度調整手
段(図示せず)と、不織布ローラ14の表面に給水する
給水装置20a、20bと、が設けられている。
【0014】不織布ローラ14は、回転軸22に嵌入固
定された円筒状の芯部材24の周面に不織布26が設け
られた構成となっている。回転速度の調整可能なモータ
32に連結された回転軸22により、不織布ローラ14
が矢印C方向に回転駆動されるのが好ましい。不織布ロ
ーラ14の不織布26は、各種の不織布を使用すること
が可能で、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ナイロ
ン、レーヨン等の材質からなるのものを使用することが
できる。また、不織布26を設けて不織布ローラ14と
した状態での表面硬度が20度以上のものが好ましい。
この不織布26には、平均粒径が1〜100μmの研磨
材が担持されており、該研磨材としては金剛砂、珪砂、
アルミナ粉、炭化珪素等が使用される。また、不織布2
6の厚さD2は、20〜70mmとするのが好ましい。
【0015】不織布ローラ14は、進退装置18によ
り、矢印A方向またはB方向に100mm程度上下動さ
せることができ、これにより、一対の支持ローラ16
a、16bの間にアルミニウム合金板12を押込ませる
ことができる。このように、不織布ローラ14をアルミ
ニウム合金板12に面接触させた状態として、機械的粗
面化処理が施される。また、この押込み量を変えること
で、研磨圧力を制御して研磨量が調整される。好ましい
研磨圧力は100〜150Nである。
【0016】アルミニウム合金板12を支持する一対の
支持ローラ16aおよび16bは、円筒状の硬質ゴムあ
るいは金属筒からなり、回転軸28aおよび28bにそ
れぞれ嵌入固定されている。また、一対の支持ローラ1
6a、16bの離間距離(L)は、前記不織布ローラ1
4の直径(D1)よりも短くなるように設定されるのが
好ましい。この一対の支持ローラ16a、16bは、ア
ルミニウム合金板12の移動速度と同速度で回転する。
【0017】給水装置20aおよび20bは、アルミニ
ウム合金板12が不織布ローラ14と接触する直前およ
び直後に設けられている。給水装置20aは研磨時の発
熱防止および研磨効率の向上のために設けられるもの
で、該給水装置20aから供給される水は、移動するア
ルミニウム合金板12に直接供給してもよいが、給水管
理の面や不織布ローラ14の保水性等を考慮すると、不
織布ローラ14に供給して間接的にアルミニウム合金板
12の表面に供給するのが好ましい。また給水装置20
bは、研磨時に発生する研磨カスが不織布ローラ14に
付着しない様に設けられるもので、給水装置20bから
供給される水は、不織布ローラ14に供給されるのが好
ましい。
【0018】実際的には、アルミニウム合金板12が、
図示しない巻きほぐし装置から導かれて不織布ローラ1
4と一対の支持ローラ16a、16bとの間隙に挿通さ
れ、不織布ローラ14と面接触することにより、機械的
粗面化処理が施され、巻取装置30により巻き取られ
る。巻取装置30によりアルミニウム合金板12を巻き
取る力がかけられることで、アルミニウム合金板12が
巻きほぐし装置から巻取装置30へ移動する。巻取装置
30の巻取速度を調整することにより、アルミニウム合
金板12の移動速度が調整される。
【0019】上記の如く構成したアルミニウム合金板の
粗面化処理装置10を使用して機械的粗面化処理を行う
には、以下に示す研磨材条件式を満足するように、不織
布ローラ14の回転周速度V1(m/分)、アルミニウ
ム合金板12の移動速度V2(m/分)、不織布ローラ
14に担持した研磨材を円相当直径で表した際の平均粒
径D(μm)、アルミニウム合金板12の研磨量X(μ
m)、を設定するのが好ましい。 5≦D×V1×X/V2≦20000(研磨材条件式)
【0020】即ち、不織布ローラ14の回転周速度V1
はモータ32の回転数を調整することより、アルミニウ
ム合金板12の移動速度V2は巻取装置30の巻取速度
を調整することにより、予備研磨量Xは、進退装置18
の押し込み量を調整することにより制御するのが好まし
い。また、研磨材は、円相当直径で表した際の平均粒径
(粒度分布の累積高さ50%点の粒子径)Dを1〜10
0μmの範囲内として、予め不織布26に担持させてお
くのが好ましい。
【0021】不織布に研磨材を担持させるには、接着用
樹脂(フェノール樹脂等)を用いて行うのが好ましい。
具体的に説明すると、接着用樹脂液に研磨剤を入れた液
の中に、不織布シートをディップさせ、その後、ニップ
ローラでしぼる、浸漬法を用いて行うのが好ましい。ま
た、スプレー方式で不織布シートに、フェノール樹脂と
研磨剤との混合液を吹き付ける等の方法でもよい。
【0022】予備研磨条件式を満足させるには、V1
2、DおよびXの全てを変えて調整する方法がある
が、変数が多すぎて複雑になってしまう。従って、
1、V2、DおよびXのうち、例えば、DおよびXを固
定しておき、このときに予備研磨条件式を満足するよう
にV1およびV2を変更(制御)してもよい。更には、V
1、V2、DおよびXのうち、例えば、D、X、V2を固
定しておき、このときに予備研磨条件式を満足するよう
にV1を変更(制御)してもよい。
【0023】このようにして、アルミニウム合金板表面
に機械的粗面化処理を行えば、アルミニウム合金板12
の表層部に偏析しているCu,Fe等の不純物を効率良
く除去できるので、エッチング処理等で不純物に起因し
て生じる砂目立て性不良を防止できる。また、平版印刷
版用支持体表面に発生するCu偏析部が少なくなるた
め、ラインスポット故障の発生を防止することができ
る。
【0024】<2.エッチング処理>機械的粗面処理が
施されたアルミニウム合金板は、表面の凹凸形状をなだ
らかにするとともに、表面に残った研磨材粒子を除去す
るためにアルカリによるエッチング処理(以下、アルカ
リエッチング処理ということがある)される。このとき
用いるアルカリ剤としては、苛性ソーダ、苛性カリ、メ
タ珪酸ソーダ,炭酸ソーダ,アルミン酸ソーダ,グルコ
ン酸ソーダ等が好適に挙げられる。該アルカリ剤の濃度
としては、0.01〜20重量%が好ましく、処理温度
としては、生産性を高める観点から60〜80℃が好ま
しい。またpHは10以上とするのが好ましい。
【0025】アルミニウム合金板のエッチング量として
は、0.1〜15g/m2が好ましい。また、処理時間
は、エッチング量に対応して2秒〜5分とするのが好ま
しく、生産性向上のためには2〜10秒とするのがより
好ましい。
【0026】アルカリエッチング処理を行った場合は、
アルミニウム合金板表面にアルカリに不溶な物質(スマ
ット)が残存するので、これを除去するために硝酸等に
よるデスマット処理を行ってもよい。
【0027】かかる硝酸等によるデスマット処理を行
い、電気化学的粗面化処理を行った後、さらに後述する
デスマット処理において、酸性溶液を用いた酸処理を行
うことにより、次工程の陽極酸化処理では、良好な陽極
酸化被膜が均一に形成され、耐過酷インキ汚れ性の優れ
た平板印刷版用支持体を製造することができる。
【0028】<3.電気化学的粗面化処理>近年、アル
ミニウム合金板から平版印刷版用支持体を製造する製造
工程では、平版印刷版に形成される画像部における感光
層と、アルミニウム合金板表面と、の密着性を向上させ
たり、また非画像部における保水性を向上させるため
に、アルミニウム合金板に対し、電気化学的粗面化処理
を施すことが多い。この電気化学的粗面化処理は、前述
の機械的粗面化処理で得られたアルミニウム合金板の表
面に重畳して行うことも、あるいはアルミニウム合金板
の表面に機械的粗面化処理とエッチング処理とを行った
後に行うこともできる。
【0029】電気化学的粗面化処理は、塩酸又は硝酸等
を主体とする電解液中で交流電流を電解電流としてエッ
チングすることにより行われる。交流電解電流の周波数
としては0.1〜100Hzが好ましく、10〜60H
zがより好ましい。電解液としては、塩酸および硝酸の
何れを主体とする場合も、液濃度を3〜150g/リッ
トルとするのが好ましく、5〜50g/リットルとする
のがより好ましい。
【0030】ここで、「主体とする」とは、酸またはア
ルカリ溶液において、酸またはアルカリが、酸性または
アルカリ成分全体に対して、30重量%以上、好ましく
は、50重量%以上含まれていることをいう。
【0031】電気化学的粗面化処理の際、電解槽内での
アルミニウムの溶解量としては、50g/リットル以下
が好ましく、2〜20g/リットルがより好ましい。必
要に応じて各種の添加剤を電解液へ添加してもよいが、
このような添加剤は、アルミニウム合金板を大量生産す
る場合には、電解液の液濃度制御等を難しくするため、
適宜選択する必要がある。
【0032】また、電流密度としては、5〜100A/
dm2が好ましく、10〜80A/dm2がより好まし
い。さらに、電解電流の波形としては、要求される品
質、使用されるアルミニウム合金板の成分等によって適
宜選択されるが、特公昭56−19280号公報、特公
昭55−19191号公報に開示されている特殊交流波
形を用いることが好ましい。このような電解電流の波形
や電解液の条件は、アルミニウム合金板の単位面積当た
りの供給電気量とともに、要求される品質、使用される
アルミニウム合金板の成分等に応じて適宜選択される。
【0033】<4.デスマット処理>上記のようにして
電気化学的粗面化処理されたアルミニウム合金板表面に
は、スマットや金属間化合物が存在する。そこで、該ス
マットや金属間化合物を除去するため、アルカリ溶液
によるアルカリ処理と、酸性溶液による酸処理と、の
2段階のデスマット処理を行う。以下、該2段階のデス
マット処理について説明する。
【0034】(アルカリ処理)まず、粗面化処理され
たアルミニウム合金板について、アルカリ溶液によるア
ルカリ処理を施すのが好ましい。該アルカリ処理によっ
て、アルミニウム合金板表面のスマットが溶解、除去さ
れるとともに、電気化学的粗面化処理で表面に生じた凹
凸の一部も溶解され、アルミニウム合金板表面の形を整
えることができる。
【0035】アルカリ溶液としては、苛性ソーダ等各種
のものが挙げられるが、pHが10以上で、液温が25
〜80℃、好ましくは40〜70℃であるアルカリ溶液
により、アルミニウム合金板をアルカリ処理するのが好
ましい。アルカリ処理には、浸漬方式、スプレー方式、
あるいは溶液をアルミニウム合金板へ塗布する方法等を
採用することができる。
【0036】(酸処理)アルカリ処理されたアルミニ
ウム合金板について、酸性溶液による酸処理を施すのが
好ましい。酸性溶液としては、硫酸を主体とするものが
好ましい。
【0037】酸性溶液について、液濃度(酸として硫酸
を使用する場合は、中和滴定で測定した硫酸の濃度)と
しては170〜800g/リットルが好ましい。液濃度
が170g/リットルより低いと、スマットについては
除去できるものの、金属間化合物ついては十分な除去効
果が得られない。より好ましい液濃度は300〜800
g/リットルである。酸処理には、浸漬方式、スプレー
方式、溶液をアルミニウム合金板へ塗布する方法等を採
用することができる。
【0038】<5.陽極酸化処理>デスマット処理が施
されたアルミニウム合金板について、次に、陽極酸化処
理が施される。陽極酸化処理により、アルミニウム合金
板の表層部に陽極酸化被膜が形成される。このとき、形
成される陽極酸化被膜の量としては、0.1〜10g/
2が好ましく、0.3〜5g/m2がより好ましい。
【0039】また陽極酸化処理の条件は、使用される電
解液によって設定を変更する必要があるので一概には決
定されないが、一般的には、電解液の濃度(酸濃度)は
1〜80wt%、液温は5〜70℃、電流密度は0.5
〜60A/dm2、電圧は1〜100V、電解時間は1
秒〜5分の範囲内でそれぞれ設定されるのが好ましい。
【0040】以上の各処理が施されて平版印刷版用支持
体が製造される。本発明の平版印刷版用支持体は、この
ようにして製造されたものであり、その表面に露出して
いるCuの存在率が、5.0mm2/m2以下となってい
る。Cuの存在率がこのように低い値となっているの
で、Cuの偏析部が少なくなり、ラインスポット故障の
発生を抑制することができる。
【0041】ここで、「Cuの存在率」とは、平版印刷
版用支持体の粗面化処理を施す面の1m2あたり存在す
るCu結晶の露出面積をいい、具体的には、目視検査お
よび/または走査型電子顕微鏡(200倍)により50
ヶ所について、1000μm×1000μmの範囲で、
観察を行い、各々の範囲におけるCuの露出面積の合計
を求め、平版印刷版用支持体の粗面化処理を施す面の1
2あたりに換算し、これらの平均値から求めるのが好
ましい。なお、Cuの露出面積は、圧延方向に平行な線
分(長軸)の長さXと、圧延方向に垂直な線分(短軸)
の長さYとを測定し、両者の積を2で割った値、即ち、
X×Y÷2、から求めるのが好ましい。
【0042】また、平版印刷版用支持体の表面に形成さ
れている陽極酸化被膜は、それ自体安定で十分高い親水
性を有していることから、その陽極酸化被膜表面には、
直ちに感光性材料を塗布して感光層を形成することも可
能であり、また必要に応じて表面処理を施すこともでき
る。該表面処理としては、例えば、アルミニウム合金板
の表面にアルカリ金属珪酸塩によるシリケート層、ある
いは、親水性高分子化合物等よりなる下塗層を設けるこ
と等が挙げられる。このときシリケート層、あるいは、
下塗層の塗布量としては、1〜150mg/m2とする
のが好ましい。
【0043】このようにして必要に応じてシリケート
層、あるいは、下塗層が設けられた平版印刷版用支持体
表面に感光層を設けて、平版印刷版原版が製造される。
また、感光層にマット層を塗布等により設けてもよい。
このようにして得られた平版印刷版原版は、画像露光、
現像等の工程を経て平版印刷版とされ、印刷機にセット
される。
【0044】
【実施例】本発明を以下の実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
【0045】(実施例1)図1に示す粗面化処理装置を
使用して、JIS1050材組成のアルミニウム合金板
(厚さ0.24mm、幅800mm)に、機械的粗面化
処理(研磨処理)を行った。研磨条件および装置の具体
的な構成については、特願平11−66821号の実施
例2と同様であるが、具体的には以下の通りである。
【0046】不織布の材質:ナイロン、 研磨材の材質:SiC、 不織布ローラの表面硬度:40度、 不織布ロールの直径:370mm、 不織布のロール番手:#2000、 不織布ロールの全長:1550m、 研磨圧力:132.3N(13.5kW)、 研磨材条件式(D×V1×X/V2):150 (D(研磨材の平均粒径)=10μm、X(研磨量)=
0.3μm、V1(不織布ローラの回転周速度)=10
00m/分、V2(アルミニウム合金板の移動速度)=
20m/分)
【0047】アルミニウム合金板の溶解量が1.0g/
2となるように25wt%苛性ソーダ溶液でエッチン
グ処理を施し、その後、水洗を行って、硝酸濃度9g/
リットル、アルミニウムイオン濃度4g/リットルの硝
酸溶液でデスマット処理を行ッた。その後、特開平3−
79799号公報に記載の電源波形で、硝酸濃度9g/
リットル、アルミニウムイオン濃度4g/リットルの硝
酸溶液を電解液とし、電解温度を50℃、電流密度を1
30c/m2として電気化学的粗面処理を行った。水洗
後、デスマット処理として、まず、アルカリ処理を行っ
た。アルカリ処理に使用した苛性ソーダの濃度は、エッ
チング処理と同じとし、処理温度は40℃、処理時間は
10秒、エッチング量(溶解量)は0.8g/m2とし
た。
【0048】水洗後、濃度120g/リットルの硫酸を
使用して酸処理を行った。処理温度は45℃、処理時間
は10秒とした。次に、濃度120g/リットルの硫酸
を電解液とし、電解温度を45℃として、酸化被膜量が
2.5g/m2となるように陽極酸化処理を行った。上
記各処理を施してアルミニウム合金板(平版印刷版用支
持体)からなるアルミニウムコイル(6000m/本)
a〜eを作製した。
【0049】(比較例1)機械的粗面化処理を行わなか
った以外は、実施例1と同様にしてアルミニウム合金板
からなるアルミニウムコイル(6000m/本)a’〜
e’を作製した。
【0050】実施例1および比較例1で得られたそれぞ
れのアルミニウムコイルについて、表面に存在するCu
の存在率と、外観(ラインスポット故障)と、アルミニ
ウムコイルの得率と、を以下に示す方法で評価した。結
果を表1に示す。
【0051】Cuの存在率:Cuの存在率は、走査型電
子顕微鏡(200倍)により50ヶ所について、100
0μm×1000μmの範囲で、観察を行い、各々の範
囲におけるCuの露出面積の合計を求め、アルミニウム
コイルの粗面化処理を施す面の1m2あたりに換算し、
これらの平均を求めて評価した。なお、Cuの露出面積
は、圧延方向に平行な線分(長軸)の長さと、圧延方向
に垂直な線分(短軸)の長さとを測定し、両者の積を2
で割って求めた。
【0052】外観(ラインスポット故障)の評価:外観
は、長さ20mのアルミニウムコイルを3つに分けて、
トップ、中間、ラスト部について、それぞれ、目視検査
により評価した。評価指標は以下に示す通りである。 ○:ラインスポット故障がほとんどなく、実際上問題の
ないレベル ×:ラインスポット故障が見られ、実際上問題のあるレ
ベル
【0053】アルミニウムコイルの得率:アルミニウム
コイルの得率は、それぞれの実施例および比較例により
得られた5つのアルミニウムコイルのうち、Cu存在率
が5.0mm2/m2以下のアルミニウムコイルの割合と
した。
【0054】
【表1】
【0055】実施例1では全てのアルミニウムコイル
(a〜e)に対し、機械的粗面化処理を施しているた
め、Cuの存在率がいずれも許容範囲内であり、ライン
スポット故障の評価およびアルミニウムコイルの得率も
良好であった。一方、比較例1では全てのアルミニウム
コイル(a’〜e’)に対し、機械的粗面化処理を行わ
なかったため、処理後のCuの存在率が各アルミニウム
コイル間でばらついており、アルミニウムコイルの得率
が実施例1に比べ劣っていた。
【0056】
【発明の効果】以上のように、本発明の平版印刷版用支
持体は、エッチング処理等を行う前に、不織布に研磨材
を担持させた不織布ローラーによりアルミニウム合金板
の表面を粗面化する機械的粗面化処理が施されているの
で、Cu偏析部の発生を抑制し、予備研磨ムラを発生さ
せず、かつ、エッチング処理等を行う際における砂目立
て性不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 粗面化処理装置の例を示す概略構成図であ
る。
【符号の説明】
10・・・粗面化処理装置 12・・・アルミニウム合金板 14・・・不織布ローラ 16a,16b・・・支持ローラ 18・・・進退装置 20a,20b・・・給水装置 24・・・芯部材 26・・・不織布 28a,28b・・・回転軸 30・・・巻取装置 32・・・モータ L・・・離間距離 D1・・・直径 D2・・・厚さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上杉 彰男 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA00 AB03 DA18 DA20 EA01 2H096 AA07 CA03 CA20 LA16 2H114 AA04 AA14 DA04 DA73 DA78 EA06 GA03 GA05 GA06 GA08 GA09

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム合金板に、少なくとも、機
    械的粗面化処理、エッチング処理、電気化学的粗面化処
    理、デスマット処理、陽極酸化処理が、順次施された平
    版印刷版用支持体であって、 前記機械的粗面化処理が、不織布に研磨材を担持させた
    不織布ローラーによりアルミニウム合金板の表面を粗面
    化する処理であり、 前記平版印刷版用支持体の表面に露出しているCuの存
    在率が、5.0mm2/m2以下であることを特徴とする
    平版印刷版用支持体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008050150A (ja) * 2006-08-28 2008-03-06 Iwatsu Electric Co Ltd 湿式製版機の定着前搬送ローラ

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008050150A (ja) * 2006-08-28 2008-03-06 Iwatsu Electric Co Ltd 湿式製版機の定着前搬送ローラ

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