JP2002080527A - シリコーン系重合体組成物の製造方法およびカチオン硬化性組成物 - Google Patents

シリコーン系重合体組成物の製造方法およびカチオン硬化性組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の課題は、シリコーンの特徴である離型
性が付与された、無溶剤型のシリコーン系重合体組成物
を提供することである。 【解決手段】オキセタン化合物の存在下、下記(A)お
よび(B)からなる単量体混合物をラジカル重合させて
得られる重合体オキセタン溶液に、エポキシ化合物を反
応させることを特徴とする、シリコーン系重合体組成物
の製造方法。 (A)カルボキシル基を有するビニル単量体 (B)分子末端にビニル基を有する数平均分子量500
〜30,000のシリコーンマクロモノマー

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコーン成分を
含有する重合体組成物の製造方法に関するものであり、
該製造方法で得られるシリコーン系重合体組成物は、シ
リコーンの特徴である離型性、潤滑性、耐汚染性などを
有し、塗料・コーティング剤、フィルム・シート状材
料、成形材料、封止材および接着剤等として好適に利用
できる。
【0002】
【従来の技術】紫外線や電子線などの活性エネルギー線
で硬化する樹脂の一つとして、カチオン硬化型のオキセ
タン化合物が知られている。オキセタン化合物は同じく
活性エネルギー線で硬化する多官能アクリレートと比べ
て低粘度、低臭気、低皮膚刺激性であり、酸素阻害を受
け難いため薄膜硬化性に優れている。また、得られる硬
化物の強靭性に優れ、かつ、収縮率が低いことから下地
との密着性にも優れている。さらに、汎用エポキシ樹脂
との共重合性にも優れているため、機械的強度や接着性
の良い硬化物を容易に得ることができることが知られて
いる(例えば、特開平8−85775公報、特開平8−
134405公報参照)。一方、ケイ素原子と酸素原子
が直線状に連結した高分子量体であるシリコーンは、そ
の特異な分子構造に起因し、表面張力が例外的に低いと
いう特徴を持っている。この性質は実用面で、潤滑性、
離型性、耐寒性、撥水性、気体透過性、耐熱老化性など
の特殊機能として表れ、高分子材料を改質する有力な手
段となっている。そのため、オキセタン化合物とシリコ
ーンを組み合わせれば、高付加価値の高い樹脂が製造す
ることができる。
【0003】しかしながら、シリコーンを硬化性組成物
に組み込む際問題となるのは、相溶性の悪さであり、具
体的には、配合液が白濁・層分離し易く、また硬化後塗
膜のシリコーン改質効果が経時的に低下し易いという問
題がある。これに対し汎用樹脂との相溶性を高める手段
として、シリコーン連鎖を短くして反応性基を導入する
方法があるが、シリコーンの特徴を弱める結果となり改
質効果が低下する。また、シリコーン連鎖の分子量が高
いまま汎用樹脂との相溶性を高める手段として、シリコ
ーン連鎖を持ったグラフトポリマーを利用する方法が知
られている。例えば、シリコーンマクロモノマーを用い
て合成したグラフトポリマーにラジカル重合性アクリル
基を導入し、活性エネルギー線硬化型組成物に利用した
例があり、このグラフトポリマーと多官能アクリレート
の配合物は、シリコーンの特徴である耐汚染性や離型
性、潤滑性を備えたUV硬化性樹脂として興味深い。し
かし、ポリマーを含有するアクリレート組成物であるた
め、実用的な液粘度に調整するためには、有機溶剤の使
用が必須であり、無溶剤系であるべきUV硬化樹脂の特
徴が損なわれている。従って、これまでのところ、シリ
コーンとオキセタン化合物を組み合わせた、無溶剤型の
樹脂は得られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、シリ
コーンの特徴である離型性が付与された、無溶剤型のシ
リコーン系重合体組成物の製造方法を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高シリコ
ーン含量のグラフトポリマーをカチオン硬化性組成物中
に均一に相溶化する方法に関して鋭意検討した結果、オ
キセタンの存在下で重合させたシリコーン系グラフトポ
リマーを、更に多官能エポキシ化合物で変性することに
よって前記課題が解決することを見出し本発明を完成す
るに至った。すなわち、本発明はオキセタン化合物の存
在下、下記(A)および(B)からなる単量体混合物を
ラジカル重合させて得られる重合体オキセタン溶液にエ
ポキシ化合物を反応させることを特徴とする、シリコー
ン系重合体組成物の製造方法である。 (A)カルボキシル基を有するビニル単量体 (B)分子末端にビニル基を有する数平均分子量500
〜30,000のシリコーンマクロモノマー
【0006】
【発明の実施の形態】1.オキセタン化合物 本発明におけるオキセタン化合物としては、分子中に1
個以上のオキセタン環を有する化合物であれば特に限定
なく使用できる。具体的には特開平8−85775号公
報および特開平8−134405号公報等に記載された
各種のオキセタン化合物が挙げられ、これらの中でも、
硬化性組成物の低粘度化に有効であることから、1分子
中にオキセタン環を1個または2個持つ化合物が好まし
い。例えば、1分子中にオキセタン環を1個有する化合
物の例として、3―エチル―3−[(フェノキシ)メチ
ル]オキセタン、3―エチル―3−(ヘキシロキシメチ
ル)オキセタン、3―エチル―3−(2−エチルヘキシ
ロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−(ヒドロ
キシメチル)オキセタン、3―エチル―3−(クロロメ
チル)オキセタン等が挙げられ、また代表的な2官能オ
キセタン化合物として、1,4−ビス[(3−エチル−
3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス
{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテ
ル等が挙げられる。これらの中でも、常温での粘度が低
く、シリコーンマクロモノマーや生成するグラフトポリ
マーの溶解力に優れた、炭素数3〜10の直鎖または分
岐アルキルエーテル基を有する単官能オキセタン化合物
が好ましく使用される。具体的には、3―エチル―3−
(ヘキシロキシメチル)オキセタンや3―エチル―3−
(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタンなどのア
ルコキシエーテル型オキセタンが好適に使用される。
【0007】2.単量体混合物 単量体混合物は、以下に説明する(A)および(B)を
必須成分とするが、これ以外に他のビニル単量体(C)
を併用することが好ましい。これらの単量体混合物をオ
キセタン化合物の存在下にラジカル重合させることで、
シリコーンを枝にビニル重合体を幹に持つグラフトポリ
マーが得られる。反応はオキセタン化合物を溶媒とする
溶液ラジカル重合によって行われる。単量体混合物の各
成分の好ましい質量割合は(A)2〜40質量%、
(B)20〜80質量%、(C)5〜90質量%であ
る。さらに好ましくは(A)5〜30質量%、(B)3
0〜70質量%である。(A)が2質量%未満ではエポ
キシ化合物との相溶性が不足し、40質量%を越えると
重合中に層分離しやすい。また、(B)が20質量%未
満では硬化物に離型性などの特性が反映しにくく、80
質量%を越えるとエポキシ化合物との相溶性が低下す
る。
【0008】カルボキシル基を有するビニル単量体
(A) カルボキシル基を有するビニル単量体(A)は、1分子
中にビニル基およびカルボキシル基を有する化合物であ
る。ビニル基としては、ラジカル重合性に優れた(メ
タ)アクリロイル基およびスチリル基などが好ましい。
カルボキシル基は、その一部または全部が金属塩でも構
わないが、後工程であるエポキシ基付加の反応性の点か
ら金属塩でない方が好ましい。カルボキシル基含有ビニ
ル単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル
酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン
酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレ
ート(東亞合成(株)製商品名:アロニックスM−530
0として入手できる)、フタル酸モノヒドロキシエチル
アクリレート(東亞合成(株)製商品名:アロニックス
M−5400として入手できる)、アクリル酸ダイマー
(東亞合成(株)製商品名:アロニックスM−5600
として入手できる)などが挙げられる。
【0009】シリコーンマクロモノマー(B) 本発明におけるシリコーンマクロモノマー(B)は、分
子末端にビニル基を有する数平均分子量500〜30,
000のシリコーンマクロモノマーである。分子末端の
ビニル基としては、優れたラジカル重合性を有すること
から(メタ)アクリロイル基およびスチリル基が好まし
い。また、このビニル基はポリマー分子の片末端にあっ
ても両末端にあっても良いが、重合注の架橋反応起きに
くいことから片末端タイプが好ましい。骨格構造のシリ
コーンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチ
ルシロキサン、ポリジメチルフェニルシロキサンおよび
ポリジフェニルシロキサン等に代表されるポリオルガノ
シロキサンが挙げられる。市販されているマクロモノマ
ーの例としては、東亞合成(株)製AK−5およびAK
−32(いずれも商品名)、信越化学工業(株)製のX
−22−174DX(商品名)およびチッソ(株)製F
M−0725(商品名)等が挙げられる。シリコーンマ
クロモノマーの好ましい分子量は、数平均分子量で1,
000〜20,000である。シリコーンマクロモノマ
ーの数平均分子量が1,000未満では、硬化物にシリ
コーン単位に基づく特性が発現し難く、20,000を
越えると、反応性が低下するためグラフト化しない遊離
シリコーン量が増加する。なお、本発明において述べる
分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで
測定しポリスチレン換算した値である。
【0010】他のビニル単量体(C) 他のビニル単量体(C)は、前記単量体(A)および
(B)と共重合性があるビニル単量体である。これらの
中でも、十分なラジカル重合性を有することからアクリ
ル系、メタクリル系、スチレン系、ビニルエステル系お
よびビニルエーテル系の各種単量体が好ましく使用でき
る。アクリル系およびメタクリル系単量体の例として
は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プ
ロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アク
リレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチ
ル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)
アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、ラ
ウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アク
リレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマ
ンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノ
ールモノ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル
(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)ア
クリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)
アクリレート、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル
コハクイミドやN−(メタ)アクリロイルオキシエチル
フタルイミド等のイミド(メタ)アクリレート化合物、
アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミ
ド、パーフロロアルキルエチル(メタ)アクリレート、
パーフロロアルキルメチル(メタ)アクリレート、パー
フロロアルキル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシ
メチルアクリル酸の各種アルキルエステルとその縮合二
量体、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、
トリアルコキシシリルアルキル(メタ)アクリレートに
代表されるアルコキシシリル基含有(メタ)アクリレー
トなどが挙げられる。
【0011】スチレン系ビニル単量体の例としては、ス
チレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンやt−ブ
チルスチレンなどのスチレンの芳香環がアルキル基で置
換された置換スチレン類、クロロメチルスチレン、ヒド
ロキシスチレンなどが挙げられる。また、ビニルエステ
ル系単量体の例としては酢酸ビニルやプロピオン酸ビニ
ルが挙げられ、ビニルエーテル系単量体の例としては、
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピ
ルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル化合物
が挙げられる。
【0012】3.エポキシ化合物 エポキシ化合物としては、分子内に少なくとも一個のエ
ポキシ基を有する公知の脂環式エポキシ化合物、芳香族
エポキシ化合物が使用できるが、エポキシ基を2個以上
有する多官能エポキシ化合物が好ましくは挙げられる。
好ましい脂環式エポキシ化合物の例としては、3,4−
エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシク
ロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)アジペートなどのエポキシ化シクロ
ヘキシル基を2つ以上有する化合物が挙げられる。これ
らの化合物は米国ユニオンカーバイド社製CYRACU
REレジンとして使用されている。芳香族エポキシ化合
物の具体例としては、ビスフェノールAジグリシジルエ
ーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル縮合
物、ノボラック樹脂やクレゾール樹脂のエピクロルヒド
リン変性物などが挙げられる。これらのエポキシ化合物
は硬化物に必要とされる性能に応じ、単独あるいは混合
して使用することができる。本発明においては、カチオ
ン硬化性が優れている点で多官能の脂環式エポキシ化合
物が特に好ましく使用される。
【0013】4.シリコーン系重合体組成物の製造方法 シリコーン系重合体組成物の製造は、前記オキセタン化
合物の存在下に、前記単量体混合物をラジカル重合させ
る重合工程と、得られたオキセタン重合体溶液にエポキ
シ化合物の付加反応させる工程から成る。重合工程は、
オキセタン化合物を溶媒として用い、アゾ化合物や有機
過酸化物などの公知のラジカル開始剤を用いて、単量体
混合物を重合させる。一般にオキセタン化合物は低粘度
でビニル重合体の溶解力に優れ、更にラジカル反応に対
して不活性であるため、ラジカル重合の溶媒としての使
用が可能となる。上記重合工程で使用するオキセタン化
合物と単量体混合物の混合割合は、オキセタン化合物:
単量体混合物=20〜90:80〜10(質量%)であ
ることが好ましく、更に好ましくは、30〜80:70
〜20(質量%)である。オキセタン化合物の割合が2
0質量%未満であると、重合に層分離しやすくなり、9
0質量%を越えるとモノマーの重合率が低下して未反応
モノマー量が増加するため好ましくない。
【0014】重合温度は40〜180℃が好ましく、5
0〜150重量%が更に好ましい。重合温度が40℃未
満では重合速度が遅く反応時間が長くなり過ぎ、180
℃を越えるとオキセタン化合物の一部が反応を起して硬
化性を阻害しやすい。
【0015】次にエポキシ化合物の付加反応工程は、前
記の方法で得た重合体オキセタン溶液にエポキシ化合物
を添加して、加熱条件下に重合体中のカルボキシル基に
付加反応させるものである。使用するエポキシ化合物の
添加量は、重合体中カルボキシル基に対するエポキシ基
のモル比で2倍以上が好ましく、5倍以上が更に好まし
い。エポキシ基のモル比が2倍以下では重合体が高分子
量化あるいは架橋し易いため好ましくない。エポキシ化
合物の付加反応は、無触媒でも50℃以上の温度に反応
液を加熱することに進行するが、反応時間を短縮したい
場合には四級アンモニウム塩、三級アミン、四級ホスホ
ニウム塩などの触媒を添加しても良い。これらの触媒は
カチオン硬化性を損ねる可能性があるため、添加量は反
応液に対して3質量%以下が好ましく、1質量%以下が
更に好ましい。
【0016】反応温度は40〜180℃であることが好
ましく、50〜150℃が更に好ましい。反応温度が4
0℃未満では重合速度が遅く反応時間が長くなり過ぎ、
180℃を越えるとオキセタン化合物の一部が反応を起
して硬化性を阻害しやすい。エポキシ付加反応の反応率
は反応液中の酸価をアルカリ滴定などの方法で経時的に
追跡することによって容易に測定できる。エポキシ付加
反応工程は通常重合工程の後に行われるが、反応時間短
縮が要望される場合には、重合工程の後期〜終期にエポ
キシ反応を開始しても良い。但しこの場合、未反応シリ
コーンの残存を抑えるため、重合転化率が少なくとも7
0%に達した段階でエポキシ付加反応を開始するのが好
ましい。なお、シリコーン系重合体組成物の製造に際し
て、必要に応じ各種の有機溶媒、重合度調整剤などの添
加剤を使用することもできる。
【0017】5.シリコーン系重合体組成物の配合 本発明におけるシリコーン系重合体組成物に、光または
熱カチオン重合開始剤を添加すれば、光または熱硬化性
の組成物となるが、硬化物の機械的強度を高めて実用的
なフィルム強度を得るためにさらにエポキシ化合物を配
合するのが好ましい。用いるエポキシ化合物としては、
前項のエポキシ化合物の付加反応工程の説明で例示した
ような各種の化合物が使用でき、これらの中でも多官能
の脂環式エポキシ化合物が特に好ましい。
【0018】前記光カチオン重合開始剤は、活性エネル
ギー線の作用によって開裂し強酸を放出する化合物であ
り、熱カチオン重合開始剤は、熱の作用即ち温度の上昇
によって開裂し強酸を放出する化合物である。光カチオ
ン重合開始剤としては、例えば、UV・EB硬化材料
[(株)シーエムシー、1992年発行]の3.1.5
項63−65頁に記載されているような化合物が挙げら
れ、これらの中でも、下記式(1)に代表されるトリア
リールスルホニウムヘキサフロロホスフェート塩、リン
原子をアンチモン原子で置換されたトリアリールスルホ
ニウムヘキサフロロアンチモネート塩、下記式(2)で
表される化合物に代表されるジアリールヨードニウム塩
が好ましく用いられる。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】熱カチオン重合開始剤としては、例えば、
SbF6、−SbF4、−AsF6、−PF6−など陰イオ
ン成分とする窒素、イオウ、リンまたはヨードのオニウ
ム塩が挙げられる。具体的には、四級アンモニウム塩型
化合物、スルホニウム塩型化合物、ホスホニウム塩型化
合物、ヨードニウム塩型化合物などが有り、旭電化工業
(株)製アデカオプトンCP−66、CP−77(いず
れも商品名)、三新化学工業(株)製サンエイドSI−
60L、SI−80LおよびSI−100L(いずれも
商品名)などの市販開始剤を使用することができる。
【0022】前記光または熱カチオン重合開始剤の好ま
しい使用量は、カチオン硬化性組成物の全量100質量
部に対して、0.2〜10質量部であり、0.5〜5質
量部が更に好ましい。重合開始剤の添加量が0.2質量
部未満では硬化性が不足し、10質量部を越えると硬化
物の強靭性が低下する。本発明におけるカチオン硬化性
組成物は、必要に応じ各種のカチオン硬化性化合物、充
填剤、カップリング剤、難燃剤、可塑剤、低収縮化剤、
潤滑剤、表面改質剤、染料・顔料等の添加剤を配合する
ことができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
さらに具体的に説明する。各例における成分配合の部
は、全て質量部である。 実施例1 エポキシ変性シリコーン系重合体組成物の製
造 攪拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管を備え付けた
フラスコに、X−22−174DX(信越化学(株)製
の片末端メタクリメイル基含有シリコーン系マクロモノ
マー、Mn:6000)60部、ω−カルボキシ−ポリ
カプロラクトンモノアクリレート(東亞合成(株)製ア
ロニックスM−5300)12部、2−エチルヘキシル
アクリレート18.2部、n−ドデシルメルカプタン
0.3部および3―エチル―3−(2−エチルヘキシロ
キシメチル)オキセタン(東亞(株)製アロンオキセタ
ンOXT−212)92部を入れ、窒素を溶液にバブリ
ングしながら加熱攪拌した。これとは別に2,2'−ア
ゾビス−(2−メチルブチロニトリル)(日本ヒドラジ
ン工業(株)製商品名ABN−E)2部を3―エチル―
3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン8部
に溶解して開始剤溶液を調製した。反応液が90℃に達
した時点で開始剤溶液2gを投入し、残りの開始剤溶液
を滴下ロートに入れて、2時間かけて反応液中に連続供
給した。反応液の温度は90〜95℃に保持した。滴下
終了後更に2時間同温度で反応し、シリコーンクララフ
トポリマーのオキセタン溶液を得た。この重合液に、
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポ
キシシクロヘキサンカルボキシレート(ユニオンカーバ
イド社製脂環式エポキシ化合物、商品名UVR−611
0)207.2部とテトラブチルアンモニウムブロミド
0.8部を入れ、90〜100℃で2時間反応させた。
この間、反応初期の溶液の濁り徐々に消失し透明液とな
った。溶液の酸価から計算した反応率は98%以上であ
った。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
から求めた分子量(ポリスチレン換算)は、28,000
(数平均)および74,000(重量平均)であった。
【0024】実施例2〜4および比較例 カチオン硬
化性組成物の調整と硬化 下記表1に示す組成のカチオン硬化性組成物を配合した
後、クロメート処理アルミニウム板上に、バーコータ#
3を用いて塗膜を形成した後、80W/cmの高圧水銀
ランプを設置したコンベアタイプの紫外線照射装置(ラ
ンプ高さ=10cm、コンベアスピード=10m/mi
n)を用いて2パス通し硬化させた。硬化塗膜を室温で
1日放置した後、下記に示した塗膜の評価を行い、結果
を表1に示した。なお、塗膜物性の試験方法は以下の通
りである。 ・鉛筆硬度:JIS K5400に記載の手かき法で測
定した。 ・密着性:JIS K5400に記載の碁盤目テープ剥
離法にて、マス目100個中の剥離マス目数で評価し
た。 ・屈曲性:JIS K5400に記載のとおり、直径1
0mmおよび2mmで180゜折り曲げ塗膜のひび・剥
がれの有無で評価した。 ・耐マジック(登録商標)汚染性:油性インクペンで塗
膜表面をマークし、10分後にティッシュペーパーで拭
き取り、以下の判定基準に従って評価した。 ○:インクの染み込みがない △:わずかにインクの染み込みが残る ×:拭き取れない ・セロテープ(登録商標)剥離強度:1インチ巾の市販
のセロハンテープ(コクヨ スーパーテープ 24mm×
35m 包装用PP粘着テープ)を塗膜上に気泡が入ら
ぬよう注意して張り付け、ゴムロールで数回強く圧着し
た。1日後セロテープの180゜剥離強度を、東洋測定
器(株)製テンシロンUTM−4Lを使用し5Kgのロ
ードセルを用いて測定した。引張り速度は300mm/
minとした。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】本発明の製造方法で得られるシリコーン
系重合体組成物は、グラフトポリマー中のシリコーン含
量を多くしてもエポキシ化合物との相溶性が優れる。そ
の結果、硬化物中のシリコーン含量が低くても塗膜表面
のシリコーン組成が高い塗膜が得られる。効率的にシリ
コーン成分が濃縮するため、離型性、耐汚染性、潤滑性
などに優れた硬化塗膜が容易に得られる。この特長を利
用して、離型性や耐汚染性、潤滑性に優れた塗料・コー
ティング材料、光学用フィルム・シート状材料、成形材
料、接着剤、電気絶縁材料等に応用可能である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 PA35 PB08 PB40 PC02 PC08 4J027 AF04 AF05 BA04 BA06 BA07 CA29 CC02 CC03 CD08 CD09 4J036 AA05 AB01 AB07 AD08 AF06 AF08 AG04 AK01 AK17 FB01 FB16 GA02 GA24 GA26 HA02 JA01 JA06 JA07 KA01 4J100 AB07Q AJ01P AJ02P AJ09P AK32P AL08P AL08Q BA03H BA11P BA15H BA15P BA16P BA81Q BC43P BC54H BC58P CA04 FA03 HA11 HA61 HC39 JA01 JA03 JA46

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オキセタン化合物の存在下、下記(A)お
    よび(B)からなる単量体混合物をラジカル重合させて
    得られる重合体オキセタン溶液に、エポキシ化合物を反
    応させることを特徴とする、シリコーン系重合体組成物
    の製造方法。 (A)カルボキシル基を有するビニル単量体 (B)分子末端にビニル基を有する数平均分子量500
    〜30,000のシリコーンマクロモノマー
  2. 【請求項2】オキセタン化合物が炭素数3〜10の直鎖
    または分岐アルキルエーテル基を有する単官能オキセタ
    ン化合物であり、エポキシ化合物が多官能の脂環式エポ
    キシ化合物である、請求項1記載のシリコーン系重合体
    組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】オキセタン化合物と単量体混合物の合計量
    に対するオキセタン化合物の割合が20〜90質量%で
    ある、請求項1または請求項2に記載のシリコーン系重
    合体組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜請求項3のいずれかに記載のシ
    リコーン系重合体組成物に、脂環式エポキシ化合物およ
    びカチオン重合開始剤を配合してなるカチオン硬化性組
    成物。
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