JP2002087882A - 半導体磁器組成物とこれを用いた半導体磁器素子及びその製造方法 - Google Patents

半導体磁器組成物とこれを用いた半導体磁器素子及びその製造方法

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JP2002087882A
JP2002087882A JP2000279670A JP2000279670A JP2002087882A JP 2002087882 A JP2002087882 A JP 2002087882A JP 2000279670 A JP2000279670 A JP 2000279670A JP 2000279670 A JP2000279670 A JP 2000279670A JP 2002087882 A JP2002087882 A JP 2002087882A
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compound
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semiconductor
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JP2000279670A
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Masanori Terasaki
正則 寺崎
雅幸 ▲高▼橋
Masayuki Takahashi
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 室温付近での抵抗値を高く、しかもB定数の
勾配を小さく、また高温でのB定数の勾配を大きくする
と共に、製造ロット間の電気特性にばらつきが少ない半
導体磁器組成物と、それを用いた半導体磁器素子とその
製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 ランタンコバルト系化合物に対し、2価
の元素と4価の元素とを添加した負の抵抗温度特性の半
導体磁器組成物の構成としたものであり、これにより、
電子機器の消費電力量を低減し、常温付近での突入電流
を抑制することができる半導体磁器素子を得ることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は負の抵抗温度特性を
有し、特に突入電流制御用、モーター起動用または液面
検知用等の素子に用いられる半導体磁器組成物とこれを
用いた半導体磁器素子及びその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来の半導体磁器組成物とこれを用いた
半導体磁器素子は、特開平11−116334号公報に
記載されたものが知られている。
【0003】図1は従来の半導体磁器素子の外観斜視図
である。
【0004】図1において、1はランタンコバルト系酸
化物を主成分とする半導体磁器素子であり、この半導体
磁器素子1の両主面には一対の電極2,3を形成してい
る。
【0005】以上のように構成された半導体磁器素子に
ついて、以下にその製造方法を説明する。
【0006】まず、コバルトとランタンのモル比が所望
のものとなるように秤量して配合し、これに副成分とし
て、Li,Na,K,Rb,Cs,Be,Mg,Ca,
Sr,Ba,Ni,Cu,Znの中から選ばれる少なく
とも一種類の元素からなる酸化物を添加し、混合物を得
る。
【0007】次に、この混合物に純水を加え、湿式混合
した後に乾燥し、900〜1200℃で仮焼して仮焼物
を得る。
【0008】次に、この仮焼物にバインダーを加えて混
合、濾過、乾燥した後に加圧成形して成形体を形成し、
この成形体を1200〜1600℃で焼成し、前記半導
体磁器素子1を得る。
【0009】次に、前記半導体磁器素子1の両主面に銀
パラジウムペーストを塗布して焼き付けて前記電極2,
3を形成し半導体磁器素子1を形成する。
【0010】以上のように構成された半導体磁器素子1
は、前記電極2,3を回路間に接続して使用され、室温
での抵抗値が高く、温度の上昇と共に抵抗値が減少する
負の抵抗温度特性を有し、初期(室温)の高抵抗が回路
電源のスイッチを入れた瞬間に回路に流入する突入電流
(過電流)を制御するとともに、自己発熱して抵抗値が
小さくなり、定常状態では消費電力量を低減させること
ができるという作用を有し、室温の温度変化に対しては
抵抗値の変動が小さくて消費電力が比較的小さい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の半導体磁器組成物及びこれを用いた半導体磁器素子
は、出発原料となるランタン化合物及びコバルト化合物
に含まれる不純物の影響を受けやすく、製造ロットの異
なる出発原料を用いると半導体磁器素子の電気特性(抵
抗値、B定数)が大きく変動し製造ロット間の電気特性
にばらつきが大きいという問題点を有する。
【0012】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、室温付近での抵抗値を高く、しかもB定数の勾配を
小さく、また高温でのB定数の勾配を大きくすると共
に、製造ロット間の電気特性にばらつきが少ない半導体
磁器組成物と、それを用いた半導体磁器素子とその製造
方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、以下の構成を有するものである。
【0014】本発明の請求項1に記載の発明は、特にラ
ンタンコバルト系化合物に対し、2価の元素と4価の元
素とを添加した負の抵抗温度特性の半導体磁器組成物と
した構成を有しており、本発明は従来のランタンコバル
ト系化合物からなる半導体磁器は2価の元素又は4価の
元素の何れかの含有量が多くなるに従って室温の抵抗値
が低く、かつ室温付近及び高温領域でのB定数が小さく
なる傾向を示すことを見出した。
【0015】従って主成分のランタンコバルト系化合物
半導体磁器に対しアクセプターとして作用する2価の元
素と、ドナーとして作用する4価の元素を積極的に適量
添加することにより、ランタン化合物及びコバルト化合
物の出発原料に含まれる微量の2価、4価の元素を相互
に電荷補償し、ランタンコバルト系化合物半導体磁器の
室温抵抗値及び室温付近のB定数の勾配、定常状態(高
温での)でのB定数への影響力を弱め、安定させた好適
な負の抵抗温度特性を有する半導体磁器組成物を得るこ
とができるという優れた作用効果が得られる。
【0016】本発明の請求項2に記載の発明は、特にラ
ンタンコバルト系化合物に対し添加する2価の元素の総
量と4価の元素の総量との差が0.05mol%以内と
した請求項1に記載の半導体磁器組成物の構成を有して
おり、これにより、主成分のランタンコバルト系化合物
からなる半導体磁器素子の電荷補償を行い安定した室温
抵抗値及び、室温付近のB定数の勾配を小さく、定常状
態(高温での)でのB定数を大きく安定させた好適な負
の抵抗温度特性を有する半導体磁器組成物を得ることが
できるという優れた作用効果が得られる。
【0017】本発明の請求項3に記載の発明は、特にラ
ンタンコバルト系化合物に対し添加する2価の元素と4
価の元素の総量が1.0mol%以内の範囲とした請求
項1に記載の半導体磁器組成物の構成を有しており、こ
れにより、室温の抵抗値が高く、かつ室温付近のB定数
を小さく、また高温でのB定数が大きい安定した好適な
負の抵抗温度特性を有する半導体磁器組成物を得ること
ができるという優れた作用効果が得られる。
【0018】本発明の請求項4に記載の発明は、特に2
価の元素をMg,Ca,Sr,Ba,Ni,Cu,Zn
の群の内から選ばれた少なくとも一種類、4価の元素を
Si,Ge,Sn,Ti,Zr,Hf,Mnの群の内か
ら選ばれた少なくとも一種類とした請求項1に記載の半
導体磁器組成物の構成を有しており、これにより、室温
での抵抗値と室温付近のB定数の勾配、及び高温領域の
B定数の勾配に特に効果を有する元素を規定し、室温で
の抵抗値が高く、かつ室温付近のB定数が小さく、また
高温でのB定数が大きい安定した好適な負の抵抗温度特
性を有する半導体磁器組成物を得ることができるという
優れた作用効果が得られる。
【0019】本発明の請求項5に記載の発明は、特にラ
ンタンコバルト系化合物がLaxCoO3(但し、0.6
≦x≦0.99)からなる請求項1に記載の半導体磁器
組成物の構成を有しており、LaCoO3系化合物半導
体磁器は、La/Coの比率が1/1より大きくなると
長期の保管、使用においてランタンが空気中の水分を吸
収して電気特性を損なうおそれがあり、また0.6/1
より小さくなると室温での抵抗値が小さく、かつ室温付
近及び高温領域でのB定数が小さくなり好ましくない。
【0020】したがって、これにより、長期の保管、使
用において電気特性の劣化が少なく、室温での抵抗値が
大きく、かつ室温付近のB定数が小さく、また高温領域
でのB定数が大きい好適な負の抵抗温度特性を有する半
導体磁器組成物を得ることができるという優れた作用効
果が得られる。
【0021】本発明の請求項6に記載の発明は、特に、
ランタンコバルト系化合物に2価の元素と4価の元素を
添加した負の抵抗温度特性を有する半導体磁器組成物か
らなる半導体磁器の表面に一対の電極を形成した半導体
磁器素子の構成としたものであり、これにより、請求項
1の項目で説明したごとく室温での抵抗値を高く、かつ
室温付近のB定数を小さく、また高温領域のB定数を大
きい好適な負の抵抗温度特性を有する半導体磁器素子を
得ることができるという作用効果が得られる。
【0022】本発明の請求項7に記載の発明は特に、半
導体磁器組成物のランタンコバルト系化合物に対し添加
する2価の元素の総量と4価の元素の総量との差が0.
05mol%以内とした請求項6に記載の半導体磁器素
子の構成としたものであり、これにより、室温での抵抗
値を高く、かつ室温付近のB定数を小さく、また高温領
域のB定数を大きい好適な負の抵抗温度特性を有する半
導体磁器素子を得ることができるという作用効果が得ら
れる。
【0023】本発明の請求項8に記載の発明は、特に、
半導体磁器組成物のランタンコバルト系化合物に対し添
加する2価の元素と4価の元素の総量が1.0mol%
以内の範囲とした請求項6に記載の半導体磁器素子の構
成としたものであり、これにより、室温での抵抗値を高
く、かつ室温付近のB定数を小さく、また高温領域のB
定数を大きい好適な負の抵抗温度特性を有する半導体磁
器素子を得ることができるという作用効果が得られる。
【0024】本発明の請求項9に記載の発明は、特に、
2価の元素はMg,Ca,Sr,Ba,Ni,Cu,Z
nの群の内から選ばれた少なくとも一種類、4価の元素
はSi,Ge,Sn,Ti,Zr,Hf,Mnの群の内
から選ばれた少なくとも一種類とした請求項6に記載の
半導体磁器素子の構成としたものであり、これにより、
室温での抵抗値を高く、かつ室温付近のB定数を小さ
く、また高温領域のB定数を大きい好適な負の抵抗温度
特性を有する半導体磁器素子を得ることができるという
作用効果が得られる。
【0025】本発明の請求項10に記載の発明は、所定
量のランタン化合物、コバルト化合物、2価の元素化合
物及び4価の元素化合物とを混合した後、この混合物に
ランタン化合物とコバルト化合物とが化学反応する温度
領域で仮焼を行い仮焼粉を形成し、次にこの仮焼粉を用
いて成形、焼成して焼結体を形成し、この焼結体の表面
に一対の電極を形成する半導体磁器素子の製造方法であ
り、これにより、室温での抵抗値を高く、かつ室温付近
のB定数を小さく、また高温領域のB定数を大きい好適
な負の抵抗温度特性を有するランタンコバルト系化合物
半導体磁器素子を再現性良く生産することができるとい
う作用効果が得られる。
【0026】本発明の請求項11に記載の発明は、特
に、所定量のランタン化合物とコバルト化合物を混合し
た後、この混合物にランタン化合物とコバルト化合物と
が化学反応する温度領域で仮焼を行い仮焼粉を形成し、
この仮焼粉に2価の元素と4価の元素とを、2価の元素
の総量と4価の元素の総量の差が0.05mol%以内
で、かつ2価、4価の元素の総量が1.0mol%以内
の範囲となるように添加した半導体磁器組成物を形成
し、この半導体磁器組成物を用いて成形、焼成して焼結
体を形成し、この焼結体の表面に一対の電極を形成する
半導体磁器素子の製造方法であり、これにより、室温で
の抵抗値を高く、かつ室温付近のB定数を小さく、また
高温領域のB定数を大きい好適な負の抵抗温度特性を有
するランタンコバルト系化合物半導体磁器素子を再現性
良く生産することができるという作用効果が得られる。
【0027】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)以下、実施の形
態1を用いて、本発明の特に請求項1,4,6,9,1
0に記載の発明について説明する。
【0028】まず、出発原料としてLa(OH)3とC
34をCoに対するLaのモル比が0.96(つまり
ランタンコバルト系酸化物がLa0.96CoO3の場合)
となるように各粉末を秤量し混合した。
【0029】次に、配合混合した粉末に(表1)に示す
ように2価の元素化合物と4価の元素化合物を2価、4
価の元素原子に換算して所定量になるように秤量して添
加した。尚、(表1)において×印を付けたものは本発
明の範囲外を示す。
【0030】
【表1】
【0031】次に得られた粉末に純水を加え、ボールミ
ルで湿式混合後、脱水乾燥し、粉体にしてこの粉体をラ
ンタン原子がコバルト原子と反応して未反応のランタン
化合物が残らないように1000℃で仮焼を行った。
【0032】その後、ボールミルで湿式粉砕、脱水乾燥
し、純水とバインダーとしてポリビニールアルコール
(PVA)を添加し、顆粒状に造粒した後、円板状の成
形体を作製した。
【0033】次に、前記円板状の成形体を匣詰めし、所
望の焼結密度を有してぺロブスカイト構造の焼結体が得
られるように、所定の焼成温度で焼成し焼結体を得た。
【0034】次いで、この焼結体の両主面にAg−Pd
ペーストをスクリーン印刷して塗布した後、大気中で焼
き付けて一対の電極を形成し、半導体磁器素子を得た。
【0035】以上のように製造した半導体磁器素子につ
いて、比抵抗、B定数特性を測定して、従来例と比較
し、前記の(表1)に示した。
【0036】ここで、比抵抗、B定数特性は直流四端子
法を用いて、この半導体磁器素子の比抵抗ρとB定数の
各電気特性を測定した。このとき、比抵抗(ρ)は25
℃の雰囲気中で測定した値である。
【0037】また、B定数は温度変化による抵抗値の変
化を示す定数であり、温度T1、及びT2における抵抗
をそれぞれR1及びR2、自然体数をlnとし、(式
1)のように定義され、B定数の数値が大きいほど温度
による抵抗変化が大きい。
【0038】(式1) B定数=〔lnR1−lnR2〕/(1/T1−1/T2) したがって、前記の(式1)をもとに、B定数、B(25/
50)とB(100/150)はそれぞれ以下の(式2)、(式3)
を用いて算出した。
【0039】(式2) B(25/50)=〔lnR50−lnR25〕/〔1/T(50+237.15)−1
/T(25+237.15)〕 (式3) B(100/150)=〔lnR150−lnR100〕/〔1/T(150+237.1
5)−1/T(100+237.15)〕 測定して得られたB定数特性の判定は、高温領域のB(1
00/150)において、4000K以上の場合を良品とし、
4000K以下の場合は不良品とした。
【0040】(表1)に示すように、主成分La0.96
oO3に副成分として2価の元素化合物と4価の元素化
合物の両方を添加することにより高温でのB定数を40
00K程度に維持しながら、低温でのB定数をより低下
させることができることを確認した。
【0041】以上のように本発明の実施の形態1に示す
半導体磁器組成物とこれを用いた半導体磁器素子及びそ
の製造方法により、室温付近での抵抗値を高く、しかも
B定数の勾配を小さくまた高温でのB定数の勾配を大き
くすると共に、製造ロット間の電気特性のばらつきを低
減することができた。
【0042】(実施の形態2)以下、実施の形態2を用
いて、本発明の特に請求項2〜4及び6〜8及び11に
記載の発明について説明する。尚、本実施の形態2の半
導体磁器組成物とこれを用いた半導体磁器素子は、基本
的に実施の形態1と同じ構成であるので、詳細な説明は
省略し、ここでは特徴とする部分について説明する。
【0043】まず、出発原料としてLa(OH)3とCo3
4をCoに対するLaのモル比が0.96(つまりラ
ンタンコバルト系酸化物が、La0.96CoO3の場合)
となるように各粉末を秤量し混合した。
【0044】次に、配合混合した粉末に(表2)に示す
ように、2価の元素化合物と4価の元素化合物を2価、
4価の元素原子に換算して所定量になるように秤量して
添加した。尚、(表2)において×印を付けたものは本
発明の範囲外を示す。
【0045】
【表2】
【0046】次に、実施の形態1と同様に、半導体磁器
素子を作製してそれぞれ比抵抗とB定数を測定し、その
結果を前記(表2)に示した。
【0047】測定されたB定数特性の判定は、前記実施
の形態1と同様に測定して得られたB定数特性の判定
は、高温領域のB(100/150)において、4000K以上
の場合を良品とし、4000K以下の場合は不良品とし
た。
【0048】また、試料番号28〜31のように、2価
の元素と4価の元素量の差が0.05mol%より多い
場合には、高温でのB定数が4000Kより小さく好ま
しくない。従って2価の元素と4価の元素量の差が0.
05mol%以内とすることが望ましい。
【0049】また、試料番号34,35のように、2価
の元素と4価の元素量の差が0.05mol%以内でも
2価の元素と4価の元素の総量が1.0mol%以上で
ある場合には高温でのB定数が4000Kより小さく好
ましくない。従って、2価の元素と4価の元素の合計量
が1.0mol%以内とすることが望ましい。
【0050】以上のように本実施の形態2における半導
体磁器素子は、主成分のランタンコバルト系酸化物に副
成分として2価の元素と4価の元素を含有させ、この2
価の元素の総量と4価の元素の総量の差及びその総量を
規定することにより、室温での比抵抗及び高温でのB定
数を安定させた好適な負の温度特性を有し、再現性に優
れた効果を得られる。
【0051】(実施の形態3)以下、実施の形態3を用
いて、本発明の特に請求項5に記載の発明について説明
する。尚、本実施の形態3の半導体磁器組成物とこれを
用いた半導体磁器素子は、基本的に実施の形態1と同じ
構成であるので、詳細な説明は省略し、ここでは特徴と
する部分について説明する。
【0052】半導体磁器素子の主成分であるランタンコ
バルト系酸化物LaxCoO3のコバルト原子量に対する
ランタン原子量xを変化させ、副成分の2価の元素と4
価の元素量の差が0.05mol%以内である原子に換
算して2価の元素と4価の元素量を0.01mol%に
固定し、実施の形態1と同様にして半導体磁器素子を作
製し、それぞれ比抵抗とB定数を測定し、その結果を
(表3)に示す。尚、(表3)において×印を付けたも
のは本発明の範囲外を示す。
【0053】
【表3】
【0054】測定して得られたB定数特性の判定は、高
温領域のB(100/150)において、4000K以上の場合
を良品とし、4000K以下の場合は不良品とした。
【0055】(表3)に示すように、主成分中のコバル
ト原子1molに対するランタン原子量xが0.6〜
0.99molの範囲にある場合には、高温でB定数を
4000K以上に維持しながら低温でのB定数を350
0K未満に低下させることが確認できた。
【0056】ここで試料番号41のように、ランタン原
子量xが0.6より少ない場合には、高温のB定数が4
000K以下となり昇温時の抵抗値を十分小さくするこ
とが難しい。一方試料番号47,48のように0.99
より多い場合には、高温のB定数が4000K以上であ
るが、焼結体中の未反応の酸化ランタン(La23)が
大気中の水分と反応して膨潤して、半導体磁器が崩壊し
てしまう。従ってランタン原子量xは0.6〜0.99
とすることが望ましい。
【0057】(実施の形態4)以下、実施の形態4を用
いて、本発明の特に請求項11に記載の発明について説
明する。尚、本実施の形態4の半導体磁器素子の製造方
法は、基本的に実施の形態1と同じ構成であるので、詳
細な説明は省略し、ここでは特徴とする部分について説
明する。
【0058】出発原料としてLa(OH)3とCo34
Coに対するLaのモル比が0.96(つまりランタン
コバルト系酸化物が、La0.96CoO3の場合)となる
ように各粉末を秤量し、混合、次いでこの粉体をランタ
ン原子がコバルト原子と反応して未反応のランタン化合
物が残らないように1000℃で仮焼した。
【0059】その後、この仮焼粉末に(表4)に示すよ
うに2価の元素化合物と4価の元素化合物を2価、4価
のmol%に換算して所定量秤量して添加した。
【0060】
【表4】
【0061】次に得られた粉末に純水を加え、ボールミ
ルで湿式混合後、脱水乾燥し、粉体にした。その後、ボ
ールミルで湿式粉砕、脱水乾燥し、純水とバインダーと
してポリビニールアルコール(PVA)を添加し、顆粒
状に造粒した後、円板状の成形体を作製する。
【0062】これらを匣詰めし、ペロブスカイト構造と
なり所望の焼結密度を有する焼結体が得られるような焼
成温度、大気中で焼成し半導体磁器を得た。次いでこの
半導体磁器の両面にAg−Pdペーストをスクリーン印
刷して塗布した後、大気中で焼き付けて電極を形成して
半導体磁器素子を得た。実施の形態1と同様にして半導
体磁器素子を作製し、それぞれ比抵抗とB定数を測定し
てその結果を(表4)に示した。
【0063】測定して得られたB定数特性の判定は、高
温領域のB(100/150)において、4000K以上の場合
を良品とし、4000K以下の場合は不良品とした。
【0064】この(表4)に示すように、仮焼後の仮焼粉
において2価の元素化合物と4価の元素化合物を2価の
元素、4価の元素原子に換算して2価の元素と4価の元
素量の差が0.05mol%以内でなくても、仮焼後の
仮焼粉に副成分として2価の元素化合物と4価の元素化
合物を2価の元素、4価の元素原子に換算して2価の元
素と4価の元素量の差が0.05mol%以内で添加す
ると高温でのB定数を4000K程度に維持しながら、
低温でのB定数をより低下させることができることを確
認した。
【0065】また、2価の元素と4価の元素量の差が
0.05mol%以内で2価の元素と4価の元素量の合
計が1.0mol%以内で添加すると高温でのB定数を
4000K程度に維持しながら、低温でのB定数をより
低下させることができることを確認した。
【0066】試料番号52,56のように、仮焼後の調
整後2価の元素と4価の元素量の差が0.05mol%
より多い場合には、高温でのB定数が4000Kより小
さく好ましくない。従って2価の元素と4価の元素量の
差が0.05mol%以内とすることが望ましい。
【0067】また、試料番号58のように、仮焼後の調
整後2価の元素と4価の元素量の差が0.05mol%
以内であっても2価の元素と4価の元素量が1.0mo
l%以上である場合には高温でのB定数が4000Kよ
り小さく好ましくない。従って、2価の元素と4価の元
素の合計量が1.0mol%以内とすることが望まし
い。
【0068】
【発明の効果】以上、本発明によると、室温付近での抵
抗値を高く、しかもB定数の勾配を小さく、また高温で
のB定数の勾配を大きくすると共に、製造ロット間の電
気特性にばらつきが少ない半導体磁器組成物と、それを
用いた半導体磁器素子とその製造方法を得ることがで
き、この半導体磁器素子を電子回路間に接続することに
より電子機器の消費電力量を低減でき、常温付近での突
入電流を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な半導体磁器素子の外観斜視図
【符号の説明】
1 半導体磁器素子 2,3 電極

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ランタンコバルト系化合物に、2価の元
    素と4価の元素を添加した負の抵抗温度特性を有する半
    導体磁器組成物。
  2. 【請求項2】 ランタンコバルト系化合物に対し添加す
    る2価の元素の総量と4価の元素の総量との差が0.0
    5mol%以内とした請求項1に記載の半導体磁器組成
    物。
  3. 【請求項3】 ランタンコバルト系化合物に対し添加す
    る2価の元素と4価の元素の総量が1.0mol%以内
    の範囲とした請求項1に記載の半導体磁器組成物。
  4. 【請求項4】 2価の元素は、Mg,Ca,Sr,B
    a,Ni,Cu,Znの群の内から選ばれた少なくとも
    一種類、4価の元素は、Si,Ge,Sn,Ti,Z
    r,Hf,Mnの群の内から選ばれた少なくとも一種類
    とした請求項1に記載の半導体磁器組成物。
  5. 【請求項5】 ランタンコバルト系化合物がLaxCo
    3(但し、0.6≦x≦0.99)からなる請求項1
    に記載の半導体磁器組成物。
  6. 【請求項6】 ランタンコバルト系化合物に、2価の元
    素と4価の元素を添加した負の抵抗温度特性を有する半
    導体磁器組成物からなる半導体磁器の表面に一対の電極
    を形成した半導体磁器素子。
  7. 【請求項7】 半導体磁器組成物のランタンコバルト系
    化合物に対し添加する2価の元素の総量と4価の元素の
    総量との差が0.05mol%以内とした請求項6に記
    載の半導体磁器素子。
  8. 【請求項8】 半導体磁器組成物のランタンコバルト系
    化合物に対し添加する2価の元素と4価の元素の総量が
    1.0mol%以内の範囲とした請求項6に記載の半導
    体磁器素子。
  9. 【請求項9】 2価の元素はMg,Ca,Sr,Ba,
    Ni,Cu,Znの群の内から選ばれた少なくとも一種
    類、4価の元素はSi,Ge,Sn,Ti,Zr,H
    f,Mnの群の内から選ばれた少なくとも一種類とした
    請求項6に記載の半導体磁器素子。
  10. 【請求項10】 所定量のランタン化合物、コバルト化
    合物、2価の元素化合物及び4価の元素化合物とを混合
    した後、この混合物にランタン化合物とコバルト化合物
    とが化学反応する温度領域で仮焼を行い仮焼粉を形成
    し、次にこの仮焼粉を用いて成形、焼成して焼結体を形
    成し、この焼結体の表面に一対の電極を形成する半導体
    磁器素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 所定量のランタン化合物とコバルト化
    合物を混合した後、この混合物にランタン化合物とコバ
    ルト化合物とが化学反応する温度領域で仮焼を行い仮焼
    粉を形成し、この仮焼粉に2価の元素と4価の元素とを
    2価の元素の総量と4価の元素の総量の差が0.05m
    ol%以内で、かつ2価、4価の元素の総量が1.0m
    ol%以内の範囲となるように添加した半導体磁器組成
    物を形成し、この半導体磁器組成物を用いて成形、焼成
    して焼結体を形成し、この焼結体の表面に一対の電極を
    形成する半導体磁器素子の製造方法。
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