JP4524888B2 - シリコーン系重合体組成物の製造方法およびカチオン硬化性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコーン成分を含有する重合体組成物の製造方法に関するものであり、該製造方法で得られるシリコーン系重合体組成物は、シリコーンの特徴である離型性、潤滑性、耐汚染性などを有し、塗料・コーティング剤、フィルム・シート状材料、成形材料、封止材および接着剤等として好適に利用できる。
【0002】
【従来の技術】
紫外線や電子線などの活性エネルギー線で硬化する樹脂の一つとして、カチオン硬化型のオキセタン化合物が知られている。オキセタン化合物は同じく活性エネルギー線で硬化する多官能アクリレートと比べて低粘度、低臭気、低皮膚刺激性であり、酸素阻害を受け難いため薄膜硬化性に優れている。また、得られる硬化物の強靭性に優れ、かつ、収縮率が低いことから下地との密着性にも優れている。さらに、汎用エポキシ樹脂との共重合性にも優れているため、機械的強度や接着性の良い硬化物を容易に得ることができることが知られている(例えば、特開平8−85775公報、特開平8−134405公報参照)。
一方、ケイ素原子と酸素原子が直線状に連結した高分子量体であるシリコーンは、その特異な分子構造に起因し、表面張力が例外的に低いという特徴を持っている。この性質は実用面で、潤滑性、離型性、耐寒性、撥水性、気体透過性、耐熱老化性などの特殊機能として表れ、高分子材料を改質する有力な手段となっている。そのため、オキセタン化合物とシリコーンを組み合わせれば、高付加価値の高い樹脂が製造することができる。
【0003】
しかしながら、シリコーンを硬化性組成物に組み込む際問題となるのは、相溶性の悪さであり、具体的には、配合液が白濁・層分離し易く、また硬化後塗膜のシリコーン改質効果が経時的に低下し易いという問題がある。これに対し汎用樹脂との相溶性を高める手段として、シリコーン連鎖を短くして反応性基を導入する方法があるが、シリコーンの特徴を弱める結果となり改質効果が低下する。
また、シリコーン連鎖の分子量が高いまま汎用樹脂との相溶性を高める手段として、シリコーン連鎖を持ったグラフトポリマーを利用する方法が知られている。例えば、シリコーンマクロモノマーを用いて合成したグラフトポリマーにラジカル重合性アクリル基を導入し、活性エネルギー線硬化型組成物に利用した例があり、このグラフトポリマーと多官能アクリレートの配合物は、シリコーンの特徴である耐汚染性や離型性、潤滑性を備えたUV硬化性樹脂として興味深い。
しかし、ポリマーを含有するアクリレート組成物であるため、実用的な液粘度に調整するためには、有機溶剤の使用が必須であり、無溶剤系であるべきUV硬化樹脂の特徴が損なわれている。
従って、これまでのところ、シリコーンとオキセタン化合物を組み合わせた、無溶剤型の樹脂は得られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、シリコーンの特徴である離型性が付与された、無溶剤型のシリコーン系重合体組成物の製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高シリコーン含量のグラフトポリマーをカチオン硬化性組成物中に均一に相溶化する方法に関して鋭意検討した結果、オキセタンの存在下で重合させたシリコーン系グラフトポリマーを、更に多官能エポキシ化合物で変性することによって前記課題が解決することを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明はオキセタン化合物の存在下、下記(A)および(B)からなる単量体混合物をラジカル重合させて得られる重合体オキセタン溶液にエポキシ化合物を反応させることを特徴とする、シリコーン系重合体組成物の製造方法である。
(A)カルボキシル基を有するビニル単量体
(B)分子末端にビニル基を有する数平均分子量500〜30,000のシリコーンマクロモノマー
【0006】
【発明の実施の形態】
1.オキセタン化合物
本発明におけるオキセタン化合物としては、分子中に1個以上のオキセタン環を有する化合物であれば特に限定なく使用できる。具体的には特開平8−85775号公報および特開平8−134405号公報等に記載された各種のオキセタン化合物が挙げられ、これらの中でも、硬化性組成物の低粘度化に有効であることから、1分子中にオキセタン環を1個または2個持つ化合物が好ましい。
例えば、1分子中にオキセタン環を1個有する化合物の例として、3―エチル―3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3―エチル―3−(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−(クロロメチル)オキセタン等が挙げられ、また代表的な2官能オキセタン化合物として、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテル等が挙げられる。
これらの中でも、常温での粘度が低く、シリコーンマクロモノマーや生成するグラフトポリマーの溶解力に優れた、炭素数3〜10の直鎖または分岐アルキルエーテル基を有する単官能オキセタン化合物が好ましく使用される。具体的には、3―エチル―3−(ヘキシロキシメチル)オキセタンや3―エチル―3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタンなどのアルコキシエーテル型オキセタンが好適に使用される。
【0007】
2.単量体混合物
単量体混合物は、以下に説明する(A)および(B)を必須成分とするが、これ以外に他のビニル単量体(C)を併用することが好ましい。これらの単量体混合物をオキセタン化合物の存在下にラジカル重合させることで、シリコーンを枝にビニル重合体を幹に持つグラフトポリマーが得られる。反応はオキセタン化合物を溶媒とする溶液ラジカル重合によって行われる。
単量体混合物の各成分の好ましい質量割合は(A)2〜40質量%、(B)20〜80質量%、(C)5〜90質量%である。さらに好ましくは(A)5〜30質量%、(B)30〜70質量%である。
(A)が2質量%未満ではエポキシ化合物との相溶性が不足し、40質量%を越えると重合中に層分離しやすい。また、(B)が20質量%未満では硬化物に離型性などの特性が反映しにくく、80質量%を越えるとエポキシ化合物との相溶性が低下する。
【0008】
カルボキシル基を有するビニル単量体(A)
カルボキシル基を有するビニル単量体(A)は、1分子中にビニル基およびカルボキシル基を有する化合物である。ビニル基としては、ラジカル重合性に優れた(メタ)アクリロイル基およびスチリル基などが好ましい。カルボキシル基は、その一部または全部が金属塩でも構わないが、後工程であるエポキシ基付加の反応性の点から金属塩でない方が好ましい。
カルボキシル基含有ビニル単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート(東亞合成(株)製商品名:アロニックスM−5300として入手できる)、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート(東亞合成(株)製商品名:アロニックスM−5400として入手できる)、アクリル酸ダイマー(東亞合成(株)製商品名:アロニックスM−5600として入手できる)などが挙げられる。
【0009】
シリコーンマクロモノマー(B)
本発明におけるシリコーンマクロモノマー(B)は、分子末端にビニル基を有する数平均分子量500〜30,000のシリコーンマクロモノマーである。分子末端のビニル基としては、優れたラジカル重合性を有することから(メタ)アクリロイル基およびスチリル基が好ましい。また、このビニル基はポリマー分子の片末端にあっても両末端にあっても良いが、重合注の架橋反応起きにくいことから片末端タイプが好ましい。
骨格構造のシリコーンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリジメチルフェニルシロキサンおよびポリジフェニルシロキサン等に代表されるポリオルガノシロキサンが挙げられる。市販されているマクロモノマーの例としては、東亞合成(株)製AK−5およびAK−32(いずれも商品名)、信越化学工業(株)製のX−22−174DX(商品名)およびチッソ(株)製FM−0725(商品名)等が挙げられる。
シリコーンマクロモノマーの好ましい分子量は、数平均分子量で1,000〜20,000である。シリコーンマクロモノマーの数平均分子量が1,000未満では、硬化物にシリコーン単位に基づく特性が発現し難く、20,000を越えると、反応性が低下するためグラフト化しない遊離シリコーン量が増加する。なお、本発明において述べる分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定しポリスチレン換算した値である。
【0010】
他のビニル単量体(C)
他のビニル単量体(C)は、前記単量体(A)および(B)と共重合性があるビニル単量体である。これらの中でも、十分なラジカル重合性を有することからアクリル系、メタクリル系、スチレン系、ビニルエステル系およびビニルエーテル系の各種単量体が好ましく使用できる。アクリル系およびメタクリル系単量体の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハクイミドやN−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタルイミド等のイミド(メタ)アクリレート化合物、アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、パーフロロアルキルエチル(メタ)アクリレート、パーフロロアルキルメチル(メタ)アクリレート、パーフロロアルキル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルアクリル酸の各種アルキルエステルとその縮合二量体、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、トリアルコキシシリルアルキル(メタ)アクリレートに代表されるアルコキシシリル基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0011】
スチレン系ビニル単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンやt−ブチルスチレンなどのスチレンの芳香環がアルキル基で置換された置換スチレン類、クロロメチルスチレン、ヒドロキシスチレンなどが挙げられる。また、ビニルエステル系単量体の例としては酢酸ビニルやプロピオン酸ビニルが挙げられ、ビニルエーテル系単量体の例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル化合物が挙げられる。
【0012】
3.エポキシ化合物
エポキシ化合物としては、分子内に少なくとも一個のエポキシ基を有する公知の脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物が使用できるが、エポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ化合物が好ましくは挙げられる。好ましい脂環式エポキシ化合物の例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペートなどのエポキシ化シクロヘキシル基を2つ以上有する化合物が挙げられる。これらの化合物は米国ユニオンカーバイド社製CYRACUREレジンとして使用されている。芳香族エポキシ化合物の具体例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル縮合物、ノボラック樹脂やクレゾール樹脂のエピクロルヒドリン変性物などが挙げられる。これらのエポキシ化合物は硬化物に必要とされる性能に応じ、単独あるいは混合して使用することができる。
本発明においては、カチオン硬化性が優れている点で多官能の脂環式エポキシ化合物が特に好ましく使用される。
【0013】
4.シリコーン系重合体組成物の製造方法
シリコーン系重合体組成物の製造は、前記オキセタン化合物の存在下に、前記単量体混合物をラジカル重合させる重合工程と、得られたオキセタン重合体溶液にエポキシ化合物の付加反応させる工程から成る。
重合工程は、オキセタン化合物を溶媒として用い、アゾ化合物や有機過酸化物などの公知のラジカル開始剤を用いて、単量体混合物を重合させる。一般にオキセタン化合物は低粘度でビニル重合体の溶解力に優れ、更にラジカル反応に対して不活性であるため、ラジカル重合の溶媒としての使用が可能となる。
上記重合工程で使用するオキセタン化合物と単量体混合物の混合割合は、オキセタン化合物:単量体混合物=20〜90:80〜10(質量%)であることが好ましく、更に好ましくは、30〜80:70〜20(質量%)である。
オキセタン化合物の割合が20質量%未満であると、重合に層分離しやすくなり、90質量%を越えるとモノマーの重合率が低下して未反応モノマー量が増加するため好ましくない。
【0014】
重合温度は40〜180℃が好ましく、50〜150重量%が更に好ましい。重合温度が40℃未満では重合速度が遅く反応時間が長くなり過ぎ、180℃を越えるとオキセタン化合物の一部が反応を起して硬化性を阻害しやすい。
【0015】
次にエポキシ化合物の付加反応工程は、前記の方法で得た重合体オキセタン溶液にエポキシ化合物を添加して、加熱条件下に重合体中のカルボキシル基に付加反応させるものである。
使用するエポキシ化合物の添加量は、重合体中カルボキシル基に対するエポキシ基のモル比で2倍以上が好ましく、5倍以上が更に好ましい。エポキシ基のモル比が2倍以下では重合体が高分子量化あるいは架橋し易いため好ましくない。
エポキシ化合物の付加反応は、無触媒でも50℃以上の温度に反応液を加熱することに進行するが、反応時間を短縮したい場合には四級アンモニウム塩、三級アミン、四級ホスホニウム塩などの触媒を添加しても良い。これらの触媒はカチオン硬化性を損ねる可能性があるため、添加量は反応液に対して3質量%以下が好ましく、1質量%以下が更に好ましい。
【0016】
反応温度は40〜180℃であることが好ましく、50〜150℃が更に好ましい。反応温度が40℃未満では重合速度が遅く反応時間が長くなり過ぎ、180℃を越えるとオキセタン化合物の一部が反応を起して硬化性を阻害しやすい。
エポキシ付加反応の反応率は反応液中の酸価をアルカリ滴定などの方法で経時的に追跡することによって容易に測定できる。
エポキシ付加反応工程は通常重合工程の後に行われるが、反応時間短縮が要望される場合には、重合工程の後期〜終期にエポキシ反応を開始しても良い。但しこの場合、未反応シリコーンの残存を抑えるため、重合転化率が少なくとも70%に達した段階でエポキシ付加反応を開始するのが好ましい。
なお、シリコーン系重合体組成物の製造に際して、必要に応じ各種の有機溶媒、重合度調整剤などの添加剤を使用することもできる。
【0017】
5.シリコーン系重合体組成物の配合
本発明におけるシリコーン系重合体組成物に、光または熱カチオン重合開始剤を添加すれば、光または熱硬化性の組成物となるが、硬化物の機械的強度を高めて実用的なフィルム強度を得るためにさらにエポキシ化合物を配合するのが好ましい。用いるエポキシ化合物としては、前項のエポキシ化合物の付加反応工程の説明で例示したような各種の化合物が使用でき、これらの中でも多官能の脂環式エポキシ化合物が特に好ましい。
【0018】
前記光カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線の作用によって開裂し強酸を放出する化合物であり、熱カチオン重合開始剤は、熱の作用即ち温度の上昇によって開裂し強酸を放出する化合物である。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、UV・EB硬化材料[(株)シーエムシー、1992年発行]の3.1.5項63−65頁に記載されているような化合物が挙げられ、これらの中でも、下記式(1)に代表されるトリアリールスルホニウムヘキサフロロホスフェート塩、リン原子をアンチモン原子で置換されたトリアリールスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩、下記式(2)で表される化合物に代表されるジアリールヨードニウム塩が好ましく用いられる。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】
熱カチオン重合開始剤としては、例えば、SbF6、−SbF4、−AsF6、−PF6−など陰イオン成分とする窒素、イオウ、リンまたはヨードのオニウム塩が挙げられる。具体的には、四級アンモニウム塩型化合物、スルホニウム塩型化合物、ホスホニウム塩型化合物、ヨードニウム塩型化合物などが有り、旭電化工業(株)製アデカオプトンCP−66、CP−77(いずれも商品名)、三新化学工業(株)製サンエイドSI−60L、SI−80LおよびSI−100L(いずれも商品名)などの市販開始剤を使用することができる。
【0022】
前記光または熱カチオン重合開始剤の好ましい使用量は、カチオン硬化性組成物の全量100質量部に対して、0.2〜10質量部であり、0.5〜5質量部が更に好ましい。重合開始剤の添加量が0.2質量部未満では硬化性が不足し、10質量部を越えると硬化物の強靭性が低下する。
本発明におけるカチオン硬化性組成物は、必要に応じ各種のカチオン硬化性化合物、充填剤、カップリング剤、難燃剤、可塑剤、低収縮化剤、潤滑剤、表面改質剤、染料・顔料等の添加剤を配合することができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。各例における成分配合の部は、全て質量部である。
実施例1 エポキシ変性シリコーン系重合体組成物の製造
攪拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管を備え付けたフラスコに、X−22−174DX(信越化学(株)製の片末端メタクリメイル基含有シリコーン系マクロモノマー、Mn:6000)60部、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート(東亞合成(株)製アロニックスM−5300)12部、2−エチルヘキシルアクリレート18.2部、n−ドデシルメルカプタン0.3部および3―エチル―3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(東亞(株)製アロンオキセタンOXT−212)92部を入れ、窒素を溶液にバブリングしながら加熱攪拌した。
これとは別に2,2'−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)(日本ヒドラジン工業(株)製商品名ABN−E)2部を3―エチル―3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン8部に溶解して開始剤溶液を調製した。反応液が90℃に達した時点で開始剤溶液2gを投入し、残りの開始剤溶液を滴下ロートに入れて、2時間かけて反応液中に連続供給した。反応液の温度は90〜95℃に保持した。滴下終了後更に2時間同温度で反応し、シリコーンクララフトポリマーのオキセタン溶液を得た。
この重合液に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ユニオンカーバイド社製脂環式エポキシ化合物、商品名UVR−6110)207.2部とテトラブチルアンモニウムブロミド0.8部を入れ、90〜100℃で2時間反応させた。この間、反応初期の溶液の濁り徐々に消失し透明液となった。溶液の酸価から計算した反応率は98%以上であった。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーから求めた分子量(ポリスチレン換算)は、28,000(数平均)および74,000(重量平均)であった。
【0024】
実施例2〜4および比較例 カチオン硬化性組成物の調整と硬化
下記表1に示す組成のカチオン硬化性組成物を配合した後、クロメート処理アルミニウム板上に、バーコータ#3を用いて塗膜を形成した後、80W/cmの高圧水銀ランプを設置したコンベアタイプの紫外線照射装置(ランプ高さ=10cm、コンベアスピード=10m/min)を用いて2パス通し硬化させた。硬化塗膜を室温で1日放置した後、下記に示した塗膜の評価を行い、結果を表1に示した。なお、塗膜物性の試験方法は以下の通りである。
・鉛筆硬度:JIS K5400に記載の手かき法で測定した。
・密着性:JIS K5400に記載の碁盤目テープ剥離法にて、マス目100個中の剥離マス目数で評価した。
・屈曲性:JIS K5400に記載のとおり、直径10mmおよび2mmで180゜折り曲げ塗膜のひび・剥がれの有無で評価した。
・耐マジック汚染性:油性インクペンで塗膜表面をマークし、10分後にティッシュペーパーで拭き取り、以下の判定基準に従って評価した。
○:インクの染み込みがない
△:わずかにインクの染み込みが残る
×:拭き取れない
・セロテープ剥離強度:1インチ巾の市販のセロハンテープ(コクヨ スーパーテープ 24mm×35m 包装用PP粘着テープ)を塗膜上に気泡が入らぬよう注意して張り付け、ゴムロールで数回強く圧着した。1日後セロテープの180゜剥離強度を、東洋測定器(株)製テンシロンUTM−4Lを使用し5Kgのロードセルを用いて測定した。引張り速度は300mm/minとした。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
本発明の製造方法で得られるシリコーン系重合体組成物は、グラフトポリマー中のシリコーン含量を多くしてもエポキシ化合物との相溶性が優れる。その結果、硬化物中のシリコーン含量が低くても塗膜表面のシリコーン組成が高い塗膜が得られる。効率的にシリコーン成分が濃縮するため、離型性、耐汚染性、潤滑性などに優れた硬化塗膜が容易に得られる。この特長を利用して、離型性や耐汚染性、潤滑性に優れた塗料・コーティング材料、光学用フィルム・シート状材料、成形材料、接着剤、電気絶縁材料等に応用可能である。
Claims (4)
- オキセタン化合物の存在下、下記(A)および(B)からなる単量体混合物をラジカル重合させて得られる重合体オキセタン溶液に、エポキシ化合物を反応させることを特徴とする、シリコーン系重合体組成物の製造方法。
(A)カルボキシル基を有するビニル単量体
(B)分子末端にビニル基を有する数平均分子量500〜30,000のシリコーンマクロモノマー - オキセタン化合物が炭素数3〜10の直鎖または分岐アルキルエーテル基を有する単官能オキセタン化合物であり、エポキシ化合物が多官能の脂環式エポキシ化合物である、請求項1記載のシリコーン系重合体組成物の製造方法。
- オキセタン化合物と単量体混合物の合計量に対するオキセタン化合物の割合が20〜90質量%である、請求項1または請求項2に記載のシリコーン系重合体組成物の製造方法。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のシリコーン系重合体組成物に、脂環式エポキシ化合物およびカチオン重合開始剤を配合してなるカチオン硬化性組成物。
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