JP2002172870A - 平版印刷版用支持体の製造方法および製造装置 - Google Patents

平版印刷版用支持体の製造方法および製造装置

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JP2002172870A
JP2002172870A JP2001091227A JP2001091227A JP2002172870A JP 2002172870 A JP2002172870 A JP 2002172870A JP 2001091227 A JP2001091227 A JP 2001091227A JP 2001091227 A JP2001091227 A JP 2001091227A JP 2002172870 A JP2002172870 A JP 2002172870A
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Hiroo Kubota
洋夫 久保田
Hirokazu Sawada
宏和 澤田
Akio Uesugi
彰男 上杉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 デスマット処理工程における酸処理工程にお
いて、酸処理に使用する酸性溶液の濃度を所定濃度に設
定し、平版印刷版用支持体を安定して製造ための製造装
置を提供する。 【解決手段】 少なくとも、デスマット処理槽4と、循
環槽5とを有し、循環槽5とデスマット処理槽4とが少
なくとも一対の送液系配管7a,7bで連結され、循環
システムを具備し、循環槽5に、少なくとも、酸性溶液
の電気伝導度および比重を制御して、酸性溶液の濃度を
制御するための制御手段と、液供給手段と、が設けられ
ており、前記制御手段が、前記電気伝導度については設
定値の±15%の範囲に、および、前記比重については
設定値の±10%の範囲に、それぞれ実測値が含まれる
ように、前記液供給手段から濃硫酸および/または水を
供給することにより、酸性溶液の濃度を制御する手段で
あることを特徴とする平版印刷版用支持体の製造装置で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用支持
体の製造方法および製造装置に関し、特に、酸処理工程
における酸性溶液の濃度制御を行って、酸処理のムラを
抑えた平版印刷版用支持体の製造方法および製造装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版用支持体は、多くの場合、ア
ルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金(以
下、これらを「アルミニウム合金」という。)を素材と
するアルミニウム合金板の片面あるいは両面に粗面化処
理が施され、所望により陽極酸化処理が施されて製造さ
れる。このような平版印刷版用支持体では、印刷時の耐
磨耗性を向上させるため、粗面化処理後に、その表面に
陽極酸化処理が施されて陽極酸化被膜が形成されること
が多い。平版印刷版原版は平版印刷版用支持体に感光層
(感光性材料)が塗布により設けられ、これを乾燥して
製造される。製版時の真空密着時間を短くするために、
平版印刷版原版では感光層の表面にマット層という微小
な凹凸が設けられることもある。
【0003】平版印刷版原版は、画像露光、現像、水洗
等の製版処理を経て平版印刷版とされる。画像露光の方
法としては、画像を焼き付けたリスフィルムを平版印刷
版原版へ密着させて高強度の光を照射することで画像部
と非画像部とを形成する方法や、平版印刷版原版をレー
ザ光により走査して直接、画像部もしくは非画像部を書
き込むことにより画像部と非画像部とを形成する方法、
が用いられる。画像露光された平版印刷版原版を現像処
理すると、未溶解の感光層はインク受容体として画像部
を形成し、感光層が溶解除去された部分では、アルミニ
ウム合金板の表面または陽極酸化被膜の表面が露出し、
この部分が水受容体として非画像部を形成する。平版印
刷版原版は、現像後、必要に応じて親水化処理、ガム引
き、更にバーニング処理等が施されて平版印刷版とされ
る。
【0004】平版印刷版は、印刷機の円筒状の版胴に取
り付けられて、インキと湿し水とを版胴に供給すること
で親油性の画像部にはインキが付着し、親水性の非画像
部には水が付着し、画像部のインキをブランケット胴に
転写した上で、ブランケット胴から紙に画像を印刷す
る。しかし、本来親水性であるべき非画像部には、時と
して点状あるいは円環状にインキが付着し、結果的に紙
面に点状あるいは円環状の汚れを発生させる、所謂、過
酷インキ汚れと呼ばれる不具合が起こる場合があった。
【0005】この過酷インキ汚れを解決するための手段
が既に多く提案されている。具体的には、アルミニウム
合金板に含まれる合金成分を限定する方法が多く出願さ
れている。例えば、アルミニウム合金板中のMg、M
n、Si、Ga、Ti、Cu等の合金成分を限定する方
法(特開平5−309964号公報、特開平3−177
528号公報等)、FeとSiとの比を限定する方法
(特開平4−254545号公報、特開平7−1971
62号公報等)、Feの固溶量を限定する方法(特開平
4−165041号公報等)、単体Si量を限定する方
法(特許第2544215号、特許第2031725号
等)、金属間化合物の量、大きさおよび分布を限定する
方法(特開平4−165041号公報、特開平3−23
4594号公報、特許2544215号、特開平4−2
54545号公報等)、アルミニウム合金の組成と陽極
酸化被膜の特性とを組み合わせて限定する方法(特開平
7−197393号公報、特開平7−26393号公報
等)が提案されている。しかし、これらは何れもアルミ
ニウム合金に制約を加えるものであって、アルミニウム
合金板の材料選択の自由度を低下させる不具合を伴う。
【0006】一方、平版印刷版支持体用のアルミニウム
合金板の素材としては、JISA1050材、JISA
1100材、JISA1070材、Al−Mg系合金、
Al−Mn系合金、Al−Mn−Mg系合金、Al−Z
r系合金、Al−Mg−Si系合金等が適用し得る。こ
れら各種のアルミニウム合金は、通常、アルミニウムを
主成分とする原材料を溶解し、それに所定の金属を加え
て規格化された合金成分のアルミニウム合金の溶湯を作
り、引き続きそのアルミニウム合金の溶湯に清浄化処理
を施し、鋳造する。清浄化処理としては、溶湯中から水
素等の不要なガスを除去するために、フラックス処理;
Arガス、Clガス等を使った脱ガス処理;セラミック
チューブフィルタ、セラミックフォームフィルタ等のい
わゆるリジッドメディアフィルタや、アルミナフレー
ク、アルミナボール等を濾材とするフィルタや、グラス
クロスフィルタ等を使ったフィルタリング;脱ガス処理
とフィルタリングとを組み合わせた処理;が行われる。
これらの清浄化処理は、溶湯中の非金属介在物、酸化物
等の不純物による欠陥、溶湯に溶け込んだガスによる欠
陥を防ぐために実施される。
【0007】上記のように成分調整および清浄化処理が
施されたアルミニウム合金の溶湯を鋳造する方法として
は、大別して、DC鋳造法に代表される固定鋳型を用い
る方法と、連続鋳造法に代表される駆動鋳型を用いる方
法と、がある。
【0008】DC鋳造法を用いた場合、アルミニウム合
金の溶湯は1〜300℃/秒の冷却速度で凝固される。
この凝固過程で、先述の合金元素の一部はアルミニウム
中に固溶するが、アルミニウム中に固溶しきれない合金
成分は種々の金属間化合物として鋳塊中に生じる。DC
鋳造法では、板厚300〜800mmの鋳塊が製造可能
であり、この鋳塊に対し、通常、表層部を削り取る面削
加工が行われ、この面削加工により鋳塊の表層部が1〜
30mm、望ましくは1〜10mm削り取られる。その
後、鋳塊には必要に応じて均熱化処理が施される。均熱
化処理を施すことで、金属間化合物のうち不安定なもの
はより安定な化合物に変化したり、また一部がアルミニ
ウム中に固溶したりする。
【0009】ここで、残った金属間化合物はその後、熱
間圧延、冷間圧延を行う過程で、その径が細かくなった
り分散したりするが、その種類は殆ど変化しない。つま
り、アルミニウム合金板に金属間化合物が残留すること
になる。また、冷間圧延の前後、または冷間圧延の途中
において焼鈍といわれる熱処理を施してもよい。この場
合、焼鈍の熱処理温度によってはアルミニウム中に固溶
していた一部の元素が金属間化合物または金属単体の析
出物として析出してくることがある。この場合も、この
析出物はアルミニウム合金板に残留することになる。
【0010】冷間圧延によって0.1〜0.5mmの厚
さに仕上げられたアルミニウム合金板の平坦性を改善す
るために、ローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装
置によって形状を矯正して平坦性を改善してもよい。こ
のようにして所定の形状に仕上げられたアルミニウム合
金板には、粗面化処理および陽極酸化処理が行われる。
【0011】アルミニウム合金板の粗面化処理方法とし
ては、機械的な砂目立て法,電気化学的な砂目立て法等
があり、これらを適宜組合わせて粗面化が行われる。機
械的な砂目立て法としては、例えば、ボールグレイン、
ワイヤーグレイン、ブラシグレイン、液体ホーニング法
等がある。また電気化学的砂目立て方法としては、交流
電解エッチング法が一般的に採用されており、電解電流
としては、普通の正弦波交流電流あるいは矩形波や、特
殊交番電流等が用いられている。またこの電気化学的砂
目立ての前処理として、アルミニウム合金板を苛性ソー
ダ等でエッチング処理を施してもよい。
【0012】電気化学的砂目立て方式は、ウエブの連続
処理に適していることから、粗面化方法として近年増加
している。しかし、このようなアルミニウム合金板に対
して電気化学的に砂目立てを行うと、アルミニウム合金
板の表面に水酸化アルミニウムを主成分としたスマット
が生成する。
【0013】米国特許第4,548,683号明細書で
は、交流電解電流として140〜400Hzの高い周波
数を用いれば、スマットが生成しにくく、均一なピット
が生成することを記載している。しかし、このような特
殊な場合を除いて、電気化学的に砂目立てが行われたア
ルミニウム合金板の表面にはスマットが生成してしま
う。一方、このように電気化学的に砂目立てされたアル
ミニウム合金板には、陽極酸化処理や、必要に応じてシ
リケート処理が施され、アルミニウム合金板の粗面化面
に感光性材料が塗布され、乾燥されて、感光層が設けら
れた感光性の平版印刷版原版に仕上げられる。ここで、
電気化学的に砂目立てした後にアルミニウム合金板の表
面にスマットが残存していると、陽極酸化被膜にスマッ
トが混入し、被膜欠陥等が生じ、印刷性能が低下してし
まうという問題があった。
【0014】特公昭56−11316号公報には、アル
ミニウム合金板表面に生じたスマットを50〜90℃に
液温調整された15〜60wt%の硫酸溶液に接触させ
て、溶解除去することを特徴とするデスマット方法が開
示されている。また、特許第2577594号には、電
解粗面化処理でアルミニウム合金板表面に生じたスマッ
トを、まず、pHが10以上、温度が25〜60℃のア
ルカリ溶液で溶解した後、濃度が50〜400g/リッ
トル、温度が25〜65℃の硫酸主体の溶液にて、アル
ミニウム素地の溶解量が0.03〜0.20g/m2
なるように溶解除去するスマット除去方法が開示されて
いる。
【0015】前者の方法は、アルカリ溶液を併用しない
ため、スマットの除去が不十分になりやすく、電解粗面
化処理による形状の不均一さがアルミニウム合金板表面
に残るため、感光層とアルミニウム合金板との密着性が
低下したり、印刷汚れ性等の印刷性能が不十分になると
いう不具合がある。
【0016】一方、後者は、電解粗面化処理で生じたス
マットを、アルカリ溶液により効率よく除去できるが、
アルミニウム合金板の表面に存在する、不要な金属間化
合物を除去できないため、前述の引例に示すようにアル
ミニウム合金の組成を厳密に制御しない限り、耐過酷イ
ンキ汚れ性が劣るという問題点がある。また、アルカリ
溶液の温度が25〜60℃という比較的低い温度範囲に
あるため、溶解処理に時間がかかり、生産性の面で不利
である。
【0017】本発明らは、先に、特願2000−203
640号において、電解粗面化処理でアルミニウム合金
板表面に生じたスマットを、高温のアルカリ溶液で溶解
した後、高温、高濃度の硫酸主体の溶液により、除去す
る方法を開示した。当該方法により、効率良くスマット
を除去することが可能となったが、硫酸主体の溶液の濃
度等の制御方法については、明示されておらず、安定製
造に問題が生じる場合があった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】以上から、本発明の目
的は、デスマット処理工程における酸処理工程におい
て、酸処理に使用する酸性溶液の濃度を所定濃度に設定
し、平版印刷版用支持体を安定して製造する方法と該方
法を実施するための製造装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため、鋭意研究の結果、本発明に想到し
た。すなわち、本発明は、 <1> 少なくとも、酸性溶液により酸処理するための
デスマット処理槽と、前記酸性溶液を貯留する循環槽と
を有し、該循環槽と前記デスマット処理槽とが少なくと
も一対の送液系配管で連結されており、酸性溶液が前記
送液系配管のうちの一方を通して前記循環槽から前記デ
スマット処理槽に送液され、該デスマット処理槽内でア
ルミニウム合金板を酸処理し、酸処理後の酸性溶液が他
方の前記送液系配管を通して前記循環槽に送液される循
環システムを具備し、さらに前記循環槽に、少なくと
も、酸性溶液の電気伝導度および比重を制御して、酸性
溶液の濃度を制御するための制御手段と、濃硫酸および
/または水を供給する液供給手段と、が設けられてお
り、前記制御手段が、前記電気伝導度については設定値
の±15%の範囲に、および、前記比重については設定
値の±10%の範囲に、それぞれ実測値が含まれるよう
に、前記液供給手段から濃硫酸および/または水を供給
することにより、酸性溶液の濃度を制御する手段である
ことを特徴とする平版印刷版用支持体の製造装置であ
る。
【0020】<2> 前記比重の設定値が、1.15〜
1.30であり、前記電気伝導度の設定値が、450〜
1150mS/cmであることを特徴とする<1>に記
載の平版印刷版用支持体の製造装置である。
【0021】<3> 前記制御手段が、前記送液系配管
とは、独立した状態で設けられていることを特徴とする
<1>または<2>に記載の平版印刷版用支持体の製造
装置である。
【0022】<4> 前記酸性溶液の硫酸濃度が、17
0〜800g/リットルであることを特徴とする<1>
〜<3>に記載の平版印刷版用支持体の製造装置であ
る。
【0023】<5> 少なくとも、アルミニウム合金板
に粗面化処理を施す粗面化処理工程と、粗面化処理後の
アルミニウム合金板に陽極酸化処理を施す陽極酸化処理
工程と、を有する平版印刷版用支持体の製造方法であっ
て、前記粗面化処理工程が、少なくとも、アルカリ処理
工程と酸処理工程とからなるデスマット処理工程を有
し、前記酸処理工程に使用される酸性溶液の電気伝導度
を設定値の±15%の範囲に、および、前記酸性溶液の
比重を設定値の±10%の範囲に、それぞれ実測値が含
まれるように、濃硫酸および/または水を供給して、前
記酸性溶液の濃度を制御することを特徴とする平版印刷
版用支持体の製造方法である。
【0024】<6> 前記比重の設定値が、1.15〜
1.30であり、前記電気伝導度の設定値が、450〜
1150mS/cmであることを特徴とする<5>に記
載の平版印刷版用支持体の製造方法である。
【0025】<7> 前記酸性溶液の硫酸濃度が、17
0〜800g/リットルであることを特徴とする<5>
または<6>に記載の平版印刷版用支持体の製造方法で
ある。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、まず、本発明の平版印刷版
用支持体の製造方法を工程順に説明し、その後、本発明
の平版印刷版用支持体の製造装置について説明する。
【0027】≪1.平版印刷版用支持体の製造方法≫本
発明の平版印刷版用支持体の製造方法は、例えば、アル
ミニウムまたはアルミニウム合金からなるウエブ状のア
ルミニウム合金板を準備し、これに少なくとも、粗面化
処理および陽極酸化処理を行うものである。
【0028】前記粗面化処理は、少なくとも、アルカリ
溶液によりアルカリ処理を行うアルカリ処理工程と、酸
性溶液により酸処理を行う酸処理工程と、からなるデス
マット処理を施す工程を具備している。
【0029】アルミニウム合金板に(1)機械的粗面化
処理およびアルカリエッチング処理を施し(機械的粗面
化処理工程およびアルカリエッチング処理工程)、
(2)電解粗面化処理を施した後(電解粗面化処理工
程)、(3)デスマット処理を施し(デスマット処理工
程)、(4)陽極酸化処理を施して(陽極酸化処理工
程)製造される。アルミニウム合金板は、上記(1)〜
(4)の各処理工程を順次経て、最終的に平版印刷版用
支持体とされる。実際には、ウエブ状のアルミニウム合
金板が各工程で連続的に処理され、コイル状に巻き取ら
れ、平版印刷版用支持体とされる。
【0030】なお、上記(1)の機械的粗面化処理の工
程は、任意の工程であり、かかる処理を施さずにアルカ
リエッチング処理後、直接アルミニウム合金板に電解粗
面化処理を施して後の処理を行ってもよい。以下、上記
各処理工程について、順を追って説明する。ただし、各
処理工程は例示であり、本発明は、これら各処理工程の
内容に限定されるものではない。
【0031】<1.機械的粗面化処理工程>粗面化処理
工程の最初の工程として、アルミニウム合金板に機械的
粗面化処理を施すのが好ましい。機械的粗面化処理の方
法としては、例えば、パミンストン懸濁液等を使い、ブ
ラシグレインでアルミニウム合金板表面を粗面化する方
法によるのが好ましい。
【0032】<2.アルカリエッチング処理工程>機械
的粗面化処理を行った後、必要に応じて、アルミニウム
合金板表面の凹凸形状をなだらかとするとともに、表面
に残った研磨材粒子を除去するために、アルカリエッチ
ング処理を施すのが好ましい。アルカリエッチング処理
に用いられる好ましいアルカリ剤としては、苛性ソー
ダ、苛性カリ、メタ珪酸ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン
酸ソーダ、グルコン酸ソーダ等が挙げられる。アルカリ
剤の濃度は0.01〜20%が好ましく、温度は生産性
を高める上で60〜80℃が好ましく、エッチング量
(処理量)としては0.1〜15g/m2が好ましい。
また処理時間は、エッチング量に対応して2sec〜5
minとするのが好ましく、生産性向上のためには2〜
10secとするのがより好ましい。
【0033】アルカリエッチング処理を行うと、アルミ
ニウム合金板表面にスマットが形成される。当該スマッ
トがアルミニウム合金板表面に存在すると、印刷性能を
低下させる原因となる場合がある。そこで、アルカリエ
ッチング処理後に、このスマットを除去するため、硝酸
等によるデスマット処理(硝酸処理)を行うのが好まし
い。硝酸処理を行い、後工程である電気化学的粗面化処
理後のデスマット処理において、酸性溶液を用いた酸処
理を行うことにより、さらに次工程の陽極酸化処理で
は、良好な陽極酸化被膜が均一に形成され、耐過酷イン
キ汚れ性のより優れた平版印刷版用支持体を製造するこ
とができる。
【0034】<3.電解粗面化処理工程>近年、アルミ
ニウム合金板を平版印刷版用支持体とする製造工程で
は、平版印刷版の画像部における感光層とアルミニウム
合金板表面との密着性を向上させたり、また非画像部に
おける保水性を向上させるために、塩酸や硝酸液を主体
とする電解液を用いてアルミニウム合金板に対する電解
粗面化処理が行われることが多くなっている。この電解
粗面化処理は、前述のブラシグレイン等の機械的粗面化
処理で得られたアルミニウム合金板の表面に重畳して行
うことも、あるいはアルミニウム合金板の表面にアルカ
リエッチング処理等の前処理を行った後に直接行うこと
もできる。
【0035】ここで、本明細書において「主体とする」
とは、酸またはアルカリ溶液において、酸性またはアル
カリ成分全体に対して、30重量%以上、好ましくは、
50重量%以上含まれることをいう。
【0036】上記アルミニウム合金板に対する電解粗面
化処理では、塩酸または硝酸を主体とする電解液中で交
流電流を電解電流としたエッチング処理を施すのが好ま
しい。交流電解電流の周波数としては0.1〜100H
zの範囲内に設定され、より好ましくは10〜60Hz
の範囲内に設定される。電解液としては、塩酸および硝
酸の何れを主体とする場合も液濃度を3〜150g/リ
ットル、より好ましくは5〜50g/リットルとし、電
解槽内でのアルミニウムの溶解量としては50g/リッ
トル以下好ましく、2〜20g/リットルがより好まし
い。また必要に応じて各種の添加物を電解液へ添加して
もよいが、このような添加物はアルミニウム合金板を大
量生産する場合は、電解液の液濃度制御等を難しくする
要因となる場合がある。電流密度は、5〜100A/d
2の範囲内が好ましく、10〜80A/dm2の範囲内
がより好ましい。また、電解電流の波形としては、求め
る品質、使用されるアルミニウム合金板の成分等によっ
て適宜選択されるが、特公昭56−19280号公報、
特公昭55−19191号公報に開示されている特殊交
番波形を用いることが好ましい。このような電解電流の
波形や電解液等の条件は、アルミニウム合金板の単位面
積当たりの供給電気量とともに求める品質、使用される
アルミニウム合金板の成分等に応じて適宜選択される。
【0037】<4.デスマット処理工程>上記のように
して電解粗面化処理されたアルミニウム合金板は、次
に、電解粗面化処理で生じるスマットを除去するための
デスマット処理工程に送られる。該デスマット処理工程
は、アルカリ溶液によりアルカリ処理を行うアルカリ処
理工程と、酸性溶液により酸処理を行う酸処理工程と、
からなる。
【0038】まず、電解粗面化処理されたアルミニウム
合金板は、アルカリ溶液によりアルカリ処理が施され
る。アルカリ処理により、アルミニウム合金板表面のス
マットが溶解、除去されるとともに、電解粗面化処理で
アルミニウム合金板表面に生じた凹凸の一部を溶解し、
形を整えることができる。アルカリ溶液としては、苛性
ソーダ溶液等各種のものがあるが、pH10以上、液温
60〜80℃とされたアルカリ溶液でアルミニウム合金
板を処理するのが好ましい。このとき、生産性向上の点
からは、アルカリ溶液の液温を65〜80℃の範囲内に
調整することで、アルカリ処理時間を1〜10secと
いう極めて短い時間で完了できる。アルカリ処理の方法
としては、浸漬方式、シャワー方式、溶液をアルミニウ
ム合金板へ塗布する方法等を採用することができる。
【0039】次に、酸性溶液によりアルミニウム合金板
を酸処理する。酸性溶液としては、硫酸を主体とするも
のが好ましく、酸性溶液の濃度(例えば、酸として硫酸
を使用する場合は、中和滴定で測定した硫酸の濃度)と
しては、170〜800g/リットルとするのが好まし
い。濃度が170g/リットルより低いとスマットにつ
いては除去できるものの、金属間化合物ついては十分な
除去効果が得られない。液濃度が低いとスマットについ
ては十分除去できるが、金属間化合物については高い除
去効果が得られないことから、300〜800g/リッ
トルの濃度範囲とすることが好ましい。また酸性溶液の
液温は65〜90℃とするのが好ましい。このとき、酸
性溶液の液温は、金属間化合物の除去効果に対して、酸
性溶液の濃度と比較しても影響が大きく、65℃未満で
は金属間化合物に対して十分な除去効果が得られない場
合がある。特に、生産性を考慮して金属間化合物を短時
間で除去するためには、酸性溶液の液温を70〜90℃
とすることが好ましく、さらに80〜90℃とすること
が好ましい。酸処理の方法としては、浸漬方式、スプレ
ー方式、溶液をアルミニウム合金板へ塗布する方法等が
採用できる。
【0040】酸処理に使用する装置は、後述するよう
に、酸性溶液が循環する構成になっている場合が多いた
め、処理時間とともに、酸性溶液の濃度にばらつきが生
じやすい。このような状態で酸処理を行うと、処理ムラ
発生の原因となり易い。そこで、酸性溶液の濃度管理を
行うため、酸性溶液の電気伝導度と比重とを測定し、所
定の設定値とすることで、酸性溶液濃度のばらつきを極
力抑える必要がある。
【0041】酸性溶液の濃度の制御方法としては、酸性
溶液の濃度と電気伝導度、酸性溶液の濃度と比重、との
関係をそれぞれ求めておき、所定の濃度(上述の酸性溶
液の好ましい濃度:170〜800g/リットル)にな
るように電気伝導度と比重とを設定する。しかし、設定
した電気伝導度および比重は、処理時間とともに変動す
る。そこで、酸性溶液の電気伝導度を設定値の±15%
の範囲に、および、前記酸性溶液の比重を設定値の±1
0%の範囲に、それぞれ実測値が含まれるように、濃硫
酸および/または水を供給して、前記酸性溶液の濃度を
制御する。この範囲で電気電導度および比重を制御する
ことにより、連続して酸処理を行っても、酸性溶液の濃
度が常に一定に保たれるので、処理ムラの発生を抑制す
ることができる。好ましくは、酸性溶液の電気伝導度を
設定値の±10%の範囲に、および、前記酸性溶液の比
重を設定値の±5%の範囲に、それぞれ実測値が含まれ
るように、濃硫酸および/または水を供給して、前記酸
性溶液の濃度を制御する。
【0042】前記設定値として、比重は、1.15〜
1.30とすることが好ましい。また、電気伝導度は、
450〜1150mS/cmとすることが好ましい。比
重が、1.15未満であると印刷(過酷インキ汚れ)性
能が劣ることがあり、1.30を超えると液の濃度制御
が困難となることがある。また、電気伝導度が、450
mS/cm未満であると印刷(過酷インキ汚れ)性能が
劣ることがあり、1150mS/cmを超えると液の濃
度制御が困難となることがある。なお、本明細書におい
て、「濃硫酸」とは濃度が80%以上のものをいう。
【0043】<5.陽極酸化処理工程>デスマット処理
が施されたアルミニウム合金板は、次に、陽極酸化処理
が施される。陽極酸化処理により、アルミニウム合金板
の表層部に陽極酸化被膜が形成される。形成させる陽極
酸化被膜の量は、0.1〜10g/m2が好ましく、
0.3〜5g/m2がより好ましい。陽極酸化処理の条
件は、使用される電解液によって設定を変更する必要が
あるので一概には決定されないが、一般的には、電解液
の濃度は1〜80wt%、液温は5〜70℃、電流密度
は0.5〜60A/dm2、電圧は1〜100V、電解
時間は1sec〜5minの範囲内でそれぞれ設定され
るのが好ましい。
【0044】本発明の平版印刷版用支持体の製造方法に
よれば、所定の条件でデスマット処理を行っているの
で、印刷性能を低下させる有害な金属間化合物およびス
マットを除去することができる。また、後工程の陽極酸
化処理工程で設けられる陽極酸化被膜中にスマットおよ
び金属間化合物に起因する欠陥の発生を低減させること
ができるので、アルミニウム合金の合金組成や製造工程
を厳密に管理することなく製造できる。この結果、本実
施形態の平版印刷版用支持体の製造方法により製造され
たアルミニウム合金板を支持体として、平版印刷版を製
造することにより、その平版印刷版により印刷された非
画像部における過酷インキ汚れを効果的に防止できる。
【0045】また、本実施形態に係るアルミニウム合金
板における陽極酸化被膜はそれ自身安定で、十分高い親
水性を有していることから、陽極酸化被膜表面には直ち
に感光性材料を塗布して感光性塗膜(感光層)を形成す
ることも可能であるが、必要に応じて更に表面処理を施
すこともできる。例えば、アルミニウム合金板の表面に
アルカリ金属珪酸塩によるシリケート層、または、親水
性高分子化合物等よりなる下塗層を設けることができ
る。このとき、シリケート層、または、下塗層の塗布量
は1〜150mg/m2が好ましい。このようにして必
要に応じてシリケート層、または、下塗層が設けられた
アルミニウム合金板表面に感光性塗膜を形成して平版印
刷版原版が製造される。この平版印刷版原版は画像露
光、現像等の工程を経て平版印刷版とされた後、印刷機
にセットされる。
【0046】≪2.平版印刷版用支持体の製造装置≫本
発明の平版印刷版用支持体の製造装置(以下、単に「本
発明の製造装置」という場合がある。)は、平版印刷版
用支持体の製造工程のうち、デスマット処理工程、詳し
くは、デスマット処理工程のうち、酸性溶液を使用する
酸処理工程において用いられる。
【0047】本発明の製造装置には、少なくとも、酸性
溶液により酸処理するためのデスマット処理槽と、前記
酸性溶液を貯留する循環槽とを有し、該循環槽と前記デ
スマット処理槽とが少なくとも2つの送液系配管で連結
されており、酸性溶液が前記送液系配管のうちの一方を
通して前記循環槽から前記デスマット処理槽に送液さ
れ、該デスマット処理槽内でアルミニウム合金板を酸処
理し、酸処理後の酸性溶液が他方の前記送液系配管を通
して前記循環槽に送液される循環システムを具備し、さ
らに前記循環槽に、少なくとも、酸性溶液の電気伝導度
および比重を制御して、酸性溶液の濃度を制御するため
の制御手段と、濃硫酸および/または水を供給する液供
給手段と、が設けられている。また前記制御手段は、前
記電気伝導度については設定値の±15%の範囲に、お
よび、前記比重については設定値の±10%の範囲に、
それぞれ実測値が含まれるように、前記液供給手段から
濃硫酸および/または水を供給することにより、酸性溶
液の濃度を制御している。かかる制御手段は、送液系配
管とは、独立した状態で設けられていることが好まし
い。
【0048】図1は、本発明の平版印刷版用支持体の製
造装置の一例を示す概略構成図である。図1に示す製造
装置には、デスマット処理槽4と、3つのパスロール3
a,3b,3c(本発明では、3つのパスロール3a,
3b,3cのうち、アルミニウム合金板1の導出側に設
けられるパスロール3cに、図1に示すように、一対の
ニップロ−ル3c−1,3c−2を使用するが、便宜的
に、これらも合わせて1つの「パスロール」に含めた概
念として説明する)と、デスマット処理槽4内に配され
た、酸性溶液の液供給手段である複数のシャワー管2
と、デスマット処理槽4の下部に配され、かつ、酸性溶
液10を貯留する循環槽5と、シャワー管2および循環
槽5をポンプ6を介して連結する送液系配管7aと、デ
スマット処理後の酸性溶液10をデスマット処理槽4か
ら循環槽5に送液する送液系配管7bと、が設けられて
いる。
【0049】図1に示すように、3つのパスロール3
a,3b,3cのうち中間部に位置するパスロール3b
は、他のパスロール3a,3cより下方であって、デス
マット処理槽4の底部付近に設られている。アルミニウ
ム合金板1は、不図示の駆動力により矢印A方向に進行
し、パスロール3aにより進行方向が切り替えられてデ
スマット処理槽4内に導入され、デスマット処理槽4の
底部付近に進行し、パスロール3bにより再び進行方向
が切り替えられて、導出側のパスロール3cにより張架
されながらデスマット処理槽4から導出され、矢印B方
向に進行して、次工程に供される。
【0050】デスマット処理槽4内には、既述の如く複
数のシャワー管2が設けられており、該複数のシャワー
管2に、循環槽5からポンプ6aの駆動力により送液系
配管7aを通して酸性溶液10が送液される。そして複
数のシャワー管2から酸性溶液がシャワー状(棒状)に
供給(シャワー方式)され、デスマット処理槽4の底部
付近に進行し、張架されているアルミニウム合金板1に
接触することで、アルミニウム合金板1のデスマット処
理が施される。
【0051】本実施形態の製造装置におけるデスマット
処理槽4と循環槽5との位置関係は、図1に示すように
循環槽5がデスマット処理槽4の下になるため、デスマ
ット処理後の酸性溶液10は、落差により、デスマット
処理槽4の底部に設けられた送液系配管7bを通して循
環槽5に戻される(送液される)。つまり、図1に示す
平版印刷版用支持体の製造装置は、デスマット処理槽4
と循環槽5との間で、一対の送液系配管7aおよび7b
を通して酸性溶液10が循環する循環システムを具備し
ている。
【0052】また、図1に示すように、循環槽5には、
酸性溶液の電気伝導度および比重を制御して、酸性溶液
の濃度を所定の濃度(上述の酸性溶液の好ましい濃度:
170〜800g/リットル)に制御するために、少な
くとも、電気伝導度計(以下、単に「電導度計」という
場合がある)15と、比重計16と、からなる制御手段
が設けられている。該制御手段には、さらに、電導度計
15と比重計16とがそれぞれ接続している制御装置
(図示せず)と、ポンプ6bとが設けられているのが好
ましい。制御手段は、循環槽5の酸性溶液がポンプ6b
の駆動力により、配管17を通じて、電導度計15およ
び比重計16を通過し、再び循環槽5に戻される循環シ
ステムを具備しているのが好ましい。このような制御手
段は、送液系配管7aおよび7bとは独立した状態で設
けられているのが好ましい。また、電導度計15および
比重計16は従来公知のものを使用することができる。
【0053】制御手段により、電気伝導度については設
定値の±15%の範囲に、および、前記比重については
設定値の±10%の範囲に、それぞれ実測値が含まれる
ように設定され、上記範囲外に測定値がならないよう
に、硫酸濃度については、濃度が設定値の−15%(下
限値)に近づいたら液供給手段である原液供給配管8か
ら硫酸を自動的に添加し、また、濃度が設定値の−15
%(上限値)に近づいたら水供給配管9から水を添加し
て濃度が範囲内になるように自動制御される。
【0054】前記設定値として、比重は、1.15〜
1.30とすることが好ましい。また、電気伝導度は、
450〜1150mS/cmとすることが好ましい。比
重が、1.15未満であると印刷(過酷インキ汚れ)性
能が劣ることがあり、1.30を超えると液の濃度制御
が困難となることがある。また、電気伝導度が、450
mS/cm未満であると印刷(過酷インキ汚れ)性能が
劣ることがあり、1150mS/cmを超えると液の濃
度制御が困難となることがある。
【0055】処理ムラをより低減させるには、酸性溶液
の電気伝導度を設定値の±10%の範囲に、および、前
記酸性溶液の比重を設定値の±5%の範囲に、それぞれ
実測値が含まれるようにするのが好ましい。また、前記
制御手段により、不図示の熱交換器への蒸気の供給量が
制御され、酸性溶液10が所定の液温になるように調整
される。
【0056】なお、本発明において「一対の送液系配
管」というときは、循環槽からデスマット処理槽へ送液
する配管と、デスマット処理槽から循環槽へ送液する配
管と、の組み合わせのことを意味し、これら配管のどち
らかが、あるいは双方が、複数本であっても、さらには
中途で枝分かれしていても、全体として「一対の送液系
配管」を構成するものとみなす。
【0057】
【実施例】以下に、本発明の実施例について具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0058】(実施例1)アルミニウム合金板(アルミ
ニウム純度:99.3%、厚さ0.24mm)に、パミ
ンストン懸濁液を使用したブラシグレイン(8号ブラシ
×3本)により、粗面化処理を行った(機械的粗面化処
理工程)。水洗後、75℃にて25%のNaOH溶液に
より8g/m2までアルカリエッチングを行った(アル
カリエッチング処理工程)。水洗後、40℃にて9g/
リットルの硝酸によりデスマット処理を行った後、電解
粗面化処理を行った(電解粗面化処理工程)。電解粗面
化処理は、9g/リットルの硝酸を電解液とし、50℃
で電気量を180C/dm2として行った。
【0059】その後、デスマット処理(デスマット処理
工程)として、まず、5wt%のNaOH溶液を用い、
液温30℃でアルカリ処理を行った(アルカリ処理工
程)。エッチング量(アルミニウム溶解量)は0.2g
/m2とした。アルカリ処理後、水洗して、図1に示す
装置を使用し、シャワー方式により、4秒間の硫酸によ
る酸処理を行った(酸処理工程)。なお、制御手段にお
ける電導度計としては、電気化学計器製のMC−61T
型検出器とMB−32A20型アンプとを使用し、比重
計としては、横河計器製の差圧伝送器を使用した。使用
した硫酸は、硫酸濃度が170g/リットル、液温が3
0℃で、硫酸の供給量は約5リットル/分であった。
【0060】電気伝導度については設定値(450mS
/cm)の±7.5%の範囲に、および、比重について
は設定値(1.17)の±5%の範囲に、それぞれ実測
値が含まれるように、液供給手段から濃硫酸および/ま
たは水を供給して硫酸濃度を制御した。かかる条件で1
0日間(240時間)のランニングテストを行い、24
時間ごとに平版印刷版作製用のサンプルを採取した。
【0061】24時間ごとに処理したサンプルについ
て、硫酸濃度170g/リットル、30℃の硫酸溶液中
で直流電解を行う陽極酸化処理(平均電流密度は25A
/dm 2とし、形成される陽極酸化被膜の量は2.4g
/m2とした)を行って(陽極酸化処理(アノダイズ処
理)工程)、平版印刷版用支持体を作製した。
【0062】得られた平版印刷版用支持体に、以下に示
す条件で感光液の塗布(感光層の形成)を行って、平版
印刷版用支持体表面に感光層を設けて平版印刷版原版を
製造した。
【0063】・感光液の塗布 感光性材料組成:ナフトキノン−1,2−ジアジド−
5−スルホニルクロライドとピロガロール、アセトン樹
脂とのエステル化合物(米国特許3,635,709号
明細書の実施例1記載のもの)・・・0.75g、 クレゾールノボラック樹脂・・・2.00g、 オイルブルー#603(オリエント化学製)・・・0.
04g、 エチレンジクロライド・・・16g、 2−メトキシエチルアセテート・・・12g 塗布重量:1.5g/m2
【0064】このようにして製造された平版印刷版原版
を、真空焼枠中で、透明ポジティブフイルムを通して1
mの距離から3kwのメタルハライドランプにより、5
0秒間露光を行なった後SiO2/Na2Oのモル比が
1.74の珪酸ナトリウムの5.26%水溶液(pH=
12.7)で現像した後、当該平版印刷版を用いて、以
下に示すような印刷テスト(印刷評価)を行った。結果
を表1に示す。
【0065】過酷インキ汚れの発生状態の評価:過酷
インキ汚れの発生状態の評価は、印刷物の非画像部(画
像のない汚れにくい部分)の汚れ状態を目視により比較
して行った。このとき、印刷機にはハマダ900CDX
(商品名)を使用した。評価結果を表1に示す。評価
は、○(良い)、○△(やや良い)、△(普通)、△×
(やや劣る)、×(劣る)の5段階で行い、上記の順序
で、耐過酷インキ汚れ性が劣ることを示す。
【0066】耐刷性の評価:耐刷性の評価は、印刷物
の画像部が正常な印刷ができなくなるまでの印刷枚数を
相対評価することにより行った。
【0067】上記過酷インキ汚れの発生状態の評価およ
び耐刷性の評価の評価結果をもとに、総合評価判定を行
った。総合評価判定は、印刷性能として耐過酷インキ汚
れ性と耐刷性とが共に△以上のレベルが必要であるた
め、両評価が△以上の場合を○(合格)とし、両評価が
△より低い場合を×(不合格)とした。
【0068】(実施例2)酸処理工程において、硫酸濃
度170g/リットル、液温50℃で、硫酸の供給量5
リットル/分とし、電気伝導度については設定値(60
0mS/cm)の±7.5%の範囲に、および、比重に
ついては設定値(1.15)の±5%の範囲に、それぞ
れ実測値が含まれるように、液供給手段から濃硫酸およ
び/または水を供給して硫酸濃度を制御した以外は、実
施例1と同様にして平版印刷版用支持体を製造し、印刷
評価を行った。結果を表1に示す。
【0069】(実施例3)酸処理工程において、硫酸濃
度300g/リットル、液温50℃で、硫酸の供給量1
0リットル/分とし、電気伝導度については設定値(1
060mS/cm)の±7.5%の範囲に、および、比
重については設定値(1.17)の±5%の範囲に、そ
れぞれ実測値が含まれるように、液供給手段から濃硫酸
および/または水を供給して硫酸濃度を制御した以外
は、実施例1と同様にして平版印刷版用支持体を製造
し、印刷評価を行った。結果を表1に示す。
【0070】(実施例4)酸処理工程において、硫酸濃
度300g/リットル、液温50℃で、硫酸の供給量1
0リットル/分とし、電気伝導度については設定値(7
20mS/cm)の±7.5%の範囲に、および、比重
については設定値(1.24)の±5%の範囲に、それ
ぞれ実測値が含まれるように、液供給手段から濃硫酸お
よび/または水を供給して硫酸濃度を制御した以外は、
実施例1と同様にして平版印刷版用支持体を製造し、印
刷評価を行った。結果を表1に示す。
【0071】(実施例5)酸処理工程において、硫酸濃
度300g/リットル、液温80℃で、硫酸の供給量1
0リットル/分とし、電気伝導度については設定値(9
30mS/cm)の±7.5%の範囲に、および、比重
については設定値(1.23)の±5%の範囲に、それ
ぞれ実測値が含まれるように、液供給手段から濃硫酸お
よび/または水を供給して硫酸濃度を制御した以外は、
実施例1と同様にして平版印刷版用支持体を製造し、印
刷評価を行った。結果を表1に示す。
【0072】(実施例6)酸処理工程において、硫酸濃
度400g/リットル、液温50℃で、硫酸の供給量2
0リットル/分とし、電気伝導度については設定値(1
150mS/cm)の±7.5%の範囲に、および、比
重については設定値(1.22)の±5%の範囲に、そ
れぞれ実測値が含まれるように、液供給手段から濃硫酸
および/または水を供給して硫酸濃度を制御した以外
は、実施例1と同様にして平版印刷版用支持体を製造
し、印刷評価を行った。結果を表1に示す。
【0073】(実施例7)酸処理工程において、硫酸濃
度400g/リットル、液温50℃で、硫酸の供給量2
0リットル/分とし、電気伝導度については設定値(7
80mS/cm)の±7.5%の範囲に、および、比重
については設定値(1.30)の±5%の範囲に、それ
ぞれ実測値が含まれるように、液供給手段から濃硫酸お
よび/または水を供給して硫酸濃度を制御した以外は、
実施例1と同様にして平版印刷版用支持体を製造し、印
刷評価を行った。結果を表1に示す。
【0074】(比較例1)酸処理工程において、硫酸濃
度170g/リットル、液温30℃で、硫酸の供給量5
リットル/分とし、電気伝導度については設定値(40
0mS/cm)の±25%の範囲に、および、比重につ
いては設定値(1.07)の±15%の範囲に、それぞ
れ実測値が含まれるように、液供給手段から濃硫酸およ
び/または水を供給して硫酸濃度を制御した以外は、実
施例1と同様にして平版印刷版用支持体を製造し、印刷
評価を行った。結果を表1に示す。
【0075】(比較例2)酸処理工程において、硫酸濃
度500g/リットル、液温80℃で、硫酸の供給量2
5リットル/分とし、電気伝導度については設定値(1
180mS/cm)の±25%の範囲に、および、比重
については設定値(1.31)の±15%の範囲に、そ
れぞれ実測値が含まれるように、液供給手段から濃硫酸
および/または水を供給して硫酸濃度を制御した以外
は、実施例1と同様にして平版印刷版用支持体を製造
し、印刷評価を行った。結果を表1に示す。
【0076】(比較例3)酸処理工程において、硫酸濃
度500g/リットル、液温75℃で、硫酸の供給量2
5リットル/分とし、電気伝導度については設定値(1
200mS/cm)の±25%の範囲に、および、比重
については設定値(1.31)の±15%の範囲に、そ
れぞれ実測値が含まれるように、液供給手段から濃硫酸
および/または水を供給して硫酸濃度を制御した以外
は、実施例1と同様にして平版印刷版用支持体を製造
し、印刷評価を行った。結果を表1に示す。
【0077】(比較例4)酸処理工程において、硫酸濃
度50g/リットル、液温80℃で、硫酸の供給量25
リットル/分とし、電気伝導度については設定値(14
50mS/cm)の±25%の範囲に、および、比重に
ついては設定値(1.35)の±15%の範囲に、それ
ぞれ実測値が含まれるように、液供給手段から濃硫酸お
よび/または水を供給して硫酸濃度を制御した以外は、
実施例1と同様にして平版印刷版用支持体を製造し、印
刷評価を行った。結果を表1に示す。
【0078】(比較例5)酸処理工程において、電導度
および比重による制御を行わなかった以外は、実施例1
と同様にして平版印刷版用支持体を製造し、印刷評価を
行った。結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】実施例1〜7では、酸処理工程において、
電導度および比重を所定の範囲に制御したことで、印刷
性能のばらつきが抑えられ、安定製造が可能となった。
一方、比較例1〜4では、電導度および比重の制御幅が
大きかったため実施例1や2に比べ、印刷性能にばらつ
きが見られた。また、比較例5では、電導度および比重
の制御を行っていないため、最終的な比重及び電導度が
それぞれ1.12及び400mS/cmとなり、印刷性
能のばらつきがさらに多く見られた。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の平版印刷
版用支持体の製造装置および製造方法によれば、高温高
濃度硫酸を用いた酸処理工程において、ハンチングの少
ない液濃度制御ができることから、安定製造が可能とな
り、品質のバラつきのない平版印刷版用支持体を製造す
ることが可能で、得率を向上させることができる。ま
た、安価なアルミニウム合金材料の使いこなしも可能と
なり、原材料のコストダウン効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の平版印刷版用支持体の製造装置の一
例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1・・・アルミニウム合金板 2・・・シャワー管 3a,3b,3c・・・パスロール 4・・・デスマット処理槽 5・・・循環槽 6a,6b・・・ポンプ 7a,7b・・・送液系配管 8・・・原液供給配管 9・・・水供給配管 10・・・酸性溶液 15・・・電気伝導度計 16・・・比重計 17・・・配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 11/16 301 C25D 11/16 301 C25F 3/04 C25F 3/04 D G03F 7/00 503 G03F 7/00 503 7/09 501 7/09 501 (72)発明者 上杉 彰男 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA12 AA14 AA18 AB03 DA20 DA36 2H096 AA06 CA01 CA03 2H114 AA04 AA14 DA04 EA02 EA09 FA04 GA06 GA08 GA09 4K053 PA10 QA03 RA05 RA14 RA21 SA03 SA04 SA06 TA10 YA02 YA03 YA30 4K057 WA05 WB05 WE21 WE22 WG01 WG02 WG03 WN10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、酸性溶液により酸処理する
    ためのデスマット処理槽と、前記酸性溶液を貯留する循
    環槽とを有し、 該循環槽と前記デスマット処理槽とが少なくとも一対の
    送液系配管で連結されており、酸性溶液が前記送液系配
    管のうちの一方を通して前記循環槽から前記デスマット
    処理槽に送液され、該デスマット処理槽内でアルミニウ
    ム合金板を酸処理し、酸処理後の酸性溶液が他方の前記
    送液系配管を通して前記循環槽に送液される循環システ
    ムを具備し、 さらに前記循環槽に、少なくとも、酸性溶液の電気伝導
    度および比重を制御して、酸性溶液の濃度を制御するた
    めの制御手段と、濃硫酸および/または水を供給する液
    供給手段と、が設けられており、 前記制御手段が、前記電気伝導度については設定値の±
    15%の範囲に、および、前記比重については設定値の
    ±10%の範囲に、それぞれ実測値が含まれるように、
    前記液供給手段から濃硫酸および/または水を供給する
    ことにより、酸性溶液の濃度を制御する手段であること
    を特徴とする平版印刷版用支持体の製造装置。
  2. 【請求項2】 前記比重の設定値が、1.15〜1.3
    0であり、前記電気伝導度の設定値が、450〜115
    0mS/cmであることを特徴とする請求項1に記載の
    平版印刷版用支持体の製造装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段が、前記送液系配管とは、
    独立した状態で設けられていることを特徴とする請求項
    1または2に記載の平版印刷版用支持体の製造装置。
  4. 【請求項4】 前記酸性溶液の硫酸濃度が、170〜8
    00g/リットルであることを特徴とする請求項1〜3
    に記載の平版印刷版用支持体の製造装置。
  5. 【請求項5】 少なくとも、アルミニウム合金板に粗面
    化処理を施す粗面化処理工程と、粗面化処理後のアルミ
    ニウム合金板に陽極酸化処理を施す陽極酸化処理工程
    と、を有する平版印刷版用支持体の製造方法であって、 前記粗面化処理工程が、少なくとも、アルカリ処理工程
    と酸処理工程とからなるデスマット処理工程を有し、 前記酸処理工程に使用される酸性溶液の電気伝導度を設
    定値の±15%の範囲に、および、前記酸性溶液の比重
    を設定値の±10%の範囲に、それぞれ実測値が含まれ
    るように、濃硫酸および/または水を供給して、前記酸
    性溶液の濃度を制御することを特徴とする平版印刷版用
    支持体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記比重の設定値が、1.15〜1.3
    0であり、前記電気伝導度の設定値が、450〜115
    0mS/cmであることを特徴とする請求項5に記載の
    平版印刷版用支持体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記酸性溶液の硫酸濃度が、170〜8
    00g/リットルであることを特徴とする請求項5また
    は6に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
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